音量調整装置及び音量調整方法
【課題】スピーカを備えた装置において、スピーカから出力される音量に応じて発生する、特定の処理に問題を生じさせる現象の発生を抑制するために、必要なときに自動でスピーカからの出力レベルを切り替える。
【解決手段】周波数分離部302は、ボリューム301から入力された音声信号から補正対象周波数の信号を分離し、音量レベル検出部303は、この分離信号の信号レベルを所定レベルと比較する。超過時間検出部304は、分離信号の信号レベルが所定レベルを超えた時間を監視し、所定時間以上となった場合に、音量補正部305は分離信号を補正する。合成部307によって合成された、補正された音声信号を含む、分離された音声信号が、DAC308、AMP309を介してスピーカ62から出力される。
【解決手段】周波数分離部302は、ボリューム301から入力された音声信号から補正対象周波数の信号を分離し、音量レベル検出部303は、この分離信号の信号レベルを所定レベルと比較する。超過時間検出部304は、分離信号の信号レベルが所定レベルを超えた時間を監視し、所定時間以上となった場合に、音量補正部305は分離信号を補正する。合成部307によって合成された、補正された音声信号を含む、分離された音声信号が、DAC308、AMP309を介してスピーカ62から出力される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音質及び音量を調整する音量調整装置及び音量調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像を表示する表示装置や音声を出力するスピーカだけでなく、受信した放送番組や外部機器から入力されたコンテンツを録画(録音)するためのHDD(Hard Disc Drive)をも筐体内部に組み込んだテレビジョン受像機が広く普及している。
【0003】
スピーカは一般に、構造上スピーカ自身の特定の部品を振動させて音声を出力する。テレビジョン受像機へのスピーカの取り付けでは、スピーカは取り付け部材によって又は筐体に直接的に組み込まれ、スピーカからの振動を受けた取り付け部材又は筐体がこの振動を筐体全体に伝播することがある。またスピーカから出力された、音波としての出力音声により筐体が振動する場合もある。さらに筐体への振動が筐体の共振を発生させることも想定される。共振とは、筐体の形状や材質、テレビジョン受像機に組み込まれた様々な装置の組み込み構造などに依存する、特定周波数成分が強調される振動である。
【0004】
このようにして発生した振動が、筐体を介して筐体に組み込まれた様々な装置や部材へと伝播されると、これらの装置の動作へ悪影響を及ぼすことや、振動を受けた部材からの異音を発生させることがある。このため、スピーカの動作に起因する振動による影響を防止又は抑制するための装置や方法の開示が望まれている。
【0005】
例えば、特許文献1によれば、入力された音声信号に対して音質を調整して出力する音質調整装置であって、設定対象の周波数帯域毎に、可変範囲全てのボリューム値に対する音声出力レベルを設定するレベル設定手段と、全ての音声出力レベルに共通の上限値を設定する上限値設定手段と、前記レベル設定手段で設定した音声出力レベルが、前記上限値設定手段で設定された上限値を超えた場合、該超えた音声出力レベルを前記上限値に補正して設定し直すレベル補正手段とを備え、前記レベル設定手段での設定に基づき、前記入力された音声信号に対して、各周波数帯域の現在のボリューム値に対応する音声出力レベルで出力することを特徴とする音質調整装置が開示されている。
【0006】
この音質調整装置は、音量のボリューム値の可変範囲を減らす必要や音質を犠牲にする必要がなく、且つ筐体のビビリを防止するような音質調整用の設定を、手間をかけずに行うことが可能となる、という効果がある、とのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−187623号公報 (図1 段落0026)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし特許文献1による手法は、音声出力レベルが、設定された所定の上限値を超えた場合に、筐体のビビリを防止するために、超えた音声出力レベルを当該所定の上限値に補正することで、音質特性を設定し直すものであった。従って、音声出力レベルが瞬間的に上限値を超えた場合でも、出力レベル補正が発動してしまっていたので、必要以上に音質特性が設定し直されていた。
【0009】
また特許文献1による手法は、テレビジョン受像機の利用者が、出力レベル補正処理(ビビリ防止処理)のON/OFFを設定するための画面を利用して、この処理を定常的に実行するか否かを設定する構成であった。従って、テレビジョン受像機で行われる特定の処理の実行有無に応じて、この特定の処理とは異なる出力レベル補正処理を実行するか否かを自動的に切り替えることはできなかった。
【0010】
そこで、本発明は上述した課題を解決するために、スピーカを備えた装置において、スピーカから出力される音量に応じて発生する、特定の処理に問題を生じさせる現象の発生を抑制するために、必要なときに自動でスピーカからの出力レベルを切り替えることができる音量調整装置及び音量調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上述した課題を解決するため、入力された音声信号に所定の処理を施して出力する音声処理手段と、前記音声処理手段からの前記音声信号に基づく音声を出力するスピーカと、前記スピーカが音声を出力することにより発生する振動を受ける位置に設置され、記録媒体に対してデータのリード及び/又はライトを行うリードライト手段と、前記リードライト手段が前記記録媒体に対するリード及び/又はライトしているか否かを判断するアクセス判断手段と、前記アクセス判断手段の判断により前記記録媒体に対してリード及び/又はライトされている間に、特定の周波数における前記音声のレベルが所定時間継続して所定の上限レベルを超えた場合、前記音声処理手段が当該所定の上限レベル以下となるように前記音声のレベルを補正することを特徴とする音量調整装置を提供する。
【0012】
また本発明は上述した課題を解決するため、入力された音声信号に所定の処理を施して出力し、前記音声信号に基づく音声をスピーカから出力し、前記スピーカが音声を出力することにより発生する振動を受ける位置で、記録媒体に対してデータのリード及び/又はライトを行い、前記記録媒体に対するリード及び/又はライトしているか否かを判断し、前記判断により前記記録媒体に対してリード及び/又はライトされている間に、特定の周波数における前記音声のレベルが所定時間継続して所定の上限レベルを超えた場合、さらに、当該所定の上限レベル以下となるように前記音声のレベルを補正することを特徴とする音量調整方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スピーカを備えた装置において、スピーカから出力される音量に応じて発生する、特定の処理に問題を生じさせる現象の発生を抑制するために、必要なときに自動でスピーカからの出力レベルを切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る音量調整装置を適用したテレビジョン受像機の外観の一例を概略的に示した図。
【図2】本発明の実施形態に係るテレビジョン受像機の構成を示すブロック図。
【図3】音声処理部に備えられ、スピーカから出力される音声の音量を補正する音量補正処理を実行する各ブロックからなるシステム構成図。
【図4】図3で説明した音声処理部に備えられる各ブロックが、音量補正処理を実行する際に参照するデバイス情報の例を示す概念図。
【図5】図3で説明した音声処理部に備えられる各ブロックによって実行される音量補正処理の実行開始及び実行継続の条件を説明するためのフローチャート。
【図6】図3で説明した音声処理部に備えられる各ブロックによって実行される音量補正処理の動作を説明するためのフローチャート。
【図7】音声処理部への入力信号に対して音量補正処理が施された、音声処理部からの出力信号の態様を説明するための概念図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明における実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る音量調整装置を適用したテレビジョン受像機10の外観の一例を概略的に示した図である。
本実施形態に係るテレビジョン受像機10は主として、キャビネット1と、このキャビネット1を起立させて支持する支持台2とで構成されている。そしてキャビネット1には、薄型平面パネル型の映像表示器51、スピーカ62L,62R、HDD(Hard Disc Drive)71、ODD(Optical Disc Drive)72などが設置されている。特に、スピーカ62L,62R、HDD71、ODD72は、キャビネット1の内部に直接的に又は取付け部材(不図示)などによって設置されている。またスピーカ62L,62R、HDD71、ODD72は、同一の取り付け部材(不図示)によって設置されることもある。本実施形態では、HDD71、ODD72は、スピーカ62L,62Rが音声を出力することにより発生する振動などの物理現象を受ける位置に設置されている。
【0016】
図2は、本発明の実施形態に係るテレビジョン受像機10の構成を示すブロック図である。
このテレビジョン受像機10は、放送波処理部20、外部機器IF部21、ネットワークIF部22、操作部31、受光部32、信号処理制御部40、表示器51、音声処理部61、スピーカ62L,R、HDD71、ODD72などで構成されている。また、放送波処理部20にはアンテナANTが接続されていて、受光部32はリモートコントローラ(以下、リモコンと称する)RCと情報のやりとりを行う。
【0017】
テレビジョン受像機10は、放送波処理部20などから入力された音声情報、HDD71やODD72を利用して読み出した音声情報に対して所定の処理を施し、映像を表示器51に表示すると共に音声をスピーカ62L,Rから出力する。このスピーカ62L,Rが音声を出力することに起因して、振動が発生することがある。この振動は、キャビネット1や取り付け部材(不図示)に伝わりHDD71やODD72へ伝達される。HDD71やODD72は、特定周波数の振動を与えられている状態においては、情報の読み取り/書き込み性能が悪化することが知られている。本発明の実施形態に係るテレビジョン受像機10は、このようなスピーカ62L,Rに起因する振動によるHDD71やODD72の情報の読み取り/書き込み性能が悪化することを防止するものである。
【0018】
放送波処理部20は、アンテナANTによって受信された地上または衛星によるデジタル放送波やアナログ放送波に対応するチューナおよびデコーダを有する。また放送波処理部20は、アンテナANTが受信した信号を取得して、この取得した信号に対して特定チャンネルの選局処理及び復調復号処理を施し、番組の映像音声情報や番組名等の番組関連情報が含まれる信号を信号処理制御部40に出力する。この放送波処理部20は、取得した音声を伴う番組の情報を出力する。
【0019】
外部機器IF部21は、HDMI(登録商標)規格、USB規格又はIEEE1394規格などの様々な規格に準じた接続端子及び、これらの規格に基づいて特定の情報を抽出する情報抽出部を有する。また外部機器IF部21は、接続端子に接続された外部機器や、外部HDD、メモリカードなどの記録媒体といった情報提供源から、コンテンツの映像音声情報や番組関連情報が含まれる信号を取得して信号処理制御部40へ出力する。本実施形態では、外部機器IF部21は、取得した音声を伴うコンテンツの情報を出力する。
【0020】
ネットワークIF部22は、インターネット、LAN又はWANなどのネットワークに接続するための接続端子及び、この接続端子を経由したネットワークを介して通信を行う通信部を有する。またネットワークIF部22は、接続したネットワーク先の特定サーバなどの情報提供源から、コンテンツの映像音声情報や番組関連情報が含まれる信号を取得して信号処理制御部40へ出力する。さらにネットワークIF部22は、ネットワークを介して接続した、テレビジョン受像機10の外部HDD、メモリカードなどの記録媒体からコンテンツの映像音声情報や番組関連情報が含まれる信号を取得し、信号処理制御部40へ出力する。このネットワークIF部22は、取得した音声を伴うコンテンツの情報を出力する。
【0021】
操作部31は、テレビジョン受像機10を操作するための操作入力を受ける操作キーを有し、この操作入力の情報を受信して信号処理制御部40へ出力する。同様に受光部32は、リモコンRCからの操作入力の情報を受光(受信)して信号処理制御部40へ出力する。この操作部31またはリモコンRCは、HDD71やODD72を利用する録画を実行する録画キー、HDD71やODD72から読み出される情報に基づいて、表示器51から映像をスピーカ62L,Rから音声を出力する再生キーなどを備えている。
【0022】
信号処理制御部40は、操作部31や受光部32からの操作入力の情報に応じて、放送波処理部20、外部機器IF部21又はネットワークIF部22などの入力ソースから入力された信号に対して、映像信号と音声信号の分離処理、MPEG復号化演算処理などの様々な処理を施して表示器51へ映像信号を出力すると共にスピーカ62L,Rへ音声信号を出力する。さらに信号処理制御部40は、制御部としてのCPU又はマイコン(不図示)を備えていて、信号処理制御部40自身に備えられた各モジュールや信号処理制御部40に接続された各モジュールを利用して、複数の処理の実行を制御する。
【0023】
本実施形態では、信号処理制御部40は、前述した入力ソースから入力された映像音声信号をHDD71へ、又はODD72を利用してDVDやBDといった光ディスクへ記録する録画処理を実行する。また信号処理制御部40は、HDD71から読み出される映像音声情報やODD72が光ディスクから読み出す映像音声情報を再生する再生処理を実行する。さらに信号処理制御部40は、再生処理で再生された映像音声信号や前述したブロックから入力された映像音声信号を、表示器51及びスピーカ62L,Rへ出力するための映像音声出力処理を実行する。この信号処理制御部40は、HDD71又はODD72を利用する処理を実行しているか否かを音声処理部61へ通知する。また信号処理制御部40は、HDD71又はODD72に対して、これらを一意的に特定することができる情報の出力を要求し、出力された情報に基づく複数の情報をHDD71から読み出して、この読み出した情報を音声処理部61へ出力する。
【0024】
表示器51は、信号処理制御部40から入力された映像信号を表示する表示モジュールである。例えば表示器51には、LCD(Liquid Crystal Display)やPDP(Plasma Display Panel)などの薄型平面ディスプレイを適用することができる。
【0025】
音声処理部61は、信号処理制御部40がHDD71又はODD72を利用する処理を実行しているか否かを判断する判断処理、信号処理制御部40から入力された音声信号の音量を調整するボリューム調整処理を実行する。また音声処理部61は、音声信号の特定周波数の音量検出結果に応じて音量を補正する音量補正処理、デジタル信号をアナログ信号に変換するDA変換処理、音声信号をスピーカ62L,Rから出力するための増幅処理を実行する。そして音声処理部61は、複数の処理を施された音声信号をスピーカ62L,Rへ出力する。この音声処理部61は、信号処理制御部40と一体に構成される実施形態であってもよい。
【0026】
スピーカ62L,Rは、信号処理制御部40から入力された音声信号を出力する。本実施形態では、スピーカ62Lは左チャンネル音声を,スピーカ62Rは右チャンネル音声を出力する。このスピーカ62L,Rは、構造上、特定レベル以上の音声信号の出力に伴って振動を発生することがある。またテレビジョン受像機10は、左右チャンネル用のスピーカ62L,Rだけでなく、入力された音声信号の低音域を出力するためのサブウーファを備えていてもよい。
【0027】
HDD71は、情報を記憶するための記憶媒体(ハードディスク)に対してアクセスし、信号処理制御部40から要求された情報の読み出し処理又は書き込み処理を実行するドライブ装置である。この情報の読み出し処理及び書き込み処理を、まとめてリードライト処理と称する。このリードライト処理の実行を信号処理制御部40から要求された場合、HDD71は情報の読み出し処理又は書き込み処理を各々別々に且つ連続的に、すなわち並列的に実行することになる。またHDD71は、HDD71自身を一意的に特定することができる型式番号やメーカ名等を示す機器識別情報を格納し、信号処理制御部40からの要求に応じて、この機器識別情報を信号処理制御部40へ出力する。さらにHDD71は、HDD71又はODD72を一意的に特定することができる型式番号等の機器識別情報に、さらに複数の情報が対応付けられたデバイス情報を記憶する。またHDD71は、番組やコンテンツの映像音声情報を記憶する。このHDD71は、特定周波数の振動を所定時間与えられている状態では、この振動が記憶媒体に対するサーボ制御の外乱となるために、リードライト処理の実行が困難となる。
【0028】
ODD72は、情報が格納されている光ディスクにアクセスし、アクセスした光ディスクから信号処理制御部40から要求された情報を読み出す処理、及び情報を記録できる光ディスクにアクセスし、アクセスした光ディスクへ信号処理制御部40から要求された情報を記録する処理を実行するドライブ装置である。ODD72による、情報を読み出す処理及び情報を記録する処理も、リードライト処理と称する。このODD72は番組やコンテンツの映像音声情報を、光ディスクに対して記憶し又は読み出す。またODD72は、ODD72自身を一意的に特定することができる型式番号やメーカ名等を示す機器識別情報を格納し、信号処理制御部40からの要求に応じて、この機器識別情報を信号処理制御部40へ出力する。ODD72は、特定周波数の振動を所定時間与えられている状態では、この振動が光ディスクに対するサーボ制御の外乱となるために、リードライト処理の実行が困難となる。
【0029】
なお本実施形態は、本発明に係る構成を適用した音量調整装置として、テレビジョン受像機10を例とした形態である。しかし、本実施形態に係る音量調整装置と同様の構造の、パーソナルコンピュータ、移動携帯端末、HDD/CD/DVD音楽再生録音装置などを例とした形態であっても構わない。すなわち本発明に係る実施形態では、例えば放送波種別、信号取得経路などといった項目において限定されるものではなく、単に音声信号を処理する構成部及び情報の書き込み/読み出しを実行する構成部を有する音量調整装置であれば、本発明を適用することが可能である。
【0030】
このような構成により、本発明の実施形態に係るテレビジョン受像機10は、スピーカ62L,Rが出力する音声の音量に応じて発生する振動によって、リードライト手段としてのHDD71又はODD72の動作が困難となる問題を抑制するための振動抑制処理を実行する。この振動抑制処理は、この振動の根源となるスピーカ62L,Rから出力される音声の音量を所定条件に基づいて自動で補正する(減少する)ことで実現されるため、音量を補正する音量補正処理であるといえる。この振動抑制処理として機能する音量補正処理は、スピーカ62L,Rへ入力される前の音声信号に対して施され、主に音声処理部61によって実行される。
【0031】
次に、図3を用いて、図2で説明した音声処理部61に備えられ、スピーカ62L,Rから出力される音声の音量を補正する音量補正処理を実行する各ブロックを説明する。
【0032】
図3は、音声処理部61に備えられ、スピーカ62L,Rから出力される音声の音量を補正する音量補正処理を実行する各ブロックからなるシステム構成図である。
本実施形態に係る音声処理部61は、実行処理判断部300、ボリューム301、周波数分離部302、音量レベル検出部303、超過時間検出部304、音量補正部305、遅延部306、合成部307、DAC308、AMP309などを備えている。
【0033】
実行処理判断部300は、信号処理制御部40がHDD71又はODD72を利用する処理を実行しているか否かを判断して、実行している場合には、このことを示す実行中情報を周波数分離部302へ出力する。前述した信号処理制御部40での処理実行の判断は、実行処理判断部300が、処理を実行しているか否かを示す情報の通知を信号処理制御部40へ要求する実施形態や、信号処理制御部40が自発的に出力する、処理実行を示す情報を実行処理判断部300が判断する実施形態などで実現可能である。この実行処理判断部300は、HDD71又はODD72が、記録媒体であるハードディスクや光ディスクにアクセスしているか否かを判断するアクセス判断手段として機能する。
【0034】
ボリューム301は、スピーカ62L,Rから出力される音量を設定するための利得設定部である。ボリューム301は、信号処理制御部40から入力される音声信号に所定の入出力特性の利得を持たせた所定倍の音声信号を、後段の周波数分離部302へ出力する。
【0035】
周波数分離部302は、実行処理判断部300から実行中情報を入力された場合に、ボリューム301から入力された所定倍の音声信号に基づいて、例えば決定した周波数を中心とする高次の帯域通過フィルタ(BPF)などを利用して、特定周波数帯の信号レベルを維持すると共に特定周波数帯以外の信号レベルを減衰させた特定帯域信号を、後段の音量補正部305及び音量レベル検出部303へ出力する。また周波数分離部302は、ボリューム301から入力された所定倍の音声信号に基づいて、例えば決定した周波数を中心とする高次の帯域減衰フィルタ(BEF)などを利用して、特定周波数帯の信号レベルを減衰させると共に特定周波数帯以外の信号レベルを維持した特定帯域外信号を、後段の遅延部306へ出力する。この周波数分離部302は、HDD71に記憶されたデバイス情報を読み出すと共に、この読み出したデバイス情報に含まれる周波数情報に基づいて、何れの周波数帯の信号を分離するかを決定する。
【0036】
このようなBPF及びBEFの入出力特性は、これらBPFとBEFとを合成した場合の入出力特性がフラットとなるように、すなわちBPFとBEFとの入出力特性が反対の特性となることが好ましい。すなわち、周波数分離部302は、ボリューム301から入力された所定倍の音声信号から、特定周波数の音声信号を分離して出力するフィルタ機能を有するブロックであるといえる。また周波数分離部302は、複数の周波数情報に対応すべく複数の周波数帯の信号を分離できる構成であってもよい。
【0037】
また周波数分離部302は、実行処理判断部300から実行中情報を入力されない場合は、前述したような特定の周波数の分離を行わずに、ボリューム301から入力された音声信号をスルーして遅延部306へ出力する。
【0038】
音量レベル検出部303は、HDD71に記憶されたデバイス情報を読み出すと共に、この読み出したデバイス情報に含まれる上限レベル情報に基づいて、周波数分離部302から入力される特定帯域信号のレベルを監視する。この音量レベル検出部303は、上限レベル情報から上限レベルを得る。音量レベル検出部303は、特定帯域信号のレベルが上限レベル以上又は上限レベルよりも大きくなったことを示すレベル超過情報を検出し、この検出したレベル超過情報を超過時間検出部304へ出力する。例えば、音量レベル検出部303は、特定帯域信号のレベルと上限レベルとを入力したコンパレータの出力情報をレベル超過情報として、所定時間のサンプリングクロックごとに出力することでレベル超過情報を検出することができる。また音量レベル検出部303は、複数の周波数情報に対応すべく複数設けられてもよい。
【0039】
超過時間検出部304は、HDD71に記憶されたデバイス情報を読み出すと共に、この読み出したデバイス情報に含まれる監視時間情報に基づいて、音量レベル検出部303から入力されるレベル超過情報の継続時間を監視する。この超過時間検出部304は、監視時間情報から監視時間を得る。超過時間検出部304は、音量レベル検出部303から入力された、レベル超過情報の継続時間が監視時間と同じ又は監視時間より長くなったことを示す時間超過情報を検出し、この検出した時間超過情報を音量補正部305へ出力する。また超過時間検出部304は、複数の周波数情報に対応すべく複数設けられてもよい。
【0040】
音量補正部305は、HDD71に記憶されたデバイス情報を読み出すと共に、この読み出したデバイス情報に含まれる上限レベル情報及び、超過時間検出部304から入力される時間超過情報に基づいて、周波数分離部302から入力される特定帯域信号のレベルを補正する。この音量補正部305は、上限レベル情報から上限レベルを得る。すなわち音量補正部305は、超過時間検出部304から時間超過情報が入力された場合に、周波数分離部302から入力される特定帯域信号のレベルが上限レベル以下となるように補正する。そして音量補正部305は、周波数分離部302から入力される特定帯域信号及びレベルを補正した特定帯域信号を合成部307へ出力する。また音量補正部305は、複数の周波数情報に対応すべく複数設けられてもよい。
【0041】
遅延部306は、周波数分離部302から入力される特定帯域外信号を、音量レベル検出部303、超過時間検出部304及び音量補正部305での処理遅延時間相当の時間で遅延した遅延特定帯域外信号を合成部307へ出力する。
【0042】
合成部307は、音量補正部305から入力される特定帯域信号及びレベルを補正した特定帯域信号と、遅延部306から入力される遅延特定帯域外信号とを合成した合成音声信号をDAC308へ出力する。すなわち合成部307は、デバイス情報に含まれる、周波数情報、上限レベル情報及び監視時間情報に基づく条件に合致した信号に対してのみレベル補正された音声信号をDAC308へ出力することになる。また合成部307は、複数の周波数情報に対応すべく複数の周波数帯の信号を合成できる構成であってもよい。
【0043】
DAC308は、合成部307から入力されるデジタル信号である合成音声信号をアナログ信号に変換したアナログ音声信号をAMP309へ出力する。DAC308は、可聴帯域外のノイズを除去すると共に音質及び特性に影響を与える低域通過フィルタ(LPF)を出力段に有することもある。
【0044】
AMP309は、DAC308から入力されるアナログ音声信号に対して、スピーカ62L,Rから出力するための増幅処理を施してスピーカ62L,Rへ出力する。
【0045】
なお、周波数分離部302、音量レベル検出部303、超過時間検出部304、及び音量補正部305は、信号処理制御部40を介して、HDD71又はODD72を一意的に特定することができる情報を読み出すブロック(不図示)が読み出した機器識別情報に基づいて、HDD71に記憶されたデバイス情報を読み出す。
【0046】
また、DAC308が設けられずに、AMP309が合成部307からPWM波やPDM波のデジタル音声信号を入力され、入力されたデジタル音声信号に対して増幅処理を施してスピーカ62L,Rへ出力する、デジタルアンプとして構成されてもよい。
【0047】
これら複数のブロックによるシステム構成により、本発明の実施形態に係る音声処理部61は、HDD71又はODD72を利用する処理の実行があるか否かに応じて、スピーカ62L,Rへ入力される前の音声信号に対して、特定の周波数の音声信号レベルが所定レベルを超過した時間を監視して、スピーカ62L,Rが出力する特定の周波数の所定レベルを超過した音声の音量を自動で補正するので、スピーカ62L,Rが出力する音声の音量に応じて発生する振動によって、HDD71やODD72の動作が困難となる問題を抑制することができる。
【0048】
次に、図4を用いて、図3で説明した音声処理部61に備えられる各ブロックが、音量補正処理を実行する際に参照するデバイス情報の例を説明する。
図4は、図3で説明した音声処理部61に備えられる各ブロックが、音量補正処理を実行する際に参照するデバイス情報の例を示す概念図である。
デバイス情報には、HDD71かODD72を示すカテゴリ、型式番号、HDD71かODD72の製造メーカ名、カテゴリがHDD71である場合の記憶容量、情報の読み出し及び書き込みの処理の実行が特に困難となる振動の周波数、振動を発生する要因となるスピーカ62L,Rからの音量出力レベルに対応する上限レベル、振動周波数及び上限レベルと共にHDD71又はODD72による情報の読み出し及び書き込みの処理の実行が困難となる指標となる監視時間、などの情報が、それぞれ相互に対応付けられている。
【0049】
すなわち、音量補正処理を実行する際には、これらの情報のうち、「周波数」が周波数情報として周波数分離部302に参照され、「上限レベル」が上限レベル情報として音量レベル検出部303及び音量補正部305に参照され、「監視時間」が監視時間情報として超過時間検出部304に参照される。
【0050】
またデバイス情報は、特定の型式番号に対して複数の振動周波数、上限レベル、監視時間が対応付けられていてもよい。例えば、図4に示した型式番号「AAA」には、振動周波数として「100[Hz]」と「3000[Hz]」の2つが対応付けられている。
【0051】
またデバイス情報は、HDD71ではなく、テレビジョン受像機10に備えられた不揮発性の記憶部(不図示)に記憶されている実施形態であってもよい。
このデバイス情報は、放送波処理部20が番組の映像音声情報と混合される放送波から抽出して取得する実施形態や、ネットワークIF部22がインターネット先の特定のサーバ装置から取得する実施形態など様々な径路で提供されることが可能である。
【0052】
次に、図5を用いて、図3で説明した音声処理部61に備えられる各ブロックによって実行される音量補正処理の、実行開始及び実行継続の条件を説明する。
図5は、図3で説明した音声処理部61に備えられる各ブロックによって実行される音量補正処理の実行開始及び実行継続の条件を説明するためのフローチャートである。
【0053】
前述したとおり、テレビジョン受像機10は複数の処理を実行する。特にこの複数の処理の中で、音量補正処理の実行開始及び実行継続の条件に密接に関連する処理は、HDD71を利用した再生処理であるHDD再生処理及びHDD71を利用した録画処理であるHDD録画処理である。すなわち、音量補正処理の実行開始及び実行継続は、前述したHDD再生処理及びHDD録画処理の実行があるか否かに依存して決定される。
【0054】
具体的には、テレビジョン受像機10で実行される複数の処理のうち、何れかの処理開始要求があるか否かが判定される(S501)。処理開始要求がない場合(S501のNo)、処理開始要求の有無判定(S501)が繰り返される。
【0055】
HDD再生処理の開始要求があったと判定された場合(S501のYes;HDD再生処理)、HDD再生処理が開始される(S502)。そしてHDD録画処理が並列的に実行されているか否かが判定される(S503)。HDD録画処理が並列的に実行されている場合(S503のYes)、音量補正処理の実行が開始されて(S504)、HDD再生処理の開始要求に伴う処理が終了する。また、HDD録画処理が並列的に実行されていない場合(S503のNo)も、HDD再生処理の開始要求に伴う処理は終了する。
【0056】
また処理開始要求の有無判定(S501)で、HDD録画処理の開始要求があったと判定された場合(S501のYes;HDD録画処理)、HDD録画処理が開始される(S505)。そしてHDD再生処理が並列的に実行されているか否かが判定される(S506)。HDD再生処理が並列的に実行されている場合(S506のYes)、音量補正処理の実行が開始されて(S507)、HDD録画処理の開始要求に伴う処理が終了する。また、HDD再生処理が並列的に実行されていない場合(S506のNo)も、HDD録画処理の開始要求に伴う処理は終了する。
【0057】
さらに処理開始要求の有無判定(S501)で、HDD再生処理及びHDD録画処理を除くその他の処理の開始要求があったと判定された場合(S501のYes;その他の処理)、その他の処理が開始される(S508)。その他の処理とは、例えば、HDD再生処理又はHDD録画処理の何れかの処理の停止処理、HDD録画処理対象の入力ソースの切り替え処理、ODD72を利用した再生処理であるODD再生処理などである。
【0058】
その他の処理開始(S508)後、HDD録画処理及びHDD再生処理が継続して並列的に実行されているか否かが判定される(S509)。HDD録画処理及びHDD再生処理が継続して並列的に実行されている場合(S509のYes)、音量補正処理の実行が開始されて(S510)、その他の処理の開始要求に伴う処理が終了する。また、HDD録画処理及びHDD再生処理が継続して並列的に実行されていない場合(S509のNo)も、その他の処理の開始要求に伴う処理は終了する。
【0059】
具体的には、前述したその他の処理の複数の例のうち、HDD録画処理対象の入力ソースの切り替え処理が要求された場合には、音量補正処理の実行が開始される。
なお、音量補正処理の実行開始及び実行継続が、HDD再生処理及びHDD録画処理の実行があるか否かに依存して決定される例を説明したが、例えば、HDD録画処理が複数実行される例、HDD再生処理又はHDD録画処理の何れか一方又は両方がHDD71に記憶された情報をコピー又は移動する処理である例なども適用することが可能である。すなわち音量補正処理の実行開始及び実行継続は、HDD71へのアクセスが頻繁に行われていることが条件になる。またODD72へのアクセスが頻繁に行われることも、同様に音量補正処理の実行開始及び実行継続の条件となり得る。
【0060】
このようにして、テレビジョン受像機10で実行される複数の処理のうち、特定の処理(例えば、HDD録画処理及びHDD再生処理)の実行があるか否かに応じて、音量補正処理の実行開始及び実行継続が決定されるので、必要なときにのみ自動でスピーカ62L,Rからの出力レベルを切り替えることができる。
【0061】
次に、図6を用いて、図3で説明した音声処理部61に備えられる各ブロックによって実行される音量補正処理の動作を説明する。
図6は、図3で説明した音声処理部61に備えられる各ブロックによって実行される音量補正処理の動作を説明するためのフローチャートである。
音量補正処理が開始すると、音声処理部61に備えられる各ブロックはデバイス情報を取得する(S601)。またこれらの各ブロックはデバイス情報に含まれ、音量補正処理に必要な情報を取得する(S602)。さらにこれらの各ブロックは、取得した音量補正処理に必要な情報を設定する(S603)。ここまでは音声補正処理における準備処理であり、これ以降で、音声補正処理における実体処理が実行される。
【0062】
そして実行処理判断部300は、処理停止するか否かを判定する(S604)。この処理停止をする判定は、実行処理判断部300が、信号処理制御部40がHDD71又はODD72を利用する処理を実行していないことを判断することでなされる。音量補正処理の継続中には、これ以降の複数の処理が繰り返し実行されるので、この判定処理は繰り返し実行される複数の処理の先頭ではなく最後に実行されてもよいが、本実施形態では最初に実行されるものとする。
【0063】
判定の結果、処理停止しない場合(S604のNo)は、まず、周波数分離部302が、周波数情報に基づいて、所定倍の音声信号を、補正対象周波数Pfを中心とした周波数帯域の信号である特定帯域信号と、補正対象周波数Pfを中心とした周波数帯域以外の信号である特定帯域外信号とに分離する(S605)。次に音量レベル検出部303は、上限レベル情報Pvに基づいて、特定帯域信号のレベルを監視する(S606)。特定帯域信号のレベルが上限レベルPv以上又は上限レベルPvよりも大きくなった場合(S606のYes)、超過時間検出部304は、監視時間情報に基づいて、上限レベル超過の継続時間を監視する(S607)。上限レベル超過の継続時間が監視時間Ptと同じ又は監視時間Ptより長くなった場合(S607のYes)、音量補正部305は、上限レベル情報に基づいて、特定帯域信号のレベルが上限レベルPv以下となるように補正する(S608)。
【0064】
そして、音量補正部305が特定帯域信号のレベルを補正した後、だけでなく、特定帯域(補正対象周波数Pf付近の)信号のレベルが上限レベルPv以下又は上限レベルPvよりも小さい場合(S606のNo)、又は、上限レベル超過の継続時間が監視時間Ptより短い場合(S607のNo)も、合成部307は、特定帯域信号及びレベルを補正した特定帯域信号と、遅延特定帯域外信号とを合成する(S609)。合成部307から出力された合成音声信号は、DAC308、AMP309を介してスピーカ62L,Rから出力される(S610)。
【0065】
この後さらに処理停止するか否かが判定され(S604)て、停止しない間は、前述した信号の分離、信号のレベルの監視以降の複数の処理が繰り返し実行される。すなわち、これら複数の処理が繰り返し実行されている間は、信号のレベル、レベル超過時間が所定のタイミングで監視されているので、信号のレベル、レベル超過時間がレベル補正の条件を外れれば、レベル補正はされない。
【0066】
一方、処理停止するか否かの判定で、処理停止する場合(S604のYes)、音声補正処理は停止(S611)されて音声補正処理が終了する。
このようにして、図3で説明した各ブロックによって、音量補正処理の動作が実行される。すなわち本実施形態に係る音量補正処理では、まず準備処理としてデバイス情報に基づくパラメータ設定が実行され、その後は実体処理として、信号の分離、信号のレベルの監視、レベル超過時間の監視、レベルの補正、及び、信号の合成が繰り返し実行される。従って、所定条件で開始された音量補正処理では、音声信号が監視され続けて、必要なときにのみ自動で音量補正が施されることになる。
【0067】
次に、図7を用いて、音声処理部61への入力信号に対して音量補正処理が施された、音声処理部61からの出力信号の態様を説明する。
図7は、音声処理部61への入力信号に対して音量補正処理が施された、音声処理部61からの出力信号の態様を説明するための概念図である。
図7の上段には補正対象周波数Pfを中心とした周波数帯域の入力信号の一例が、図7の下段には、上段の入力信号に対して音量補正処理が施された出力信号の一例が示されている。
【0068】
この音量補正処理では、この入力信号のレベルが上限レベルPvと常時比較されていて、入力信号のレベルが上限レベルPvを超えた場合、上限レベルPvを継続して超過した時間が監視時間Ptと比較されている。
【0069】
また図7における入力信号では、上限レベル超過期間(T1),(T2),(T3)において、上限レベル超過の継続時間T1,T2,T3が監視時間Ptよりも短い。しかし上限レベル超過期間(T4)では、上限レベル超過の継続時間T4が監視時間Ptよりも長い。これら以外の期間では、入力信号のレベルは上限レベルPvよりも小さい。
【0070】
このような入力信号に対して、音量補正処理が実行されると、図7における出力信号では、上限レベル超過期間(T1)においては、上限レベル超過の継続時間T1が監視時間Ptよりも短いので音量(信号レベル)は補正されない。上限レベル超過期間(T2),(T3)においても同様である。しかし上限レベル超過期間(T4)においては、上限レベル超過の継続時間T4が監視時間Ptよりも長くなっているので、音量(信号レベル)は上限レベルPvとなるように補正される。
【0071】
また上限レベル超過期間(T4)の前半部分の監視時間Pt以内では、出力レベル=入力レベルとなるが、上限レベル超過期間(T4)の後半部分の監視時間Ptよりも後では、出力レベル=上限レベルPvとなる。さらに、上限レベル超過期間(T4)よりも後では、入力信号のレベルが上限レベルPvよりも小さくなるので、出力レベルの補正はされなくなり、出力レベル=入力レベルとなる。このとき、出力レベルがステップ状に急激に入力レベルに戻るのではなく、段階的に又は徐々に入力レベルに戻るように制御されても構わない。
【0072】
このようにして、本実施形態に係る音量補正処理では、入力信号のレベルが所定レベルを超えた時間が所定時間よりも長くなった場合にのみ、音量を補正することができるので、必要なときに自動でスピーカL,Rからの出力レベルを切り替えることが可能となる。
【0073】
以上説明したように本実施形態によれば、テレビジョン受像機10で実行される複数の処理のうち、特定の処理の実行があるか否かに応じて、音量補正処理の実行開始及び実行継続が決定される。また、この音量補正処理では、テレビジョン受像機10に備えられた複数のブロックが、スピーカ62L,Rが出力する音声の音量に応じて発生する振動の発生を抑制するために、入力信号のレベルを監視し続けて、必要な時にのみ自動で特定の周波数の信号に対してのみ音量補正を施すので、スピーカを備えた装置において、スピーカから出力される音量に応じて発生する、特定の処理に問題を生じさせる現象の発生を抑制するために、必要なときに自動でスピーカからの出力レベルを切り替えることができる。
【0074】
また本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…キャビネット、2…支持台、10…テレビジョン受像機、20…放送波処理部、21…外部機器IF部、22…ネットワークIF部、31…操作部、32…受光部、40…信号処理制御部、51…表示器、61…音声処理部、62L,R…スピーカ、71…HDD、72…ODD、RC…リモコン、301…ボリューム、302…周波数分離部、303…音量レベル検出部、304…超過時間検出部、305…音量補正部、306…遅延部、307…合成部、308…DAC、309…AMP。
【技術分野】
【0001】
本発明は、音質及び音量を調整する音量調整装置及び音量調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像を表示する表示装置や音声を出力するスピーカだけでなく、受信した放送番組や外部機器から入力されたコンテンツを録画(録音)するためのHDD(Hard Disc Drive)をも筐体内部に組み込んだテレビジョン受像機が広く普及している。
【0003】
スピーカは一般に、構造上スピーカ自身の特定の部品を振動させて音声を出力する。テレビジョン受像機へのスピーカの取り付けでは、スピーカは取り付け部材によって又は筐体に直接的に組み込まれ、スピーカからの振動を受けた取り付け部材又は筐体がこの振動を筐体全体に伝播することがある。またスピーカから出力された、音波としての出力音声により筐体が振動する場合もある。さらに筐体への振動が筐体の共振を発生させることも想定される。共振とは、筐体の形状や材質、テレビジョン受像機に組み込まれた様々な装置の組み込み構造などに依存する、特定周波数成分が強調される振動である。
【0004】
このようにして発生した振動が、筐体を介して筐体に組み込まれた様々な装置や部材へと伝播されると、これらの装置の動作へ悪影響を及ぼすことや、振動を受けた部材からの異音を発生させることがある。このため、スピーカの動作に起因する振動による影響を防止又は抑制するための装置や方法の開示が望まれている。
【0005】
例えば、特許文献1によれば、入力された音声信号に対して音質を調整して出力する音質調整装置であって、設定対象の周波数帯域毎に、可変範囲全てのボリューム値に対する音声出力レベルを設定するレベル設定手段と、全ての音声出力レベルに共通の上限値を設定する上限値設定手段と、前記レベル設定手段で設定した音声出力レベルが、前記上限値設定手段で設定された上限値を超えた場合、該超えた音声出力レベルを前記上限値に補正して設定し直すレベル補正手段とを備え、前記レベル設定手段での設定に基づき、前記入力された音声信号に対して、各周波数帯域の現在のボリューム値に対応する音声出力レベルで出力することを特徴とする音質調整装置が開示されている。
【0006】
この音質調整装置は、音量のボリューム値の可変範囲を減らす必要や音質を犠牲にする必要がなく、且つ筐体のビビリを防止するような音質調整用の設定を、手間をかけずに行うことが可能となる、という効果がある、とのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−187623号公報 (図1 段落0026)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし特許文献1による手法は、音声出力レベルが、設定された所定の上限値を超えた場合に、筐体のビビリを防止するために、超えた音声出力レベルを当該所定の上限値に補正することで、音質特性を設定し直すものであった。従って、音声出力レベルが瞬間的に上限値を超えた場合でも、出力レベル補正が発動してしまっていたので、必要以上に音質特性が設定し直されていた。
【0009】
また特許文献1による手法は、テレビジョン受像機の利用者が、出力レベル補正処理(ビビリ防止処理)のON/OFFを設定するための画面を利用して、この処理を定常的に実行するか否かを設定する構成であった。従って、テレビジョン受像機で行われる特定の処理の実行有無に応じて、この特定の処理とは異なる出力レベル補正処理を実行するか否かを自動的に切り替えることはできなかった。
【0010】
そこで、本発明は上述した課題を解決するために、スピーカを備えた装置において、スピーカから出力される音量に応じて発生する、特定の処理に問題を生じさせる現象の発生を抑制するために、必要なときに自動でスピーカからの出力レベルを切り替えることができる音量調整装置及び音量調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上述した課題を解決するため、入力された音声信号に所定の処理を施して出力する音声処理手段と、前記音声処理手段からの前記音声信号に基づく音声を出力するスピーカと、前記スピーカが音声を出力することにより発生する振動を受ける位置に設置され、記録媒体に対してデータのリード及び/又はライトを行うリードライト手段と、前記リードライト手段が前記記録媒体に対するリード及び/又はライトしているか否かを判断するアクセス判断手段と、前記アクセス判断手段の判断により前記記録媒体に対してリード及び/又はライトされている間に、特定の周波数における前記音声のレベルが所定時間継続して所定の上限レベルを超えた場合、前記音声処理手段が当該所定の上限レベル以下となるように前記音声のレベルを補正することを特徴とする音量調整装置を提供する。
【0012】
また本発明は上述した課題を解決するため、入力された音声信号に所定の処理を施して出力し、前記音声信号に基づく音声をスピーカから出力し、前記スピーカが音声を出力することにより発生する振動を受ける位置で、記録媒体に対してデータのリード及び/又はライトを行い、前記記録媒体に対するリード及び/又はライトしているか否かを判断し、前記判断により前記記録媒体に対してリード及び/又はライトされている間に、特定の周波数における前記音声のレベルが所定時間継続して所定の上限レベルを超えた場合、さらに、当該所定の上限レベル以下となるように前記音声のレベルを補正することを特徴とする音量調整方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スピーカを備えた装置において、スピーカから出力される音量に応じて発生する、特定の処理に問題を生じさせる現象の発生を抑制するために、必要なときに自動でスピーカからの出力レベルを切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る音量調整装置を適用したテレビジョン受像機の外観の一例を概略的に示した図。
【図2】本発明の実施形態に係るテレビジョン受像機の構成を示すブロック図。
【図3】音声処理部に備えられ、スピーカから出力される音声の音量を補正する音量補正処理を実行する各ブロックからなるシステム構成図。
【図4】図3で説明した音声処理部に備えられる各ブロックが、音量補正処理を実行する際に参照するデバイス情報の例を示す概念図。
【図5】図3で説明した音声処理部に備えられる各ブロックによって実行される音量補正処理の実行開始及び実行継続の条件を説明するためのフローチャート。
【図6】図3で説明した音声処理部に備えられる各ブロックによって実行される音量補正処理の動作を説明するためのフローチャート。
【図7】音声処理部への入力信号に対して音量補正処理が施された、音声処理部からの出力信号の態様を説明するための概念図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明における実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る音量調整装置を適用したテレビジョン受像機10の外観の一例を概略的に示した図である。
本実施形態に係るテレビジョン受像機10は主として、キャビネット1と、このキャビネット1を起立させて支持する支持台2とで構成されている。そしてキャビネット1には、薄型平面パネル型の映像表示器51、スピーカ62L,62R、HDD(Hard Disc Drive)71、ODD(Optical Disc Drive)72などが設置されている。特に、スピーカ62L,62R、HDD71、ODD72は、キャビネット1の内部に直接的に又は取付け部材(不図示)などによって設置されている。またスピーカ62L,62R、HDD71、ODD72は、同一の取り付け部材(不図示)によって設置されることもある。本実施形態では、HDD71、ODD72は、スピーカ62L,62Rが音声を出力することにより発生する振動などの物理現象を受ける位置に設置されている。
【0016】
図2は、本発明の実施形態に係るテレビジョン受像機10の構成を示すブロック図である。
このテレビジョン受像機10は、放送波処理部20、外部機器IF部21、ネットワークIF部22、操作部31、受光部32、信号処理制御部40、表示器51、音声処理部61、スピーカ62L,R、HDD71、ODD72などで構成されている。また、放送波処理部20にはアンテナANTが接続されていて、受光部32はリモートコントローラ(以下、リモコンと称する)RCと情報のやりとりを行う。
【0017】
テレビジョン受像機10は、放送波処理部20などから入力された音声情報、HDD71やODD72を利用して読み出した音声情報に対して所定の処理を施し、映像を表示器51に表示すると共に音声をスピーカ62L,Rから出力する。このスピーカ62L,Rが音声を出力することに起因して、振動が発生することがある。この振動は、キャビネット1や取り付け部材(不図示)に伝わりHDD71やODD72へ伝達される。HDD71やODD72は、特定周波数の振動を与えられている状態においては、情報の読み取り/書き込み性能が悪化することが知られている。本発明の実施形態に係るテレビジョン受像機10は、このようなスピーカ62L,Rに起因する振動によるHDD71やODD72の情報の読み取り/書き込み性能が悪化することを防止するものである。
【0018】
放送波処理部20は、アンテナANTによって受信された地上または衛星によるデジタル放送波やアナログ放送波に対応するチューナおよびデコーダを有する。また放送波処理部20は、アンテナANTが受信した信号を取得して、この取得した信号に対して特定チャンネルの選局処理及び復調復号処理を施し、番組の映像音声情報や番組名等の番組関連情報が含まれる信号を信号処理制御部40に出力する。この放送波処理部20は、取得した音声を伴う番組の情報を出力する。
【0019】
外部機器IF部21は、HDMI(登録商標)規格、USB規格又はIEEE1394規格などの様々な規格に準じた接続端子及び、これらの規格に基づいて特定の情報を抽出する情報抽出部を有する。また外部機器IF部21は、接続端子に接続された外部機器や、外部HDD、メモリカードなどの記録媒体といった情報提供源から、コンテンツの映像音声情報や番組関連情報が含まれる信号を取得して信号処理制御部40へ出力する。本実施形態では、外部機器IF部21は、取得した音声を伴うコンテンツの情報を出力する。
【0020】
ネットワークIF部22は、インターネット、LAN又はWANなどのネットワークに接続するための接続端子及び、この接続端子を経由したネットワークを介して通信を行う通信部を有する。またネットワークIF部22は、接続したネットワーク先の特定サーバなどの情報提供源から、コンテンツの映像音声情報や番組関連情報が含まれる信号を取得して信号処理制御部40へ出力する。さらにネットワークIF部22は、ネットワークを介して接続した、テレビジョン受像機10の外部HDD、メモリカードなどの記録媒体からコンテンツの映像音声情報や番組関連情報が含まれる信号を取得し、信号処理制御部40へ出力する。このネットワークIF部22は、取得した音声を伴うコンテンツの情報を出力する。
【0021】
操作部31は、テレビジョン受像機10を操作するための操作入力を受ける操作キーを有し、この操作入力の情報を受信して信号処理制御部40へ出力する。同様に受光部32は、リモコンRCからの操作入力の情報を受光(受信)して信号処理制御部40へ出力する。この操作部31またはリモコンRCは、HDD71やODD72を利用する録画を実行する録画キー、HDD71やODD72から読み出される情報に基づいて、表示器51から映像をスピーカ62L,Rから音声を出力する再生キーなどを備えている。
【0022】
信号処理制御部40は、操作部31や受光部32からの操作入力の情報に応じて、放送波処理部20、外部機器IF部21又はネットワークIF部22などの入力ソースから入力された信号に対して、映像信号と音声信号の分離処理、MPEG復号化演算処理などの様々な処理を施して表示器51へ映像信号を出力すると共にスピーカ62L,Rへ音声信号を出力する。さらに信号処理制御部40は、制御部としてのCPU又はマイコン(不図示)を備えていて、信号処理制御部40自身に備えられた各モジュールや信号処理制御部40に接続された各モジュールを利用して、複数の処理の実行を制御する。
【0023】
本実施形態では、信号処理制御部40は、前述した入力ソースから入力された映像音声信号をHDD71へ、又はODD72を利用してDVDやBDといった光ディスクへ記録する録画処理を実行する。また信号処理制御部40は、HDD71から読み出される映像音声情報やODD72が光ディスクから読み出す映像音声情報を再生する再生処理を実行する。さらに信号処理制御部40は、再生処理で再生された映像音声信号や前述したブロックから入力された映像音声信号を、表示器51及びスピーカ62L,Rへ出力するための映像音声出力処理を実行する。この信号処理制御部40は、HDD71又はODD72を利用する処理を実行しているか否かを音声処理部61へ通知する。また信号処理制御部40は、HDD71又はODD72に対して、これらを一意的に特定することができる情報の出力を要求し、出力された情報に基づく複数の情報をHDD71から読み出して、この読み出した情報を音声処理部61へ出力する。
【0024】
表示器51は、信号処理制御部40から入力された映像信号を表示する表示モジュールである。例えば表示器51には、LCD(Liquid Crystal Display)やPDP(Plasma Display Panel)などの薄型平面ディスプレイを適用することができる。
【0025】
音声処理部61は、信号処理制御部40がHDD71又はODD72を利用する処理を実行しているか否かを判断する判断処理、信号処理制御部40から入力された音声信号の音量を調整するボリューム調整処理を実行する。また音声処理部61は、音声信号の特定周波数の音量検出結果に応じて音量を補正する音量補正処理、デジタル信号をアナログ信号に変換するDA変換処理、音声信号をスピーカ62L,Rから出力するための増幅処理を実行する。そして音声処理部61は、複数の処理を施された音声信号をスピーカ62L,Rへ出力する。この音声処理部61は、信号処理制御部40と一体に構成される実施形態であってもよい。
【0026】
スピーカ62L,Rは、信号処理制御部40から入力された音声信号を出力する。本実施形態では、スピーカ62Lは左チャンネル音声を,スピーカ62Rは右チャンネル音声を出力する。このスピーカ62L,Rは、構造上、特定レベル以上の音声信号の出力に伴って振動を発生することがある。またテレビジョン受像機10は、左右チャンネル用のスピーカ62L,Rだけでなく、入力された音声信号の低音域を出力するためのサブウーファを備えていてもよい。
【0027】
HDD71は、情報を記憶するための記憶媒体(ハードディスク)に対してアクセスし、信号処理制御部40から要求された情報の読み出し処理又は書き込み処理を実行するドライブ装置である。この情報の読み出し処理及び書き込み処理を、まとめてリードライト処理と称する。このリードライト処理の実行を信号処理制御部40から要求された場合、HDD71は情報の読み出し処理又は書き込み処理を各々別々に且つ連続的に、すなわち並列的に実行することになる。またHDD71は、HDD71自身を一意的に特定することができる型式番号やメーカ名等を示す機器識別情報を格納し、信号処理制御部40からの要求に応じて、この機器識別情報を信号処理制御部40へ出力する。さらにHDD71は、HDD71又はODD72を一意的に特定することができる型式番号等の機器識別情報に、さらに複数の情報が対応付けられたデバイス情報を記憶する。またHDD71は、番組やコンテンツの映像音声情報を記憶する。このHDD71は、特定周波数の振動を所定時間与えられている状態では、この振動が記憶媒体に対するサーボ制御の外乱となるために、リードライト処理の実行が困難となる。
【0028】
ODD72は、情報が格納されている光ディスクにアクセスし、アクセスした光ディスクから信号処理制御部40から要求された情報を読み出す処理、及び情報を記録できる光ディスクにアクセスし、アクセスした光ディスクへ信号処理制御部40から要求された情報を記録する処理を実行するドライブ装置である。ODD72による、情報を読み出す処理及び情報を記録する処理も、リードライト処理と称する。このODD72は番組やコンテンツの映像音声情報を、光ディスクに対して記憶し又は読み出す。またODD72は、ODD72自身を一意的に特定することができる型式番号やメーカ名等を示す機器識別情報を格納し、信号処理制御部40からの要求に応じて、この機器識別情報を信号処理制御部40へ出力する。ODD72は、特定周波数の振動を所定時間与えられている状態では、この振動が光ディスクに対するサーボ制御の外乱となるために、リードライト処理の実行が困難となる。
【0029】
なお本実施形態は、本発明に係る構成を適用した音量調整装置として、テレビジョン受像機10を例とした形態である。しかし、本実施形態に係る音量調整装置と同様の構造の、パーソナルコンピュータ、移動携帯端末、HDD/CD/DVD音楽再生録音装置などを例とした形態であっても構わない。すなわち本発明に係る実施形態では、例えば放送波種別、信号取得経路などといった項目において限定されるものではなく、単に音声信号を処理する構成部及び情報の書き込み/読み出しを実行する構成部を有する音量調整装置であれば、本発明を適用することが可能である。
【0030】
このような構成により、本発明の実施形態に係るテレビジョン受像機10は、スピーカ62L,Rが出力する音声の音量に応じて発生する振動によって、リードライト手段としてのHDD71又はODD72の動作が困難となる問題を抑制するための振動抑制処理を実行する。この振動抑制処理は、この振動の根源となるスピーカ62L,Rから出力される音声の音量を所定条件に基づいて自動で補正する(減少する)ことで実現されるため、音量を補正する音量補正処理であるといえる。この振動抑制処理として機能する音量補正処理は、スピーカ62L,Rへ入力される前の音声信号に対して施され、主に音声処理部61によって実行される。
【0031】
次に、図3を用いて、図2で説明した音声処理部61に備えられ、スピーカ62L,Rから出力される音声の音量を補正する音量補正処理を実行する各ブロックを説明する。
【0032】
図3は、音声処理部61に備えられ、スピーカ62L,Rから出力される音声の音量を補正する音量補正処理を実行する各ブロックからなるシステム構成図である。
本実施形態に係る音声処理部61は、実行処理判断部300、ボリューム301、周波数分離部302、音量レベル検出部303、超過時間検出部304、音量補正部305、遅延部306、合成部307、DAC308、AMP309などを備えている。
【0033】
実行処理判断部300は、信号処理制御部40がHDD71又はODD72を利用する処理を実行しているか否かを判断して、実行している場合には、このことを示す実行中情報を周波数分離部302へ出力する。前述した信号処理制御部40での処理実行の判断は、実行処理判断部300が、処理を実行しているか否かを示す情報の通知を信号処理制御部40へ要求する実施形態や、信号処理制御部40が自発的に出力する、処理実行を示す情報を実行処理判断部300が判断する実施形態などで実現可能である。この実行処理判断部300は、HDD71又はODD72が、記録媒体であるハードディスクや光ディスクにアクセスしているか否かを判断するアクセス判断手段として機能する。
【0034】
ボリューム301は、スピーカ62L,Rから出力される音量を設定するための利得設定部である。ボリューム301は、信号処理制御部40から入力される音声信号に所定の入出力特性の利得を持たせた所定倍の音声信号を、後段の周波数分離部302へ出力する。
【0035】
周波数分離部302は、実行処理判断部300から実行中情報を入力された場合に、ボリューム301から入力された所定倍の音声信号に基づいて、例えば決定した周波数を中心とする高次の帯域通過フィルタ(BPF)などを利用して、特定周波数帯の信号レベルを維持すると共に特定周波数帯以外の信号レベルを減衰させた特定帯域信号を、後段の音量補正部305及び音量レベル検出部303へ出力する。また周波数分離部302は、ボリューム301から入力された所定倍の音声信号に基づいて、例えば決定した周波数を中心とする高次の帯域減衰フィルタ(BEF)などを利用して、特定周波数帯の信号レベルを減衰させると共に特定周波数帯以外の信号レベルを維持した特定帯域外信号を、後段の遅延部306へ出力する。この周波数分離部302は、HDD71に記憶されたデバイス情報を読み出すと共に、この読み出したデバイス情報に含まれる周波数情報に基づいて、何れの周波数帯の信号を分離するかを決定する。
【0036】
このようなBPF及びBEFの入出力特性は、これらBPFとBEFとを合成した場合の入出力特性がフラットとなるように、すなわちBPFとBEFとの入出力特性が反対の特性となることが好ましい。すなわち、周波数分離部302は、ボリューム301から入力された所定倍の音声信号から、特定周波数の音声信号を分離して出力するフィルタ機能を有するブロックであるといえる。また周波数分離部302は、複数の周波数情報に対応すべく複数の周波数帯の信号を分離できる構成であってもよい。
【0037】
また周波数分離部302は、実行処理判断部300から実行中情報を入力されない場合は、前述したような特定の周波数の分離を行わずに、ボリューム301から入力された音声信号をスルーして遅延部306へ出力する。
【0038】
音量レベル検出部303は、HDD71に記憶されたデバイス情報を読み出すと共に、この読み出したデバイス情報に含まれる上限レベル情報に基づいて、周波数分離部302から入力される特定帯域信号のレベルを監視する。この音量レベル検出部303は、上限レベル情報から上限レベルを得る。音量レベル検出部303は、特定帯域信号のレベルが上限レベル以上又は上限レベルよりも大きくなったことを示すレベル超過情報を検出し、この検出したレベル超過情報を超過時間検出部304へ出力する。例えば、音量レベル検出部303は、特定帯域信号のレベルと上限レベルとを入力したコンパレータの出力情報をレベル超過情報として、所定時間のサンプリングクロックごとに出力することでレベル超過情報を検出することができる。また音量レベル検出部303は、複数の周波数情報に対応すべく複数設けられてもよい。
【0039】
超過時間検出部304は、HDD71に記憶されたデバイス情報を読み出すと共に、この読み出したデバイス情報に含まれる監視時間情報に基づいて、音量レベル検出部303から入力されるレベル超過情報の継続時間を監視する。この超過時間検出部304は、監視時間情報から監視時間を得る。超過時間検出部304は、音量レベル検出部303から入力された、レベル超過情報の継続時間が監視時間と同じ又は監視時間より長くなったことを示す時間超過情報を検出し、この検出した時間超過情報を音量補正部305へ出力する。また超過時間検出部304は、複数の周波数情報に対応すべく複数設けられてもよい。
【0040】
音量補正部305は、HDD71に記憶されたデバイス情報を読み出すと共に、この読み出したデバイス情報に含まれる上限レベル情報及び、超過時間検出部304から入力される時間超過情報に基づいて、周波数分離部302から入力される特定帯域信号のレベルを補正する。この音量補正部305は、上限レベル情報から上限レベルを得る。すなわち音量補正部305は、超過時間検出部304から時間超過情報が入力された場合に、周波数分離部302から入力される特定帯域信号のレベルが上限レベル以下となるように補正する。そして音量補正部305は、周波数分離部302から入力される特定帯域信号及びレベルを補正した特定帯域信号を合成部307へ出力する。また音量補正部305は、複数の周波数情報に対応すべく複数設けられてもよい。
【0041】
遅延部306は、周波数分離部302から入力される特定帯域外信号を、音量レベル検出部303、超過時間検出部304及び音量補正部305での処理遅延時間相当の時間で遅延した遅延特定帯域外信号を合成部307へ出力する。
【0042】
合成部307は、音量補正部305から入力される特定帯域信号及びレベルを補正した特定帯域信号と、遅延部306から入力される遅延特定帯域外信号とを合成した合成音声信号をDAC308へ出力する。すなわち合成部307は、デバイス情報に含まれる、周波数情報、上限レベル情報及び監視時間情報に基づく条件に合致した信号に対してのみレベル補正された音声信号をDAC308へ出力することになる。また合成部307は、複数の周波数情報に対応すべく複数の周波数帯の信号を合成できる構成であってもよい。
【0043】
DAC308は、合成部307から入力されるデジタル信号である合成音声信号をアナログ信号に変換したアナログ音声信号をAMP309へ出力する。DAC308は、可聴帯域外のノイズを除去すると共に音質及び特性に影響を与える低域通過フィルタ(LPF)を出力段に有することもある。
【0044】
AMP309は、DAC308から入力されるアナログ音声信号に対して、スピーカ62L,Rから出力するための増幅処理を施してスピーカ62L,Rへ出力する。
【0045】
なお、周波数分離部302、音量レベル検出部303、超過時間検出部304、及び音量補正部305は、信号処理制御部40を介して、HDD71又はODD72を一意的に特定することができる情報を読み出すブロック(不図示)が読み出した機器識別情報に基づいて、HDD71に記憶されたデバイス情報を読み出す。
【0046】
また、DAC308が設けられずに、AMP309が合成部307からPWM波やPDM波のデジタル音声信号を入力され、入力されたデジタル音声信号に対して増幅処理を施してスピーカ62L,Rへ出力する、デジタルアンプとして構成されてもよい。
【0047】
これら複数のブロックによるシステム構成により、本発明の実施形態に係る音声処理部61は、HDD71又はODD72を利用する処理の実行があるか否かに応じて、スピーカ62L,Rへ入力される前の音声信号に対して、特定の周波数の音声信号レベルが所定レベルを超過した時間を監視して、スピーカ62L,Rが出力する特定の周波数の所定レベルを超過した音声の音量を自動で補正するので、スピーカ62L,Rが出力する音声の音量に応じて発生する振動によって、HDD71やODD72の動作が困難となる問題を抑制することができる。
【0048】
次に、図4を用いて、図3で説明した音声処理部61に備えられる各ブロックが、音量補正処理を実行する際に参照するデバイス情報の例を説明する。
図4は、図3で説明した音声処理部61に備えられる各ブロックが、音量補正処理を実行する際に参照するデバイス情報の例を示す概念図である。
デバイス情報には、HDD71かODD72を示すカテゴリ、型式番号、HDD71かODD72の製造メーカ名、カテゴリがHDD71である場合の記憶容量、情報の読み出し及び書き込みの処理の実行が特に困難となる振動の周波数、振動を発生する要因となるスピーカ62L,Rからの音量出力レベルに対応する上限レベル、振動周波数及び上限レベルと共にHDD71又はODD72による情報の読み出し及び書き込みの処理の実行が困難となる指標となる監視時間、などの情報が、それぞれ相互に対応付けられている。
【0049】
すなわち、音量補正処理を実行する際には、これらの情報のうち、「周波数」が周波数情報として周波数分離部302に参照され、「上限レベル」が上限レベル情報として音量レベル検出部303及び音量補正部305に参照され、「監視時間」が監視時間情報として超過時間検出部304に参照される。
【0050】
またデバイス情報は、特定の型式番号に対して複数の振動周波数、上限レベル、監視時間が対応付けられていてもよい。例えば、図4に示した型式番号「AAA」には、振動周波数として「100[Hz]」と「3000[Hz]」の2つが対応付けられている。
【0051】
またデバイス情報は、HDD71ではなく、テレビジョン受像機10に備えられた不揮発性の記憶部(不図示)に記憶されている実施形態であってもよい。
このデバイス情報は、放送波処理部20が番組の映像音声情報と混合される放送波から抽出して取得する実施形態や、ネットワークIF部22がインターネット先の特定のサーバ装置から取得する実施形態など様々な径路で提供されることが可能である。
【0052】
次に、図5を用いて、図3で説明した音声処理部61に備えられる各ブロックによって実行される音量補正処理の、実行開始及び実行継続の条件を説明する。
図5は、図3で説明した音声処理部61に備えられる各ブロックによって実行される音量補正処理の実行開始及び実行継続の条件を説明するためのフローチャートである。
【0053】
前述したとおり、テレビジョン受像機10は複数の処理を実行する。特にこの複数の処理の中で、音量補正処理の実行開始及び実行継続の条件に密接に関連する処理は、HDD71を利用した再生処理であるHDD再生処理及びHDD71を利用した録画処理であるHDD録画処理である。すなわち、音量補正処理の実行開始及び実行継続は、前述したHDD再生処理及びHDD録画処理の実行があるか否かに依存して決定される。
【0054】
具体的には、テレビジョン受像機10で実行される複数の処理のうち、何れかの処理開始要求があるか否かが判定される(S501)。処理開始要求がない場合(S501のNo)、処理開始要求の有無判定(S501)が繰り返される。
【0055】
HDD再生処理の開始要求があったと判定された場合(S501のYes;HDD再生処理)、HDD再生処理が開始される(S502)。そしてHDD録画処理が並列的に実行されているか否かが判定される(S503)。HDD録画処理が並列的に実行されている場合(S503のYes)、音量補正処理の実行が開始されて(S504)、HDD再生処理の開始要求に伴う処理が終了する。また、HDD録画処理が並列的に実行されていない場合(S503のNo)も、HDD再生処理の開始要求に伴う処理は終了する。
【0056】
また処理開始要求の有無判定(S501)で、HDD録画処理の開始要求があったと判定された場合(S501のYes;HDD録画処理)、HDD録画処理が開始される(S505)。そしてHDD再生処理が並列的に実行されているか否かが判定される(S506)。HDD再生処理が並列的に実行されている場合(S506のYes)、音量補正処理の実行が開始されて(S507)、HDD録画処理の開始要求に伴う処理が終了する。また、HDD再生処理が並列的に実行されていない場合(S506のNo)も、HDD録画処理の開始要求に伴う処理は終了する。
【0057】
さらに処理開始要求の有無判定(S501)で、HDD再生処理及びHDD録画処理を除くその他の処理の開始要求があったと判定された場合(S501のYes;その他の処理)、その他の処理が開始される(S508)。その他の処理とは、例えば、HDD再生処理又はHDD録画処理の何れかの処理の停止処理、HDD録画処理対象の入力ソースの切り替え処理、ODD72を利用した再生処理であるODD再生処理などである。
【0058】
その他の処理開始(S508)後、HDD録画処理及びHDD再生処理が継続して並列的に実行されているか否かが判定される(S509)。HDD録画処理及びHDD再生処理が継続して並列的に実行されている場合(S509のYes)、音量補正処理の実行が開始されて(S510)、その他の処理の開始要求に伴う処理が終了する。また、HDD録画処理及びHDD再生処理が継続して並列的に実行されていない場合(S509のNo)も、その他の処理の開始要求に伴う処理は終了する。
【0059】
具体的には、前述したその他の処理の複数の例のうち、HDD録画処理対象の入力ソースの切り替え処理が要求された場合には、音量補正処理の実行が開始される。
なお、音量補正処理の実行開始及び実行継続が、HDD再生処理及びHDD録画処理の実行があるか否かに依存して決定される例を説明したが、例えば、HDD録画処理が複数実行される例、HDD再生処理又はHDD録画処理の何れか一方又は両方がHDD71に記憶された情報をコピー又は移動する処理である例なども適用することが可能である。すなわち音量補正処理の実行開始及び実行継続は、HDD71へのアクセスが頻繁に行われていることが条件になる。またODD72へのアクセスが頻繁に行われることも、同様に音量補正処理の実行開始及び実行継続の条件となり得る。
【0060】
このようにして、テレビジョン受像機10で実行される複数の処理のうち、特定の処理(例えば、HDD録画処理及びHDD再生処理)の実行があるか否かに応じて、音量補正処理の実行開始及び実行継続が決定されるので、必要なときにのみ自動でスピーカ62L,Rからの出力レベルを切り替えることができる。
【0061】
次に、図6を用いて、図3で説明した音声処理部61に備えられる各ブロックによって実行される音量補正処理の動作を説明する。
図6は、図3で説明した音声処理部61に備えられる各ブロックによって実行される音量補正処理の動作を説明するためのフローチャートである。
音量補正処理が開始すると、音声処理部61に備えられる各ブロックはデバイス情報を取得する(S601)。またこれらの各ブロックはデバイス情報に含まれ、音量補正処理に必要な情報を取得する(S602)。さらにこれらの各ブロックは、取得した音量補正処理に必要な情報を設定する(S603)。ここまでは音声補正処理における準備処理であり、これ以降で、音声補正処理における実体処理が実行される。
【0062】
そして実行処理判断部300は、処理停止するか否かを判定する(S604)。この処理停止をする判定は、実行処理判断部300が、信号処理制御部40がHDD71又はODD72を利用する処理を実行していないことを判断することでなされる。音量補正処理の継続中には、これ以降の複数の処理が繰り返し実行されるので、この判定処理は繰り返し実行される複数の処理の先頭ではなく最後に実行されてもよいが、本実施形態では最初に実行されるものとする。
【0063】
判定の結果、処理停止しない場合(S604のNo)は、まず、周波数分離部302が、周波数情報に基づいて、所定倍の音声信号を、補正対象周波数Pfを中心とした周波数帯域の信号である特定帯域信号と、補正対象周波数Pfを中心とした周波数帯域以外の信号である特定帯域外信号とに分離する(S605)。次に音量レベル検出部303は、上限レベル情報Pvに基づいて、特定帯域信号のレベルを監視する(S606)。特定帯域信号のレベルが上限レベルPv以上又は上限レベルPvよりも大きくなった場合(S606のYes)、超過時間検出部304は、監視時間情報に基づいて、上限レベル超過の継続時間を監視する(S607)。上限レベル超過の継続時間が監視時間Ptと同じ又は監視時間Ptより長くなった場合(S607のYes)、音量補正部305は、上限レベル情報に基づいて、特定帯域信号のレベルが上限レベルPv以下となるように補正する(S608)。
【0064】
そして、音量補正部305が特定帯域信号のレベルを補正した後、だけでなく、特定帯域(補正対象周波数Pf付近の)信号のレベルが上限レベルPv以下又は上限レベルPvよりも小さい場合(S606のNo)、又は、上限レベル超過の継続時間が監視時間Ptより短い場合(S607のNo)も、合成部307は、特定帯域信号及びレベルを補正した特定帯域信号と、遅延特定帯域外信号とを合成する(S609)。合成部307から出力された合成音声信号は、DAC308、AMP309を介してスピーカ62L,Rから出力される(S610)。
【0065】
この後さらに処理停止するか否かが判定され(S604)て、停止しない間は、前述した信号の分離、信号のレベルの監視以降の複数の処理が繰り返し実行される。すなわち、これら複数の処理が繰り返し実行されている間は、信号のレベル、レベル超過時間が所定のタイミングで監視されているので、信号のレベル、レベル超過時間がレベル補正の条件を外れれば、レベル補正はされない。
【0066】
一方、処理停止するか否かの判定で、処理停止する場合(S604のYes)、音声補正処理は停止(S611)されて音声補正処理が終了する。
このようにして、図3で説明した各ブロックによって、音量補正処理の動作が実行される。すなわち本実施形態に係る音量補正処理では、まず準備処理としてデバイス情報に基づくパラメータ設定が実行され、その後は実体処理として、信号の分離、信号のレベルの監視、レベル超過時間の監視、レベルの補正、及び、信号の合成が繰り返し実行される。従って、所定条件で開始された音量補正処理では、音声信号が監視され続けて、必要なときにのみ自動で音量補正が施されることになる。
【0067】
次に、図7を用いて、音声処理部61への入力信号に対して音量補正処理が施された、音声処理部61からの出力信号の態様を説明する。
図7は、音声処理部61への入力信号に対して音量補正処理が施された、音声処理部61からの出力信号の態様を説明するための概念図である。
図7の上段には補正対象周波数Pfを中心とした周波数帯域の入力信号の一例が、図7の下段には、上段の入力信号に対して音量補正処理が施された出力信号の一例が示されている。
【0068】
この音量補正処理では、この入力信号のレベルが上限レベルPvと常時比較されていて、入力信号のレベルが上限レベルPvを超えた場合、上限レベルPvを継続して超過した時間が監視時間Ptと比較されている。
【0069】
また図7における入力信号では、上限レベル超過期間(T1),(T2),(T3)において、上限レベル超過の継続時間T1,T2,T3が監視時間Ptよりも短い。しかし上限レベル超過期間(T4)では、上限レベル超過の継続時間T4が監視時間Ptよりも長い。これら以外の期間では、入力信号のレベルは上限レベルPvよりも小さい。
【0070】
このような入力信号に対して、音量補正処理が実行されると、図7における出力信号では、上限レベル超過期間(T1)においては、上限レベル超過の継続時間T1が監視時間Ptよりも短いので音量(信号レベル)は補正されない。上限レベル超過期間(T2),(T3)においても同様である。しかし上限レベル超過期間(T4)においては、上限レベル超過の継続時間T4が監視時間Ptよりも長くなっているので、音量(信号レベル)は上限レベルPvとなるように補正される。
【0071】
また上限レベル超過期間(T4)の前半部分の監視時間Pt以内では、出力レベル=入力レベルとなるが、上限レベル超過期間(T4)の後半部分の監視時間Ptよりも後では、出力レベル=上限レベルPvとなる。さらに、上限レベル超過期間(T4)よりも後では、入力信号のレベルが上限レベルPvよりも小さくなるので、出力レベルの補正はされなくなり、出力レベル=入力レベルとなる。このとき、出力レベルがステップ状に急激に入力レベルに戻るのではなく、段階的に又は徐々に入力レベルに戻るように制御されても構わない。
【0072】
このようにして、本実施形態に係る音量補正処理では、入力信号のレベルが所定レベルを超えた時間が所定時間よりも長くなった場合にのみ、音量を補正することができるので、必要なときに自動でスピーカL,Rからの出力レベルを切り替えることが可能となる。
【0073】
以上説明したように本実施形態によれば、テレビジョン受像機10で実行される複数の処理のうち、特定の処理の実行があるか否かに応じて、音量補正処理の実行開始及び実行継続が決定される。また、この音量補正処理では、テレビジョン受像機10に備えられた複数のブロックが、スピーカ62L,Rが出力する音声の音量に応じて発生する振動の発生を抑制するために、入力信号のレベルを監視し続けて、必要な時にのみ自動で特定の周波数の信号に対してのみ音量補正を施すので、スピーカを備えた装置において、スピーカから出力される音量に応じて発生する、特定の処理に問題を生じさせる現象の発生を抑制するために、必要なときに自動でスピーカからの出力レベルを切り替えることができる。
【0074】
また本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…キャビネット、2…支持台、10…テレビジョン受像機、20…放送波処理部、21…外部機器IF部、22…ネットワークIF部、31…操作部、32…受光部、40…信号処理制御部、51…表示器、61…音声処理部、62L,R…スピーカ、71…HDD、72…ODD、RC…リモコン、301…ボリューム、302…周波数分離部、303…音量レベル検出部、304…超過時間検出部、305…音量補正部、306…遅延部、307…合成部、308…DAC、309…AMP。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された音声信号に所定の処理を施して出力する音声処理手段と、
前記音声処理手段からの前記音声信号に基づく音声を出力するスピーカと、
前記スピーカが音声を出力することにより発生する振動を受ける位置に設置され、記録媒体に対してデータのリード及び/又はライトを行うリードライト手段と、
前記リードライト手段が前記記録媒体に対するリード及び/又はライトしているか否かを判断するアクセス判断手段と、
前記アクセス判断手段の判断により前記記録媒体に対してリード及び/又はライトされている間に、特定の周波数における前記音声のレベルが所定時間継続して所定の上限レベルを超えた場合、前記音声処理手段が当該所定の上限レベル以下となるように前記音声のレベルを補正する、
ことを特徴とする音量調整装置。
【請求項2】
前記スピーカから出力される前記音声の音量と対応する音量情報を変更するボリューム部品を具備し、
前記音声処理手段は、前記ボリューム部品で変更された音量情報に対して前記レベルを補正することを特徴とする請求項1記載の音量調整装置。
【請求項3】
前記リードライト手段は、振動を与えられている状態で、前記データのリード及び/又はライトが困難となることを特徴とする請求項1又は2に記載の音量調整装置。
【請求項4】
前記音声処理手段は、異なる複数の周波数のうちの何れかの周波数における前記音声のレベルが所定時間継続して所定の上限レベルを超えた場合、当該所定の上限レベル以下となるように前記レベルを補正することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1に記載の音量調整装置。
【請求項5】
前記音声処理手段は、前記リードライト手段を一意的に識別する情報と関連付けられた周波数、音声の上限レベル、及び音声のレベルを監視する時間を示す情報に基づいて、前記レベルを補正することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1に記載の音量調整装置。
【請求項6】
入力された音声信号に所定の処理を施して出力し、
前記音声信号に基づく音声をスピーカから出力し、
前記スピーカが音声を出力することにより発生する振動を受ける位置で、記録媒体に対してデータのリード及び/又はライトを行い、
前記記録媒体に対するリード及び/又はライトしているか否かを判断し、
前記判断により前記記録媒体に対してリード及び/又はライトされている間に、特定の周波数における前記音声のレベルが所定時間継続して所定の上限レベルを超えた場合、さらに、当該所定の上限レベル以下となるように前記音声のレベルを補正する、
ことを特徴とする音量調整方法。
【請求項1】
入力された音声信号に所定の処理を施して出力する音声処理手段と、
前記音声処理手段からの前記音声信号に基づく音声を出力するスピーカと、
前記スピーカが音声を出力することにより発生する振動を受ける位置に設置され、記録媒体に対してデータのリード及び/又はライトを行うリードライト手段と、
前記リードライト手段が前記記録媒体に対するリード及び/又はライトしているか否かを判断するアクセス判断手段と、
前記アクセス判断手段の判断により前記記録媒体に対してリード及び/又はライトされている間に、特定の周波数における前記音声のレベルが所定時間継続して所定の上限レベルを超えた場合、前記音声処理手段が当該所定の上限レベル以下となるように前記音声のレベルを補正する、
ことを特徴とする音量調整装置。
【請求項2】
前記スピーカから出力される前記音声の音量と対応する音量情報を変更するボリューム部品を具備し、
前記音声処理手段は、前記ボリューム部品で変更された音量情報に対して前記レベルを補正することを特徴とする請求項1記載の音量調整装置。
【請求項3】
前記リードライト手段は、振動を与えられている状態で、前記データのリード及び/又はライトが困難となることを特徴とする請求項1又は2に記載の音量調整装置。
【請求項4】
前記音声処理手段は、異なる複数の周波数のうちの何れかの周波数における前記音声のレベルが所定時間継続して所定の上限レベルを超えた場合、当該所定の上限レベル以下となるように前記レベルを補正することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1に記載の音量調整装置。
【請求項5】
前記音声処理手段は、前記リードライト手段を一意的に識別する情報と関連付けられた周波数、音声の上限レベル、及び音声のレベルを監視する時間を示す情報に基づいて、前記レベルを補正することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1に記載の音量調整装置。
【請求項6】
入力された音声信号に所定の処理を施して出力し、
前記音声信号に基づく音声をスピーカから出力し、
前記スピーカが音声を出力することにより発生する振動を受ける位置で、記録媒体に対してデータのリード及び/又はライトを行い、
前記記録媒体に対するリード及び/又はライトしているか否かを判断し、
前記判断により前記記録媒体に対してリード及び/又はライトされている間に、特定の周波数における前記音声のレベルが所定時間継続して所定の上限レベルを超えた場合、さらに、当該所定の上限レベル以下となるように前記音声のレベルを補正する、
ことを特徴とする音量調整方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2011−134412(P2011−134412A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294256(P2009−294256)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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