説明

音響トランスデューサ

【課題】低周波数化、小型・軽量化を図ることができる音響トランスデューサを提供する。
【解決手段】軸線O方向に緩衝材5を介して積層された第一円環部材20及び第二円環部材30と、第一円環部材20及び第二円環部材の周方向一部を切り欠くことにより形成され、第一円環部材20及び第二円環部材30に第一端部21,31及び第二端部22,32を形成する切欠部Cと、これら切欠部Cに一対が設けられ、第一円環部材20と第二円環部材30とを軸線O方向に交差するように接続する第一接続部40及び第二接続部50を設けてリング振動子10を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に音波を放射する電気音響変換器に関し、特に効率よく水中に音波が放射できる音響トランスデューサに関する。
【背景技術】
【0002】
水等の液体中に音波を放射するリング振動子を備えた音響トランスデューサとして、内部を中空に形成した円環部材を軸方向に一つもしくは複数設けたものが知られている。この音響トランスデューサは、当該円環部材に電流を通電してリング振動子全体を振動させることにより当該振動に基づく音波を液体中に放射するようになっている。
かかる音響トランスデューサとしては、特許文献1及び特許文献2のものが挙げられる。
【0003】
特許文献1に記載の音響トランスデューサは、内部を中空に形成したリング振動子を軸方向に複数個同軸に連設し、該リング振動子の軸方向上端部をリングで支持し、軸方向下端部をリングで支持した構成をなしている。また、軸方向上端部のリング及び軸方向下端部のリングは、中空の内部を貫通したボルト及びナットによって固定されている。さらに、リング振動子の周囲には、屈曲振動モードで振動する薄肉の軸方向振動板が支持されており、この軸方向振動板の両端部には屈曲振動モードで振動する円盤状の端面振動板が、それぞれ設けられている。そして、軸方向振動板と端面振動板との機械的共振周波数を異ならせることによって広帯域音波放射特性を得ることができるようになっている。
類似の構造としては、特許文献3に記載の音響トランスデューサのように、屈曲振動モードで振動する圧電振動子を貼付した薄肉の軸方向に長い長方形の振動板を複数円周上に配置し、この屈曲振動を利用して水中に音響反射する方法が提案されている。
【0004】
特許文献2に記載の音響トランスデューサは、印加された電圧に応じて歪を発生する電歪材料によって螺旋状に形成されたコイル状振動子を備えている。また、該コイル状振動子の上端部及び下端部は金具に固定されている。これにより、コイル状振動子に発生する振動を当該コイル状振動体の長さに応じた低周波数の半径方向の振動に変換することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−333487号公報
【特許文献2】特開昭60−196100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、リング振動子の呼吸振動を用いて水中に音響を放射する音響トランスデューサにおいては、両端を液体が流入しないように封止し、さらに内部を空気等で満たした構造の場合、リング振動子の呼吸振動モードの共振周波数以下の周波数で駆動すると効率の高い音響放射が得られないという問題があった。
【0007】
ここで、一般にリング振動子として使用される駆動源としては、構造や駆動が簡単な圧電セラミック等のリング型圧電振動子または矩形圧電振動子を円筒状に配列積層した多角形状リング振動子が用いられる。圧電材料であるジルコン酸チタン酸鉛は、その質量や弾性率が金属とほぼ同等な材料である。
さて、リング振動子の共振周波数は、構成材料の弾性率の平方根に比例し、密度の平方根に反比例する。リング振動子の円周長が構成材料の音速の一波長に相当する場合に、リング振動子は、基本状態から半径の小さい縮小状態、半径の大きい伸張状態に均一に増減する呼吸振動モードで共振する。この共振周波数は前述したように、圧電セラミックの密度と弾性率により決定され、圧電セラミックの音速は金属と同じ程度に速いことから非常に高いものとなる。
また、弾性率の小さいソフト系と呼ばれる圧電セラミックもあるが、共振周波数を大きく低下させることはできない。
【0008】
一般に、リング振動子としては、内外面に電極を配置し、圧電横効果によりリング振動子の呼吸振動を励起し、リング振動子の外側から音響放射する構造が一般的である。また、リング振動子は周囲の液体により短絡することがないように、保護のためにシースを被覆したり合成樹脂によりモールドすることが一般的である。
リング振動子の端面には、リング振動子の内部に液体が侵入しないようにエンドプレートが配置されている。また、リング振動子とエンドプレートとの間には、コルクや積層した紙などの緩衝材が設けられ、エンドプレートがリング振動子の呼吸振動を阻害しないようしている。
なお、エンドプレートとリング振動子との隙間から周囲の流体が内部に侵入しないように、この部分もシースやモールドが施される。
【0009】
また、リング振動子を構成する他の方法としては、略直方体状をなす矩形圧電振動子を略三角柱状をなすくさびブロックを介して多角形状に配列し、円筒形状に近似させて構成する方法がある。
【0010】
さて、上記の構造による音響トランスデューサは、リング振動子の円筒長が構成材料の音速の一波長に相当する場合に生じる呼吸振動モードの際に最も効率良く音響反射することができる。
一般的な圧電セラミック材料によれば、直径10cm程度の円筒の場合で、呼吸振動モードの共振周波数は5〜10kHz程度となる。これ以下の周波数で使用する場合にはリング振動子の共振周波数から外れるので、その音響放射効率は低いものにならざるを得ない。
【0011】
一方、エンドプレートを設けずにリング振動子内部にも水が導入されるフリーフラッド型の音響トランスデューサにおいては、リング振動子の呼吸振動モードの共振とリング振動子内部の水の共振(水柱共振)を利用することにより、効率の良い音響放射をすることができる。
【0012】
水柱共振を呼吸振動モードの共振周波数以下の周波数で使用する場合には、音響放射効率は低いものにならざるを得ない。即ち、水柱共振の周波数は円筒振動体の高さに反比例して共振周波数が決定されるため、呼吸振動と独立に設計することができるが、駆動の源は呼吸振動モードであるから、両者の周波数が離れていると効率の良い水柱共振は得られない。
呼吸振動モード、又は、水柱共振のいずれかの振動を利用するとしても、より低い周波数で効率よく使用するためには、円筒の直径を大きくすることが必要であり、このようにすると結果として大きな寸法と質量が必要となる。
従来例として特許文献2に示されるような螺旋状の構造とした場合、コイル状振動体の全長を長くすることが可能であり、その長さ方向の共振周波数を低減することが可能であるが、振動体の構造的な非対称性から、振動体長手方向の共振周波数より低いコイル全体のたわみ振動が発生してしまい、所要のコイル長手方向の振動は必ずしも円筒の径方向の拡大縮小、即ち、呼吸振動にはならないという問題があった。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、低周波数化、小型・軽量化を図ることができる音響トランスデューサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を提供している。
即ち、本発明に係る音響トランスデューサは、軸線方向に緩衝材を介して積層された一対の円環部材と、各前記円環部材の周方向一部を切り欠くことにより形成され、各前記円環部材に第一端部及び第二端部を形成する切欠部と、一方の前記円環部材の前記第一端部と他方の前記円環部材の前記第二端部とを接続する第一接続部と、一方の前記円環部材の前記第二端部と他方の前記円環部材の前記第一端部とを接続する第二接続部とを有するリング振動子を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る音響トランスデューサは、軸線方向に緩衝材を介して積層された複数の円環部材と、各前記円環部材の周方向一部を切り欠くことにより形成され、各前記円環部に第一端部及び第二端部を形成する切欠部と、前記円環部材の前記第一端部を該円環部材の軸線方向一方側に隣接する他の前記円環部材の前記第二端部に接続する接続部とを有するリング振動子を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の音響トランスデューサによれば、リング振動子の円周方向の長さは、実際の円環部材の直径からなる円周方向の長さの二倍あるいは複数倍とすることができる。即ち、縦振動の伝播長さを二倍あるいは複数倍に延長することが可能となり、呼吸振動の共振周波数を大幅に下させることができる。
したがって、リング振動子は、円環部材の直径を増加することなく低周波数を実現することができる。これにより、従来の円環部材を用いた音響トランスデューサと比べて、小型・軽量化を図ることができる。
また、コイル状の形態では、その非対称性から振動体のたわみ振動が発生してしまうが、本構造による場合、円環部材は切欠部を除いて円周状に均一に配置されており、接続ぶの見かけの質量と弾性率とを円環部と同一とすることにより、たわみ振動が発生するがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係る音響トランスデューサのリング振動子の斜視図である。
【図2】音響トランスデューサの一例の縦断面図である。
【図3】音響トランスデューサの一例の縦断面図である。
【図4】リング振動子への通電方法の一例である。
【図5】リング振動子への通電方法の一例である。
【図6】リング振動子を軸線方向に複数積層させた音響トランスデューサの斜視図である。
【図7】一対のリング振動子を互いに同軸かつ径方向に間隔をあけて配置してなる音響トランスデューサの縦断面図である。
【図8】円環部材を複数積層させてなる音響トランスデューサの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態の音響トランスデューサ1について図面を参照して詳細に説明する。
図1は実施形態に係る音響トランスデューサ1のリング振動子10の斜視図である。リング振動子10は、第一円環部材20、第二円環部材30、第一接続部40及び第二接続部50を備えている。
【0019】
第一円環部材20及び第二円環部材30は、鋼材等の弾性変形可能な材料からなる略円環状の部材であって、互いの軸線Oを一致させた状態で積層配置されている。また、これら第一円環部材20及び第二円環部材30の間には例えばコルクや積層した紙等の柔軟性のある材質からなる緩衝材5が設けられている。即ち、第一円環部材20及び第二円環部材30は、その間に緩衝材5を介して軸線O方向に積層されているのである。この緩衝材5によって第一円環部材20と第二円環部材30とが機械的に結合してしまうことを回避している。なお、第一円環部材20及び第二円環部材30は、それぞれ圧電セラミック単体、あるいは圧電セラミック積層体からなることが好ましい。
【0020】
第一円環部材20及び第二円環部材30は、それぞれ周方向の一部が切り欠かれるようにして形成された切欠部Cを備えている。即ち、第一円環部材20及び第二円環部材30は、上記切欠部Cが形成されることによってそれぞれC字状をなしており、当該C字状の両端が、互いに周方向に対向する第一端部21,31及び第二端部22,32とされている。なお、第一円環部材20及び第二円環部材30のそれぞれの第一端部21,31はともに周方向一方側を向いており、それぞれの第二端部22,32は、ともに周方向他方側を向いている。本実施形態においては、第一円環部材20及び第二円環部材30は、それぞれの切欠部Cを周方向に一致させた状態で軸線O方向に積層されている。
【0021】
第一接続部40は、上記第一円環部材20及び第二円環部材30と同様、鋼材等からなる部材であって、第一円環部材20の第一端部21と第二円環部材30の第二端部32とを互いに接続している。即ち、第一接続部40は、第一円環部材20の第一端部21に接続される第一片41と、第二円環部材30の第二端部32に接続される第二片42と、これら第一片41及び第二片42とを軸線O方向に接続する連結部43とを備えている。
【0022】
第二接続部50は、上記第一接続部40と同様、鋼材等からなる部材であって、第一円環部材20の第二端部22と第二円環部材30の第一端部31とを互いに接続している。即ち、第二接続部50は、第二円環部材30の第一端部32に接続される第一片51と、第一円環部材20の第二端部32に接続される第二片52と、これら第一片51及び第二片52とを軸線O方向に接続する連結部53とを備えている。
【0023】
このようにして、第一円環部材20及び第二円環部材30は、それぞれの切欠部C内に設けられた第一接続部40及び第二接続部50によって互いに軸線O方向に交差するように接続されているのである。なお、第一接続部40と第二接続部50の間に隙間が形成されている。また、当該隙間に代えて上記緩衝材5が両者の間に配置されていてもよい。
さらに、上記第一接続部40及び第二接続部50は、上記第一円環部材20及び第二円環部材30と見かけの密度と弾性率とがほぼ等しくなる材料や構造によって構成されていることが好ましい。
【0024】
ここで、一般に、単一のリングからなる振動子の呼吸振動は、リングの円周上に一波長の縦振動が発生する条件で決定される。この該縦振動の共振周波数は振動子を構成する材料の密度と弾性率で一義的に決定される。したがって、より低い周波数での共振周波数を実現するためには、一波長に相当する長さを長くする、即ち、リングからなる振動子の直径を大きくすることで実現できる。ところが、この場合、振動子自体のサイズが大きくなり、コンパクト化の妨げとなるといったデメリットがある。
【0025】
これに対して、本実施形態においては、第一円環部材20及び第二円環部材30を互いに軸線O方向に積層配置しており、これら第一円環部材20及び第二円環部材30は第一接続部40及び第二接続部50によって軸線O方向に交差するように接続されている。
よって、リング振動子10の周方向の寸法は、第一円環部材20と第二円環部材30との和となり、即ち、第一円環部材20単独又は第二円環部材30単独の場合の周方向の長さの2倍とされる。これによって、縦振動の伝播長さを2倍に延長することが可能となり、呼吸振動の共振周波数を概ね半分に低下させることができる。
【0026】
したがって、本実施形態のリング振動子10によれば、第一円環部材20及び第二円環部材30とを第一接続部40及び第二接続部50により軸線O方向に交差して接続したことにより、第一円環部材20又は第二円環部材30の直径を増加することなく約1/2の低周波数を実現できる。これによって、小型化・軽量化を図ることが可能となる。
【0027】
なお、周波数の調整は、第一接続部40及び第二接続部50の周方向の長さを変更することによって容易に行うことができる。即ち、第一接続部40及び第二接続部50の周方向の寸法を長くすれば、リング振動子10の外径が大きくなり周波数を低くすることができ、また第二接続部50の長さを短くすれば、リング振動子10の外径が小さくなり周波数を高くすることができる。
【0028】
このようなリング振動子10からなる音響トランスデューサ1としては、例えば図2に示すように、リング振動子10の軸線O方向両端に一対のエンドプレート6を配置してリング振動子10の両端開口を閉塞し、さらに当該リング振動子10及びエンドプレート6全体を覆うようにして合成樹脂9をモールドしたものであってもよい。このような音響トランスデューサ1は、外形が円柱状をなすとともに内部が中空状の構成とされ、リング振動子10の外周面から音響放射がなされる。
【0029】
また、例えば図3に示すように、リング振動子10全体を合成樹脂9によってモールドすることで音響トランスデューサ1を構成してもよい。この場合、音響トランスデューサ1の外形は、リング振動子10と同様ドーナツ型となる。この場合、音響トランスデューサ1の内側に液体が流入し、当該液体の水中共振を利用するフリーフラッドリング構造となる。
なお、これら音響トランスデューサ1においては、上記合成樹脂9に代えてシースを用いてリング振動子10を被覆してもよい。
【0030】
なお、リング振動子10への通電方法としては、例えば図4に示すように、第一円環部材20及び第二円環部材30の外周面に電極として陽極7を設け、内周面に陰極8を設けることで通電してもよい。
また、例えば図5に示すように、リング振動子10の端部に当たる第一円環部材20の上面及び第二円環部材30の下面に陽極7を設け、互いに対抗する第一円環部材20の下面及び第二円環部材30の上面に陰極8を設けた構成であってもよい。
【0031】
さらに、例えば、図6に示すように、第一円環部材20及び第二円環部材30とを軸線O方向に積層させてなるリング振動子10を、軸線O方向に複数積層させてもよい。この場合、互いに軸線O方向隣り合うリング振動子10の間には緩衝材5が設けられる。これにより、軸線O方向の寸法を自由に設定することができ、当該寸法に比例して水柱共振周波数を低減することができる。
【0032】
また、例えば図7に示すように、一対のリング振動子10を互いに同軸かつ径方向に間隔をあけて配置し、これらリング振動子10の両端開口を閉塞する一対のエンドプレート6を備えた音響トランスデューサ1であってもよい
この場合、内側のリング振動子10と外側のリング振動子10を互いに逆方向となるように駆動することで、リング振動子10内側の水中共振の音圧発生とリング振動子10外面からの音圧発生の位相を一致させた効率的な音響反射が実現できる。
【0033】
さらに、例えば図8に示すリング振動子10を備えた音響トランスデューサ1であってもよい。
このリング振動子10は、第一円環部材20及び第二円環部材30と同様の構成をなす円環部材60が緩衝材5を介して軸線O方向に3つ積層されている。また、円環部材60にはそれぞれ切欠部Cが形成されており、これにより各円環部材60に第一端部61及び第二端部62が形成されている。さらに、各円環部材60の切欠部Cの周方向の位置は一致している。
【0034】
3つの円環部材60のうち、上方にある円環部材60の第一端部61と下方にある円環部材60の第二端部62とは接続部70によって接続されている。また、上方にある円環部材60の第二端部62と中間にある円環部材60の第一端部61とが接続部70によって接続されている。さらに、中間にある円環部材60の第二端部62と下方にある円環部材60の第一端部61とが接続部70によって接続されている。なお、これら接続部70は、上記第一接続部40及び第二接続部50と同様の構成をなしている。
そして、このような3つの円環部材60を備えたリング振動子10が緩衝材5を介して軸線O方向に複数(本実施形態では5つ)積層されることで音響トランスデューサ1が構成されている。
【0035】
このような構成により、リング振動子10の周方向の寸法は3つの円環部材60との和となるため、縦振動の伝播長さを円環部材60の個数倍に延長することが可能となる。したがって、呼吸振動の共振周波数を大幅に低減させることができる。
なお、ここでは、3つの円環部材60からリング振動子10を構成したが、これに限定されることはなく、4つ以上の複数の円環部材60から同様のリング振動子10を構成してもよい。即ち、軸線O方向に積層された円環部材60を順次接続することによってリング振動子10を構成してもよい。
【0036】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
例えば、実施形態においては、第一円環部材20及び第二円環部材30の切欠部Cの周方向の位置や、複数の円環部材60の切欠部Cの周方向の位置を一致させたが、これら切欠部Cの位置が周方向に間隔をあけて配置されていてもよい。
切欠部Cの位置が周方向に一致する場合には、構造的に不均一な部分が形成されることになるため、呼吸振動に加えて撓み振動を誘引する可能性があるが、切欠部Cを周方向に間隔をあけて配置し、好ましくは等間隔をあけて配置することにより、撓み振動を回避することができる。
【0037】
なお、第一円環部材20、第二円環部材30及び円環部材60としては、例えば、直方体状をなす複数の矩形圧電振動子を、三角柱状をなすくさび部材を用いて円環状に配列させることによって構成してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…音響トランスデューサ、5…緩衝材、6…エンドプレート、7…陽極、8…陰極、9…合成樹脂、10…リング振動子、20…第一円環部材(円環部材)、30…第二円環部材(円環部材)、40…第一接続部、41…第一片、42…第二片、43…連結部、50…第二接続部、51…第一片、52…第二片、53…連結部、60…円環部材、70…接続部材、C…切欠部、O…軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に緩衝材を介して積層された一対の円環部材と、
各前記円環部材の周方向一部を切り欠くことにより形成され、各前記円環部材に第一端部及び第二端部を形成する切欠部と、
一方の前記円環部材の前記第一端部と他方の前記円環部材の前記第二端部とを接続する第一接続部と、
一方の前記円環部材の前記第二端部と他方の前記円環部材の前記第一端部とを接続する第二接続部とを有するリング振動子を備えることを特徴とする音響トランスデューサ。
【請求項2】
軸線方向に緩衝材を介して積層された複数の円環部材と、
各前記円環部材の周方向一部を切り欠くことにより形成され、各前記円環部材に第一端部及び第二端部を形成する切欠部と、
各前記円環部材の前記第一端部を該円環部材の前記軸線方向一方側に隣接する他の前記円環部材の前記第二端部に接続する接続部とを有するリング振動子を備えることを特徴とする音響トランスデューサ。
【請求項3】
前記リング振動子が、軸線方向に前記緩衝材を介して複数積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の音響トランスデューサ。
【請求項4】
各前記円環部材の切欠部が、前記周方向に間隔をあけて配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の音響トランスデューサ。
【請求項5】
前記円環部材が、圧電セラミック単体、あるいは圧電セラミック積層体からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の音響トランスデューサ。
【請求項6】
一対の前記リング振動子が互いに同軸かつ径方向に間隔をあけて配置され、
これらリング振動子の両端開口を閉塞する一対のエンドプレートをさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の音響トランスデューサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−134909(P2012−134909A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287155(P2010−287155)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】