説明

音響出力装置及びその制御方法並びに音響システム

【課題】複数のスピーカ装置を接続する音響システムにおいて、スピーカ装置の適切な設置及び設定を容易に行えるようにする。
【解決手段】複数のスピーカ装置を接続可能な音響出力装置は、聴取位置を特定し、その聴取位置に基づいて複数のスピーカ装置の各々の配置位置を算出する。そして、スピーカ装置の位置を計測し、記算出工程で算出された配置位置と、計測されたスピーカ装置の位置とに基づいて、スピーカ装置の配置をガイダンスする。算出された配置位置にスピーカ装置が配置されたことを検出した場合には、赤外線通信等により当該スピーカ装置に識別情報を通知するとともに、配置位置と識別情報の対応を保持する。そして、識別情報と配置位置の対応に基づいて、接続された複数のスピーカ装置に音響信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスピーカ装置を用いるマルチチャンネル音響システムにおける音響出力装置及びその制御方法に関し、特に複数のスピーカ装置の設置および設定に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばDVDのように5.1チャンネルなどのマルチチャンネル音声信号が記録されているオーディオソースが数多く発表され、このようなオーディオソースを再生するマルチチャンネル音響システムが一般家庭でも普及しつつある。
【0003】
この種の音響システムでは、図11に示されるように複数のスピーカ装置200を一つの制御装置100にケーブルで接続してそれらスピーカを制御する方法が一般的である。したがって、制御装置100の背面には、複数のスピーカ装置200をケーブルで接続するためのコネクタ類が多数配列されており、そこに各スピーカ装置からのケーブルが集中して接続される。このため、制御装置100の背面は、煩雑になることが多かった。また、ケーブルの接続が面倒であったり、その接続を間違ったりすることも生じやすかった。
【0004】
さらに、後方に設置するスピーカ装置のためのケーブルが部屋を横断してしまい、美観を損ねるだけでなく、ケーブルに足を引っかけるといった心配もあった。このような課題に対しては、後方のスピーカ装置のためのケーブルを無線化した音響システムが既に製品化されているが、音が途切れるなど音質の劣化をともなうことが多かった。
【0005】
一方、上記のようなマルチチャンネル音響システムでは、例えば、ITUが勧告するITU-R BS.775-1に従って図12のようにスピーカ装置の配置を行うことが推奨されている。スピーカ装置の配置がこの推奨位置と大きく異なる場合は音像定位が不適切になり、理想的なマルチチャンネル音響再生効果が得られない可能性がある。そこで、スピーカ装置の配置が推奨位置にない場合にも、音像定位が適切になるように各スピーカ装置から実際に音を出して音場を補正する方法(音場補正)が数多く提案されている。
【0006】
以上が現状の技術背景であるが、今後さらなる多チャンネル化を実現する場合には、上記のような課題がさらに深刻になると予想される。例えば、多数のコネクタ類のために制御装置の物理的な制約が生じ、スピーカ装置の配置やケーブル接続が煩雑になって設定のための時間がかかり、不慣れなユーザでは適切な設定ができなくなる可能性もある。
【0007】
そこで、複数のスピーカ装置と制御装置を、共通の伝送路で接続する音響システムが提案されている(特許文献1、2及び3参照)。共通の伝送路を用いるため、制御装置に各スピーカ装置からのケーブルが集中することもなく、スピーカ装置を後から追加した場合にもケーブルの接続が容易である。しかし、このようなマルチチャンネル音響システムでは、現行のマルチチャンネル音響システムのように、制御装置と各スピーカ装置がそれぞれ独立のケーブルで接続されていない。このため、制御装置は何らかの方法で各スピーカ装置を識別して、それぞれのスピーカ装置に適切な音響信号を供給する必要がある。
【0008】
特許文献1,2及び3の音響システムでは、複数のスピーカ装置と制御装置を共通の伝送路で接続した後に、各スピーカ装置に装備されたマイクロフォンを利用して、スピーカ装置の識別、個数、配置位置を把握する。そして、その配置位置に基づいた各スピーカ装置用信号の生成を自動的に行う。この音響システムの概要について、もう少し詳しく説明する。
【0009】
特許文献1、2及び3の音響システムのシステム構成は、共通の伝送路に、サーバ装置(図11の制御装置100に相当)、複数のスピーカ装置が接続されて構成されている。そして、各スピーカ装置にはマイクロフォンが装備されている。
【0010】
サーバ装置及び複数のスピーカ装置を共通の伝送路で接続してネットワークを構成した後に、サーバ装置は、まず、スピーカ装置の識別、個数把握を行う。サーバ装置は、そのための信号をネットワーク上にブロードキャストで送信し、その信号に対して最初に呼応したスピーカ装置に対して、ユニークな識別子(ID)を付与する。スピーカ装置がその信号に呼応する方法としては、サーバ装置や他のスピーカ装置に応答信号を返す方法の他に、最初に呼応したスピーカ装置がサーバ装置に応答信号を返すとともに放音する方法が提案されている。他のスピーカ装置は、その音をマイクロフォンで収音することによって、最初に呼応したスピーカ装置の存在を知ることになる。サーバ装置は、以上の処理を、ブロードキャストで信号を送信後、一定時間を経過しても応答がなくなるまで繰り返して、すべてのスピーカ装置へのID付与と、スピーカ装置の個数把握を行う。
【0011】
次に、スピーカ装置の配置を自動検出するために、(1)リスナとスピーカ装置との距離、(2)スピーカ装置間の距離、(3)リスナの正面方向(基準方向)を計測する。
【0012】
(1)リスナとスピーカ装置との距離の計測では、まずサーバ装置が計測開始信号をブロードキャストで送信する。各スピーカ装置はこの計測開始信号により待機状態となる。各スピーカ装置を待機状態とした後、リスナが声を発すると、各スピーカ装置のマイクロフォンは、このリスナの声を収音し、記録する。リスナに最も近いスピーカ装置が最も早くリスナの声を検知し、その音声を記録するとともに他のスピーカ装置に対して、自身のIDを付加したトリガ信号を送信する。他のスピーカ装置は、そのトリガ信号を基準にマイクロフォンで収音した音声を記録し、サーバ装置に送る。サーバ装置は各スピーカ装置について伝播遅延時間を求め、距離に関する情報を求める。ここで求められる距離は、リスナに最も近いスピーカ装置とリスナの距離と、他のスピーカ装置とリスナの距離との距離差である。
【0013】
(2)スピーカ装置間の距離を求める際は、まず、任意のスピーカ装置が、自身のIDを付加したトリガ信号をブロードキャストで送信するとともに放音する。他のスピーカ装置はその音声を収音、記録してサーバ装置に送信する。その送信データには送信元のスピーカ装置のIDが付加されている。以上により、サーバ装置は、トリガ信号を発したスピーカ装置と、受信した音声記録データに付加されたIDに対応するスピーカ装置との距離を算出することができる。以上の動作を、全てのスピーカ装置が放音するまで繰り返すことにより、サーバ装置は全てのスピーカ装置間の距離を把握する。
【0014】
(3)リスナの正面方向(基準方向)を求める方法として以下の3つの方法が提案されている。尚、(1)と(2)によりリスナと各スピーカ装置との配置関係が求まるが、この関係はリスナが向いている方向を無視したものである。したがって、リスナの正面方向(基準方向)を求める必要がある。
【0015】
(i)一つ目の方法はリモコンを利用したものである。リモコンには円盤形状をした方向指示部があり、その中心部を押圧操作することによって、その方向をサーバ装置に送信する機能がある。リモコンをリスナの正面に向けておいて、サーバ装置により任意のスピーカ装置からテスト信号を放音する。リスナが放音したスピーカ装置に方向指示部を向けて押圧操作することにより、リスナの正面方向を基準にしてどれだけずれた方向から放音されたかの方向指示情報がサーバ装置に送られる。この情報により、リスナの正面方向(基準方向)が決まる。
【0016】
(ii)二つ目の方法は、1個または2個のスピーカ装置からテスト信号を放音し、上記リモコンを利用して音像定位がリスナの正面方向になるように調整する。
【0017】
(iii)三つ目の方法は、上記リモコンを利用せず、(1)のリスナとスピーカ装置との距離の計測時に利用したリスナの声を利用したものである。人の声の指向特性は左右対称であり、中高音域成分は声を発したリスナの正面方向で最大となり、リスナの背面方向で最少になるという性質を利用してリスナの正面方向(基準方向)を決める。
【0018】
以上、(1)〜(3)により、スピーカ装置の配置を検出することが可能であり、その配置情報に基づいたスピーカ装置用信号を生成することができる。特許文献1、2及び3の音響システムでは、引き続き、スピーカ装置用信号を実際に生成、放音して、その信号を補正する処理(音場補正)も自動的に行われる。
【特許文献1】特開2005−175744号公報
【特許文献2】特開2005−175745号公報
【特許文献3】特開2005−198249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、特許文献1、2及び3の音響システムのように、複数のスピーカ装置と制御装置を共通の伝送路で接続した音響システムに関するものである。特許文献1、2、及び3の音響システムでは、スピーカ装置の識別、個数把握、配置情報の取得も自動的に行う。しかし、これらを行う場合には、複数のスピーカ装置をとりあえず任意の場所に設置し、共通の伝送路を接続しておく必要がある。また、上述したようにスピーカ装置から何度も放音する必要があったり、リスナの発声や聴覚を利用することがあったりして、必ずしも実用的でない面があった。また、これらの設定に時間がかかりすぎるという課題もあった。
【0020】
さらに、特許文献1、2及び3の音響システムでは、スピーカ装置を図12に示したような推奨配置に設置する手立てはなく、音場補正することを前提とした音響システムとなっている。従って、最悪の場合、音場補正によって補正しきれず、スピーカ装置の配置、ケーブルの接続を最初からやり直さなければならないという懸念もあった。元来、住宅事情の制約などから図12のような推奨配置の実現は難しいという事情もあるが、そのような制約のない場合でも、各スピーカ装置を推奨配置に設置する方法は提供されていないのが現状である。音場補正技術の向上は目覚しいものがあるが、理想的な配置で音場補正を必要としない場合に比べると、補正した音声は原音に忠実なものとはいえない。
【0021】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、複数のスピーカ装置を接続する音響システムにおいて、スピーカ装置の適切な設置及び設定を容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の目的を達成するための本発明による音響出力装置は以下の構成を備える。即ち、 複数のスピーカ装置を接続可能な音響出力装置であって、
スピーカ装置の位置を計測する計測手段と、
聴取位置を特定する特定手段と、
前記聴取位置に基づいて複数のスピーカ装置の各々の配置位置を算出する算出手段と、
前記算出手段で算出された配置位置と、前記計測手段で計測されるスピーカ装置の位置とに基づいて、スピーカ装置の配置をガイダンスするガイダンス手段と、
算出された配置位置にスピーカ装置が配置されたことを検出した場合に、第1通信手段により当該スピーカ装置に識別情報を通知し、配置位置と識別情報の対応を保持する保持手段と、
前記識別情報と配置位置の対応に基づいて、前記第1通信手段とは異なる第2通信手段により、接続された複数のスピーカ装置に音響信号を出力する出力手段とを備える。
【0023】
また、上記の目的を達成するための本発明による音響出力システムは以下の構成を備える。即ち、
複数のスピーカ装置と制御装置が接続された音響システムであって、
前記制御装置と前記複数のスピーカ装置との間で制御信号を通信する第1通信手段と、
前記制御装置から前記複数のスピーカ装置へ音声信号を送信するための前記第1通信手段とは異なる第2通信手段とを備え、
前記制御装置は、
前記第1通信手段を介してスピーカ装置に装着された発信器に位置検出用の信号を発信させることにより、スピーカ装置の位置を計測する計測手段と、
聴取位置を特定する特定手段と、
前記聴取位置に基づいて複数のスピーカ装置の各々の配置位置を算出する算出手段と、
前記算出手段で算出された配置位置と、前記計測手段で計測されるスピーカ装置の位置とに基づいて、スピーカ装置の配置をガイダンスするガイダンス手段と、
算出された配置位置にスピーカ装置が配置されたことを検出した場合に、前記第1通信手段により当該スピーカ装置に識別情報を通知し、配置位置と識別情報の対応を保持する保持手段と、
前記識別情報と配置位置の対応に基づいて、前記第2通信手段により、接続された複数のスピーカ装置に音響信号を出力する出力手段とを備える。
【0024】
また、上記の目的を達成するための本発明による音響出力装置の制御方法は、
複数のスピーカ装置を接続可能な音響出力装置の制御方法であって、
スピーカ装置の位置を計測する計測工程と、
聴取位置を特定する特定工程と、
前記聴取位置に基づいて複数のスピーカ装置の各々の配置位置を算出する算出工程と、
前記算出工程で算出された配置位置と、前記計測工程で計測されるスピーカ装置の位置とに基づいて、スピーカ装置の配置をガイダンスするガイダンス工程と、
算出された配置位置にスピーカ装置が配置されたことを検出した場合に、第1通信手段により当該スピーカ装置に識別情報を通知し、配置位置と識別情報の対応を保持する保持工程と、
前記識別情報と配置位置の対応に基づいて、前記第1通信手段とは異なる第2通信手段により、接続された複数のスピーカ装置に音響信号を出力する出力工程とを備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、複数のスピーカ装置を共通の伝送路で接続した音響システムにおいて、スピーカ装置の配置、ケーブルの配線などの初期設定を簡単に行えるようになる。また、本発明によれば、スピーカ装置の適切な配置が可能になり、原音に忠実な再生を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0027】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態による音響システムのシステム構成例を示す図である。図1の音響システムは、5.1チャンネルのマルチチャンネル音響システムの例であり、制御装置100、6個のスピーカ装置200、共通の伝送路300、表示装置400、表示装置用ケーブル500、位置ポインタ装置600を有する。制御装置100と6個のスピーカ装置200は、共通の伝送路300で接続されている。また、制御装置100と表示装置400は、表示装置用ケーブル500によって接続されている。スピーカ装置200は、図1に示す、センタースピーカC、右フロントスピーカFR、左フロントスピーカLR、右サラウンドスピーカSR、左サラウンドスピーカSL、サブウーファーSWの6個のスピーカを総称している。
【0028】
制御装置100がこの共通の伝送路300に送信する音声データは、パケット化されたデジタル信号であり、1パケットにすべてのスピーカ装置200の音声データが含まれている。各パケットにはヘッダがあり、ヘッダにはパケット長や各音声データがどのスピーカ装置200の音声データであるかを示す情報、音声データを放音するタイミングを示す信号などが含まれている。尚、送信される音声データの形態は上記に限定されるものではなく、複数のスピーカ装置200の各々が同じタイミングで放音すべき音声データを同時に送信できればどのようなフォーマットであってもよい。
【0029】
図2は、図1に示す音響システムにおける制御装置100のハードウエア構成例を示すブロック図である。制御装置100は、システムバス101に対して、102〜112で示される各ユニットが接続されて構成されている。
【0030】
ROM(Read Only Memory)103には、本音響システムの初期設定をはじめ、制御装置100の各動作を実行するための制御プログラムが記憶されている。CPU(Central Processing Unit)102は、RAM(Random Access Memory)104をワークエリアとしてROM103に記憶されている制御プログラムを実行することにより、後述する各種処理を実現する。ネットワークI/F105は、スピーカ装置200と共通の伝送路300を通じて通信を行うためのインタフェースであり、コネクタ113を介して共通の伝送路300に接続されている。
【0031】
送信信号生成部106は、CPU102の制御下で、ネットワークI/F105と共通の伝送路300を通じてスピーカ装置200に送る音声信号や制御信号を生成する機能を有する。また、送信信号生成部106は、CPU102の制御下で、AV再生機I/F108を介してAV再生機800へ、赤外線通信I/F109を介してスピーカ装置200へ、表示装置I/F111を介して表示装置400へ送る各信号を生成する機能も有する。
【0032】
受信信号処理部107は、超音波マイクI/F112を介して超音波マイク700からのデータを受信し、スピーカ装置200の位置を算出するためのデータ処理機能を有する。また、共通の伝送路300からネットワークI/F105を介して受信した信号や、赤外線通信I/F109を介してスピーカ装置200から受信した信号や、表示装置I/F111を介して表示装置400から受信した信号を処理する機能も有する。
【0033】
スピーカ装置情報記録部110は、制御装置100とスピーカ装置200が共通の伝送路300を通じて通信するために、各スピーカ装置200を識別するための対応表データ(図7により後述)などを記録する。尚、スピーカ装置情報記録部110はRAM104上に形成されてもよい。この場合、電源遮断時には不揮発性メモリに対応表データを退避させることになる。
【0034】
AV再生機I/F108には、オーディオソースが記録されている記録媒体900を再生するAV再生機800が接続される。尚、制御装置100がAV再生機能を持つことも可能であり、その場合は、AV再生機800は1つの機能ブロックとして制御装置100の中に含まれる。赤外線通信I/F109はスピーカ装置200と赤外線通信を行うインタフェースであり、リモコン受信部(図示せず)を兼ねることも可能である。表示装置I/F111は、表示装置用ケーブル500を介して表示装置400と接続される。
【0035】
また、超音波マイクI/F112には、超音波マイク700が接続される。第1実施形態では超音波マイク700を4本使用する。これらの超音波マイク700は、表示装置400の四隅や表示装置400の後方の壁の四隅に設置され、スピーカ装置200の位置を検出するために使用される。また、超音波マイク700は、表示装置400の中に内蔵することも可能であるが、第1実施形態では図5のように表示装置400の四隅に装着した例で説明する。尚、超音波発振体の位置を検出するためには一般的には3本の超音波マイクからの信号で十分であるが、本実施形態ではより精度を上げるために4本の超音波マイクを用いる。例えば、4本の超音波マイクから任意の3本の超音波マイクを選択する場合、その組み合わせは4通りあるので、それら4通りの組み合わせで位置を検出し、それらの平均値を算出するようにして、精度を向上する。尚、スピーカ装置200の位置検出に必要な精度が得られれば、超音波マイクの本数はいくらでもよい。
【0036】
図3は、図1に示す音響システムにおけるスピーカ装置200のハードウエア構成を示すブロック図である。スピーカ装置200は、システムバス201に対して、202〜208の各ユニットが接続されて構成されている。
【0037】
ROM203には、本音響システムの初期設定をはじめ、スピーカ装置200の各動作を実行するための制御プログラムが記憶されている。CPU202は、RAM204をワークエリアとしてROM203に記憶された制御プログラムを実行することで各種処理を実現する。ネットワークI/F205は、制御装置100と共通の伝送路300を通じて通信を行うためのインタフェースであり、コネクタ218を介して共通の伝送路300に接続されている。
【0038】
送信信号生成部206は、ネットワークI/F205と共通の伝送路300を介して制御装置100に送る信号を生成する機能を有する。尚、送信信号生成部206で生成される信号には、制御装置100から送信され、位置情報送信部210に記憶される当該スピーカ装置200を識別するための情報(以下、識別子)も含まれる。
【0039】
受信信号処理部207は、共通の伝送路300とネットワークI/F205を介して制御装置100から送られてくる音声信号や制御信号を受信してスピーカを駆動する信号やスピーカ装置200を制御する信号を生成する。例えば、1つのパケットに全てのスピーカの識別子と音声信号が含まれている場合、受信信号処理部207は自身の識別子に対応する音声信号及び制御信号を抽出し、これをスピーカを駆動する信号やスピーカ装置200を制御する信号とする。スピーカを駆動する信号はスピーカ駆動部208へ送られる。また、スピーカ装置200を制御する信号はCPU202へ送られる。受信信号処理部207からスピーカ駆動部208に送られた信号は、スピーカ駆動部208内のD/A変換器(図示せず)によりアナログ信号に変換され、スピーカユニット209に供給される。そして、スピーカユニット209から音声が出力される。
【0040】
位置情報送信部210は、システムバス211に、コントローラ212、識別子記録部213、赤外線通信I/F214、超音波発振子駆動部215が接続されて構成されている。コントローラ212は、位置情報送信部210内の制御を行うとともにCPU202とデータの送受信を行う。識別子記憶部213は、赤外線通信I/F214を介して制御装置100より受信した識別子を記憶する。超音波発振子駆動部215は、赤外線通信I/F214を介して制御装置100より受信した制御信号に基づいて超音波発振子216の駆動を制御する。また、位置情報送信部210には、この駆動をON(駆動可能)/OFF(駆動不能)できるスイッチ218が設けられている。
【0041】
位置情報送信部210は電池217で駆動可能であり、スピーカ装置200と別ユニットとして提供することも可能である。位置情報送信部210を別ユニットにして、適切な場所に設置することによって、超音波マイク700の受信感度や赤外線通信の通信精度を向上させることも期待できる。
【0042】
図4は、図1に示す音響システムにおける位置ポインタ装置600のハードウエア構成例を示すブロック図である。位置ポインタ装置600は、システムバス601に、コントローラ602、赤外線通信I/F603、超音波発振子駆動部604が接続されて構成されている。
【0043】
コントローラ602は、赤外線通信I/F603を介して制御装置100から制御信号を送受信し、この制御信号に基づいて超音波発振子駆動部604を介して超音波発振子605の駆動を制御する。また、位置ポインタ装置600には、この駆動をON/OFFできるスイッチ等(図示せず)が設けられている。位置ポインタ装置600は電池606で駆動可能であり、リモコン(図示せず)や音場補正用のマイク(図示せず)と兼用することも可能である。また、システム構成によっては、スピーカ装置200の位置情報通信部210を別ユニットとした場合に、これを位置ポインタ装置として利用することも可能である。
【0044】
次に、以上のような構成の音響システムにおいて、初期設定(スピーカ装置200の配置や共通の伝送路300の配線)を行う方法について説明する。
【0045】
図6は、本実施形態の音響システムにおける、制御装置100による初期設定の主要部のフローチャートである。尚、制御装置100と表示装置400との接続、超音波マイク700の表示装置400の四隅への装着や制御装置100との接続、表示装置400の入力ソースを制御装置100に合わせるなどの設定は既に完了しているものとする。
【0046】
まず、制御装置100に電源を最初に入れた時、または、本音響システムを再設定するために制御装置100を初期設定モードにした時、ステップS1において、制御装置100は、表示装置400にスピーカ装置200の個数を入力する画面を表示する。この初期設定画面で、ユーザがリモコン(図示せず)等を利用してスピーカ装置200の全個数を入力することができる。また、サブウーファーなど特定タイプのスピーカ装置が全個数のうちいくつあるかを示す個数も入力する。例えば、5.1chの場合、スピーカ装置200の全個数は6、サブウーファーの個数が1というように入力される。
【0047】
ステップS2において、制御装置100は、スピーカ装置200の個数や特定タイプのスピーカ装置の個数等に基づいて、これらスピーカ装置の推奨配置図を表示装置400に表示する。例えば、スピーカ装置200の全個数が6個で、サブウーファーが1個であれば、図12のような5.1chの推奨配置図を表示する。スピーカ装置200の個数や特定タイプのスピーカ装置の個数などが同じで、考えられる推奨配置図が複数あるような場合は、それらを表示装置400に表示して、それらの一つをユーザに選択させる用に構成することも可能である。
【0048】
次に、ステップS3において、制御装置100は、センタースピーカCと視聴ポイントの間の距離Lを計測する。まず、制御装置100はセンタースピーカCの位置を指定する必要がある。本実施形態では、表示装置400の四隅に超音波マイク700が配置されているので、表示装置400の表示面からセンタースピーカCまでの距離を、リモコン等を用いてユーザに入力させるべく、表示装置100によるガイダンス表示を行う。また、センタースピーカCの表示面方向の位置は、表示面の幅の中央とするが、これについてもユーザが設定できるように構成してよい。もちろん、表示装置400の表示面からセンタースピーカCまでの距離を、予め決定された固定値としてもよい。また、壁に超音波マイク700を配置した場合は、壁とセンタースピーカCとの位置関係を入力できるようにすればよい。例えば、壁に対して表示装置を平行に配置する場合であれば、壁からセンタースピーカCまでの距離をリモコン等を用いて入力できるようにする。そして、ユーザは、位置ポインタ装置600を表示装置400の正面(センタースピーカCの指定位置の正面)の視聴位置(リスニングポイント)に設置する。そして、位置ポインタ装置に電池606を装着し、超音波発振子605の駆動を制御するスイッチ618をONにする。このとき、それぞれの超音波発振子の駆動を制御するスイッチ218をOFFするか、電池を装着しない状態にしておく。これはすべてのスピーカ装置200の超音波発信子216は駆動しないためである。
【0049】
制御装置100は、赤外線通信によって、位置ポインタ装置600に内蔵する超音波発振子605の駆動を制御する。表示装置400の四隅に装着した超音波マイク700はその超音波を受信する。制御装置100は、超音波マイク700による超音波の受信タイミングに基づいて、位置ポインタ装置600の位置を検出する。超音波による位置検出は3点測量が基本原理となるが、センタースピーカCの指定位置と視聴ポイントの間の距離Lが計測できれば、どのような方法であってもよい。この距離Lを求めることによって、制御装置100は、ステップS1で得られたスピーカ装置200の推奨配置の距離も含めた絶対位置を把握できる。距離Lが求められたら、超音波発振子605の駆動を制御するスイッチ607をOFFにする。尚、上記推奨位置の絶対位置は、設定されたセンタースピーカCの位置と計測された位置ポインタ装置の位置とを結ぶ直線がセンタースピーカCの音出力面に対して垂直であると仮定して算出される。
【0050】
次に、ステップS4において、制御装置100は、表示装置400に表示された推奨配置位置のうちの一つを点滅させ、そこに一つのスピーカ装置200を設置するようユーザにガイダンスを行う。ユーザは、このガイダンスに従ってスピーカ装置200の一つを推奨配置位置のひとつに設置する。より具体的には、配置すべきスピーカ装置200の位置情報送信部210に電池217を装着し、超音波発振子216の駆動を制御するスイッチ218をONにして、制御装置100がこの超音波発振子216を制御できるようにする。このとき、他のスピーカ装置200の超音波発振子216や位置ポインタ装置600の超音波発振子605は駆動しないように、それぞれの超音波発振子の駆動を制御するスイッチをOFFするか、電池を装着しない状態にしておく。
【0051】
制御装置100は、赤外線通信によってスピーカ装置200の位置情報通知部210に内蔵する超音波発振子216の駆動を制御する。表示装置400の四隅に装着した超音波マイク700はその超音波を受信する。制御装置100は、超音波マイク700による超音波の受信タイミングに基づいて、スピーカ装置200の位置を瞬時に検出し、表示装置400に表示する。超音波による位置検出は3点測量が基本原理となるが、該スピーカ装置200の位置を瞬時に検出できれば、どのような方法であってもよい。
【0052】
スピーカ装置200をガイドされた推奨配置位置に移動する様子を図8に示した。図8(a)は、スピーカ装置200を推奨配置位置FLに移動する様子を上から見た図である。図左のスピーカ装置200が移動中であり、超音波発振子216が駆動中(スイッチ218がON)であることを示している。図右にある実線で描かれた5個のスピーカ装置200は、まだ設置されていないスピーカ装置200であり、超音波発振子216が駆動されていない様子を表している。
【0053】
図8の(b)は、その時の様子を表示装置400に表示した例である。ユーザは、表示装置400にガイダンスされたスピーカ装置200の推奨配置位置と、移動中のスピーカ装置200の位置(本例では、黒点701により表示している)とを見比べながら、当該スピーカ装置200をその推奨配置位置に設置する。尚、当該表示において、センタースピーカCの推奨位置はユーザによって指定された位置となる。部屋の制約などで推奨配置位置に該スピーカ装置200を設置できない場合は、なるべく推奨配置位置に近いところに該スピーカ装置200を設置する。制御装置100は、スピーカ装置200が推奨配置位置に置かれたことを検出すると、当該推奨配置位置の点滅表示を止め、赤外線通信を用いて推奨配置位置に設置されたスピーカ装置の超音波発振子の駆動を停止させる。そして、制御部100は、次の推奨配置位置を点滅させて、ユーザにスピーカの配置を促す。このとき、制御装置100は、推奨配置位置に置かれたスピーカ装置の超音波発信子の駆動を制御するスイッチ218をOFFし、次に設置するスピーカ装置の超音波発信子を駆動するスイッチ218をONするように表示装置400によりメッセージ表示を行う。このメッセージに従って、ユーザが当該スピーカ装置200のスイッチ218をOFFとし、次に配置すべきスピーカ装置200のスイッチ218をONにすることにより、次の配置位置に関して、上記の処理が繰り返される。
【0054】
尚、スピーカ装置200を推奨配置位置に配置する順番を、ユーザが決めることも可能である。これは、制御装置100がスピーカ装置200の推奨配置の絶対位置を把握し、スピーカ装置200の位置も瞬時に検出可能なので、制御装置100はユーザがどこにスピーカ装置を設置したか分かるからである。また、スピーカ装置200を移動していずれかの推奨配置位置にきたことを検出したときに、それを知らせるようにすれば、ユーザはより簡単に推奨配置位置にスピーカ装置200を設置することができる。これは、例えば、表示装置400の表示画面にスピーカ装置200が推奨位置にきたことを示すメッセージを表示することで実現できる。また、表示装置400に装備されたスピーカ装置(不図示)或いは制御装置100に装備されたブザー(不図示)から音を発したりすることで、スピーカ装置200が推奨配置位置にきたことを通知するようにしてもよい。
【0055】
また、制御装置100は、上記のような方法(点滅表示の停止)によって、スピーカ装置200がガイドした推奨配置位置に設置されたことをユーザに知らせる。その後、ステップS5において、赤外線通信によって当該スピーカ装置200を識別するための情報(識別子)を付与する。スピーカ装置200は、割り当てられた識別子を識別子記憶部213に記憶する。ここでは、「1」を識別子として記憶するものとする。
【0056】
制御装置100は、ガイドする推奨配置位置と、スピーカ装置200に付与した識別子を把握しているので、最終的には図7のような対応表データを持つことになる。この対応表から、識別子「1」のスピーカ装置200は、推奨配置位置のうちのFL(フロントレフト)に設置されていることが分かる。したがって、制御装置100は、共通の伝送路300を通じて送信されFLのスピーカ装置から出力されるべき音声データに対し、そのヘッダ情報として識別子「1」を設定する。これにより、FL用の音声データが割り当てられることになる。尚、識別子の付与の具体的な方法は、これに限らず用途によって種々考えられる。また、この識別子は、後ほどの共通の伝送路300上の通信においてネットワークIDとしても利用される。
【0057】
ステップS6において、制御装置100は、すべてのスピーカ装置200の設置が完了したかを確認する。設置を完了していないスピーカ装置がある場合はステップS4に戻り、上記処理を繰り返す。即ち、制御装置100は、別の推奨配置位置に、別の未設置のスピーカ装置200を設置するようユーザをガイドする。
【0058】
すべてのスピーカ装置200の設置が完了した場合、ステップS7において、制御装置100は、各スピーカ装置200のケーブルを接続するようガイダンス表示する。ここで、制御装置100は、推奨するケーブル配線図、必要なケーブル数やその長さなどを表示装置400に表示する。ユーザはこれらを参照してスピーカ装置200と制御装置100とのケーブルの接続を行う。この時、ユーザがケーブル配線の指定や、一部区間の無線化を指定することも可能である。
【0059】
次にステップS8において、制御装置100は、識別子記憶部213に記憶された識別子をネットワークIDとして共通の伝送路300上における通信を形成する。そして、制御装置100は、各スピーカ装置200に適切な音声データを形成し、図7の対応表を利用して識別子を付与し、共通の伝送路300上に音声データを送信する。
【0060】
これ以降は、現行の音響システムと同様に、必要であれば音場補正を行う。ただし、本発明によりスピーカ装置を推奨配置位置に設置できれていれば、音場補正をすることなく原音に忠実な音声を再生することが可能になる。
【0061】
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態による音響システムのシステム構成例を示す図である。第1実施形態では、ネットワークI/F205や超音波発振子216を内蔵したスピーカ装置200を用いたが、第2実施形態ではそれらを別ユニットとする。第2実施形態では、この別ユニットをアダプタ装置1000とする。図9において、スピーカ装置1100以外の制御装置100、表示装置400、表示装置用ケーブル500、位置ポインタ装置600は、図1に示した第1実施形態と同じである。
【0062】
図10は、アダプタ装置1000のハードウエア構成を示すブロック図である。図3に示したスピーカ装置200の構成を示すブロック図から、スピーカ駆動部208とスピーカユニット209が削除され、スピーカ装置I/F1008が加えられた構成となっている。図10におけるそれ以外の各ブロックは、図3における各ブロックと同等な機能を有しており、図3と共通のブロックには図3と同一の参照番号を付している。
【0063】
このアダプタ装置1000を接続すれば、スピーカ装置1100として汎用のアクティブスピーカを本発明を適用した音響システムに利用することができる。また、アダプタ装置1000に必要な電源やスピーカ駆動部まで含めることができれば、スピーカ装置1100として汎用のパッシブスピーカを本発明を適用した音響システムに利用することができるようになる。さらに、第1実施形態でも述べたように、位置情報送信部1010を別ユニットにすることも可能である。
【0064】
第2の実施形態の音響システムにおけるスピーカ位置の設定を含む初期設定を行う方法は、図6のフローチャートにおいてスピーカ装置を、アダプタ装置を装着したスピーカ装置、あるいはアダプタ装置に置き換えることにより理解できる。従って、ここでは説明を省略する。
【0065】
また、アダプタ装置1000だけを推奨配置位置に移動させる場合は、重いスピーカ装置を持ったまま設置位置を探さなくてもよいメリットがある。但し、後にアダプタ装置とスピーカ装置を接続する際に多少誤差が生じる可能性がある。
【0066】
[その他の実施形態および変形例]
上述の実施形態では、共通の伝送路としてバス型のネットワークを例に説明したが、伝送路の形態はこれに限らず、デイジーチェーンや無線でも構わない。シームレスな伝送(バス型、デイジーチェーン、無線などのネットワークの切換えをユーザが意識することがない伝送)が可能であれば、これらを組み合わせた形態でもよい。また、スター型のネットワークでも本発明を適用することができる。この場合、推奨配置位置へのスピーカ装置の配置や誤配線の検出等が可能となる。
【0067】
また、上記実施形態では、スピーカの設置時に安価な赤外線通信を利用した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。赤外線通信に代わるものとしては、例えば、無線LAN、RFID、USBなどのケーブルを利用した通信があげられる。また、スピーカ装置の位置を検出する手段として超音波を利用したが、本発明はそれに限定されるものではない。位置の精度、応答性、静粛性、コストなどを考慮して超音波を利用した例を示したが、これらを満足する別の方法があれば、それを利用することも可能である。超音波位置検出に代わるものとしては、例えば、無線LAN、RFID、レーザーなどを利用した検出方法があげられる。
【0068】
以上説明したように、上記各実施形態によれば、複数のスピーカ装置と制御装置を共通の伝送路で接続した音響システムにおいて、スピーカ装置の配置、ケーブルの配線などの初期設定を簡単に行えるようになる。また、スピーカ装置の適切な配置が可能になり、原音に忠実な再生を行うことができる。
【0069】
尚、図6のフローチャートにより上述した制御装置100,1000はCPU202がROM203又はRAM204に記憶された制御プログラムを実行することにより、実現される。従って、制御装置100,1000として汎用のコンピュータ装置(パーソナルコンピュータ等)を利用することも可能である。よって、本発明は、ソフトウェアのプログラムをシステム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによって前述した実施形態の機能が達成される場合を含む。この場合、供給されるプログラムは実施形態で図に示したフローチャートに対応したプログラムである。
【0070】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0071】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
【0072】
プログラムを供給するための記録媒体としては以下が挙げられる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などである。
【0073】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることが挙げられる。この場合、ダウンロードされるプログラムは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルであってもよい。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0074】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布するという形態をとることもできる。この場合、所定の条件をクリアしたユーザに、インターネットを介してホームページから暗号を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用して暗号化されたプログラムを実行し、プログラムをコンピュータにインストールさせるようにもできる。
【0075】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどとの協働で実施形態の機能が実現されてもよい。この場合、OSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0076】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれて前述の実施形態の機能の一部或いは全てが実現されてもよい。この場合、機能拡張ボードや機能拡張ユニットにプログラムが書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行なう。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1実施形態となる音響システムのシステム構成を示す図である。
【図2】第1実施形態を構成する制御装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態を構成するスピーカ装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態を構成する位置ポインタ装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図5】第1実施形態において、表示装置に超音波マイクを装着した例である。
【図6】第1実施形態の主要部のフローチャートである。
【図7】第1実施形態において、各スピーカ装置に付与した識別子とその配置位置の関係を示すテーブルである。
【図8】(a)は、第1実施形態において、推奨配置位置へスピーカ装置を移動している様子を示した図であり、(b)は、第1実施形態において、推奨配置位置へスピーカ装置を移動している時の、表示装置に表示される表示画面の例を示した図である。
【図9】本発明の第2実施形態となる音響システムのシステム構成を示す図である。
【図10】第2実施形態を構成するアダプタ装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図11】従来の一般的な音響システムの構成例を示すブロック図である。
【図12】音響システムにおけるスピーカ装置の推奨配置図の例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスピーカ装置を接続可能な音響出力装置であって、
スピーカ装置の位置を計測する計測手段と、
聴取位置を特定する特定手段と、
前記聴取位置に基づいて複数のスピーカ装置の各々の配置位置を算出する算出手段と、
前記算出手段で算出された配置位置と、前記計測手段で計測されるスピーカ装置の位置とに基づいて、スピーカ装置の配置をガイダンスするガイダンス手段と、
算出された配置位置にスピーカ装置が配置されたことを検出した場合に、第1通信手段により当該スピーカ装置に識別情報を通知し、配置位置と識別情報の対応を保持する保持手段と、
前記識別情報と配置位置の対応に基づいて、前記第1通信手段とは異なる第2通信手段により、接続された複数のスピーカ装置に音響信号を出力する出力手段とを備えることを特徴とする音響出力装置。
【請求項2】
前記計測手段は、特定の位置に固定された少なくとも3つの超音波受信器により、スピーカ装置に装着可能な超音波発信器の位置を検出することにより、複数のスピーカ装置の各々の位置を計測することを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
前記超音波発信器の超音波出力のタイミングを前記第1通信手段を用いて制御することを特徴とする請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記第2通信手段は、複数のスピーカ装置と当該音響出力装置とを共通の伝送路で接続することを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記第2通信手段は、音声情報をパケットとして前記共通の伝送路上へ送出し、前記パケットにおいて、前記接続された複数のスピーカ装置の各音声情報が前記識別情報に対応付けられて包含されていることを特徴とする請求項4に記載の音響出力装置。
【請求項6】
スピーカ装置の個数及びスピーカ装置の種別を入力する入力手段と、
前記入力手段で入力されたスピーカ装置の個数とスピーカ装置の種別に基づいて複数のスピーカ装置の推奨配置図を表示する表示手段とを更に備え、
前記算出手段は、前記推奨配置図の各位置の座標値を算出することを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記ガイダンス手段は、前記表示手段によって表示された推奨配置図を用いて前記ガイダンスを行うことを特徴とする請求項6に記載の音響出力装置。
【請求項8】
前記特定手段は、特定の位置に固定された少なくとも3つの超音波受信器により、聴取位置に配置された超音波発信器の位置を検出することにより、前記聴取位置を特定することを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項9】
複数のスピーカ装置と制御装置が接続された音響システムであって、
前記制御装置と前記複数のスピーカ装置との間で制御信号を通信する第1通信手段と、
前記制御装置から前記複数のスピーカ装置へ音声信号を送信するための前記第1通信手段とは異なる第2通信手段とを備え、
前記制御装置は、
前記第1通信手段を介してスピーカ装置に装着された発信器に位置検出用の信号を発信させることにより、スピーカ装置の位置を計測する計測手段と、
聴取位置を特定する特定手段と、
前記聴取位置に基づいて複数のスピーカ装置の各々の配置位置を算出する算出手段と、
前記算出手段で算出された配置位置と、前記計測手段で計測されるスピーカ装置の位置とに基づいて、スピーカ装置の配置をガイダンスするガイダンス手段と、
算出された配置位置にスピーカ装置が配置されたことを検出した場合に、前記第1通信手段により当該スピーカ装置に識別情報を通知し、配置位置と識別情報の対応を保持する保持手段と、
前記識別情報と配置位置の対応に基づいて、前記第2通信手段により、接続された複数のスピーカ装置に音響信号を出力する出力手段とを備えることを特徴とする音響システム。
【請求項10】
前記複数のスピーカ装置において、前記第1通信手段と前記第2通信手段、及び前記発信器が各スピーカ装置に内蔵されていることを特徴とする請求項9に記載の音響システム。
【請求項11】
前記第1通信手段と前記第2通信手段、及び前記発信器を含む、スピーカ装置とは別体のアダプタ装置が各スピーカ装置に装着されていることを特徴とする請求項9に記載の音響システム。
【請求項12】
複数のスピーカ装置を接続可能な音響出力装置の制御方法であって、
スピーカ装置の位置を計測する計測工程と、
聴取位置を特定する特定工程と、
前記聴取位置に基づいて複数のスピーカ装置の各々の配置位置を算出する算出工程と、
前記算出工程で算出された配置位置と、前記計測工程で計測されるスピーカ装置の位置とに基づいて、スピーカ装置の配置をガイダンスするガイダンス工程と、
算出された配置位置にスピーカ装置が配置されたことを検出した場合に、第1通信手段により当該スピーカ装置に識別情報を通知し、配置位置と識別情報の対応を保持する保持工程と、
前記識別情報と配置位置の対応に基づいて、前記第1通信手段とは異なる第2通信手段により、接続された複数のスピーカ装置に音響信号を出力する出力工程とを備えることを特徴とする音響出力装置の制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載された制御方法をコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【請求項14】
請求項12に記載された制御方法をコンピュータに実行させるための制御プログラムを格納したコンピュータ可読媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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