説明

音響エネルギーを使用してメディカントを調節するための方法およびシステム

【課題】音響エネルギーを使用してメディカントを調節するための方法およびシステムの提供。
【解決手段】本発明は方法およびシステムを提供し、該方法およびシステムは、予想可能に膜を撹乱し、かつ細胞および組織を機械的、熱的に調節するためにエネルギーを使用することにより、メディカント送達および/または有効性を独特に高めることができる。本明細書に開示された方法およびシステムは、複数の組織の層を調節することができる。例示的な実施形態において、エネルギーは、音響エネルギー(例えば超音波)である。他の例示的な実施形態において、エネルギーは、フォトンベースのエネルギー(例えばIPL、LED、レーザ、白色光、その他)、または他のエネルギー形式であり、該他のエネルギー形式には、高周波電流、または音響エネルギー、電磁エネルギーおよび他のエネルギー形式もしくは冷却のようなエネルギーアブソーバの様々な組み合わせがある。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
皮膚は、少なくとも4つの異なる皮膚の層、すなわち、無成育性表皮(すなわち、角質層)、成育性表皮、真皮、皮下結合組織および脂肪を含む。循環系は、真皮および真皮より下の組織に存在する。皮膚は概して、高分子が、真皮および真皮より下の組織へ移送されることを禁じ、針が、高分子メディカント(medicant)を投与するためにしばしば必要とされる。
【0002】
超音波は、画像診断法の用途に対して長く使用されている。しかしながら、より最近では、超音波に対する幾つかの新しい治療的用途が発見されつつある。超音波に対する用途の中で、高められた経皮的メディカント送達および/または有効性が、かなりの注目を集めている。しかしながら、今日まで、超音波強化メディカント送達および/または有効性への努力の大半は、200kHz未満の周波数の超音波に焦点を当て、従来のシステムは、超音波を単一の組織の層に向けてきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(本発明の概要)
本発明は、エネルギー(例えば、音響エネルギー)の使用によりメディカント送達および/または有効性を独特に高めることができる方法およびシステムを提供することによって従来技術を改良する。例示的な実施形態は、膜を予測可能に撹乱し、機械的に熱的に細胞および組織を調節する。例示的な実施形態において、本明細書に開示された方法およびシステムは、複数の組織の層(例えば、細胞膜または組織内の複数の深さ)を調節することができる。
【0004】
本明細書に開示された方法およびシステムは、焦点が合わされた、アンフォーカスされた、および/またはデフォーカスされた超音波エネルギーを約100kHz〜約500MHzの範囲で、様々な空間的、時間的エネルギー設定で関心のある領域に送達することを考えている。例示的な実施形態において、エネルギーは、音響エネルギー(例えば、超音波)である。他の例示的な実施形態において、エネルギーは、フォトンベースのエネルギー(例えばIPL、LED、レーザ、白色光、その他)、または他のエネルギー形式であり、該他のエネルギー形式には、高周波電流、または音響エネルギー、電磁エネルギーおよび他のエネルギー形式もしくは冷却のようなエネルギーアブソーバの様々な組み合わせがある。
【0005】
メディカントは、幾つか例を挙げると、拡散、循環、および/または注射によって関心のある領域に最初に導入され得る。他の実施形態において、本明細書に開示された方法およびシステムは、例えば濃度、機能、および細胞分裂特性の観点から、身体内に自然に生じるかまたは身体内に既存の化学物質と相互作用するように構成される。
【0006】
メディカント送達および/または有効性を高めるための例示的なシステムは、制御システム、プローブ、およびディスプレイまたはインジケータシステムを備えている。プローブは、様々なプローブおよび/またはトランスデューサ構成を備え得る。例示的な実施形態において、プローブは、関心のある領域に焦点の合った、アンフォーカスされた、および/またはデフォーカスされた超音波エネルギーを送達する。イメージングおよび/またはモニタリングは、代替的に、本発明によって考えられている超音波システムに結合され得、かつ/またはこれと一緒に収納され得る。
【0007】
制御システムおよびディスプレイシステムまた、例えば、とりわけ、ソフトウエアおよび複数の入力/出力デバイスを備えたマイクロプロセッサ、電子的スキャニングおよび/もしくは機械的スキャニングならびに/またはトランスデューサの多重化を制御するためのシステム、電力送達のためのシステム、モニタリングのためのシステム、プローブおよび/またはトランスデューサの空間的位置を感知するためのシステム、ならびにユーザ入力を取り扱い、かつ治療結果を記録するためのシステムを含む、プローブおよびシステム機能を制御するための様々な構成を備え得る。
【0008】
例示的な実施形態に従って、ゲル、乳剤、液体、エマルジョンまたは他の化合物のうちの少なくとも1つから成る結合剤は、プローブを患者の身体に結合するために使用される。例示的な実施形態において、結合剤はメディカントを含み、該メディカントは、プローブからのエネルギーの放出の間に患者の身体へ送達される。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
メディカント送達および/または有効性を高めるための方法であって、該方法は、
音響エネルギーの供給源を提供するステップと、
細胞膜または組織にメディカントを提供するステップと、
該供給源から該細胞膜または組織内の複数の深さへ該音響エネルギーを焦点に集めるステップであって、該音響エネルギーは、約100kHz〜約500MHzの範囲にあり、該複数の深さはそれぞれ、約0mm〜約100mmの範囲にある、ステップと
を包含し、
該メディカントの送達および/または有効性が高められる、方法。
(項目2)
前記メディカントは、拡散によって前記細胞膜または組織に提供される、項目1に記載の方法。
(項目3)
結合剤によって前記組織細胞または組織に前記供給源を結合するステップをさらに包含し、該結合剤は、前記メディカントを含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記メディカントは、循環によって前記細胞膜または組織に提供される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記メディカントは、注射によって前記細胞膜または組織に提供される、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記メディカントは、身体内に自然に生じるか、または身体内に既存の化学物質である、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記化学物質は、細胞、アミノ酸、タンパク質、抗体、ミネラル、およびビタミンのうちの1つである、項目6に記載の方法
(項目8)
前記細胞膜または組織の透過性および/または透明性は高められる、項目6に記載の方法。
(項目9)
前記音響エネルギーは、約200kHz〜約20MHzの範囲にある、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記複数の深さは、約20mm〜約30mmの範囲にある、項目1に記載の方法。
(項目11)
細胞膜または組織内の関心のある領域へメディカントを送達する方法であって、該方法は、
音響エネルギーの供給源を提供するステップと、
該細胞膜または組織にメディカントを提供するステップと、
該供給源から該細胞膜または組織内の第1の深さへ該音響エネルギーを焦点に集めるステップであって、該音響エネルギーは、第1の空間的、時間的エネルギープロフィールを有する、ステップと
を包含し、
該メディカントの該関心のある領域への送達は高められる、方法。
(項目12)
前記供給源から前記細胞膜または組織内の第2の深さへ前記音響エネルギーを焦点に集めるステップをさらに包含し、該音響エネルギーは、第2の空間的、時間的エネルギープロフィールを有する、項目11に記載の方法。
(項目13)
メディカント送達および/または有効性を高めるためのシステムであって、該システムは、
該システムの制御のために構成された制御システムと、
音響エネルギーを出力し、それによって複数の細胞膜または組織を撹乱するように構成されたプローブであって、該複数の細胞膜または組織は、皮膚表面よりも下の複数の深さにある、プローブと、
ディスプレイシステムと
を備え、
該プローブは、ゲルまたは乳剤によって該皮膚表面に結合され、該ゲルまたは乳剤は該メディカントを含む、システム。
(項目14)
前記プローブは、イメージングおよび/またはモニタリングのためにさらに構成されている、項目12に記載のシステム。
(項目15)
前記音響エネルギーは、約100kHz〜約500MHzの範囲にある、項目12に記載のシステム。
(項目16)
前記音響エネルギーは、約200kHz〜約20MHzの範囲にある、項目14に記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の主題は、本明細書の結びの部分に特に指摘され、かつ明瞭に主張されている。しかしながら、本発明は、動作の構造と方法の両方に関して、特許請求の範囲および添付の図面と共に以下の記述を参照することにより最も良く理解され得る。該添付の図面においては、同様の部品は、同様の番号によって参照され得る。
【図1A】図1Aは、本発明の例示的な実施形態に従ってメディカントを調節するための方法のブロック図を示す。
【図1B】図1Bは、本発明の例示的な実施形態に従ってメディカントを調節するためのシステムのブロック図を示す。
【図2】図2は、本発明の例示的な実施形態による治療システムのブロック図を示し、該治療システムは、治療モニタリングおよび/または治療イメージングのさらなるサブシステムおよび方法と組み合わされた超音波治療サブシステムならびに二次治療サブシステムを備えている。
【図3】図3は、本発明の例示的な実施形態に従ってメディカントを調節するためのシステムの概略図である。
【図4A】図4A、図4B、図4C、図4Dおよび図4Eは、本発明の様々な実施形態による例示的なトランスデューサの断面図を示す。
【図4B】図4A、図4B、図4C、図4Dおよび図4Eは、本発明の様々な実施形態による例示的なトランスデューサの断面図を示す。
【図4C】図4A、図4B、図4C、図4Dおよび図4Eは、本発明の様々な実施形態による例示的なトランスデューサの断面図を示す。
【図4D】図4A、図4B、図4C、図4Dおよび図4Eは、本発明の様々な実施形態による例示的なトランスデューサの断面図を示す。
【図4E】図4A、図4B、図4C、図4Dおよび図4Eは、本発明の様々な実施形態による例示的なトランスデューサの断面図を示す。
【図5A】図5A、図5Bおよび図5Cは、本発明の例示的な実施形態による例示的な制御システムのブロック図を示す。
【図5B】図5A、図5Bおよび図5Cは、本発明の例示的な実施形態による例示的な制御システムのブロック図を示す。
【図5C】図5A、図5Bおよび図5Cは、本発明の例示的な実施形態による例示的な制御システムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(詳細な説明)
本発明は、様々な機能コンポーネントおよび処理ステップの観点から本明細書に記述される。かかるコンポーネントおよびステップは、特定の機能を実行するように構成された任意の数のハードウエアコンポーネントによって実現され得ることが理解されるべきである。例えば、本発明は、様々な医療デバイス、可視イメージングデバイスおよび表示デバイス、入力端子などを使用し得、これらは、1つ以上の制御システムまたは他の制御デバイスの制御の下に様々な機能を実行し得る。さらに、本発明は、任意の数の医療背景において実行され得、本明細書に記述されるように、音響エネルギーを使用してメディカント送達および有効性を高めるための方法およびシステムに関する例示的な実施形態は、本発明に対する例示的な用途を示すに過ぎない。例えば、論議される原理、特徴および方法は、任意の医療的用途に適用され得、例えば、本明細書に記述される方法およびシステムは、任意の凝固性治療との組み合わせにおいて使用され得る。さらに、本発明の様々な局面は、他の用途に適宜適用され得る。
【0011】
組織の1つ以上の層内の関心のある領域(ROI)にエネルギーを送達することを含むメディカント送達および/または有効性を高めるために、細胞および組織を調節する例示的な方法が開示される。例示的な実施形態において、エネルギーは、音響エネルギー(例えば、約100kHz〜約500MHzの範囲にある、より好ましくは約100kHz〜約20MHzの範囲にある、そして最も好ましくは約200kHz〜約20MHzの範囲にある超音波)である。他の例示的な実施形態において、エネルギーはフォトンベースのエネルギー(例えばIPL、LED、レーザ、白色光、その他)、または他のエネルギー形式であり、該他のエネルギー形式には、高周波電流、または音響エネルギー、電磁エネルギーおよび他のエネルギー形式もしくは冷却のようなエネルギーアブソーバの様々な組み合わせがある。さらに他の例示的な実施形態において、音響エネルギーおよびフォトンベースのエネルギー供給源の組み合わせが使用され、例として、フォトンベースのエネルギーによる前治療および次の超音波エネルギーの単独、もしくはフォトンベースのエネルギーとの同時使用、またはメディカント送達および/または有効性を高めるために細胞および組織を調節するための組み合わせがある。
【0012】
細胞および組織を調節する例示的な方法は、ROIにおいて数多くの予想可能な機械的および熱生理学的効果を生成する。例えば、例示的な方法は、細胞膜もしくは組織または複数の細胞膜および組織内の所望の三次元座標で、かつ様々な空間的、時間的エネルギー設定で、エネルギーを標的にしかつこれを焦点に集めることにおいて、精度および正確度の観点から予測可能である。例えば、細胞はマイクロメータのオーダーであり、かつ細胞膜の厚さは、ナノメータのオーダーであるので、個々の細胞または膜を標的にすることには、非常に高い、または極端な周波数が必要となる。したがって、複数が、例示的な実施形態においては有用である。例示的な実施形態において、超音波、フォトンベースまたは高周波(電磁気の)治療が、例えば人工皮膚もしくは人工器官、または幹細胞誘導組織のような人工組織または改変組織に提供される。
【0013】
超音波エネルギーを細胞膜または組織に提供することは、数多くの面で薬剤送達および/または有効性を高め得る。例えば、細胞膜の透過性および/または透明性が調節され得る。例えば、一部の実施形態において、細胞膜の透過性および/または透明性が高められる。加熱は、薬剤が、皮膚組織の層を通ってより良好に拡散されるようにする。空洞化および放射力は、気泡の持続的な振動性の動き(別名、安定した空洞化)および/または気泡の急速な成長および崩壊(別名、慣性空洞化)と関係する。結果として生じる流速、せん断力および衝撃波は、細胞膜または組織を撹乱し得、かつ周囲の媒体の中で化学変化を誘起し得る。気泡の崩壊はさらに、気泡の核心温度を高め得、かつ媒体の中で化学変化を誘起し得る(例えば、遊離基のような高反応性核種を生成する)。上述の効果の各々は、薬剤送達および有効性に影響を与え得る。さらに、薬剤送達に影響を与える他の面は、熱感応性のまたは機械的に脆弱なメディカント搬送リポソームおよび/または、局所送達と類似する、他の化学物質で負荷された、気体または液体で満たされた安定化された範囲を融解するか、または機械的に撹乱することを含む。
【0014】
例えば、気泡の崩壊で生成される衝撃波が角質層を撹乱し、それによって皮膚透過性を高めるとき、薬剤送達は高められ得る。同様に、衝撃波が、細胞膜もしくは組織の完全性を一時的に損なうか、または局所の遊離基濃度が、メディカントの毒性を高めるとき、薬品の有効性は高められ得る。さらに、特定のメディカントは、エネルギーを使用して活性化され得、かつ/または放出され得る。その点で、キャリヤーの中にカプセル化されたメディカントは、エネルギー(例えば音響エネルギー)を使用して、関心のある場所に放出され得る。例えば、「Method and Apparatus for Safely Delivering Medicants to a Region of Tissue Using Imaging,Therapy and Temperature Mnonitoring Ultrasonic System」と題する米国特許第6,623,430号、および「Method and Apparatus for Safely Delivering Medicants to a Region of Tissue Using Ultrasound」と題する同時係属中の米国特許出願第08/943,728号であって、それらの両方とも参考として本明細書に援用されている、該米国特許および該米国特許出願を考慮されたい。
【0015】
様々な例示的な実施形態において、ROIは、無成育性表皮(すなわち、角質層)、成育性表皮、真皮、皮下結合組織および脂肪、ならびに筋肉のうちの1つの内部に位置する。深さは、約0mm〜約60mm、80mm、または100mm以上の範囲にあり得る。例示的な実施形態に従って、ROIは、角質層より下約20mm〜約30mmに位置する。さらに、ただ1つのROIが示されているが、複数のROIが治療され得、一部の実施形態においては、同時に治療され得る。例えば、ROIは、1つ以上の器官、または身体の表面か、あるいは身体内深くにある組織の組み合わせからなり得る。
【0016】
この方法およびシステムは、細胞膜または組織を撹乱し、かつ単一の皮膚組織の層または複数の皮膚組織の層のいずれかにおける周囲の媒体の中で同時に(例えば、細胞膜または組織内の複数の深さで同時に)化学変化を誘起することが独特に可能である。例えば、1つの皮膚層における1つの音響エネルギーの周波数は、気泡の崩壊で衝撃波を生成して角質層を撹乱し得、それによって皮膚の透過性を高め得る。異なる皮膚層における異なる音響エネルギーの周波数は、単に熱を提供して、メディカントが、皮膚組織の層を通ってより良好に拡散するようにし得る。異なる皮膚層におけるさらに別の音響エネルギーの周波数は、細胞膜もしくは組織の完全性を損ない得るか、または局所の遊離基を生成してメディカントの毒性を高めるかもしくは低減し得る。例示的な実施形態において、音響エネルギーは、可変の深さにおける三次元に堆積されて、組織の透過性を選択的に増加させ、それによってメディカントを操縦または案内して組織の中を関心のある領域へ通す。
【0017】
例えば、図1Aを参照すると、例示的な実施形態は、メディカント送達および/または有効性を高めるための方法100を提供し、方法100は、音響エネルギーの供給源を提供するステップ102と、細胞膜または組織にメディカントを提供するステップ104と、供給源から細胞膜または組織内の複数の深さへ音響エネルギーを焦点に集めるステップ106であって、音響エネルギーは、約100kHz〜約500MHzの範囲にあり、複数の深さはそれぞれ、約0mm〜約100mmの範囲にある、ステップ106とを包含し、メディカントの送達および/または有効性が高められる108。
【0018】
さらに別の例示的な実施形態は、メディカントを細胞膜または組織内の関心のある領域に送達するための方法を提供し、該方法は、音響エネルギーの供給源を提供するステップと、細胞膜または組織にメディカントを提供するステップと、供給源から細胞膜または組織内の第1の深さへ音響エネルギーを焦点に集めるステップであって、音響エネルギーは、第1の空間的、時間的エネルギープロフィールを有する、ステップと、供給源から細胞膜または組織内の第2の深さへ音響エネルギーを焦点に集めるステップであって、音響エネルギーは、第2の空間的、時間的エネルギープロフィールを有する、ステップとを包含し、メディカントは、関心のある領域へ送達される。
【0019】
メディカントは、幾つか例を挙げると、経口的に、皮膚への適用時の拡散、循環系の中へ入った後の循環、循環系への直接の注射、によって関心のある領域に最初に導入され得る。とは言え、導入は、循環系との直接的な接触、または直接的ではない接触のいずれかで生じ得る。例えば、一部の例示的な実施形態において、本明細書に開示された方法およびシステムは、例えば濃度、機能、および細胞分裂特性の観点から、身体内に自然に生じるかまたは身体内に既存の化学物質(例えば細胞、アミノ酸、タンパク質、抗体、ミネラル、ビタミン、その他)に影響を与える。1つの例示的な実施形態において、本明細書に開示された方法およびシステムは、細胞のプロセス、例えば細胞増殖を「駆り立てる」か、または触媒する。
【0020】
例示的な実施形態に従って、ゲル、乳剤、液体、エマルジョン固体、複合体または他の化合物のうちの少なくとも1つから成る結合剤は、プローブを患者の身体に結合するために使用される。例示的な実施形態において、結合剤はメディカントを含み、該メディカントは、プローブからのエネルギーの放出の間に患者の身体へ送達される。
【0021】
例示的な実施形態の局面に従って、メディカントは、プローブを皮膚に結合するためにも使用される。したがって、メディカントは複数の効用を有し得る。第1に、メディカントは、プローブを皮膚に結合するために使用される。第2に、メディカントは薬剤および他の医薬品を含むので、エネルギーがプローブから印加されるとき、同上が皮膚へ送達される(例えば、ソノフォレーシス)。
【0022】
例示的な実施形態において、メディカント内の医薬品および薬剤は、皮膚治療のために使用される。したがって、患者が、非剥離性レベルでのエネルギーの印加によって治療されるとき、治療用薬剤も患者に投与されて皮膚疾患を治療する。
【0023】
メディカント送達および/または有効性を高めるために、細胞および組織を調節するための例示的なシステム14が、図1Bに提供され、かつ図示されている。例示的なシステム14は、ディスプレイまたはインジケータ22と、制御システム20と、プローブ18とを備えている。
【0024】
表示システムは、システム14またはROI12に関するイメージまたはイメージを除いた情報をユーザに伝達する任意のタイプのシステムであり得る。従って、表示システム22は、コンピュータモニタ、テレビジョンスクリーンであり得るか、または表示システム22は、インジケータシステムの単純なタイプ、例えば様々な例示的実施形態における液晶ディスプレイまたは発光ダイオードディスプレイであり得る。液晶ディスプレイおよび発光ダイオードディスプレイは、システム14がハンドヘルドシステムであるとき、特に有用である。
【0025】
別の例示的な実施形態に従って、図2を参照すると、例示的な治療システム1200は、さらなる機能を提供するために、様々な補助システムと共に構成されるか、又は様々なシステムと組み合わされ得る。例えば、関心のある領域1206を治療するための例示的な治療システム1200は、制御システム1202と、プローブ1204と、ディスプレイ1208とを備え得る。治療システム1200は、1つ以上の補助的イメージングモダリティ1274および/または1つ以上の補助的モニタリングもしくは感知モダリティ1272をさらに備え、これは、写真および他のビジュアル光学的方法、磁気共鳴イメージング(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT)、光コヒーレンス断層撮影法(OCT)、電磁気、マイクロ波、もしくは高周波(RF)方法、陽電子射出断層撮影法(PET)、赤外線、超音波、音響、またはイメージング/モニタリング強化を含む、関心のある領域1206内の任意の他の適切な視覚化、限局化、もしくはモニタリングの方法に基き得る。プローブ1204および制御システム1202を介する超音波イメージングに対するかかるイメージング/モニタリング強化は、とりわけMモード、永続性、フィルタリング、カラー、ドップラー、および高調波イメージングを含み得、さらに、治療の一次供給源としての超音波治療システム1270は、治療の二次供給源1276と組み合わされ得、治療の二次供給源1276には、高周波(RF)エネルギー、マイクロ波エネルギー、または他のフォトンベースのエネルギー方法が含まれ得、該他のフォトンベースのエネルギー方法には、インテンスパルス光(IPL)、レーザ、赤外レーザ、マイクロ波、または任意の他の適切なエネルギー供給源が含まれる。図1bと類似したマルチモダリティカプラは、マルチモダリティ治療、感知、モニタリングおよびイメージングシステムに対して特に有用な実施形態である。
【0026】
例示的な実施形態において、図3を参照すると、例示的なシステム16であって、ディスプレイ22と、制御システム20と、トランスデューサ19とを備えている例示的なシステム16は、角質層85、成育性表皮86、真皮88、皮下結合組織および脂肪82、ならびに筋肉84のうちの1つ以上の内部で、エネルギー2、4、6および/またはエネルギー8をROI12に送達し、かつROI12をモニタするために使用される。他の例示的なシステムは、「Method and System For Combined
Ultrasound Treatment」と題する同時係属中の米国特許出願第10/950,112号に開示され、該米国特許出願は、参考として本明細書に援用されている。
【0027】
図3を引続き参照すると、例示的なトランスデューサ19は、超音波エネルギー2、4、6および/または超音波エネルギー8をROI12に送達するトランスデューサである。一部の実施形態において、流体でみたされたカップルまたはゲルカップルが、トランスデューサ19を患者の身体に結合するために使用される。一部の実施形態において、追加的な結合が必要であり、かつ/または複数の流体でみたされたカップルまたはゲルカップルが使用され、各々は、異なる音響的特性を有する。
【0028】
別の例示的な実施形態において、吸引が、トランスデューサ19を患者の身体に取り付けるために使用される。この例示的な実施形態において、陰圧差が作られ、トランスデューサ19が、吸引によって角質層85に取り付けられる。真空タイプデバイスが、吸引を作るために使用され、真空デバイスは、トランスデューサ19と一体構造であるか、トランスデューサ19から分離可能であるか、または完全にトランスデューサ19から別個であり得る。角質層85へのトランスデューサ19の吸引取り付けおよび関連する陰圧差は、トランスデューサ19が、角質層85に正しく結合されることを保証する。さらに、吸引取り付けはまた、組織の厚さを低減して、組織の異なる層に達することをより容易にする。
【0029】
図3をさらに参照すると、超音波エネルギー2、4、6および/または超音波エネルギー8は、様々なエネルギーフィールドにおいて放射され得る。エネルギーフィールドは、トランスデューサ19によって焦点が合わされ、アンフォーカスされ、デフォーカスされ、かつ/または実質的に平らにされて、複数の異なる効果を提供し得る。エネルギーは、自動的な動きまたは手動的な動きによって、1つ以上のC平面またはCスキャンにおける1つ以上のポイントに提供され得る。例えば、実質的に平らなエネルギーフィールドは、治療的効果および/または前治療効果を提供し得、焦点が合ったエネルギーフィールドは、より強烈な治療効果を提供し得、ノンフォーカスされたエネルギーフィールドは、より穏やかな治療効果を提供し得る。全体を通して使用される用語「ノンフォーカスされた」は、アンフォーカスされたか、またはデフォーカスされたエネルギーを包含することが意味されることに留意されるべきである。
【0030】
例示的なトランスデューサ19は、イメージングもしくは治療またはイメージングと治療の両方の組み合わせのために、超音波エネルギーを放射する。例示的な実施形態において、トランスデューサ19は、下に記述されるように、ROI12における特定の深さで超音波エネルギーを放射するように構成される。図3のこの例示的な実施形態において、トランスデューサ19は、治療目的で、ROI12の広い区域にわたって焦点が合っていない超音波エネルギーまたはデフォーカスされた超音波エネルギーを放射する。
【0031】
図4Aおよび図4Bを参照すると、トランスデューサ19は、治療を容易にするために構成された1つ以上のトランスデューサを備え得る。トランスデューサ19はまた、1つ以上のトランスダクション素子、例えば素子26Aまたは素子26Bを備え得る。トランスダクション素子は、例えばチタン酸鉛ジルコネート(PZT)または任意の他の圧電性活物質のような圧電性活物質を含み得、該任意の他の圧電性活物質とは、例えば圧電セラミック、圧電結晶、圧電プラスチック、および/または複合材料、ならびにニオブ酸リチウム、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、および/またはメタニオブ酸鉛である。圧電性活物質に加えて、または圧電性活物質の代わりに、トランスデューサ19は、放射および/または音響エネルギーを生成するように構成された任意の他の物質を含み得る。トランスデューサ19はまた、例えば圧電性活物質に結合されたもののようなトランスダクション素子に沿って構成された1つ以上のマッチング層および/またはバッキング層を備え得る。トランスデューサ19はまた、トランスダクション素子に沿った単一のまたは複数の制動素子と共に構成され得る。
【0032】
例示的な実施形態に従って、トランスデューサ19のトランスダクション素子の厚さは、一様であるように構成され得る。つまり、トランスダクション素子は、全体を通して実質的に同じである厚さを有するように構成され得る。別の例示的な実施形態に従って、トランスダクション素子はまた、可変厚により構成され得、かつ/または複数の制動されたデバイスとして構成され得る。例えば、トランスデューサ19のトランスダクション素子は、例えばほぼ1kHz〜3MHzのより低い範囲の中央動作周波数を提供するように選択された第1の厚さを有するように構成され得る。トランスダクション素子26は、例えばほぼ3MHz〜100MHz以上のより高い範囲の中央動作周波数を提供するように選択された第2の厚さにより構成され得る。
【0033】
トランスデューサ19は、単一の広帯域トランスデューサとして構成され得、該単一の広帯域トランスデューサは、ROI12内の温度を所望のレベルに上げるために十分な出力を提供するために、少なくとも2つ以上の周波数によって励起される。トランスデューサ19はまた、2つ以上の個別のトランスデューサとして構成され得、この場合、各トランスデューサ19は、トランスダクション素子を備え、その厚さは、所望の中央動作周波数を提供するように上述のように選択され得る。
【0034】
さらに、例示的な実施形態において、任意の種類の機械的なレンズまたは可変焦点レンズ、例えば液体で満たされたレンズも、エネルギーフィールドの焦点をさらに合わせるために、またはエネルギーフィールドをさらにデフォーカスするために使用され得る。例えば、図4Aおよび図4Bに示された例示的な実施形態を参照すると、トランスデューサ19はまた、ROI12の治療における柔軟性を高めることを容易にするために、1つ以上のトランスダクション素子と組み合わせて電子式集束アレイ24と共に構成され得る。アレイ24は、トランスデューサ19と同様な方法で構成され得る。つまり、アレイ24は、電子アパーチャのアレイとして構成され得、該電子アパーチャのアレイは、可変電子式時間遅延、例えばΤ...Τを介する様々な位相によって作動させられ得る。用語「作動させられる」ことによって、アレイ24の電子アパーチャは、電子式時間遅延によって引き起こされる位相変動に対応する方法で操作され、駆動され、使用され、かつ/またはエネルギーを生成かつ/または送達するように構成され得る。例えば、これらの位相変動は、デフォーカスされたビーム、平面ビーム、および/または焦点が合ったビームを送達するために使用され得、これらの各々は、ROI12において様々な生理学的効果を達成するために組み合わせて使用され得る。
【0035】
トランスダクション素子は、凹面、凸面、および/または平面であるように構成され得る。例えば、図4Aに示される例示的な実施形態において、トランスダクション素子26Aおよび26Bは、ROI12の治療のために焦点の合ったエネルギーを提供するために、凹面であるように構成される。さらなる実施形態が、「System and Method for Variable Depth Ultrasound Treatment」と題する米国特許出願第10/944,500号に開示され、該米国特許出願は、参考として本明細書に援用されている。図4Aの例示的な実施形態において、トランスダクション素子24および関連する時間遅延または位相遅延は、図4Aに示されるものに対して垂直であり、かかる垂直に配置されたトランスダクション素子24は、治療素子、イメージング素子、またはデュアルモードイメージング−治療素子である。
【0036】
図4Bに示された別の例示的な実施形態において、トランスダクション素子26Aおよび26Bは、実質的の一様のエネルギーをROI12に提供するために、実質的に平らであるように構成され得る。図4Bの例示的な実施形態において、トランスダクション素子24および関連する時間遅延または位相遅延は、図4Bに示されるものに対して垂直であり、かかる垂直に配置されたトランスダクション素子24は、治療素子、イメージング素子、またはデュアルモードイメージング−治療素子である。図4Aおよび図4Bは、トランスダクション素子が、凹面および実質的に平らとしてそれぞれ構成された例示的な実施形態を示すが、トランスダクション素子は、凹面、凸面、および/または実質的に平らであるように構成され得る。さらに、トランスダクション素子は、凹面、凸面、および/または実質的に平らの構造の任意の組み合わせであるように構成され得る。例えば、第1のトランスダクション素子は、凹面であるように構成され得、一方、トランスデューサ19内の第2のトランスダクション素子は、実質的に平らであるように構成され得る。
【0037】
図4Cおよび図4Dを参照すると、トランスデューサ19はまた、平らな、焦点の合った、および/またはノンフォーカスされた音響エネルギーを提供するために、環状のアレイとして構成され得る。例えば、例示的な実施形態に従って、環状のアレイ28は、複数のリング30、32、34〜Nを備え得る。リング30、32、34〜Nは、機械的にかつ電気的に絶縁されて個別の素子のセットとされ得、平らな、焦点の合った、またはノンフォーカスされた波動を作成し得る。例えば、かかる波動は、例えば対応する送信遅延および/または受信遅延、Τ、Τ、Τ...Τを調節する方法によって、軸上の中心に集められ得る。電子フォーカスは、様々な深さの位置に沿って適宜動かされ得、かつ可変強度またはビームタイトネス(beam tightness)を可能にし得、一方、電子的デフォーカスは、様々な量のデフォーカシングを有し得る。例示的な実施形態に従って、レンズならびに/または凹面、凸面、および/もしくは実質的に平らな形状の環状のアレイ28はまた、任意の時間差遅延が低減され得るようにフォーカシングまたはデフォーカシングを助けるために提供され得る。例えばプローブおよび/または任意の従来のロボットアームメカニズムの使用による、一次元、二次元または三次元、または任意の経路に沿う環状のアレイ28の動きは、ROI12内のある体積または任意の対応するスペースをスキャンかつ/または治療するために実行され得る。
【0038】
図4Eを参照すると、例示的なトランスデューサ570は、機械的焦点585、凸面レンズ焦点586、凹面レンズ焦点587、複合レンズ/複数のレンズ焦点588、および/または平面アレイ形式589を有する、球面焦点単一素子572、環状/マルチ素子574、イメージング領域576を有する環状のアレイ、ライン焦点単一素子578、1−D直線状アレイ580、1−D湾曲(凸面/凹面)直線状アレイ582、および/または2−Dアレイ584としても構成されて、イメージングおよび/または治療の両方に対して焦点の合った音場、アンフォーカスされた音場、またはノンフォーカスされた音場を達成し得る。他のレンズ形状がなおも、本発明の他の例示的な実施形態において使用され得る。複数の環状部574および/またはイメージング領域576に対して構成される球面焦点単一素子572と類似して、治療ライン焦点単一素子578、ならびに1−Dアレイ580、582および2−Dアレイ584に対する例示的な実施形態は、1つ以上のイメージング素子を、またはそれらのアパーチャの中に、例えばそれらのアパーチャの中心に沿って、イメージングアレイを配置することである。概して、イメージングトランスデューサおよび治療トランスデューサの組み合わせまたはデュアルモードイメージング−治療トランスデューサが利用され得る。
【0039】
例示的なトランスデューサが、制御システム20によって様々な方法で適宜制御され、かつ操作される。図5A〜図5Cに示される例示的な実施形態において、制御システム20は、音響エネルギーシステム全体の協調および制御に対して構成される。例えば、制御システム20は、電源コンポーネント36、感知およびモニタリングコンポーネント38、冷却および結合制御部40、ならびに/または処理および制御論理コンポーネント42を適宜備え得る。制御システム20は、治療、イメージングおよび/またはモニタリングを向上させるために、より多くのまたはより少ないサブシステムおよびコンポーネントによる様々な方法で構成され、かつ最適化され得、図5Aおよび図5Bの実施形態は、単に例示の目的に過ぎない。
【0040】
例えば、電源コンポーネント36に対して、制御システム20は、1つ以上の直流(DC)電源44を備え得、1つ以上の直流電源44は、トランスデューサ電子増幅器/ドライバ48によって必要とされる電力を含めて、制御システム20全体に対して電気エネルギーを提供するように構成される。安全およびモニタリングの目的で増幅器/ドライバ48の中に入る電力のレベルを確認するために、DC電流感知デバイス46も提供され得る。
【0041】
増幅器/ドライバ48は、マルチチャンネルまたは単一チャンネル電力増幅器および/またはドライバを備え得る。トランスデューサアレイ構成に対する例示的な実施形態に従って、増幅器/ドライバ48はまた、アレイフォーカシングを容易にするために、ビームフォーマと共に構成され得る。例示的なビームフォーマは、関連するスイッチング論理によってデジタル的に制御される波形シンセサイザ/発振器50によって電気的に励起され得る。
【0042】
電源コンポーネント36はまた、様々なフィルタリング構成52を含み得る。例えば、駆動効率および有効性を高めるために、切換可能な高調波フィルタおよび/または整合が、増幅器/ドライバ/ビームフォーマ48の出力において使用され得る。適切な動作および較正を確認するために、電力検出コンポーネント54も含まれ得る。例えば、プローブ18へ流れる電力の量をモニタするために、電力および他の電力検出コンポーネント54が使用され得る。
【0043】
様々な感知およびモニタリングコンポーネント38も、制御システム20内で適宜実装され得る。例えば、例示的な実施形態に従って、モニタリング、感知、インターフェースおよび制御コンポーネント56が、様々な動き検出システムと共に動作するように構成され得、該様々な動き検出システムは、例えばROI12からの音響に関する情報または他の空間的情報および/または時間的情報のような情報を受信し、かつ処理するためにトランスデューサ19内に実装される。感知およびモニタリングコンポーネント38はまた、様々な制御部、インターフェーシングおよびスイッチ58および/または電力検波器54を含み得る。かかる感知およびモニタリングコンポーネント38は、治療システム14内で、開ループおよび/または閉ループフィードバックシステムを容易にし得る。
【0044】
例示的な実施形態において、感知およびモニタリングコンポーネント38は、システム14の使いすぎを防止するめに、可聴警報システムまたは可視警報システムに接続されたセンサを備えている。この例示的な実施形態において、センサは、角質層85、成育性表皮86、成育性真皮88、皮下結合組織および脂肪82、もしくは筋肉84に移されたエネルギーの量、またはシステム14が能動的にエネルギーを放出した時間を感知する。特定の時間閾値または温度閾値が到達されると、警報は可聴警報を鳴らすか、または可視インジケータを作動させて、閾値が到達されたことをユーザに知らせる。これによって、ユーザがシステム14を使いすぎることを防止する。例示的な実施形態において、センサは、制御システム20に動作可能に接続され得、制御システム20がプローブ18から超音波エネルギー2、4、6および/または超音波エネルギー8を放出することを止めさせる。
【0045】
例示的なプローブ18から廃熱を除去し、表面組織インターフェースおよびより深い組織に制御された温度を提供し、かつ/またはプローブ18からROI12へ音響結合を提供するために、冷却/結合制御システム60が提供され得る。かかる冷却/結合制御システム60はまた、様々な結合コンポーネントおよびフィードバックコンポーネントを有する開ループおよび/または閉ループフィードバック配列において動作するように構成され得る。
【0046】
さらに、例示的な制御システム20はさらに、様々なシステムプロセッサおよびデジタル制御論理62を備え得るが、様々なシステムプロセッサおよびデジタル制御論理62には、例えば1つ以上の制御部またはインターフェーシングスイッチ58および関連するコンポーネントがあり、これらの中には、ファームウエアおよびソフトウエア64が含まれ、ファームウエアおよびソフトウエア64は、ユーザ制御部およびインターフェーシング回路ならびに通信、表示、インターフェーシング、格納、文書管理、および他の有用な機能に対する入力/出力回路およびシステムとインターフェースする。ソフトウエア64は、ユーザ定義の治療目的を達成するために必要とされるすべての初期設定、タイミング、レベル設定、モニタリング、安全モニタリング、およびすべての他のシステム機能を制御する。さらに、様々なメカニズム66も、動作を制御するように適宜構成され得る。
【0047】
図5Cを参照すると、例示的なトランスデューサが、ハンドヘルドフォーマット制御システム1000によって様々な方法で適宜制御され、かつ操作される。外部バッテリ充電器1002が、充電式タイプバッテリ1004と共に使用され得るか、またはバッテリ1004は、単一使用の使い捨てタイプ、例えばAA−サイズのセルであり得る。電力変換器1006は、チューニングネットワーク1010を備えたドライバ/フィードバック回路1008に電力を供給するために適切な電圧を生成し、チューニングネットワーク1010は、1つ以上の流体で満たされたカップルまたはゲルカップルを介して患者に結合されたトランスデューサ1012を駆動する。一部の実施形態において、流体で満たされたカップルまたはゲルカップルは、音響結合剤1015によって患者に結合される。さらに、関連するソフトウエアおよびアルゴリズムを備えたマイクロコントローラおよびタイミング回路1016は、ディスプレイ1018、発振器1020、および他の入力/出力制御1022、例えばスイッチおよびオーディオデバイスを介して、制御およびユーザインタフェーシングを提供する。格納素子1024、例えばEEPROM、安全なEEPROM、改ざん防止EEPROM、または同様のデバイスは、較正データおよび使用データを保持する。フィードバック1026を備えた動きメカニズムは、望ましい場合、可変深さを備えたラインまたは二次元パターンでトランスデューサをスキャンするように適宜制御され得る。他のフィードバック制御は、容量性結合検出手段、音響的結合検出手段、もしくは他の結合検出手段および/または制限制御1028ならびに温度センサ1030を含む。プラスチック筐体または他の筐体と共に、流体で満たされたカップルまたはゲルカップル、トランスデューサ1012、温度センサ1030、結合検出器1028、またはチューニングネットワーク1010のうちの少なくとも1つとの、安全なEEPROMの組み合わせは、使い捨て先端1032を構成し得る。
【0048】
再び図3を参照すると、例示的なシステム14は、特定の例示的な実施形態において、ROI12のイメージを提供するためにディスプレイシステム22も含み、該特定の実施形態においては、超音波エネルギーが、イメージングに対して適切な方法でトランスデューサ19から放出される。ディスプレイシステムは、システム14またはROI12に関するイメージとは別に、イメージまたは情報をユーザに伝える任意のタイプのシステムであり得る。従って、ディスプレイシステム22は、コンピュータモニタ、テレビジョンスクリーン、またはインジケータシステムの簡単なタイプ、例えば様々な例示的な実施形態における液晶ディスプレイまたは発光ダイオードディスプレイであり得る。液晶ディプレイおよび発光ダイオードディスプレイは、システム14がハンドヘルドシステムであるとき、特に有用である。
【0049】
ディスプレイシステム22は、ユーザが、治療区域および周囲の構造の限局化、例えば細胞膜または組織の特定を容易にすることを可能にする。限局化の後、ある深さ、分布、タイミング、およびエネルギーレベルでの超音波エネルギー2、4、6および/または超音波エネルギー8の送達が提供されて、所望の治療、イメージングおよび/またはモニタリングを達成する。治療の前、治療の間、および/または治療の後、すなわち超音波エネルギーの送達の前、送達の間、および/または送達の後、治療区域および周囲の構造のモニタリングが実行されて、結果を計画、評価し、かつ/またはディスプレイシステム22を介して制御システム20およびシステムオペレータにフィードバックを提供し得る。例示的な実施形態に従って、限局化は、超音波イメージングによって容易にされ得、該超音波イメージングは、皮膚組織の1つ以上の層内でROI12を画定するために使用され得る。
【0050】
超音波エネルギー送達に対して、トランスデューサ19は、機械的に、かつ/または電子的にスキャンされて、ROI12の拡張区域にわたって治療ゾーンを設置する。治療深さは、ほぼ1ミリメータ〜100ミリメータおよび/または筋肉84の最深部の範囲の間で調節され得る。エネルギーのかかる送達は、標的の細胞膜もしくは組織のイメージング、および次に超音波エネルギーの適用によって生じ得るか、または最初のイメージングまたは進行中のイメージングなしで、拡張区域にわたる既知の深さに超音波エネルギーを適用することによって生じ得る。
【0051】
トランスデューサ19からの超音波ビームは、トランスデューサ19の空間的パラメータ、例えば配置、距離、治療深さおよびトランスデューサ19の構造を変えることによって、ならびにトランスデューサ19の時間的パラメータ、例えば周波数、駆動振幅、およびタイミングを変えることによって、空間的にかつ/または時間的に、制御システム20を介して取り扱われるような制御部により制御され得る。かかる空間的パラメータおよび時間的パラメータはまた、超音波システム16内の開ループフィードバックシステムおよび/または閉ループフィードバックシステムの中で適宜モニタされ、かつ/または利用され得る。
【0052】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、再び図3を参照すると、例示的なモニタリング方法は、ROI12の温度プロフィールまたは他の組織パラメータ、例えば減衰量、音速、もしくは例えば治療領域の剛性および歪みのような機械的特性をモニタすることを包含し得、かつ、トランスデューサ19から放出される超音波エネルギー2、4、6および/または超音波エネルギー8の空間的特性および/または時間的特性ならびにエネルギーレベルを適宜調節し得る。かかるモニタリング技術の結果は、モニタリング結果の一次元、二次元、または三次元イメージの手段によってディスプレイシステム22上に表示され得るか、または成功もしくは失敗タイプのインジケータ、またはそれらの組み合わせを単に含み得る。さらなる治療モニタリング技術は、温度、ビデオ、プロフィロメトリ、および/もしくは剛性もしくは歪みゲージまたは任意の他の適切な感知技術のうちの1つ以上に基き得る。
【0053】
ROI12内の組織が剥離または凝固しない限り、任意の量のエネルギーが使用され得る。例示的な実施形態において、プローブ18から放出されるエネルギーは、アンフォーカスされたまたはデフォーカスされた超音波エネルギー2、4、6および/または8である。あるいは、焦点の合った超音波エネルギー2、4、6および/または8が、プローブ18から放出され得、ROI12に適用され得る。
【0054】
特定の例示的な実施形態において、システム14には、ユーザを補佐するために、特定の特徴が備わっている。1つの特徴は、使用の間にプローブ18を覆う使い捨ての先端である。使い捨ての先端は、超音波エネルギー2、4、6および/または8が、先端を通り抜けて患者に接触することを可能にする。しかし、使い捨ての先端は、使用後にプローブ18から除去され得、そして新しい使い捨ての先端と取り替えられ得、患者の角質層85と接触した後にプローブ18に存在し得る病原菌が、一人の患者から別の患者へ広がることを防止し得る。様々なサイズの使い捨ての先端が使用され得、本発明の範囲内に入る。
【0055】
一例示的な実施形態において、ROI12の中に解放されるエネルギーは、通常の体温よりもほぼ1℃〜25℃高く、ROI12内の局部温度を高める。したがって、治療の間のROI12内の温度は、ほぼ35℃〜60℃の間である。別の例示的な実施形態において、温度は、通常の体温よりもほぼ1℃〜15℃高められる。したがって、この実施形態において、ROI12内の温度は、ほぼ35℃〜49℃の間である。特定の温度範囲が本明細書において開示されるが、任意の温度が、本発明の範囲内に該当すると考えられることに留意されるべきである。
【0056】
特定の実施形態において、温度上昇は非常に高いことがあり得るが、しかし、ROI12に送達されたエネルギーが、組織の剥離または凝固を引き起こさないように、充分に短い時間適用され得る。他の状況において、温度上昇はかなり小さいことがあり得、組織の剥離または凝固なく影響を及ぼすために充分長く適用され得る。
【0057】
時間―温度プロフィールは、熱投与量コンセプトの助けでモデル化され、かつ最適化され得る。熱投与量、すなわちt43は、任意の時間−温度加熱プロフィールによる均等な生物学的効果を引き起こす43℃での露出時間である。通常、剥離性病変は、56℃で1秒のオーダーで形成され、これは、43℃で120分の熱投与量に対応する。同じ熱投与量は、ほぼ1分間での50℃に対応する。したがって、非剥離性プロフィールは、非常に短い時間での高温および/もしくはより長い時間でのより低い温度または様々な時間−温度プロフィールの組み合わせを含み得る。例えば、1秒未満での高温56℃または15分未満での46℃が利用され得る。かかるプロセスが様々な例示的な実施形態で実行され得、それによって1つ以上のプロフィールが単一の治療に組み合わされ得る。
【0058】
例示的な実施形態において、ROI12での温度が、例えば50℃以上の高いレベルにまで高められ、数秒間保持される。別の例示的に実施形態において、温度は、1秒未満から5秒以上までのもとで高いレベル(例えば50℃よりも高く)にまで高められ、次に、1秒未満から5秒以上のもとでターンオフされ、反復されてパルス化プロフィールを作成する。
【0059】
別の例示的な実施形態において、温度は、高いレベル(50℃よりも高く)にまで迅速に高められ、次に、より低い温度(50℃よりも低く)に下げられ、次に、所与の時間、例えば1秒から数秒、または1分を超えてその温度に維持される。
【0060】
別の例示的な実施形態において、温度は、高いレベル(THIGH)にまで迅速に高められ、かくして、THIGHは、40℃よりも高く、システム14への電力はターンオフされるが、しかし、一旦温度がより低い閾値(TLOW)よりも下に下がると、再びターンオンされ、かくして、TLOWはTHIGHよりも低い。一旦温度が再びTHIGHに達すると、システム14への電力がターンオフに戻され、このプロセスが反復され、事実上、サーモスタットのように作用する。プロセスは、1秒未満〜1分以上の総治療時間の後、止められる。
【0061】
別の例示的な実施形態において、温度は、高いレベル(TSTART)にまで迅速に高められ、かくして、TSTARTは、40℃よりも高く、次にターンオフされるが、しかし、温度がTSTARTよりもかなり低く(すなわち、数度だけ)下がる前に再びターンオンされ、それによって、電力が再びターンオフされる前に、温度は、少しの量だけ(すなわち、数度だけ)Tよりも上昇し得る。かかる例示的な実施形態において、温度は、迅速に開始点にまで達し、次により高い温度にまで上昇することが許され得るが、それでも、治療が終了する前は、非剥離性レジームまたは凝固性レジームの中に残り得る。
【0062】
本発明は、様々な機能コンポーネントおよびプロセッシングステップの観点から本明細書において記述され得る。かかるコンポーネントおよびステップは、特定の機能を実行するように構成された任意の数のハードウエアコンポーネントによって実現され得ることが理解されるべきである。例えば、本発明は、様々な医療デバイス、ビジュアルイメージングデバイスおよびディスプレイデバイス、入力端子などを使用し得、これらは、1つ以上の制御システムまたは他の制御デバイスの制御のもとで様々な機能を実行し得る。さらに、本発明は、任意の数の医療背景において実行され得、本明細書に記述されたようなあるシステムに関連する例示的に実施形態は、本発明に対する例示的適用を示すに過ぎない。例えば、論議された原理、特徴および方法は、任意の医療的用途に適用され得る。さらに、本発明の様々な局面は、他の用途、例えば他の医療的用途または産業的用途に適宜適用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公開番号】特開2013−106982(P2013−106982A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−47568(P2013−47568)
【出願日】平成25年3月11日(2013.3.11)
【分割の表示】特願2010−507625(P2010−507625)の分割
【原出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(507084604)ガイデッド セラピー システムズ, エル.エル.シー. (15)
【Fターム(参考)】