説明

頭皮および毛髪の状態改善方法

【課題】養毛希望者に対し気軽に継続可能で効果の高い養毛の手段を提供する。
【解決手段】育毛・発毛コース1は、その基本ステップとして、シャンプーを頭皮に散布して頭皮の洗浄を行う洗浄ステップS4と、洗浄ステップS4の後に、マイクロスコープを用いて洗浄後の頭皮および毛髪の状態を示す画像を撮像し記録する洗浄後記録ステップS6と、洗浄後記録ステップS6の後に、頭皮に化粧水を付けてマッサージを行うことにより頭皮を軟化させる頭皮軟化ステップS11と、頭皮軟化ステップS11の後に、イオン導入機によって養毛剤を頭皮に浸透させる養毛剤導入ステップS12と、養毛剤導入ステップS12の後に、超音波発生機によって頭皮をマッサージすることにより毛母細胞の活性化を促す毛母細胞活性化ステップS13とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭皮および毛髪の状態を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪が細くなる、毛髪の腰がなくなる、毛髪が減少する、等の頭皮および毛髪の衰えは、多くの人にとって悩みの種である。そこで、従来から、多くの養毛剤や養毛方法が提案されている。なお、本願において「養毛」という場合、育毛、発毛、毛髪状態改善、頭皮状態改善の全てを含む広い概念を表す言葉としてそれを用いる。
【0003】
従来提案されている養毛方法の中には、一般家庭で手軽に行うことが可能なもの(例えば、特許文献1)から、発毛促進に有効な成分を効率よく頭皮深層部まで浸透させて発毛促進効果を高める複雑なもの(例えば、特許文献2)まで、様々なものが存在する。
【0004】
さらに、顔や頭部を覆うシリコン薄膜に対して超音波振動を加える工程や、シリコン薄膜と皮膚表面との間にジェルを塗布することによりイオン導入を行う工程といった頭皮に対する物理的な施療を行うシステムも提案されている(例えば、特許文献3)。なお、本願において「施療」とは、いわゆる医療行為を施すことを意味せず、養毛のための所定の工程を行うことを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−092338号公報
【特許文献2】特開2009−057329号公報
【特許文献3】特開2007−203037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来提案されている養毛方法の多くは、(1)家庭で手軽に行えるものか、(2)専門業者による大がかりな装置を用いたものか、のいずれかである。
【0007】
養毛においては、一般的に施療の継続が重要である。(1)の場合、養毛を行いたいと思う人(以下、「養毛希望者」と呼ぶ)の強い意志が必要であるとともに、多様な養毛方法のいずれの効果が高いか、といった知識を得ることは容易ではなく、偶然手にした最初の養毛器具を1ヶ月程使用した後にその効果が実感できず、養毛の努力を断念する、というケースが散見される。
【0008】
一方、(2)の場合、一般的に費用が高額、施療を受けることができる店舗数が限られ通うのが面倒、専門業者の店舗に入ること自体に抵抗感を感じる(いわゆる薄毛を認めたくない、という心理や、誰かに見られたくない、という心理のため)といった理由により、利用したくても利用できない養毛希望者が多い。
【0009】
上記のような事情に鑑み、本発明は、養毛希望者に対し気軽に継続可能で効果の高い養毛の手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の目的に鑑みて想到されたものであり、
シャンプーを頭皮に散布して頭皮の洗浄を行う洗浄ステップと、
前記洗浄ステップの後に、マイクロスコープを用いて、洗浄後の頭皮および毛髪の状態を示す画像を撮像し記録する洗浄後記録ステップと、
前記洗浄後記録ステップの後に、頭皮に化粧水を付けて、マッサージを行うことにより頭皮を軟化させる頭皮軟化ステップと、
前記頭皮軟化ステップの後に、イオン導入機によって養毛剤を頭皮に浸透させる養毛剤導入ステップと、
前記養毛剤導入ステップの後に、超音波発生機によって頭皮をマッサージすることにより毛母細胞の活性化を促す毛母細胞活性化ステップと
を備える頭皮および毛髪の状態改善方法を提供する(第1の実施態様)。
【0011】
また、上記の第1の実施態様において、
前記頭皮軟化ステップの後に、頭皮を引き上げるためにマイクロカレントを頭皮に流すことにより頭皮の細胞の修復を促す頭皮引き上げステップを備える
構成を採用してもよい(第2の実施態様)
【0012】
また、本発明は、
シャンプーを頭皮に散布して頭皮の洗浄を行う洗浄ステップと、
前記洗浄ステップの後に、マイクロスコープを用いて、洗浄後の頭皮および毛髪の状態を示す画像を撮像し記録する洗浄後記録ステップと、
前記洗浄後記録ステップの後に、頭皮に化粧水を付けて、マッサージを行うことにより頭皮を軟化させる頭皮軟化ステップと、
頭皮を引き上げるためにマイクロカレントを頭皮に流すことにより頭皮の細胞の修復を促す頭皮引き上げステップと
を備える頭皮および毛髪の状態改善方法を提供する(第3の実施態様)。
【0013】
また、上記の第1乃至3のいずれかの実施態様において、
前記洗浄ステップの前に、マイクロスコープを用いて、洗浄前の頭皮および毛髪の状態を示す画像を撮像し記録する洗浄前記録ステップを備える
構成を採用してもよい(第4の実施態様)。
【0014】
また、上記の第1乃至第4のいずれかの実施態様において、
前記洗浄ステップの前に、もしくは前記洗浄ステップにおけるシャンプーの散布後に、スチームを吹き付けることによって頭部を加温し頭皮の皮脂を浮かせるスチームステップを備える
構成を採用してもよい(第5の実施態様)。
【0015】
また、上記の第5の実施態様において、
前記スチームにオゾンが含まれている
構成を採用してもよい(第6の実施態様)。
【0016】
また、上記の第1乃至6のいずれかの実施態様において、
オゾンを吹き付けることによって頭皮の殺菌を行うオゾンステップを備える
構成を採用してもよい(第7の実施態様)。
【0017】
また、上記の第1乃至7のいずれかの実施態様において、
前記洗浄ステップは、手洗いによる手洗いステップと、洗髪機による洗髪機洗浄ステップとを有する
構成を採用してもよい(第8の実施態様)。
【0018】
また、上記の第1乃至8のいずれかの実施態様において、
前記洗浄ステップの後に、毛髪にトリートメントの散布を行うトリートメントステップを備える
構成を採用してもよい(第9の実施態様)。
【0019】
また、上記の第1乃至9のいずれかの実施態様において、
吸引器により頭部の皮脂を吸い出す皮脂吸い出しステップを備える
構成を採用してもよい(第10の実施態様)。
【0020】
また、上記の第1乃至10のいずれかの実施態様において、
吸引器による頭皮の吸引と当該吸引の一時停止とを繰り返すことによりリンパ液の循環を促進するパターステップを備える
構成を採用してもよい(第11の実施態様)。
【0021】
また、上記の第1乃至11のいずれかの実施態様において、
EMSパルスを頭皮に流す、または赤外線もしくはバイオプロトンを頭皮に照射するステップを備える
構成を採用してもよい(第12の実施態様)。
【0022】
また、上記の第1乃至12のいずれかの実施態様において、
頭部表面の下方から頭頂部に向けて所定値以上の風速の風を発生させるアーム式ドライヤーによって立毛筋を刺激する立毛筋刺激ステップを備える
構成を採用してもよい(第13の実施態様)。
【0023】
また、上記の第1乃至13のいずれかの実施態様において、
前記洗浄ステップの開始以降かつ前記毛母細胞活性化ステップの完了時までの期間の少なくとも一部の期間において、赤外線を身体に照射し全身の血行促進を行う血行促進ステップを備える
構成を採用してもよい(第14の実施態様)。
【発明の効果】
【0024】
本発明の第1乃至14のいずれかの実施態様にかかる頭皮および毛髪の状態改善方法よれば、比較的安価で場所を占有しない器具や装置を用いて、必ずしも高い技能や長期に渡る経験を要せず、30分乃至1時間程度の施療により、1回の一連の施療を行うことができる。
【0025】
そのため、例えば全国に多数存在する美容院や理容院、エステティックサロンなどにおいて、既存の器具に一部、必要に応じて低コストの器具を買い足し、既存の従業員に短期間の研修等を受けさせることで、実施することができる。その結果、頭皮や毛髪に不安や不満を感じている全ての養毛希望者が、例えば髪のカットやセットのついでに、気軽に低コストで養毛のための施療を受けることが可能となる。
【0026】
その際、例えば美容院や理容院においてまだカット等の業務に関して見習い中のスタッフが本発明にかかる施療を担当することにより、顧客の頭皮に触れたり、顧客に対するカウンセリングの経験を深めたり、頭皮についての知識を蓄積することができるため、そのようなスタッフがカット等の美容院や理容院の基幹業務を行う際のサービス品質の向上ももたらされる。さらに、本発明にかかる施療の経験がフェイシャルエステ等に対する関心を高め、トータルビューティへの志向も高まる。
【0027】
なお、本発明にかかる頭皮および毛髪の状態改善方法は、単に既存の施療を複数、組み合わせただけのものではない。本発明の発明者が鋭意研究を重ねた結果、頭皮および毛髪の状態改善に効果が期待できる数多くの施療の中から、さらに通常はフェイシャルエステの分野において顔面に対し行われる施療の中から、低コストで、高度な技能に頼ることなく一定の効果を導くことが可能な施療を選択し、さらにそれらが相乗効果を生むように望ましい順序を選択することにより、一連の施療として構成したものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかる頭皮および毛髪の状態改善方法の一例のフロー図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態にかかる頭皮および毛髪の状態改善方法の他の一例のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(実施形態)
以下、本発明の一具体例である実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本実施形態にかかる頭皮および毛髪の状態改善方法の一実施例である育毛・発毛コース1のフローを示した図である。
【0030】
育毛・発毛コース1は、必須の基本ステップと、基本コースに対し養毛希望者の希望に応じて、もしくは実施する店舗が有する器具等に応じて付加されるオプションステップとにより構成される。以下に、全てのオプションを含めた一連の流れにつき説明する。
【0031】
まず、育毛・発毛コース1はカウンセリングステップS0により開始される。カウンセリングステップS0は、養毛希望者がこのコースを利用する初回と、その後、定期的に、もしくは養毛希望者が希望に応じて、コースの内容や効果等に関する説明、現在の養毛希望者の頭皮・毛髪の状態に関する診断、それらの撮影等を行うとともに、養毛希望者の疑問や不安等に応じて各種アドバイスを行うステップである。なお、カウンセリングステップS0は毎回行われる必要がない、という意味でオプションステップであるが、少なくとも初回および定期的に行われる。
【0032】
カウンセリングステップS0と同様に、初回と、その後、定期的に、もしくは養毛希望者の希望に応じて、マイクロスコープを用いて洗浄前の頭皮・毛髪の状態を示す画像を撮像し画像データとして記録する洗浄前記録ステップS1が行われる。洗浄前記録ステップS1において撮影・記録される画像は、養毛希望者の頭皮・毛髪の改善具合の把握に加え、必要に応じて養毛希望者にも閲覧されることで、自宅による丹念な洗髪といった養毛努力を継続する動機の維持にも利用される。なお、洗浄前記録ステップS1もまた、毎回行われる必要がない、という意味でオプションステップであるが、少なくとも初回および定期的に行われる。
【0033】
続いて、スチームを吹き付けることによって頭部を加温し頭皮の皮脂を浮かせるスチームステップS2が行われる。スチームステップS2は、後述の洗浄ステップS4におけるシャンプーの散布後に行われてもよい。このステップは、例えば夏場には不要であり、オプションステップである。
【0034】
続いて、オゾンを吹き付けることによって頭皮の殺菌を行うオゾンステップS3が行われる。オゾンステップS3はスチームステップS2と同時に行われてもよい。その場合、オゾンを含むスチームを頭皮に吹き付ける。このステップは、例えば頭皮にニキビ等のない養毛希望者に関しては必ずしも必要ではないため、オプションステップである。
【0035】
続いて、シャンプーを頭皮に散布して頭皮の洗浄、すなわちクレンジングをする洗浄ステップS4が行われる。洗浄ステップS4は必須ステップである。
【0036】
洗浄ステップS4は、手洗いによる第1の洗浄ステップと、それに続き行われる洗髪機による第2の洗浄ステップとの2ステップにより行われることが望ましい。
【0037】
第1の洗浄ステップは、主として、頭皮の毛穴の皮脂の除去を目的として行われる。その際、いわゆるシャンプーブラシが使用されてもよい。また、毛穴の皮脂の除去という目的が達成されるのであれば、第1の洗浄ステップが洗髪機により行われてもよい。
【0038】
第2の洗浄ステップは、第1の洗浄ステップにおいて洗浄しきれなかった皮脂の除去とともに、頭皮、毛穴および毛髪を洗浄することを目的として行われる。その際、散布されるシャンプーとして養毛剤シャンプーが用いられることが望ましい。第2の洗浄ステップも、その目的が達成されるのであれば、手洗いにより行われてもよい。なお、本願において養毛剤とは育毛剤および発毛剤を含む広い概念である。
【0039】
なお、洗浄ステップS4を第1の洗浄ステップと第2の洗浄ステップの2ステップにより行うことは必須ではなく、その目的が達成される限り、1つのステップでそれが行われてもよい。
【0040】
また、洗浄ステップS4において第1の洗浄ステップおよび第2の洗浄ステップに代えて、もしくはそれらの後に、いわゆる循環式洗髪機を使用してもよい。循環式洗髪機は、ポリフェノール等の頭皮の状態改善に良い効果をもたらすといわれている成分を含む液を循環させて洗髪を行う機械である。
【0041】
続いて、毛髪にトリートメントの散布を行うトリートメントステップS5が行われる。トリートメントステップS5は養毛には直接関係ないためオプションステップであるが、一般的に毛髪の脂分や栄養分を補い毛髪の状態を良好に保つために行われることが望ましい。
【0042】
続いて、洗浄ステップS4の後に、タオルドライ後、マイクロスコープを用いて洗浄後の頭皮・毛髪の状態を示す画像を撮像し画像データとして記録する洗浄後記録ステップS6が行われる。洗浄後記録ステップS6において撮影・記録される画像は、主として毛穴の状況や発毛の状態、皮脂の除去が正しく行われているかの確認等に利用される。また、その画像は必要に応じて養毛希望者にも閲覧され、日々の養毛努力の効果確認にも利用される。養毛においてその効果を確認し養毛希望者がその動機を維持することが何にも増して重要であるため、洗浄後記録ステップS6は必須ステップである。
【0043】
続いて、吸引器により頭部の皮脂を吸い出す皮脂吸い出しステップS7が行われる。皮脂吸い出しステップS7は、毛穴に固化した皮脂が詰まったような状態となっていて、洗浄ステップS4における洗浄では皮脂の除去が困難であると確認された場合などに行われるオプションステップである。なお、皮脂吸い出しステップS7は毛髪が極めて少量もしくは毛髪がない部分においては十分な吸引効果が得られるが、毛髪が豊富である部分においては効果がない。
【0044】
続いて、頭皮に対する吸引と吹き出しをリズミカルに繰り返すことにより、頭皮表面を流れるリンパ液の循環をよくして老廃物の排出を促進するとともにリラクゼーション効果をもたらすパターステップS8が行われる。パターステップS8はオプションステップである。なお、パターステップS8も毛髪が豊富である部分においては効果がない点は皮脂吸い出しステップS7と同様である。
【0045】
続いて、EMSパルスを頭皮に流すEMSパルスステップS9、頭皮に赤外線を照射する赤外線照射ステップS9’、もしくは頭皮にバイオプロトンを照射するバイオプロトン照射ステップS9’’のいずれか(もしくはそれらの2以上)を行う。
【0046】
EMSパルスステップS9において頭皮に流されるEMSとはElectrical Muscle Simulation(電気的筋肉刺激)のことであり、低周波電気により筋肉を刺激することにより筋肉運動を導く。
【0047】
赤外線照射ステップS9’において頭皮に照射される赤外線は遠赤外線であり、頭皮の血行促進をもたらす。
【0048】
バイオプロトン照射ステップS9’’において頭皮に照射されるバイオプロトンとは、有害な紫外線を除去した可視光線のみを利用した人工太陽光線である。バイオプロトンの照射により、皮膚の細胞が活性化し、新陳代謝が促進され、角質層にできたニキビなどのトラブルが解消することが一般に報告されており、短時間の照射により、肌と体のバランスを整え、肌のリフトアップ効果が期待できる。また、バイオプロトンは虹を作る太陽光線と同波長であり、リラックス効果もある。
【0049】
なお、EMSパルスステップS9、赤外線照射ステップS9’およびバイオプロトン照射ステップS9’’はオプションステップである。
【0050】
続いて、頭部表面の下方から頭頂部に向けて所定値以上の風速の風を発生させるアーム式ドライヤーによって余分な水分を除去すると同時に立毛筋を刺激する立毛筋刺激ステップS10が行われる。アーム式ドライヤーは通常、毛髪の乾燥に用いられるが、その風により毛髪が持ち上げられ立毛筋が刺激されると同時に血行が促進され、結果として養毛に効果がある。従って、アーム式ドライヤーを用いる代わりに、その目的を達するための風流装置が用いられてもよい。立毛筋刺激ステップS10はオプションステップである。
【0051】
続いて、化粧水を塗布してマッサージを行うことにより頭皮を軟化させ血行促進とリラクゼーションをもたらす頭皮軟化ステップS11と、イオン導入機により養毛剤を頭皮に導入する養毛剤導入ステップS12と、超音波発生機によって頭皮をマッサージすることにより毛母細胞の活性化を促すと同時に毛穴の奥深く等に沈着している汚れを剥離する毛母細胞活性化ステップS13がこの順序で行われる。これらのステップが養毛において特に効果をもたらす重要なステップである。従って、これらのステップは必須ステップである。
【0052】
頭皮軟化ステップS11において用いられる化粧水としては、いわゆる顔面に塗布する化粧水に限られず、養毛剤等の液剤やワックス等の固剤等のいずれが用いられてもよい。
【0053】
養毛剤導入ステップS12において行われるイオン導入とは、皮膚に微弱電流を流すことにより、水溶性の物質を皮膚内に効果的に導入する方法である。
【0054】
毛母細胞活性化ステップS13において用いられる超音波発生機は、一般に、歩行による足の疲労や長時間の起立に伴う足のむくみ等の解消に用いられ、超音波の力で肌に振動を与えてマッサージ効果を生み、血行を促進させ、むくみを解消させるものとして知られるが、頭皮に対する施療により、血行促進と毛母細胞の活性化がもたらされる。なお、超音波発生機により発せられる超音波は1MHz程度である。
【0055】
スチームステップS2以降、毛母細胞活性化ステップS13までの期間の少なくとも一部の期間において、赤外線を身体に照射し全身の血行促進を行う血行促進ステップS14が同時に行われてもよい。血行促進ステップS14は特に冬場において養毛希望者のリラクゼーションも促し、間接的に養毛努力の継続を促す効果もある。なお、夏場においてはむしろ養毛希望者に暑苦しさを感じさせる場合もあるため、血行促進ステップS14はオプションステップである。
【0056】
続いて、頭髪を水もしくはお湯で流して髪型を整える、またはそのまま髪を整える仕上げステップS15が行われる。ただし、養毛の効果の観点からは養毛剤を頭皮からなるべく長時間、除去しない方がよいので、例えばこのコースの施療を受けた後にそのまま自宅に帰る養毛希望者のように髪型を整える必要がない場合に関しては、仕上げステップS15が省略されてもよい。従って、仕上げステップS15はオプションステップである。
【0057】
続いて、施療を行ったスタッフやカウンセリングスタッフが養毛希望者に対しその日に行った施療につき説明を行うとともに、その後、自宅において養毛希望者が行うことが望ましい養毛努力につきアドバイスを与える等のアフターケアに関するカウンセリングを行うアフターケアステップS16が行われる。アフターケアステップS16はコースの開始時に行われるカウンセリングステップS0と同様に、初回および定期的に、もしくは養毛希望者の希望に応じて行われ、必ずしも毎回行われる必要がないという意味でオプションステップである。
【0058】
以上が、本実施形態にかかる頭皮および毛髪の状態改善方法の一実施例である育毛・発毛コース1の説明である。
【0059】
続いて、本実施形態にかかる頭皮および毛髪の状態改善方法のもう一つの実施例である引き上げコース2を説明する。図2は、引き上げコース2のフローを示した図である。
【0060】
引き上げコース2は、上述した育毛・発毛コース1における養毛剤導入ステップS12および毛母細胞活性化ステップS13の代わりに、マイクロカレントマッサージステップS12’を備える点のみが育毛・発毛コース1と比べ異なっている。従って、以下にマイクロカレントマッサージステップS12’に関してのみ説明を行い、他のステップについてはその説明を省略する。
【0061】
マイクロカレントマッサージステップS12’は、マイクロカレントを頭皮に流すことにより頭皮の細胞の修復と筋肉運動を促進し、頭皮を引き上げることを目的としており、引き上げコース2における必須ステップである。
【0062】
マイクロカレントとは、人間が持っている自己治癒力に関係する生体電気と同じ種類の微弱電流であり、それを外側から流すことにより、細胞の修復と筋肉に対する刺激の付与が行われる。マイクロカレントは、顔面のリフトアップに広く利用されるとともに、くすみや毛穴の汚れの解消にも効果的といわれている。人間の細胞にマイクロカレントを流すと、細胞がその微弱な電流により活性化され、アデノシン3リン酸の促成が促されることが知られている。アデノシン3リン酸は人体に必要な組織で、その生成が促進されることにより、傷んだ細胞の修復が促進される。
【0063】
なお、本実施形態においては、マイクロカレントとして1マイクロアンペア以上かつ1000マイクロアンペア未満の電流、望ましくは10マイクロアンペアから30マイクロアンペアの電流が用いられる。ただし、これらの数値は本発明を限定するものではない。
【0064】
頭皮の引き上げは、頭皮の活性化をもたらすだけでなく、頭皮が引き上げられることにより、その下につながる顔面のたるみを引き上げる効果がある。従って、引き上げコース2は薄毛に悩む人よりもむしろ、広く顔のたるみが気になる人の利用が期待される。そのような人の多くは中高年であり、潜在的に薄毛の問題を抱えている場合が多い。従って、引き上げコース2において頭皮の活性化や頭皮・毛髪の状態チェック等を行うことにより、薄毛の未然防止や、薄毛の悩みを人に知られたくないといった養毛希望者に対する養毛対策の提供が可能となる。
【0065】
以上が引き上げコース2の説明である。
【0066】
ところで、上述した育毛・発毛コース1と引き上げコース2を統合した総合コースを実施してもよい。具体的には、引き上げコース2におけるマイクロカレントマッサージステップS12’の後に、養毛剤導入ステップS12および毛母細胞活性化ステップS13が行われる。これらのステップはいずれも頭皮の活性化をもたらし、相乗効果が得られることが確認されている。
【0067】
上述の実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形が可能である。例えば、上述の各々のステップは必要に応じてその順序が変更されてもよい。また、オプションステップを省略可能である点は既に述べたとおりである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明にかかる頭皮および毛髪の状態改善方法は、広く薄毛に悩む人や薄毛を心配している人に対し効果的であり、特に美容院や理容院、エステティックサロンなどの小規模店舗におけるサービスメニューとして実施可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…育毛・発毛コース、2…引き上げコース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャンプーを頭皮に散布して頭皮の洗浄を行う洗浄ステップと、
前記洗浄ステップの後に、マイクロスコープを用いて、洗浄後の頭皮および毛髪の状態を示す画像を撮像し記録する洗浄後記録ステップと、
前記洗浄後記録ステップの後に、頭皮に化粧水を付けて、マッサージを行うことにより頭皮を軟化させる頭皮軟化ステップと、
前記頭皮軟化ステップの後に、イオン導入機によって養毛剤を頭皮に浸透させる養毛剤導入ステップと、
前記養毛剤導入ステップの後に、超音波発生機によって頭皮をマッサージすることにより毛母細胞の活性化を促す毛母細胞活性化ステップと
を備える頭皮および毛髪の状態改善方法。
【請求項2】
前記頭皮軟化ステップの後に、頭皮を引き上げるためにマイクロカレントを頭皮に流すことにより頭皮の細胞の修復を促す頭皮引き上げステップを備える
請求項1に記載の頭皮および毛髪の状態改善方法。
【請求項3】
シャンプーを頭皮に散布して頭皮の洗浄を行う洗浄ステップと、
前記洗浄ステップの後に、マイクロスコープを用いて、洗浄後の頭皮および毛髪の状態を示す画像を撮像し記録する洗浄後記録ステップと、
前記洗浄後記録ステップの後に、頭皮に化粧水を付けて、マッサージを行うことにより頭皮を軟化させる頭皮軟化ステップと、
頭皮を引き上げるためにマイクロカレントを頭皮に流すことにより頭皮の細胞の修復を促す頭皮引き上げステップと
を備える頭皮および毛髪の状態改善方法。
【請求項4】
前記洗浄ステップの前に、マイクロスコープを用いて、洗浄前の頭皮および毛髪の状態
を示す画像を撮像し記録する洗浄前記録ステップを備える
請求項1乃至3のいずれかに記載の頭皮および毛髪の状態改善方法。
【請求項5】
前記洗浄ステップの前に、もしくは前記洗浄ステップにおけるシャンプーの散布後に、スチームを吹き付けることによって頭部を加温し頭皮の皮脂を浮かせるスチームステップを備える
請求項1乃至4のいずれかに記載の頭皮および毛髪の状態改善方法。
【請求項6】
前記スチームにオゾンが含まれている
請求項5に記載の頭皮および毛髪の状態改善方法。
【請求項7】
オゾンを吹き付けることによって頭皮の殺菌を行うオゾンステップを備える
請求項1乃至6に記載の頭皮および毛髪の状態改善方法。
【請求項8】
前記洗浄ステップは、手洗いによる手洗い洗浄ステップと、洗髪機による洗髪機洗浄ステップとを有する
請求項1乃至7のいずれかに記載の頭皮および毛髪の状態改善方法。
【請求項9】
前記洗浄ステップの後に、毛髪にトリートメントの散布を行うトリートメントステップを備える
請求項1乃至8のいずれかに記載の頭皮および毛髪の状態改善方法。
【請求項10】
吸引器により頭部の皮脂を吸い出す皮脂吸い出しステップを備える
請求項1乃至9のいずれかに記載の頭皮および毛髪の状態改善方法。
【請求項11】
吸引器による頭皮の吸引と当該吸引の一時停止とを繰り返すことによりリンパ液の循環を促進するパターステップを備える
請求項1乃至10のいずれかに記載の頭皮および毛髪の状態改善方法。
【請求項12】
EMSパルスを頭皮に流す、または赤外線もしくはバイオプロトンを頭皮に照射するステップを備える
請求項1乃至11のいずれかに記載の頭皮および毛髪の状態改善方法。
【請求項13】
頭部表面の下方から頭頂部に向けて所定値以上の風速の風を発生させるアーム式ドライヤーによって立毛筋を刺激する立毛筋刺激ステップを備える
請求項1乃至12のいずれかに記載の頭皮および毛髪の状態改善方法。
【請求項14】
前記洗浄ステップの開始以降かつ前記毛母細胞活性化ステップの完了時までの期間の少なくとも一部の期間において、赤外線を身体に照射し全身の血行促進を行う血行促進ステップを備える
請求項1乃至13のいずれかに記載の頭皮および毛髪の状態改善方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−167316(P2011−167316A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33022(P2010−33022)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(510045014)
【Fターム(参考)】