説明

音響制御装置および音響制御方法

【課題】音声広告に対し、その広告効果によりマッチした課金ポイントを決定することができる音響制御装置を提供すること。
【解決手段】音響制御装置500は、仮想音響空間に立体的に配置される音声に関する処理を行うであって、内容を広告とする音声の音源である広告音源を、仮想音響空間に配置する音響制御部541と、ユーザの仮想音響空間における位置と、広告音源の仮想音響空間における位置との相対関係を含む、音源相対位置情報を取得する課金ポイントシート制御部544と、取得された音源相対位置情報に基づいて、広告に対する課金ポイントの値を決定する課金ポイント算出部545とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想音響空間に立体的に配置される音声に関する処理を行う音響制御装置および音響制御方法に係り、特に、広告音声に対する課金に関する音響制御装置および音響制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、短いテキストメッセージを、ネットワークを介してユーザ間で気軽にやり取りすることを可能にするサービスが、増加している。また、最近では、発話音声を、ネットワーク上のサーバにアップロードしてユーザ間で簡単に共有することを可能にするサービスが、存在している。
【0003】
これらのサービスの普及に伴い、サービスを享受するモバイル端末は、音声広告の広告媒体として期待されている。ところが、各モバイル端末で行う音声広告のサービスでは、音声広告に対する課金ポイントをどのように決定するかが問題となる。ここで、課金ポイントとは、課金金額そのものだけでなく、音声広告によるサービスポイントなど、広告対価に関連する各種の値を含む概念とする。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の技術は、広告音声の音量に基づいて、課金ポイントを決定する。かかる従来技術によれば、広告音声の音量あるいはシステム全体に対する広告音声の音量比が高いほど、より高い課金ポイントを決定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−213320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術は、音声広告に対し、その広告効果にマッチしない課金ポイントを決定するおそれがあるという課題を有する。理由は、以下の通りである。人は、複数の音声から特定の音声を選択的に聴取することができ、興味のある音声や特徴的な音声を、他の音声よりも良く聞き取ることができるという性質を有する(カクテルパーティ効果)。したがって、広告音声の音量あるいは音量比が高いからといって、ユーザは、必ずしもその広告音声の内容を選択して聞き取っているとは限らない。したがって、従来技術では、不当に高い課金ポイントや、不当に低い課金ポイントが決定される可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、音声広告に対し、その広告効果によりマッチした課金ポイントを決定することができる音響制御装置および音響制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の音響制御装置は、仮想音響空間に立体的に配置される音声に関する処理を行う音響制御装置であって、内容を広告とする音声の音源である広告音源を、前記仮想音響空間に配置する音響制御部と、ユーザの前記仮想音響空間における位置と、前記広告音源の前記仮想音響空間における位置との相対関係を含む、音源相対位置情報を取得する課金ポイントシート制御部と、取得された前記音源相対位置情報に基づいて、前記広告に対する課金ポイントの値を決定する課金ポイント算出部とを有する。
【0009】
本発明の音響制御方法は、仮想音響空間に立体的に配置される音声に関する処理を行う音響制御方法であって、内容を広告とする音声の音源である広告音源を、前記仮想音響空間に配置するステップと、ユーザの前記仮想音響空間における位置と、前記広告音源の前記仮想音響空間における位置との相対関係を含む、音源相対位置情報を取得するステップと、取得された前記音源相対位置情報に基づいて、前記広告に対する課金ポイントの値を決定するステップとを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、音声広告に対し、その広告効果によりマッチした課金ポイントを決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1に係る音響制御装置の構成の一例を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態2に係る音響制御装置を含む音響制御システムの構成の一例を示すシステム構成図
【図3】本発明の実施の形態2に係る端末装置の構成の一例を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態2における制御部の構成の一例を示すブロック図
【図5】本発明の実施の形態2における仮想音響空間を説明するための図
【図6】本発明の実施の形態2における可聴領域を説明するための図
【図7】本発明の実施の形態2における課金ポイント算出テーブルの内容の一例を示す図
【図8】本発明の実施の形態2における広告配信サーバの動作の一例を示すフローチャート
【図9】本発明の実施の形態2における制御情報生成処理の一例を示すフローチャート
【図10】本発明の実施の形態2における制御情報の内容の一例を示す図
【図11】本発明の実施の形態2における端末装置の動作の一例を示すフローチャート
【図12】本発明の実施の形態2における広告音声再生処理の一例を示すフローチャート
【図13】本発明の実施の形態2における頭部向き取得処理の一例を示すフローチャート
【図14】本発明の実施の形態2における課金ポイントシートの内容の一例を示す図
【図15】本発明の実施の形態2における課金ポイント算出処理の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1は、本発明の基本的態様の一例である。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る音響制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0015】
図1において、音響制御装置500は、仮想音響空間に立体的に配置される音声に関する処理を行う装置であって、音響制御部541、課金ポイントシート制御部544、および課金ポイント算出部545を有する。
【0016】
音響制御部541は、取得した内容を広告とする音声(広告音声)の音源である広告音源を、仮想音響空間に配置する。
【0017】
課金ポイントシート制御部544は、仮想音響空間に配置された音声(広告音声)を聞いているユーザの仮想音響空間における位置と、広告音源の仮想音響空間における位置との相対関係を含む、音源相対位置情報を取得する。
【0018】
課金ポイント算出部545は、取得された音源相対位置情報に基づいて、広告に対する課金ポイントの値を決定する。
【0019】
音響制御装置500は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、および、RAM(Random Access Memory)などの記憶媒体を有する。この場合、上記各機能部は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。
【0020】
このような音響制御装置500は、ユーザと広告音源との相対位置関係に基づいて、課金ポイントの値を決定することができる。
【0021】
音声広告の広告効果は、通常、ユーザがどの音声を選択的に聴取しているか(注目しているか)に大きく影響される。そして、ユーザがどの音声を選択的に聴取するかは、通常、ユーザと広告音源との相対位置関係に大きく影響される。すなわち、音声広告の広告効果は、ユーザと広告音源との相対位置関係に応じたものとなる。
【0022】
したがって、音響制御装置500は、音声広告に対し、その広告効果によりマッチした課金ポイントを決定することができる。
【0023】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、本発明を、携帯電話機など宅外に持ち出し可能であって、他ユーザとの音声コミュニケーションが可能な端末装置に適用した場合の、具体的態様の一例である。
【0024】
図2は、本発明の一実施の形態に係る音響制御装置を含む音響制御システムの構成の一例を示すシステム構成図である。
【0025】
図2において、音響制御システム100は、通信ネットワーク200、広告配信サーバ400、音声メッセージ管理サーバ300、および、本発明に係る音響制御装置を含む端末装置500を有する。通信ネットワーク200は、インターネットあるいはイントラネットなどである。広告配信サーバ400、音声メッセージ管理サーバ300、および端末装置500は、通信ネットワーク200を介して、互いに通信可能に接続している。
【0026】
音声メッセージ管理サーバ300は、端末装置500と、通信ネットワーク200に接続する他の端末装置(図示せず)との間で、音声チャットなどによる音声メッセージのデータ(以下、適宜「音声メッセージ」という)の転送を行う。
【0027】
広告配信サーバ400は、広告主が選択した広告音声の音声データ(以下、適宜「広告音声データ」という)と、広告音声データに付与される制御情報とを、端末装置500に配信する。広告配信サーバ400は、例えば、入力デバイス、表示デバイス、CPU、および記憶装置を備えた、パーソナルコンピュータである。
【0028】
広告音声データは、例えば、WAV等の所定の形式のファイルとして保存され、ストリーミング形式のデータとして配信される。制御情報は、後述の仮想音響空間における広告音声の再生時刻および再生位置を、広告主側から指定するための情報である。制御情報の詳細については、後述する。
【0029】
なお、本実施の形態において、時刻とは、端末装置500での時間軸における時刻である。この時間軸は、例えば、端末装置500が、他の端末装置との音声メッセージ交換のために、音声メッセージ管理サーバ300に対して所定のログイン処理を完了したタイミングを基点とする。
【0030】
端末装置500は、音声メッセージ管理サーバ300を介して、他の端末装置との間で音声メッセージを交換するとともに、広告配信サーバ400から配信された広告音声データを受信する。そして、端末装置500は、受信した音声メッセージおよび広告音声データを、音声に変換して出力する。すなわち、端末装置500は、仮想音響空間に立体的に各音声の音源を配置する。そして、この際、端末装置500は、音声メッセージの音源(以下「メッセージ音源」という)と、広告音声データの音源(以下「広告音源」という)との相対位置を、複数の時刻のそれぞれにおいて取得する。そして、端末装置500は、取得した複数の時刻の相対位置に基づいて、広告に対する課金ポイントの値を決定する。より具体的には、端末装置500は、複数の時刻の相対位置から把握することができる、各相対位置関係の継続時間や相対位置の時間変化に基づいて、課金ポイントの値を決定する。
【0031】
なお、本実施の形態において、仮想音響空間の位置および向きは、実空間におけるユーザの胴体の位置および向きに固定されているものとする。すなわち、端末装置500は、仮想音響空間でのユーザの顔の向きの変化が、実空間でのユーザの顔の向きの変化と一致するように、仮想音響空間の音場を制御する。
【0032】
実空間でのユーザの顔の向きの変化は、例えば、端末装置500および上述のヘッドセットのそれぞれに、方位および加速度を取得することができる3D(Dimension)モーションセンサを備えることにより、検出することができる。すなわち、実空間でのユーザの顔の向きの変化は、ユーザが胸ポケットなどに端末装置500を装着し、端末装置500の検出結果とヘッドセットの検出結果との差分から、算出することができる。また、実空間でのユーザの顔の向きの変化は、ある基準時刻における顔の正面の向き(以下「頭部向き」という)を基準とした、ヘッドセットの検出結果の変化からも、算出することができる。基準時刻は、端末装置500が決定してもよいし、ユーザが決定してもよいが、端末装置500の各機能部に共通に決定される。
【0033】
まず、端末装置500の構成について説明する。
【0034】
図3は、端末装置500の構成の一例を示すブロック図である。
【0035】
図3において、端末装置500は、操作部510、通信部520、記憶部530、制御部540、再生部550、および音声入出力部560を有する。
【0036】
操作部510は、端末装置500に対する操作をユーザから受け付ける。特に、操作部510は、ユーザがどの音声を選択して聴取しているかを推定するために、実空間における、ユーザの、胴体正面方向に対する顔正面方向の角度変位(以下「頭部向き」という)を検出する。そして、操作部510は、検出した頭部向きを示す頭部向き情報を、制御部540および再生部550へ出力する。
【0037】
操作部510は、例えば、上述のヘッドセットに取り付けられた3Dモーションセンサを含む。そして、操作部510は、このセンサの検出値(以下「センサ値」という)に基づいて、頭部向きを検出する。
【0038】
通信部520は、通信ネットワーク200に接続し、通信ネットワーク200を介して、広告配信サーバ400、音声メッセージ管理サーバ300、およびWWW(world wide web)(図示せず)との間で、データの送受信を行う。通信部520は、例えば、有線LAN(local area network)または無線LANの通信インターフェースである。
【0039】
具体的には、通信部520は、広告配信サーバ400から受信した広告音声データ、並びに、音声メッセージ管理サーバ300から受信した音声メッセージおよび制御情報を、記憶部530へ出力する。また、通信部520は、後述の音声入出力部560から入力されたユーザ音声データを、音声メッセージ管理サーバ300へ送信する。
【0040】
記憶部530は、端末装置500の各部により用いられる記憶領域であり、例えば、通信部520から入力された音声メッセージ、広告音声データ、および制御情報を保存する。記憶部530は、例えば、メモリカード等、電源供給が停止しても記憶内容を保持する不揮発性の記憶デバイスである。
【0041】
制御部540は、音声メッセージおよび広告音声データに対し、制御情報に基づいて、立体音響におけるメッセージ音源および広告音源の位置(以下「立体音響配置」という)を決定する。そして、制御部540は、決定した立体音響配置を、再生部550へ通知する。
【0042】
また、制御部540は、決定した立体音響配置から、複数の時刻におけるメッセージ音源と広告音源との相対位置を取得する。そして、制御部540は、複数時刻のそれぞれにおける、相対位置と、頭部向きと広告音源の位置との関係とから、広告に対する課金ポイントの値を決定する。
【0043】
なお、音声メッセージの音源を仮想音響空間のどこへ配置するかについては、本発明の範囲外とする。
【0044】
再生部550は、音声メッセージおよび広告音声データに対し、制御部540から通知された立体音響配置に従って、立体音響効果の付与と音声合成とを行い、立体音響データを生成する。この際、再生部550は、操作部510から入力される頭部向き情報に基づいて、基準時刻を基準とした実空間での頭部向きの変位に追従して、生成される立体音響データの音場を変化させる。そして、再生部550は、生成された立体音響データを、音声入出力部560へ出力する。
【0045】
音声入出力部560は、再生部550から入力される立体音響データを立体音響に変換して、ユーザに対して出力する。また、音声入出力部560は、ユーザから入力された音声を、信号化してユーザ音声メッセージに変換し、通信部520を介して音声メッセージ管理サーバ300へ送信する。音声入出力部560は、例えば、マクロフォンおよびヘッドフォンを備えたヘッドセットである。
【0046】
なお、端末装置500は、頭部向きの検出から、立体音響配置の決定を経て立体音響データの音声出力までの一連の処理を、短い間隔で周期的に到来する所定のタイミングごとに、繰り返し行うものとする。この所定のタイミングは、「検出タイミング」といい、検出タイミングごとに繰り返す状態は、適宜、「周期的に」と表現するものとする。
【0047】
図4は、制御部540の構成の一例を示すブロック図である。なお、図4は、説明の便宜のため、周辺の構成部についても併せて図示する。
【0048】
図4において、制御部540は、音響制御部541、位置取得部542、仮想領域判定部543、課金ポイントシート制御部544、および課金ポイント算出部545を有する。
【0049】
音響制御部541は、広告音源を、仮想音響空間に配置する。具体的には、音響制御部541は、制御情報に基づき、広告音源の仮想音響空間における位置(以下、単に「位置」という)を取得する。そして、音響制御部541は、取得した広告音源の位置を示す広告位置情報を、仮想領域判定部543へ出力する。
【0050】
仮想領域判定部543は、周期的にユーザの向きを取得し、取得したユーザの向きから可聴領域を判定する。可聴領域は、仮想音響空間において、ユーザの頭部位置を中心とし頭部向きの方向に広がった所定の角度範囲内の領域である。すなわち、可聴領域は、ユーザが選択して聴取している対象が含まれていると推定される領域である。
【0051】
具体的には、仮想領域判定部543は、予め、頭部向きを基準とした可聴領域の判定ルールを格納している。この判定ルールは、例えば、頭部向きを中心として水平方向に30度の範囲を、可聴領域とする内容である。仮想領域判定部543は、操作部510から入力される頭部向き情報に基づき、上記判定ルールに従って、可聴領域を周期的に判定する。
【0052】
仮想領域判定部543は、入力された広告位置情報と、判定した可聴領域とから、広告音源の位置が可聴領域内にあるか否かを判断する。そして、仮想領域判定部543は、告音源の位置が可聴領域内にあるか否かを示す可聴領域情報を、課金ポイントシート制御部544へ出力する。
【0053】
ここで、仮想音響空間および可聴領域について説明する。
【0054】
図5は、本実施の形態における仮想音響空間を説明するための図である。
【0055】
図5に示すように、音響制御部541は、ユーザ611の位置を中心として、楕円もしくは円状の3次元空間である仮想音響空間612を設定する。なお、仮想音響空間612の大きさは、端末装置500ごとに予め設定されてもよいし、ユーザの指定操作により設定されてもよい。
【0056】
端末装置500は、ユーザ611の右斜め前方90度の範囲を「領域1」とし、右斜め後方90度の範囲を「領域2」とし、左斜め前方90度の範囲を「領域3」とし、左斜め後方90度の範囲を「領域4」して扱う。また、端末装置500は、ユーザ611の胴体正面方向をX軸方向とし、ユーザ611の右方向をY軸とし、紙面手前方向をZ軸とする座標系613を、仮想音響空間612の座標系(以下「仮想音響空間座標系」という)として扱う。
【0057】
なお、仮想音響空間612の領域の分割は、4分割に限定されるものではなく、より細かい領域分割としてもよい。この場合、端末装置500は、課金ポイントをより細かく設定することが可能となる。
【0058】
音響制御部541は、ある時刻において、例えば、メッセージ音源614を領域1に配置し、広告音源615を領域4に配置する。このとき、仮想領域判定部543は、基準頭部向きの方向に広がる領域616を、可聴領域と判定する。この状態では、広告音源615は、可聴領域(616)に位置していない。
【0059】
音響制御部541は、制御情報に従って、例えば、広告音源615を、ユーザ611の耳元をかすめるような軌道617で、領域3へと移動させる。このような場合、通常、ユーザ611は、広告音源615の音声に注目し(あるいは興味を持ち)、移動後の広告音源615の方(領域3)へ顔を向けることになる。
【0060】
図6は、可聴領域を説明するための図である。
【0061】
ユーザ611が実空間で左を向いたことが検出されると、仮想領域判定部543は、仮想音響空間612においても同様にユーザ611が左を向いているものとして扱う。更に、仮想領域判定部543は、頭部向きである左斜め前方向に広がる領域618を、可聴領域と判定する。つまり、この状態は、広告音源615が可聴領域(618)に位置していることを示している。
【0062】
このように、ユーザ611が広告音源615の方向を向いている状態は、その広告音声にユーザ611が注目していることを示し、その広告効果が高いことを意味する。逆に、ユーザ611が広告音源615の方向を向いていない状態は、その広告音声にユーザ611が注目していないか避けていることを示し、その広告効果が低いことを意味する。そして、ユーザ611が広告音源615の方向を向いているか否かは、可聴領域(616、618)に広告音源615の位置が含まれているか否かから判断することができる。
【0063】
以上で、仮想音響空間および可聴領域についての説明を終える。
【0064】
図4の課金ポイントシート制御部544は、ユーザの仮想音響空間における位置と、広告音源の仮想音響空間における位置との相対関係を含む、音源相対位置情報を取得する。
【0065】
具体的には、課金ポイントシート制御部544は、入力される広告位置情報および可聴領域情報から、課金ポイントシートを生成し、生成した課金ポイントシートを、記憶部530に格納する。課金ポイントシートは、広告音源の位置と可聴領域とを検出タイミングごとに対応付けた情報を記述するシートである。
【0066】
課金ポイントシートの内容は、広告音源の位置がユーザの可聴領域にあるか否か、広告音源の位置とユーザの位置との距離、および、ユーザの位置および向きに対する広告音源の相対位置を含むものとする。また、課金ポイントシートの内容は、広告の音声に重なる他の音声が存在するか否か、および、広告音源の位置と他の音声の音源である他音源(メッセージ音源および他の広告音声の音源)の位置との距離を含むものとする。課金ポイントシートの詳細については、後述する。
【0067】
課金ポイント算出部545は、複数の時刻において取得された複数の音源相対位置情報に基づいて、広告に対する課金ポイントの値を決定する。
【0068】
具体的には、課金ポイント算出部545は、課金ポイント算出テーブルを予め格納し、この課金ポイント算出テーブルを用いて、前記課金ポイントシートから、課金ポイントの値を決定する。課金ポイント算出テーブルは、複数の時刻における音源相対位置情報の内容と課金ポイント値とを対応付けて記述するテーブルである。すなわち、課金ポイント算出テーブルの内容は、課金ポイント算出部545が課金ポイントを決定する際のルール(以下「ポイント決定ルール」という)である。
【0069】
図7は、課金ポイント算出テーブルの内容の一例を示す図である。
【0070】
図7において、課金ポイント算出テーブル620は、課金の基準の種別である課金種別621ごとに、その基準の詳細622に対応付けて、課金ポイント加算値623を記述する。
【0071】
例えば、「広告音源位置」という課金種別621のうち「領域1」という詳細622には、「プラス1.0」という課金ポイント加算値623が対応付けられている。これは、ある検出タイミングにおいて、広告音源の再生位置が領域1であった場合、課金ポイントの累積値に1.0をプラスすべきであるということを意味する。
【0072】
課金ポイント算出テーブル620の内容としては、図7に示すように、各種のポイント決定ルールを採用することができる。
【0073】
第1のポイント決定ルールは、広告音源の位置がユーザの可聴領域にある時間が長いほど、課金ポイントをより高い値に決定する内容である。広告音源の位置がユーザの可聴領域にある場合、ユーザは、広告音源に注目している可能性が高いからである。
【0074】
第2のポイント決定ルールは、広告音源の位置とユーザの位置との距離に反比例する所定の値の積算値が高いほど、課金ポイントをより高い値に決定する内容である。広告音源の位置とユーザの位置との距離が短いほど、ユーザは、広告音源に気を取られ易いからである。
【0075】
第3のポイント決定ルールは、広告音源の位置が、予め定められた、ユーザが聞き取り易い領域(例えば、ユーザの前方)に位置する時間が長いほど、課金ポイントをより高い値に決定する内容である。
【0076】
第4のポイント決定ルールは、ユーザの位置および向きに対する広告音源の相対位置の移動距離が長いほど、課金ポイントをより高い値に決定する内容である。かかる距離が長いほど、広告音源は、より高速に、またはより長い時間、移動しているといえ、ユーザは広告音源に気を取られ易いからである。
【0077】
第5のポイント決定ルールは、広告の音声に重なる他の音声(音声メッセージの音声)が存在しない時間が長いほど、課金ポイントをより高い値に決定する内容である。他の音声が存在しない場合、ユーザは、広告音源に気を取られ易いからである。
【0078】
第6のポイント決定ルールは、広告音源の位置と、他の音声の音源である他音源(メッセージ音源)の位置との距離の積算値が高いほど、課金ポイントをより高い値に決定する内容である。かかる積算値が高いほど、広告音源は、他音源とより離れている、または、より長い時間存在しているといえ、ユーザは、広告音源を他音源と区別し易いからである。
【0079】
なお、ポイント決定ルールは、これらの例に制限されない。
【0080】
課金ポイント算出部545は、検出タイミングごとの課金ポイント加算値、または、課金ポイント加算値の累積値(つまり、課金ポイントの値)を、記憶または出力する。例えば、課金ポイント算出部545は、1ヶ月ごとなど定期的に、あるいは、1つの広告音声データの再生が終了するごとに、課金ポイントの累積値を、通信部520を介して広告配信サーバ400へ送信する。そして、課金ポイント算出部545は、課金ポイントの累積値の送信が完了するごとに、内部に保持する当該累積値を初期化する。
【0081】
なお、ある時間範囲において、検出タイミングごとの課金ポイント加算値を検出タイミングごとに繰り返し決定することは、その時間範囲の課金ポイントの値を決定することに等しい。
【0082】
端末装置500は、例えば、CPUおよびRAMなどの記憶媒体を有する。この場合、上記各機能部は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。
【0083】
音声広告の広告効果は、通常、ユーザがどの音声を選択的に聴取しているか(注目しているか)に大きく影響される。そして、ユーザがどの音声を選択的に聴取するかは、通常、ユーザと広告音源との相対位置関係、および、その時間変化あるいは時間長さに、大きく影響される。また、音声広告の広告効果は、その聴取されている継続時間に大きく影響される。すなわち、音声広告の広告効果は、複数の時間におけるユーザと広告音源との相対位置関係に応じたものとなる。
【0084】
したがって、上述の構成を有する端末装置500は、仮想音響空間に立体的に各音声を配置し、複数の時刻におけるメッセージ音源と広告音源との相対位置に基づいて、広告に対する課金ポイントの値を決定することができる。
【0085】
以上で、端末装置500の構成についての説明を終える。
【0086】
次に、各装置の動作について説明する。ここでは、広告音声データが1つ再生されるごとに、課金ポイントがフィードバックされる例について説明する。
【0087】
まず、広告配信サーバ400の動作について説明する。
【0088】
図8は、広告配信サーバ400の動作の一例を示すフローチャートである。
【0089】
まず、ステップS1100において、広告配信サーバ400は、制御情報生成処理を行う。制御情報生成処理は、配信される広告音声データに付与される制御情報を生成する処理である。
【0090】
図9は、制御情報生成処理の一例を示すフローチャートである。
【0091】
まず、ステップS1101において、広告配信サーバ400は、広告主からの指示操作を受け付けて、端末装置500に配信する広告音声データ(広告音源)を選択する。
【0092】
そして、ステップS1102において、広告配信サーバ400は、広告主からの指示操作を受け付けて、広告音声データ(広告音源)を仮想音響空間のどこへ配置するか(つまり広告音源の初期位置)を決定する。広告音源の初期位置は、ユーザへの広告効果を考慮して、広告主が任意に指定することができる。広告音源の初期位置は、例えば、予め定められた複数の位置の中から選択される。
【0093】
そして、ステップS1103において、広告配信サーバ400は、広告主からの指示操作を受け付けて、広告音源に動作を付加するか否かを判断する。すなわち、広告配信サーバ400は、広告音源に、時間を変数とした軌道を与えるか否かを判断する。広告配信サーバ400は、広告音源に動作を付加する場合(S1103:YES)、ステップS1104へ進む。また、広告配信サーバ400は、広告音源に動作を付加しない場合(S1103:NO)、ステップS1105へ進む。
【0094】
ステップS1104において、広告配信サーバ400は、広告主からの指示操作を受け付けて、軌道を選択し、ステップS1105へ進む。軌道は、例えば、予め定められた複数の軌道の中から選択される。
【0095】
ステップS1105において、広告配信サーバ400は、選択された広告音源の初期位置および軌道(位置が変化しない場合を含む)を示す制御情報を生成して、図8の処理へ戻る。
【0096】
図8のステップS1200において、広告配信サーバ400は、選択された広告音声データと、生成された制御情報とを、互いに対応付けた状態で、端末装置500に配信する。
【0097】
図10は、制御情報の内容の一例を示す図である。ここでは、移動することが決定された広告音源についての制御情報の例を示す。
【0098】
図10に示すように、制御情報630は、広告音声ID631に対応付けて、再生時刻632および位置情報633の組を記述する。広告音声ID631は、広告音声データの識別情報である。再生時刻632は、広告音声データの再生開始時刻からの経過時間[秒]である。位置情報633は、仮想音響空間座標系における広告音源位置の座標である。
【0099】
再生時刻632は、例えば、1秒刻みの値を記述する。この場合、制御情報630は、1秒ごとの広告音源位置を記述することになる。なお、移動しないことが決定された広告音源の場合、制御情報630は、複数の再生時刻632と位置情報633との組に代えて、移動しない旨を示す情報と初期位置とを記述してもよい。
【0100】
なお、制御情報630は、例えば、XML(extensible markup language)形式のファイルとすることができる。
【0101】
図8のステップS1300において、広告配信サーバ400は、端末装置500から広告配信サーバ400宛ての課金ポイントの送信を待機する(S1300:NO)。広告配信サーバ400は、かかる課金ポイントが送信されたと判断すると(S1300:YES)、ステップS1400へ進む。
【0102】
ステップS1400において、広告配信サーバ400は、端末装置500から送信された広告配信サーバ400宛ての課金ポイントを、受信する。
【0103】
そして、ステップS1500において、広告配信サーバ400は、広告主の操作などにより、処理の終了を指示されたか否かを判断する。広告配信サーバ400は、処理の終了を指示されていない場合(S1500:NO)、ステップS1100へ戻る。また、広告配信サーバ400は、処理の終了を指示された場合(S1500:YES)、一連の処理を終了する。
【0104】
このような動作により、広告配信サーバ400は、広告音声データを、広告主が望む位置および動作を示す制御情報を付与した状態で、端末装置500へ送信することができる。
【0105】
以上で、広告配信サーバ400の動作についての説明を終える。
【0106】
次に、端末装置500の動作について説明する。
【0107】
図11は、端末装置500の動作の一例を示すフローチャートである。
【0108】
まず、ステップS2100において、通信部520は、広告配信サーバ400が送信した広告音声データおよび制御情報を受信する。
【0109】
そして、ステップS2200において、端末装置500は、広告音声再生処理を行う。広告音声再生処理は、広告音源位置を決定し広告音声を再生しつつ、課金ポイントシートを生成する処理である。
【0110】
なお、端末装置500は、ステップS2200の処理および後述のステップS2300の処理を、音声上述の検出タイミングごとに繰り返し実行するものとする。また、端末装置500は、複数の広告音声データを受信している場合、ステップS2200の処理を、広告音声データごとに行うものとする。
【0111】
図12は、広告音声再生処理の一例を示すフローチャートである。
【0112】
まず、ステップS2201において、音響制御部541は、制御情報に基づいて、今回の検出タイミングにおける広告音源位置を決定する。例えば、図10に示す制御情報630の場合、音響制御部541は、最初に、「X0,X0,Z」という座標を、広告音源位置に決定する。
【0113】
そして、ステップS2202において、音響制御部541は、他音源(メッセージ音源および他の広告音声の音源)が存在するか否かを判断する。音響制御部541は、他音源が存在する場合(S2202:YES)、ステップS2203へ進む。また、音響制御部541は、他音源が存在しない場合(S2202:NO)、ステップS2204へ進む。
【0114】
ステップS2203において、音響制御部541は、他音源が存在するか否かを判断し、存在する場合、その位置を取得する。
【0115】
そして、ステップS2205において、音響制御部541は、広告音源位置と他音源の位置とから、広告音源と他音源との重畳が有るか否かを判断する。音響制御部541は、例えば、広告音源位置を中心とした所定の半径の範囲内に他音源の位置がある場合、その他音源との重畳が有ると判断する。
【0116】
そして、ステップS2204において、再生部550は、決定された広告音源位置、取得された他音源の位置、および判断された他音源の有無で、課金ポイントシートに記録し、図11の処理へ戻る。
【0117】
図11のステップS2300において、端末装置500は、頭部向き取得処理を行う。頭部向き取得処理は、頭部向きを取得し、ユーザの可聴領域内に広告音源位置があるかを判断する処理である。
【0118】
図13は、頭部向き取得処理の一例を示すフローチャートである。
【0119】
まず、ステップS2301において、操作部510は、センサ値を取得する。
【0120】
そして、ステップS2302において、操作部510は、取得したセンサ値から、頭部向きを判定する。
【0121】
そして、ステップS2303において、仮想領域判定部543は、判定された頭部向きから、可聴領域を判定する。
【0122】
そして、ステップS2304において、仮想領域判定部543は、制御情報に基づき、広告音源が可聴領域内に位置するか否かを判定する。
【0123】
そして、ステップS2305において、課金ポイントシート制御部544は、仮想領域判定部543の判断結果(可聴領域情報)を、課金ポイントシートに記録して、図11の処理へ戻る。
【0124】
図11のステップS2400において、再生部550は、広告音声データを取得し、決定された広告音源位置(広告位置情報)および取得された頭部向きに基づいて、立体音響データを生成し、出力する。なお、この立体音響データには、音声メッセージも含まれ得る。
【0125】
そしてステップS2500において、課金ポイント算出部545は、広告音声データの再生が終了したか否かを判断する。例えば、課金ポイント算出部545は、広告音声データの再生開始時刻から、広告音声データの総再生時間が経過したか否かにより、再生終了を判断する。課金ポイント算出部545は、広告音声データの再生がまだ終了していない場合(S2500:NO)、ステップS2200へ戻る。また、課金ポイント算出部545は、広告音声データの再生が終了した場合(S2500:YES)、ステップS2600へ進む。
【0126】
なお、以上説明したステップS2200の処理およびステップ2300の処理は、時間的に並行して行われてもよい。また、ステップS2200の処理において頭部向きが取得されるのであれば、ステップS2300の処理は、ステップS2400の後に行ってもよい。
【0127】
ここまでの処理により、広告音声データについての課金ポイントシートは、完成することになる。
【0128】
図14は、課金ポイントシートの内容の一例を示す図である。
【0129】
図14に示すように、課金ポイントシート640は、複数の再生時刻641に対応付けて、位置情報642、他音源情報644、および他音源位置645を記述する。再生時刻641および位置情報は、制御情報630の再生時刻632および位置情報633(図10参照)に対応するものである。他音源情報644は、仮想領域判定部543の判定結果である。他音源情報644は、音響制御部541による他音源が存在するか否の判断の結果である。他音源位置645は、音響制御部541が取得した他音源の位置である。
【0130】
例えば、位置情報642は、「0」という再生時刻641では「X0,Y0,Z」であり、「1」という再生時刻641では「X1,Y1,Z」である。また、これら両方の時刻において、可聴領域情報643は、「可聴領域内」となっている。これは、広告音源が、可聴空間内において移動したことを示す。また、位置情報642は、仮想音響空間座標系の座標であるため、ユーザ611からの広告音源の方向および距離を示す情報である。他音源位置645は、位置情報642と同様に、仮想音響空間座標系の座標において、ユーザ611からの広告音源の方向および距離を示す情報である。更に、位置情報642と他音源位置645との組み合わせは、広告音源と他音源との距離を示す情報である。
【0131】
図11のステップS2600において、課金ポイント算出部545は、課金ポイント算出処理を行う。課金ポイント算出処理は、課金ポイントシートに基づいて、課金ポイントを算出し、広告配信サーバ400へ送信する処理である。
【0132】
図15は、課金ポイント算出処理の一例を示すフローチャートである。
【0133】
まず、ステップS2601において、課金ポイント算出部545は、課金ポイントシート制御部544から、課金ポイントシート640(図14参照)を取得する。この際、課金ポイント算出部545は、課金ポイントの算出に、別途パラメータが必要な場合、そのパラメータを取得する。
【0134】
そして、ステップS2602において、課金ポイント算出部545は、課金ポイントシート640の再生時刻641を、1つ選択する。課金ポイント算出部545は、ステップS2603〜S2607の処理を、再生時刻641を選択するごとに、その選択した再生時刻641について行う。
【0135】
ステップS2603において、課金ポイント算出部545は、広告音源の位置情報から、広告音源の配置領域を判定する。そして、課金ポイント算出部545は、判定した配置領域から、課金ポイント算出テーブル620(図7参照)に基づき、課金ポイントの加算値を決定する。
【0136】
ステップS2604において、課金ポイント算出部545は、広告音源の位置情報642から、広告音源とユーザとの距離を判定する。そして、判定した距離から、課金ポイント算出部545は、課金ポイント算出テーブル620に基づき、課金ポイントの加算値を決定する。
【0137】
ステップS2605において、課金ポイント算出部545は、広告音源の位置情報642および他音源位置645から、広告音源と他音源とのの距離を判定する。そして、課金ポイント算出部545は、判定した距離から、課金ポイント算出テーブル620に基づき、課金ポイントの加算値を決定する。
【0138】
ステップS2606において、課金ポイント算出部545は、他音源情報644から、広告音源と他音源との重畳の有無を判定する。そして、課金ポイント算出部545は、判定結果から、課金ポイント算出テーブル620に基づき、課金ポイントの加算値を決定する。
【0139】
ステップS2607において、課金ポイント算出部545は、選択している再生時刻641の位置情報642と、1つ前の再生時刻641の位置情報642とから、広告音源の移動の有無を判定する。そして、課金ポイント算出部545は、判定結果から、課金ポイント算出テーブル620に基づき、課金ポイントの加算値を決定する。
【0140】
そして、ステップS2608において、課金ポイント算出部545は、課金ポイントシート640の全ての再生時刻641について処理を完了したか否かを判断する。課金ポイント算出部545は、処理を完了していない場合(S2608:NO)、ステップS2602へ戻る。但し、課金ポイント算出部545は、既に処理を行った再生時刻641については、ステップS2602において選択しないものとする。また、課金ポイント算出部545は、処理を完了した場合(S2608:YES)、ステップS2609へ進む
【0141】
ステップS2609において、課金ポイント算出部545は、課金ポイントの累積値(決定された課金ポイント加算値の合計値)を、広告音声データの課金ポイントに決定し、図11の処理へ戻る。
【0142】
図11のステップS2700において、通信部520は、決定された課金ポイントを、広告配信サーバ400へ送信する。
【0143】
そして、ステップS2800において、通信部520は、ユーザの操作などにより、処理の終了を指示されたか否かを判断する。通信部520は、処理の終了を指示されていない場合(S2800:NO)、ステップS2100へ戻る。また、通信部520は、処理の終了を指示された場合(S2800:YES)、一連の処理を終了する。
【0144】
このような動作により、端末装置500は、仮想音響空間に立体的に各音声を配置した立体音響を出力しつつ、課金ポイントシートを作成することができる。そして、端末装置500は、課金ポイントシートに記録された、複数の再生時刻における位置情報、可聴領域情報、他音源情報、および他音源位置に基づいて、広告に対する課金ポイントの値を決定することができる。
【0145】
以上で、端末装置500の動作についての説明を終える。
【0146】
以上説明したように、本実施の形態に係る端末装置500は、複数の時刻において音源相対位置情報を取得し、取得した複数の相対位置情報に基づいて、課金ポイントの値を決定することができる。具体的には、端末装置500は、広告音源が、ユーザが聞き取り易いまたは注目している可能性が高い位置に存在した時間の長さ、あるいは、ユーザが注目するような動きをしているか否かに基づいて、課金ポイントを決定することができる。これにより、端末装置500は、広告効果によりマッチした課金ポイントを決定することができる。
【0147】
なお、端末装置500は、ユーザの頭部向きの変化以外の、ユーザの各種行動に基づいて、広告音源が、ユーザが聞き取り易いまたは注目している可能性が高い位置に存在した時間の長さを、取得してもよい。この場合でも、端末装置500は、ユーザの行動を考慮した広告への課金額を算出することができるので、広告効果によりマッチした課金ポイントを決定することができる。
【0148】
例えば、端末装置500は、可聴領域に広告音源が位置していても、その状態でユーザが首を縦に振る動作が行われて初めて、課金ポイントを増加させるようにしてもよい。また、例えば、端末装置500は、可聴領域に広告音源が位置していても、その状態でユーザが首を横に振る動作が行われた場合、課金ポイントを減少させるようにしてもよい。
【0149】
このように、ユーザの動作(行動)に基づいて課金ポイントを決定する場合、課金ポイント算出テーブルは、予め登録されたユーザの動作(行動)パターンと課金ポイント加算値とを対応付けて記述しておく必要がある。そして、操作部510は、この予め登録されたユーザの動作(行動)パターンの動作(行動)を検出し、検出結果を、課金ポイントシートに記録させる必要がある。
【0150】
また、端末装置500は、広告音声データの再生に関するユーザのトリックプレイに基づいて、課金ポイントを決定するようにしてもよい。例えば、端末装置500は、広告音声データの再生中に、その再生の停止を操作された場合、停止までの時間についてのみ課金ポイント加算値を累計する。
【0151】
この場合も、操作部510は、このトリックプレイを検出し、検出結果を、課金ポイントシートに記録させるか、課金ポイント算出部545に通知する必要がある。
【0152】
また、課金ポイント算出部545は、状況に応じて、課金ポイント算出テーブルの課金種別に応じた重み付けをして、課金ポイント加算値の累積を行ってもよい。課金ポイント算出部545は、例えば、ユーザの行動履歴に基づいてかかる重み付けを行うことにより、右に顔を向け易いなどのユーザの行動傾向を加味して、課金ポイントを決定することができる。
【0153】
また、課金ポイント算出部545は、広告配信サーバ400に備えられていてもよい。この場合、端末装置500は、課金ポイントシートを、広告配信サーバ400へ送信すればよい。
【0154】
また、端末装置500は、広告音源の配置を、実空間における広告主に関連する物や場所(例えば店舗)の位置と連動するように、決定してもよい。この場合、広告配信サーバ400は、制御情報として、このような連動を行うか否かの指定と、連動を行う場合、連動対象となる物の位置情報とを、端末装置500に送信することが望ましい。これにより、端末装置500は、ユーザに対し、広告主に関連する物や場所の方向から広告音声を聞かせることができる。なお、この場合、端末装置500は、連動を行う時間が長いほど、課金ポイントをより高い値に決定することが望ましい。
【0155】
また、以上説明した各実施の形態においては、立体音響を前提としたが、これに限定されない。この場合、広告音源は、ユーザの頭部内に定位され、広告音声は、両耳からステレオもしくはモノラルとして聞こえることになる。この場合でも、本発明では、例えば、上述の首振り動作など、ユーザの動作(行動)に基づいて課金ポイントを決定することが可能になるので、音声広告に対し、その広告効果によりマッチした課金ポイントを決定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明は、音声広告に対し、その広告効果によりマッチした課金ポイントを決定することができる、音響制御装置および音響制御方法として有用である。すなわち、本発明は、例えば、携帯電話や音楽プレーヤなど、音声を再生する機能を持つ各種の機器に対し有用である。また、本発明は、前記モバイル端末等の製造、販売、提供、利用する産業において、経営的、継続的、反復的に利用することができる。
【符号の説明】
【0157】
100 音響制御システム
200 通信ネットワーク
300 音声メッセージ管理サーバ
400 広告配信サーバ
500 音響制御装置(端末装置)
510 操作部
520 通信部
530 記憶部
540 制御部
541 音響制御部
542 位置取得部
543 仮想領域判定部
544 課金ポイントシート制御部
545 課金ポイント算出部
550 再生部
560 音声入出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想音響空間に立体的に配置される音声に関する処理を行う音響制御装置であって、
内容を広告とする音声の音源である広告音源を、前記仮想音響空間に配置する音響制御部と、
ユーザの前記仮想音響空間における位置と、前記広告音源の前記仮想音響空間における位置との相対関係を含む、音源相対位置情報を取得する課金ポイントシート制御部と、
取得された前記音源相対位置情報に基づいて、前記広告に対する課金ポイントの値を決定する課金ポイント算出部と、を有する、
音響制御装置。
【請求項2】
前記課金ポイント算出部は、
複数の時刻に取得された複数の前記音源相対位置情報に基づいて、前記課金ポイントの値を決定する、
請求項1記載の音響制御装置。
【請求項3】
前記課金ポイントシート制御部は、
前記音源相対位置情報の少なくとも一部として、前記広告音源の位置が前記ユーザの可聴領域にあるか否かを取得し、
前記課金ポイント算出部は、
前記広告音源の位置が前記ユーザの可聴領域にある時間が長いほど、前記課金ポイントをより高い値に決定する、
請求項2記載の音響制御装置。
【請求項4】
前記課金ポイントシート制御部は、
前記音源相対位置情報の少なくとも一部として、前記広告音源の位置と前記ユーザの位置との距離を取得し、
前記課金ポイント算出部は、
前記距離に反比例する所定の値の積算値が高いほど、前記課金ポイントをより高い値に決定する、
請求項2記載の音響制御装置。
【請求項5】
前記課金ポイントシート制御部は、
前記音源相対位置情報の少なくとも一部として、前記ユーザの位置および向きに対する前記広告音源の相対位置を取得し、
前記課金ポイント算出部は、
前記広告音源の位置が、予め定められた、前記ユーザが聞き取り易い領域に位置する時間が長いほど、前記課金ポイントをより高い値に決定する、
請求項2記載の音響制御装置。
【請求項6】
前記課金ポイントシート制御部は、
前記音源相対位置情報の少なくとも一部として、前記ユーザの位置および向きに対する前記広告音源の相対位置を取得し、
前記課金ポイント算出部は、
前記相対位置の移動距離が長いほど、前記課金ポイントをより高い値に決定する、
請求項2記載の音響制御装置。
【請求項7】
前記課金ポイントシート制御部は、
前記音源相対位置情報の一部として、前記広告の音声に重なる他の音声が存在するか否かを取得し、
前記課金ポイント算出部は、
前記広告の音声に重なる前記他の音声が存在しない時間が長いほど、前記課金ポイントをより高い値に決定する、
請求項2記載の音響制御装置。
【請求項8】
前記課金ポイントシート制御部は、
前記音源相対位置情報の一部として、前記広告音源の位置と他の音声の音源である他音源の位置との距離を取得し、
前記課金ポイント算出部は、
前記広告音源の位置と前記他音源の位置との距離の積算値が高いほど、前記課金ポイントをより高い値に決定する、
請求項2記載の音響制御装置。
【請求項9】
前記広告の音声の音声データと、周期的な所定のタイミングごとの前記広告音源の位置を指定する制御情報とを受信する通信部と、
前記所定のタイミングごとに、前記ユーザの向きを取得し、取得した前記ユーザの向きから前記可聴領域を判定する仮想領域判定部と、
を更に有し、
前記音響制御部は、
前記制御情報から、前記所定のタイミングごとの前記広告音源の位置を取得する、
請求項3記載の音響制御装置。
【請求項10】
前記課金ポイントシート制御部は、
前記広告音源の位置と前記可聴領域とを前記タイミングごとに対応付けた情報を記述する課金ポイントシートを生成し、
前記課金ポイント算出部は、
前記課金ポイントシートに基づいて、前記課金ポイントの値を決定する、
請求項9記載の音響制御装置。
【請求項11】
前記課金ポイント算出部は、
複数の時刻における前記音源相対位置情報の内容と前記課金ポイントの値とを対応付けて記述する課金ポイント算出テーブルを予め格納し、前記課金ポイントシートから、前記課金ポイント算出テーブルを用いて、前記課金ポイントの値を決定する、
請求項10記載の音響制御装置。
【請求項12】
仮想音響空間に立体的に配置される音声に関する処理を行う音響制御方法であって、
内容を広告とする音声の音源である広告音源を、前記仮想音響空間に配置するステップと、
ユーザの前記仮想音響空間における位置と、前記広告音源の前記仮想音響空間における位置との相対関係を含む、音源相対位置情報を取得するステップと、
取得された前記音源相対位置情報に基づいて、前記広告に対する課金ポイントの値を決定するステップと、を有する、
音響制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−11958(P2013−11958A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143000(P2011−143000)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)