説明

音楽選曲再生方法

【課題】リスナーの状況、自車の状況及び自車の周辺状況を反映した楽曲を常時聴く。
【解決手段】予め設定した自車の状況、自車の周辺状況及びリスナーの状況を表すパラメタと、各パラメタに対応付けした複数の選択値とを取得する工程と、入力される各楽曲のデータを検索して前記選択値が特定できるものを曲属性値とし、特定できないものを全てとする曲属性値とし、楽曲ごとに楽曲データとして集合1乃至集合Nのいずれかの集合に格納する工程と、リスナー、自車及び自車の周辺状況の現在情報から前記選択値を選定してキーワードとする工程と、選定した集合の各楽曲データの各パラメタの曲属性値とキーワードとの一致度を判定して採点を行いパラメタ点数を求め、かつ全てのパラメタ点数の和を算出して各楽曲データのパラメタ総合点数を求める工程と、点数の高い楽曲データを上位からT個選択する工程と、上位の楽曲データから順次下位の楽曲データの音源データをオーディオ装置に送って楽曲を再生する再生工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は音楽自動選曲方法に係わり、例えば、車載用オーディオ装置の音楽選曲再生方法、及び携帯用オーディオ装置の音楽選曲再生方法に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者の利便性を考慮し、車には自車の地図上での位置を認識できるカーナビゲーション装置(車載用ナビゲーション装置)が搭載される傾向にある。また、このカーナビゲーション装置とオーディオ装置を一体化したもの、即ち、カーナビゲーション装置を装備する車載用オーディオ装置も開発されている。
【0003】
このようなカーナビゲーション装置を装備する車載用オーディオ装置の一つとして、ドライブの進行に同期して所望の音楽を放送して快適なドライブ環境を実現する技術が開発されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に開示されている装置では、例えば、出発地から目的地までのルート上もしくは任意の地点とこの任意の地点におけるオーディオ装置の動作の定義の登録を搭乗者が入力しておくことによって、車両が登録された地点の付近に到達した際、この登録された地点に対して定義された動作をオーディオ装置に指示する構成になっている。従って、車両が前記登録された地点の付近に到達すると、搭乗者はあらかじめ設定した音楽を聴くことができる。
【0005】
また、ルートに合わせて設定した音楽を再生する方法とは異なり、自車及び自車の周辺の状況に関連付けた楽曲を自動的に再生するオーディオ装置(音楽自動選曲システム)を備えた車載用ナビゲーションシステムが提案されている(例えば、特許文献2)。
【0006】
特許文献2には、予め設定した各状況要素に対して複数のキーワードを対応付けした第1の対応情報を記憶し、楽曲と、該楽曲が記録されている記録媒体及び記録位置を特定する情報と、前記楽曲に付されたキーワードとを対応付けした第2の対応情報を記憶し、前記各状況要素の現在値を認識するための計測または情報収集を行い、該得られた情報及び前記第1の対応情報に基づいて、前記各状況要素ごとにキーワードを選択し、該選択されたキーワードと、前記第2の対応情報で各楽曲と対応付けされたキーワードとを比較して、少なくとも一部のキーワードが一致する楽曲を自動検索し、該検索で検出された楽曲を自動的に再生する構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−30526号公報
【特許文献2】特開2001−324335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
自動車の車内での音楽再生において、通常搭乗者の聞きたい音楽は、搭乗者がCD、カセット等で持ち込みオーディオ装置で再生する必要がある。持ち込まないとすれば、ラジオ等で流れる音楽を聴くことになるが、搭乗者、即ち、聴く者(リスナー)にとって好みの音楽ではないものも放送される。
【0009】
従来、好みの音楽を格納したCD、カセット等を車内に持ちこんで音楽を楽しむ積極的リスナーとは異なり、多くはラジオ等から流れる音楽放送のみを聴く消極的リスナーをターゲットとして前述のような音楽自動選曲システムとカーナビゲーション装置を一体化した装置(カーナビゲーション装置を装備する車載用オーディオ装置)が提案されている。
【0010】
本発明者は従来の消極的リスナーをターゲットとする音楽再生方法(音楽自動選曲システム)について分析検討した結果、以下のことを確認した。
【0011】
(1)従来の消極的リスナーをターゲットとする音楽再生方法(音楽自動選曲システム)は、単にキーワードの比較で、一部が合致する楽曲を検索する方法であることから、状況に適した楽曲を選曲し難い嫌いがある。
【0012】
(2)楽曲の検索においては、リスナーの状況、即ち、リスナーの気分、好み等の感情を反映したパラメタによる選曲がなされていない。
【0013】
(3)キーワードが合致するものを検索する場合には、状況が変化しないと同じ楽曲が何度も繰り返して再生され飽きるおそれがある。
【0014】
(4)楽曲データを全件検索するため、記録する楽曲数が増えると、楽曲データの検索処理にかかる負荷(検索処理時間)が大きくなるおそれがある。
【0015】
(5)楽曲データはリスナー自身が用意する必要があり、消極的リスナーには向かない。
【0016】
本発明の目的は、リスナーの好み及び気分、自車及び自車の周辺の状況を反映した音楽を常時聴くことができる音楽選曲再生方法を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、続けてあるいは頻繁に同じ楽曲を再生しない音楽選曲再生方法を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、楽曲を選曲するための検索処理の負荷が小さい音楽選曲再生方法を提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、記録する楽曲数が増えても検索処理時間を短縮できる音楽選曲再生方法を提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、楽曲データをデジタルラジオ放送からダウンロードする音楽選曲再生方法を提供することにある。
【0021】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面からあきらかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0023】
(1)音楽選曲再生方法は、
楽曲を再生する車載用オーディオ装置の音楽選曲再生方法であって、
予め設定した自車の状況を表すパラメタ及び自車の周辺状況を表すパラメタ並びにリスナーの状況を表すパラメタと、前記各パラメタに対応付けした複数の選択値とを記憶し、
入力される各楽曲のデータから音源データと曲属性データを取得して各楽曲に対応する楽曲データを作成し、
前記楽曲データには、前記各楽曲の前記曲属性データを検索して前記選択値のうちの一つを選定できる場合はその選択値を曲属性値とし、選定できない場合は特別選択値として「全て」を曲属性値とした曲属性値リストと、前記楽曲の最終再生日時を記録するデータを有し、
さらに前記楽曲データをその楽曲の選曲者ごとに区分けする集合1乃至集合Nのファイルのいずれかの集合に振り分けておき、
楽曲再生は、
(a)リスナーによる前記集合1から前記集合Nのうちのいずれかの集合を選択する集合選択工程、
(b)前記自車に備えられた機器から取得するデータ及び前記リスナーによって入力されるデータに基づいて前記複数の選択値から一つの選択値を選んでキーワードとし、前記キーワードと選択された前記集合に格納されている全ての前記楽曲データにおける前記曲属性値とを比較判定して致、不一致、「全て」に基づいて採点を行い前記各パラメタのパラメタ点数を求め、かつ全ての前記パラメタの前記パラメタ点数の合計を算出してパラメタ総合点数であるスコア値を求める採点工程、
(c)前記各楽曲データにおいて前記曲属性値が予め設定されている最低限一致条件のキーワードに対して不一致であるものを選曲候補から除外する除外工程、
(d)前記各楽曲データに含まれる前記楽曲の前記最終再生日時と現日時を比較し、一定時間を経過していない前記楽曲データを選曲候補から除外する除外工程、
(e)前記スコア値の高い前記楽曲データを上位からT個選択する選曲工程、
(f)前記スコア値の高いT個の前記楽曲データの順位を任意に並び替えるランダマイズ工程、
(g)前記ランダマイズ工程で並び替えられた順に前記楽曲データの楽曲データを前記オーディオ装置に送って再生する再生工程、
(h)前記楽曲の再生が終了した時点で前記楽曲が前記T個目の曲であるか否かを判定し、前記T個目の曲である場合は上記採点工程(b)に戻り再び前記集合内の採点を行い、前記T個目の曲でない場合は次の工程に進む判定工程、
(i)前記判定工程(h)の後、再生の停止要請があるか否かを判定し、停止要請がない場合は上記再生工程(g)に戻り次の前記楽曲の再生を続け、停止要請がある場合は次の工程に進む判定工程、
(J)前記判定工程(i)の後、音楽選曲再生を終了する終了工程、
を有することを特徴とする。
【0024】
前記キーワードと前記曲属性値との一致度を判定する際、前記キーワードと前記曲属性値が一致の場合ファクタ値2とし、前記キーワードと前記曲属性値が不一致の場合ファクタ値0とし、前記曲属性値が「全て」の場合ファクタ値1とすることを特徴とする。
【0025】
前記パラメタは、春、夏、秋及び冬を選択値とする季節パラメタ、週初め、週中、週末及び休日を選択値とする曜日パラメタ、朝、昼、夕方、夜及び深夜を選択値とする時間帯パラメタ、低速、中速及び高速を選択値とする速度パラメタ、都市、郊外、海辺及び山間部を選択値とする目的地パラメタ、晴れ、曇り、雨及び荒天を選択値とする天候パラメタ、爽快、普通、不快及び寂しいを選択値とする気分パラメタを少なくとも有していることを特徴とする。
【0026】
前記集合選択工程(a)の次に、(k)現在の日付時刻と前記自車の走行速度を取得する工程、を有し、前記日付時刻から前記季節・曜日・時間帯パラメタの前記キーワードを選定し、前記走行速度から前記速度パラメタの前記キーワードを選定することを特徴とする。
【0027】
前記楽曲データの作成においては、
前記楽曲から音源データ及び曲属性データを取得し、
前記音源データ、前記曲属性データ及び前記複数の選択値を基にして、
音源データと、
曲属性レコード項目として、前記楽曲の識別番号を示す曲ID、前記楽曲のパラメタ毎の選択値を表すデータである曲フィーリング、前記楽曲のタイトルを示す曲タイトル、前記楽曲を演奏しているアーティスト名、前記楽曲の音源データを表す音源インデックスの各項目を有する曲属性リストと、
スコアデータレコード項目として、前記楽曲の識別番号を示す曲ID、前記楽曲を現時点の前記各キーワードで採点した値を示す曲スコア値、前記リスナーに指定された曲に対する好みの度合いを数値で示す好み度、最後に前記楽曲が再生された日時を示す最終再生日時の各項目を有するスコアデータリストを作成することを特徴とする。
【0028】
前記曲フィーリングでは、
パラメタとして、春、夏、秋及び冬を選択値とする季節パラメタ、週初め、週中、週末及び休日を選択値とする曜日パラメタ、朝、昼、夕方、夜及び深夜を選択値とする時間帯パラメタ、低速、中速及び高速を選択値とする速度パラメタ、都市、郊外、海辺及び山間部を選択値とする目的地パラメタ、晴れ、曇り、雨及び荒天を選択値とする天候パラメタ、爽快、普通、不快及び寂しいを選択値とする気分パラメタを少なくとも有し、
かつ前記曲フィーリングでは、前記曲属性値リストは各パラメタの選択値を表示した曲属性値または特別選択値による全てで構成されていることを特徴とする。
【0029】
前記楽曲の入力は、地上波デジタル音声放送からの入力及び外部記憶メディアからの入力のうちの一つあるいは二つで入力することを特徴とする。
【0030】
前記採点工程(b)の前記キーワードの選定は、カーナビゲーション装置、GPS、センサ、タッチパネルからの入力データをもとに選定することを特徴とする。
【0031】
(2)上記(1)の手段において、前記採点工程(b)では、前記各パラメタにそれぞれ所定の重み値を乗算し合計してスコア値を求めることを特徴とする。前記パラメタは季節、曜日、時間帯、速度、目的地、天候、気分の各パラメタとなり、前記重み値は予め設定している初期設定データの内容により変更可能であることを特徴とする。
【0032】
(3)上記(1)の手段において、前記再生工程(g)の段階でリスナーに選択させた楽曲の好み度を、前記工程(d)で前記スコア値に加える工程、を有することを特徴とする。
【0033】
(4)上記(1)の手段において、
前記パラメタである前記天候の前記キーワードの選定は、
前記自車に取り付けられる温湿度センサによって検出される温度及び湿度と、前記自車に取り付けられるワイパー動作センサによって検出されるワイパーの動作形態とによって選定するものであり、
予め温度及び湿度を複数の温度域及び複数の湿度域に区分し、かつ前記ワイパーの動きを停止、低速動作及び高速動作の動作形態に区分し、
前記区分の組み合わせで前記天候の前記選択値である晴れ、曇り、雨、荒天をキーワードとして選定することを特徴とする。
【0034】
(5)音楽選曲再生方法は、
楽曲を再生する携帯用オーディオ装置の音楽選曲再生方法であって、
予め設定したリスナーの状況を表すパラメタ及びリスナーの周辺状況を表すパラメタと、前記各パラメタに対応付けした複数の選択値とを記憶し、
入力される各楽曲のデータから音源データと曲属性データを取得して各楽曲に対応する楽曲データを作成し、
前記楽曲データには、前記各楽曲の前記曲属性データを検索して前記選択値のうちの一つを選定できる場合はその選択値を曲属性値とし、選定できない場合は特別選択値として全てを曲属性値とした曲属性値リストと、前記楽曲の最終再生日時を記録するデータを有し、
さらに前記楽曲データをその楽曲の選曲者ごとに区分けする集合1乃至集合Nのファイルのいずれかの集合に振り分けておき、
楽曲再生は、
(a)リスナーによる前記集合1から前記集合Nのうちのいずれかの集合を選択する集合選択工程、
(b)前記携帯用オーディオ装置に備えられた前記ナビゲーション装置を含む機器から取得するデータ及び前記リスナーによって入力されるデータに基づいて前記複数の選択値から一つの選択値を選んでキーワードとし、前記キーワードと選択された前記集合に格納されている全ての前記楽曲データにおける前記曲属性値とを比較判定して一致、不一致、「全て」に基づいて採点を行い前記各パラメタ毎のパラメタ点数を求め、かつ全ての前記パラメタ点数の合計を算出してパラメタ総合点数であるスコア値を求める採点工程、
(c)前記各楽曲データにおいて前記曲属性値が、予め設定されている最低限一致条件のキーワードに対して不一致であるものを選曲候補から除外する除外工程、
(d)前記各楽曲データに含まれる前記楽曲の前記最終再生日時と現日時を比較し、一定時間を経過していない前記楽曲データを選曲候補から除外する除外工程、
(e)前記スコア値の高い前記楽曲データを上位からT個選択する選曲工程、
(f)前記スコア値の高いT個の前記楽曲データの順位を任意に並び替えるランダマイズ工程、
(g)前記ランダマイズ工程で並び替えられた順に前記楽曲データの楽曲データを前記オーディオ装置に送って楽曲を再生する再生工程、
(h)前記楽曲の再生が終了した時点で前記楽曲が前記T個目の曲であるか否かを判定し、前記T個目の曲である場合は上記採点工程(b)に戻り再び前記集合内の採点を行い、前記T個目の曲でない場合は次の工程に進む判定工程、
(i)前記判定工程(h)の後、再生の停止要請があるか否かを判定し、停止要請がない場合は上記再生工程(g)に戻り次の前記楽曲の再生を続け、停止要請がある場合は次の工程に進む判定工程、
(j)前記判定工程(i)の後、音楽選曲再生を終了する終了工程、
を有することを特徴とする。
【0035】
前記キーワードと前記曲属性値との一致度を判定する際、前記キーワードと前記曲属性値が一致の場合ファクタ値2とし、前記キーワードと前記曲属性値が不一致の場合ファクタ値0とし、前記曲属性値が「全て」の場合ファクタ値1とすることを特徴とする。
【0036】
前記パラメタは、春、夏、秋及び冬を選択値とする季節パラメタ、週初め、週中、週末及び休日を選択値とする曜日パラメタ、朝、昼、夕方、夜及び深夜を選択値とする時間帯パラメタ、都市、郊外、海辺及び山間部を選択値とする目的地パラメタ、晴れ、曇り、雨及び荒天を選択値とする天候パラメタ、爽快、普通、不快及び寂しいを選択値とする気分パラメタを少なくとも有していることを特徴とする。
【0037】
前記集合選択工程(a)の次に、(k)現在の日付時刻を取得する工程、を有し、前記日付時刻から前記季節・曜日・時間帯パラメタの前記キーワードを選定することを特徴とする。
【0038】
前記楽曲データの作成においては、
前記楽曲から音源データ及び曲属性データを取得し、
前記音源データ、前記曲属性データ及び前記複数の選択値を基にして、
音源データと、
曲属性レコード項目として、前記楽曲の識別番号を示す曲ID、前記楽曲のパラメタ毎の選択値を表すデータである曲フィーリング、前記楽曲のタイトルを示す曲タイトル、前記楽曲を演奏しているアーティスト名、前記楽曲の音源データを表す音源インデックスの各項目を有する曲属性リストと、
スコアデータレコード項目として、前記楽曲の識別番号を示す曲ID、前記楽曲を現時点の前記各キーワードで採点した値を示すスコア値、前記リスナーに指定された曲に対する好みの度合いを数値で示す好み度、最後に前記楽曲が再生された日時を示す最終再生日時の各項目を有するスコアデータリストを作成することを特徴とする。
【0039】
前記曲フィーリングでは、
パラメタとして、春、夏、秋及び冬を選択値とする季節パラメタ、週初め、週中、週末及び休日を選択値とする曜日パラメタ、朝、昼、夕方、夜及び深夜を選択値とする時間帯パラメタ、都市、郊外、海辺及び山間部を選択値とする目的地パラメタ、晴れ、曇り、雨及び荒天を選択値とする天候パラメタ、爽快、普通、不快及び寂しいを選択値とする気分パラメタを少なくとも有し、
かつ前記曲フィーリングでは、前記曲属性値リストは各パラメタの選択値を表示した曲属性値または特別選択値による全てで構成されていることを特徴とする。
【0040】
前記楽曲の入力は、地上波デジタル音声放送からの入力及び外部記憶メディアからの入力のうちの一つあるいは二つで入力することを特徴とする。
【0041】
前記採点工程(b)の前記キーワードの選定は、GPS、センサ、タッチパネルからの入力データをもとに選定することを特徴とする。
【0042】
(6)上記(5)の手段において、前記採点工程(b)では、前記各パラメタにそれぞれ所定の重み値を乗算し合計してスコア値を求めることを特徴とする。前記パラメタは季節、曜日、時間帯、目的地、天候、気分の各パラメタとなり、前記重み値は予め設定している初期設定データの内容により変更可能であることを特徴とする。
【0043】
(7)上記(5)の手段において、前記再生工程(g)の段階でリスナーに選択させた楽曲の好み度を、前記工程(d)で前記スコア値に加える工程、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0044】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0045】
上記(1)の手段によれば、(a)リスナーは集合1乃至集合Nのうちの一つの集合を選択操作するだけで、その後は自動的に処理がなされ、現在の自車の状況、現在のリスナーの状況及び現在の自車周辺の状況にあった楽曲が、順次T曲再生される。楽曲の選択、換言するならば、楽曲データの選択は以下の順に行われる。即ち、最初に自車の状況を表すパラメタ、自車の周辺状況を表すパラメタ、及びリスナーの状況を表すパラメタの各パラメタの曲属性値とキーワードの比較判定採点によって各パラメタのパラメタ点数を算出する。つぎに全ての前記各パラメタ点数の合計の算出によってスコア値を算出する。その後、最低限一致条件に対して不一致である楽曲の除外、好み度のスコア値への加算、最後に再生された日時と現時刻を比較し一定時間を経過していない楽曲の削除を行う。つぎにスコア値の上位からT個目(T番目)のものを上位から選択し、T個の選択集合の中でその順位をランダマイズして、その結果の順位で楽曲データを順次オーディオ装置に送って楽曲の再生を行う。この結果、現在の自車の状況及び現在の自車周辺状況に合うだけの楽曲ではなく、現在のリスナーの状況(気分)に合った楽曲を聞くことができ、かつ同じ楽曲の再生頻度を下げて、満足でかつ快適な音楽を楽しむことができる。従って、リスナーは快適なドライブを楽しむことができる。
【0046】
(b)前記楽曲の採点においては、リスナーが選択した前記集合の楽曲データ(楽曲)のみを採点することから、広い意味でのそのときの気分/好みにあった選択が行われ、採点時間の短縮が可能になり、選曲待ち時間の短縮を図ることができる。
【0047】
(c)前記除外工程では、各楽曲データの中から前記最低限一致条件に対して不一致の場合、その楽曲を選曲候補から除外することから、例えば、最低限一致条件を季節パラメタとすれば、季節外れの楽曲などの再生を防止することができる。また選曲対象の楽曲データの数も少なくなり、選曲待ち時間をさらに短縮できる。
【0048】
(d)前記T個の前記楽曲データに対応する前記楽曲の再生が終了した後、再びT個の前記楽曲データを自動的に選択することができることから、引き続いてリスナーの好みの楽曲の再生を行うことができる。この場合、最終再生時刻から現時刻に至る時間が一定時間を経過していない楽曲は除外されるリピートガード機能が発揮されるため、一定期間内に同じ楽曲が選択・再生されることを防止することができる。従って、リスナーは繰り返して同じ楽曲を聴くこともなく飽きが来ない。また、別の選曲者の選曲した楽曲を聴きたい場合は、他の集合を選択することによって同様にリスナーの気分に合いかつ自車の状況及び自車周辺状況に合う楽曲を聴くことができる。
【0049】
(e)所定の集合の全ての前記楽曲データの前記曲属性値が、それぞれ対応する前記キーワードと一致、不一致及び「全て」のいずれに対応するかの比較判定を行いかつ採点を行う。そして、この採点をもとにして楽曲が選択される。また、スコア値の高いものからT個目までのものを選択し再生することから、自車及び自車の周辺の状況及びリスナーの気分を反映した楽曲が順次演奏されることになり、リスナーは満足かつ快適に音楽を楽しむことができる。
【0050】
(f)楽曲の取得は、外部記憶メディアを自車に持ち込み、ナビゲーション装置の外部記憶メディア装着部に装着して楽曲の追加を行うことができる。また、リスナーの受信操作によって地上波デジタル音声放送からも自動的に取得できるため、消極的リスナーにとっては何ら意識せずに新たな楽曲を聴くことができるため、さらに好ましいものとなる。
【0051】
上記(2)の手段によれば、上記(1)の手段による効果に加え、前記各パラメタにそれぞれ所定の重み値を付けて採点を行うことから、フィルタリング機能が発揮されて季節、天候、目的地等に上位の重み付けをした場合、それらの条件にそぐわない楽曲は選択されにくくなる。例えば、重要性の高い季節、天候、目的地に高い重み付けを設定すれば、時間帯、曜日等重み値が低い他のパラメタが一致していても、スコア値が低くなるため、選択されにくくなり、季節、天候、目的地にそぐわない楽曲を除外させることができる。
【0052】
上記(3)の手段によれば、上記(1)の手段による効果に加え、楽曲の再生時に、リスナーの好み情報である好き、嫌い、普通のデータを指定することができる。この指定により、好き、嫌い、普通のデータをスコア値に加算して反映させることができるため、前記指定以後の楽曲の検索・再生にはこの好み情報も加味されて再生楽曲が選択されることになり、テイスティング機能が発揮され、リスナーは自己の好みを蓄積することによってさらに好感度の高い楽曲を聴くことができるようになる。
【0053】
上記(4)の手段によれば、天候パラメタの選択値を選択して現在の天候状態(キーワード)を決める方法としては、上述のように温湿度センサの検出による温度及び湿度と、ワイパー動作センサの検出によるワイパーの動作形態から、現在の天候が、晴れ、曇り、雨、荒天のいずれかであるかを検出することができる。
【0054】
上記(5)の手段によれば、(a)リスナーは集合1乃至集合Nのうちの一つの集合を選択操作するだけで、その後は自動的に処理がなされ、現在のリスナーの状況及び現在のリスナー周辺の状況に総合的に近い楽曲が、選曲された最上位の曲から順次T曲再生される。楽曲の選択、換言するならば、楽曲データの選択は以下の順に行われる。即ち、最初にリスナーの周辺状況を表すパラメタ、及びリスナーの状況を表すパラメタの各パラメタの曲属性値と、キーワードの比較判定採点によって各パラメタのパラメタ点数を算出する。つぎに全ての前記各パラメタ点数の合計の算出によってスコア値を算出する。つぎにスコア値の上位からT個目(T番目)のものを上位から選択し、オーディオ装置に送って楽曲の再生を行う。この結果、現在のリスナーの周辺状況に合うだけの楽曲ではなく、現在のリスナーの状況(気分)に合った楽曲を聞くことができ、リスナーは満足でかつ快適な音楽を楽しむことができる。
【0055】
(b)前記楽曲の採点においては、リスナーが選択した前記集合の楽曲データ(楽曲)のみを採点することから、採点時間の短縮が可能になり、選曲待ち時間の短縮を図ることができる。
【0056】
(c)前記除外工程では、各楽曲データの中から、予め設定されている最低限一致条件のキーワードに不一致でもあるものを選曲候補から除外することから、選曲対象の楽曲データの数も少なくなり、選曲待ち時間をさらに短縮できる。
【0057】
(d)前記T個の前記楽曲データに対応する前記楽曲の再生が終了した後、再びT個の前記楽曲データを自動的に選択することができることから、引き続いてリスナーの好みの楽曲の再生を行うことができる。この場合、最終再生時刻から現時刻に至る時間が一定時間を経過していない楽曲は除外されるリピートガード機能が発揮されるため、一定期間内に同じ楽曲が選択・再生されることを防止することができる。従って、リスナーは繰り返して同じ楽曲を聴くこともなく飽きが来ない。また、別の選曲者の選曲した楽曲を聴きたい場合は、他の集合を選択することによって再度同様の選曲手続きが行われ、リスナーの周辺状況及びリスナーの気分に合う楽曲を聴くことができる。
【0058】
(e)所定の集合の全ての前記楽曲データの前記曲属性値が、それぞれ対応する前記キーワードと一致、不一致及び「全て」のいずれに対応するかの比較判定を行いかつ採点を行う。そして、この採点をもとにして楽曲が選択される。また、スコア値の高いものからT個目までのものを選択しオーディオ装置で再生することから、リスナーの周辺の状況及びリスナーの気分を反映した楽曲が演奏されることになり、リスナーは満足かつ快適に音楽を楽しむことができる。
【0059】
(f)楽曲の取得は、外部記憶メディアを自車に持ち込み、ナビゲーション装置の外部記憶メディア装着部に装着して楽曲の追加を行うことができる。また、リスナーの受信操作によって地上波デジタル音声放送から自動的に取得できるため、消極的リスナーにとっては何ら意識せずに新たな楽曲を聴くことができるため、さらに好ましいものとなる。
【0060】
上記(6)の手段によれば、上記(5)の手段による効果に加え、前記各パラメタにそれぞれ所定の重み値を付けて採点を行うことから、フィルタリング機能が発揮されて季節、天候、目的地等に上位の重み付けをした場合、それらの条件にそぐわない楽曲は選択されにくくなる。例えば、重要性の高い季節、天候、目的地に高い重み付けを設定すれば、時間帯、曜日等重み値が低い他のパラメタが一致していても、スコア値が低くなるため、選択されにくくなり、季節、天候、目的地にそぐわない等の楽曲を除外させることができる。
【0061】
上記(7)の手段によれば、上記(5)の手段による効果に加え、楽曲の再生時に、リスナーの好み情報である好き、嫌い、普通のデータを指定することができる。この指定により、好き、嫌い、普通のデータをスコア値に加算して反映させることができるため、前記指定以後の楽曲の検索・再生にはこの好み情報も加味されて再生楽曲が選択されることになり、テイスティング機能が発揮され、リスナーは自己の好みを蓄積することによってさらに好感度の高い楽曲を聴くことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施例1である音楽選曲再生方法で使用する音楽選択再生装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】前記音楽選択再生装置において、パラメタを取得する手段を示すブロック図である。
【図3】前記音楽選曲再生装置において、楽曲データベースを取得する手段を示すブロック図である。
【図4】実施例1の音楽選択再生方法を示すフローチャートである。
【図5】実施例1の音楽選曲再生方法における各パラメタと各パラメタの選択値等を示す図表である。
【図6】実施例1の音楽選曲再生方法におけるデータベースの構成、各楽曲の楽曲データ内容を示す図表である。
【図7】前記音楽選択再生装置の初期操作画面を示す画面例である。
【図8】前記音楽選択再生装置の目的地/気分パラメタ選択画面を示す画面例である。
【図9】前記音楽選択再生装置の楽曲再生時の画面例である。
【図10】実施例1の音楽選曲再生方法における車の平均速度を取得する方法を説明する図及び数式である。
【図11】実施例1の音楽選択再生方法における天候パラメタの取得方法を説明するための図表である。
【図12】実施例1の音楽選択再生方法における楽曲の採点方法を示す図表である。
【図13】実施例1の音楽選択再生方法におけるフィルタリング機能を示す図表である。
【図14】実施例1の音楽選択再生方法におけるテイスティング機能を示す図表である。
【図15】実施例1の音楽選曲再生装置を用いる音楽選択再生方法における楽曲データベース追加方法を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施例2である携帯型ミュージックサーバにおける音楽選曲再生方法を行う音楽選曲再生装置の機能構成を示すブロック図である。
【図17】実施例2の音楽選択再生方法を示すフローチャートである。
【図18】実施例2の音楽選択再生方法におけるパラメタ選択画面を示す画面例である。
【図19】実施例2の音楽選択再生方法における楽曲の採点方法を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【実施例1】
【0064】
実施例1は、カーナビゲーション装置と共に使用される車載用オーディオ装置の音楽選曲
【0065】
再生方法に係わるものである。図1乃至図15は本発明の実施例1である音楽選曲再生方法に係わる図である。図1は本発明の実施例1である音楽選曲再生方法で使用する音楽選択再生装置の機能構成を示す模式的なブロック図である。
【0066】
音楽選曲再生装置1は、図1に示すように、所定のデータを受けて楽曲を再生するオーディオ装置4と、所定のデータを受けて画面にデータを表示する表示装置7とを有している。オーディオ装置4は楽曲再生制御部3から指定される音源データを音声として出力する。表示装置7は表示制御部6から指定される表示データを出力する。
【0067】
音楽選曲再生装置1は、自車及び自車の周辺状況並びにリスナーの気分等を各パラメタとして入力するパラメタ入力部8を有しているか、もしくはカーナビゲーションシステム2とのデータ授受を行うようになっている。パラメタ入力部8は、GPS(Global PosiTioning SysTem)10、センサ12、タッチパネル13を少なくとも有している。
【0068】
GPS(全地球測位システム)10は複数の周回衛星からの電波をアンテナ9で受信して、日付時刻、および緯度、経度を特定する。
【0069】
センサ12には図示はしないが各種のセンサが配置されている。リスナーが乗車する自動車(自車)には各種のセンサが搭載されているが、音楽選曲再生方法で使用するセンサとしては、例えば、温度及び湿度を測定する温湿度センサ、自動車のフロントガラスの水滴を除去する作業を行うワイパーの動作形態を検出するワイパー動作センサがある。ワイパー動作センサは、ワイパーの停止、低速動作及び高速動作の動作形態(区分)をセンシング(検出)する。
【0070】
タッチパネル13は、表示装置7内のディスプレイ装置表面に内蔵されているものであり、ディスプレイの表示面への接触を表示面座標として入力することができる構造になっている。
【0071】
カーナビゲーションシステム2は、リスナーともなるドライバに、GPSにより取得した自車の位置をディスプレイを介して教え、目的地まで円滑に走行できる経路を見つけて、ドライバを誘導かつ案内する支援システムである。カーナビゲーションシステム2が含まれる場合は、パラメタ入力部8、および出力部5はカーナビゲーションシステム2と音楽選曲再生装置1とで共有する。この場合、パラメタ入力制御部14は図2に示す方法2によって、カーナビゲーションシステム2から変換済みのデータとしてパラメタを入力することができる。
【0072】
実施例1の音楽選曲再生方法では、パラメタ入力部8より入力されるデータを変換することによって、それらを独自の選曲アルゴリズムのパラメータとする。パラメータとしては、GPS10、およびセンサ12から入力される自車および自車周辺情報と、タッチパネル13から入力されるリスナーの情報(指示)がある。
実施例1におけるパラメタは、図5の表の左端に列挙されているように、季節、曜日、時間帯、走行速度、目的地、天候、気分と7つのパラメタで構成される。そして、各パラメタは複数の選択値を有している。これは、自車の状況、自車の周辺状況、およびリスナーの状況の各現時点の状況を示すキーワード、あるいは各楽曲の属性値となるものである。これらパラメタは、前記曲属性値と前記キーワードとの一致度を採点することにより、その楽曲が状況に適う度合いを点数評価するためのものである。採点された点数をスコア値とよび、そのスコア値の最も上位のものから順次T番目(T個目)のものを選択し、オーディオ装置4で再生するものである。
【0073】
各パラメタはそれぞれ複数の選択値を有するが、楽曲の曲属性としては、いずれか一つの選択値が選択されて曲属性値となる。この場合、一つの選択値を選ぶことができないときは前記選択値に変えて特別選択値として「全て(ALL)」が与えられる。
【0074】
例えば、季節パラメタの場合は、選択値が春、夏、秋、冬となるが、楽曲のデータ(曲属性データ)に春、夏、秋、冬のいずれかの季節が存在するか、また季節を特定できるかを、楽曲の選曲者が決定し設定する。このとき、季節を特定できる場合はその特定できる季節を曲属性値とし、特定できない楽曲の場合は特別選択値である「全て(ALL)」を季節パラメタの曲属性値とする。この関係は他のパラメタにおいても同様である。パラメタ及び選択値は、図5に示してある。
【0075】
季節パラメタにおける選択値は春、夏、秋及び冬である。3月〜5月を春とし、6月〜8月を夏とし、9月〜11月を秋とし、12月〜2月を冬としてある。
【0076】
曜日パラメタにおける選択値は週初め、週中、週末及び休日である。月曜日を週初めとし、火曜日〜木曜日を週中とし、金曜日を週末とし、土曜日〜日曜日を休日としてある。
【0077】
時間帯パラメタにおける選択値は朝、昼、夕方、夜及び深夜である。4:00〜10:00未満を朝とし、10:00〜16:00未満を昼とし、16:00〜19:00未満を夕方とし、19:00〜22:00未満を夜とし、22:00〜4:00未満を深夜としてある。
【0078】
速度パラメタにおける選択値は低速、中速及び高速である。自動車の走行速度が30km/hr未満を低速とし、30〜60km/hr未満を中速とし、60km/hr以上を高速としてある。
【0079】
目的地パラメタにおける選択値は都市、郊外、海辺及び山間部である。
【0080】
天候パラメタにおける選択値は晴れ、曇り、雨及び荒天である。
【0081】
気分パラメタにおける選択値は爽快、普通、不快及び寂しいである。
【0082】
図12の左上には、ある楽曲の曲属性値が示されている。また、図12の右上には、現時点のパラメタとそれをキーワード化した内容が示されている。
【0083】
前記曲属性値と、前記キーワードとの一致度の判定が行われ、キーワードと曲属性値が一致する場合を点数(ファクタ値)2とし、不一致の場合を点数(ファクタ値)0とし、曲属性値が特別選択値である「全て(ALL)」である場合を点数(ファクタ値)1とするものである。図12の左中段にはファクタ値が示されている。
【0084】
また、図12の右中段に示すように、各パラメタには、採点時にパラメタの影響度合いを示す一桁から二桁に及ぶ重み値(ファクタ重み値)が付けられている。実施例1の場合、重み値は前記季節が最も大きく、以下天候、目的地、速度、気分、時間帯、曜日と順次小さくなっている。これら各重み値の数値はこれに限定されるものではなく、実施例に応じて決定する。
【0085】
パラメタ入力部8のデータは、図2に示すように、パラメタ入力制御部14に送られる。パラメタ入力制御部14は、パラメタ入力部8から入力された前記各パラメタの入力値をパラメタ変換してキーワードを決定する。パラメタ変換とは、GPS10からの現時刻情報を季節、曜日、および時間帯キーワードを決定し、位置情報の差分から速度キーワードを決定する。またセンサ12から入力される温度、湿度、およびワイパー動作値から天候キーワードを決定し、さらに、タッチパネルからの入力座標値を画面上のボタン位置と照らし合わせて、気分、および目的地キーワードを決定することを言う。
【0086】
7つのパラメタのうち、速度は自車の状況を表すパラメタとなり、季節、曜日、時間帯、天候は自車の周辺状況を表すパラメタとなり、場所(目的地)、気分はリスナーの状況を表すパラメタとなる。そして、各パラメタの各選択値から現在の状態である選択値を選定すること、即ち、キーワードとなる選択値の選定(特定)は、パラメタ入力部8からの入力に基づいてパラメタ入力制御部14で行われる。このパラメタ入力制御部14の出力データは楽曲検索部15に送られる。また、楽曲の追加/更新を行う際には、記憶部構成制御部22に送られる。
【0087】
パラメタ入力制御部14は、表示装置7に表示する図7の画面に対して、リスナーが、タッチパネル13で選曲者名ボタンをタッチした時点で、パラメタ入力部8からのパラメタデータをキーワードに変換し、楽曲検索部15に渡す。
7つのパラメタのうち、リスナーは図8のタッチパネル13の画面から目的地の選択値(都市、郊外、海辺、山間部)と、リスナーの気分の選択値(爽快、普通、不快、寂しい)を入力する。そして、この入力によって選定された選択値がキーワードになる。
【0088】
パラメタの季節、曜日、時間帯のキーワードは、GPS10からの日付時刻情報から各選択値を選定することによって得られる。例えば、GPS10の情報が2005年7月20日、10時20分50秒である場合、図5の表から、月が特定されることから季節パラメタの選択値は夏となり、季節パラメタのキーワードは夏となる。同様に日が特定されることから曜日パラメタの選択値が特定でき、曜日パラメタのキーワードが週中と決定される。同様に時刻が特定されることから、時間帯パラメタの選択値が特定され、時間帯パラメタのキーワードは昼となる。
【0089】
走行速度パラメタのキーワードは、GPS10による受信データによって得ることができる。図10に示すように、GPS10から1秒間隔で送られてくる位置情報P(x,y),P(x,y),P(x,y),P(x,y),P(xn−1,yn−1),P(x,y)において、P(x,y)からP(x,y)の平均速度(走行速度)Sを求める。
【0090】
走行速度Sはつぎの数1によって与えられる。
【0091】
〔数1〕

S=(Σ・√(Δx+Δy)/n
k=1
ここで、n:平均速度測定時間間隔
Δx:x(経度)方向の1秒間での移動量
Δx=x−xk−1
Δy:y(緯度)方向の1秒間での移動量
Δy=y−yk−1
例えば、数1によって得られた走行速度Sが65km/hrである場合、選択値は図4から分かるように高速が選定され、走行速度パラメタのキーワードは高速になる。
【0092】
天候パラメタのキーワードの選定は、例えば、図11に示す表から選定する。図11の表は自車に取り付けられる前述した温湿度センサによって検出される温度及び湿度と、自車に取り付けられる前述したワイパー動作センサによって検出されるワイパーの動作形態と、天候の選択値である晴れ、曇り、雨、荒天との組み合わせによる表から選定する。
【0093】
図11に示すように、ワイパーの動作形態を停止、低速、高速の3つの動作形態(区分)に分け、実際のワイパー動作がいずれの動作形態(区分)にあるかを検出する。また、図11に示すように、温度を、例えば、15℃未満の温度域、15〜25℃未満の温度域、25℃以上の温度域と3つの区分に分け、実際の温度がいずれの温度域にあるかを検出する。さらに、図11に示すように、湿度を、例えば、50%未満の湿度域、50〜70%未満の湿度域、70%以上の湿度域と3つの区分に分け、実際の湿度がいずれの湿度域にあるかを検出する。
【0094】
図11に示すように、天候の選択値である晴れ、曇り、雨、荒天の天候判断は、ワイパーの動作形態及び温度域並びに湿度域の組み合わせ、あるいは単独の区分によって決定する。これにより、ワイパー動作センサによるワイパーの動作形態と、温湿度センサによる温度域並びに湿度域によって晴れ、曇り、雨、荒天のいずれかが特定できる。
【0095】
音楽選曲再生装置1は、各楽曲のデータを入力する楽曲データ入力部16を有している。楽曲データ入力部16は、地上波デジタル音声放送(1、3セグメント放送)を入力源とするアンテナ17を備えたデジタルラジオチューナ18と、メモリーカード等の外部記憶メディアリーダー19とを少なくとも有している。
【0096】
楽曲データは、図3に示すように、これらデジタルラジオチューナ18及び外部記憶メディアリーダー19から入力される。
【0097】
楽曲データ入力部16から入力される楽曲データは、音源データ、および選曲者(集合)名を含む曲属性データとで構成される。
【0098】
デジタルラジオチューナ18によって取得された各楽曲のデータは、楽曲データ抽出部20に送られ、音源データと選曲者名を含む曲属性データとが抽出される。地上波デジタル音声放送の場合、図3に示すように、放送は音声放送とデータ放送とからなっている。そこで、音声放送とデータ放送に分離し、さらにデータ放送から音源データおよび選曲者名を含む曲属性データを取り出す。そして、この音源データおよび曲属性データが記憶部構成制御部22に送られる。
【0099】
外部記憶メディアリーダー19の楽曲の読込みデータ(出力データ)は外部記憶読込み部21に送られる。外部記憶読込み部21では楽曲のデータから音源データおよび曲属性データを読込み、読み込んだデータを記憶部構成制御部22に送る。
【0100】
記憶部構成制御部22では、パラメタ入力制御部14の出力である各選択値と、楽曲データ抽出部20、あるいは外部記憶読込み部21で抽出した音源データ、及び選曲者名を含む曲属性データとを入力し、かつ処理する。この処理は、図6に示すような音源データ35、曲属性リスト(曲属性テーブル)36及びスコアデータリスト(スコアデータテーブル)37からなる集合39のいずれかに、入力した音源データ、及び曲属性データを追加することである。集合は選曲者を示すものであり、例えば、集合の一つはある音楽評論家の選曲であり、集合の一つはあるラジオパーソナリティの選曲であり、集合の一つはある演奏家の選曲である。
【0101】
音源データ35は最終的にはオーディオ装置4に送られ、音声として再生される。
【0102】
曲属性リスト36は、図6に示すように、1曲分を1レコードとして曲属性レコードを保持している。曲属性レコード内の項目としては、楽曲の識別番号を示す曲ID、楽曲のフィーリングを表すデータである曲フィーリング、楽曲のタイトルを示す曲タイトル、楽曲を演奏しているアーティスト名、楽曲の音源データを表す音源インデックスの各項目を有している。前記曲フィーリング項目には、既に説明した7個のパラメタ値が格納されている。
【0103】
スコアデータリスト37は、図6に示すように、1曲分を1レコードとしてスコアデータレコードを保持している。スコアデータレコード内の項目としては、楽曲の識別番号を示す曲ID、現時点のキーワードで採点された曲スコア値、リスナーが楽曲の再生時に指定する好み度、最後に楽曲が最後に再生された時の日時を示す最終再生日時の各項目を有している。楽曲が新規に取得された時点では、スコア値、好み度、最終再生日時の各項目は空欄になっている。
【0104】
リスナーは楽曲再生時に好み度をタッチパネル13を使用して楽曲選択の採点に反映させることができる。リスナーは図9に示すタッチパネルの楽曲再生画面60をタッチ操作して好み度を入力することができる。楽曲再生画面60には、好き、嫌いと表示された好み度選択ボタン61が設けられていることから、音楽を聴きながら、所望の好み度選択ボタン61をタッチして、好き、嫌いのいずれかのデータを入力することができる。その楽曲の再生終了までに好き、嫌いのいずれかを選択しない場合は、好み度は変化せず、普通とされる。
【0105】
楽曲再生画面60には左上隅に選曲者名表示欄62が表示され、リスナーが選択した集合が分かるようになっている。その下にはアーティスト名表示欄63及びタイトル名表示欄64が配置されている。アーティスト名、タイトル名は、それぞれオーディオ装置4で再生中の楽曲の当該属性が表示される。また、左下隅には選曲者選択ボタン(選曲者選択画面遷移ボタン)65が配置されている。この選曲者選択ボタン65をタッチすると表示装置7には、図7に示す選曲者選択画面40が表示され、別の選曲者(集合)を選択できるようになる。
【0106】
音楽選曲再生装置1は楽曲検索部15を有している。楽曲検索部15はリスナーによって選択される選曲者による選曲の集合39にファイルされている全ての楽曲データ38を検索し、各パラメタの各キーワードに対する各曲属性値のキーワードに対する一致度(一致、不一致)及び「全て」によって点数評価し、そのスコア値の最も上位のものから順次T番目(T個目)のものを選択し、再生するようにオーディオ装置4に音源データ35を送るものである。
【0107】
図1に示す音楽選曲再生装置1の各部は、詳しく図示はしないが、いずれも主制御部11によって制御される。主制御部11は、各部への入出力の全ての指示を行い全体の制御を行うものである。
【0108】
つぎに、図4のフローチャートを参照しながら、音楽選曲再生方法について説明する。図4に示すように音楽選曲再生作業が開始される(S01)。音楽選曲再生の開始においては、表示装置7には図7に示す、選曲者選択画面40が表示される。
【0109】
音楽選曲再生の開始の状態では、既に図6に示す初期設定データ34は既に作成され、各楽曲の音源データ、および曲属性データ等は楽曲データ38として集合1乃至集合Nのいずれかに格納されている。
【0110】
つぎに、パラメタの取得(S02)が行われる。この工程では、リスナーの状況を表す目的地パラメタと気分パラメタの取得が行われる。即ち、リスナーのパラメタ入力部8からの入力、あるいはカーナビゲーションシステム2からの入力によって目的地、気分パラメタを取得する。この工程では、図7に示す選曲者選択画面40上の目的地/気分ボタン41部分へのリスナーのタッチにより図8に示す目的地/気分選択画面50が表示される。リスナーが、目的地/気分選択画面50上の目的地ボタン51のいずれか、および気分ボタン52のいずれかを選択(タッチ)したとき、パラメタ入力制御部14は、目的地、および気分パラメタのキーワードをそれぞれ決定する。その後リスナーが戻るボタン53をタッチすることにより、図7の選曲者選択画面40の画面が表示される。ここまでのリスナーによるタッチパネル操作は、以下の制御手順1によって処理されている。
【0111】
〔制御手順1〕
(1)タッチパネル13からの入力をパラメタ入力制御部14で受け取る。
(2)パラメタ入力制御部14は表示している画面と座標位置からどのボタンへのタッチかを判断し、パラメタを選択する目的地ボタン51、気分ボタン52へのタッチの場合はキーワード変換を行い、画面遷移ボタンである目的地/気分ボタン41、戻るボタン53の場合は次の画面の表示を表示制御部6に指示する。
(3)指示を受けた表示制御部6は、指示された画面を表示装置7に表示させる。
【0112】
つぎに、集合選択(S03)の工程が行われる。リスナーは、図7のタッチパネルの選曲者(集合)選択画面40から好みの選曲者の選曲者名ボタン42をタッチする。選択された選曲者は集合を意味するものであり、選曲者名ボタンのタッチによりリスナーは集合1乃至集合Nのうちのいずれかの集合を選択したことになる。リスナーが、例えば、集合1の選曲者を選択すると図6に表として示す曲属性リスト36、スコアデータリスト37、および音源データ35は、以降、集合1内のものが使用される。またこのとき初期設定データ34内の該当する集合選択回数に1追加される。図7に示す選曲者(集合)選択画面40では、画面中央の選曲者選択ボタン欄45に所定の数だけ上位の番号から下位の番号に亘って順番に表示される。実施例では上下に亘って5段表示される。選曲者(集合)選択画面40には、選曲者の選曲した集合1乃至集合Nのうち、集合1から集合5が表示されている。リスナーはいずれかの選曲者名ボタン42をタッチすることによって所望の選曲者の選曲(集合)を選択することができる。
【0113】
選曲者選択ボタン欄45内に全ての選曲者(集合)を表示しきれない場合、選曲者名ボタン(選曲者選択ボタン)42の左側の画面部分には、スクロールボタン43が表示されている。上から下に向かって、「Up」、「Page Up」、「Page Down」、「Down」ボタンが配置されている。
【0114】
「Up」ボタンをタッチすると最上位の選曲者名ボタンが一つ消え、代りに下位の選曲者名ボタンがタッチスクリーンの最下段に現れる。即ち、「Up」ボタンを一回タッチすると、選曲者選択ボタン欄45の最上段には集合2の選曲者名ボタンが表示され、最下段には集合6の選曲者名ボタンが表示されることになる。同様に、「Down」をタッチすると最下位の選曲者名ボタンが一つ消え、代りに上位の選曲者名ボタンがタッチスクリーンの最上段に現れる。「Page Down」をタッチすれば、タッチスクリーンに現れている一群の選曲者名ボタンが全て消え、現れていた集合の選曲者名ボタンよりも下位の一群の選曲者名ボタンが表示される。同様に「Page Up」をタッチすれば、タッチスクリーンに現れている一群の選曲者名ボタンが全て消え、現れていた集合の選曲者名ボタンよりも上位の一群の選曲者名ボタンが表示される。リスナーは、これらスクロールボタン43の操作で、好みの選曲者の選曲者名ボタン42を表示し、さらにその選曲者名ボタン42をタッチすることにより、その選曲者の選曲(集合)を選択する。
この工程でのリスナーによるタッチパネル操作の制御は、以下の制御手順2によって操作される。
【0115】
〔制御手順2〕
(1)タッチパネル13からの入力をパラメタ入力制御部14で受け取る。
(2)パラメタ入力制御部14は表示している画面と座標位置からどのボタンへのタッチかを判断し、選曲者選択ボタン42へのタッチの場合は使用する集合の決定を行い、スクロールボタン43の場合はスクロールボタン欄の変更を表示制御部6に指示する。
(3)指示を受けた表示制御部6は、指示された画面を表示装置7に表示させる。
【0116】
つぎに、図4に示すように、現時点の日付時刻、自車の走行速度、および天候のデータを取得し、そのキーワードを決定する工程(S04)を行う。この工程はパラメタの追加取得工程であり、集合を選択したすぐ後の所定のパラメタ情報を取得するものである。このパラメタの追加取得工程では、図2でも示しているように、カーナビゲーションシステム2からパラメタを取得する方法と、パラメタ入力部8から取得する2つの方法がある。以降で、パラメタ入力部8より入力される各種データからパラメタ(キーワード)を決定する方法を説明する。最初に、GSP10から得られる日付時刻情報からパラメタの季節、曜日、時間帯のキーワードが選定される。例えば、日付時刻情報が2005年7月20日、10時20分50秒である場合、図4の表から、月が特定されることから季節パラメタのキーワードは夏となり、同様に日が特定されることから曜日パラメタのキーワードが、週中と決定される。同様に時刻が特定されることから、時間帯パラメタのキーワードが昼と特定される。
【0117】
次にGPS10の位置情報の移動量から自車の走行速度のデータを求め、既に説明した数1によって自車の走行速度が計算される。例えば、自車の走行速度Sが65km/hrである場合、速度パラメタのキーワードは図4から分かるように高速が選定される。
【0118】
さらに、センサ(音湿度センサ、およびワイパー動作センサ)からのデータを解析し、図11に示す組み合わせから、天候パラメのキーワードを決定する。
【0119】
つぎに、図4に示すように、集合内の全曲(全楽曲データ39)の採点を付ける採点工程を行う(S05)。実施例1では集合1内の含まれる全ての楽曲データ38に設定されている曲属性の各パラメタのパラメタ点数が算出される。その後、各パラメタ点数の和を算出してパラメタ総合点数が求められる。実施例1では、単にパラメタ総合点数を求めるのではなく、各パラメタに付けた重み値(ファクタ重み値)を付けたパラメタ総合点数、即ち第1のスコア値を算出する。
【0120】
工程S02及び工程S04によって、7個のパラメタのキーワードが選定されている。また、音楽選曲再生開始前に、既に説明したように各楽曲データ38のパラメタの曲属性値が決定されている。図12の左上の曲属性の欄の内容が、ある楽曲の曲属性値である。曲属性値は、季節パラメタでは夏であり、天候パラメタでは晴であり、目的地パラメタでは海辺であり、速度パラメタ及び曜日パラメタ並びに時間帯パラメタではALL(全て)であり、気分パラメタでは爽快である。これはこの楽曲の選曲者がその楽曲が合うシチュエーションをパラメタにしたものである。
【0121】
つぎに、この曲属性値と現時点の周辺状況のパラメタのキーワードを比較判定し点数(ファクタ値)を算出する。キーワードと曲属性値が一致する場合はファクタ値は2、曲属性値がALL(全て)の場合はファクタ値は1、キーワードと曲属性値が不一致の場合はファクタ値は0となる。従って、図12の中段の左のファクタ値の欄に記載されているように、ファクタ値は、季節では2、天候では0、目的地では0、速度では1、曜日では1、時間帯では1、気分は0になる。
【0122】
一方、選曲時の採点への影響をあるパラメタでは大きく、あるパラメタでは小さくするため、各パラメタに重み付けをする点数、即ち、重み値(ファクタ重み値)を予め決める。これは、実施例1の場合、運転時に車中で流れる音楽(楽曲)としてこの選曲システムで最適化を図るために、初期設定データ34として記憶部23に保存されている。実施例1の場合、ファクタ重み値は、季節、天候、目的地、走行速度、気分、時間帯、および曜日の順に設定する。図12の中段のファクタ重み値の欄に示すように、季節では23、天候では21、目的地では19、走行速度では15、曜日では7、時間帯では9、気分は13としている。
【0123】
このファクタ重み値は、図12に示すように、各ファクタ値を対応するファクタ重み値で指定したビット数分シフト(2n−1倍)する。この各パラメタ毎に重み値を加味したパラメタ点数を算出する。
【0124】
つぎに、前記重み値を加味した各パラメタ点数の和を算出して重み値を加味したパラメタ総合点数を求める。重み値を加味したパラメタ総合点数を第1のスコア値と呼称している。図12の下段にはファクタ重み値を反映した各パラメタ点数とその合計である第1のスコア値を記載してある。
【0125】
つぎに、図4に示すように、最低限一致属性の条件で、不一致の楽曲を選曲候補から除外する除外工程を行う(S06:フィルタリング機能)。即ち、集合1内の全ての楽曲のスコア値を計算した後、最低限一致属性であるパラメタ(ファクタ重み値)との比較により、それに合わない楽曲を除外する。
【0126】
図13はフィルタリング工程で行われるフィルタリング機能を示す図表である。実施例1の場合は、季節が最低限一致属性である。季節ファクタ重み値と同様の23が最低限一致属性として指定されている。この値nを1×2n−1(1×222)した数をフィルタ条件とする。このフィルタ条件値と第1のスコア値の大小を比較し、第1のスコア値がフィルタ条件値よりも小さい場合には、最低限一致条件を満たさないとしてフィルタリング対象となり、その楽曲データ38を選曲候補から除外する。
【0127】
つぎに、図14に示すように、過去にその楽曲を再生したときにリスナーが選択した、好み度(好み)を採点に加える工程を行う(S07:テイスティング工程)。この、テイスティング工程で使用される好み度は、楽曲の再生時に、図9で示す楽曲再生画面60でリスナーがタッチパネル13から指定し、スコアデータリスト37に反映されている。
【0128】
図14はテイスティング工程で行われるテイスティング機能を示す図表である。図14に示すように、リスナーの指定により、「好み」の値は、好き=2、嫌い=0、普通=1とする点数(ファクタ値)として保持されている。また、この好み度(好み)に対して重み値(ファクタ重み値)は初期設定データ34内に予め設定されている。実施例1の場合、好みのファクタ重み値は15とする。そこで、図14に示すように、好みのファクタ値を好みのファクタ重み値で指定したビット数分シフト(2n−1倍)して好み値を求める。そして、図14の最下段の表に示すように、第1のスコア値と好み値を合算して第2のスコア値を求める。
【0129】
つぎに、図14に示すように、集合1内のすべての楽曲データ38を調べ、曲(楽曲)の最終再生時刻と現時刻を比較し、一定時間を経過していない楽曲は、選曲候補から除外する工程を行う(S08:リピートガード機能)。判定条件の一定時間は、図6に示すように初期設定データ34内に予め設定されている。
【0130】
つぎに、図14に示すように、採点結果のパラメタ総合点数(スコア値)の高い曲数曲を選択する(S09)。即ち、集合1の全ての楽曲データ38における第2のスコア値(パラメタ総合点数)を検索し、第2のスコア値が最も高い楽曲から、順次スコア値が低くなるT個の楽曲データ38を選択する。これらの楽曲はリスナーの現時点の状況に最も合っていると判定されたものであり、上位T曲が選定されたことになる。
【0131】
つぎに、図4に示すように、第2のスコア値(パラメタ総合点数)の高いT個の楽曲データ38の順番を第2のスコア値の高い低いに関係なく順番の入れ替え(ランダマイズ)を行う(S10)。これにより現時点の状況に合う楽曲が少なく、選択される楽曲が限られる場合の再生順序を変更し同じ順番での再生を防止する。
【0132】
つぎに、図4に示すように、楽曲データ38の前記で決定した順番の最も上位の楽曲の音源データ35をオーディオ装置4に送って楽曲を再生する(S11)。楽曲データ38としてファイルされた音源データ35がオーディオ装置4から再生される。
【0133】
つぎに、図4に示すように、曲(楽曲)の再生が終了した時点で、再生された楽曲が前記T個目(T番目)の曲(最後の曲)であるか否かを判定する(S12)。最後の曲(T個目の曲)である場合は工程S04に戻り、再び現時点のパラメタの追加取得を行い、上述した各工程S04〜S11を再び行って曲の再生を行う。また、最後の曲(T個目の曲)でない場合は次の工程(S13)に進む。
【0134】
S13は再生の停止要請があるか否かを判定する工程であり、停止要請がない場合は工程S11に戻り楽曲の再生を続ける。この場合、既に再生された次の順位の楽曲データ38に対応する楽曲が再生される。停止要請がある場合は次の工程(S14)に進んで音楽選曲再生を終了する。停止要請はリスナーがタッチパネル13から別の選曲者を選択しS03を実行させて場合に行われる。例えば、リスナーが楽曲再生中の図9に示す楽曲再生画面60の選曲者選択ボタン65をタッチすることによって、図7に示す選曲者選択画面40が表示され、さらに選曲者選択ボタン欄45内から別の選曲者名ボタン42(例えば、選曲者名(5))をタッチした場合に行われる。
【0135】
つぎに、楽曲データの追加方法(楽曲データベース追加更新)について説明する。
【0136】
楽曲データベース追加更新処理は常時、あるいは定期的に更新するものとする。
【0137】
楽曲データベースの更新は、図3に示すように、地上波デジタル音声放送(デジタルラジオ)に含まれるデータ放送から、音源データと属性データを取り出し、更新する方法(手段1)と、外部記憶メディアに格納された音源データと属性データで楽曲データベースを更新する方法(手段2)がある。楽曲データベースを更新することによって、常にリスナーにとって新鮮味のある楽曲を提供することができる。ただし、有限の記憶部を有効利用するために、楽曲の追加に伴い格納領域が不足した場合、リスナーの趣向に合わない、あるいは、当分視聴される可能性の低い楽曲データを削除し、新たな楽曲データを格納する領域を確保する。
【0138】
楽曲データベース追加更新処理は、図15に示すS101乃至S114の各工程によって行われる。例えば、図3に示すように、リスナーが外部記憶メディアを外部記憶メディアリーダー19に挿入するか、あるいはデジタルラジオチューナ18からの入力で楽曲データ抽出部が、楽曲データ38を受信することによって開始する(S101)。このとき取得した楽曲データの曲属性には、選曲者(集合)を表す属性も含まれている。
【0139】
つぎに、空き容量に対して追加曲サイズ(新たな楽曲データ)が大きいか否かを判定する(S102)。追加曲サイズが空き容量よりも小さい否の場合は、楽曲データを図6に示す集合39のいずれかに追加する工程(S112)に進む。即ち、記憶部23の残容量をチェックし、新たな楽曲データ(属性、音源データ)が追加可能であれば、そのデータを格納して、処理を終了する。もし残容量が不足している場合、即ち、追加曲サイズが空き容量よりも大きい良の場合は、つぎの工程(S103)に進む。
【0140】
工程S103では、直前の選曲再生時にリスナーから得られるパラメタを使用する。
【0141】
つぎに、リスナーは、集合1乃至集合Nの中から再生時の選択頻度の低い集合を選択する(S104)。集合の選択頻度は、初期設定データ34内の集合選択回数から分かる。
【0142】
つぎに、図4のS04と同様にパラメタ追加取得を行う(S105)。即ち、この工程ではカーナビゲーションシステム2から季節、曜日、時間帯、速度、天候の各選択値を取得するか、パラメタ入力部8から入力される各種データをパラメタ入力制御部14で変換することによって取得する。この選択値が各パラメタのキーワードになる。
【0143】
つぎに、図4のS05と同様に、前記選択による集合内の全曲の採点を行う(S106)。集合内の全曲(すべての楽曲データ38)の曲フィーリングの各パラメタの曲属性値に対する、S103及びS105で収集したキーワードとのマッチ度(一致度)を計算する。この計算については図4のフローチャートの説明において説明してあることから省略する。よりスコア値(第1のスコア値)の低い曲が、そのときの状況にマッチしていない曲ということになる。
【0144】
つぎに、図4のS06と同様に、最低限一致属性の条件で、一致の曲(楽曲)を選曲候補から除外する(S107:フィルタリング機能)。この工程S107のフィルタリング機能は、図4のS06のフィルタリング機能が不一致の曲を選曲候補から除外するのに対し、反対の一致の曲を選曲候補から除外する点で異なる。図13で示す処理とは反対の処理をすることによって、一致の曲を選曲候補から除外することができる。図13で示すように、最低一致属性のファクタ値nを1×2n−1数値に変換し、この値を各楽曲のスコア値と比較して、楽曲のスコア値が大きいか等しい場合、最低一致属性を満たしていると判断し、選曲(削除)候補から除外する。
【0145】
つぎに、図4のS07と同様に、過去にリスナーが選択した、曲(楽曲)の好き、嫌いを採点に加える(テイスティング機能)工程を行う(S108)。
【0146】
つぎに、図のS09とは逆の検索手法によって、採点結果のパラメタ総合点数(スコア値)の最も低い楽曲1曲を選択する(S109)。もし選択候補が無い場合には、次に選択頻度の低い集合を選択し、工程S105からの処理を実行する(S110)。
【0147】
つぎに、S109で選択されたスコア値の最も低い楽曲を削除する(S111)。
【0148】
つぎに、空き容量に対して追加曲サイズが大きいか否かを判定する(S112)。追加曲サイズが空き容量よりも小さい否の場合は、スコア値の最も低い楽曲を選択する工程(S109)に戻る。追加曲サイズが空き容量よりも大きい良の場合は、つぎの工程(S113)に進む。即ち、新たな楽曲データを追加できる空き容量ができた場合には、その楽曲データを追加して処理を終了する。工程(S113)は楽曲データをデータベース(記憶部23)内の特定の集合39内に追加する工程である。この楽曲データをデータベースに追加した後、作業は終了する(S114)。
【0149】
実施例1の音楽選曲再生方法によれば以下の効果を有する。
【0150】
(1)リスナーは集合1乃至集合Nのうちの一つの選曲者(集合)を選択操作するだけで、その後は自動的に処理がなされ、現在の自車の状況、現在のリスナーの状況及び現在の自車周辺の状況に総合的に近い楽曲が、順次T曲再生される。楽曲の選択、換言するならば、楽曲に対応する楽曲データ38の選択は以下の順に行われる。即ち、最初に自車の状況を表すパラメタ、自車の周辺状況の状況を表すパラメタ、及びリスナーの状況を表すパラメタの各パラメタの曲属性値とキーワードの比較判定採点によって各パラメタのパラメタ点数を算出する。つぎに全ての前記各パラメタ点数の和の算出によってパラメタ総合点数を算出する。つぎにパラメタ総合点数の上位からT個目(T番目)のものを上位から選択し、それら楽曲データ38のデータ(音源データ35)を順次オーディオ装置4に送って楽曲の再生を行う。この結果、現在の自車の状況及び現在の自車周辺状況に合うだけの楽曲ではなく、現在のリスナーの状況(気分)に合った楽曲を聞くことができ、満足でかつ快適な音楽を楽しむことができる。従って、快適なドライブを楽しむこともできる。
【0151】
(2)前記楽曲の採点においては、リスナーが選択した前記集合の楽曲データ38(楽曲)のみを採点することから、採点時間の短縮が可能になり、選曲待ち時間の短縮を図ることができる。従って、リスナーが集合を選択した後、極めて短時間に楽曲の演奏がなされる。
【0152】
(3)前記T個の前記楽曲データ38に対応する前記楽曲の再生が終了した後、再びT個の前記楽曲データ38を自動的に選択することができることから、引き続いてリスナーの好みの楽曲の再生を行うことができる。この場合、最終再生時刻から現時刻に至る時間が一定時間を経過していない楽曲は除外されるリピートガード機能が発揮されるため、一定期間内に同じ楽曲が選択・再生されることを防止することができる。従って、リスナーは繰り返して同じ楽曲を聴くこともなく飽きが来ない。また、別の選曲者が選曲した楽曲を聴きたい場合は、他の集合を選択することによって同様にリスナーの気分に合いかつ自車の状況及び自車周辺状況に合う楽曲を聴くことができる。
【0153】
(4)所定の集合39の全ての前記楽曲データ38の前記曲属性値が、それぞれ対応する前記キーワードと一致、不一致及び全てのいずれに対応するかの比較判定を行いかつ採点を行う。そして、この採点をもとにして楽曲が選択される。また、パラメタ総合点数の高いものT個目を順次オーディオ装置4で再生することから、自車及び自車の周辺の状況及びリスナーの状況を反映した楽曲が順次演奏されることになり、リスナーは満足かつ快適に音楽を楽しむことができる。
【0154】
(5)楽曲の取得は、リスナーの受信操作によって地上波デジタル音声放送から自動的に取得する手段を用意するため、意識しない内に次々と新しい楽曲を聴くことができ、消極的リスナーにとっては好ましいものとなる。また、外部記憶メディアを自車に持ち込み、ナビゲーション装置の外部記憶メディア装着部に装着して楽曲の更新を行うことができる。
【0155】
(6)各パラメタに重み値を加えて採点を行う方法では、フィルタリング機能が発揮されて季節、天候、目的地等にそぐわない楽曲は排除されることになる。例えば、重要性の高い季節、天候、目的地に高い重み付けをすることから、時間帯、曜日等重み値が低い他のパラメタが一致していても、「季節外れ」、「天候違い」、「目的地にそぐわない」等の楽曲を除外させることができる。これらパラメタの重み値を初期設定データ34で設定して、各パラメタによる選曲への影響度を左右させることができる。例えば、実施例1のように車中で聞く曲の場合は、運転に差し障りが出ない程度に気分パラメタの重み値は低く設定する。
【0156】
(7)楽曲の再生時に、リスナーの好み情報である好き、嫌い、普通のデータを指定する方法では、前記指定により、好き、嫌い、普通のデータをパラメタ総合点数に加算して反映させることができるため、前記指定以後の楽曲の検索・再生にはこの好み情報も加味されて再生楽曲が選択されることになり、テイスティング機能が発揮され、リスナーはさらに好感度の高い楽曲を聴くことができるようになる。
【0157】
(8)天候パラメタの選択値を選定してキーワードを決める方法として、温湿度センサの検出による温度及び湿度と、ワイパー動作センサの検出によるワイパーの動作形態と晴れ、曇り、雨、荒天を組み合わせた表から天候パラメタのキーワードを選定できる。
【0158】
(9)本発明の音楽選曲再生方法では、現在の状況を基にした各パラメタのキーワードと、楽曲の各パラメタの曲属性値とを比較して楽曲(楽曲データ38)の採点を行う。キーワードと曲属性値が一致する場合はファクタ値を2とし、キーワードと曲属性値が不一致の場合はファクタ値を0とする。そして、キーワードと曲属性値との一致、不一致による採点以外に、特別選択値による「全て(ALL)」という曲属性値を設定し、楽曲の曲属性値が「全て(ALL)」の場合はファクタ値を1とし、不一致の点数と一致の点数との間の点数としている。このため、この「全て(ALL)」を採用する採点方法は、単に一致、不一致で楽曲の点数を付けるのに比較して、より複数のパラメタへの一致度をきめ細かく表すことができ、高品質な選曲が可能となる。
【0159】
(10)本発明の音楽選曲再生方法によれば、消極的リスナーは、車に搭乗した際の目的地、気分、および試聴したい楽曲の選曲者(集合)を選択するのみで、快適でかつ常に新しい音楽を聴くことができる。従って、運転中の選曲、メディア交換などのオーディオ装置操作から解放され、快適なドライブを楽しむことができる。
【0160】
(11)本発明の音楽選曲再生方法によれば、楽曲に付帯する曲フィーリングデータ(パラメタ及び選択値)を適正に設定することにより、高速走行時には落ち着いた曲、渋滞走行時にはいらいらを抑える曲、深夜には眠くならない曲などをドライバ(リスナー)を意識させることなく流すことにより、事故防止に役立つことも可能である。
【実施例2】
【0161】
図16乃至図19は本発明の実施例2である音楽選曲再生方法に係わるものであり、実施例1と異なる部分を図示する。図16は本発明の実施例2である携帯型ミュージックサーバにおける音楽選曲再生方法を行う音楽選曲再生装置の機能構成を示すブロック図であり、図17は実施例2の音楽選択再生方法を示すフローチャートである。
【0162】
実施例2の音楽選曲再生方法は、リスナーが携帯して使用する携帯型ミュージックサーバ等の携帯品を使用する場合の音楽選曲再生方法に係わるものである。図16に示す音楽選曲再生装置は、図1に示す実施例1の音楽選曲再生装置とカーナビゲーションシステム2、GPS10、センサ12がなく、代わりに時計30がある構成で、その他は同じ構成になっている。
【0163】
実施例2の音楽選曲再生方法では、車に係わるパラメタ(走行速度)は使用せず、リスナーの状況を表すパラメタと、リスナーの周辺状況を表すパラメタによる楽曲の選曲再生となる。実施例2では、パラメタは、春、夏、秋及び冬を選択値とする季節パラメタ、週初め、週中、週末及び休日を選択値とする曜日パラメタ、朝、昼、夕方、夜及び深夜を選択値とする時間帯パラメタ、都市、郊外、海辺及び山間部を選択値とする場所(目的地ではなく現在の場所)パラメタ、晴れ、曇り、雨及び荒天を選択値とする天候パラメタ、爽快、普通、不快及び寂しいを選択値とする気分パラメタとを少なくとも有している。
【0164】
具体的な音楽選曲再生方法について、図17のフローチャートを参照しながら、実施例2の音楽選曲再生方法について説明する。図17に示すように音楽選曲再生作業が開始される(S201)。実施例1で説明したように既に図6に示す初期設定データ34は作成され、各楽曲の音源データ、および曲属性データ等は楽曲データ38として集合1乃至集合Nのいずれかに格納されている。
【0165】
つぎに、パラメタの取得(S202)が行われる。この工程では、例えば、リスナーの状況を表す気分パラメタと、リスナーの周辺状況を表す場所パラメタ及び天候パラメタとを取得する。実施例1ではタッチパネル13の画面として、天候パラメタの各選択値を選択するパラメタ選択画面は準備されていないが、実施例2では図18に示すようにタッチパネル13の画面の一つとして、天候パラメタの各選択値を選択できるパラメタ選択画面70を準備しておく。これにより、気分パラメタ、場所パラメタ及び天候パラメタの各選択値は、リスナーがタッチパネル13から選定入力することができる。選定された各パラメタはキーワードとなる。
【0166】
つぎに、リスナーは、実施例1と同様に、図7のタッチパネルの選曲者選択ボタン欄45から選曲者名として集合1乃至集合Nのうちのいずれかの集合を選択する集合選択工程を行う(S03)。例えば、集合1を選択する。
【0167】
つぎに、図17に示すように、現在の日付時刻のデータをパラメタ入力部の時計30から取得する工程(S204)を行う。この日付時刻のデータから、実施例1と同様にパラメタの季節、曜日、時間帯のキーワードが選定される。これにより、6つのパラメタの全てのパラメタのキーワードが特定される。そして、これら6つのキーワードは、現在のリスナーの状況及び現在のリスナーの周辺状況を代表する選択値である。
【0168】
つぎに、図17に示すように、実施例1と同様に集合内の全曲(全楽曲データ38)の採点を付ける採点工程を行う(S205)。実施例1では集合1内の全ての楽曲データ38に表示される各パラメタの採点が行われて各パラメタのパラメタ点数が算出される。その後、各パラメタ点数の和を算出してパラメタ総合点数が求められる。実施例2でも、単にパラメタ総合点数を求めるのではなく、各パラメタに付けた重み値(ファクタ重み値)を付けたパラメタ総合点数、即ち第1のスコア値を算出する。実施例1でも説明したように、音楽選曲再生開始前に、各楽曲データ38のパラメタの曲属性値は決定されている。
【0169】
そこで、実施例1と同様に各パラメタの曲属性値のキーワードを比較判定し点数(ファクタ値)を算出する。キーワードと曲属性値が一致する場合はファクタ値は2、曲属性値が「ALL(全て)」の場合はファクタ値は1、キーワードと曲属性値が不一致の場合はファクタ値は0となる。
【0170】
一方、選曲時のパラメタの選曲の影響をあるパラメタでは大きく、あるパラメタでは小さくするため、実施例2でも実施例1と同様に各パラメタに重み付けをする点数、即ち、重み値(ファクタ重み値)を各パラメタに付けてある。ファクタ重み値は、季節では23、気分では21、天候では19、場所では17、曜日では7、時間帯では9になる。
【0171】
そこで、図示はしないが、実施例1と同様にファクタ値をファクタ重み値で指定したビット数分シフト(2n−1倍)して、各パラメタの重み値を加味したパラメタ点数を算出する。
【0172】
つぎに、実施例1と同様に前記重み値を加味した各パラメタ点数の和を算出して重み値を加味したパラメタ総合点数(第1のスコア値)を求める。
【0173】
つぎに、実施例1と同様に図17に示すように、最低限一致属性の条件で、不一致の曲(楽曲)を選曲候補から除外する除外工程を行う(S206:フィルタリング機能)。
【0174】
つぎに、実施例1と同様に図17に示すように、過去にリスナーが選択した、曲(楽曲)「好き」、「嫌い」等の好み度(好み)を採点に加える工程を行う(S207:テイスティング工程)。
【0175】
つぎに、実施例1と同様に図17に示すように、集合1内のすべての楽曲定データ38を調べ、曲(楽曲)の最終再生時刻と現時刻を比較し、一定時間を経過していないものは、選曲候補から除外する工程を行う(S208:リピートガード機能)。
【0176】
つぎに、実施例1と同様に図17に示すように、採点結果のパラメタ総合点数(スコア値)の高い曲数曲(T曲)を選択する(S209)。
【0177】
つぎに、実施例1と同様に図17に示すように、選択したT曲の順番をランダムに入れ替え再生順を決定する(S210)。
【0178】
つぎに、実施例1と同様に図17に示すように、決定された再生順に従い順次、楽曲データ38のデータ(音源データ35)をオーディオ装置4に送って楽曲を再生する(S211)。
【0179】
つぎに、実施例1と同様に図17に示すように、曲(楽曲)の再生が終了した時点で再生された楽曲が前記T個目(T番目)の曲(最後の曲)であるか否かを判定する(S212)。最後の曲(T個目の曲)である場合は工程S204に戻り、再びパラメタの追加取得を行い、上述した各工程S204〜S11を再び行って曲の再生を行う。また、最後の曲(T個目の曲)でない場合は次の工程(S213)に進む。
【0180】
S13は、実施例1と同様に再生の停止要請があるか否かを判定する工程であり、停止要請がない場合は工程S11に戻り楽曲の再生を続ける。この場合、既に再生された次の順位の楽曲データ38に対応する楽曲が再生される。停止要請がある場合は次の工程(S214)に進んで音楽選曲再生を終了する。
【0181】
この一連の音楽選曲再生処理において、リスナーがタッチパネルの選曲者(集合)選択画面40から他の集合を選択(再選択)すると、続行されている音楽選曲再生は停止され、図17の工程S203から次の音楽選曲再生処理が開始される。
【0182】
実施例2の音楽選曲再生方法によれば以下の効果を有する。
【0183】
(1)リスナーは集合1乃至集合Nのうちの一つの選曲者(集合)を選択操作するだけで、その後は自動的に処理がなされ、現在のリスナーの状況及びリスナーの周辺状況に総合的に近い楽曲が、順次T曲再生される。楽曲の選択、換言するならば、楽曲に対応する楽曲データ38の選択は以下の順に行われる。即ち、最初にリスナーの状況を表すパラメタ及びリスナーの周辺状況を表すパラメタの各パラメタの曲属性値とキーワードの比較判定採点によって各パラメタのパラメタ点数を算出する。つぎに全ての前記各パラメタ点数の和の算出によってパラメタ総合点数を算出する。つぎにパラメタ総合点数の上位からT個目のものを上位から順次選択し、それら楽曲データ38のデータ(音源データ35)を順次オーディオ装置4に送って楽曲の再生を行う。この結果、現在のリスナーの状況(気分)及び現在のリスナーの周辺状況に合った楽曲を聞くことができ、満足でかつ快適な音楽を楽しむことができる。
【0184】
(2)前記楽曲の採点においては、リスナーが選択した前記集合の楽曲データ38(楽曲)のみを採点することから、採点時間の短縮が可能になり、選曲待ち時間の短縮を図ることができる。従って、リスナーが集合を選択した後、極めて短時間に楽曲の演奏がなされる。
【0185】
(3)前記T個の前記楽曲データ38に対応する前記楽曲の再生が終了した後、再びT個の前記楽曲データ38を自動的に選択することができることから、引き続いてリスナーの好みの楽曲の再生を行うことができる。この場合、最終再生時刻から現時刻に至る時間が一定時間を経過していない楽曲は除外されるリピートガード機能が発揮されるため、一定期間内に同じ楽曲が選択・再生されることを防止することができる。従って、リスナーは繰り返して同じ楽曲を聴くこともなく飽きが来ない。また、別の選曲者が選曲した楽曲を聴きたい場合は、他の集合を選択することによって同様にリスナーの状況(気分)及びリスナーの周辺状況に合う楽曲を聴くことができる。
【0186】
(4)所定の集合39の全ての前記楽曲データ38の前記曲属性値が、それぞれ対応する前記キーワードと一致、不一致及び全てのいずれに対応するかの比較判定を行いかつ採点を行う。そして、この採点をもとにして楽曲が選択される。また、パラメタ総合点数の高いものT個をオーディオ装置4で再生することから、リスナーの状況及びリスナーの周辺状況を反映した楽曲が順次演奏されることになり、リスナーは満足かつ快適に音楽を楽しむことができる。
【0187】
(5)楽曲の取得は、リスナーの受信操作によって地上波デジタル音声放送から自動的に取得する手段を用意するため、意識しない内に次々と新しい楽曲を、聴くことができ、消極的リスナーにとっては好ましいものとなる。また、外部記憶メディアを自車に持ち込み、ナビゲーション装置の外部記憶メディア装着部に装着して楽曲の更新を行うこともできる。
【0188】
(6)各パラメタに重み値を加えて採点を行う方法では、フィルタリング機能が発揮されて季節、気分、天候等にそぐわない楽曲は排除されることになる。例えば、重要性の高い季節、気分、天候に高い重み付けをすることから、時間帯、曜日等重み値が低い他のパラメタが一致していても、「季節外れ」、「気分に合わない」、「天候違い」等の楽曲を除外させることができる。
【0189】
(7)楽曲の再生時に、リスナーの好み情報である好き、嫌い、普通のデータを指定する方法では、前記指定により、好き、嫌い、普通のデータをパラメタ総合点数に加算して反映させることができるため、前記指定以後の楽曲の検索・再生にはこの好み情報も加味されて再生楽曲が選択されることになり、テイスティング機能が発揮され、リスナーはさらに好感度の高い楽曲を聴くことができるようになる。
【0190】
(8)本発明の音楽選曲再生方法では、現在の状況を基にした各パラメタのキーワードと、楽曲の各パラメタの曲属性値とを比較して楽曲データ38の採点を行う。キーワードと曲属性値が一致する場合はファクタ値を2とし、キーワードと曲属性値が不一致の場合はファクタ値を0とする。そして、キーワードと曲属性値との一致、不一致による採点以外に、特別選択値による「全て(ALL)」という曲属性値を設定し、楽曲の曲属性値が「全て(ALL)」の場合はファクタ値を1とし、不一致の点数と一致の点数との間の点数としている。このため、この「全て(ALL)」を採用する採点方法は、単に一致、不一致で楽曲の点数を付けるのに比較して、より複数のパラメタへの一致度をきめ細かく表すことができ、高品質な選曲が可能となる。
【0191】
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。実施例では、GPS10、センサ12、タッチパネル13から直接的にパラメタ入力する方法と、カーナビゲーションシステム2との組み合わせでパラメタ入力する2つの方法を持つ実施例としたが、前者は車載のオーディオ機器への搭載を前提としたものであり、後者はカーナゲーションシステムとオーディオ装置の機能を併せ持つ複合機への搭載を想定している。
【0192】
さらに、パラメタの選曲への影響度を重み値として指定する構成であるため、パラメタ重み値の関係を変更することにより、まったく異なった選曲傾向を作り出すことも可能である。また、好み度ファクタ重み値、最低限一致属性なども同様で、初期設定データ34内で指定し、そのシステムの利用目的にあわせて、最適な選曲を行わせるようにすることが可能である。
【符号の説明】
【0193】
1…音楽選曲再生装置、2…カーナビゲーションシステム、3…楽曲再生制御部、4…オーディオ装置、5…出力部、6…表示制御部、7…表示装置、8…パラメタ入力部、9…GPS用アンテナ、10…GPS、11…主制御部、12…センサ、13…タッチパネル、14…パラメタ入力制御部、15…楽曲検索部、16…楽曲データ入力部、17…デジタルラジオチューナ用アンテナ、18…デジタルラジオチューナ、19…外部記憶メディアリーダー、20…楽曲データ抽出部、21…外部記憶読込み部、22…記憶部構成制御部、23…記憶部、30…時計、34…初期設定データ、35…音源データ、36…曲属性リスト、37…スコアデータリスト、38…楽曲データ、39…集合、40…選曲者(集合)選択画面、41…目的地/気分ボタン、42…選曲者名ボタン、43…スクロールボタン、44…戻るボタン、45…選曲者選択ボタン欄、50…目的地/気分選択画面、51…目的地ボタン、52…気分ボタン、53…戻るボタン、60…楽曲再生画面、61…好み度選択ボタン、62…選曲者名表示欄、63…アーティスト名表示欄、64…タイトル名表示欄、65…選曲者選択画面遷移ボタン、70…パラメタ選択画面、71…場所選択ボタン、72…気分選択ボタン、73…天候選択ボタン、73…戻るボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲を再生する車載用オーディオ装置の音楽選曲再生方法であって、
自車の状況を表すパラメタ及び自車の周辺状況を表すパラメタ並びにリスナーの状況を表すパラメタと、前記各パラメタ毎に対応付けした複数の選択値とを記憶する工程と、
入力される各楽曲のデータから音源データと選曲者名を含む曲属性データを取得して前記各パラメタ毎に前記選択値の有無を検索し、複数の前記選択値のうちの一つを選定できる場合はその選択値を曲属性値とし、選定できない場合は特別選択値として「全て」を曲属性値とした曲属性値リストを有する楽曲データを作成する工程と、
作成された前記楽曲データをその楽曲の選曲者ごとに区分けする集合1乃至集合Nのうちの前記曲属性データに含まれる選曲者名が示す選曲者の集合に追加する工程と、
前記集合1から前記集合Nのうちの任意の一つの集合を一人のリスナーにより選択する工程と、
自車の現在の状況を表すパラメタ及び自車の現在の周辺状況を表すパラメタ並びにリスナーの現在の状況を表すパラメタを、自車に装備される機器によるデータ及び前記リスナーの入力による入力データから取得し、前記各パラメタにおける前記複数の選択値から一つの選択値を選定して各パラメタのキーワードを選定する工程と、
選択された前記集合内の前記楽曲データ毎に前記キーワードと前記曲属性値との一致度を判定して一致、不一致、「全て」に基づいて採点を行い前記パラメタのパラメタ点数を求め、かつ全ての前記パラメタの前記パラメタ点数の合計を算出して前記楽曲データのパラメタ総合点数であるスコア値を求める採点工程と、
前記スコア値をもとにして前記楽曲データを選択する選曲工程と、
選択された前記楽曲データの前記音源データを前記オーディオ装置に送って楽曲を再生する再生工程と、
を有することを特徴とする音楽選曲再生方法。
【請求項2】
楽曲を再生する携帯用オーディオ装置の音楽選曲再生方法であって、
リスナーの状況を表すパラメタ及びリスナーの周辺状況を表すパラメタと、前記各パラメタに対応付けした複数の選択値とを記憶する工程と、
入力される各楽曲のデータから音源データと選曲者名を含む曲属性データを取得して前記各パラメタ毎に前記選択値の有無を検索し、複数の前記選択値のうちの一つを選定できる場合はその選択値を曲属性値とし、選定できない場合は特別選択値として「全て」を曲属性値とした曲属性値リストを有する楽曲データを作成する工程と、
作成された前記楽曲データをその楽曲の選曲者ごとに区分けする集合1乃至集合Nのうちの前記曲属性データに含まれる選曲者名が示す選曲者の集合に追加する工程と、
前記集合1から前記集合Nのうちの任意の一つの集合を一人のリスナーにより選択する工程と、
前記リスナーの現在の状況を表すパラメタ及び前記リスナーの現在の周辺状況を表すパラメタを、前記携帯用オーディオ装置に装備される機器によるデータ及び前記リスナーの入力による入力データから取得し、前記各パラメタにおける前記複数の選択値から一つの選択値を選定して各パラメタのキーワードを選定する工程と、
選択された前記集合内の前記楽曲データ毎に前記キーワードと前記曲属性値との一致度を判定して一致、不一致、「全て」に基づいて採点を行い前記パラメタのパラメタ点数を求め、かつ全ての前記パラメタの前記パラメタ点数の合計を算出して前記楽曲データのパラメタ総合点数であるスコア値を求める採点工程と、
前記スコア値をもとにして前記楽曲データを選択する選曲工程と、
選択された前記楽曲データの前記音源データを前記オーディオ装置に送って楽曲を再生する再生工程と
を有することを特徴とする音楽選曲再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−255807(P2012−255807A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−194292(P2012−194292)
【出願日】平成24年9月4日(2012.9.4)
【分割の表示】特願2007−8679(P2007−8679)の分割
【原出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000100997)株式会社アキタ電子システムズ (41)
【出願人】(501306140)株式会社イーライセンス (3)
【出願人】(503443153)株式会社豊通エレクトロニクス (4)
【Fターム(参考)】