頭皮洗浄ブラシ
【課題】容易に残存皮脂を十分に除去し、かつ血行促進に優れる頭皮洗浄ブラシを提供する。
【解決手段】扁平状に形成された基台21の植毛面に突出部30が設けられた洗浄体20と、前記洗浄体20を揺動可能に軸支する把持体と、前記基台21に設けられた振動発生体50とを備え、該振動発生体50は、駆動部51と、該駆動部51により回転する偏心軸部52とを備えることよりなる。前記偏心軸部52の回転軸は、植毛面と略平行とされ、前記洗浄体20は、植毛面と略平行かつ前記偏心軸部52の回転軸と略直交する揺動軸線O1を中心に揺動することが好ましい。
【解決手段】扁平状に形成された基台21の植毛面に突出部30が設けられた洗浄体20と、前記洗浄体20を揺動可能に軸支する把持体と、前記基台21に設けられた振動発生体50とを備え、該振動発生体50は、駆動部51と、該駆動部51により回転する偏心軸部52とを備えることよりなる。前記偏心軸部52の回転軸は、植毛面と略平行とされ、前記洗浄体20は、植毛面と略平行かつ前記偏心軸部52の回転軸と略直交する揺動軸線O1を中心に揺動することが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭皮洗浄ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、頭部の育毛や、脱毛の防止等を目的とし、頭皮の血行を促進したり、残存皮脂を除去するための器具が提案されている。
例えば、多数の毛が植毛されたブラシ台と、ブラシ台に設けた伝導式の振動発生体とからなり、振動発生体をブラシ台の毛を植毛した面に平行な軸線の周りに回動可能にして、ブラシ台に取り付けてなる育毛用電動ブラシが提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の発明によれば、ブラシ台に植毛された毛を介して頭皮に振動を与えることで、頭皮へのマッサージ効果の向上が図られている。
また、ブラシ部をブラシ部の長手方向の軸中心に往復揺動駆動させる手段を備えた頭皮ケアブラシが提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2の発明によれば、ブラシで頭皮を叩くことで、頭部の血行促進が図られている。
【0003】
また、例えば、駆動部と、この駆動部によって動作するブラシ部とを有し、ブラシ部が、可撓性を有する材質からなる基板と、基板表面に突出して設けられた複数の突起とで構成され、基板の面と交差する方向に基板を撓ませる往復駆動手段を設けた電動式ブラシ装置が提案されている(例えば、特許文献3)。特許文献3の発明によれば、突起が頭皮を揉むように動くことで、頭皮の洗浄あるいはマッサージ効果の向上が図られている。
あるいは、一端がテーパ状とされ、先端部が頭皮毛穴より細い用毛が複数束ねられた毛束が複数植毛された頭皮毛穴洗浄用ブラシが提案されている(例えば、特許文献4)。特許文献4の発明によれば、一端がテーパ状とされた用毛を用いることで、毛穴内部の汚れを効果的に除去すると共に、マッサージ効果の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平03−222905号公報
【特許文献2】特開平11−197200号公報
【特許文献3】特開2010−167048号公報
【特許文献4】国際公開第08/143131号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3の発明では、頭皮及び毛穴内の残存皮脂を十分に取り除けなかった。加えて、特許文献2の発明は、ブラシ部を揺動させる機構が複雑であり、ブラシの大きさや形態が制限され、頭皮洗浄に用いるのが煩雑である。
特許文献4の発明では、効果的に残存皮脂を除去できるものの、血行促進が不十分であった。さらに、特許文献1〜3の発明と特許文献4の発明とを組み合わせても、残存皮脂を十分に除去し、かつ血行促進を十分なものとできなかった。
そこで、本発明は、容易に残存皮脂を十分に除去し、かつ血行促進に優れる頭皮洗浄ブラシを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、突出部を設けた基台に振動発生体を設け、振動発生体で生じた振動を揺動運動に変換することで、コンパクト化が図れると共に、残存皮脂の除去効果及び血行促進効果の向上が図れることを見出し、本発明に至った。
【0007】
即ち、本発明の頭皮洗浄ブラシは、扁平状に形成された基台の一方の面に突出部が設けられた洗浄体と、前記洗浄体を揺動可能に軸支する把持体と、前記基台に設けられた振動発生体とを備え、該振動発生体は、駆動部と、該駆動部により回転する偏心軸部とを備えることを特徴とする。
前記把持体は、前記突出部の突出方向に対し、前記基台の反対側に位置することが好ましく、前記偏心軸部の回転軸は、前記基台の一方の面と略平行とされ、前記洗浄体は、前記基台の一方の面と略平行かつ前記偏心軸部の回転軸と略直交する軸線を中心に揺動することが好ましく、前記振動発生体は、両軸モーターの各軸に前記偏心軸部が設けられていることがより好ましく、前記洗浄体と前記把持体とは、弾性復帰力を有する弾性部で接続されていることがさらに好ましく、前記突出部は、先端に向かい漸次縮径し、先端が先鋭化された用毛を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の頭皮洗浄ブラシによれば、扁平状に形成された基台の一方の面に突出部が設けられた洗浄体と、前記洗浄体を揺動可能に軸支する把持体と、前記基台に設けられた振動発生体とを備え、該振動発生体は、駆動部と、該駆動部により回転する偏心軸部とを備えるため、容易に残存皮脂を十分に除去し、かつ血行促進に優れる。
本発明の頭皮洗浄ブラシによれば、前記把持体は、前記突出部の突出方向に対し、前記基台の反対側に位置するため、使用者は洗浄実感及び血行促進実感をより得られやすい。
本発明の頭皮洗浄ブラシによれば、前記偏心軸部の回転軸は、前記基台の一方の面と略平行とされ、前記洗浄体は、前記基台の一方の面と略平行かつ前記偏心軸部の回転軸と略直交する軸線を中心に揺動するため、洗浄体を効率的に揺動できる。
本発明の頭皮洗浄ブラシによれば、前記振動発生体は、両軸モーターの各軸に前記偏心軸部が設けられているため、洗浄体をより効率的に揺動できる。
本発明の頭皮洗浄ブラシによれば、前記洗浄体と前記把持体とは、弾性復帰力を有する弾性部で接続されているため、より安定して残存皮脂を除去し、かつ安定して血行を促進できる。
本発明の頭皮洗浄ブラシによれば、前記突出部は、先端に向かい漸次縮径し、先端が先鋭化された用毛を備えるため、残存皮脂をより除去でき、かつ血行をより促進できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかる頭皮洗浄ブラシの斜視図である。
【図2】(a)本発明の第一の実施形態にかかる頭皮洗浄ブラシの正面図である。(b)本発明の第一の実施形態にかかる頭皮洗浄ブラシの底面図である。
【図3】本発明の頭皮洗浄ブラシに用いられる用毛の模式図である。
【図4】本発明の第一の実施形態にかかる頭皮洗浄ブラシの破断斜視図である。
【図5】本発明の第一の実施形態にかかる頭皮洗浄ブラシの破断正面図である。
【図6】本発明の第一の実施形態にかかる頭皮洗浄ブラシの破断正面図である。
【図7】(a)本発明の振動発生体の平面図である。(b)本発明の振動発生体の左側面図である。(c)本発明の振動発生体の正面図である。(d)本発明の振動発生体の右側面図である。
【図8】本発明の振動発生体の斜視図である。
【図9】(a)本発明の第二の実施形態にかかる頭皮洗浄ブラシの正面図である。(b)本発明の第二の実施形態にかかる頭皮洗浄ブラシの底面図である。
【図10】本発明の一実施形態を説明する植毛板の底面図である。
【図11】本発明の一実施形態を説明する植毛板の底面図である。
【図12】実施例の頭皮洗浄ブラシを説明する植毛板の底面図である。
【図13】実施例の頭皮洗浄ブラシを説明する植毛板の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第一の実施形態にかかる頭皮洗浄ブラシについて、以下に図面を参照して説明する。
図1に示すように、頭皮洗浄ブラシ1は、洗浄体20と、把持体10とを備えるものである。
【0011】
図2(a)は、本実施形態の頭皮洗浄ブラシ1を正面から見た部分破断図であり、図2(b)は、頭皮洗浄ブラシ1の底面図である。図2に示すように、把持体10は、略楕円形の開口部(把持体開口部)13を有し、把持体開口部13の反対側に膨出する中空状の筐部11と、筐部11に突設された把持部12とを備えるものであり、把持体開口部13には、支持部14が設けられている。筐部11の内部には、電池室16が設けられ、この電池室16は、Oリング等の環状パッキンを介して筐部11と接合されている。電池室16内には電池17が収納され、電池17の電極は、電池室16内に設けられた端子(不図示)と接続されている。
【0012】
把持体10の材質は、把持体10に求める剛性等を勘案して決定でき、例えば、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル系樹脂、AS(アクリロニトリル/スチレン共重合体)、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体)、ポリアミド、ポリカーボネート等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
電池室16の材質は、把持体10の材質と同様である。
電池17は、乾電池であってもよいし、蓄電池であってもよい。
【0013】
図2に示すように、洗浄体20は、偏平状に形成された底面視略楕円形の基台21と、基台21の一方の面(植毛面)23に設けられた複数の突出部30と、駆動室26とを備えるものである。
基台21は、底面視略楕円形の開口部(基台枠開口部)24aが形成された基台枠24と、基台枠開口部24aに嵌合された植毛板22とを備えるものである。植毛板22には、略中央に略真円形の嵌合孔22aが形成され、基台枠開口部24aの長手方向両端に切欠22bが形成されている。切欠22bが形成されていることで、基台22内に進入した水を容易に排出できる。
また、植毛板22には、基台枠開口部24aの短手方向両端に嵌合爪22cが形成されている。
嵌合孔22aには、基台枠24に形成された嵌合部29aが嵌合され、嵌合爪22cは、基台枠24に形成された嵌合部29cに嵌合されている。こうして、植毛板22は、嵌合枠24に着脱可能に取り付けられている。
【0014】
突出部30は、複数の用毛を束ねた毛束32が、矩形を形成するように4個配置されてなるものであり、突出部30同士は、基台21の短径方向及び長径方向に略等間隔で配置されている。
【0015】
植毛板22の材質は、把持体10の材質と同様であり、基台枠24の材質は、把持体10の材質と同様である。
【0016】
突出部30の大きさは、特に限定されないが、例えば、直径3〜10mmの円に内接する大きさとされる。上記下限値未満であると、頭皮への刺激が不十分になり、十分な血行促進効果を得られないおそれがある。上記上限値超であると、頭皮を洗浄する際に、毛髪が障害となって突出部30が頭皮に届かないおそれがある。
任意の突出部30の中心と、これに最も近接する他の突出部30の中心との距離(最短中心点距離)D3は、特に限定されないが、例えば、7mm以上10mm未満とされる。上記下限値未満であると、頭皮を洗浄する際に、毛髪が障害となって突出部30が頭皮に届かないおそれがある。上記上限値超であると、頭皮への刺激が不十分になり、十分な血行促進効果を得られないおそれがある。
また、任意の突出部30の中心と、これと2番目に近接する突出部30の中心との距離(次短中心点距離)D4は、特に限定されないが、例えば、10〜15mmとされる。上記下限値未満であると、頭皮を洗浄する際に、毛髪が障害となって突出部30が頭皮に届かないおそれがある。上記上限値超であると、頭皮への刺激が不十分になり、十分な血行促進効果を得られないおそれがある。
任意の突出部30の毛束32の中心と、この毛束32に最も近接する他の任意の突出部30の毛束32の中心との距離(隙間距離)S1は、4〜8mmが好ましい。
【0017】
毛束32の高さ、即ち植毛面23から毛束32の先端までの長さ(毛丈)H1(図2(a))は、毛束32に求める物性等を勘案して決定でき、例えば、5〜50mmが好ましく、5〜30mmがより好ましい。上記下限値未満であると、頭皮を洗浄する際に、毛髪が障害となって毛束32が頭皮の毛穴に届かず、残存皮脂の除去効果が不十分になるおそれがある。上記上限値超であると、毛束32の毛腰が柔らかくなりすぎて、頭皮への刺激が不十分となり、十分な血行促進効果を得られないおそれがある。
毛束32の毛束径は、毛束32に求める物性等を勘案して決定でき、例えば、1〜3mmが好ましい。上記下限値未満であると、毛束32の毛腰が柔らかくなりすぎて、頭皮への刺激が不十分となり、十分な血行促進効果を得られないおそれがある。上記上限値超であると、毛束32が撓みにくくなり、用毛の毛先が頭皮の毛穴内に進入しにくくなって、残存皮脂の除去効果が不十分になるおそれがある。
1個の毛束32当たりの用毛の本数は、用毛の材質や種類等を勘案して決定でき、例えば、10〜50本が好ましい。なお、用毛の本数は、植毛面23から突出している数である。
【0018】
任意の突出部30において、任意の毛束32の中心と、これと最も近接する他の毛束32の中心との距離(毛束間最短距離)D1は、2mm以上6mm未満が好ましく、2〜5mmがより好ましい。上記下限値未満であると、頭皮を洗浄する際に、毛髪が障害となって突出部30が頭皮に届かないおそれがある。上記上限値超であると、頭皮への刺激が不十分になり、十分な血行促進効果を得られないおそれがある。
また、任意の突出部30において、任意の毛束32の中心と、これと最も離れた他の毛束32の中心との距離(毛束間最長距離)D2は、2mm以上7mm未満が好ましく、2.5〜6mmがより好ましい。上記上限値超であると、頭皮への刺激が不十分になり、十分な血行促進効果を得られないおそれがある。上記下限値未満であると、頭皮を洗浄する際に、毛髪が障害となって突出部30が頭皮に届かないおそれがある。
【0019】
毛束32を構成する用毛としては、毛先に向かって漸次縮径し、先端部が先鋭化された用毛(テーパー毛)、植毛面23から毛先に向かいその径がほぼ同一である用毛(ストレート毛)等が挙げられ、中でもテーパー毛が好ましい。テーパー毛は、先端部が頭皮の毛穴内に容易に進入し、毛穴内の残存皮脂を容易に掻き出せるためである。
テーパー毛について、図3を用いて説明する。図3のテーパー毛33は、少なくとも一端側が先端33bに向かって漸次縮径してテーパー状とされたものであり、図示例では、両端の先端部33aがテーパー状に形成されている。
ストレート毛としては、毛先が植毛面23に略平行な平面とされたものや、毛先が半球状に丸められたものが挙げられる。
【0020】
用毛の材質は、例えば、6−12ナイロン、6−10ナイロン等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等のポリエステル、PP等のポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等のエラストマー等の合成樹脂材料を用いることができる。これらの樹脂材料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、用毛は、芯部と該芯部の外側に設けられた少なくとも1層以上の鞘部とを有する多重芯構造であってもよい。
【0021】
用毛の横断面形状は、真円形、楕円形等の円形、三角形、四角形等の多角形、星形、三つ葉のクローバー形、四つ葉のクローバー形等とすることができる。
【0022】
用毛の太さは、特に限定されず、例えば、横断面が円形の場合、その最も太い部分の直径が好ましくは0.025〜0.75mm、より好ましくは0.2〜0.4mmとされる。上記下限値未満であると、毛束32の毛腰が弱くなりすぎて、頭皮への刺激が不十分になり、十分な血行促進効果を得られないおそれがある。上記上限値超であると、毛束32が撓みにくくなり、用毛の毛先が頭皮の毛穴内に進入しにくくなって、残存皮脂の除去効果が不十分になるおそれがある。
加えて、用毛にテーパー毛を用いる場合、先端部が毛穴径よりも細いことが好ましく、その先端から植毛面23に0.1mm近づいた位置における直径R1が0.005〜0.050mmであることがより好ましい。このようなテーパー毛であれば、用毛が頭皮の毛穴内に効率的に進入し、残存皮脂をより良好に除去できる。
【0023】
毛束32は、例えば、用毛を束ね二つ折りにし、その間に挟み込まれた平線を、植毛板22に形成された植毛穴に打ち込んで、毛束32を植毛する平線式植毛や、毛束32の下端を植毛部となる溶融樹脂中へ圧入して固定する熱融着法、毛束32の下端を加熱して溶融塊を形成した後に、金型中に溶融樹脂を注入して植毛部を成形するインモールド法等が挙げられる。
平線式植毛には、一般に歯ブラシ製造等に用いられている植毛装置を用いることができ、植毛装置としては、特開2000−93233号公報に記載された製造装置が挙げられる。
【0024】
図4は、本実施形態の頭皮洗浄ブラシ1の破断斜視図であり、図5は、本実施形態の頭皮洗浄ブラシ1の破断正面図である。なお、図4〜5は、洗浄体20が揺動していない状態(常態)を図示したものであり、説明の便宜上、図4〜5には、把持体10が図示されていない。
図4〜5に示すように、突出部30の突出方向に対し、基台21の反対側には、駆動室26が設けられている。駆動室26は、Oリング等の環状パッキン(不図示)を介して基台21に接合され、内部に水が浸入しないように防水構造とされている。駆動室26の内部には、振動発生体50が収納されており、振動発生体50は、オン・オフスイッチを介して、電池17と電気的に接続されている。
【0025】
図7に示すように、本実施形態の振動発生体50は、駆動部51と偏心軸部52とを備えるものである。偏心軸部52は、駆動部51のエンドベル55側及びその反対側の双方に突き出た回転軸54と、回転軸54の両端に設けられた偏心錘53とで構成されている。即ち、振動発生体50は、両軸モーターの各軸が偏心軸部52とされたものである。本実施形態において、回転軸54は、植毛面23に略平行とされている。なお、略平行とは、回転軸54と植毛面23とのなす角度が、10°以下であることを示す。
【0026】
駆動部51の周波数は、特に限定されないが、例えば、50〜200Hzが好ましく、80〜180Hzがより好ましく、100〜150Hzがさらに好ましい。
【0027】
偏心錘53同士の位相差は、0°超であれば特に限定されないが、略180°とすることが好ましい。位相差が180°に近づくほど、振動発生体50の重心移動が容易となり、効率的に振動を発生できる。
偏心軸部52における偏心錘53同士の距離L1は、振動発生体50に求める振動の程度に応じ、駆動部51の周波数等を勘案して決定でき、例えば、3〜8cmとされる。
偏心錘53の質量は、振動発生体50に求める振動の程度に応じて、駆動部51の周波数、偏心錘53同士の距離や位相差等を勘案して決定できる。
偏心錘53の中心軸O3と、回転軸54の中心軸O2との距離dは、振動発生体50に求める振動の程度に応じて、偏心錘53同士の距離L1や位相差、偏心錘53の質量、偏心錘53の半径r等を勘案して決定できる(図7(b)参照)。距離dは、例えば、1〜5mmが好ましく、2〜4mmがより好ましく、3〜3.5mmがさらに好ましい。
【0028】
駆動室26の外側には、回転軸54の長さ方向の略中央に対応する位置(即ち、振動発生体50の重心位置)に、基台21の短径方向両側に突出する保持軸28が設けられ、保持軸28の外周には、緩衝部28aが設けられている。この保持軸28が緩衝部28aを介して、支持部14に形成された軸穴(不図示)に挿入されることで、洗浄体20が揺動軸線O1(図4)を中心として揺動可能に、洗浄体10に軸支される。揺動軸線O1は、保持軸28の中心同士を結んだ線である。
本実施形態において、緩衝部28aの材質としては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン−酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、天然ゴム系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、トランス−ポリイソプレン系熱可塑性エラストマー、シリコンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等の軟質樹脂が挙げられる。緩衝部28aが設けられていることで、振動発生体50で生じた振動の把持体10への伝達を抑制できる。
【0029】
支持部14には、基台21の短径方向に跨る橋部15が設けられ、この橋部15と駆動室26とが、2個の弾性部18で接続されている。弾性部18は、弾性復帰力を有する部材であり、本実施形態においては、コイルスプリングが用いられている。また、本実施形態の弾性部18は、揺動軸線O1を挟んだ両側に設けられ、伸縮方向が植毛面23と略直交する方向となるように設けられている。略直交は、90°±5°を意味する。
【0030】
頭皮洗浄ブラシ1の総重量は、特に限定されないが、例えば、300g以下が好ましく、200g以下がより好ましい。上記上限値超であると、用毛の毛先がつぶれ、毛穴内の残留皮脂の除去効果が低下するおそれがあると共に、洗髪時に扱いにくくなる。なお、下限値は、特に限定されないが、例えば、150g以上とされる。
【0031】
次に、頭皮洗浄ブラシ1の使用方法の一例を説明する。
必要に応じて、頭部に、水、又はシャンプー、育毛剤又はマッサージ剤等の薬剤を塗布する。次いで、把持部12を2本の指の間に挟みこむと共に、手の平を筐部11の膨出面に当接し、頭皮洗浄ブラシ1を把持し、突出部30を頭皮に当接させる。オン・オフスイッチをオンの状態とし、駆動部51を始動させて偏心軸部52を回転させる。偏心軸部52を回転させると、回転軸54の両端に設けられた偏心錘53同士が位相差を有するため、偏心錘53の中心軸O3は、回転軸54における長さ方向の中心P1を支点とし、両端が円を描くように運動する(図8)。このため、振動発生体50は、重心が中心軸O3の運動に追随して移動し、振動を生じる。この振動は、振動発生体50が設けられている洗浄体20に伝えられる。この時、洗浄体20は保持軸28により把持体10に軸支されているため、振動発生体50で生じた振動エネルギーの一部は、揺動軸線O1を中心として洗浄体20をX方向に揺動するエネルギーに変換される(図6)。この際、弾性部18は、洗浄体20を常態に維持しようと働くため、洗浄体20は、揺動の程度が規制され、一定の振幅幅で揺動し、残存皮脂の除去効果及び血行促進効果を安定的に発揮できる。
【0032】
駆動部51が駆動している間、洗浄体20は、図6に向かって右端が、支持部14に最も近づく(即ち、突出部30が突出部30aの位置となる)姿勢(符号20a)と、図6に向かって右端が、支持部14から最も離れる(即ち、突出部30が突出部30bの位置となる)姿勢(符号20b)とを交互に繰り返す。この際、中心軸O2方向の両端に位置する突出部30(即ち、保持軸28から最も離れた位置の突出部30)は、その突出方向にh1の距離で動き、中心軸O2方向にl1の距離で動く。また、保持軸28に最も近い位置の突出部30は、その突出方向にh2の距離で動き、中心軸O2方向にl2の距離で動く。ここで、h1>h2であるため、保持軸28から離れた位置の突出部30は、主に頭皮をタッピングして血行を促進し、保持軸28近傍の突出部30は、頭皮を摺動するように動いて、残存皮脂を除去する。
加えて、振動エネルギーの他の一部は、突出体30に伝えられ、突出体30を振動させるため、残存皮脂の除去効果及び血行促進効果を相乗的に高められる。
【0033】
本実施形態によれば、基台の一方の面に突出部が設けられた洗浄体と、洗浄体を揺動可能に軸支する把持体と、基台に設けられた振動発生体を備えるため、振動発生体で生じた振動で基台を揺動させ、突出部で頭皮を摺動し、かつタッピングすることで、容易に残存皮脂の除去効果及び血行促進効果を発揮できる。
加えて、振動発生体で生じた振動は、基台を介して突出部に伝えられ、突出部は振動しながら頭皮を摺動及びタッピングするため、残存皮脂の除去効果及び血行促進効果を相乗的に高められる。
【0034】
本実施形態によれば、把持体が、突出部に対し、基台の反対側に位置するため、使用者は、頭皮で感じる刺激の強弱に応じて、突出部の頭皮への押圧力を容易に調節でき、洗浄実感及び血行促進実感を得られやすくなる。
【0035】
従来、洗浄体を揺動させるには、モーター等の駆動部の回転運動を減速機やクランク等を介して、直線運動に変換する必要があった。この揺動方式では、外力や他の部材との摩擦によって洗浄体の揺動運動が停止された場合、駆動部がロックされた状態となり、焼き付いたり破損したりするおそれがあった。駆動部のロック状態を回避するためには、過電流を検知し、電気回路を切断する機構を設ける必要があった。
本実施形態によれば、振動発生体が設けられた洗浄体を揺動可能に、把持体に軸支するという簡易な構成により、回転軸のY方向の回転運動を容易にX方向の揺動運動に変換できる(図6)。即ち、駆動部の回転運動を洗浄体の揺動運動に変換するにあたり、クランク等の機構を介するものではない。このため、仮に、洗浄体の揺動運動が外力等によって停止された場合であっても、駆動部はロック状態とならず、焼き付いたり破損したりすることがない。
加えて、駆動部と洗浄体との間に、揺動運動のための特段の部材を要しないため、振動発生体で生じた振動エネルギーが基台に伝達されるにあたり、振動エネルギーの損失が少ない。このため、消費電力を低減できる。
さらに、駆動部と洗浄体との間に、揺動運動のための特段の部材を要しないため、コンパクト化が図れ、洗髪時の器具としての利便性が高い。
【0036】
本発明の第二の実施形態について、図9を用いて説明する。第一の実施形態を同じ構成には同じ符号を付してその説明を省略し、主に第一の実施形態と異なる点について説明する。本実施形態が第一の実施形態と異なる点は、突出部の一部を弾性材料からなる錐体状の突起とした点である。
図9(a)は、本実施形態の頭皮洗浄ブラシ100の正面図であり、図9(b)は、本実施形態の頭皮洗浄ブラシ100の底面図である。説明の便宜上、図9(a)は、一部の毛束の図示が省略されている。
【0037】
図9に示す頭皮洗浄ブラシ100は、洗浄体120と把持体10とを備えるものである。洗浄体120は、偏平状に形成された底面視略楕円形の基台121と、基台121に設けられた複数の第一の突出部130及び複数の第二の突出部140と、駆動室26とを備えるものである。
基台121は、基台枠24と、基台枠開口部24aに嵌合された植毛板122とを備えるものである。
【0038】
植毛板122には、植毛面23の周縁23aに沿った外周部126に第一の突出部130が10個設けられ、外周部126の内側に第二の突出部140が10個設けられている。第二の突出部140は、その外縁をつないだ輪郭が略楕円形とされている。
第一の突出部130は、周縁23aの周方向に毛束32を3個並べて1列とし、この列を植毛面23の直径方向に2段並べた計6個の毛束32で構成されている。
【0039】
本実施形態において、第一の突出部130は、主に頭皮を洗浄するものとして機能し、第二の突出部140は、主に頭皮をタッピングするものとして機能する。このため、本実施形態において、第一の突出部130同士の位置関係は、第二の突出部140の配置や数量等を勘案し、第一の実施形態における突出部30同士の位置関係と異なるものであってもよい。また、第一の突出部130を構成する毛束32同士の位置関係は、突出部30を構成する毛束32同士の位置関係と異なるものであってもよい。
即ち、第一の突出部130同士の最短中心点距離は、第二の突出部140の位置や数量、毛束32を構成する用毛の種類等を勘案して適宜決定される。
第一の突出部130同士の次短中心点距離は、第二の突出部140の位置や数量、毛束32を構成する用毛の種類等を勘案して適宜決定される。
第一の突出部130同士の隙間距離は、第二の突出部140の位置や数量、毛束32を構成する用毛の種類等を勘案して適宜決定される。
第一の突出部130を構成する毛束32の毛束径は、毛束32を構成する用毛の種類等を勘案して適宜決定できる。
第一の突出部130における毛束間最短距離は、毛束32を構成する用毛の種類等を勘案して適宜決定できる。
第一の突出部130における毛束間最長距離は、毛束32を構成する用毛の種類等を勘案して適宜決定できる。
【0040】
第二の突出部140は、植毛面23から先端部142に向かって漸次縮径する略円錐形とされ、かつ先端部142が面取りされてなる錐体状の突起である。
第二の突出部140の材質は、弾性を有するものであればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン、ポリアセタール、ウレタンゴム、シリコーン、エラストマー樹脂、天然ゴム等の各種弾性材料が挙げられる。
加えて、第二の突出部140の材質としては、デュロメータ・タイプAを用い、JIS K6251に準拠して測定されるシェアA硬度が40〜90度のものが好ましく、40〜80度のものがより好ましい。このような材質を用いることで、頭皮に適度な刺激を与え、血行促進効果をより高められる。
【0041】
任意の第二の突出部140と、これに最も近接する他の第二の突出部140との距離(隙間距離)S2は、5〜30mmが好ましく、7〜22mmがより好ましい。距離S2が上記下限値未満であると、毛髪が第二の突出部140に絡まりやすくなり、洗髪時の使用性が低下するおそれがある。距離S2が上記上限値超であると、血行促進効果が低下するおそれがある。
【0042】
第二の突出部140の高さH2、即ち、植毛面23から第二の突出部140の先端までの長さは、特に限定されないが、5〜30mmが好ましい。高さH2が上記下限値未満であると、毛髪が障害となって第二の突出部140が頭皮に届かないおそれがある。長さH2が上記上限値超であると、第二の突出部140が曲がりやすくなり、十分血行促進効果が得られないおそれがある。
また、第二の突出部の高さH2は、第一の突出部130を構成する毛束32の毛丈H1よりも1〜5mm低いことが好ましい。H1とH2との差が1mm未満であると、毛束32が湾曲し、毛穴内の残存皮脂の除去効果が不十分になるおそれがある。H1とH2との差が5mm超であると、第二の突出部140が頭皮に到達せず、血行促進効果が不十分になるおそれがある。
【0043】
第二の突出部140の基端の直径R2は、強度確保等の観点から、例えば、5〜9mmとされる。
また、先端から植毛面23に0.1mm近づいた部分における直径は0.4〜1mmが好ましい。上記下限値未満であると、血行促進効果が不十分になるおそれがあり、上記上限値超であると、頭皮の洗浄実感が低下するため好ましくない。
【0044】
本実施形態によれば、第二の突出部が弾性材料からなる錐体状の突起であるため、適度な力で頭皮を刺激できる。このため、血行促進効果をより高められる。
【0045】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
第一及び第二の実施形態では、振動発生体として、両軸モーターの各軸に偏心軸部を備える両軸偏心モーターが用いられているが、本発明はこれに限定されず、例えば、エンドベルの反対側にのみ回転軸を有し、この回転軸に偏心軸部を設けた片側偏心モーターであってもよい。ただし、より効率的に洗浄体を揺動させる観点からは、両軸偏心モーターを用いることが好ましい。
【0046】
第一及び第二の実施形態では、偏心軸部の回転軸は、植毛面と略平行とされているが、本発明はこれに限定されず、偏心軸部の回転軸が、植毛面と略平行でなくてもよい。ただし、より効率的に洗浄体を揺動させること、頭皮洗浄ブラシのコンパクト化を図る観点からは、偏心軸部の回転軸が、植毛面に略平行であることが好ましい。
【0047】
第一及び第二の実施形態では、揺動軸線が、植毛面に略平行かつ偏心軸部の回転軸に略直交するものとされているが、本発明は、これに限定されず、揺動軸線と植毛面とが略平行でなくてもよいし、揺動軸線と回転軸とが略直交していなくてもよい。
ただし、回転軸の回転運動をより効率的に揺動運動に変化させる観点から、揺動軸線は、植毛面に略平行かつ偏心軸部の回転軸に略直交することが好ましい。
【0048】
第一の実施形態では、1個の突出部が、矩形状に配置された4個の毛束で構成されているが、例えば、1個の突出部を構成する毛束の数は3個以下であってもよいし、5個以上であってもよい。ただし、残存皮脂の除去効果と血行促進効果とをより高める観点からは、1個の突出部を構成する毛束の数は、2〜6個が好ましい。
このような、突出部を備える頭皮洗浄ブラシについて、図10を用いて説明する。図10(a)〜(c)は、突出部の配列パターンを説明する植毛板の底面図である。
例えば、図10(a)に示すように、3個の毛束32を正三角形状に配置して突出部30aを構成したものが挙げられる。
また、図10(b)に示すように、1個の毛束32を中心とし、他の4個の毛束を環状配置して突出部30bを構成したものが挙げられる。
あるいは、図10(c)に示すように、3個の毛束32を1列とし、これを2列平行に配置して突出部30cを構成したものが挙げられる。
【0049】
第二の実施形態では、第二の突出部が略円錐形とされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、第二の突出部は、角錐状であってもよいし、円柱状又は角柱状であってもよい。
また、例えば、第二の突出部は、錐体状の突起の先端に、さらに1以上の突起が形成されたものであってもよい。先端に形成される突起の形状は、特に限定されず、半球状、円錘状、角錘状、円柱状又は角柱状等が挙げられる。
【0050】
第二の実施形態では、1個の第一の突出部が、矩形状に配置された6個の毛束で構成されているが、例えば、第一の突出部を構成する毛束の数は5個以下であってもよいし、7個以上であってもよい。ただし、残存皮脂の除去効果と血行促進効果とをより高める観点からは、1個の突出部を構成する毛束の数は、2〜6個が好ましい。
また、第二の実施形態では、第二の突出部が底面視略楕円形となるように配置され、6個の毛束で構成された第一の突出部が植毛面の周縁に沿って環状配置されているが、本発明はこれに限定されず、第一の突出部と第二の突出部との配置は、あらゆる配置パターンを採用できる。例えば、第二の突出部の配置パターンを円形状、横縞状、市松状、十字状又は放射状等としてもよい。
【0051】
以下に、第一の突出部と第二の突出部との配置パターンの例を挙げる。
例えば、図11(a)に示すように、8個の第二の突出部140が植毛面23の中心回りに環状配置されると共に、周縁23aに沿って、3個の毛束32で構成された第一の突出部130aが10個環状配置されたものが挙げられる。
また、図11(b)に示すように、8個の第二の突出部140が植毛面23の中心回りに環状配置されると共に、周縁23aに沿って、6個の毛束32で構成された第一の突出部130が8個環状配置されたものが挙げられる。
あるいは、図11(c)に示すように、8個の第二の突出部140が植毛面23の中心回りに環状配置されると共に、周縁23aに沿って、9個の毛束32で構成された第一の突出部130cが6個環状配置されたものが挙げられる。
また、例えば、図11(d)に示すように、8個の第二の突出部140が植毛面23の中心回りに環状配置されると共に、周縁23aに沿って、12個の第一の突出部130が環状配置されたものが挙げられる。
また、例えば、図11(e)に示すように、8個の第二の突出部140が植毛面23の中心回りに環状配置されると共に、周縁23aに沿って、6個第一の突出部130が環状配置されたものが挙げられる。
また、例えば、図11(f)に示すように、10個の第二の突出部140が植毛面23の中心近傍に千鳥状に配置されると共に、周縁23aに沿って、8個の第一の突出部130が環状配置されたものが挙げられる。
また、例えば、図11(g)に示すように、1個の第二の突出部140が植毛面23の中心に配置され、かつ4個の第二の突出部140が植毛面23の中心回りに環状配置されると共に、周縁23aに沿って、8個の第一の突出部130が環状配置されたものが挙げられる。
また、例えば、図11(h)に示すように、6個の第二の突出部140が植毛面23の中心近傍に略十字状に配置されると共に、周縁23aに沿って、8個の第一の突出部130が環状配置されたものが挙げられる。
また、あるいは、図11(i)に示すように、植毛面23の中心近傍に配置された2つの第一の突出部130を囲むように、8つの第一の突出部130が環状配置されると共に、10個の第二の突出部140が周縁23aに沿って環状配置されものが挙げられる。
【0052】
第一の実施形態では、全ての突出部が毛束で構成されているが、本発明はこれに限定されず、一部又は全ての突出部が、弾性材料からなる錐体状の突起であってもよい。
また、第二の実施形態では、第一の突出部が毛束で構成され、第二の突出部が弾性材料からなる錐体状の突起であるが、本発明はこれに限定されず、全ての第一及び第二の突出部が毛束で構成されていてもよいし、弾性材料からなる錐体状の突起であってもよい。
ただし、毛穴内の残存皮脂をより効率的に除去し、かつより良好な血行促進効果を図る観点から、突出部の少なくとも一部は、毛束で構成されていることが好ましく、該毛束を構成する用毛は、テーパー毛であることがより好ましい。毛束は、細い用毛で構成されているため柔らかな毛腰であり、単に機械的な振動が与えられても、血行を促進できるような刺激を頭皮に与えにくい。また、特許文献3の技術のように、頭皮を揉む様に毛束を動作させても、毛束は頭皮に十分な刺激を与えにくい。頭皮へ与える刺激が不足する傾向は、用毛にテーパー毛を用いた場合に特に顕著である。本発明は、テーパー毛のような、細い径の用毛で突出部を構成した場合でも、頭皮に十分な刺激を与えられる。このため、突出部の少なくとも一部がテーパー毛を用いた毛束である場合に、その効果が顕著に現れる。
【0053】
第一及び第二の実施形態では、基台が底面視略楕円形とされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、真円形であってもよいし、三角形、矩形、五角形等の多角形であってもよい。
【0054】
第一及び第二の実施形態では、把持体が突出部の突出方向に対し基台の反対側に位置するものとされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、把持体が、突出部の突出方向と略直交する方向に突設されていてもよい。
ただし、洗髪時の洗浄実感をより高めたり、血行促進実感をより高めたりする観点から、把持体は突出部の突出方向に対し基台の反対側に位置することが好ましい。
【0055】
第一及び第二の実施形態では、筐部が、把持体開口部の反対側に膨出する形状とされているが、本発明はこれに限定されず、筐部の形状はいかなるものであってもよい。
また、第一及び第二の実施形態では、把持体は、筐部に把持部が突設されたものであるが、本発明はこれに限定されず、頭皮洗浄ブラシを把持できる形態であれば把持体の形状はいかなるものであってもよい。
【0056】
第一及び第二の実施形態では、洗浄体と把持体とが弾性部で接続されているが、本発明はこれに限定されず、洗浄体と把持体とが弾性部で接続されていなくてもよい。ただし、洗浄体が揺動する際の振幅をより安定させる観点から、洗浄体と把持体とは弾性部で接続されていることが好ましい。
【0057】
第一及び第二の実施形態では、弾性部がコイルスプリングとされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、円柱状又は角柱状のゴム材等であってもよい。ただし、基台の振幅をより安定化する観点から、弾性部としてコイルスプリングを用いることが好ましい。
【0058】
第一及び第二の実施形態の弾性部は、その伸縮方向が植毛面と略直交する方向となるように設けられているが、本発明はこれに限定されず、例えば、弾性部は、その伸縮方向が植毛面と平行となるように設けられていてもよい。ただし、基台の振幅をより安定化する観点から、弾性部は、その伸縮方向が植毛面と略直交する方向となるように設けられていることが好ましい。
【0059】
第一及び第二の実施形態では、振動発生体の電源が、筐部内の電池とされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、筐部外の直流電源又は交流電源であってもよい。
【実施例】
【0060】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0061】
(実施例1)
下記仕様により、第一の実施形態の頭皮洗浄ブラシ1と同様の頭皮洗浄ブラシを得た。得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。なお、表中、本例の駆動方式を「間接揺動」と記す(実施例2〜4において同じ)。
【0062】
<仕様>
植毛板:長径79.3mm×短径64.3mm、厚さ4.5mm。
用毛:テーパー毛、毛丈13mm、先端から0.1mmの位置の直径20μm、最大直径0.3mm、PBT製。
毛束:12本の用毛を束ね、二つ折りにして植毛したもの(用毛数:24)。
毛束間最短距離D1:3mm
毛束間最長距離D2:4.2mm
最短中心点距離D3:9mm
次短中心点距離D4:12.7mm
隙間距離S1:6mm
駆動部の周波数:140Hz
偏心錘同士の距離L1:4.2cm
偏心錘の半径r:5mm
各偏心錘の質量:3.18g
偏心錘の中心軸と回転軸の中心軸との距離d:3.5mm
【0063】
(実施例2)
下記仕様により、突出部の種類と配置パターンを第二の実施形態の頭皮洗浄ブラシ100と同様とした以外は、実施例1と同様にして頭皮洗浄ブラシを得た。得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。
【0064】
<仕様>
植毛板:長径79.3mm×短径64.3mm、厚さ4.5mm。
用毛:テーパー毛、毛丈13mm、先端から0.1mmの位置の直径20μm、最大直径0.3mm、PBT製。
毛束:12本の用毛を束ね、二つ折りにして植毛したもの(用毛数:24)。
第一の突出部の毛束間最短距離:3mm
第一の突出部の毛束間最長距離:4.2mm
第一の突出部の最短中心点距離:9mm
第一の突出部の隙間距離:6mm
第二の突出部:先端部に曲面状の面取りがされた略円錐形、先端から0.1mmの位置における直径0.6mm、基端部の直径7mm、高さ11mm、オレフィン系エラストマー樹脂(シェアA硬度:60度)製。
第二の突出部の隙間距離S2:17mm
【0065】
(実施例3)
下記仕様により、毛束を図12に示す配置パターンで設けた以外は、実施例1と同様にして頭皮洗浄ブラシを得た。本例の頭皮洗浄ブラシにおける毛束32の配置パターンは、毛束32が、植毛面23の長径方向及び短径方向に等間隔で配置されたものである。本例においては、1つの毛束32が1つの突出部を構成している。
得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。
【0066】
<仕様>
植毛板:長径79.3mm×短径64.3mm、厚さ4.5mm。
用毛:テーパー毛、毛丈13mm、先端から0.1mmの位置の直径20μm、最大直径0.3mm、PBT製。
毛束:12本の用毛を束ね、二つ折りにして植毛したもの(用毛数:24)。
突出部の毛束間隙間距離:3mm
【0067】
(実施例4)
下記仕様により、錐体状の突起を図13に示す配置パターンで設けた以外は、実施例2と同様にして頭皮洗浄ブラシを得た。本例の頭皮洗浄ブラシは、第二の実施形態で用いられた第二の突出部140を千鳥状に配置したものである。得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。
【0068】
<仕様>
第二の突出部の隙間距離:17mm
【0069】
(実施例5)
下記仕様により、第一の突出部と第二の突出部とを図11(i)に示す配置パターンで設けた以外は、実施例2と同様にして頭皮洗浄ブラシを得た。得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。
【0070】
<仕様>
毛束:12本の用毛を束ね、二つ折りにして植毛したもの(用毛数:24)。
第一の突出部の毛束間最短距離:3.3mm
第一の突出部の毛束間最長距離:8.5mm
第一の突出部の最短中心点距離:16mm
第二の突出部:先端部に曲面状の面取りがされた略円錐形、先端から0.1mmの位置における直径0.6mm、基端部の直径7mm、高さ11mm、オレフィン系エラストマー樹脂(シェアA硬度:60度)製。
第二の突出部の隙間距離:10〜14mm
【0071】
(実施例6)
下記仕様により、第一の突出部と第二の突出部とを図11(b)に示す配置パターンで設けた以外は、実施例2と同様にして頭皮洗浄ブラシを得た。得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。
【0072】
<仕様>
毛束:12本の用毛を束ね、二つ折りにして植毛したもの(用毛数:24)。
第一の突出部の毛束間最短距離:3.3mm
第一の突出部の毛束間最長距離:8.5mm
第一の突出部の最短中心点距離:20mm
第二の突出部:先端部に曲面状の面取りがされた略円錐形、先端から0.1mmの位置における直径0.6mm、基端部の直径7mm、高さ11mm、オレフィン系エラストマー樹脂(シェアA硬度:60度)製。
第二の突出部の隙間距離:12mm
【0073】
(実施例7)
下記仕様により、毛束を図10(a)に示す配置パターンで設けた以外は、実施例1と同様にして頭皮洗浄ブラシを得た。得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。
【0074】
<仕様>
毛束:12本の用毛を束ね、二つ折りにして植毛したもの(用毛数:24)。
第一の突出部の毛束間最短距離:3.0mm
第一の突出部の毛束間最長距離:3.0mm
第一の突出部の最短中心点距離:9mm
【0075】
(実施例8)
下記仕様により、毛束を図10(b)に示す配置パターンで設けた以外は、実施例1と同様にして頭皮洗浄ブラシを得た。得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。
【0076】
<仕様>
毛束:12本の用毛を束ね、二つ折りにして植毛したもの(用毛数:24)。
第一の突出部の毛束間最短距離:2.1mm
第一の突出部の毛束間最長距離:4.2mm
第一の突出部の最短中心点距離:9mm
【0077】
(実施例9)
下記仕様により、毛束を図10(c)に示す配置パターンで設けた以外は、実施例1と同様にして頭皮洗浄ブラシを得た。得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。
【0078】
<仕様>
毛束:12本の用毛を束ね、二つ折りにして植毛したもの(用毛数:24)。
第一の突出部の毛束間最短距離:3.0mm
第一の突出部の毛束間最長距離:6.7mm
第一の突出部の最短中心点距離:9mm
【0079】
(比較例1)
保持軸を支持部に接着し、洗浄体が揺動しないように固定した以外は、実施例1と同様にして頭皮洗浄ブラシを得た。得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。なお、表中、本例の駆動方式を「振動」と記す。
【0080】
(比較例2)
特許文献2に記載の頭皮ケアブラシと同様の駆動機構を備える頭皮洗浄ブラシを作製した。駆動機構には、減速機を介してモーターの回転を反復運動に変換するものを採用した。そして、実施例1と同様のブラシ体を前記の駆動機構によって往復揺動させた。この頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。なお、表中、本例の駆動方式を「直接揺動」と記す。
【0081】
(比較例3)
特許文献3に記載の頭皮マッサージ機と同様の動作をする頭皮洗浄ブラシを作製した。駆動機構には、減速機を介してモーターの回転を反復運動に変換するものを採用した。ブタシ体には、弾性体からなり、厚み方向に可動・変形する植毛板に、実施例1と同様の配列パターンで毛束を設けたものを用いた。そして、前記の駆動機構により、植毛板をその厚み方向に撓ませる往復運動をさせた。この頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。なお、表中、本例の駆動方式を「湾曲運動」と記す。
【0082】
(比較例4)
実施例2と同様のブラシ体を用いた以外は、比較例2と同様にして頭皮洗浄ブラシを得た。得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。
【0083】
(評価方法)
<皮脂洗浄力>
モデル皮脂汚れとしてケラチンパウダーとモデル皮脂(トリオレイン:オレイン酸:スクワレン=2:1:1)の5:4混合物を頭皮に塗りつけた。市販シャンプーと各例の頭皮洗浄ブラシとを用いて、3分間洗髪した。洗髪前と洗髪後について、SKICOS301(AMIQUE GROUPE CO.,LTD.製)にて皮脂量を測定し、下記(1)式により皮脂除去率を算出した。算出した皮脂除去率を下記評価基準に分類し、皮脂洗浄力を評価した。
【0084】
皮脂除去率(%)=[(1−洗髪後の皮脂量)/(洗髪前の皮脂量)]×100 ・・・(1)
【0085】
≪評価基準≫
5点:皮脂除去率が80%以上である。
4点:皮脂除去率が70%以上80%未満である。
3点:皮脂除去率が50%以上70%未満である。
2点:皮脂除去率が40%以上50%未満である。
1点:皮脂除去率が40%未満である。
【0086】
<皮脂洗浄実感>
男性のモニター5名で、市販シャンプーと各例の頭皮洗浄ブラシとを用いて、3分間洗髪し、皮脂洗浄実感を以下の基準に従い評価し、その平均点を算出した。
【0087】
≪評価基準≫
5点:十分に洗浄できた。
4点:やや洗浄できた。
3点:どちらともいえない。
2点:やや洗浄が不十分。
1点:洗浄が不十分。
【0088】
<血行促進実感>
男性のモニター5名で、市販シャンプーと各例の頭皮洗浄ブラシとを用いて、3分間洗髪し、血行促進実感を以下の基準に従い評価し、その平均点を算出した。
【0089】
≪評価基準≫
5点:血行の促進を実感した。
4点:血行の促進をやや実感した。
3点:血行促進の実感をあまり感じない。
2点:血行促進が不十分。
1点:血行促進の実感を全く感じない。
【0090】
<利便性>
男性のモニター5名で、市販シャンプーと各例の頭皮洗浄ブラシとを用いて、頭皮の洗浄を行い、利便性を以下の基準に従い評価し、その平均点を算出した。
【0091】
≪評価基準≫
5点:操作が簡便である。
4点:操作がやや簡便である。
3点:どちらともいえない。
2点:操作がやや簡便でない。
1点:操作が簡便でない。
【0092】
【表1】
【0093】
表1に示すように、本発明を適用した実施例1〜9は、いずれも皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性の評価が3点以上であった。加えて、突出部の一部又は全部にテーパー毛を用いた実施例1〜3,5〜9は、錐体状突起のみを用いた実施例4に比べ、皮脂洗浄実感に優れるものであった。
一方、洗浄体が揺動しない比較例1は、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感及び血行促進実感の評価が2.2点以下であった。駆動方式が湾曲運動である比較例3は、駆動方式が間接揺動である実施例1に比べて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感及び血行促進実感のいずれも劣るものであった。
この結果から、本発明を適用した頭皮洗浄ブラシは、操作が容易で、残存皮脂の除去効果及び血行促進効果に優れることが判った。
【符号の説明】
【0094】
1、100 頭皮洗浄ブラシ
10 把持体
18 弾性部
20、120 洗浄体
21、121 基台
23 植毛面
30、130、140 突出部
32 毛束
50 振動発生体
51 駆動部
52 偏心軸部
54 回転軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭皮洗浄ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、頭部の育毛や、脱毛の防止等を目的とし、頭皮の血行を促進したり、残存皮脂を除去するための器具が提案されている。
例えば、多数の毛が植毛されたブラシ台と、ブラシ台に設けた伝導式の振動発生体とからなり、振動発生体をブラシ台の毛を植毛した面に平行な軸線の周りに回動可能にして、ブラシ台に取り付けてなる育毛用電動ブラシが提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の発明によれば、ブラシ台に植毛された毛を介して頭皮に振動を与えることで、頭皮へのマッサージ効果の向上が図られている。
また、ブラシ部をブラシ部の長手方向の軸中心に往復揺動駆動させる手段を備えた頭皮ケアブラシが提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2の発明によれば、ブラシで頭皮を叩くことで、頭部の血行促進が図られている。
【0003】
また、例えば、駆動部と、この駆動部によって動作するブラシ部とを有し、ブラシ部が、可撓性を有する材質からなる基板と、基板表面に突出して設けられた複数の突起とで構成され、基板の面と交差する方向に基板を撓ませる往復駆動手段を設けた電動式ブラシ装置が提案されている(例えば、特許文献3)。特許文献3の発明によれば、突起が頭皮を揉むように動くことで、頭皮の洗浄あるいはマッサージ効果の向上が図られている。
あるいは、一端がテーパ状とされ、先端部が頭皮毛穴より細い用毛が複数束ねられた毛束が複数植毛された頭皮毛穴洗浄用ブラシが提案されている(例えば、特許文献4)。特許文献4の発明によれば、一端がテーパ状とされた用毛を用いることで、毛穴内部の汚れを効果的に除去すると共に、マッサージ効果の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平03−222905号公報
【特許文献2】特開平11−197200号公報
【特許文献3】特開2010−167048号公報
【特許文献4】国際公開第08/143131号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3の発明では、頭皮及び毛穴内の残存皮脂を十分に取り除けなかった。加えて、特許文献2の発明は、ブラシ部を揺動させる機構が複雑であり、ブラシの大きさや形態が制限され、頭皮洗浄に用いるのが煩雑である。
特許文献4の発明では、効果的に残存皮脂を除去できるものの、血行促進が不十分であった。さらに、特許文献1〜3の発明と特許文献4の発明とを組み合わせても、残存皮脂を十分に除去し、かつ血行促進を十分なものとできなかった。
そこで、本発明は、容易に残存皮脂を十分に除去し、かつ血行促進に優れる頭皮洗浄ブラシを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、突出部を設けた基台に振動発生体を設け、振動発生体で生じた振動を揺動運動に変換することで、コンパクト化が図れると共に、残存皮脂の除去効果及び血行促進効果の向上が図れることを見出し、本発明に至った。
【0007】
即ち、本発明の頭皮洗浄ブラシは、扁平状に形成された基台の一方の面に突出部が設けられた洗浄体と、前記洗浄体を揺動可能に軸支する把持体と、前記基台に設けられた振動発生体とを備え、該振動発生体は、駆動部と、該駆動部により回転する偏心軸部とを備えることを特徴とする。
前記把持体は、前記突出部の突出方向に対し、前記基台の反対側に位置することが好ましく、前記偏心軸部の回転軸は、前記基台の一方の面と略平行とされ、前記洗浄体は、前記基台の一方の面と略平行かつ前記偏心軸部の回転軸と略直交する軸線を中心に揺動することが好ましく、前記振動発生体は、両軸モーターの各軸に前記偏心軸部が設けられていることがより好ましく、前記洗浄体と前記把持体とは、弾性復帰力を有する弾性部で接続されていることがさらに好ましく、前記突出部は、先端に向かい漸次縮径し、先端が先鋭化された用毛を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の頭皮洗浄ブラシによれば、扁平状に形成された基台の一方の面に突出部が設けられた洗浄体と、前記洗浄体を揺動可能に軸支する把持体と、前記基台に設けられた振動発生体とを備え、該振動発生体は、駆動部と、該駆動部により回転する偏心軸部とを備えるため、容易に残存皮脂を十分に除去し、かつ血行促進に優れる。
本発明の頭皮洗浄ブラシによれば、前記把持体は、前記突出部の突出方向に対し、前記基台の反対側に位置するため、使用者は洗浄実感及び血行促進実感をより得られやすい。
本発明の頭皮洗浄ブラシによれば、前記偏心軸部の回転軸は、前記基台の一方の面と略平行とされ、前記洗浄体は、前記基台の一方の面と略平行かつ前記偏心軸部の回転軸と略直交する軸線を中心に揺動するため、洗浄体を効率的に揺動できる。
本発明の頭皮洗浄ブラシによれば、前記振動発生体は、両軸モーターの各軸に前記偏心軸部が設けられているため、洗浄体をより効率的に揺動できる。
本発明の頭皮洗浄ブラシによれば、前記洗浄体と前記把持体とは、弾性復帰力を有する弾性部で接続されているため、より安定して残存皮脂を除去し、かつ安定して血行を促進できる。
本発明の頭皮洗浄ブラシによれば、前記突出部は、先端に向かい漸次縮径し、先端が先鋭化された用毛を備えるため、残存皮脂をより除去でき、かつ血行をより促進できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかる頭皮洗浄ブラシの斜視図である。
【図2】(a)本発明の第一の実施形態にかかる頭皮洗浄ブラシの正面図である。(b)本発明の第一の実施形態にかかる頭皮洗浄ブラシの底面図である。
【図3】本発明の頭皮洗浄ブラシに用いられる用毛の模式図である。
【図4】本発明の第一の実施形態にかかる頭皮洗浄ブラシの破断斜視図である。
【図5】本発明の第一の実施形態にかかる頭皮洗浄ブラシの破断正面図である。
【図6】本発明の第一の実施形態にかかる頭皮洗浄ブラシの破断正面図である。
【図7】(a)本発明の振動発生体の平面図である。(b)本発明の振動発生体の左側面図である。(c)本発明の振動発生体の正面図である。(d)本発明の振動発生体の右側面図である。
【図8】本発明の振動発生体の斜視図である。
【図9】(a)本発明の第二の実施形態にかかる頭皮洗浄ブラシの正面図である。(b)本発明の第二の実施形態にかかる頭皮洗浄ブラシの底面図である。
【図10】本発明の一実施形態を説明する植毛板の底面図である。
【図11】本発明の一実施形態を説明する植毛板の底面図である。
【図12】実施例の頭皮洗浄ブラシを説明する植毛板の底面図である。
【図13】実施例の頭皮洗浄ブラシを説明する植毛板の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第一の実施形態にかかる頭皮洗浄ブラシについて、以下に図面を参照して説明する。
図1に示すように、頭皮洗浄ブラシ1は、洗浄体20と、把持体10とを備えるものである。
【0011】
図2(a)は、本実施形態の頭皮洗浄ブラシ1を正面から見た部分破断図であり、図2(b)は、頭皮洗浄ブラシ1の底面図である。図2に示すように、把持体10は、略楕円形の開口部(把持体開口部)13を有し、把持体開口部13の反対側に膨出する中空状の筐部11と、筐部11に突設された把持部12とを備えるものであり、把持体開口部13には、支持部14が設けられている。筐部11の内部には、電池室16が設けられ、この電池室16は、Oリング等の環状パッキンを介して筐部11と接合されている。電池室16内には電池17が収納され、電池17の電極は、電池室16内に設けられた端子(不図示)と接続されている。
【0012】
把持体10の材質は、把持体10に求める剛性等を勘案して決定でき、例えば、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル系樹脂、AS(アクリロニトリル/スチレン共重合体)、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体)、ポリアミド、ポリカーボネート等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
電池室16の材質は、把持体10の材質と同様である。
電池17は、乾電池であってもよいし、蓄電池であってもよい。
【0013】
図2に示すように、洗浄体20は、偏平状に形成された底面視略楕円形の基台21と、基台21の一方の面(植毛面)23に設けられた複数の突出部30と、駆動室26とを備えるものである。
基台21は、底面視略楕円形の開口部(基台枠開口部)24aが形成された基台枠24と、基台枠開口部24aに嵌合された植毛板22とを備えるものである。植毛板22には、略中央に略真円形の嵌合孔22aが形成され、基台枠開口部24aの長手方向両端に切欠22bが形成されている。切欠22bが形成されていることで、基台22内に進入した水を容易に排出できる。
また、植毛板22には、基台枠開口部24aの短手方向両端に嵌合爪22cが形成されている。
嵌合孔22aには、基台枠24に形成された嵌合部29aが嵌合され、嵌合爪22cは、基台枠24に形成された嵌合部29cに嵌合されている。こうして、植毛板22は、嵌合枠24に着脱可能に取り付けられている。
【0014】
突出部30は、複数の用毛を束ねた毛束32が、矩形を形成するように4個配置されてなるものであり、突出部30同士は、基台21の短径方向及び長径方向に略等間隔で配置されている。
【0015】
植毛板22の材質は、把持体10の材質と同様であり、基台枠24の材質は、把持体10の材質と同様である。
【0016】
突出部30の大きさは、特に限定されないが、例えば、直径3〜10mmの円に内接する大きさとされる。上記下限値未満であると、頭皮への刺激が不十分になり、十分な血行促進効果を得られないおそれがある。上記上限値超であると、頭皮を洗浄する際に、毛髪が障害となって突出部30が頭皮に届かないおそれがある。
任意の突出部30の中心と、これに最も近接する他の突出部30の中心との距離(最短中心点距離)D3は、特に限定されないが、例えば、7mm以上10mm未満とされる。上記下限値未満であると、頭皮を洗浄する際に、毛髪が障害となって突出部30が頭皮に届かないおそれがある。上記上限値超であると、頭皮への刺激が不十分になり、十分な血行促進効果を得られないおそれがある。
また、任意の突出部30の中心と、これと2番目に近接する突出部30の中心との距離(次短中心点距離)D4は、特に限定されないが、例えば、10〜15mmとされる。上記下限値未満であると、頭皮を洗浄する際に、毛髪が障害となって突出部30が頭皮に届かないおそれがある。上記上限値超であると、頭皮への刺激が不十分になり、十分な血行促進効果を得られないおそれがある。
任意の突出部30の毛束32の中心と、この毛束32に最も近接する他の任意の突出部30の毛束32の中心との距離(隙間距離)S1は、4〜8mmが好ましい。
【0017】
毛束32の高さ、即ち植毛面23から毛束32の先端までの長さ(毛丈)H1(図2(a))は、毛束32に求める物性等を勘案して決定でき、例えば、5〜50mmが好ましく、5〜30mmがより好ましい。上記下限値未満であると、頭皮を洗浄する際に、毛髪が障害となって毛束32が頭皮の毛穴に届かず、残存皮脂の除去効果が不十分になるおそれがある。上記上限値超であると、毛束32の毛腰が柔らかくなりすぎて、頭皮への刺激が不十分となり、十分な血行促進効果を得られないおそれがある。
毛束32の毛束径は、毛束32に求める物性等を勘案して決定でき、例えば、1〜3mmが好ましい。上記下限値未満であると、毛束32の毛腰が柔らかくなりすぎて、頭皮への刺激が不十分となり、十分な血行促進効果を得られないおそれがある。上記上限値超であると、毛束32が撓みにくくなり、用毛の毛先が頭皮の毛穴内に進入しにくくなって、残存皮脂の除去効果が不十分になるおそれがある。
1個の毛束32当たりの用毛の本数は、用毛の材質や種類等を勘案して決定でき、例えば、10〜50本が好ましい。なお、用毛の本数は、植毛面23から突出している数である。
【0018】
任意の突出部30において、任意の毛束32の中心と、これと最も近接する他の毛束32の中心との距離(毛束間最短距離)D1は、2mm以上6mm未満が好ましく、2〜5mmがより好ましい。上記下限値未満であると、頭皮を洗浄する際に、毛髪が障害となって突出部30が頭皮に届かないおそれがある。上記上限値超であると、頭皮への刺激が不十分になり、十分な血行促進効果を得られないおそれがある。
また、任意の突出部30において、任意の毛束32の中心と、これと最も離れた他の毛束32の中心との距離(毛束間最長距離)D2は、2mm以上7mm未満が好ましく、2.5〜6mmがより好ましい。上記上限値超であると、頭皮への刺激が不十分になり、十分な血行促進効果を得られないおそれがある。上記下限値未満であると、頭皮を洗浄する際に、毛髪が障害となって突出部30が頭皮に届かないおそれがある。
【0019】
毛束32を構成する用毛としては、毛先に向かって漸次縮径し、先端部が先鋭化された用毛(テーパー毛)、植毛面23から毛先に向かいその径がほぼ同一である用毛(ストレート毛)等が挙げられ、中でもテーパー毛が好ましい。テーパー毛は、先端部が頭皮の毛穴内に容易に進入し、毛穴内の残存皮脂を容易に掻き出せるためである。
テーパー毛について、図3を用いて説明する。図3のテーパー毛33は、少なくとも一端側が先端33bに向かって漸次縮径してテーパー状とされたものであり、図示例では、両端の先端部33aがテーパー状に形成されている。
ストレート毛としては、毛先が植毛面23に略平行な平面とされたものや、毛先が半球状に丸められたものが挙げられる。
【0020】
用毛の材質は、例えば、6−12ナイロン、6−10ナイロン等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等のポリエステル、PP等のポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等のエラストマー等の合成樹脂材料を用いることができる。これらの樹脂材料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、用毛は、芯部と該芯部の外側に設けられた少なくとも1層以上の鞘部とを有する多重芯構造であってもよい。
【0021】
用毛の横断面形状は、真円形、楕円形等の円形、三角形、四角形等の多角形、星形、三つ葉のクローバー形、四つ葉のクローバー形等とすることができる。
【0022】
用毛の太さは、特に限定されず、例えば、横断面が円形の場合、その最も太い部分の直径が好ましくは0.025〜0.75mm、より好ましくは0.2〜0.4mmとされる。上記下限値未満であると、毛束32の毛腰が弱くなりすぎて、頭皮への刺激が不十分になり、十分な血行促進効果を得られないおそれがある。上記上限値超であると、毛束32が撓みにくくなり、用毛の毛先が頭皮の毛穴内に進入しにくくなって、残存皮脂の除去効果が不十分になるおそれがある。
加えて、用毛にテーパー毛を用いる場合、先端部が毛穴径よりも細いことが好ましく、その先端から植毛面23に0.1mm近づいた位置における直径R1が0.005〜0.050mmであることがより好ましい。このようなテーパー毛であれば、用毛が頭皮の毛穴内に効率的に進入し、残存皮脂をより良好に除去できる。
【0023】
毛束32は、例えば、用毛を束ね二つ折りにし、その間に挟み込まれた平線を、植毛板22に形成された植毛穴に打ち込んで、毛束32を植毛する平線式植毛や、毛束32の下端を植毛部となる溶融樹脂中へ圧入して固定する熱融着法、毛束32の下端を加熱して溶融塊を形成した後に、金型中に溶融樹脂を注入して植毛部を成形するインモールド法等が挙げられる。
平線式植毛には、一般に歯ブラシ製造等に用いられている植毛装置を用いることができ、植毛装置としては、特開2000−93233号公報に記載された製造装置が挙げられる。
【0024】
図4は、本実施形態の頭皮洗浄ブラシ1の破断斜視図であり、図5は、本実施形態の頭皮洗浄ブラシ1の破断正面図である。なお、図4〜5は、洗浄体20が揺動していない状態(常態)を図示したものであり、説明の便宜上、図4〜5には、把持体10が図示されていない。
図4〜5に示すように、突出部30の突出方向に対し、基台21の反対側には、駆動室26が設けられている。駆動室26は、Oリング等の環状パッキン(不図示)を介して基台21に接合され、内部に水が浸入しないように防水構造とされている。駆動室26の内部には、振動発生体50が収納されており、振動発生体50は、オン・オフスイッチを介して、電池17と電気的に接続されている。
【0025】
図7に示すように、本実施形態の振動発生体50は、駆動部51と偏心軸部52とを備えるものである。偏心軸部52は、駆動部51のエンドベル55側及びその反対側の双方に突き出た回転軸54と、回転軸54の両端に設けられた偏心錘53とで構成されている。即ち、振動発生体50は、両軸モーターの各軸が偏心軸部52とされたものである。本実施形態において、回転軸54は、植毛面23に略平行とされている。なお、略平行とは、回転軸54と植毛面23とのなす角度が、10°以下であることを示す。
【0026】
駆動部51の周波数は、特に限定されないが、例えば、50〜200Hzが好ましく、80〜180Hzがより好ましく、100〜150Hzがさらに好ましい。
【0027】
偏心錘53同士の位相差は、0°超であれば特に限定されないが、略180°とすることが好ましい。位相差が180°に近づくほど、振動発生体50の重心移動が容易となり、効率的に振動を発生できる。
偏心軸部52における偏心錘53同士の距離L1は、振動発生体50に求める振動の程度に応じ、駆動部51の周波数等を勘案して決定でき、例えば、3〜8cmとされる。
偏心錘53の質量は、振動発生体50に求める振動の程度に応じて、駆動部51の周波数、偏心錘53同士の距離や位相差等を勘案して決定できる。
偏心錘53の中心軸O3と、回転軸54の中心軸O2との距離dは、振動発生体50に求める振動の程度に応じて、偏心錘53同士の距離L1や位相差、偏心錘53の質量、偏心錘53の半径r等を勘案して決定できる(図7(b)参照)。距離dは、例えば、1〜5mmが好ましく、2〜4mmがより好ましく、3〜3.5mmがさらに好ましい。
【0028】
駆動室26の外側には、回転軸54の長さ方向の略中央に対応する位置(即ち、振動発生体50の重心位置)に、基台21の短径方向両側に突出する保持軸28が設けられ、保持軸28の外周には、緩衝部28aが設けられている。この保持軸28が緩衝部28aを介して、支持部14に形成された軸穴(不図示)に挿入されることで、洗浄体20が揺動軸線O1(図4)を中心として揺動可能に、洗浄体10に軸支される。揺動軸線O1は、保持軸28の中心同士を結んだ線である。
本実施形態において、緩衝部28aの材質としては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン−酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、天然ゴム系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、トランス−ポリイソプレン系熱可塑性エラストマー、シリコンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等の軟質樹脂が挙げられる。緩衝部28aが設けられていることで、振動発生体50で生じた振動の把持体10への伝達を抑制できる。
【0029】
支持部14には、基台21の短径方向に跨る橋部15が設けられ、この橋部15と駆動室26とが、2個の弾性部18で接続されている。弾性部18は、弾性復帰力を有する部材であり、本実施形態においては、コイルスプリングが用いられている。また、本実施形態の弾性部18は、揺動軸線O1を挟んだ両側に設けられ、伸縮方向が植毛面23と略直交する方向となるように設けられている。略直交は、90°±5°を意味する。
【0030】
頭皮洗浄ブラシ1の総重量は、特に限定されないが、例えば、300g以下が好ましく、200g以下がより好ましい。上記上限値超であると、用毛の毛先がつぶれ、毛穴内の残留皮脂の除去効果が低下するおそれがあると共に、洗髪時に扱いにくくなる。なお、下限値は、特に限定されないが、例えば、150g以上とされる。
【0031】
次に、頭皮洗浄ブラシ1の使用方法の一例を説明する。
必要に応じて、頭部に、水、又はシャンプー、育毛剤又はマッサージ剤等の薬剤を塗布する。次いで、把持部12を2本の指の間に挟みこむと共に、手の平を筐部11の膨出面に当接し、頭皮洗浄ブラシ1を把持し、突出部30を頭皮に当接させる。オン・オフスイッチをオンの状態とし、駆動部51を始動させて偏心軸部52を回転させる。偏心軸部52を回転させると、回転軸54の両端に設けられた偏心錘53同士が位相差を有するため、偏心錘53の中心軸O3は、回転軸54における長さ方向の中心P1を支点とし、両端が円を描くように運動する(図8)。このため、振動発生体50は、重心が中心軸O3の運動に追随して移動し、振動を生じる。この振動は、振動発生体50が設けられている洗浄体20に伝えられる。この時、洗浄体20は保持軸28により把持体10に軸支されているため、振動発生体50で生じた振動エネルギーの一部は、揺動軸線O1を中心として洗浄体20をX方向に揺動するエネルギーに変換される(図6)。この際、弾性部18は、洗浄体20を常態に維持しようと働くため、洗浄体20は、揺動の程度が規制され、一定の振幅幅で揺動し、残存皮脂の除去効果及び血行促進効果を安定的に発揮できる。
【0032】
駆動部51が駆動している間、洗浄体20は、図6に向かって右端が、支持部14に最も近づく(即ち、突出部30が突出部30aの位置となる)姿勢(符号20a)と、図6に向かって右端が、支持部14から最も離れる(即ち、突出部30が突出部30bの位置となる)姿勢(符号20b)とを交互に繰り返す。この際、中心軸O2方向の両端に位置する突出部30(即ち、保持軸28から最も離れた位置の突出部30)は、その突出方向にh1の距離で動き、中心軸O2方向にl1の距離で動く。また、保持軸28に最も近い位置の突出部30は、その突出方向にh2の距離で動き、中心軸O2方向にl2の距離で動く。ここで、h1>h2であるため、保持軸28から離れた位置の突出部30は、主に頭皮をタッピングして血行を促進し、保持軸28近傍の突出部30は、頭皮を摺動するように動いて、残存皮脂を除去する。
加えて、振動エネルギーの他の一部は、突出体30に伝えられ、突出体30を振動させるため、残存皮脂の除去効果及び血行促進効果を相乗的に高められる。
【0033】
本実施形態によれば、基台の一方の面に突出部が設けられた洗浄体と、洗浄体を揺動可能に軸支する把持体と、基台に設けられた振動発生体を備えるため、振動発生体で生じた振動で基台を揺動させ、突出部で頭皮を摺動し、かつタッピングすることで、容易に残存皮脂の除去効果及び血行促進効果を発揮できる。
加えて、振動発生体で生じた振動は、基台を介して突出部に伝えられ、突出部は振動しながら頭皮を摺動及びタッピングするため、残存皮脂の除去効果及び血行促進効果を相乗的に高められる。
【0034】
本実施形態によれば、把持体が、突出部に対し、基台の反対側に位置するため、使用者は、頭皮で感じる刺激の強弱に応じて、突出部の頭皮への押圧力を容易に調節でき、洗浄実感及び血行促進実感を得られやすくなる。
【0035】
従来、洗浄体を揺動させるには、モーター等の駆動部の回転運動を減速機やクランク等を介して、直線運動に変換する必要があった。この揺動方式では、外力や他の部材との摩擦によって洗浄体の揺動運動が停止された場合、駆動部がロックされた状態となり、焼き付いたり破損したりするおそれがあった。駆動部のロック状態を回避するためには、過電流を検知し、電気回路を切断する機構を設ける必要があった。
本実施形態によれば、振動発生体が設けられた洗浄体を揺動可能に、把持体に軸支するという簡易な構成により、回転軸のY方向の回転運動を容易にX方向の揺動運動に変換できる(図6)。即ち、駆動部の回転運動を洗浄体の揺動運動に変換するにあたり、クランク等の機構を介するものではない。このため、仮に、洗浄体の揺動運動が外力等によって停止された場合であっても、駆動部はロック状態とならず、焼き付いたり破損したりすることがない。
加えて、駆動部と洗浄体との間に、揺動運動のための特段の部材を要しないため、振動発生体で生じた振動エネルギーが基台に伝達されるにあたり、振動エネルギーの損失が少ない。このため、消費電力を低減できる。
さらに、駆動部と洗浄体との間に、揺動運動のための特段の部材を要しないため、コンパクト化が図れ、洗髪時の器具としての利便性が高い。
【0036】
本発明の第二の実施形態について、図9を用いて説明する。第一の実施形態を同じ構成には同じ符号を付してその説明を省略し、主に第一の実施形態と異なる点について説明する。本実施形態が第一の実施形態と異なる点は、突出部の一部を弾性材料からなる錐体状の突起とした点である。
図9(a)は、本実施形態の頭皮洗浄ブラシ100の正面図であり、図9(b)は、本実施形態の頭皮洗浄ブラシ100の底面図である。説明の便宜上、図9(a)は、一部の毛束の図示が省略されている。
【0037】
図9に示す頭皮洗浄ブラシ100は、洗浄体120と把持体10とを備えるものである。洗浄体120は、偏平状に形成された底面視略楕円形の基台121と、基台121に設けられた複数の第一の突出部130及び複数の第二の突出部140と、駆動室26とを備えるものである。
基台121は、基台枠24と、基台枠開口部24aに嵌合された植毛板122とを備えるものである。
【0038】
植毛板122には、植毛面23の周縁23aに沿った外周部126に第一の突出部130が10個設けられ、外周部126の内側に第二の突出部140が10個設けられている。第二の突出部140は、その外縁をつないだ輪郭が略楕円形とされている。
第一の突出部130は、周縁23aの周方向に毛束32を3個並べて1列とし、この列を植毛面23の直径方向に2段並べた計6個の毛束32で構成されている。
【0039】
本実施形態において、第一の突出部130は、主に頭皮を洗浄するものとして機能し、第二の突出部140は、主に頭皮をタッピングするものとして機能する。このため、本実施形態において、第一の突出部130同士の位置関係は、第二の突出部140の配置や数量等を勘案し、第一の実施形態における突出部30同士の位置関係と異なるものであってもよい。また、第一の突出部130を構成する毛束32同士の位置関係は、突出部30を構成する毛束32同士の位置関係と異なるものであってもよい。
即ち、第一の突出部130同士の最短中心点距離は、第二の突出部140の位置や数量、毛束32を構成する用毛の種類等を勘案して適宜決定される。
第一の突出部130同士の次短中心点距離は、第二の突出部140の位置や数量、毛束32を構成する用毛の種類等を勘案して適宜決定される。
第一の突出部130同士の隙間距離は、第二の突出部140の位置や数量、毛束32を構成する用毛の種類等を勘案して適宜決定される。
第一の突出部130を構成する毛束32の毛束径は、毛束32を構成する用毛の種類等を勘案して適宜決定できる。
第一の突出部130における毛束間最短距離は、毛束32を構成する用毛の種類等を勘案して適宜決定できる。
第一の突出部130における毛束間最長距離は、毛束32を構成する用毛の種類等を勘案して適宜決定できる。
【0040】
第二の突出部140は、植毛面23から先端部142に向かって漸次縮径する略円錐形とされ、かつ先端部142が面取りされてなる錐体状の突起である。
第二の突出部140の材質は、弾性を有するものであればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン、ポリアセタール、ウレタンゴム、シリコーン、エラストマー樹脂、天然ゴム等の各種弾性材料が挙げられる。
加えて、第二の突出部140の材質としては、デュロメータ・タイプAを用い、JIS K6251に準拠して測定されるシェアA硬度が40〜90度のものが好ましく、40〜80度のものがより好ましい。このような材質を用いることで、頭皮に適度な刺激を与え、血行促進効果をより高められる。
【0041】
任意の第二の突出部140と、これに最も近接する他の第二の突出部140との距離(隙間距離)S2は、5〜30mmが好ましく、7〜22mmがより好ましい。距離S2が上記下限値未満であると、毛髪が第二の突出部140に絡まりやすくなり、洗髪時の使用性が低下するおそれがある。距離S2が上記上限値超であると、血行促進効果が低下するおそれがある。
【0042】
第二の突出部140の高さH2、即ち、植毛面23から第二の突出部140の先端までの長さは、特に限定されないが、5〜30mmが好ましい。高さH2が上記下限値未満であると、毛髪が障害となって第二の突出部140が頭皮に届かないおそれがある。長さH2が上記上限値超であると、第二の突出部140が曲がりやすくなり、十分血行促進効果が得られないおそれがある。
また、第二の突出部の高さH2は、第一の突出部130を構成する毛束32の毛丈H1よりも1〜5mm低いことが好ましい。H1とH2との差が1mm未満であると、毛束32が湾曲し、毛穴内の残存皮脂の除去効果が不十分になるおそれがある。H1とH2との差が5mm超であると、第二の突出部140が頭皮に到達せず、血行促進効果が不十分になるおそれがある。
【0043】
第二の突出部140の基端の直径R2は、強度確保等の観点から、例えば、5〜9mmとされる。
また、先端から植毛面23に0.1mm近づいた部分における直径は0.4〜1mmが好ましい。上記下限値未満であると、血行促進効果が不十分になるおそれがあり、上記上限値超であると、頭皮の洗浄実感が低下するため好ましくない。
【0044】
本実施形態によれば、第二の突出部が弾性材料からなる錐体状の突起であるため、適度な力で頭皮を刺激できる。このため、血行促進効果をより高められる。
【0045】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
第一及び第二の実施形態では、振動発生体として、両軸モーターの各軸に偏心軸部を備える両軸偏心モーターが用いられているが、本発明はこれに限定されず、例えば、エンドベルの反対側にのみ回転軸を有し、この回転軸に偏心軸部を設けた片側偏心モーターであってもよい。ただし、より効率的に洗浄体を揺動させる観点からは、両軸偏心モーターを用いることが好ましい。
【0046】
第一及び第二の実施形態では、偏心軸部の回転軸は、植毛面と略平行とされているが、本発明はこれに限定されず、偏心軸部の回転軸が、植毛面と略平行でなくてもよい。ただし、より効率的に洗浄体を揺動させること、頭皮洗浄ブラシのコンパクト化を図る観点からは、偏心軸部の回転軸が、植毛面に略平行であることが好ましい。
【0047】
第一及び第二の実施形態では、揺動軸線が、植毛面に略平行かつ偏心軸部の回転軸に略直交するものとされているが、本発明は、これに限定されず、揺動軸線と植毛面とが略平行でなくてもよいし、揺動軸線と回転軸とが略直交していなくてもよい。
ただし、回転軸の回転運動をより効率的に揺動運動に変化させる観点から、揺動軸線は、植毛面に略平行かつ偏心軸部の回転軸に略直交することが好ましい。
【0048】
第一の実施形態では、1個の突出部が、矩形状に配置された4個の毛束で構成されているが、例えば、1個の突出部を構成する毛束の数は3個以下であってもよいし、5個以上であってもよい。ただし、残存皮脂の除去効果と血行促進効果とをより高める観点からは、1個の突出部を構成する毛束の数は、2〜6個が好ましい。
このような、突出部を備える頭皮洗浄ブラシについて、図10を用いて説明する。図10(a)〜(c)は、突出部の配列パターンを説明する植毛板の底面図である。
例えば、図10(a)に示すように、3個の毛束32を正三角形状に配置して突出部30aを構成したものが挙げられる。
また、図10(b)に示すように、1個の毛束32を中心とし、他の4個の毛束を環状配置して突出部30bを構成したものが挙げられる。
あるいは、図10(c)に示すように、3個の毛束32を1列とし、これを2列平行に配置して突出部30cを構成したものが挙げられる。
【0049】
第二の実施形態では、第二の突出部が略円錐形とされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、第二の突出部は、角錐状であってもよいし、円柱状又は角柱状であってもよい。
また、例えば、第二の突出部は、錐体状の突起の先端に、さらに1以上の突起が形成されたものであってもよい。先端に形成される突起の形状は、特に限定されず、半球状、円錘状、角錘状、円柱状又は角柱状等が挙げられる。
【0050】
第二の実施形態では、1個の第一の突出部が、矩形状に配置された6個の毛束で構成されているが、例えば、第一の突出部を構成する毛束の数は5個以下であってもよいし、7個以上であってもよい。ただし、残存皮脂の除去効果と血行促進効果とをより高める観点からは、1個の突出部を構成する毛束の数は、2〜6個が好ましい。
また、第二の実施形態では、第二の突出部が底面視略楕円形となるように配置され、6個の毛束で構成された第一の突出部が植毛面の周縁に沿って環状配置されているが、本発明はこれに限定されず、第一の突出部と第二の突出部との配置は、あらゆる配置パターンを採用できる。例えば、第二の突出部の配置パターンを円形状、横縞状、市松状、十字状又は放射状等としてもよい。
【0051】
以下に、第一の突出部と第二の突出部との配置パターンの例を挙げる。
例えば、図11(a)に示すように、8個の第二の突出部140が植毛面23の中心回りに環状配置されると共に、周縁23aに沿って、3個の毛束32で構成された第一の突出部130aが10個環状配置されたものが挙げられる。
また、図11(b)に示すように、8個の第二の突出部140が植毛面23の中心回りに環状配置されると共に、周縁23aに沿って、6個の毛束32で構成された第一の突出部130が8個環状配置されたものが挙げられる。
あるいは、図11(c)に示すように、8個の第二の突出部140が植毛面23の中心回りに環状配置されると共に、周縁23aに沿って、9個の毛束32で構成された第一の突出部130cが6個環状配置されたものが挙げられる。
また、例えば、図11(d)に示すように、8個の第二の突出部140が植毛面23の中心回りに環状配置されると共に、周縁23aに沿って、12個の第一の突出部130が環状配置されたものが挙げられる。
また、例えば、図11(e)に示すように、8個の第二の突出部140が植毛面23の中心回りに環状配置されると共に、周縁23aに沿って、6個第一の突出部130が環状配置されたものが挙げられる。
また、例えば、図11(f)に示すように、10個の第二の突出部140が植毛面23の中心近傍に千鳥状に配置されると共に、周縁23aに沿って、8個の第一の突出部130が環状配置されたものが挙げられる。
また、例えば、図11(g)に示すように、1個の第二の突出部140が植毛面23の中心に配置され、かつ4個の第二の突出部140が植毛面23の中心回りに環状配置されると共に、周縁23aに沿って、8個の第一の突出部130が環状配置されたものが挙げられる。
また、例えば、図11(h)に示すように、6個の第二の突出部140が植毛面23の中心近傍に略十字状に配置されると共に、周縁23aに沿って、8個の第一の突出部130が環状配置されたものが挙げられる。
また、あるいは、図11(i)に示すように、植毛面23の中心近傍に配置された2つの第一の突出部130を囲むように、8つの第一の突出部130が環状配置されると共に、10個の第二の突出部140が周縁23aに沿って環状配置されものが挙げられる。
【0052】
第一の実施形態では、全ての突出部が毛束で構成されているが、本発明はこれに限定されず、一部又は全ての突出部が、弾性材料からなる錐体状の突起であってもよい。
また、第二の実施形態では、第一の突出部が毛束で構成され、第二の突出部が弾性材料からなる錐体状の突起であるが、本発明はこれに限定されず、全ての第一及び第二の突出部が毛束で構成されていてもよいし、弾性材料からなる錐体状の突起であってもよい。
ただし、毛穴内の残存皮脂をより効率的に除去し、かつより良好な血行促進効果を図る観点から、突出部の少なくとも一部は、毛束で構成されていることが好ましく、該毛束を構成する用毛は、テーパー毛であることがより好ましい。毛束は、細い用毛で構成されているため柔らかな毛腰であり、単に機械的な振動が与えられても、血行を促進できるような刺激を頭皮に与えにくい。また、特許文献3の技術のように、頭皮を揉む様に毛束を動作させても、毛束は頭皮に十分な刺激を与えにくい。頭皮へ与える刺激が不足する傾向は、用毛にテーパー毛を用いた場合に特に顕著である。本発明は、テーパー毛のような、細い径の用毛で突出部を構成した場合でも、頭皮に十分な刺激を与えられる。このため、突出部の少なくとも一部がテーパー毛を用いた毛束である場合に、その効果が顕著に現れる。
【0053】
第一及び第二の実施形態では、基台が底面視略楕円形とされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、真円形であってもよいし、三角形、矩形、五角形等の多角形であってもよい。
【0054】
第一及び第二の実施形態では、把持体が突出部の突出方向に対し基台の反対側に位置するものとされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、把持体が、突出部の突出方向と略直交する方向に突設されていてもよい。
ただし、洗髪時の洗浄実感をより高めたり、血行促進実感をより高めたりする観点から、把持体は突出部の突出方向に対し基台の反対側に位置することが好ましい。
【0055】
第一及び第二の実施形態では、筐部が、把持体開口部の反対側に膨出する形状とされているが、本発明はこれに限定されず、筐部の形状はいかなるものであってもよい。
また、第一及び第二の実施形態では、把持体は、筐部に把持部が突設されたものであるが、本発明はこれに限定されず、頭皮洗浄ブラシを把持できる形態であれば把持体の形状はいかなるものであってもよい。
【0056】
第一及び第二の実施形態では、洗浄体と把持体とが弾性部で接続されているが、本発明はこれに限定されず、洗浄体と把持体とが弾性部で接続されていなくてもよい。ただし、洗浄体が揺動する際の振幅をより安定させる観点から、洗浄体と把持体とは弾性部で接続されていることが好ましい。
【0057】
第一及び第二の実施形態では、弾性部がコイルスプリングとされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、円柱状又は角柱状のゴム材等であってもよい。ただし、基台の振幅をより安定化する観点から、弾性部としてコイルスプリングを用いることが好ましい。
【0058】
第一及び第二の実施形態の弾性部は、その伸縮方向が植毛面と略直交する方向となるように設けられているが、本発明はこれに限定されず、例えば、弾性部は、その伸縮方向が植毛面と平行となるように設けられていてもよい。ただし、基台の振幅をより安定化する観点から、弾性部は、その伸縮方向が植毛面と略直交する方向となるように設けられていることが好ましい。
【0059】
第一及び第二の実施形態では、振動発生体の電源が、筐部内の電池とされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、筐部外の直流電源又は交流電源であってもよい。
【実施例】
【0060】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0061】
(実施例1)
下記仕様により、第一の実施形態の頭皮洗浄ブラシ1と同様の頭皮洗浄ブラシを得た。得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。なお、表中、本例の駆動方式を「間接揺動」と記す(実施例2〜4において同じ)。
【0062】
<仕様>
植毛板:長径79.3mm×短径64.3mm、厚さ4.5mm。
用毛:テーパー毛、毛丈13mm、先端から0.1mmの位置の直径20μm、最大直径0.3mm、PBT製。
毛束:12本の用毛を束ね、二つ折りにして植毛したもの(用毛数:24)。
毛束間最短距離D1:3mm
毛束間最長距離D2:4.2mm
最短中心点距離D3:9mm
次短中心点距離D4:12.7mm
隙間距離S1:6mm
駆動部の周波数:140Hz
偏心錘同士の距離L1:4.2cm
偏心錘の半径r:5mm
各偏心錘の質量:3.18g
偏心錘の中心軸と回転軸の中心軸との距離d:3.5mm
【0063】
(実施例2)
下記仕様により、突出部の種類と配置パターンを第二の実施形態の頭皮洗浄ブラシ100と同様とした以外は、実施例1と同様にして頭皮洗浄ブラシを得た。得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。
【0064】
<仕様>
植毛板:長径79.3mm×短径64.3mm、厚さ4.5mm。
用毛:テーパー毛、毛丈13mm、先端から0.1mmの位置の直径20μm、最大直径0.3mm、PBT製。
毛束:12本の用毛を束ね、二つ折りにして植毛したもの(用毛数:24)。
第一の突出部の毛束間最短距離:3mm
第一の突出部の毛束間最長距離:4.2mm
第一の突出部の最短中心点距離:9mm
第一の突出部の隙間距離:6mm
第二の突出部:先端部に曲面状の面取りがされた略円錐形、先端から0.1mmの位置における直径0.6mm、基端部の直径7mm、高さ11mm、オレフィン系エラストマー樹脂(シェアA硬度:60度)製。
第二の突出部の隙間距離S2:17mm
【0065】
(実施例3)
下記仕様により、毛束を図12に示す配置パターンで設けた以外は、実施例1と同様にして頭皮洗浄ブラシを得た。本例の頭皮洗浄ブラシにおける毛束32の配置パターンは、毛束32が、植毛面23の長径方向及び短径方向に等間隔で配置されたものである。本例においては、1つの毛束32が1つの突出部を構成している。
得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。
【0066】
<仕様>
植毛板:長径79.3mm×短径64.3mm、厚さ4.5mm。
用毛:テーパー毛、毛丈13mm、先端から0.1mmの位置の直径20μm、最大直径0.3mm、PBT製。
毛束:12本の用毛を束ね、二つ折りにして植毛したもの(用毛数:24)。
突出部の毛束間隙間距離:3mm
【0067】
(実施例4)
下記仕様により、錐体状の突起を図13に示す配置パターンで設けた以外は、実施例2と同様にして頭皮洗浄ブラシを得た。本例の頭皮洗浄ブラシは、第二の実施形態で用いられた第二の突出部140を千鳥状に配置したものである。得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。
【0068】
<仕様>
第二の突出部の隙間距離:17mm
【0069】
(実施例5)
下記仕様により、第一の突出部と第二の突出部とを図11(i)に示す配置パターンで設けた以外は、実施例2と同様にして頭皮洗浄ブラシを得た。得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。
【0070】
<仕様>
毛束:12本の用毛を束ね、二つ折りにして植毛したもの(用毛数:24)。
第一の突出部の毛束間最短距離:3.3mm
第一の突出部の毛束間最長距離:8.5mm
第一の突出部の最短中心点距離:16mm
第二の突出部:先端部に曲面状の面取りがされた略円錐形、先端から0.1mmの位置における直径0.6mm、基端部の直径7mm、高さ11mm、オレフィン系エラストマー樹脂(シェアA硬度:60度)製。
第二の突出部の隙間距離:10〜14mm
【0071】
(実施例6)
下記仕様により、第一の突出部と第二の突出部とを図11(b)に示す配置パターンで設けた以外は、実施例2と同様にして頭皮洗浄ブラシを得た。得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。
【0072】
<仕様>
毛束:12本の用毛を束ね、二つ折りにして植毛したもの(用毛数:24)。
第一の突出部の毛束間最短距離:3.3mm
第一の突出部の毛束間最長距離:8.5mm
第一の突出部の最短中心点距離:20mm
第二の突出部:先端部に曲面状の面取りがされた略円錐形、先端から0.1mmの位置における直径0.6mm、基端部の直径7mm、高さ11mm、オレフィン系エラストマー樹脂(シェアA硬度:60度)製。
第二の突出部の隙間距離:12mm
【0073】
(実施例7)
下記仕様により、毛束を図10(a)に示す配置パターンで設けた以外は、実施例1と同様にして頭皮洗浄ブラシを得た。得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。
【0074】
<仕様>
毛束:12本の用毛を束ね、二つ折りにして植毛したもの(用毛数:24)。
第一の突出部の毛束間最短距離:3.0mm
第一の突出部の毛束間最長距離:3.0mm
第一の突出部の最短中心点距離:9mm
【0075】
(実施例8)
下記仕様により、毛束を図10(b)に示す配置パターンで設けた以外は、実施例1と同様にして頭皮洗浄ブラシを得た。得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。
【0076】
<仕様>
毛束:12本の用毛を束ね、二つ折りにして植毛したもの(用毛数:24)。
第一の突出部の毛束間最短距離:2.1mm
第一の突出部の毛束間最長距離:4.2mm
第一の突出部の最短中心点距離:9mm
【0077】
(実施例9)
下記仕様により、毛束を図10(c)に示す配置パターンで設けた以外は、実施例1と同様にして頭皮洗浄ブラシを得た。得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。
【0078】
<仕様>
毛束:12本の用毛を束ね、二つ折りにして植毛したもの(用毛数:24)。
第一の突出部の毛束間最短距離:3.0mm
第一の突出部の毛束間最長距離:6.7mm
第一の突出部の最短中心点距離:9mm
【0079】
(比較例1)
保持軸を支持部に接着し、洗浄体が揺動しないように固定した以外は、実施例1と同様にして頭皮洗浄ブラシを得た。得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。なお、表中、本例の駆動方式を「振動」と記す。
【0080】
(比較例2)
特許文献2に記載の頭皮ケアブラシと同様の駆動機構を備える頭皮洗浄ブラシを作製した。駆動機構には、減速機を介してモーターの回転を反復運動に変換するものを採用した。そして、実施例1と同様のブラシ体を前記の駆動機構によって往復揺動させた。この頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。なお、表中、本例の駆動方式を「直接揺動」と記す。
【0081】
(比較例3)
特許文献3に記載の頭皮マッサージ機と同様の動作をする頭皮洗浄ブラシを作製した。駆動機構には、減速機を介してモーターの回転を反復運動に変換するものを採用した。ブタシ体には、弾性体からなり、厚み方向に可動・変形する植毛板に、実施例1と同様の配列パターンで毛束を設けたものを用いた。そして、前記の駆動機構により、植毛板をその厚み方向に撓ませる往復運動をさせた。この頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。なお、表中、本例の駆動方式を「湾曲運動」と記す。
【0082】
(比較例4)
実施例2と同様のブラシ体を用いた以外は、比較例2と同様にして頭皮洗浄ブラシを得た。得られた頭皮洗浄ブラシについて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性を評価し、その結果を表1に示す。
【0083】
(評価方法)
<皮脂洗浄力>
モデル皮脂汚れとしてケラチンパウダーとモデル皮脂(トリオレイン:オレイン酸:スクワレン=2:1:1)の5:4混合物を頭皮に塗りつけた。市販シャンプーと各例の頭皮洗浄ブラシとを用いて、3分間洗髪した。洗髪前と洗髪後について、SKICOS301(AMIQUE GROUPE CO.,LTD.製)にて皮脂量を測定し、下記(1)式により皮脂除去率を算出した。算出した皮脂除去率を下記評価基準に分類し、皮脂洗浄力を評価した。
【0084】
皮脂除去率(%)=[(1−洗髪後の皮脂量)/(洗髪前の皮脂量)]×100 ・・・(1)
【0085】
≪評価基準≫
5点:皮脂除去率が80%以上である。
4点:皮脂除去率が70%以上80%未満である。
3点:皮脂除去率が50%以上70%未満である。
2点:皮脂除去率が40%以上50%未満である。
1点:皮脂除去率が40%未満である。
【0086】
<皮脂洗浄実感>
男性のモニター5名で、市販シャンプーと各例の頭皮洗浄ブラシとを用いて、3分間洗髪し、皮脂洗浄実感を以下の基準に従い評価し、その平均点を算出した。
【0087】
≪評価基準≫
5点:十分に洗浄できた。
4点:やや洗浄できた。
3点:どちらともいえない。
2点:やや洗浄が不十分。
1点:洗浄が不十分。
【0088】
<血行促進実感>
男性のモニター5名で、市販シャンプーと各例の頭皮洗浄ブラシとを用いて、3分間洗髪し、血行促進実感を以下の基準に従い評価し、その平均点を算出した。
【0089】
≪評価基準≫
5点:血行の促進を実感した。
4点:血行の促進をやや実感した。
3点:血行促進の実感をあまり感じない。
2点:血行促進が不十分。
1点:血行促進の実感を全く感じない。
【0090】
<利便性>
男性のモニター5名で、市販シャンプーと各例の頭皮洗浄ブラシとを用いて、頭皮の洗浄を行い、利便性を以下の基準に従い評価し、その平均点を算出した。
【0091】
≪評価基準≫
5点:操作が簡便である。
4点:操作がやや簡便である。
3点:どちらともいえない。
2点:操作がやや簡便でない。
1点:操作が簡便でない。
【0092】
【表1】
【0093】
表1に示すように、本発明を適用した実施例1〜9は、いずれも皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感、血行促進実感及び利便性の評価が3点以上であった。加えて、突出部の一部又は全部にテーパー毛を用いた実施例1〜3,5〜9は、錐体状突起のみを用いた実施例4に比べ、皮脂洗浄実感に優れるものであった。
一方、洗浄体が揺動しない比較例1は、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感及び血行促進実感の評価が2.2点以下であった。駆動方式が湾曲運動である比較例3は、駆動方式が間接揺動である実施例1に比べて、皮脂洗浄力、皮脂洗浄実感及び血行促進実感のいずれも劣るものであった。
この結果から、本発明を適用した頭皮洗浄ブラシは、操作が容易で、残存皮脂の除去効果及び血行促進効果に優れることが判った。
【符号の説明】
【0094】
1、100 頭皮洗浄ブラシ
10 把持体
18 弾性部
20、120 洗浄体
21、121 基台
23 植毛面
30、130、140 突出部
32 毛束
50 振動発生体
51 駆動部
52 偏心軸部
54 回転軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平状に形成された基台の一方の面に突出部が設けられた洗浄体と、前記洗浄体を揺動可能に軸支する把持体と、前記基台に設けられた振動発生体とを備え、
該振動発生体は、駆動部と、該駆動部により回転する偏心軸部とを備えることを特徴とする頭皮洗浄ブラシ。
【請求項2】
前記把持体は、前記突出部の突出方向に対し、前記基台の反対側に位置することを特徴とする請求項1に記載の頭皮洗浄ブラシ。
【請求項3】
前記偏心軸部の回転軸は、前記基台の一方の面と略平行とされ、前記洗浄体は、前記基台の一方の面と略平行かつ前記偏心軸部の回転軸と略直交する軸線を中心に揺動することを特徴とする請求項1又は2に記載の頭皮洗浄ブラシ。
【請求項4】
前記振動発生体は、両軸モーターの各軸に前記偏心軸部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の頭皮洗浄ブラシ。
【請求項5】
前記洗浄体と前記把持体とは、弾性復帰力を有する弾性部で接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の頭皮洗浄ブラシ。
【請求項6】
前記突出部は、先端に向かい漸次縮径し、先端が先鋭化された用毛を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の頭皮洗浄ブラシ。
【請求項1】
扁平状に形成された基台の一方の面に突出部が設けられた洗浄体と、前記洗浄体を揺動可能に軸支する把持体と、前記基台に設けられた振動発生体とを備え、
該振動発生体は、駆動部と、該駆動部により回転する偏心軸部とを備えることを特徴とする頭皮洗浄ブラシ。
【請求項2】
前記把持体は、前記突出部の突出方向に対し、前記基台の反対側に位置することを特徴とする請求項1に記載の頭皮洗浄ブラシ。
【請求項3】
前記偏心軸部の回転軸は、前記基台の一方の面と略平行とされ、前記洗浄体は、前記基台の一方の面と略平行かつ前記偏心軸部の回転軸と略直交する軸線を中心に揺動することを特徴とする請求項1又は2に記載の頭皮洗浄ブラシ。
【請求項4】
前記振動発生体は、両軸モーターの各軸に前記偏心軸部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の頭皮洗浄ブラシ。
【請求項5】
前記洗浄体と前記把持体とは、弾性復帰力を有する弾性部で接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の頭皮洗浄ブラシ。
【請求項6】
前記突出部は、先端に向かい漸次縮径し、先端が先鋭化された用毛を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の頭皮洗浄ブラシ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−13601(P2013−13601A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149092(P2011−149092)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】
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