説明

頭皮洗浄装置

【課題】従来の頭皮洗浄装置では、シャワーノズルから噴出する湯水を頭皮に直接浴びせて頭皮を洗浄するため、シャワーノズルから湯水をある程度勢いよく噴出させる必要がある。このように勢いよく湯水を噴出させるとカバーと容器部とで覆われた空間は飛沫で充満し、その一部が顔面側に漏出し、顔面をぬらすおそれが生じる。
【解決手段】頭皮部分と顔面部分との間に位置する飛沫防止板を設けると共に、この飛沫防止板の頭皮側に、湯水を吐出する単一の吐出口を備えたノズルを配設し、このノズルの吐出口から吐出された湯水を飛沫防止板に沿わせて拡散させた状態で頭皮に供給するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部を仰向け状態にして頭皮を洗浄する頭皮洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の頭皮洗浄装置としては、シンク状の容器部を備え、この容器部の上方に頭部が位置するように、仰向けに頭部をセットする。この容器部には複数のシャワーノズルが配設されており、シャワーノズルから噴出する湯水が外部に飛散しないように、頭皮部分とシャワーノズルとをカバーで覆うように構成されている。
【0003】
そして、カバー内でシャワーノズルから湯水を噴出させ、その噴出した湯水を頭皮に直接浴びさせて頭皮を洗浄するように構成されている。
【0004】
なお、容器部の縁には頸部を支持する固定支持部が設けられており、この固定支持部に頸部を乗せ、頸部から先の頭部は容器部の上方に片持ち状態で浮かせたままで頭皮の洗浄が行われる(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−34638号公報(図3)
【特許文献2】特開2003−33220号公報(図6,図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の頭皮洗浄装置では、シャワーノズルから噴出する湯水を頭皮に直接浴びせて頭皮を洗浄するため、シャワーノズルから湯水をある程度勢いよく噴出させる必要がある。このように勢いよく湯水を噴出させるとカバーと容器部とで覆われた空間は飛沫で充満し、その一部が顔面側に漏出し、顔面をぬらすおそれが生じる。
【0006】
なお、頭皮部と顔面部との間の例えば額部に沿って飛沫防止板を取り付ければ顔面部への飛沫の漏出を防止できるが、飛沫防止板と額部とを隙間無く密着させる必要があり、額部の形状が個々に異なる場合には隙間が生じて飛沫の漏出を完全に防止できないばかりか、飛沫防止板を額部に押し当てなければならず、その押し当てによって不快感や痛みを生じるおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、額部に痛みなどを生じさせることなく顔面部への飛沫の漏出を防止して、快適に頭皮を洗浄することのできる頭皮洗浄装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明による頭皮洗浄装置は、仰向け状態の頭部の下方に位置する容器部と、頭皮に湯水を供給する湯水噴出部とを備える頭皮洗浄装置において、頭皮部分と顔面部分との間に位置する飛沫防止板を設けると共に、この飛沫防止板の頭皮側に、湯水を吐出する単一の吐出口を備えたノズルを配設し、このノズルの吐出口から吐出された湯水を飛沫防止板に沿わせて拡散させた状態で頭皮に供給することを特徴とする。
【0009】
本発明ではシャワーノズルではなく単一の吐出口を備えたノズルを用いた。このノズルを用いることにより吐出した湯水から飛沫が生じにくい。さらに、その吐出した湯水を飛沫防止板の頭皮側の面に沿わせた。これにより湯水は飛沫防止板に沿って拡がり、飛沫が生じない。また飛沫防止板に沿って拡がる途中で湯水の流速が減速され、飛沫防止板の端縁から離れて湯水が頭皮に供給される時点では、頭皮全体にゆっくりと湯水が供給され飛沫が生じない。このため、飛沫防止板と顔面部との間に多少の隙間が生じていても、飛沫が顔面側に漏出して顔面部を濡らすようなことがない。
【0010】
なお、頭部の大きさなどの形状は個々に相違する。そこで、上記飛沫防止板を、頭部の位置に対して調節し得るように調節機構を設けると共に、飛沫防止板の一部に位置決め部を設け、この位置決め部を額部に当接させて頭部に対する飛沫防止板の位置決めを行うように構成すると、頭部の形状が相違しても個々の頭部に対して飛沫防止板の位置決めを行うことができる。
【0011】
なお、従来の頭皮洗浄装置では、頭皮洗浄中に頭部は頸部のみで支持され、頸部の裏側に痛みが生じるなど、快適とは言えない。そこで、上記容器部の縁に頸部を支持する固定支持部を設けると共に、固定支持部との間隔が調節可能であって後頭部を支持する可動支持部を容器部内に設ければ、頸部の長さが相違しても、個々の後頭部を支持することができ、頸部への負担が軽減される。
【0012】
なお、後頭部を支持すると、後頭部への湯水の供給が阻害される場合が生じる。そこで、上記可動支持部は湯水を貯留し得る椀状に形成されており、可動支持部に貯留された湯水に後頭部が浸漬されるように構成して、後頭部への湯水の供給を確保することが望ましい。
【0013】
さらに、上記ノズルと飛沫保持板とを覆うカバーを設けると共に、このカバーを顔面側に延在させ、顔面との間に所定に空間を確保した状態でカバーで顔面の少なくとも一部を覆うように構成すれば、湯水から生じるマイナスイオンや湯水に添加した芳香成分からの芳香を吸うことができる。
【発明の効果】
【0014】
以上の説明から明らかなように、本発明は、飛沫防止板の頭皮側の面に沿わせて湯水を拡散させて頭皮に供給するように構成したので、飛沫が生じにくく、従って、飛沫が顔面部へ漏出して顔面部を濡らし不快になるようなことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1および図2を参照して、1は本発明にかかる頭皮洗浄装置の一例である。この頭皮洗浄装置1は上方に開口したシンク形状の容器部2を備えており、この容器部2には開閉自在にカバー3が取り付けられている。このカバー3は取付部31を中心に揺動することができ、容器部2の上方を覆う方向への揺動は容器部2に形成したストッパ21により規制される。
【0016】
容器部2の底部には比較的大径の排水口22が形成されており、この容器部2内に湯水が吐出された場合、その湯水はこの排水口22から外部へと排水される。また、容器部2の縁の一部を下方に凹ませて、その部分に固定支持部23を取り付けた。この固定支持部23は硬質スポンジ等の弾性変形し得る材料で形成されており、頭皮を洗浄する際に頸部を支持する機能を果たすものである。
【0017】
また、容器部2の底部には左右1対のレール24が形成されており、このレール24に可動支持部5が、レール24に沿って移動可能に取り付けられる。この可動支持部5は上方に開口する椀状に形成されており、底部下面には上記レール24に摺動自在に係合する脚部51が設けられている。また、可動支持部5の内部には左右1対のパッド52が取り付けられており、頭皮を洗浄する際にこのパッド52に後頭部が載置され、頭部全体をこの可動支持部5が支持する。なお、可動支持部5は移動可能であるので、頭部の形状や頸部の長さ等に応じてパッド52の位置を調節することができる。また、可動支持部5には比較的小径の排水口53が形成されており、頭皮洗浄中は可動支持部5内に流れ込む湯水が可動支持部5の周囲から溢れ、頭皮洗浄終了後には可動支持部5内に溜まった湯水がこの排水口53から排出されるようにした。
【0018】
カバー3の内面には飛沫防止板4が取り付けられている。この飛沫防止板4はジョイント部41を介してカバー3に取り付けられており、飛沫防止板4はこのジョイント部41を中心に上下に揺動することができる。また、飛沫防止板4の先端縁を半円状に切り取り、その切り取った部分に額当て42を取り付けた。頭皮を洗浄する際にこの額当て42が額に当接する位置まで飛沫防止板4を下げることにより、飛沫防止板4と頭部との位置決めをお粉ようにした。なお、32は水切り板であり、上方から滴り落ちる湯水をこの水切り板32で受け、可動支持部5内へ導くようにした。
【0019】
飛沫防止板4と水切り板32とに挟まれる位置に、上下に位置する2個のノズル61,62を取り付けた。両ノズル61,62は共に湯水供給管6から供給される湯水を吐出するものであり、1個の吐出口を備えている。
【0020】
この湯水供給管6を介して供給される湯水は、洗浄剤が溶解されており、さらにマイクロバブルと呼ばれる微細な気泡が多数混入されており、多数の気泡によって白濁している。このようにマイクロバブルが混入されていると、洗浄剤で軟化された皮脂を毛穴の奥まで浸透したマイクロバブルが外部へと排出させ、シャワーのように勢いよく頭皮に湯水を吹き付けなくても、確実に頭皮の洗浄を行うことができる。
【0021】
上方のノズル61は飛沫防止板4の下面、すなわち頭皮側の面に対して斜めに湯水を当てるように角度調節されている。このノズル61から吐出された湯水は、図3に示すように、飛沫防止板4の下面に沿って、左右に拡散しながら層状に流れる。そして、飛沫防止板4の端縁に到達すると、頭皮部に向かって自然に落下するように供給される。したがって、飛沫の発生が可及的に抑制される。
【0022】
また、下方のノズル62は皮脂が特に多く分泌される頭頂部に湯水を集中的に供給できるように設けた。
【0023】
ところで、図2に示すように、カバー3を閉めると顔面部をカバー3の先端部が覆い、顔面部とカバー3との間に空間が形成される。頭皮洗浄中はマイクロバブルが弾けることにより生成される多量のマイナスイオンがこの空間内に充満し、頭皮洗浄中、継続してマイナスイオンを吸引することができる。また、リラックス効果のある芳香剤を湯水に添加することにより、頭皮洗浄中にその芳香を嗅ぎ、リラックスすることができる。
【0024】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】頭部と頭皮洗浄装置との位置関係を示す図
【図3】飛沫防止板に沿って湯水が拡散する状態を示す図
【符号の説明】
【0026】
1 頭皮洗浄装置
2 容器部
3 カバー
4 飛沫防止板
5 可動支持部
6 湯水供給管
21 ストッパ
22 排水口
23 固定支持部
24 レール
42 額当て
52 パッド
53 排水口
61 ノズル
62 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仰向け状態の頭部の下方に位置する容器部と、頭皮に湯水を供給する湯水噴出部とを備える頭皮洗浄装置において、頭皮部分と顔面部分との間に位置する飛沫防止板を設けると共に、この飛沫防止板の頭皮側に、湯水を吐出する単一の吐出口を備えたノズルを配設し、このノズルの吐出口から吐出された湯水を飛沫防止板に沿わせて拡散させた状態で頭皮に供給することを特徴とする頭皮洗浄装置。
【請求項2】
上記飛沫防止板を、頭部の位置に対して調節し得るように調節機構を設けると共に、飛沫防止板の一部に位置決め部を設け、この位置決め部を額部に当接させて頭部に対する飛沫防止板の位置決めを行うことを特徴とする請求項1に記載の頭皮洗浄装置。
【請求項3】
上記容器部の縁に頸部を支持する固定支持部を設けると共に、固定支持部との間隔が調節可能であって後頭部を支持する可動支持部を容器部内に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の頭皮洗浄装置。
【請求項4】
上記可動支持部は湯水を貯留し得る椀状に形成されており、可動支持部に貯留された湯水に後頭部が浸漬されることを特徴とする請求項3に記載の頭皮洗浄装置。
【請求項5】
上記ノズルと飛沫保持板とを覆うカバーを設けると共に、このカバーを顔面側に延在させ、顔面との間に所定に空間を確保した状態でカバーで顔面の少なくとも一部を覆うようにしたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の頭皮洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−253594(P2008−253594A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100278(P2007−100278)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(506095777)有限会社ターレス (7)
【Fターム(参考)】