頚椎矯正用枕
【課題】頚椎持ち上げ部の円筒状弾性体に頚椎を載せ頚椎(第3頸椎部)を持ち上げ、頭部支持部を形成する弾性体上面の中央側から後面側の平坦部中央に後頭部を納める下向きの裁頭略半球状の穴を有し、穴の窪みに後頭支持部を設けて後頭部を納めることで頸椎部の伸展(後屈)位を保持し頸椎の彎曲矯正を行い、安全に頸部痛・肩こり・不眠・ストレスなどの改善が自宅で簡単に使用できる頸椎矯正枕を提供することを目的とする。
【解決手段】頸椎持ち上げ部2を形成する弾性体上面の前面側に三重の円筒状弾性体21を有し、芯部は円筒状の空洞の弾性体両側に一対のゴムチューブ22を設け中央部に横向き空洞を設け、その外周部は二重に円筒状に弾性体で形成し、前記円筒状弾性体21中央部の横向き空洞に取り外し自在な頸骨持ち上げ円筒状パッド26を設け、前記弾性体上面の前面側から中央側に向けて上向きの曲面を設け、頸椎斜面部3前面側から中心線に沿って長手方向に空洞の縦溝31を設け縦溝31の上面両側に頸椎椎間関節受部32を設けた。
【解決手段】頸椎持ち上げ部2を形成する弾性体上面の前面側に三重の円筒状弾性体21を有し、芯部は円筒状の空洞の弾性体両側に一対のゴムチューブ22を設け中央部に横向き空洞を設け、その外周部は二重に円筒状に弾性体で形成し、前記円筒状弾性体21中央部の横向き空洞に取り外し自在な頸骨持ち上げ円筒状パッド26を設け、前記弾性体上面の前面側から中央側に向けて上向きの曲面を設け、頸椎斜面部3前面側から中心線に沿って長手方向に空洞の縦溝31を設け縦溝31の上面両側に頸椎椎間関節受部32を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頚椎の矯正や姿勢の矯正に用いる頚椎矯正枕に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の頚椎矯正具(特許公開2001−178755)は弾性を有する直方体で中央長手方向に貫かれた溝に形成された後頭部落込み部に後頭部を載せ、頚部受部に頚部を載せる事により頭部の重量で乳様突起置部7を支点に、顎が上がり頭部が回転し頚部が降下することで、頚椎を伸ばしていたが実用上不十分である。
【0003】
頚椎は重い頭部を後方で支えるため彎曲(生理的前彎)を形成しているが日常生活の活動性の低下及び前傾を伴う不良姿勢から、頭部の重量に耐えかねて頚椎の彎曲(生理的前彎)が減少し、頚部痛・肩こり・不眠・自律神経失調症等を招く。頚椎の前傾姿勢が習慣化すると頚椎環軸関節(第1頚椎・第2頚椎)の前下方への移動が起こり下位頚椎の前方移動を誘発し、彎曲(生理的前彎)の減少からストレートネックへ移行する。
【0004】
ストレートネックは病名でなくレントゲンを撮ると頚椎症等の疾患があり、治療は、消炎鎮痛剤、外用薬に加え、頚椎の牽引、温熱療法等の対症療法が主でこれという治療法がなかった。また、ストレートネックの矯正は、頚椎の生理的前彎を維持する観点から重要であり頚椎矯正枕の開発が求められていた。
【0005】
従来の枕は、誰にでも合う枕をコンセプトに商品化されていたのでサイズの規格がおおまかであった。
【0006】
頚椎彎曲の保持には頭部(後頭骨)及び頚椎の伸展(後屈)位が必要であり、仰向位で後頭部を下げることで頚椎を伸ばす従来の技術では不十分であった。
【0007】
また、従来の技術では生活習慣での不良な前傾姿勢から生じた頚椎配列の歪みを本来の解剖学的な状態に戻し頚椎の生理的前彎を保持することができなかった。
【0008】
また、頚椎矯正枕の構造が一体式であり、メンテナンスや使用者の方の枕高の調整ニーズに対応できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−178755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
人体は背骨がゆるやかなS字状を描くような正しい姿勢(生理的前彎)を維持し続けることは非常に困難であるが、頚椎彎曲の減少傾向を防ぐには、頚椎矯正用枕を使用し就寝時にやや顎を上げ気道を確保し頚椎の生理的前彎を保つ姿勢で、後頭部と頚部との隙間を埋め酷使し緊張した関節、筋肉を休める必要がある。
【0011】
枕の高さ選びには2つの高さがあり、後頭部の高さを決め頚椎アーチの高さを決めることが大切である。解剖学的に後頭部から第7頚椎間の長さ、後頭部のサイズ、頚椎部の凹凸は決まっているのでこれらの状態に適した枕の形状が求められている。
また、われわれ日本人は今まで高めの枕を習慣的に使用していた歴史的事実がある。つまり、高めの枕を使用するには顎を引き後頭部を枕に載せる必要があるがこのポジションは気道を圧迫しストレートネックを誘発して正常な頚椎の生理的前彎を損なう原因になる。
【0012】
頚椎の生理的前彎の矯正には就寝時に枕で頚椎彎曲を矯正するのが解剖学的にも合理的である。
【0013】
頚椎の生理的前彎を形成する合理的な方法は、第3頚椎を支点に頚椎部を持ち上げ、可動域のある上位頚椎・下位頚椎を放射状、弓状に伸ばすことが重要である。
【0014】
従来の頚椎矯正用枕は後頭部・頚部の隙間を埋め使用感は良好であるが問題点は軟らかい低反発材を使用しているので後頭部・頚部の骨格の支えが無く頚椎部が沈んだ状態で頚椎彎曲の矯正保持ができなかった。
【0015】
従来の頚椎矯正用枕は一面での使用が一般的で、利用者の使用ニーズに対応し、枕の高さ、枕の硬さの選択が可能な両面使用の頚椎矯正用枕も必要である。
【0016】
また、頚椎矯正用枕は頚椎を下から持ち上げ生理的前彎の保持を行うので、外後頭隆起、頚椎棘突起部の不快な圧迫を防ぎ使用感を高めなければならない。
【0017】
頚椎彎曲部の保持を行うには頚椎斜面部に頚椎椎間関節受部を設け、頚椎を下からアーチ状に持ち上げる際に頚椎に負担のかからないようにしなければならない。
【0018】
頚椎矯正用枕を側臥位で使用した場合、耳の圧迫が少ない枕の開発も必要である。また、枕高をベッドと頚椎が平行になる高さにする必要がある。
【0019】
さらに、枕の変化、使用される方の体格変化等の加齢に対応した枕の高さ調整が必要になり、頚椎の高さ調整が簡単にできメンテナンスが可能で自然の環境に優しい枕が求められている。
【0020】
また、ほとんどの枕は弾力体を一体式で形成し接着しているので枕の高さ調整ができず、弾性体の吸排気の可能なエアークッション性が損なわれていた。
【0021】
さらに、後頭部の大きさは形状、サイズに個人差があり多様なニーズに適応させるために、後頭側面サポート部の両側を開閉自在に調整する事も必要である。
【0022】
上記弾性体上面部は前記弾性体の芯部形成部よりも柔らかい弾力体で覆われていなければならない。
【0023】
頚椎矯正用枕の頭頂部の薄い特殊な形状を保護するには革で被う必要がある。
【0024】
本発明は、これらの課題を解決することを目的とするもので、円筒状弾性体で上位頚椎を持ち上げることで頚椎部の伸展(後屈)位を保持し、頭部支持部を形成する弾性体上面の中央側から後面側の平坦部中央に後頭部を納める下向きの裁頭略半球状の穴を有し、穴の窪みに後頭支持部を設けて後頭部を納め頚椎の彎曲矯正を行い、安全に頚部痛・肩こり・不眠等の改善が自宅で簡単に使用できる頚椎矯正枕を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
以上の課題を達成するために、本発明は、頚椎持ち上げ部を形成する弾性体上面の前面側に三重の円筒状弾性体を有し、芯部は円筒状の空洞の弾性体両側に一対のゴムチューブを設け中央部に横向き空洞を設け、その外周部は二重に円筒状に弾性体で形成し、前記円筒状弾性体中央部の横向き空洞に取り外し自在な頚骨持ち上げ円筒状パッドを設け、前記弾性体上面の前面側から中央側に向けて上向きの曲面を設け、頚椎斜面部前面側から中心線に沿って長手方向に空洞の縦溝を設け縦溝の上面両側に頚椎椎間関節受部を設けた手段よりなるものである。
【0026】
ここで、好ましい態様として、頭部支持部を形成する前記弾性体上面の中央側から後面側の平坦部中央に後頭部を納める下向きの裁頭略半球状の穴を有し、穴の窪みに後頭支持部を設け、後頭支持部の両側に一対の移動自在な後頭側面サポート部を形成した。また、弾性体上面部は弾性体の芯部よりも柔らかい弾力体で覆われ、弾性体の枕の表面は革で被覆している。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、生活習慣での不良な前傾姿勢から生じた頚椎配列の歪み及び頚椎彎曲の低下を、本来の解剖学的な状態に戻し頚椎の生理的前彎を保持することができる。
また、生理的前彎および頚部の彎曲を形成する芯部材料に粘弾性衝撃吸収材を使用した。
【0028】
本発明は以上説明したように、頚椎伸展(後屈)および屈曲(前屈)の動きの50%は後頭骨と環椎(第一頚椎)の間で行われ、下位頚椎では第4頚椎・第5頚椎も頚椎の伸展(後屈)に顕著に関与するので、可動性の少ない第3頚椎を支点に円筒状弾性体で頚椎部を持ち上げ、可動域がある後頭−環椎(第1頚椎)及び下位頚椎(第4頚椎−5頚椎間)を放射状、弓状に伸ばすことが頚椎彎曲矯正には合理的である。
本発明により円筒状弾性体に頚椎を載せ第3頚椎を支点に頚椎を持ち上げ、後頭部を伸縮自在な粘弾衝撃吸収材(ポリウレタン)で形成した頚椎斜面部及び後頭部支持部に載せると頭部の重みで後頭部を下げ顎が上がり頚椎を放射状、アーチ状に牽引し応力が作用し、自然に反りかえりが生じ生理的前彎が形成され頚部の彎曲を本来の状態に戻すことができる。
仰臥位での類椎矯正枕の矯正力を強めた場合でのストレートネックの方の使用前と使用後状態をレントゲンで検証した。その結果、第1頚椎から第6頚椎間での個々の椎骨の傾斜角度を測るとその合計は38度増加した。また、第1頚椎から第7頚椎間の椎骨前縁での頚椎アーチの長さが4mm増加、さらに、頚椎生理的前彎の頚椎傾斜角が17度から20度へ3度増加した。
また、頭部を側面から見ると頭部の重心は後頭骨の後頭顆の前上方のトルコ鞍に位置し、支点は後頭顆の位置にある。つまり、頭部の重心が前方に位置し前屈時には第1頚椎(環椎)は第2頚椎(軸椎)に対して前下方に移動する双方の応力が頚椎彎曲の低下の原因に考えられるが、前述のように頚椎を持ち上げ後頭部を下げることで頚椎上の頭部のバランスも改善される効果も合わせもっている。
また、運動学的な動きを見ると、第1頚椎(環椎)に対する後頭骨の伸展時には後頭顆は環椎塊上を前方にすべり後頭骨は環椎後弓に近づく。また、環軸関節も伸展され環椎後弓と軸椎後弓は接近する。
【0029】
円筒状弾性体は第3頚椎の頚椎持ち上げ部の支点になり、頚椎と後頭部の伸展(後屈)位の保持の要となる。
【0030】
また、弾性体上面の前面側に円筒状弾性体を設け、前記弾性体上面の前面側から後面側に向けて上向きの曲面を形成し、前記弾性体の円筒状の中央部には横向き空洞 (穴)を配列し、前面側から中心線に沿って長手方向に空洞の縦溝(穴)を設け、横向き空洞は下位頚椎の棘突起部の圧迫を和らげ、空洞の縦溝中央に外後頭隆起・頚椎棘突起を納め、縦溝、横向き空洞の両端に頚椎椎間関節受部を設けたので、頚部を違和感なく保持し頚部の彎曲(生理的前彎)の矯正を行う。
【0031】
円筒状弾性体の芯部は空洞の両側に一対のゴムチューブを設け中央部に横向き空洞を設けたので、利用者の多様な枕高のニーズの対応調整が簡単にできる。
また、ゴムチューブによる横向き空洞の長さが狭まる程頚椎彎曲の矯正力が強まる。
【0032】
円筒状の芯部に設けた横向き空洞の巾調整は両側の一対のゴムチューブ調整により可能である。これにより頚椎の矯正強度および使用感のハード・ソフトの調整ができる。両側のゴムチューブを中央によせて横向き空洞を無くすことで頚椎の矯正力を強め、両側のゴムチューブを両側に引き横向き空洞を設けることで頚椎の矯正力を弱めることができる。
【0033】
ゴムチューブは頚椎持ち上げ部の要で、使用時に頚椎アーチ部のフィット感を向上させ材料のヘタリを防ぎ芯部の弾性の確保に効果がある。
【0034】
頚椎斜面部は後頭骨の外後頭隆起の凸部および頚椎棘突起を納める土台になる。
【0035】
前記弾性体上面の前面側から頚椎斜面部中央側に向けて上向きの曲面を形成し、前面側から中心線に沿って長手方向に空洞の縦溝に、外後頭隆起部、頚椎棘突起部を納めたのでフィット感に優れる。
【0036】
前記弾性体上面の前面側から中央側に向けて上向きの曲面を設け、頚椎斜面部前面側から中心線に沿って長手方向に空洞の縦溝を設け縦溝の上面両側に頚椎椎間関節受部を設けたので、無理なく安定した状態で頚椎保持を行うことができる。
【0037】
頚椎矯正枕を側仰位で使用する場合、縦溝および両側のゴムチューブを両側に引き横向き空洞を設けることで耳の圧迫が緩和されソフトな使用感が得られる。
【0038】
円筒状弾性体中央の横向き空洞にゴムチューブを低反発材で形成し、取り外し自在な頚骨持ち上げ円筒状パッドを設けたので、パーツサイズの選択により利用者の方のニーズに対応した頚椎アーチの高さ調整が簡単にできる。
【0039】
また、横向き空洞にゴムチューブの外周側を低反発材で巻いて形成しているので椎骨との接触がソフトで頚椎部とのフィット感にも優れる。
【0040】
また、横向き空洞にゴムチューブの外周側を低反発材で巻いて形成した取り外し自在な頚骨持ち上げ円筒状パッドを挿入しているが、両側に隣接するゴムチューブより径を小さく形成しているので枕を側臥位で使用した場合、耳の圧迫が少なく気持がいい。
【0041】
頭部支持部を形成する前記弾性体上面の中央側から後面側の平垣部中央に後頭部を納める下向きの裁頭略半球状の穴を有し、穴の窪みにヘタリの少ない筋肉の特性を持つ粘弾性衝撃吸収材を後頭支持部に設けた。従って優れた体圧分散性で後頭部を支えるので後頭部がフィットして頭部が逃げず頚椎の座りも良い。
【0042】
頭部支持部を形成する前記弾性体上面の中央側から後面側の平垣部中央に後頭部を納める下向きの裁頭略半球状の穴を有し、穴の窪みに後頭支持部を設け、後頭支持部の両側に左右に開く一対の後頭側面サポート部を形成したので利用者の後頭部サイズに合わせて調整する事ができるので側頭部も安定する。
【0043】
この頚椎矯正枕は頚部及び後頭部の隙間を違和感なく保持するため上面側は適度な柔らかさを持ち、芯部は頚椎彎曲を保持するためにやや固めの体圧分散が可能な筋肉の特性を持つ粘弾性衝撃吸収材で形成されている。これは、外圧を受けると素早く変形しゆっくりと元の形に復元することで衝撃を吸収するとともに高い粘弾効果によって圧力を均一に分散し頭部及び頚部に優しくフィットする。また、弾性体の本体は、吸湿性が少なく磨耗に強いレザー等の表皮で覆われている。
【0044】
前述の様に頚椎矯正枕を頚椎持ち上げ部、頚椎斜面部、頭部支持部で形成したので、頚椎矯正枕を裏返すことでソフト・ハードの二面を選択使用できる。表側は枕高は低めでウレタンは柔らかで冬向き、裏面は枕高はやや高めでウレタンはやや硬めで夏向きになる。
【0045】
弾性体本体の構造は、組み立て、メンテナンス及びパーツの交換を考慮し枕高の調整を簡単にするために、円筒状弾性体の頚椎持ち上げ部・円筒状パッド部、頚椎斜面部、頭部支持部で構成した。
【0046】
また、使用時の吸排気の可能なエアークッション性及びフィット感を向上させるため、円筒状の弾性体の頚椎持ち上げ部、頚椎斜面部、頭部支持部パーツ部の接着は分解可能な点接着としたので使用時に枕のエアーが静かに排気してソフトな使用感になる。また、未使用時には、エアーが吸気され元の状態に戻る。
【0047】
また、枕高はベッドから後頭部の高さを基準に頚椎孤(アーチ)の高さを求めサイズを決める。
仰臥位での頚椎アーチの高さは女性で約3cm・男性で約4cmである。
さらに、後頭部の高さを考慮して円筒状の弾性体の径のサイズをSS:3.5cm・S:4.0cm・M:4.5cm・L:5cm・LL:5.5cmとした。
【0048】
従って、円筒状の弾性体の径のサイズをSS:3.5cm・S:4.0cm・M:4.5cm・L:5cm・LL:5.5cm・LLL:6.0cmにすることで最適な枕高を誰にでも合わせることができる。
【0049】
医学的に関節リウマチ疾患の方で環軸関節の横靭帯の弛緩による環軸椎不安定症(頚部屈曲位で環椎前弓は歯突起に対して前下方へ移動)があるが、本頚椎矯正枕を使用すると環椎前弓は歯突起に対して後方に矯正できるのでリウマチの方の環軸椎不安定症の予防に効果がある。
【0050】
さらに、脳血管障害から生じる片マヒの片で、頚椎が患側の方向へ傾斜するが、裁頭略半球状の孔部中央下部の横断面にある後頭支持部に後頭部を納めることで、矢状面での頚椎上の頭部のバランスが改善するので斜頚の矯正、予防効果も効果がある。
【0051】
また、骨格の構造上頭部は前部に頚椎は後部に位置するので、前傾姿勢を習慣づけて生活すると回転モーメントにより頭部(後頭骨の後頭顆は後方)は前方に、頚椎(環軸関節)は前下方にうなずきストレートネックを誘発して頚部痛、肩こり、イライラの一因になっていたが本発明の頚椎矯正枕を使用することで、生理的前彎が回復し解剖学的な位置に復してQOL(生活の質)が向上する。
【0052】
本発明は、頚椎の矯正や姿勢の矯正に用いる頚椎矯正枕に関するが、本頚椎矯正枕の別な使用方法として、頚椎矯正枕を裏返すことでソフト、ハードの二面を選択使用ができる。前述のように、弾性体表面は芯部より軟らかい弾力体で覆われ下向きの裁頭略半球状の穴の窪みに後頭部を納め、また、裏面は芯部材に近く後頭支持部の穴も小さくなるので、表側は枕高は低めでウレタンは軟らかめで冬向き、裏側は枕高はやや高めでウレタンはやや硬めで夏向き仕様になる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明を実施するための形態を示す頚椎矯正枕の内部斜視図である。
【図2】本発明を実施するための形態を示す頚骨持ち上げ円筒状パッドが挿入されてないときの頚椎矯正枕の内部斜視図である。
【図3】本発明を実施するための形態を示す頚椎矯正枕の外部斜視図である。
【図4】本発明を実施するための形態を示す頚骨持ち上げ円筒状パッドの斜視図である。
【図5】本発明を実施するための形態を示す頚椎矯正枕の側面図である。
【図6】本発明を実施するための形態を示す頚椎矯正枕の平面図である。
【図7】本発明を実施するための形態を示す頚椎矯正枕の底面図である。
【図8】図8(A)は図6のA−A断面図、図8(B)は図6のB−B断面図、図8(C)は図6のC−C断面図である。である。
【図9】図6のD−D断面図である。
【図10】図6のE−E断面図である。
【図11】本発明を実施するための形態を示す頚椎矯正枕の使用時の側面図である。
【図12】本発明を実施するための形態を示す頚椎矯正枕の一部切り欠き平面図である。
【図13】本発明を実施するための形態を示す頚椎矯正枕の要部の平断面図である。
【図14】本発明を実施するための形態を示す頚椎矯正枕の後頭側面サポート部の平面図である。
【図15】本発明を実施するための形態を示す頚椎矯正枕の内部平面図である。
【図16】図15より下側の頚椎矯正枕の内部平面図である。
【図17】図16より下側の頚椎矯正枕の内部平面図である。
【図18】図17より下側の頚椎矯正枕の内部平面図である。
【図19】図18より下側の頚椎矯正枕の内部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、図面に記載の発明を実施するための形態に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
図において、頚椎矯正枕1は、頚椎を放射状、弓状に牽引することで、理想的な頚椎の彎曲の回復により頚椎の彎曲矯正を行い、安全に頚部痛、肩こり、ストレスなどの改善を図ることができる特徴を有する。頚椎矯正枕1は、頚部及び後頭部を違和感なく保持するために、平面からみて、枕の長手方向となる首側が支えられる前部側から後頭部が支えられる後部側に向けて、頚椎持ち上げ部2、頚椎斜面部3及び頭部支持部4から構成される。
【0055】
頚椎持ち上げ部2は、例えば三重の円筒状弾性体21を有している。円筒状弾性体21はその芯方向が頚椎矯正枕1の幅方向に向けて配置されている。つまり円筒状弾性体21は頚椎矯正枕1に対して横向きに配置されている。円筒状弾性体21は、その円筒部中央が第3頚椎の持ち上げ部の支点になり、頚椎が上位頚椎から下位頚椎へ放射状、弓状に伸長される。円筒状弾性体21は頚椎を持ち上げ頚椎・後頭部の伸展(後屈)位を保持するので頚椎彎曲矯正が可能になる。
【0056】
円筒状弾性体21は、その芯中心部分には左右両側に分割された一対の円筒状のゴムチューブ22が設けられ、ゴムチューブ22の外周側はこれよりも柔らかい円筒状に巻かれた高弾性スポンジ23で形成され、さらに高弾性スポンジ23の外周側はこれよりも反発が低い円筒状に巻かれた低反発フォーム24で形成され、三重構造から構成される。
【0057】
ゴムチューブ22は内部が中空の空洞になっている。ゴムチューブ22はその中央から左右に2分割されて、左右一対のものから構成される。左右両側の一対のゴムチューブ22を左右に引くことが可能な構造になっている。つまり、左右のゴムチューブ22は左右両側方向に移動調節自在になっている。これにより頚椎の矯正強度及び使用感のハード、ソフトの調整ができる。しかも、ゴムチューブ22は頚椎持ち上げ部2の要で、また、その芯部材にもなり、使用時の頚椎アーチ部のフィット感を向上させ円筒状弾性体21のヘタリを防ぎ、適度の弾力を有している。
【0058】
この左右両側の一対のゴムチューブ22が分かれている中央には、円筒形状の横向き空洞25が形成されている。この横向き空洞25は、前述のように両側のゴムチューブ22を左右に引くことで、その空洞の大きさ、つまり空洞の長さを長くしたり短くしたりすることができる。この両側の一対のゴムチューブ22が枕使用時に横向き空洞25を保持することで頚椎アーチ部の頚椎棘突起・頚椎椎間関節・頚椎横突起の圧迫感の緩和により使用感及び快適さが向上する。
【0059】
この空洞の大きさが調節自在な横向き空洞25には、頚骨持ち上げ円筒状パッド26が取り外し自在に挿入されている。挿入する頚骨持ち上げ円筒状パッド26の直径の大きさを変えることにより、利用者の方のニーズに対応した頚椎アーチの高さの調整が簡単に行える。
【0060】
頚骨持ち上げ円筒状パッド26は、その芯中心部分には円筒状のゴムチューブ26aが設けられ、ゴムチューブ26aの外周側はこれよりも反発が低い円筒状に巻かれた低反発弾性材26bで形成されているので気持ちが良い。ゴムチューブ26aの直径は頚骨持ち上げ円筒状パッド26の左右両側に設けられたゴムチューブ22の直径より一回り小さく、頚椎矯正枕1を側臥位で使用した場合に耳への圧迫を軽減できる。
【0061】
円筒状弾性体21の外周側は、この頚椎矯正枕1の素材としては最も柔らかい低反発弾性材27が7〜8割の程度で巻かれて覆われている。即ち、円筒状弾性体21の外周側の底面側、前面側及び上面側がこの低反発弾性材27で覆われている。円筒状弾性体21の大部分を覆った低反発弾性材27は頚椎斜面部3の上面側も覆ってその先端は頭部支持部4に接している。
【0062】
頚椎斜面部3は、後頭骨の外後頭隆起の凸部及び頚椎棘突起を納める土台になるもので、頭部支持部4に向けてその上面側は斜め下向きの弧状に傾斜している。この頚椎斜面部3の中央には頚椎持ち上げ部2から頭部支持部4に向けて空洞の縦溝31が形成されている。この空洞の縦溝31は外後頭隆起部及び頚椎棘突起部を納めるのでフィット感に優れている。
【0063】
この空洞の縦溝31を挟んでその上面両側には頚椎椎間関節受部32が設けられている。外後頭隆起部及び頚椎棘突起部を納める空洞の縦溝31とその上面両側の頚椎椎間関節受部32により、頚椎の座りは良好となる。
【0064】
頚椎斜面部3は、その上面側が頚椎持ち上げ部2側から延びた低反発弾性材27で覆われ、その下面側には柔らかめの低反発フォーム33が設けられている。低反発フォーム33は低反発弾性材27ほどは柔らかくない。
【0065】
低反発フォーム33の下面側にはやや硬い筋肉の特性を持つ粘弾性衝撃吸収材34が設けられている。粘弾性衝撃吸収材34はその一端は円筒状弾性体21の外周側面に接し、他端側は頭部支持部4の下側に潜り込んで頭部支持部4の下部側から頭部支持部4の全域まで覆っている。この粘弾性衝撃吸収材34には例えばポリウレタンが使用されている。
【0066】
粘弾性衝撃吸収材34の下面側には、その中央に上記の縦溝31が形成されている。縦溝31を挟んでその両側には粘弾性衝撃吸収材35が設けられている。この粘弾性衝撃吸収材35はその上面側の粘弾性衝撃吸収材34より最も硬く、その材料には例えばポリウレタンが使用されている。粘弾性衝撃吸収材35の一端は円筒状弾性体21の外周側面に接し、他端側は頭部支持部4側に向けてその厚みが一定の直線状の割合で徐々に薄くなって接している。
【0067】
縦溝31は、その左右の両内側面が左右の粘弾性衝撃吸収材35の内側の側面によって形成されている。縦溝31は所謂蟻溝になっていて、左右の両内側面は上方に向けて溝の内側に向かって傾斜していて、縦溝31の溝上面は溝下面に比べてその幅が狭くなっている。縦溝31は左右両側面が左右の粘弾性衝撃吸収材35で塞がれ、上面が粘弾性衝撃吸収材34で塞がれ、その下面が後述の低反発フォーム36によって塞がれていて、空洞に形成されている。
【0068】
縦溝31及び左右の粘弾性衝撃吸収材35の下面側には柔らかい低反発フォーム36が設けられている。この低反発フォーム36は上記低反発フォーム33と同じ材質のものが使用されている。低反発フォーム36の一端は円筒状弾性体21の外周側面に接し、他端側は頭部支持部4側に向けてその上面が階段状に下りて薄くなって接している。
【0069】
この頚椎矯正枕1は、前述したように、芯部分が空洞の円筒状弾性体21を有し、芯部分の空洞の両側に一対のゴムチューブ22を設け、中央空洞部分の横向き空洞25はその幅方向の長さが調整自在で、前記の空洞の縦溝31及び横向き空洞25を形成したので、使用時の頚椎の突起部の圧迫を和らげ、側仰位で使用する場合、耳の圧迫が緩和されソフトなフィット感が得られる。また、頚椎部及び後頭部の隙間がなくなり形状に適合して頭部が逃げずに頚椎部の座りも良い。
【0070】
頭部支持部4は、弾性体上面の中央に形成された後頭支持部41の穴41aで後頭部を納めて支持するもので、穴41aは下向きの裁頭略半球状に形成されている。穴41aは平面からみて、頚椎矯正枕1の長さ方向の両端側が平行な直線になり、その中間側の両側が円弧になっている。即ち、裁頭略半球状の穴41aは、半球状の直径が大きい方が下側になっており、叉半球状の頂部側は途中で裁断されて直径が小さな円形の穴になっている。裁頭略半球状の穴41aは上側が下側よりも円形の直径が小さくなっている。また、裁頭略半球状の穴41aは頚椎矯正枕1の長さ方向の両端部側が長さ方向に対して直交方向に裁断されたような形状になっている。後頭支持部41の穴41aにより後頭部が逃げず頚椎部の座りも良い。後頭支持部41の穴41aの左右には前記の低反発弾性材27と同じ材質で同様に最も柔らかい低反発弾性材からなる後頭側面サポート部42がそれぞれ設けられている。左右の後頭側面サポート部42の間隔を広げたり狭めたりすることで、枕使用者の頭のサイズに調整できる。
【0071】
左右の後頭側面サポート部42の下面側には、同様に中央に上記穴41aの下部側が形成されている高弾性スポンジ43がそれぞれ設けられている。この高弾性スポンジ43は前記の円筒状弾性体21の高弾性スポンジ23と同じ硬さである。左右の高弾性スポンジ43の下面側には低反発フォーム44がそれぞれ設けられている。上記穴41aの底面には前記の低反発弾性材27と同じ材質で同様に最も柔らかい低反発弾性材45が設けられている。
【0072】
そして、これらの左右の低反発フォーム44及び低反発弾性材45の下面側には、前記の粘弾性衝撃吸収材34の後半側が設けられている。左右の低反発フォーム44の真下側となる粘弾性衝撃吸収材34の下面側には、粘弾性衝撃吸収材34の次に硬めの弾性材46が設けられている。低反発フォーム44及び粘弾性衝撃吸収材34を挟んで上記穴41aの真下側には裏面穴47が形成されている。裏面穴47は弾性材46の中央に形成されている。裏面穴47は頚椎矯正枕1を裏返しにして使用したとき、上記穴41aと同様に後頭部を納めて安定させる。
【0073】
前述した頚椎持ち上げ部2、頚椎斜面部3及び頭部支持部4の外周側には前記の円筒状弾性体21の高弾性スポンジ23と同じ硬さの高弾性スポンジ5が巻かれて形成されている。高弾性スポンジ5は頚椎矯正枕1の前面側、上面側、後面側及び底面側の全てを囲んでいる。この頚椎矯正枕1の表面は吸湿性が少なく磨耗に強い革6で被覆されている。
【0074】
次に、上記発明を実施するための形態の構成に基づく頚椎矯正枕の使用方法について以下説明する。
首の後面側を頚椎矯正枕1の頚椎持ち上げ部2の円筒状弾性体21の上側に載せ、後頭部を後頭支持部41の穴41aに納め、頚椎傾斜部3の上側に後頭部下縁を載せる。
このようにして、仰臥位で円筒状弾性体21に頚椎をのせて頚椎を持ち上げ後頭部を後頭支持部41の穴41aに納めると頭部の重みで後頭部を下げ顎が上がり頚椎が放射状、弓状に牽引されることで、頚椎の配列を整え頚椎持ち上げ部2及び頚椎斜面部3に首のアーチが形成され、フィットし寝ながらに頚椎彎曲の矯正保持ができることになる。
また、頚椎矯正枕1を下にずらして、後頭部を後頭支持部41の上へ移動することで、円筒状弾性体21で下位頚椎の彎曲矯正もできることになる。
さらに、頚椎矯正枕1の別な使用方法として、頚椎矯正枕1を裏返すことでソフト、ハードの二面を選択使用ができる。前述のように、弾性体表面は芯部より軟らかい弾力体で覆われ下向きの裁頭略半球状の裏面穴47の窪みに後頭部を納め、また、裏面は芯部材に近く後頭支持部41の裏面穴47も小さくなるので、表側は枕高は低めでウレタンは軟らかめで冬向き、裏側は枕高はやや高めでウレタンはやや硬めで夏向き仕様になる。
また、枕高はベッドから後頭部の高さを基準に頚椎アーチの高さを求め枕高のサイズを決め、さらに、仰臥位での頚椎アーチの高さは女性で約3cm、男性で約4cmなので、後頭部の高さを考慮して、円筒状弾性体21の直径のサイズをSS:3.5cm・S:4cm・M:4.5cm・L:5cm・LL:5.5cmにすることで最適な枕高を誰にでも簡単に合わせることができる。
【0075】
なお、本発明は上記発明を実施するための形態に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の改変をなし得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0076】
1 頚椎矯正枕
2 頚椎持ち上げ部
21 円筒状弾性体
22 ゴムチューブ
23 高弾性スポンジ
24 低反発フォーム
25 横向き空洞
26 頚骨持ち上げ円筒状パッド
26a ゴムチューブ
26b 低反発弾性材
27 低反発弾性材
3 頚椎斜面部
31 縦溝
32 頚椎椎間関節受部
33 低反発フォーム
34 粘弾性衝撃吸収材
35 粘弾性衝撃吸収材
36 低反発フォーム
4 頭部支持部
41 後頭支持部
41a 穴
42 後頭側面サポート部
43 高弾性スポンジ
44 低反発フォーム
45 低反発弾性材
46 弾性材
47 裏面穴
5 高弾性スポンジ
6 革
【技術分野】
【0001】
本発明は、頚椎の矯正や姿勢の矯正に用いる頚椎矯正枕に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の頚椎矯正具(特許公開2001−178755)は弾性を有する直方体で中央長手方向に貫かれた溝に形成された後頭部落込み部に後頭部を載せ、頚部受部に頚部を載せる事により頭部の重量で乳様突起置部7を支点に、顎が上がり頭部が回転し頚部が降下することで、頚椎を伸ばしていたが実用上不十分である。
【0003】
頚椎は重い頭部を後方で支えるため彎曲(生理的前彎)を形成しているが日常生活の活動性の低下及び前傾を伴う不良姿勢から、頭部の重量に耐えかねて頚椎の彎曲(生理的前彎)が減少し、頚部痛・肩こり・不眠・自律神経失調症等を招く。頚椎の前傾姿勢が習慣化すると頚椎環軸関節(第1頚椎・第2頚椎)の前下方への移動が起こり下位頚椎の前方移動を誘発し、彎曲(生理的前彎)の減少からストレートネックへ移行する。
【0004】
ストレートネックは病名でなくレントゲンを撮ると頚椎症等の疾患があり、治療は、消炎鎮痛剤、外用薬に加え、頚椎の牽引、温熱療法等の対症療法が主でこれという治療法がなかった。また、ストレートネックの矯正は、頚椎の生理的前彎を維持する観点から重要であり頚椎矯正枕の開発が求められていた。
【0005】
従来の枕は、誰にでも合う枕をコンセプトに商品化されていたのでサイズの規格がおおまかであった。
【0006】
頚椎彎曲の保持には頭部(後頭骨)及び頚椎の伸展(後屈)位が必要であり、仰向位で後頭部を下げることで頚椎を伸ばす従来の技術では不十分であった。
【0007】
また、従来の技術では生活習慣での不良な前傾姿勢から生じた頚椎配列の歪みを本来の解剖学的な状態に戻し頚椎の生理的前彎を保持することができなかった。
【0008】
また、頚椎矯正枕の構造が一体式であり、メンテナンスや使用者の方の枕高の調整ニーズに対応できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−178755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
人体は背骨がゆるやかなS字状を描くような正しい姿勢(生理的前彎)を維持し続けることは非常に困難であるが、頚椎彎曲の減少傾向を防ぐには、頚椎矯正用枕を使用し就寝時にやや顎を上げ気道を確保し頚椎の生理的前彎を保つ姿勢で、後頭部と頚部との隙間を埋め酷使し緊張した関節、筋肉を休める必要がある。
【0011】
枕の高さ選びには2つの高さがあり、後頭部の高さを決め頚椎アーチの高さを決めることが大切である。解剖学的に後頭部から第7頚椎間の長さ、後頭部のサイズ、頚椎部の凹凸は決まっているのでこれらの状態に適した枕の形状が求められている。
また、われわれ日本人は今まで高めの枕を習慣的に使用していた歴史的事実がある。つまり、高めの枕を使用するには顎を引き後頭部を枕に載せる必要があるがこのポジションは気道を圧迫しストレートネックを誘発して正常な頚椎の生理的前彎を損なう原因になる。
【0012】
頚椎の生理的前彎の矯正には就寝時に枕で頚椎彎曲を矯正するのが解剖学的にも合理的である。
【0013】
頚椎の生理的前彎を形成する合理的な方法は、第3頚椎を支点に頚椎部を持ち上げ、可動域のある上位頚椎・下位頚椎を放射状、弓状に伸ばすことが重要である。
【0014】
従来の頚椎矯正用枕は後頭部・頚部の隙間を埋め使用感は良好であるが問題点は軟らかい低反発材を使用しているので後頭部・頚部の骨格の支えが無く頚椎部が沈んだ状態で頚椎彎曲の矯正保持ができなかった。
【0015】
従来の頚椎矯正用枕は一面での使用が一般的で、利用者の使用ニーズに対応し、枕の高さ、枕の硬さの選択が可能な両面使用の頚椎矯正用枕も必要である。
【0016】
また、頚椎矯正用枕は頚椎を下から持ち上げ生理的前彎の保持を行うので、外後頭隆起、頚椎棘突起部の不快な圧迫を防ぎ使用感を高めなければならない。
【0017】
頚椎彎曲部の保持を行うには頚椎斜面部に頚椎椎間関節受部を設け、頚椎を下からアーチ状に持ち上げる際に頚椎に負担のかからないようにしなければならない。
【0018】
頚椎矯正用枕を側臥位で使用した場合、耳の圧迫が少ない枕の開発も必要である。また、枕高をベッドと頚椎が平行になる高さにする必要がある。
【0019】
さらに、枕の変化、使用される方の体格変化等の加齢に対応した枕の高さ調整が必要になり、頚椎の高さ調整が簡単にできメンテナンスが可能で自然の環境に優しい枕が求められている。
【0020】
また、ほとんどの枕は弾力体を一体式で形成し接着しているので枕の高さ調整ができず、弾性体の吸排気の可能なエアークッション性が損なわれていた。
【0021】
さらに、後頭部の大きさは形状、サイズに個人差があり多様なニーズに適応させるために、後頭側面サポート部の両側を開閉自在に調整する事も必要である。
【0022】
上記弾性体上面部は前記弾性体の芯部形成部よりも柔らかい弾力体で覆われていなければならない。
【0023】
頚椎矯正用枕の頭頂部の薄い特殊な形状を保護するには革で被う必要がある。
【0024】
本発明は、これらの課題を解決することを目的とするもので、円筒状弾性体で上位頚椎を持ち上げることで頚椎部の伸展(後屈)位を保持し、頭部支持部を形成する弾性体上面の中央側から後面側の平坦部中央に後頭部を納める下向きの裁頭略半球状の穴を有し、穴の窪みに後頭支持部を設けて後頭部を納め頚椎の彎曲矯正を行い、安全に頚部痛・肩こり・不眠等の改善が自宅で簡単に使用できる頚椎矯正枕を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
以上の課題を達成するために、本発明は、頚椎持ち上げ部を形成する弾性体上面の前面側に三重の円筒状弾性体を有し、芯部は円筒状の空洞の弾性体両側に一対のゴムチューブを設け中央部に横向き空洞を設け、その外周部は二重に円筒状に弾性体で形成し、前記円筒状弾性体中央部の横向き空洞に取り外し自在な頚骨持ち上げ円筒状パッドを設け、前記弾性体上面の前面側から中央側に向けて上向きの曲面を設け、頚椎斜面部前面側から中心線に沿って長手方向に空洞の縦溝を設け縦溝の上面両側に頚椎椎間関節受部を設けた手段よりなるものである。
【0026】
ここで、好ましい態様として、頭部支持部を形成する前記弾性体上面の中央側から後面側の平坦部中央に後頭部を納める下向きの裁頭略半球状の穴を有し、穴の窪みに後頭支持部を設け、後頭支持部の両側に一対の移動自在な後頭側面サポート部を形成した。また、弾性体上面部は弾性体の芯部よりも柔らかい弾力体で覆われ、弾性体の枕の表面は革で被覆している。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、生活習慣での不良な前傾姿勢から生じた頚椎配列の歪み及び頚椎彎曲の低下を、本来の解剖学的な状態に戻し頚椎の生理的前彎を保持することができる。
また、生理的前彎および頚部の彎曲を形成する芯部材料に粘弾性衝撃吸収材を使用した。
【0028】
本発明は以上説明したように、頚椎伸展(後屈)および屈曲(前屈)の動きの50%は後頭骨と環椎(第一頚椎)の間で行われ、下位頚椎では第4頚椎・第5頚椎も頚椎の伸展(後屈)に顕著に関与するので、可動性の少ない第3頚椎を支点に円筒状弾性体で頚椎部を持ち上げ、可動域がある後頭−環椎(第1頚椎)及び下位頚椎(第4頚椎−5頚椎間)を放射状、弓状に伸ばすことが頚椎彎曲矯正には合理的である。
本発明により円筒状弾性体に頚椎を載せ第3頚椎を支点に頚椎を持ち上げ、後頭部を伸縮自在な粘弾衝撃吸収材(ポリウレタン)で形成した頚椎斜面部及び後頭部支持部に載せると頭部の重みで後頭部を下げ顎が上がり頚椎を放射状、アーチ状に牽引し応力が作用し、自然に反りかえりが生じ生理的前彎が形成され頚部の彎曲を本来の状態に戻すことができる。
仰臥位での類椎矯正枕の矯正力を強めた場合でのストレートネックの方の使用前と使用後状態をレントゲンで検証した。その結果、第1頚椎から第6頚椎間での個々の椎骨の傾斜角度を測るとその合計は38度増加した。また、第1頚椎から第7頚椎間の椎骨前縁での頚椎アーチの長さが4mm増加、さらに、頚椎生理的前彎の頚椎傾斜角が17度から20度へ3度増加した。
また、頭部を側面から見ると頭部の重心は後頭骨の後頭顆の前上方のトルコ鞍に位置し、支点は後頭顆の位置にある。つまり、頭部の重心が前方に位置し前屈時には第1頚椎(環椎)は第2頚椎(軸椎)に対して前下方に移動する双方の応力が頚椎彎曲の低下の原因に考えられるが、前述のように頚椎を持ち上げ後頭部を下げることで頚椎上の頭部のバランスも改善される効果も合わせもっている。
また、運動学的な動きを見ると、第1頚椎(環椎)に対する後頭骨の伸展時には後頭顆は環椎塊上を前方にすべり後頭骨は環椎後弓に近づく。また、環軸関節も伸展され環椎後弓と軸椎後弓は接近する。
【0029】
円筒状弾性体は第3頚椎の頚椎持ち上げ部の支点になり、頚椎と後頭部の伸展(後屈)位の保持の要となる。
【0030】
また、弾性体上面の前面側に円筒状弾性体を設け、前記弾性体上面の前面側から後面側に向けて上向きの曲面を形成し、前記弾性体の円筒状の中央部には横向き空洞 (穴)を配列し、前面側から中心線に沿って長手方向に空洞の縦溝(穴)を設け、横向き空洞は下位頚椎の棘突起部の圧迫を和らげ、空洞の縦溝中央に外後頭隆起・頚椎棘突起を納め、縦溝、横向き空洞の両端に頚椎椎間関節受部を設けたので、頚部を違和感なく保持し頚部の彎曲(生理的前彎)の矯正を行う。
【0031】
円筒状弾性体の芯部は空洞の両側に一対のゴムチューブを設け中央部に横向き空洞を設けたので、利用者の多様な枕高のニーズの対応調整が簡単にできる。
また、ゴムチューブによる横向き空洞の長さが狭まる程頚椎彎曲の矯正力が強まる。
【0032】
円筒状の芯部に設けた横向き空洞の巾調整は両側の一対のゴムチューブ調整により可能である。これにより頚椎の矯正強度および使用感のハード・ソフトの調整ができる。両側のゴムチューブを中央によせて横向き空洞を無くすことで頚椎の矯正力を強め、両側のゴムチューブを両側に引き横向き空洞を設けることで頚椎の矯正力を弱めることができる。
【0033】
ゴムチューブは頚椎持ち上げ部の要で、使用時に頚椎アーチ部のフィット感を向上させ材料のヘタリを防ぎ芯部の弾性の確保に効果がある。
【0034】
頚椎斜面部は後頭骨の外後頭隆起の凸部および頚椎棘突起を納める土台になる。
【0035】
前記弾性体上面の前面側から頚椎斜面部中央側に向けて上向きの曲面を形成し、前面側から中心線に沿って長手方向に空洞の縦溝に、外後頭隆起部、頚椎棘突起部を納めたのでフィット感に優れる。
【0036】
前記弾性体上面の前面側から中央側に向けて上向きの曲面を設け、頚椎斜面部前面側から中心線に沿って長手方向に空洞の縦溝を設け縦溝の上面両側に頚椎椎間関節受部を設けたので、無理なく安定した状態で頚椎保持を行うことができる。
【0037】
頚椎矯正枕を側仰位で使用する場合、縦溝および両側のゴムチューブを両側に引き横向き空洞を設けることで耳の圧迫が緩和されソフトな使用感が得られる。
【0038】
円筒状弾性体中央の横向き空洞にゴムチューブを低反発材で形成し、取り外し自在な頚骨持ち上げ円筒状パッドを設けたので、パーツサイズの選択により利用者の方のニーズに対応した頚椎アーチの高さ調整が簡単にできる。
【0039】
また、横向き空洞にゴムチューブの外周側を低反発材で巻いて形成しているので椎骨との接触がソフトで頚椎部とのフィット感にも優れる。
【0040】
また、横向き空洞にゴムチューブの外周側を低反発材で巻いて形成した取り外し自在な頚骨持ち上げ円筒状パッドを挿入しているが、両側に隣接するゴムチューブより径を小さく形成しているので枕を側臥位で使用した場合、耳の圧迫が少なく気持がいい。
【0041】
頭部支持部を形成する前記弾性体上面の中央側から後面側の平垣部中央に後頭部を納める下向きの裁頭略半球状の穴を有し、穴の窪みにヘタリの少ない筋肉の特性を持つ粘弾性衝撃吸収材を後頭支持部に設けた。従って優れた体圧分散性で後頭部を支えるので後頭部がフィットして頭部が逃げず頚椎の座りも良い。
【0042】
頭部支持部を形成する前記弾性体上面の中央側から後面側の平垣部中央に後頭部を納める下向きの裁頭略半球状の穴を有し、穴の窪みに後頭支持部を設け、後頭支持部の両側に左右に開く一対の後頭側面サポート部を形成したので利用者の後頭部サイズに合わせて調整する事ができるので側頭部も安定する。
【0043】
この頚椎矯正枕は頚部及び後頭部の隙間を違和感なく保持するため上面側は適度な柔らかさを持ち、芯部は頚椎彎曲を保持するためにやや固めの体圧分散が可能な筋肉の特性を持つ粘弾性衝撃吸収材で形成されている。これは、外圧を受けると素早く変形しゆっくりと元の形に復元することで衝撃を吸収するとともに高い粘弾効果によって圧力を均一に分散し頭部及び頚部に優しくフィットする。また、弾性体の本体は、吸湿性が少なく磨耗に強いレザー等の表皮で覆われている。
【0044】
前述の様に頚椎矯正枕を頚椎持ち上げ部、頚椎斜面部、頭部支持部で形成したので、頚椎矯正枕を裏返すことでソフト・ハードの二面を選択使用できる。表側は枕高は低めでウレタンは柔らかで冬向き、裏面は枕高はやや高めでウレタンはやや硬めで夏向きになる。
【0045】
弾性体本体の構造は、組み立て、メンテナンス及びパーツの交換を考慮し枕高の調整を簡単にするために、円筒状弾性体の頚椎持ち上げ部・円筒状パッド部、頚椎斜面部、頭部支持部で構成した。
【0046】
また、使用時の吸排気の可能なエアークッション性及びフィット感を向上させるため、円筒状の弾性体の頚椎持ち上げ部、頚椎斜面部、頭部支持部パーツ部の接着は分解可能な点接着としたので使用時に枕のエアーが静かに排気してソフトな使用感になる。また、未使用時には、エアーが吸気され元の状態に戻る。
【0047】
また、枕高はベッドから後頭部の高さを基準に頚椎孤(アーチ)の高さを求めサイズを決める。
仰臥位での頚椎アーチの高さは女性で約3cm・男性で約4cmである。
さらに、後頭部の高さを考慮して円筒状の弾性体の径のサイズをSS:3.5cm・S:4.0cm・M:4.5cm・L:5cm・LL:5.5cmとした。
【0048】
従って、円筒状の弾性体の径のサイズをSS:3.5cm・S:4.0cm・M:4.5cm・L:5cm・LL:5.5cm・LLL:6.0cmにすることで最適な枕高を誰にでも合わせることができる。
【0049】
医学的に関節リウマチ疾患の方で環軸関節の横靭帯の弛緩による環軸椎不安定症(頚部屈曲位で環椎前弓は歯突起に対して前下方へ移動)があるが、本頚椎矯正枕を使用すると環椎前弓は歯突起に対して後方に矯正できるのでリウマチの方の環軸椎不安定症の予防に効果がある。
【0050】
さらに、脳血管障害から生じる片マヒの片で、頚椎が患側の方向へ傾斜するが、裁頭略半球状の孔部中央下部の横断面にある後頭支持部に後頭部を納めることで、矢状面での頚椎上の頭部のバランスが改善するので斜頚の矯正、予防効果も効果がある。
【0051】
また、骨格の構造上頭部は前部に頚椎は後部に位置するので、前傾姿勢を習慣づけて生活すると回転モーメントにより頭部(後頭骨の後頭顆は後方)は前方に、頚椎(環軸関節)は前下方にうなずきストレートネックを誘発して頚部痛、肩こり、イライラの一因になっていたが本発明の頚椎矯正枕を使用することで、生理的前彎が回復し解剖学的な位置に復してQOL(生活の質)が向上する。
【0052】
本発明は、頚椎の矯正や姿勢の矯正に用いる頚椎矯正枕に関するが、本頚椎矯正枕の別な使用方法として、頚椎矯正枕を裏返すことでソフト、ハードの二面を選択使用ができる。前述のように、弾性体表面は芯部より軟らかい弾力体で覆われ下向きの裁頭略半球状の穴の窪みに後頭部を納め、また、裏面は芯部材に近く後頭支持部の穴も小さくなるので、表側は枕高は低めでウレタンは軟らかめで冬向き、裏側は枕高はやや高めでウレタンはやや硬めで夏向き仕様になる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明を実施するための形態を示す頚椎矯正枕の内部斜視図である。
【図2】本発明を実施するための形態を示す頚骨持ち上げ円筒状パッドが挿入されてないときの頚椎矯正枕の内部斜視図である。
【図3】本発明を実施するための形態を示す頚椎矯正枕の外部斜視図である。
【図4】本発明を実施するための形態を示す頚骨持ち上げ円筒状パッドの斜視図である。
【図5】本発明を実施するための形態を示す頚椎矯正枕の側面図である。
【図6】本発明を実施するための形態を示す頚椎矯正枕の平面図である。
【図7】本発明を実施するための形態を示す頚椎矯正枕の底面図である。
【図8】図8(A)は図6のA−A断面図、図8(B)は図6のB−B断面図、図8(C)は図6のC−C断面図である。である。
【図9】図6のD−D断面図である。
【図10】図6のE−E断面図である。
【図11】本発明を実施するための形態を示す頚椎矯正枕の使用時の側面図である。
【図12】本発明を実施するための形態を示す頚椎矯正枕の一部切り欠き平面図である。
【図13】本発明を実施するための形態を示す頚椎矯正枕の要部の平断面図である。
【図14】本発明を実施するための形態を示す頚椎矯正枕の後頭側面サポート部の平面図である。
【図15】本発明を実施するための形態を示す頚椎矯正枕の内部平面図である。
【図16】図15より下側の頚椎矯正枕の内部平面図である。
【図17】図16より下側の頚椎矯正枕の内部平面図である。
【図18】図17より下側の頚椎矯正枕の内部平面図である。
【図19】図18より下側の頚椎矯正枕の内部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、図面に記載の発明を実施するための形態に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
図において、頚椎矯正枕1は、頚椎を放射状、弓状に牽引することで、理想的な頚椎の彎曲の回復により頚椎の彎曲矯正を行い、安全に頚部痛、肩こり、ストレスなどの改善を図ることができる特徴を有する。頚椎矯正枕1は、頚部及び後頭部を違和感なく保持するために、平面からみて、枕の長手方向となる首側が支えられる前部側から後頭部が支えられる後部側に向けて、頚椎持ち上げ部2、頚椎斜面部3及び頭部支持部4から構成される。
【0055】
頚椎持ち上げ部2は、例えば三重の円筒状弾性体21を有している。円筒状弾性体21はその芯方向が頚椎矯正枕1の幅方向に向けて配置されている。つまり円筒状弾性体21は頚椎矯正枕1に対して横向きに配置されている。円筒状弾性体21は、その円筒部中央が第3頚椎の持ち上げ部の支点になり、頚椎が上位頚椎から下位頚椎へ放射状、弓状に伸長される。円筒状弾性体21は頚椎を持ち上げ頚椎・後頭部の伸展(後屈)位を保持するので頚椎彎曲矯正が可能になる。
【0056】
円筒状弾性体21は、その芯中心部分には左右両側に分割された一対の円筒状のゴムチューブ22が設けられ、ゴムチューブ22の外周側はこれよりも柔らかい円筒状に巻かれた高弾性スポンジ23で形成され、さらに高弾性スポンジ23の外周側はこれよりも反発が低い円筒状に巻かれた低反発フォーム24で形成され、三重構造から構成される。
【0057】
ゴムチューブ22は内部が中空の空洞になっている。ゴムチューブ22はその中央から左右に2分割されて、左右一対のものから構成される。左右両側の一対のゴムチューブ22を左右に引くことが可能な構造になっている。つまり、左右のゴムチューブ22は左右両側方向に移動調節自在になっている。これにより頚椎の矯正強度及び使用感のハード、ソフトの調整ができる。しかも、ゴムチューブ22は頚椎持ち上げ部2の要で、また、その芯部材にもなり、使用時の頚椎アーチ部のフィット感を向上させ円筒状弾性体21のヘタリを防ぎ、適度の弾力を有している。
【0058】
この左右両側の一対のゴムチューブ22が分かれている中央には、円筒形状の横向き空洞25が形成されている。この横向き空洞25は、前述のように両側のゴムチューブ22を左右に引くことで、その空洞の大きさ、つまり空洞の長さを長くしたり短くしたりすることができる。この両側の一対のゴムチューブ22が枕使用時に横向き空洞25を保持することで頚椎アーチ部の頚椎棘突起・頚椎椎間関節・頚椎横突起の圧迫感の緩和により使用感及び快適さが向上する。
【0059】
この空洞の大きさが調節自在な横向き空洞25には、頚骨持ち上げ円筒状パッド26が取り外し自在に挿入されている。挿入する頚骨持ち上げ円筒状パッド26の直径の大きさを変えることにより、利用者の方のニーズに対応した頚椎アーチの高さの調整が簡単に行える。
【0060】
頚骨持ち上げ円筒状パッド26は、その芯中心部分には円筒状のゴムチューブ26aが設けられ、ゴムチューブ26aの外周側はこれよりも反発が低い円筒状に巻かれた低反発弾性材26bで形成されているので気持ちが良い。ゴムチューブ26aの直径は頚骨持ち上げ円筒状パッド26の左右両側に設けられたゴムチューブ22の直径より一回り小さく、頚椎矯正枕1を側臥位で使用した場合に耳への圧迫を軽減できる。
【0061】
円筒状弾性体21の外周側は、この頚椎矯正枕1の素材としては最も柔らかい低反発弾性材27が7〜8割の程度で巻かれて覆われている。即ち、円筒状弾性体21の外周側の底面側、前面側及び上面側がこの低反発弾性材27で覆われている。円筒状弾性体21の大部分を覆った低反発弾性材27は頚椎斜面部3の上面側も覆ってその先端は頭部支持部4に接している。
【0062】
頚椎斜面部3は、後頭骨の外後頭隆起の凸部及び頚椎棘突起を納める土台になるもので、頭部支持部4に向けてその上面側は斜め下向きの弧状に傾斜している。この頚椎斜面部3の中央には頚椎持ち上げ部2から頭部支持部4に向けて空洞の縦溝31が形成されている。この空洞の縦溝31は外後頭隆起部及び頚椎棘突起部を納めるのでフィット感に優れている。
【0063】
この空洞の縦溝31を挟んでその上面両側には頚椎椎間関節受部32が設けられている。外後頭隆起部及び頚椎棘突起部を納める空洞の縦溝31とその上面両側の頚椎椎間関節受部32により、頚椎の座りは良好となる。
【0064】
頚椎斜面部3は、その上面側が頚椎持ち上げ部2側から延びた低反発弾性材27で覆われ、その下面側には柔らかめの低反発フォーム33が設けられている。低反発フォーム33は低反発弾性材27ほどは柔らかくない。
【0065】
低反発フォーム33の下面側にはやや硬い筋肉の特性を持つ粘弾性衝撃吸収材34が設けられている。粘弾性衝撃吸収材34はその一端は円筒状弾性体21の外周側面に接し、他端側は頭部支持部4の下側に潜り込んで頭部支持部4の下部側から頭部支持部4の全域まで覆っている。この粘弾性衝撃吸収材34には例えばポリウレタンが使用されている。
【0066】
粘弾性衝撃吸収材34の下面側には、その中央に上記の縦溝31が形成されている。縦溝31を挟んでその両側には粘弾性衝撃吸収材35が設けられている。この粘弾性衝撃吸収材35はその上面側の粘弾性衝撃吸収材34より最も硬く、その材料には例えばポリウレタンが使用されている。粘弾性衝撃吸収材35の一端は円筒状弾性体21の外周側面に接し、他端側は頭部支持部4側に向けてその厚みが一定の直線状の割合で徐々に薄くなって接している。
【0067】
縦溝31は、その左右の両内側面が左右の粘弾性衝撃吸収材35の内側の側面によって形成されている。縦溝31は所謂蟻溝になっていて、左右の両内側面は上方に向けて溝の内側に向かって傾斜していて、縦溝31の溝上面は溝下面に比べてその幅が狭くなっている。縦溝31は左右両側面が左右の粘弾性衝撃吸収材35で塞がれ、上面が粘弾性衝撃吸収材34で塞がれ、その下面が後述の低反発フォーム36によって塞がれていて、空洞に形成されている。
【0068】
縦溝31及び左右の粘弾性衝撃吸収材35の下面側には柔らかい低反発フォーム36が設けられている。この低反発フォーム36は上記低反発フォーム33と同じ材質のものが使用されている。低反発フォーム36の一端は円筒状弾性体21の外周側面に接し、他端側は頭部支持部4側に向けてその上面が階段状に下りて薄くなって接している。
【0069】
この頚椎矯正枕1は、前述したように、芯部分が空洞の円筒状弾性体21を有し、芯部分の空洞の両側に一対のゴムチューブ22を設け、中央空洞部分の横向き空洞25はその幅方向の長さが調整自在で、前記の空洞の縦溝31及び横向き空洞25を形成したので、使用時の頚椎の突起部の圧迫を和らげ、側仰位で使用する場合、耳の圧迫が緩和されソフトなフィット感が得られる。また、頚椎部及び後頭部の隙間がなくなり形状に適合して頭部が逃げずに頚椎部の座りも良い。
【0070】
頭部支持部4は、弾性体上面の中央に形成された後頭支持部41の穴41aで後頭部を納めて支持するもので、穴41aは下向きの裁頭略半球状に形成されている。穴41aは平面からみて、頚椎矯正枕1の長さ方向の両端側が平行な直線になり、その中間側の両側が円弧になっている。即ち、裁頭略半球状の穴41aは、半球状の直径が大きい方が下側になっており、叉半球状の頂部側は途中で裁断されて直径が小さな円形の穴になっている。裁頭略半球状の穴41aは上側が下側よりも円形の直径が小さくなっている。また、裁頭略半球状の穴41aは頚椎矯正枕1の長さ方向の両端部側が長さ方向に対して直交方向に裁断されたような形状になっている。後頭支持部41の穴41aにより後頭部が逃げず頚椎部の座りも良い。後頭支持部41の穴41aの左右には前記の低反発弾性材27と同じ材質で同様に最も柔らかい低反発弾性材からなる後頭側面サポート部42がそれぞれ設けられている。左右の後頭側面サポート部42の間隔を広げたり狭めたりすることで、枕使用者の頭のサイズに調整できる。
【0071】
左右の後頭側面サポート部42の下面側には、同様に中央に上記穴41aの下部側が形成されている高弾性スポンジ43がそれぞれ設けられている。この高弾性スポンジ43は前記の円筒状弾性体21の高弾性スポンジ23と同じ硬さである。左右の高弾性スポンジ43の下面側には低反発フォーム44がそれぞれ設けられている。上記穴41aの底面には前記の低反発弾性材27と同じ材質で同様に最も柔らかい低反発弾性材45が設けられている。
【0072】
そして、これらの左右の低反発フォーム44及び低反発弾性材45の下面側には、前記の粘弾性衝撃吸収材34の後半側が設けられている。左右の低反発フォーム44の真下側となる粘弾性衝撃吸収材34の下面側には、粘弾性衝撃吸収材34の次に硬めの弾性材46が設けられている。低反発フォーム44及び粘弾性衝撃吸収材34を挟んで上記穴41aの真下側には裏面穴47が形成されている。裏面穴47は弾性材46の中央に形成されている。裏面穴47は頚椎矯正枕1を裏返しにして使用したとき、上記穴41aと同様に後頭部を納めて安定させる。
【0073】
前述した頚椎持ち上げ部2、頚椎斜面部3及び頭部支持部4の外周側には前記の円筒状弾性体21の高弾性スポンジ23と同じ硬さの高弾性スポンジ5が巻かれて形成されている。高弾性スポンジ5は頚椎矯正枕1の前面側、上面側、後面側及び底面側の全てを囲んでいる。この頚椎矯正枕1の表面は吸湿性が少なく磨耗に強い革6で被覆されている。
【0074】
次に、上記発明を実施するための形態の構成に基づく頚椎矯正枕の使用方法について以下説明する。
首の後面側を頚椎矯正枕1の頚椎持ち上げ部2の円筒状弾性体21の上側に載せ、後頭部を後頭支持部41の穴41aに納め、頚椎傾斜部3の上側に後頭部下縁を載せる。
このようにして、仰臥位で円筒状弾性体21に頚椎をのせて頚椎を持ち上げ後頭部を後頭支持部41の穴41aに納めると頭部の重みで後頭部を下げ顎が上がり頚椎が放射状、弓状に牽引されることで、頚椎の配列を整え頚椎持ち上げ部2及び頚椎斜面部3に首のアーチが形成され、フィットし寝ながらに頚椎彎曲の矯正保持ができることになる。
また、頚椎矯正枕1を下にずらして、後頭部を後頭支持部41の上へ移動することで、円筒状弾性体21で下位頚椎の彎曲矯正もできることになる。
さらに、頚椎矯正枕1の別な使用方法として、頚椎矯正枕1を裏返すことでソフト、ハードの二面を選択使用ができる。前述のように、弾性体表面は芯部より軟らかい弾力体で覆われ下向きの裁頭略半球状の裏面穴47の窪みに後頭部を納め、また、裏面は芯部材に近く後頭支持部41の裏面穴47も小さくなるので、表側は枕高は低めでウレタンは軟らかめで冬向き、裏側は枕高はやや高めでウレタンはやや硬めで夏向き仕様になる。
また、枕高はベッドから後頭部の高さを基準に頚椎アーチの高さを求め枕高のサイズを決め、さらに、仰臥位での頚椎アーチの高さは女性で約3cm、男性で約4cmなので、後頭部の高さを考慮して、円筒状弾性体21の直径のサイズをSS:3.5cm・S:4cm・M:4.5cm・L:5cm・LL:5.5cmにすることで最適な枕高を誰にでも簡単に合わせることができる。
【0075】
なお、本発明は上記発明を実施するための形態に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の改変をなし得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0076】
1 頚椎矯正枕
2 頚椎持ち上げ部
21 円筒状弾性体
22 ゴムチューブ
23 高弾性スポンジ
24 低反発フォーム
25 横向き空洞
26 頚骨持ち上げ円筒状パッド
26a ゴムチューブ
26b 低反発弾性材
27 低反発弾性材
3 頚椎斜面部
31 縦溝
32 頚椎椎間関節受部
33 低反発フォーム
34 粘弾性衝撃吸収材
35 粘弾性衝撃吸収材
36 低反発フォーム
4 頭部支持部
41 後頭支持部
41a 穴
42 後頭側面サポート部
43 高弾性スポンジ
44 低反発フォーム
45 低反発弾性材
46 弾性材
47 裏面穴
5 高弾性スポンジ
6 革
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頚椎持ち上げ部を形成する弾性体上面の前面側に三重の円筒状弾性体を有し、芯部は円筒状の空洞の弾性体両側に一対のゴムチューブを設け中央部に横向き空洞を設け、その外周部は二重に円筒状に弾性体で形成し、前記円筒状弾性体中央部の横向き空洞に取り外し自在な頚骨持ち上げ円筒状パッドを設け、前記弾性体上面の前面側から中央側に向けて上向きの曲面を設け、頚椎斜面部前面側から中心線に沿って長手方向に空洞の縦溝を設け縦溝の上面両側に頚椎椎間関節受部を設けたことを特徴とする頚椎矯正枕。
【請求項2】
頭部支持部を形成する弾性体上面の中央側から後面側の平坦部中央に後頭部を納める下向きの裁頭略半球状の穴を有し、穴の窪みに後頭支持部を設け、後頭支持部の両側に一対の移動自在な後頭側面サポート部を形成した請求項1に記載の頚椎矯正枕。
【請求項3】
弾性体上面部は弾性体の芯部よりも柔らかい弾力体で覆われ、弾性体の枕の表面は革で被覆している請求項1又は請求項2に記載の頚椎矯正枕。
【請求項1】
頚椎持ち上げ部を形成する弾性体上面の前面側に三重の円筒状弾性体を有し、芯部は円筒状の空洞の弾性体両側に一対のゴムチューブを設け中央部に横向き空洞を設け、その外周部は二重に円筒状に弾性体で形成し、前記円筒状弾性体中央部の横向き空洞に取り外し自在な頚骨持ち上げ円筒状パッドを設け、前記弾性体上面の前面側から中央側に向けて上向きの曲面を設け、頚椎斜面部前面側から中心線に沿って長手方向に空洞の縦溝を設け縦溝の上面両側に頚椎椎間関節受部を設けたことを特徴とする頚椎矯正枕。
【請求項2】
頭部支持部を形成する弾性体上面の中央側から後面側の平坦部中央に後頭部を納める下向きの裁頭略半球状の穴を有し、穴の窪みに後頭支持部を設け、後頭支持部の両側に一対の移動自在な後頭側面サポート部を形成した請求項1に記載の頚椎矯正枕。
【請求項3】
弾性体上面部は弾性体の芯部よりも柔らかい弾力体で覆われ、弾性体の枕の表面は革で被覆している請求項1又は請求項2に記載の頚椎矯正枕。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−167325(P2011−167325A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33176(P2010−33176)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(308040823)有限会社フットケア (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(308040823)有限会社フットケア (2)
【Fターム(参考)】
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