説明

音響再生装置および音響再生方法

【課題】携帯型音楽再生装置を持っているユーザが音響再生装置の電源スイッチのオン操作およびオフ操作を行う必要がなく、操作性を良好とできる。
【解決手段】無線通信によって音声信号を受信し、音声信号を出力する無線通信部と、音声信号を再生するスピーカを含む音声再生部と、音声再生部に対する第1の電源の供給のオン、オフを制御する制御部とを備える。無線通信部および制御部に対する第2の電源の供給がオンの待機状態で、制御部が無線通信部から接続通知を受けると、第1の電源の供給をオンし、通信部からの音声信号を音声再生部によって再生し、制御部が無線通信部から切断通知を受けると、第1の電源の供給をオフし通信部からの音声信号の再生を停止可能な状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、デジタルオーディオプレーヤー等の携帯型音楽再生装置と無線通信によって接続され、携帯型音楽再生装置によって再生された音声信号を再生する音響再生装置および音響再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルオーディオプレーヤー、スマートホン、携帯型パーソナルコンピュータ等の携帯型音楽再生装置として、無線通信機能例えばBluetooth(登録商標)を有するも
のが商品化されている。Bluetoothのための無線モジュールを電子機器に内蔵する構成、
無線モジュールをアダプタとして装着自在とする構成等が知られている。屋外では、例えば携帯型音楽再生装置の再生音楽をワイヤレスヘッドセットによって聴くことができる。そして、家の中では、携帯型音楽再生装置の再生音楽を音響再生装置(所謂ワイヤレススピーカシステム)によって聴くことができる。
【0003】
音響再生装置によって携帯型音楽再生装置からの音声信号を再生する場合には、音響再生装置の電源をオンとし、入力セレクタが携帯型音楽再生装置(Bluetooth機器)を選択
する状態に設定する必要があった。このように、音響再生装置の場所まで行って、システムのスイッチを操作することは、無線通信の利便性を損なう問題があった。さらに、常時、音響再生装置の電源をオンとしておくことは、無駄な電力消費を生じさせる問題があった。
【0004】
特許文献1には、携帯端末を据置装置に載置することなく、据置装置から音声出力をさせることが記載されている。特許文献2には、携帯型オーディオ装置で音楽再生中に、室内、車内等に移動した場合でも、記録媒体の入替作業をせずに、連続して室内設置型オーディオ装置や、車載型オーディオ装置で同一音楽を再生することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−310287号公報
【特許文献2】特開2002−300060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、携帯端末と据置装置との間に、光学的なリモートコントロール信号の通信路と、オーディオ信号を伝送するための無線(電波)通信路とを設ける構成である。そして、携帯端末において、リモートスイッチが押されると、携帯端末に接続されたヘッドホンから音声を出力するモードと、据置装置から音声を出力するリモートモードとが判別される。リモートモードでは、光学的な通信路を介して据置装置の電源をオンとする信号が携帯端末から据置装置に送信される。
【0007】
特許文献1に記載のものは、据置装置の電源をオンとし、据置装置によって音楽を再生するために、携帯端末において、モードスイッチとリモートスイッチとの両方を操作する必要がある。さらに、利用者は、リモートスイッチの操作の意味を知っている必要がある。これらの点から操作性が良好ではない問題がある。
【0008】
特許文献2に記載のものは、データ受信装置に対する電源をオンしてデータ受信装置によって音楽を再生する点については開示されている。しかしながら、特許文献2では、データ受信装置による音楽の再生が終了した場合に、データ受信装置の電源をオフとすることについては開示されていない。データ受信装置の電源をオフとするために、データ受信装置の電源スイッチを操作する場合には、上述したように、離れた場所のデータ受信装置の所に行かなければならず、無線通信の利便性を損なう問題があった。
【0009】
したがって、本開示は、携帯型音楽再生装置を持っているユーザが電源スイッチのオン操作およびオフ操作を行う必要がなく、操作性が良好な音響再生装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本開示は、無線通信によって音声信号を受信し、音声信号を出力する無線通信部と、
音声信号を再生するスピーカを含む音声再生部と、
音声再生部に対する第1の電源の供給のオン、オフを制御する制御部とを備え、
無線通信部および制御部に対する第2の電源の供給がオンの待機状態で、制御部が無線通信部から接続通知を受けると、第1の電源の供給をオンし、通信部からの音声信号を音声再生部によって再生し、
制御部が無線通信部から切断通知を受けると、第1の電源の供給をオフし通信部からの音声信号の再生を停止可能な状態とする音響再生装置である。
【0011】
本開示は、無線通信部の無線通信によって音声信号を受信し、音声信号を出力し、
音声再生部によって、音声信号を再生し、
制御部によって、音声再生部に対する第1の電源の供給のオン、オフを制御し、
無線通信部および制御部に対する第2の電源の供給がオンの待機状態で、制御部が無線通信部から接続通知を受けると、第1の電源の供給をオンし、通信部からの音声信号を音声再生部によって再生し、
制御部が無線通信部から切断通知を受けると、第1の電源の供給をオフし通信部からの音声信号の再生を停止可能な状態とする音響再生方法である。
【発明の効果】
【0012】
本開示は、手元にある携帯型音楽再生装置により再生された音声信号を離れた場所の音響再生装置によって再生する場合に、音響再生装置の電源スイッチを何ら操作せずに、電源のオン、オフを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本開示による音響再生装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本開示による音響再生装置の一実施の形態のブロック図である。
【図3】本開示による音響再生装置の一実施の形態の動作説明に用いるフローチャートである。
【図4】本開示による音響再生装置の一実施の形態の動作説明に用いるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に説明する実施の形態は、本開示の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本開示の範囲は、以下の説明において、特に限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限定されないものとする。
【0015】
「音響再生装置の一例」
本開示の一実施の形態について説明する。図1を参照して本開示を適用できる音響再生装置の一例について説明する。音響再生装置100は、筐体内に左チャンネルのスピーカ101Lと、右チャンネルのスピーカ101Rとが設けられたものである。なお、本開示は、スピーカが分離しており、スピーカケーブルによってスピーカとパワーアンプと接続される構成に対しても適用できる。
【0016】
筐体の上面には、操作スイッチが設けられている。102が電源スイッチであり、電源のオン、オフ、待機(所謂スタンバイ)の3通りの状態を電源スイッチ102によって切り替えることができる。103は、電源の状態を表示する電源ランプである。後述するように、音声再生部に対する第1の電源のオン、オフと、無線通信部としてのBluetoothモ
ジュールおよび制御部(CPU)に対する第2の電源のオン、オフとを独立して制御可能とされている。
【0017】
電源スイッチ102がオンの位置では、第1および第2の電源の供給が共にオンとなる。電源スイッチ102がオフの位置では、第1および第2の電源の供給が共にオフとなる。電源スイッチ102が待機の位置では、第1の電源の供給がオフとなり、第2の電源の供給がオンとなる。したがって、この待機の状態では、Bluetoothモジュールが待ち受け
状態であり、制御部が待ち受け処理中である。
【0018】
104がライン入力選択ボタンであり、105がライン入力選択状態を表示するライン入力ランプである。ライン入力用の接続端子は、筐体の背面に設けられている。凹部106は、携帯型音楽再生装置110が着脱される装着部(ドック)である。装着用の凹部106の底面には、接続ポートを構成するプラグ(図示しない)が設けられている。
【0019】
携帯型音楽再生装置110は、操作ボタン、液晶表示部等を有し、メモリカード、ハードディスク、内蔵メモリ等の記憶メディアに音楽データを記録し、記憶メディアから音楽データを再生できる。音響再生装置100と携帯型音楽再生装置110とは、ポートによる接続と、Bluetoothによるワイヤレス接続とが可能とされている。107aが音量増加
ボタンであり、107bが音量減少ボタンである。
【0020】
図2を参照して音響再生装置100の電気的構成を説明する。スピーカ101Lおよび101Rに対して音声再生部11から音声信号が供給される。音声再生部11は、プリアンプ12、セレクタおよび音量制御部13およびパワーアンプ14が順に接続されたものである。音声再生部11のプリアンプ12、セレクタおよび音量制御部13およびパワーアンプ14に対して、スイッチ25を介して第1の電源としての電源が供給される。
【0021】
音声再生部11には、通信モジュール16から出力される音声信号が入力される。通信モジュール16は、Bluetoothの通信を行うためのIC回路である。例えば携帯型音楽再
生装置からの無線通信信号がアンテナ17によって受信され、通信モジュール16において復調等の処理を受け、音声信号が生成される。セレクタおよび音量制御部13に対して、ライン入力端子15からの音声信号が供給される。セレクタおよび音量制御部13は、ライン入力選択ボタン104の操作によって、通信モジュール16からの音声信号と、入力端子15からのライン入力音声信号との一方が選択的に再生される。
【0022】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit )、RAM(Random Access Memory)、フラッシュROM(Read Only Memory)、時計回路等からなるマイクロコンピュータであり、この一実施の形態の音響再生装置の各部を制御する。例えば制御部21がセレクタおよび音量制御部13、通信モジュール16、スイッチ25、電源回路26に対するコントロール信号を発生する。制御部21には、上述した各種のキー22および電源スイッチ102の出力が供給され、電源ランプ103等のLED(Light Emitting Diode)23に対する駆動信号が制御部21から供給される。
【0023】
商用電源から生成される入力直流電源が直流入力端子24に供給される。第1の電源としての入力直流電源がオン状態のスイッチ25を介して音声再生部11のプリアンプ12、セレクタおよび音量制御部13およびパワーアンプ14に対して供給される。さらに、入力直流電源から電源回路26によって生成された第2の電源が制御部21に対して供給される。電源スイッチ102が電源オンおよび待機の位置にある場合に、電源回路26からの電源が供給される。電源オンと待機との間で、制御部21に対して供給される電源を異なるものとし、省電力化を図っても良い。
【0024】
制御部21と通信モジュール16とが双方向に接続されており、通信モジュール16からの通信状態を表す情報が制御部21に対して供給される。制御部21は、電源スイッチ102の状態に応じて電源コントロール信号を出力する。電源コントロール信号がスイッチ25および電源回路26に供給される。電源オフ状態では、スイッチ25がオフし、音声再生部11に対しての電源供給がオフとされる。
【0025】
電源オン状態では、スイッチ25がオンし、音声再生部11に対する電源供給がオンとされる。また、電源回路26からの直流電源が制御部21に供給されされる。電源待機状態では、スイッチ25がオフとされ、電源回路26からの電源が制御部21に供給される。待機状態では、音声再生部11に対する電源供給がオフとされているので、電力消費を電力オン状態に比して少なくすることができる。さらに、電源オフ状態では、音声再生部11および制御部21の両方に対する電源供給がオフとされる。さらに、制御部21は、音響再生装置の各部に対するコントロール信号を発生する。
【0026】
なお、本開示における音響再生装置に対して、ラジオ放送を受信するチューナの機能、CDを再生するCD再生機能等を付加しても良い。
【0027】
「Bluetooth通信について」
Bluetoothは、2.4GHz帯の電波(ISMバンド)を使用してスペクトラム拡散技術
によって、携帯電子機器の間で、文字情報、音声情報等の比較的低速度の無線通信を行う用途に使用されている。Bluetoothは、2.4GHz帯の電波帯を79の周波数チャンネル
に分割し、使用する周波数をランダムに変化させる周波数ホッピングを行い、近距離(半径10−100m程度)のBluetooth搭載機器との間で、最大24Mbpsの無線通信を行う。
【0028】
一実施の形態では、Bluetoothを搭載した携帯端末例えば携帯型音楽再生装置と音響再
生装置との間での通信がなされ、携帯型音楽再生装置の再生音声信号が音響再生装置によって再生される。Bluetoothでは、種々のデバイスの通信に使用されるので、デバイスの
種類毎にプロトコルが策定されている。より具体的には、携帯型音楽再生装置および音響再生装置の両者がA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)およびAVRCP(Audio/Video Remote Control Profile)の両者に対応するようになされる。
【0029】
A2DPは、音声をレシーバー付きヘッドホン(またはイヤホン)に伝送するためのプロファイルであり、HSP(Headset Profile)/HFP(Hands-Free Profile)と異なり、
ステレオ音声での伝送が可能となり、高音質のオーディオ再生が可能となる。AVRCPは、AV機器のリモートコントロール機能を実現するためのプロトコルである。AVRCPを使用して音響再生装置の音量の制御を携帯型音楽再生装置によって行うことができる。
【0030】
Bluetoothによる無線通信(以下、Bluetooth通信と適宜称する)を行うためには、最初に携帯型音楽再生装置と音響再生装置とをペアリングすることが必要とされる。ペアリングすることによって、両方の機器がそれぞれ相手の機器を認識し、相手の機器の情報を不揮発性メモリに登録することができる。通常は、一度ペアリングを行えば良い。
【0031】
ペアリングの手順は、次のようになされる。
携帯型音楽再生装置と音響再生装置とを1m以内の距離に置く。
音響再生装置をペアリングモードとする。
携帯型音楽再生装置のメニュー操作によって、Bluetoothのペアリングのメニューを選
択する。表示部にペアリング可能な機器の一覧が表示される。
一覧の中で音響再生装置を選択し、選択を決定する。
バスキーの入力が求められる場合には、バスキー(数字)を入力し、決定する。これによって音響再生装置との間でバスキーの交換がなされ、ペアリングが完了する。
【0032】
ペアリングが完了すると、携帯型音楽再生装置と音響再生装置とがBluetooth通信を行
うことが可能な状態となる。携帯型音楽再生装置によって再生された音楽を音響再生装置によって再生するためには、Bluetooth接続を行って、携帯型音楽再生装置が音楽の再生
を開始する。Bluetooth接続は、携帯型音楽再生装置と音響再生装置とが互いに相手を認
識した状態であり、Bluetooth接続状態で実際に通信が可能となる。Bluetooth通信の状態は、Bluetoothボタンによって表示される。音響再生装置にも通信状態を表示するための
ランプ(例えば電源ランプと兼用)が設けられている。
【0033】
従来では、Bluetooth接続のためには、音響再生装置の電源スイッチを予めオン状態(
すなわち、Bluetooth接続待ちの状態)としておくことが必要であり、離れた場所の音響
再生装置まで行く必要があり、利便性が損なわれていた。本開示では、音響再生装置を待機状態としておくことによって、電源スイッチの操作が不要となる。待機状態もBluetooth接続待ちの状態であるが、電源オンの状態と比較して消費電力を少ないものとできる。
【0034】
携帯型音楽再生装置の操作によってBluetooth接続を行うために、例えば二通りの操作
方法が用意されている。第1の方法は、携帯型音楽再生装置のメニューの操作によって、Bluetoothのモードを選択し、Bluetooth機器の一覧の中から音響再生装置を選択し、選択を決定する。第2の方法は、予め複数のペアリング済のBluetooth機器の中で優先的に接
続するBluetooth機器として音響再生装置を設定しておき、Bluetoothボタンを押すのみでBluetooth接続を行う方法である。
【0035】
このようにBluetooth接続が完了されて携帯型音楽再生装置が再生動作を開始すると、Bluetooth通信によって音声信号が音響再生装置に対して伝送され、スピーカ101Lおよび101Rによって再生される。音声信号が再生されない状態でも、Bluetooth接続は、
維持され、必要に応じて低消費電力のモードに移行する。
【0036】
さらに、Bluetooth接続を切断するには、Bluetoothのモードの中のBluetoothオフのメ
ニューを選択し、選択を決定する。これ以外に、携帯型音楽再生装置の電源をオフとした場合にもBluetooth接続が切断される。勿論、音響再生装置の電源オフによってもBluetooth接続が切断される。
【0037】
これらの切断処理は、ユーザが意図して行うもので、通常の切断と称することにする。通常の切断がなされた場合には、音響再生装置の通信モジュール16から制御部21に対して切断通知がなされる。一方、ユーザが意図しないでも、Bluetooth接続が切断される
ことがある。例えばユーザが携帯型音楽再生装置を携帯したまま通信到達範囲外例えば他の部屋に移動すると、Bluetooth信号自体をアンテナ17が受信できなくなる。このよう
な切断を異常切断と称する。通信モジュール16から制御部21に対して異常切断通知がなされる。
【0038】
「一実施の形態の動作」
本開示の一実施の形態の動作について図3および図4のフローチャートを参照して説明する。図3および図4は、本来1つのフローチャートであるが、作図スペースの制約上から二つの図面に分割されたものである。図3と図4との接続箇所をA〜Dの文字によって示している。
【0039】
音響再生装置100の音声再生部11、制御部(CPU)21および通信モジュール16のそれぞれの処理が示されると共に、携帯型音楽再生装置110の処理が示されている。音響再生装置100と携帯型音楽再生装置110とのペアリングは、既に完了している。音響再生装置100の最初の状態は、待機状態である。すなわち、音声再生部11の電源供給がオフであり、制御部21が待ち受け処理中であり、通信モジュール16が待ち受け中である。
【0040】
携帯型音楽再生装置110の電源がオンとされ、上述したような接続開始の処理がなされる。携帯型音楽再生装置110から接続要求が通知される(ステップS1)。通信モジュール16は、待ち受け中であるために、接続要求の有無を判定している(ステップS2)。携帯型音楽再生装置110からの接続要求の通知を受信すると、携帯型音楽再生装置110と通信モジュール16とが接続処理を行う(ステップS3およびS4)。
【0041】
正常に接続処理がなされると、Bluetooth接続状態(ステップS5およびS6)となる
。通信モジュール16は、制御部21に対して接続完了を通知する(ステップS7)。制御部21は、接続完了の通知の有無を判定している(ステップS8)。
【0042】
通信モジュール16からの接続完了の通知を制御部21が受け取ると、ステップS8の判定結果が肯定となり、ステップS9において、電源起動指令が発生する。電源起動指令によって、スイッチ25がオンとされ(ステップS10)、音声再生部11が電源オン状態となる(ステップS11)。
【0043】
制御部21は、ステップS12において、入力がBluetoothか否かを判定する。若し、Bluetooth以外のオーディオ入力(ライン入力)が選択されていると判定されると、ステップS13において、入力切替指令を制御部21が発生する。セレクタおよび音量制御部13に対して制御部21から入力切替指令が供給され、オーディオ入力がBluetooth(通信
モジュール16の出力)を選択するように制御される(ステップS14)。このように、離れた所にある音響再生装置100の入力切替スイッチを操作せずに、入力としてBluetoothを選択するように制御することができる。
【0044】
そして、携帯型音楽再生装置110において再生動作が開始されると、携帯型音楽再生装置110からBluetooth通信によって、音声信号を音響再生装置100によって再生す
ることができる。この動作は、携帯型音楽再生装置110の音源送信中(ステップS15)、通信モジュール16の音源受信中(ステップS16)、並びに音声再生部11の再生中(ステップS17)によって表されている。
【0045】
さらに、図4のフローチャートを参照して説明する。携帯型音楽再生装置110において、上述したようなBluetooth通信の切断操作がなされ、切断処理が開始される(ステッ
プS21)。切断の通知が発生する(ステップS22)。このような切断を通常の切断と称する。そして、携帯型音楽再生装置110の電源がオフとされる(ステップS23)。
【0046】
通信モジュール16は、ステップS24で示すように、切断通知の有無を判定している。携帯型音楽再生装置110からの切断通知を受け取ると、ステップS24の判定の結果が肯定となり、所定時間後に制御部21に対する切断通知を発生する(ステップS25)。その後、通信モジュール16は、待ち受け中(ステップS29)となる。所定時間は、例えば1分間とされる。所定時間は、固定でなく、ユーザの設定等によって複数の時間の何れかを設定可能としても良い。通常の切断は、携帯型音楽再生装置110を操作してなされる意図的な切断であるので、所定時間の経過を待たずに直ちに切断処理を開始しても良い。
【0047】
携帯型音楽再生装置110の切断開始の操作による通常の切断に限らず、携帯型音楽再生装置110を持ったまま部屋の外に出るような場合、電波の到達範囲外に携帯型音楽再生装置110が位置するので、突然、Bluetooth信号が途絶える。Bluetooth信号の意図しない消滅によってBluetooth通信が終了する。このような切断を異常切断と称する。
【0048】
通信モジュール16は、異常切断の有無を判定している(ステップS26)。異常切断が発生すると、ステップS26の判定結果が肯定となり、異常切断が所定時間経過したか否かがステップS27において判定される。異常切断の期間が所定時間以上となると、ステップS27の判定結果が肯定となり、制御部21に対する切断通知を発生する(ステップS28)。所定時間は、固定でなく、ユーザの設定等によって複数の時間の何れかに設定可能としても良い。
【0049】
上述した切断通知を受け取ってから制御部21に対する切断を通知するまでの時間の長さと、異常切断の期間の判定の時間の長さとは、同一、またはそれぞれ適切に設定される。さらに、これらの時間に関する判定は、通信モジュール16において行っているが、制御部21のCPUにおいて行うようにしても良い。さらに、通信モジュール16が通常の切断と、異常切断とを区別して制御部21に対して通知できる場合には、上述したように、それぞれの切断に対する時間判定を別個に行うことができる。一方、通信モジュール16が通常の切断と、異常切断とを区別できない場合には、両者に対する時間判定を共通とするようになされる。
【0050】
ステップS30において、制御部21は、切断の通知の有無を判定しているので、ステップS25(通常切断)またはステップS28(異常切断)によって、切断が通知されると、ステップS30の判定結果が肯定となる。制御部21は、ステップS31において、電源切断指令を発生する。その後、制御部21が待ち受け処理中(ステップS32)になる。制御部21が発生した電源切断指令によって、スイッチ25がオフとされ(ステップS33)、音声再生部11に対する電源供給がオフとされる(ステップS34)。
【0051】
上述したように、本開示においては、携帯型音楽再生装置110との間の接続が完了すると、音声再生部11に対する電源供給がオンとなり、携帯型音楽再生装置110によって再生した音楽をスピーカで再生することができる。したがって、電源供給をオンするために、離れた場所の音響再生装置100の所に行く必要がなく、操作性を良好とできる。さらに、携帯型音楽再生装置110において、通信の切断操作がなされると、音声再生部11に対する電源供給がオフとなる。さらに、携帯型音楽再生装置110を持ったまま他の部屋にユーザが移動したりすると、異常切断が発生する。この場合も、音声再生部11の電源供給をオフとすることができる。したがって、離れた場所の音響再生装置100の所に行く必要がなく、操作性を良好とでき、無駄な電力消費を防止できる。
【0052】
なお、本開示は、以下のような構成も取ることができる。
(1)
無線通信によって音声信号を受信し、音声信号を出力する無線通信部と、
前記音声信号を再生するスピーカを含む音声再生部と、
前記音声再生部に対する第1の電源の供給のオン、オフを制御する制御部とを備え、
前記無線通信部および前記制御部に対する第2の電源の供給がオンの待機状態で、前記制御部が前記無線通信部から接続通知を受けると、前記第1の電源の供給をオンし、前記通信部からの音声信号を前記音声再生部によって再生し、
前記制御部が前記無線通信部から切断通知を受けると、前記第1の電源の供給をオフし、前記通信部からの音声信号の再生を停止可能な状態とする音響再生装置。
(2)
前記制御部が前記無線通信部から無線信号の遮断の通知を受け、該遮断の期間が所定時間以上の場合に、前記第1の電源の供給をオフする(1)に記載の音響再生装置。
(3)
前記所定時間の長さが設定可能とされる(1)または(2)に記載の音響再生装置。
(4)
前記音声再生部が前記無線通信部からの受信音声信号以外の他の音声信号を選択する選択部を有し、
前記接続通知を受ける場合に、前記制御部は、前記無線通信部からの受信音声信号を選択するように前記選択部を制御する(1)乃至(3)の何れかに記載の音響再生装置。
(5)
前記無線通信によって、再生される音声信号の音量のリモートコントロールがなされる(1)乃至(4)の何れかに記載の音響再生装置。
(6)
無線通信部の無線通信によって音声信号を受信し、音声信号を出力し、
音声再生部によって、前記音声信号を再生し、
制御部によって、前記音声再生部に対する第1の電源の供給のオン、オフを制御し、
前記無線通信部および前記制御部に対する第2の電源の供給がオンの待機状態で、前記制御部が前記無線通信部から接続通知を受けると、前記第1の電源の供給をオンし、前記通信部からの音声信号を前記音声再生部によって再生し、
前記制御部が前記無線通信部から切断通知を受けると、前記第1の電源の供給をオフし、前記通信部からの音声信号の再生を停止可能な状態とする音響再生方法。
【0053】
「変形例」
以上、本開示の実施形態について具体的に説明したが、上述の各実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述した実施の形態における携帯型音楽再生装置の通信切断の操作方法は、一例であって、他の操作方法であっても良い。また、Bluetooth以外の通信方式を使用しても良い。
【符号の説明】
【0054】
11・・・音声再生部
13・・・セレクタおよび音量制御部
15・・・ライン入力端子
16・・・通信モジュール
21・・・制御部
24・・・直流入力端子
25・・・スイッチ
100・・・音響再生装置
101L,101R・・・スピーカ
102・・・電源スイッチ
110・・・携帯型音楽再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信によって音声信号を受信し、音声信号を出力する無線通信部と、
前記音声信号を再生するスピーカを含む音声再生部と、
前記音声再生部に対する第1の電源の供給のオン、オフを制御する制御部とを備え、
前記無線通信部および前記制御部に対する第2の電源の供給がオンの待機状態で、前記制御部が前記無線通信部から接続通知を受けると、前記第1の電源の供給をオンし、前記通信部からの音声信号を前記音声再生部によって再生し、
前記制御部が前記無線通信部から切断通知を受けると、前記第1の電源の供給をオフし前記通信部からの音声信号の再生を停止可能な状態とする音響再生装置。
【請求項2】
前記制御部が前記無線通信部から無線信号の遮断の通知を受け、該遮断の期間が所定時間以上の場合に、前記第1の電源の供給をオフする請求項1に記載の音響再生装置。
【請求項3】
前記所定時間の長さが設定可能とされる請求項1または2に記載の音響再生装置。
【請求項4】
前記音声再生部が前記無線通信部からの受信音声信号以外の他の音声信号を選択する選択部を有し、
前記接続通知を受ける場合に、前記制御部は、前記無線通信部からの受信音声信号を選択するように前記選択部を制御する請求項1乃至3の何れかに記載の音響再生装置。
【請求項5】
前記無線通信によって、再生される音声信号の音量のリモートコントロールがなされる請求項1乃至4の何れかに記載の音響再生装置。
【請求項6】
無線通信部の無線通信によって音声信号を受信し、音声信号を出力し、
音声再生部によって、前記音声信号を再生し、
制御部によって、前記音声再生部に対する第1の電源の供給のオン、オフを制御し、
前記無線通信部および前記制御部に対する第2の電源の供給がオンの待機状態で、前記制御部が前記無線通信部から接続通知を受けると、前記第1の電源の供給をオンし、前記通信部からの音声信号を前記音声再生部によって再生し、
前記制御部が前記無線通信部から切断通知を受けると、前記第1の電源の供給をオフし前記通信部からの音声信号の再生を停止可能な状態とする音響再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−62580(P2013−62580A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198141(P2011−198141)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】