説明

頭皮マッサージ用ブラシ

【課題】これによって、毛髪を掻き分ける機能が効率良く発揮されると共に、頭皮に押し当てたときに先端部分に力が伝わりやすくなる、頭皮マッサージ用ブラシを基台のブラシ面に複数植設されるへら状突起を提供する。
【解決手段】へら状突起14は、エラストマー樹脂からなり、扁平な横断面形状を有するへら状部14aの先端部分に、複数の先端突起16が、扁平な横断面形状の長軸方向Xに間隔をおいて立設配置されている。ブラシ面13から先端突起16の先端までの高さh1が5〜25mmとなっており、へら状部14aの高さh2が先端突起16の先端までの高さh1の70〜95%を占めている。先端突起16は、先端が曲面状に面取りされた略円錐形状を有しており、へら状部14aの先端から1〜5mmの高さで突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭皮マッサージ用ブラシに関し、特に基台のブラシ面にエラストマー樹脂からなる複数の突起が植設されている頭皮マッサージ用ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
洗髪や毛髪の手入れを行う際に使用するヘアブラシとして、例えばブラシを構成する刷毛状の突起の先端に球状体を設けたものや、略円錐形の突起を有するもの、或いは異なる太さと長さを備える突起を組み合わせたもの等、種々の形態のものが知られている。また、近年、頭皮を掻く機能や、毛髪を掻く機能、或いは絡みついた毛髪を解く機能の他に、汚れや臭いの原因となる皮脂を除去したり毛穴を洗浄する機能に優れると共に、頭皮や毛穴に対するマッサージ効果に優れるマッサージ用ブラシも開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
さらに、頭皮のマッサージ効果を向上させるべく、基台に植設されて毛髪を掻き分ける複数の突起を、エラストマーや合成ゴム等の柔軟な素材を用いて形成すると共に、突起の先端部分に複数の小突起を設け、これらの小突起を柔軟に屈曲させながら頭皮に対して多点で接触させるようにした頭皮マッサージ用ブラシも開発されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−60640号公報
【特許文献2】特開2005−160684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エラストマーや合成ゴム等の柔軟な素材を用いて複数の突起を形成した特許文献2の頭皮マッサージ用ブラシでは、各突起は、その体積の多くを占める土台部と、土台部の先端部分に立設する複数の小突起とからなり、小突起は、太さに対して2.5〜7倍程度の長さを備えている。そして、突起を頭皮に押し付けた際に、複数の小突起が、例えば互いに離れて開くようにしながら頭皮と接触すると共に、個々に撓みながら動いて頭皮を捻ることによってマッサージ効果を高めることになるが、小突起が撓み易いため、汚れや臭いの原因となる皮脂を除去したり毛穴を洗浄する機能に劣っていた。
【0006】
本発明は、主として毛髪を掻き分ける機能を発揮する複数の突起と、主としてマッサージ効果を発揮する複数の突起とを、柔軟なエラストマー樹脂を用いて基台のブラシ面に異なる形状の突起として植設することにより、優れたマッサージ効果が得られると共に、優れた皮脂の除去機能や毛穴の洗浄機能を発揮することのできる頭皮マッサージ用ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、扁平な横断面形状を有すると共に、先端部分に複数の先端突起が前記扁平な横断面形状の長軸方向に間隔をおいて立設配置された、エラストマー樹脂からなる複数のへら状突起と、先端が曲面状に面取りされた、エラストマー樹脂からなる複数の錐体状突起とが、基台のブラシ面に植設されている頭皮マッサージ用ブラシを提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の頭皮マッサージ用ブラシによれば、主として毛髪を掻き分ける機能を発揮する複数の突起と、主としてマッサージ効果を発揮する複数の突起とを、柔軟なエラストマー樹脂を用いて基台のブラシ面に異なる形状の突起として植設することにより、優れたマッサージ効果が得られると共に、優れた皮脂の除去機能や毛穴の洗浄機能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係る頭皮マッサージ用ブラシの斜視図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態に係る頭皮マッサージ用ブラシのブラシ面を示す底面図である。
【図3】本発明の好ましい一実施形態に係る頭皮マッサージ用ブラシの断面図である。
【図4】(a)はへら状突起の正面図、(b)はへら状突起の側面図である。
【図5】錐体状突起の正面図である。
【図6】(a)は比較例1の頭皮頭皮マッサージ用ブラシにおけるへら状突起の配置状態を説明する略示平面図、(b)は比較例1の頭皮頭皮マッサージ用ブラシにおける錐体状突起の配置状態を説明する略示平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1及び図2に示す本発明の好ましい一実施形態に係る頭皮マッサージ用ブラシ10は、把持部11を有する基台12のブラシ面13に、エラストマー樹脂からなる異なる形状のへら状突起14と錐体状突起15とを各々複数植設することによって構成される。本実施形態の頭皮マッサージ用ブラシ10は、例えば洗髪や毛髪の手入れを行う際に、把持部11を指の間に挟み込み、ブラシ面13とは反対側の基台12の上面に手の平を密着させて、当該上面を覆うようにしながらブラシ10を把持し、ブラシ面13に植設した複数のへら状突起14及び錐体状突起15の先端を頭皮に押し当てた状態で、毛髪を掻き分けるようにしつつブラシ10を動かすことにより、必要に応じて頭皮や毛髪に塗布した洗浄剤、ヘアケア剤、化粧料等の作用と相俟って、皮脂の除去や毛穴の洗浄を効率良く行えるようにすると共に、優れたマッサージ効果が得られるようにするものである。
【0011】
そして、本実施形態の頭皮マッサージ用ブラシ10は、扁平な横断面形状を有すると共に、先端部分に複数の先端突起16が扁平な横断面形状の長軸方向X(図2参照)に間隔をおいて立設配置された、エラストマー樹脂からなる複数のへら状突起14と、先端が曲面状に面取りされた、エラストマー樹脂からなる複数の錐体状突起15とが、基台12のブラシ面13に植設されることによって構成されている。
【0012】
本実施形態では、基台12は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等からなるプラスチック製の成形品であって、図3にも示すように、底面が楕円形状の装着開口17aとして開口し、上面が滑らかな湾曲凸面となった、例えば長軸の長さが80〜100mm程度、短軸の長さが70〜90mm程度の大きさ(基台の大きさです。)の楕円平面形状を有する基台本体17と、この基台本体17の装着開口17aを閉塞するように嵌め込み固定される基板18とからなる。
【0013】
基台本体17には、その内側に、後述するエラストマー成形体19の底盤部19aを装着するための装着凹部17bが、装着開口17aを底面側に開口させて設けられていると共に、基台本体17の上面には、高波状に後方に反った形状で上方に突出する把持部11が、基台本体17の前方部分に設けられている。
【0014】
基板18は、基台本体17の装着開口17aと同様の楕円平面形状を備えており、その突状に形成された周端面18aを、装着開口17aの開口縁部に沿って基台本体17の内周面に設けられた係止凹溝17cに嵌め込み係止することにより、基台本体17に一体として固定される。また基板18の下面は、基台12の底面となってブラシ面13を形成すると共に、基板18には、後述するへら状突起14及び錐体状突起15の配設位置に対応させて、楕円突起穴20及び円形突起穴21が各々複数開口形成されている(図2参照)。
【0015】
そして、基板18は、エラストマー成形体19の底盤部19aから突出して一体成形された複数のへら状突起14及び複数の錐体状突起15を、複数の楕円突起穴20及び複数の円形突起穴21に各々挿通させた状態で、基台本体17の装着凹部17bの内側天面部から垂下する支持棒17d(図3参照)や、装着凹部17bの周縁段差部17eとの間にエラストマー成形体19の底盤部17aを挟み込みつつ、基台本体17の装着開口17aを覆って嵌め込み固定される。これによって、エラストマー成形体19は、複数のへら状突起14及び複数の錐体状突起15を、頭皮マッサージ用ブラシ10のブラシ面13を構成する基板18の下面から各々下方に突出させつつ、底盤部19aを装着凹部17bに収容固定した状態で、基台12に取り付けられることになる。
【0016】
エラストマー成形体19は、エラストマー樹脂として、例えばオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー等を用いて形成した樹脂成形品であって、基台本体17の装着開口17aと同様の楕円平面形状を有する板状の底盤部19aと、底盤部19aから一体として突出する複数のへら状突起14及び複数の錐体状突起15とからなる。エラストマー成形体19は、上述のように、底盤部19aを装着凹部17bに収容固定した状態で基台本体17に取り付けられ、基板18によるブラシ面13からへら状突起14及び錐体状突起15を後述する所望の高さで突出させる。ここで、エラストマー成形体19を形成するためのエラストマー樹脂としては、例えば硬度(ショアA硬度、株式会社テクロック製のゴム硬度計(GS709N 形式A)ASTM D2240A 0−100(ショアA硬度)に準拠して測定された数値)が40〜80の素材を用いることが好ましい。エラストマー成形体19を形成するためのエラストマー樹脂としてこのような素材のものを用いることにより、頭皮を傷つけず、かつ痛くない圧力で頭皮に押し付けることができ、適度な刺激を与えることが可能であり、優れたマッサージ効果が得られると共に、必要に応じて頭皮や毛髪に塗布した洗浄剤等の作用と相俟って、皮脂の除去や毛穴の洗浄を効率良く行うことが可能になる。また、本実施形態では、植設基台としての底盤部19aを備えるエラストマー成形体19を介してへら状突起14及び錐体状突起15をブラシ面13から突出させることにより、複数のへら状突起14及び複数の錐体状突起15をブラシ面13に所望の高さで容易に植設することが可能になる。なお、頭皮マッサージ用ブラシ10をシャンプーや育毛剤と共に使用する場合には、エラストマー成形体19は、これらに対する耐薬品性に優れているオレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマーを用いて形成することが好ましい。
【0017】
ブラシ面13に植設されるへら状突起14は、ブラシ面13に沿った根元部の横断面形状が、例えば長軸の長さが5〜20mm程度、短軸の長さが2〜15mm程度の大きさの扁平な楕円形状となっていると共に(図2参照)、図4(a),(b)にも示すように、略相似の断面形状を保持したまま、先端に向かって僅かに先細りの形状となっているへら状部14aと、へら状部14aの先端からさらに上方に突出する3本の先端突起16とからなる。またへら状突起14は、ブラシ面13から先端突起16の先端までの高さh1が例えば5〜25mm、好ましくは10〜20mmとなるよう植設されると共に、へら状部14aの高さh2が先端突起16の先端までの高さh1の70〜95%を占めていて、へら状部14aがへら状突起14の主体部分となるように植設される。これによって、毛髪を掻き分ける機能が効率良く発揮されると共に、頭皮に押し当てたときに先端部分に力が伝わりやすくなる。
【0018】
へら状突起14の先端部分に設けられた先端突起16は、例えば先端が曲面状に面取りされた略円錐形状を有しており、へら状部14aの先端から例えば1〜5mmの高さh3で突出すると共に、へら状突起14の扁平な横断面形状の長軸方向Xに例えば根元部における間隔s1が0〜5mm、頂部における間隔s2が1〜7mm、好ましくは2〜5mmの間隔をおいて、各へら状突起14に各々3本づつ立設配置される。なお、先端突起16の高さh3と根元部における太さ(直径)dとの比(h3/d)は0.4〜2.5となっていることが好ましく、1.0〜2.0となっていることがさらに好ましい。先端突起16の高さh3と根元部における太さdとの比を0.4〜2.5とすることにより、頭皮に押し当てたときに、毛髪を掻き分けつつ頭皮や毛穴に到達し易くなって好適な皮脂の洗浄効果が発揮されると共に、適度な刺激によって優れたマッサージ効果が得られることになる。また、特に先端突起16の高さh3と根元部における太さdとの比を2.5以下として、先端突起16の高さを抑制することにより、先端突起16を介して力が効果的に伝わりやすくなる他、曲がりや撓みを生じ難くなり、毛髪のからみつきが少なくなると共に、からみついた毛髪を取り除くことも容易になる。なお、先端突起16の太さdは、根元部における断面形状が円形の場合はその直径を、円形以外の場合は断面2次半径の2倍を意味する。
【0019】
ブラシ面13に植設される錐体状突起15は、根元部の横断面形状が、例えば直径4〜10mm程度の大きさの円形となっていると共に(図2参照)、図5にも示すように、先端が曲面状に面取りされ、先端に向かって先細りの形状を備える略円錐形状を有している。またブラシ面13から先端までの高さh4が、例えば5〜25mm、好ましくは10〜20mmとなるよう植設されている。
【0020】
ここで、錐体状突起15は、その高さh4が、へら状突起14のブラシ面13から先端突起16の先端までの高さh1と略同じになるように植設されることが好ましい。先端突起16の先端の高さh1と錐体状突起15の先端の高さが略同じになるように、へら状突起14と錐体状突起15が植設されることにより、異なる2種類の突起が同時に多点で頭皮に当たって頭皮に違った刺激を与えることが可能になり、効率的なマッサージ効果が得られると共に、皮脂の洗浄効果にも優れることになる。なお、「略同じ高さ」には、先端突起16の先端の高さh1と錐体状突起15の先端の高さh4が同じ高さに植設されている場合の他、例えば0.1〜5mm程度の僅かな高さの誤差の範囲でへら状突起14と錐体状突起15が植設されている場合も含まれる。また、複数のへら状突起14の先端突起16の先端と複数の錐体状突起15の先端を連ねた先端連設面は、平坦な面とする他、例えば頭の輪郭形状に沿って内側に窪んだ凹状の湾曲面とすることもできる。先端連設面を凹状の湾曲面とすることにより、頭皮のマッサージ効果や皮脂の洗浄効果がさらに効率良く発揮されることになる。
【0021】
そして、本実施形態では、図2に示すように、基台12のブラシ面13の略全体に亘って略均等に分散配置されて、へら状突起14が16箇所に、錐体状突起15が8箇所に各々植設されている。また、本実施形態では、基台12のブラシ面13の少なくとも周縁に沿った外周部分にへら状突起14が12箇所に植設されており、これらの外周部分のへら状突起14によって囲まれる内側領域22に、錐体状突起15が植設されている。錐体状突起15が外周部分のへら状突起14によって囲まれる内側領域22に植設されることにより、へら状突起14が毛髪を掻き分けつつ内側領域22に導くガイドとしての役割を果たすことになり、錐体状突起15が頭皮に接触しやすくなって、より効果的に頭皮に刺激を与えることが可能になる。
【0022】
さらに、本実施形態では、外周部分のへら状突起14によって囲まれる内側領域22の中央部分を横断して、4箇所のへら状突起14が列状に並んで1列設けられている。内側領域22の中央部分を横断してへら状突起14が列状に並んで植設されていることにより、へら状突起14によるガイドとしての機能がより効果的に発揮されると共に、頭皮マッサージ用ブラシ10をブラシ面13の短軸方向に移動させた際に、頭皮の所定箇所にへら状突起14と錐体状突起15が交互に接触することになり、皮脂の掻き取りと頭皮のマッサージを交互に行って、頭皮のマッサージ効果や皮脂の洗浄効果がさらに効率良く発揮されることになる。
【0023】
さらにまた、本実施形態では、16箇所のへら状突起14は、扁平な横断面形状の長軸方向Xを、楕円形状のブラシ面13の短軸方向と平行な同じ方向に向けて植設されている。へら状突起14が、扁平な横断面形状の長軸方向Xを同じ方向に向けて植設されていることにより、毛髪の付着やからみ付きを効果的に回避することが可能になると共に、毛髪が付着したりからみ付いても容易に除去することが可能になり、また頭皮マッサージ用ブラシ10をブラシ面13の短軸方向に移動させた際に、頭皮や毛髪を掻く機能が向上する。
【0024】
また、本実施形態では、へら状突起14及び錐体状突起15は、隣接する突起14,15の根元部の間に2〜15mmの間隔s3を保持してブラシ面13に植設されている。へら状突起14及び錐体状突起15の根元部の間に2〜15mmの間隔s3が保持されることにより、毛髪の付着やからみ付きを効果的に回避することが可能になると共に、毛髪が付着したりからみ付いても容易に除去することが可能になり、また頭皮や毛髪を掻く機能が向上する。
【0025】
さらに、本実施形態では、基台12のブラシ面13に描いた複数の平行な仮想の直線Y−Y(本実施形態では楕円形状のブラシ面13の短軸方向と平行な方向に延設する5本の線)によって1列づつ分割することができるように、へら状突起14及び錐体状突起15が複数列(本実施形態では6列)に植設されており、且つ仮想の各直線Y−Yに沿った帯状間隔領域23が、突起14,15の根元部の間に7〜15mmの幅bで保持されるように、へら状突起14及び錐体状突起15が配置されている。突起14,15の根元部の間に7〜15mmの幅bの帯状間隔領域23を保持してへら状突起14及び錐体状突起15が配置されることにより、毛髪の付着やからみ付きを効果的に回避することが可能になると共に、直線状の帯状間隔領域23に沿って例えば指をスライド移動させたり、シャワー流水を流すことにより、毛髪が付着したりからみ付いても容易に除去することが可能になる。また、突起14,15を複数列に植設でき、広域に多数配置できるため、へら状突起14及び錐体状突起15の先端を頭皮に押し当てた時に頭皮に多点で当たることになり、使用者に痛みを感じさせることなく、好適な圧力で頭皮に押し付けることが可能になる。さらに、頭皮や毛髪を掻く機能も向上する。
【0026】
なお、本実施形では、5本の線よって分割された6列の突起14,15のうち、両端部分の列を除いた4列においては、3箇所のへら状突起14と2箇所の錐体状突起15とが交互に配置されており、これによって、頭皮マッサージ用ブラシ10をブラシ面13の短軸方向に移動させた際に、頭皮の所定箇所にへら状突起14と錐体状突起15が交互に接触することになり、皮脂の掻き取りと頭皮のマッサージを交互に行って、頭皮のマッサージ効果や皮脂の洗浄効果がさらに効率良く発揮されることになる。
【0027】
上述のような構成を備える本実施形態の頭皮マッサージ用ブラシ10では、例えば把持部11を指の間に挟み込み、ブラシ面13とは反対側の基台12の上面に手の平を密着させて、当該上面を覆うようにしながらブラシ10を把持し、ブラシ面13に植設した複数のへら状突起14及び錐体状突起15の先端を頭皮に押し当てた状態で、毛髪を掻き分けるようにしてブラシ10を動かすことにより、必要に応じて洗浄剤、ヘアケア剤、化粧料等を頭皮や毛髪に塗布しつつ、洗髪や毛髪の手入れを行う。ここで、把持部11は、その側面が、指の側面の形状に沿った凹状に窪んだ形状を備えており、ブラシ10を手にフィットさせつつ安定した状態で把持させて、例えば頭皮マッサージ用ブラシ10をブラシ面13の短軸方向に移動させながら毛髪を掻き分ける操作を、容易且つスムーズに行うことを可能にしている。
【0028】
そして、本実施形態の頭皮マッサージ用ブラシ10によれば、主として毛髪を掻き分ける機能を発揮する複数のへら状突起14と、主としてマッサージ効果を発揮する複数の錐体状突起15とを、柔軟なエラストマー樹脂を用いて基台12のブラシ面13に異なる形状の突起として植設することにより、優れたマッサージ効果が得られると共に、優れた皮脂の除去機能や毛穴の洗浄機能を発揮することが可能になる。すなわち、本実施形態によれば、基台12のブラシ面13に、扁平な横断面形状を有し、先端部分に複数の先端突起16が立設配置されたエラストマー樹脂からなる複数のへら状突起14と、先端が曲面状に面取りされたエラストマー樹脂からなる複数の錐体状突起15とが植設されているので、特に錐体状突起15による、頭皮及び毛根部付近を好適な圧力で刺激するという作用によって、優れたマッサージ効果を得ることが可能になると共に、先端突起16が立設配置されたへら状突起14による毛髪を掻き分ける作用、及び先端突起16が押し付け圧力を受けて痛みを感じさせない状態で頭皮に当たる作用によって、皮脂を除去する機能や毛穴の洗浄する機能を効果的に発揮させることが可能になる。
【0029】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、ブラシ面の周縁に沿った外周部分にへら状突起を植設し、これらの内側領域に錐体状突起を植設したり、内側領域の中央部分を横断してへら状突起の列を設ける必要は必ずしもなく、複数のへら状突起と複数の錐体状突起とをブラシ面の全体に混在させつつランダムに植設することもできる。また、へら状突起は、楕円の横断面形状の他、長円や矩形等のその他の扁平な横断面形状を有するものであっても良く、錐体状突起は略円錐形状の他、角錐形状等であっても良い。さらに、へら状突起に先端突起を2本又は4本以上設けることもでき、先端突起は、円錐形状以外のその他の形状のものであって良い。
【実施例】
【0030】
以下、実施例及び比較例により、本発明の頭皮マッサージ用ブラシをさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
〔実施例1〕
上記実施形態の頭皮マッサージ用ブラシ10と同様の構成を備えるブラシを、実施例1の頭皮マッサージ用ブラシとした。なお、へら状突起のブラシ面に沿った根元部の横断面形状を、長軸の長さが10mm、短軸の長さが5mmの扁平な楕円形状とし、ブラシ面から先端突起の先端までの高さh1を17mmとした。先端突起は、根元部における太さdを2mmとし、高さh3を3mmとした。したがって、先端突起の高さh3と根元部における太さ(直径)dとの比(h3/d)は1.5である。隣接する先端突起の根元部における間隔s1を1mm、頂部における間隔s2を3mmとした。錐体状突起15は、根元部の直径を6.5mm、高さを17mmとした。さらに、仮想の直線Y−Yに沿った帯状間隔領域の幅bを9mmとした。これらの突起はエラストマー樹脂でつくられ、その硬度(ショアA硬度)は57である。
【0032】
〔実施例2〕
仮想の直線Y−Yに沿った帯状間隔領域の幅bを4mmとした以外は実施例1の頭皮マッサージ用ブラシと同様の構成を備えるブラシを実施例2の頭皮マッサージ用ブラシとした。
【0033】
〔比較例1〕
錐体状突起を設けることなく、へら状突起のみを複数ブラシ面に配置したブラシを、比較例1の頭皮マッサージ用ブラシとした。なお、複数のへら状突起は図6(a)に示すように配置し、へら状突起のブラシ面に沿った根元部の横断面形状を、長軸の長さが10mm、短軸の長さが5mmの扁平な楕円形状とし、ブラシ面から先端突起の先端までの高さh1を17mmとした。先端突起は、根元部における太さdを2mmとし、高さh3を10mmとした。したがって、先端突起の高さh3と根元部における太さ(直径)dとの比(h3/d)は5である。隣接する先端突起の根元部における間隔s1を1.0mm、頂部における間隔s2を3mmとした。さらに、仮想の直線Y−Yに沿った帯状間隔領域の幅bを9mmとした。
【0034】
〔比較例2〕
へら状突起を設けることなく、錐体状突起のみを複数ブラシ面に配置したブラシを、比較例1の頭皮マッサージ用ブラシとした。なお、複数の錐体状突起の図6(b)に示すようにブラシ面の全体に亘って略均等にランダムに配置し、錐体状突起15は、根元部の直径を6.5mm、高さを17mmとした。
【0035】
〔使用評価〕
実施例1,2、及び比較例1,2の頭皮マッサージ用ブラシを、10人のモニターにシャンンプーを用いた洗髪時に実際に使用してもらい、クシ通りの良さ、マッサージ感、洗浄感、絡まった毛の取り除き易さの各項目について、使用評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、各評価項目について、良好と答えたモニターが10人中の10〜9人の場合を「◎」、8〜6人の場合を「○」、5〜4人の場合を「△」、3〜0人の場合を「×」として評価した。
【0036】
【表1】

【0037】
表1に示す評価結果によれば、本発明に係る実施例1,2の頭皮マッサージ用ブラシによれば、クシ通りの良さ、マッサージ感、及び洗浄感のいずれについても良好な結果が得られることがわかった。
【符号の説明】
【0038】
10 頭皮マッサージ用ブラシ
11 把持部
12 基台
13 ブラシ面
14 へら状突起
14a へら状部
15 錐体状突起
16 先端突起
17 基台本体
17a 装着開口
17b 装着凹部
17c 係止凹溝
17d 支持棒
17e 周縁段差部
18 基板
18a 基板の周端面
19 エラストマー成形体
19a エラストマー成形体の底盤部
20 楕円突起穴
21 円形突起穴
22 内側領域
23 帯状間隔領域
h1 へら状突起の高さ
h2 へら状部の高さ
h3 先端突起の高さ
h4 錐体状突起の高さ
d 先端突起の太さ
s1 先端突起間の根元部における間隔
s2 先端突起間の頂部における間隔
s3 突起間の間隔
b 帯状間隔領域の幅
X へら状突起の扁平な横断面形状の長軸方向
Y−Y 基台のブラシ面に描いた平行な仮想の直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台のブラシ面に複数植設されて頭皮マッサージ用ブラシを構成するへら状突起であって、
エラストマー樹脂からなり、扁平な横断面形状を有するへら状部の先端部分に、複数の先端突起が、前記扁平な横断面形状の長軸方向に間隔をおいて立設配置されているへら状突起。
【請求項2】
前記ブラシ面から前記先端突起の先端までの高さが5〜25mmとなっており、前記へら状部の高さが前記先端突起の先端までの高さの70〜95%を占めている請求項1記載のへら状突起。
【請求項3】
前記へら状部は、前記ブラシ面に沿った根元部の横断面形状が、長軸の長さが5〜20mm、短軸の長さが2〜15mmの大きさの扁平な楕円形状となっていると共に、略相似の断面形状を保持したまま、先端に向かって僅かに先細りの形状となっている請求項1又は2記載のへら状突起。
【請求項4】
前記先端突起は、先端が曲面状に面取りされた略円錐形状を有しており、前記へら状部の先端から1〜5mmの高さで突出している請求項1〜3の何れか1項記載のへら状突起。
【請求項5】
前記先端突起は、前記へら状部の扁平な横断面形状の長軸方向に、根元部における間隔が0〜5mm、頂部における間隔が1〜7mmの間隔をおいて、前記へら状部の先端部分に3本立設配置されている請求項1〜4の何れか1項記載のへら状突起。
【請求項6】
前記先端突起の高さと根元部における太さとの比が0.4〜2.5となっている請求項1〜4の何れか1項記載のへら状突起。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項記載のへら状突起が基台のブラシ面に複数植設されている頭皮マッサージ用ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−55714(P2012−55714A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−267481(P2011−267481)
【出願日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【分割の表示】特願2006−110328(P2006−110328)の分割
【原出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】