説明

音響再生装置および照明装置ならびに吊り下げ式開閉装置

【課題】収納状態および展開状態の間の相互の変換を、より簡易な構造により実現する。
【解決手段】音響再生装置は、複数個の結合部と、複数個のロッドと、複数個の外殻部と、アクチュエータと、第1、第2および第3のスピーカとを備える。複数個の結合部は、第1の正四面体と、第1の正四面体と双対関係にある第2の正四面体とを想定したときに、第1の正四面体および第2の正四面体の各頂点に対応する位置に配置される。複数個のロッドは、複数個の結合部の間において、互いに隣接する結合部同士を連結する。複数個の外殻部は、複数個のロッドのそれぞれに接合される。アクチュエータは、第1の正四面体の中心または第2の正四面体の中心に対して、複数個の結合部のうちから選択された一の結合部の外側に配置されるとともに、一の結合部に連結される。第1、第2および第3のスピーカは、一の結合部を除く3つの結合部にそれぞれ配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、音響再生装置および照明装置ならびに吊り下げ式開閉装置に関する。本開示は、特に、複数個の結合部が連結された機械的構造を備え、一の結合部に対する操作により、2つの状態が容易に相互に変換される音響再生装置および照明装置ならびに吊り下げ式開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の部材の組み合わせからなるとともに、それらの部材が規則性を保ちながら移動することにより、例えば、小さく折り畳まれた状態(以下、収納状態と適宜称する。)と、大きく拡げられた状態(以下、展開状態と適宜称する。)とに変化可能な構造の設計が数多く試みられている。
【0003】
このような構造は、例えば、人工衛星などに搭載される太陽電池パネルやアンテナなどに応用されるほか、身近なところでは、家具や電化製品などにも応用される。例えば、下記の特許文献1には、角錐台状の骨組構造を基本要素とし、骨組構造の側面を共有させて複数個結合した構造をなし、骨組構造の外形を角錐台としたまま稜線を同期して平行移動させることができるようにした展開式骨組構造が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、展開式骨組構造を収納状態から展開状態へ滑らかに変形させるために、複数個のアクチュエータが必要となる。また、展開式骨組構造を同期して移動させるための構造が複雑であり、基本要素の数が増加するにつれて、設計コストも増大してしまう。
【0005】
特許文献1に記載の技術は、正多面体を構成する各面の内心が、ある半径の球(内接球)に外接することを利用している。なお、下記の非特許文献1には、正四面体の双対性(duality)を利用した“SwitchPitch”(「SWITCHPITCH」は、株式会社ラングスジャパンの登録商標)と呼ばれる玩具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−183640号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Hoberman Associates, Inc. ”SwitchPitch” [online]. Hoberman Associates, Inc., 2003. [retrieved on 2011-9-5]. Retrieved from the Internet: <URL:http://www.hoberman.com/fold/Switchpitch/switchpitch.htm>.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
収納状態および展開状態の間の相互の変換を、より簡易な構造により実現することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の好ましい実施態様は、
音響再生装置が、複数個の結合部と、複数個のロッドと、複数個の外殻部と、アクチュエータと、第1、第2および第3のスピーカとを備える。
複数個の結合部が、第1の正四面体と、第1の正四面体と双対関係にある第2の正四面体とを想定したときに、第1の正四面体および第2の正四面体の各頂点に対応する位置に配置される。
複数個のロッドが、複数個の結合部の間において、互いに隣接する結合部同士を連結する。
複数個の外殻部が、複数個のロッドのそれぞれに接合される。
アクチュエータが、第1の正四面体の中心または第2の正四面体の中心に対して、複数個の結合部のうちから選択された一の結合部の外側に配置されるとともに、一の結合部に連結される。
第1、第2および第3のスピーカが、第1の正四面体および第2の正四面体のうち、一の結合部を含む一方の正四面体の各頂点に対応する位置に配置される4つの結合部のうち、一の結合部を除く3つの結合部にそれぞれ配置される。
【0010】
本開示の第2の好ましい実施態様は、
照明装置が、複数個の結合部と、複数個のロッドと、複数個の外殻部と、アクチュエータと、複数個の発光部とを備える。
複数個の結合部が、第1の正四面体と、第1の正四面体と双対関係にある第2の正四面体とを想定したときに、第1の正四面体および第2の正四面体の各頂点に対応する位置に配置される。
複数個のロッドが、複数個の結合部の間において、互いに隣接する結合部同士を連結する。
複数個の外殻部が、複数個のロッドのそれぞれに接合される。
アクチュエータが、第1の正四面体の中心または第2の正四面体の中心に対して、複数個の結合部のうちから選択された一の結合部の外側に配置されるとともに、一の結合部に連結される。
複数個の発光部が、複数個の結合部および複数個のロッドからなる集合から選択された少なくとも一部の結合部またはロッドに、対称性を有するようにして配置される。
【0011】
本開示の第3の好ましい実施態様は、
吊り下げ式開閉装置が、複数個の結合部と、複数個のロッドと、アクチュエータとを備える。
複数個の結合部が、鉛直上方に頂部を有する第1の正四面体と、第1の正四面体と双対関係にある第2の正四面体とを想定したときに、第1の正四面体および第2の正四面体の各頂点に対応する位置に配置される。
複数個のロッドが、複数個の結合部の間において、互いに隣接する結合部同士を連結する。
アクチュエータが、複数個の結合部のうち、第1の正四面体の頂部に対応する位置に配置される結合部の上方に配置されるとともに、該結合部に連結される。
【0012】
本開示の第4の好ましい実施態様は、
吊り下げ式開閉装置が、第1の状態と第2の状態とを有する。
上方に配置される一のアクチュエータの動作により、第1の状態と第2の状態とが、相互に変換される。
第1の群に属する複数個の部材の配置が、第1の正四面体の各頂点に対応する配置をなすとともに、第2の群に属する複数個の部材の配置が、第2の正四面体の各頂点に対応する配置をなす。
第1の状態および第2の状態のいずれかの状態において、第1の正四面体と、第2の正四面体とが、双対関係にある。
【0013】
本開示では、複数個の結合部が、複数個のロッドにより連結される。複数個の結合部のそれぞれは、第1の正四面体と、第2の正四面体とを想定したときに、第1の正四面体および第2の正四面体の各頂点に対応する位置に配置される。
【0014】
ここで、本開示では、第1の正四面体と、第2の正四面体とが、双対関係にある。本明細書において、2つの正多面体が「双対関係(duality relation)にある」とは、どちらか一方の正多面体を構成する各面の内心の位置に、もう一方の正多面体の頂点が位置する関係にあることをいうものとする。なお、本明細書において、正多面体が「双対性を有する」とは、正多面体を構成する各面の内心の位置を頂点とする正多面体を想定したときに、該正多面体を構成する各面の内心の位置を頂点とする正多面体が、もとの正多面体と相似になることをいうものとする。例えば、正六面体(立方体)は、双対性を有し、ある正八面体を構成する各面の内心の位置に頂点が位置する正六面体は、該正八面体と双対関係にある。
【0015】
本開示では、収納状態と展開状態とが、相互に変換され、かつ変換の前後における、それぞれの正四面体の各頂点の間の相対的な位置関係が保存される。言い換えれば、収納状態における第1の正四面体と、展開状態における第1の正四面体とは、相似であり、収納状態における第2の正四面体と、展開状態における第2の正四面体とは、相似である。例えば、収納状態において、第2の正四面体を構成する各面の内心の位置に、第1の正四面体の頂点が位置していたとすると、展開状態においては、第1の正四面体と、第2の正四面体とが合同かつ互いに反転した配置となる。
【0016】
個々の結合部は、ロッドにより、隣接する結合部と連結される。したがって、第1の正四面体の頂点に対応する位置に配置された結合部は、第2の正四面体の頂点に対応する位置に配置された結合部のうちの3つと連結されている。
【0017】
本開示では、複数個の結合部のうちの1つに、アクチュエータが連結される。アクチュエータが伸び縮みすることにより、アクチュエータの連結された結合部が移動する。複数個の結合部は、第1の正四面体の各頂点に対応する位置および第1の正四面体と双対関係にある第2の正四面体の各頂点に対応する位置にあり、かつ互いに隣接する結合部同士はロッドにより連結されている。
【0018】
そのため、複数個の結合部のうちの1つを移動させることにより、該結合部の運動が残りの結合部に順次伝わることとなり、複数個の結合部および複数個のロッドが、同期して移動する。複数個の結合部および複数個のロッドが同期して移動することにより、収納状態と、展開状態とが、相互に変換される。
【0019】
複数個のロッドのそれぞれに複数個の外殻部を接合した場合、複数個の結合部および複数個のロッドの移動に伴い、それぞれの外殻部の少なくとも一部が互いに重なり合ったり、隣接する外殻部との間隙が大きくなったりする。
【0020】
複数個の結合部のからなる集合から選択された少なくとも一部の結合部にスピーカを配置した場合には、音響再生装置が収納状態または展開状態のいずれの状態にあるかに応じて、異なった音響効果が生じる。スピーカにかえて、またはスピーカとともに複数個の発光部を配置した場合には、照明装置または音響再生装置が収納状態または展開状態のいずれの状態にあるかに応じて、異なった配光が生じる。
【0021】
なお、複数個の外殻部のそれぞれが、その表面において準周期的形状を有する場合には、音響再生装置や照明装置の意匠性が向上する。本明細書において、「準周期的形状を有する」とは、その形態が、1以上の何らかのルールから生成された秩序性を有していることをいうものとする。
【発明の効果】
【0022】
少なくとも1つの実施例によれば、収納状態および展開状態の間の相互の変換を、より簡易な構造により実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1Aは、第1の実施形態にかかる音響再生装置の収納状態を示す正面図である。図1Bは、第1の実施形態にかかる音響再生装置の収納状態を示す背面図である。
【図2】図2Aは、音響再生部の収納状態を示す左側面図である。図2Bは、音響再生部の収納状態を示す右側面図である。
【図3】図3Aは、音響再生部の収納状態を示す平面図である。図3Bは、音響再生部の収納状態を示す底面図である。
【図4】図4Aは、音響再生部の展開状態を示す正面図である。図4Bは、音響再生部の展開状態を示す背面図である。
【図5】図5Aは、音響再生部の展開状態を示す左側面図である。図5Bは、音響再生部の展開状態を示す右側面図である。
【図6】図6Aは、音響再生部の展開状態を示す平面図である。図6Bは、音響再生部の展開状態を示す底面図である。
【図7】図7Aは、音響再生部の収納状態を示す斜視図である。図7Bは、音響再生部の展開状態を示す斜視図である。
【図8】図8Aは、第1の実施形態にかかる吊り下げ式開閉装置の収納状態を示す正面図である。図8Bは、第1の実施形態にかかる吊り下げ式開閉装置の収納状態を示す背面図である。
【図9】図9Aは、支持構造体の収納状態を示す左側面図である。図9Bは、支持構造体の収納状態を示す右側面図である。
【図10】図10Aは、支持構造体の収納状態を示す平面図である。図10Bは、支持構造体の収納状態を示す底面図である。
【図11】図11Aは、支持構造体の展開状態を示す正面図である。図11Bは、支持構造体の展開状態を示す背面図である。
【図12】図12Aは、支持構造体の展開状態を示す左側面図である。図12Bは、支持構造体の展開状態を示す右側面図である。
【図13】図13Aは、支持構造体の展開状態を示す平面図である。図13Bは、支持構造体の展開状態を示す底面図である。
【図14】図14Aは、支持構造体の収納状態を示す斜視図である。図14Bは、支持構造体の展開状態を示す斜視図である。
【図15】図15Aは、支持構造体の中心から見たときの、複数の関節部位のうちの1つを示す略線図である。図15Bは、関節部位に対するロッドの可動範囲を説明するための略線図である。
【図16】図16Aおよび図16Bは、3つのスピーカの配置を説明するための略線図である。
【図17】図17Aおよび図17Bは、収納状態における、各関節部位および各ロッドの配置を説明するための略線図である。
【図18】図18Aおよび図18Bは、展開状態における、各関節部位および各ロッドの配置を説明するための略線図である。
【図19】図19Aは、第2の実施形態にかかる照明装置の収納状態を示す正面図である。図19Bは、第2の実施形態にかかる照明装置の収納状態を示す背面図である。
【図20】図20Aは、照明器の収納状態を示す左側面図である。図20Bは、照明器の収納状態を示す右側面図である。
【図21】図21Aは、照明器の収納状態を示す平面図である。図21Bは、照明器の収納状態を示す底面図である。
【図22】図22Aは、照明器の展開状態を示す正面図である。図22Bは、照明器の展開状態を示す背面図である。
【図23】図23Aは、照明器の展開状態を示す左側面図である。図23Bは、照明器の展開状態を示す右側面図である。
【図24】図24Aは、照明器の展開状態を示す平面図である。図24Bは、照明器の展開状態を示す底面図である。
【図25】図25Aは、照明器の収納状態を示す斜視図である。図25Bは、照明器の展開状態を示す斜視図である。
【図26】図26A〜図26Dは、支持構造体の中心から見たときの、各関節部位をそれぞれ示す略線図である。
【図27】図27A〜図27Dは、支持構造体の中心から見たときの、各関節部位をそれぞれ示す略線図である。
【図28】図28Aは、第3の実施形態にかかる音響再生装置の収納状態を示す正面図である。図28Bは、第3の実施形態にかかる音響再生装置の収納状態を示す背面図である。
【図29】図29Aは、音響再生部の収納状態を示す左側面図である。図29Bは、音響再生部の収納状態を示す右側面図である。
【図30】図30Aは、音響再生部の収納状態を示す平面図である。図30Bは、音響再生部の収納状態を示す底面図である。
【図31】図31Aは、音響再生部の展開状態を示す正面図である。図31Bは、音響再生部の展開状態を示す背面図である。
【図32】図32Aは、音響再生部の展開状態を示す左側面図である。図32Bは、音響再生部の展開状態を示す右側面図である。
【図33】図33Aは、音響再生部の展開状態を示す平面図である。図33Bは、音響再生部の展開状態を示す底面図である。
【図34】図34Aは、音響再生部の収納状態を示す斜視図である。図34Bは、音響再生部の展開状態を示す斜視図である。
【図35】図35Aは、支持構造体の収納状態を示す正面図である。図35Bは、支持構造体の収納状態を示す背面図である。
【図36】図36Aは、支持構造体の収納状態を示す左側面図である。図36Bは、支持構造体の収納状態を示す右側面図である。
【図37】図37Aは、支持構造体の収納状態を示す平面図である。図37Bは、支持構造体の収納状態を示す底面図である。
【図38】図38A〜図38Dは、支持構造体の中心から見たときの、各関節部位をそれぞれ示す略線図である。
【図39】図39A〜図39Dは、支持構造体の中心から見たときの、各関節部位をそれぞれ示す略線図である。
【図40】図40Aは、支持構造体の収納状態を示す斜視図である。図40Bは、複数のパネルの内側に、反射部材が配置された音響再生部の例を示す斜視図である。
【図41】図41Aおよび図41Bは、音響再生装置をダイニングルームの天井に設置した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、音響再生装置および照明装置ならびに吊り下げ式開閉装置の実施形態について説明する。説明は、以下の順序で行う。
<1.第1の実施形態>
[音響再生装置の構成の概略]
(複数の関節部位および複数のロッド)
(複数のパネル)
(アクチュエータ)
(複数のスピーカ)
[展開機構]
<2.第2の実施形態>
[照明装置の構成の概略]
(複数の関節部位および複数のロッド)
(複数の発光部)
(複数のパネル)
<3.第3の実施形態>
[音響再生装置の構成の概略]
(複数の関節部位および複数のロッド)
(複数のスピーカおよび複数の発光部)
(複数のパネル)
<4.変形例>
【0025】
なお、以下に説明する実施形態は、音響再生装置および照明装置ならびに吊り下げ式開閉装置の好適な具体例である。以下の説明においては、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、特に本開示を限定する旨の記載がない限り、音響再生装置および照明装置ならびに吊り下げ式開閉装置の例は、以下に示す実施形態に限定されないものとする。
【0026】
<1.第1の実施形態>
[音響再生装置の構成の概略]
図1Aは、第1の実施形態にかかる音響再生装置の収納状態を示す正面図である。図1Bは、第1の実施形態にかかる音響再生装置の収納状態を示す背面図である。
【0027】
図2Aは、音響再生部の収納状態を示す左側面図である。図2Bは、音響再生部の収納状態を示す右側面図である。図3Aは、音響再生部の収納状態を示す平面図である。図3Bは、音響再生部の収納状態を示す底面図である。
【0028】
図4Aは、音響再生部の展開状態を示す正面図である。図4Bは、音響再生部の展開状態を示す背面図である。図5Aは、音響再生部の展開状態を示す左側面図である。図5Bは、音響再生部の展開状態を示す右側面図である。図6Aは、音響再生部の展開状態を示す平面図である。図6Bは、音響再生部の展開状態を示す底面図である。
【0029】
図7Aは、音響再生部の収納状態を示す斜視図である。図7Bは、音響再生部の展開状態を示す斜視図である。
【0030】
図8Aは、第1の実施形態にかかる吊り下げ式開閉装置の収納状態を示す正面図である。図8Bは、第1の実施形態にかかる吊り下げ式開閉装置の収納状態を示す背面図である。
【0031】
図9Aは、支持構造体の収納状態を示す左側面図である。図9Bは、支持構造体の収納状態を示す右側面図である。図10Aは、支持構造体の収納状態を示す平面図である。図10Bは、支持構造体の収納状態を示す底面図である。
【0032】
図11Aは、支持構造体の展開状態を示す正面図である。図11Bは、支持構造体の展開状態を示す背面図である。図12Aは、支持構造体の展開状態を示す左側面図である。図12Bは、支持構造体の展開状態を示す右側面図である。図13Aは、支持構造体の展開状態を示す平面図である。図13Bは、支持構造体の展開状態を示す底面図である。
【0033】
図14Aは、支持構造体の収納状態を示す斜視図である。図14Bは、支持構造体の展開状態を示す斜視図である。
【0034】
図1Aおよび図1Bに示すように、第1の実施形態にかかる音響再生装置11は、アクチュエータ3と、複数のパネルを備える音響再生部12とからなる。
【0035】
音響再生部12は、その内部に、図8〜図14に示す支持構造体2を備えている。図8Aおよび図8Bに示すように、アクチュエータ3と、支持構造体2とから、第1の実施形態にかかる吊り下げ式開閉装置1が構成される。
【0036】
吊り下げ式開閉装置1は、収納状態と展開状態とを有する。したがって、内部に支持構造体2を備える音響再生装置11も同様に、収納状態と展開状態とを有している。
【0037】
支持構造体2は、複数の関節部位と、複数のロッドとからなる。複数の関節部位のそれぞれは、後述するように、2つの正四面体を想定したときに、その2つの正四面体の各頂点に対応する位置に配置される。
【0038】
図8〜図13に示すように、複数の関節部位のうち、3つの関節部位に、スピーカS2、S3およびS4がそれぞれ配置される。スピーカS2、S3およびS4は、一方の正四面体の頂点のうちの3つに対応する位置にある関節部位にそれぞれ配置される。図8Aおよび図8Bに示すように、該正四面体の残りの頂点に対応する位置にある関節部位には、アクチュエータ3が連結される。
【0039】
図8〜図13に示すように、互いに隣接する関節部位同士は、ロッドにより連結される。複数のロッドのそれぞれからは、例えば、互いに隣接した関節部位を結ぶ方向に対して垂直に、枝部が外側に向けてのびている。複数のパネルのそれぞれは、例えば、複数のロッドのそれぞれからのびた枝部に接合されている。
【0040】
次に、図1〜図16を参照しながら、複数の関節部位および複数のロッド、複数のパネル、アクチュエータ3ならびにスピーカS2、S3およびS4について順に説明を行う。
【0041】
(複数の関節部位および複数のロッド)
図8〜図13に示すように、支持構造体2は、8つの関節部位Ca1、Ca2、Ca3、Ca4、Cb1、Cb2、Cb3およびCb4と、12のロッドR12、R13、R14、R23、R24、R21、R34、R31、R32、R41、R42およびR43とを含む。
【0042】
関節部位Ca1、Ca2、Ca3およびCa4は、正四面体を想定したときの、該正四面体の各頂点に対応する位置に配置されている。以下、関節部位Ca1、Ca2、Ca3およびCa4を結んで得られる正四面体を正四面体Taとする。例えば、関節部位Ca1の配置は、正四面体Taの頂部と対応する位置とされる。
【0043】
また、関節部位Cb1、Cb2、Cb3およびCb4は、正四面体を想定したときの、該正四面体の頂点に対応する位置に配置されている。以下、関節部位Cb1、Cb2、Cb3およびCb4を結んで得られる正四面体を正四面体Tbとする。
【0044】
正四面体Taは、正四面体Tbとは双対関係にある。例えば、収納状態において、正四面体Tbを構成する各面の内心の位置に、正多面体Taの各頂点が位置している。
【0045】
図8〜図13に示すように、8つの関節部位Ca1、Ca2、Ca3、Ca4、Cb1、Cb2、Cb3およびCb4のそれぞれは、自身以外の関節部位のうちの3つと、3つのロッドを介して連結されている。
【0046】
すなわち、関節部位Ca1と関節部位Cb2とが、ロッドR12により連結され、関節部位Ca1と関節部位Cb3とが、ロッドR13により連結され、また、関節部位Ca1と関節部位Cb4とが、ロッドR14により連結される。関節部位Ca2と関節部位Cb3とが、ロッドR23により連結され、関節部位Ca2と関節部位Cb4とが、ロッドR24により連結され、また、関節部位Ca2と関節部位Cb1とが、ロッドR21により連結される。関節部位Ca3と関節部位Cb4とが、ロッドR34により連結され、関節部位Ca3と関節部位Cb1とが、ロッドR31により連結され、また、関節部位Ca3と関節部位Cb2とが、ロッドR32により連結される。さらに、関節部位Ca4と関節部位Cb1とが、ロッドR41により連結され、関節部位Ca4と関節部位Cb2とが、ロッドR42により連結され、また、関節部位Ca4と関節部位Cb3とが、ロッドR43により連結される。
【0047】
図15Aは、支持構造体の中心から見たときの、複数の関節部位のうちの1つを示す略線図である。図15Aは、8つの関節部位のうち、最底部に位置する関節部位Cb1と、該関節部位Cb1に連結されたロッドR21、R31およびR41のそれぞれ一部とを示している。
【0048】
図15Aに示すように、例えば、関節部位Cb1には、ヒンジhb12、hb13およびhb14が設けられ、ロッドR21、R31およびR41は、ヒンジhb12、hb13およびhb14により、関節部位Cb1とそれぞれ連結される。なお、関節部位Cb1から関節部位Ca1に向かう方向をZ方向にとり、Z方向と垂直な面をXY面にとったとすると、ロッドR21、R31およびR41のXY面への射影は、互いに(2π/3)[rad](度数法で表現すると120°)の角度をなしている。
【0049】
同様に、他の関節部位のそれぞれも3つのヒンジを有し、ロッドと、関節部位とが、関節部位のそれぞれに設けられた3つのヒンジにより連結される。
【0050】
図15Bは、関節部位に対するロッドの可動範囲を説明するための略線図である。図15Bは、図15Aに示す関節部位Cb1をY方向に向かって見た図に対応する。
【0051】
それぞれのロッドと、関節部位とは、例えば、ヒンジなどにより、回転自在な態様で連結される。例えば、ロッドR21は、XY面内からZ方向に向けて、少なくともβ=Arctan(21/2)[rad](度数法で表現するとおよそ54.74°)までの範囲において、関節部位Cb1に対して回転自在とされる。
【0052】
ロッドR12、R13、R14、R23、R24、R21、R34、R31、R32、R41、R42およびR43のそれぞれは、例えば、図8〜図13および図15Bに示すように、ロッドののびる方向とは垂直な方向にのびる枝部を有している。例えば、ロッドR21は、図15Bに示すように、支持構造体2の外側に向かってのびる枝部B21を有している。
【0053】
同様に、ロッドR13は枝部B13を、ロッドR14は枝部B14を有している。ロッドR23は枝部B23を有し、ロッドR24は枝部B24を有し、ロッドR21は枝部B21を有している。ロッドR34は枝部B34を有し、ロッドR31は枝部B31を有し、ロッドR32は枝部32を有している。ロッドR41は枝部B41を有し、ロッドR42は枝部B42を有し、ロッドR43は枝部43を有している。
【0054】
複数の枝部のそれぞれには、後述するパネルが取りつけられる。
【0055】
複数の関節部位および複数のロッドを構成する材料としては、例えば、樹脂材料や金属材料、セラミクスなどの焼結材料などを挙げることができるが、特に限定されるものではない。
【0056】
これらの材料の加工方法についても特に限定はなく、プレス加工などの機械加工や射出成型などが適用可能である。
【0057】
または、複数の関節部位または複数のロッドの製作に、ラピッドプロトタイピング技術を適用してもよい。ラピッドプロトタイピング技術とは、迅速に試作品を得ることのできる三次元造型技術のことである。近年、試作品のみならず、ラピッドプロトタイピング技術を適用して部品や完成品を得ることも行われる。
【0058】
ラピッドプロトタイピング技術に適用可能な手法としては、例えば、光造形法や粉末焼結法、樹脂溶融積層法、インクジェット法、シート積層法などが挙げられる。光造形法は、ラジカル重合またはカチオン重合する樹脂材料に対して紫外線レーザビームを照射し、樹脂材料を選択的に硬化させて立体物を造形する手法である。光造形法によれば、光透過性を有する高精細度の部品や完成品を得ることができる。粉末焼結法は、層状に敷かれた原料粉末に対して、レーザビームなどを照射して直接焼結したり、インクジェット方式により選択的にバインダを添加したりして、原料粉末を固めて立体物を造形する手法である。粉末焼結法によれば、金属材料など、高耐久性の材料を使用することもできる。
【0059】
ラピッドプロトタイピング技術を適用することにより、例えば、機械加工に関する知識や経験が乏しい者であっても、一回のプロセスにより、内部形状をも含む複雑な立体形状を有する部材を自動的に製作することができる。また、金型などを使用する必要がないため、複数の関節部位または複数のロッドの製造コストを抑えることができる。
【0060】
(複数のパネル)
図1〜図6に示すように、音響再生部12は、例えば、12のパネルA12、A13、A14、A23、A24、A21、A34、A31、A32、A41、A42およびA43を備える。パネルA12、A13、A14、A23、A24、A21、A34、A31、A32、A41、A42およびA43のそれぞれは、個々のロッドに設けられた枝部B12、B13、B14、B23、B24、B21、B34、B31、B32、B41、B42およびB43のそれぞれと接合されている。
【0061】
複数のパネルのそれぞれは、図1〜図6に示すように、例えば、略同一の形状とされる。複数のパネルのそれぞれは、後述するスピーカからの出力のサウンドリフレクタとして機能する。
【0062】
複数のパネルのそれぞれは、個々のロッドに設けられた枝部と接合されているため、支持構造体2が収納状態であるか展開状態であるかに応じて、その位置や角度が変化する。すなわち、支持構造体2が収納状態にある場合、音響再生装置11は収納状態となる。また、支持構造体2が展開状態にある場合、音響再生装置11は展開状態となる。
【0063】
図1〜図6では、音響再生装置11が収納状態である場合において、複数のパネルのそれぞれが隣接するパネルとの重なりを有するようにされた構成例を示している。もちろん、図1〜図6に示す複数のパネルの形状はあくまでも一例にすぎず、音響再生装置11の製造者は、複数のパネルの形状を適宜に変更可能である。
【0064】
ここで、複数のパネルの形状の設計手法の一例について説明する。
【0065】
上述したように、音響再生装置11は、収納状態および展開状態の2つの状態を有している。そのため、収納状態および展開状態の2つの状態の変化の前後において、複数のパネルのそれぞれが互いに干渉しないことが必要である。
【0066】
個々のパネルの形状を単純な形状とする場合には、例えば、トライアルアンドエラーにより個々のパネルの形状の解析を行うことも可能ではあるが、製造コストがかかりすぎることとなり、トライアルアンドエラーによる設計は現実的ではない。また、個々のパネルの形状を、より意匠性の高い形状や、より複雑な形状にしたいという要求の存在も十分に考えられる。
【0067】
このような場合に適用可能な設計手法として、“アルゴリズミックデザイン”と呼ばれる手法が知られている。アルゴリズミックデザインとは、ある課題を解くためのアルゴリズムを用い、その解として、形態や構造を生成させる手法である。
【0068】
アルゴリズムとは、“ある目的を遂行するための記述された手順”であり、特定の表現形式を有さない。アルゴリズミックデザインにおいては、例えば、最適化やセルオートマトン、マルチエージェントシステム、遺伝的アルゴリズム、ニューラルネットワーク、カオス、フラクタル、自己組織化、DLA(Diffusion-Limited Aggregation)、生成文法、人工知能(Artificial Intelligence(AI))、エントロピなどが応用される。
【0069】
近年では、アルゴリズミックデザインを行うための、可視化された使いやすいソフトウェアも提供され始めている。例えば、製品や建築物の設計者は、このようなソフトウェアを使用することにより、発生アルゴリズムを用いて新しい形状を生み出すことが可能である。
【0070】
アルゴリズミックデザインの手法によれば、製品や建築物の設計者は、例えば、自然界に存在する形態をモチーフとして新規な形態や構造を生み出すこともできる。上述したように、アルゴリズムとは、“ある目的を遂行するための記述された手順”であるため、アルゴリズミックデザインより得られた形態は、1以上の何らかのルールから生成された秩序性を有しているものとなる。1以上の何らかのルールから生成された秩序性としては、例えば、自己相似性などが挙げられる。
【0071】
例えば、以下のようにして、個々のパネルの形状の設計にアルゴリズミックデザインが適用される。
【0072】
まず、収納状態にある支持構造体2を包摂する球面を想定し、該球面を分割して得られる形状を、個々のパネルの初期形状とする。次に、例えば、メッシュ化などにより、個々のパネルの初期形状を複数の要素(小領域)の集合とする。次に、収納状態および展開状態の2つの状態の間で各要素の軌跡を変化させ、干渉する部分をソフトウェア上で解析する。個々のパネルの初期形状を変化させて、上述した解析を繰り返し、収納状態および展開状態の2つの状態の変化の前後において、複数のパネルが互いに干渉しない解(形状)が得られれば、解析が終了となり、個々のパネルの形状が決定される。
【0073】
複数のパネルを構成する材料としては、例えば、樹脂材料や金属材料、セラミクスの焼結材料、鉱物、ガラス、紙、布、植物材料またはこれらの複合材などを挙げることができるが、特に限定されるものではない。複数のパネルを構成する材料は、音響再生装置11の製造者が所望する音響特性により選択されればよく、例えば、複数のパネルが、柔軟性を有する材料により構成されていてもよい。複数のパネルを構成する材料として、柔軟性を有する材料を選択することにより、支持構造体2における収納状態と展開状態との変化の間で複数のパネルを湾曲させ、個々のパネルの形状に変化を与えることもできる。
【0074】
例えば、複数のパネルに、吸音材が配置されていてもよい。また、例えば、複数のパネルの全てもしくは複数のパネルの一部に、1以上のサウンドリフレクタがさらに配置されていてもよい。
【0075】
複数のパネルを構成する材料の加工方法についても特に限定はなく、機械加工などが適用でき、樹脂材料であれば、射出成型なども適用が可能である。または、例えば、ラピッドプロトタイピング技術を適用すれば、複雑な形状を有する複数のパネルを備える音響再生装置11を、オーダーメイド(made-to-order)で短期間に製造することも可能となる。
【0076】
(アクチュエータ)
図1Aおよび図1Bならびに図8Aおよび図8Bに示すように、吊り下げ式開閉装置1および音響再生装置11は、例えば、巻き上げモータ5およびワイヤ7からなるアクチュエータ3を備える。ワイヤ7は、例えば、吊り下げ式開閉装置1の関節部位Ca1の上部に設けられたリング部Rに結合されている。
【0077】
アクチュエータ3は、吊り下げ式開閉装置1および音響再生装置11における収納状態と、展開状態とを相互に変換するための駆動装置である。
【0078】
アクチュエータ3として、巻き上げモータ5およびワイヤ7の組のほか、シリンダ、カムまたはボールねじなどを含むリニアアクチュエータ、磁力を利用したいわゆるリニアモータ、有機材料または無機材料を用いた人工筋肉(Electroactive Polymer Artificial Muscle(EPAM))などを使用してもよい。人工筋肉に用いられる有機材料としては、例えば、高分子ゲルやイオン導電性高分子、導電性高分子などが挙げられる。人工筋肉に用いられる無機材料としては、例えば、形状記憶合金などが挙げられる。
【0079】
吊り下げ式開閉装置1は、図14Aおよび図14Bに示すように、例えば、枝部B12、B13およびB14にそれぞれ結合されたワイヤL2、L3およびL4により上方から支持される。図14Aおよび図14Bでは、ワイヤL2、L3およびL4が略等しい長さとされるとともに、関節部位Ca1の上方に配置されたリング9に結合された例が示されている。リング9は、例えば、天井やフロアライトの支持部材などと直接的にまたは間接的に結合されることにより保持される。ワイヤ7は、例えば、リング9の中心部に通される。
【0080】
いま、吊り下げ式開閉装置1が、収納状態であったとする。このときのアクチュエータ3は、伸張状態にあり、関節部位Ca1は、関節部位Cb2、Cb3およびCb4を結んで得られる正三角形の内心とほぼ対応する位置にある。
【0081】
次に、巻き上げモータ5が、ワイヤ7を巻き上げると、関節部位Ca1が上方に引き上げられるとともに、関節部位Ca1の運動が、複数個のロッドを介して他の関節部位に伝わっていく。関節部位Ca1の移動に伴い、関節部位Cb1、Cb2、Cb3およびCb4が、吊り下げ式開閉装置1の内側に向かって移動し、関節部位Ca2、Ca3およびCa4が、吊り下げ式開閉装置1の外側に向かって移動する。
【0082】
各関節部の移動は、例えば、吊り下げ式開閉装置1の各部にかかる力のバランスが取れる位置まで実行される。各関節部の移動し終わった状態が、吊り下げ式開閉装置1および音響再生装置11における展開状態となる。なお、各関節部位において各ロッドが滑らかに可動する場合、ワイヤ7の巻き上げには大きな力を必要としないですむ。
【0083】
なお、展開状態からの収納状態への変換は、ワイヤ7の巻き上げを解除することにより容易に実行される。
【0084】
(複数のスピーカ)
図8〜図13に示すように、音響再生装置11は、スピーカS2、S3およびS4を備える。3つのスピーカへの入力は、例えば、1チャンネルとされ、スピーカS2、S3およびS4の電気音響変換により、音声や音楽が再生される。
【0085】
スピーカS2、S3およびS4の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、コーン型スピーカやドーム型スピーカ、ホーン型スピーカ、リボン型スピーカ、静電型スピーカなどを使用することができる。
【0086】
図8〜図13に示すように、スピーカS2、S3およびS4は、関節部位Ca1、Ca2、Ca3およびCa4のうち、アクチュエータ3に連結される関節部位Ca1を除く3つの関節部位にそれぞれ配置されている。そのため、音響再生装置11が収納状態から展開状態へと変化すると、関節部位Ca2、Ca3およびCa4の移動に伴い、パネルの間からスピーカS2、S3およびS4が現れることとなる。
【0087】
図16Aおよび図16Bは、3つのスピーカの配置を説明するための略線図である。図16Aおよび図16Bにおいては、正四面体Taの頂点Va1、Va2、Vc3およびVa4を網掛けの円により示した。また、正四面体Taの重心を黒色の円Cにより示した。
【0088】
図16Aに示すように、スピーカS2、S3およびS4の配置される位置は、正四面体Taの3つの頂点Va2、Vc3およびVa4と対応する。このとき、重心Cと、正四面体Taの3つの頂点Va2、Vc3およびVa4とを結ぶ各線分の間の角αは、Arccos(−1/3)[rad](度数法で表現するとおよそ109.47°)である。
【0089】
なお、音響再生装置11における収納状態および展開状態の2つの状態の変化の前後において、各頂点Va1、Va2、Vc3およびVa4の間の関係は保存される。言い換えれば、収納状態における各頂点Va1、Va2、Vc3およびVa4を結んで得られる正四面体と、展開状態における各頂点Va1、Va2、Vc3およびVa4を結んで得られる正四面体とは、相似である。したがって、角αは、収納状態および展開状態の2つの状態の変化の前後において変化しない。
【0090】
図16Bは、正四面体Taの底面に対する、頂点Va2、Vc3およびVa4ならびに重心Cの射影を示す図に相当する。図16Bに示すように、3つのスピーカS2、S3およびS4の間に形成される角δは、2π/3[rad](度数法で表現すると120°)である。そのため、個々のスピーカS2、S3およびS4から再生される音の広がりが2π/3[rad]と同程度かそれより大きければ、音響再生装置11の指向性は、ほぼ無指向であるということができる。
【0091】
上述したように、展開状態においては、パネルの間からスピーカS2、S3およびS4があらわとなっている。そのため、例えば、指向性がほぼ無指向とされた、音響再生装置11を天井から吊り下げ、展開状態で音響再生装置11により音楽を再生すると、音響再生装置11のユーザは、音楽がシャワーのように降りそそぐような効果を得ることができる。
【0092】
[展開機構]
次に、図17Aおよび図17Bならびに図18Aおよび図18Bを参照しながら、吊り下げ式開閉装置1および音響再生装置11の収納状態と、展開状態とを相互に変換するための展開機構について説明を行う。
【0093】
図17Aおよび図17Bは、収納状態における、各関節部位および各ロッドの配置を説明するための略線図である。なお、図17Aおよび図17Bにおいては、正四面体Taの頂点Va1、Va2、Vc3およびVa4を網掛けの円により示し、正四面体Tbの頂点Vb1、Vb2、Vb3およびVb4を白色の円により示した。
【0094】
上述したように、収納状態において、関節部位Ca1、Ca2、Ca3およびCa4は、正四面体Taの各頂点Va1、Va2、Va3およびVa4にそれぞれ対応した位置にある。また、関節部位Cb1、Cb2、Cb3およびCb4は、正四面体Tbの各頂点Vb1、Vb2、Vb3およびVb4にそれぞれ対応した位置にある。
【0095】
さらに、収納状態において、正四面体Taは、正四面体Tbと双対関係にある。すなわち、図17Bに示すように、正四面体Tbを構成する各面の内心の位置に、正多面体Taの各頂点が位置している。例えば、頂点Va3は、頂点Vb4、Vb1およびVb2を結んで得られる正三角形の内心の位置にある。
【0096】
図17Aにおける、正四面体Taの頂点のうちの1つと、正四面体Tbの頂点のうちの1つとを結ぶ各線分は、各関節部位の間に介在するロッドに対応する。例えば、線分sd12、sd13およびsd14は、ロッドR12、R13およびR14にそれぞれ対応する。同様に、線分sd23、sd24およびsd21は、ロッドR23、R24およびR21にそれぞれ対応する。線分sd34、sd31およびsd32は、ロッドR34、R31およびR32にそれぞれ対応する。線分sd41、sd42およびsd43は、ロッドR41、R42およびR43にそれぞれ対応する。
【0097】
上述したように、各ロッドは、自身ののびる方向とは垂直な方向にのびる枝部を有している。したがって、収納状態において、各枝部は、正四面体Tbの各面と垂直かつ正四面体Tbの外側に向かってのびている。図17Aおよび図17Bにおいては図示されていないが、例えば、3つの枝部B12、B13およびB14は、頂点Vb2、Vb3およびVb4を含む面とは垂直の方向にのび、枝部B12、B13およびB14の各先端は、該面と平行な面内にある。
【0098】
いま、関節部位Ca1、Ca2、Ca3およびCa4のうちの1つを、正四面体Taの外側に向けて移動させたとすると、上述したように、8つの関節部位と、12のロッドとが同期して移動する。
【0099】
このときの各頂点の動きを追うと、正四面体Taの各頂点は、相異なる頂点を結ぶ線分の間の角を維持したまま、正四面体Taの外側に向けて移動する。一方、正四面体Tbの各頂点は、相異なる頂点を結ぶ線分の間の角を維持したまま、正四面体Tbの内側に向けて移動する。すなわち、正四面体Taおよび正四面体Tbの各頂点は、各頂点を結んだときに得られる立体的形状(正四面体)を維持したまま移動する。
【0100】
正四面体Taおよび正四面体Tbの各頂点は、吊り下げ式開閉装置1または音響再生装置11が展開状態となるまで移動する。
【0101】
図18Aおよび図18Bは、展開状態における、各関節部位および各ロッドの配置を説明するための略線図である。
【0102】
図18Aに示すように、正四面体Taおよび正四面体Tbの各頂点の移動は、頂点Va1、Va2、Va3およびVa4を結んで得られる正四面体と、頂点Vb1、Vb2、Vb3およびVb4を結んで得られる正四面体とが、合同となるまで実行される。すなわち、展開状態におけるそれぞれの正四面体の各辺を描くと、図18Aに示すように、2つの正四面体の相貫体が得られる。
【0103】
このとき、正四面体Taの頂点のうちの1つと、正四面体Tbの頂点のうちの1つとをそれぞれ結ぶと、図18Bに示すように、正六面体が得られる。すなわち、展開状態における各ロッドは、正六面体の各辺に対応した配置となる。なお、上述した2つの正四面体の互いに重なり合う部分は、上述した正六面体と双対関係にある正八面体となる。
【0104】
また、図18Bにおいては図示されていないが、各枝部の先端を結ぶと、立方八面体が得られる。したがって、各枝部の先端に接合された各パネルの配置は、音響再生装置11が収納状態から展開状態に変化するに伴い、隣接するパネルとの間の空間が大きくなるとともに、あたかもうねるようにして変化することとなる。
【0105】
このように、本開示によれば、例えば、1つのワイヤを操作するというごく簡単な操作だけで、収納状態と、展開状態との間の相互の変換を自在に行うことが可能となる。
【0106】
このことは、正四面体Taが、正四面体Tbと双対関係にあることによる。
【0107】
三次元空間内において、正多面体は、正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体の5つに限られる。正六面体と正八面体とは互いに双対であり、また、正十二面体と二十面体とは互いに双対である。
【0108】
ここで、上述した5つの正多面体の中で、自己双対な正多面体は、正四面体のみである。
【0109】
双対関係にある2つの正四面体の各頂点と対応する位置に関節部位を配置し、互いに隣接する関節部位同士を連結することにより、複数の関節部位のうちの1つを引っぱるだけで全体の外観を劇的に変化させるという効果が得られる。例えば、正六面体および正八面体の各頂点と対応する位置に関節部位を配置し、互いに隣接する関節部位同士を連結したとしても、各関節部位がロックしてしまい、上述したような効果を得ることはできない。
【0110】
本開示の音響再生装置は、3つのスピーカS2、S3およびS4を備え、スピーカS2、S3およびS4の配置される位置は、一方の正四面体Taの4つの頂点のうちの3つに対応する位置である。さらに、各関節部位を連結するロッドには、収納状態と、展開状態との間の変化の前後において、各ロッドの移動に伴い、全体における位置や角度の変化するパネルが接合されている。
【0111】
そのため、本開示の音響再生装置によれば、収納状態と、展開状態を変化させることにより、それぞれの状態の間で全く異なった音響効果を得ることができる。例えば、音響再生装置のユーザは、家族だけで静かに食事を楽しむときには、音響再生装置を収納状態としてバックグラウンドミュージック(back-ground music)を再生させることができる。また、例えば、友人を呼んでパーティを催すときには、音響再生装置を展開状態として華やかな雰囲気を演出することができる。
【0112】
このように、音響再生装置のユーザは、再生させる音楽のジャンルや、その場の雰囲気にあわせて、音響再生装置の状態を選択し、所望する音響効果を得ることができる。そのほか、音響再生装置のユーザは、音楽の再生中に、収納状態と、展開状態とを相互に変換すれば、スピーカの音量を変化させずに、フェードインやフェードアウトの効果を得ることもできる。
【0113】
<2.第2の実施形態>
[照明装置の構成の概略]
図19Aは、第2の実施形態にかかる照明装置の収納状態を示す正面図である。図19Bは、第2の実施形態にかかる照明装置の収納状態を示す背面図である。
【0114】
図20Aは、照明器の収納状態を示す左側面図である。図20Bは、照明器の収納状態を示す右側面図である。図21Aは、照明器の収納状態を示す平面図である。図21Bは、照明器の収納状態を示す底面図である。
【0115】
図22Aは、照明器の展開状態を示す正面図である。図22Bは、照明器の展開状態を示す背面図である。図23Aは、照明器の展開状態を示す左側面図である。図23Bは、照明器の展開状態を示す右側面図である。図24Aは、照明器の展開状態を示す平面図である。図24Bは、照明器の展開状態を示す底面図である。
【0116】
図25Aは、照明器の収納状態を示す斜視図である。図25Bは、照明器の展開状態を示す斜視図である。
【0117】
図19Aおよび図19Bに示すように、第2の実施形態にかかる照明装置21は、アクチュエータ3と、複数のパネルを備える照明器22とからなる。
【0118】
照明器22は、その内部に、双対関係にある2つの正四面体の各頂点と対応する位置に配置された複数の関節部位と、それらを連結する複数のロッドとからなる支持構造体を備える点において、第1の実施形態と共通する。したがって、収納状態と展開状態とを有する支持構造体を内部に備える照明装置21も同様に、収納状態と展開状態とを有している。なお、複数のロッドには、第1の実施形態と同様に、複数のパネルが接合される。
【0119】
第2の実施形態においては、3つの関節部位にスピーカが配置されない点において、第1の実施形態と相違している。また、第2の実施形態においては、複数個の関節部位および複数個のロッドからなる集合から選択された少なくとも一部の関節部位またはロッドに、対称性を有するようにして複数の発光部が配置される点において、第1の実施形態と相違している。
【0120】
複数の発光部は、例えば、個々のロッドののびる方向に対して、個々のロッドに設けられた枝部とは反対側に配置される。この場合、複数の発光部からそれぞれ発せられた光は、照明器22の中心に向かって進行し、複数のパネルを介して、または複数のパネルの間から、照明器22の外部に向かって出射される。
【0121】
次に、図19〜図27を参照しながら、複数の関節部位および複数のロッド、複数の発光部ならびに複数のパネルについて順に説明を行う。
【0122】
(複数の関節部位および複数のロッド)
図26A〜図26Dおよび図27A〜図27Dは、支持構造体の中心から見たときの、各関節部位をそれぞれ示す略線図である。図26A〜図26Dは、2つの正四面体を想定したときに、一方の正四面体の各頂点に対応する位置に配置される関節部位Ca1、Can2、Can3およびCan4ならびにそれらに連結されたロッドをそれぞれ示す図である。図27A〜図27Dは、2つの正四面体のうち、他方の正四面体の各頂点に対応する位置に配置される関節部位Cb1、Cb2、Cb3およびCb4ならびにそれらに連結されたロッドをそれぞれ示す図である。
【0123】
図26B〜図26Dに示すように、関節部位Can2、Can3およびCan4は、スピーカの配置されない関節部位である。
【0124】
図26A〜図26Dおよび図27A〜図27Dに示すように、関節部位Ca1、Can2、Can3およびCan4ならびにCb1、Cb2、Cb3およびCb4には、それぞれ3つのロッドが連結される。上述した8つの関節部位に連結される個々のロッドRd12、Rd13、Rd14、Rd23、Rd24、Rd21、Rd34、Rd31、Rd32、Rd41、Rd42およびRd43の例えば中央には、発光部LE12、LE13、LE14、LE23、LE24、LE21、LE34、LE31、LE32、LE41、LE42およびLE43が、それぞれ配置される。なお、各ロッドには、各発光部とは反対の側に、支持構造体の外部に向けてのびる枝部が設けられる。
【0125】
(複数の発光部)
個々の発光部は、図26A〜図26Dおよび図27A〜図27Dに示すように、例えば、複数個の発光素子の群から構成される。
【0126】
図26A〜図26Dおよび図27A〜図27Dに示す構成例は、個々の発光部LE12、LE13、LE14、LE23、LE24、LE21、LE34、LE31、LE32、LE41、LE42およびLE43が、3つの発光ダイオード(Light Emitting Diode(LED))の群からなる例である。例えば、発光部LE12には、3つの発光ダイオードd121、d122およびd123が配置されている。発光素子として発光ダイオードを使用することにより、電力消費を抑えながら、十分な明るさを提供することができる。
【0127】
個々の発光部に配置される発光ダイオードの個数は、照明装置21の製造者が適宜に変更可能であり、照明装置21の製造者は、個々の発光部に配置される発光ダイオードの個数を、例えば、30などにしてもよい。
【0128】
発光ダイオードにかえて、または発光ダイオードとともに、有機EL(Electroluminescence:電界発光効果)や蛍光灯などを個々の発光部に配置するようにしてもよい。
【0129】
図26A〜図26Dおよび図27A〜図27Dに示す構成例では、複数の発光部が、各発光部から出射される光が支持構造体の中心に向かうようにして、支持構造体を構成する複数のロッドに対称性を有するように配置されている。そのため、各発光部から出射された光は、後述する複数のパネルを介して、または複数のパネルの間から、照明器22の外部に向かって出射される。
【0130】
なお、図26A〜図26Dおよび図27A〜図27Dに示す構成例では、複数の発光部のそれぞれが、各ロッドの中央に配置される構成例を示したが、複数の発光部の配置は、この例に限られない。このとき、複数の発光部のそれぞれが、複数の関節部位および複数のロッドからなる集合から選択された少なくとも一部の関節部位またはロッドに、対称性を有するようにして配置されていることが好ましい。照明装置のユーザが、偏りの少ない配光を得ることができるからである。
【0131】
(複数のパネル)
図19〜図24に示すように、照明器22は、複数のパネルH12、H13、H14、H23、H24、H21、H34、H31、H32、H41、H42およびH43を備えている。複数のパネルH12、H13、H14、H23、H24、H21、H34、H31、H32、H41、H42およびH43は、第1の実施形態における12のパネルA12、A13、A14、A23、A24、A21、A34、A31、A32、A41、A42およびA43に対応するものである。
【0132】
複数のパネルH12、H13、H14、H23、H24、H21、H34、H31、H32、H41、H42およびH43は、例えば、個々のロッドに設けられた枝部のそれぞれと接合されている。そのため、照明装置21が収納状態から展開状態に変化するに伴い、各枝部の先端に接合された各パネルの配置は、あたかもうねるようにして変化し、隣接するパネルとの間の空間が変化する。
【0133】
図19〜図25に示す構成例では、複数のパネルのそれぞれの形態が、サンゴの骨格(corallum)やハチの巣に似た形態とされている。このような形態も、例えば、上述したアルゴリズミックデザインにより得ることができる。
【0134】
複数のパネルのそれぞれの表面を、準周期的な形状や形態を有するものとする場合、照明装置や音響再生装置における全体としての対称性を低下させずに、照明装置や音響再生装置の意匠性や機能性を向上させることができる。
【0135】
図19〜図25に示す構成例では、個々のパネルが、複数の側面からなる単位の集合とされ、照明器22の内部と、外部とが、該複数の側面の内部の空間を介して連通している。このような複雑な形状を有する複数のパネルも、例えば、上述したラピッドプロトタイピング技術の適用により、短期間で製作することが可能である。
【0136】
複数のパネルは、いわゆるランプシェードの機能を有するため、個々のパネルの形態が複雑になるほど、複雑かつ印象的な陰影を提供することができる。また、照明装置21における収納状態と、展開状態とを変化させると、各ロッドの移動に伴い、全体における、個々のパネルの位置や角度が変化する。そのため、照明装置のユーザは、例えば、蛍光灯などに投入する電力を変化させた場合とは異なった照度変化を楽しむことができる。
【0137】
複数のパネルを構成する材料としては、例えば、樹脂材料や金属材料、セラミクスの焼結材料、鉱物、ガラス、紙、布、植物材料またはこれらの複合材などを挙げることができるが、特に限定されるものではない。例えば、複数のパネルが、柔軟性を有する材料により構成されていてもよい。複数のパネルを構成する材料として、柔軟性を有する材料を選択することにより、支持構造体2における収納状態と展開状態との変化の間で複数のパネルを湾曲させ、個々のパネルの形状に変化を与えることもできる。
【0138】
例えば、照明装置の製造者は、複数のパネルを構成する材料として、透明樹脂やガラスなど、光透過性を有する材料を選択することができる。複数のパネルを構成する材料として光透過性を有する材料が選択されることにより、照明装置を展開状態としたときに、照明装置のユーザは、シャンデリアを使用しているような豪華な雰囲気を楽しむことができる。
【0139】
なお、複数のパネルの内側または外側の少なくとも一部に、金属の蒸着層などの反射部材が配置されてもよい。または、複数のパネルの内側または外側の少なくとも一部に、有機ELなどの自発光素子が配置されてもよい。複数のパネルの内側または外側の少なくとも一部に、反射部材や自発光素子が配置されることにより、照明装置のユーザは、より華やかな雰囲気の演出が可能となる。
【0140】
本開示の照明装置によれば、収納状態と、展開状態を変化させることにより、それぞれの状態の間で全く異なった照明効果を得ることができる。例えば、照明装置のユーザは、家族だけで静かに食事を楽しむときには、照明装置を収納状態として落ち着いた雰囲気を楽しむことができる。また、例えば、友人を呼んでパーティを催すときには、照明装置を展開状態として華やかな雰囲気を演出することができる。
【0141】
また、本開示によれば、複数のパネルの位置、角度または形状を変化させることにより、繊細な調光を可能とでき、照明装置のユーザの生活リズムを向上させることもでき、照明装置のユーザの人生に潤いを与えることができる。
【0142】
<3.第3の実施形態>
[音響再生装置の構成の概略]
図28Aは、第3の実施形態にかかる音響再生装置の収納状態を示す正面図である。図28Bは、第3の実施形態にかかる音響再生装置の収納状態を示す背面図である。
【0143】
図29Aは、音響再生部の収納状態を示す左側面図である。図29Bは、音響再生部の収納状態を示す右側面図である。図30Aは、音響再生部の収納状態を示す平面図である。図30Bは、音響再生部の収納状態を示す底面図である。
【0144】
図31Aは、音響再生部の展開状態を示す正面図である。図31Bは、音響再生部の展開状態を示す背面図である。図32Aは、音響再生部の展開状態を示す左側面図である。図32Bは、音響再生部の展開状態を示す右側面図である。図33Aは、音響再生部の展開状態を示す平面図である。図33Bは、音響再生部の展開状態を示す底面図である。
【0145】
図34Aは、音響再生部の収納状態を示す斜視図である。図34Bは、音響再生部の展開状態を示す斜視図である。
【0146】
図35Aは、支持構造体の収納状態を示す正面図である。図35Bは、支持構造体の収納状態を示す背面図である。
【0147】
図36Aは、支持構造体の収納状態を示す左側面図である。図36Bは、支持構造体の収納状態を示す右側面図である。図37Aは、支持構造体の収納状態を示す平面図である。図37Bは、支持構造体の収納状態を示す底面図である。
【0148】
図38A〜図38Dおよび図39A〜図39Dは、支持構造体の中心から見たときの、各関節部位をそれぞれ示す略線図である。
【0149】
図40Aは、支持構造体の収納状態を示す斜視図である。
【0150】
図28Aおよび図28Bに示すように、第3の実施形態にかかる音響再生装置31は、アクチュエータ3と、複数のパネルを備える音響再生部32とからなる。
【0151】
音響再生部32は、その内部に、双対関係にある2つの正四面体の各頂点と対応する位置に配置された複数の関節部位と、それらを連結する複数のロッドとからなる支持構造体を備える点において、第1の実施形態と共通する。したがって、収納状態と展開状態とを有する支持構造体を内部に備える音響再生装置31も同様に、収納状態と展開状態とを有している。
【0152】
第3の実施形態においては、複数の関節部位のうち、3つの関節部位に、スピーカS2、S3およびS4がそれぞれ配置される点において、第1の実施形態と共通している。スピーカS2、S3およびS4は、一方の正四面体の頂点のうちの3つに対応する位置にある関節部位にそれぞれ配置される。第3の実施形態においては、複数個の関節部位および複数個のロッドからなる集合から選択された少なくとも一部の関節部位またはロッドに、対称性を有するようにして複数の発光部が配置される点において、第2の実施形態と共通している。
【0153】
すなわち、第3の実施形態にかかる音響再生装置31は、第1の実施形態にかかる音響再生装置11および第2の実施形態にかかる照明装置21の双方の機能を兼ね備えている。第3の実施形態にかかる音響再生装置31は、いわば“ペンダントライト型スピーカ”とでも呼ぶことのできる装置である。
【0154】
さらに、第3の実施形態においては、支持構造体が、複数のアームをさらに備えている。複数のアームは、複数の可動部をそれぞれ有し、個々のロッドの先端と、他方の正四面体の頂点に対応する位置にある関節部位とをそれぞれ連結している。なお、第3の実施形態においては、複数のロッドのそれぞれにパネルが接合される点は第1の実施形態と共通するが、個々のパネルが複数のアームのそれぞれを介して複数のロッドのそれぞれに接合される点において、第1の実施形態と相違する。
【0155】
次に、図28〜図40を参照しながら、複数の関節部位および複数のロッド、複数のスピーカおよび複数の発光部ならびに複数のパネルについて順に説明を行う。
【0156】
(複数の関節部位および複数のロッド)
図38A〜図38Dは、2つの正四面体を想定したときに、一方の正四面体の各頂点に対応する位置に配置される関節部位Ca1、Ca2、Ca3およびCa4ならびにそれらに連結されたロッドをそれぞれ示す図である。図39A〜図39Dは、2つの正四面体のうち、他方の正四面体の各頂点に対応する位置に配置される関節部位Cbp1、Cbp2、Cbp3およびCbp4ならびにそれらに連結されたロッドをそれぞれ示す図である。
【0157】
図35〜図39に示すように、支持構造体42は、8つの関節部位Ca1、Ca2、Ca3、Ca4、Cbp1、Cbp2、Cbp3およびCbp4と、12のロッドRdp12、Rdp13、Rdp14、Rdp23、Rdp24、Rdp21、Rdp34、Rdp31、Rdp32、Rdp41、Rdp42およびRdp43とを含む。複数の関節部位Cbp1、Cbp2、Cbp3およびCbp4は、第1の実施形態における複数の関節部位Cb1、Cb2、Cb3およびCb4に対応するものである。
【0158】
支持構造体42は、図35〜図39に示すように、複数のロッドに設けられた枝部のそれぞれと、関節部位Cbp1、Cbp2、Cbp3およびCbp4とを連結するアームJ12、J13、J14、J23、J24、J21、J34、J31、J32、J41、J42およびJ43をさらに含んでいる。
【0159】
図39A〜図39Dに示すように、関節部位Cbp1、Cbp2、Cbp3およびCbp4には、それぞれ3つの支柱が設けられている。すなわち、関節部位Cbp1には、支持構造体の中心に対して反対側から、それぞれ異なる方向に向けてのびる支柱P21、P31およびP41が設けられている。同様に、関節部位Cbp2には、支柱P32、P42およびP12が設けられ、関節部位Cbp3には、支柱P43、P13およびP23が設けられ、関節部位Cbp4には、支柱P14、P24およびP34が設けられている。
【0160】
個々のアームJ12、J13、J14、J23、J24、J21、J34、J31、J32、J41、J42およびJ43は、枝部B12、B13、B14、B23、B24、B21、B34、B31、B32、B41、B42およびB43と、関節部位Cbp1、Cbp2、Cbp3およびCbp4に設けられた支柱とをそれぞれ連結している。すなわち、支柱P21と、枝部B21とが、アーム21により連結され、支柱P31と、枝部B31とが、アーム31により連結され、支柱P41と、枝部B41とが、アーム41により連結される。同様に、支柱P32と、枝部B32とが、アーム32により連結され、支柱P42と、枝部B42とが、アーム42により連結され、支柱P12と、枝部B12とが、アーム12により連結される。支柱P43と、枝部B43とが、アーム43により連結され、支柱P13と、枝部B13とが、アーム13により連結され、支柱P23と、枝部B23とが、アーム23により連結される。支柱P14と、枝部B14とが、アーム14により連結され、支柱P24と、枝部B24とが、アーム24により連結され、支柱P34と、枝部B34とが、アーム34により連結される。
【0161】
個々のアームJ12、J13、J14、J23、J24、J21、J34、J31、J32、J41、J42およびJ43には、例えば、3つのヒンジが設けられ、関節部位、支柱、アームおよびロッド(枝部を含む。)の組から、リンク機構が構成される。すなわち、個々のアームJ12、J13、J14、J23、J24、J21、J34、J31、J32、J41、J42およびJ43は、音響再生装置31が収納状態から展開状態に変化するに伴い、変形および移動する。
【0162】
後述するように、複数のパネルそれぞれは、複数のアームのそれぞれを介して、複数の枝部のそれぞれに取りつけられる。
【0163】
(複数のスピーカおよび複数の発光部)
図38A〜図38Dに示すように、関節部位Ca1、Ca2、Ca3およびCa4のうち、アクチュエータ3に連結される関節部位Ca1を除く3つの関節部位に、スピーカS2、S3およびS4が、それぞれ配置されている。図16Aに示したように、スピーカS2、S3およびS4の配置される位置は、正四面体Taの3つの頂点Va2、Vc3およびVa4と対応している。第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、音響再生装置31が収納状態から展開状態へと変化すると、関節部位Ca2、Ca3およびCa4の移動に伴い、パネルの間からスピーカS2、S3およびS4が現れる。
【0164】
図38A〜図38Dに示すように、関節部位Ca1、Ca2、Ca3およびCa4には、それぞれ3つのロッドが連結される。また、図39A〜図39Dに示すように、関節部位Cbp1、Cbp2、Cbp3およびCbp4に対しても、それぞれ3つのロッドが連結される。
【0165】
上述した8つの関節部位に連結される個々のロッドRdp12、Rdp13、Rdp14、Rdp23、Rdp24、Rdp21、Rdp34、Rdp31、Rdp32、Rdp41、Rdp42およびRdp43の例えば中央には、第2の実施形態と同様に、発光部LE12、LE13、LE14、LE23、LE24、LE21、LE34、LE31、LE32、LE41、LE42およびLE43が、それぞれ配置される。なお、各ロッドには、各発光部とは反対の側に、支持構造体の外部に向けてのびる枝部が設けられる。各枝部の先端には、上述したアームが取りつけられている。
【0166】
第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様に、各発光部から出射された光が、後述する複数のパネルを介して、または複数のパネルの間から、音響再生部32の外部に向かって出射される。
【0167】
(複数のパネル)
図28〜図34に示すように、音響再生部32は、複数のパネルW12、W13、W14、W23、W24、W21、W34、W31、W32、W41、W42およびW43を備えている。複数のパネルW12、W13、W14、W23、W24、W21、W34、W31、W32、W41、W42およびW43は、第1の実施形態における12のパネルA12、A13、A14、A23、A24、A21、A34、A31、A32、A41、A42およびA43ならびに第2の実施形態における12のパネルH12、H13、H14、H23、H24、H21、H34、H31、H32、H41、H42およびH43に対応するものである。
【0168】
複数のパネルW12、W13、W14、W23、W24、W21、W34、W31、W32、W41、W42およびW43は、アームJ12、J13、J14、J23、J24、J21、J34、J31、J32、J41、J42およびJ43のそれぞれと接合されている。
【0169】
そのため、各枝部の先端に複数のパネルのそれぞれが接合された場合と比較して、収納状態と、展開状態との間における、各パネルの位置および角度の変化をより大きくすることができる。したがって、収納状態と、展開状態との間の変化に伴う、スピーカS2、S3およびS4により再生される音楽などの音響ならびに各発光部から出射される光の配光や複数のパネルによって作り出される陰影の変化をより大きくすることができる。さらに、複数のパネルの設計の自由度が向上し、より意匠性の高い音響再生装置を提供することができる。
【0170】
図28〜図34に示す構成例では、複数のパネルのそれぞれの形状が、単位となる形状の集合とされている。例えば、図28〜図34に示す複数のパネルのそれぞれは、花弁状の形状を有する単位の5つからなり、全体として翼状の形状とされている。このような形状も、例えば、上述したアルゴリズミックデザインにより得ることができる。このような複雑な形状を有する複数のパネルも、例えば、上述したラピッドプロトタイピング技術の適用により、短期間で製作することが可能である。なお、単位となる形状は、完全同一でなくともよく、複数のパネルのそれぞれの形状を、少しずつ変化を与えた形状の集合としてもよい。
【0171】
複数のパネルは、サウンドリフレクタの機能と、いわゆるランプシェードの機能とを有する。また、音響再生装置における収納状態と、展開状態とを変化させると、各ロッドの移動に伴い、全体における、個々のパネルの位置や角度が変化する。そのため、音響再生装置のユーザは、音響再生装置における収納状態と、展開状態とを状況に応じて変化させることにより、異なった音響効果および照度変化を得ることができる。
【0172】
図40Bは、複数のパネルの内側に、反射部材が配置された音響再生部の例を示す斜視図である。図40Bに示す構成例では、個々のパネルの内側における一部分に、例えば、金属の蒸着層などからなるミラー部Reが形成されている。複数のパネルの内側に、反射部材を配置することにより、収納状態から展開状態への変化に伴う各発光部から出射される光の配光を、より複雑かつ華やかなものとすることができる。なお、図40Bにおいては、ミラー部Reを網掛けにより示した。
【0173】
図41Aおよび図41Bは、音響再生装置をダイニングルームの天井に設置した例を示す図である。図41Aおよび図41Bは、音響再生装置を収納状態とした場合と、音響再生装置を展開状態とした場合とをそれぞれ示す図である。
【0174】
図41Aおよび図41Bに示すように、音響再生装置のユーザは、例えば、ダイニングルームの天井に音響再生装置31を設置することができる。
【0175】
一般的に、家屋の天井裏には電気配線が設置されており、また、天井には、照明器具を取りつけるためのソケットなどが設置されている。そのため、音響再生装置のユーザは、ダイニングルームの天井に設置されたソケット30などに音響再生装置を取りつけることができる。または、音響再生装置のユーザは、ダイニングルームの天井に、直接的にまたは間接的に音響再生装置を取りつけ、アクチュエータや複数のスピーカ、複数の発光部などを動作させるための電力をソケット30などから得ることができる。なお、このとき、収納状態と、展開状態との間の変換は、例えば、音響再生装置のユーザによるリモートコントローラの操作などにより実行される。
【0176】
音響再生装置31により再生させるための音楽データなどは、例えば、音響再生装置31の設置場所とは異なる場所に置かれたパーソナルコンピュータや、家庭内に設置されたサーバ装置などから転送するようにしてもよい。図41Aおよび図41Bに示す構成例では、テーブルの上におかれたラップトップコンピュータ10から、無線の方式により、音響再生装置31に対して音楽データなどが転送される。
【0177】
音楽データなどの転送方法としては、例えば、無線または有線の方式による通信を利用することができる。無線の方式による通信としては、例えば、赤外線を用いた通信や「Bluetooth(ブルートゥース エスアイジー,インコーポレイテッドの登録商標)」による通信、UWB(Ultra Wide Band:超広帯域)による通信、ワイヤレスLAN(Local Area Network:構内ネットワーク)による通信、「S−AIR(ソニー株式会社の登録商標)」による通信などを利用することができるが、これらに限定されるものではない。有線の方式による通信としては、例えば、インターネット回線による通信や光回線による通信、電話回線による通信などを利用することができるが、これらに限定されるものではない。また、ダイニングルームの天井に設置されたソケットなどに音響再生装置を取りつける場合には、例えば、電力網を介した通信を利用することもできる。
【0178】
音響再生装置のユーザは、収納状態と、展開状態を変化させることにより、間仕切りを設置することなく、空間をソフトに区切ることができる。例えば、音響再生装置のユーザは、家族だけで静かに食事を楽しむときには、音響再生装置を収納状態として落ち着いた照明と音楽を楽しむことができる。また、例えば、友人を呼んでパーティを催すときには、音響再生装置を展開状態として、遠くまで響き渡る光と音を楽しむことができる。
【0179】
本開示によれば、例えば、ダイニングルームの天井に音響再生装置を設置することもでき、音楽を楽しむために重厚な音響再生装置を設置する必要がなく、居室のスペースを犠牲にすることもない。もちろん、フロアスタンドなどに音響再生装置を吊るすようにしてもよい。
【0180】
無指向性の音響再生設備を空中に配置することにより、音響再生装置のユーザの生活の中における気持ちのうつりかわりを豊かに彩ることができる。
【0181】
本開示の音響再生装置または照明装置によれば、収納状態と、展開状態を変化させることにより、それぞれの状態の間で異なった音響効果または照明効果が得られる。さらに、本開示によれば、収納状態と、展開状態との間の相互の変換は、例えば、1つのワイヤを操作するというごく簡単な操作だけで、わずかな力により自在に行うことができる。
【0182】
<4.変形例>
以上、好適な実施形態について説明してきたが、好適な具体例は、上述した説明に限定されるものではなく、各種の変形が可能である。
【0183】
例えば、パネルの形状の例は、上述した実施形態で挙げたものに限定されないし、複数の発光部から出射される光の光量や色調は、全て同一でなくともよい。
【0184】
また、例えば、ダイニングルームの天井に設置されたソケットなどに音響再生装置を取りつける場合には、音響再生装置をツィータとし、音響再生装置の設置場所とは異なる場所におかれたスピーカをウーハとしてもよい。音響再生装置の設置された天井の近傍や、アクチュエータの近傍にウーハ用のスピーカを配置してもよい。
【0185】
音響再生装置または照明装置における、収納状態と、展開状態との間の変換による音響効果または照明効果の変更は、音響再生装置または照明装置のユーザによる操作に限定されない。
【0186】
音響再生装置または照明装置における、収納状態と、展開状態との間の変換は、例えば、各種の環境情報などをもとにして実行されてもよい。環境情報としては、例えば、インターネットなどのネットワークを経由して得られる情報や、人感センサ(motion sensor)やイメージセンサなどの各種センサ類から得られる情報を挙げることができる。
【0187】
環境情報としては、具体的には、例えば、時刻、天気、床や壁などに対する照度、室内または屋外の温度、音響再生装置または照明装置のユーザの行動パターン、テレビジョンなどで現在視聴されている番組、テーブル上に置かれた料理の種類、室内にいる人の数や動き、室内にいる人の読書中の書籍(電子書籍を含む。)の内容などを挙げることができる。
【0188】
音響再生装置または照明装置がこれらの1種以上の情報を取得して解析し、音響再生装置または照明装置が能動的に動作するようにしてもよい。例えば、環境条件に応じて複数のパネルの位置や形状を変化させることにより、音響再生装置または照明装置が、音量や楽曲、光量や色調などを適宜選択または調整するようにしてもよい。もちろん、音響再生装置または照明装置の状態は、収納状態または展開状態のいずれか一方のみに限られない。収納状態および展開状態の中間の状態となるように、音響再生装置または照明装置が動作するようにしてもよい。
【0189】
なお、上述した1種以上の環境情報は、組み合わされて用いられてもよい。例えば、音響再生装置または照明装置が、時刻に関する情報および人感センサから得られた情報をもとにして、色調や光量の調節された光を能動的に提供するようにしたり、複数のパネルの配置や音響などをさらに調整するようにしたりしてもよい。
【0190】
各種の環境情報は、音響再生装置の本体または照明装置の本体で取得されてもよいし、音響再生装置の本体または照明装置の本体を天井や壁に設置するためのアタッチメントやソケットなどから取得されてもよい。または、例えば、他の家電機器やサーバ装置、本体とは別の場所に配置されたウーハ、スマートフォンや携帯電話などのポータブル機器などから各種の環境情報が取得されてもよい。
【0191】
本開示によれば、音響再生装置または照明装置が、音量や楽曲、光量や色調などを能動的に制御することにより、音響再生装置または照明装置のユーザの生活に潤いを与えることができる。また、本開示によれば、環境に応じて音や光をダイナミックに変化させることができ、音響再生装置または照明装置のユーザの生活の中における気持ちのうつりかわりを豊かに彩ったり、人の行為や心の動きを促したりすることができる。
【0192】
本開示の音響再生装置または照明装置は、例えば、結婚式場、披露宴会場、レストラン、コンサート会場、ホテル、ダンスホール、劇場、映画館、駅、空港、学校などに設置することが可能である。また、本開示の技術は、建築物だけではなく、例えば、街路灯などにも適用が可能である。例えば、普段は音響再生装置を収納状態としてバックグラウンドミュージックなどを再生させ、災害時などには音響再生装置を展開状態として非常用スピーカとして活用することもできる。
【0193】
なお、上述の実施形態において挙げた構成、方法、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、形状、材料および数値などを用いてもよい。上述の実施形態の構成、方法、形状、材料および数値などは、本開示の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0194】
例えば、本開示は以下のような構成もとることができる。
(1)
第1の正四面体と、前記第1の正四面体と双対関係にある第2の正四面体とを想定したときに、前記第1の正四面体および前記第2の正四面体の各頂点に対応する位置に配置される複数個の結合部と、
前記複数個の結合部の間において、互いに隣接する結合部同士を連結する複数個のロッドと、
前記複数個のロッドのそれぞれに接合される複数個の外殻部と、
前記第1の正四面体の中心または前記第2の正四面体の中心に対して、前記複数個の結合部のうちから選択された一の結合部の外側に配置されるとともに、前記一の結合部に連結されるアクチュエータと、
前記第1の正四面体および前記第2の正四面体のうち、前記一の結合部を含む一方の正四面体の各頂点に対応する位置に配置される4つの結合部のうち、前記一の結合部を除く3つの結合部にそれぞれ配置される第1、第2および第3のスピーカと
を備える音響再生装置。
(2)
前記複数個のロッドのそれぞれと、前記一の結合部を含まない他方の正四面体の各頂点に対応する位置に配置される4つの結合部のそれぞれとを連結する複数個のリンクをさらに備え、
前記複数個の外殻部が、前記複数個のリンクのそれぞれを介して、前記複数個のロッドのそれぞれに接合される(1)に記載の音響再生装置。
(3)
前記複数個の外殻部のそれぞれが、前記アクチュエータが伸張された状態において、隣接する外殻部との重なりを有する(1)または(2)に記載の音響再生装置。
(4)
前記複数個の外殻部のうち、1以上の外殻部が、可撓性を有する(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の音響再生装置。
(5)
前記複数個の外殻部のそれぞれが、単位となる形状の集合からなる(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の音響再生装置。
(6)
前記複数個の外殻部のそれぞれが、その表面において準周期的形状を有する(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の音響再生装置。
(7)
複数個の発光部をさらに備え、
前記複数個の発光部のそれぞれが、前記複数個の結合部および前記複数個のロッドからなる集合から選択された少なくとも一部の結合部またはロッドに、対称性を有するようにして配置される(1)ないし(6)のいずれか1項に記載の音響再生装置。
(8)
前記複数個の発光部のそれぞれが、前記複数個のロッドのそれぞれにおける中央部分に配置される(7)に記載の音響再生装置。
(9)
前記複数個の発光部のそれぞれが、複数個の発光素子の群からなる(7)または(8)に記載の音響再生装置。
(10)
前記複数個の発光素子が、発光ダイオードである(9)に記載の音響再生装置。
(11)
前記複数個の外殻部のそれぞれが、光透過性を有する(7)ないし(10)のいずれか1項に記載の音響再生装置。
(12)
1以上の反射部をさらに備え、
前記1以上の反射部が、前記複数個の外殻部のそれぞれの少なくとも一部に配置される(7)ないし(11)のいずれか1項に記載の音響再生装置。
(13)
第1の正四面体と、前記第1の正四面体と双対関係にある第2の正四面体とを想定したときに、前記第1の正四面体および前記第2の正四面体の各頂点に対応する位置に配置される複数個の結合部と、
前記複数個の結合部の間において、互いに隣接する結合部同士を連結する複数個のロッドと、
前記複数個のロッドのそれぞれに接合される複数個の外殻部と、
前記第1の正四面体の中心または前記第2の正四面体の中心に対して、前記複数個の結合部のうちから選択された一の結合部の外側に配置されるとともに、前記一の結合部に連結されるアクチュエータと、
前記複数個の結合部および前記複数個のロッドからなる集合から選択された少なくとも一部の結合部またはロッドに、対称性を有するようにして配置される複数個の発光部と
を備える照明装置。
(14)
鉛直上方に頂部を有する第1の正四面体と、前記第1の正四面体と双対関係にある第2の正四面体とを想定したときに、前記第1の正四面体および前記第2の正四面体の各頂点に対応する位置に配置される複数個の結合部と、
前記複数個の結合部の間において、互いに隣接する結合部同士を連結する複数個のロッドと、
前記複数個の結合部のうち、前記第1の正四面体の頂部に対応する位置に配置される結合部の上方に配置されるとともに、該結合部に連結されるアクチュエータと
を備える吊り下げ式開閉装置。
(15)
第1の状態と第2の状態とを有し、上方に配置される一のアクチュエータの動作により、前記第1の状態と前記第2の状態とが、相互に変換され、
第1の群に属する複数個の部材の配置が、第1の正四面体の各頂点に対応する配置をなすとともに、第2の群に属する複数個の部材の配置が、第2の正四面体の各頂点に対応する配置をなし、
前記第1の状態および前記第2の状態のいずれかの状態において、前記第1の正四面体と、前記第2の正四面体とが、双対関係にある吊り下げ式開閉装置。
【符号の説明】
【0195】
1・・・吊り下げ式開閉装置
2,42・・・支持構造体
3・・・アクチュエータ
11,31・・・音響再生装置
12,32,52・・・音響再生部
21・・・照明装置
22・・・照明器
Cai,Cbj・・・関節部位(i,j=1,2,3,4)
Can2,Can3,Can4・・・関節部位
Cbp1,Cbp2,Cbp3,Cbp4・・・関節部位
Rij,Rdij,Rdpij・・・ロッド(i,j=1,2,3,4、ただし、i=jでない)
Jij・・・アーム(i,j=1,2,3,4、ただし、i=jでない)
Aij,Hij,Wij・・・パネル(i,j=1,2,3,4、ただし、i=jでない)
LEij・・・発光部(i,j=1,2,3,4、ただし、i=jでない)
d121,d122,d123・・・発光ダイオード
S2,S3,S4・・・スピーカ
Re・・・ミラー部
Ta,Tb・・・正四面体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の正四面体と、前記第1の正四面体と双対関係にある第2の正四面体とを想定したときに、前記第1の正四面体および前記第2の正四面体の各頂点に対応する位置に配置される複数個の結合部と、
前記複数個の結合部の間において、互いに隣接する結合部同士を連結する複数個のロッドと、
前記複数個のロッドのそれぞれに接合される複数個の外殻部と、
前記第1の正四面体の中心または前記第2の正四面体の中心に対して、前記複数個の結合部のうちから選択された一の結合部の外側に配置されるとともに、前記一の結合部に連結されるアクチュエータと、
前記第1の正四面体および前記第2の正四面体のうち、前記一の結合部を含む一方の正四面体の各頂点に対応する位置に配置される4つの結合部のうち、前記一の結合部を除く3つの結合部にそれぞれ配置される第1、第2および第3のスピーカと
を備える音響再生装置。
【請求項2】
前記複数個のロッドのそれぞれと、前記一の結合部を含まない他方の正四面体の各頂点に対応する位置に配置される4つの結合部のそれぞれとを連結する複数個のリンクをさらに備え、
前記複数個の外殻部が、前記複数個のリンクのそれぞれを介して、前記複数個のロッドのそれぞれに接合される請求項1に記載の音響再生装置。
【請求項3】
前記複数個の外殻部のそれぞれが、前記アクチュエータが伸張された状態において、隣接する外殻部との重なりを有する請求項1に記載の音響再生装置。
【請求項4】
前記複数個の外殻部のうち、1以上の外殻部が、可撓性を有する請求項1に記載の音響再生装置。
【請求項5】
前記複数個の外殻部のそれぞれが、単位となる形状の集合からなる請求項1に記載の音響再生装置。
【請求項6】
前記複数個の外殻部のそれぞれが、その表面において準周期的形状を有する請求項1に記載の音響再生装置。
【請求項7】
複数個の発光部をさらに備え、
前記複数個の発光部のそれぞれが、前記複数個の結合部および前記複数個のロッドからなる集合から選択された少なくとも一部の結合部またはロッドに、対称性を有するようにして配置される請求項1に記載の音響再生装置。
【請求項8】
前記複数個の発光部のそれぞれが、前記複数個のロッドのそれぞれにおける中央部分に配置される請求項7に記載の音響再生装置。
【請求項9】
前記複数個の発光部のそれぞれが、複数個の発光素子の群からなる請求項7に記載の音響再生装置。
【請求項10】
前記複数個の発光素子が、発光ダイオードである請求項9に記載の音響再生装置。
【請求項11】
前記複数個の外殻部のそれぞれが、光透過性を有する請求項7に記載の音響再生装置。
【請求項12】
1以上の反射部をさらに備え、
前記1以上の反射部が、前記複数個の外殻部のそれぞれの少なくとも一部に配置される請求項7に記載の音響再生装置。
【請求項13】
第1の正四面体と、前記第1の正四面体と双対関係にある第2の正四面体とを想定したときに、前記第1の正四面体および前記第2の正四面体の各頂点に対応する位置に配置される複数個の結合部と、
前記複数個の結合部の間において、互いに隣接する結合部同士を連結する複数個のロッドと、
前記複数個のロッドのそれぞれに接合される複数個の外殻部と、
前記第1の正四面体の中心または前記第2の正四面体の中心に対して、前記複数個の結合部のうちから選択された一の結合部の外側に配置されるとともに、前記一の結合部に連結されるアクチュエータと、
前記複数個の結合部および前記複数個のロッドからなる集合から選択された少なくとも一部の結合部またはロッドに、対称性を有するようにして配置される複数個の発光部と
を備える照明装置。
【請求項14】
鉛直上方に頂部を有する第1の正四面体と、前記第1の正四面体と双対関係にある第2の正四面体とを想定したときに、前記第1の正四面体および前記第2の正四面体の各頂点に対応する位置に配置される複数個の結合部と、
前記複数個の結合部の間において、互いに隣接する結合部同士を連結する複数個のロッドと、
前記複数個の結合部のうち、前記第1の正四面体の頂部に対応する位置に配置される結合部の上方に配置されるとともに、該結合部に連結されるアクチュエータと
を備える吊り下げ式開閉装置。
【請求項15】
第1の状態と第2の状態とを有し、上方に配置される一のアクチュエータの動作により、前記第1の状態と前記第2の状態とが、相互に変換され、
第1の群に属する複数個の部材の配置が、第1の正四面体の各頂点に対応する配置をなすとともに、第2の群に属する複数個の部材の配置が、第2の正四面体の各頂点に対応する配置をなし、
前記第1の状態および前記第2の状態のいずれかの状態において、前記第1の正四面体と、前記第2の正四面体とが、双対関係にある吊り下げ式開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2013−66064(P2013−66064A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203585(P2011−203585)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】