説明

音楽再生装置

【課題】簡単に好みの音楽を検索することができる音楽再生装置を得ることを目的とする。
【解決手段】特徴量抽出部2により抽出された特徴量に応じて音楽印を2次元の音楽マップ4上にマッピングするマッピング処理部3と、その音楽マップ4上を回転する検索針Pの回転操作を受け付けて、その検索針Pの回転処理を実施する操作処理部7とを設け、その操作処理部7の回転処理に伴って検索針Pが音楽マップ4上にマッピングされている何れかの音楽印と重なると、その音楽印に対応する音楽のサビ区間を再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、好みの音楽を検索して、その音楽を再生する音楽再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
データベースに蓄積されている大量の音楽の中から好みの音楽を検索して、その音楽を再生できるようにするために、従来の音楽再生装置は、データベース内の音楽を新旧別「新しい」、「普通」、「古い」のカテゴリに分類するようにしている。
あるいは、データベース内の音楽をジャンル別「クラシック」、「ポップス」、「その他」のカテゴリに分類するようにしている。
これにより、音楽再生装置のディスプレイには、新旧別、あるいは、ジャンル別にデータベース内の音楽が提示されるようになる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−256867号公報(段落番号[0040]から[0060]、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の音楽再生装置は以上のように構成されているので、所望の年代の音楽や所望のジャンルの音楽を検索することができる。しかし、新旧別やジャンル別に分類して音楽を提示する1次元的な検索だけでは、音楽の絞込みが十分でないため、簡単に好みの音楽を検索することができない課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、簡単に好みの音楽を検索することができる音楽再生装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る音楽再生装置は、特徴量抽出手段により抽出された特徴量に応じて音楽に対応する印を2次元の音楽マップ上にマッピングするマッピング手段と、その音楽マップ上を回転する検索針の回転操作を受け付けて、その検索針の回転処理を実施する回転操作受付手段とを設け、その回転操作受付手段の回転処理に伴って検索針が音楽マップ上にマッピングされている何れかの音楽に対応する印と重なると、その音楽の一部を再生するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、特徴量抽出手段により抽出された特徴量に応じて音楽に対応する印を2次元の音楽マップ上にマッピングするマッピング手段と、その音楽マップ上を回転する検索針の回転操作を受け付けて、その検索針の回転処理を実施する回転操作受付手段とを設け、その回転操作受付手段の回転処理に伴って検索針が音楽マップ上にマッピングされている何れかの音楽に対応する印と重なると、その音楽の一部を再生するように構成したので、簡単に好みの音楽を検索することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による音楽再生装置を示す構成図であり、図において、データベース1は大量の音楽データを蓄積することが可能なハードディスクなどのメモリ装置である。
特徴量抽出部2はデータベース1に蓄積されている音楽データを解析して、その音楽の特徴量(例えば、「テンポ」、「ビート白色性(リズムの揺らぎ)」、「ビート強度」、「ビート強度比」、「平均音数」、「スペクトル変化度」)を抽出する処理を実施する。なお、特徴量抽出部2は特徴量抽出手段を構成している。
【0009】
マッピング処理部3は例えば音楽の「明るさ」や「テンポ」に応じて、音楽をマッピングするための2次元の音楽マップ4を生成し、特徴量抽出部2により抽出された音楽の特徴量に応じて当該音楽に対応する印(以下、「音楽印」という)を音楽マップ4上にマッピングする処理を実施する。なお、マッピング処理部3はマッピング手段を構成している。
音楽マップ4は横軸が音楽の明るさ(右側ほど明るく、左側ほど暗い)を表し、縦軸が音楽のテンポ(上側ほどテンポが速く、下側ほどテンポが遅い)を表している2次元マップである。
なお、音楽マップ4の中心は、音楽の明るさ及びテンポの双方が中間のポジションであり、音楽マップ4の中心には検索針Pの支点が設けられている。
表示処理部5は例えばグラフィックエンジンを搭載しているタッチパネルなどから構成されており、マッピング処理部3により音楽印がマッピングされた音楽マップ4を表示する処理を実施する。
【0010】
ダイヤルキー6は例えば車両のインパネに設けられ、ユーザが所望の音楽を検索する際に操作するハードスイッチである。
操作処理部7はダイヤルキー6の回転方向や回転量を計測し、その計測結果に応じて音楽マップ4の中心に支点がある検索針Pを時計方向又は反時計方向に回転させる処理を実施する。
なお、ダイヤルキー6及び操作処理部7から回転操作受付手段が構成されている。
【0011】
音楽再生部8は音楽マップ4上にマッピングされている音楽印と検索針Pの位置関係を監視し、操作処理部7の回転処理に伴って検索針Pが音楽マップ4上にマッピングされている何れかの音楽印と重なると、データベース1からその音楽印に対応する音楽のサビ区間の音楽データを取得して、その音楽のサビ区間を再生する処理を実施する。
スピーカ9は音楽再生部8により再生処理された音楽を音響出力する。なお、音楽再生部8及びスピーカ9から音楽再生手段が構成されている。
【0012】
図1の例では、音楽再生装置の構成要素である特徴量抽出部2、マッピング処理部3、表示処理部5、操作処理部7及び音楽再生部8が専用のハードウェア(例えば、MPUが実装されている半導体集積回路基板)で構成されていることを想定しているが、音楽再生装置がコンピュータで構成されている場合、特徴量抽出部2、マッピング処理部3、表示処理部5、操作処理部7及び音楽再生部8の処理内容が記述されているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにしてもよい。
図2はこの発明の実施の形態1による音楽再生装置の処理内容を示すフローチャートである。
【0013】
次に動作について説明する。
特徴量抽出部2は、データベース1に蓄積されている音楽データを解析して、その音楽の特徴量を抽出する(ステップST1)。
即ち、特徴量抽出部2は、例えば、公知のSD(Semantic Differential)法を実施することにより、音楽のパラメータ(例えば、「テンポ」、「ビート白色性(リズムの揺らぎ)」、「ビート強度」、「ビート強度比」、「平均音数」、「スペクトル変化度」)を7段階で絶対評価する。
【0014】
マッピング処理部3は、例えば、「明るさ」や「テンポ」に基づいて音楽の選曲を可能にする場合、図3に示すように、横軸が音楽の明るさ(右側ほど明るく、左側ほど暗い)を表し、縦軸が音楽のテンポ(上側ほどテンポが速く、下側ほどテンポが遅い)を表している音楽マップ4を生成する。
マッピング処理部3は、特徴量抽出部2が音楽の特徴量を抽出すると、ユーザが音楽を聴いたときに受ける印象を把握するため、以下に示すように、音楽の特徴量であるパラメータ(オーディオ信号の物理的な特徴)とユーザが受ける印象の対応付けを実施する。
【0015】
パラメータ 物理的内容 受ける印象
(1)テンポ 音楽のテンポ 激しさ、軽快さ
(2)ビート白色性 テンポの揺らぎ 人間っぽさ、荒っぽさ
(3)基本ビート リズムパターン 素朴さ
(4)ビート強度1 8分音符単位のアクセントの強さ 躍動感
(5)ビート強度2 16分音符単位のアクセントの強さ 洗練さ
(6)ビート強度比 8分音符と16分音符の割合 うるささ
(7)平均音数 発音数 落ち着き感
(8)スペクトル変化度 音色変化 きらびやかさ
【0016】
マッピング処理部3は、上記のようにして、音楽の特徴量であるパラメータとユーザが受ける印象の対応付けを実施すると、音楽の特徴量に応じて当該音楽の音楽印を音楽マップ4上にマッピングする処理を実施する(ステップST2)。
例えば、「明るさ」や「テンポ」に基づいて音楽の選曲を可能にする場合、「テンポ」のパラメータの絶対評価値にしたがって、当該音楽印のマッピング位置(音楽マップ4における縦軸方向のマッピング位置)を決定する。
即ち、「テンポ」のパラメータの絶対評価値が大きい程、音楽マップ4における縦軸の上方の位置に決定する。例えば、パラメータの絶対評価値が“1”であれば、縦軸の最も下の位置、パラメータの絶対評価値が“4”であれば、縦軸の中心の位置、パラメータの絶対評価値が“7”であれば、縦軸の最も上の位置に決定する。
また、その他のパラメータ(例えば、基本ビート、ビート強度1、ビート強度2、ビート強度比、平均音数、スペクトル変化度)の絶対評価値の平均値や加重平均値などを計算し、その計算結果にしたがって、当該音楽印のマッピング位置(音楽マップ4における横軸方向のマッピング位置)を決定する。
即ち、その計算結果が大きい程、音楽マップ4における横軸の右の方の位置に決定する。例えば、計算結果が最小値であれば、横軸の最も左の位置、計算結果が中間値であれば、横軸の中心の位置、計算結果が最大値であれば、横軸の最も右の位置に決定する。
【0017】
表示処理部5は、上記のようにして、マッピング処理部3が音楽印を音楽マップ4上にマッピングすると、その音楽マップ4を表示する(ステップST3)。
操作処理部7は、ユーザによるダイヤルキー6の操作を監視し、表示処理部5が音楽マップ4を表示しているとき、ユーザがダイヤルキー6を回す操作を行うと(ステップST4)、ダイヤルキー6の回転方向と回転量を計測する(ステップST5)。
操作処理部7は、ダイヤルキー6の回転が右回転であれば、その回転量に応じて検索針Pを時計方向に回転させる処理を実施する(ステップT6)。
一方、ダイヤルキー6の回転が左回転であれば、その回転量に応じて検索針Pを反時計方向に回転させる処理を実施する(ステップT6)。
図4は図3の状態からダイヤルキー6が右回転された場合の音楽マップ4を示す説明図である。
【0018】
音楽再生部8は、音楽マップ4上にマッピングされている音楽印と検索針Pの位置関係を監視し、図5に示すように、操作処理部7の回転処理に伴って検索針Pが音楽マップ4上にマッピングされている何れかの音楽印と重なると(ステップST7)、データベース1からその音楽印に対応する音楽のサビ区間の音楽データを取得して、その音楽のサビ区間を再生する処理を実施する(ステップST8)。
図5の例では、音楽Aの音楽印と検索針Pが重なっているので、音楽Aのサビ区間の音楽データを取得して、その音楽Aのサビ区間を再生する処理を実施する。
これにより、スピーカ9から音楽再生部8により再生された音楽のサビ区間が音響出力され、ユーザが音楽のサビ区間を聴くことができるようになる。
ここでは、データベース1から音楽のサビ区間の音楽データを取得するものについて示したが、例えば、特徴量抽出部2が音楽データを解析して、その音楽の特徴量を抽出する際、音楽のサビ区間を検出して、そのサビ区間の音楽データをデータベース1に蓄積するようにすればよい。ただし、音楽のサビ区間の検出処理自体は、公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
【0019】
音楽再生部8は、ユーザが音楽のサビ区間を聴いて、その音楽が所望の音楽であると判断し、音楽のサビ区間の再生が完了する前に、例えば、ダイヤルキー6を押下することにより、その音楽の再生指令を入力すると(ステップST9)、データベース1からその音楽の音楽データを取得し、その音楽の先頭から全体の再生を開始する(ステップST10)。
一方、その音楽のサビ区間の再生が完了する前に、ユーザが音楽の再生指令を入力しなければ(ステップST9)、予め設定された範囲内において、その音楽から最も近い位置にマッピングされている音楽のサビ区間を再生する(ステップST11)。
図5の例では、音楽Aの他に、音楽B,C,Dの音楽印がマッピングされているが、音楽Aと距離的に最も近い音楽は、音楽Bであるので、音楽Bのサビ区間を再生する。
なお、音楽のサビ区間の再生処理は、音楽の再生指令が入力されるまで繰り返し実施され、音楽Bのサビ区間の再生が完了する前に、ユーザが音楽の再生指令を入力しなければ、予め設定された範囲内において、その音楽Bから最も近い位置にマッピングされている音楽Cのサビ区間を再生する。
【0020】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、特徴量抽出部2により抽出された特徴量に応じて音楽印を2次元の音楽マップ4上にマッピングするマッピング処理部3と、その音楽マップ4上を回転する検索針Pの回転操作を受け付けて、その検索針Pの回転処理を実施する操作処理部7とを設け、その操作処理部7の回転処理に伴って検索針Pが音楽マップ4上にマッピングされている何れかの音楽印と重なると、その音楽印に対応する音楽のサビ区間を再生するように構成したので、例えば、「明るさ」や「テンポ」の観点から、簡単に好みの音楽を検索することができる効果を奏する。
【0021】
また、この実施の形態1によれば、音楽のサビ区間の再生が完了する前に、その音楽の再生指令を受けると、その音楽の先頭から全体の再生を開始する一方、その音楽のサビ区間の再生が完了する前に、その音楽の再生指令を受けなければ、その音楽から最も近い音楽マップ4上の音楽のサビ区間を再生するように構成したので、ユーザが更に回転操作を行わなくても、好みの音楽の検索を継続することができる効果を奏する。
【0022】
なお、この実施の形態1では、音楽再生部8が検索針Pと重なっている音楽印に対応する音楽のサビ区間を再生するものについて示したが、再生する音楽の一部は必ずしも音楽のサビ区間である必要はなく、例えば、検索針Pと重なっている音楽印に対応する音楽のイントロ区間を再生するようにしてもよい。
【0023】
また、この実施の形態1では、特に言及していないが、検索針Pが重なっている音楽印が複数存在する場合、音楽再生装置の設定内容にしたがって優先順位の最も高い音楽印を特定し、優先順位の最も高い音楽印に対応する音楽のサビ区間を再生するようにする。例えば、音楽マップ4の中心に近い音楽印を優先する設定内容であれば、最も中心に近い音楽印に対応する音楽のサビ区間を再生するようにする。
また、新しい音楽を優先する設定内容であれば、最も新しい音楽のサビ区間を再生するようにする。
【0024】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、マッピング処理部3がデータベース1に蓄積されている全ての音楽の音楽印を音楽マップ4上にマッピングするものについて示したが、音楽の検索条件が与えられると、マッピング処理部3がその検索条件に合致する音楽の音楽印のみを音楽マップ4上にマッピングするようにしてもよい。
例えば、音楽の検索条件として、好みの音楽のジャンルが与えられると、そのジャンルに属する音楽の音楽印のみを音楽マップ4上にマッピングするようにする。なお、音楽のジャンルは、その音楽の属性情報として抽出することが可能であるものとする。
これにより、音楽の絞り込み検索が可能になり、上記実施の形態1よりも更に速やかに好みの音楽を検索することができる効果を奏する。
【0025】
実施の形態3.
上記実施の形態1では、操作処理部7がダイヤルキー6の回転量に応じて検索針Pを回転させるものについて示したが、音楽マップ4上の任意の地点が指定されると、その地点まで検索針Pをダイレクトに移動させるようにしてもよい。
具体的には、図6の音楽マップ4が表示されているとき、例えば、ユーザが指で表示処理部5の左下に触れると、図7に示すように、操作処理部7が、ユーザが触れた位置まで検索針Pをダイレクトに移動させるようにする。
【0026】
この際、音楽再生部8は、操作処理部7によって指定された位置に移動した検索針Pが音楽マップ4上にマッピングされている何れかの音楽印と重なると、上記実施の形態1と同様に、データベース1からその音楽印に対応する音楽のサビ区間の音楽データを取得して、その音楽のサビ区間を再生する。
音楽再生部8は、検索針Pと重なっている音楽印が存在しない場合、基本的には、上記実施の形態1と同様に、音楽のサビ区間の再生処理は実施しないが、検索針Pと重なっている音楽印が存在しない場合には、検索針Pから最も近い音楽印を特定し、その音楽印に対応する音楽のサビ区間を再生するようにしてもよい。この際、音楽再生部8は、最も近い音楽印がある位置まで検索針Pを移動させる。
【0027】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、音楽マップ4上の任意の地点が指定されると、その地点まで検索針Pをダイレクトに移動させるように構成したので、ユーザがダイヤルキー6の回転操作を行わなくても、好みの音楽を検索することができる効果を奏する。
【0028】
実施の形態4.
上記実施の形態1では、データベース1に蓄積されている全ての音楽の音楽印が、同一の大きさの“○”で音楽マップ4にマッピングされるものについて示したが、マッピング処理部3が過去に選択された音楽の履歴を保存し、例えば、過去に選択された回数や選択頻度が高い音楽ほど、大きな“○”で音楽マップ4にマッピングするようにしてもよい(図8を参照)。
あるいは、前回に選択された音楽を他の音楽より大きな“○”で音楽マップ4にマッピングするようにしてもよい。
【0029】
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、音楽再生部8により音楽の全体の再生が行われると、マッピング処理部3が音楽マップ4における当該音楽の音楽印の占有面積を拡大するように構成したので、以後、選択される可能性が高い音楽の音楽印が検索針Pと重なる可能性が高まり、上記実施の形態1よりも更に速やかに好みの音楽を検索することができる効果を奏する。
【0030】
この実施の形態4では、音楽再生部8により音楽の全体の再生が行われると、マッピング処理部3が音楽マップ4における当該音楽の音楽印の占有面積を拡大するものについて示したが、上記実施の形態1と同様に、全ての音楽印を同一の大きさの“○”で音楽マップ4にマッピングし、何れかの音楽印が検索針Pと重なると、その音楽の“○”を拡大、あるいは、その音楽の“○”の色を変更、あるいは、その音楽の“○”を他の形状(例えば、“△”、“□”)に変更するようにしてもよい。
この場合、ユーザは検索針Pと重なり関係がある音楽印に対応する音楽を速やかに把握することができる効果を奏する。
また、検索針Pが音楽印に近づいた段階で、その音楽の“○”を拡大、あるいは、その音楽の“○”の色を変更、あるいは、その音楽の“○”を他の形状(例えば、“△”、“□”)に変更するようにしてもよい。
【0031】
実施の形態5.
上記実施の形態4では、マッピング処理部3が全ての音楽の音楽印を同一の大きさの“○”で音楽マップ4にマッピングし、何れかの音楽の“○”が検索針Pと重なると、その音楽の“○”を拡大するものについて示したが、何れかの音楽の“○”が検索針Pと重なると、操作処理部7が、ダイヤルキー6による検索針Pの回転操作に対する操作感触を変更するようにしてもよい。
具体的には、回転方向のすべり具合を調整することが可能なダイヤルスイッチ(例えば、ダイヤルの回転軸と、その回転軸が挿入される固定の受け軸との間の摩擦係数を調整することが可能なハードスイッチ)を用いてダイヤルキー6を構成し、音楽再生部8が何れかの音楽印と検索針Pの重なりを検出すると、操作処理部7がダイヤルキー6のすべり具合を調整して、回転操作が重く感じるように操作感触を変更する。
これにより、ユーザは何れかの音楽印が検索針Pと重なったことを速やかに把握することができる効果を奏する。
【0032】
実施の形態6.
上記実施の形態1では、操作処理部7がダイヤルキー6の回転量に応じて検索針Pを回転させるものについて示したが、操作処理部7が検索針Pと音楽マップ4上にマッピングされている音楽印との距離を計測し、その音楽マップ4上にマッピングされている何れかの音楽印との距離が所定距離以下になると、当該音楽印の位置まで、その検索針Pを移動させるようにしてもよい。
図9はこの発明の実施の形態6による音楽再生装置の処理内容を示すフローチャートである。
【0033】
具体的には、以下の通りである。
操作処理部7は、上記実施の形態1と同様に、ダイヤルキー6の回転量に応じて検索針Pを回転させるが、その検索針Pの回転処理と同時に、検索針Pと音楽マップ4上にマッピングされている音楽印との距離を計測する(ステップST21)。
操作処理部7は、検索針Pが音楽マップ4上にマッピングされている何れかの音楽印に近づいて、その検索針Pとの距離が所定距離以下である音楽印を検出すると(ステップST22)、その音楽印の位置まで、その検索針Pを移動させる(ステップST23)。
これにより、検索針Pが音楽印に重なるまで、ユーザがダイヤルキー6を回さなくても、その音楽印に対応する音楽のサビ区間を再生することができる効果を奏する。
【0034】
実施の形態7.
上記実施の形態5では、何れかの音楽印が検索針Pと重なると、操作処理部7がダイヤルキー6による検索針Pの回転操作に対する操作感触を変更するものについて示したが、何れかの音楽印が検索針Pと重なると、音楽再生部8が、その音楽印に対応する音楽に関する属性情報をスピーカ9から音声出力するようにしてもよい。
具体的には、データベース1に音楽に関する属性情報として、例えば、音楽の曲名、アーティスト名、アルバム名、ジャンル名などが記憶されている場合、何れかの音楽印が検索針Pと重なると、音楽再生部8が、その検索針Pと重なっている音楽印に対応する音楽の曲名、アーティスト名、アルバム名、ジャンル名などを読み上げるようにする。
これにより、ユーザは検索針Pと重なり関係がある音楽印に対応する音楽を速やかに把握することができる効果を奏する。
【0035】
実施の形態8.
上記実施の形態1では、マッピング処理部3が2次元の音楽マップ4を生成して、データベース1に蓄積されている全ての音楽の音楽印を2次元の音楽マップ4にマッピングするものについて示したが、音楽の再生回数別、あるいは、音楽の発売年別に2次元の音楽マップ4を階層化して、3次元の音楽マップを生成するようにしてもよい。
即ち、データベース1に蓄積されている音楽を再生回数別、あるいは、音楽の発売年別に分類して、その再生回数別、あるいは、発売年別の2次元の音楽マップ4を複数生成し、複数の2次元の音楽マップ4を階層的に配置することにより、3次元の音楽マップを生成するようにする。
【0036】
具体的には、例えば、発売年別の3次元の音楽マップを生成する場合、最も新しい2005年発売の音楽の音楽印がマッピングされた2次元の音楽マップ4を一番上の階層に配置し、次に新しい2004年発売の音楽の音楽印がマッピングされた2次元の音楽マップ4をその下の階層に配置するようにする。
以後、発売年が新しい順に、各年の音楽マップ4を下の階層に配置して、最も古い年に発売された音楽の音楽印がマッピングされた2次元の音楽マップ4を一番下の階層に配置するようにする。
【0037】
表示処理部5は、上記のようにして、マッピング処理部3が3次元の音楽マップを生成すると、最初に、最も階層が上にある2次元の音楽マップ4(2005年発売の音楽の音楽印がマッピングされた2次元の音楽マップ4)を表示する。
その後、ユーザがダイヤルキー6を回すことにより、検索針Pが一周すると、表示処理部5は、現在表示している音楽マップ4を消し、その音楽マップ4より一つ下の階層に配置されている2次元の音楽マップ4(2004年発売の音楽の音楽印がマッピングされた2次元の音楽マップ4)を表示する。
ユーザがダイヤルキー6を回すことにより、更に、検索針Pが一周すると、表示処理部5は、現在表示している音楽マップ4を消し、その音楽マップ4より一つ下の階層に配置されている2次元の音楽マップ4(2003年発売の音楽の音楽印がマッピングされた2次元の音楽マップ4)を表示する。
このように、表示処理部5は、検索針Pが一周する毎に、他の年に発売された音楽の音楽印がマッピングされた2次元の音楽マップ4を表示するようにする。
【0038】
一方、再生回数別の3次元の音楽マップを生成する場合、例えば、再生回数が10回以上の音楽の音楽印がマッピングされた2次元の音楽マップ4を一番上の階層に配置し、次に再生回数が9回から5回の音楽の音楽印がマッピングされた2次元の音楽マップ4をその下の階層に配置し、次に再生回数が5回未満の音楽の音楽印がマッピングされた2次元の音楽マップ4をその下の階層に配置するようにする。
【0039】
表示処理部5は、上記のようにして、マッピング処理部3が3次元の音楽マップを生成すると、最初に、最も階層が上にある2次元の音楽マップ4(再生回数が10回以上の音楽の音楽印がマッピングされた2次元の音楽マップ4)を表示する。
その後、ユーザがダイヤルキー6を回すことにより、検索針Pが一周すると、表示処理部5は、現在表示している音楽マップ4を消し、その音楽マップ4より一つ下の階層に配置されている2次元の音楽マップ4(再生回数が9回から5回の音楽の音楽印がマッピングされた2次元の音楽マップ4)を表示する。
ユーザがダイヤルキー6を回すことにより、更に、検索針Pが一周すると、表示処理部5は、現在表示している音楽マップ4を消し、その音楽マップ4より一つ下の階層に配置されている2次元の音楽マップ4(再生回数が5回未満の音楽の音楽印がマッピングされた2次元の音楽マップ4)を表示する。
【0040】
以上で明らかなように、この実施の形態8によれば、音楽の再生回数別、あるいは、音楽の発売年別に2次元の音楽マップ4を階層化して、3次元の音楽マップを生成するように構成したので、上記実施の形態1よりも更に速やかに好みの音楽を検索することができる効果を奏する。
【0041】
実施の形態9.
上記実施の形態1では、マッピング処理部3が全ての音楽の音楽印を同一の大きさの“○”で音楽マップ4にマッピングするものについて示したが、例えば、音楽の発売年別、ジャンル別、アーティスト別、国別で、音楽の“○”の色を変えるようにしてもよい。
また、上記実施の形態1では、音楽のサビ区間の再生が完了する前に、その音楽の再生指令を入力すると、音楽再生部8が、その音楽の先頭から全体の再生を開始するものについて示したが、その音楽の全体の再生を行っているときに、ユーザがダイヤルキー6を回すと、音楽再生部8が、その音楽を早回し(ダイヤルキー6を右に回しているとき)、または、その音楽を巻戻し(ダイヤルキー6を左に回しているとき)するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の実施の形態1による音楽再生装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による音楽再生装置の処理内容を示すフローチャートである。
【図3】音楽マップを示す説明図である。
【図4】図3の状態からダイヤルキーが右回転された場合の音楽マップを示す説明図である。
【図5】検索針Pと重なっている音楽印を示す説明図である。
【図6】任意の地点が指定されている様子を示す説明図である。
【図7】図6の状態からダイヤルキーがダイレクトに移動された場合の音楽マップを示す説明図である。
【図8】占有面積が異なる音楽印がマッピングされている音楽マップを示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態6による音楽再生装置の処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
1 データベース、2 特徴量抽出部(特徴量抽出手段)、3 マッピング処理部(マッピング手段)、4 音楽マップ、5 表示処理部、6 ダイヤルキー(回転操作受付手段)、7 操作処理部(回転操作受付手段)、8 音楽再生部(音楽再生手段)、9 スピーカ(音楽再生手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音楽の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、上記特徴量抽出手段により抽出された音楽の特徴量に応じて当該音楽に対応する印を2次元の音楽マップ上にマッピングするマッピング手段と、上記音楽マップ上を回転する検索針の回転操作を受け付けて、その検索針の回転処理を実施する回転操作受付手段と、上記回転操作受付手段の回転処理に伴って検索針が上記音楽マップ上にマッピングされている何れかの音楽に対応する印と重なると、その音楽の一部を再生する音楽再生手段とを備えた音楽再生装置。
【請求項2】
マッピング手段は、音楽の検索条件が与えられると、その検索条件に合致する音楽に対応する印のみを音楽マップ上にマッピングすることを特徴とする請求項1記載の音楽再生装置。
【請求項3】
回転操作受付手段は、音楽マップ上の任意の地点が指定されると、その地点まで検索針をダイレクトに移動させることを特徴とする請求項1記載の音楽再生装置。
【請求項4】
音楽再生手段は、音楽の一部の再生が完了する前に、その音楽の再生指令を受けると、その音楽の先頭から全体の再生を開始する一方、その音楽の一部の再生が完了する前に、その音楽の再生指令を受けなければ、その音楽から最も近い音楽マップ上の音楽の一部を再生することを特徴とする請求項1記載の音楽再生装置。
【請求項5】
マッピング手段は、音楽再生手段により音楽の全体の再生が行われると、音楽マップにおける当該音楽に対応する印の占有面積を拡大することを特徴とする請求項4記載の音楽再生装置。
【請求項6】
回転操作受付手段は、検索針が音楽マップ上にマッピングされている何れかの音楽に対応する印と重なると、その検索針の回転操作に対する操作感触を変更することを特徴とする請求項1記載の音楽再生装置。
【請求項7】
回転操作受付手段は、検索針と音楽マップ上にマッピングされている音楽に対応する印との距離を計測し、その音楽マップ上にマッピングされている何れかの音楽に対応する印との距離が所定距離以下になると、当該音楽に対応する印の位置まで、その検索針を移動させることを特徴とする請求項1記載の音楽再生装置。
【請求項8】
音楽再生手段は、回転操作受付手段の回転処理に伴って検索針が音楽マップ上にマッピングされている何れかの音楽に対応する印と重なると、その音楽に関する属性情報を音声出力することを特徴とする請求項1記載の音楽再生装置。
【請求項9】
マッピング手段は、音楽の再生回数別、あるいは、音楽の発売年別に2次元の音楽マップを階層化して、3次元の音楽マップを生成することを特徴とする請求項1記載の音楽再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−109169(P2007−109169A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302012(P2005−302012)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】