説明

頭部位置決め枕を使用して呼吸タイトレーションを最適にする方法

【課題】呼吸タイトレーションを最適にすべく頭部位置決め枕とその使用方法を提供する。
【解決手段】枕10は概ね矩形の形状であり、本体12の第1の部位40及び第2の部位42が、概ね矩形の形状である。第2の本体部42の上面は、本体12の第1の横側部18及び第2の横側部20の各々に隣接した凹領域34と、両者の間の隆起領域36とを備えている。凹領域34が、枕10のユーザが横向きで休息又は睡眠するときに、マスクを押さないようにする逃げをもたらしている。気道が適切に開かれる、患者の口腔及び喉間の最適な相対角度を定める第1のステップを含んでいる。さらにこの方法は、頭部位置決め枕10を患者の頭部及び首に対して調節して、最適な相対角度とする枕の位置となるように、枕10の構成を変更及び変形する第2のステップを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、頭部位置決め枕を使用して呼吸タイトレーション(respiratory titration)を最適にする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸タイトレーションは、気道陽圧装置に取り付けられた呼吸マスク等の呼吸補助装置の出力を、患者の必要性に合わせて調節するプロセスのことである。呼吸マスクのユーザが横臥になった際に、枕から加えられるマスクへの圧力によって、マスクの動作及び快適性が妨げられ、マスクのシール部分が顔面から引き離されることに伴う空気の漏れが引き起こされ(眼の乾燥による不快感が引き起こされる可能性がある)、及び/又はマスクがユーザの顔面に不快感を与えながら押し付けられる可能性がある。そのため、呼吸マスクのユーザが安息し難く、又は睡眠し難いという問題を抱えることが多い。呼吸マスクのユーザは、マスクを通常必要であるよりもさらに顔に強くあてることによって、漏れ及び位置の問題を補償しようと試みることが多いが、このことによって、さらなる不快感が引き起こされることとなる。これらの問題の最終的な結果として、睡眠が中断され、又はユーザが遵守しない(すなわち、ユーザがマスクの使用をやめてしまう)ということとなる。
【0003】
さらに、臨床環境にて実施されるタイトレーションのプロセスが、家庭では効果的でなく、呼吸装置の有効性が低くなるということも、明らかになっている。最も変化する要素は、患者が使用する枕である。頭部及び首を支持する枕は、患者の気道を整列させることに直接的に影響する可能性がある。多くの枕が、多数の様々な構成及びサイズにて販売され、そのそれぞれが、上半身に対する頭部及び首の位置を変化させることとなり、かつ気道の整列、その結果に伴う気管、口腔及び喉を通過する空気の流れの効率に、悪影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
さらには、家庭にて見られる様々な姿勢に関する変化の要素が、呼吸マスクのユーザにとって、臨床環境にて実施される呼吸タイトレーションの有利な効果を維持することを、難しくしている。したがって、臨床環境で使用できて、ひいては、家庭でも使用できる装置及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
呼吸タイトレーションを最適にすべく頭部位置決め枕を使用するための種々の方法が、本明細書にて提案されている。より具体的には、この方法は、気道が適切に開いた、患者の口腔及び喉間の最適な相対角度を定める第1のステップを含んでいる。さらにこの方法は、頭部位置決め枕を患者の頭部及び首に対して調節して、最適な相対角度となる枕の位置とするように、枕の構成を変更、変形及び最適化する第2のステップを含んでいる。
【0006】
次に、添付の図面(必ずしも比例尺で描かれているわけではない)を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】患者の頭部及び首が概ね直立した位置に位置している患者の開いた気道の側面図である。
【図2】患者の頭部及び首が概ね水平な位置に横たわる患者の閉じた気道の側面図である。
【図3】本発明の一実施形態による全体的なプロセスの流れである。
【図4】頭部位置決め枕の4つの実施形態の上面図である。
【図5】本発明の一実施形態による枕の斜視図である。
【図6】図5の枕を示している上面図である。
【図7】図5の枕を示している正面図である。
【図8】図5の枕を示している右側面図である。
【図9】図5の枕を示している左側面図である。
【図10】図5の枕を示している背面図である。
【図11】図5の枕を示している底面図である。
【図12】図5の枕のカバーを示している後ろからの図である。
【図13】図12のカバーを示している底面図である。
【図14】図12のカバーを示している斜視図である。
【図15】図12のカバーを示している上面図である。
【図16】呼吸マスクを装着し、頭部を図5の枕に支持させて仰向けの位置にあるユーザを示している。
【図17】呼吸マスクを装着し、頭部を図5の枕に支持させて横臥の位置にあるユーザを示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の実施形態について、本発明のいくつかの実施形態を示す(すべての実施形態を示しているわけではない)添付図面を参照して、以下でさらに詳しく説明する。実際、本発明を、多数の様々な形態で具現化することが可能であり、本発明を、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈してはならない。むしろ、これらの実施形態は、本明細書の開示が適用される法的要件を満足するものとなるように、提示されているものである。本明細書にて単数形で表現されるあらゆる用語は、可能であれば、複数形をも含むものとして意図され、その反対も然りである。また、本明細書にて使用されるとき、用語「1つの」は、「1つ以上」を意味するが、本明細書にて、語句「1つ以上」も使用される。同様の番号は、全体を通して、同様の構成要素を指している。
【0009】
一般的に言うと、頭部位置決め枕を使用し、枕の構成を変更又は変形して呼吸タイトレーションを最適化する種々の方法が、本明細書に記載されている。これらの頭部位置決め枕は、持続気道陽圧(「CPAP」)マスク、自動調節気道陽圧(「APAP」)マスク、二段気道陽圧(「BiPAP」)マスク及び需要気道陽圧(「DPAP」)マスク、並びに酸素用等の他の種類のマスク等、安息及び睡眠を促進するための補助付き又は呼吸マスクと一緒に使用されるものである。呼吸タイトレーションは、本明細書にて説明される通り、これらの呼吸補助装置及び他の呼吸補助装置(頭部位置決め枕等)の出力を、個々の患者の要求に対応すべく調節するプロセスのことである。
【0010】
図1は、患者の口腔、鼻孔、硬口蓋、軟口蓋、並びに鼻咽頭、中咽頭、下咽頭、喉頭蓋、声帯、喉頭及び気管を含む患者の喉の一部等、患者の気道及びその要素の一部の典型的な略図100を示している。略図100は、患者の頭部及び首が概ね直立姿勢に位置するときに、これらの要素が互いに対してどのように位置するかを示している。さらに具体的には、略図100は、鼻孔及び口腔から下方へと喉を通過して気管へと延びている灰色の影の連続的な流れによって示されるように、患者の気道が概ね開かれている様子を示している。
【0011】
図2は、患者の頭部及び首が通常の枕210の上で概ね水平な位置に横たわっている場合における患者の閉じられた気道の典型的な略図200を示している。図示の通り、患者の気道が、位置220にて概ね閉じられ、このことが患者の呼吸の能力を制限している。本明細書に記載される方法及び枕は、この問題の克服について患者を助けることとなる。
【0012】
ここで、頭部位置決め枕を使用して呼吸タイトレーションを最適にする方法に目を向けると、図3が、全体的なプロセスの流れ300を説明する典型的なフロー図を示している。ブロック310によって表わされているように、最初のステップは、患者の気道が適切に開かれる患者の口腔と喉との間の最適な相対角度を定めることである。次のステップは、ブロック320によって示される通り、頭部位置決め枕を調節して、患者の頭部及び首に対する枕の構成を変更及び変形し、最適な相対角度となる枕の位置及び構成を実現することである。
【0013】
図3のブロック310及び320に記載のステップの順序は、変更可能である。例えば、一実施形態では、ブロック320に記載のステップが、ブロック310に記載のステップの前、後、又は実質的に同時に行なわれてもよい。
【0014】
本発明の他の実施形態では、全体的なプロセスの流れ300が、他のステップを含んでもよい。1つの実施形態は、ブロック320によって表わされているステップを、2つ以上の別個のステップへと分割することができ、すなわち枕の構成を変更及び変形すべく枕を患者の首に対して調節するステップを、枕を患者の頭部に対して調節するステップから分離させることができる。別の実施形態は、患者の気道を通過する空気の流れを測定するステップと、この流れを目標流量と比較するステップとを含むことができる。さらなる実施形態は、1回以上の反復ステップを提供することができ、すなわち、例えば患者の気道を通過する空気の流れが最大になる患者の口腔及び喉間の相対角度を試行錯誤によって定めるために、他のプロセスステップのうちの1回以上を繰り返すステップを提供することができる。
【0015】
全体的なプロセスの流れ300の実施形態の多くにて、頭部位置決め枕は、調節可能である。調節可能な頭部位置決め枕は、患者の気道の整列に直接に影響し、患者の気管、喉及び口腔を通過する空気の流れを左右する。したがって、この枕は、CPAP、BiPAP、DPAP及びAPAPタイトレーションを伴う方法等、あらゆる種類の呼吸タイトレーションプロセスにて、患者の気道の整列及び効率を「調節」する上で極めて有効である。これらの特徴は、患者が補助付きの呼吸を使用する外科手術に関して使用される場合にも、有効である。
【0016】
一実施形態では、枕の高さを調節することができ、枕の後ろ側、前側、第1の横側及び/又は第2の横側の高さを、患者の頭部及び首をより良く整列させるように調節することができる。他の実施形態では、中央のくぼみ及び/又は隆起等といった枕の他の要素が、患者の頭部及び首の上げ下げを助けるべく調節可能である。
【0017】
本発明の他の実施形態では、枕が、患者の首の支持を増やし、又は減らすことによる調節を可能としている。例えば、枕のうちの患者の首及び/又は頭部に接する部位が、高さ及びもたらされる支持の量を調節すべく空気又は流体を追加又は放出できる嚢を備えることができる。他の実施形態では、枕のくぼみ及び/又は隆起領域を、患者の首の適切な整列及び支持のために、他のやり方で調節してもよい。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態では、枕が、患者の頭部及び/又は首の位置の回転を変更することによって調節可能であってよい。他の実施形態は、患者の頭部及び/又は首の位置の傾斜角度を変更すべく調節される枕を備えることができる。
【0019】
本明細書に記載の調節可能な枕は、正しく使用される場合に限って重要である。より具体的には、患者が、最初に臨床環境又は家庭環境にて実施された最適な呼吸タイトレーションプロセス及び構成変更された枕が、当該環境から離れた状況でも利用可能であるということが重要である。ユーザの遵守を高めることによって、患者の日々の呼吸プロセスが、より一貫したものになり、適切な空気の流れを届けるために呼吸装置の特定の設定を「過剰に修正」する必要がなくなる。例えば、多くの患者は、呼吸装置の押し付けの設定を強めることによって、マスクの漏れを修正しているが、患者に合わせて最適化された調節済みの枕を用意することによって、患者は、呼吸装置を調節し直す必要がなくなり、このことが意図せぬ副作用を減らすことに役立つこととなる。
【0020】
次に、図4を参照すると、頭部位置決め枕の4つの実施形態が示されている。枕410は、高くなった後部412、高くなった前部414、中央の凹部416、及び複数の隆起した接触点418を備えている。枕420は、前側の後退した縁部422、側方の後退した縁部424及び縁部426、並びに中央の高くなった部位428を備えている。枕430は、横ウイング432及びウイング434、並びに中央の高くなった部位436を備えている。枕440は、前側の後退した縁442、側方の後退した縁部444及び縁部446、中央の高くなった部位448、並びに横ウイング部441及び横ウイング部443を備えている。
【0021】
頭部位置決め枕10の他の実施形態が、図5〜図17に示されている。枕10は、任意の適切な素材で形成することができる柔軟かつ弾力的な本体12を備え、適切な素材の例として、これらに限られるわけではないが、ポリマー発泡体、ゲル、ケーシングの内部の繊維充てん物、及び嚢の内部の流体が挙げられる。枕10の構成は、様々であってよい。図5に示した実施形態では、枕10が概ね矩形の形状であり、後側部14、前側部16、第1の横側部18及び第2の横側部20を備えている。必須ではないが好ましくは、枕10は、後側部14及び前側部16の間を延びる対称の軸22を有している。枕10は、第1の横側部18と第2の横側部20との間を広がる幅Wと、後側部14と前側部16との間を広がる長さLとを有している(図6に示されている)。枕10は、頭部を支持する上面30と、反対側の下面32とを備えている。図11に示されるように、底面は比較的平坦である。他の実施形態(図示されていない)では、底面32が、随意により複数の畝状部分を備えてもよい。
【0022】
本体12は、好ましくは一体の部材として一緒に形成される第1の部位40及び第2の部位42を備えている。本体12の第1の部位40及び第2の部位42は、好ましくは、良好な支持及び弾力性を提供し、さらに随意により記憶特性を提供する同じ材料(発泡体、繊維充てん物、ゲル等)から製造される。また、本体12が、空気又は液体で膨らまされる形状に形成された嚢(図示されていない)であってもよい。本発明は、本体12を構成するいかなる特定の素材にも限定されない。
【0023】
図5〜図11に示した実施形態によれば、本体12の第1の部位40及び第2の部位42が、概ね矩形の形状である。第2の本体部42の上面は、本体12の第1の横側部18及び第2の横側部20の各々に隣接した凹領域34と、両者の間の隆起領域36とを備えている。好都合には、図17に示されるように、凹領域34が、枕10のユーザが横向きで休息又は睡眠するときに、枕がマスク及びマスクへの配管にいかなる実質的な程度の圧力も加えることがないように、マスクを押さないようにする逃げをもたらしている。図6に示されるように、一方又は両方の凹領域34が、本体12の第1の部位へと広がることができる。凹領域34は、さらに後述される通り、横臥姿勢のユーザの頭部を快適に支持する枕の表面に隣接している。
【0024】
一実施形態では、図6に示されるように、本体12の第2の部位42が、前側16に凹部38を備えることができる。この凹部38は、横臥位置にあるときに、適切な姿勢及び首の支持のために、ユーザの肩を位置させるための湾曲した領域を提供する。
【0025】
本体12の第2の部位42の隆起領域36は、仰向け及び横臥の両方の睡眠及び休息のために、首の支持を提供する。一実施形態(図示されていない)では、隆起領域36が、高さ及びもたらされる支持の量を調節すべく空気又は流体を追加又は放出できる嚢を備えることができる。図5に示される通り、隆起領域36の上面30が、凹部44を備え、この凹部の両側に高くされた区域46を備えてもよい。好都合なことに、ユーザが休息又は睡眠しているとき、凹部44がユーザの首を受け入れ、高くされた区域46が、ユーザの首を凹部にて保持するように機能する。
【0026】
図5及び図6に示される通り、本体12の上面30は、凹領域34に加えて、中央の凹部50を備えることができる。本体の第1の部位40における中央の凹部50の縁は、ユーザに頭部支持領域を提供するために、湾曲かつ緩やかに傾斜している。隆起領域36の凹部44及び高くされた区域46と同様に、ユーザが休息又は睡眠しているとき、中央の凹部50がユーザの頭部を受け入れ、中央の凹部の外周を巡る傾斜した側壁が、ユーザの頭部を中央の凹部に保持するように機能する。
【0027】
図10を参照すると、本体12の第1の部位40は、第1の横側部18及び第2の横側部20の各々に隣接して、高くされた区域54を備えることができる。図17に示されるように、高くされた区域54は、横臥での休息又は睡眠の場合に、ユーザの頭部を下方へと転がらないように保つため、ユーザの額を支持する。
【0028】
図5及び図6を参照すると、凹部44及び中央の凹部50の両側にて凹部44及び中央の凹部50に隣接して、第2の凹区域56を設けることができる。これらの第2の凹区域56は、左向き及び右向きの横臥姿勢のいずれかにあるときにユーザのいずれかの耳を受け入れ、耳への過剰な圧力の軽減を助け、ユーザの総合的な快適さを向上させるためのものである。
【0029】
他の実施形態(図示されていない)では、枕10が、呼吸マスクのためのホースを収容又は保護するための他の構造を備えることができる。一実施形態では、そのような構造が、ホースとの干渉を少なくするために枕に形成される案内チャネル又は開口を含むことができる。
【0030】
本体12を形成することができる典型的な素材(ポリマー発泡体、ゲル、流体で満たされた嚢、等)は、あまり良好には「呼吸」できないため、皮膚が直接接触する場合に、あまり快適でないかもしれない。したがって、本発明の好ましい実施形態では、枕の快適さを高めるために、枕にカバーが設けられる。図12〜図15を参照すると、枕10にぴったり合うように作られたカバー60が示されている。カバーが枕の外形に実質的に一致することが重要であり、とくにはマスクを受け入れる凹領域34がマスクへの圧力を緩和すべく適切に機能するために、カバーが凹領域34に実質的に一致することが重要である。
【0031】
図13に示されるように、ぴったり合うように作られたカバーは、好ましくは、カバーの清掃を可能にすべく枕をカバーに出し入れできるよう、枕の下面に対応するカバーの下側に開口61を備えている。図示の通り、開口61を閉じるために、ジッパが設けられている。図12〜図15の図示及び上述の通り、カバーは、好ましくは、枕の外形及び形態に実質的に従い、とくにはマスク又はマスクの配管を収容するように構造付けられた枕の凹部、凹領域、空洞、開口、及び/又は高くなっている部分に実質的に従うように装着される。カバー60は、マスクのホースを収容又は保護するための構造をさらに備えることができる。一実施形態(図示されていない)では、カバーのこの構造が、ホースを滑り動いたり、不都合に位置したりすることがないように保つための1つ以上の索を含むことができる。カバーを、枕に合うように縫い付けることができる。カバーを、圧力、熱又は他の手段によって枕の外形に合うように形成することができる素材で製作することができる。あるいは、着脱可能なカバーを別途製作する代わりに、カバーが、塗装、浸漬又は噴き付け等といった種々の技法のいずれかによって枕の表面に恒久的に適用される素材からなってもよい。例えば、毛羽を枕へと噴き付け、適切な接着材料によって枕に貼り付けることができる。
【0032】
図12〜図15に示した好ましい実施形態では、カバー60が、布地片を縫い合わせてぴったり合うように製作されたカバーである。さらに詳しくは、第1の布地片62が、マスクを受け入れる凹領域を除く枕の上面の大部分を覆うような寸法及び形状とされる。さらに、この第1の布地片が、(凹領域の範囲を除く)枕の両側面を覆うように垂れ下がる。第2の布地片64が、前側を覆うような寸法及び形状とされ、縫い目66に沿って第1の布地片へと縫い付けられる。第3、第4及び第5の布地片68a、68b、68cは、枕の左手側の凹領域の急傾斜の壁を覆うような寸法及び形状とされ、第6の布地片70が、この凹領域の底壁を覆うような寸法及び形状とされる。布地片68a〜cは、縫い目72に沿って第1の布地片62へと縫い付けられる。第6の布地片70は、縫い目74に沿って布地片68a〜cへと縫い付けられる。
【0033】
第7、第8、及び第9の布地片76a、76b、76cが、枕の右手側の凹領域の急傾斜の壁を覆うような寸法及び形状とされ、第10の布地片78が、この凹領域の底壁を覆うような寸法及び形状とされる。布地片76a〜cは、縫い目80に沿って第1の布地片62へと縫い付けられる。布地片76a〜cは、縫い目82に沿って第10の布地片78へと縫い付けられる。第11の布地片84(図12)が、枕の後ろ側を覆うような寸法及び形状とされ、縫い目86に沿って第1の布地片62へと縫い付けられる。最後に、第12及び第13の布地片88、89(図13)が、枕の下面を覆うような寸法及び形状とされ、縫い目90に沿って第11の布地片84へと、縫い目92に沿って第2の布地片64へと、縫い目94に沿って第1の布地片62の両縁へと、縫い目96に沿って第6及び第7の布地片70、78へと、縫い付けられる。
【0034】
様々な種類の繊維(天然、合成、天然/合成混合、等)から作られる様々な種類の布地(織布、編地、不織布、等)を、縫製によるカバー60を製作するために使用することができる。一実施形態では、キルト風の織布がカバーの一部に使用され、編地が残りの部分に使用される。さらに詳しくは、一実施形態では、布地片62、84、88及び89が編地であり、ベロアがとくに好ましい。布地片64、68a〜c、70、76a〜c及び78は、キルト風の織布である。
【0035】
図16及び図17を参照すると、仰向け及び横臥の姿勢で使用されている枕10が示されている。本発明の枕は、うつ伏せの睡眠及び休息の姿勢にても使用可能である。好都合なことに、枕のカバーが、枕の外形に実質的に従い、ユーザに呼吸マスクの接触のない使用及び使用後の枕を容易に清掃できる可能性を提供している。一実施形態によれば、枕が、カバーを枕へと枕の外形及び形態に実質的に従うように配置することによって使用される。呼吸マスクが、ユーザの頭部に配置される。ユーザが、自身の肩が枕の第2の部位42の前側部16に形成された横方向の凹部38に収容されるように位置される。
【0036】
ユーザの首が、枕の第2の部位42の隆起領域36に形成された凹部44に位置される。ユーザの頭部が、枕の第1の部位40に形成された中央の凹部50に位置される。一実施形態では、ユーザの頭部の位置決めが、ユーザの頭部を枕から離れる方を向くように位置決めすることを含んでいる。別の実施形態では、ユーザの頭部の位置決めが、ユーザの頭部をユーザの頭部の側面が枕のカバーに接するように位置決めすることを含んでいる。一実施形態では、この方法が、マスク又はマスクのためのホースを、枕によってマスク又はホースに大きな圧力が加わることがないよう、枕の第2の部位42に形成された凹領域34の1つに配置することを含んでいる。
【0037】
要約すると、本発明の頭部位置決め枕の種々の実施形態は、夜間呼吸療法に使用される呼吸マスク等、種々の呼吸マスクを受け入れるために、凹部、凹領域、空洞、開口、及び/又は隆起領域を有することができる。凹部、凹領域、空洞、開口、及び/又は隆起領域が、横臥又はうつ伏せでの睡眠時に、マスク並びにマスクへの供給用のホース又は配管への圧力を軽減する。マスクへの圧力は、マスクの性能及び快適さを損ない、マスクのシールを顔から離して空気の漏れを生じさせ(眼の乾燥による不快感を引き起こす可能性がある)、及び/又はマスクをユーザの顔に不快感を与えながら押し付ける可能性があるため、本発明の枕及びこれを使用する方法の実施形態は、呼吸マスクを使用しつつ休息又は睡眠するユーザにとっての妨げの多くを取り除く。好都合なことに、本発明の枕及びカバーは、呼吸マスクに加わる圧力を最小限にしつつ、ユーザが多数の姿勢(左横臥、右横臥、仰向け及びうつ伏せ)へと動いて睡眠することを可能にできる。
【0038】
以上の説明及び関連の図面に提示した教示の利益により、本発明に関連する技術分野の当業者であれば、本明細書に記載した本発明について、多数の変形及び他の実施形態を思いつく。したがって、本発明が、本明細書に開示された具体的な実施形態に限られるわけではなく、変形及び他の実施形態も、添付の特許請求の範囲の技術的範囲に包含されることを、理解されるべきである。具体的な用語を本明細書にて使用したが、それらはあくまでも総称的及び説明的な意味で使用されているにすぎず、限定の目的で使用されているわけではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気道が適切に開いた状態にある、患者の口腔及び喉間の最適な相対角度を定めるステップと、
頭部位置決め枕を患者の頭部及び首に対して調節することによって、前記最適な相対角度となる枕の位置とするように、枕の構成を変更及び変形するステップと
を含む呼吸タイトレーションのための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−148871(P2010−148871A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−285363(P2009−285363)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(509346140)
【Fターム(参考)】