説明

頭皮用ブラシ

【課題】髪の毛が長い及び/又は多い人であっても、突起が頭皮に当たる感触が十分に得られる上に、突起が髪の毛に絡んだり引っ掛かったりしにくく、また硬さ等も感じにくい頭皮用ブラシを提供すること。
【解決手段】本発明の頭皮用ブラシ10は、扁平な横断面形状を有すると共に、先端部分に複数の先端突起が前記扁平な横断面形状の長軸方向に間隔をおいて立設配置された、エラストマー樹脂からなる複数のへら状突起14と、エラストマー樹脂からなる複数の錐体状突起15とが、基台のブラシ面13から突出している。へら状突起14に、先端突起として、高さの高い2本の高突起14b,14bと2本の該高突起間に位置し且つ該高突起それぞれより高さが低い低突起14cとが設けられており、低突起14c及び錐体状突起15それぞれの先端が、高突起14bの先端の先端連設面Sに達していない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭皮用ブラシに関し、特に基台のブラシ面にエラストマー樹脂からなる複数の突起が立設されている頭皮用ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
洗髪や毛髪の手入れを行う際に使用するヘアブラシとして、例えばブラシを構成する刷毛状の突起の先端に球状体を設けたものや、略円錐形の突起を有するもの、或いは異なる太さと長さを備える突起を組み合わせたもの等、種々の形態のものが知られている。また、近年、頭皮を掻く機能や、毛髪を掻く機能、或いは絡みついた毛髪を解く機能の他に、汚れや臭いの原因となる皮脂を除去したり毛穴を洗浄する機能に優れると共に、頭皮や毛穴に対するマッサージ効果に優れるマッサージ用ブラシも開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
さらに、頭皮のマッサージ効果を向上させるべく、基台に立設されて毛髪を掻き分ける複数の突起を、エラストマーや合成ゴム等の柔軟な素材を用いて形成すると共に、突起の先端部分に複数の小突起を設け、これらの小突起を柔軟に屈曲させながら頭皮に対して多点で接触させるようにした頭皮用ブラシも開発されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
このようなブラシとして、本出願人も、主として毛髪を掻き分ける機能を発揮する複数の突起と、主としてマッサージ効果を発揮する複数の突起とを、柔軟なエラストマー樹脂を用いて基台のブラシ面に異なる形状の突起として突設してなり、優れたマッサージ効果が得られると共に、優れた皮脂の除去機能や毛穴の洗浄機能を発揮することのできる頭皮用ブラシを提案している(特許文献3,4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−60640号公報
【特許文献2】特開2005−160684号公報
【特許文献3】特開2007−282681号公報
【特許文献4】特開2009−240768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、特許文献4に係る特許出願の後に更に研究を進めた結果、特許文献3や4の頭皮用ブラシの実施品を、髪の毛が長い人及び/又は髪の毛が多い人が使用した場合に、突起が十分に頭皮に当たっていない印象を受ける場合があることを知見した。突起が頭皮に当たる感触を十分に得るためには、頭皮用ブラシを頭皮に強く押し付けて使用することが考えられる。しかし、その場合には、突起が髪の毛に絡まったり引っ掛かったりすることを感じる場合があったり、あるいは突起を硬いと感じる場合もあった。
【0007】
本発明の目的は、髪の毛が長い及び/又は多い人であっても、突起が頭皮に当たる感触が十分に得られる上に、突起が髪の毛に絡んだり引っ掛かったりしにくく、また硬さ等も感じにくい、頭皮用ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、扁平な横断面形状を有すると共に、先端部分に複数の先端突起が前記扁平な横断面形状の長軸方向に間隔をおいて立設配置された、エラストマー樹脂からなる複数のへら状突起と、エラストマー樹脂からなる複数の錐体状突起とが、基台のブラシ面から突出している頭皮用ブラシであって、前記へら状突起に、前記先端突起として、高さの高い2本の高突起と2本の該高突起間に位置し且つ該高突起それぞれより高さが低い低突起とが設けられており、前記低突起及び前記錐体状突起それぞれの先端が、前記高突起の先端の先端連設面に達していない頭皮用ブラシを提供するものである。
【0009】
また、本発明は、扁平な横断面形状を有すると共に、先端部分に複数の先端突起が前記扁平な横断面形状の長軸方向に間隔をおいて立設配置された、エラストマー樹脂からなる複数のへら状突起と、エラストマー樹脂からなる複数の錐体状突起とが、基台のブラシ面から突出している頭皮用ブラシであって、前記へら状突起に、前記先端突起として、高さの高い2本の高突起と2本の該高突起間に位置し且つ該高突起それぞれより高さが低い低突起とを設け、頭皮用ブラシを頭皮に軽く当てたときには、前記高突起、前記低突起及び前記錐体状突起のうちの前記高突起のみが頭皮に当たり、より強く頭皮に押し付けたときに、前記低突起及び前記錐体状突起が頭皮に当たるようにした、頭皮用ブラシを提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の頭皮用ブラシによれば、髪の毛が長い及び/又は多い人であっても、突起が頭皮に当たる感触が十分に得られる上に、突起が髪の毛に絡んだり引っ掛かったりしにくく、また硬さや痛みも感じにくい。
また、錐体状突起により優れたマッサージ効果が得られると共に、へら状突起により優れた皮脂の除去機能や毛穴の洗浄機能が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の好ましい一実施形態に係る頭皮用ブラシの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の好ましい一実施形態に係る頭皮用ブラシのブラシ面を示す平面図である。
【図3】図3は、本発明の好ましい一実施形態に係る頭皮用ブラシの断面図(ブラシ面の長軸方向に沿う断面図)である。
【図4】図4は、本発明の好ましい一実施形態に係る頭皮用ブラシの断面図(ブラシ面の短軸方向に沿う断面図)である。
【図5】図5(a)は、へら状突起の正面図、図5(b)はへら状突起の側面図である。
【図6】図6は、錐体状突起の正面図である。
【図7】図7(a)は、錐体状突起の拡大斜視図、図7(b)は、錐体状突起の先端部分を示す拡大平面図である。
【図8】図8は、本発明の好ましい一実施形態に係る頭皮用ブラシの作用効果を説明するための説明図である。
【図9】図9は、本発明の他の好ましい実施形態に係る頭皮用ブラシを示す斜視図(図1相当図)である。
【図10】図10は、図9に示す頭皮用ブラシのブラシ面を示す平面図(図2相当図)である。
【図11】図11(a)は、頭皮圧迫用突起の側面図、図11(b)は、該頭皮圧迫用突起を先端側から見た拡大平面図である。
【図12】図12は、本発明の他の実施形態に係る頭皮用ブラシの作用効果を説明するための説明図である。
【図13】図13は、本発明の更に他の実施形態に係る頭皮用ブラシのブラシ面を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
本発明の第1実施形態の頭皮用ブラシ10は、図1及び図2に示すように、把持部11を有する基台12のブラシ面13に、エラストマー樹脂からなる、へら状突起14と当該突起とは異なる形状の錐体状突起15とを各々複数立設することによって構成される。立設とは、立った状態に設けることをいう。
【0013】
本実施形態の頭皮用ブラシ10は、例えば洗髪や毛髪の手入れを行う際に、把持部11を指の間に挟み込み、ブラシ面13とは反対側の基台12の上面に手の平を密着させて、当該上面を覆うようにしながらブラシ10を把持し、ブラシ面13に立設した複数のへら状突起14の先端又はへら状突起14及び錐体状突起15の先端を頭皮に押し当てた状態で、毛髪を掻き分けるようにしつつブラシ10を動かすことにより、必要に応じて頭皮や毛髪に塗布した洗浄剤、ヘアケア剤、化粧料等の作用と相俟って、皮脂の除去や毛穴の洗浄を効率良く行えるようにすると共に、優れたマッサージ効果が得られるようにするものである。
【0014】
前記へら状突起14は、それぞれ、エラストマー樹脂からなり、扁平な横断面形状を有すると共に、それぞれの先端部分に複数の先端突起14b,14cが前記扁平な横断面形状の長軸方向X(図2参照)に間隔をおいて立設配置されている。前記錐体状突起15は、それぞれ、エラストマー樹脂からなり、錐体状の形状を有している。本発明における錐体状突起には、先端部分を丸めた円錐状の突起や、円錐台の基部が主体部分をなし該基部の先端部分に複数の小突起を設けた形状の突起、図11に示すような形状の頭皮圧迫用突起16等も含まれる。本実施形態における錐体状突起15は、円錐台の基部15aの先端部分に複数の先端突起(小突起)15b,15cを設けた形状の突起である。
【0015】
前記基台12は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等からなるプラスチック製の成形品であって、図3にも示すように、底面が楕円形状の装着開口17aとして開口し、上面が滑らかな湾曲凸面となった、例えば長軸の長さが80〜100mm程度、短軸の長さが70〜90mm程度の大きさの平面視楕円形状の基台本体17と、この基台本体17の装着開口17aを閉塞するように嵌め込み固定される基板18とからなる。
基台本体17には、その内側に、後述するエラストマー成形体19の底盤部19aを装着するための装着凹部17bが、装着開口17aを底面側に開口させて設けられていると共に、基台本体17の上面には、高波状に後方に反った形状で上方に突出する把持部11が、基台本体17の前方部分に設けられている。
【0016】
前記基板18は、基台本体17の装着開口17aの開口形状に略一致する平面視楕円形状を有しており、その突状に形成された周端面18aを、装着開口17aの開口縁部に沿って基台本体17の内周面に設けられた係止凹溝17cに係合させることにより、基台本体17に固定される。基板18には、後述するへら状突起14及び錐体状突起15の配設位置に対応させて、楕円突起孔20及び円形突起孔21が各々複数形成されている(図2及び図4参照)。基板18の下面は、基台12の底面となってブラシ面13を形成すると共に、ブラシ面13から、それぞれ複数のへら状突起14及び錐体状突起15が突出している。従って、ブラシ面13も基板18と同様に、平面視楕円形状を有している。
【0017】
そして、基板18は、基台本体17の装着開口17aを覆って嵌め込み固定される。このとき、エラストマー成形体19の底盤部19aから突出して一体成形された複数のへら状突起14及び複数の錐体状突起15が、複数の楕円突起孔20及び複数の円形突起孔21に各々挿通されている。また、基板18と、基台本体17の装着凹部17bの内側天面部から垂下する支持棒17d(図3参照)や、装着凹部17bの周縁段差部17eとの間にエラストマー成形体19の底盤部19aが挟み込まれている。これによって、エラストマー成形体19は、複数のへら状突起14及び複数の錐体状突起15を、頭皮用ブラシ10のブラシ面13を構成する基板18の下面から各々下方に突出させつつ、底盤部19aを装着凹部17bに収容固定した状態で、基台12に取り付けられることになる。
【0018】
エラストマー成形体19は、エラストマー樹脂として、例えばオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー等を用いて形成した樹脂成形品であって、基台本体17の装着開口17aと同様の楕円平面形状を有する板状の底盤部19aと、底盤部19aから一体として突出する複数のへら状突起14及び複数の錐体状突起15とからなる。エラストマー成形体19は、上述のように、底盤部19aを装着凹部17bに収容固定した状態で基台本体17に取り付けられ、基板18によるブラシ面13からへら状突起14及び錐体状突起15を後述する所望の高さで突出させる。ここで、エラストマー成形体19を形成するためのエラストマー樹脂としては、例えば硬度(ショアA硬度、株式会社テクロック製のゴム硬度計(GS709N 形式A)ASTM D2240A 0−100(ショアA硬度)に準拠して測定された数値)が40〜80の素材を用いることが好ましい。エラストマー成形体19を形成するためのエラストマー樹脂としてこのような素材のものを用いることにより、頭皮を傷つけず、かつ痛くない圧力でへら状突起14及び錐体状突起15を頭皮に押し付けることができる。従って、適度な刺激を与えることが可能となり、優れたマッサージ効果が得られると共に、必要に応じて頭皮や毛髪に塗布した洗浄剤等の作用と相俟って、皮脂の除去や毛穴の洗浄を効率良く行うことが可能になる。なお、頭皮用ブラシ10をシャンプーや育毛剤と共に使用する場合には、エラストマー成形体19は、これらに対する耐薬品性に優れているオレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマーを用いて形成することが好ましい。
【0019】
なお、頭皮用ブラシの清潔感を向上させるために、透明又は半透明のエラストマー成形体を使用することが好ましい。エラストマー成形体を透明又は半透明にするには、エラストマー自身が透明又は半透明なものを選択し、種々の添加剤(例えば耐摩耗性添加剤)の添加量を少量にする必要がある。透明性の程度としては、JIS K7136で規定するヘーズ値が、好ましくは5〜30%、より好ましくは10〜20%、さらに好ましくは13〜17%であると、頭皮用ブラシの清潔感を向上させることができるとともに、ブラシの適度な耐久性を維持することができる。具体的なエラストマー成形体としては、アロン化成株式会社のスチレン系エラストマーである商品名エラストマーAR(前記硬度55〜60)が該当する。
【0020】
へら状突起14は、ブラシ面13に沿った根元部の横断面形状が、例えば長軸の長さが5〜20mm程度、短軸の長さが2〜15mm程度の大きさの扁平な楕円形状となっていると共に(図2参照)、図5(a),図5(b)にも示すように、略相似の断面形状を保持したまま、先端に向かって僅かに先細りの形状となっているへら状部14aと、へら状部14aの先端からさらに上方に突出する3本の先端突起とからなる。より具体的には、へら状突起14は、へら状部14aの先端部分に配置された前記先端突起として、高さの高い2本の高突起14b,14bと、該高突起14b,14bそれぞれより高さが低い低突起14cとを有している。
へら状突起14は、ブラシ面13から高突起14bの先端(高さが異なる複数の高突起を有する場合は最も高さが高い高突起の先端)までの高さh1が例えば12〜23mm、好ましくは16〜21mmとなるよう立設されると共に、へら状部14aの高さh2が、高突起14bの先端までの前記高さh1の70〜95%、好ましくは75〜85%を占めていて、へら状部14aがへら状突起14の主体部分となっている。これによって、毛髪を掻き分ける機能が効率良く発揮されると共に、頭皮に押し当てたときに先端部分に力が伝わりやすくなる。
【0021】
へら状突起14の先端部分に設けられた高突起14b,14b及び低突起14cは、好ましくは先端が凸曲面状に形成された略円錐形状を有している。高突起14b,14b(高さが異なる複数の高突起を有する場合は最も高さが高い高突起)は、へら状部14aの先端からの高さh3が、例えば2〜7mmであり、より好ましくは3.5〜5.5mm、更に好ましくは4〜5mmである。低突起14cは、へら状部14aの先端からの高さh3’が、高突起14bそれぞれのへら状部14aの先端からの高さh3よりも低い。低突起14cの前記高さh3’は、高突起14b,14bの高さ(高さが異なる複数の高突起を有する場合は最も高さが高い高突起の高さ)h3との差(h3−h3’)が、0.3〜3mmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜2.5mm、更に好ましくは0.5〜1.5mmである。この高さの差(h3−h3’)は、高突起14b,14bのうちの高さの高い方の先端と低突起14cの先端との間に生じる段差の大きさ(高低差)と同じである。
また、低突起14cは、へら状突起14の扁平な横断面形状の長軸方向Xにおいて、高突起14b,14b間に配置されており、長軸方向Xにおける高突起14b,14bと低突起14c間は、例えば根元部における間隔s1が0〜5mm、好ましくは0.3〜2mmであり、頂部における間隔s2が1〜7mm、好ましくは2〜5mmである。
【0022】
高突起14b,14bそれぞれの高さh3とそれぞれの根元部における太さ(直径)dとの比(h3/d)は、頭皮に押し当てたときに、毛髪を掻き分けつつ頭皮や毛穴に到達し易くなる観点から、1.5〜2.5となっていることが好ましく、1.8〜2.3となっていることが、さらに好ましい。
低突起14cの高さh3’とその根元部における太さ(直径)dとの比(h3’/d)も、頭皮に押し当てたときに、毛髪を掻き分けつつ頭皮や毛穴に到達し易くなる観点から、1〜2.5となっていることが好ましく、1.2〜2.2となっていることがさらに好ましい。
なお、先端突起14b,14cの太さdは、根元部における断面形状が円形の場合はその直径を、円形以外の場合は断面2次半径の2倍を意味する。
【0023】
本実施形態における錐体状突起15は、ブラシ面13に沿った根元部の横断面形状が、例えば直径4〜10mm程度の大きさの円形となっていると共に(図2参照)、図6及び図7にも示すように、略相似の断面形状を保持したまま先端に向かって僅かに先細りの形状となっている円錐台状の基部15aと、基部15aの先端からさらに上方に突出した複数個の先端突起15b,15cとからなる。錐体状突起15は、ブラシ面13から先端突起15b,15cの先端までの高さh4が例えば5〜22mm、好ましくは10〜20mmとなるよう立設されると共に、円錐台状の基部15aの高さh5が、ブラシ面13から先端突起15b,15cの先端までの高さh4の90〜98%、好ましくは92〜96%を占めていて、該基部15aが錐体状突起15の主体部分となっている。
【0024】
本実施形態における錐体状突起15は、先端突起として、図6、図7(a)及び図7(b)に示すように、2種類の先端突起、即ち第1先端突起15b及び第2先端突起15cを有している。先端突起としての第1先端突起15b,第2先端突起15cは、円錐台状の基部15aの先端からの突出高さh6(図6参照)が、前記へら状突起14の高突起14b,14b及び低突起14cのいずれの高さh3,h3’より高さが低くなっている。これにより、へら状突起14の先端突起14b,14b,14c、特に高突起14b、14bが柔軟に変形して優れた皮脂の除去機能や毛穴の洗浄機能を発揮する一方、ブラシ10をある程度以上の力で頭皮に押し付けつつ動かしたときには、錐体状突起15の先端突起15b,15cが曲がりや撓みを生じにくく力が頭皮に効果的に伝わるため、突起が頭皮に十分に当たっている感触が得られ、また優れたマッサージ効果が得られる。
【0025】
錐体状突起15の先端突起15b,15cは、円錐台状の基部15aからの突出高さh6(図6参照)が、前記へら状突起14の低突起14cの高さh3’〔図5(a)参照〕の70%以下であることが好ましく、より好ましくは10〜50%であり、更に好ましくは15〜40%である。また、先端突起15b,15cそれぞれの高さh6は、0.3〜20mmとすることが好ましく、0.3〜10mmとすることがより好ましく、0.3〜5mmとすることがさらに好ましく、特に0.5〜1.5mmとすることが好ましい。
尚、本実施形態のブラシ10においては、第1先端突起15bと第2先端突起15cとで基部15aの先端からの突出高さh6が同じである。基部15aの先端に高さの異なる先端突起が存在する場合は、最も高い先端突起の高さを、錐体状突起15の先端に設けられた先端突起の高さh6として、へら状突起14の低突起14cの高さと比較する。
【0026】
本実施形態における第1先端突起15bは、図7(a)及び図7(b)に示すように、半球状をなし、円錐台状の基部15aの先端の中央部に配置されている。他方、第2先端突起15cは、略半球状をなすが、より詳細には、根元部が円柱状をなし、先端が半球状の凸曲面に形成されている。また、第2先端突起15cは、第1先端突起15bの周囲を囲むように複数形成されている。第1先端突起15bの周囲を囲む第2先端突起15cの数は、例えば3〜10個程度とすることができ、4〜10個とすることが好ましく、5〜8個がより好ましい。複数個の第2先端突起15cは、第1先端突起15bの周囲に略等間隔に配置されていることが好ましい。複数個、特に3個以上の第2先端突起15cを、中央部を囲むように設けることで、ブラシを使用する際のブラシ移動方向によらずに、頭皮を良好にマッサージすることができる。
【0027】
本実施形態における第2先端突起15cは、根元部の太さd2が、第1先端突起15bの根元部の太さd1よりも小さい。先端突起15b,15cの太さd1,d2は、根元部における断面形状が円形の場合はその直径を、円形以外の場合は断面2次半径の2倍を意味する。
第1先端突起15bは、基部15aの先端からの突出高さh6と、根元部における太さ(直径)d1との比(h6/d1)が0.3〜0.85となっていることが好ましく、0.5〜0.75となっていることがさらに好ましい。また、第2先端突起15cは、基部15aの先端からの突出高さh6と、根元部における太さ(直径)d2との比(h6/d2)が0.5〜2.0となっていることが好ましく、0.7〜1.5となっていることがさらに好ましい。
【0028】
また、第1及び第2先端突起15b,15cの前記比(h6/d1,h6/d2)は、前述したへら状突起14の高突起14b及び低突起14cそれぞれの前記比(h3/d,h3’/d)よりも小さいことが好ましい。これにより、へら状突起14の先端突起14b,14b,14c、特に高突起14b、14bが柔軟に変形して優れた皮脂の除去機能や毛穴の洗浄機能を発揮する一方、ブラシ10をある程度以上の力で頭皮に押し付けつつ動かしたときには、錐体状突起15の先端突起15b,15cが曲がりや撓みを生じにくく力が頭皮に効果的に伝わるため、突起が頭皮に十分に当たっている感触が得られ、また優れたマッサージ効果が得られる。
【0029】
また、第2先端突起15cは、第1先端突起15bの周囲に、互いに隣接する第2先端突起15c同士間の根元部における間隔S3(図7(b)参照)を0.3〜2mm、頂部における間隔S4(図7(b)参照)を2.5〜4mmとして配置されていることが好ましい。
【0030】
本実施形態の頭皮用ブラシ10は、図8(a)に示すように、ブラシ10を頭皮S’に軽く当てたときには、へら状突起14における高突起14b,14b及び低突起14c並びに錐体状突起15における第1及び第2先端突起15b,15cのうちの高突起14b,14bのみが頭皮S’に当たり、図8(b)に示すように、より強く頭皮に押し付けたときに、低突起14c及び錐体状突起15の第1及び第2先端突起15b,15cが頭皮S’に当たるようにしてある。
【0031】
より具体的に説明すると、本実施形態のブラシ10のブラシ面13には、該ブラシ面13に描いた複数の平行な仮想の直線Y−Y(本実施形態では楕円形状のブラシ面13の短軸方向と平行な方向に延設する5本の線、図2参照)によって、複数の突起列R1〜R6に分割された状態に、へら状突起14及び錐体状突起15が配置されている。
そして、5本の線よって分割された6本の突起列R1〜R6のうち、両端部分の列を除いた4本の突起列R2〜R5には、3個のへら状突起14と2個の錐体状突起15とが交互に配置されている。
【0032】
本実施形態における突起列R2〜R5においては、複数個のへら状突起14とへら状突起間に配置された錐体状突起15とが、へら状突起14の横断面形状の長軸方向(X方向)と平行な方向にほぼ直列した状態に配置されており、そのような突起列が、該列に直交する方向(ブラシ面13の長軸方向に沿う方向)に複数列形成されている。隣接する突起列間には、Y−Y線に沿って延びる、突起が配置されていない7〜15mmの幅bの帯状間隔領域23が形成されている。このような配置によって、頭皮用ブラシ10を突起列に沿う方向に移動させた際に、頭皮の所定箇所にへら状突起14と錐体状突起15が交互に接触することになり、皮脂の掻き取りと頭皮のマッサージを交互に行って、頭皮のマッサージ効果や皮脂の洗浄効果がさらに効率良く発揮されることになる。また、突起14,15に対する毛髪の付着やからみ付きを効果的に回避ないし軽減することができると共に、突起列に沿って指をスライドさせたり、シャワーの流水を流すことにより、毛髪が付着したりからみ付いたりしても容易に除去することが可能となる。
【0033】
そして、図3、図4及び図8に示すように、へら状突起14の高突起14bの先端の先端連設面Sを考えたときに、へら状突起14の低突起14cの先端及び錐体状突起15の先端は、何れも、図8(a)に示すように、その先端連設面Sに達していない。そのため、ブラシ10を頭皮に軽く当てたときには、高突起14bが頭皮S’に当たる一方、低突起14c及び錐体状突起15は頭皮S’に当たらない。
【0034】
先端連設面Sは、人の頭部の輪郭である凸曲面に沿う凹曲面であることが好ましく、ブラシ面13における、へら状突起14の扁平な横断面形状の長軸方向Xと平行な方向(図2の上下方向)をブラシ面13の短軸方向、該短軸方向と直交する方向(図2の左右方向)をブラシ面13の長軸方向としたときに、先端連設面Sは、ブラシ面の中心を通り且つブラシ面の短軸方向に沿う断面の曲率半径Rが、好ましくは100〜350cmであり、より好ましくは120〜300cmであり、更に好ましくは150〜200cmである。また、先端連設面Sは、ブラシ面の中心を通り且つブラシ面の長軸方向に沿う断面の曲率半径Rが、好ましくは100〜400cmであり、より好ましくは120〜300cmであり、更に好ましくは150〜200cmである。
ここで、先端連設面Sとは、ブラシ面の面内における一方向(例えばブラシ面の長軸方向)及びその直交方向(例えばブラシ面の短軸方向)の両方向に分散した3本以上のへら状突起14の高突起14bの先端が接する曲面である。先端連設面Sは、総てのへら状突起14の高突起14b又はできるだけ多くのへら状突起14の高突起14bが接する湾曲面を想定することが好ましい。図3,図4及び図8には、本実施形態のブラシ10における総てのへら状突起14の高突起14bが接する湾曲面を先端連設面Sとして示してある。
【0035】
また、ブラシ10は、図8(a)に示すように、頭皮S’に軽く接触させた状態から、より強く頭皮に押し付けることにより、図8(b)に示すように、低突起14c及び錐体状突起15が頭皮S’に当たる。手で強く押し付ける程度で、低突起14c及び錐体状突起15が頭皮S’に当たるようにするには、先端連設面Sから低突起14cの先端までの距離及び先端連設面Sから錐体状突起15の先端までの距離を、高突起14bの柔軟性等を考慮して適切な範囲に設定すれば良い。
例えば、先端連設面Sから低突起14cの先端までの距離は、0.3〜3mmが好ましく、より好ましくは0.5〜2.5mm、更に好ましくは0.5〜1.5mmである。また、先端連設面Sから錐体状突起15の先端までの距離は、0.3〜5mmが好ましく、より好ましくは0.5〜2.5mmである。先端連設面Sから突起の先端までの距離は、先端連設面Sの法線に沿って測定した最短距離である。
【0036】
本実施形態においては、突起列R1〜R6のそれぞれにおいて、へら状突起14の高突起14bの先端が先端連設面Sに接する一方、へら状突起14の低突起14c及び錐体状突起15それぞれの先端は先端連設面Sに達していない。
また、低突起14cの先端から前記先端連設面Sまでの距離が、錐体状突起15の先端から該先端連設面Sまでの距離と等しくなっている。そのため、図8(a)に示す状態から、頭皮用ブラシ10を頭皮に押し当てる力を徐々に高めたときには、図8(b)に示すように、低突起14c及び錐体状突起15の先端が、ほぼ同時に頭皮S’に当たる。
【0037】
上述のような構成を備える本実施形態の頭皮用ブラシ10では、例えば把持部11を指の間に挟み込み、ブラシ面13とは反対側の基台12の上面に手の平を密着させて、当該上面を覆うようにしながらブラシ10を把持し、ブラシ面13から突出する複数のへら状突起14、又はへら状突起14及び錐体状突起15の先端を頭皮に押し当てた状態で、毛髪を掻き分けるようにしてブラシ10を動かすことにより、必要に応じて洗浄剤、ヘアケア剤、化粧料等を頭皮や毛髪に塗布しつつ、洗髪や毛髪の手入れを行う。ここで、把持部11は、その側面が、指の側面の形状に沿った凹状に窪んだ形状を備えており、ブラシ10を手にフィットさせつつ安定した状態で把持させて、例えば頭皮用ブラシ10をブラシ面13の短軸方向に移動させながら毛髪を掻き分ける操作を、容易且つスムーズに行うことを可能にしている。
【0038】
本実施形態の頭皮用ブラシ10によれば、ブラシ10を頭皮に押し当てる力を変化させることによって、頭皮に対して高突起14bのみを当接させたり、高突起14bと共に低突起14c及び錐体状突起15を当接させたりすることができる。
そのため、高突起14bのみが当接するような弱い力で頭皮に押し当てつつ、ブラシ10を動かして、洗浄及びマッサージをすることにより、髪の毛が長い及び/又は多い人であっても、高突起14bが頭皮に当たり、突起が頭皮に当たる感触が十分に得られる上に、突起が髪の毛に絡んだり引っ掛かったりしにくく、また硬さや痛みも感じにくい。
一方、より強くマッサージしたい場合には、低突起14c及び/又は錐体状突起15が当接するような強い力で頭皮に押し当てつつ、ブラシ10を動かすことにより、錐体状突起15により優れたマッサージ効果が得られると共に、へら状突起14により優れた皮脂の除去機能や毛穴の洗浄機能が発揮される。
【0039】
また、本実施形態のブラシ10においては、前述したように、該ブラシ10を頭皮に押し当てる力を徐々に高めたときには、低突起14cの先端及び錐体状突起15の先端がほぼ同時に頭皮に当たるが、先端連設面Sから錐体状突起15の先端までの距離を、該先端連設面Sから低突起14cの先端までの距離より短くして、錐体状突起15の先端が先に当たり、次いで低突起14cの先端が当たるようにしても良い。
低突起14c及び錐体状突起15が、ほぼ同時に頭皮に当たるか、錐体状突起15が低突起14cよりも先に頭皮に当たるように設計することにより、突起14での皮脂の洗浄効果がさらに効率良く発揮されるとともに、錐体状突起15で頭皮をマッサージすることができる。
【0040】
なお、頭皮の洗浄性を更に高める場合には、先端連設面Sから錐体状突起15の先端までの距離を、該先端連設面Sから低突起14cの先端までの距離よりも長くして、低突起14cの先端が頭皮に先に当たり、次いで錐体状突起15の先端が当たるようにしても良い。
【0041】
本実施形態の頭皮用ブラシ10においては、ブラシ10を頭皮に押し当てる力を、図8(b)に示す状態から更に強め、その状態でブラシを動かしたときには、図8(c)に示すように、低突起14cが曲がった状態で頭皮に当接するようになる。そのため、当接面積が広くなり突起14での皮脂の洗浄効果がさらに効率良く発揮される。
一方、錐体状突起15は、先端突起15b,15cはほとんど曲がらない一方、円錐状の基部15aがやや曲がった状態で頭皮に当接するようになる。そのため、さらに強い力で頭皮をマッサージすることができる。
【0042】
また本願発明のブラシは、ブラシ面13の中央部分に、複数のへら状突起14が間隔を置いて直列状に配置された中央突起群14Rを有し、該中央突起群の両側それぞれに複数の錐体状突起15が間隔を置いて直列状に配置された第1サイド突起群15Rを有し、更にその外側に、複数のへら状突起14が間隔を置いて直列状に配置された第2サイド突起群14R’を有している。各突起群間には、突起が配置されていない幅2〜5mmの帯状間隔領域が、楕円形状のブラシ面13の長軸方向に沿って延びている。これにより、突起に髪の毛に絡んだり引っ掛かったりすることが一層防止されると共に、シャワーの流水等による毛髪等の洗い流しも一層良好となる。
【0043】
また、複数のへら状突起14の高突起14bの先端の先端連設面Sが、頭の輪郭形状に沿って内側(ブラシ面側)に窪んだ凹状の湾曲面とされている。先端連設面を凹状の湾曲面とすることにより、ブラシ面の移動させ方がマッサージ効果等に影響することを排除ないし軽減することができる。前記凹状の湾曲面の曲率半径は、ブラシ面の長軸方向では、100〜400mmが好ましく、ブラシ面の短軸方向では100〜350mmが好ましい。
【0044】
次に、本発明の他の実施形態の頭皮ブラシ10’(以下、第2実施形態のブラシ10’ともいう)について、図9〜図12を参照して説明する。
第2実施形態のブラシ10’は、第1実施形態のブラシ10における一部の錐体状突起15の代わりに図11に示す形態の頭皮圧迫用の突起(以下、頭皮圧迫用突起ともいう)16を有する以外は、第1実施形態のブラシ10と同様の構造を有している。従って、第2実施形態のブラシ10’については、第1実施形態のブラシ10との相違点について主に説明し、同様の点については同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない点については、上述したブラシ10についての説明(より好ましい構成の説明も含む)が適宜適用される。
なお、本実施形態では「錐体状突起15」とは、円錐台の基部15aの先端部分に複数の先端突起(小突起)15b,15cを設けた形状の突起を指し、「錐体状突起」とは、「錐体状突起15」に加え、先端部分を丸めた円錐状の突起や、図11に示すような形状の頭皮圧迫用突起16等をも含む総称を指す。
【0045】
第2実施形態のブラシ10’は、図9及び図10に示すように、ブラシ面13の中心近傍に配された2本の突起列R3,R4が、頭皮圧迫用突起16を含んでいる。突起列R3,R4は、それぞれ、3本のへら状突起14と、へら状突起間に位置する2本の頭皮圧迫用突起16から構成されている。頭皮圧迫用突起16は、へら状突起14及び錐体状突起15と共に、エラストマー樹脂からなるエラストマー成形体の一部からなる。第2実施形態における頭皮圧迫用突起16以外の突起(へら状突起14及び錐体状突起15)は、第1実施形態におけるものと同一の形態を有している。
【0046】
頭皮圧迫用突起16は、図9及び図11に示すように、先端部分を半球状に丸めた略円柱状の形態を有している。より詳細には、図11に示すように、円錐台状の基部16b上に半球状の先端部分16aを有する、錐体状の突起である。頭皮圧迫用の突起16は、根元や高さ方向中央部等における横断面の面積が錐体状突起15よりも大きく、錐体状突起15よりも曲がりにくく形成されている。
【0047】
また、図12(a)に示すように、へら状突起14の高突起14bの先端の先端連設面Sを考えたときに、へら状突起14の低突起14cの先端、錐体状突起15の先端及び頭皮圧迫用突起16の先端は、何れも、その先端連設面Sに達していない。また、先端連設面Sから錐体状突起15の先端までの距離は、該先端連設面Sからへら状突起14の低突起14cの先端までの距離と等しいか又は該距離より短くなっている。
更に、頭皮圧迫用突起16は、先端連設面Sから該突起の先端までの距離が、該先端連設面Sから錐体状突起15の先端までの距離と等しいか又は該距離より長くなっている。
【0048】
そのため、第2実施形態のブラシ10’は、図12(a)に示すように、頭皮S’に軽く当てたときには、へら状突起14の高突起14bが頭皮S’に当たる一方、へら状突起14の低突起14c、錐体状突起15及び頭皮圧迫用突起16の各先端は頭皮S’に当たらない。
しかし、先端連設面Sから頭皮圧迫用突起16の先端までの距離が、該先端連設面Sから錐体状突起15の先端までの距離より長い場合には、その状態から、ブラシ10’を頭皮に押し当てる力を徐々に高めると、図12(b)に示すように、高突起14bが変形して、低突起14c及び錐体状突起15の先端が頭皮S’に当たる。そして、更に押し付ける力を強くすると、図12(c)に示すように、低突起14c及び錐体状突起15もやや変形して、頭皮圧迫用突起16が頭皮S’に当たる。
先端連設面Sから頭皮圧迫用突起16の先端までの距離が、該先端連設面Sから錐体状突起15の先端までの距離と等しい場合には、頭皮圧迫用突起16及び錐体状突起15がほぼ同時に頭皮S’に当たる。
【0049】
このように、第2実施形態のブラシ10’によれば、頭皮に押しつける力を変えることにより、第1実施形態のブラシ10と同様の効果が奏される上に、より強く押し付けることにより、頭皮圧迫用突起16で、頭皮S’を強く圧迫することができ、その状態でブラシを動かすことにより、指圧のように、頭部のツボを刺激することができるといった効果(以下、指圧効果ともいう)も得られる。
【0050】
頭皮圧迫用突起16による良好な指圧効果を得る観点から、頭皮圧迫用突起16は、ブラシ面13に隣接する根元部や高さ方向中央部における横断面の面積や直径が、錐体状突起15の同部位の横断面の面積や直径に比して大きいことが好ましい。また、頭皮圧迫用突起16は、半球状の先端部分16aに隣接する部位の直径L2(又は円相当径)が、根元部における直径L1(又は円相当径)の50%超であることが好ましく、より好ましくは60%以上100%未満、更に好ましくは70%以上100%未満であり、一層好ましくは70%以上99%以下である。錐体状突起である頭皮圧迫用突起16は、図11に示すように、半球状の先端部分16aに隣接する部位の直径L2(又は円相当径)が、根元部における直径L1(又は円相当径)より小さいことが好ましい。半球状の先端部分16aに隣接する部位の直径L2(又は円相当径)と、根元部における直径L1(又は円相当径)との比の上限を100%未満にすることで、頭皮圧迫用突起16を成形する際に金型からの分離がしやすくなる。
【0051】
また、頭皮圧迫用突起16は、先端連設面Sから該突起16の先端までの距離が、該先端連設面Sから低突起14bの先端までの距離よりも0.5〜3.5mm、特に1〜2mm程度長いことが好ましい。また、頭皮圧迫用突起16は、先端連設面Sから該突起16の先端までの前記距離が、該先端連設面Sから錐体状突起15の先端までの距離よりも0〜3mm、特に0〜1mm程度長いことが好ましい。
また、頭皮圧迫用突起16は、先端の球面部の曲率半径R1が、1mm以上、特に2〜3.5mmであることが好ましい。
【0052】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。
例えば、ブラシ面の周縁に沿った外周部分にへら状突起を立設し、これらの内側領域に錐体状突起を立設したり、内側領域の中央部分を横断してへら状突起の列を設ける必要は必ずしもなく、複数のへら状突起と複数の錐体状突起とをブラシ面の全体に混在させつつランダムに立設することもできる。また、へら状突起は、楕円の横断面形状の他、長円や矩形等のその他の扁平な横断面形状を有するものであっても良く、錐体状突起は略円錐形状の他、角錐形状等であっても良い。さらに、へら状突起に先端部分に高突起及び低突起を各1本づつのみ設けることもでき、先端突起は、円錐形状以外のその他の形状のものであって良い。
【0053】
また、錐体状突起15は、図7に示す実施形態における第2先端突起15cのみを有するものであっても良いし、特許文献3に開示された、先端が曲面状に面取りされた錐体状突起を設けることもできる。
更に、へら状突起14及び錐体状突起15の配置態様は、図13に示すような態様であっても良い。また、図13に示すブラシにおける、ブラシ面の中央部近傍に位置する4個又は2個の錐体状突起15を、第2実施形態に設けた頭皮圧迫用の突起16に置き換えることもできる。頭皮圧迫用の突起16に代えて、半球状の先端部分16a以外の部分の形状が、上下方向に亘って直径が均一な円柱状の突起を設けても良い。また、頭皮圧迫用の突起16は、先端部分を含めて横断面形状が楕円形のものであっても良いし、三角柱、四角柱、五角柱等の角柱又は角錐の先端を丸めたものであっても良い。
また、上述した頭皮用ブラシ10においては、複数個(具体的には3個)のへら状突起14とへら状突起どうし間に配置された2個の錐体状突起15とが、へら状突起14の横断面形状の長軸方向(X方向)と平行な方向にほぼ直列した状態に配置された突起列の本数は、R2〜R5の5本であったが、そのような突起列の本数は、5本に代えて、2本、3本、4本、6本、7本、8本、9本、10本等とすることもできる。好ましい本数は3〜10本、より好ましくは4〜10本である。
【0054】
また、上述した頭皮用ブラシ10においては、へら状突起14のへら状部分14aと高突起14b及び低突起14cとが同一材料により一体成形され、錐体状突起15の基部15aと第1及び第2先端突起15b,15cとが同一材料により一体成形されていたが、独立して製造した高突起14bや低突起14c、第1及び第2先端突起15b,15cを、へら状部分14aや基部15aに、材料の同異に関係なく、後から熱融着等により一体化させても良い。
【0055】
また、上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【符号の説明】
【0056】
10,10’ 頭皮用ブラシ
11 把持部
12 基台
13 ブラシ面
14 へら状突起
14a へら状部
14b 高突起(先端突起)
14c 低突起(先端突起)
14R 中央突起群
14R’ 第2サイド突起群
15 錐体状突起
15a 基部
15b 第1先端突起(先端突起)
15c 第2先端突起(先端突起)
15R’ 第1サイド突起群
16 頭皮圧迫用の突起(錐体状突起)
16a 先端部分
16b 円錐台状の基部
17 基台本体
17a 装着開口
17b 装着凹部
17c 係止凹溝
17d 支持棒
17e 周縁段差部
18 基板
18a 基板の周端面
19 エラストマー成形体
19a エラストマー成形体の底盤部
20 楕円突起孔
21 円形突起孔
h1 へら状突起の高さ
h2 へら状部の高さ
h3 へら状突起の高突起の高さ
h3’ へら状突起の低突起の高さ
h4 錐体状突起の高さ
h5 基部の高さ
h6 第1及び第2先端突起の高さ
X へら状突起の扁平な横断面形状の長軸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平な横断面形状を有すると共に、先端部分に複数の先端突起が前記扁平な横断面形状の長軸方向に間隔をおいて立設配置された、エラストマー樹脂からなる複数のへら状突起と、エラストマー樹脂からなる複数の錐体状突起とが、基台のブラシ面から突出している頭皮用ブラシであって、
前記へら状突起に、前記先端突起として、高さの高い2本の高突起と2本の該高突起間に位置し且つ該高突起それぞれより高さが低い低突起とが設けられており、
前記低突起及び前記錐体状突起それぞれの先端が、前記高突起の先端の先端連設面に達していない頭皮用ブラシ。
【請求項2】
前記先端連設面から前記錐体状突起の先端までの距離が、該先端連設面から前記低突起の先端までの距離と等しいか又は該距離より短い又は該距離より長い請求項1記載の頭皮用ブラシ。
【請求項3】
前記錐体状突起が、円錐台状の基部と該基部の先端から更に突出する複数の先端突起を有する突起である、請求項1又は2記載の頭皮用ブラシ。
【請求項4】
前記錐体状突起として、請求項3記載の突起、及び円錐台状の基部上に半球状の先端部分を有する頭皮圧迫用突起を備えており、該頭皮圧迫用突起は、前記先端連設面から該突起の先端までの距離が、該先端連設面から請求項3記載の突起の先端までの距離と等しいか又は該距離より長い、請求項1又は2記載の頭皮用ブラシ。
【請求項5】
扁平な横断面形状を有すると共に、先端部分に複数の先端突起が前記扁平な横断面形状の長軸方向に間隔をおいて立設配置された、エラストマー樹脂からなる複数のへら状突起と、エラストマー樹脂からなる複数の錐体状突起とが、基台のブラシ面から突出している頭皮用ブラシであって、
前記へら状突起に、前記先端突起として、高さの高い2本の高突起と2本の該高突起間に位置し且つ該高突起それぞれより高さが低い低突起とを設け、
頭皮用ブラシを頭皮に軽く当てたときには、前記高突起、前記低突起及び前記錐体状突起のうちの前記高突起のみが頭皮に当たり、より強く頭皮に押し付けたときに、前記低突起及び前記錐体状突起が頭皮に当たるようにした頭皮用ブラシ。
【請求項6】
頭皮用ブラシを頭皮に押し当てる力を徐々に高めたときに、前記低突起及び前記錐体状突起が、ほぼ同時に頭皮に当たるか又は前記錐体状突起が前記低突起よりも先に頭皮に当たるか又は前記低突起が前記錐体状突起よりも先に頭皮に当たるように形成してある請求項5記載の頭皮用ブラシ。
【請求項7】
前記錐体状突起が、円錐台状の基部と該基部の先端から更に突出する複数の先端突起を有する突起である、請求項5又は6記載の頭皮用ブラシ。
【請求項8】
前記錐体状突起として、請求項7記載の突起、及び円錐台状の基部上に半球状の先端部分を有する頭皮圧迫用突起を備えており、該頭皮圧迫用突起は、頭皮用ブラシを頭皮に押し当てる力を徐々に高めたときに、請求項7記載の突起及び頭皮圧迫用突起がほぼ同時に頭皮に当たるか、請求項7記載の突起が前記頭皮圧迫用突起よりも先に頭皮に当たるように形成してある請求項5又は6記載の頭皮用ブラシ。
【請求項9】
前記先端突起を有する前記錐体状突起は、該先端突起の高さが前記低突起の高さよりも低い請求項3,4,7及び8の何れか1項に記載の頭皮用ブラシ。
【請求項10】
前記先端突起を有する前記錐体状突起の該先端突起は、高さと根元部における太さとの比が、前記低突起の同比よりも小さい請求項9記載の頭皮用ブラシ。
【請求項11】
前記先端連設面が、頭の輪郭形状に沿ってブラシ面側に窪んだ凹状の湾曲面とされている、請求項1〜10の何れか1項に記載の頭皮用ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−30063(P2012−30063A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145010(P2011−145010)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】