説明

音声放送機能付き運賃表示装置

【課題】 運賃表示機能と音声放送機能との両機能を持つ場合であっても、この際に必要となる部品点数を少なく抑えることができる音声放送機能付き運賃表示装置を提供する。
【解決手段】 路線バス等の車両1には、乗客に運賃を通知する運賃表示装置3が搭載される。この運賃表示装置3は、運賃表示機能に音声放送機能を一体に組み込んだ音声放送機能付き運賃表示装置3である。音声放送機能付き運賃表示装置3は、運賃表や案内画面を2画面式のディスプレイ30,31に表示しつつ、車内スピーカ28や車外スピーカ29で音声放送が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面に運賃を表示可能であり、しかも車内に音声放送が可能な機能も併せ持つ音声放送機能付き運賃表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、路線バスやワンマン運行式鉄道は、どの停留所から乗車してどの停留所で降車したかによって決まる乗車区間に応じて運賃を設定し、その運賃を後払いする支払い形式が採用されている。よって、路線バスやワンマン運行式鉄道においては、降車の際の運賃算定時に乗客は自身がどの停留所から乗り込み、しかもその乗車停留所からの運賃はどれだけであるのかを知る必要がある。このため、路線バスやワンマン運行式鉄道では、乗客が乗車する際において乗客がどこから乗車したのかを通知する整理券を整理券発行機で発行し、その整理券に付与された番号と運賃が対応付けられた運賃表を車内の運賃表示装置に表示することにより、乗客に運賃を通知する運賃支払い形式をとっている。
【0003】
また、路線バスやワンマン運行式鉄道などワンマン車両においては、運行状況に合わせた放送や、定型案内放送や、コマーシャル放送等の音声放送を自動で行う音声放送装置が搭載されている。なお、ここで言う運行状況に合わせた放送とは、例えば扉開→扉閉時(発車時)、次に停留予定の停留所名の通知時、乗客が降車要求として行う押しボタン(車内の停止要求ボタン)のオン操作時、扉閉→扉開時(停車時)等の際に行う放送を言う。運賃表示装置で運賃表示を行いつつ、しかも音声放送装置も持つ車両(路線バス)の例は、例えば特許文献1等に開示されている。
【0004】
この種の音声放送装置を備えた車両を図22に示すと、車両81には、運賃表示を行う運賃表示装置82が搭載されている。運賃表示装置82のメモリ83には、運賃表示装置82に画面表示する文字データや画像データとして表示データが記憶されている。運賃表示装置82は、メモリ83の表示データを表示出力することにより運賃表を画面表示し、乗車区間が延びて運賃が切り換わる際には運賃表を更新表示する。また、車両81には、音声放送を統括制御する音声合成放送装置84が搭載されている。音声合成放送装置84のメモリ85には、音声放送時の再生データとして音声データが記憶されている。音声合成放送装置84には、運転者が車内放送を行う際の入力操作系として放送操作盤86が接続されるとともに、車両81の系統(路線)を設定する際の入力操作系として系統操作盤87も接続されている。また、音声合成放送装置84には、音声を外部出力するスピーカ88が接続されている。
【0005】
音声合成放送装置84は、系統操作盤87で系統が選択設定されるとこの設定系統を認識し、車両走行時において停留所を経る度に、系統で定められた停留所の順序を順にカウントしていくことで自身が今どこの停留所にいるのかを認識する。そして、音声合成放送装置84は、停留所を再発進してからの経過時間が所定時間を経過したり、或いは次停留所アナウンスのマニュアル操作系である歩進ボタン(起動ボタン)が放送操作盤86で押し操作されたりした際には、系統で定められた順序においてその時の停留所の次に位置する停留所を次停留所として認識する。このとき、音声合成放送装置84は、その次停留所に対応した音声データをメモリ85から読み出し、この音声データをスピーカ88で再生出力することにより、次の停留所名を車内にアナウンスする。
【0006】
また、運賃表示装置82も、音声合成放送装置84と同様の方式でその時々の停留所を把握する。停留所を再発進してから所定時間が経過したり、或いは放送操作盤86で歩進ボタンが押し操作されたりした際には、音声合成放送装置84からはその旨を通知する指令が運賃表示装置82に転送される。運賃表示装置82は、音声合成放送装置84からこの通知指令を受け付けると、この指令に従い画面表示制御を行う。この画面表示の処理例としては、運賃表示装置82に次停留所名が表示されているのであれば、この停留所名を次のものに切り換え、乗車区間が延びるなどして運賃表を更新する必要があれば、運賃表を新しく更新表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−112212号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、運賃表示機能及び音声放送機能の両機能を持つ車両81においては、運賃表示装置82と音声合成放送装置84とが各々独立した装置(部品)として形成されていることが一般的である。ところで、車内に組み込む部品点数はなるべく少なくしたい要望があるが、背景技術に述べた技術例のように運賃表示装置82と音声合成放送装置84とが別々であると、これら各々の機能ごとに装置を用意する必要があるので、部品点数を極力少なく抑えたい要望に反することになる。また、運賃表示装置82と音声合成放送装置84とが別々であると、これら装置82,84を車両に組み付ける際には、各々の装置82,84ごとに組み付け作業が必要となるので、この作業が面倒となる問題もあった。
本発明の目的は、運賃表示機能と音声放送機能との両機能を持つ場合であっても、この際に必要となる部品点数を少なく抑えることができる音声放送機能付き運賃表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記問題点を解決するために、本発明では、車両の乗車時に要する運賃を乗客に通知すべく表示画面に該運賃を表示する運賃表示機能を備えた音声放送機能付き運賃表示装置において、車内に音声放送を行う音声放送機能を一体に備えたことを要旨とする。
この構成によれば、運賃表示機能(運賃表示装置)に音声放送機能を一体に組み付けたので、運賃表示機能と音声放送機能とを各々別々の部品として用意する必要がない。よって、音声放送機能まで含めた全ての装置部品を見た際に、この装置に要する部品点数を少なく抑えることが可能となる。
【0010】
本発明では、前記音声放送機能は、前記表示画面への画面表示と前記音声放送とを連動させる連動手段を備えたことを要旨とする。
この構成によれば、例えば運賃表や車両運行のその時々に応じた各種画面表示と、車内乗客に対して行う音声放送とを連動させることが可能となる。このため、例えば音声放送を表示画面の内容を音声放送で乗客に通知することが可能となるので、乗客に対して行う各種通知を機能性に富むものとすることが可能となる。
【0011】
本発明では、前記音声放送機能は、前記音声放送時に再生出力される音声データを格納するとともに、当該運賃表示装置の装置本体に対して着脱可能な外部記憶手段を備え、
前記音声放送時には、前記外部記憶手段に書き込まれた前記音声データを読み出して当該音声放送を行うことを要旨とする。
この構成によれば、外部記憶手段のデータ書き換えは、これを装置本体から取り外して例えばパーソナルコンピュータ等に接続し、パーソナルコンピュータの入力装置で新たなデータを入力することによって行う。よって、音声データを書き換える際には、例えば基板に実装されたメモリ自体を取り替えるという高コストを要する方式でデータ交換を行う必要がないので、データ書き換え作業を簡素なものとすることが可能となる。また、例えば音声データを新しいものに取り替えたい場合には、今まで使用していた外部記憶手段を、新規の音声データ群が登録された外部記憶手段に取り替えればよいので、音声データ更新を簡単な作業で行うことが可能となる。
【0012】
本発明では、前記外部記憶手段には、前記音声データと、前記表示画面に各種画面を表示する際に再生出力される表示データとの両方が格納されていることを要旨とする。
この構成によれば、音声データのみならず表示データについても、簡素な作業でデータ書き換えを行うことが可能となる。
【0013】
本発明では、前記表示データと前記音声データとは、前記車両が停車する各停留所で画面表示すべき前記表示データの表示用検索ソースと、当該画面表示の際に音声表示すべき前記音声データの音声用検索ソースとが、前記停留所ごとに区分けして書き込まれた表形式で書き込まれていることを要旨とする。
【0014】
この構成によれば、表示データ及び音声データは各々の停留所でどのような画面表示及び音声放送をするのかが表形式にまとめられた格納形式をとっているので、どの停留所でどのような画面表示及び音声放送を行うのかを確認し易くすることが可能となる。
【0015】
本発明では、前記音声放送時に再生出力されるべく装置内の記憶手段に登録された音声データを、無線通信によって自動で書き換えることが可能な無線通信式書換手段を備えたことを要旨とする。
【0016】
この構成によれば、運賃表示装置の記憶手段に登録された音声データは、無線通信によって書き換えることが可能である。よって、音声データを新しいデータに取り替えたい場合に、例えば記憶手段を取り替えるなどの手間が不要となるので、簡単な作業でデータ変更を行うことが可能となる。
【0017】
本発明では、前記音声放送時に再生出力されるべく装置内の記憶手段に登録された音声データは、外部の編集端末に登録された専用のデータ編集ソフトによって編集された音声データであることを要旨とする。
【0018】
この構成によれば、この種の専用のデータ編集ソフトは、音声データ作成の専用ソフトとして作成されたものであるので、この種のデータ編集ソフトを使用すれば、音声の整った最適な音声データを効率良く作成することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、運賃表示機能と音声放送機能との両機能を持つ場合であっても、この際に必要となる部品点数を少なく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】一実施形態における路線バス等が持つ車載機器システムの概略を示す構成図。
【図2】放送操作盤の外観を示す平面図及び側面図。
【図3】系統操作盤の外観を示す平面図及び側面図。
【図4】音声放送機能付き運賃表示装置の外観を示す斜視図。
【図5】音声放送機能付き運賃表示装置の蓋が開いた状態を示す斜視図。
【図6】音声放送機能付き運賃表示装置の具体的構成を示すブロック図。
【図7】バリアフリー停名表示画面を表示した際のディスプレイの画面図。
【図8】広告表示画面を表示した際のディスプレイの画面図。
【図9】経由案内表示画面を表示した際のディスプレイの画面図。
【図10】現停留所名通知画面を表示した際のディスプレイの画面図。
【図11】現停留所名通知画面を表示した際のディスプレイの画面図。
【図12】文字案内表示画面を表示した際のディスプレイの画面図。
【図13】発車案内通知画面を表示した際のディスプレイの画面図。
【図14】外部メモリに作成されたフォルダの種類を示すツリー構造図。
【図15】運行データファイルの具体的なデータ内容を示すデータ構造図。
【図16】案内/広告リストファイルの具体的なデータ内容を示すデータ構造図。
【図17】通常音声放送データファイルの具体的なデータ内容を示すデータ構造図。
【図18】広告音声放送データファイルの具体的なデータ内容を示すデータ構造図。
【図19】音声放送機能付き運賃表示装置が実行するフローチャート。
【図20】無線通信式データ書換機能のシステム構成を示す模式図。
【図21】データ編集機能のシステム構成を示す模式図。
【図22】従来における路線バスが持つ車載機器システムの概略を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した音声放送機能付き運賃表示装置の一実施形態を図1〜図21に従って説明する。
【0022】
図1に示すように、路線バスやワンマン運行式鉄道等の車両1の車内には、乗客に対して今現在の運賃がいくらであるのかを通知する運賃表を画面表示しつつ、しかも運行状況の各種アナウンスを車内又は車外に音声放送する車載機器システム2が設けられている。本例の車載機器システム2は、運賃表表示を行う運賃表示装置3に、各種音声放送を行う音声放送機能を一体に組み込むことにより、運賃表示機能と音声放送機能とが一体となった音声放送機能付き運賃表示装置3を使用している。この音声放送機能付き運賃表示装置3は、運賃表の他に乗客に対して各種案内画面を表示するとともに、車両1の運行状態に合わせて乗客に各種案内放送を行うことが可能である。
【0023】
図1に示すように、音声放送機能付き運賃表示装置3には、運転手(乗務員)が音声放送機能付き運賃表示装置3(音声放送機能)を動作させたり、又は車載放送機器(マイク4)を使用したりする時に操作する放送操作盤5が接続されている。放送操作盤5は、運転手が手元で操作可能となるように運転席近傍に配置されるともに、各種ボタンやスイッチ群の数に応じて複数のケーブル群6によって音声放送機能付き運賃表示装置3に接続されている。
【0024】
図2に示すように、放送操作盤5には、車両1が停留所に停車するために次の停留所に接近する度に操作する歩進ボタン(起動ボタン)7と、乗降客がいないために車両1が停車せずに停留所を通過する度に操作する通過ボタン8と、動作停止時と戻しとを行う時に操作する停止ボタン9とが設けられている。歩進ボタン7は、通過ボタン8及び停止ボタン9を押し間違えしないように、これらボタン8,9よりも大きいボタン形状をなしている。また、放送操作盤5には、音声放送機能付き運賃表示装置3による車内放送時の車内音量を調節する際に使用する車内音量調節スイッチ10と、車両1で定型放送の一種として補助放送を行う際に操作する補助放送スイッチ11とが設けられている。放送操作盤5には、マイク4で音声放送を行う際にそのマイク音量を調節する際に操作するマイク音量調節スイッチ12と、マイク4を車内、車外、オフの間で切り換える際に操作するマイク切替スイッチ13とが設けられている。これらスイッチ10〜13は、放送操作盤5の表面をなすシート材14の内面にスイッチ部品を埋め込んだシートスイッチが使用されている。
【0025】
図1に示すように、音声放送機能付き運賃表示装置3には、複数存在する系統(路線)の中から1つの系統を運転手が選択設定する際に操作する系統操作盤15が接続されている。系統操作盤15は、運転手が手元で操作可能となるように運転席近傍に配置されるとともに、データ通信経路をなすケーブル16によって音声放送機能付き運賃表示装置3に接続されている。また、この系統操作盤15には、車両前面において行き先を通知する前面用行先表示器17と、車両側面において行き先を通知する側面用行先表示器18と、車両後面において行き先を車外周囲に通知する後面用行先表示器19とが接続されている。これら行先表示器17〜19は、文字表示光源としてLEDを使用したLEDディスプレイであって、行先をLEDのビット集合体で文字表現する。
【0026】
図3に示すように、系統操作盤15には、0〜9までの数値からなるテンキーボタン20と、入力数値を決定する際に操作する入力スイッチ21とが設けられている。また、系統操作盤15には、行先表示器17〜19に表示する行先表示データDikが関連付けられた状態で複数の系統(路線)が登録されている。系統操作盤15には、外部メモリ22を挿し込み可能なスロット23が形成されている。系統操作盤15への系統(行先表示データDik)の登録は、この種のデータ群が書き込まれた外部メモリ22をスロット23に挿し込み、この外部メモリ22のデータ群を系統操作盤15に転送することによって行う。系統操作盤15で系統を選択設定するに際しては、系統操作盤15のテンキーボタン20で系統の番号入力を行い、この入力番号が表示枠15aに表示されることから、この表示番号を確認し、この表示番号が正しい番号であるならば、入力スイッチ21を操作することで決定操作を行う。
【0027】
図1に示すように、音声放送機能付き運賃表示装置3には、乗客が運賃を精算する際に使用する運賃箱24が接続されている。この運賃箱24は、運賃代金である硬貨と、乗車停留所の証明として乗り込み時に取得した整理券とが投入された際、これら硬貨と整理券とを分離し、投入された硬貨を種類別に区分けして蓄える装置である。この運賃箱24には、乗客が車両1に乗り込む際に整理券を発行するサーマル整理券発行機25が接続されている。また、ICカード26によって運賃精算が可能な車両1の場合、運賃箱24には、ICカード26への乗車停留所の書き込み及びその読み取り、ICカード26に書き込まれた残金の読み取り及び精算後のカード26への残金書き込み等を行う乗車カードリーダ27が接続されている。
【0028】
また、音声放送機能付き運賃表示装置3には、車内に設置された車内スピーカ28と、車外に設置された車外スピーカ29とが接続されている。車内スピーカ28は、例えば車内天井に複数(例えば2つ)設置されるとともに、音声放送機能付き運賃表示装置3によって音声放送が管理される。また、車外スピーカ29は、例えば車外の車両乗り口付近、即ち車両1の車両進行方向左側面に設置されるとともに、音声放送機能付き運賃表示装置3によって音声放送が管理される。
【0029】
図1に示すように、音声放送機能付き運賃表示装置3の表示画面は、画面が2つに区画された2画面式をとり、本例においては紙面に向かって左側の画面を左ディスプレイ30とし、紙面に向かって右側の画面を右ディスプレイ31とする。音声放送機能付き運賃表示装置3のこれらディスプレイ30,31は、画面に液晶素子を組み込んだ液晶ディスプレイが使用されている。これらディスプレイ30,31は、一般的には左右で異なるジャンルの文字又は画像を表示するもので、例えば左ディスプレイ30に運賃表を表示し、右ディスプレイ31に次停留所や広告等の案内画面を表示する。なお、ディスプレイ30,31が表示画面に相当する。
【0030】
図4に示すように、音声放送機能付き運賃表示装置3の筐体32は、開口を有する前面筐体32aと、同じく開口を有するとともに前面筐体32aに対して向き合う状態に配置された後面筐体とからなる。これら筐体32a,32bは、その上部位置においてヒンジ機構33を介して連結され、前面筐体32aを後面筐体32bに対して下開きすることによって開閉可能となっている。音声放送機能付き運賃表示装置3は、後面筐体32bを車体に取着することによって車体に組み付けられている。筐体32の内部には、音声放送機能付き運賃表示装置3の各種部品が収納され、これら部品の修理や取り替えを行う際には前面筐体32aを開くことにより行う。なお、筐体32が装置本体に相当する。
【0031】
また、筐体32(後面筐体32b)の底面32cには、キーボードやマウス等の入力操作系を接続可能な第1接続コネクタ34が設けられている。この第1接続コネクタ34は、USB形式(Universal Serial Bus形式)の接続コネクタが使用されている。音声放送機能付き運賃表示装置3に登録された各種プログラムやアプリケーションを追加する場合には、この第1接続コネクタ34にキーボードやマウス等を挿し込み、ディスプレイ30,31に立ち上がる各種画面を見ながら、キーボードやマウスを操作することによって行う。
【0032】
図5に示すように、筐体32(後面筐体32b)の底面32cにおいてその端部寄りの位置は、外部メモリ35を収納可能な収納部36が設けられている。この収納部36は、筐体32の底面32cに形成された片側開き式の蓋部37を開け閉めすることで開閉可能である。蓋部37の裏面には、外部メモリ35を接続可能なUSB形式の第2接続コネクタ38が取り付けられている。この外部メモリ35は、第2接続コネクタ38がUSB形式であることに対応してUSBメモリからなり、運賃表示装置3のディスプレイ30,31に表示出力可能な表示データDpiと、同じく運賃表示装置3のスピーカ28,29で音声出力可能な音声データDspとが記憶されている。外部メモリ35は、第2接続コネクタ38に接続されたままの使用状態をとる。なお、外部メモリ35が外部記憶手段(記憶手段)に相当する。
【0033】
図6に示すように、音声放送機能付き運賃表示装置3には、この運賃表示装置3のコントロールユニットとして制御装置39が設けられている。この制御装置39には、制御装置39の制御系の素子群が実装された制御ボード部40と、制御装置39のインターフェース系の素子群が実装されたI/Fボード部41とが設けられている。また、制御装置39には、ディスプレイ30,31のバックライト冷却用ファン42,43を制御するバックライトファン制御部44と、制御装置39の各部品(制御ボード部40、I/Fボード部41、バックライトファン制御部44)に電源を供給する電源部45とが設けられている。制御ボード部40、I/Fボード部41、バックライトファン制御部44及び電源部45は、相互に電気接続されている。
【0034】
制御ボード部40には、制御装置39を統括制御するCPU46と、CPU46が音声放送機能付き運賃表示装置3を動作させる際に実行する各種プログラムが記憶されたROM47と、CPU46が各種処理を行う際の作業領域として働くRAM48とが設けられている。CPU46は、ROM47に書き込まれた制御プログラムDprに基づき動作することにより、外部メモリ35の表示データDpiを左右のディスプレイ30,31に画面表示する表示制御や、外部メモリ35の音声データDspをスピーカ28,29で音声放送する音声出力制御を行う。また、CPU46は、バックライトファン制御部44に動作指令を出力することにより、バックライトファン制御部44によるバックライト冷却用ファン42,43の駆動制御も管理する。なお、CPU46及び制御プログラムDprが運賃表示機能、音声放送機能、連動手段、無線通信式書換手段を構成する。
【0035】
制御ボード部40には、第1接続コネクタ34に繋がる第1USB端子49と、第2接続コネクタ38に繋がる第2USB端子50とが設けられている。CPU46は、第1接続コネクタ34にキーボードやマウスが接続された際、これら入力機器で行われる入力操作を第1USB端子49から取り込む。また、CPU46は、第2接続コネクタ38に外部メモリ35が接続された際、この外部メモリ35に格納された表示データDpiや音声データDspを第2USB端子50から取り込む。
【0036】
制御ボード部40及びI/Fボード部41には、これら両者の間で各種指令やデータをやり取りする際の通信口となる内部通信I/F(制御ボード部40が51、I/Fボード部41が52)が設けられている。制御ボード部40は、これらI/F51,52に各種指令やデータの転送経路である第1通信線53を繋ぐことによって接続されている。第1通信線53を介した通信方式には、データを1本の線で送受信するシリアル通信が使用されている。また、制御ボード部40には、音声データDspの出力端子として音声データ出力用I/F54が設けられ、I/Fボード部41には、音声データDspの入力端子として音声データ入力用I/F55が設けられている。制御ボード部40は、これらI/F54,55に音声データDspの転送経路である第2通信線56を繋ぐことによっても接続されている。
【0037】
I/Fボード部41には、CPU46が各種車載機器と通信を行う際にそのデータ出入口でこのデータやり取りを管理するI/F制御部57が設けられている。制御ボード部40には、運賃表示装置3が放送操作盤5、系統操作盤15、運賃箱24等の車載機器と通信を行う際のデータ出入口として車載機器用I/F58が設けられている。I/F制御部57は、放送操作盤5、系統操作盤15、運賃箱24から出力される操作情報Skの有無を逐次監視し、その操作情報Skを車載機器用I/F58で入力した際には、これをCPU46に転送する。また、I/F制御部57は、CPU46から系統操作盤15や運賃箱24に各種動作要求が出力されると、この車載機器用I/F58をデータ出力口として、これら動作要求を系統操作盤15や運賃箱24に出力する。
【0038】
系統操作盤15で系統(路線)の選択設定操作が行われた際、系統操作盤15は複数存在する系統の中でどの系統が指定されたのかを認識する。このとき、系統操作盤15は、その設定通知(系統名)Sktを音声放送機能付き運賃表示装置3に出力する。音声放送機能付き運賃表示装置3がI/Fボード部41でその設定通知Sktを受け付けると、I/Fボード部41のI/F制御部57はこれをCPU46に転送する。CPU46は、I/F制御部57から転送されてきた設定通知Sktを読み取り、この設定操作時にどの系統が選択設定されたのかを認識する。CPU46は、系統の先頭に位置する停留所をカウント開始位置として、車両走行時において各停留所を経る度に、系統で定められた停留所の順序を順にカウントしていくことで自身が今現在どの停留所に向かっているのかを認識可能である。
【0039】
CPU46は、系統操作盤15から設定通知Sktを受け付けると、この設定通知Sktを運賃箱24に転送する。運賃箱24は、系統操作盤15が出力した設定通知Sktを運賃表示装置3を介して受け付けると、複数存在する系統の中でどの系統が指定されたのかを認識する。そして、運賃箱24は、系統が分かればどの乗車区間が幾らの運賃を必要とするかが把握可能となるので、このように走行系統を認識した状況下において乗車カードリーダ27やサーマル整理券発行機25を制御して運賃精算処理を行う。運賃箱24は、乗車カードリーダ27やサーマル整理券発行機25に関する各種情報として精算関連情報SskをCPU46に出力する。
【0040】
放送操作盤5が操作された際、放送操作盤5はその操作通知Shsを音声放送機能付き運賃表示装置3に出力する。音声放送機能付き運賃表示装置3がI/Fボード部41でこの操作通知Shsを受け付けると、I/Fボード部41のI/F制御部57はこれをCPU46に転送する。CPU46は、I/F制御部57から転送されてきた操作通知Shsを読み取り、この操作通知Shsに基づきディスプレイ30,31の表示制御や、スピーカ28,29の音声出力制御を行う。この操作通知Shsとしては、歩進ボタン7が操作された際に出力される歩進操作通知(停留所進捗信号Ssc)、通過ボタン8が操作された際に出力される通過操作通知(停留所進捗信号Ssc)、停止ボタン9が操作された際に出力される停止操作通知等がある。
【0041】
制御ボード部40には、スピーカ28,29にデータ出力を行う際のデータ出力口として放送機器用I/F59が設けられている。即ち、スピーカ28,29は、これらから延びる配線を放送機器用I/F59に接続することによって、音声放送機能付き運賃表示装置3に接続されている。I/F制御部57は、CPU46が音声出力を行う状態であると認識して転送してきた音声データDspを受け付けたり、或いは放送操作盤5に接続されたマイク4で音声を取り込んだりした際に、放送機器用I/F59から音声データDspをスピーカ28,29に出力して、この音声データDspをスピーカ28,29で再生出力させる。
【0042】
また、制御ボード部40には、車両1の各種運行情報Rukを入力する際のデータ入力口として運行情報入力用I/F60が設けられている。この運行情報Rukとしては、例えば扉開時に出力される扉開信号Rdo、扉閉時に出力される扉閉信号Rdc、車外ライトの点灯時に出力される夜間信号Rni、乗客が降車を要求する際に押しボタン(降車ボタン)61を押した時に出力される降車要求信号Rdw、車両1の電源状態を通知するエンジンスイッチ信号Reg等がある。I/F制御部57は、運行情報入力用I/F60の信号入力状態を逐次監視し、このI/F60で運行情報Rukを入力した際には、この運行情報RukをCPU46に転送する。
【0043】
CPU46は、ディスプレイ30,31の表示制御を行うに際して、車載機器用I/F58で取得する操作情報Skと、運行情報入力用I/F60で取得する運行情報Rukとを入力トリガとして用いることで表示制御を行う。車両1の扉が開→閉となってから、即ち停留所を発車してから所定時間又は所定走行距離を経たり、或いは放送操作盤5で歩進ボタン7や通過ボタン8が操作されたりして、CPU46に停留所進捗信号Sscが入力された際には、図7に示すように、次の停留所名と、各整理券番号に対応する次の停留所までの運賃が左ディスプレイ30に表示され、次の停留所名が英語と平仮名で表示されるバリアフリー停名表示画面65が右ディスプレイ31に表示される。なお、左ディスプレイ30において、整理券番号が1画面で表示できる数(本実施形態では20)を上回っている場合、1〜20に対する運賃と、21〜40に対する運賃とを交互に切り換えて表示したり、1〜40に対する運賃をスクロール表示させる。
【0044】
そして、バリアフリー停名表示画面65の表示が一定時間を経過した際には、図8に示すように、広告(コマーシャル、ニュース、天気予報等)を表示する広告表示画面66が右ディスプレイ31に表示される。この広告表示画面66は、例えばJPEGデータ等の画像データを表示再生データとして再生表示することにより行われる。また、広告表示画面66を表示してから一定時間が経過した際には、図9に示すように、複数先までの停留所名や終点停留所などを表示する経由案内表示画面67が右ディスプレイ31に表示される。
【0045】
また、乗客の降車要求操作として押しボタン61の操作を検出した際には、図10に示すように、次停留所で停車する通知として停車予定画面68が右ディスプレイ31に表示される。車両1の扉が閉→開となった際、即ち車両1が停留所で停車した際には、図11に示すように、現在の停留所名を表示した現停留所名通知画面69が右ディスプレイ31に表示される。このとき、例えば整理券番号が多い(例えば20よりも多い)場合、左右のディスプレイ30,31には、図12に示すように両画面に亘って運賃表62を表示した運賃表示画面63が表示され、右ディスプレイ31には、運賃表62の上部に文字案内が表示された文字案内表示画面64が表示される。扉が開→閉となった際には、図13に示すように、発車案内を表示する発車案内通知画面70が右ディスプレイ31に表示される。
【0046】
CPU46は、スピーカ28,29の音声出力制御を行うに際して、車載機器用I/F58で取得する操作情報Skと、運行情報入力用I/F60で取得する運行情報Rukとを入力トリガとして用いることで音声出力制御を行う。例えば、停留所で停車した車両1が再発進する際には、車内向け案内として例えば「このバスは◇◇◇経由、×××行きです。」という系統案内放送を車内スピーカ28で行う。また、車両1の扉が開→閉となってから所定時間又は所定走行距離を経たり、或いは放送操作盤5で歩進ボタン7や通過ボタン8が操作されたりして、CPU46に停留所進捗信号Sscが入力された際には、車内向け案内として例えば「次は、○○○です。△△△へお越しの方は、ここでお降り下さい。」という次停留所名放送を車内スピーカ28で行う。
【0047】
また、車内スピーカ28で次停留所名放送を行ってからの経過時間をCPU46で計時し、この経過時間が一定時間を経過した際には、車内向け案内として例えば「紳士服のことなら○○○にお任せ…。」という広告放送を車内スピーカ28で行う。この広告放送は、この車両1を管理する管理会社に広告費を支払って契約を交わしたメーカのコマーシャル放送である。また、この種の広告放送以外の例としては、例えば「車内での携帯電話のご使用は、…。」という定型案内放送でもよい。なお、この広告放送や定型案内放送は、時間差を持って両方行われてもよいし、或いは画面の表示状態に関係なく例えば一定間隔のサイクルで繰り返し行われてもよい。
【0048】
また、乗客の降車要求操作として押しボタン61の操作を検出した際には、車内向け案内として例えば「次、止まります。」という停車予定放送を車内スピーカ28で行う。車両1が停留所で停車して車両1の扉が閉→開となった際には、車外向け案内として「お待たせしました。このバスは◇◇◇経由、×××行きです。」という系統案内放送を車外スピーカ29で行う。そして、車両再発進時時において開状態となっていた扉が開→閉となった際には、車内向け案内として「発車します。ご注意下さい。」という発車案内放送が車内スピーカ28で行われる。
【0049】
CPU46は、画面表示制御及び音声出力制御を行うに際して、画面表示及び音声放送を同じタイミングで実行する連動機能を備えている。例えば、CPU46は、車両1の扉が開→閉となってから所定時間又は所定走行距離を経たり、或いは放送操作盤5で歩進ボタン7や通過ボタン8が操作されたりして、CPU46に停留所進捗信号Sscが入力された際、バリアフリー停名表示画面65の表示と、次停留所名放送の音声放送とを同時に行う。なお、この事は、広告画面表示及び広告放送(定型案内放送)、停車予定画面表示及び停車予定放送、現停留所名通知画面表示及び系統案内放送、発車案内通知画面表示及び発車案内放送でも同様に言える事である。
【0050】
図14に示すように、外部メモリ35には、表示データDpi及び音声データDspを構成する各種ファイルの種類毎に複数のフォルダ71〜78が作成されている。本例においては、運行データ格納フォルダ71、運賃データ格納フォルダ72、停名マスター格納フォルダ73、案内マスター/テキスト格納フォルダ74、案内/広告画像格納フォルダ75、案内/広告動画格納フォルダ76、音声放送ファイル格納フォルダ77、音声広告ファイル格納フォルダ78がある。これらフォルダ71〜78は、これらが互いに並列に並んだツリー形式をとっている。
【0051】
運行データ格納フォルダ71には、どの停留所においてどのような画面表示及び音声放送を行うのかを指定する指令データとして運行データファイルFukが各々の系統毎に格納されている。運行データファイルFukは、拡張子が例えば「.csv」で指定されたファイルである。運行データファイルFukのファイルフォーマットは、図15に示すように、カンマ区切り(枠の境目)のデータ形式をとり、1行当たり「制御コード〜行終端記号」で表現されている。運行データファイルFukは、各々の1行の指令データDsdが停留所(駒)に相当し、上から順に停留所0、停留所1、停留所2…のデータとなっている。
【0052】
指令データDsdは、先頭から順に、制御コードCss、停留所名コードCtr、運賃段数Cud、整理券番号Csb、整理券パネル番号Cpb、カード連動属性Ckz、複数の扉閉放送コードCtc,…、扉開放送条件Coj、複数の扉開放送コードCto,…、扉開時案内コードCao、扉閉時案内コードCac、行終端機構Ckkとなっている。停留所名コードCtrは、複数桁の数値の羅列からなり、停留所名及びその案内放送を引き出す際に使用されるコード列である。本例の指令データDsdは、停留所名コードCtrの後ろに、その停留所名を画面表示及び音声放送する際に再生する条件群が羅列されているので、この停留所名コードCtrが決まれば、その停留所名を通知する際において画面表示及び音声放送する内容が決まる。
【0053】
扉閉放送コードCtcは、フォルダ77、78の中の音声放送データファイルFto,Fkoの検索ソースであって、扉閉時に車内スピーカ28から音声出力される放送コードである。また、扉開放送コードCtoは、フォルダ77、78の中の音声放送データファイルFto,Fkoの検索ソースであって、扉開時に車外スピーカ29から音声出力される放送コードである。扉開放送条件Cojは、放送回数を定義するものであって、無限ループやループ回数が指定される。扉開時案内コードCaoは、案内マスター/テキスト格納フォルダ74内の案内/広告リストファイルFakの検索ソースであって、扉開時に画面表示すべき表示再生データを定義する。また、扉閉時案内コードCacは、案内マスター/テキスト格納フォルダ74内の案内/広告リストファイルFakの検索ソースであって、扉閉時に画面表示すべき表示再生データを定義する。また、画面表示内容を定義するコードは、これら案内コードCao,Cacの他に、車両運行時に行う通知(バリアフリー停名、広告、経由案内等)を定義する運行案内コード、押しボタン61が押された際に行う停車予定を定義する停車予定案内コード等がある。
【0054】
運賃データ格納フォルダ72には、各々の乗車区間において運賃がいくらであるのかを指定するデータ群として運賃データファイルFucが各々の系統毎に格納されている。即ち、この運賃データファイルFucは、運行開始停留所を基準として今現在向かう停留所に至る際に、各々の整理番号においては運賃がいくらであるのかを指定するデータ群であり、例えば10円単位で1〜3桁の数値により運賃をセット(10円〜9990円)する三角表運賃データにより運賃が設定されている。
【0055】
停名マスター格納フォルダ73には、ディスプレイ30,31に文字表示する停留所名の文字列として停名マスターファイル(文字再生データ)Ftmが格納されている。この停名マスターファイルFtmは、例えばタイトルコード日本語ファイル、タイトルコード英語ファイル、停留所名フルネーム日本語ファイル、停留所名フルネーム英語ファイル、停留所名フルネーム平仮名ファイル、停留所名省略日本語ファイル、停留所名省略英語ファイルがある。このタイトルコードは、具体的に言うと例えば「このバスは○○発→△△行きです。」等の文字列からなる。また、停留所名フルネームは、停留所の名前をフルネームで記した文字列である。停留所名省略は、停留所名の文字数が多過ぎてディスプレイ30,31の表示枠に収まりきらない際に登録された省略名の文字列である。停名マスターファイルFtmは、運行データファイルFukの停留所名コードCtrをソースとして検索が行われるファイルである。
【0056】
案内マスター/テキスト格納フォルダ74には、右ディスプレイ31に案内文章(停名)を表示する際の文字列として案内テキストファイルFatが格納されている。この案内テキストファイルFatは、例えば案内テキスト和文ファイルや案内テキスト英文ファイル等がある。案内テキストファイルFatは、具体的に言うと例えば「毎度、ご乗車ありがとうございます。」等の文字列からなる。
【0057】
また、案内マスター/テキスト格納フォルダ74には、右ディスプレイ31に案内画像や広告画像を表示する際の指示データとして案内/広告リストファイルFakが格納されている。この案内/広告リストファイルFakは、運行データファイルFukの扉開時案内コードCao、扉閉時案内コードCac、運行案内コード、停車予定案内コード等の表示系コードをソースとして検索が行われるファイルであって、経由案内表示、文字案内、静止画像案内、動画案内等の具体的案内が定義されたファイルである。この案内/広告リストファイルFakは、扉開時案内コードCao及び扉閉時案内コードCacの他に、例えば停留所進捗信号Sscが発生した時や押しボタン61が操作された時などのイベント発生時の各種案内も定義されている。更に、画面表示機能及び音声放送機能が一体に組み込まれた音声放送機能付き運賃表示装置3の場合、この案内/広告リストファイルFakには、案内表示中に音声放送する音声データDspの放送コードも定義可能となっている。
【0058】
案内/広告リストファイルFakのファイルフォーマットは、図16に示すように、カンマ区切り(枠の境目)のデータ形式をとり、1行当たり「制御コード〜行終端記号」で表現されている。案内/広告リストファイルFakは、各行において先頭から順に、制御コードCss、案内コード/案内命令/ファイル名Caf、複数の引数Cis,Cis…となっている。案内/広告リストファイルFakにおいて制御コードCssが案内コードの定義開始を意味する「code」の行は、案内コード(例えば、扉開時案内コードCaoや扉閉時案内コードCac)が書き込まれた案内コード行とみなされる。また、案内/広告リストファイルFakにおいて制御コードCssが「null」の行は、通常のデータ行とみなされ、案内画像の表示形体を定義する命令語(予約語)や、その案内画像に表示するファイル名(拡張子を含む)が書き込まれる。
【0059】
この種の命令語としては、例えば図7に示すように右ディスプレイ31にバリアフリー停名表示画面65を表示する際の命令であるバリアフリー停名表示命令と、図8に示すように右ディスプレイ31に広告表示画面66等の静止画像や動画を表示する際の命令であるメディアファイル名指定命令と、図9に示すように右ディスプレイ31に経由案内表示画面67を表示する際の命令である経由案内表示命令とがある。また、他の命令語の例としては、図12に示すようにディスプレイ30,31に運賃表示画面63を表示する際の命令である通常表示命令がある。更に、これら以外の命令語の例としては、案内命令を繰り返す繰り返し命令、ジャンプ先で指定した案内行へ命令を移行するジャンプ命令、先頭行に命令を戻すリターン命令がある。
【0060】
複数の引数Cis,Cis…には、先頭側から順に、繰り返し回数を整数値でセットする繰返し回数セットCi1と、表示時間(再生時間)を秒単位でセットする時間セットCi2と、画面表示する案内テキストコードをセットする案内テキストコードCi3と、案内命令の開始日をセットする開始日セットCi4と、命令案内の終了日をセットする終了日セットCi5と、案内画面表示時に音声出力する放送コードをセットする案内放送コードCi6とがある。右ディスプレイ31で案内画面を表示する際に行う音声放送は、この案内放送コードCi6で定義される音声再生データが再生出力される。
【0061】
また、案内/広告画像格納フォルダ75には、案内画面に表示する画像再生データとして画像ファイルFgzが格納されている。この画像ファイルFgzは、ディスプレイ31に各種画面を表示する際に使用する画像再生データであって、例えばJPEG形式のファイルや、BMP形式のファイルからなる。また、案内/広告動画格納フォルダ76には、案内画面に表示する動画再生データとして動画ファイルFdgが格納されている。この動画ファイルFdgは、ディスプレイ31に各種動画を表示する際に使用する動画再生データであって、例えばMPEG形式のファイルからなる。
【0062】
音声放送ファイル格納フォルダ77には、音声放送機能付き運賃表示装置3で通常時に音声放送する際の音声再生データとして通常音声放送データファイルFtoが格納されている。この通常音声放送データファイルFto,Fto…は、図17に示すように、例えば拡張子が「.wav」の音声再生データからなり、放送コード(扉開放送コードCto、扉閉放送コードCtc、案内放送コードCi6)ごとに各々設定されている。この通常音声放送データファイルFtoとしては、例えばタイトル案内系(このバスは◇◇◇経由、×××行きです。)、停留所名案内系(次は、○○○です。△△△へお越しの方は、ここでお降り下さい。)、定型案内系(車内での携帯電話のご使用は、…。)、法定放送系(次、止まります。)等がある。
【0063】
音声広告ファイル格納フォルダ78には、広告放送として音声放送する際の音声再生データとして広告音声放送データファイルFkoが格納されている。この広告音声放送データファイルFkoも、図18に示すように、通常音声放送データファイルFtoと同様に例えば拡張子が「.wav」の音声再生データからなり、放送コードごとに各々設定されている。この広告音声放送データファイルFkoとしては、例えば広告案内系(紳士服のことなら○○○にお任せ…。)がある。
【0064】
次に、本例の音声放送機能付き運賃表示装置3の動作を図19のフローチャートに従って説明する。
ステップ100では、停留所進捗信号Sscの有無を判定する。即ち、車両1の扉が開→閉となってから所定時間又は所定走行距離を経たり、或いは放送操作盤5で歩進ボタン7や通過ボタン8が操作されたりして、停留所進捗信号Sscを入力したか否かを判定する。このとき、停留所進捗信号Sscを入力していなければここで待機し、停留所進捗信号Sscを入力すればステップ101に移行する。
【0065】
ステップ101では、運行データファイルFukを参照して次停留所名と次整理券番号と運賃表62とを更新する。
ステップ102では、左ディスプレイ30に次の停留所名と各整理券番号に対する次の停留所までの運賃表62を表示し、右ディスプレイ31に図7に示すバリアフリー停名表示画面65を表示して次停留所名を英語と平仮名で表示するとともに、車内向け案内として例えば「次は、○○○です。△△△へお越しの方は、ここでお降り下さい。」という次停留所名放送を車内スピーカ28で音声放送する。
【0066】
ステップ103では、乗客が停車要求時に押し操作する押しボタン61から、押し操作有りの通知として降車要求信号Rdwを入力したか否かを判定する。このとき、降車要求信号Rdw入力していなければステップ104に移行し、降車要求信号Rdwを入力していればステップ112に移行する。
【0067】
ステップ104では、バリアフリー停名表示画面65を表示してからの経過時間が所定時間を経過したか否かを判定する。このとき、バリアフリー停名表示画面65の表示時間が所定時間を経過していなければステップ102に戻ってバリアフリー停名表示画面65の表示を継続し、バリアフリー停名表示画面65の表示時間が所定時間を経過していればステップ105に移行する。なお、左ディスプレイ30については、新たな停留所進捗信号Sscが入力されるまで、次の停留所名と各整理券番号に対応する次の停留所までの運賃表62が継続して表示される。
【0068】
ステップ105では、広告の画面表示や音声放送に必要なデータ群を読み出す。このデータ読み出しとしては、フォルダ77,78からの画像や動画の各種ファイルFto,Fkoの読み出しと、音声広告ファイル格納フォルダ78からの広告音声放送データファイルFkoの読み出しとがある。
【0069】
ステップ106では、読み出した広告用の各種データを用い、右ディスプレイ31に図8に示す広告表示画面66を表示するとともに、車内向け案内として例えば「紳士服のことなら○○○にお任せ…。」という広告放送を車内スピーカ28で音声放送する。なお、この時の音声放送は、広告放送に限らず、例えば「車内での携帯電話のご使用は、…。」という定型案内放送でもよい。
【0070】
ステップ107では、広告の画面表示及び音声放送時に、扉開信号Rdoを入力したか否かを判定する。このとき、扉開信号Rdoを入力していなければステップ108に移行し、扉開信号Rdoを入力していればステップ116に移行する。
【0071】
ステップ108では、広告の画面表示及び音声放送時に、押しボタン61から降車要求信号Rdwを入力したか否かを判定する。降車要求信号Rdwを入力していなければステップ109に移行し、降車要求信号Rdwを入力していればステップ112に移行する。
【0072】
ステップ109では、広告の画面表示及び音声放送時に、停留所進捗信号Sscの有無を判定する。このとき、停留所進捗信号Sscを入力していればステップ101に戻って各種データ更新を行い、停留所進捗信号Sscを入力していなければステップ110に移行する。
【0073】
ステップ110では、広告の画面表示及び音声放送を実行してからの経過時間が所定時間を経過したか否かを判定する。ここで、この経過時間が所定時間を経過していればステップ111に移行し、この経過時間が所定時間を経過していなければステップ105に戻って広告通知を再実行する。
【0074】
ステップ111では、車両1の運行が終了したか否かを判定する。ここで、車両1の運行が終了していればこのフローチャートを終了し、運行が終了していなければステップ105に戻って広告通知を再実行する。
【0075】
ステップ112では、停車予定を画面表示及び音声放送するのに必要なデータ群を読み出す。このデータ読み出しとしては、例えばフォルダ77,78からの画像や動画の各種ファイルFto,Fkoの読み出しと、音声放送ファイル格納フォルダ77からの通常音声放送データファイルFtoの読み出しとがある。
【0076】
ステップ113では、読み出した停車予定用の各種データを用い、右ディスプレイ31に図10に示す停車予定画面68を表示するとともに、車内向け案内として例えば「次、止まります。」という停車予定放送を車内スピーカ28で音声放送する。
【0077】
ステップ114では、停車予定通知時に、扉開信号Rdoを入力したか否かを判定する。このとき、扉開信号Rdoを入力していなければステップ115に移行し、扉開信号Rdoを入力していれば車両1が停留所に到着したと判定してステップ116に移行する。
【0078】
ステップ115では、停車予定の画面表示及び音声放送を実行してからの経過時間が所定時間を経過したか否かを判定する。ここで、この経過時間が所定時間を経過していればステップ105に移行して広告通知を実行し、この経過時間が所定時間を経過していなければステップ113に戻って停車予定通知を継続する。
【0079】
ステップ116では、運行データファイルFukを参照してその時の停留所から整理券番号を確認し、整理券番号が20以下か否かを判定する。このとき、整理券番号が20以下であればステップ117に移行し、整理券番号が20よりも多ければステップ203に移行する。
【0080】
ステップ117では、現在の停留所名を通知するのに必要なデータ群を読み出す。このデータ読み出しとしては、例えばフォルダ77,78からの画像や動画系の各種ファイルFto,Fkoの読み出しと、音声放送ファイル格納フォルダ77からの通常音声放送データファイルFtoの読み出しとがある。
【0081】
ステップ118では、読み出した現在停留所通知用の各種データを用い、右ディスプレイ31に図11に示す現停留所名通知画面69を表示するとともに、車外向け案内として「お待たせしました。このバスは◇◇◇経由、×××行きです。」という系統案内放送を車外スピーカ29で音声放送する。
【0082】
ステップ119では、現停留所名通知時に、扉閉信号Rdcを入力したか否かを判定する。このとき、扉閉信号Rdcを入力していなければステップ117に戻って現停留所名通知を継続し、扉閉信号Rdcを入力していればステップ200に移行する。
【0083】
ステップ200では、発車案内を画面表示及び音声放送するのに必要なデータ群を読み出す。このデータ読み出しとしては、例えばフォルダ77,78からの画像や動画の各種ファイルFto,Fkoの読み出しと、音声放送ファイル格納フォルダ77からの通常音声放送データファイルFtoの読み出しとがある。
【0084】
ステップ201では、読み出した発車案内用の各種データを用い、右ディスプレイ31に図13に示す発車案内通知画面70を表示するとともに、車内向け案内として「発車します。ご注意下さい。」という発車案内放送を車内スピーカ28で音声放送する。
【0085】
ステップ202では、発車案内の画面表示及び音声放送を実行してからの経過時間が所定時間を経過したか否かを判定する。ここで、この経過時間が所定時間を経過していなければステップ201に戻って発車案内通知を継続し、この経過時間が所定時間を経過していればステップ105に移行して広告通知を再実行する。
【0086】
ステップ203では、図12に示すように、左右のディスプレイ30,31の両方に亘って運賃表62が表示された運賃表示画面63を画面表示する。このとき、車内スピーカ28からは、車外スピーカ29による音声放送に加え、車内では画面の文字列に対応して例えば「毎度、ご乗車ありがとうございます。」という音声放送が行われる。
【0087】
ステップ204では、運賃表示画面63の表示時に、扉閉信号Rdcを入力したか否かを判定する。運賃表示画面63の表示時に扉閉信号Rdcを入力していなければステップ203に戻ってこの画面表示を継続し、運賃表示画面63の表示時に扉閉信号Rdcを入力していればステップ200に移行して発車案内の通知を実行する。
【0088】
従って、本例の車載機器システム2においては、運賃表示が可能な運賃表示装置に音声放送機能を一体に組み付けた音声放送機能付き運賃表示装置3を使用することにより、乗客への運賃表示と乗客への音声放送とを1つの装置により行うようにした。このため、この種の運賃表示機能と音声放送機能とで各々別々の部品を用意する必要がなくなるので、車載機器システム2に要する部品点数を少なく抑えることが可能となる。また、このように部品点数が少なくなれば、車載機器システム2を車両に組み付ける際に必要となる組付部品の点数も少なくなるので、この組付作業を楽なものとすることが可能となる。
【0089】
また、本例の音声放送機能付き運賃表示装置3においては、外部メモリ35に格納された表示データDpiや音声データDspを無線通信で書き換える無線通信式データ書換機能を設けてもよい。この無線通信式データ書換機能を説明すると、図6及び図20に示すように、音声放送機能付き運賃表示装置3には、例えばIEEE802.11に準拠した無線通信を行う無線LAN通信機79aが搭載されている。この無線LAN通信機79aは、制御ボード部40に設けられた無線通信LAN接続端子40a(図6参照)に接続されている。
【0090】
一方、新規の表示データDpiや音声データDspは、パーソナルコンピュータ80を使用することによって作成され、このパーソナルコンピュータ80の記憶領域に書き込み保存されている。パーソナルコンピュータ80は、キーボードやマウス等の入力装置で新規データの無線発信操作が行われると、この新規データをパーソナルコンピュータ80に接続された無線LAN通信機79bから音声放送機能付き運賃表示装置3に発信する。音声放送機能付き運賃表示装置3のCPU46は、無線LAN通信機79aで新規データを受信したことを認識すると、この新規データを外部メモリ35に上書き登録する。
【0091】
この場合、外部メモリ35に登録された表示データDpiや音声データDspは、無線LAN通信によって自動で新しいものに書き換え可能となる。よって、外部メモリ35に登録された表示データDpiや音声データDspを新しいものに変更するに際して、例えば外部メモリ35を新規のものに交換したり、或いは外部メモリ35を取り外してこれをパーソナルコンピュータ80に接続して新規データを上書きし、データ上書き後の外部メモリ35を音声放送機能付き運賃表示装置3に再取り付けする作業を行ったりする作業が不要となるので、簡単な作業でデータ更新を行うことが可能となる。
【0092】
また、外部メモリ35に格納する表示データDpi及び音声データDspは、図21に示すように、これらデータDpi,Dspを編集可能なアプリケーションとしてパーソナルコンピュータ80のメモリ領域80aにインストールされたデータ編集ソフトSstを使用して編集可能である。このデータ編集ソフトSstは、表示データDpi及び音声データDspの書き換え用に内製されたソフト(アプリケーション)であって、外部メモリ35に登録された運賃表、停留所名、写真、絵、画面表示切り換わり形態、音声放送内容、音声放送の切り換わり形態等を編集可能である。
【0093】
このデータ編集ソフトSstには、音声合成のデモンストレーション機能が設けられている。このデモンストレーション機能では、データ編集ソフトで合成音声の機能を実行し、その機能において文字を入力するとともに、その文字列におけるアクセント、アクセント区切り、フレーズ区切り、フレーズ高さ、フレーズ早さ等を編集する。そして、これら項目の編集が収容した後、発音を実行して実際の合成音声を確認し、好適な合成音声となるまで編集作業を繰り返し、好適な合成音声をとったならばこの音声データDspをパーソナルコンピュータ80のメモリ領域80aに登録しておき、必要となった場合には外部メモリ35に新規登録する。なお、パーソナルコンピュータ80が編集端末に相当する。
【0094】
従って、本例においては、表示データDpiや音声データDspを自らによって編集可能なデータ編集ソフトSstを設けたので、外部メモリ35に登録する表示データDpiや音声データDspを自由に変更することが可能となる。また、このデータ編集ソフトSstには、合成音声のデモンストレーション機能が設けられているので、このデータ編集ソフトSst上で実際に音声データDspを音声出力して、自作した音声データDspの発音を確認することが可能となる。よって、音声データDspを自作するに際して、発音に違和感のない好適な音声データDspを作成することが可能となる。
【0095】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)車載機器システム2で運賃表示及び音声放送を行う装置として、音声放送機能が一体に組み込まれた音声放送機能付き運賃表示装置3を使用する。このため、これら運賃表示機能と音声放送機能とで各々別々の部品として用意する必要がないので、車載機器システム2に必要となる部品点数を少なく抑えることができる。
【0096】
(2)音声放送機能付き運賃表示装置3のディスプレイ30,31で画面表示される各種画面と、音声放送機能付き運賃表示装置3のスピーカ28,29で音声出力される音声放送とが連動出力するように、これら出力に同期がとられている。このため、乗客に対する各種通知を画面表示及び音声放送の両方を絡ませた方式で行うことが可能となるので、この種の通知を機能性に富んだものとすることができる。
【0097】
(3)音声放送機能付き運賃表示装置3の筐体32に対して着脱可能な外部メモリ35に、音声放送機能付き運賃表示装置3で各種画面表示を行う際に必要となる表示データDpiや、音声法政を行う際に必要となる音声データDspを書き込んでいる。このため、例えば表示データDpiや音声データDspを新規のデータに変更する場合には、外部メモリ35を第2接続コネクタ38から取り外しつつこの外部メモリ35に新たなデータ群を登録し、データ新規登録後の外部メモリ35を第2接続コネクタ38に再接続するというデータ更新作業を経ることになる。よって、例えば基板直付けのメモリに新規データを書き込むという煩わしい作業を経ずに、表示データDpiや音声データDspのデータ更新を行うことができる。また、新規データが書き込まれた外部メモリを付け替えるという簡単な作業によってもデータ変更を行うことができる。
【0098】
(4)表示データDpiや音声データDspが格納された外部メモリ35を第2接続コネクタ38(音声放送機能付き運賃表示装置3)に接続したその接続状態で使用し、音声放送機能付き運賃表示装置3で画面表示や音声放送を行う際には、外部メモリ35から必要なデータを逐次読み取るデータ処理形式をとっている。ところで、例えば音声放送機能付き運賃表示装置3の基板に直付けされたメモリにこの種のデータを登録する場合、書き換え時にはメモリへの新規データ注入の作業が必要となるが、この時はデータ注入が完了するまでその場から離れることができず、この作業に煩わしさを感じる問題がある。しかし、本例の場合は外部メモリ35を第2接続コネクタ38に接続した状態が使用状態となるので、データ変更時にデータ注入完了を待つ必要がなく、煩わしさを感じない作業でデータ変更を行うことができる。
【0099】
(5)外部メモリ35には、表示データDpiと音声データDspとの両方が登録されているので、これら両方のデータを簡素な作業で書き換えることができる。
(6)外部メモリ35に格納された表示データDpi及び音声データDspは、車両1が停車する各々の停留所においてどのような画面表示及び音声放送を行うのかを表形式にまとめた格納形式(即ち、運行データファイルFuk)をとっている。よって、外部メモリ35に登録されたデータDpi,Dspのデータ列を見て、どの停留所でどの画面表示及び音声放送が行われるのかを確認した際に、この確認作業を簡単に行うことができる。
【0100】
(7)音声放送機能付き運賃表示装置3に無線通信式データ書換機能を設けた場合、外部メモリ35に登録された表示データDpiや音声データDspは無線通信によって書き換え可能となる。よって、外部メモリ35に格納された各種データ群を変更する際に、外部メモリ35を筐体32から取り外すなどの作業が不要となるので、一層簡単な作業でデータ変更を行うことができる。
【0101】
(8)表示データDpiや音声データDspを自らによって編集可能なデータ編集ソフトSstを設けた場合、外部メモリ35に登録する表示データDpiや音声データDspを自由に変更することが可能となるので、音声放送機能付き運賃表示装置3で画面表示したり音声放送したりする内容をバリエーションに富んだものとすることができ、ユーザ満足度を充分に満たすことができる。
【0102】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・ ディスプレイ30,31に表示する文字列の文字間隔(画面幅方向)は、必ずしも一定に限らず、表示枠内において画面幅方向に均等配置してもよい。即ち、文字数が少ない停名の場合には隣通しの文字間隔が大きく表示され、文字数が多い停名の場合には文字間隔が詰められて文字列表示される。
【0103】
・ 車内スピーカ28及び車外スピーカ29のどちらから音を出すかの音声内外切り換えは、必ずしも一方をオンとして他方をオフとすることに限らず、音声出力したくない側の音量ボリュームを絞ることで、音声の内外切り換えを行ってもよい。
【0104】
・ 扉閉時の車内における案内放送中はこの案内放送を優先して、広告放送を行わないようにしてもよい。また、扉開時は法規放送を確実に行うべく、広告放送を行わないようにしてもよい。
【0105】
・ 案内画面表示は、必ずしも右ディスプレイ31のみで行われることに限らず、左ディスプレイ30で行ってもよい。
・ 外部メモリ35に表示データDpi及び音声データDspを格納する際、これらデータ群を暗号化して外部メモリ35に登録してもよい。この場合、外部メモリ35が第三者によって盗難に遭ったとしても、外部メモリ35内に書き込まれたデータ内容を読み取られずに済む。
【0106】
・ 外部記憶手段は、外付けメモリの場合、これは必ずしもUSBメモリに限らず、例えばメモリーカード等の種々のメモリ機器が採用可能である。また、外部記憶手段は、必ずしも外付けメモリに限定されず、例えば音声放送機能付き運賃表示装置3に内蔵された基板に実装された直付けメモリでもよい。
【0107】
・ データを無線で書き換える際に使用する無線通信は、必ずしも無線LANに限定されず、種々の無線通信方式が採用可能であることは言うまでもない。
・ ディスプレイ30,31の画面表示と、スピーカ28,29による音声放送は、必ずしも連動することに限らず、この種の連動機能を持っていなくてもよい。
【0108】
・ 音声放送機能付き運賃表示装置3で画面表示と音声放送とを連動させる場合、これらがずれなく連動するように補正機能を追加してもよい。
・ 系統操作盤15は、必ずしも音声放送機能付き運賃表示装置3と別体であることに限定されず、例えば音声放送機能付き運賃表示装置3に一体に組み付けられてもよい。
【0109】
・ ディスプレイ30,31に表示される各種画面や、スピーカ28,29で音声出力される音声放送は、使用形態に合わせて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0110】
1…車両、3…音声放送機能付き運賃表示装置、30,31…表示画面としてのディスプレイ、32…装置本体としての筐体、35…外部記憶手段(記憶手段)としての外部メモリ、46…運賃表示機能、音声放送機能、連動手段、無線通信式書換手段を構成するCPU、62…運賃表、80…編集端末としてのパーソナルコンピュータ、Dpr…運賃表示機能、音声放送機能、連動手段、無線通信式書換手段を構成する制御プログラム、Dpi…表示データ、Dsp…音声データ、Sst…データ編集ソフト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗車時に要する運賃を乗客に通知すべく表示画面に該運賃を表示する運賃表示機能を備えた音声放送機能付き運賃表示装置において、
車内に音声放送を行う音声放送機能を一体に備えたことを特徴とする音声放送機能付き運賃表示装置。
【請求項2】
前記音声放送機能は、
前記表示画面への画面表示と前記音声放送とを連動させる連動手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の音声放送機能付き運賃表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−223333(P2009−223333A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149932(P2009−149932)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【分割の表示】特願2007−284059(P2007−284059)の分割
【原出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)