説明

音声画像記録装置、及びプログラム

【課題】バッテリー残量に応じて、所定時間の音声記録を確保しつつその間適切なタイミングで画像の記録ができる音声画像記録装置を提供する。
【解決手段】バッテリーより電力供給がされる音声画像記録装置1において、音声記録を行う音声ユニット30と、撮影画像の記録を行う画像ユニット20と、上記バッテリーの残量を検出するバッテリー残量検出部14と、上記音声ユニット及び上記画像ユニットを制御して、音声画像の記録を制御する記録制御部111を備え、上記記録制御部は、上記音声については記録開始指示に応じて連続的に記録するように上記音声ユニットを制御し、上記画像については、上記音声記録期間中に上記バッテリー残量に応じて所定のタイミングで間欠的に画像記録するよう上記画像ユニットを制御し、当該所定のタイミングで画像記録をする期間以外の期間は、当該画像ユニットの少なくとも一部の動作を停止させるよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー残量に応じて音声と画像を必要な時間記録する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、撮影ユニットは音声記録ユニットに比べサイズが大きくあるいは価格も高いので、会議や講演会用の記録には、音声記録装置が専ら用いられてきた。むろん、会議等であっても、画像が同時に記録されれば、会議の様子も再現でき、後の再生時にもいろいろ便利であるとは考えられていた。最近は、撮影ユニットもかなり小型化され低価格になってきたので、撮影機能が付いた音声記録装置(音声画像記録装置)が適当な価格で発売されるようになり、その人気も高まっている。また、画像撮影ができることで、音楽演奏の記録等の新たな分野での利用も広がっている。
【0003】
一方、このような記録装置では、会議や講演会のような1回限りのイベントで使用されることが多いので、バッテリーが最後まで途切れる事無く記録されることが要求される。その点で、通常のビデオムービーとは、要求が異なる。
【0004】
バッテリーを効率的に使用することについては、以下のような提案がある。例えば、バッテリー電圧が規定以下になったことを検知すると、省電力モードに切換えるデジタルカメラが提案されている(特許文献1)。また、通常モードで再生するとコンテンツの全部が再生できないと予想され場合には、省電力モードでの動作制御を行って、選択されたコンテンツを最後まで再生できるようにする再生装置が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−245195号公報
【特許文献2】特開2008−311712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像記録に要する電力は音声記録に比べてかなり大きいので、従来の音声のみの記録に比べて、音声に加えて長時間画像記録をすると、かなりバッテリー寿命が短くなるおそれがある。
【0007】
しかし、バッテリーが持たないおそれがあるという理由でせっかくの撮影機能が十分に活用されないので意味がないし、とはいえ、撮影者が細かくマニュアル撮影指示するのでは、手間がかかりすぎて、現実的でない。そこで、バッテリー残量に応じて、適当なタイミングで画像記録が行われるような音声画像記録装置が求められる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、バッテリー残量に応じて、所定時間の音声記録を確保しつつその間適切なタイミングで画像の記録がなされる音声画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る音声画像記録装置は、バッテリーより電力供給がされる音声画像記録装置において、音声記録を行う音声ユニットと、撮影画像の記録を行う画像ユニットと、上記バッテリーの残量を検出するバッテリー残量検出部と、上記音声ユニット及び上記画像ユニットを制御して、音声画像の記録を制御する記録制御部を備え、
上記記録制御部は、上記音声については記録開始指示に応じて連続的に記録するように上記音声ユニットを制御し、上記画像については、上記音声記録期間中に上記バッテリー残量に応じて所定のタイミングで間欠的に画像記録するよう上記画像ユニットを制御し、当該所定のタイミングで画像記録をする期間以外の期間は、当該画像ユニットの少なくとも一部の動作を停止させるよう制御するものである。
【0010】
かかる発明では、音声についは連続的に記録する一方、画像については、バッテリー残量に応じて、要所の画像だけを間欠的に記録し、画像記録時間以外は画像記録に係る処理部の動作を停止させて、電力消費を制限するようにした。これにより、会議等の記録の時間が確保される。さらに、要所の画像が自動的に記録されるので、単に画像記録をしないで音声だけの記録に比べて、記録としての価値が高まる。また、画像記録操作をマニュアルで行わなくても、要所の画像が適切に記録されるので、会議等に集中することができる。また、要所の画像を記録することで、間欠的な画像であっても、会議等の雰囲気や重要な部分が記録される。
【0011】
第2の発明は、第1の発明に係る音声画像記録装置において、上記記録制御部は、上記所定のタイミングとして、一定の時間間隔で、上記画像を記録するよう制御するものである。かかる発明によれば、会議等の人員や雰囲気は、十分に伝えられる。
【0012】
第3の発明は、第1の発明に係る音声画像記録装置において、音量を検出する音量検出部を備え、上記記録制御部は、上記所定のタイミングとして、上記音量検出部によって所定以上の音量変化が検出された場合に、上記画像記録を開始するよう制御するものである。かかる発明によれば、会議等で議論が活発に行われた時点の画像を記録することができる。
【0013】
第4の発明は、第3の発明に係る音声画像記録装置において、上記記録制御部は、上記所定のタイミングによる上記画像記録の開始後、一定時間画像を記録するよう制御するものである。かかる発明によれば、一定時間のみ記録することで、電力を節約することができる。
【0014】
第5の発明は、第1の発明に係る音声画像記録装置において、音量を検出する音量検出部を備え、上記記録制御部は、上記所定のタイミングとして、上記音量検出部によって所定以上の音量が検出された場合に、上記画像記録を開始するよう制御するものである。かかる発明によれば、会議等で議論が活発に行われた期間中の画像を記録することができる。
【0015】
第6の発明は、第1の発明に係る音声画像記録装置において、上記記録制御部は、上記画像として静止画像を記録するよう制御するものである。
【0016】
第7の発明は、第1の発明に係る音声画像記録装置において、上記記録制御部は、上記検出されたバッテリー残量が少ない場合には、バッテリー残量が多い場合に比べて、上記画像記録の時間をより短くするように、上記記録開始時に、上記所定のタイミングによる記録時間の内容を設定するものである。
【0017】
第8の発明は、第1の発明に係る音声画像記録装置において、少なくとも上記音声ユニット及び上記画像ユニットに、上記バッテリーに基づく電力の供給を制御する電源制御部と、
上記記録制御部は、上記電源制御部を制御して上記画像ユニットの当該少なくとも一部への電力供給を停止することで、上記動作の停止を行うものである。
【0018】
第9の発明は、第1の発明に係る音声画像記録装置において、上記記録制御部は、上記画像ユニットの当該少なくとも一部を非動作状態にすることで、上記動作の停止を行うものである。
【0019】
第10の発明は、第1の発明に係る音声画像記録装置において、上記記録制御部は、上記所定のタイミングとして、当該所定のタイミングの内容を異ならせた種類を複数用意し、入力された記録要求時間の最後まで上記記録を行うことができるように、記録開始指示時に、検出されたバッテリー残量に応じて、上記用意された中から1つの種類を設定するものである。
【0020】
第11の発明は、第10の発明に係る音声画像記録装置において、上記記録制御部は、上記記録開始指示後に、上記バッテリー残量検出部にバッテリー残量の検出を行なわせ、当該検出されたバッテリー残量により上記入力された記録要求時間の最後まで、上記記録開始指示時に設定されたタイミングの種類では記録できないと判断された場合には、当該タイミングの種類を変更するものである。
【0021】
第12の発明は、第10の発明に係る音声画像記録装置において、画像を表示する画像表示部を制御する表示制御部を備え、上記記録制御部は、上記タイミングの種類に応じて、上記所定のタイミングにおける画像記録中においてもライブビュー画像を表示しないように上記表示制御部を制御するものである。
【0022】
第13発明に係る音声画像記録装置は、連続して音声を記録するよう制御する音声記録部と、画像を記録する画像記録部と、上記音声の音量を検出する音量検出部と、上記音声は連続的に記録し、上記画像については、音声が大きいタイミングで、一定時間で間欠的に記録するよう、上記音声記録部と上記画像記録部を制御する記録制御部とを備える、ものである。
【0023】
第14の発明に係るプログラムは、バッテリーより電力供給がされる音声画像記録装置のコンピュータを動作させるプログラムにおいて、記録開始時にバッテリー残量を検出するステップと、記録開始指示に応じて、音声を連続的に記録するステップと、上記音声記録期間中に、上記検出されたバッテリー残量に応じた所定のタイミングで、画像を記録するためのユニットの動作を開始させて、画像を間欠的に記録するステップと、上記画像記録開始後に上記所定のタイミングにより画像の記録を終了させ、あわせて画像を記録するためのユニットの少なくとも一部の動作を停止させるステップを備えるものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、バッテリー残量に応じて、所定時間の音声記録を確保しつつその間適切なタイミングで画像の記録ができる音声画像記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、一実施形態における音声画像記録装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、装置1の省電力モードにおいて、音声及び画像が記録される動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図3】図3は、装置1の省電力モードにおいて、音声及び画像が記録される動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図4】図4は, 装置1の省電力モードにおける処理内容を示すメインのフローチャートである。
【図5】図5は、省電力モードのサブルーチンの処理内容を示すフローチャートである。
【図6】図6は、省電力モードのサブルーチンの処理内容を示すフローチャートである。
【図7】図7は、用意されている省電力モードの種類とその内容の1例を示す表である。
【図8】図8は、データベースとして格納されている予想記録時間テーブルの1例を示す表である。
【図9】図9は、記録途中で、省電力モードの種類(タイプ)を変更する例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、一実施形態における音声画像記録装置1の構成を示すブロック図である。音声画像記録装置1(以下 装置1と、略す場合有り)は、制御部(CPU)11、電源部15、バッテリー16、SDRAM17、記憶部18、バスライン19、画像ユニット20及び音声ユニット30を備える。
【0027】
制御部11は、音声画像記録装置1の全体を制御する。制御部11には、プログラムデータ記憶部12、操作部13、残量検出部14が接続される。プログラムデータ記憶部12は、例えばフラッシュからなる不揮発性のメモリである。プログラムデータ記憶部12には、制御部11で読み込まれる装置の動作プログラムや 処理に使用される各種データが記憶される。各種データには、後述するバッテリーの残量時間算出用のテーブルやデータベース等が含まれる。
【0028】
操作部13は、再生や記録の動作モードの切換え、記録の開始や終了指示、あるいは省電力モードの種類の選択を行うため等の、各種操作部材を有する。操作部材は装置1の外観に備えられる。操作部13は、操作部材への使用者からの操作指示の内容を、制御部11に通知する。
【0029】
制御部11は、プログラムデータ記憶部12から動作プログラムを読み込んで、操作部13から入力される操作者からの指示に応じて、記録再生等の各種処理を実行する。制御部11は、本実施形態において、各種処理の一部として、画像と音声の記録の制御、後述する表示部12への表示制御、および電源制御を行う。そこで、記録制御に係る処理を記録制御部111、表示制御に係る処理を表示制御部112、電源制御に係る処理を電源制御部113というように、便宜上、各種処理を機能部として表現する。また、制御部11は、タイマーを内蔵する。
【0030】
記録制御部111は、音声ユニット30、上記画像ユニット20及び電源制御部113を制御して、音声画像の記録を制御する。制御内容の詳細は、後述する。電源制御部113は、記録時には、記録制御部111からの指示に応じて、電源を制御する。
【0031】
残量検出部14は、電源部15でバッテリー16の電圧・電流等から、バッテリー残量を検出して、残量値を制御部11の記録制御部111に通知するものである。バッテリー16は、装置1の各部に必要な電力を供給するための電源である。バッテリー16は、マンガン電池からなる1次電池、あるいはリチウムイオンやニッケル水素電池からなる2次電池のいずれで構成されてもよい。また、バッテリー16は装置1に内蔵あるいは着脱可能のいずれでもよい。
【0032】
電源部15は、DC/DCコンバータを有し、バッテリー16からの電力の電圧を必要種類の電圧に変換して、装置1の各部に供給する。電源部15は、電源制御部113からの指示を受けて、動作モードに応じて各部に電力を供給する。
【0033】
SDRAM17は、電気的に書き換え可能な揮発性の一時記憶メモリである。SDRAM17は、撮影された画像データ及び入力された音声データの各種処理のための一時記憶用に用いられる。
【0034】
記憶部18は、ハードディスクあるいはフラッシュメモリからなり、撮影された画像および入力された音声データを保存する保存用のメモリである。バスライン19は、各部間でデータの受け渡しを行う。
【0035】
画像ユニット20は、装置1の中で、主に画像の記録/再生を行う部分である。画像ユニット20には、撮像部21、画像処理部22、画像圧縮伸長部23、画像記録部24、画像再生部25、表示ドライバー26、表示部27を、有する。
【0036】
撮像部21は、レンズや絞り等の光学部材、CCDやCMOSからなる撮像素子、及びAGC・CDS・AD変換部等撮像回路を有する。画像処理部22は、撮像部21で光電変換された画像データに対して、ホワイトバランス処理やガンマ補正や各種色補正等の画像処理を施すものである。
【0037】
画像圧縮伸長部23は、記録時には画像処理された撮影画像データにJPEGやMPEG等の圧縮処理を行い、再生時には、記憶部18から読み出された圧縮処理された画像データに対して逆に伸長処理を行うものである。
【0038】
画像記録部24は、JPEGやMPEG等の圧縮処理された画像データを記憶部18に記録する。画像再生部25は、再生モードにおいて、記憶部18に記録された画像データの読み出しを行う。
【0039】
表示ドライバー26は、表示部27を駆動するもので、撮影時にはライブビュー画像を表示部27に表示し、再生時には、記憶部18から再生された画像を表示部27に表示する。
表示部27は、LCDや有機ELからなる。表示部27には、上述したライブビュー画像や再生画像以外に、条件設定用にメニュー画面も表示される。
【0040】
音声ユニット30は、装置1の中で、主に音声の記録/再生を行うもの部分である。音声ユニットには、マイク31、音声処理部32、音声圧縮伸長部33、音声記録部34、音声再生部35、イヤーホーン端子36が備えられる。
【0041】
マイク31は、話者の声や音楽の音を検出して、電気信号に変換するものである。音声処理部32は、マイク31から入力された音声を、増幅処理、雑音等の低減処理、及びA/D変換等して音声データ化するものである。音声処理部32は、音量検出部321を有する。音量検出部321は、マイク31から入力された音声の音量が所定以上のレベルであるか、あるいは、音量の変化が所定以上かを検出する。
【0042】
音声圧縮伸長部33は、記録時には音声処理部32から出力された音声データを圧縮処理し、再生時には記憶部18から再生された音声データを逆に伸長処理するものである。
【0043】
音声記録部34は、記録時に圧縮処理された音声データを記憶部18に記録する。音声再生部35は、再生時には記憶部18から音声データを読み出して、音声圧縮伸長部33により伸長された音声データをさらにD/A変換して出力する。イヤーホーン端子36は、音声再生部35に接続される。イヤーホーン端子36は音声再生部35から出力された音声信号をイヤーホーンでモニタするための接続用端子である。
【0044】
この音声画像記録装置1では、音声記録時には、記録制御部111が、上記音声ユニット30を制御し、マイク31で捕らえた音声を記憶部18に記録するよう制御する。また、画像記録時には、記録制御部111が、上記画像ユニット20を制御し、撮像部21による画像を記憶部18に記録するよう制御する。音声画像記録時には、これが組み合わさる。
【0045】
この音声画像記録装置1では、動作モードの1つとして、省電力モードが用意されている。
省電力モードとは、音声記録は連続で行い、画像撮影を連続的にではなく間欠的に行うようにして、バッテリー残量に応じて必要な時間確実に記録できるようにする動作モードである。画像記録時の画像ユニット20による消費電力は、音声記録時の音声ユニット30の消費電力に比べてかなり大きく、かつ画像記録は、用途によっては間欠的であっても十分に有効だからである。
【0046】
この省電力モードでは、記録制御部111は、音声については、記録開始指示により記録を開始し、終了指示があるまで、連続して記録を行うよう音声ユニット30を制御する。一方、画像については、記録制御部111は、上記バッテリー残量に応じて、上記音声記録期間中に、所定のタイミングで間欠的に記録するよう画像ユニット20を制御する。所定のタイミングは、制御部11内蔵のタイマーで計測された時間、あるいは音量検出部321により検出された音量レベルや音量変化に基づき、記録制御部111により決定される。
【0047】
そして、記録制御部111は、当該所定のタイミングで画像記録をする期間以外の期間は、当該画像ユニット20の少なくとも一部の動作を停止させて、その間、画像ユニット20による電力消費を抑える。
【0048】
具体的には、記録制御部111は、当該所定のタイミング以外では、画像ユニット20で停止される箇所への通電を停止するか、あるいは、当該回路を非動作状態に設定する(いわゆるチップイネーブルに設定)。いずれかあるいは併用によって、記録制御部111は、当該画像ユニット20の少なくとも一部の動作を停止させて、電力消費を抑える。なお、通電を停止させる方法を取る場合には、記録制御部111は、電源制御部113を制御する。
【0049】
動作を停止させる画像ユニット20は、画像ユニット20全体でなく、その一部であっても良い。例えば、動作の立ち上がりに時間のかからない回路、あるいは立ち上がり遅くても記録に影響しない部分、例えば、表示部27を停止させるようにしてもよい。逆に、撮像部21の撮像素子、レンズ系、あるいはAE/AF制御回路等については、停止させず、常時動作させるようにしてもよい。立ち上がりに時間がかかるからである。
【0050】
また、記録制御部111は、以下で詳述するが、省電力モードの種類を複数用意している。現在のバッテリー残量によって要請される記録時間が確保でき、かつなるべく長く画像記録ができるようにするためである。
【0051】
次に、この音声画像記録装置における省電力モードの具体的な内容を説明する。図2,3は、装置1の省電力モードにおいて、音声及び画像が記録される動作の一例を示すタイミングチャートである。また、図7は、用意されている省電力モードの種類とその内容を示す表である。省電力モードとして、省電力の度合いに応じて、複数の種類(A〜Eの5種)が用意されている。
【0052】
省電力モードでは、間欠的に撮影であっても適切な画像が記録できるように、その撮影タイミングは適切に設定されている必要がある。本例では、撮影するに相応しい撮影タイミングとして、「一定時間間隔のタイミング」、「所定以上の音量変化が検出されたタイミング」、「所定以上の音量が検出されたタイミング」の3つの異なる種類のタイミングを採用する。
【0053】
「一定時間間隔のタイミング」により記録された画像は、会議等の全体の流れを効率的に把握するのに有効だからである。「所定以上の音量変化が検出されたタイミング」及び「所定以上の音量が検出されたタイミング」により記録された画像は、会議等で議論が盛り上がった時点あるいは活発に会話がなされている期間の画像は記録しておきたい画像のはずだかである。
【0054】
以下で、「一定時間間隔のタイミング」を第1の画像記録タイミング、「所定以上の音量変化が検出されたタイミング」を第2の画像記録タイミング、「所定以上の音量が検出されたタイミング」を第3の画像記録タイミングとそれぞれ呼ぶ。
【0055】
図7は、省電力モードのA〜Fの6種のタイプの内容を表形式で示すものである。A〜Eの5種のタイプでは、この3つの全てあるいはいくつかを組み合わせ、かつ各タイミングでの撮影時間等や撮影画像の種類(動画/静止画)を異ならせている。省電力モードのAタイプが、最も電力を消費するタイプで、A→Fに従って消費電力が少なくなるように並ぶ。消費電力の削減レベルを変えた種類を選択可能にすることで、バッテリー残量や要請時間に応じた適切な省電力モードを設定することができる。そして、最後のタイプFは、音声記録のみで、画像記録を全くしないものである。
【0056】
図2と図7を合わせて説明する。図2は、省電力モードの3つのタイプ(A、B、C)における、具体的な画像記録のタイミングを示すチャートである。図2では、いずれも横軸が時間軸で、記録開始から記録終了までに対応している。画像の各記録タイミングは、記録制御部111の制御により、決定される。
【0057】
図2の一番上のチャートが、音声記録のタイミングを示すチャートである。音声記録は、操作者の開始指示の操作を受けて開始され、操作者の終了指示の操作を受けて終了するまで、連続して実行される。
【0058】
音声記録のチャートの下のチャートが、第1の画像記録タイミングを示すチャートである。
第1の画像記録は、一定時間間隔で画像を記録するものである。第1の画像記録タイミングとして、まず記録開始時に期間2tmだけ動画像記録がされ、その後記録開始時から一定時間間隔Ti毎に期間tmだけ動画像記録される。第1の画像記録タイミングによる記録期間をRmで示す。時間の測定は、制御部11のタイマーによって行われる。
【0059】
そして、タイプAが設定されている場合には、Ti=1分及びtm=5秒に設定されるので(図7参照)、最初は10秒動画像記録がされ、その後1分おきに5秒間動画像記録が行われる。タイプBが設定されている場合には、Ti=5分及びtm=5秒に設定されるので(図7)、最初は10秒動画像記録がされ、その後5分おきに5秒間動画像記録が行われる。タイプCは、第1の画像記録タイミングに関してはタイプBと同じである。
【0060】
第1の画像記録タイミングの下のチャートが、入力された音量の大小を表す音量カーブである。装置1にこのような音量カーブの音声が入力されたものとする。ここで、(L0〜L3)は、音量のレベルを表し、L0→L3に従い、入力された音量が大きいことを示す。音量の検出は、音量検出部321によって行われる。
【0061】
音量カーブの下のチャートが、第2及び第3の画像記録タイミングを示すチャートである。
第2の画像記録タイミングは、所定以上の音量変化が検出されたタイミングで画像記録を開始するもので、ここでは音量が大きくなる方向に変化したタイミング(L0→L1、L1→L2あるいはL2→L3)で、期間trだけ動画像が記録される。第1の画像記録タイミングによる記録期間をRtで示す。
【0062】
第2の画像記録タイミングとして、タイプAが設定されている場合には、tr=10秒に設定されているので(図7)、10秒間だけ動画像記録される。タイプBまたはCが設定されている場合には、tr=5秒に設定されているので、5秒間だけ動画像記録される。
【0063】
第3の画像記録タイミングは、所定以上の音量が検出されたタイミングで画像記録を開始するもので、音量カーブでL3に達している期間中、タイプA,Bでは、動画像記録される。第3の画像記録タイミングによる記録期間をRpで示す。タイプCでは、第3の画像記録タイミングは採用されない。
【0064】
上記第1〜3の画像記録タイミングによる各記録期間(Rm,Rt,Rp)を組み合わせたものが、タイプAの画像記録タイミングまたはタイプBの画像記録タイミングになる。
【0065】
第3の画像記録タイミングの下のチャートが、タイプA及びBの画像記録タイミングを示すチャートになる。タイプA、Bは、Tiとtrの具体的な数値が違うのみなので、煩雑さを避けるために、同じチャートで示す。
【0066】
次にライブビュー(Live View)画像の表示についてを説明する。省電力モードではない通常の画像記録時には、記録前は被写体確認用に、記録中は撮影内容の確認としてライブビュー画像が表示部27に表示される。このライブビュー画像表示のためには、表示部27を駆動するだけでなく、撮像部や画像処理も駆動させなければならず、少なからず電力が必要になるので、省電力モードでは、ライブビュー画像の表示も適宜制御する必要がある。
【0067】
図7のLV(Live View)の欄にタイプ別にライブビュー画像の表示の有無を示す。タイプA及びBでは、動画記録前のライブビュー表示は行わずに、動画像記録中にのみライブビュー表示(レックビューとも呼ばれる)を行うようにする。また、タイプC、D、E、Fでは、動画像記録中でも、ライブビュー画像の表示を行わないよう制御する。
【0068】
図3は、図2と同様のチャートで、タイプD及びEについての画像記録の具体的なタイミングを示すチャートである。タイプD、Eは、タイプA,B、Cに比べて、画像記録時間を短縮してより消費電力を削減する内容である。図3では上から順に、音声記録のタイミングを示すチャート、第1の画像記録タイミングを示すチャート、音量カーブを示すチャート、第2の画像記録タイミングを示すチャートであって、ここまでは図2と同様であるので、説明は省略する。
【0069】
第2の画像記録タイミングの下が、Dタイプの画像記録タイミングを示すチャートである。Dタイプでは、第1の画像記録タイミングのみを採用され、第2,3の画像記録タイミングは採用されない。つまり、Dタイプでは、開始最初に2tm期間動画像記録が行われ、その後記録開始時から一定時間間隔Ti毎に期間tmだけ動画像記録される。図7に示すように、最初に10秒動画像記録され、その後5分おきに5秒間動画像記録される。
【0070】
Eタイプは、電力節約のため、記録する画像を動画像から静止画像に変更したものである。
Eタイプでの記録のタイミングとしては、第1及び第2の画像記録タイミングに従い、一定時間間隔と、所定以上の音量変化(大きくなる方向での)が検出された場合に、静止画記録が行われる。図3のチャートでは、一定時間間隔による静止画像記録をSmで、所定以上の音量変化(大きくなる方向での)による静止画像記録をStで示す。なお、タイプFは、音声のみ記録するので、図2,3のチャートでは省略している。
【0071】
図4,5、6は、音声画像記録装置1の省電力モードにおける処理内容を示すフローチャートである。かかる処理は、制御部11、及びその中の記録制御部111、表示制御部112がプログラムを読み込んで、操作部13へ入力された操作者の指示に従って、実行することにより行われる。
【0072】
図4は、全体フローである。スタート後にまず動作モードが記録モードであるかを判断する(S11)。動作モードは、使用者からの操作部13への指示によって、記録モードか再生モードのいずれかに設定されている。記録モードでない場合(S11NO)、つまり再生モードであると判断すると、再生モードの処理を実行する(S12)。再生モードでは、記録された音声や画像が再生されるが、省電力モードではないので、説明は省略する。
【0073】
動作モードが記録モードであると判断すると(S11YES)、次に記録モードが音声のみ記録モードか音声画像記録モードかを判断する(S13)。記録モードが音声のみ記録モードであると判断すると(S13NO)、音声記録モードの処理を実行する(S14)。本実施形態では、音声記録モードでは、省電力動作を行わないので、音声記録モードの説明は省略する。
【0074】
動作モードが音声画像記録モードであると判断すると(S13YES)、さらに省電力モードであるかを判断する(S15)。ここでは、省電力モードとして、予め使用者が入力した記録希望時間(要求時間)で、音声記録が最低保証され、バッテリー残量に応じて画像撮影ができるだけ行われるように動作させる。省電力モードの設定は、使用者によって予め選択される。省電力モードではないと判断すると(S15NO)は、省電力モードではない通常の音声画像記録モードを実行する。通常の音声画像記録モードでは、音声とともに動画像も連続して記録する。このモードでは、画像ユニット20、音声ユニット30の両方に常時通電し動作させ、ライブビュー画像も常に表示するようにする。
【0075】
省電力モードであると判断すると(S15YES)、次に使用者から要求時間(記録予定時間)が入力されるのを待つ(S17)。例えば、1時間とか3時間である。要求時間はメニュー画面で選択させるようにしてもよい。要求時間が入力されたら(S17YES)、現時点でのバッテリー残量を検出する(S18)。
【0076】
入力された要求時間とバッテリー残量を比較して、現在のバッテリーによって入力された要求時間分記録できる省電力モードのタイプを選択する。バッテリー残量と当該残量により各タイプで動作可能な時間との関係は、予め計測されてデータベース化され、プログラムデータ記憶部12に格納されている。記録制御部111は、このデータベースに基づいて、適当な省電力モードでの各タイプを選択する。
【0077】
省電力モードでの各タイプの予想記録時間を算出する方法を簡単に説明する。第1の記録タイミングは、全記録時間がわかれば、画像記録される時間も一義的に算出される。一方、第2および第3の記録タイミングは、状況によって変化するものなので、予め取得しておいた一般的な会議に基づく頻度データを利用した、シュミレーションにより予想記録時間を算出する。
【0078】
この頻度データにおいて、全70分程度の会議であれば、第2の記録タイミングは例えば3分に1回程度あるとされる。これにより、第2の記録タイミングによる記録時間は、23×5=115秒程度と想定される。また、同様に、第3の記録タイミングは、全70分程度の会議であれば、15分で1分であるとされる。これにより、第3の記録タイミングによる記録時間は、全70分であれば、約5分と想定される。以上のように、第2、3の記録タイミングによる記録時間も予測して、全体としての予想記録時間を算出する。また、頻度データを利用した記録タイミングの予想パターンから、経過時間に応じたバッテリー残量を示す予想残量カーブを作成する。予想残量カーブについては、図9で説明する。なお、これら予想記録時間の算出や予想残量カーブの作成も、記録制御部111が実行する。
【0079】
図8は、データベースとして格納されている予想記録時間テーブルの1例を示す表である。一番上の欄が、基本となるバッテリー残量で、100%、80%、50%,20%の4つの値で代表する。記録動作モードとして、「音声画像フル記録モード」及び「省電力モード」に分ける。この表は、例えば、バッテリー残量が100%の場合には、音声画像フル記録モードであれば40分、省電力モードのAタイプであれば70分 それぞれ記録可能であることを示している。また、バッテリー残量が20%の場合には、音声画像フルモードであれば8分、省電力モードのCタイプであれば24分、Fタイプであれば48分、それぞれ記録可能であることを示している。
【0080】
図8で示すようなデータベースを参照して、音声画像フル記録モードで記録可能かを判断する(S19)。 音声画像フル記録モードで記録可能であると判断すると(S19YES)、音声画像フル記録モードの処理を実行する(S16)。バッテリーが十分であれば、省電力モードで、間欠的な画像記録をする必要がないからである。
【0081】
音声画像フル記録モードでは不可であると判断すると(S19NO)、次に省電力モードであれば記録可能かを判断する(S20)。省電力モードであれば記録可能であると判断すると(S20YES)、省電力モード処理を開始する(S21)。省電力モードであっても記録不可とを判断すると(S20NO)、記録不可を表示して(S22)、終了する。
【0082】
図5は、省電力モードの処理の内容を示すフローチャートである。まず、図8に示すようなデータベースを参照して、バッテリー残量と要求時間の関係に応じて、省電力モードの種類(タイプ)を設定する(S31)。省電力モードの種類の設定後は、記録開始の指示の有無を判断する(S32)。記録開始の指示として、操作部13からの指示を待つ。記録開始指示があったと判断すると(S32YES)、音声記録を開始する(S33)。
【0083】
次に、S31で設定された種類がタイプFであるかを判断する(S34)。音声のみ記録するタイプFを設定している場合には(S34YES)、画像記録は一切行なわずに、S48にジャンプする。
【0084】
設定した種類がタイプF以外の場合には(S34NO)、記録開始後、上述した第1から第3までの各記録タイミングを判断する。開始後一定時間が経過したか(第1の画像記録タイミング)(S35)、音量が大きく変化したか(第1の画像記録タイミング)(S36)、音量が所定以上のレベルか(第3の画像記録タイミング)(S37)を、それぞれ判断して各タイプに合わせて処理を行う。
【0085】
なお、この省電力モードでは、画像記録タイミングに合わせて、画像ユニット20の全てあるいは一部の動作の開始・停止を制御する。これは、動画撮影時のみでなく、静止画撮影時も同様である。画像記録を行わない期間は、画像ユニット20の全てあるいは一部の動作を停止させて、省電力を図るためである。なお、動作停止の手段としては、前述したように、当該部位へ通電の停止することや、当該部位を非動作状態にすることで行われる。
【0086】
まず、S35の第1の画像記録タイミングでは、図2,3で説明したように、開始後一定時間の経過時、及び開始直後の一定時間の場合も含めて(S35YES)、S38に進む。S38では、タイプがA〜Dのいずれであるかを判断する。タイプA〜Dの場合には、次にタイプAかBであるかを判断する(S39)。タイプAかBである場合には(S39YES)、動画像記録と同時のライブビュー表示も行い(S40)、動画像記録を行う(S41)。動画像記録開始時に、記録制御部111は、画像ユニット20への通電を開始するか、あるいは、当該回路を動作状態に設定する。
【0087】
それ以外、つまり、タイプCまたはDの場合には(S39NO)、ライブビュー表示を行わないで、動画像記録を行う(S41)。動画像の記録時間は、図7の表で示したように設定されたタイプに応じた期間行われる。
【0088】
動画像記録終了後は、記録制御部111は、画像ユニット20で停止される箇所への通電を停止するか、あるいは、当該回路を非動作状態に設定する(いわゆるチップイネーブルに設定)。電力消費を抑えるためである。
【0089】
S38で、タイプがA〜D以外である、つまり、タイプEであると判断した場合には(S38NO)、図7の表で示したように静止画記録を行う(S42)。画像ユニット20への通電の停止・供給等の制御は、動画像記録時と同様である。
【0090】
S35で開始後一定時間が経過していないと判断すると(S35NO)、音量が上がる方向に大きく変化した(第2の画像記録タイミング)かの判断を行う(S36)。音量検出部321による検出結果に基づき判断する。音量が上がる方向に大きく変化したと判断すると(S36YES)、タイプがA、B,Cいずれかであるかを判断し(S43)、タイプがA、B,Cいずれかである場合には(S43YES)、前述したS39〜S41に進む。S39〜S41の処理は前述の通りである。
【0091】
タイプがAまたはBの場合には、ライブビュー表示も行い(S40)、タイプがCの場合には、ライブビュー表示を行わない。ここでの動画像の記録時間も、図7の表で示したように設定されたタイプに応じた期間行われる。
【0092】
S43で、タイプがA、B,Cでないと判断すると、次に タイプがDであるかを判断する(S44)。タイプがDであると判断すると(S44YES)、静止画撮影を行う(S42)。タイプがDでない、つまりタイプがEであると判断すると(S44NO)、記録を実行しないで、S37に進む。また、S36で音量が上がる方向に大きく変化していないと判断すると(S36NO)、S37に進む。
【0093】
S37では、音量が所定以上のレベルか(第3の画像記録タイミング)を判断する。音量が所定以上のレベルと判断されると(S37YES)、タイプがAまたはBであるかを判断し(S45)、タイプがAかBであると判断すると(S45YES)、同時のライブビュー(LV)表示も行い(S46)、動画像記録を行う(S47)。タイプがAまたはBでないと判断すると(S45NO)、画像記録を行わずS48に進む。音量が所定以上のレベルでないと判断されると(S37NO)、同じくS48に進む。
【0094】
S48では、タイプの変更の必要性を判断し、必要であればタイプ変更処理を行う。図6は、タイプの変更のサブルーチンを示すフローチャートである。ここでは、記録開始時に設定した省電力のタイプによって要求時間の最後まで記録できるかを、記録中に随時バッテリーの残量をチェックして、バッテリーの残量の低下が予定通りかによって判断する。そして、予定よりバッテリーの残量の低下が大きい場合には、省電力のタイプをより画像記録時間の少ないタイプに変更するようにして、要求時間の記録を確保するようにする。バッテリーの残量はその性格上、厳密な低下予想は難しく、予測がずれる場合もあるからである。また、データベースで予測した第2、3の記録タイミングによる画像記録時間は、あくまで予測値にすぎないので、実際の第2、3の記録タイミングによる記録時間が、この予測値から乖離する可能性は少なくないからである。
【0095】
まず、一定時間おきにバッテリー残量を検出するために、前回バッテリー残量を検出した時点から一定時間経過したかを判断する(S61)。一定時間は、例えば5分である。一定時間経過していないと判断すると(S61NO)、図5のS49に進む。一定時間経過したと判断すると(S61YES)、バッテリー残量を検出する(S62)。検出したバッテリー残量に基づき、現タイプ(種類)で、記録可能な時間を算出する(S63)。
【0096】
算出した記録可能な時間に基づき、現在の残量で要求時間まで記録可能かを判断する(S64)。現在の残量で要求時間まで記録可能と判断すると(S64YES)、タイプの変更は不要なので、図5のS49に戻る。
【0097】
一方、現在の残量で要求時間まで記録可能でない判断すると(S64NO)、要求時間まで記録可能な省電力モードの種類(タイプ)を判断し、そのタイプに省電力モードの種類(タイプ)を変更する(S65)。タイプの変更後は、図5のS49に戻る。
【0098】
図9は、図6で示した、記録途中で、省電力モードの種類(タイプ)を変更する具体例を説明する図である。この例は、記録途中でバッテリー残量が予想以上に低下したため、省電力のタイプを1段階変更した(タイプB→タイプC)例である。ここで、Y軸をバッテリー残量、X軸を記録経過時間として、バッテリー残量が時間経過とともに低下するカーブを示している。
【0099】
まず、記録開始時にバッテリー残量が80%あり、要求時間が70分とされたとし、記録開始時にタイプBが設定されたものとする。そして、この条件による予想される残量カーブが、「初期の予想残量カーブ(タイプB)」(実線)である。予想残量カーブの作成については、図8での予想記録時間の算出で説明したと同様である。
【0100】
そして、30分経過時点で測定された実際のバッテリー残量値であるPが、初期に予測された30分後の残量値であるQよりも低下したとする。この場合に、Pを基準にBタイプによる新たな予想残量カーブを作成する。この新たな予想残量カーブが、1点鎖線で示す「30分経過後の予想残量カーブ」である。この「30分経過後の予想残量カーブ」がX軸と交差する点(65分前後)が、予想される最大の時間であるが、当初の要求である70分に達しないので、タイプを変更する必要があることがわかる。ここで、タイプCによる残量が、破線で示す「タイプCによる予想残量カーブ」であるとすると、70分経過時に、バッテリー残量が0以上になる。これにより、30分経過時に、タイプBをタイプCに変更することで、要請時間分記録することが可能になる。
【0101】
図5に戻る。S48でタイプの変更処理後は、終了指示の有無を判断する(S49)。操作部13による終了指示がないと判断すると(S49NO)、S35に戻る。終了指示があったと判断すると(S49YES)、音声記録を終了する(S50)。なお、画像記録中であった場合には、その画像記録も終了する。記録終了後は、図4に戻り、記録処理を終了する。
【0102】
以上のように、電力消費が相対的に大きい画像を音声とともに記録する装置であっても、画像を適切なタイミングで間欠的に記録するようにし、記録期間以外では、画像記録系の全部または一部の機能を停止して、バッテリーの消費を抑えるようにしたので、長時間の記録が可能になる。
【0103】
また、画像の記録タイミングとして複数の種類用意したので、間欠撮影であっても、的確な画像を記録できる。その画像の記録タイミングの1つとして、一定時間ごとのタイミングを採用したので、定期的な画像を記録することができる。また、その画像の記録タイミングの1つとして、音声の変化や音量を利用するので、より適切な画像を撮影できる可能性を高くすることができる。
【0104】
また、記録される画像の合計時間の長短によって、省電力の節約レベルを変えた種類(タイプ)を用意したので、場面に応じて適当なタイプを選択することができる。また、使用者から指定された記録要求時間とバッテリー残量に応じて、省電力の種類が設定されるので、間欠記録であっても、画像記録の合計時間を可能な限り長くすることができる。
【0105】
また、省電力モードでの記録途中でも、バッテリー残量をチェックして最後まで記録できるかを予測確認し、最後まで記録できるように省電力モードの種類を適宜変更するので、バッテリーの状態が不安定な場合や途中の状況が変わった場合でも、記録が途切れてしまうおそれがない。
【0106】
また、画像記録しない期間であっても、画像記録の立ち上がりに影響する部分へは通電を行うことで、画像記録の立ち上がりを確保することができる。また、場合によっては、動画に代えて静止画を記録するようにするので、より省電力を達成することができる。
【0107】
なお、バッテリー残量は周囲温度によっても動作が左右されるので、装置に温度計を備え、温度のパラメータを加味して、より予測精度を高めるようにしてもよい。また、図7で示す記録時間の数値は、単なる1例であって、変更可能である。使用者が画面で設定できるようにしてもよい。
【0108】
また、第2の記録タイミングの説明では、音量が上がる方向に大きく変化した時点をとらえるとしたが、小さくなる方への変化時点があった場合でも、記録開始をするようにしてもよい。
【0109】
また、省電力モードで、要請時間とバッテリー残量に応じて省電力のいずれかのタイプが自動的に選択されて実行されるよう説明したが、これに限らず、使用者が自ら省電力モードのタイプをメニュー画面等で選択して、実行させるようにしてもよい。
【0110】
また、バッテリー消耗が予定より大きい場合に、より低消費電力のタイプに変更する処理を説明したが、逆に、バッテリーの消耗が予定より小さい場合に、消費電力の大きいタイプに変更するようにしてもよい(例えば、C→B,B→A)。
【0111】
なお、以上の実施形態においては、記録制御部111がプログラムデータ記憶部12に格納されたプログラムを読み出して実行することで、上記フローチャートが処理されるので、制御用プログラムも本発明となる。あわせて、このような制御用プログラムが記録された記録媒体も本発明となる。プログラムを格納する記録媒体としては、フラッシュメモリに限定されるものではなく、CD−ROM、DVD−ROM等の光学記録媒体、MD等の磁気記録媒体、テープ媒体、ICカードなどの半導体メモリであってもよい。そして、かかる処理は、ソフトウェア処理に限るものではなく、ソフトウェア処理とハードウェア処理の組み合わせで、実現してもよい。
【0112】
また、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0113】
1…音声画像記録装置、11…制御部、12…プログラムデータ記憶部、13…操作部、14…残量検出部、15…電源部、16…バッテリー、17…SDRAM、18…記憶部、
19…バスライン、20…画像ユニット、21…撮像部、22…画像処理部、23…画像圧縮伸長部、24…画像記録部、25…画像再生部、26…表示ドライバー部、27…表示部、
30…音声ユニット、31…マイク、32…音声処理部、33…音声圧縮伸長部、34…音声記録部、35…音声再生部、36…イヤホーン端子、111…記録制御部、112…表示制御部、113…電源制御部、321…音量検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーより電力供給がされる音声画像記録装置において、
音声記録を行う音声ユニットと、
撮影画像の記録を行う画像ユニットと、
上記バッテリーの残量を検出するバッテリー残量検出部と、
上記音声ユニット及び上記画像ユニットを制御して、音声画像の記録を制御する記録制御部を備え、
上記記録制御部は、上記音声については記録開始指示に応じて連続的に記録するように上記音声ユニットを制御し、上記画像については、上記音声記録期間中に上記バッテリー残量に応じて所定のタイミングで間欠的に画像記録するよう上記画像ユニットを制御し、当該所定のタイミングで画像記録をする期間以外の期間は、当該画像ユニットの少なくとも一部の動作を停止させるよう制御する
ことを特徴とする音声画像記録装置。
【請求項2】
上記記録制御部は、上記所定のタイミングとして、一定の時間間隔で、上記画像を記録するよう制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の音声画像記録装置。
【請求項3】
音量を検出する音量検出部を備え、
上記記録制御部は、上記所定のタイミングとして、上記音量検出部によって所定以上の音量変化が検出された場合に、上記画像記録を開始するよう制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の音声画像記録装置。
【請求項4】
上記記録制御部は、上記所定のタイミングによる上記画像記録の開始後、一定時間画像を記録するよう制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の音声画像記録装置。
【請求項5】
音量を検出する音量検出部を備え、
上記記録制御部は、上記所定のタイミングとして、上記音量検出部によって所定以上の音量が検出された場合に、上記画像記録を開始するよう制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の音声画像記録装置。
【請求項6】
上記記録制御部は、上記画像として静止画像を記録するよう制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の音声画像記録装置。
【請求項7】
上記記録制御部は、上記検出されたバッテリー残量が少ない場合には、バッテリー残量が多い場合に比べて、上記画像記録の時間をより短くするように、上記記録開始時に、上記所定のタイミングによる記録時間の内容を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の音声画像記録装置。
【請求項8】
少なくとも上記音声ユニット及び上記画像ユニットに、上記バッテリーに基づく電力の供給を制御する電源制御部と、
上記記録制御部は、上記電源制御部を制御して上記画像ユニットの当該少なくとも一部への電力供給を停止することで、上記動作の停止を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の音声画像記録装置。
【請求項9】
上記記録制御部は、上記画像ユニットの当該少なくとも一部を非動作状態にすることで、上記動作の停止を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の音声画像記録装置。
【請求項10】
上記記録制御部は、上記所定のタイミングとして、当該所定のタイミングの内容を異ならせた種類を複数用意し、入力された記録要求時間の最後まで上記記録を行うことができるように、記録開始指示時に、検出されたバッテリー残量に応じて、上記用意された中から1つの種類を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の音声画像記録装置。
【請求項11】
上記記録制御部は、上記記録開始指示後に、上記バッテリー残量検出部にバッテリー残量の検出を行なわせ、当該検出されたバッテリー残量により上記入力された記録要求時間の最後まで、上記記録開始指示時に設定されたタイミングの種類では記録できないと判断された場合には、当該タイミングの種類を変更する
ことを特徴とする請求項10に記載の音声画像記録装置。
【請求項12】
画像を表示する画像表示部を制御する表示制御部を備え、
上記記録制御部は、上記タイミングの種類に応じて、上記所定のタイミングにおける画像記録中においてもライブビュー画像を表示しないように上記表示制御部を制御する
ことを特徴とする請求項10に記載の音声画像記録装置。
【請求項13】
連続して音声を記録するよう制御する音声記録部と、
画像を記録する画像記録部と、
上記音声の音量を検出する音量検出部と、
上記音声は連続的に記録し、上記画像については、音声が大きいタイミングで、一定時間で間欠的に記録するよう、上記音声記録部と上記画像記録部を制御する記録制御部とを備える、
ことを特徴とする音声画像記録装置。
【請求項14】
バッテリーより電力供給がされる音声画像記録装置のコンピュータを動作させるプログラムにおいて、
記録開始時にバッテリー残量を検出するステップと、
記録開始指示に応じて、音声を連続的に記録するステップと、
上記音声記録期間中に、上記検出されたバッテリー残量に応じた所定のタイミングで、画像を記録するためのユニットの動作を開始させて、画像を間欠的に記録するステップと、
上記画像記録開始後に上記所定のタイミングにより画像の記録を終了させ、あわせて画像を記録するためのユニットの少なくとも一部の動作を停止させるステップと、を備える
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−55608(P2013−55608A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194222(P2011−194222)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】