説明

音楽演奏ゲーム装置用コントローラ及び音楽演奏ゲームシステム

【課題】 スイッチの操作状況をプレイヤに機械的に知らせることにより、コントローラの操作性を向上させることができる音楽演奏ゲーム装置用コントローラを提供する。
【解決手段】 連動機構LMは、スイッチボタンSB3が操作されたときに、スイッチボタンSB3の動きと連動して動作し、スライダ33または35を動かす。スライダ33または35の棒状部分33Aまたは35Aが、貫通孔TH1またはTH2から突出することにより、ネック3の背面部3Cの形状を変えて、手の掌PHにスイッチボタンSB3の操作状況を伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽演奏ゲーム装置に用いられるコントローラ及び音楽演奏ゲームシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2000−237454号公報の図19及び図20や、特開2001−170352号公報の図15には、プレイヤの一方の手で握られるネックと、プレイヤの他方の手で操作される操作部を備えた本体と、ネックを握った一方の手の指で操作される3つのスイッチボタンR,G,Bがネックの前面部に配置されている音楽演奏ゲーム装置用コントローラが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−237454号公報
【特許文献2】特開2001−170352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のギターを模した音楽演奏ゲーム装置用コントローラでは、スイッチを正しく押したか否かの確認は、スイッチ操作がゲーム結果に反映しているか否かにより、間接的に確認している。しかしながらスイッチの操作が不十分なために(スイッチボタンを押す力が弱いために)、プレイヤの思い通りに、操作指令が出力されていないことがあっても、そのことにプレイヤが気付かない事態が発生していることがある。
【0005】
またゲームの難易度を上げるために、例えば、スイッチボタン(スイッチ)の数を増やすことや、スイッチとして3つ以上のオン位置を備えた操作が複雑なスイッチ(スイッチボタンを押す位置を変えることにより、3種類以上のオン信号を発生するスイッチ)を用いることも考えられる。
【0006】
しかしながら操作が難しいスイッチを用いたり、スイッチボタンの数を増やした場合には、スイッチの操作状況を直ちに認識することができなくなるために、コントローラの操作が難しくなって、ゲームに対する興味を失わせるおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、スイッチの操作状況をプレイヤに機械的に知らせることにより、コントローラの操作性を向上させることができる音楽演奏ゲーム装置用コントローラ及び音楽演奏ゲームシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明が改良の対象とする音楽演奏ゲーム装置用コントローラは、プレイヤの片方の手で握られるネックを備え、ネックを握った手の指で操作されるスイッチボタンがネックの前面部に配置されている1以上のスイッチを備えている。本発明においては、ネック内に連動機構を配置する。この連動機構は、スイッチボタンが操作されたときに、スイッチボタンの動きと連動して動作し、ネックの背面部の形状を変えて、手の掌にスイッチボタンの操作状況を伝達する。なお「背面部の形状を変えて」とは、背面部を構成する壁部の形状そのものを変える場合だけでなく、背面部に突起等を突出させることにより背面部の表面形状を変える場合も含まれる。本発明によれば、連動機構がスイッチボタンの動きと連動してネックの背面部の形状を変えることにより手の掌にスイッチボタンの操作状況を伝達するので、プレイヤはスイッチボタンを確実に押したか否かを手の掌に伝わるネックの背面部の形状の変形から知ることができる。発明者は、電気的に振動を発生する震動源をネックの内部に入れて、振動の発生により、スイッチボタンの操作状況をプレイヤに知らせることも考えた。しかしながらネックを振動させることは、プレイヤのゲームに対する集中を妨げる原因となる問題を発生するので好ましくないことが判った。本発明によれば、プレイヤは手の掌の、感触の変化でプッシュボタンの操作状況を認識するため、ゲームへの集中を妨げられることない。特に、背面部のスイッチボタンに対応する部分の形状を変えると、複数のスイッチボタンにおける、どのプッシュボタンが操作されたのかも同時に認識することが可能になる。
【0009】
使用するスイッチは、1つのスイッチボタンに対して2以上の接点を有して、スイッチボタンを押す位置によってオン状態になる接点が異なるように構成された多接点スイッチであってもよい。多接点スイッチを用いる場合でも、本発明によれば、ネックの背面部の形状の変化からスイッチボタンの操作状況を認識することができる。また多接点スイッチを用いると、1つのスイッチボタンの操作位置(押圧位置)を変えることにより、オン状態にする接点を選ぶことにより、演奏音の音程及び音色の少なくとも一つを変更することができ、演奏のバリエーションを増やすことができる。
【0010】
具体的な音楽演奏ゲーム装置用コントローラは、プレイヤの一方の手で握られるネックと、プレイヤの他方の手で操作される操作部を備えた本体と、ネックを握った一方の手の指で操作されるスイッチボタンがネックの前面部に配置されている複数のスイッチとを備えている。そしてコントローラは、複数のスイッチに対応してネック内に配置され、対応するスイッチボタンが操作されたときに、スイッチボタンの動きと連動して動作し、ネックの背面部の前記スイッチボタンに対応する位置の形状を変えて、手の掌に前記スイッチボタンの操作状況を伝達する複数の連動機構を備えている。この場合、複数のスイッチは、片方の手の異なる複数の指でそれぞれ同時に操作できるように並んで配置されているのが好ましい。
【0011】
具体的な発明では、ネックが、1以上のスイッチのスイッチ本体が収納されるスイッチ収納部を内部に有している。そして一つのスイッチに対応して、スイッチ収納部を囲む壁部のうち、背面部の一部を構成する壁部分には、壁部分を貫通する少なくとも一つの貫通孔が、ネックを握る手の掌に向かって開口するように形成されている。そして連動機構は、スイッチボタンが操作されて予め定めた操作位置(オン位置)にあるときに、貫通孔を貫通して先端部が貫通孔からネックの外部に突出し、スイッチボタンが予め定めた操作位置(オン位置)にないときに、先端部の少なくとも一部が貫通孔の内部に引き込まれるスライダを備えている。なおスライダの先端部の一部が、貫通孔から常時出ており、このような状態から先端部全体が貫通孔から突出する場合も、「先端部が貫通孔からネックの外部に突出する」場合に含まれる。このような構成を採用すると、スイッチボタンが押されて予め定めた操作位置(オン位置)にあると、スライダの先端部が貫通孔から突出し、プレイヤの手の掌をその先端部により直接押すことになる。その結果、プレイヤは、スライダの先端部による押圧で、スイッチボタンが押されたことを直接知ることができる。またスイッチが複数の操作位置(オン位置)を有する場合には、スライダの先端部で押される手の掌の位置から、スイッチボタンがどのオン位置にあるかをプレイヤは知ることが可能になる。
【0012】
複数の操作位置(オン位置)を有するスイッチの構成は任意である。好ましいスイッチボタンは、細長いボタンを有している。そしてスイッチ本体内のスイッチ機構は、細長いボタンの長手方向の一方の端部が押されたとき(スイッチボタンが第1のオン位置にあるとき)、細長いボタンの長手方向の他方の端部が押されたとき(スイッチボタンが第2のオン位置にあるとき)、及び細長いボタンの長手方向の中央部または全体が押されたとき(スイッチボタンが第3のオン位置にあるとき)に、それぞれオン信号を出力するように構成されているものを用いることができる。この場合、ネックの背面部を構成する壁部分には、一つのスイッチに対して、2つの貫通孔を形成する。そして連動機構は、2つの貫通孔に対応して2つのスライダを有する構造を採用する。この連動機構は、細長いボタンの長手方向の一方の端部が押されたときに、2つの貫通孔の一方から2つのスライダの一方の先端部を突出させ、細長いボタンの長手方向の他方の端部が押されたときに、2つの貫通孔の他方から2つのスライダの他方の先端部を突出させ、細長いボタンの長手方向の中央部または全体が押されたときに、2つの貫通孔から2つのスライダの先端部をそれぞれ突出させるように構成されている。このような構成を採用すると、スイッチボタンが第1乃至第3の操作位置(オン位置)にあるときに、2つのスライダにより押される手の掌の位置から、スイッチボタンの操作状況をプレイヤは知ることができる。
【0013】
なお貫通孔の手の掌と対向する開口部は、外力が加えられたときに変形し且つ外力が除かれると元の状態に戻る復元性を備えた材料によって塞がれていてもよい。この構成では、貫通孔の開口部が塞がれているので、貫通孔から塵埃がスイッチ収納部内に入ることを防止することができる。その結果、スイッチの信頼性を高めることができる。なお復元性を備えた材料としては、シリコンゴム等の弾性シートを用いることができる。
【0014】
スイッチの数は任意であるが、本発明は、5個以上のスイッチの5個以上のスイッチボタンが、ネックから本体に向かう方向に並んで配置されている場合にも当然にして適用することができる。スイッチの数が多くなると、プレイヤの指の位置とスイッチとの位置関係が判り難くなる。そこで所定の1以上のスイッチボタンを操作したときのネックの背面部の変形状態と、残りのスイッチボタンを操作したときのネックの背面部の変形状態が異なるように所定の1以上のスイッチボタンに対応する連動機構の構造を定めるのが好ましい。具体的には、例えば、スイッチボタンが5つの場合には、5つのスイッチボタンのうち中央に位置するスイッチボタンまたはボタン列の両端位置する2つのスイッチボタンに対して設けられるスライダの先端部の形状を、残りのスイッチボタンに対して設けられる連動機構のスライダの先端部の形状と異ならせることができる。このようにすると中央または両端に位置するスイッチボタンを操作したときと、他のスイッチボタンを操作したときとで、プレイヤの手の掌で感じる感触が異なるため、中央または両端に位置するスイッチボタンを操作しているか否かを確実に知ることができる。その結果、指の位置が正しいか否かを、触覚を利用して確認することが可能になる。
【0015】
本発明のコントローラを用いる音楽演奏ゲームシステムでは、プレイヤの一方の手で握られるネックと、プレイヤの他方の手で操作される操作部を備えた本体と、ネックを握った一方の手の指で操作されるスイッチボタンが前記ネックの前面部に配置されている複数のスイッチとを備えた音楽演奏ゲーム装置用コントローラと、表示画面を備えた表示装置と、音楽演奏ゲーム装置用コントローラからの入力指令に基づいてゲームを進行し、プレイヤに操作部を操作するタイミングを決定するための情報を表示画面に表示するのに必要な画像信号を表示装置に供給し且つ入力指令に応じて演奏音を変えるゲーム機本体とを備えた音楽ゲームシステムにおいて、次の構成を採用する。まずスイッチは、1つのスイッチボタンに対して2以上の接点を有して、スイッチボタンを押す位置によってオン状態になる接点が異なるように構成された多接点スイッチを用いる。また音楽演奏ゲーム装置用コントローラとしては、複数のスイッチに対応してネック内に配置され、対応するスイッチボタンが操作されたときに、スイッチボタンの動きと連動して動作し、ネックの背面部の形状を変えて、手の掌にスイッチボタンの操作状況を機械的に伝達する複数の連動機構を備えたものを用いる。スイッチは、前述と同様に、多接点スイッチである。そしてゲーム機本体を、1つのスイッチの2以上の接点のオン状態に応じて演奏音の音程及び音色の少なくとも一方を変更するように構成する。このようにすると、実際の楽器と同様に、指の動きに応じて音程の変更や、ビブラート等の音色の変更を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の音楽演奏ゲーム装置用コントローラをプレイヤが操作している状態を示す図である。
【図2】図1の一部の領域を拡大した図である。
【図3】(A)はスイッチを含むネックの一部断面図であり、(B)及び(C)はそれぞれスイッチボタンの端部が押されたときの連動機構の状態を示す図である。
【図4】(A)及び(B)は、スライダの先端部形状の例を示す図である。
【図5】音楽演奏ゲームシステムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の音楽演奏ゲーム装置用コントローラ1をプレイヤPが操作している状態を示している。また図2は、図1のAの領域を拡大した図である。本実施の形態の音楽演奏ゲーム装置用コントローラ1はエレキギターを模した外観を有している。コントローラ1は、プレイヤPの左手LHで握られるネック3と本体5とを備えている。本体5には、プレイヤPの右手RHで操作される操作部7が設けられている。操作部7の構造は、特許文献1に示された操作部の構造と同じである。ネック3を握った左手LHの4本の指F2〜F5で操作される5つのスイッチボタンSB1〜SB5がネック3の前面部に配置されている。ネック3の内部には、スイッチボタンSB1〜SB5をそれぞれ備えた5つのスイッチSWが収納されている。本実施の形態で用いるスイッチは、1つのスイッチボタンに対して2以上の接点を有して、スイッチボタンを押す位置によってオン状態になる接点が異なるように構成された多接点スイッチである。
【0018】
図3(A)には、スイッチSWを含むネック3の一部断面図が示されている。また図3(A)には、スイッチSWの概略構成が示されている。なお図3(A)に示したスイッチSWの構造は、概念構造である。図3(A)を用いて代表的に説明すると、本実施例で用いるスイッチボタンSB3は、細長いボタンである。スイッチボタンSB3の中心部には回動軸9が設けられており、この回動軸9は軸支持部材11により両端が支持されている。軸支持部材11は、中間位置に鍔部13を備えており、鍔部13より先の部分には、コイルバネ15が装着されている。コイルバネ15はバネ収納筒17内に一部が収納さている。スイッチボタンSB3の外表面の中央部には、スイッチの幅方向に延びる凸条部19が一体に設けられている。この凸条部19が存在することにより、プレイヤはスイッチボタンSB3の中央位置を指先の感触で確認することができる。スイッチボタンSB3の内表面の長手方向の一端には、第1の長い突起21が一体に設けられて、スイッチボタンSB3の内表面の長手方向の他端には、第2の長い突起23が一体に設けられている。またスイッチボタンSB3の内表面には、第1及び第2の長い突起21及び23の間に、第1及び第2の短い突起25及び27が設けられている。スイッチボタンSB3は、ネック3の前面部3Aに設けられた開口部3B内に配置されている。図示していないが、スイッチボタンSB3には、開口部3Bから抜け出ることを防止するために、開口部3Bの縁部と係合する図示しない抜け止め用鍔部が一体に設けられている。ネック3内には、第1及び第2の短い突起25及び27によって押圧操作される2つのプッシュスイッチ29及び31が配置されている。なおプッシュスイッチ29及び31の支持構造の図示は省略してある。上記複数の部品(9〜31)によって、スイッチ機構SMが構成されており、このスイッチ機構SMはネック3に形成されたスイッチ収納部SRに収納されている。このスイッチ機構SMは、細長いスイッチボタンSB3の長手方向の一方の端部が押されたとき(スイッチボタンSB1が第1のオン位置にあるとき)に、第1の短い突起25によってプッシュスイッチ29が操作されて、第1のオン状態となる。また細長いスイッチボタンSB3の長手方向の他方の端部が押されたとき(スイッチボタンSB3が第2のオン位置にあるとき)に、第2の短い突起27によってプッシュスイッチ31が操作されて、第2のオン状態となる。さらに細長いスイッチボタンSB3の長手方向の中央部または全体が押されたとき(スイッチボタンSB3が第3のオン位置にあるとき)に、スイッチボタンSB3が全体的に押し込まれて(コイルバネ15が圧縮された状態となり)、第1の突起25及び第2の短い突起27がプッシュスイッチ29及び31を同時に操作して、第3のオン状態となる。
【0019】
ネック3の背面部3Cを構成する壁部分には、一つのスイッチSWに対して、2つの貫通孔TH1及びTH2が形成されている。2つの貫通孔TH1及びTH2には、第1及び第2のスライダ33及び35の棒状部分33A及び35Aがスライド可能に嵌合されている。棒状部分33A及び35Aの基部には、鍔部33B及び35Bが一対に設けられている。鍔部33B及び35Bと背面部3Cの内壁面との間には、棒状部分33A及び35Aが貫通するようにコイルスプリング37及び39が配置さている。なおスライダ33及び35の支持構造については図示を省略してある。スライダ33及び35の鍔部33B及び35Bには、第1及び第2の長い突起21及び23の先端部が接触している。本実施の形態では、スライダ33及び35、コイルバネ37及び39、並びに第1及び第2の長い突起21及び23により連動機構LMが構成されている。
【0020】
この連動機構LMは、図3(B)に示すように、細長いスイッチボタンSB3の長手方向の一方の端部が押されたときには、第1の長い突起21が、第1のスライダ33の鍔部33Bを押し、棒状部分33Aの先端部を貫通孔TH1から突出させる。また連動機構LMは、図3(C)に示すように、細長いスイッチボタンSB3の長手方向の他方の端部が押されたときには、第2の長い突起23が、第2のスライダ35の鍔部35Bを押し、棒状部分35Aの先端部を貫通孔TH2から突出させる。更に図3(A)に示すように、連動機構LMは、細長いスイッチボタンSB3の長手方向の中央部が押されたときには、第1及び第2の長い突起23及び25が、第1及び第2のスライダ33及び35の鍔部33B及び35Bを押し、棒状部分33A及び35Aの先端部を貫通孔TH1及びTH2から同時に突出させる。このような構成を採用すると、スイッチボタンが第1乃至第3の操作位置またはオン位置(第1乃至第3のオン状態)にあるときに、2つのスライダ33及び35により押される手の掌PHの位置から、スイッチボタンSB3の操作状況をプレイヤPは知ることができる。スイッチボタンSB3への押圧力が解除されると、圧縮されたコイルバネ15,37及び/または39のバネ力によってスライダ33及び/または35がネック3の内部に引き戻される。
【0021】
本実施の形態では、5つのスイッチボタンSB1乃至SB5に対応して、それぞれ5つの連動機構LMがネック3内に配置されている。したがってスイッチボタンSB1乃至SB5に対応するネックの背面部には、2×5個の貫通孔が形成されている。
【0022】
なお本実施の形態では、スライダ33及び35の棒状部分33A及び35Aの先端部の一部が、貫通孔TH1及びTH2から常時出ている。本発明では、このような状態から、棒状部分33A及び35Aの先端部全体が貫通孔TH1及びTH2から突出する場合も、「先端部が貫通孔からネックの外部に突出する」場合に含まれる。
【0023】
本実施の形態の連動機構LMは、スイッチボタンが操作されたときに、スイッチボタンの動きと連動して動作し、ネック3の背面部の形状を変えて、手の掌PHにスイッチボタンの操作状況を伝達する機能を果たしている。
【0024】
なお貫通孔の手の掌と対向する貫通孔TH1及びTH2の開口部は、外力が加えられたときに変形し且つ外力が除かれると元の状態に戻る復元性を備えた材料によって塞がれていてもよい。復元性を備えた材料としては、シリコンゴム等の弾性シートを用いることができる。貫通孔の開口部をこのような復元性を有する材料で塞ぐと、貫通孔から塵埃がスイッチ収納部内に入ることを防止することができる。その結果、スイッチの信頼性を高めることができる。
【0025】
本実施の形態のように、スイッチの数が多くなると、プレイヤの指の位置とスイッチとの位置関係が判り難くなる。そこで所定の1以上のスイッチボタンを操作したときのネックの背面部の変形状態と、残りのスイッチボタンを操作したときのネックの背面部の変形状態が異なるように対応する所定の1以上のスイッチボタンに対応する連動機構の構造を定めるのが好ましい。例えば、5つのスイッチボタンSB1〜SB5のうち中央に位置するスイッチボタンSB3または両端に位置するスイッチボタンSB1及びSB5に対して設けられるスライダ33及び35の棒状部分33A及び35A先端部の形状を図4(B)に示すように先端が尖った形状とし、残りのスイッチボタンに対して設けられるスライダの棒状部分の先端部の形状を図4(A)に示すように先端が湾曲した形状をとしてもよい。このようにするとボタン列の中央または両端に位置するスイッチボタンSB3またはSB1及びSB5を操作したときと、他のスイッチボタンを操作したときとで、プレイヤの手の掌で感じる感触が異なるため、ボタン列の中央または両端に位置するスイッチボタンSB3またはSB1及びSB5を操作しているか否かを確実に知ることができる。その結果、指の位置が正しいか否かを、触覚を利用して確認することが可能になる。
【0026】
スイッチボタンの数が多くなると、複数のスイッチボタンに対するプレイヤの指の適正な配置位置の判断が難しくなる。そこでこのような状況においては、プレイヤを補助する工夫が求められる。図5に示した音楽演奏ゲームシステムでは、上記音楽演奏ゲーム装置用コントローラ1と、表示画面41を備えた表示装置43と、音楽演奏ゲーム装置用コントローラ1からの入力指令に基づいてゲームを進行し、プレイヤに操作部を操作するタイミングを決定するための情報を表示画面41に表示するのに必要な画像信号を表示装置43の駆動装置45に供給し且つ入力指令に応じてスピーカ44から出力される演奏音を変える信号を演奏部46に与えるゲーム機本体47とを備えている。なお音楽演奏のためのゲーム機本体47は、ゲームの進行に伴って変わる複数のスイッチに対するプレイヤの複数の指の適正な配置位置を示すガイド画像GIを、表示画面41に表示するように構成されている。図5の例では、スイッチボタンSB1〜SB5に対応するノーツライン1〜5の上に、3本の指F2〜F4を配置することが好ましいことを示す矩形状のゾーンマークをガイド画像GIとして表示している。このガイド画像GIは、ゲームの進行に伴って左右に移動表示される。このようにすると、プレイヤはガイド画像GIをみながら、プレイをすることにより、ゲームに慣れることが可能になる。また上記実施の形態のコントローラのように、スイッチとして多接点スイッチを用いると、1つのスイッチの2以上の接点のオン状態に応じて演奏音の音程及び音色の少なくとも一方を変更することができる。その結果、実際の楽器と同様に、指の動きに応じて音程の変更や、ビブラート等の音色の変更を実現することができ、演奏ゲームをよりリアルなものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明によれば、連動機構がスイッチボタンの動きと連動してネックの背面部の形状を変えることにより手の掌にスイッチボタンの操作状況を伝達するので、プレイヤはスイッチボタンを確実に押したか否かを手の掌に伝わるネックの背面部の形状の変形から知ることができる。本発明によれば、プレイヤは手の掌の感触の変化でプッシュボタンの操作状況を認識するため、ゲームへの集中を妨げられることない。特に、背面部のスイッチボタンに対応する部分の形状を変えると、複数のスイッチボタンの中のどのプッシュボタンが操作されたのかも同時に認識することが可能になる。
【符号の説明】
【0028】
3 ネック
SW スイッチ
9 回転軸
11 軸支持部材
13 鍔部
15 コイルバネ
17 バネ収納筒
19 凸条部
29,31 プッシュスイッチ
33A,35A 棒状部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤの片方の手で握られるネックを備え、前記ネックを握った前記手の指で操作されるスイッチボタンが前記ネックの前面部に配置されている1以上のスイッチを備えた音楽演奏ゲーム装置用コントローラであって、
前記ネック内に配置されて、前記スイッチボタンが操作されたときに、前記スイッチボタンの動きと連動して動作し、前記ネックの背面部の形状を変えて、前記手の掌に前記スイッチボタンの操作状況を伝達する連動機構を備えていることを特徴とする音楽演奏ゲーム装置用コントローラ。
【請求項2】
前記スイッチは、1つの前記スイッチボタンに対して2以上の接点を有して、前記スイッチボタンを押す位置によってオン状態になる接点が異なるように構成された多接点スイッチである請求項1に記載の音楽演奏ゲーム装置用コントローラ。
【請求項3】
プレイヤの一方の手で握られるネックと、
前記プレイヤの他方の手で操作される操作部を備えた本体と、
前記ネックを握った前記一方の手の指で操作されるスイッチボタンが前記ネックの前面部に配置されている複数のスイッチとを備えた音楽演奏ゲーム装置用コントローラであって、
前記複数のスイッチに対応して前記ネック内に配置され、対応する前記スイッチボタンが操作されたときに、前記スイッチボタンの動きと連動して動作し、前記ネックの背面部の前記スイッチボタンに対応する位置の形状を変えて、前記手の掌に前記スイッチボタンの操作状況を伝達する複数の連動機構を備えていることを特徴とする音楽演奏ゲーム装置用コントローラ。
【請求項4】
前記複数のスイッチが、前記片方の手の異なる複数の指でそれぞれ同時に操作できるように並んで配置されており、
前記スイッチは、1つの前記スイッチボタンに対して2以上の接点を有して、前記スイッチボタンを押す位置によってオン状態になる接点が異なるように構成された多接点スイッチである請求項3に記載の音楽演奏ゲーム装置用コントローラ。
【請求項5】
前記ネックは、前記複数のスイッチのスイッチ本体が収納されるスイッチ収納部を内部に有しており、
一つの前記スイッチに対応して、前記スイッチ収納部を囲む壁部のうち、前記背面部の一部を構成する壁部分には、前記壁部分を貫通する少なくとも一つの貫通孔が、前記ネックを握る前記手の前記掌に向かって開口するように形成されており、
前記連動機構は、前記スイッチボタンが操作されて予め定めた操作位置にあるときに、前記貫通孔を貫通して先端部が前記貫通孔から前記ネックの外部に突出し、前記スイッチボタンが前記予め定めた操作位置にないときに、前記先端部の少なくとも一部が前記貫通孔内に引き込まれた状態になるスライダを備えていることを特徴とする請求項3に記載の音楽演奏ゲーム装置用コントローラ。
【請求項6】
前記スイッチボタンは、細長いボタンであり、
前記スイッチ本体内のスイッチ機構は、前記細長いボタンの長手方向の一方の端部が押されたとき、前記細長いボタンの長手方向の他方の端部が押されたとき、及び前記細長いボタンの長手方向の中央部または全体が押されたときに、それぞれオン信号を出力するように構成されており、
前記ネックの前記壁部分には、一つの前記スイッチに対して、2つの前記貫通孔が形成されており、
前記連動機構は、前記2つの貫通孔に対応して2つの前記スライダを有しており、且つ前記細長いボタンの長手方向の一方の端部が押されたときに、2つの前記貫通孔の一方から2つの前記スライダの一方の前記先端部が突出させ、前記細長いボタンの長手方向の他方の端部を押されたときに、2つの前記貫通孔の他方から2つの前記スライダの他方の前記先端部を突出させ、前記細長いボタンの長手方向の中央部または全体が押されたときに、2つの前記貫通孔から2つの前記スライダの先端部をそれぞれ突出させるように構成されている請求項5に記載の音楽演奏ゲーム装置用コントローラ。
【請求項7】
前記貫通孔の前記掌と対向する開口部は、外力が加えられたときに変形し且つ前記外力が除かれると元の状態に戻る復元性を備えた材料によって塞がれている請求項5または6に記載の音楽演奏ゲーム装置用コントローラ。
【請求項8】
5個以上の前記スイッチボタンが、前記ネックから前記本体に向かう方向に並んで配置されており、
所定の1以上の前記スイッチボタンを操作したときの前記ネックの前記背面部の変形状態と、残りの前記スイッチボタンを操作したときの前記ネックの前記背面部の変形状態が異なるように、前記所定の1以上のスイッチボタンに対応する連動機構の構造が定められている請求項5に記載の音楽演奏ゲーム装置用コントローラ。
【請求項9】
プレイヤの一方の手で握られるネックと、前記プレイヤの他方の手で操作される操作部を備えた本体と、前記ネックを握った前記一方の手の指で操作されるスイッチボタンが前記ネックの前面部に配置されている複数のスイッチとを備えた音楽演奏ゲーム装置用コントローラと、表示画面を備えた表示装置と、
前記音楽演奏ゲーム装置用コントローラからの入力指令に基づいてゲームを進行し、前記プレイヤに前記操作部を操作するタイミングを決定するための情報を前記表示画面に表示するのに必要な画像信号を前記表示装置に供給し、前記入力指令に応じて演奏音を変えるゲーム機本体とを備えた音楽演奏ゲームシステムであって、
前記スイッチは、1つの前記スイッチボタンに対して2以上の接点を有して、前記スイッチボタンを押す位置によってオン状態になる接点が異なるように構成された多接点スイッチであり、
前記音楽演奏ゲーム装置用コントローラは、前記複数のスイッチに対応して前記ネック内に配置され、対応する前記スイッチボタンが操作されたときに、前記スイッチボタンの動きと連動して動作し、前記ネックの背面部の形状を変えて、前記手の掌に前記スイッチボタンの操作状況を伝達する複数の連動機構を備えており、
前記スイッチは、1つの前記スイッチボタンに対して2以上の接点を有して、前記スイッチボタンを押す位置によってオン状態になる接点が異なるように構成された多接点スイッチであり、
前記ゲーム機本体は、1つの前記スイッチの前記2以上の接点のオン状態に応じて前記演奏音の音程及び音色の少なくとも一方を変更するように構成されている音楽演奏ゲームシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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