説明

音波洗顔器

【課題】より肌に優しく洗浄効果の高い音波洗顔器を提供する。
【解決手段】手で把持する把持部(31)と、開口部を有するヘッド部(5)とからなるハウジング(30)と、ヘッド部に収容される振動部(12)と、振動部からの振動が伝達される振動伝達部(15)と、振動伝達部と係合して前記開口部から露出する、使用時に肌と接触する接触部(7)とを備え、接触部の表面は、吸水性及び柔軟性を有する革材で被覆されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音波洗顔器に係り、詳しくはハンディタイプの音波洗顔器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肌に残っている化粧や皮脂汚れを効果的に取り除くと共に、肌の血行促進や新陳代謝を促進させる美顔器として、例えば超音波美顔器が知られている。このような超音波美顔器は、肌に直接接触させるプローブに超音波を伝搬させて肌のマッサージ等を行うものである。このような超音波美顔器をマッサージ機能等に加えて洗顔器として使用することも考えられるが、超音波美顔器は超音波が伝搬し易い金属等の部材を用いた円盤状のプローブを用いることが多く、期待していたほどの洗顔効果を得られるものではなかった。
そこで、洗顔効果を上げることができるように、プローブの代わりに化粧水や美容液を含浸させたウレタンフォームを用いることによって、ウレタンフォームに含まれる水分を介して超音波を伝搬させ、洗顔効果を高めると共に肌に優しい超音波美顔器が開発されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−50204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、ウレタンフォームに含まれる水分が肌に吸収される等して減少すると、超音波を伝搬させるには水分不足の状態となる。水分を介して伝搬する超音波は、ウレタンフォームが水分不足になるとウレタンフォーム中で減衰してしまい、期待された洗顔効果や美顔効果が得られなくなるという問題がある。このため、ウレタンフォームに適宜水分を補給しなければならないという煩わしさがあった。また、ウレタンフォームに含まれる水分が減少したまま使用すると肌との摩擦が大きくなり肌への負担がかかるため、肌に優しい美顔器としては未だ課題が残っている。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、より肌に優しく洗浄効果の高い音波洗顔器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するべく、請求項1の音波洗顔器は、手で把持する把持部と、開口部を有するヘッド部とからなるハウジングと、前記ヘッド部に収容される振動部と、前記振動体からの振動が伝達される振動伝達部と、前記振動伝達部に設けられて前記開口部から露出し、使用時に肌と接触する接触部とを備え、前記接触部は、吸水性及び柔軟性を有する革材からなることを特徴とする。
【0007】
請求項2の音波洗顔器は、請求項1において、前記革材はセーム革であることを特徴とする。
【0008】
請求項3の音波洗顔器は、請求項1または2において、前記振動伝達部は前記ヘッド部に着脱可能に係合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の音波洗顔器によれば、肌に接触する接触部の表面は吸水性及び柔軟性を有する革材で被覆されるので、接触部を肌に接触させても肌への負担が少なく、肌に優しい音波洗顔器を得ることができる。
【0010】
また、振動部の振動が振動伝達部を介して肌に伝搬され、肌に残っている化粧や皮脂汚れ等を浮き上がらせ、その汚れを革材で拭き取るので、より高い洗顔効果を得ることができる。
【0011】
また、接触部に吸水性のよい革材を用いているので、泡立てた洗顔クリームや洗顔用石鹸等を接触部に付着させても肌とのなじみがよく、肌に過度な負担を与えることなく洗顔することができる。さらに、革材は保水性があるので、振動伝達部からの音波振動を減衰することなく肌へ伝搬させることができる。
【0012】
請求項2の音波洗顔器によれば、革材はセーム革であるので、請求項1と同様の効果を得ることができる。セーム革はコラーゲン繊維から構成されており、細いコラーゲン繊維によって肌表面の細かい汚れを拭き取ることができるので、より高い洗顔効果を得ることができる。
【0013】
請求項3の音波洗顔器によれば、振動伝達部はヘッド部に着脱可能に嵌合されているので、接触部を被覆している革材が汚れたり劣化したりしても交換することができ、高い洗顔効果を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る音波洗顔器の概略構成図である。
【図2】図1のII-II線に沿う部分断面図である。
【図3】アタッチメント部の分解斜視図である。
【図4】本発明に係る音波洗顔器の回路図を表すブロック図である。
【図5】図4に示すコイルに流れる電流のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る音波洗顔器の概略構成図である。図1に示すように、音波洗顔器1は、上ケース2及び下ケース3を備えている。上ケース2及び下ケース3を組み合わせることにより、音波洗顔器1のハウジング30が構成される。上ケース2の長手方向中央部にはボタン4が嵌挿されている。
【0016】
ハウジング30の長手方向一端のヘッド部5には上ケース2に開口部を有しており、この開口部にリング6が嵌合され、リング6の内側には接触部7が介挿されている。後述するように、リング6及び接触部7等が組み合わされてアタッチメント部8を構成している。アタッチメント部8は、ヘッド部5に取り外し可能に嵌合されている。ハウジング30の長手方向他端側には把持部31が形成される。把持部31はユーザが手に持ちやすい形状であり、音波洗顔器1はハンディタイプの洗顔器である。図示しないが、音波洗顔器1は充電池を内蔵しており、音波洗顔器1の長手方向他端に充電用の端子が設けられ、図示しない充電器に接続することで充電されて使用可能な状態となる。本実施形態の音波洗顔器1は充電時以外電源コードがないため持ち運びに便利であり、旅行等に携帯することにも適している。
【0017】
図2は、図1のII-II線に沿う部分断面図である。ボタン4は電気絶縁性を有する樹脂で構成されており、例えばゴムや合成樹脂から構成される。上ケース2の内側に面する側となるボタン4の背面には表示部9が設けられており、ボタン4を構成する樹脂は表示部9が発する光を透過できるように、光透過性を有するものであることが好ましい。
【0018】
表示部9は、ボタン4の操作に応じて現在の音波洗顔器1の作動モードをコントローラ10からの指令に応じて発光するものである。音波洗顔器1の作動モードは、振動回数に応じてLO/HIの2つのモードが設定されているが、さらに別のモードを備えていてもよい。ここで、LOモードとは単位時間当たり小さい振動数で振動するモードであり、HIモードとは単位時間当たりLOモードよりも大きい振動数で振動するモードである。表示部9に設けられている発光素子は、例えばLEDである。発光素子の発光色は単色としてもよいし、音波洗顔器1の作動モードに応じて複数の発光色としてもよい。
【0019】
コントローラ10及び駆動部11は基板32上に設けられており、コントローラ10はスイッチ4、表示部9、及び駆動部11と接続されている。駆動部11はコントローラ10からの指令信号に基づいて作動し、振動部12に通電して振動部12を振動させる。コントローラ10、駆動部11、振動部12の詳細な作動については後述する。基板32は、例えばハウジング30内に一体形成されたステー(図示省略)を介して締結部材により固定されている。
【0020】
接触部7は、基台(振動伝達部)13と被覆部(接触部)14とから構成されており、基台13の外表面は被覆部14によって被覆されている。基台13は、振動部12からの振動が伝達しやすい部材で構成される。被覆部14の材質は天然皮革または人工皮革であり、本実施形態ではセーム革を用いている。セーム革は蛋白質の1種であるコラーゲン繊維からなり、細かい汚れを取り除くことに適している。つまり、セーム革は人間の肌と略等しい成分で構成されているので、被覆部14にセーム革を用いることによって、肌に優しく洗浄効果の高い接触部7を得ることができる。
【0021】
このように構成された接触部7は、所定位置に係合部7aが形成されており、リング6によって図2における上下左右方向の接触部7の移動範囲が規定された状態で、振動板(振動伝達部)15に当接される。ヘッド部5には、コントローラ10、駆動部11、及び振動部12等の電装品をアタッチメント部8と仕切り、ハウジング30内に格納するために仕切板16が設けられている。アタッチメント部8に面する仕切り板16の面には、ハウジング30内の密閉性を高めるためにシール部材を配設するようにしてもよい。
【0022】
図3は、アタッチメント部8の分解斜視図を示している。図3に示すように、ヘッド部5に設けられた仕切板16の略中央には貫通孔17が穿設されている。振動板15のヘッド部5に対向する面に振動伝達軸18が突設されており、振動伝達軸18が貫通孔17に嵌合され、振動部12を構成する振動体に当接される。このような構成とすることにより、振動部12を構成する振動体が発する振動を、振動板15を介して接触部7に伝達することができる。なお、振動伝達軸18は、ブッシュを介して貫通孔17に嵌合させることにより、ハウジング30内の密閉性を高めるようにしてもよい。
【0023】
振動板15は、さらに、仕切板16に当接して振動板15を支持する支持部19を備えている。このような支持部19で、振動板15のハウジング30内への移動量を規制している。
【0024】
アタッチメント部8はヘッド部5と着脱可能に係合されており、詳しくはヘッド係合部5aとリング係合部6aとが係合されている。このようにアタッチメント部8を着脱可能とすることによって、被覆部14が汚れたり劣化したりして洗顔効果が低下する場合に、新しいアタッチメント部8と交換することができる。これにより、肌に接触する被覆部14を清潔な状態にすることができると共に、高い洗顔を維持することができる。なお、アタッチメント部8とヘッド部5とは着脱可能に構成されていればよく、螺合していてもよい。
【0025】
このように構成された音波洗顔器1の電気回路について以下に説明する。図4に音波洗顔器1の回路図を表すブロック図、図5にコイル20に流れる電流のタイミングチャートをそれぞれ示す。図4に示すように、コントローラ10にはスイッチ4、表示部9、及び駆動部11が接続され、コントローラ10はスイッチ4からの指令信号により作動状態、即ち作動モード及び作動終了を判断する。コントローラ10は作動モードに応じて駆動部11を作動させると共に、表示部9を点灯させる。
【0026】
駆動部11は振動部12に接続され、詳しくは振動部12を構成するコイル20に接続される。振動部12は、コイル20、振動体21、及び振動体21を挟むように設けられた一対の永久磁石22a、22bの集合体として構成される。駆動部11は、コントローラ10の通電によって、図5に示すようにコイル20に流れる電流が反転するように駆動される。コイル20に流れる電流の向きに応じてコイルから発する磁束の向きが反転し、その磁束の向きに応じて磁化された振動体21が永久磁石22a、22bの間を往復動することにより、振動体21が振動する。コントローラ10は作動モードに応じて、振動体21が約300回/秒程度で振動するように駆動部11への通電を制御する。このように細かい振動即ち音波振動を振動板15及び接触部7を介して肌に与えることによって、肌に残っている化粧や毛穴の皮脂汚れ等を浮き上がらせると共に、振動を与えることによるマッサージ効果によって肌の代謝機能を促進させることができる。
【0027】
このように構成された音波洗顔器1の作動について説明する。音波洗顔器1のスイッチ4が操作されることによって、スイッチ4からの信号がコントローラ10に入力される。コントローラ10は、スイッチ4からの信号に基づいて作動モードを判断して表示部9に作動モードに応じて点灯素子を点灯させると共に、駆動部11に通電する。
【0028】
詳しくは、駆動部11からコイル20への通電が図5に示すような電流波形となるように、駆動部11に通電する。駆動部11はコイル20へ通電することによって振動体21が作動モードに応じた単位時間当たり所定回数で振動する。振動体21が振動すると、その振動は振動伝達軸18を介して振動板15に伝搬され、振動板15に当接している接触部7も振動する。ユーザは把持部31を持って、このように振動する音波洗顔器1の接触部7を肌に軽く押し当てて洗顔する。なお、このときに被覆部14に洗顔クリームやジェル等を水分と共に付着させて洗顔するようにすると、化粧の残りや皮脂汚れをより確実に洗い落とすことができる。また、洗顔クリームやジェル等の洗顔料に含まれる水分を被覆部14が吸収することによって、振動体21が発する振動を減衰させることなく肌へ伝搬させることができる。
【0029】
このように本実施形態では、接触部7の被覆部14にセーム革を用い、所定回数振動させる接触部7を肌へ押し当てることによって、その振動が毛穴の皮脂や汚れや肌表面の老廃物等を浮き上がらせ、浮き上がった肌の汚れを被覆部14に配置されたセーム革で取り除くので、洗浄効果の高い音波洗顔器1を得ることができる。
【0030】
また、細かい振動を肌に与えることによって肌の代謝機能が促進されるので、化粧水や美容液等の浸透力が向上し、肌の状態をより向上させることができる。
【0031】
さらに、セーム革の保水効果により、水分がセーム革に保持され、振動体21からの音波振動を減衰させることなく肌へ伝搬させることができる。
【0032】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0033】
例えば、上記実施形態では振動板15は貫通孔17に嵌合されて固定されているが、振動伝達軸18を回転軸として回転自在にさせてもよい。これにより、接触部7をより滑らかに肌の上で動かすことができるので、洗顔効果をより高めると共に肌へのマッサージ効果をさらに高めることができる。
【0034】
また、上記実施形態では、振動部12は、コイル20、振動体21、及び永久磁石22a、22bの集合体として構成されているが、振動部12を1つの振動素子として構成するようにしてもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、接触部7を肌に当接させて洗顔するようにしているが、洗顔クリームやジェル等の洗顔料を接触部7に付着させ、接触部7を肌から離間して、接触部7に付着させた洗顔料を肌に当接するようにして、振動体21を振動させて洗顔するようにしてもよい。これにより、洗顔料に含まれる水分を介して接触部7の振動が伝搬され、化粧の残りや皮脂汚れを洗い落とすことができる。
【符号の説明】
【0036】
1 音波洗顔器
10 コントローラ
12 振動部
13 基台(振動伝達部)
14 被覆部(接触部)
15 振動板(振動伝達部)
18 振動伝達軸
21 振動体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手で把持する把持部と、開口部を有するヘッド部とからなるハウジングと、
前記ヘッド部に収容される振動部と、
前記振動体からの振動が伝達される振動伝達部と、
前記振動伝達部に設けられて前記開口部から露出し、使用時に肌と接触する接触部とを備え、
前記接触部は、吸水性及び柔軟性を有する革材からなることを特徴とする音波洗顔器。
【請求項2】
前記革材はセーム革であることを特徴とする請求項1に記載の音波洗顔器。
【請求項3】
前記振動伝達部は前記ヘッド部に着脱可能に係合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の音波洗顔器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−81535(P2013−81535A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221948(P2011−221948)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(511217979)株式会社スターアベニュー (2)
【Fターム(参考)】