説明

音声出力部品の保持構造および電子機器

【課題】電子機器の落下の際に音声出力部品が破損することを防止できる音声出力部品の保持構造および電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器10は、下筐体11と、下筐体11に設けられた音声出力孔33cから音声を発するように上カバー33の裏面33aに当接する音声出力部品13と、ヨーク背面22aに配置された回路基板25と、回路基板25における音声出力部品13とは反対側に配置されたシャーシ28と、回路基板25に設けられた開口部26と、開口部26内に配置され、ヨーク背面22aおよびシャーシ28に対して弾性的に接触する弾性部材30とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体内に配置した音声出力部品から筐体外に音声を発するように音声出力部品を保持する音声出力部品の保持構造および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器として、下筐体(筐体)および上筐体が連結部で折畳み自在に連結され、下筐体に操作部が設けられ、上筐体に表示部が設けられた折り畳み式携帯端末がある。
例えば、下筐体は、下カバーと上カバーの2つのカバー(ケース)からなり、下カバーには、操作キーやスピーカ(音声出力部品)が設置される。
【0003】
この音声出力部品を保持する保持構造として、上カバーの内面に音声出力部品を抑え金具で固定するとともに、シャーシに当接した状態に支持することで、下筐体の内部に音声出力部品を保持するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−270727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の音声出力部品の保持構造のように、音声出力部品が抑え金具によって固定されるとともに、シャーシに当接した状態に支持された場合、下筐体に生じた衝撃がシャーシを介して音声出力部品に直接伝わることが考えられる。
このため、例えば、電子機器を落下させた場合、落下の衝撃がシャーシを介して音声出力部品に伝わり、衝撃で音声出力部品が破損することが考えられる。
【0006】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電子機器の落下の際に音声出力部品が破損することを防止できる音声出力部品の保持構造および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、筐体と、前記筐体に設けられた音声出力孔から音声を発するように前記筐体の裏面に当接する音声出力部品と、前記音声出力部品の背面に配置された回路基板と、前記回路基板における前記音声出力部品とは反対側に配置されたシャーシと、前記回路基板に設けられた開口と、前記開口内に配置され、前記音声出力部品の背面および前記シャーシに対して弾性的に接触する弾性部材と、を備える。
【0008】
このような本発明においては、回路基板に開口を設けて開口内に弾性部材を配置した。そして、弾性部材を音声出力部品の背面およびシャーシに対して弾性的に接触させるようにした。
よって、音声出力部品を弾性部材でシャーシに対して浮かせた状態、すなわちフローティングの状態に保つことができる。
これにより、電子機器を落下させた場合に、落下の衝撃が音声出力部品に伝わらないように弾性部材で吸収して音声出力部品が破損することを防止できる。
【0009】
また、本発明は、前記開口が、前記音声出力部品のヨークに対応した位置に設けられている。
【0010】
ここで、ヨークは、音声出力部品の中心に位置し、かつ金属で構成されているので、音声出力部品を支える十分な強度を備えている。
そこで、本発明においては、音声出力部品のヨークに対応した位置に開口を設けることにした。これにより、開口内に配置した弾性部材をヨークに接触(当接)させて音声出力部品を弾性部材で良好に弾性的に支持できる。
【0011】
さらに、本発明は、前記開口の面積が、前記ヨークの平面積よりも小さく形成されている。
【0012】
ここで、開口の面積をヨークの平面積よりも大きく形成した場合、ヨークが開口内に入り込んでしまう。このため、音声出力部品のZ方向(厚さ方向)において回路基板(すなわち、剛体受け部)がなくなり、弾性部材のみでヨークを支えることになる。
このため、音声出力部品のZ方向(厚さ方向)の位置を安定させることが難しくなり、音声出力部品の接点や音圧が不安定になることが考えられる。
【0013】
そこで、本発明においては、開口の面積をヨークの平面積よりも小さく形成した。よって、剛性を備えた回路基板(すなわち、剛体)でヨークの一部を支えることができる。
これにより、音声出力部品のZ方向(厚さ方向)の位置を安定させて、音声出力部品の接点や音圧を安定させることができる。
【0014】
また、本発明は、前記弾性部材が、前記音声出力部品の背面に設けられた音孔に干渉しないように構成されている。
【0015】
本発明においては、音声出力部品の音孔に弾性部材を干渉しないようにすることで音響特性を良好に確保できる。
【0016】
さらに、本発明は、前記音声出力部品の保持構造を電子機器に備えている。
【0017】
本発明においては、電子機器の落下の際に音声出力部品が破損することを防止でき、また、音声出力部品のZ方向(厚さ方向)の位置を安定させて保持でき、さらに、接点や音圧を安定させることができ、加えて、音響特性を良好に確保できる電子機器を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の音声出力部品の保持構造および電子機器によれば、回路基板に開口を設けて開口内に弾性部材を配置し、弾性部材を音声出力部品の背面およびシャーシに対して弾性的に接触させることで、電子機器の落下の際に音声出力部品が破損することを防止できる効果が得られるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る電子機器を示す斜視図
【図2】図1の電子機器を示す分解斜視図
【図3】図1のA−A線断面図
【図4】本発明に係る電子機器の音声出力部品を示す斜視図
【図5】図3のB−B線断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の複数の実施の形態に係る音声出力部品の保持構造および電子機器10について図面を参照して説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態である電子機器10は、操作部12や音声出力部品(スピーカ)13が設けられた下筐体(筐体)11と、表示部15が設けられた上筐体14と、下筐体11および上筐体14を折畳み自在に連結する連結部17とを備えた折り畳み式携帯端末である。
以下、音声出力部品13を下筐体11に保持する構造を「音声出力部品の保持構造20」として説明する。
【0022】
なお、第1実施形態では電子機器10として折り畳み式携帯端末を例示するが、電子機器10は折り畳み式携帯端末に限定するものではなく、他の電子機器に適用することも可能である。
【0023】
図2、図3に示すように、音声出力部品の保持構造20は、下筐体11と、下筐体11の裏面(具体的には、上カバー33の裏面)33aに当接する音声出力部品13と、音声出力部品13の背面(すなわち、ヨーク22の背面)22aに配置された回路基板25と、回路基板25における音声出力部品13とは反対側に配置されたシャーシ28と、回路基板25に設けられた開口部26と、開口部26内に配置された弾性部材30とを備えている。
【0024】
下筐体11は、下筐体11の下部を構成する下カバー32と、下カバー32の上部に設けられた上カバー33とで筐体状に形成されている。
上カバー33は、操作部12が配置される開口部33bと、音声出力部品13の上部(具体的には、後述する出力部本体21の上面)21bが対峙する音声出力孔33cが設けられている。
【0025】
図4に示すように、音声出力部品13は、上カバー33の裏面33aに設けられた出力部本体21と、出力部本体21の背面21aに設けられたヨーク22と、出力部本体21の背面21aに設けられて音声を発する音孔23と、出力部本体21の背面21aに設けられた接点部24とを備えている。
【0026】
図3に示すように、上カバー33の裏面33aに、下カバー32に向けて突出された周壁34が設けられている。
周壁34内に出力部本体21が収容されるとともに、上カバー33の裏面33aに出力部本体21の上面21bが当接した状態で、出力部本体21が上カバー33の裏面33aに取り付けられている。
【0027】
図4に示すように、音孔23は、出力部本体21の背面21aのうち、ヨーク22の外側の面に設けられている。
【0028】
ヨーク22は、出力部本体21の背面21aのうち中心に位置し、金属で構成されることで音声出力部品13を支える十分な強度を備えている。
ヨーク22の背面(以下、「ヨーク背面」という)22aは、互いに平行に対向するように設けられた一対の長辺22dと、互いに対向するように設けられた一対の湾曲辺22eとで平面積S1に形成されている。
一対の長辺22dおよび一対の湾曲辺22eでヨーク背面22aの外周22bが形成される。
【0029】
図3に示すように、ヨーク背面22a側に回路基板25が設けられている。回路基板25のうちヨーク背面22aに対応した位置に開口部26が設けられている。
開口部26は、図5に示すように、X寸法およびY寸法(すなわち、縦寸法および横寸法で)で開口面積S2になるように略矩形状に形成されている。
開口部26のX方向の寸法はヨーク部のX方向の寸法よりも小さく構成され、開口面積S2はヨーク背面22aの平面積S1よりも小さく構成されている。
【0030】
そこで、開口面積S2をヨーク22の平面積S1よりも小さく形成することで、図3に示すように、剛性を備えた回路基板25(すなわち、剛体)でヨーク背面22aを支えることができる。
これにより、音声出力部品13のZ方向(厚さ方向)の位置を安定させて、音声出力部品13の接点部24(図4参照)の接点や音圧を安定させることができる。
【0031】
これに対して、例えば、開口面積S2をヨーク22の平面積S1(図5参照)よりも大きく形成した場合、開口部26内にヨーク背面22aが入り込んでしまい、ヨーク背面22aに対峙(対向)させて回路基板25を配置できない。
よって、音声出力部品13の厚さ方向(すなわち、Z方向)において、剛性を備えた回路基板25(すなわち、剛体)で音声出力部品13を受けることができなくなり、音声出力部品13を弾性部材30のみで支えることになる。
このため、音声出力部品13のZ方向(厚さ方向)の位置を安定させることが難しく、音声出力部品13の接点部24の接点や音圧が不安定になることが考えられる。
【0032】
そこで、第1実施形態において、開口面積S2をヨーク22の平面積S1よりも小さく形成することで、音声出力部品13のZ方向(厚さ方向)の位置を安定させて、音声出力部品13の接点部24(図4参照)の接点や音圧を安定させるようにした。
【0033】
図3、図5に示すように、回路基板25の開口部26内に弾性部材30が配置されている。
弾性部材30は、平面視で略矩形状で、かつ、厚さ寸法T1(図2参照)に形成されている。
厚さ寸法T1は、回路基板25の厚さ寸法T2(図3参照)より大きく設定されている。
【0034】
この弾性部材30は、上面30aがヨーク背面22aの中央部22cに接触(当接)するとともに、下面30bがシャーシ28に接触(当接)されている。
そして、ヨーク背面22aのうち中央部22cを除いた部位22fが回路基板25の上面25aに近接(接触)され、シャーシ28の上面28aが回路基板25の下面25bに近接(接触)されている。
【0035】
弾性部材30の厚さ寸法T1が回路基板25の厚さ寸法2より大きく設定されているので、シャーシ28の上面28aおよびヨーク背面22aの中央部22cで弾性部材30が圧縮された状態に保持(挟持)される。
すなわち、弾性部材30は、音声出力部品13の背面(すなわち、ヨーク背面)22aおよびシャーシ28に対して弾性的に接触されている。
【0036】
よって、音声出力部品13を弾性部材30でシャーシ28に対して浮かせた状態、すなわちフローティングの状態に保つことができる。
これにより、電子機器10を落下させた場合に、シャーシ28から衝撃が音声出力部品13に伝わらないように弾性部材30で吸収し、衝撃で音声出力部品13が破損することを防止できる。
【0037】
ここで、図4に示すように、ヨーク22は出力部本体21の背面21aの中心に位置し、かつ金属で構成されているため、音声出力部品13を支える十分な強度を備えている。
よって、図3に示すように、ヨーク背面22aに対応した位置に開口部26を設けることで、開口部26内に配置した弾性部材30をヨーク背面22aの中央部22cに接触(当接)させることができる。
これにより、弾性部材30で音声出力部品13を良好に弾性的に支持できる。
【0038】
ここで、図5に示すように、開口部26の開口面積S2がヨーク背面22aの平面積S1よりも小さく設定され、この開口部26に弾性部材30が配置されている。
よって、弾性部材30の平面積S3をヨーク22の平面積S1よりも小さくでき、弾性部材30をヨーク背面22aの外周22bからはみ出さないように配置できる。
加えて、出力部本体21の背面21aのうち、ヨーク22の外側の面に音孔23(図4も参照)が設けられている。
よって、弾性部材30を音孔23に干渉しないように配置できるので、音響特性を良好に確保できる。
【0039】
なお、本発明に係る音声出力部品の保持構造20および電子機器10は、前述した第1実施形態に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、第1実施形態では、弾性部材30の平面積S3をヨーク22の平面積S1よりも小さく設定して弾性部材30を音孔23に干渉しないように配置したが、これに限定するものではない。
例えば、弾性部材30の平面積S3がヨーク22の平面積S1よりも大きい形態の場合には、弾性部材30のうち音孔23に対応する部位に孔を設けて音響特性を良好に確保可能に対処することも可能である。
【0040】
また、第1実施形態では、ヨーク背面22aの中央部22cを弾性部材30で支える例について説明したが、これに限らないで、ヨーク背面22aの中央部22cに加えて出力部本体21の背面21aを弾性部材30で支えることも可能である。
【0041】
さらに、第1実施形態では、電子機器10として折り畳み式携帯端末を例示するが、電子機器10は折り畳み式携帯端末に限定するものではなく、その他の電子機器に適用することも可能である。
【0042】
また、前記第1実施形態で使用した電子機器10、下筐体11、音声出力部品13、音声出力部品の保持構造20、ヨーク背面22a、回路基板25、開口部26、シャーシ28、弾性部材30、下カバー32、音声出力孔33c、上カバー33および上カバーの裏面33aなどの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
10 電子機器
11 下筐体(筐体)
13 音声出力部品
20 音声出力部品の保持構造
22a ヨーク背面(音声出力部品の背面)
25 回路基板
26 開口部
28 シャーシ
30 弾性部材
32 下カバー
33 上カバー
33a 上カバーの裏面(筐体の裏面)
33c 音声出力孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に設けられた音声出力孔から音声を発するように前記筐体の裏面に当接する音声出力部品と、
前記音声出力部品の背面に配置された回路基板と、
前記回路基板における前記音声出力部品とは反対側に配置されたシャーシと、
前記回路基板に設けられた開口部と、
前記開口部内に配置され、前記音声出力部品の背面および前記シャーシに対して弾性的に接触する弾性部材と、
を備える音声出力部品の保持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の音声出力部品の保持構造であって、
前記開口部が、前記音声出力部品のヨークに対応した位置に設けられている音声出力部品の保持構造。
【請求項3】
請求項2に記載の音声出力部品の保持構造であって、
前記開口部の面積は、前記ヨークの平面積よりも小さい音声出力部品の保持構造。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の音声出力部品の保持構造であって、
前記弾性部材は、前記音声出力部品の背面に設けられた音孔に干渉しない音声出力部品の保持構造。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれかに記載の音声出力部品の保持構造を備えた音声出力部品の保持構造および電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−166202(P2011−166202A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23046(P2010−23046)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】