説明

頭皮ケア装置

【課題】金属の微粒子の頭皮への供給を可能にした頭皮ケア装置を提供する。
【解決手段】金属を微粒子化する金属微粒子化手段2を備えた頭皮ケア装置1であって、
金属微粒子化手段2を収容するハウジング3に複数の中空状の突起部4を立設し、前記突起部4の先端部に前記金属微粒子化手段2により微粒子化された金属を放出する放出口5を形成した。更に、前記突起部4の内面に微粒子化された金属が付着することを防止する金属付着防止手段6を備えてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、頭皮に微粒子化された金属を付着させることにより頭皮をケアする頭皮ケア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特開2008−23063号公報(特許文献1)に示されるように、遷移金属の微粒子を放出するヘアードライヤーは知られている。このヘアードライヤーには、遷移金属を含んだ一対の電極に電圧を印加することによって電極間に放電を形成して遷移金属を微粒子化する放電部と、放電部を内蔵するとともに放電部において生成された遷移金属の微粒子が流れる微粒子流路と、微粒子を放出する微粒子放出口と、が設けられている。
【0003】
したがって、このヘアードライヤーでは放電部において生成された遷移金属の微粒子を、微粒子放出口から放出して毛髪に供給することで、活性酸素によるダメージから毛髪を保護することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−23063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来例であるヘアードライヤーにあっては、微粒子放出口から放出された金属の微粒子の多くは頭髪により遮られ頭皮まで届かず、頭皮に金属の微粒子を付着させて活性酸素による頭皮へのダメージを防いだり、頭皮を活性化したりすることができないといった問題点を有していた。
【0006】
本願発明は、上記従来例に鑑みて発明されたものであり、その課題は、金属の微粒子の頭皮への供給を可能にした頭皮ケア装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明では、金属を微粒子化する金属微粒子化手段を備えた頭皮ケア装置であって、
金属微粒子化手段を収容するハウジングに複数の中空状の突起部を立設し、前記突起部の先端部に前記金属微粒子化手段により微粒子化された金属を放出する放出口を形成したことを特徴としている。
【0008】
又、本願請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の頭皮ケア装置において、前記突起部の内面に微粒子化された金属が付着することを防止する金属付着防止手段を備えたことを特徴としている。
【0009】
又、本願請求項3記載の発明では、上記請求項2記載の頭皮ケア装置において、前記金属付着防止手段は、中空状の突起部の内面に所定の電荷を付与するものであることを特徴としている。
【0010】
又、本願請求項4記載の発明では、上記請求項1乃至3のいずれか一項に記載の頭皮ケア装置において、前記突起部に形成された放出口から空気が吐出するように突起部の内部へ空気を送る送風手段を備えたことを特徴としている。
【0011】
又、本願請求項5記載の発明では、上記請求項4に記載の頭皮ケア装置において、突起部の先端と頭部との距離を検知する距離検知手段と、距離検知手段により検知された距離に応じて前記送風手段により送る空気の量を制御する空気量制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
又、本願請求項6記載の発明では、上記請求項5記載の頭皮ケア装置において、送風手段から送られる空気を加熱する加熱手段と、距離検知手段により検知された距離に応じて加熱手段により加える熱量を制御する熱量制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0013】
又、本願請求項7記載の発明では、上記請求項1乃至6のいずれか一項に記載の頭皮ケア装置において、ハウジングに立設された中空状の突起部にそれぞれに対応して金属微粒子化手段の微粒子発生部を配置したことを特徴としている。
【0014】
又、本願請求項8記載の発明では、上記請求項1乃至7のいずれか一項に記載の頭皮ケア装置において、中空状の突起部の内側の形状が先端部に形成された放出口に向かって広がり、放出口に連続するように形成されていることを特徴としている。
【0015】
又、本願請求項9記載の発明では、上記請求項1乃至8のいずれか一項に記載の頭皮ケア装置において、突起部の先端に形成された放出口は、突起部の突出方向に対して傾斜するように形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本願請求項1記載の発明の頭皮ケア装置においては、金属微粒子化手段を収容するハウジングに複数の中空状の突起部を立設し、前記突起部の先端部に前記金属微粒子化手段により微粒子化された金属を放出する放出口を形成したので、頭髪に遮られることなく微粒子化された金属を頭皮に供給することができ活性酸素による頭皮へのダメージを防いだり、頭皮を活性化させることができる。
【0017】
又、本願請求項2記載の発明の頭皮ケア装置においては、特に、前記突起部の内面に微粒子化された金属が付着することを防止する金属付着防止手段を備えたので、微粒子化された金属が突起部の内部に付着することなく、多くの微粒子化された金属を頭皮に供給することができる。
【0018】
又、本願請求項3記載の発明の頭皮ケア装置においては、特に、前記金属付着防止手段は、中空状の突起部の内面に所定の電荷を付与するものであるので、電荷付与手段により微粒子化された金属と反発する電荷を突起部の内面に付与して微粒子化された金属が突起部の内面に付着することを防ぎ、効率的に微粒子化された金属を頭皮に効率的に供給することができる。
【0019】
又、本願請求項4記載の発明の頭皮ケア装置においては、特に、前記突起部に形成された放出口から空気が吐出するように突起部の内部へ空気を送る送風手段を備えたので、空気を吐出することにより微粒子化された金属を頭皮に供給することができ、吐出された空気により頭髪が掻き分けられ、頭髪に遮られることなく頭皮に微粒子化された金属を効果的に供給することができる。
【0020】
又、本願請求項5記載の発明の頭皮ケア装置においては、特に、突起部の先端と頭部との距離を検知する距離検知手段と、距離検知手段により検知された距離に応じて前記送風手段により送る空気の量を制御する空気量制御部と、を備えたので、検知された距離が離れるにつれて送風手段により送る空気の量を多くして効果的に頭髪を掻き分けて頭髪に遮られることなく頭皮に微粒子化された金属を安定して供給することができる。
【0021】
又、本願請求項6記載の発明の頭皮ケア装置においては、特に、送風手段から送られる空気を加熱する加熱手段と、距離検知手段により検知された距離に応じて加熱手段により加える熱量を制御する熱量制御手段と、を備えたので、検知された距離が短くなるにつれて加熱手段により加える熱量を低減させて加熱された空気により頭髪や頭皮に与えるダメージを低減することができる。また、加える熱量を低減させることにより省エネルギー化を図ると共に加熱された空気により金属微粒子化手段が劣化することを防ぐことができる。
【0022】
又、本願請求項7記載の発明の頭皮ケア装置においては、特に、ハウジングに立設された中空状の突起部にそれぞれに対応して金属微粒子化手段の微粒子発生部を配置したので、突起部の先端部に形成された放出口から安定して金属微粒子化手段により微粒子化された金属を供給することができる。
【0023】
又、本願請求項8記載の発明の頭皮ケア装置においては、特に、中空状の突起部の内側の形状が先端部に形成された放出口に向かって広がり、放出口に連続するように形成されているので、金属微粒子化手段により微粒化された金属が突起部の内側に付着することを防ぐことができ、安定して微粒子化された金属を供給することができる。
【0024】
又、本願請求項9記載の発明の頭皮ケア装置においては、特に、突起部の先端に形成された放出口は、突起部の突出方向に対して傾斜するように形成されているので、突起部の内側の表面積が少なくなり金属微粒子化手段により微粒子化された金属が突起部の内側に付着することを防ぐことができ、安定して微粒子化された金属を供給することができる。また、放出口は傾斜して形成されているので頭髪を掻き分け易く頭髪を掻き分けて頭髪に遮られることなく頭皮に微粒子化された金属を安定して供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本願発明の第1の実施形態における頭皮ケア装置を示す側面図。
【図2】本願発明の第1の実施形態における金属微粒化手段を説明する構成図。
【図3】本願発明の第1の実施形態における別の形態の頭皮ケア装置を示す側面図。
【図4】本願発明の第2の実施形態における頭皮ケア装置を示す側面図。
【図5】本願発明の第3の実施形態における頭皮ケア装置を示す側面図。
【図6】本願発明の第3の実施形態における頭皮ケア装置の電気構成を概略的に示すブロック図。
【図7】本願発明の第3の実施形態における頭皮ケア装置の動作を概略的に示すフローチャート。
【図8】本願発明の第3の実施形態における送風手段による空気の送風量と検知手段により検知される検知距離の関係を示す関係図。
【図9】本願発明の第3の実施形態における加熱手段により加える熱量と検知手段により検知される検知距離の関係を示す関係図。
【図10】本願発明の第4の実施形態における頭皮ケア装置を示す側面図。
【図11】本願発明の第4の実施形態における頭皮ケア装置の電気構成を概略的に示すブロック図。
【図12】本願発明の第4の実施形態における頭皮ケア装置の動作を概略的に示すフローチャート。
【図13】本願発明の第4の実施形態における別の形態の頭皮ケア装置を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1〜3は、本願発明における第1の実施形態である頭皮ケア装置1を示している。この頭皮ケア装置1は、金属を微粒子化する金属微粒子化手段2を備え、金属微粒子化手段2を収容するハウジング3には複数の中空状の突起部4が立設され、前記突起部4の先端部に前記金属微粒子化手段2により微粒子化された金属を放出する放出口5が形成されている。また、突起部4の内面には微粒子化された金属が付着することを防止する金属付着防止手段6が備えられている。
【0027】
ハウジング3は、略円筒状の形状(図1における左右方向が円筒の軸方向)を有し、その円状の一端面から複数の中空状の突起部4が立設されており他端面の外側には使用者により操作されるスイッチ7と電源部8が設置されており、ハウジング3の他端面の内側には金属微粒子化手段2が設置されている。
【0028】
中空状の突起部4は、軟性樹脂等の可撓性を有する材質により形成されており、また、先端に向かって丸みを帯びた形状に形成されているので、頭皮に接触しても安全な構造となっている。さらに突起部の4の先端部には放出口5が形成されている。放出口5は1つの突起部4に対して1箇所形成されているが、1箇所に限定されず複数箇所形成されていてもよい。
【0029】
金属微粒子化手段2は、微粒子化された金属を発生させる微粒子発生部9と微粒子発生部9とリード線10を介して接続される高電圧発生部11とで構成されている。微粒子発生部9は、金属を含んだ一対の電極12と前記電極12の間に配置された中間電極13と電極12および中間電極13を固定する電極ホルダ14とによって構成されており、一対の電極12のそれぞれに接続されたリード線10を介して高電圧発生部11に接続されている。高電圧発生部11は電源部8から電源を供給されており、高電圧発生部11により発生された電圧が一対の電極12間に印加され、電極12間に放電が形成されることにより金属の微粒子が生成される。
【0030】
ここで、中間電極13および電極12は例えばステンレスやタングステン等により構成されているが、少なくとも一方の電極12には亜鉛、金、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウムまたはオスミウム等の遷移金属が含まれており、好ましくは、白金または亜鉛が用いられる。白金を電極12として用いれば微粒子化された白金は高い抗酸化作用を有するので抗酸化効果が得られ、亜鉛を用いれば亜鉛の細胞賦活作用のため細胞賦活効果を得ることができる。さらに白金と亜鉛の合金を用いて抗酸化効果および細胞賦活効果を得るようにしてもよい。
【0031】
また、ハウジング3の内面には、微粒子発生部9の周囲から突起部4の方向に亘って微粒子発生部9によって発生された金属微粒子が付着することを防止する金属付着防止手段6として帯電防止シートが固着されており、この帯電防止シートは突起部4の内面にも固着されている。
【0032】
次に、本実施形態の頭皮ケア装置の動作について説明する。使用者は、頭皮ケア装置1の先端を頭部に向けた状態でハウジング3を把持し、ハウジング3の外側に設けられたスイッチ7を操作してスイッチをONの状態にすると、電源部8から高電圧発生部11に電源が供給され、高電圧発生部11が一対の電極12の間に高電圧を印加することにより、電極12間および、電極12と中間電極13との間に放電が形成される。放電が形成されると、放電のエネルギーにより、電極12または中間電極13の一部が微粒子化されて金属微粒子が発生する。このとき発生した金属微粒子には、上述の遷移金属のいずれかが含まれている。使用者は可撓性が確保された突起部4により、頭髪を掻き分けるとともに、頭皮のマッサージを行う。スイッチ7がOFFの状態にされると、電源部8から高電圧発生部11への電源供給がなされなくなり、高電圧発生部11による電極12への電圧印加が停止され、金属微粒子の発生が停止する。
【0033】
したがって、本実施形態の頭皮ケア装置1によれば、可撓性を有する突起部4により頭髪を掻き分けながら頭皮のマッサージおよび頭髪を整えることができる。このときに突起部4の先端部に形成された放出口5から金属微粒子を放出することにより頭皮に確実に金属微粒子を供給することができ、この金属微粒子によって活性酸素による頭皮のダメージ保護できたり、頭皮の活性化を図ることができる。
【0034】
なお、上述の実施形態では、ハウジング3の一端面から突起部4を立設する構成としたが、この構成に限らず、例えば図3に示されるように、略円筒状のハウジング3(図3の上下方向が円筒の軸方向)の外側の曲面から一列以上の突起部4を立設する構成としてもよい。このような構成にすることで、多くの突起部4が存在することにより、効果的に頭皮に金属微粒子を供給することができる。また、電源部8についても、ハウジング3の内部に設ける構成としてもよい。
【0035】
次に、図4に基づいて、第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態の頭皮ケア装置1と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。本実施形態の頭皮ケア装置1は、突起部4に形成された放出口5から空気が吐出するように突起部4の内部へ空気を送る送風手段15を備えており、ハウジング3に立設された中空状の突起部4の内部に金属微粒子化手段2の微粒子発生部9が配置されている。また、金属付着防止手段6として、所定の電荷を付与するものが用いられている。
【0036】
本実施形態の頭皮ケア装置1は略円筒状の円状の一端面から複数の突起部4が立設されており、この一端面とは反対側の他端面に空気の吸入口16が形成され、他端面のハウジング3内部側にはモーター17によりファン18を駆動する送風手段15が設けられている。また、本実施形態においては金属微粒子手段2の微粒子発生部9は複数個存在し、それぞれの微粒子発生部9は、中空状の突起部4のそれぞれの内部に位置するように発生部支持手段30によりハウジング3内に支持されている。ハウジング3の側面には電源部8と電源部8の稼動または停止を操作するスイッチ7とが配設されている。電源部8には高電圧発生部11が内設されており、リード線10を介して微粒子発生部9に電源を供給すると共に、リード線10を介してモーター17に電源を供給することができる構成となっている。
【0037】
さらに突起部4の内面には金属付着防止手段6として、微粒子発生部9により発生した金属微粒子と同じ電荷が付与された荷電シートが固着されているので、同じ電荷同士の反発により金属微粒子が突起部4の内面に付着することを防ぐことができる。
【0038】
次に本実施形態の頭皮ケア装置の動作について説明する。使用者が突起部4の先端を頭部に向けてハウジング3を把持し、ハウジング3の側面に設けられたスイッチ7をONの状態にすると、電源部8からモーター17に電源が供給されモーター17が駆動しファン18が回転することにより、吸入口16から吸入された空気がハウジング3内を流れ突起部4に形成された放出口5から吐出される。このとき、金属微粒子化手段2の微粒子発生部9において発生した金属微粒子が空気と共に放出口5から吐出される。
【0039】
したがって、本実施形態の頭皮ケア装置1においては、送風手段15により空気と共に金属微粒子を頭皮に供給することで、送風方向である頭部に確実に金属微粒子を供給することができ、送風により頭髪が掻き分けられるので、頭皮に効率的に金属微粒子を供給することができる。また、微粒子発生部9を突起部4の内部に配置したので、ハウジング3内に金属微粒子が付着し、突起部4の放出口5から放出される金属微粒子が減少することなく、安定して金属微粒子を頭皮に供給することができる。
【0040】
次に、図5、6に基づいて、第3の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態の頭皮ケア装置1と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。本実施形態の頭皮ケア装置1は、突起部4の先端と頭部との距離を検知する距離検知手段19と、距離検知手段19により検知された距離に応じて送風手段15により送る空気の量を制御する空気量制御部20と、を備える。また、送風手段15から送られる空気を加熱する加熱手段21と、距離検知手段19により検知された距離に応じて加熱手段21により加える熱量を制御する熱量制御部22と、を備えている。さらに、中空状の突起部4の内側の形状は先端部に形成された放出口5に向かって広がり、放出口5に連続するように形成されている。
【0041】
本実施形態の頭皮ケア装置1は、略円筒状のハウジング3の2つの円状の側面を貫く軸線と略直行する方向にハンドル部23がハウジング3から延設されている。そしてハンドル部23には、使用者により操作されるスイッチ7、制御基板24及び制御基板24や加熱手段21や距離検知手段19に電源を供給する電源部8が内設されている。さらにハウジング3の内部の送風手段15の前方側(突起部4側)に加熱手段21としてヒータが配設されており、これにより突起部4に形成された放出口5から加熱手段21により加熱された温風が吹き出すことが可能な構成となっている。
【0042】
また、ハウジング3に立設された突起部4の付近には、放出口5と頭部との距離を検知する距離検知手段19が設けられている。本実施形態の距離検知手段19として赤外線センサが用いられており、赤外線センサと頭部との間の距離Xを測定し、予め設定されている赤外線センサと放出口5との間の距離YをXから減算することにより放出口5と頭部との距離を検知している。なお、簡易的な構成として距離Xから距離Yを減算せずに距離X、すなわち赤外線センサと頭部との間の距離を放出口5と頭部との距離として利用してもよい。
【0043】
図6は、本実施形態の頭皮ケア装置1の電気的構成を概略的に示すブロック図である。図6に示すように、ハンドル部23に内蔵された制御基板24には送風手段15のモーター17、加熱手段21及び金属微粒子化手段2の高電圧発生部11のそれぞれを対応して制御する各制御部、すなわち、空気量制御部20、熱量制御部22、放電制御部25が設けられている。また、制御基板24には電源部8が接続されており、電源部8は上記各制御部20、22、25のそれぞれに電源を供給する。そして、これらの各制御部20、22、25はハンドル部23に設けられたスイッチ7及び距離検知手段19から入力される各信号S1、S2に基づいて供給電力を制御することにより制御対象、すなわち送風手段15による空気の送風量、加熱手段21により加える熱量、高電圧発生部11により電極12に印加する電圧を最適に制御する構成となっている。
【0044】
図7は、本実施形態の頭皮ケア装置1の動作を概略的に示すフローチャートである。使用者がスイッチ7をONの状態にすると(S1)、スイッチ7から信号S1が出力され、信号S1が空気量制御部20、熱量制御部22、放電制御部25に入力されて、各制御部20、22、25はそれぞれの制御対象に電源供給を開始する(S2)。
【0045】
次に、距離検知手段19は放出口5と頭部との間の距離を検知し(S3)、検知距離と予め記憶設定された閾値とを比較し(S4)、閾値よりも検知距離が大きい場合は、空気量制御部20は、送風手段15による空気の送風量を増加させ、熱量制御部22は、加熱手段21により加える熱量を増加させる(S5)。ここで、送風手段15による空気の送風量は図8に示されるように最小送風量と最大送風量とが定められており、最小、最大送風量の間において検知距離が大きくなるに連れて送風量が大きくなるように制御される。加熱手段21により加える熱量は図9に示されるように、最小加熱量と最大加熱量とが定められており、最小、最大加熱量の間において検知距離が大なると加熱量が段階的に大きくなるように制御される。図9においては、加熱量の変化を1段階にしたものを示しているが複数段階変化させるようにしてもよい。また、S4において、閾値と検知距離が等しい場合は空気量制御部20および熱量制御部22は現状の制御を維持する(S6)。また、S4において、閾値よりも検知距離が小さい場合は、空気量制御部20は、送風手段15による空気の送風量を減少させ、熱量制御部22は、加熱手段21により加える熱量を減少させる(S7)。
【0046】
S8においてスイッチ7のOFFの状態が検知されれば一連の処理を終了し、スイッチがONであればS3の処理に戻り前述の処理を繰り返し行う。
【0047】
したがって本実施形態の頭皮ケア装置1によれば、距離検知手段19が突起部4の放出口5と頭部との間の検知距離を自動的に検知し、検知距離に応じて送風手段15および加熱手段21を制御することができる。すなわち検知距離が所定の閾値より小さい場合は加熱手段21より加える熱量を減少させて高温の温風により頭皮や頭髪に与えられるダメージを低減することができるとともに、高温の温風により微粒子発生部9が劣化することを防ぐことができる。さらに送風手段15による空気の送風量は低減されるので省エネルギー化を図ることができる。また、反対に検知距離が所定の閾値より大きい場合には、送風手段15による空気の送風量が増加するので、空気と共に金属微粒子を頭皮に確実に供給することができると共に、送風によって頭髪が掻き分けられることにより安定して金属微粒子を頭皮に供給することができる。
【0048】
次に、図10に基づいて、第4の実施形態について説明する。なお、第3の実施形態の頭皮ケア装置1と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。本実施形態の頭皮ケア装置1は、突起部4の先端に形成された放出口5は、突起部4の突出方向に対して傾斜するように形成されている。なお、この傾斜面は平面形状の傾斜のみならず、凸曲面状の傾斜面や凹曲面状の傾斜面を含むものである。さらに突起部4の先端は頭皮に接触してもよいように丸みを帯びた形状に形成されており、先端に接触スイッチ26が設けられている。
【0049】
図11は、本実施形態の頭皮ケア装置1の電気的構成を概略的に示すブロック図である。図11に示すように、ハンドル部23に内蔵された制御基板24には接触スイッチ26が接続されており、接触が検知されれば信号S3を放電制御部25に出力する。放電制御部25は接触スイッチ26により入力される信号S3に基づいて電力供給を制御することにより制御対象、すなわち高電圧発生部11により電極12に印加する電圧を最適に制御する構成となっている。
【0050】
図12は、本実施形態の頭皮ケア装置1の動作を概略的に表すフローチャートである。
使用者がスイッチ7をONの状態にすると(S11)、放電制御部25が接触スイッチ26から信号S3が入力されているか否か、すなわち接触スイッチ26により接触を検知しているか否かが判断される(S12)。接触が検知されれば、放電制御部25は高電圧制御部11に電源を供給し電極12に電圧を印加し放電を形成して金属微粒子を発生させる(S13)。一方接触が検知されない場合は、S14の処理に移行する。
【0051】
S14においてスイッチ7の状態が検知されスイッチがOFFであれば一連の処理を終了し、スイッチがONであればS12の処理に戻り前述の処理を繰り返し行う。
【0052】
したがって、本実施形態の頭皮ケア装置1によれば、接触スイッチ26を設けることで頭皮ケア装置1が頭部に接触したときのみ微粒子発生部9から金属微粒子が発生するので、効率的に頭皮に金属微粒子を供給することができ、微粒子発生部9の長寿命化を図れると共に省エネルギー化を図ることができる。
【0053】
なお、上述の実施形態においては、空気量制御部20、熱量制御部22および放電制御部25はハンドル部23に内設された制御基板24に設けられる構成としたが、これに限らずハウジング3内にサブ基板を設ける等、各制御部20、22、25を分散配置する構成であってもよい。
【0054】
また、上記第2の実施形態のように突起部4の内部に微粒子発生部9が設けられている場合には突起部4および微粒子発生部9を脱着可能とする構成としてもよい。このようにすることで、突起部4を外すことで頭皮ケア装置1を通常のドライヤーとしても使用することができ、通常のドライヤーとして使用すれば、微粒子発生部9が使用されず微粒子発生部9の劣化を防ぐことができる。
【0055】
また、図13に示されるように、ハウジング3から突起部4と共に細いブリスル27を立設し、ブリスル27により頭髪を掻き分ける構造としてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 頭皮ケア装置
2 金属微粒子化手段
3 ハウジング
4 突起部
5 放出口
6 金属付着防止手段
9 微粒子発生部
15 送風手段
19 距離検知手段
20 空気量制御部
21 加熱手段
22 熱量制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属を微粒子化する金属微粒子化手段を備えた頭皮ケア装置であって、
金属微粒子化手段を収容するハウジングに複数の中空状の突起部を立設し、前記突起部の先端部に前記金属微粒子化手段により微粒子化された金属を放出する放出口を形成したことを特徴とする頭皮ケア装置。
【請求項2】
前記突起部の内面に微粒子化された金属が付着することを防止する金属付着防止手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の頭皮ケア装置。
【請求項3】
前記金属付着防止手段は、中空状の突起部の内面に所定の電荷を付与するものであることを特徴とする請求項2記載の頭皮ケア装置。
【請求項4】
前記突起部に形成された放出口から空気が吐出するように突起部の内部へ空気を送る送風手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の頭皮ケア装置。
【請求項5】
突起部の先端と頭部との距離を検知する距離検知手段と、距離検知手段により検知された距離に応じて前記送風手段により送る空気の量を制御する空気量制御部と、を備えたことを特徴とする請求項4記載の頭皮ケア装置。
【請求項6】
送風手段から送られる空気を加熱する加熱手段と、距離検知手段により検知された距離に応じて加熱手段により加える熱量を制御する熱量制御手段と、を備えたことを特徴とする請求項5記載の頭皮ケア装置。
【請求項7】
ハウジングに立設された中空状の突起部にそれぞれに対応して金属微粒子化手段の微粒子発生部を配置したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の頭皮ケア装置。
【請求項8】
中空状の突起部の内側の形状が先端部に形成された放出口に向かって広がり、放出口に連続するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の頭皮ケア装置。
【請求項9】
突起部の先端に形成された放出口は、突起部の突出方向に対して傾斜するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の頭皮ケア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−4922(P2011−4922A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150774(P2009−150774)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】