説明

音響キャビティー及びそれを用いた流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置

【課題】
装置が小型化可能であって、高い温度均一性、安定性を実現することのできる流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置及びそれに用いられる音響キャビティーを提供すること。
【解決手段】
周波数信号を出力するオシレータと、該オシレータが出力する周波数信号に基づいて振動する振動源、孔が形成され前記振動源に対向して配置される反射板、振動源及び反射板との間に配置される円筒、を有する音響キャビティーと、音響キャビティーの振動源の振動に起因して該円筒内部に発生する波を感知するマイクロフォンと、マイクロフォンが感知した波の振幅を、オシレータが出力するする周波数信号の周波数を参照して抽出及び出力するロックインアンプと、ロックインアンプの出力を格納する記憶装置を有するコンピュータと、を有することを特徴とする流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響キャビティー及びそれを用いた流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な物質に対し高圧下で圧力を変化させながらその物質中の音速を測定することは物質の物性評価に有用であり、これを用いて例えば超臨界流体等の物質中で起こっている反応、液体中に含有される微量物質の密度や弾性率の変化等を明瞭に知ることができる。また、気体を含む流体の物性評価、液体中での反応変化の検出などでの利用も期待される。
【0003】
一方、より精度の高い物性評価を行うためには音速の分解能として1ppm程度が必要であり、これは例えば超臨界液体に0.1%溶解した物質が圧力や温度によって0.1%体積変化する様子を検出する程度の分解能である。この分解能を達成するための技術としては、真鍮又はアルミニウムからなる半球状の殻を二つ合わせてその内部に測定試料を充填したキャビティーが例えば下記非特許文献1に記載がある。
【非特許文献1】M.R.Moldoverら、“Measurement of the Universal Gas Constant R Using a Spherical Acoustic Resonator”、Journal of Research of the National Vureau of Standards、1998年、Vol.93、No.2、pp85−144
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記記載のキャビティーは、厚い真鍮製の容器を用いなければならず装置全体が大型となってしまい容易に測定を行うことができず、また、装置全体が大型になってしまうことにより高圧容器内の測定試料の温度の均一性、安定性を実現することにおいても課題を残している。
【0005】
そこで、本発明は装置が小型化可能であって、高い温度均一性、安定性を実現することのできる流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置及びそれに用いられる音響キャビティーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための手段として、本発明は具体的には以下の手段を採用する。
第一の手段として、周波数信号を出力するオシレータと、オシレータが出力する周波数信号に基づいて振動する振動源、孔が形成され振動源に対向して配置される反射板、振動源及び反射板との間に配置される円筒、を有する音響キャビティーと、音響キャビティーの振動源の振動に起因して円筒内部に発生する波を感知するマイクロフォンと、マイクロフォンが感知した波の振幅、位相を、オシレータが出力するする周波数信号の周波数を参照して抽出及び出力するロックインアンプと、ロックインアンプの出力を格納する記憶装置を有するコンピュータと、を有する流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置とする。
【0007】
なおこの手段において、音響キャビティー及びマイクロフォンを内部に格納する高圧容器と、を有すること、反射板における孔の径は円筒の内径に対して十分小さい径であること、反射板における孔の径は円筒の内径の1/10以下であること、振動源と反射板との距離は、円筒内を伝播する音波の半波長の整数倍であること、マイクロフォンは、スペーサにより反射板と隔てて配置されていること、マイクロフォンは、反射板の前記孔によってのみ音響的に結合されていること、マイクロフォンと反射板との距離は、反射板と振動源との距離に比べて十分に小さいこと、マイクロフォンと反射板との距離は、反射板と振動源との距離の1/5以下であること、マイクロフォンと反射板との距離は、円筒内を伝播する音波の波長に比べて十分に小さいこと、も望ましい。
【0008】
また、第二の手段として、振動する振動源、振動源に対向して配置され、孔が形成された反射板、振動源及び反射板との間に配置される円筒、を有する音響キャビティーとする。
【0009】
なおこの手段において、振動源は、振動板と、たわみ変形型圧電素子若しくは厚み変形素子と、を有すること、孔の径は前記円筒の内径に対して十分に小さいこと、円筒において、振動源と反射板との間の距離は円筒内を伝播する音波の半波長の整数倍であること、マイクロフォンは、スペーサにより反射板と隔てて配置されていること、マイクロフォンと反射板との距離は、反射板と振動源との距離に比べて十分に小さいこと、マイクロフォンと反射板との距離は、反射板と振動源との距離の1/5以下であること、マイクロフォンと反射板との距離は、円筒内を伝播する音波の波長に比べて十分に小さいこと、も望ましい。
【発明の効果】
【0010】
以上により本発明は、装置を小型化できるため恒温容器内に設置することが可能となり、高い温度安定性を実現可能で高分解能を有する流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置及びそれに用いられる音響キャビティーを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置(以下「本装置」という)のブロック図である。
【0012】
本装置は、オシレータ1と、音響キャビティー2と、マイクロフォン9と、ロックインアンプ3と、コンピュータ4と、を有して構成されている。
【0013】
オシレータ1は、高度に安定した周波数信号を発振する装置であり、音響キャビティー2にこの周波数信号を出力する。なお測定において周波数信号の周波数fは適宜変化させることが可能である。
【0014】
音響キャビティー2の具体的な構成は後の図2にて詳述するが、音響キャビティー2は振動源、反射板、振動源と反射板との間に配置される円筒、を有して構成されている。振動源はオシレータ1の出力である周波数信号に基づいて円筒内に波を発生させる。なお音響キャビティー2に対応してマイクロフォン9が設けられており、マイクロフォン9は音響キャビティー2の円筒内で発生した波を受けてその振幅をロックインアンプ3へと出力する。また音響キャビティー2及びマイクロフォン9は更に測定時において測定試料が充填された高圧容器内に保持される(これも後述する)。
【0015】
ロックインアンプ3は、マイクロフォン9が出力する波のうちオシレータ1が発振する周波数fの周波数信号と同じ周波数fの波の振幅、位相の値を抽出し、コンピュータ4へ出力する。
【0016】
コンピュータ4は、ハードディスク等の記憶装置を有し、ロックインアンプ3からの出力をその記憶装置に格納していく。
【0017】
図2に本装置の音響キャビティー2及びマイクロフォン9の詳細な構成を示す。図2(a)は本装置における音響キャビティー2及びマイクロフォン9の斜視図であり、図2(b)は図2(a)のA−Aにおける断面図である。
【0018】
図2(a)で示すように、本装置の音響キャビティー2は、振動源5、開口部の一方が振動源5と接して覆われてなる円筒6、振動源5に対向し円筒6の他の一方の開口部を覆うよう配置される反射板7、を有して構成されている。またマイクロフォン9は、音響キャビティーと円筒6とスペーサ8を介して配置されている。
【0019】
また図2(b)で示すように、音響キャビティー2における振動源5は、薄い金属からなる振動板51、この振動板51の面のうち円筒6と接する面と反対側の面に配置されるたわみ変形型圧電素子52、を有して構成されている。たわみ変形型圧電素子52は、オシレータ1に接続され、オシレータ1が発振する周波数fの周波数信号に基づきたわみ変形を起こし、円筒中に波を発生させる。
【0020】
円筒6は、金属からなる筒であって内部に空間61が形成されており、振動源5と反射板7との間に配置されており、この空間61に測定試料が充填されることとなる。円筒6の振動板51と接する側の開口部近傍は、図2(b)に示すとおり開口部の端部に近づくにつれて盛り上がった形状をしており、円筒6と振動板51とが(図2(b)においては)点で(実物では線として)接する構成となっている。これは振動板51からの振動を円筒6に直接伝えてしまうことによる実験誤差を防ぐためである。なお円筒6の長さとしては、円筒6の中を伝播する波の波長に基づいて設計することができ、基本振動が確認できる程度の長さを有していれば特段の制限は無い。
【0021】
反射板7は、振動源5と円筒6と相まって定常波を形成することができる構成となっており、薄い金属の円形の板からなり、更に中央部近傍に微小な孔71が形成されている。これにより円筒の内部に定常波を発生させること、円筒外部へ波を取り出すこと、測定試料を円筒の内部に充填すること、が可能となる。なお微小な孔71の大きさは、上記機能を奏することができる限りにおいて特段に限定は無いが、孔71が大きすぎると反射板7での反射が起こりにくくなり定常波の形成を困難にしてしまうため、円筒6の内径に比べ十分に小さいことが望ましい。この範囲としては概ね10分の1以下であることが望ましい。なお一方で、あまりに小さすぎるとマイクロフォン9が波を抽出できなくなる可能性があるため、ある程度の大きさの範囲とすることも望ましく、測定が十分にできる範囲としては孔71の径は円筒の内径の1000分の1以上は確保することも望ましい。なお材質は、振動源5及び円筒6との組み合わせにより定常波を作成することができる程度のものであれば特に限定はないが、例えば銅や真鍮などの金属が好適である。
【0022】
マイクロフォン9は、スペーサ8を介して円筒6と所定の距離だけ離れて配置されており、振動源5とほぼ同様の構成を有している。具体的には筒93内にマイクロフォン用振動板91、マイクロフォン用変形たわみ型圧電素子92を有し、更にマイクロフォン用たわみ型圧電素子にはロックインアンプ3へと接続される2本の接続線94が接続されている。マイクロフォン9はこのような構成を採用することによって反射板7の孔71から発せられる波を抽出することができる。なおこの配置によりマイクロフォン9は、音響キャビティー2と音響的にのみ結合されている、ということもできる。またマイクロフォン9としては一般に市販されているマイクロフォンが適用可能である。
【0023】
スペーサ8は、円筒6とマイクロフォン9を所定の距離だけ離すために設けられるものであり、本実施形態では棒状に撚られた繊維の糸2本を用い、円筒6との接点、マイクロフォン9との接点においてそれぞれ接着剤で固定されている。円筒6とマイクロフォン9との距離を一定に保てる程度の剛性が必要である一方、振動源5及び共鳴筒6からの振動を拾わないようにするため、剛性と緩衝性とを備えた材質が好ましく、例えばナイロン繊維やナイロンなどの繊維が好適である。また、円筒6とマイクロフォン9とが離れすぎると共鳴筒から取り出される波の感度が落ちてしまうため、概ね反射板7と振動源5との距離の5分の1以下、若しくは円筒6内で形成される定常波の波長の10分の1以下確保されていることが望ましい。一方で、近すぎると反射板7とマイクロフォン9とが接触してしまう虞があるため、これを避ける程度離しておくことがもちろん必要である。
【0024】
次に、図3を用いて本実施形態に係る流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置の測定時における音響キャビティー2の配置形態について示す。本実施形態に係る音響キャビティー2は、測定試料10が内部に満たされた高圧容器11中に浸されて配置される。本実施形態に係る音響キャビティー2は、上記のとおり円筒6が振動源5及び反射板7との間で共鳴波を形成することができるように構成されている一方、反射板7に微小な孔71を有しているため、測定試料を円筒に導入することができ、しかも高圧容器11内の圧力と円筒6内部の圧力とを同じにすることができる。即ち、本実施形態に係る音響キャビティー2は、上記のとおり金属製の大きな半球を組み合わせる等大掛かりな装置を必要とせず小型化が可能であって、小さな高圧容器内に収納させることができ、高い温度安定性を容易に実現することが可能となる。
【0025】
測定試料10は、音響キャビティー2における円筒6の内部に充填させることができる限りにおいて流体(液体、気体、更には臨界流体)であることが望ましい。
【0026】
なおここで、本実施形態に係る流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置を用いる音速測定の実施、音速の求め方について説明する。
【0027】
一般に、両端が閉じた円筒内においてはその円筒の長さlに応じ複数の定常波を発生させることができ、定常波の波長は以下の式(1)で表される。なお図4(a)はn=1の場合を、図4(b)はn=2の場合を、図4(c)はn=3の場合における定常波のモデルを示す。
【数1】

【0028】
また一方、音速vは、下記式(2)で表現されることが知られており、波長λと周波数fとが分かればその音速を求めることができる。つまり両端が閉じた円筒内においてn次定在波が発生している場合、一定の条件の下で音速vが定まっているため、周波数fも下記式(2)により定まった値となる。そこで上記の式(1)からλを定め、更に測定によりその周波数(共振周波数)を決定することにより下記式(2)からその音速vを求めることができ、種々物性評価を行うことができる量になるのである。
【数2】

【0029】
なおこの点を本実施形態に係る音響キャビティーの構造について確認すると、上記の円筒としては円筒6が考えられ、両端を閉じる構成要素としては振動板51、反射板7が考えられる。そして本実施形態にかかる反射板7に形成されている孔71は微小であるため、上記の条件を満たす定常波を発生させることができると共に、この定常波を微小な孔71を介してマイクロフォン9で検出することによって、共振周波数についての測定が可能となる。
【0030】
また本実施形態に係る流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置を用いた測定について再び図1を用いて説明する。まずオシレータ1は音響キャビティー2に周波数fの周波数信号を出力する。音響キャビティー2は、図3で示すように測定試料10が充填された高圧容器11内に配置されており、オシレータ1が出力する周波数信号に基づいて定常波を円筒6内に発生させ、反射板7の孔71を通過した波の振幅をマイクロフォン9で検知する。マイクロフォン9により検知された波は、ロックインアンプ3に入力され、ロックインアンプ3はオシレータ1が発する周波数信号を参照してマイクロフォン9が検知した波から同じ周波数fの波の振幅及び位相の値を抽出し、コンピュータ4へと出力する。コンピュータ4は、その振幅の値とオシレータ1が発する周波数信号fを対応付けて格納する。そしてこの格納の後オシレータ1は周波数のみを変化させ、同様の経緯を経て測定を繰り返す。この結果、周波数と振幅の幅とが対応したデータを獲ることができ、このデータを用いて共鳴周波数を求め、音速を決定することができる。図5にこのコンピュータの記憶装置に格納されたデータをグラフ化したものを示す。なお図5のグラフにおいては、横軸が周波数、縦軸が振幅の値であり、このグラフにおいてもっとも振幅が大きいと考えられる16.9kHzが共鳴周波数であると考えることができ、そしてこれに基づいて基本振動数を求め音速を決定することができる。
【0031】
以上、本実施形態の音響キャビティーは恒温容器内に設置できるほど小型化が可能となり、恒温容器内で制度の高い温度安定性を実現し、その内部で温度を安定させることが可能となるため、高分解能の流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置及びそれに用いられる音響キャビティーが実現できる。
【0032】
なお、本実施形態においては、音響キャビティー2を内部に配置する高圧容器11は測定中一定の温度に保つ必要があるため、温度調節機構により一定の温度に保たれていることが必要である。この温度調節機構としては、オイルバス恒温容器にヒータを配置した構成が考えられる。特に1mK単位での温度長性能を有する恒温容器を用いれば、1ppm程度の高分解能を達成することができる。本実施形態に係る音響キャビティーは小型化が可能であり、様々な恒温容器内に設置可能であり、この実現が容易に可能である。
【0033】
また、オシレータ1についても、コンピュータ4がロックインアンプからの出力を受けたことを確認後、オシレータ1に周波数を変えるよう指示を出せるようにすることが望ましい。即ちコンピュータ4に周波数変更手段を設け、コンピュータ4とオシレータ1とを接続することで、測定を自動化させることも極めて有用である。
【0034】
また、本実施形態において、振動源には、変形たわみ型圧電素子を構成要件として説明しているが、一対の電極と、この一対の電極の間に圧電素子を配置したいわゆる変形厚み素子を用いることも可能である。
【0035】
以下、本実施形態を用いた具体的な例につき説明する。
【実施例1】
【0036】
音響キャビティー2に関し、振動源52としてφ5mmのたわみ変形型圧電素子を、振動板51として厚さ1mm、φ10mmの黄銅板を、共鳴筒6として内径φ5.5mm、外径φ11mm、長さ6.0mmの黄銅を、反射板7として厚さ0.5mm、φ6.5mmであってその中心にφ0.4mmの孔が形成された銅板を、スペーサ8としてφ1mm、長さ5mmのナイロン糸を、マイクロフォン9としてタイセー社製、FS−70TRを、それぞれ用いた。なおマイクロフォン9と反射板7とは0.5mm離れるように、マイクロフォンと円筒6とを接着剤を用いて固定した。またオシレータ1としては、アジレントテクノロジー社製の33120Aを、ロックインアンプとしてはエヌエフ回路設計ブロック社のLI−575型を用いた。なお周波数fの掃引、検出信号の記録、温度制御については1台のコンピュータで行った。
【0037】
測定試料は炭酸ガスとし、高圧容器11内に封じ込めた。なお高圧容器11は、オイルバス12内に配置され音響キャビティー2が測定する測定試料を一定の温度に保つこととした。
【0038】
この結果を図5に示す。図5は先ほどの実施の形態において説明したが、横軸は周波数、縦軸は振幅を示す。この図では、17kHz近傍の共鳴周波数に近づくにしたがい振幅が増大し、離れるに従い減少することが確認でき、共鳴周波数は16.9kHzであると決定できる。なおこの測定は温度41.8℃、圧力8.95MPaのときの結果である。
【0039】
そして一方、円筒の長さは6.00mmであるため、上述の式(2)従い、音速を求めることができる。図5の結果から非常に高い精度で音速を求めることができた。
【0040】
そして、このような図を様々な温度(30℃〜49℃)に対して行い、そのそれぞれにおける音速を求めた。図6に音速の温度特性を示す。
【0041】
以上、本実施例により、装置を小型化でき、高い温度安定性をもった流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置及びそれに用いられる音響キャビティーが実現できることが実証された。特に、本実施例の共鳴長音スペクトロスコピー装置では、図5で示すようS/N比が大きく、Q値の高いスペクトルを求めることができ、実験精度を極めて高くすることができた。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態に係る共鳴超音波スペクトロスコピー装置のブロック図
【図2】本発明の実施形態に係る音響キャビティーの斜視図及び断面図。
【図3】本発明の実施形態に係る音響キャビティーの高圧容器内における配置図。
【図4】反射板及び振動源との間に形成される定常波を説明する図。
【図5】実施例における測定試料の振幅の周波数依存性を示す図。
【図6】実施例における測定試料中における音速の温度依存性を示す図。
【符号の説明】
【0043】
1…オシレータ、2…音響キャビティー、3…ロックインアンプ、4…コンピュータ、5…振動源、6…円筒、7…反射板、8…スペーサ、9…マイクロフォン、10…測定試料、11…高圧容器、51…振動板、52…たわみ変形型圧電素子、61…空間、71…孔、91…マイクロフォン用振動板、92…マイクロフォン用変形たわみ型圧電素子、93…筒、94…接続線、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数信号を出力するオシレータと、
該オシレータが出力する周波数信号に基づいて振動する振動源、孔が形成され前記振動源に対向して配置される反射板、前記振動源及び前記反射板との間に配置される円筒、を有する音響キャビティーと、
前記音響キャビティーの前記振動源の振動に起因して該円筒内部に発生する波を感知するマイクロフォンと、
前記マイクロフォンが感知した波の振幅を、前記オシレータが出力するする周波数信号の周波数を参照して抽出及び出力するロックインアンプと、
前記ロックインアンプの出力を格納する記憶装置を有するコンピュータと、を有することを特徴とする流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置。
【請求項2】
前記音響キャビティー及び前記マイクロフォンを内部に格納する高圧容器と、を有することを特徴とする請求項1記載の流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置。
【請求項3】
前記反射板における前記孔の径は前記円筒の内径に対して十分小さい径を有することを特徴とする請求項1記載の流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置。
【請求項4】
前記反射板における前記孔の径は前記円筒の内径の1/10以下であることを特徴とする請求項1記載の流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置。
【請求項5】
前記振動源と前記反射板との距離は、前記円筒内を伝播する音波の半波長の整数倍であることを特徴とする請求項1記載の流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置。
【請求項6】
前記マイクロフォンは、スペーサにより前記反射板と隔てて配置されていることを特徴とする請求項1記載の流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置。
【請求項7】
前記マイクロフォンは、前記反射板の前記孔によってのみ音響的に結合されていることを特徴とする請求項6記載の流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置。
【請求項8】
前記マイクロフォンと前記反射板との距離は、前記反射板と前記振動源との距離に比べて十分に小さいことを特徴とする請求項6記載の流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置。
【請求項9】
前記マイクロフォンと前記反射板との距離は、前記反射板と前記振動源との距離の1/5以下であることを特徴とする請求項6記載の流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置。
【請求項10】
前記マイクロフォンと前記反射板との距離は、前記円筒内を伝播する音波の波長に比べて十分に小さいことを特徴とする請求項6記載の流体用共鳴音波スペクトロスコピー装置。
【請求項11】
振動する振動源、該振動源に対向して配置され、孔が形成された反射板、前記振動源及び反射板との間に配置される円筒、を有する音響キャビティー。
【請求項12】
前記振動源は、振動板と、たわみ変形型圧電素子若しくは厚み変形素子と、を有することを特徴とする請求項11記載の音響キャビティー。
【請求項13】
前記孔の径は前記円筒の内径に対して十分に小さいことを特徴とする請求項11記載の音響キャビティー。
【請求項14】
前記円筒において、前記振動源と前記反射板との間の距離は前記円筒内を伝播する音波の半波長の整数倍であることを特徴とする請求項11記載の音響キャビティー。
【請求項15】
前記マイクロフォンは、スペーサにより前記反射板と隔てて配置されていることを特徴とする請求項11記載の音響キャビティー。
【請求項16】
前記マイクロフォンと前記反射板との距離は、前記反射板と前記振動源との距離に比べて十分に小さいことを特徴とする請求項15記載の音響キャビティー。
【請求項17】
前記マイクロフォンと前記反射板との距離は、前記反射板と前記振動源との距離の1/5以下であることを特徴とする請求項15記載の音響キャビティー。
【請求項18】
前記マイクロフォンと前記反射板との距離は、前記円筒内を伝播する音波の波長に比べて十分に小さいことを特徴とする請求項15記載の音響キャビティー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−292639(P2006−292639A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−116308(P2005−116308)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(304021831)国立大学法人 千葉大学 (601)
【Fターム(参考)】