音響システム及びそのスピーカ配置方法
【課題】音場補正を行うことなく、原音により忠実な音声を再生できること。
【解決手段】音響システム100は、複数のスピーカ装置20の現在位置を検出するスピーカ位置検出手段と、複数のスピーカ装置20の個数情報を取得する個数情報取得手段と、コーデック情報及びチャンネル構成情報を含むオーディオソース情報を取得するオーディオソース情報取得手段と、個数情報取得手段により取得された複数のスピーカ装置20の個数情報と、オーディオソース情報取得手段により取得されたコーデック情報及びチャンネル構成情報と、に基づいて、複数のスピーカ装置20夫々の推奨配置を導出するスピーカ配置導出手段と、スピーカ位置検出手段により検出された複数のスピーカ装置20夫々の現在位置が、スピーカ配置導出手段により導出された複数のスピーカ装置20夫々の推奨配置となるように、指示を行う指示手段と、を備える。
【解決手段】音響システム100は、複数のスピーカ装置20の現在位置を検出するスピーカ位置検出手段と、複数のスピーカ装置20の個数情報を取得する個数情報取得手段と、コーデック情報及びチャンネル構成情報を含むオーディオソース情報を取得するオーディオソース情報取得手段と、個数情報取得手段により取得された複数のスピーカ装置20の個数情報と、オーディオソース情報取得手段により取得されたコーデック情報及びチャンネル構成情報と、に基づいて、複数のスピーカ装置20夫々の推奨配置を導出するスピーカ配置導出手段と、スピーカ位置検出手段により検出された複数のスピーカ装置20夫々の現在位置が、スピーカ配置導出手段により導出された複数のスピーカ装置20夫々の推奨配置となるように、指示を行う指示手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスピーカ装置を配置するための音響システム及びそのスピーカ配置方法に関し、より詳細には、音場補正を行うことなく、原音により忠実な音声を再生できる音響システム及びそのスピーカ配置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
音声を電気信号に変換する技術の音楽や映画のサウンドトラックへの応用において、左側から聞こえる音と、右側から聞こえる音とを別々のチャンネルに記録し、伝送する技術が普及している。特に、映画のサウンドトラックとしては、さらなる臨場感が追求されており、近年、3チャンネル以上のマルチチャンネルを有し、聴取者の周りを囲むようなスピーカレイアウトが規格化されている。
【0003】
また、DVDやBlu−Ray(登録商標)などの記録媒体の大容量化にともない、Dolby社やDTS社などがマルチチャンネルの音源をデジタルデータ化するコーデック技術を開発しており、このコーデック技術は、音源をこれら記憶媒体(メディア)に記録するための規格として採用されている。ここで、特に聴取位置の後方から聞こえる音については、サラウンドチャンネルと呼ばれている。DVD−Video規格においては、マルチチャンネルのコーデックとしてDolby社のAC−3(登録商標)が採用されており、次に示す(1)乃至(6)のチャンネルが音源として適用されている。
【0004】
(1)Cチャンネル:聴取位置の正面からの音源、(2)Lチャンネル:聴取位置の正面より左22°〜30°からの音源、(3)Rチャンネル:聴取位置の正面より右22°〜30°からの音源、(4)Lsチャンネル:聴取位置の正面より左90°〜110°からの音源、(5)Rsチャンネル:聴取位置の正面より右90°〜110°からの音源、(6)Lfeチャンネル:方向不特定の低音域音源(人間の耳は低音域の方向性を聞き分ける能力に乏しい為)。ここで、Lfeチャンネルは、他の5チャンネルと区別され、5.1chと呼ばれている。
【0005】
DVD−Video規格においては、他にオプションとしてDTS社のコーデックも採用されているが、チャンネル構成はAC−3と略同一である。Blu−Ray規格においては、上記チャンネル構成に、さらに2つのサラウンドチャンネルが追加され、最大7.1chとなっており、コーデックとしてDolby社のE−AC3(登録商標)やDTS社のDTS−HD(登録商標)などが採用されている。なお、DTS−HD規格においては、C、L、R、Ls、Rs、Lfe、Cs、Lh、Rh、Lsr、Rsr、Ch、Oh、Lc、Rc、Lw、Rw、Lss、Rss、Lfe2、Lhs、Rhs、Chr、Lhr、Rhr、からなる25個の音声チャンネルが規定されている。
【0006】
このうちLfe及びLfe2は、低音域用のチャンネルであり、これらチャンネルには、1つのスピーカに組み込まれて(ミックスして)出力するようなスピーカレイアウトが規定されている。また、これら25個のチャンネルから1つの低音域用チャンネルとそれ以外の7つのチャンネルのみを使った組み合わせを、次の(11)乃至(17)の7種類規定し、標準7.1chと称している。(11)C、L、R、Lfe、Lss、Rss、Lsr、Rsr、(12)C、L、R、Ls、Rs、Lfe、Lhs、Rhs、(13)C、L、R、Ls、Rs、Lfe、Lh、Rh、(14)C、L、R、Ls、Rs、Lfe、Lsr、Rsr、(15)C、L、R、Ls、Rs、Lfe、Cs、Ch、(16)C、L、R、Ls、Rs、Lfe、Cs、Oh、(17)C、L、R、Ls、Rs、Lfe、Lw、Rw。
【0007】
さらに、上記(11)乃至(17)のうち、デコーダが標準7.1chスピーカレイアウトとして1種類のみを採用する場合、上記(11)C、L、R、Lfe、Lss、Rss、Lsr、Rsr、を採用することが決められている。この際、これらチャンネルは、次の(21)乃至(28)に示す通りの音源として規定されている。
【0008】
(21)Cチャンネル:聴取位置の正面からの音源、(22)Lチャンネル:聴取位置の正面より左30°からの音源、(23)Rチャンネル:聴取位置の正面より右30°からの音源、(24)Lfeチャンネル:方向不特定の低音域音源、(25)Lssチャンネル:聴取位置の正面より左90°からの音源、(26)Rssチャンネル:聴取位置の正面より右90°からの音源、(27)Lsrチャンネル:聴取位置の正面より左150°からの音源、(28)Rsrチャンネル:聴取位置の正面より右150°からの音源。
【0009】
すなわち、DVD−Videoの5.1chに対して音源の方向が厳密に定義されており、特にサラウンドチャンネルのスピーカレイアウトは、聴取位置の正面方向を0°として、左右に90°の角度に配置するLss/Rssと呼ばれるスピーカと、150°の角度に配置するLsr/Rsrと呼ばれる後方のサラウンドスピーカとによって構成されている。ところが、DVD−Videoの5.1chのサラウンドスピーカLs/Rsは、上述した標準7.1chのスピーカレイアウト(11)では存在しないものの、残りの6種類の標準7.1chスピーカレイアウト(12)乃至(17)には存在しており、左右に110°の角度で配置することになっている。
【0010】
これに対し、市場で入手できるオーディオコンテンツには、5.1chのサラウンドスピーカの配置を想定したものが既に流通している。したがって、DTS−HD規格において、デコーダが上述した1種類のスピーカレイアウト(1)のみに適応する場合、デコード時におけるストリームに含まれるチャンネル構成の情報に基づいて音場補正を行うよう規定されている。すなわち、5.1chのサラウンドスピーカの配置を想定したオーディオコンテンツであると判定した場合に、Ls/Rsチャンネルはデコーダにおいて規定の減衰量で音量を下げ、それぞれLss/RssスピーカとLsr/Rsrスピーカとの双方に出力する。
【0011】
一方、Dolby社のE−AC3においては、L、C、R、Ls、Rs、Lb、Rb、Lsd、Rsd、Lc、Rc、Lw、Rw、Lh、Rh、Ch、Cs、Ts、LFE、LF2からなる20個の音声チャンネルが規定されている。このうちLFEとLF2は、夫々、DTS−HDのLfeとLfe2に相当する低音域用のチャンネルであり、これらチャンネルには、1つのスピーカに組み込んで(ミックスして)出力するようなスピーカレイアウトが規定されている。
【0012】
また、これらのチャンネルのうち、L、R、C、Ls、Rs、Lb、Rb、LFEの7.1chを再生する際のスピーカレイアウトとして、下記の(31)乃至(38)に示すスピーカの配置が推奨されている(図8)。
【0013】
(31)Lチャンネル:聴取位置の正面より左22°〜30°からの音源、(32)Cチャンネル:聴取位置の正面のスピーカからの音源、(33)Rチャンネル:聴取位置の正面より右22°〜30°からの音源、(34)Lsチャンネル:聴取位置の正面より左90°〜110°からの音源、(35)Rsチャンネル:聴取位置の正面より右90°〜110°からの音源、(36)Lbチャンネル:聴取位置の正面より左135°〜150°からの音源、(37)Rbチャンネル:聴取位置の正面より右135°〜150°からの音源、(38)LFEチャンネル:方向不特定の低音域音源。
【0014】
このようにDolbyではLss/Rssチャンネルは存在せず、Ls/Rsチャンネルは存在するものの、スピーカレイアウトは90°から110°の間に配置すればよいことになっており、DTS−HDのように2つのスピーカに出力する必要がない。このため、DolbyとDTS−HDとでは、同じLs/Rsチャンネルであっても、出力するスピーカが異なることになり、音像定位の整合が崩れてしまう恐れがある。
【0015】
一方で、マルチチャンネルの音源を記録したオーディオソースを再生する音響システムにおいて、音場を補正する必要のない位置にスピーカ装置を配置するためのガイダンスを行う音響システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008−078938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記特許文献1に示す音響システムにおいて、最初に制御装置の電源を入れた時、または、音響システムを再設定するために制御装置を初期設定モードにした時に、再生するチャンネル構成は確認せずに、表示装置にスピーカ装置の推奨配置を表示している。そして、当該音響システムは、その表示後、必要に応じて音場補正を実行している。
【0017】
例えば、DTS−HD規格において、上述の如く、デコーダが標準7.1chスピーカレイアウトとして(11)のみに適応する場合、オーディオソースのLs/Rsチャンネルは、Lss/RssスピーカとLsr/Rsrスピーカとに振り分けて出力される。一方で、DVD−Videoの5.1chやDolby規格において、オーディオソースのLs/Rsチャンネルは上記振り分けされることなく、そのままLss/Rssスピーカから出力される。
【0018】
このため、例えば、表示装置に表示された推奨配置が上記(11)C、L、R、Lss、Rss、Lsr、Rsrだとすると、DVD−VideoのDTS 5.1chでオーディオソースのLs/Rsチャンネルを再生した場合、音場補正により、そのLs/Rsチャンネルを、Lss/RssスピーカとLsr/Rsrスピーカとに振り分けて出力する必要が生じる。一方、Dolby規格のAC3やE−AC3でオーディオソースのLs/Rsチャンネルを再生した場合、音場補正を行う必要はなく、Ls/RsチャンネルはLss/Rssスピーカからそのまま出力される。
【0019】
このように、例えば、DVD−VideoのDTS 5.1chでLs/Rsチャンネルを再生する場合と、DolbyのAC3やE−AC3でLs/Rsチャンネルを再生する場合とで、同じチャンネル構成(Ls/Rs)にもかかわらず出力するスピーカが異なるため、音像定位の整合が崩れ、原音に忠実な音声を再生することが困難となる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一態様は、複数のスピーカ装置の現在位置を検出するスピーカ位置検出手段と、前記複数のスピーカ装置の個数情報を取得する個数情報取得手段と、コーデック情報及びチャンネル構成情報を含むオーディオソース情報を取得するオーディオソース情報取得手段と、を備える音響システムであって、前記個数情報取得手段により取得された前記複数のスピーカ装置の個数情報と、前記オーディオソース情報取得手段により取得された前記コーデック情報及びチャンネル構成情報と、に基づいて、前記複数のスピーカ装置夫々の推奨配置を導出するスピーカ配置導出手段と、前記スピーカ位置検出手段により検出された前記複数のスピーカ装置夫々の現在位置が、前記スピーカ配置導出手段により導出された前記複数のスピーカ装置夫々の推奨配置となるように、指示を行う指示手段と、を備える、ことを特徴とする音響システムである。この一態様によれば、オーディオソース情報のコーデック情報及びチャンネル構成情報を考慮して、スピーカ装置の推奨配置が導出されるため、音場補正を行うことなく、原音により忠実な音声を再生できる。
【0021】
他方、本発明の一態様は、複数のスピーカ装置の現在位置を検出するスピーカ位置検出工程と、前記複数のスピーカ装置の個数情報を取得する個数情報取得工程と、コーデック情報及びチャンネル構成情報を含むオーディオソース情報を取得する取得工程と、を備える音響システムのスピーカ配置方法であって、前記個数情報取得工程で取得された前記複数のスピーカ装置の個数情報と、前記取得工程により取得された前記コーデック情報及びチャンネル構成情報と、に基づいて、前記複数のスピーカ装置夫々の推奨配置を導出するスピーカ配置導出工程と、前記スピーカ位置検出工程で検出された前記スピーカ装置の現在位置が、前記スピーカ配置導出工程で導出された前記複数のスピーカ装置夫々の推奨配置となるように、指示を行う指示工程と、を備える、ことを特徴とする音響システムのスピーカ配置方法であってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、音場補正を行うことなく、原音により忠実な音声を再生できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施形態を挙げて説明する。
(第1実施形態)
【0024】
図1は、本発明の第1実施形態に係る音響システムのシステム構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る音響システム100は、制御装置10と、複数のスピーカ装置20と、各スピーカ装置20の現在位置を検出するための超音波マイク30と、スピーカ装置20の配置を表示するための表示装置40と、オーディオソースを再生するためのAV再生機50と、ユーザの聴取位置を検出するための位置ポインタ装置60と、を備えている。なお、制御装置10、複数のスピーカ装置20及び位置ポインタ装置60は、例えば、共通の伝送路70を介して相互に接続されている。
【0025】
制御装置10は、CPU1と、ROM2と、RAM3と、ネットワークI/F4と、送信信号生成部5と、受信信号生成部6と、AV再生機I/F7と、赤外線通信I/F8と、スピーカ装置情報記録部9と、表示装置I/F11と、超音波マイクI/F12と、を有している。なお、これら、各ユニット1〜12は、システムバス13を介して相互に接続されており、双方向の情報通信が可能である。
【0026】
ROM(Read Only Memory)2には、音響システム100の初期設定をはじめ、制御装置10の各動作を実行するための制御プログラム、演算プログラム等が記憶されている。CPU(Central Processing Unit)1は、RAM(Random Access Memory)3をワークエリアとして、ROM2に記憶されている制御プログラム、演算プログラム等を実行する。これにより、後述する各種処理が実現される。ネットワークI/F4は、複数のスピーカ装置20及び位置ポインタ装置60と共通の伝送路70を通じて通信を行うためのインタフェースであり、コネクタ71を介して共通の伝送路70に接続されている。
【0027】
送信信号生成部5は、CPU1からの制御信号に基づいて、ネットワークI/F4と共通の伝送路70を介して各スピーカ装置20に対して送信する音声信号、制御信号等を生成する機能を有している。また、送信信号生成部5は、CPU1からの制御信号に基づいて、AV再生機I/F7を介してAV再生機50へ、赤外線通信I/F8を介して各スピーカ装置20へ、表示装置I/F11を介して表示装置40へ、送信する各信号を生成するための機能を有している。
【0028】
受信信号処理部6は、超音波マイクI/F12を介して、超音波マイク30により検出された距離データ(超音波信号)に基づいて、各スピーカ装置20の位置を算出するためのデータ処理機能を有している。また、受信信号処理部6は、共通の伝送路70からネットワークI/F4を介して受信した信号や、赤外線通信I/F8を介して各スピーカ装置20から受信した信号や、表示装置I/F11を介して表示装置40から受信した信号を処理するための機能を有している。
【0029】
スピーカ装置情報記録部9は、制御装置10とスピーカ装置20とが共通の伝送路70を介して通信するために、各スピーカ装置20を識別するための識別子テーブル等を記録する。なお、スピーカ装置情報記録部9は、RAM3上に形成されてもよい。
【0030】
AV再生機I/F7には、オーディオソースが記録されている記録媒体51を再生するAV再生機(オーディオソース情報取得手段)50が接続されている。なお、AV再生機50は、制御装置10に内蔵される構成であってもよい。赤外線通信I/F7は、各スピーカ装置20と赤外線通信を行うインタフェースである。表示装置I/F11は、表示装置用ケーブルを介して表示装置40と接続されている。
【0031】
超音波マイクI/F12には、例えば、4つの超音波マイク30が接続されている。また、各超音波マイク30は、例えば、表示装置40の四隅に設置されており、各スピーカ装置20の位置を検出するために使用される。なお、使用される超音波マイク30の数及びその取付位置は、各スピーカ装置20の位置を適切に検出できれば、任意でよい。また、超音波発振体296の位置を検出するためには、一般的には3つの超音波マイク30からの信号で十分であるが、より精度を上げるために4本の超音波マイク30で構成するのが好ましい。
【0032】
図2は、第1実施形態に係る音響システムのスピーカ装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。
【0033】
スピーカ装置20は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、ネットワークI/F24と、送信信号生成部25と、受信信号処理部26と、スピーカ駆動部27と、スピーカユニット28と、位置情報送信部29と、を備えている。なお、これら各ユニット21〜29は、システムバス31を介して相互に接続されている。
【0034】
ROM22には、音響システム100の初期設定をはじめ、スピーカ装置20の各動作を実行するための制御プログラム、演算プログラム等が記憶されている。CPU21は、RAM23をワークエリアとして、ROM22に記憶された制御プログラム、演算プログラム等を実行することで各種処理を実現する。
【0035】
ネットワークI/F24は、制御装置10との間で通信を行うためのインタフェースであり、コネクタ72を介して共通の伝送路70に接続されている。
【0036】
送信信号生成部25は、ネットワークI/F24と共通の伝送路70を介して制御装置10に送る信号を生成する機能を有している。なお、送信信号生成部25で生成される信号には、制御装置10から送信され、位置情報送信部29に記憶される当該スピーカ装置20を識別するための識別情報(以下、識別子と称す)も含まれている。
【0037】
受信信号処理部26は、共通の伝送路70とネットワークI/F24とを介して制御装置10から送られてくる音声信号、制御信号等を受信してスピーカユニット28を駆動する駆動信号やスピーカ装置20を制御する制御信号を生成する。
【0038】
例えば、共通の伝送路70上の信号において、1つのパケットに全てのスピーカ装置20の識別子と音声信号が含まれている場合、受信信号処理部26は、自身の識別子に対応する音声信号及び制御信号を抽出し、スピーカユニット28を駆動する信号やスピーカ装置20を制御する信号とする。
【0039】
スピーカユニット28を駆動する駆動信号は、スピーカ駆動部27へ送信される。また、スピーカ装置20を制御する制御信号は、CPU21に対して送信される。受信信号処理部26からスピーカ駆動部27に対して送信された駆動信号は、スピーカ駆動部27内のD/A変換器(不図示)によりアナログ信号に変換され、スピーカユニット28に対して供給される。そして、スピーカユニット28は、そのアナログ信号に基づいて、音声出力する。
【0040】
位置情報送信部29は、コントローラ291と、識別子記録部292と、赤外線通信I/F293と、超音波発振子駆動部294とがシステムバス295を介して接続され、構成されている。
【0041】
コントローラ291は、位置情報送信部29内の各種の制御を行うと共に、スピーカ装置20のCPU21との間でデータの送受信を行う。識別子記憶部292は、赤外線通信I/F293を介して制御装置10より受信した識別子を記憶する。超音波発振子駆動部294は、赤外線通信I/F293を介して制御装置10より受信した制御信号に基づいて超音波発振子296の駆動を制御する。また、位置情報送信部29には、この駆動制御をON(駆動可能)/OFF(駆動不能)できるスイッチ297が設けられている。なお、位置情報送信部29は電池298により駆動されているが、電源をスピーカ装置20と別ユニットとして提供することも可能である。
【0042】
図3は、第1実施形態に係る音響システムの位置ポインタ装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。位置ポインタ装置(聴取位置検出手段)60は、コントローラ61と、赤外線通信I/F62と、超音波発振子駆動部63と、がシステムバス64を介して相互に接続され、構成されている。
【0043】
コントローラ61は、赤外線通信I/F62を介して制御装置10から制御信号を送受信する。そして、コントローラ61は、この制御信号に基づいて、超音波発振子駆動部63を介して超音波発振子65の駆動を制御する。位置ポインタ装置60は、例えば、電池66により駆動されている。
【0044】
次に、第1実施形態に係る音響システム100におけるスピーカ装置20の配置方法について詳細に説明する。図4は、第1実施形態に係る音響システムによるスピーカ装置の配置処理フローの一例を示すフローチャートである。なお、制御装置10と表示装置40との接続、超音波マイク30の表示装置40のへの装着、制御装置10との接続、などの設定は既に完了しているものとする。
【0045】
まず、制御装置10に電源を最初に入れた時、または、音響システム100を再設定するために制御装置10を初期設定モードにした時において、制御装置10は、表示装置40の表示画面上にスピーカ装置20の個数を入力する初期設定画面を表示させる。この表示装置40の初期設定画面において、ユーザはリモコン等の入力装置(個数情報取得手段)を利用してスピーカ装置20の個数情報を入力することができる(ステップS100)。例えば、スピーカ装置20の全個数だけでなく、スピーカ装置20のうちサブウーファ等の特定タイプの個数も同時に入力される。入力装置により入力されたスピーカ装置20の個数情報は、RAM3に記憶される。
【0046】
その後、制御装置10のCPU1は、AV再生機50に対して、システムバス13及びAV再生機I/F7を介して制御信号を送信する。AV再生機50は、この制御信号に基づいて、記憶媒体51のオーディオソースのデコード処理を開始し、再生を開始する(ステップS101)。
【0047】
そして、AV再生機50は、再生したオーディオソースの音声信号と共に、コーデック情報及びチャンネル構成情報を、AV再生機I/F7及びシステムバス13を介して、RAM3に対して送信する(ステップS102)。コーデック情報及びチャンネル構成情報は、RAM3に記憶される。
【0048】
なお、オーディオソースのコーデック情報は、例えば、予め記憶媒体51に記憶されており、AV再生機50は、このコーデック情報を上記デコード処理が開始される前に記憶媒体51から読み出すことができるが、ストリーム解析を行うことで、オーディオソースのコーデック情報を抽出してもよい。また、AV再生機50は、デコード処理の開始後、ストリームのヘッダからチャンネル構成情報を読み出すことができる。これは、チャンネル構成情報が、AC3、E−AC3、DTS−HD等において、通常、ストリームのヘッダに含まれているからである。
【0049】
次に、制御装置10のCPU(スピーカ配置導出手段)1は、RAM3に記憶されたオーディソースのコーデック情報及びチャンネル構成情報と、スピーカ装置20の個数情報とに基づいて、スピーカ装置20の推奨配置を導出する(ステップS103)。なお、スピーカ装置20の推奨配置の詳細な導出方法は、後述する。そして、制御装置10は、導出したスピーカ装置20の推奨配置を、表示装置40に表示させる(ステップS104)。
【0050】
その後、制御装置10は、センターのスピーカ装置20とユーザの聴取位置との間の距離を計測する(ステップS105)。例えば、制御装置10は、表示装置40の表示画面からセンターのスピーカ装置20までの距離を、リモコン等を用いてユーザに入力させるべく、表示装置40による指示表示を行う。一方、ユーザは、位置ポインタ装置60を表示装置40の正面の聴取位置に設置する。その後、制御装置10は、赤外線通信によって、位置ポインタ装置60に内蔵する超音波発振子65の駆動を制御する。表示装置40に装着した超音波マイク30は、その超音波を受信する。制御装置10は、超音波マイク30による超音波の受信タイミングに基づいて、位置ポインタ装置60の位置を検出し、上記センターのスピーカ装置20と聴取位置との間の距離を計測する。この距離を求めることによって、制御装置10は、配置された複数のスピーカ装置20との距離を含めた、各スピーカ装置20の相対位置を検出できる。
【0051】
さらに、制御装置10は、検出した各スピーカ装置20の現在位置と、導出したスピーカ装置20の推奨配置と、に基づいて、各スピーカ装置20の配置が推奨配置となるように、ユーザに対して指示を行う。例えば、制御装置10は、表示装置40に表示された複数のスピーカ装置20の推奨配置のうちの一つを点滅させ、その点滅位置に一つのスピーカ装置20を設置するようユーザに対して指示表示を行う(ステップS106)。ユーザは、この指示表示に従ってそのスピーカ装置20を、順次、その推奨配置に設置する。
【0052】
なお、制御装置10は、赤外線通信によってスピーカ装置20の位置情報通知部29に内蔵する超音波発振子296の駆動を制御する。表示装置40に装着した超音波マイク30は、超音波発振子296からの超音波を受信する。制御装置10は、超音波マイク30による超音波の受信タイミングに基づいて、スピーカ装置20の位置を瞬時に検出し、リアルタイムで表示装置40に表示する。
【0053】
次に、制御装置10は、赤外線通信によって各スピーカ装置20を識別するための識別子を、各スピーカ装置20に付与する(ステップS107)。スピーカ装置20は、割り当てられた識別子を識別子記憶部292に記憶する。
【0054】
その後、制御装置10は、全てのスピーカ装置20の設置が完了したかを確認する(ステップS108)。制御装置10は、設置を完了していないスピーカ装置20があると判断したとき(ステップS108のNO)、上記(ステップS106)に戻り、上記処理を繰り返す。
【0055】
制御装置10は、全てのスピーカ装置20の設置が完了したと判断したとき(ステップS108のYES)、各スピーカ装置20のケーブルを接続するよう指示表示する(ステップS109)。ここで、制御装置10は、推奨するケーブル配線図、必要なケーブル数やその長さなどを表示装置40に表示する。ユーザはこれらを参照してスピーカ装置20と制御装置10とのケーブルの接続を行う。この時、ユーザがケーブル配線の指定や、一部区間の無線化を指定することも可能である。
【0056】
次に、制御装置10は、各スピーカ装置20の識別子記憶部292に記憶された識別子をネットワークIDとして、共通の伝送路70上における通信を形成する(ステップS110)。そして、制御装置10は、各スピーカ装置20に適切な音声データを形成し、識別子を付与し、共通の伝送路70上に音声データを送信する。
【0057】
次に、制御装置によるスピーカ装置の推奨配置の導出方法について、詳細に説明する。図5は、制御装置によるスピーカ装置の推奨配置の導出方法の一例を示すフローチャートである。
【0058】
まず、制御装置10は、例えば、RAM3に記憶されたスピーカ装置20の個数情報に基づいて、入力されたスピーカ装置20の全個数が8個で、サブウーファの個数が1個であるか否かを判断する(ステップS111)。
【0059】
制御装置10は、スピーカ装置20の全個数が8個で、サブウーファの個数が1個でないと判断したとき(ステップS111のNO)、スピーカ装置20の推奨配置がDVD−Videoの5.1chのスピーカ配置(図6)であると判断し(ステップS112)、本処理を終了する。ここで、図6に示す、DVD−Videoの5.1chのスピーカ配置において、聴取位置から正面方向に対して0°の方向にセンタースピーカC、左22°から30°の方向に左フロントスピーカFL、右22°から30°の方向に右フロントスピーカFR、左90°から110°の方向に左サラウンドスピーカSL、右90°から110°の方向に右サラウンドスピーカSRが配置されている。
【0060】
一方、制御装置10は、スピーカ装置20の全個数が8個で、サブウーファの個数が1個であると判断したとき(ステップS111のYES)、RAM3に記憶されたオーディオソースのコーデック情報に基づいて、コーデック種別がDTS−HDであるか否かを判断する(ステップS113)。
【0061】
制御装置10は、コーデック種別がDTS−HDでないと判断したとき(ステップS113のNO)、スピーカ装置20の推奨配置がDolbyの7.1chのスピーカ配置(図7)であると判断し(ステップS114)、本処理を終了する。ここで、図7に示すDolbyの7.1chのスピーカ配置において、聴取位置から正面方向に対して0°の方向にセンタースピーカC、左22°から30°の方向に左フロントスピーカFL、右22°から30°の方向に右フロントスピーカFR、左90°から110°の方向に左サラウンドスピーカSL、右90°から110°の方向に右サラウンドスピーカSR、左135°から150°の方向に左リアサラウンドスピーカRL、右135°から150°の方向に右リアサラウンドスピーカRRが配置されている。
【0062】
一方、制御装置10は、コーデック種別がDTS−HDであると判断したとき(ステップS113のYES)、RAM3に記憶されたオーディオソースのチャンネル構成情報に基づいて、チャンネル構成にLss/Rssチャンネルが含まれているか否かを判断する(ステップS115)。
【0063】
制御装置10は、チャンネル構成にLss/Rssチャンネルが含まれていると判断したとき(ステップS115のYES)、スピーカ装置20の推奨配置がDTS−HDの標準7.1ch(C、L、R、Lfe、Lss、Rss、Lsr、Rsr)のスピーカ配置(図8)であると判断し(ステップS116)、本処理を終了する。ここで、図8に示すDTS−HDの標準7.1chのスピーカ配置において、聴取位置から正面方向に対して0°の方向にセンタースピーカC、左30°の方向に左フロントスピーカFL、右30°の方向に右フロントスピーカFR、左90°の方向に左サラウンドスピーカSL、右90°の方向に右サラウンドスピーカSR、左150°の方向に左リアサラウンドスピーカRL、右150°の方向に右リアサラウンドスピーカRRが配置されている。
【0064】
一方、制御装置10は、チャンネル構成にLss/Rssチャンネルが含まれていないと判断したとき(ステップS115のNO)、スピーカ装置20の推奨配置がDolbyの7.1chのスピーカ配置(図7)であると判断し(ステップS114)、本処理を終了する。
【0065】
このように、例えば、スピーカ装置20の全個数が8個でサブウーファの個数が1個である場合において、再生するオーディオソースのコーデックがDVD−VideoのAC3、DTS 5.1ch、又はBlu−rayのE−AC3の場合と、DTS−HDの標準7.1chの場合とで、夫々のコーデック種別及びチャンネル構成に最適となるスピーカ配置が行われるため、音場補正を行うことなく、原音により忠実な音声を再生できる。
【0066】
以上、第1実施形態に係る音響システム100において、制御装置10は、最適なスピーカ装置20の推奨配置を、デコード結果のコーデック情報及びチャンネル構成情報から判定し、その判定結果に応じて、ユーザはスピーカ配置を最適に行うことができる。このため、DVD-VideoのDolby AC3 5.1chやDolby E-AC3 7.1chを再生したときは、図6や図7に示すスピーカ装置20の推奨配置が指示される。この場合、左スピーカ装置SLは、正面方向から左110°に配置され、その位置からLsチャンネルを放音する。一方、右スピーカ装置SRは、正面方向から右110°に配置され、その位置からRsチャンネルを放音する。
【0067】
ここで、DVD-VideoのDTS 5.1chが再生されたときも、図6及び図7に示すスピーカ装置20の推奨配置が指示される。この場合、左スピーカ装置SLは、正面方向から左110°に配置され、Lsチャンネルはその位置から放音する。このため、左スピーカ装置SLと左リアスピーカ装置RLとに、Lsチャンネルを振り分ける必要がない。同様に、右スピーカ装置SRは、正面方向から右110°に配置され、Rsチャンネルはその位置から放音する。このため、右スピーカ装置SRと右リアスピーカ装置RRとに、Rsチャンネルを振り分ける必要もない。さらに、DTS-HD標準7.1chが再生されたときには、図8に示すスピーカ装置20の推奨配置が指示される。この場合、左スピーカ装置SLは、正面方向から左90°に配置され、Lssチャンネルを放音する。一方、右スピーカ装置SRは、正面方向から右90°に配置され、Rssチャンネルを放音する。このため、これらのオーディオソースを再生する際には、音場補正をすることなく原音により忠実な音声を再生できる。
【0068】
以上、上述の如く、多様なチャンネル構成のオーディオソースを単一の音響システム100で再生しようとした場合でも、オーディオソース毎の音像定位の整合が崩れるのを防止できる。また、如何なるチャンネル構成のオーディオソースを再生した場合でも、スピーカ装置20の数が充分である限り、音場補正をすることなく原音により忠実な音声を再生できる。
(第2実施形態)
【0069】
図9は、第2実施形態に係る音響システムに係るスピーカ装置のシステム構成を示す図である。また、図10(a)は、第2実施形態に係る音響システムに係るスピーカ装置の側面図であり、図10(b)は、第2実施形態に係る音響システムに係るスピーカ装置の正面図である。
【0070】
図9及び図10に示すように、第2実施形態に係るスピーカ装置200は、第1実施形態に係るスピーカ装置20の構成に加えて、更に、スピーカ装置200を移動させるための4つの車輪201と、車輪201を回転駆動するためモータ202と、モータ202の回転駆動を制御する駆動モータ制御部203と、を備えている。制御装置10は、駆動モータ制御部203に対して制御信号を送信することで、モータ202の回転駆動を制御し、スピーカ装置200を、例えば、床面、壁面、あるいはガイドレールなどに沿って、推奨配置へ移動させることができる。
【0071】
なお、駆動モータ制御部203は、制御装置10からの制御信号を共通の伝送路70及び受信信号処理部26を介して受信してもよく、位置情報送信部29の赤外線通信I/F293を介して受信してもよい。また、位置情報送信部29の赤外線通信I/F293で受ける場合は、位置情報送信部29に電池298が装着されている必要がある。
【0072】
図11は、第2実施形態に係る音響システムによるスピーカ装置の配置処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0073】
まず、最初に制御装置10の電源を入れた時、または、音響システム102を再設定するために制御装置10を初期設定モードにした時において、制御装置10は、表示装置40の表示画面にスピーカ装置200の個数を入力する初期設定画面を表示させる。この表示装置40の初期設定画面において、ユーザはリモコン等の入力装置を利用してスピーカ装置200の個数情報を入力することができる(ステップS200)。
【0074】
次に、制御装置10のCPU1は、スピーカ装置200の個数情報に基づいて、スピーカ装置200の推奨配置を導出する(ステップS201)。そして、制御装置10は、導出したスピーカ装置200の推奨配置を表示装置40に表示させる(ステップS202)。
【0075】
その後、制御装置10は、センターのスピーカ装置200と聴取位置との間の距離を計測し(ステップS203)、配置された複数のスピーカ装置200との間の相対位置を検出する。
【0076】
さらに、制御装置10は、例えば、表示装置40に表示された複数のスピーカ装置20の推奨配置のうちの一つを点滅させ、その点滅位置に一つのスピーカ装置200を設置するよう、ユーザに対して指示を行う(ステップS204)。ユーザは、この指示に従ってそのスピーカ装置200を、表示装置40に表示された推奨配置に設置する。
【0077】
次に、制御装置10は、赤外線通信によって各スピーカ装置200を識別するための識別子を、各スピーカ装置200に付与する(ステップS205)。スピーカ装置200は、割り当てられた識別子を識別子記憶部292に記憶する。
【0078】
その後、制御装置10は、全てのスピーカ装置200の設置が完了したかを確認する(ステップS206)。制御装置10は、設置を完了していないスピーカ装置200があると判断したとき(ステップS206のNO)、上記(ステップS204)に戻り、上記処理を繰り返す。
【0079】
制御装置10は、全てのスピーカ装置200の設置が完了したと判断したとき(ステップS206のYES)、各スピーカ装置200のケーブルを接続するよう、表示装置40に指示内容を表示させる(ステップS207)。次に、制御装置10は、各スピーカ装置200の識別子記憶部292に記憶された識別子を、ネットワークIDとして共通の伝送路70上における通信を形成する(ステップS208)。
【0080】
その後、制御装置10のCPU1は、AV再生機50に対して、システムバス13及びAV再生機I/F7を介して制御信号を送信する。AV再生機50は、この制御信号に基づいて、記憶媒体51のオーディオソースのデコード処理及び再生を開始する(ステップS209)。
【0081】
そして、AV再生機50は、再生したオーディオソースの音声信号と共に、コーデック情報及びチャンネル構成情報を、AV再生機I/F7及びシステムバス13を介して、制御装置10のRAM3に対して送信する(ステップS210)。コーデック情報及びチャンネル構成情報は、RAM3に記憶される。
【0082】
制御装置10は、RAM3に記憶されたオーディソースのコーデック情報及びチャンネル構成情報に基づいて、スピーカ装置200の推奨配置を再度導出する(ステップS211)。例えば、DVD−VideoのDolby 5.1chが再生された場合、制御装置10は、そのコーデック情報及びチャンネル構成情報に基づいて、スピーカ装置200の推奨配置がDolbyの7.1chのスピーカ配置(図7)であると判断する。
【0083】
ここで、制御装置10は、上記(ステップS201)において、例えば、スピーカ装置200の推奨配置がDTS−HD標準7.1chのC、L、R、Lfe、Lss、Rss、Lsr、Rsr、のスピーカ配置を導出している場合、システムバス13及びAV再生機I/F7を介して、AV再生機7を一時停止させる(ステップS212)。
【0084】
次に、制御装置10は、AV再生機7が一時停止したと判断すると、各スピーカ装置200の駆動モータ制御部203を制御して、各スピーカ装置200をその推奨配置へ移動させる(ステップS213)。
【0085】
例えば、制御装置10は、聴取位置から正面方向に対して左90°の方向に配置された左スピーカ装置SLおよび右90°の方向に配置された右スピーカ装置SRに対し、それぞれ左110°、右110°の方向の配置に移動するように、共通の伝送路70及び各スピーカ装置200の受信信号処理部6を介して、駆動モータ制御部203に制御信号を送信する。一方、左スピーカ装置SLおよび右スピーカ装置SRの駆動モータ制御部203は、制御装置10からの制御信号を受信すると、各モータ202を駆動制御して、それぞれ左110°および右110°の方向の配置に移動する。
【0086】
その後、制御装置10は、各スピーカ装置200による推奨配置へ移動が完了したと判断すると、システムバス13及びAV再生機I/F7を介して、AV再生機50に一時停止を解除させる(ステップS214)。AV再生機50は、制御装置10からの制御信号に基づいて、一時停止を解除し、再生を再開する。
【0087】
第2実施形態に係る音響システム102において、他の構成は第1実施形態に係る音響システム100と略同一である。したがって、同一部分に同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0088】
以上、第2実施形態に係る音響システム102において、スピーカ装置200は、移動可能な車輪201と、車輪201を回転駆動するためモータ202と、モータ202の回転駆動を制御する駆動モータ制御部203と、を備えている。これにより、AV再生機50の再生を一時停止した状態で、短時間でスピーカ装置200の配置を自動変更することができる。したがって、AV再生機50の再生開始時から、コーデック情報及びチャンネル構成情報に基づく推奨配置に設置したスピーカ装置200から再生音声を放音することが可能となる。
【0089】
なお、本発明を実施するための最良の形態について上記実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした上記実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第1実施形態に係る音響システムのシステム構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る音響システムのスピーカ装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る音響システムの位置ポインタ装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る音響システムによるスピーカ装置の配置処理フローの一例を示すフローチャートである。
【図5】制御装置によるスピーカ装置の推奨配置の導出方法の一例を示すフローチャートである。
【図6】DVD−Videoの5.1chのスピーカ推奨配置の一例を示す図である。
【図7】Dolbyの7.1chのスピーカ推奨配置の一例を示す図である。
【図8】DTS−HD標準7.1chのスピーカ推奨配置の一例を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る音響システムのスピーカ装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。
【図10】(a)本発明の第2実施形態に係る音響システムのスピーカ装置の側面図である。(b)本発明の第2実施形態に係る音響システムのスピーカ装置の正面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る音響システムによるスピーカ装置の配置処理フローの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0091】
10 制御装置
20 スピーカ装置
30 超音波マイク
40 表示装置
50 AV再生機
100 音響システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスピーカ装置を配置するための音響システム及びそのスピーカ配置方法に関し、より詳細には、音場補正を行うことなく、原音により忠実な音声を再生できる音響システム及びそのスピーカ配置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
音声を電気信号に変換する技術の音楽や映画のサウンドトラックへの応用において、左側から聞こえる音と、右側から聞こえる音とを別々のチャンネルに記録し、伝送する技術が普及している。特に、映画のサウンドトラックとしては、さらなる臨場感が追求されており、近年、3チャンネル以上のマルチチャンネルを有し、聴取者の周りを囲むようなスピーカレイアウトが規格化されている。
【0003】
また、DVDやBlu−Ray(登録商標)などの記録媒体の大容量化にともない、Dolby社やDTS社などがマルチチャンネルの音源をデジタルデータ化するコーデック技術を開発しており、このコーデック技術は、音源をこれら記憶媒体(メディア)に記録するための規格として採用されている。ここで、特に聴取位置の後方から聞こえる音については、サラウンドチャンネルと呼ばれている。DVD−Video規格においては、マルチチャンネルのコーデックとしてDolby社のAC−3(登録商標)が採用されており、次に示す(1)乃至(6)のチャンネルが音源として適用されている。
【0004】
(1)Cチャンネル:聴取位置の正面からの音源、(2)Lチャンネル:聴取位置の正面より左22°〜30°からの音源、(3)Rチャンネル:聴取位置の正面より右22°〜30°からの音源、(4)Lsチャンネル:聴取位置の正面より左90°〜110°からの音源、(5)Rsチャンネル:聴取位置の正面より右90°〜110°からの音源、(6)Lfeチャンネル:方向不特定の低音域音源(人間の耳は低音域の方向性を聞き分ける能力に乏しい為)。ここで、Lfeチャンネルは、他の5チャンネルと区別され、5.1chと呼ばれている。
【0005】
DVD−Video規格においては、他にオプションとしてDTS社のコーデックも採用されているが、チャンネル構成はAC−3と略同一である。Blu−Ray規格においては、上記チャンネル構成に、さらに2つのサラウンドチャンネルが追加され、最大7.1chとなっており、コーデックとしてDolby社のE−AC3(登録商標)やDTS社のDTS−HD(登録商標)などが採用されている。なお、DTS−HD規格においては、C、L、R、Ls、Rs、Lfe、Cs、Lh、Rh、Lsr、Rsr、Ch、Oh、Lc、Rc、Lw、Rw、Lss、Rss、Lfe2、Lhs、Rhs、Chr、Lhr、Rhr、からなる25個の音声チャンネルが規定されている。
【0006】
このうちLfe及びLfe2は、低音域用のチャンネルであり、これらチャンネルには、1つのスピーカに組み込まれて(ミックスして)出力するようなスピーカレイアウトが規定されている。また、これら25個のチャンネルから1つの低音域用チャンネルとそれ以外の7つのチャンネルのみを使った組み合わせを、次の(11)乃至(17)の7種類規定し、標準7.1chと称している。(11)C、L、R、Lfe、Lss、Rss、Lsr、Rsr、(12)C、L、R、Ls、Rs、Lfe、Lhs、Rhs、(13)C、L、R、Ls、Rs、Lfe、Lh、Rh、(14)C、L、R、Ls、Rs、Lfe、Lsr、Rsr、(15)C、L、R、Ls、Rs、Lfe、Cs、Ch、(16)C、L、R、Ls、Rs、Lfe、Cs、Oh、(17)C、L、R、Ls、Rs、Lfe、Lw、Rw。
【0007】
さらに、上記(11)乃至(17)のうち、デコーダが標準7.1chスピーカレイアウトとして1種類のみを採用する場合、上記(11)C、L、R、Lfe、Lss、Rss、Lsr、Rsr、を採用することが決められている。この際、これらチャンネルは、次の(21)乃至(28)に示す通りの音源として規定されている。
【0008】
(21)Cチャンネル:聴取位置の正面からの音源、(22)Lチャンネル:聴取位置の正面より左30°からの音源、(23)Rチャンネル:聴取位置の正面より右30°からの音源、(24)Lfeチャンネル:方向不特定の低音域音源、(25)Lssチャンネル:聴取位置の正面より左90°からの音源、(26)Rssチャンネル:聴取位置の正面より右90°からの音源、(27)Lsrチャンネル:聴取位置の正面より左150°からの音源、(28)Rsrチャンネル:聴取位置の正面より右150°からの音源。
【0009】
すなわち、DVD−Videoの5.1chに対して音源の方向が厳密に定義されており、特にサラウンドチャンネルのスピーカレイアウトは、聴取位置の正面方向を0°として、左右に90°の角度に配置するLss/Rssと呼ばれるスピーカと、150°の角度に配置するLsr/Rsrと呼ばれる後方のサラウンドスピーカとによって構成されている。ところが、DVD−Videoの5.1chのサラウンドスピーカLs/Rsは、上述した標準7.1chのスピーカレイアウト(11)では存在しないものの、残りの6種類の標準7.1chスピーカレイアウト(12)乃至(17)には存在しており、左右に110°の角度で配置することになっている。
【0010】
これに対し、市場で入手できるオーディオコンテンツには、5.1chのサラウンドスピーカの配置を想定したものが既に流通している。したがって、DTS−HD規格において、デコーダが上述した1種類のスピーカレイアウト(1)のみに適応する場合、デコード時におけるストリームに含まれるチャンネル構成の情報に基づいて音場補正を行うよう規定されている。すなわち、5.1chのサラウンドスピーカの配置を想定したオーディオコンテンツであると判定した場合に、Ls/Rsチャンネルはデコーダにおいて規定の減衰量で音量を下げ、それぞれLss/RssスピーカとLsr/Rsrスピーカとの双方に出力する。
【0011】
一方、Dolby社のE−AC3においては、L、C、R、Ls、Rs、Lb、Rb、Lsd、Rsd、Lc、Rc、Lw、Rw、Lh、Rh、Ch、Cs、Ts、LFE、LF2からなる20個の音声チャンネルが規定されている。このうちLFEとLF2は、夫々、DTS−HDのLfeとLfe2に相当する低音域用のチャンネルであり、これらチャンネルには、1つのスピーカに組み込んで(ミックスして)出力するようなスピーカレイアウトが規定されている。
【0012】
また、これらのチャンネルのうち、L、R、C、Ls、Rs、Lb、Rb、LFEの7.1chを再生する際のスピーカレイアウトとして、下記の(31)乃至(38)に示すスピーカの配置が推奨されている(図8)。
【0013】
(31)Lチャンネル:聴取位置の正面より左22°〜30°からの音源、(32)Cチャンネル:聴取位置の正面のスピーカからの音源、(33)Rチャンネル:聴取位置の正面より右22°〜30°からの音源、(34)Lsチャンネル:聴取位置の正面より左90°〜110°からの音源、(35)Rsチャンネル:聴取位置の正面より右90°〜110°からの音源、(36)Lbチャンネル:聴取位置の正面より左135°〜150°からの音源、(37)Rbチャンネル:聴取位置の正面より右135°〜150°からの音源、(38)LFEチャンネル:方向不特定の低音域音源。
【0014】
このようにDolbyではLss/Rssチャンネルは存在せず、Ls/Rsチャンネルは存在するものの、スピーカレイアウトは90°から110°の間に配置すればよいことになっており、DTS−HDのように2つのスピーカに出力する必要がない。このため、DolbyとDTS−HDとでは、同じLs/Rsチャンネルであっても、出力するスピーカが異なることになり、音像定位の整合が崩れてしまう恐れがある。
【0015】
一方で、マルチチャンネルの音源を記録したオーディオソースを再生する音響システムにおいて、音場を補正する必要のない位置にスピーカ装置を配置するためのガイダンスを行う音響システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008−078938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記特許文献1に示す音響システムにおいて、最初に制御装置の電源を入れた時、または、音響システムを再設定するために制御装置を初期設定モードにした時に、再生するチャンネル構成は確認せずに、表示装置にスピーカ装置の推奨配置を表示している。そして、当該音響システムは、その表示後、必要に応じて音場補正を実行している。
【0017】
例えば、DTS−HD規格において、上述の如く、デコーダが標準7.1chスピーカレイアウトとして(11)のみに適応する場合、オーディオソースのLs/Rsチャンネルは、Lss/RssスピーカとLsr/Rsrスピーカとに振り分けて出力される。一方で、DVD−Videoの5.1chやDolby規格において、オーディオソースのLs/Rsチャンネルは上記振り分けされることなく、そのままLss/Rssスピーカから出力される。
【0018】
このため、例えば、表示装置に表示された推奨配置が上記(11)C、L、R、Lss、Rss、Lsr、Rsrだとすると、DVD−VideoのDTS 5.1chでオーディオソースのLs/Rsチャンネルを再生した場合、音場補正により、そのLs/Rsチャンネルを、Lss/RssスピーカとLsr/Rsrスピーカとに振り分けて出力する必要が生じる。一方、Dolby規格のAC3やE−AC3でオーディオソースのLs/Rsチャンネルを再生した場合、音場補正を行う必要はなく、Ls/RsチャンネルはLss/Rssスピーカからそのまま出力される。
【0019】
このように、例えば、DVD−VideoのDTS 5.1chでLs/Rsチャンネルを再生する場合と、DolbyのAC3やE−AC3でLs/Rsチャンネルを再生する場合とで、同じチャンネル構成(Ls/Rs)にもかかわらず出力するスピーカが異なるため、音像定位の整合が崩れ、原音に忠実な音声を再生することが困難となる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一態様は、複数のスピーカ装置の現在位置を検出するスピーカ位置検出手段と、前記複数のスピーカ装置の個数情報を取得する個数情報取得手段と、コーデック情報及びチャンネル構成情報を含むオーディオソース情報を取得するオーディオソース情報取得手段と、を備える音響システムであって、前記個数情報取得手段により取得された前記複数のスピーカ装置の個数情報と、前記オーディオソース情報取得手段により取得された前記コーデック情報及びチャンネル構成情報と、に基づいて、前記複数のスピーカ装置夫々の推奨配置を導出するスピーカ配置導出手段と、前記スピーカ位置検出手段により検出された前記複数のスピーカ装置夫々の現在位置が、前記スピーカ配置導出手段により導出された前記複数のスピーカ装置夫々の推奨配置となるように、指示を行う指示手段と、を備える、ことを特徴とする音響システムである。この一態様によれば、オーディオソース情報のコーデック情報及びチャンネル構成情報を考慮して、スピーカ装置の推奨配置が導出されるため、音場補正を行うことなく、原音により忠実な音声を再生できる。
【0021】
他方、本発明の一態様は、複数のスピーカ装置の現在位置を検出するスピーカ位置検出工程と、前記複数のスピーカ装置の個数情報を取得する個数情報取得工程と、コーデック情報及びチャンネル構成情報を含むオーディオソース情報を取得する取得工程と、を備える音響システムのスピーカ配置方法であって、前記個数情報取得工程で取得された前記複数のスピーカ装置の個数情報と、前記取得工程により取得された前記コーデック情報及びチャンネル構成情報と、に基づいて、前記複数のスピーカ装置夫々の推奨配置を導出するスピーカ配置導出工程と、前記スピーカ位置検出工程で検出された前記スピーカ装置の現在位置が、前記スピーカ配置導出工程で導出された前記複数のスピーカ装置夫々の推奨配置となるように、指示を行う指示工程と、を備える、ことを特徴とする音響システムのスピーカ配置方法であってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、音場補正を行うことなく、原音により忠実な音声を再生できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施形態を挙げて説明する。
(第1実施形態)
【0024】
図1は、本発明の第1実施形態に係る音響システムのシステム構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る音響システム100は、制御装置10と、複数のスピーカ装置20と、各スピーカ装置20の現在位置を検出するための超音波マイク30と、スピーカ装置20の配置を表示するための表示装置40と、オーディオソースを再生するためのAV再生機50と、ユーザの聴取位置を検出するための位置ポインタ装置60と、を備えている。なお、制御装置10、複数のスピーカ装置20及び位置ポインタ装置60は、例えば、共通の伝送路70を介して相互に接続されている。
【0025】
制御装置10は、CPU1と、ROM2と、RAM3と、ネットワークI/F4と、送信信号生成部5と、受信信号生成部6と、AV再生機I/F7と、赤外線通信I/F8と、スピーカ装置情報記録部9と、表示装置I/F11と、超音波マイクI/F12と、を有している。なお、これら、各ユニット1〜12は、システムバス13を介して相互に接続されており、双方向の情報通信が可能である。
【0026】
ROM(Read Only Memory)2には、音響システム100の初期設定をはじめ、制御装置10の各動作を実行するための制御プログラム、演算プログラム等が記憶されている。CPU(Central Processing Unit)1は、RAM(Random Access Memory)3をワークエリアとして、ROM2に記憶されている制御プログラム、演算プログラム等を実行する。これにより、後述する各種処理が実現される。ネットワークI/F4は、複数のスピーカ装置20及び位置ポインタ装置60と共通の伝送路70を通じて通信を行うためのインタフェースであり、コネクタ71を介して共通の伝送路70に接続されている。
【0027】
送信信号生成部5は、CPU1からの制御信号に基づいて、ネットワークI/F4と共通の伝送路70を介して各スピーカ装置20に対して送信する音声信号、制御信号等を生成する機能を有している。また、送信信号生成部5は、CPU1からの制御信号に基づいて、AV再生機I/F7を介してAV再生機50へ、赤外線通信I/F8を介して各スピーカ装置20へ、表示装置I/F11を介して表示装置40へ、送信する各信号を生成するための機能を有している。
【0028】
受信信号処理部6は、超音波マイクI/F12を介して、超音波マイク30により検出された距離データ(超音波信号)に基づいて、各スピーカ装置20の位置を算出するためのデータ処理機能を有している。また、受信信号処理部6は、共通の伝送路70からネットワークI/F4を介して受信した信号や、赤外線通信I/F8を介して各スピーカ装置20から受信した信号や、表示装置I/F11を介して表示装置40から受信した信号を処理するための機能を有している。
【0029】
スピーカ装置情報記録部9は、制御装置10とスピーカ装置20とが共通の伝送路70を介して通信するために、各スピーカ装置20を識別するための識別子テーブル等を記録する。なお、スピーカ装置情報記録部9は、RAM3上に形成されてもよい。
【0030】
AV再生機I/F7には、オーディオソースが記録されている記録媒体51を再生するAV再生機(オーディオソース情報取得手段)50が接続されている。なお、AV再生機50は、制御装置10に内蔵される構成であってもよい。赤外線通信I/F7は、各スピーカ装置20と赤外線通信を行うインタフェースである。表示装置I/F11は、表示装置用ケーブルを介して表示装置40と接続されている。
【0031】
超音波マイクI/F12には、例えば、4つの超音波マイク30が接続されている。また、各超音波マイク30は、例えば、表示装置40の四隅に設置されており、各スピーカ装置20の位置を検出するために使用される。なお、使用される超音波マイク30の数及びその取付位置は、各スピーカ装置20の位置を適切に検出できれば、任意でよい。また、超音波発振体296の位置を検出するためには、一般的には3つの超音波マイク30からの信号で十分であるが、より精度を上げるために4本の超音波マイク30で構成するのが好ましい。
【0032】
図2は、第1実施形態に係る音響システムのスピーカ装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。
【0033】
スピーカ装置20は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、ネットワークI/F24と、送信信号生成部25と、受信信号処理部26と、スピーカ駆動部27と、スピーカユニット28と、位置情報送信部29と、を備えている。なお、これら各ユニット21〜29は、システムバス31を介して相互に接続されている。
【0034】
ROM22には、音響システム100の初期設定をはじめ、スピーカ装置20の各動作を実行するための制御プログラム、演算プログラム等が記憶されている。CPU21は、RAM23をワークエリアとして、ROM22に記憶された制御プログラム、演算プログラム等を実行することで各種処理を実現する。
【0035】
ネットワークI/F24は、制御装置10との間で通信を行うためのインタフェースであり、コネクタ72を介して共通の伝送路70に接続されている。
【0036】
送信信号生成部25は、ネットワークI/F24と共通の伝送路70を介して制御装置10に送る信号を生成する機能を有している。なお、送信信号生成部25で生成される信号には、制御装置10から送信され、位置情報送信部29に記憶される当該スピーカ装置20を識別するための識別情報(以下、識別子と称す)も含まれている。
【0037】
受信信号処理部26は、共通の伝送路70とネットワークI/F24とを介して制御装置10から送られてくる音声信号、制御信号等を受信してスピーカユニット28を駆動する駆動信号やスピーカ装置20を制御する制御信号を生成する。
【0038】
例えば、共通の伝送路70上の信号において、1つのパケットに全てのスピーカ装置20の識別子と音声信号が含まれている場合、受信信号処理部26は、自身の識別子に対応する音声信号及び制御信号を抽出し、スピーカユニット28を駆動する信号やスピーカ装置20を制御する信号とする。
【0039】
スピーカユニット28を駆動する駆動信号は、スピーカ駆動部27へ送信される。また、スピーカ装置20を制御する制御信号は、CPU21に対して送信される。受信信号処理部26からスピーカ駆動部27に対して送信された駆動信号は、スピーカ駆動部27内のD/A変換器(不図示)によりアナログ信号に変換され、スピーカユニット28に対して供給される。そして、スピーカユニット28は、そのアナログ信号に基づいて、音声出力する。
【0040】
位置情報送信部29は、コントローラ291と、識別子記録部292と、赤外線通信I/F293と、超音波発振子駆動部294とがシステムバス295を介して接続され、構成されている。
【0041】
コントローラ291は、位置情報送信部29内の各種の制御を行うと共に、スピーカ装置20のCPU21との間でデータの送受信を行う。識別子記憶部292は、赤外線通信I/F293を介して制御装置10より受信した識別子を記憶する。超音波発振子駆動部294は、赤外線通信I/F293を介して制御装置10より受信した制御信号に基づいて超音波発振子296の駆動を制御する。また、位置情報送信部29には、この駆動制御をON(駆動可能)/OFF(駆動不能)できるスイッチ297が設けられている。なお、位置情報送信部29は電池298により駆動されているが、電源をスピーカ装置20と別ユニットとして提供することも可能である。
【0042】
図3は、第1実施形態に係る音響システムの位置ポインタ装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。位置ポインタ装置(聴取位置検出手段)60は、コントローラ61と、赤外線通信I/F62と、超音波発振子駆動部63と、がシステムバス64を介して相互に接続され、構成されている。
【0043】
コントローラ61は、赤外線通信I/F62を介して制御装置10から制御信号を送受信する。そして、コントローラ61は、この制御信号に基づいて、超音波発振子駆動部63を介して超音波発振子65の駆動を制御する。位置ポインタ装置60は、例えば、電池66により駆動されている。
【0044】
次に、第1実施形態に係る音響システム100におけるスピーカ装置20の配置方法について詳細に説明する。図4は、第1実施形態に係る音響システムによるスピーカ装置の配置処理フローの一例を示すフローチャートである。なお、制御装置10と表示装置40との接続、超音波マイク30の表示装置40のへの装着、制御装置10との接続、などの設定は既に完了しているものとする。
【0045】
まず、制御装置10に電源を最初に入れた時、または、音響システム100を再設定するために制御装置10を初期設定モードにした時において、制御装置10は、表示装置40の表示画面上にスピーカ装置20の個数を入力する初期設定画面を表示させる。この表示装置40の初期設定画面において、ユーザはリモコン等の入力装置(個数情報取得手段)を利用してスピーカ装置20の個数情報を入力することができる(ステップS100)。例えば、スピーカ装置20の全個数だけでなく、スピーカ装置20のうちサブウーファ等の特定タイプの個数も同時に入力される。入力装置により入力されたスピーカ装置20の個数情報は、RAM3に記憶される。
【0046】
その後、制御装置10のCPU1は、AV再生機50に対して、システムバス13及びAV再生機I/F7を介して制御信号を送信する。AV再生機50は、この制御信号に基づいて、記憶媒体51のオーディオソースのデコード処理を開始し、再生を開始する(ステップS101)。
【0047】
そして、AV再生機50は、再生したオーディオソースの音声信号と共に、コーデック情報及びチャンネル構成情報を、AV再生機I/F7及びシステムバス13を介して、RAM3に対して送信する(ステップS102)。コーデック情報及びチャンネル構成情報は、RAM3に記憶される。
【0048】
なお、オーディオソースのコーデック情報は、例えば、予め記憶媒体51に記憶されており、AV再生機50は、このコーデック情報を上記デコード処理が開始される前に記憶媒体51から読み出すことができるが、ストリーム解析を行うことで、オーディオソースのコーデック情報を抽出してもよい。また、AV再生機50は、デコード処理の開始後、ストリームのヘッダからチャンネル構成情報を読み出すことができる。これは、チャンネル構成情報が、AC3、E−AC3、DTS−HD等において、通常、ストリームのヘッダに含まれているからである。
【0049】
次に、制御装置10のCPU(スピーカ配置導出手段)1は、RAM3に記憶されたオーディソースのコーデック情報及びチャンネル構成情報と、スピーカ装置20の個数情報とに基づいて、スピーカ装置20の推奨配置を導出する(ステップS103)。なお、スピーカ装置20の推奨配置の詳細な導出方法は、後述する。そして、制御装置10は、導出したスピーカ装置20の推奨配置を、表示装置40に表示させる(ステップS104)。
【0050】
その後、制御装置10は、センターのスピーカ装置20とユーザの聴取位置との間の距離を計測する(ステップS105)。例えば、制御装置10は、表示装置40の表示画面からセンターのスピーカ装置20までの距離を、リモコン等を用いてユーザに入力させるべく、表示装置40による指示表示を行う。一方、ユーザは、位置ポインタ装置60を表示装置40の正面の聴取位置に設置する。その後、制御装置10は、赤外線通信によって、位置ポインタ装置60に内蔵する超音波発振子65の駆動を制御する。表示装置40に装着した超音波マイク30は、その超音波を受信する。制御装置10は、超音波マイク30による超音波の受信タイミングに基づいて、位置ポインタ装置60の位置を検出し、上記センターのスピーカ装置20と聴取位置との間の距離を計測する。この距離を求めることによって、制御装置10は、配置された複数のスピーカ装置20との距離を含めた、各スピーカ装置20の相対位置を検出できる。
【0051】
さらに、制御装置10は、検出した各スピーカ装置20の現在位置と、導出したスピーカ装置20の推奨配置と、に基づいて、各スピーカ装置20の配置が推奨配置となるように、ユーザに対して指示を行う。例えば、制御装置10は、表示装置40に表示された複数のスピーカ装置20の推奨配置のうちの一つを点滅させ、その点滅位置に一つのスピーカ装置20を設置するようユーザに対して指示表示を行う(ステップS106)。ユーザは、この指示表示に従ってそのスピーカ装置20を、順次、その推奨配置に設置する。
【0052】
なお、制御装置10は、赤外線通信によってスピーカ装置20の位置情報通知部29に内蔵する超音波発振子296の駆動を制御する。表示装置40に装着した超音波マイク30は、超音波発振子296からの超音波を受信する。制御装置10は、超音波マイク30による超音波の受信タイミングに基づいて、スピーカ装置20の位置を瞬時に検出し、リアルタイムで表示装置40に表示する。
【0053】
次に、制御装置10は、赤外線通信によって各スピーカ装置20を識別するための識別子を、各スピーカ装置20に付与する(ステップS107)。スピーカ装置20は、割り当てられた識別子を識別子記憶部292に記憶する。
【0054】
その後、制御装置10は、全てのスピーカ装置20の設置が完了したかを確認する(ステップS108)。制御装置10は、設置を完了していないスピーカ装置20があると判断したとき(ステップS108のNO)、上記(ステップS106)に戻り、上記処理を繰り返す。
【0055】
制御装置10は、全てのスピーカ装置20の設置が完了したと判断したとき(ステップS108のYES)、各スピーカ装置20のケーブルを接続するよう指示表示する(ステップS109)。ここで、制御装置10は、推奨するケーブル配線図、必要なケーブル数やその長さなどを表示装置40に表示する。ユーザはこれらを参照してスピーカ装置20と制御装置10とのケーブルの接続を行う。この時、ユーザがケーブル配線の指定や、一部区間の無線化を指定することも可能である。
【0056】
次に、制御装置10は、各スピーカ装置20の識別子記憶部292に記憶された識別子をネットワークIDとして、共通の伝送路70上における通信を形成する(ステップS110)。そして、制御装置10は、各スピーカ装置20に適切な音声データを形成し、識別子を付与し、共通の伝送路70上に音声データを送信する。
【0057】
次に、制御装置によるスピーカ装置の推奨配置の導出方法について、詳細に説明する。図5は、制御装置によるスピーカ装置の推奨配置の導出方法の一例を示すフローチャートである。
【0058】
まず、制御装置10は、例えば、RAM3に記憶されたスピーカ装置20の個数情報に基づいて、入力されたスピーカ装置20の全個数が8個で、サブウーファの個数が1個であるか否かを判断する(ステップS111)。
【0059】
制御装置10は、スピーカ装置20の全個数が8個で、サブウーファの個数が1個でないと判断したとき(ステップS111のNO)、スピーカ装置20の推奨配置がDVD−Videoの5.1chのスピーカ配置(図6)であると判断し(ステップS112)、本処理を終了する。ここで、図6に示す、DVD−Videoの5.1chのスピーカ配置において、聴取位置から正面方向に対して0°の方向にセンタースピーカC、左22°から30°の方向に左フロントスピーカFL、右22°から30°の方向に右フロントスピーカFR、左90°から110°の方向に左サラウンドスピーカSL、右90°から110°の方向に右サラウンドスピーカSRが配置されている。
【0060】
一方、制御装置10は、スピーカ装置20の全個数が8個で、サブウーファの個数が1個であると判断したとき(ステップS111のYES)、RAM3に記憶されたオーディオソースのコーデック情報に基づいて、コーデック種別がDTS−HDであるか否かを判断する(ステップS113)。
【0061】
制御装置10は、コーデック種別がDTS−HDでないと判断したとき(ステップS113のNO)、スピーカ装置20の推奨配置がDolbyの7.1chのスピーカ配置(図7)であると判断し(ステップS114)、本処理を終了する。ここで、図7に示すDolbyの7.1chのスピーカ配置において、聴取位置から正面方向に対して0°の方向にセンタースピーカC、左22°から30°の方向に左フロントスピーカFL、右22°から30°の方向に右フロントスピーカFR、左90°から110°の方向に左サラウンドスピーカSL、右90°から110°の方向に右サラウンドスピーカSR、左135°から150°の方向に左リアサラウンドスピーカRL、右135°から150°の方向に右リアサラウンドスピーカRRが配置されている。
【0062】
一方、制御装置10は、コーデック種別がDTS−HDであると判断したとき(ステップS113のYES)、RAM3に記憶されたオーディオソースのチャンネル構成情報に基づいて、チャンネル構成にLss/Rssチャンネルが含まれているか否かを判断する(ステップS115)。
【0063】
制御装置10は、チャンネル構成にLss/Rssチャンネルが含まれていると判断したとき(ステップS115のYES)、スピーカ装置20の推奨配置がDTS−HDの標準7.1ch(C、L、R、Lfe、Lss、Rss、Lsr、Rsr)のスピーカ配置(図8)であると判断し(ステップS116)、本処理を終了する。ここで、図8に示すDTS−HDの標準7.1chのスピーカ配置において、聴取位置から正面方向に対して0°の方向にセンタースピーカC、左30°の方向に左フロントスピーカFL、右30°の方向に右フロントスピーカFR、左90°の方向に左サラウンドスピーカSL、右90°の方向に右サラウンドスピーカSR、左150°の方向に左リアサラウンドスピーカRL、右150°の方向に右リアサラウンドスピーカRRが配置されている。
【0064】
一方、制御装置10は、チャンネル構成にLss/Rssチャンネルが含まれていないと判断したとき(ステップS115のNO)、スピーカ装置20の推奨配置がDolbyの7.1chのスピーカ配置(図7)であると判断し(ステップS114)、本処理を終了する。
【0065】
このように、例えば、スピーカ装置20の全個数が8個でサブウーファの個数が1個である場合において、再生するオーディオソースのコーデックがDVD−VideoのAC3、DTS 5.1ch、又はBlu−rayのE−AC3の場合と、DTS−HDの標準7.1chの場合とで、夫々のコーデック種別及びチャンネル構成に最適となるスピーカ配置が行われるため、音場補正を行うことなく、原音により忠実な音声を再生できる。
【0066】
以上、第1実施形態に係る音響システム100において、制御装置10は、最適なスピーカ装置20の推奨配置を、デコード結果のコーデック情報及びチャンネル構成情報から判定し、その判定結果に応じて、ユーザはスピーカ配置を最適に行うことができる。このため、DVD-VideoのDolby AC3 5.1chやDolby E-AC3 7.1chを再生したときは、図6や図7に示すスピーカ装置20の推奨配置が指示される。この場合、左スピーカ装置SLは、正面方向から左110°に配置され、その位置からLsチャンネルを放音する。一方、右スピーカ装置SRは、正面方向から右110°に配置され、その位置からRsチャンネルを放音する。
【0067】
ここで、DVD-VideoのDTS 5.1chが再生されたときも、図6及び図7に示すスピーカ装置20の推奨配置が指示される。この場合、左スピーカ装置SLは、正面方向から左110°に配置され、Lsチャンネルはその位置から放音する。このため、左スピーカ装置SLと左リアスピーカ装置RLとに、Lsチャンネルを振り分ける必要がない。同様に、右スピーカ装置SRは、正面方向から右110°に配置され、Rsチャンネルはその位置から放音する。このため、右スピーカ装置SRと右リアスピーカ装置RRとに、Rsチャンネルを振り分ける必要もない。さらに、DTS-HD標準7.1chが再生されたときには、図8に示すスピーカ装置20の推奨配置が指示される。この場合、左スピーカ装置SLは、正面方向から左90°に配置され、Lssチャンネルを放音する。一方、右スピーカ装置SRは、正面方向から右90°に配置され、Rssチャンネルを放音する。このため、これらのオーディオソースを再生する際には、音場補正をすることなく原音により忠実な音声を再生できる。
【0068】
以上、上述の如く、多様なチャンネル構成のオーディオソースを単一の音響システム100で再生しようとした場合でも、オーディオソース毎の音像定位の整合が崩れるのを防止できる。また、如何なるチャンネル構成のオーディオソースを再生した場合でも、スピーカ装置20の数が充分である限り、音場補正をすることなく原音により忠実な音声を再生できる。
(第2実施形態)
【0069】
図9は、第2実施形態に係る音響システムに係るスピーカ装置のシステム構成を示す図である。また、図10(a)は、第2実施形態に係る音響システムに係るスピーカ装置の側面図であり、図10(b)は、第2実施形態に係る音響システムに係るスピーカ装置の正面図である。
【0070】
図9及び図10に示すように、第2実施形態に係るスピーカ装置200は、第1実施形態に係るスピーカ装置20の構成に加えて、更に、スピーカ装置200を移動させるための4つの車輪201と、車輪201を回転駆動するためモータ202と、モータ202の回転駆動を制御する駆動モータ制御部203と、を備えている。制御装置10は、駆動モータ制御部203に対して制御信号を送信することで、モータ202の回転駆動を制御し、スピーカ装置200を、例えば、床面、壁面、あるいはガイドレールなどに沿って、推奨配置へ移動させることができる。
【0071】
なお、駆動モータ制御部203は、制御装置10からの制御信号を共通の伝送路70及び受信信号処理部26を介して受信してもよく、位置情報送信部29の赤外線通信I/F293を介して受信してもよい。また、位置情報送信部29の赤外線通信I/F293で受ける場合は、位置情報送信部29に電池298が装着されている必要がある。
【0072】
図11は、第2実施形態に係る音響システムによるスピーカ装置の配置処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0073】
まず、最初に制御装置10の電源を入れた時、または、音響システム102を再設定するために制御装置10を初期設定モードにした時において、制御装置10は、表示装置40の表示画面にスピーカ装置200の個数を入力する初期設定画面を表示させる。この表示装置40の初期設定画面において、ユーザはリモコン等の入力装置を利用してスピーカ装置200の個数情報を入力することができる(ステップS200)。
【0074】
次に、制御装置10のCPU1は、スピーカ装置200の個数情報に基づいて、スピーカ装置200の推奨配置を導出する(ステップS201)。そして、制御装置10は、導出したスピーカ装置200の推奨配置を表示装置40に表示させる(ステップS202)。
【0075】
その後、制御装置10は、センターのスピーカ装置200と聴取位置との間の距離を計測し(ステップS203)、配置された複数のスピーカ装置200との間の相対位置を検出する。
【0076】
さらに、制御装置10は、例えば、表示装置40に表示された複数のスピーカ装置20の推奨配置のうちの一つを点滅させ、その点滅位置に一つのスピーカ装置200を設置するよう、ユーザに対して指示を行う(ステップS204)。ユーザは、この指示に従ってそのスピーカ装置200を、表示装置40に表示された推奨配置に設置する。
【0077】
次に、制御装置10は、赤外線通信によって各スピーカ装置200を識別するための識別子を、各スピーカ装置200に付与する(ステップS205)。スピーカ装置200は、割り当てられた識別子を識別子記憶部292に記憶する。
【0078】
その後、制御装置10は、全てのスピーカ装置200の設置が完了したかを確認する(ステップS206)。制御装置10は、設置を完了していないスピーカ装置200があると判断したとき(ステップS206のNO)、上記(ステップS204)に戻り、上記処理を繰り返す。
【0079】
制御装置10は、全てのスピーカ装置200の設置が完了したと判断したとき(ステップS206のYES)、各スピーカ装置200のケーブルを接続するよう、表示装置40に指示内容を表示させる(ステップS207)。次に、制御装置10は、各スピーカ装置200の識別子記憶部292に記憶された識別子を、ネットワークIDとして共通の伝送路70上における通信を形成する(ステップS208)。
【0080】
その後、制御装置10のCPU1は、AV再生機50に対して、システムバス13及びAV再生機I/F7を介して制御信号を送信する。AV再生機50は、この制御信号に基づいて、記憶媒体51のオーディオソースのデコード処理及び再生を開始する(ステップS209)。
【0081】
そして、AV再生機50は、再生したオーディオソースの音声信号と共に、コーデック情報及びチャンネル構成情報を、AV再生機I/F7及びシステムバス13を介して、制御装置10のRAM3に対して送信する(ステップS210)。コーデック情報及びチャンネル構成情報は、RAM3に記憶される。
【0082】
制御装置10は、RAM3に記憶されたオーディソースのコーデック情報及びチャンネル構成情報に基づいて、スピーカ装置200の推奨配置を再度導出する(ステップS211)。例えば、DVD−VideoのDolby 5.1chが再生された場合、制御装置10は、そのコーデック情報及びチャンネル構成情報に基づいて、スピーカ装置200の推奨配置がDolbyの7.1chのスピーカ配置(図7)であると判断する。
【0083】
ここで、制御装置10は、上記(ステップS201)において、例えば、スピーカ装置200の推奨配置がDTS−HD標準7.1chのC、L、R、Lfe、Lss、Rss、Lsr、Rsr、のスピーカ配置を導出している場合、システムバス13及びAV再生機I/F7を介して、AV再生機7を一時停止させる(ステップS212)。
【0084】
次に、制御装置10は、AV再生機7が一時停止したと判断すると、各スピーカ装置200の駆動モータ制御部203を制御して、各スピーカ装置200をその推奨配置へ移動させる(ステップS213)。
【0085】
例えば、制御装置10は、聴取位置から正面方向に対して左90°の方向に配置された左スピーカ装置SLおよび右90°の方向に配置された右スピーカ装置SRに対し、それぞれ左110°、右110°の方向の配置に移動するように、共通の伝送路70及び各スピーカ装置200の受信信号処理部6を介して、駆動モータ制御部203に制御信号を送信する。一方、左スピーカ装置SLおよび右スピーカ装置SRの駆動モータ制御部203は、制御装置10からの制御信号を受信すると、各モータ202を駆動制御して、それぞれ左110°および右110°の方向の配置に移動する。
【0086】
その後、制御装置10は、各スピーカ装置200による推奨配置へ移動が完了したと判断すると、システムバス13及びAV再生機I/F7を介して、AV再生機50に一時停止を解除させる(ステップS214)。AV再生機50は、制御装置10からの制御信号に基づいて、一時停止を解除し、再生を再開する。
【0087】
第2実施形態に係る音響システム102において、他の構成は第1実施形態に係る音響システム100と略同一である。したがって、同一部分に同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0088】
以上、第2実施形態に係る音響システム102において、スピーカ装置200は、移動可能な車輪201と、車輪201を回転駆動するためモータ202と、モータ202の回転駆動を制御する駆動モータ制御部203と、を備えている。これにより、AV再生機50の再生を一時停止した状態で、短時間でスピーカ装置200の配置を自動変更することができる。したがって、AV再生機50の再生開始時から、コーデック情報及びチャンネル構成情報に基づく推奨配置に設置したスピーカ装置200から再生音声を放音することが可能となる。
【0089】
なお、本発明を実施するための最良の形態について上記実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした上記実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第1実施形態に係る音響システムのシステム構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る音響システムのスピーカ装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る音響システムの位置ポインタ装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る音響システムによるスピーカ装置の配置処理フローの一例を示すフローチャートである。
【図5】制御装置によるスピーカ装置の推奨配置の導出方法の一例を示すフローチャートである。
【図6】DVD−Videoの5.1chのスピーカ推奨配置の一例を示す図である。
【図7】Dolbyの7.1chのスピーカ推奨配置の一例を示す図である。
【図8】DTS−HD標準7.1chのスピーカ推奨配置の一例を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る音響システムのスピーカ装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。
【図10】(a)本発明の第2実施形態に係る音響システムのスピーカ装置の側面図である。(b)本発明の第2実施形態に係る音響システムのスピーカ装置の正面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る音響システムによるスピーカ装置の配置処理フローの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0091】
10 制御装置
20 スピーカ装置
30 超音波マイク
40 表示装置
50 AV再生機
100 音響システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスピーカ装置の現在位置を検出するスピーカ位置検出手段と、
前記複数のスピーカ装置の個数情報を取得する個数情報取得手段と、
コーデック情報及びチャンネル構成情報を含むオーディオソース情報を取得するオーディオソース情報取得手段と、を備える音響システムであって、
前記個数情報取得手段により取得された前記複数のスピーカ装置の個数情報と、前記オーディオソース情報取得手段により取得された前記コーデック情報及びチャンネル構成情報と、に基づいて、前記複数のスピーカ装置夫々の推奨配置を導出するスピーカ配置導出手段と、
前記スピーカ位置検出手段により検出された前記複数のスピーカ装置夫々の現在位置が、前記スピーカ配置導出手段により導出された前記複数のスピーカ装置夫々の推奨配置となるように、指示を行う指示手段と、を備える、ことを特徴とする音響システム。
【請求項2】
請求項1記載の音響システムであって、
前記スピーカ装置は、前記指示手段からの前記指示に基づいて、前記スピーカ配置導出手段により導出された前記スピーカ装置の推奨配置に移動するための移動手段を有する、ことを特徴とする音響システム。
【請求項3】
請求項2記載の音響システムであって、
前記移動手段は、車輪と、該車輪を駆動するモータと、前記指示手段からの制御信号に基づいて、該モータを制御する駆動モータ制御部と、を有する、ことを特徴とする音響システム。
【請求項4】
請求項1乃至3記載の音響システムであって、
前記指示手段は、前記複数のスピーカ装置夫々の推奨配置を表示する表示装置を含む、ことを特徴とする音響システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちいずれか1項記載の音響システムであって、
前記スピーカ位置検出手段は、前記スピーカ装置からの超音波を検出する超音波マイクと、該超音波マイクにより検出された超音波に基づいて、前記複数のスピーカ装置夫々の位置を算出する受信信号処理部と、を含む、ことを特徴とする音響システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちいずれか1項記載の音響システムであって、
ユーザの聴取位置を検出する聴取位置検出手段を更に備える、ことを特徴とする音響システム。
【請求項7】
複数のスピーカ装置の現在位置を検出するスピーカ位置検出工程と、
前記複数のスピーカ装置の個数情報を取得する個数情報取得工程と、
コーデック情報及びチャンネル構成情報を含むオーディオソース情報を取得する取得工程と、を備える音響システムのスピーカ配置方法であって、
前記個数情報取得工程で取得された前記複数のスピーカ装置の個数情報と、前記取得工程により取得された前記コーデック情報及びチャンネル構成情報と、に基づいて、前記複数のスピーカ装置夫々の推奨配置を導出するスピーカ配置導出工程と、
前記スピーカ位置検出工程で検出された前記スピーカ装置の現在位置が、前記スピーカ配置導出工程で導出された前記複数のスピーカ装置夫々の推奨配置となるように、指示を行う指示工程と、を備える、ことを特徴とする音響システムのスピーカ配置方法。
【請求項1】
複数のスピーカ装置の現在位置を検出するスピーカ位置検出手段と、
前記複数のスピーカ装置の個数情報を取得する個数情報取得手段と、
コーデック情報及びチャンネル構成情報を含むオーディオソース情報を取得するオーディオソース情報取得手段と、を備える音響システムであって、
前記個数情報取得手段により取得された前記複数のスピーカ装置の個数情報と、前記オーディオソース情報取得手段により取得された前記コーデック情報及びチャンネル構成情報と、に基づいて、前記複数のスピーカ装置夫々の推奨配置を導出するスピーカ配置導出手段と、
前記スピーカ位置検出手段により検出された前記複数のスピーカ装置夫々の現在位置が、前記スピーカ配置導出手段により導出された前記複数のスピーカ装置夫々の推奨配置となるように、指示を行う指示手段と、を備える、ことを特徴とする音響システム。
【請求項2】
請求項1記載の音響システムであって、
前記スピーカ装置は、前記指示手段からの前記指示に基づいて、前記スピーカ配置導出手段により導出された前記スピーカ装置の推奨配置に移動するための移動手段を有する、ことを特徴とする音響システム。
【請求項3】
請求項2記載の音響システムであって、
前記移動手段は、車輪と、該車輪を駆動するモータと、前記指示手段からの制御信号に基づいて、該モータを制御する駆動モータ制御部と、を有する、ことを特徴とする音響システム。
【請求項4】
請求項1乃至3記載の音響システムであって、
前記指示手段は、前記複数のスピーカ装置夫々の推奨配置を表示する表示装置を含む、ことを特徴とする音響システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちいずれか1項記載の音響システムであって、
前記スピーカ位置検出手段は、前記スピーカ装置からの超音波を検出する超音波マイクと、該超音波マイクにより検出された超音波に基づいて、前記複数のスピーカ装置夫々の位置を算出する受信信号処理部と、を含む、ことを特徴とする音響システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちいずれか1項記載の音響システムであって、
ユーザの聴取位置を検出する聴取位置検出手段を更に備える、ことを特徴とする音響システム。
【請求項7】
複数のスピーカ装置の現在位置を検出するスピーカ位置検出工程と、
前記複数のスピーカ装置の個数情報を取得する個数情報取得工程と、
コーデック情報及びチャンネル構成情報を含むオーディオソース情報を取得する取得工程と、を備える音響システムのスピーカ配置方法であって、
前記個数情報取得工程で取得された前記複数のスピーカ装置の個数情報と、前記取得工程により取得された前記コーデック情報及びチャンネル構成情報と、に基づいて、前記複数のスピーカ装置夫々の推奨配置を導出するスピーカ配置導出工程と、
前記スピーカ位置検出工程で検出された前記スピーカ装置の現在位置が、前記スピーカ配置導出工程で導出された前記複数のスピーカ装置夫々の推奨配置となるように、指示を行う指示工程と、を備える、ことを特徴とする音響システムのスピーカ配置方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−118838(P2010−118838A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289819(P2008−289819)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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