音響アクセス切断システムおよび方法
【課題】本発明は、本明細書に記載されたアクセス切断システムを提供する。
【解決手段】アクセス切断システムは、動脈管路(14)と、静脈管路(18)と、患者(12)に接続されるときに、動脈(14)および静脈管路(18)の一方において音波を伝達するように構成されるトランスミッタ(62)と、患者(12)に接続されるときに動脈(14)および静脈管路(18)の他方から音波を受信するように構成されるレシーバ(64)と、トランスミッタおよびレシーバのうちの少なくとも一方に結合される電子回路(66)であって、動脈管路(14)および静脈管路(18)の一方のアクセス切断が既に発生したことを予期するのに十分な、レシーバ(64)によって受信されるトランスミッタ(62)からの音波における変化を示す切断出力を送信するように構成される、電子回路(66)とを含む。
【解決手段】アクセス切断システムは、動脈管路(14)と、静脈管路(18)と、患者(12)に接続されるときに、動脈(14)および静脈管路(18)の一方において音波を伝達するように構成されるトランスミッタ(62)と、患者(12)に接続されるときに動脈(14)および静脈管路(18)の他方から音波を受信するように構成されるレシーバ(64)と、トランスミッタおよびレシーバのうちの少なくとも一方に結合される電子回路(66)であって、動脈管路(14)および静脈管路(18)の一方のアクセス切断が既に発生したことを予期するのに十分な、レシーバ(64)によって受信されるトランスミッタ(62)からの音波における変化を示す切断出力を送信するように構成される、電子回路(66)とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本開示は、概して、治療のための患者アクセス(access)切断のシステムおよび方法に関する。より具体的には、本開示は、透析療法の間における針またはカテーテルの除去の検出等、患者アクセスの切断の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、既知のアクセス切断の構成を図示する。血液は、動脈針16を介して、患者に接続された動脈管路(arterial line)14を通って患者の腕12から採血される。血液は、静脈管路18および静脈針20を介して、治療後、患者に戻される。針16および20は、実際には、シャント22に接続しており、シャント22は、患者の動脈および静脈のうちの1つと流体連通状態に置かれる。治療の間における動脈管路14の偶発的な切断は、血液ポンプへの血液供給源を単に排除するだけであるので、深刻な問題ではない。治療の間における静脈管路18のアクセス切断は、動脈管路14が、血液ポンプへの血液供給を維持する一方で、静脈管路18は、患者の外部の場所に血液を戻すので、深刻な関心事である。
【0003】
種々の異なる治療は、患者の体内に挿入された針または複数の針を介して、患者と患者に接続された体外システムとの間の血液の送達等、患者へ、患者を通って、および/または患者からの流体の送達に関連する。例えば、血漿交換療法、血液透析、血液濾過、および血液透析濾過はすべて、患者の血液から直接老廃物、有害物質、および過剰水を除去する治療である。これらの治療の間に、患者は、体外回路および機械に接続され、患者の血液は、回路および機械を通って圧送される。老廃物、有害物質、および過剰水は、患者の血液から除去され、血液は、患者の体内に逆注入される。
【0004】
これらの治療では、針または類似のアクセスデバイスは、患者の血液が、体外機械へおよびそこから運搬され得るように、患者の血管系内に挿入される。従来の血液透析、血液濾過、および血液透析濾過治療は、数時間も続き得、概して、週に約3〜4回、治療施設において行われる。施設内治療では、血液透析を受ける患者は、例えば、視覚的に監視されて、針除去(needle dislodgment)が発見される。しかしながら、針が、患者または医療従事者の目につかない場合(例えば、毛布で覆われている場合)があり、発見および即座の対応を遅延させ得る。
【0005】
さらに、生活の質の向上、罹患率および死亡率の両方に認められる低下傾向、施設内治療に関する費用低減を考慮して、在宅血液透析等の自己療法および在宅療法に対する新たな関心が高まっている。そのような在宅療法(血液透析、血液濾過、または血液透析濾過)は、昼間、夕方、または夜間に行うことができる。監視されていない場合または眠っている場合に、介護者が存在しないため、そして、おそらく患者さえ除去に気付かないことがあるために、除去のリスクは増加する。
【0006】
血液透析の際の針除去を検出するための種々のシステムが存在する。例えば、両方とも「Access Disconnection Systems And Methods」という名称であって、本願の最終譲受人に譲渡される特許文献1(以下、「第‘098号特許」)および特許文献2(「第‘480号特許」)は、血管アクセス針に接続される体外透析回路の電気インピーダンスを測定するアクセス切断システムを開示する。外部の電圧または電流源を使用して、小電流(例えば、2.5μ−Amp未満)を血流内に導入する。この外部電流は他のシステムと比較して小さいが、依然として、供給源は、電流が10μ−Ampを超えないことを確実にするように測定が行われることを必要とし、それは、当技術分野において心臓内デバイスに対する安全限度として考えられている。さらに、患者がアースグランドに接続されると(例えば、診療所および自宅で見られる接地デバイスを通して)、インピーダンスシステムの感度は低下し得る。
【0007】
体外回路内に電流を導入するシステムに関する別の問題は、除去した針が、漏出血液を通して他の針との接触を再確立する場合に生じる。ここで、感知される電気パラメータ、例えば、インピーダンスは、変化しないか、または十分に変化せず、アクセス切断が生じた場合でも、その信号を送信しない場合がある。
【0008】
さらなる障害は、血液治療システムの使い捨て部分への付加的な接触を含む。使い捨て部分に載置される金属または別の導電性部材は、ある程度の製造上の困難性および費用を付加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7,022,098号明細書
【特許文献2】米国特許第7,052,480号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、改良された血液アクセスの切断システムの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書に記載される実施例は、例えば、血漿交換療法、血液透析(「HD」)、血液濾過(「HF」)、および血液透析濾過(「HDF」)に適用可能なアクセス切断のシステムおよび方法を開示する。また、アクセス切断システムは、血管アクセスを必要とする持続的な腎代償療法(「CRRT」)治療と併用されてもよい。以下のアクセス切断の実施例は、例えば、HDまたはHDFのための透析装置、あるいは、例えば、HFのための血液フィルタ等、拡散膜またはフィルタを有するシステムとともに作動する。
【0012】
さらに、本明細書に記載されるシステムは、それぞれ、臨床または在宅用の据付機械と併用してもよい。例えば、このシステムは、施設内のHD、HF、またはHDF機械に採用されてもよく、この場合、事実上、一日中連続的に稼働する。代替として、このシステムは、在宅のHD、HF、またはHDF機械に使用されて、患者の都合の良いときに稼働されてもよい。そのような在宅システムの1つは、2004年11月4日に出願され、本出願の最終譲受人に譲渡される同時係属中の米国特許出願第10/982,170号(以下「第‘170号出願」)「High Convection Home Hemodialysis/Hemofiltration And Sorbent System」に記載されており、その全内容は、参照することによって、明示的に本明細書に組み込まれる。
【0013】
以下のアクセス切断の実施例は、透析液(注入物)供給を有するシステムとともに作動し、この供給は、ともに連動し、次々に使用される透析液供給の単一のバッグまたは複数のバッグであり得る。さらなる代替として、以下に示されるアクセス切断システムのそれぞれは、1つ以上の濃縮物と水とを組み合わせて、透析液オンラインを形成するように構成される1つ以上の濃縮物ポンプ等の、オンライン供給源を有する機械と併用することができる。オンライン供給源は、一般的には、例えば、HDシステムと併用される。
【0014】
種々の非侵襲的なアクセス切断システムが、本明細書に記載される。このシステムは、概して、電圧または電流を患者の体内に導入しない。これは、電流誘導システムに固有の患者接地に関する問題に光を当てる。このシステムは、電気ループの接続または切断に依存しないので、除去した針および失血との導電経路の再確立を免れることに資する。種々の実施形態において開示されるシステムは、無線で、例えば、無線周波数信号を介して、透析機械と通信する。このように、このシステムは、機械に使用される使い捨ての管類および/またはカセットを増加させずに、製造の容易性を向上させ、費用を低減する。
【0015】
第1のシステムは、例えば、超音波を組織内に伝達するメガヘルツ周波数範囲で作動する、圧電または電磁トランスデューサ(以下、便宜上、概して、圧電と称される)を使用する。トランスデューサの本体は、一実施形態では、組織と平行である一方で、圧電自体は、血流方向と整列する超音波成分を生成する角度にある。
【0016】
血流内の赤血球は、超音波に対する反射体として作用し、トランスデューサ内に波動をエコーさせる。別の圧電または電磁結晶(以下、便宜上、概して、圧電と称される)を使用して、エコーを受信することができる。超音波周波数は、ドップラー効果を介して、波動が血球に反射するにつれて変化する。超音波信号の周波数変化は、反射細胞の速度の指標である。第1のシステムは、受信したエコーを処理し、流量情報を抽出する。
【0017】
前述のように、第1のシステムは、圧電トランスミッタおよび圧電レシーバ、または両機能を行う単一のトランスデューサを使用する。電子回路は、複数のトランスデューサまたは単数のトランスデューサに接続され、励起信号を生成し、エコーを処理する。また、一実装では、電子機器は、血液透析装置への無線周波数(「RF」)リンクを含む。治療が開始されると、超音波デバイスは、血流から情報を収集する。反射体のピーク速度、血流の拍動特徴、アクセスの乱れは、以下にさらに詳述されるように、監視されるパラメータの一部である。アクセス切断システムは、RFリンクを介して、透析装置とそのような情報を交換する。静脈針除去は、必然的に、感知されるパラメータに激変をもたらし、アクセス切断の検出を可能にする。
【0018】
第1のアクセス切断システムの一実装では、超音波トランスデューサは、マジックテープ(登録商標)アセンブリ、磁気結合、または他のバックル機構を介して、バンドによって適所に保持される。バンドは、管の拘束を与えて、機械的に針除去を防止する。
【0019】
第2のアクセス切断システムは、体外回路内の血液中における音の伝搬特性を使用して、例えば、体外回路の静脈区間が患者に接続されているかどうかを判断する。第2のシステムは、少なくとも1つの音響トランスデューサを使用し、これは、血流、透析流、弁順序等の治療の他のパラメータへのアクセスを有する透析ユニットによって処理される音波信号を生成する。音波は、血流内に放出される音速波、亜音速波、または圧力波であり得る。信号は、任意の好適な周波数であり得、単一の周波数または複数の周波数であり得、それは、連続的であるか、パルス状であるか、あるいは振幅、周波数、位相が変調されたものであり得る。音響トランスデューサは、電気励起を圧力波および/またはその逆に変換可能である圧電、電磁気、あるいは任意の好適な種類のものであり得る。
【0020】
第2のアクセス切断システムは、少なくとも3つの方法で実装することができる。一実装は、2つの音響トランスデューサを使用し、一方は、体外回路の静脈区間に結合され、他方は、体外回路の動脈区間に結合される。トランスデューサのうちの一方は、音響信号を血流内に伝達し、他方のトランスデューサは、信号を受信する。区間のうちのいずれかが切断されると、レシーバは、もはや放出信号を検出せず、警告を発する。二重音響トランスデューサはそれぞれ、伝達および受信の両機能を行うことができ、二重トランスデューサが互いに機能を切り替える実施形態を可能にする。
【0021】
第2の実装は、トランスミッタおよびレシーバを兼ねる1つの音響トランスデューサ、または、一方が伝達用であって、他方が受信用である2つのトランスデューサのいずれかを使用する。ここで、エミッタおよびレシーバは両方とも、体外回路の静脈区間に結合される。この実装では、トランスミッタは、音響パルスを血液内に送信する。パルスは、体外回路インターフェース内で反響し、シグネチャー(signature)応答を生成する。このシステムは、静脈管路が接続されているときに生成されるエコーのシグネチャーを監視、処理、および分析し、基本音響シグネチャー応答を生じさせる。静脈管路が切断されているときに生成される音響シグネチャー応答は、格納されたパターンと異なる。受信信号の処理によって、そのような変化を検出し、警報を発し、所望に応じて、ポンプおよび/または弁の閉鎖あるいは閉塞を行う。
【0022】
第2のアクセス切断システムの第3の実装は、パッシブソーナーを使用する。体外回路内の血流は、その中に音響波を導入する一連の動作を受ける。血液ポンプ、滴下チャンバ、透析装置との相互作用、および患者はそれぞれ、音響パターンを生成する。この音響パターンは、例えば、針が収容されているときの静脈管路内での音響シグネチャーを構成し、これは、針が除去されているときのものとは異なる。パッシブソーナーの実装は、静脈管路に結合された音響トランスデューサを使用し、この音響トランスデューサはレシーバとして作用する。レシーバトランスデューサは、血液内の音響信号を監視、処理、および分析して、基本音響シグネチャーを生成する。静脈針の除去によってパターンが変化すると、受信信号の処理によってこの変化を検出し、そして警報等を発する。
【0023】
第3のアクセス切断/血液漏出検出システムは、光学センサを使用する。アクセス針が患者の腕に接続される領域周辺に、少量の血液漏出が存在することは珍しくはない。しかしながら、この影響は、アクセスポイント周辺の小領域に限定されるべきである。血液漏出が、比較的大きな領域に拡大すると、針の部分的または完全な除去を示している可能性があり、即座に対処されなければならない。
【0024】
一実施形態では、光学的システムは、分散された光学反射式センサを有する可撓性回路を使用する。ここでは、可撓性回路が、一実施形態では、患者の腕に巻かれる。別の実装では、光学的システムは、例えば、プラスチック、ゴム、または布から成る可撓性アームバンド上に搭載された剛性または半剛性回路のいずれかを組み込む。また、アームバンドは、使い捨てであり得る。いずれの場合も、装着機構は、代替として、患者の脚等の別の体内領域との血液アクセス、または、例えば、患者の首におけるカテーテルアクセスのために装着されるように、サイズ調節および構成されることができる。
【0025】
可撓性回路は、針陥凹部を被覆する1枚のカーゼと接触することができる。殺菌のため、接触表面は、消毒剤で洗浄される。代替として、接触表面は、自己接着性であり得る殺菌した使い捨ての透明膜によって被覆される。膜は、治療完了後に廃棄される。
【0026】
可撓性回路は、マジックテープ(登録商標)式機構、磁気ストラップ、磁気バックル、または他の種類の解放可能に固着可能でありかつ、洗浄可能である装置を使用して、患者に装着することができる。
【0027】
一実施形態における反射式光学センサは、光源等の発光ダイオードと、レシーバとしての光電池または光トランジスタとを使用する。放射される光は、血液の色が、そのエネルギーを吸収するように選択される波長を有する。光が、白色ガーゼを照射する限り、一定の割合の光エネルギーが、レシーバに反射される。一方、ガーゼ上の血液が、光エネルギーのほぼすべてを吸収すると、レシーバは、信号および複数の信号の相当の損失、または警報等を検出する。
【0028】
一実施形態における局所的なマイクロコントローラは、光学センサからデータを収集し、このデータを、例えば、無線周波数リンクを介して、透析装置に報告する。一実装では、マイクロコントローラは、スリープモードまたは節電モードのままであって、透析装置が、無線周波数リンクを介してデータを要求するまで、光学センサをオフにする。次いで、マイクロコントローラは、「起動」し、光源を作動させて、光学レシーバを読み込み、状況を透析装置に返送する。センサのうちの1つ(または、おそらくは、2つ以上の)が、十分な光を受け取らない場合、プロセッサは、救難連絡を発し、そして、付加的にまたは代替として、可聴警報を作動させる。機械は、ポンプの閉鎖あるいは管路または弁のクランピング等、任意の他の適切な措置を行う。
【0029】
第4のアクセス切断の実施形態では、透析システムは、患者の心臓血管電気系を使用して、アクセス切断を検出する。ヒトは、心拍数および心拍リズムを調節することによって、心拍のタイミングを制御する内部電気系を有する。概して、体内の電気系は、安静時に毎分60〜100回の安定した心拍数を維持する。また、心臓の電気系は、体内活動の際の体内の必要に合わせて、心拍数を増加させ、睡眠時に減少させる。
【0030】
特に、心臓の電気系は、心臓内の細胞、すなわち、心臓の電気信号を運ぶ導電性細胞と、心室を収縮させる筋肉細胞とを介して、電気信号を送信することによって、体内の心拍のタイミングを制御する。生成される電気信号は、各細胞にその隣の細胞を活性化させる反応によって、導電性細胞経路のネットワークを通って移動し、規則的な態様で電気信号を伝える。次々に細胞が電荷を高速伝達するので、心臓全体が、1つの協調運動で収縮し、心拍を生成する。
【0031】
本開示のこのシステムは、心電図または電位図(「ECG」)の機構を使用する。一実装では、第1の電極は、静脈管路に装着され、第2の電極は、患者に装着される。電極は、信号調節回路に電気的に接続される。信号調節回路は、動脈および静脈接続が適切になされていると、ECG信号を生成する。動脈針または静脈針のいずれかとの部分的または完全なアクセス切断が生じると、体外路を介する体内の電気系とのECG信号としての電気通信が失われる。追加の回路がこの脱落を検出し、そして、アクセス切断信号を血液治療機械に送信する。
【0032】
代替のECG実施形態は、体外回路への第1および第2の電極の両方の装着を含む。また、血液アクセスは、患者の心臓またはその近傍において行うことができ、患者の腕でのアクセスとは対称的に、ECG信号に対する感度を増加させる。この目的を達成するために、心臓またはその近傍において患者の血液にアクセスするために使用される電極を備えた透析針に対する実施形態が、本明細書で開示される。また、管類内部、管類内、または管類外部のいずれかに埋め込まれる電極を有する管類に対する種々の実施形態が、本明細書に開示される。電極構成に応じて、電極は、直接的に、容量的に、誘導的に、または、例えば、無線周波数を介して無線で、血液と電気的に通信する。
【0033】
また、ECGシステムは、血管アクセス切断の検出以外の、他の用途にも適合性がある。ECG信号は、さらに処理されて、心拍数変動、呼吸、1回拍出量、心拍出量、および中心血液量等の他の生理学的パラメータを計算してもよい。この目的を達成するために、電源をECGシステムに追加し、生体インピーダンスを測定することができる。さらに、溶液を患者の体内に注入して、前述のパラメータのうちの1つ以上において補助することができる。また、ECGシステムを使用して、心臓電気生理学的測定を介して、心拍リズム管理デバイス(ペースメーカー)による患者の制御を補助し、透析の間に心臓血管パラメータを有益に変化させることができる。
【0034】
第5のシステムでは、容量センサを使用する血液漏出デバイスが提供される。デバイスは、外側絶縁層、例えば、プラスチック層を含む。内側には、デバイスは、コンデンサのアレイを含む。また、遮蔽層が、遮蔽内に提供される。血液漏出が、容量デバイスの下方において生じると、誘電変化を感知するコンデンサの領域が拡大する。領域が拡大を停止すると、容量デバイスを使用するシステムは、血液漏出または針除去と区別される正常量の浸潤が生じたと推定する。血液漏出が十分大きく拡大すると、容量デバイスを使用するこのシステムは、部分的または完全にアクセス切断が生じたと推定し、警報を発する。
【0035】
前述のアクセス切断の実施形態のいずれにおいても、アクセス切断システムのための回路は、患者または感知部位に局所的に、機械内に遠隔に、あるいはそれらのいくつかの組み合わせで配置することができる。回路の位置に応じて、アクセス切断システムから透析機械に送信される信号は、例えば、調節されたデジタル信号、断続信号、コマンドに基づいて送信される信号、またはそれらのいくつかの組み合わせ等、安定したものとなることができる。信号は、有線または無線で送信することができる。
【0036】
さらに、前述のアクセス切断/血液漏出検出の実施形態のいずれも、代替として、別の異なる種類のアクセス切断/血液漏出システムとともに、冗長システム内で使用することができる。例えば、電気接続の切断を検索する任意のシステム(説明の容易性のために、アクセス切断システムとして大まかに記載されるが、用語の意味を限定する意図はない)は、電気的接続の成立を検索するシステム(説明の容易性のために、血液漏出検出システムとして大まかに記載されるが、用語の意味を限定する意図はない)と組み合わせて、各種のシステムに固有の効果を利用することができる。
【0037】
したがって、本開示の利点は、血液治療機械のための改良されたアクセス切断システムを提供することである。
【0038】
本開示の別の利点は、非侵襲的アクセス切断システムを提供することである。
【0039】
本開示のさらなる利点は、患者の血液内に電流を誘導しないアクセス切断システムを提供することである。
【0040】
本開示のさらなる別の利点は、使い捨て費用または製造費を増大させずに、アクセス切断システムを提供することである。
【0041】
本開示のさらなる別の利点は、失血による電気的再接続の問題を回避するアクセス切断システムを提供することである。
【0042】
本開示のさらなる別の利点は、他の有益な血液パラメータ情報をもたらすアクセス切断システムを提供することである。
【0043】
本開示のさらなる利点は、血液針およびカテーテルの適用と互換性のあるアクセス切断システムを提供することである。
【0044】
付加的な特長および利点が、本明細書に記載され、以下の発明を実施するための形態および図から明白となるであろう。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
動脈管路と、
静脈管路と、
トランスミッタであって、患者に接続されるときに、該動脈管路および静脈管路の一方において音波を伝達するように構成される、トランスミッタと、
レシーバであって、該患者に接続されるときに、該動脈管路および静脈管路の他方から該音波を受信するように構成される、レシーバと、
該トランスミッタおよびレシーバのうちの少なくとも一方に結合される電子回路であって、該動脈管路および静脈管路のうちの一方のアクセス切断が既に発生したことを予期するのに十分な、該レシーバによって受信される該トランスミッタからの該音波における変化を示す切断出力を送信するように構成される、電子回路と
を備える、アクセス切断システム。
(項目2)
血液治療ユニットを含み、上記切断出力は、該血液治療ユニットに、(i)血液ポンプを閉鎖すること、(ii)静脈管路クランプを作動させること、および(iii)上記患者に該切断を警告すること、のうちの少なくとも1つを実行させる、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目3)
上記音波は、音速、亜音速、圧力、単一の周波数、複数の周波数、連続的、パルス状、振幅変調、周波数変調、位相変調、およびこれらの任意の好適な組み合わせから成る群より選択される、少なくとも1つの種類のものである、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目4)
上記トランスミッタおよびレシーバは、単一のトランスデューサ、複数のトランスデューサ、圧電、電磁気、および血液治療ユニットと通信するように構成される無線通信装置とともに収容されるものから成る群より選択される、少なくとも1つの種類のものである、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目5)
上記切断出力は、電気出力、無線周波数出力、連続的出力、断続的出力、および上記変化時に発生する出力から成る群より選択される、少なくとも1つの種類のものである、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目6)
(i)光学血液漏出検出器、(ii)容量感知パッド検出器、および(iii)導電性ブランケット検出器のうちの1つを、上記トランスミッタ、上記レシーバ、および上記電子回路と組み合わせる冗長システムである、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目7)
上記音波が、上記トランスミッタから上記アクセス切断システムを実装する機械の血液ポンプを通って上記レシーバへと移動することを許容しないように作用する、空気分離デバイスを含む、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目8)
動脈管路と、
静脈管路と、
トランスミッタであって、患者に接続されるときに、該動脈管路および静脈管路の一方において音波を伝達するように構成される、トランスミッタと、
レシーバであって、該患者に接続されるときに、該動脈管路または静脈管路内での該音波の反射を受信するように構成される、レシーバと、
該トランスミッタおよびレシーバのうちの少なくとも一方に結合される電子回路であって、該動脈管路および静脈管路のうちの一方のアクセス切断が既に発生したことを予期するのに十分な、該レシーバによって受信される該反射された音波における変化を示す切断出力を送信するように構成される、電子回路と
を備える、アクセス切断システム。
(項目9)
血液治療ユニットを含み、上記切断出力は、上記血液治療ユニットに、(i)血液ポンプを閉鎖すること、(ii)静脈クランプを作動させること、および(iii)上記患者に該切断を警告すること、のうちの少なくとも1つを実行させる、項目8に記載のアクセス切断システム。
(項目10)
上記音波は、音速、亜音速、圧力、単一の周波数、複数の周波数、連続的、パルス状、振幅変調、周波数変調、位相変調、およびそれらの任意の好適な組み合わせから成る群より選択される、少なくとも1つの種類のものである、項目8に記載のアクセス切断システム。
(項目11)
上記トランスミッタおよびレシーバは、単一のトランスデューサ、複数のトランスデューサ、圧電、電磁気、および血液治療ユニットと通信するように構成される無線通信装置とともに収容されるもの、のうちの少なくとも1つである、項目8に記載のアクセス切断システム。
(項目12)
上記切断出力は、電気出力、無線周波数出力、連続的出力、断続的出力、および上記変化のときに発生する出力、から成る群より選択される、少なくとも1つの種類のものである、項目8に記載のアクセス切断システム。
(項目13)
上記反射された音波における上記変化は、該反射された音波によって生成されるシグネチャー応答における変化である、項目8に記載のアクセス切断システム。
(項目14)
(i)光学血液漏出検出器、(ii)容量感知パッド検出器、および(iii)導電性ブランケット検出器のうちの1つを、上記トランスミッタ、上記レシーバ、および上記電子回路と組み合わせる冗長システムである、項目8に記載のアクセス切断システム。
(項目15)
動脈管路と、
静脈管路と、
患者に接続されるときに、該動脈管路または静脈管路内での音波を受信するように構成されるレシーバであって、該音波は、該動脈管路および静脈管路のうちの一方に結合される少なくとも1つの装置によって生成される、レシーバと、
該レシーバに結合される電子回路であって、(i)該音波の特徴的パターンを作成する、および(ii)該動脈管路および静脈管路のうちの一方のアクセス切断が既に発生したことを予期するのに十分な、該特徴的パターンの変化を示す切断出力を送信するように構成される、電子回路と
を備える、アクセス切断システム。
(項目16)
血液治療ユニットを含み、上記切断出力は、該血液治療ユニットに、(i)血液ポンプを閉鎖すること、(ii)静脈クランプを作動させること、および(iii)上記患者に該切断を警告させること、のうちの少なくとも1つを実行させる、項目15に記載のアクセス切断システム。
(項目17)
上記動脈管路および静脈管路のうちの一方に結合される上記少なくとも1つの装置は、血液ポンプ、滴下チャンバ、および透析装置を含む、項目15に記載のアクセス切断システム。
(項目18)
上記レシーバは、トランスデューサ、圧電、電磁気、および血液治療ユニットと通信するように構成される無線通信装置とともに収容されるもの、のうちの少なくとも1つである、項目15に記載のアクセス切断システム。
(項目19)
上記切断出力は、電気出力、無線周波数出力、連続的出力、断続的出力、および上記変化のときに発生する出力、から成る群より選択される、少なくとも1つの種類のものである、項目15に記載のアクセス切断システム。
(項目20)
(i)光学血液漏出検出器、(ii)容量感知パッド検出器、および(iii)導電性ブランケット検出器のうちの1つを、上記レシーバおよび上記電子回路と組み合わせる冗長システムである、項目15に記載のアクセス切断システム。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、既知の動脈および静脈のアクセス構成を示す。
【図2】図2は、超音波を使用するアクセス切断システムの一実施形態を示す、断面立面図である。
【図3】図3は、図2のシステムと、血液治療機械と通信するためのその一実施形態とを示す、斜視図である。
【図4】図4は、図2のシステムに付随する電子機器の一実施形態の概略図である。
【図5】図5は、図2の超音波アクセス切断システムの一シミュレーションの概略図である。
【図6】図6は、図5のシミュレーションで行われた試験の結果を示す、チャートである。
【図7】図7は、2つの音響トランスデューサを採用する音響アクセス切断システムの一実施形態を示す、斜視図である。
【図8】図8は、アクティブソーナーを採用し、伝達位相に記載されるシステムである音響アクセス切断システムの追加の実施形態を示す、斜視図である。
【図9】図9は、(i)図8のアクティブソーナーシステムの受信位相、または(ii)パッシブソーナーシステムを採用する代替実施形態のいずれかを示す斜視図であって、両システムは、(i)活性伝達信号のエコー、または(ii)受動システム内の体外回路の音響シグネチャーのいずれかを「聴取」する。
【図10】図10は、光学的アクセス切断システムの一実施形態を示す、斜視図である。
【図11】図11は、図10の光学的アクセス切断システムと併用される可撓性回路の一実施形態を示す、斜視図である。
【図12】図12は、正常状態の図10の光学的アクセス切断システムを表す、概略立面図である。
【図13】図13は、アクセス切断状態の図10の光学的アクセス切断システムを表す、概略立面図である。
【図14】図14は、図10の光学的システムと、血液治療機械と通信するためのその一実施形態とを示す、斜視図である。
【図15】図15は、心電図(「ECG」)信号を使用して、アクセス切断を検出するシステムの一実施形態の概略図である。
【図16】図16は、心電図(「ECG」)信号を使用して、アクセス切断を検出するシステムの別の実施形態の概略図である。
【図17】図17は、図16のECGシステムと併用される心臓カテーテルのための一実施形態の平面図である。
【図18A】図18A〜18Cは、患者の血液との電気接触を結合するための種々の実施形態を示し、本実施形態は、図16および17のシステムと併用可能である。
【図18B】図18A〜18Cは、患者の血液との電気接触を結合するための種々の実施形態を示し、本実施形態は、図16および17のシステムと併用可能である。
【図18C】図18A〜18Cは、患者の血液との電気接触を結合するための種々の実施形態を示し、本実施形態は、図16および17のシステムと併用可能である。
【図19A】図19Aおよび19Bは、容量感知血液漏出検出デバイスの上面および側面図である。
【図19B】図19Aおよび19Bは、容量感知血液漏出検出デバイスの上面および側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本明細書に記載される実施例は、血管アクセスを必要とする任意の薬剤療法システムに適用可能である。実施例は、血管アクセスを必要とする血液透析(「HD」)、血液濾過(「HF」)、血液透析濾過(「HDF」)、および持続的な腎代償療法(「CRRT」)のあらゆる形態等、腎不全療法の制御に特に好適である。
【0047】
(超音波遠隔アクセス切断センサ)
次に、図面、特に図2〜4を参照すると、超音波アクセス切断システム10が示される。図2は、システム10の詳細を示す。図3は、システム10を患者12に装着するための一装置を示す。また、図3は、血液治療とのインターフェースシステム10または透析機械100のための一実施形態を示す。システム10は、概して、図2に示されるように、患者に接続される遠隔装置を示す一方で、システム10および実際に本明細書に記載されるシステムのそれぞれが、また、透析機械等の機械または器具を含む。図4は、システム10に付随する電子機器(内蔵または遠隔の電子機器のいずれか)の実施形態を示す。図5および6は、試験結果を提供する。
【0048】
システム10を含む、本明細書に記載される血管切断の実施例のいずれもが、機械100と動作可能であり、機械100は、例えば、HDまたはHDFのための透析装置、あるいは、例えば、HFのための血液フィルタ等の拡散膜またはフィルタを含み得る。さらに、機械100および本明細書に記載されるアクセス切断システムのいずれもが、臨床または在宅の据付装置で使用されてもよい。例えば、機械100およびアクセス切断システムは、施設内のHD機械内で採用されてもよく、事実上、終日連続して稼働する。代替として、在宅のHD機械内で使用されてもよく、例えば、患者が就寝中の夜に稼働することができる。
【0049】
一実施形態では、機械100は、透析液(注入物)供給を有する。代替として、透析液供給の複数のバッグは、ともに連動して次々に使用される。そのような場合、空の供給バッグは、排出または使用済み流体バッグとして機能することができる。さらなる代替として、機械100は、1つ以上の濃縮物と水とを組み合わせて、透析液オンラインを形成するように構成される1つ以上の濃縮物ポンプ等、オンライン供給源と併用することができる。オンライン供給源は、一般的には、例えば、HDシステムと併用される。
【0050】
図示されないが、機械100は、透析液または注入物を所望の温度に加熱するインラインまたはバッチヒータとともに動作することができる。ヒータは、例えば、新しい供給ポンプの上流または下流に配置することができる。機械100は、ヒータまたはその近傍に配置されて、加熱による透析液からの空気の退出を捕捉することができる透析液空気トラップを含む。同様に、血液ポンプ102とともに動作可能な体外回路はまた、1つ以上の空気検出器および空気除去装置(例えば、空気トラップ)を含む。
【0051】
また、HD、HF、HDF、またはCRRT機械100は、例えば、1つ以上の蠕動式血液ポンプの使用等、概して、当技術分野において既知の後述される血液圧送システムを含む。また、HD、HF、HDF、またはCRRT機械100は、前述の透析液配分システムを含むが、同様に既知であるため、ここでは記載の必要がない。参照することによって本明細書に組み込まれる第’534号特許は、例えば、配分システムを記載する。
【0052】
また、機械100は、清掃のために使用された透析液の量と、除去された限外濾過量とを知るための装置および方法を含む。この装置は、患者から除去される限外濾過を制御し、その量を知り、透析装置、体外回路、および/または血液フィルタへまたはそこからの透析液の流量を制御する。また、装置は、限外濾過の必要量が、治療の終了までに患者から除去されることを確実にする。
【0053】
機械100は、図3に示されるように、筐体104を含む。筐体104は、治療が施設内または在宅の治療であるか、透析液/注入物の供給がバッチタイプ(例えば、袋詰めされている)またはオンラインであるか、治療の種類に応じて変化する。施設内用オンライン筐体104は、追加の透析液生成設備およびそのような機械の使用の頻度によって、より大型かつ頑強である傾向にある。在宅療法用筐体104は、望ましくは、より小さく、機械100を自宅内でまたは旅行の際にも動かせるように構成される。
【0054】
図2は、システム10が、トランスデューサ24を含む状態を示す。示される実施形態では、トランスデューサ24は、圧電結晶28を収容する筐体26を含む。トランスデューサ24は、ある種類のシステムから別のシステムにパワーを伝達する。圧電の実施形態では、トランスデューサ24のパワーは、その上で作用する圧電材料から電気の形態で提供される。システム10は、図4に示されるように、電場を圧電結晶28に印加するトランスデューサ励起装置42を含む。圧電結晶28は、電場によって、機械的な変形を受ける。このように、結晶28は、誘導されて、ある周波数で共振(振動)し、超音波を生成する。ある実施形態では、超音波は、メガヘルツの周波数範囲で生成される。一実施形態では、ゲル層が、波動を患者に接続する。ヒト組織の面前における超音波は、励起のパワーおよび頻度に応じて、ある深度まで組織を通って移動する。
【0055】
示される実施形態では、トランスデューサ24の筐体26は、患者12の腕および組織と平行に配置される。一方、結晶28は、患者12の腕および組織に対し、例えば、45度の角度で載置され、血流方向と整列する方向成分と、それと垂直の方向成分とを有する超音波30aを生成する。
【0056】
血流内の血球32、例えば、赤血球は、超音波に対する反射体として機能し、波動30bを第2の圧電結晶34にエコーバックする。しかしながら、第1の圧電結晶28は、エミッタおよびレシーバ機能の両方を行うことができ、その場合、第2の結晶34は必要ではないことを理解されたい。示される実施形態では、レシーバ結晶34は、エミッタ結晶28と同一のトランスデューサ24の同一筐体26内に配置される。代替として、レシーバ結晶34は、別個のトランスデューサ筐体内に配置される。示される実施形態では、レシーバ結晶34はまた、患者12の腕および組織に対して、例えば、45度の角度で搭載される。
【0057】
レシーバ圧電結晶34に対し、反射波30bは、レシーバ結晶34に機械的応力を作用させ、結晶34を電気的に帯電させ、超音波を生成するその共振周波数において振動させる。反射される超音波30bは、ドップラー効果として既知の効果である、放出される超音波30aとは異なる周波数を有する。周波数の変化は、アクセス部位を流れる血球32の移動速度および方向に依存する。システム10内の電子機器は、以下にさらに詳述されるように、受信したエコー30bを処理し、赤血球の血流量、反射体のピーク流量、血流量の変化、例えば、血流の拍動特徴、アクセス管路における乱れ等の血液パラメータを判断するソフトウェアを格納する。
【0058】
図3に示される実施形態では、トランスデューサ24および後述される電子機器は、バンド36を介して、適所に保持される。バンド36は、Velcro(登録商標)固定具、あるいは他の形式の摩擦係合の固定具、ボタン式またはスナップ式の固定具等の好適な固定具を有する。バンド36は、第2の機能、すなわち、図2が示すように、バンド36が、ゲル38を介して、患者12に対してトランスデューサ24を保持するという機能を果たす。ゲル38は、超音波を患者の組織内に接続する。
【0059】
図4は、システム10に付随する電子機器の実施形態を示す。デジタル信号プロセッサ(「DSP」)44は、内蔵ランダムアクセスメモリ(「RAM」)および読み出し専用メモリ(「ROM」)を含み得、出力信号をトランスデューサ励起装置42に送信する。励起装置42は、前述のように、トランスデューサ24のエミッタ結晶28を励起する。反射波30bは、レシーバ結晶34(または、エミッタとレシーバとの両方として動作する結晶28)を振動させて、超音波を生成し、信号調節40に送信される。一実施形態では、信号調節40は、アナログ/デジタル(「A/D」)変換器を含み、反射波をDSP44が処理可能な形態にデジタル化する。別の実施形態では、信号調節40は、復調回路を含み、例えば、ドップラー計算に有用な態様において信号成分を分離してもよい。
【0060】
一実施形態においては、内蔵ソフトウェアを使用するDSPは、流動またはアクセス状態、非流動または完全アクセス切断状態、あるいは部分的流動または部分的アクセス切断状態を検出する。また、DSP44は、例えば、特定の周波数を特定の血流量に等式化することによって、調節信号を用いて血流量を検出する。相関関係が経験的に判断され、再現性が照合されることができる。ピーク周波数は、ピーク血流量に対応する。また、DSP44は、アクセス切断を示すレベルまで上昇しない場合でも、血流量の変化を検出する。この情報を使用して、例えば、血流の乱れを判断することができ、さらに、例えば、療法効率または効果を診断的に監視あるいは判断するために使用することができる。
【0061】
DSP44は、無線周波数(「RF」)エミッタ/レシーバ等の遠隔または無線エミッタ/レシーバ46と通信のやりとりを行う。代替として、マイクロ波信号等の他の遠隔信号が使用されてもよい。さらなる代替として、システム10は、機械100に配線され、電気信号、例えば、4〜20mAまたは0〜5VのDC信号を介して、通信する。
【0062】
機械100は、RFトランシーバ等の無線トランスミッタ/レシーバ48を含む。システム10では、コミュニケータ48機器100は、コミュニケータ46を介して、遠隔ユニットへメッセージを送信し、そこからメッセージを受信する。さらに、コミュニケータ48は、100内に配置される中央演算処理装置(「CPU」)50と通信のやりとりを行う。ある実施形態では、CPU50は、信号56を介して、1つ以上の代表プロセッサおよび回路基板、または機械100内に配置されるコントローラと通信する、管理プロセッサを含む。示される実施形態では、トランスデューサ24、信号調節40、励起装置42、DSP44、およびエミッタ46は、プリント回路基板(「PCB」)52上に配置される。PCB52は、トランスデューサ筐体26内、別個の筐体(図示せず)内、または1つ以上のトランスデューサ24も収容する筐体内に配置することができる。代替実施形態では、DSP44およびその付随機能は、それぞれ、機械100のCPU50に配置され、実行される。
【0063】
また、PCB52は、バッテリ、電源供給装置、または両方の組み合わせを含み、概して、本明細書では、電源供給装置54と称される。電源54は、例えば、充電可能バッテリであることができる。電源54は、信号調節、DSP44、および無線コミュニケータ46等、PCB52の構成要素に電力を供給する。電源供給装置54は、ある実施形態では、充電可能であって、音響、視覚、または音響視覚警報に結合され、電源供給装置の充電あるいは交換が必要な場合に、患者に警告することができる。
【0064】
図4に示される実施形態では、遠隔無線コミュニケータまたはトランシーバ46は、RF信号58を介して、機器コミュニケータ48と通信する。信号58は、以下の種類のうちのいずれかであることができる。電気信号、無線周波数信号、マイクロ波信号、連続的信号、断続的信号、変化が感知された場合のみ送信される信号、およびそれらの任意の好適な組み合わせである。図3は、ある実施形態において、信号58が連続的な、例えば、デジタル化されたデータストリームであって、CPU50(機械100内に配置されるRAM42、DSP44および付随機能を介して)を使用して、血流量、ピーク流量、血流の拍動特徴、乱れ等を判断するように示される。アクセス切断が生じると、反射される超音波30bの周波数は、有意に変化し、対応する信号58の出力の変化は、バッファリングRAM42内のソフトウェアが、部分的または完全なアクセス切断を検出するのに十分である。アクセス切断が検出されると、CPU50は、例えば、音響、視覚、または音響視覚警報を発し、および/または機械100のグラフィカル・ユーザー・インターフェース106から音を発する等、信号56を介して、機械100内の他の構成要素に適切な措置を行わせる。また、CPUは、血液ポンプ102を閉鎖させる可能性もある。
【0065】
代替実施形態では、反射波30bの処理は、PCB52上で行われる。ここでは、内蔵DSP44が、血流量、ピーク流量、血流の拍動特徴、乱れ等を判断する。DSP44は、所定の間隔で、またはCPU50がそのような情報を要求すると、トランシーバ46を介して、この情報を無線でCPU50に送信する。アクセス切断が検出されると、DSPは、トランシーバ46を介して、警報信号58をCPU50に送信し、前述のように、機器100内の他の構成要素に適切な措置を行わせる。したがって、無線信号58は、連続的信号、断続的信号、または変化が感知された場合のみ送信される信号、およびそれらの任意の好適な組み合わせであることができる。
【0066】
さらなる代替実施形態では、PCB52は、音響、視覚、または音響視覚警報を含み、アクセス切断を患者に警告する。本実施形態では、システム10は、機械100と通信してもよく、またはそうでなくてもよい。例えば、PCB52は、警報を発することができる一方で、機械100は、1つ以上のポンプを閉鎖し、1つ以上の管路または弁を閉塞または閉鎖する。
【0067】
図5は、図2に示されるトランスデューサ24等の超音波センサを使用して行われる試験を図式的に示しており、トランスデューサ24は、図2にも示されるように、静脈針20から下流の患者12の血管に載置される。本明細書に記載されるこのシステムは、標準アクセス針16および20、または鎖骨下静脈型カテーテルと動作可能であることを理解されたい。図5に示されるように、患者の腕は、管によってモデル化される。超音波センサは、管の上に載置される。患者の血液は、生理食塩水を使用してモデル化され、アクセスポンプは、500立方センチメートルのコンプライアンスチャンバから、管(患者をモデル化する)を通って、毎分約1リットルを圧送し、生理食塩水源内に戻す。図5に概略的に示される動脈針16および静脈針20は、患者の腕を表す管に挿入または接続される。シミュレーションされる体外回路は、圧力センサ、透析装置、および静脈側圧力センサと組み合わせて、血液ポンプ、滴下チャンバを含む。
【0068】
図6は、静脈アクセス20が管から除去されると、超音波センサが、毎分約300mlの識別可能な流量減少を認知したことを示す。すなわち、図5内のアクセスポンプによって圧送される毎分1リットルが、超音波センサによって感知されるように、わずか毎分700mlに戻っている。
【0069】
(音響アクセス切断センサ)
次に、図7〜9を参照すると、音響アクセス切断システムのための種々の実施形態が、システム60a〜60cによって示される(本明細書では、集合的に、音響アクセス切断システム60、または概して、音響アクセス切断システム60と称される)。アクセス切断システム60は、超音波アクセス切断システム10と多くの類似点を有する。両方とも、機械100(および、前述のその代替構成のそれぞれ)と併用され、遠隔信号送信能力を有し、非侵襲的であって、患者の血液を介して電流を循環させず、使い捨てのカセットまたは管類セットに構成要素を追加せず、費用を節約し、追加の血液パラメータ測定能力を有する。システム10および60は両方とも、音波を使用する。
【0070】
システム60との主要な差異の1つは、トランスデューサおよび付随の電子機器が、患者12の代わりに、動脈管路14および静脈管路18に結合されることである。この構成は、管路14および18のうちの1つの切断が、反射波の比較的劇的な変化を生成するはずであるという点から見て、有利である場合がある。追加の血液パラメータ測定は、システム10の場合と同様に、患者内の血流特性よりも、体外回路内の血流特性を反映するが、このことは、有利な場合もあれば不利な場合もある。
【0071】
次に、図7を参照すると、二重トランスデューサ伝達/受信音響アクセスシステム60aが示される。音響アクセスシステム60aは、トランスデューサ62および64と、信号調節40と、励起装置42と、DSP44(内蔵メモリを含む)と、無線トランシーバ46と、前述の電源供給装置54とを担持するプリント回路基板66を含む。前述の電源供給装置54は、システム10に対して前述のように動作する、励起装置42、DSP44、および無線トランシーバ46に電力を供給する。DSP44は、機械トランシーバ48と送受信する、遠隔トランシーバ46と送受信する。代替実施形態では、前述のシステム10と同様に、DSP44の装置および付随機能のうちの1つ以上は、機械100内に配置される。前述のように、機械100は、無線、例えば、RFトランシーバ48を含み、無線トランシーバ46へ信号58を送信し、そこから信号を受信する。代替として、機械100は、電気通信のために、システム60aに配線される。
【0072】
示される実施形態では、音響エミッタトランスデューサ62は、励起装置42を介して、音響信号を動脈管路14内に伝達する一方で、レシーバトランスデューサ64は、静脈管路18から音響信号を受信する。代替として、エミッタトランスデューサ62は、音響信号を静脈管路18内に伝達する一方で、レシーバトランスデューサ64は、動脈管路14から音響信号を受信する。トランスデューサ62および64は、それぞれ、エミッタまたはレシーバのうちの1つであるように構成される形式であることができる。代替として、トランスデューサ62および64はそれぞれ、トランスミッタおよびレシーバの両方である。ここでは、アクセス切断の事象に応じて、トランスデューサ62および64の役割が反転され、冗長検査を提供することができる。また、トランスデューサ62および64の役割は、正常動作の下で、切り替えられ、トランスデューサが適切に作動しているか否かの試験を行い、また、システム60aが検出する他のパラメータに対する冗長性を提供することができる。
【0073】
ある実施形態では、トランスデューサ62および64は、音速波、亜音速波、または圧力波である波動を伝達および受信し、例えば、信号は、単一または複数の周波数で送信することができる。トランスデューサ62は、連続的、断続的、またはパルスの態様で、波動を放出することができる。さらに、放出される信号は、振幅、周波数、または位相のうちの任意の1つ以上の組み合わせにおいて変調することができる。好ましい実施形態では、信号は、レシーバトランスデューサ64が同様に検出し得る、自然に生じる波動とは異なる。
【0074】
励起装置42は、音響エミッタトランスデューサ62を励起し、患者12に向かう方向へ音波を放出する。音響レシーバトランスデューサ64は、同様に、患者から音波を受信するように構成される。このように、音波が、エミッタトランスデューサ62から、血液ポンプ102を循環して、レシーバトランスデューサ64へ移動する可能性が、最小にされる。さらに、動脈管路または静脈管路の一方または両方に配置される滴下チャンバは、体外回路内に空気バリア切断を提供し、これは、血液ポンプへの音波結合を最小にするはずである。また、この指向性構成は、アクセス切断のときに信号受信における差異を最大にする。
【0075】
信号調節40(例えば、A/D変換器)は、DSP44のための信号を調節する。信号調節は、代替として、DSP44内に配置可能であることを理解されたい。DSP44は、内蔵または別個のバッファリングRAMを使用して、調節された信号を処理する。DSPは、トランシーバ46と通信し、さらに、機器トランシーバ48からデータを送信および受信する。トランシーバ46は、代替として、DSP44に内蔵することができる。いずれの場合も、DSP44は、切断の際に音響信号のパワーの損失を測定することによって、除去を検出するように構成することができる。また、DSP44は、血流量、ピーク流量、前述の他のパラメータのうちのいずれかを計算することができる。
【0076】
動脈管路14または静脈管路18のいずれかが、部分的または完全に患者12から除去されると、トランスデューサ62と64との間の通信は、十分有意に断絶または変更されるので、アクセス切断の判断がなされ、そして、前述の保護措置のいずれか、例えば、警報、ポンプ閉鎖、弁閉鎖、管路閉塞が実行される。示される実施形態では、トランスデューサ62と64との間の通信の断絶または中断の処理は、PCB66上で行われる。ここでは、正常動作の下で、PCB66は、受信された信号のパワーおよび周波数、ならびに潜在的に、前述のように、血流量、ピーク流量、血流の拍動特徴、乱れ等を判断する。この情報は、トランシーバ46を介して、機器100のCPU50に、連続的に所定の間隔で、またはCPU50がそのような情報を要求するときに、無線で送信される。アクセス切断が検出されると、DSPは、エミッタ46を介して、警報信号58をCPU50に送信し、前述のように、機械100内の他の構成要素に適切な措置を行わせる。無線信号58は、従って、連続的信号、断続的信号、変更が感知された場合のみ送信される信号、およびそれらの任意の好適な組み合わせであることができる。
【0077】
代替実施形態では、PCB66の種々の構成要素は、DSP44等の機械100内に提供される。ここでは、RF信号58は、連続データストリームであって、調節され、例えば、局所的にデジタル化され、機械100のCPU50に送信され得る。次に、機器100内のDSP44は、データストリーム58を使用して、受信された信号のパワーおよび周波数と、潜在的に、機械100内の血流量、ピーク流量、血流の拍動特徴、乱れ等を判断する。アクセス切断が生じる場合、RF信号58内に含まれるデータは、機器100内のソフトウェアが、部分的または完全なアクセス切断を検出するのに十分に変化する。アクセス切断が検出されると、CPU50は、例えば、代表コントローラを介して、前述のように、機械100内の他の構成要素に適切な保護措置を行わせる。
【0078】
さらなる代替実施形態では、PCB66は、音響、視覚、または音響視覚警報を含み、アクセス切断を患者に警告する。本実施形態では、システム10は、機械100と通信してもよく、またはそうでなくてもよい。
【0079】
次に、図8および9を参照すると、アクティブソーナーまたはエコーシステム60bは、トランスミッタとレシーバ(示されるように)とを兼ねる単一の音響トランスデューサ68、または一方が放出し、一方が受信する二重トランスデューサのいずれかを採用する。いずれの場合も、単一または二重のトランスデューサは、1つの好ましい実施形態では、体外管路のうちの一方のみ、例えば、静脈管路18に結合される(前述のように、静脈アクセスの除去は、潜在的に、動脈アクセスの除去よりも危険である)。
【0080】
アクティブソーナーまたはエコーシステム60bは、プリント回路基板70を含み、信号調節40、励起装置42、DSP44、無線遠隔トランシーバ46、および前述の電源供給装置54を担持する。電源供給装置54は、信号調節40、DSP44、およびトランシーバ46に電力を供給する。代替実施形態では、前述のシステム10と同様に、1つのDSP44が、機械100内に配置される。前述のように、機械100は、無線、例えば、RFトランシーバ48を含み、RFエミッタ46から信号を受信する。代替として、機械100は、電気通信のために、システム60bに配線される。
【0081】
示される実施形態では、音響エミッタトランスデューサ68は、静脈管路18の血液内に音響信号を伝達する。信号は、体外回路管路14、18、およびグラフト22内で反射し、シグネチャー応答を生成する。信号調節40は、シグネチャー応答を処理し、例えば、デジタル化し、PCB70または機械100のいずれかに局所的に配置されるDSP44(RAM、ROM、内蔵信号調節、および/または内蔵トランシーバを含み得る)にデジタル信号を送信する。DSP44は、一実施形態では、内蔵ソフトウェアを使用して、信号を分析する。DSP44は、反射される音響波についての基準の音響シグネチャーを編成し、そのような基準信号をRAM42内に格納する。
【0082】
音響エミッタ/レシーバトランスデューサ68は、患者12に向かう方向に音波を放出するように構成される。トランスデューサ68は、同様に、患者から音波を受信するように構成される。音波が、トランスデューサ68から移動し、血液ポンプ102を循環し、トランスデューサ68に返される可能性は、少なくとも部分的に、動脈血管路内のトランスデューサと血液ポンプとの間に配置される滴下チャンバによって、最小になる。また、この指向性構成は、アクセス切断が生じる際の信号受信の差異を最大にする。
【0083】
動脈管路14または静脈管路18のいずれかが、部分的または完全に、患者12から除去されると、トランスデューサ68に返されるシグネチャー応答は、十分有意に断絶または変更されるので、基準の音響シグネチャーと比較されて、アクセス切断判断がなされ、本明細書で論じられた措置のいずれか、例えば、警報、ポンプ閉鎖、弁閉鎖、管路閉塞が実行される。
【0084】
示される実施形態では、受信した反応と基準反応との差異の処理は、PCB70で行われる。ここでは、正常動作の下で、内蔵DSP44は、受信された信号のパワー、周波数、およびエンベロープの形状、さらに場合によっては、血流量、ピーク流量、血流の拍動特徴、乱れ等を判断する。この情報は、DSP44およびコミュニケータ46を介して、連続的に、所定の間隔で、またはCPU50がそのような情報を要求するときに、CPU50に無線で送信される。アクセス切断が検出されると、DSP44は、コミュニケータ46を介して、警報信号をCPU50に送信し、前述のように、機械100内の他の構成要素に適切な措置を行わせる。従って、無線信号は、連続的信号、断続的信号、変化が感知された場合のみ送信される信号、およびそれらの任意の好適な組み合わせであることができる。
【0085】
代替実施形態では、PCB70の構成要素の大部分は、機械100内に提供される。ここでは、RF信号58は、連続データストリームであって、調節され、例えば、局所的にデジタル化され、DSP44およびその付随機能とともに動作する機械100のCPUに送信することができる。データストリーム58を使用して、機械100内の血流量、ピーク流量、血流の拍動特徴、乱れ等を判断する。アクセス切断が生じると、RF信号58は、十分に中断または低減されるので、バッファリングDSP44内のソフトウェアが、部分的または完全なアクセス切断を検出する。アクセス切断が検出されると、CPU50は、機械100内の他の構成要素に本明細書に記載される適切な措置を行わせる。
【0086】
さらなる代替実施形態では、PCB70は、音響、視覚、または音響視覚警報を含み、アクセス切断を患者に警告する。本実施形態では、システム10は、機械100と通信してもよく、またはそうでなくてもよい。
【0087】
再び、図9を参照すると、パッシブソーナーまたは音響シグネチャーシステム60cは、単一のレシーバトランスデューサ64を採用する。トランスデューサ64は、1つの好ましい実施形態では、体外管路のうちの1つのみ、例えば、静脈管路18に結合される(前述のように、静脈アクセスの除去は、潜在的に、動脈アクセスの除去よりも危険である)。
【0088】
パッシブソーナーまたは音響シグネチャーシステム60cは、プリント回路基板70を含み、信号調節40、励起装置42、DSP44、無線コミュニケータ46、および前述の電源供給装置54を担持する。代替実施形態では、前述のシステムと同様に、DSP44の装置および付随機能のうちの1つ以上は、機械100内に配置される。
【0089】
パッシブソーナーシステム60cは、このシステムの血液ポンプ、滴下チャンバ、透析装置との相互作用、または他の体外デバイスによって生成されるパルスを使用する。これらのデバイスは、前述のシグネチャー応答に類似する音響パターンまたはシグネチャー応答をレシーバトランスデューサ64において生成する。信号調節40は、シグネチャー応答を処理し、例えば、デジタル化し、PCB70または機械100のいずれかに局所的に配置されるDSP44にデジタル信号を送信する。DSP44は、一実施形態では、内蔵ソフトウェアを使用して、信号を分析する。DSP44は、反射される音響波の基準音響シグネチャーを編成し、そのような基準信号をメモリ内に格納する。
【0090】
示される実施形態では、静脈管路18が、部分的または完全に、患者12から除去されると、トランスデューサ68に返されるシグネチャー応答は、十分有意に断絶または変更されるので、基準音響シグネチャーと比較されて、アクセス切断判断がなされる。次いで、本明細書で論じられる措置のいずれかが行われ、例えば、警報、ポンプ閉鎖、弁閉鎖、管路閉塞が実行される。
【0091】
示される実施形態では、受信した反応と基準反応との間の差異の処理は、システム60cのPCB70上で行われる。ここでは、再び、正常動作の下で、内蔵DSP44は、血流量、ピーク流量、血流の拍動特徴、乱れ等を判断する。この情報は、連続的に、所定の間隔で、またはCPU50がそのような情報を要求すると、DSP44およびトランシーバ46を介して、CPU50に無線で送信される。アクセス切断が検出されると、DSPは、トランシーバ46を介して、警報信号をCPU50に送信し、本明細書に記載されるように、機械100内の他の構成要素に適切な措置を行わせる。
【0092】
代替実施形態では、DSP44は、機械100内に提供される。ここでは、RF信号58は、連続データストリームであって、調節され、例えば、局所的にデジタル化され、RF通信を介して、機械100のCPUに送信され得る。再び、データストリーム58を使用して、機械100内の血流量、ピーク流量、血流の拍動特徴、乱れ等を判断することができる。アクセス切断が生じると、RF信号58は、十分に中断または低減されるので、バッファリングDSP44内のソフトウェアが、部分的または完全なアクセス切断を検出する。アクセス切断が検出されると、CPU50は、例えば、代表コントローラを介して、前述のように、機械100内の他の構成要素に適切な保護措置を行わせる。
【0093】
さらなる代替実施形態では、システム60cのPCB70は、音響、視覚、または音響視覚警報を含み、アクセス切断を患者に警告する。本実施形態では、システム10は、機械100と通信してもよく、またはそうでなくてもよい。
【0094】
(光学アクセス切断/血液漏出検出器)
次に、図10〜14を参照すると、光学アクセス切断/血液漏出検出システム80の実施形態が示される。光学アクセス切断/血液漏出検出システム80は、通常、患者12のアクセス針16および20の上方に適用されるガーゼを利用する。正常動作の下で、針16および20が患者の腕12に接続するアクセス点の周囲に、少量の漏出が存在するのは珍しくないことである。しかしながら、正常な血液漏出は、アクセス針16および20の周囲の小領域に限定されるべきである。血液漏出が、比較的大きな領域に拡大する場合、針の部分的または完全な除去を示している可能性があり、即座に対処されなければならない。
【0095】
図10は、可撓性回路90を備える光学アクセス切断/血液漏出検出システム80を示す。可撓性回路90は、患者の腕12の周囲に巻きつく。ある実施形態では、可撓性回路90は、前述のように、アクセス針16および20の上方に載置される、図10に示されるガーゼパッド82の上方に載置される。可撓性回路90は、ガーゼ82と接触するので、殺菌を考慮する必要がある。一実施形態では、可撓性回路90は、ガーゼ82の上方に載置される前に、消毒剤で洗浄される。代替実施形態では、ガーゼ82は、自己粘着性であり得る滅菌の使い捨て膜84で被覆される。ここでは、膜84は、治療完了後に廃棄される。膜84は、可撓性回路90を接触領域から隔離する。
【0096】
アームバンドシステム90は、針除去に対する保護措置を提供する。針および管類の周囲に巻きつくことによって、可撓性回路90は、針および管類を適所に固着し、従って、除去を防止するのに役立つ。アームバンドシステム90は、このシステムが、管状器官と管類との間の切断も検出し得るように、管状器官と関連する管類との間の接続を可撓性回路90によって被覆される領域に限定する。
【0097】
図11は、可撓性回路90が、一実施形態では、フック86a〜86cを含み、可撓性回路90の周囲に巻きつき、例えば、それぞれ、嵌合パッド88a〜88cに摩擦的および/または粘着的に装着する状態を示す。例えば、フック86(集合的に、フック86a〜86cと称する)は、Velcro(登録商標)型の装着部、ボタン、スリット、折重、または他の種類の解放可能に固着可能な機構を介して、パッド88(集合的に、パッド88a〜88cと称する)に装着することができる。フック86およびパッド88の清掃が困難であると認められる場合、一実施形態では、磁気ストラップおよびバックル等のより衛生的な装着機構と交換することができる。
【0098】
図10および11に示されるように、可撓性回路90は、複数の反射式光センサ92a〜92eを含み、それぞれ、コインバッテリ等の電源54に接続するリード94a〜94eを介して電力が供給される。ある実施形態では、光学センサ92(集合的に、センサ92a〜92eと称する)は、光源として作用する発光ダイオード(「LED」)と、光レシーバとして作用する光電池または光トランジスタとを含む。LEDおよび光センサは、血液内で反射されると最大吸収率を可能にする、特定の波長に対して構成される。透析血液漏出検出器内で使用されるもの等のLED/光センサの組み合わせは、光学システム80のプロトタイプにおける使用に成功している。
【0099】
ある実施形態では、リード94(集合的に、リード94a〜94dと称する)は、既知のプロセスで可撓性回路90に適用される、トレース、例えば、銅トレースである。ある実施形態では、可撓性回路90は、ポリアミドまたはKapton(登録商標)膜96等の電気的絶縁材料を使用する。ある実施形態では、膜96が、複数の層で提供され、リード94および光センサ92は、複数の層96の間に挟入される。
【0100】
また、ある実施形態では、電源供給装置54は、複数の誘電膜96の間に挟入される。また、一実施形態では、電源供給装置54は、前述の信号調節40、RAM52、DSP44、およびRFエミッタ46のうちの任意の1つ以上を含み得るマイクロコントローラ98に電力を供給する。また、マイクロコントローラ98は、可聴警報および/またはLED等の映像状況表示器を含むことができ、光学アクセス切断/血液漏出検出システム80の電子機器が、適切に実行しているか否かを信号で伝える。
【0101】
図12および13は、光電システム80を作動させるための一実施形態を示す。ある実施形態では、光センサ92のLEDから放射される光は、例えば、ガーゼ82の上に収集された血液の色によって吸収される、紫外線スペクトルの青色から緑色の範囲の波長を有する。センサ92からの光が、図12に示される血の付いていないまたは白色のガーゼ82を照射すると、そのエネルギーのある割合が、レシーバ、例えば、光センサ92の光電池または光トランジスタへと反射する。一方、図13では、ガーゼ82の上の血液の存在が、センサ92から放射される全光エネルギーの大部分を吸収する結果、センサ92は、かなりの程度により少ない光、例えば、信号の損失を受信および検出する。従って、図13では、反射される光を示すガーゼ82から光センサ92に返る矢印は示されない。
【0102】
図11に示される実施形態では、センサ92a〜92eは、例えば、針から約1インチ〜3インチであるように、アクセス針16および20から比較的離れて間隔を置かれているために、血液がセンサ92に到達すると、既に、血液はアクセス点から十分な距離を移動しており、正常量の血液漏出ではないアクセス切断を信号で伝達する。さらに、複数のセンサ92a〜92eの使用によって、ソフトウェアに冗長性を構成することができ、例えば、ソフトウェアは、アクセス切断が生じたことを判断する前に、反射の欠落を示すためのセンサ92のうちから複数のセンサを検索する。代替として、血液を感知する単一のセンサ92を用いて、アクセス切断を示すことができる。
【0103】
一実装では、異なる直径の光学センサの2つ以上の同心円状のリングは、センサアレイを形成し、このシステムに血液漏出の進行を監視させることができる。内側リング(小径センサ)のセンサのうちの1つは、センサが小径であるので、僅かであると考えられる反射の欠落を検索する。その次のリング(より大きい直径である)センサが反射光を喪失しなければ、このシステムは漏出が重大ではないと判断する。漏出が重大になると、より大きい直径のセンサである外側リングに到達する。このシステムは、連続するリングの検出と検出の間の時間を使用して、血液漏出速度を判断する。リングの間の間隔によって、血液漏出量を推定することができる。
【0104】
マイクロコントローラ98は、光学センサ92からデータを収集し、ある実施形態では、RF信号58を介して、このデータを透析機械100に報告する。機械100は、信号58を分析するために使用される信号調節40、DSP44(内蔵RAMおよびROM、ならびに本明細書に記載されるような他の装置および機能を有し得る)のうちの少なくとも1つを含むことができる。代替実施形態では、マイクロコントローラ98は、アナログ/デジタル変換器および/または信号加算回路等の信号調節を含み、光センサ92のそれぞれからの出力を組み合わせて、可撓性回路90全体を代表する単一のデジタル化信号58を生じさせることができる。さらなる代替実施形態では、ソフトウェアおよび処理は、マイクロコントローラ98内に格納され、その場合、信号58は、アクセス切断が生じたか否かを機械100に伝える。ここでも、信号58は、連続的であるか、断続的であるか、命令されたときのみ送信されるか等であることができる。
【0105】
電力供給54を節約するために、一実施形態では、マイクロコントローラ98は、スリープまたは節電モードに維持され、光学センサ92は、透析機器100が、無線周波数リンクからのデータを要求するまでオフの状態である。この時点で、マイクロコントローラ98は、「起動」し、光センサ92を作動して、センサ92の光学レシーバから信号を読み込み、状態情報を透析機器100に返送する。一実施形態では、ここでも、センサ92a〜92eのいずれかが、十分な光を受け取らない場合、DSP94は、救難連絡を機械100に発し、同時に、可聴警報を作動させる。機械100は、本明細書に記載される任意の他の好適な保護措置を行うことができる。
【0106】
(心電図(「ECG」)遠隔アクセス切断センサ)
次に、図15、16、17、および18A〜18Cを参照すると、心電図(「ECG」)を形成する信号を使用して、アクセス切断を検出する種々のシステムが示される。概して、ECGは、人の心拍のリズムを制御する電気信号を測定する検査である。心臓は、4つの室から成る筋肉ポンプであって、2つの上方室は、心房と呼ばれ、2つの下方室は、心室と呼ばれる。自然電気システムによって、心臓の筋肉を収縮させ、心臓を通って、肺および体内の残りの部分に血液を圧送する。
【0107】
ECG用の電極は、患者の皮膚の上に載置され、心臓のこの自然電気活動を検出する。図15のシステム120において、透析療法の間、第1の電極122は、静脈管路18に装着される一方で、第2の電極124は、患者の皮膚、例えば、患者12の脚12a(ここに示されるように)、腕12b、または胸12cに装着され、あるいは代替として、動脈管路14に接続される。電極122および124は、直接接触、容量結合、誘導結合、無線、またはその他を介して、静脈管路18および動脈管路14において接続されることができる。代替として、複数の体内電極124は、患者12の異なる位置12a、12b、12cに載置されることができる。
【0108】
図18A〜18Cは、接触/血液結合のための3つの可能な配置を示す。図18Aでは、電極122は、静脈管路18内に載置され、血液に直接接触する。図18Bでは、電極122は、静脈管路18の壁内に埋め込まれ、例えば、容量的または誘導的に血液と結合する。図18Cでは、電極122は、静脈管路18の外側に載置され、同様に、例えば、容量的または誘導的に血液と結合する。電極は、金属である、または導電性ポリマー材料から成ることができる。
【0109】
図15のシステム120は、動脈管路14および静脈管路18に接続される、血液ポンプ102と、透析装置108とを示す。体外回路は、便宜上、ここでは図示されない他の構成要素を含む。また、透析装置108は、例えば、袋詰めまたはオンラインの透析液供給源と連通するが、透析液を透析装置108に送達するポンプは、便宜上、図示されない。上記に参照された第’170号出願は、体外および透析液回路に関するさらなる詳細を開示し、それらは、本明細書に記載されるシステムのそれぞれに適用可能である。また、本明細書に記載されるシステムのそれぞれの教示は、血液濾過および血液濾過透析システムにおけるアクセス切断に適用可能である。
【0110】
電極122および124は、本明細書で論じられるように、RAM42およびDSP44を含み得る、信号調節40および信号処理に電気的に接続される。信号調節40、RAM42、およびDSP44のうちのいずれも、所望に応じて、かつ本明細書で論じられるように、局所的または遠隔に配置することができる。
【0111】
電極122および124は、代替としてまたは付加的に、電気的活動を心電図に変換する機械に接続することができ、心臓拡大の証拠、心臓への不十分な血流の兆候、心臓への新しいまたは以前の損傷の兆候(例えば、心臓発作による)、心拍リズムの問題(不整脈)、体内の電解質平衡異常によって生じる心臓の電気的活動の変化、および心臓を囲む嚢の炎症の兆候(心膜炎)を示してもよい。これらのパラメータは、以下にさらに詳述されるように、透析の際に有用となり得る。
【0112】
正常状態の下で、人の心拍のリズムを制御する自然電気信号は、図15に象徴的に示される信号126を生成する。示される実施形態では、静脈管路18のアクセス切断時には、血液を介する体内との電気的連絡が失われるために、信号126は、もはや感知されない。機械100は、アクセス切断として、信号126の欠落を確認し、そして、本明細書で論じられる手段のうちのいずれかを行わせる。
【0113】
図16および17は、それぞれ、代替システム140およびシステム140内で使用されるカテーテルアセンブリ142を示す。図16のシステム140では、心臓カテーテルアセンブリ142を使用する、患者12の胸12cにおける心臓カテーテルアクセスが用いられる。心臓アクセスおよびカテーテルアセンブリ142は、患者12の腕126における針アクセスよりも、心臓およびその関連する信号への直接アクセスを提供する。心臓アクセスおよびカテーテルアセンブリ142は、急性治療に対して好適である場合がある。ここでは、医師は、心臓内の血液プールからの電位図をより直接的に監視し、一般的な動脈および静脈アクセスよりも、さらにまたはより優れた心臓機能に関する情報を提供する一方で、依然として、患者12を透析することができる。
【0114】
アセンブリ142のカテーテル146は、図18A〜18Cと関連して示される構成のうちのいずれかを介して、電極122および124等の電極を装備する。カテーテルアセンブリ142は、動脈アクセス区間114および静脈アクセス区間118を含み、それぞれ、体外回路の動脈管路14および静脈管路18に接続する。また、カテーテルアセンブリ142は、カテーテル146を所望の位置、例えば、患者の心臓内に直接、あるいは所望の局所的な静脈、動脈、またはグラフトに誘導するガイドワイヤ144を含む。
【0115】
システム120および140では、信号処理は、DSP44を介して、付加的にまたは代替として、信号126を処理して、心拍数の変動、呼吸、1回拍出量、心拍出量、および中心血液量のうちの任意の1つ以上を計算する。さらに、システム120が、生体インピーダンス測定をなし得るように、生体インピーダンス供給源130が、患者に接続される。付加的にまたは代替として、システム120および140は、体外回路内への溶液の注入を可能にし、これは、移植された心臓リズム管理デバイス(ペースメーカー)を有する患者のペーシング制御のために使用される。システム120および140は、透析の間、重要な心臓血管パラメータの監視を可能にし、これは、透析療法に有益な効果を有するか、または他の目的のために使用され得る。
【0116】
生体インピーダンスは、一般に、胸部または心臓の電気伝導度の変化の測定である。例えば、大動脈内の拍動血液量の変化に基づく測定であり得る。生体インピーダンスは、心拍出量および循環血液量の測定に関連する。
【0117】
特に、胸部電気生体インピーダンス(また、インピーダンス心電図とも称される)は、心拍出量および他の心臓血管機能を評価するための非侵襲性方法として研究されている。心拍出量の変化を使用して、患者の血液動態の変化を識別するか、あるいは、例えば、危篤状態の患者ならびに罹患率および死亡率の危険性が高い患者の治療の必要性または反応を評価する。
【0118】
胸部生体インピーダンスは、疑似または既知の心臓血管疾患を有する患者の血液動態の評価、急性呼吸困難についての肺性原因からの心臓性原因の判別、A/V順次ペースメーカーを有する患者の房室間隔の最適化、およびうっ血性心不全患者における薬物療法の最適化を含む、種々の指標のために研究されている。
【0119】
前述のパラメータのいずれもが、透析と関連して、または治療の付加的な利点として、監視されてもよい。
【0120】
(容量血液漏出検出システム)
図19Aおよび19Bは、代替的な血液漏出検出デバイス150を図示し、これは、システム80とともに、前述の態様のうちのいずれかにおいて、患者の腕の周囲に巻きつき、アクセス針16および20を被覆する。デバイス150は、図19Aに最も良く示されるように、小型コンデンサ152のアレイを含む。防水性の、例えば、プラスチック製の絶縁体154a〜154cが、コンデンサの両側周辺に載置される。接地または遮蔽156は、コンデンサ152の裏面と後方絶縁体154cとの間に載置される。
【0121】
デバイス150は、血液漏出を検出するために、血液を吸収する必要がない。小型コンデンサ152の下における血液の存在は、コンデンサを囲む誘電場の変化をもたらす。すなわち、湿った点が、デバイス150の下に広がる場合、誘電変化を感知するコンデンサ152の領域が拡大する。領域が拡大を停止すると、デバイス150を使用するシステム(本明細書で論じられる遠隔または有線システムのうちのいずれかであり得る)は、血液漏出または針除去と区別され得る、正常量の浸潤が生じたと推定する。少量の浸潤は、「針穿刺」時によく見受けられるものであって、警報を発するべきではない。血液漏出が十分に大きく拡大すると、デバイス110を使用するシステムは、部分的または完全にアクセス切断が生じたと推定し、そして警報を発する。
【0122】
(冗長アクセス切断/血液漏出検出システム)
ある既知のアクセス切断システムは、電気回路の断絶に依存して、アクセス問題を検出する。これらのシステムに関する問題の1つは、患者からの針除去が、必ずしも、常に電気回路を断絶させるわけではないことである。針は、例えば、患者から除去し得るが、針が除去されたアクセスまたは他の(例えば、動脈)針を越えて、血流を誘導し、電気回路を完成または再完成する。ここでは、血液は、患者に戻らないが、警報は発せられない。
【0123】
他の既知のシステムは、除去した針が、デバイスまたはシステムの一部に血流を誘導するであろうと推定する。ここでは、針が、デバイスの下から完全かつ迅速に除去されると、システムの一部に浸透すると考えられる血流が浸透しない(または、十分に浸透しない)場合があり、ここでも、警報は発せられない。
【0124】
前述の問題に対処するために、前述のシステムのうちのいずれかを互いに組み合わせて、あるいは他の種類のアクセス切断または血液漏出検出システムと組み合わせて、使用することができる。特に、除去型システムは、血液漏出検出システムと組み合わせることができる。例えば、光学的システム80は、血液漏出検出システムであって、特に、アクセス部位における血液漏出の検出に適している。別の種類の血液漏出検出システムは、導電性のブランケットまたはパッドであって、これが、図10〜14のシステム80に類似する態様で、アクセス部位を被覆する。導電性のブランケットまたはパッドは、患者アクセスから浸透する血液によって収縮させられるときに、閉鎖電気ループを形成する接点を含む。追加の血液漏出検出システム150は、図19Aおよび19Bと関連して、上記に開示されている。
【0125】
前述の第’098号特許および第’480号特許に記載されるインピーダンス感知システム等の除去システムは、特に、針または他のアクセス機器が、患者から完全に除去されるときの検出に適している。また、超音波アクセス切断システム10、音響システム60a〜60c、および生体インピーダンスシステム120も、完全な針除去を適切に検出する除去型システムである。
【0126】
従って、複合型または冗長システムにおいて、血液漏出検出システムおよび針除去システムのそれぞれのうちの1つを組み合わせて、いずれの故障モードも適切に検出することが企図される。例えば、第’098号特許および第’480号特許のうちの任意の1つである、インピーダンスシステム、超音波アクセス切断システム10、音響システム60a〜60c、および生体インピーダンスシステム120(完全除去)は、光学的(システム80)、導電性ブランケット、または容量(デバイス150)血液漏出検出システムのうちの任意の1つと組み合わせられることができ、その結果、静脈針が除去された態様は問題ではなくなる。静脈針が、迅速に除去され、患者から抜け落ちると、アクセス切断システムは、警報を発する。静脈針が、部分的または完全に除去され、かつ、静脈針または動脈針を越えて血流を誘導すると、血液漏出検出システムは、警報を発する。
【0127】
本明細書に記載される好ましい実施形態への種々の変更および修正は、当業者には明白であることを理解されたい。そのような変更および修正は、この主題の精神および範囲から逸脱することなく、かつ意図される利点を低減せずに、なされることが可能である。したがって、そのような変更および修正は、添付の請求項によって網羅されることが意図される。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本開示は、概して、治療のための患者アクセス(access)切断のシステムおよび方法に関する。より具体的には、本開示は、透析療法の間における針またはカテーテルの除去の検出等、患者アクセスの切断の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、既知のアクセス切断の構成を図示する。血液は、動脈針16を介して、患者に接続された動脈管路(arterial line)14を通って患者の腕12から採血される。血液は、静脈管路18および静脈針20を介して、治療後、患者に戻される。針16および20は、実際には、シャント22に接続しており、シャント22は、患者の動脈および静脈のうちの1つと流体連通状態に置かれる。治療の間における動脈管路14の偶発的な切断は、血液ポンプへの血液供給源を単に排除するだけであるので、深刻な問題ではない。治療の間における静脈管路18のアクセス切断は、動脈管路14が、血液ポンプへの血液供給を維持する一方で、静脈管路18は、患者の外部の場所に血液を戻すので、深刻な関心事である。
【0003】
種々の異なる治療は、患者の体内に挿入された針または複数の針を介して、患者と患者に接続された体外システムとの間の血液の送達等、患者へ、患者を通って、および/または患者からの流体の送達に関連する。例えば、血漿交換療法、血液透析、血液濾過、および血液透析濾過はすべて、患者の血液から直接老廃物、有害物質、および過剰水を除去する治療である。これらの治療の間に、患者は、体外回路および機械に接続され、患者の血液は、回路および機械を通って圧送される。老廃物、有害物質、および過剰水は、患者の血液から除去され、血液は、患者の体内に逆注入される。
【0004】
これらの治療では、針または類似のアクセスデバイスは、患者の血液が、体外機械へおよびそこから運搬され得るように、患者の血管系内に挿入される。従来の血液透析、血液濾過、および血液透析濾過治療は、数時間も続き得、概して、週に約3〜4回、治療施設において行われる。施設内治療では、血液透析を受ける患者は、例えば、視覚的に監視されて、針除去(needle dislodgment)が発見される。しかしながら、針が、患者または医療従事者の目につかない場合(例えば、毛布で覆われている場合)があり、発見および即座の対応を遅延させ得る。
【0005】
さらに、生活の質の向上、罹患率および死亡率の両方に認められる低下傾向、施設内治療に関する費用低減を考慮して、在宅血液透析等の自己療法および在宅療法に対する新たな関心が高まっている。そのような在宅療法(血液透析、血液濾過、または血液透析濾過)は、昼間、夕方、または夜間に行うことができる。監視されていない場合または眠っている場合に、介護者が存在しないため、そして、おそらく患者さえ除去に気付かないことがあるために、除去のリスクは増加する。
【0006】
血液透析の際の針除去を検出するための種々のシステムが存在する。例えば、両方とも「Access Disconnection Systems And Methods」という名称であって、本願の最終譲受人に譲渡される特許文献1(以下、「第‘098号特許」)および特許文献2(「第‘480号特許」)は、血管アクセス針に接続される体外透析回路の電気インピーダンスを測定するアクセス切断システムを開示する。外部の電圧または電流源を使用して、小電流(例えば、2.5μ−Amp未満)を血流内に導入する。この外部電流は他のシステムと比較して小さいが、依然として、供給源は、電流が10μ−Ampを超えないことを確実にするように測定が行われることを必要とし、それは、当技術分野において心臓内デバイスに対する安全限度として考えられている。さらに、患者がアースグランドに接続されると(例えば、診療所および自宅で見られる接地デバイスを通して)、インピーダンスシステムの感度は低下し得る。
【0007】
体外回路内に電流を導入するシステムに関する別の問題は、除去した針が、漏出血液を通して他の針との接触を再確立する場合に生じる。ここで、感知される電気パラメータ、例えば、インピーダンスは、変化しないか、または十分に変化せず、アクセス切断が生じた場合でも、その信号を送信しない場合がある。
【0008】
さらなる障害は、血液治療システムの使い捨て部分への付加的な接触を含む。使い捨て部分に載置される金属または別の導電性部材は、ある程度の製造上の困難性および費用を付加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7,022,098号明細書
【特許文献2】米国特許第7,052,480号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、改良された血液アクセスの切断システムの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書に記載される実施例は、例えば、血漿交換療法、血液透析(「HD」)、血液濾過(「HF」)、および血液透析濾過(「HDF」)に適用可能なアクセス切断のシステムおよび方法を開示する。また、アクセス切断システムは、血管アクセスを必要とする持続的な腎代償療法(「CRRT」)治療と併用されてもよい。以下のアクセス切断の実施例は、例えば、HDまたはHDFのための透析装置、あるいは、例えば、HFのための血液フィルタ等、拡散膜またはフィルタを有するシステムとともに作動する。
【0012】
さらに、本明細書に記載されるシステムは、それぞれ、臨床または在宅用の据付機械と併用してもよい。例えば、このシステムは、施設内のHD、HF、またはHDF機械に採用されてもよく、この場合、事実上、一日中連続的に稼働する。代替として、このシステムは、在宅のHD、HF、またはHDF機械に使用されて、患者の都合の良いときに稼働されてもよい。そのような在宅システムの1つは、2004年11月4日に出願され、本出願の最終譲受人に譲渡される同時係属中の米国特許出願第10/982,170号(以下「第‘170号出願」)「High Convection Home Hemodialysis/Hemofiltration And Sorbent System」に記載されており、その全内容は、参照することによって、明示的に本明細書に組み込まれる。
【0013】
以下のアクセス切断の実施例は、透析液(注入物)供給を有するシステムとともに作動し、この供給は、ともに連動し、次々に使用される透析液供給の単一のバッグまたは複数のバッグであり得る。さらなる代替として、以下に示されるアクセス切断システムのそれぞれは、1つ以上の濃縮物と水とを組み合わせて、透析液オンラインを形成するように構成される1つ以上の濃縮物ポンプ等の、オンライン供給源を有する機械と併用することができる。オンライン供給源は、一般的には、例えば、HDシステムと併用される。
【0014】
種々の非侵襲的なアクセス切断システムが、本明細書に記載される。このシステムは、概して、電圧または電流を患者の体内に導入しない。これは、電流誘導システムに固有の患者接地に関する問題に光を当てる。このシステムは、電気ループの接続または切断に依存しないので、除去した針および失血との導電経路の再確立を免れることに資する。種々の実施形態において開示されるシステムは、無線で、例えば、無線周波数信号を介して、透析機械と通信する。このように、このシステムは、機械に使用される使い捨ての管類および/またはカセットを増加させずに、製造の容易性を向上させ、費用を低減する。
【0015】
第1のシステムは、例えば、超音波を組織内に伝達するメガヘルツ周波数範囲で作動する、圧電または電磁トランスデューサ(以下、便宜上、概して、圧電と称される)を使用する。トランスデューサの本体は、一実施形態では、組織と平行である一方で、圧電自体は、血流方向と整列する超音波成分を生成する角度にある。
【0016】
血流内の赤血球は、超音波に対する反射体として作用し、トランスデューサ内に波動をエコーさせる。別の圧電または電磁結晶(以下、便宜上、概して、圧電と称される)を使用して、エコーを受信することができる。超音波周波数は、ドップラー効果を介して、波動が血球に反射するにつれて変化する。超音波信号の周波数変化は、反射細胞の速度の指標である。第1のシステムは、受信したエコーを処理し、流量情報を抽出する。
【0017】
前述のように、第1のシステムは、圧電トランスミッタおよび圧電レシーバ、または両機能を行う単一のトランスデューサを使用する。電子回路は、複数のトランスデューサまたは単数のトランスデューサに接続され、励起信号を生成し、エコーを処理する。また、一実装では、電子機器は、血液透析装置への無線周波数(「RF」)リンクを含む。治療が開始されると、超音波デバイスは、血流から情報を収集する。反射体のピーク速度、血流の拍動特徴、アクセスの乱れは、以下にさらに詳述されるように、監視されるパラメータの一部である。アクセス切断システムは、RFリンクを介して、透析装置とそのような情報を交換する。静脈針除去は、必然的に、感知されるパラメータに激変をもたらし、アクセス切断の検出を可能にする。
【0018】
第1のアクセス切断システムの一実装では、超音波トランスデューサは、マジックテープ(登録商標)アセンブリ、磁気結合、または他のバックル機構を介して、バンドによって適所に保持される。バンドは、管の拘束を与えて、機械的に針除去を防止する。
【0019】
第2のアクセス切断システムは、体外回路内の血液中における音の伝搬特性を使用して、例えば、体外回路の静脈区間が患者に接続されているかどうかを判断する。第2のシステムは、少なくとも1つの音響トランスデューサを使用し、これは、血流、透析流、弁順序等の治療の他のパラメータへのアクセスを有する透析ユニットによって処理される音波信号を生成する。音波は、血流内に放出される音速波、亜音速波、または圧力波であり得る。信号は、任意の好適な周波数であり得、単一の周波数または複数の周波数であり得、それは、連続的であるか、パルス状であるか、あるいは振幅、周波数、位相が変調されたものであり得る。音響トランスデューサは、電気励起を圧力波および/またはその逆に変換可能である圧電、電磁気、あるいは任意の好適な種類のものであり得る。
【0020】
第2のアクセス切断システムは、少なくとも3つの方法で実装することができる。一実装は、2つの音響トランスデューサを使用し、一方は、体外回路の静脈区間に結合され、他方は、体外回路の動脈区間に結合される。トランスデューサのうちの一方は、音響信号を血流内に伝達し、他方のトランスデューサは、信号を受信する。区間のうちのいずれかが切断されると、レシーバは、もはや放出信号を検出せず、警告を発する。二重音響トランスデューサはそれぞれ、伝達および受信の両機能を行うことができ、二重トランスデューサが互いに機能を切り替える実施形態を可能にする。
【0021】
第2の実装は、トランスミッタおよびレシーバを兼ねる1つの音響トランスデューサ、または、一方が伝達用であって、他方が受信用である2つのトランスデューサのいずれかを使用する。ここで、エミッタおよびレシーバは両方とも、体外回路の静脈区間に結合される。この実装では、トランスミッタは、音響パルスを血液内に送信する。パルスは、体外回路インターフェース内で反響し、シグネチャー(signature)応答を生成する。このシステムは、静脈管路が接続されているときに生成されるエコーのシグネチャーを監視、処理、および分析し、基本音響シグネチャー応答を生じさせる。静脈管路が切断されているときに生成される音響シグネチャー応答は、格納されたパターンと異なる。受信信号の処理によって、そのような変化を検出し、警報を発し、所望に応じて、ポンプおよび/または弁の閉鎖あるいは閉塞を行う。
【0022】
第2のアクセス切断システムの第3の実装は、パッシブソーナーを使用する。体外回路内の血流は、その中に音響波を導入する一連の動作を受ける。血液ポンプ、滴下チャンバ、透析装置との相互作用、および患者はそれぞれ、音響パターンを生成する。この音響パターンは、例えば、針が収容されているときの静脈管路内での音響シグネチャーを構成し、これは、針が除去されているときのものとは異なる。パッシブソーナーの実装は、静脈管路に結合された音響トランスデューサを使用し、この音響トランスデューサはレシーバとして作用する。レシーバトランスデューサは、血液内の音響信号を監視、処理、および分析して、基本音響シグネチャーを生成する。静脈針の除去によってパターンが変化すると、受信信号の処理によってこの変化を検出し、そして警報等を発する。
【0023】
第3のアクセス切断/血液漏出検出システムは、光学センサを使用する。アクセス針が患者の腕に接続される領域周辺に、少量の血液漏出が存在することは珍しくはない。しかしながら、この影響は、アクセスポイント周辺の小領域に限定されるべきである。血液漏出が、比較的大きな領域に拡大すると、針の部分的または完全な除去を示している可能性があり、即座に対処されなければならない。
【0024】
一実施形態では、光学的システムは、分散された光学反射式センサを有する可撓性回路を使用する。ここでは、可撓性回路が、一実施形態では、患者の腕に巻かれる。別の実装では、光学的システムは、例えば、プラスチック、ゴム、または布から成る可撓性アームバンド上に搭載された剛性または半剛性回路のいずれかを組み込む。また、アームバンドは、使い捨てであり得る。いずれの場合も、装着機構は、代替として、患者の脚等の別の体内領域との血液アクセス、または、例えば、患者の首におけるカテーテルアクセスのために装着されるように、サイズ調節および構成されることができる。
【0025】
可撓性回路は、針陥凹部を被覆する1枚のカーゼと接触することができる。殺菌のため、接触表面は、消毒剤で洗浄される。代替として、接触表面は、自己接着性であり得る殺菌した使い捨ての透明膜によって被覆される。膜は、治療完了後に廃棄される。
【0026】
可撓性回路は、マジックテープ(登録商標)式機構、磁気ストラップ、磁気バックル、または他の種類の解放可能に固着可能でありかつ、洗浄可能である装置を使用して、患者に装着することができる。
【0027】
一実施形態における反射式光学センサは、光源等の発光ダイオードと、レシーバとしての光電池または光トランジスタとを使用する。放射される光は、血液の色が、そのエネルギーを吸収するように選択される波長を有する。光が、白色ガーゼを照射する限り、一定の割合の光エネルギーが、レシーバに反射される。一方、ガーゼ上の血液が、光エネルギーのほぼすべてを吸収すると、レシーバは、信号および複数の信号の相当の損失、または警報等を検出する。
【0028】
一実施形態における局所的なマイクロコントローラは、光学センサからデータを収集し、このデータを、例えば、無線周波数リンクを介して、透析装置に報告する。一実装では、マイクロコントローラは、スリープモードまたは節電モードのままであって、透析装置が、無線周波数リンクを介してデータを要求するまで、光学センサをオフにする。次いで、マイクロコントローラは、「起動」し、光源を作動させて、光学レシーバを読み込み、状況を透析装置に返送する。センサのうちの1つ(または、おそらくは、2つ以上の)が、十分な光を受け取らない場合、プロセッサは、救難連絡を発し、そして、付加的にまたは代替として、可聴警報を作動させる。機械は、ポンプの閉鎖あるいは管路または弁のクランピング等、任意の他の適切な措置を行う。
【0029】
第4のアクセス切断の実施形態では、透析システムは、患者の心臓血管電気系を使用して、アクセス切断を検出する。ヒトは、心拍数および心拍リズムを調節することによって、心拍のタイミングを制御する内部電気系を有する。概して、体内の電気系は、安静時に毎分60〜100回の安定した心拍数を維持する。また、心臓の電気系は、体内活動の際の体内の必要に合わせて、心拍数を増加させ、睡眠時に減少させる。
【0030】
特に、心臓の電気系は、心臓内の細胞、すなわち、心臓の電気信号を運ぶ導電性細胞と、心室を収縮させる筋肉細胞とを介して、電気信号を送信することによって、体内の心拍のタイミングを制御する。生成される電気信号は、各細胞にその隣の細胞を活性化させる反応によって、導電性細胞経路のネットワークを通って移動し、規則的な態様で電気信号を伝える。次々に細胞が電荷を高速伝達するので、心臓全体が、1つの協調運動で収縮し、心拍を生成する。
【0031】
本開示のこのシステムは、心電図または電位図(「ECG」)の機構を使用する。一実装では、第1の電極は、静脈管路に装着され、第2の電極は、患者に装着される。電極は、信号調節回路に電気的に接続される。信号調節回路は、動脈および静脈接続が適切になされていると、ECG信号を生成する。動脈針または静脈針のいずれかとの部分的または完全なアクセス切断が生じると、体外路を介する体内の電気系とのECG信号としての電気通信が失われる。追加の回路がこの脱落を検出し、そして、アクセス切断信号を血液治療機械に送信する。
【0032】
代替のECG実施形態は、体外回路への第1および第2の電極の両方の装着を含む。また、血液アクセスは、患者の心臓またはその近傍において行うことができ、患者の腕でのアクセスとは対称的に、ECG信号に対する感度を増加させる。この目的を達成するために、心臓またはその近傍において患者の血液にアクセスするために使用される電極を備えた透析針に対する実施形態が、本明細書で開示される。また、管類内部、管類内、または管類外部のいずれかに埋め込まれる電極を有する管類に対する種々の実施形態が、本明細書に開示される。電極構成に応じて、電極は、直接的に、容量的に、誘導的に、または、例えば、無線周波数を介して無線で、血液と電気的に通信する。
【0033】
また、ECGシステムは、血管アクセス切断の検出以外の、他の用途にも適合性がある。ECG信号は、さらに処理されて、心拍数変動、呼吸、1回拍出量、心拍出量、および中心血液量等の他の生理学的パラメータを計算してもよい。この目的を達成するために、電源をECGシステムに追加し、生体インピーダンスを測定することができる。さらに、溶液を患者の体内に注入して、前述のパラメータのうちの1つ以上において補助することができる。また、ECGシステムを使用して、心臓電気生理学的測定を介して、心拍リズム管理デバイス(ペースメーカー)による患者の制御を補助し、透析の間に心臓血管パラメータを有益に変化させることができる。
【0034】
第5のシステムでは、容量センサを使用する血液漏出デバイスが提供される。デバイスは、外側絶縁層、例えば、プラスチック層を含む。内側には、デバイスは、コンデンサのアレイを含む。また、遮蔽層が、遮蔽内に提供される。血液漏出が、容量デバイスの下方において生じると、誘電変化を感知するコンデンサの領域が拡大する。領域が拡大を停止すると、容量デバイスを使用するシステムは、血液漏出または針除去と区別される正常量の浸潤が生じたと推定する。血液漏出が十分大きく拡大すると、容量デバイスを使用するこのシステムは、部分的または完全にアクセス切断が生じたと推定し、警報を発する。
【0035】
前述のアクセス切断の実施形態のいずれにおいても、アクセス切断システムのための回路は、患者または感知部位に局所的に、機械内に遠隔に、あるいはそれらのいくつかの組み合わせで配置することができる。回路の位置に応じて、アクセス切断システムから透析機械に送信される信号は、例えば、調節されたデジタル信号、断続信号、コマンドに基づいて送信される信号、またはそれらのいくつかの組み合わせ等、安定したものとなることができる。信号は、有線または無線で送信することができる。
【0036】
さらに、前述のアクセス切断/血液漏出検出の実施形態のいずれも、代替として、別の異なる種類のアクセス切断/血液漏出システムとともに、冗長システム内で使用することができる。例えば、電気接続の切断を検索する任意のシステム(説明の容易性のために、アクセス切断システムとして大まかに記載されるが、用語の意味を限定する意図はない)は、電気的接続の成立を検索するシステム(説明の容易性のために、血液漏出検出システムとして大まかに記載されるが、用語の意味を限定する意図はない)と組み合わせて、各種のシステムに固有の効果を利用することができる。
【0037】
したがって、本開示の利点は、血液治療機械のための改良されたアクセス切断システムを提供することである。
【0038】
本開示の別の利点は、非侵襲的アクセス切断システムを提供することである。
【0039】
本開示のさらなる利点は、患者の血液内に電流を誘導しないアクセス切断システムを提供することである。
【0040】
本開示のさらなる別の利点は、使い捨て費用または製造費を増大させずに、アクセス切断システムを提供することである。
【0041】
本開示のさらなる別の利点は、失血による電気的再接続の問題を回避するアクセス切断システムを提供することである。
【0042】
本開示のさらなる別の利点は、他の有益な血液パラメータ情報をもたらすアクセス切断システムを提供することである。
【0043】
本開示のさらなる利点は、血液針およびカテーテルの適用と互換性のあるアクセス切断システムを提供することである。
【0044】
付加的な特長および利点が、本明細書に記載され、以下の発明を実施するための形態および図から明白となるであろう。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
動脈管路と、
静脈管路と、
トランスミッタであって、患者に接続されるときに、該動脈管路および静脈管路の一方において音波を伝達するように構成される、トランスミッタと、
レシーバであって、該患者に接続されるときに、該動脈管路および静脈管路の他方から該音波を受信するように構成される、レシーバと、
該トランスミッタおよびレシーバのうちの少なくとも一方に結合される電子回路であって、該動脈管路および静脈管路のうちの一方のアクセス切断が既に発生したことを予期するのに十分な、該レシーバによって受信される該トランスミッタからの該音波における変化を示す切断出力を送信するように構成される、電子回路と
を備える、アクセス切断システム。
(項目2)
血液治療ユニットを含み、上記切断出力は、該血液治療ユニットに、(i)血液ポンプを閉鎖すること、(ii)静脈管路クランプを作動させること、および(iii)上記患者に該切断を警告すること、のうちの少なくとも1つを実行させる、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目3)
上記音波は、音速、亜音速、圧力、単一の周波数、複数の周波数、連続的、パルス状、振幅変調、周波数変調、位相変調、およびこれらの任意の好適な組み合わせから成る群より選択される、少なくとも1つの種類のものである、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目4)
上記トランスミッタおよびレシーバは、単一のトランスデューサ、複数のトランスデューサ、圧電、電磁気、および血液治療ユニットと通信するように構成される無線通信装置とともに収容されるものから成る群より選択される、少なくとも1つの種類のものである、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目5)
上記切断出力は、電気出力、無線周波数出力、連続的出力、断続的出力、および上記変化時に発生する出力から成る群より選択される、少なくとも1つの種類のものである、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目6)
(i)光学血液漏出検出器、(ii)容量感知パッド検出器、および(iii)導電性ブランケット検出器のうちの1つを、上記トランスミッタ、上記レシーバ、および上記電子回路と組み合わせる冗長システムである、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目7)
上記音波が、上記トランスミッタから上記アクセス切断システムを実装する機械の血液ポンプを通って上記レシーバへと移動することを許容しないように作用する、空気分離デバイスを含む、項目1に記載のアクセス切断システム。
(項目8)
動脈管路と、
静脈管路と、
トランスミッタであって、患者に接続されるときに、該動脈管路および静脈管路の一方において音波を伝達するように構成される、トランスミッタと、
レシーバであって、該患者に接続されるときに、該動脈管路または静脈管路内での該音波の反射を受信するように構成される、レシーバと、
該トランスミッタおよびレシーバのうちの少なくとも一方に結合される電子回路であって、該動脈管路および静脈管路のうちの一方のアクセス切断が既に発生したことを予期するのに十分な、該レシーバによって受信される該反射された音波における変化を示す切断出力を送信するように構成される、電子回路と
を備える、アクセス切断システム。
(項目9)
血液治療ユニットを含み、上記切断出力は、上記血液治療ユニットに、(i)血液ポンプを閉鎖すること、(ii)静脈クランプを作動させること、および(iii)上記患者に該切断を警告すること、のうちの少なくとも1つを実行させる、項目8に記載のアクセス切断システム。
(項目10)
上記音波は、音速、亜音速、圧力、単一の周波数、複数の周波数、連続的、パルス状、振幅変調、周波数変調、位相変調、およびそれらの任意の好適な組み合わせから成る群より選択される、少なくとも1つの種類のものである、項目8に記載のアクセス切断システム。
(項目11)
上記トランスミッタおよびレシーバは、単一のトランスデューサ、複数のトランスデューサ、圧電、電磁気、および血液治療ユニットと通信するように構成される無線通信装置とともに収容されるもの、のうちの少なくとも1つである、項目8に記載のアクセス切断システム。
(項目12)
上記切断出力は、電気出力、無線周波数出力、連続的出力、断続的出力、および上記変化のときに発生する出力、から成る群より選択される、少なくとも1つの種類のものである、項目8に記載のアクセス切断システム。
(項目13)
上記反射された音波における上記変化は、該反射された音波によって生成されるシグネチャー応答における変化である、項目8に記載のアクセス切断システム。
(項目14)
(i)光学血液漏出検出器、(ii)容量感知パッド検出器、および(iii)導電性ブランケット検出器のうちの1つを、上記トランスミッタ、上記レシーバ、および上記電子回路と組み合わせる冗長システムである、項目8に記載のアクセス切断システム。
(項目15)
動脈管路と、
静脈管路と、
患者に接続されるときに、該動脈管路または静脈管路内での音波を受信するように構成されるレシーバであって、該音波は、該動脈管路および静脈管路のうちの一方に結合される少なくとも1つの装置によって生成される、レシーバと、
該レシーバに結合される電子回路であって、(i)該音波の特徴的パターンを作成する、および(ii)該動脈管路および静脈管路のうちの一方のアクセス切断が既に発生したことを予期するのに十分な、該特徴的パターンの変化を示す切断出力を送信するように構成される、電子回路と
を備える、アクセス切断システム。
(項目16)
血液治療ユニットを含み、上記切断出力は、該血液治療ユニットに、(i)血液ポンプを閉鎖すること、(ii)静脈クランプを作動させること、および(iii)上記患者に該切断を警告させること、のうちの少なくとも1つを実行させる、項目15に記載のアクセス切断システム。
(項目17)
上記動脈管路および静脈管路のうちの一方に結合される上記少なくとも1つの装置は、血液ポンプ、滴下チャンバ、および透析装置を含む、項目15に記載のアクセス切断システム。
(項目18)
上記レシーバは、トランスデューサ、圧電、電磁気、および血液治療ユニットと通信するように構成される無線通信装置とともに収容されるもの、のうちの少なくとも1つである、項目15に記載のアクセス切断システム。
(項目19)
上記切断出力は、電気出力、無線周波数出力、連続的出力、断続的出力、および上記変化のときに発生する出力、から成る群より選択される、少なくとも1つの種類のものである、項目15に記載のアクセス切断システム。
(項目20)
(i)光学血液漏出検出器、(ii)容量感知パッド検出器、および(iii)導電性ブランケット検出器のうちの1つを、上記レシーバおよび上記電子回路と組み合わせる冗長システムである、項目15に記載のアクセス切断システム。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、既知の動脈および静脈のアクセス構成を示す。
【図2】図2は、超音波を使用するアクセス切断システムの一実施形態を示す、断面立面図である。
【図3】図3は、図2のシステムと、血液治療機械と通信するためのその一実施形態とを示す、斜視図である。
【図4】図4は、図2のシステムに付随する電子機器の一実施形態の概略図である。
【図5】図5は、図2の超音波アクセス切断システムの一シミュレーションの概略図である。
【図6】図6は、図5のシミュレーションで行われた試験の結果を示す、チャートである。
【図7】図7は、2つの音響トランスデューサを採用する音響アクセス切断システムの一実施形態を示す、斜視図である。
【図8】図8は、アクティブソーナーを採用し、伝達位相に記載されるシステムである音響アクセス切断システムの追加の実施形態を示す、斜視図である。
【図9】図9は、(i)図8のアクティブソーナーシステムの受信位相、または(ii)パッシブソーナーシステムを採用する代替実施形態のいずれかを示す斜視図であって、両システムは、(i)活性伝達信号のエコー、または(ii)受動システム内の体外回路の音響シグネチャーのいずれかを「聴取」する。
【図10】図10は、光学的アクセス切断システムの一実施形態を示す、斜視図である。
【図11】図11は、図10の光学的アクセス切断システムと併用される可撓性回路の一実施形態を示す、斜視図である。
【図12】図12は、正常状態の図10の光学的アクセス切断システムを表す、概略立面図である。
【図13】図13は、アクセス切断状態の図10の光学的アクセス切断システムを表す、概略立面図である。
【図14】図14は、図10の光学的システムと、血液治療機械と通信するためのその一実施形態とを示す、斜視図である。
【図15】図15は、心電図(「ECG」)信号を使用して、アクセス切断を検出するシステムの一実施形態の概略図である。
【図16】図16は、心電図(「ECG」)信号を使用して、アクセス切断を検出するシステムの別の実施形態の概略図である。
【図17】図17は、図16のECGシステムと併用される心臓カテーテルのための一実施形態の平面図である。
【図18A】図18A〜18Cは、患者の血液との電気接触を結合するための種々の実施形態を示し、本実施形態は、図16および17のシステムと併用可能である。
【図18B】図18A〜18Cは、患者の血液との電気接触を結合するための種々の実施形態を示し、本実施形態は、図16および17のシステムと併用可能である。
【図18C】図18A〜18Cは、患者の血液との電気接触を結合するための種々の実施形態を示し、本実施形態は、図16および17のシステムと併用可能である。
【図19A】図19Aおよび19Bは、容量感知血液漏出検出デバイスの上面および側面図である。
【図19B】図19Aおよび19Bは、容量感知血液漏出検出デバイスの上面および側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本明細書に記載される実施例は、血管アクセスを必要とする任意の薬剤療法システムに適用可能である。実施例は、血管アクセスを必要とする血液透析(「HD」)、血液濾過(「HF」)、血液透析濾過(「HDF」)、および持続的な腎代償療法(「CRRT」)のあらゆる形態等、腎不全療法の制御に特に好適である。
【0047】
(超音波遠隔アクセス切断センサ)
次に、図面、特に図2〜4を参照すると、超音波アクセス切断システム10が示される。図2は、システム10の詳細を示す。図3は、システム10を患者12に装着するための一装置を示す。また、図3は、血液治療とのインターフェースシステム10または透析機械100のための一実施形態を示す。システム10は、概して、図2に示されるように、患者に接続される遠隔装置を示す一方で、システム10および実際に本明細書に記載されるシステムのそれぞれが、また、透析機械等の機械または器具を含む。図4は、システム10に付随する電子機器(内蔵または遠隔の電子機器のいずれか)の実施形態を示す。図5および6は、試験結果を提供する。
【0048】
システム10を含む、本明細書に記載される血管切断の実施例のいずれもが、機械100と動作可能であり、機械100は、例えば、HDまたはHDFのための透析装置、あるいは、例えば、HFのための血液フィルタ等の拡散膜またはフィルタを含み得る。さらに、機械100および本明細書に記載されるアクセス切断システムのいずれもが、臨床または在宅の据付装置で使用されてもよい。例えば、機械100およびアクセス切断システムは、施設内のHD機械内で採用されてもよく、事実上、終日連続して稼働する。代替として、在宅のHD機械内で使用されてもよく、例えば、患者が就寝中の夜に稼働することができる。
【0049】
一実施形態では、機械100は、透析液(注入物)供給を有する。代替として、透析液供給の複数のバッグは、ともに連動して次々に使用される。そのような場合、空の供給バッグは、排出または使用済み流体バッグとして機能することができる。さらなる代替として、機械100は、1つ以上の濃縮物と水とを組み合わせて、透析液オンラインを形成するように構成される1つ以上の濃縮物ポンプ等、オンライン供給源と併用することができる。オンライン供給源は、一般的には、例えば、HDシステムと併用される。
【0050】
図示されないが、機械100は、透析液または注入物を所望の温度に加熱するインラインまたはバッチヒータとともに動作することができる。ヒータは、例えば、新しい供給ポンプの上流または下流に配置することができる。機械100は、ヒータまたはその近傍に配置されて、加熱による透析液からの空気の退出を捕捉することができる透析液空気トラップを含む。同様に、血液ポンプ102とともに動作可能な体外回路はまた、1つ以上の空気検出器および空気除去装置(例えば、空気トラップ)を含む。
【0051】
また、HD、HF、HDF、またはCRRT機械100は、例えば、1つ以上の蠕動式血液ポンプの使用等、概して、当技術分野において既知の後述される血液圧送システムを含む。また、HD、HF、HDF、またはCRRT機械100は、前述の透析液配分システムを含むが、同様に既知であるため、ここでは記載の必要がない。参照することによって本明細書に組み込まれる第’534号特許は、例えば、配分システムを記載する。
【0052】
また、機械100は、清掃のために使用された透析液の量と、除去された限外濾過量とを知るための装置および方法を含む。この装置は、患者から除去される限外濾過を制御し、その量を知り、透析装置、体外回路、および/または血液フィルタへまたはそこからの透析液の流量を制御する。また、装置は、限外濾過の必要量が、治療の終了までに患者から除去されることを確実にする。
【0053】
機械100は、図3に示されるように、筐体104を含む。筐体104は、治療が施設内または在宅の治療であるか、透析液/注入物の供給がバッチタイプ(例えば、袋詰めされている)またはオンラインであるか、治療の種類に応じて変化する。施設内用オンライン筐体104は、追加の透析液生成設備およびそのような機械の使用の頻度によって、より大型かつ頑強である傾向にある。在宅療法用筐体104は、望ましくは、より小さく、機械100を自宅内でまたは旅行の際にも動かせるように構成される。
【0054】
図2は、システム10が、トランスデューサ24を含む状態を示す。示される実施形態では、トランスデューサ24は、圧電結晶28を収容する筐体26を含む。トランスデューサ24は、ある種類のシステムから別のシステムにパワーを伝達する。圧電の実施形態では、トランスデューサ24のパワーは、その上で作用する圧電材料から電気の形態で提供される。システム10は、図4に示されるように、電場を圧電結晶28に印加するトランスデューサ励起装置42を含む。圧電結晶28は、電場によって、機械的な変形を受ける。このように、結晶28は、誘導されて、ある周波数で共振(振動)し、超音波を生成する。ある実施形態では、超音波は、メガヘルツの周波数範囲で生成される。一実施形態では、ゲル層が、波動を患者に接続する。ヒト組織の面前における超音波は、励起のパワーおよび頻度に応じて、ある深度まで組織を通って移動する。
【0055】
示される実施形態では、トランスデューサ24の筐体26は、患者12の腕および組織と平行に配置される。一方、結晶28は、患者12の腕および組織に対し、例えば、45度の角度で載置され、血流方向と整列する方向成分と、それと垂直の方向成分とを有する超音波30aを生成する。
【0056】
血流内の血球32、例えば、赤血球は、超音波に対する反射体として機能し、波動30bを第2の圧電結晶34にエコーバックする。しかしながら、第1の圧電結晶28は、エミッタおよびレシーバ機能の両方を行うことができ、その場合、第2の結晶34は必要ではないことを理解されたい。示される実施形態では、レシーバ結晶34は、エミッタ結晶28と同一のトランスデューサ24の同一筐体26内に配置される。代替として、レシーバ結晶34は、別個のトランスデューサ筐体内に配置される。示される実施形態では、レシーバ結晶34はまた、患者12の腕および組織に対して、例えば、45度の角度で搭載される。
【0057】
レシーバ圧電結晶34に対し、反射波30bは、レシーバ結晶34に機械的応力を作用させ、結晶34を電気的に帯電させ、超音波を生成するその共振周波数において振動させる。反射される超音波30bは、ドップラー効果として既知の効果である、放出される超音波30aとは異なる周波数を有する。周波数の変化は、アクセス部位を流れる血球32の移動速度および方向に依存する。システム10内の電子機器は、以下にさらに詳述されるように、受信したエコー30bを処理し、赤血球の血流量、反射体のピーク流量、血流量の変化、例えば、血流の拍動特徴、アクセス管路における乱れ等の血液パラメータを判断するソフトウェアを格納する。
【0058】
図3に示される実施形態では、トランスデューサ24および後述される電子機器は、バンド36を介して、適所に保持される。バンド36は、Velcro(登録商標)固定具、あるいは他の形式の摩擦係合の固定具、ボタン式またはスナップ式の固定具等の好適な固定具を有する。バンド36は、第2の機能、すなわち、図2が示すように、バンド36が、ゲル38を介して、患者12に対してトランスデューサ24を保持するという機能を果たす。ゲル38は、超音波を患者の組織内に接続する。
【0059】
図4は、システム10に付随する電子機器の実施形態を示す。デジタル信号プロセッサ(「DSP」)44は、内蔵ランダムアクセスメモリ(「RAM」)および読み出し専用メモリ(「ROM」)を含み得、出力信号をトランスデューサ励起装置42に送信する。励起装置42は、前述のように、トランスデューサ24のエミッタ結晶28を励起する。反射波30bは、レシーバ結晶34(または、エミッタとレシーバとの両方として動作する結晶28)を振動させて、超音波を生成し、信号調節40に送信される。一実施形態では、信号調節40は、アナログ/デジタル(「A/D」)変換器を含み、反射波をDSP44が処理可能な形態にデジタル化する。別の実施形態では、信号調節40は、復調回路を含み、例えば、ドップラー計算に有用な態様において信号成分を分離してもよい。
【0060】
一実施形態においては、内蔵ソフトウェアを使用するDSPは、流動またはアクセス状態、非流動または完全アクセス切断状態、あるいは部分的流動または部分的アクセス切断状態を検出する。また、DSP44は、例えば、特定の周波数を特定の血流量に等式化することによって、調節信号を用いて血流量を検出する。相関関係が経験的に判断され、再現性が照合されることができる。ピーク周波数は、ピーク血流量に対応する。また、DSP44は、アクセス切断を示すレベルまで上昇しない場合でも、血流量の変化を検出する。この情報を使用して、例えば、血流の乱れを判断することができ、さらに、例えば、療法効率または効果を診断的に監視あるいは判断するために使用することができる。
【0061】
DSP44は、無線周波数(「RF」)エミッタ/レシーバ等の遠隔または無線エミッタ/レシーバ46と通信のやりとりを行う。代替として、マイクロ波信号等の他の遠隔信号が使用されてもよい。さらなる代替として、システム10は、機械100に配線され、電気信号、例えば、4〜20mAまたは0〜5VのDC信号を介して、通信する。
【0062】
機械100は、RFトランシーバ等の無線トランスミッタ/レシーバ48を含む。システム10では、コミュニケータ48機器100は、コミュニケータ46を介して、遠隔ユニットへメッセージを送信し、そこからメッセージを受信する。さらに、コミュニケータ48は、100内に配置される中央演算処理装置(「CPU」)50と通信のやりとりを行う。ある実施形態では、CPU50は、信号56を介して、1つ以上の代表プロセッサおよび回路基板、または機械100内に配置されるコントローラと通信する、管理プロセッサを含む。示される実施形態では、トランスデューサ24、信号調節40、励起装置42、DSP44、およびエミッタ46は、プリント回路基板(「PCB」)52上に配置される。PCB52は、トランスデューサ筐体26内、別個の筐体(図示せず)内、または1つ以上のトランスデューサ24も収容する筐体内に配置することができる。代替実施形態では、DSP44およびその付随機能は、それぞれ、機械100のCPU50に配置され、実行される。
【0063】
また、PCB52は、バッテリ、電源供給装置、または両方の組み合わせを含み、概して、本明細書では、電源供給装置54と称される。電源54は、例えば、充電可能バッテリであることができる。電源54は、信号調節、DSP44、および無線コミュニケータ46等、PCB52の構成要素に電力を供給する。電源供給装置54は、ある実施形態では、充電可能であって、音響、視覚、または音響視覚警報に結合され、電源供給装置の充電あるいは交換が必要な場合に、患者に警告することができる。
【0064】
図4に示される実施形態では、遠隔無線コミュニケータまたはトランシーバ46は、RF信号58を介して、機器コミュニケータ48と通信する。信号58は、以下の種類のうちのいずれかであることができる。電気信号、無線周波数信号、マイクロ波信号、連続的信号、断続的信号、変化が感知された場合のみ送信される信号、およびそれらの任意の好適な組み合わせである。図3は、ある実施形態において、信号58が連続的な、例えば、デジタル化されたデータストリームであって、CPU50(機械100内に配置されるRAM42、DSP44および付随機能を介して)を使用して、血流量、ピーク流量、血流の拍動特徴、乱れ等を判断するように示される。アクセス切断が生じると、反射される超音波30bの周波数は、有意に変化し、対応する信号58の出力の変化は、バッファリングRAM42内のソフトウェアが、部分的または完全なアクセス切断を検出するのに十分である。アクセス切断が検出されると、CPU50は、例えば、音響、視覚、または音響視覚警報を発し、および/または機械100のグラフィカル・ユーザー・インターフェース106から音を発する等、信号56を介して、機械100内の他の構成要素に適切な措置を行わせる。また、CPUは、血液ポンプ102を閉鎖させる可能性もある。
【0065】
代替実施形態では、反射波30bの処理は、PCB52上で行われる。ここでは、内蔵DSP44が、血流量、ピーク流量、血流の拍動特徴、乱れ等を判断する。DSP44は、所定の間隔で、またはCPU50がそのような情報を要求すると、トランシーバ46を介して、この情報を無線でCPU50に送信する。アクセス切断が検出されると、DSPは、トランシーバ46を介して、警報信号58をCPU50に送信し、前述のように、機器100内の他の構成要素に適切な措置を行わせる。したがって、無線信号58は、連続的信号、断続的信号、または変化が感知された場合のみ送信される信号、およびそれらの任意の好適な組み合わせであることができる。
【0066】
さらなる代替実施形態では、PCB52は、音響、視覚、または音響視覚警報を含み、アクセス切断を患者に警告する。本実施形態では、システム10は、機械100と通信してもよく、またはそうでなくてもよい。例えば、PCB52は、警報を発することができる一方で、機械100は、1つ以上のポンプを閉鎖し、1つ以上の管路または弁を閉塞または閉鎖する。
【0067】
図5は、図2に示されるトランスデューサ24等の超音波センサを使用して行われる試験を図式的に示しており、トランスデューサ24は、図2にも示されるように、静脈針20から下流の患者12の血管に載置される。本明細書に記載されるこのシステムは、標準アクセス針16および20、または鎖骨下静脈型カテーテルと動作可能であることを理解されたい。図5に示されるように、患者の腕は、管によってモデル化される。超音波センサは、管の上に載置される。患者の血液は、生理食塩水を使用してモデル化され、アクセスポンプは、500立方センチメートルのコンプライアンスチャンバから、管(患者をモデル化する)を通って、毎分約1リットルを圧送し、生理食塩水源内に戻す。図5に概略的に示される動脈針16および静脈針20は、患者の腕を表す管に挿入または接続される。シミュレーションされる体外回路は、圧力センサ、透析装置、および静脈側圧力センサと組み合わせて、血液ポンプ、滴下チャンバを含む。
【0068】
図6は、静脈アクセス20が管から除去されると、超音波センサが、毎分約300mlの識別可能な流量減少を認知したことを示す。すなわち、図5内のアクセスポンプによって圧送される毎分1リットルが、超音波センサによって感知されるように、わずか毎分700mlに戻っている。
【0069】
(音響アクセス切断センサ)
次に、図7〜9を参照すると、音響アクセス切断システムのための種々の実施形態が、システム60a〜60cによって示される(本明細書では、集合的に、音響アクセス切断システム60、または概して、音響アクセス切断システム60と称される)。アクセス切断システム60は、超音波アクセス切断システム10と多くの類似点を有する。両方とも、機械100(および、前述のその代替構成のそれぞれ)と併用され、遠隔信号送信能力を有し、非侵襲的であって、患者の血液を介して電流を循環させず、使い捨てのカセットまたは管類セットに構成要素を追加せず、費用を節約し、追加の血液パラメータ測定能力を有する。システム10および60は両方とも、音波を使用する。
【0070】
システム60との主要な差異の1つは、トランスデューサおよび付随の電子機器が、患者12の代わりに、動脈管路14および静脈管路18に結合されることである。この構成は、管路14および18のうちの1つの切断が、反射波の比較的劇的な変化を生成するはずであるという点から見て、有利である場合がある。追加の血液パラメータ測定は、システム10の場合と同様に、患者内の血流特性よりも、体外回路内の血流特性を反映するが、このことは、有利な場合もあれば不利な場合もある。
【0071】
次に、図7を参照すると、二重トランスデューサ伝達/受信音響アクセスシステム60aが示される。音響アクセスシステム60aは、トランスデューサ62および64と、信号調節40と、励起装置42と、DSP44(内蔵メモリを含む)と、無線トランシーバ46と、前述の電源供給装置54とを担持するプリント回路基板66を含む。前述の電源供給装置54は、システム10に対して前述のように動作する、励起装置42、DSP44、および無線トランシーバ46に電力を供給する。DSP44は、機械トランシーバ48と送受信する、遠隔トランシーバ46と送受信する。代替実施形態では、前述のシステム10と同様に、DSP44の装置および付随機能のうちの1つ以上は、機械100内に配置される。前述のように、機械100は、無線、例えば、RFトランシーバ48を含み、無線トランシーバ46へ信号58を送信し、そこから信号を受信する。代替として、機械100は、電気通信のために、システム60aに配線される。
【0072】
示される実施形態では、音響エミッタトランスデューサ62は、励起装置42を介して、音響信号を動脈管路14内に伝達する一方で、レシーバトランスデューサ64は、静脈管路18から音響信号を受信する。代替として、エミッタトランスデューサ62は、音響信号を静脈管路18内に伝達する一方で、レシーバトランスデューサ64は、動脈管路14から音響信号を受信する。トランスデューサ62および64は、それぞれ、エミッタまたはレシーバのうちの1つであるように構成される形式であることができる。代替として、トランスデューサ62および64はそれぞれ、トランスミッタおよびレシーバの両方である。ここでは、アクセス切断の事象に応じて、トランスデューサ62および64の役割が反転され、冗長検査を提供することができる。また、トランスデューサ62および64の役割は、正常動作の下で、切り替えられ、トランスデューサが適切に作動しているか否かの試験を行い、また、システム60aが検出する他のパラメータに対する冗長性を提供することができる。
【0073】
ある実施形態では、トランスデューサ62および64は、音速波、亜音速波、または圧力波である波動を伝達および受信し、例えば、信号は、単一または複数の周波数で送信することができる。トランスデューサ62は、連続的、断続的、またはパルスの態様で、波動を放出することができる。さらに、放出される信号は、振幅、周波数、または位相のうちの任意の1つ以上の組み合わせにおいて変調することができる。好ましい実施形態では、信号は、レシーバトランスデューサ64が同様に検出し得る、自然に生じる波動とは異なる。
【0074】
励起装置42は、音響エミッタトランスデューサ62を励起し、患者12に向かう方向へ音波を放出する。音響レシーバトランスデューサ64は、同様に、患者から音波を受信するように構成される。このように、音波が、エミッタトランスデューサ62から、血液ポンプ102を循環して、レシーバトランスデューサ64へ移動する可能性が、最小にされる。さらに、動脈管路または静脈管路の一方または両方に配置される滴下チャンバは、体外回路内に空気バリア切断を提供し、これは、血液ポンプへの音波結合を最小にするはずである。また、この指向性構成は、アクセス切断のときに信号受信における差異を最大にする。
【0075】
信号調節40(例えば、A/D変換器)は、DSP44のための信号を調節する。信号調節は、代替として、DSP44内に配置可能であることを理解されたい。DSP44は、内蔵または別個のバッファリングRAMを使用して、調節された信号を処理する。DSPは、トランシーバ46と通信し、さらに、機器トランシーバ48からデータを送信および受信する。トランシーバ46は、代替として、DSP44に内蔵することができる。いずれの場合も、DSP44は、切断の際に音響信号のパワーの損失を測定することによって、除去を検出するように構成することができる。また、DSP44は、血流量、ピーク流量、前述の他のパラメータのうちのいずれかを計算することができる。
【0076】
動脈管路14または静脈管路18のいずれかが、部分的または完全に患者12から除去されると、トランスデューサ62と64との間の通信は、十分有意に断絶または変更されるので、アクセス切断の判断がなされ、そして、前述の保護措置のいずれか、例えば、警報、ポンプ閉鎖、弁閉鎖、管路閉塞が実行される。示される実施形態では、トランスデューサ62と64との間の通信の断絶または中断の処理は、PCB66上で行われる。ここでは、正常動作の下で、PCB66は、受信された信号のパワーおよび周波数、ならびに潜在的に、前述のように、血流量、ピーク流量、血流の拍動特徴、乱れ等を判断する。この情報は、トランシーバ46を介して、機器100のCPU50に、連続的に所定の間隔で、またはCPU50がそのような情報を要求するときに、無線で送信される。アクセス切断が検出されると、DSPは、エミッタ46を介して、警報信号58をCPU50に送信し、前述のように、機械100内の他の構成要素に適切な措置を行わせる。無線信号58は、従って、連続的信号、断続的信号、変更が感知された場合のみ送信される信号、およびそれらの任意の好適な組み合わせであることができる。
【0077】
代替実施形態では、PCB66の種々の構成要素は、DSP44等の機械100内に提供される。ここでは、RF信号58は、連続データストリームであって、調節され、例えば、局所的にデジタル化され、機械100のCPU50に送信され得る。次に、機器100内のDSP44は、データストリーム58を使用して、受信された信号のパワーおよび周波数と、潜在的に、機械100内の血流量、ピーク流量、血流の拍動特徴、乱れ等を判断する。アクセス切断が生じる場合、RF信号58内に含まれるデータは、機器100内のソフトウェアが、部分的または完全なアクセス切断を検出するのに十分に変化する。アクセス切断が検出されると、CPU50は、例えば、代表コントローラを介して、前述のように、機械100内の他の構成要素に適切な保護措置を行わせる。
【0078】
さらなる代替実施形態では、PCB66は、音響、視覚、または音響視覚警報を含み、アクセス切断を患者に警告する。本実施形態では、システム10は、機械100と通信してもよく、またはそうでなくてもよい。
【0079】
次に、図8および9を参照すると、アクティブソーナーまたはエコーシステム60bは、トランスミッタとレシーバ(示されるように)とを兼ねる単一の音響トランスデューサ68、または一方が放出し、一方が受信する二重トランスデューサのいずれかを採用する。いずれの場合も、単一または二重のトランスデューサは、1つの好ましい実施形態では、体外管路のうちの一方のみ、例えば、静脈管路18に結合される(前述のように、静脈アクセスの除去は、潜在的に、動脈アクセスの除去よりも危険である)。
【0080】
アクティブソーナーまたはエコーシステム60bは、プリント回路基板70を含み、信号調節40、励起装置42、DSP44、無線遠隔トランシーバ46、および前述の電源供給装置54を担持する。電源供給装置54は、信号調節40、DSP44、およびトランシーバ46に電力を供給する。代替実施形態では、前述のシステム10と同様に、1つのDSP44が、機械100内に配置される。前述のように、機械100は、無線、例えば、RFトランシーバ48を含み、RFエミッタ46から信号を受信する。代替として、機械100は、電気通信のために、システム60bに配線される。
【0081】
示される実施形態では、音響エミッタトランスデューサ68は、静脈管路18の血液内に音響信号を伝達する。信号は、体外回路管路14、18、およびグラフト22内で反射し、シグネチャー応答を生成する。信号調節40は、シグネチャー応答を処理し、例えば、デジタル化し、PCB70または機械100のいずれかに局所的に配置されるDSP44(RAM、ROM、内蔵信号調節、および/または内蔵トランシーバを含み得る)にデジタル信号を送信する。DSP44は、一実施形態では、内蔵ソフトウェアを使用して、信号を分析する。DSP44は、反射される音響波についての基準の音響シグネチャーを編成し、そのような基準信号をRAM42内に格納する。
【0082】
音響エミッタ/レシーバトランスデューサ68は、患者12に向かう方向に音波を放出するように構成される。トランスデューサ68は、同様に、患者から音波を受信するように構成される。音波が、トランスデューサ68から移動し、血液ポンプ102を循環し、トランスデューサ68に返される可能性は、少なくとも部分的に、動脈血管路内のトランスデューサと血液ポンプとの間に配置される滴下チャンバによって、最小になる。また、この指向性構成は、アクセス切断が生じる際の信号受信の差異を最大にする。
【0083】
動脈管路14または静脈管路18のいずれかが、部分的または完全に、患者12から除去されると、トランスデューサ68に返されるシグネチャー応答は、十分有意に断絶または変更されるので、基準の音響シグネチャーと比較されて、アクセス切断判断がなされ、本明細書で論じられた措置のいずれか、例えば、警報、ポンプ閉鎖、弁閉鎖、管路閉塞が実行される。
【0084】
示される実施形態では、受信した反応と基準反応との差異の処理は、PCB70で行われる。ここでは、正常動作の下で、内蔵DSP44は、受信された信号のパワー、周波数、およびエンベロープの形状、さらに場合によっては、血流量、ピーク流量、血流の拍動特徴、乱れ等を判断する。この情報は、DSP44およびコミュニケータ46を介して、連続的に、所定の間隔で、またはCPU50がそのような情報を要求するときに、CPU50に無線で送信される。アクセス切断が検出されると、DSP44は、コミュニケータ46を介して、警報信号をCPU50に送信し、前述のように、機械100内の他の構成要素に適切な措置を行わせる。従って、無線信号は、連続的信号、断続的信号、変化が感知された場合のみ送信される信号、およびそれらの任意の好適な組み合わせであることができる。
【0085】
代替実施形態では、PCB70の構成要素の大部分は、機械100内に提供される。ここでは、RF信号58は、連続データストリームであって、調節され、例えば、局所的にデジタル化され、DSP44およびその付随機能とともに動作する機械100のCPUに送信することができる。データストリーム58を使用して、機械100内の血流量、ピーク流量、血流の拍動特徴、乱れ等を判断する。アクセス切断が生じると、RF信号58は、十分に中断または低減されるので、バッファリングDSP44内のソフトウェアが、部分的または完全なアクセス切断を検出する。アクセス切断が検出されると、CPU50は、機械100内の他の構成要素に本明細書に記載される適切な措置を行わせる。
【0086】
さらなる代替実施形態では、PCB70は、音響、視覚、または音響視覚警報を含み、アクセス切断を患者に警告する。本実施形態では、システム10は、機械100と通信してもよく、またはそうでなくてもよい。
【0087】
再び、図9を参照すると、パッシブソーナーまたは音響シグネチャーシステム60cは、単一のレシーバトランスデューサ64を採用する。トランスデューサ64は、1つの好ましい実施形態では、体外管路のうちの1つのみ、例えば、静脈管路18に結合される(前述のように、静脈アクセスの除去は、潜在的に、動脈アクセスの除去よりも危険である)。
【0088】
パッシブソーナーまたは音響シグネチャーシステム60cは、プリント回路基板70を含み、信号調節40、励起装置42、DSP44、無線コミュニケータ46、および前述の電源供給装置54を担持する。代替実施形態では、前述のシステムと同様に、DSP44の装置および付随機能のうちの1つ以上は、機械100内に配置される。
【0089】
パッシブソーナーシステム60cは、このシステムの血液ポンプ、滴下チャンバ、透析装置との相互作用、または他の体外デバイスによって生成されるパルスを使用する。これらのデバイスは、前述のシグネチャー応答に類似する音響パターンまたはシグネチャー応答をレシーバトランスデューサ64において生成する。信号調節40は、シグネチャー応答を処理し、例えば、デジタル化し、PCB70または機械100のいずれかに局所的に配置されるDSP44にデジタル信号を送信する。DSP44は、一実施形態では、内蔵ソフトウェアを使用して、信号を分析する。DSP44は、反射される音響波の基準音響シグネチャーを編成し、そのような基準信号をメモリ内に格納する。
【0090】
示される実施形態では、静脈管路18が、部分的または完全に、患者12から除去されると、トランスデューサ68に返されるシグネチャー応答は、十分有意に断絶または変更されるので、基準音響シグネチャーと比較されて、アクセス切断判断がなされる。次いで、本明細書で論じられる措置のいずれかが行われ、例えば、警報、ポンプ閉鎖、弁閉鎖、管路閉塞が実行される。
【0091】
示される実施形態では、受信した反応と基準反応との間の差異の処理は、システム60cのPCB70上で行われる。ここでは、再び、正常動作の下で、内蔵DSP44は、血流量、ピーク流量、血流の拍動特徴、乱れ等を判断する。この情報は、連続的に、所定の間隔で、またはCPU50がそのような情報を要求すると、DSP44およびトランシーバ46を介して、CPU50に無線で送信される。アクセス切断が検出されると、DSPは、トランシーバ46を介して、警報信号をCPU50に送信し、本明細書に記載されるように、機械100内の他の構成要素に適切な措置を行わせる。
【0092】
代替実施形態では、DSP44は、機械100内に提供される。ここでは、RF信号58は、連続データストリームであって、調節され、例えば、局所的にデジタル化され、RF通信を介して、機械100のCPUに送信され得る。再び、データストリーム58を使用して、機械100内の血流量、ピーク流量、血流の拍動特徴、乱れ等を判断することができる。アクセス切断が生じると、RF信号58は、十分に中断または低減されるので、バッファリングDSP44内のソフトウェアが、部分的または完全なアクセス切断を検出する。アクセス切断が検出されると、CPU50は、例えば、代表コントローラを介して、前述のように、機械100内の他の構成要素に適切な保護措置を行わせる。
【0093】
さらなる代替実施形態では、システム60cのPCB70は、音響、視覚、または音響視覚警報を含み、アクセス切断を患者に警告する。本実施形態では、システム10は、機械100と通信してもよく、またはそうでなくてもよい。
【0094】
(光学アクセス切断/血液漏出検出器)
次に、図10〜14を参照すると、光学アクセス切断/血液漏出検出システム80の実施形態が示される。光学アクセス切断/血液漏出検出システム80は、通常、患者12のアクセス針16および20の上方に適用されるガーゼを利用する。正常動作の下で、針16および20が患者の腕12に接続するアクセス点の周囲に、少量の漏出が存在するのは珍しくないことである。しかしながら、正常な血液漏出は、アクセス針16および20の周囲の小領域に限定されるべきである。血液漏出が、比較的大きな領域に拡大する場合、針の部分的または完全な除去を示している可能性があり、即座に対処されなければならない。
【0095】
図10は、可撓性回路90を備える光学アクセス切断/血液漏出検出システム80を示す。可撓性回路90は、患者の腕12の周囲に巻きつく。ある実施形態では、可撓性回路90は、前述のように、アクセス針16および20の上方に載置される、図10に示されるガーゼパッド82の上方に載置される。可撓性回路90は、ガーゼ82と接触するので、殺菌を考慮する必要がある。一実施形態では、可撓性回路90は、ガーゼ82の上方に載置される前に、消毒剤で洗浄される。代替実施形態では、ガーゼ82は、自己粘着性であり得る滅菌の使い捨て膜84で被覆される。ここでは、膜84は、治療完了後に廃棄される。膜84は、可撓性回路90を接触領域から隔離する。
【0096】
アームバンドシステム90は、針除去に対する保護措置を提供する。針および管類の周囲に巻きつくことによって、可撓性回路90は、針および管類を適所に固着し、従って、除去を防止するのに役立つ。アームバンドシステム90は、このシステムが、管状器官と管類との間の切断も検出し得るように、管状器官と関連する管類との間の接続を可撓性回路90によって被覆される領域に限定する。
【0097】
図11は、可撓性回路90が、一実施形態では、フック86a〜86cを含み、可撓性回路90の周囲に巻きつき、例えば、それぞれ、嵌合パッド88a〜88cに摩擦的および/または粘着的に装着する状態を示す。例えば、フック86(集合的に、フック86a〜86cと称する)は、Velcro(登録商標)型の装着部、ボタン、スリット、折重、または他の種類の解放可能に固着可能な機構を介して、パッド88(集合的に、パッド88a〜88cと称する)に装着することができる。フック86およびパッド88の清掃が困難であると認められる場合、一実施形態では、磁気ストラップおよびバックル等のより衛生的な装着機構と交換することができる。
【0098】
図10および11に示されるように、可撓性回路90は、複数の反射式光センサ92a〜92eを含み、それぞれ、コインバッテリ等の電源54に接続するリード94a〜94eを介して電力が供給される。ある実施形態では、光学センサ92(集合的に、センサ92a〜92eと称する)は、光源として作用する発光ダイオード(「LED」)と、光レシーバとして作用する光電池または光トランジスタとを含む。LEDおよび光センサは、血液内で反射されると最大吸収率を可能にする、特定の波長に対して構成される。透析血液漏出検出器内で使用されるもの等のLED/光センサの組み合わせは、光学システム80のプロトタイプにおける使用に成功している。
【0099】
ある実施形態では、リード94(集合的に、リード94a〜94dと称する)は、既知のプロセスで可撓性回路90に適用される、トレース、例えば、銅トレースである。ある実施形態では、可撓性回路90は、ポリアミドまたはKapton(登録商標)膜96等の電気的絶縁材料を使用する。ある実施形態では、膜96が、複数の層で提供され、リード94および光センサ92は、複数の層96の間に挟入される。
【0100】
また、ある実施形態では、電源供給装置54は、複数の誘電膜96の間に挟入される。また、一実施形態では、電源供給装置54は、前述の信号調節40、RAM52、DSP44、およびRFエミッタ46のうちの任意の1つ以上を含み得るマイクロコントローラ98に電力を供給する。また、マイクロコントローラ98は、可聴警報および/またはLED等の映像状況表示器を含むことができ、光学アクセス切断/血液漏出検出システム80の電子機器が、適切に実行しているか否かを信号で伝える。
【0101】
図12および13は、光電システム80を作動させるための一実施形態を示す。ある実施形態では、光センサ92のLEDから放射される光は、例えば、ガーゼ82の上に収集された血液の色によって吸収される、紫外線スペクトルの青色から緑色の範囲の波長を有する。センサ92からの光が、図12に示される血の付いていないまたは白色のガーゼ82を照射すると、そのエネルギーのある割合が、レシーバ、例えば、光センサ92の光電池または光トランジスタへと反射する。一方、図13では、ガーゼ82の上の血液の存在が、センサ92から放射される全光エネルギーの大部分を吸収する結果、センサ92は、かなりの程度により少ない光、例えば、信号の損失を受信および検出する。従って、図13では、反射される光を示すガーゼ82から光センサ92に返る矢印は示されない。
【0102】
図11に示される実施形態では、センサ92a〜92eは、例えば、針から約1インチ〜3インチであるように、アクセス針16および20から比較的離れて間隔を置かれているために、血液がセンサ92に到達すると、既に、血液はアクセス点から十分な距離を移動しており、正常量の血液漏出ではないアクセス切断を信号で伝達する。さらに、複数のセンサ92a〜92eの使用によって、ソフトウェアに冗長性を構成することができ、例えば、ソフトウェアは、アクセス切断が生じたことを判断する前に、反射の欠落を示すためのセンサ92のうちから複数のセンサを検索する。代替として、血液を感知する単一のセンサ92を用いて、アクセス切断を示すことができる。
【0103】
一実装では、異なる直径の光学センサの2つ以上の同心円状のリングは、センサアレイを形成し、このシステムに血液漏出の進行を監視させることができる。内側リング(小径センサ)のセンサのうちの1つは、センサが小径であるので、僅かであると考えられる反射の欠落を検索する。その次のリング(より大きい直径である)センサが反射光を喪失しなければ、このシステムは漏出が重大ではないと判断する。漏出が重大になると、より大きい直径のセンサである外側リングに到達する。このシステムは、連続するリングの検出と検出の間の時間を使用して、血液漏出速度を判断する。リングの間の間隔によって、血液漏出量を推定することができる。
【0104】
マイクロコントローラ98は、光学センサ92からデータを収集し、ある実施形態では、RF信号58を介して、このデータを透析機械100に報告する。機械100は、信号58を分析するために使用される信号調節40、DSP44(内蔵RAMおよびROM、ならびに本明細書に記載されるような他の装置および機能を有し得る)のうちの少なくとも1つを含むことができる。代替実施形態では、マイクロコントローラ98は、アナログ/デジタル変換器および/または信号加算回路等の信号調節を含み、光センサ92のそれぞれからの出力を組み合わせて、可撓性回路90全体を代表する単一のデジタル化信号58を生じさせることができる。さらなる代替実施形態では、ソフトウェアおよび処理は、マイクロコントローラ98内に格納され、その場合、信号58は、アクセス切断が生じたか否かを機械100に伝える。ここでも、信号58は、連続的であるか、断続的であるか、命令されたときのみ送信されるか等であることができる。
【0105】
電力供給54を節約するために、一実施形態では、マイクロコントローラ98は、スリープまたは節電モードに維持され、光学センサ92は、透析機器100が、無線周波数リンクからのデータを要求するまでオフの状態である。この時点で、マイクロコントローラ98は、「起動」し、光センサ92を作動して、センサ92の光学レシーバから信号を読み込み、状態情報を透析機器100に返送する。一実施形態では、ここでも、センサ92a〜92eのいずれかが、十分な光を受け取らない場合、DSP94は、救難連絡を機械100に発し、同時に、可聴警報を作動させる。機械100は、本明細書に記載される任意の他の好適な保護措置を行うことができる。
【0106】
(心電図(「ECG」)遠隔アクセス切断センサ)
次に、図15、16、17、および18A〜18Cを参照すると、心電図(「ECG」)を形成する信号を使用して、アクセス切断を検出する種々のシステムが示される。概して、ECGは、人の心拍のリズムを制御する電気信号を測定する検査である。心臓は、4つの室から成る筋肉ポンプであって、2つの上方室は、心房と呼ばれ、2つの下方室は、心室と呼ばれる。自然電気システムによって、心臓の筋肉を収縮させ、心臓を通って、肺および体内の残りの部分に血液を圧送する。
【0107】
ECG用の電極は、患者の皮膚の上に載置され、心臓のこの自然電気活動を検出する。図15のシステム120において、透析療法の間、第1の電極122は、静脈管路18に装着される一方で、第2の電極124は、患者の皮膚、例えば、患者12の脚12a(ここに示されるように)、腕12b、または胸12cに装着され、あるいは代替として、動脈管路14に接続される。電極122および124は、直接接触、容量結合、誘導結合、無線、またはその他を介して、静脈管路18および動脈管路14において接続されることができる。代替として、複数の体内電極124は、患者12の異なる位置12a、12b、12cに載置されることができる。
【0108】
図18A〜18Cは、接触/血液結合のための3つの可能な配置を示す。図18Aでは、電極122は、静脈管路18内に載置され、血液に直接接触する。図18Bでは、電極122は、静脈管路18の壁内に埋め込まれ、例えば、容量的または誘導的に血液と結合する。図18Cでは、電極122は、静脈管路18の外側に載置され、同様に、例えば、容量的または誘導的に血液と結合する。電極は、金属である、または導電性ポリマー材料から成ることができる。
【0109】
図15のシステム120は、動脈管路14および静脈管路18に接続される、血液ポンプ102と、透析装置108とを示す。体外回路は、便宜上、ここでは図示されない他の構成要素を含む。また、透析装置108は、例えば、袋詰めまたはオンラインの透析液供給源と連通するが、透析液を透析装置108に送達するポンプは、便宜上、図示されない。上記に参照された第’170号出願は、体外および透析液回路に関するさらなる詳細を開示し、それらは、本明細書に記載されるシステムのそれぞれに適用可能である。また、本明細書に記載されるシステムのそれぞれの教示は、血液濾過および血液濾過透析システムにおけるアクセス切断に適用可能である。
【0110】
電極122および124は、本明細書で論じられるように、RAM42およびDSP44を含み得る、信号調節40および信号処理に電気的に接続される。信号調節40、RAM42、およびDSP44のうちのいずれも、所望に応じて、かつ本明細書で論じられるように、局所的または遠隔に配置することができる。
【0111】
電極122および124は、代替としてまたは付加的に、電気的活動を心電図に変換する機械に接続することができ、心臓拡大の証拠、心臓への不十分な血流の兆候、心臓への新しいまたは以前の損傷の兆候(例えば、心臓発作による)、心拍リズムの問題(不整脈)、体内の電解質平衡異常によって生じる心臓の電気的活動の変化、および心臓を囲む嚢の炎症の兆候(心膜炎)を示してもよい。これらのパラメータは、以下にさらに詳述されるように、透析の際に有用となり得る。
【0112】
正常状態の下で、人の心拍のリズムを制御する自然電気信号は、図15に象徴的に示される信号126を生成する。示される実施形態では、静脈管路18のアクセス切断時には、血液を介する体内との電気的連絡が失われるために、信号126は、もはや感知されない。機械100は、アクセス切断として、信号126の欠落を確認し、そして、本明細書で論じられる手段のうちのいずれかを行わせる。
【0113】
図16および17は、それぞれ、代替システム140およびシステム140内で使用されるカテーテルアセンブリ142を示す。図16のシステム140では、心臓カテーテルアセンブリ142を使用する、患者12の胸12cにおける心臓カテーテルアクセスが用いられる。心臓アクセスおよびカテーテルアセンブリ142は、患者12の腕126における針アクセスよりも、心臓およびその関連する信号への直接アクセスを提供する。心臓アクセスおよびカテーテルアセンブリ142は、急性治療に対して好適である場合がある。ここでは、医師は、心臓内の血液プールからの電位図をより直接的に監視し、一般的な動脈および静脈アクセスよりも、さらにまたはより優れた心臓機能に関する情報を提供する一方で、依然として、患者12を透析することができる。
【0114】
アセンブリ142のカテーテル146は、図18A〜18Cと関連して示される構成のうちのいずれかを介して、電極122および124等の電極を装備する。カテーテルアセンブリ142は、動脈アクセス区間114および静脈アクセス区間118を含み、それぞれ、体外回路の動脈管路14および静脈管路18に接続する。また、カテーテルアセンブリ142は、カテーテル146を所望の位置、例えば、患者の心臓内に直接、あるいは所望の局所的な静脈、動脈、またはグラフトに誘導するガイドワイヤ144を含む。
【0115】
システム120および140では、信号処理は、DSP44を介して、付加的にまたは代替として、信号126を処理して、心拍数の変動、呼吸、1回拍出量、心拍出量、および中心血液量のうちの任意の1つ以上を計算する。さらに、システム120が、生体インピーダンス測定をなし得るように、生体インピーダンス供給源130が、患者に接続される。付加的にまたは代替として、システム120および140は、体外回路内への溶液の注入を可能にし、これは、移植された心臓リズム管理デバイス(ペースメーカー)を有する患者のペーシング制御のために使用される。システム120および140は、透析の間、重要な心臓血管パラメータの監視を可能にし、これは、透析療法に有益な効果を有するか、または他の目的のために使用され得る。
【0116】
生体インピーダンスは、一般に、胸部または心臓の電気伝導度の変化の測定である。例えば、大動脈内の拍動血液量の変化に基づく測定であり得る。生体インピーダンスは、心拍出量および循環血液量の測定に関連する。
【0117】
特に、胸部電気生体インピーダンス(また、インピーダンス心電図とも称される)は、心拍出量および他の心臓血管機能を評価するための非侵襲性方法として研究されている。心拍出量の変化を使用して、患者の血液動態の変化を識別するか、あるいは、例えば、危篤状態の患者ならびに罹患率および死亡率の危険性が高い患者の治療の必要性または反応を評価する。
【0118】
胸部生体インピーダンスは、疑似または既知の心臓血管疾患を有する患者の血液動態の評価、急性呼吸困難についての肺性原因からの心臓性原因の判別、A/V順次ペースメーカーを有する患者の房室間隔の最適化、およびうっ血性心不全患者における薬物療法の最適化を含む、種々の指標のために研究されている。
【0119】
前述のパラメータのいずれもが、透析と関連して、または治療の付加的な利点として、監視されてもよい。
【0120】
(容量血液漏出検出システム)
図19Aおよび19Bは、代替的な血液漏出検出デバイス150を図示し、これは、システム80とともに、前述の態様のうちのいずれかにおいて、患者の腕の周囲に巻きつき、アクセス針16および20を被覆する。デバイス150は、図19Aに最も良く示されるように、小型コンデンサ152のアレイを含む。防水性の、例えば、プラスチック製の絶縁体154a〜154cが、コンデンサの両側周辺に載置される。接地または遮蔽156は、コンデンサ152の裏面と後方絶縁体154cとの間に載置される。
【0121】
デバイス150は、血液漏出を検出するために、血液を吸収する必要がない。小型コンデンサ152の下における血液の存在は、コンデンサを囲む誘電場の変化をもたらす。すなわち、湿った点が、デバイス150の下に広がる場合、誘電変化を感知するコンデンサ152の領域が拡大する。領域が拡大を停止すると、デバイス150を使用するシステム(本明細書で論じられる遠隔または有線システムのうちのいずれかであり得る)は、血液漏出または針除去と区別され得る、正常量の浸潤が生じたと推定する。少量の浸潤は、「針穿刺」時によく見受けられるものであって、警報を発するべきではない。血液漏出が十分に大きく拡大すると、デバイス110を使用するシステムは、部分的または完全にアクセス切断が生じたと推定し、そして警報を発する。
【0122】
(冗長アクセス切断/血液漏出検出システム)
ある既知のアクセス切断システムは、電気回路の断絶に依存して、アクセス問題を検出する。これらのシステムに関する問題の1つは、患者からの針除去が、必ずしも、常に電気回路を断絶させるわけではないことである。針は、例えば、患者から除去し得るが、針が除去されたアクセスまたは他の(例えば、動脈)針を越えて、血流を誘導し、電気回路を完成または再完成する。ここでは、血液は、患者に戻らないが、警報は発せられない。
【0123】
他の既知のシステムは、除去した針が、デバイスまたはシステムの一部に血流を誘導するであろうと推定する。ここでは、針が、デバイスの下から完全かつ迅速に除去されると、システムの一部に浸透すると考えられる血流が浸透しない(または、十分に浸透しない)場合があり、ここでも、警報は発せられない。
【0124】
前述の問題に対処するために、前述のシステムのうちのいずれかを互いに組み合わせて、あるいは他の種類のアクセス切断または血液漏出検出システムと組み合わせて、使用することができる。特に、除去型システムは、血液漏出検出システムと組み合わせることができる。例えば、光学的システム80は、血液漏出検出システムであって、特に、アクセス部位における血液漏出の検出に適している。別の種類の血液漏出検出システムは、導電性のブランケットまたはパッドであって、これが、図10〜14のシステム80に類似する態様で、アクセス部位を被覆する。導電性のブランケットまたはパッドは、患者アクセスから浸透する血液によって収縮させられるときに、閉鎖電気ループを形成する接点を含む。追加の血液漏出検出システム150は、図19Aおよび19Bと関連して、上記に開示されている。
【0125】
前述の第’098号特許および第’480号特許に記載されるインピーダンス感知システム等の除去システムは、特に、針または他のアクセス機器が、患者から完全に除去されるときの検出に適している。また、超音波アクセス切断システム10、音響システム60a〜60c、および生体インピーダンスシステム120も、完全な針除去を適切に検出する除去型システムである。
【0126】
従って、複合型または冗長システムにおいて、血液漏出検出システムおよび針除去システムのそれぞれのうちの1つを組み合わせて、いずれの故障モードも適切に検出することが企図される。例えば、第’098号特許および第’480号特許のうちの任意の1つである、インピーダンスシステム、超音波アクセス切断システム10、音響システム60a〜60c、および生体インピーダンスシステム120(完全除去)は、光学的(システム80)、導電性ブランケット、または容量(デバイス150)血液漏出検出システムのうちの任意の1つと組み合わせられることができ、その結果、静脈針が除去された態様は問題ではなくなる。静脈針が、迅速に除去され、患者から抜け落ちると、アクセス切断システムは、警報を発する。静脈針が、部分的または完全に除去され、かつ、静脈針または動脈針を越えて血流を誘導すると、血液漏出検出システムは、警報を発する。
【0127】
本明細書に記載される好ましい実施形態への種々の変更および修正は、当業者には明白であることを理解されたい。そのような変更および修正は、この主題の精神および範囲から逸脱することなく、かつ意図される利点を低減せずに、なされることが可能である。したがって、そのような変更および修正は、添付の請求項によって網羅されることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載された発明。
【請求項1】
本明細書に記載された発明。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図3】
【図10】
【図11】
【図14】
【図18C】
【図19A】
【図19B】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図3】
【図10】
【図11】
【図14】
【図18C】
【図19A】
【図19B】
【公開番号】特開2013−63327(P2013−63327A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−1667(P2013−1667)
【出願日】平成25年1月9日(2013.1.9)
【分割の表示】特願2009−549157(P2009−549157)の分割
【原出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−1667(P2013−1667)
【出願日】平成25年1月9日(2013.1.9)
【分割の表示】特願2009−549157(P2009−549157)の分割
【原出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】
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