説明

頭皮洗浄シャワーヘッド

【課題】 水道水を高圧化し、頭皮に直接当ててその洗浄を効果的に行うと共に、通常水圧へ簡単に切り替え可能にして、体の洗浄も通常通りにできるシャワーヘッドを提供する。
【解決手段】 内部に細孔を有して水を吐出する複数のブラシ状ノズルを有するシャワーヘッドにおいて、シャワーヘッドは更に、水流を分岐する複数の分岐穴とを持つ切替固定部と、水流分岐穴と対面し、該分岐穴からの水流を切り替える水流切替板と、シャワー水を外部に吐出する複数の吐出穴とを有する切替可動部とからなる。通常のシャワー時にはシャワー水は該切替固定部を経て、該切替可動部の該吐出穴から通常の水量、水圧で吐出され、頭皮洗浄時には該切替可動部を回転することで該分岐穴からの水流を切り替えて通常吐出穴を閉じ、頭皮洗浄用の該高圧水吐出穴からのみシャワー水を高圧で吐出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシャワーヘッドに関し、特に頭皮の洗浄に適した頭皮洗浄シャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラーリングが普及し、髪の毛が気になる熟年層が多くなるにつれて、頭髪のケアや育毛が注目されている。頭髪のケアは大きく分けて1)髪の毛のケア、2)頭皮ケアに分かれるが、従来は髪の毛のケアが中心で、シャンプー、リンス、育毛剤などを使って髪の毛に潤いを与えたり、枝毛を防いでいた。しかし最近では根本的な頭髪ケアが求められ、頭皮のケアに対する関心が高まっている。即ち頭皮に余分な皮脂や汚れ、あるいはカラーリング剤、シャンプー、リンスが残存すると、酸素を十分供給できず、抜け毛やふけ、かゆみの原因となり、髪の毛を丈夫に保つことができないことから、頭皮を日常的に清潔に保つ必要性が認識されてきた。
【0003】
そこでシャワーで洗髪する際の方法に強い関心が寄せられている。通常はシャンプーで頭髪を泡立ててシャワー水で洗浄するが、この方法は髪の毛の洗浄には有効でも、濡れた頭髪や水膜に阻まれて頭皮の毛穴の皮脂や汚れまで除去するのは難しい。爪やブラシで強くこするとかえって頭皮を傷つけることがある。即ち頭皮のケアが十分できていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで従来から頭皮を洗浄するシャワー装置がいくつか提案されている。その1つに例えば浴室内に、ポンプなどを内蔵した頭皮洗浄器を設置し、ポンプで水道水の圧力を高めて吐水流を作り出すものがある(特許文献1を参照)。即ち強力な吐水流で頭皮をたたいて頭皮洗浄を行うもので、それなりの効果は想定されるが、浴室内に電動式の装置を設置し、洗髪後に該装置をセットして再洗浄するので面倒、充電に時間がかかる、浴室に電気器具をおくのは好ましくない、などの問題がある。
【0005】
またシャワーヘッドにブラシ状の突起を多数設け、それぞれ突起内部を空洞にしてその突起先端から水の細流を出すものが提案されている(特許文献2を参照)。ブラシ状の突起を直接、頭皮に当接させて洗髪することで、濡れた髪や水膜に妨げられずに頭皮を洗浄しようとするものである。しかしそのようなブラシを頭皮に当接しても、洗髪中は当然、頭皮は水(膜)で被われているので、それに抗して毛穴の皮脂や汚れを取るには、吐水流の水圧はかなり高くなければならない。しかし一般に浴室のシャワーヘッドは洗髪のみならず体も洗うためのものであり、水圧が高いと使い勝手が悪くなったり不快感を感じ、現実的には実施可能ではない。
【特許文献1】特許公開2003−210238
【特許文献2】特開平11−225827
【0006】
更に頭髪を洗浄する際、水道水の塩素が頭髪を傷つけることからシャワーヘッドを通して水道水の塩素分を除去し、頭髪を保護する成分を加えることが望ましい。シャワーヘッドを通して塩素分を除去し、頭髪保護成分を加えることは周知であり、商品化もされているが、頭髪のケアや育毛の観点からは、上記の頭皮の洗浄と共に、総合的に頭髪をケアすることが肝要である。
【0007】
従がって本発明の目的は、電動ポンプのような特殊な装置を使用せず、水道の高水圧を利用して頭皮の洗浄を効果的に行うと共に、高圧水を通常水圧に簡単に切り替え可能にして、体の洗浄も通常通りにできるシャワーヘッドを提供することである。また頭皮の洗浄と共に、水道水に含まれる塩素分を除去し、頭髪保護成分を加えて頭髪を総合的にケアできるシャワーヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題を解決するため、本発明の実施態様では、内部に細孔を有して水を吐出する複数のブラシ状ノズルを有し、前記ノズル及び吐水を直接、頭皮に当接して頭皮を洗浄するシャワーヘッドにおいて、該シャワーヘッドは更に、シャワーヘッドに固定し、水路側にメスネジ部を有する固定部と、該メスネジ部と螺合結合し、内部が空洞で水路となったオスネジ部と、水流を分岐する複数の分岐穴とを持つ切替固定部と、該水流分岐穴と対面し、該分岐穴からの水流を切り替える水流切替板と、シャワー水を外部に吐出する複数の吐出穴とを有する切替可動部とを備える。該水流切替板は通常のシャワー用の吐水のための通常水吐出穴と、頭皮洗浄用の高圧水吐出穴を有し、該切替可動部は更に、該切替固定部に回転可能に固定された保持部と、該切替可動部と一体成形し、該切替可動部全体を切替固定部に対して回転可能な切替レバーとを有する。該シャワーヘッドは更に、内部が細孔となった複数のブラシ状ノズルと、ノズルを保持するブラシ保持部とからなるブラシ部を備え、それぞれのブラシ状ノズルはノズル基底部を共通基盤とし、ブラシ保持部とブラシ状ノズルを一体に固定し、ブラシ保持部の周辺部には、通常のシャワー時のシャワー水を通過させる開口穴を設ける。そして通常のシャワー時にはシャワー水は該固定部と、該切替固定部とを経て、該切替可動部の該通常水吐出穴から通常の水量、水圧で吐出され、頭皮洗浄時には該切替レバーを回転することで該切替可動部を回転し、該分岐穴からの水流を切り替えて通常水吐出穴を閉じ、頭皮洗浄用の該高圧水吐出穴からのみシャワー水を高圧で吐出する。
【0009】
上記の頭皮シャワーヘッドでは、該切替可動部内に更に、吐出水圧を増大する水圧増強具を備えることが好ましい。
【0010】
更に、シャワーヘッド中部筐体内に水道水に含まれる塩素分を除去し、頭髪保護成分を加えたカートリッジを挿入すると、頭皮と頭髪を総合的にケアできる。
【発明の効果】
【0011】
以上から電動ポンプを動力源とするような特別な装置を必要とせずに、高水圧のシャワー水により効果的に頭皮を洗浄できる。更に水流切替えメカニズムにより通常水圧のシャワー水に切り替えることで、体の洗浄も通常通りにできる。また頭皮の洗浄と共に、水道水に含まれる塩素分を除去し、頭髪保護成分を加えられることで、頭髪を総合的にケアできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0012】
図1に本発明の実施例の頭皮洗浄シャワーヘッド1の外観を示し、図1aはその正面図を示し、図1bは側面図を示す。シャワーヘッド1は、シャワーヘッド上部筐体2と、シャワーヘッド中部筐体3と、シャワーヘッド下部筐体4とからなる。上部筐体2には図示しないブラシ部20(後述)を着脱自在に取り付け、シャワーヘッド中部筐体3と下部筐体4は螺合接続し、下部筐体4は図示しないシャワーホースと螺合接続する。
【0013】
図2にブラシ部20を上部筐体2に取り付けた状態のシャワーヘッド1の断面図を示す。シャワー水は図において矢印で示すとおり、シャワーヘッド下部筐体4から中部筐体3、上部筐体2、ブラシ部20を経て吐出される。
【0014】
図3a、bにシャワーヘッド上部筐体2内の構造とブラシ部20の詳細な断面図を示す。ブラシ部20はブラシ保持部21と、保持部21に保持された複数のブラシ状ノズル22とからなる。それぞれのブラシ状ノズル22はノズル基底部23を共通基盤とし、シリコンゴムなどの柔軟な素材で一体に成形する。ブラシ保持部21の中央部にはそれぞれのブラシ状ノズル22を貫通する複数のノズル貫通穴24(図示せず)が設けられており、ブラシ状ノズル22をその穴24に通し、ブラシ保持部21の裏面とノズル基底部23とを接着剤などで固定することで、ブラシ保持部21とブラシ状ノズル22を一体に固定する。ブラシ保持部21の周辺部には、通常のシャワー時(後述)のシャワー水を通過させる開口穴25が開いている。
【0015】
それぞれのブラシ状ノズル22(及びその基底部23)は、内部が細孔となってシャワー水を通し、ノズル先端からシャワー水を吐出する。
【0016】
ブラシ保持部21はその外周部分にフック部26を有し、シャワーヘッド上部筐体2周辺に設けた嵌合部11にフック部26を挿入して回転することで、ブラシ部20をシャワーヘッド上部筐体2に取付けでき、またその逆方向に回転することで容易に取外しができる。
【0017】
シャワーヘッド上部筐体2内の構造は大きく分けて、固定部12と、切替固定部13と、切替可動部14とからなる。固定部12は、上部筐体2内に筐体12と一体に形成した図示しないビス穴にビスを通して固定し、水路側にメスネジ部121を持つ。切替固定部13は、固定部12のメスネジ部121と螺合結合し、内部が空洞で水路となったオスネジ部131及び水流を分岐する分岐穴132a,bとを持つ。切替可動部14は、水流分岐穴132a,bと対面して分岐穴132からの水流を切り替える水流切替板141と、シャワー水を外部に吐出する複数の吐出穴142a、142bとを有する。水流切替板141は通常のシャワー用の吐水のための通常水吐出穴141aと、頭皮洗浄用の高圧水吐出穴141b(図3b参照)とを有する。切替可動部14は更に、切替固定部13に回転可能に固定される保持部143と、切替可動部14と一体成形し、切替可動部14全体を切替固定部13に対して回転可能な切替レバー144とを有する。
【0018】
ここで通常のシャワー時は、図3aに示すように、水流は切替固定部13のオスネジ部131から水流分岐穴132aを通過し、切替可動部14の水流切替板141の通常水吐出穴141aを通過して、吐水穴142a及びブラシ状ノズル22背後の吐水穴142bの両方から吐出する。
【0019】
そして頭皮を洗浄する際、切替可動部14の切替レバー144を回転すると、切替可動部14全体が回転して切替板141も回転し、図3bに示すように、切替固定部13の水流分岐穴132aと対面していた通常水吐出穴141aは閉じ、代わりに水流分岐穴132bと高圧水吐出穴141bが開通し、シャワー水はブラシ状ノズル22背後の吐水穴142bのみを通過してノズル22先端から吐出される。
【0020】
すなわちシャワー水はブラシ状ノズル22背後の吐水穴142bのみを通過して吐出されるので、吐水穴142aと吐水穴142bの両方から吐水される通常シャワー時よりも、水圧が高くなり、頭皮を効果的に洗浄できる。
【0021】
つまり切替レバー144を回転するだけで通常シャワー水と頭皮洗浄シャワー水を簡単に切り替えることができ、通常のシャワーと頭皮の洗浄とを違和感なく行うことができる。
【実施例2】
【0022】
更に別の実施例として、図4に示すように、切替可動部14内に更に水流の圧力を増強するため、水圧増強・維持具として例えば回転コマ60を設ける。この回転コマ60は通常は節水のために使用され、流量を絞っても水に勢いを与え、使用時にユーザにボリューム的に減少感を与えないという効果がある。回転コマ60は例えば6本の細い水路を内部に持つ本体61と、該水路の水流が当たって自由回転する例えば3枚の羽根62とからなる。
【0023】
ここで水道水を通すと、本体61内の該水路で絞られて通過した高圧水流が羽根62に次々と当たり、羽根62は連続的に高速で回転する。つまり複数の細い水路のそれぞれ高圧流は、羽根62の回転力に変換され、水に推力が加わる。推力を受けた水流はこの場合、水量が減少しているので水圧が増すことはないが、同一水量で比較すると20%ほど水圧が増大することが実験から分かっている。
【0024】
すなわち頭皮を洗浄する際には、水路が吐水穴142bに限定されることから吐水量は減少するが、水道の持つ水圧を吐水に対する推力に効果的に変換し、高圧水で頭皮洗浄が可能になる。
【0025】
なお、シャワーヘッド中部筐体3と下部筐体4を切り離すことで、内部の空間に水道水に含まれる塩素分を除去し、頭髪保護成分を加えるカートリッジ(図示せず)を挿入でき、そのカートリッジを通してシャワー水を吐出することで、頭皮、頭髪を総合的にケアできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1a】 本発明の実施例の頭皮洗浄シャワーヘッドの外観を示し、図1aはその正面図である。
【図1b】 その側面図である。
【図2】 本発明の実施例の頭皮洗浄シャワーヘッドの各部を示す断面図である。
【図3a】 本発明の実施例の頭皮洗浄シャワーヘッドの上部筐体2の詳細な断面図で、図3aは通常のシャワー洗浄時の各部の動作と水の流れを示す。
【図3b】 頭皮洗浄時の各部の動作と水の流れを示す。
【図4】 水の勢いを維持、増大する回転コマを備えた別の実施例を示す。
【符号の説明】
【0027】
1 シャワーヘッド
2 シャワーヘッド上部筐体
3 シャワーヘッド中部筐体
4 シャワーヘッド下部筐体
11 嵌合部
12 固定部
13 切替固定部
14 切替可動部
20 ブラシ部
21 ブラシ保持部
22 ブラシ状ノズル
23 ノズル基底部
24 ノズル貫通穴
25 開口穴
26 フック部
121 メスネジ部
131 オスネジ部
132a、b 分岐穴
141 水流切替板
141a 通常水吐出穴
141b 高圧水吐出穴
142a、142b 吐出穴
143 保持部
144 切替レバー
60 回転コマ
61 回転コマ本体
62 羽根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に細孔を有して水を吐出する複数のブラシ状ノズルを有し、前記ノズル及び吐水を直接、頭皮に当接して頭皮を洗浄するシャワーヘッドにおいて、
前記シャワーヘッドは更に、
前記シャワーヘッドに固定し、水路側にメスネジ部を有する固定部と、
前記メスネジ部と螺合結合し、内部が空洞で水路となったオスネジ部と、水流を分岐する複数の分岐穴とを持つ切替固定部と、
前記水流分岐穴と対面し、前記分岐穴からの水流を切り替える水流切替板と、シャワー水を外部に吐出する複数の吐出穴とを有する切替可動部とからなり、
前記水流切替板は通常のシャワー用の吐水のための通常水吐出穴と、頭皮洗浄用の高圧水吐出穴を有し、
前記切替可動部は更に、前記切替固定部に回転可能に固定された保持部と、前記切替可動部と一体成形し、前記切替可動部全体を前記固定部に対して回転可能な切替レバーとを有し、
前記シャワーヘッドは更に、
内部が細孔となった前記複数のブラシ状ノズルと、前記ノズルを保持するブラシ保持部とからなるブラシ部を備え、それぞれの前記ブラシ状ノズルはノズル基底部を共通基盤として備えて前記ブラシ保持部と前記ブラシ状ノズルを一体に固定し、前記ブラシ保持部の周辺部には、通常のシャワー時のシャワー水を通過させる開口穴を設け、
通常のシャワー時にはシャワー水は前記固定部と、前記切替固定部とを経て、前記切替可動部の前記通常水吐出穴から通常の水量、水圧で吐出され、頭皮洗浄時には前記切替レバーを回転することで前記切替可動部を回転し、前記分岐穴からの水流を切り替えて通常水吐出穴を閉じ、頭皮洗浄用の前記高圧水吐出穴からのみシャワー水を高圧で吐出することを特徴とする頭皮洗浄シャワーヘッド。
【請求項2】
前記切替可動部内に更に、吐水圧を維持・増大する回転コマを備えたことを特徴とする請求項1の前記頭皮洗浄シャワーヘッド。
【請求項3】
前記シャワーヘッド中部筐体内に水道水に含まれる塩素分を除去し、頭髪保護成分を加えたカートリッジを挿入することを特徴とする請求項1の前記頭皮洗浄シャワーヘッド。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−185461(P2007−185461A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−31619(P2006−31619)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(506045299)
【Fターム(参考)】