説明

音量制御装置、音量制御方法およびプログラム

【課題】ストリーミング放送、電話会議、TV会議などの音量を制御する技術に関し、特に複数の対象物に対応する音の音量の制御を適切に行なうことを目的とする。
【解決手段】 取得されたデータに対応する音の音量を制御する音量制御装置であって、
前記音に対応する対象物を特定する特定手段と、対象物に対応する音量制御情報を記憶した記憶手段から、前記特定手段において特定された前記対象物に対応する音量制御情報を取得する取得手段と、前記取得手段において取得された前記音量制御情報に応じて、前記音の音量を制御する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音量制御装置、音量制御方法およびプログラムに関し、特に、対象物に対応した音の音量の制御を行う装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ある拠点に設置されたカメラで撮影された映像を、ネットワークを介した他の拠点に配信するストリーミング放送の技術が実用化されている。また、複数箇所の拠点の端末をネットワークで接続し、音声による電話会議を行う技術も知られている。更に、双方の映像を送受信することで、音声のみならず映像をも用いたTV会議も実用化されている。
【0003】
また、上述の電話会議やTV会議において、接続されている端末が複数あった場合の音量制御に関し、以下の先行技術文献がある。当該先行技術文献には、複数の端末との同時通話が可能な通信装置であって、受信した複数端末の音量の全体平均値を演算し、それぞれの端末の音量が当該平均値になるように調整する手段を備える通信装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−32296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記先行技術文献に開示の技術は、端末ごとの音量を調整するための技術であって、各端末につき発話者が一人であれば問題はないが、一つの端末で複数の人が発話する場合には次のような問題が発生する。上記先行技術文献に開示の技術は、各端末から受信された音量に基づいて全体の平均値を演算している。ここで、声の音量の差が大きい二人の人が一つの端末を使用して発話するような場合、両者の中間的な音量が当該端末の音量として演算に使用されることとなる。そして、演算された全体の平均値に鑑みて決定された当該端末の調整値に基づいて当該端末の音量が調整されることとなるが、当該端末は前述のとおり二人の発話者がいるため、いくら当該端末全体の音量を調整したとしても、声の大きい人の音量は大きいままに、また声の小さい人の音量は小さいままになってしまう。
【0006】
なお、端末から受信された音声の音量を単純に平準化することも考えられるが、それでは話している人がいくら抑揚をつけて話しても、全て同じ音量に調整されてしまうため、聞き手側に話し手のニュアンスが伝わらないという問題がある。
【0007】
本発明は、ストリーミング放送、電話会議、TV会議等の音量を制御する技術に関し、特に複数の対象物に対応する音の音量の制御を適切に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための装置の一観点は、取得されたデータに対応する音の音量を制御する音量制御装置であって、前記音に対応する対象物を特定する特定手段と、対象物に対応する音量制御情報を記憶した記憶手段から、前記特定手段において特定された前記対象物に対応する音量制御情報を取得する取得手段と、前記取得手段において取得された前記音量制御情報に応じて、前記音の音量を制御する制御手段とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
以上、開示の技術によれば、対象物が音を出力中の期間の音量を当該対象物に設定された所定のレベルに調整するようにしたため、当該期間での調整レベルは一定となる。そのため、当該出力中での抑揚はそのまま維持されつつも、対象物ごとの音量レベルの差を小さくすることができるため、ストリーミング放送、電話会議、TV会議等の音量を制御する技術に関し、特に対象物に対応した音の音量の制御を適切に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】顔相の比較と唇動作の大きさ比較による音量関係を示す説明図である。
【図2】本発明にて用いられる通信端末のハードウェア構成図の一例である。
【図3】本発明にて用いられる通信端末のブロック構成図の一例である。
【図4】本発明の一実施形態における特定話者の音量増加値設定のフローチャートである。
【図5】本発明による話者ごとの会議音量調整値テーブル(実施例1)である。
【図6】本発明による会議録音音声の音量増加レベル値設定の説明図である。
【図7】図5に基づく会議中の会議音量調整方法の手順を示すフローチャート(実施例1)である。
【図8】本発明による通信端末の各機能ブロック間の信号の流れを示すシーケンス図(その1)である。
【図9】本発明による通信端末の各機能ブロック間の信号の流れを示すシーケンス図(その2)である。
【図10】本発明による通信端末の各機能ブロック間の信号の流れを示すシーケンス図(その3)である。
【図11】本発明による話者ごとの会議音量調整値テーブル(実施例2)である。
【図12】図11に基づく会議中の会議音声調整方法の手順を示すフローチャート(実施例2)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、本発明の技術を適用した音量制御装置の例として、カメラつき携帯電話等の通信端末に本発明の技術を適用した例を説明する。また、本実施の形態では、通信端末のカメラで撮影された映像を用いたテレビ会議において、対象物ごとに設定された音量調整値に基づいて、それぞれの対象物ごとの音量を調整する例を説明する。なお、この場合の対象物とは、電話会議で発話する話者を指すものとする。
【0012】
図1は、顔相の比較と唇動作の大きさ比較による音量関係を示す説明図であり、Aさん1とBさん2の顔相と唇動作の大きさを対比して示している。
(a)顔相と唇動作の大きさ
Aさん1は丸顔で唇動作の幅が大であり、Bさん2は面長顔で唇動作の幅が小であることを示す。唇動作の幅を認識するためは、通信端末は発話をしている人の唇の動作を監視する。
(b)AさんとBさんの音量
Bさんの声はAさんの声に比べて音量が小さいものとする。
(c)Bさんの音量増加調整
本実施の形態では、小さな声のBさんが話している間だけ音声データ全体の音量をBさん用の設定値分(+AdB)大きくすることで、Bさんの声を聞き取りやすくする例を説明する。なお、以下に説明する実施の形態とは逆に、声の大きなAさんが話している間だけ音声データ全体の音量をAさん用の設定値分(例えば△BdB)小さくすることで同様の効果を奏することも考えられる。
【0013】
図2は、本発明にて用いられる通信端末のハードウェア構成図の一例である。通信端末は、会議参加者の声を集音して、公衆ネットワーク等を介して遠隔地に飛ばす機能を備えるとともに、表示部5と、発話者の顔相と唇動作幅を検知するカメラ部10を有している。
【0014】
無線通信部4は、RF(Radio Frequency)41とBB(Broadband)42から成り、音声入出力部8からの音声通信情報とカメラ部10からの画像情報をプロセッサ11の制御のもとアンテナ3を経由して無線通信網へ接続し、遠隔地に設置されている通信端末との間で無線通信を行う。
【0015】
表示部5と入力部9は、通信端末の操作面に配備されている画像表示部及び入力操作を行なうキー列で構成されている。
【0016】
音声入出力部8は、会議参加者の声を集音するマイク6と会議参加者へ発話者の声を伝えるスピーカ7へ音声を入出力する。
【0017】
カメラ部10は、会議者の顔とか資料や画像などのコンテンツ、及び黒板に記載した内容をプロセッサ11の制御のもと撮像する。
【0018】
記憶部12は、RAM121およびROM122を有しており、プロセッサ11の制御のもと通信端末の動作において使用される。
【0019】
図3は、本発明にて用いられる通信端末の機能ブロック構成図の一例である。通信端末としては、図2で説明したのと同様に、会議参加者の声を集音して、公衆ネットワーク等を介して遠隔地に飛ばす機能を備えるとともに、プロジェクタを想定した表示制御部21と、発話者の顔相と唇動作幅を検知するカメラ制御部22を有している。
【0020】
更に、図2のプロセッサ11がプログラム記憶部121に格納されているプログラムを実行することにより、以下に説明する対象物特定部13、音量制御情報記憶部、音量増加レベル取得部15、会議音声調整部17、通話記録部19、及び各制御部として動作する。なお、上記プログラムは、CD−ROM等の記録媒体に記録することで頒布することが可能となる。更に、ネットワーク上のサーバ装置に上記プログラムを格納しておき、端末装置がダウンロードしてインストールすることも考えられる。
【0021】
対象物特定部13は、会議音声調整部通信端末に対象物特定機能を追加したものであり、具体的には発話者を識別して特定する。
【0022】
音量制御情報記憶部14は、対象物に対応する音量制御情報を記憶した記憶手段であり、会議音量調整値テーブルに対応した音量制御情報が記憶されている。
【0023】
音量増減レベル取得部15は、会議音量調整値テーブルの形で格納されている音量制御情報記憶部14から音量制御情報を取得する。
【0024】
会議音声調整部17は、通信端末に会議音声調整機能を追加したものであり、通信端末の電源を入れることにより、会議音声調整部17が起動され、カメラ制御部22、マイク制御部18および通話記録部19と連携して画像分析により特定話者の顔データを認証して登録すると共に、発話者の唇動作幅を測定して登録する。さらに、特定話者の音声録音の分析により音量増加レベル値を決定して登録する。具体的には、大きな声の人と小さな声の人が同一の通信端末を使って発話をした場合でも、発話者の顔相と唇動作幅を検出することで、発話者を特定し、登録済みの音量増加レベル値を読み出して調整を行なう。
【0025】
スピーカ制御部16は、会議音声調整部17からの指示により小さな声の人の出力音量を、会議音量調整値テーブルに基づく音量制御情報記憶部14に登録済みの音量増加レベル分だけ大きくして出力する。
【0026】
入力制御部20と表示制御部21は、通信端末の操作面に配備されている入出力キー及び画像表示部の操作を制御する。
【0027】
図4は、本発明の一実施形態における特定話者の音量増加値設定のフローチャートである。以下に特定話者の会議音量調整値の設定手順について説明する。
【0028】
S1.会議音声調整部17は、特定の会議参加者が発話中における音声の音量を調整するかを判断する。当該判断は、利用者が通信端末に対して所定の操作(例えばメニューから当該処理を実行する旨の指示)を行った場合にYESと判断される。
【0029】
S2.前述のS1にて音量調整値を設定すると判断されたときに、会議音声調整部17は、カメラ画像より特定話者の人数を判定する。
【0030】
S3.会議音声調整部17は、人数分の特定話者の発話音声調整値が登録されたかを判断する。
【0031】
S4.前述のS3にて人数分の登録が終了していない場合、会議音声調整部17は、会議における発話者の人数を判定する。
【0032】
S5.会議音声調整部17は、発話者が一人の場合、その発話者が登録済みであるか否かを判定する。
【0033】
S6.前述のS5にて発話者の登録がなされていない場合、会議音声調整部17は、特定話者の顔認識データを会議音量調整値テーブルに登録する。
【0034】
S7.会議音声調整部17は、特定話者の発話を録音し、その音量を測定する。
【0035】
S8.会議音声調整部17は、特定話者の唇動作幅を抽出し、抽出された唇動作幅を特定話者の顔認識データに対応付けて会議音量調整値テーブルに登録する。
【0036】
S9.会議音声調整部17は、声の大きさが閾値以上であるか否かを判断する。
【0037】
S10.前述のS9にて声の大きさが閾値未満の場合、会議音声調整部17は、音量の増加レベルを決定する。
【0038】
S11.前述のS9にて声の大きさが閾値以上の場合、会議音声調整部17は、音量の増加レベルをゼロにする。
【0039】
S12.会議音声調整部17は、音量制御情報として、特定話者の発話音声の調整値を、特定話者の顔認識データに対応付けて会議音量調整値テーブルに設定する。音量制御情報としては、調整値を設定する以外に、音量自体を設定することも考えられる。この場合には、取得されたデータに対応する音の音量をこの設定された音量に設定するように制御こととなる。
【0040】
図5は、本発明による話者ごとの会議音量調整値テーブル(実施例1)である。話者Aの顔認識データは、丸顔又は面長顔に対応したデータ値としてAが設定される。また、話者Aの唇動作幅は、測定の結果4cmと測定されている。以上の顔認識データと唇動作幅から話者Bの声の大きさが判明する。
【0041】
話者Aの音量増加レベル値の決定は、全ての会議参加者の声の大きさと比較したところ、本例では、話者Aの声の大きさは充分に大きく、音量を増加する必要がないとして音量増加レベルは0dBとしている。
【0042】
話者Bの顔認識データは、丸顔又は面長顔に対応したデータ値としてBが設定される。また、話者Bの唇動作幅は、測定の結果1cmと測定されている。以上の顔認識データと唇動作幅から話者Bの声の大きさが判明する。
【0043】
話者Bの音量増加レベル値の決定は、全ての会議参加者の声の大きさと比較したところ、本例では、話者Bの声の大きさは小さく、かなりの音量を増加する必要があるとして音量増加レベルは+20dBとしている。
【0044】
図6は、本発明による会議録音音声の音量増加レベル値設定の説明図である。図6に示すAさんの唇動作幅の波形図とBさんの唇動作幅の波形図は、図5で示した話者唇動作幅に基づく時間経過による唇動作幅の波形図である。
【0045】
発話録音音声では、唇動作幅より、Bさんだけが話をしている部分の発話録音音声を切り出して音量を測定する。次に、Bさんの音量を基準音量と比較して、非常に小さい(所定閾値未満)ため、その不足音量を音量増加レベルとしてプラス20dBを付加する。図6は音量増加レベルを付加する前の波形図であり、音量増加レベルを付加すると、前述した図1の(c)Bさんの音量増加調整の波形図のように、Bさんの声だけに音量が増加される。なお、基準音量は、個々の発話音量が明瞭に聞き取れる標準の音量である。
【0046】
図7は、図5に基づく会議中の会議音量調整方法の手順を示すフローチャート(実施例1)である。このフローチャートは、前述の図4にて示した特定話者の音量増加値設定のフローチャートに続く、音量増加値設定後の会議音量調整方法のフローチャートを示す。
【0047】
以下に図3を参照しつつ会議中の会議音量調整方法の手順について説明する。
【0048】
S13.会議音声調整部17は、映像会議中か否かを判断する。
【0049】
S14.対象物特定部13は、カメラモニタの画像から発話者の唇動作幅を検出したか否かを判定し、検出されたと判定された場合には次のステップへ移行する。
【0050】
S15.対象物特定部13は、発話者の顔相(丸顔とか面長顔等)を認識する。
【0051】
S16.前述のS14にて唇動作の検出ができないとき、会議音声調整部17は、発話者がいないと判断して音量レベルを初期値に戻す。
【0052】
S17.対象物特定部13は、複数発話者が同時に発話をしているか否かを判断する。
【0053】
S18.前述のS17にて複数発話者が同時に発話しているのを検出すると、音量増減レベル取得部17は、S15で認識された顔相が顔認識データとして記録されているレコードを、会議音量調整値テーブルに基づく音量制御情報記憶部14から抽出する。そして、当該レコードの音量増加レベルに設定されている値を抽出する。登録済みの複数発話者全員分の音量増加レベルが取得できたら、各音量増加レベルの内、最大増加レベル分、音量レベルを増加させる。
【0054】
S19.前述のS17にて発話しているのが一人であるのを検出すると、音量増減レベル取得部15は、S15で認識された顔相が顔認識データとして記録されているレコードを、会議音量調整値テーブルに基づく音量制御情報記憶部14から抽出する。そして、当該レコードの音量増加レベルに設定されている値を抽出する。その後、抽出された音量増加レベル分、音量レベルを増加させる。
【0055】
図8は、本発明による通信端末の各機能ブロック間の信号の流れを示すシーケンス図(その1)である。以下に会議音量調整値の設定手順について説明する。
【0056】
S20.会議音声調整部17が起動され、小さな声の音量を増加するための増加値設定が開始されると、会議音声調整部17はカメラ制御部22に対してカメラ画像撮影を要求する。
【0057】
S21.カメラ制御部22は、カメラ部10に対してカメラ画像撮影の開始を指示し、そのカメラ画像を会議音量調整部17へ通知する。
【0058】
S22.会議音量調整部17は、画像を分析して会議参加者の人数を判定する。
【0059】
S23.会議音声調整部17は、画像モニタを開始するためにカメラ制御部22に対してカメラモニタ起動を指示する。
【0060】
S24.カメラ制御部22は、カメラモニタ画像を会議音量調整部17へ通知する。
【0061】
S25.会議音量調整部17は、カメラモニタ画像に映っている発話者一人の唇動作を検出してその発話者の顔相を認証する。
【0062】
S26.会議音量調整部17は、特定発話者の顔相がまだ登録されていない場合は、認証した特定話者の顔データを登録する。
【0063】
図9は、本発明による通信端末の各機能ブロック間の信号の流れを示すシーケンス図(その2)である。以下に会議音量調整値の設定手順について説明する。
【0064】
S27.会議音声調整部17は、通話記録部19に対して録音開始を要求するとともに、マイク制御部18に対してマイクONを指示する。
【0065】
S28.通話記録部19は、音声録音を開始する。
【0066】
S29.会議音声調整部17は、通話記録部19に対して録音開始から例えば10秒間待って録音停止を要求するとともに、マイク制御部18に対してマイクOFFを指示する。
【0067】
S30.通話記録部19は、特定話者の録音された音声を会議音声調整部17へ通知する。
【0068】
S31.会議音声調整部17は、通話記録部19より受け取った特定話者の録音された声の大きさを分析する。
【0069】
S32.会議音声調整部17は、特定話者の音量レベルが閾値未満であることが判明すると、特定話者の音量増加レベルを決定する。なお、特定話者の音量レベルが閾値以上であることが判明すると、特定話者の音量は増加しない。
【0070】
S33.会議音声調整部17は、音量制御情報として、特定話者の発話音声の調整値を特定話者の顔相認識データに対応付けて会議音量調整値テーブルに設定する。
【0071】
S34.音量制御情報記憶部14は、会議音量調整値テーブルに基づく話者ごとの音量制御情報を格納する。
【0072】
図10は、本発明による通信端末の各機能ブロック間の信号の流れを示すシーケンス図(その3)である。以下に会議音量調整値の設定手順について説明する。
【0073】
S35.会議音声調整部17は、映像会議中を確認し、カメラ制御部22に対してカメラ画像の撮影を要求する。
【0074】
S36.カメラ制御部22は、カメラ画像の撮影を開始し、カメラ画像を対象物特定部13へ通知する。
【0075】
S37.対象物特定部13は、カメラ画像から発話者の唇動作幅を検出する。
【0076】
S38.対象物特定部13は、発話者の顔相(丸顔とか面長顔等)を認識する。
【0077】
S39.対象物特定部13は、前述のS37.S38により特定話者を特定し、音量増減レベル取得部15に対して特定話者の記録データの検索依頼を行なう。
【0078】
S40.音量増減レベル取得部15は、全発話者の音量制御情報が記録されている音量制御情報記憶部14の会議音量調整値テーブルから該当する音量増加レベルを抽出する。
【0079】
S41.音量制御情報記憶部14は、該当する増加レベル値を音量増減レベル取得部15に通知するとともに、会議音声調整部17へ通知する。
【0080】
S42.会議音声調整部17は、スピーカ制御部に対して抽出された音量増加レベル分、音量レベルを増加させる。
【0081】
ここまで説明した実施の形態では、発話者を特定するための技術として、唇の動作検出の技術を用いた例を説明したが、他の動作を検出して発話者を特定するようにしてもよい。例えば、唇以外の部位(あご、頬等)の動作や、頭の動作等を検出するようにしてもよい。
【0082】
また、発話者と音量増加レベルの対応付けを行うに際し、発話者を一意に特定するための技術として、顔認識の技術を用いた例を説明したが、顔以外の部位を用いて特定されてもよい。また、本発明を実施するにあたり、必ずしも画像解析の技術を用いる必要はない。以下に、他の実施例を説明する。
【0083】
画像を用いない音声のみの電話会議を行う場合の例として、携帯電話等の通信端末を用いて発話者の音声を取得し、取得された音声を、公衆回線等のネットワークを介して他の通信端末に送信する場合を想定する。ハードウェア構成、及び機能ブロック図は、図2及び3と同様であるが、図2のカメラ部10及び図3のカメラ制御部22は不要である。
【0084】
本実施の形態では、予め各発話者の声紋データと音量増加レベルを会議音量調整値テーブルに記録しておくものとする。ここで言う声紋データとは、人物の声を分析し、特徴を抽出した値のことを言うものとする。
【0085】
図11は、本発明による話者ごとの会議音量調整値テーブル(実施例2)である。当該テーブルには、話者A及び話者Bの話者識別子に対応付けて、それぞれの声紋データが設定される。
【0086】
話者Aの音量増加レベル値の決定は、全ての会議参加者の声の大きさと比較したところ、本例では、話者Aの声の大きさは充分に大きく、音量を増加する必要がないとして音量増加レベルは0dBとしている。
【0087】
話者Bの音量増加レベル値の決定は、全ての会議参加者の声の大きさと比較したところ、本例では、話者Bの声の大きさは小さく、かなりの音量を増加する必要があるとして音量増加レベルは+20dBとしている。
【0088】
図12は、図11に基づく会議中の会議音量調整方法の手順を示すフローチャート(実施例2)である。以下に図3を参照しつつ会議音量調整値の設定手順について説明する。
【0089】
S43.会議音声調整部17は、映像会議中か否かを判断する。
【0090】
S44.対象物特定部13は、音声が入力されたか否かを判定し、入力されたと判定された場合には次のステップへ移行する。
【0091】
S45.対象物特定部13は、発話者の声紋を解析する。
【0092】
S49.前述のS44にて音声の入力が検出できないとき、会議音声調整部17は、発話者がいないと判断して音量レベルを初期値に戻す。
【0093】
S46.対象物特定部13は、S45の声紋認識の結果に基づいて、発話者を特定する。
【0094】
S47.対象物特定部13は、複数発話者が同時に発話をしているか否かを判断する。
【0095】
S48.前述のS47にて複数発話者が同時に発話しているのを検出すると、音量増減レベル取得部15は、S46で認識された声紋データが記録されているレコードを、会議音量調整値テーブルに基づく音量制御情報記憶部14から抽出する。そして、当該レコードの音量増加レベルに設定されている値を抽出する。登録済みの複数発話者全員分の音量増加レベルが取得できたら、各音量増加レベルの内、最大増加レベル分、音量レベルを増加させる。
【0096】
S50.前述のS47にて発話しているのが一人であるのを検出すると、音量増減レベル取得部15は、S46で認識された声紋データが記録されているレコードを、会議音量調整値テーブルに基づく音量制御情報記憶部14から抽出する。そして、当該レコードの音量増加レベルに設定されている値を抽出する。その後、抽出された音量増加レベル分、音量レベルを増加させる。
【0097】
上述の実施の形態では、声紋によって発話者を特定する例を説明したが、それに限定するものではなく、発話者の声の特徴を利用するものであって発話者を特定することができるものであればよい。更に、発話者を特定できればよいため、必ずしも声の特徴を用いる必要はない。例えば、発話者は必ず発話者ごとに割り振られた携帯電話の所定のキーを押下してから発言をするようにし、この押下されたキーに基づいて発話者を特定しても構わない。
【0098】
また、上述の実施の形態では、人物の音声の音量を調整する例を説明したが、本発明の適用分野としては、これに限られるものではない。例えば、楽器や機械等の音を発する物体を対象とし、これらの発する音を通信端末が取得して、これを他の通信端末に送信する例も考えられる。この場合であっても、これらの物体(または物体の一部)の動きや音の特徴を検知することで、いずれの物体に対応する音であるかを決定し、決定された物体に対して設定されている音量増加レベルに基づいて音量を制御することが可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 Aさんの顔相
2 Bさんの顔相
3 アンテナ
4 無線通信装置
41 RF
42 BB
5 表示部
6 マイク
7 スピーカ
8 音声入出力部
9 入力部
10 カメラ部
11 プロセッサ
12 記憶部
121 RAM
122 ROM
13 対象物特定部
14 音量制御情報記憶部
15 音量増減レベル取得部
16 スピーカ制御部
17 会議音声調整部
18 マイク制御部
19 通話記録部
20 入力制御部
21 表示制御部
22 カメラ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得されたデータに対応する音の音量を制御する音量制御装置であって、
前記音に対応する対象物を特定する特定手段と、
対象物に対応する音量制御情報を記憶した記憶手段から、前記特定手段において特定された前記対象物に対応する音量制御情報を取得する取得手段と、
前記取得手段において取得された前記音量制御情報に応じて、前記音の音量を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする音量制御装置。
【請求項2】
取得されたデータに対応する音の音量を制御する音量制御方法であって、
前記音に対応する対象物を特定し、
対象物に対応する音量制御情報を記憶した記憶手段から、特定された前記対象物に対応する音量制御情報を取得し、
前記取得された前記音量制御情報に応じて、前記音の音量を制御する、
ことを特徴とする音量制御方法。
【請求項3】
コンピュータを、
音に対応する対象物を特定する特定手段と、
対象物に対応する音量制御情報を記憶した記憶手段から、前記特定手段において特定された前記対象物に対応する音量制御情報を取得する取得手段と、
前記取得手段において取得された前記音量制御情報に応じて、前記音の音量を制御する制御手段として機能させるためのプログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−49748(P2012−49748A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188886(P2010−188886)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】