説明

頭部装着型表示装置、情報端末、プログラム、情報記憶媒体及び画像処理システム

【課題】 頭部装着型表示装置に表示する画像を特定するための処理を、設定された制御モードに従って行う頭部装着型表示装置、情報端末等の提供。
【解決手段】 頭部装着型表示装置100は、情報端末200と通信を行う通信部110と、通信部110を介して情報端末200から受信した画像データを画像記憶領域に記憶する表示バッファ120と、頭部姿勢情報を取得する情報取得部150と、表示バッファ120の画像記憶領域に表示領域を設定する処理部130と、設定された表示領域の画像を表示画像として表示する表示部140と、を含む。制御モードが第1モードに設定された場合には、通信部110は、頭部姿勢情報を情報端末200に送信する。制御モードが第2モードに設定された場合には、通信部110は、処理部130は、頭部姿勢情報に基づいて、表示バッファ120の画像記憶領域に表示領域を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部装着型表示装置、情報端末、プログラム、情報記憶媒体及び画像処理システム等に関係する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯電子機器を用いて、タウン情報・マップ情報を提供するサービスが展開されている。具体的には、ナビゲーションサービスや店舗情報の提供サービス等が挙げられる。例えば、店舗情報提供サービスにおいては、ユーザの現在位置をGPS等の手段を用いて取得したり、ユーザに検索対象位置を入力させた上で、携帯電子機器の画面に表示された地図上に、レストラン等の施設の位置を表示したりする。
【0003】
しかし、地図を読むのが苦手なユーザもおり、地図上に施設位置を表示するだけの情報提供サービスは、場合によってはわかりにくいという問題があった。
【0004】
さらに、従来の情報提供サービスには、利用時にユーザの視点(視線方向)が頻繁に上下してしまうという問題点がある。例えば、このような情報提供サービスの画面を参照するためには、手で把持している携帯電子機器に目を落とす必要がある。そのため、移動中に利用しようとした場合(例えば表示画面を参照しつつ、表示された施設へ実際に移動するような場合)、ユーザは道路の安全確認等を行いつつ、携帯電子機器に視線を向けなければならない。これは、ユーザにとって非常に煩わしい。
【0005】
本来、ユーザの利便性を考えると、情報提供サービスの利用中も視線方向が変わらないことが望ましく、歩行中(ここでは歩行者向けサービスを想定している)であれば、進行方向に視線を向けていることが好ましい。ここで、ユーザの視点を変えずに情報を提供する手法として、ユーザの頭部に装着して用いる画像表示装置であるHMD(Head Mounted Display)を用いて、ユーザの視界内に表示画面を重畳する手法がある。特許文献1では、ユーザの頭部の動きに応じて、HMDにおいて表示される画像を制御する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−341387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
情報端末とHMD間で通信状態を維持せずにHMD単体で、情報提供サービスを行う場合には、HMDの表示バッファや記憶部に記憶できるデータ量に上限があるため、情報提供サービスを行うことができる地域が限られたり、店舗等の詳細な情報をユーザに提供できなかったりするという課題がある。
【0008】
一方で、情報端末とHMD間で通信状態を維持しつつ、情報端末とHMDの両方を用いて情報提供サービスを行う場合には、以下のような課題がある。
【0009】
第1に、HMDと情報端末間で、センサデータを無線で常に送受信する必要があるため、消費電力が高くなる。
【0010】
第2に、前述した情報提供サービスを実現するシステムでは、HMDからセンサデータを受信した情報端末が、表示制御の信号をHMDへ送信する。すなわち、HMDと情報端末間で双方向の通信が必要となる。そのため、頭の動きに合わせて画面をスクロールするような場合にリアルタイム性が損なわれる場合がある。
【0011】
本発明の幾つかの態様によれば、頭部装着型表示装置に表示する画像を特定するための処理を、設定された制御モードに従って行うことができる頭部装着型表示装置、情報端末、プログラム、情報記憶媒体及び画像処理システム等を提供することができる。
【0012】
また、本発明の幾つかの態様によれば、頭部装着型表示装置に表示する画像を特定するための処理を、設定された制御モードに従って行い、システム全体の消費電力を抑制し、要求されるリアルタイム性を満たすことができる頭部装着型表示装置、情報端末、プログラム、情報記憶媒体及び画像処理システム等を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、情報端末と通信を行う通信部と、前記通信部を介して前記情報端末から受信した画像データを画像記憶領域に記憶する表示バッファと、頭部姿勢情報を取得する情報取得部と、前記表示バッファの前記画像記憶領域に表示領域を設定する処理部と、設定された前記表示領域の画像を表示画像として表示する表示部と、を含み、制御モードが第1モードに設定された場合には、前記通信部は、前記頭部姿勢情報を前記情報端末に送信し、前記制御モードが第2モードに設定された場合には、前記通信部は、前記頭部姿勢情報を前記情報端末に送信せず、前記処理部は、前記頭部姿勢情報に基づいて、前記表示バッファの前記画像記憶領域に前記表示領域を設定する頭部装着型表示装置に関係する。
【0014】
これにより、頭部装着型表示装置に表示する画像を特定するための処理を、設定された制御モードに従って行うことができる。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記通信部は、前記制御モードが前記第2モードに設定されている場合には、前記情報端末から表示レイアウトデータと前記画像データとを受信し、前記表示バッファは、前記表示レイアウトデータにより設定された前記画像記憶領域に前記画像データを記憶し、前記処理部は、前記頭部姿勢情報に基づいて、前記画像記憶領域に前記表示領域を設定してもよい。
【0016】
これにより、制御モードが第2モードに設定されている場合に、情報端末から受信した表示レイアウトデータが示す表示レイアウトで、画像データを表示バッファに記憶することができ、頭部装着型表示装置の表示部に画像を表示すること等が可能となる。
【0017】
また、情報端末から受信する表示レイアウトデータによって、表示バッファの表示レイアウトを変更すること等が可能となる。
【0018】
また、本発明の一態様では、前記処理部は、前記頭部姿勢情報により表される頭部姿勢が第1の頭部姿勢である場合には、前記画像記憶領域に第1の表示領域を設定し、前記頭部姿勢が第2の頭部姿勢である場合には、前記画像記憶領域に第2の表示領域を設定し、前記表示部は、前記第1の表示領域が設定された場合には、前記第1の表示領域の画像を前記表示画像として表示し、前記第2の表示領域が設定された場合には、前記第2の表示領域の画像を前記表示画像として表示してもよい。
【0019】
これにより、頭部姿勢情報に応じて、画像記憶領域上の異なる領域に表示領域を設定すること等が可能になる。すなわち、ユーザの頭部の上下左右の動きに応じて、画像記憶領域上で表示領域をスクロールさせること等が可能となる。
【0020】
また、本発明の一態様では、前記処理部は、取得された前記頭部姿勢情報に基づいて姿勢変化量を求め、前記姿勢変化量が所定の閾値以上であると判断する場合に、前記表示領域を前記第1の表示領域から前記第2の表示領域に移動させてもよい。
【0021】
これにより、姿勢変化量と所定の閾値を比較することによって、表示領域を移動させるか否かを判定すること等が可能となる。
【0022】
また、本発明の一態様では、前記通信部は、前記制御モードが前記第2モードに設定されている場合には、前記頭部姿勢情報を前記情報端末に送信し、送信された前記頭部姿勢情報と位置情報とに対応する複数の画像データを、前記情報端末から受信し、前記表示バッファは、前記表示レイアウトデータにより設定された前記画像記憶領域に前記複数の画像データを記憶してもよい。
【0023】
これにより、例えば、施設等に関する情報を表す複数の画像を、頭部装着型表示装置の表示バッファの画像記憶領域に記憶し、情報端末と通信を行わずに、頭部装着型表示装置がユーザの頭部姿勢に応じて、表示画像を変えること等が可能になる。
【0024】
また、本発明の一態様では、前記通信部は、前記画像データと前記画像データに関連付けられたコンテンツIDとを受信し、前記表示バッファは、前記各コンテンツIDに関連付けられた前記画像データを、前記コンテンツIDに対応する前記画像記憶領域の各領域に記憶してもよい。
【0025】
これにより、同じ種類の内容を表す画像に同一のコンテンツIDを割り当てておけば、同じ種類の画像データを画像記憶領域の同じ位置に記憶すること等が可能になる。
【0026】
また、本発明の他の態様では、頭部装着型表示装置と通信を行う通信部と、画像データを記憶する記憶部と、制御モードの設定処理を行う処理部と、位置情報を検出する位置検出部と、を含み、前記記憶部は、カテゴリIDと前記画像データとが関連付けられた第1のデータベースの情報と、前記頭部装着型表示装置から受信した頭部姿勢情報と、前記位置情報との組み合わせに前記カテゴリIDが関連付けられた第2のデータベースの情報と、を記憶し、前記通信部は、前記第1のデータベースの情報を前記頭部装着型表示装置に送信し、前記処理部は、前記制御モードを第1モードに設定した場合には、前記頭部姿勢情報と前記位置情報との組み合わせに関連付けられた前記カテゴリIDを前記第2のデータベースから取得し、前記通信部は、取得した前記カテゴリIDを前記頭部装着型表示装置に送信する情報端末に関係する。
【0027】
これにより、頭部装着型表示装置の処理部は、取得されたカテゴリIDに対応する画像データを第1のデータベースに基づいて特定し、表示バッファの画像記憶領域において、特定した画像データが記憶される領域を表示領域に設定すること等が可能になる。
【0028】
また、本発明の他の態様では、前記通信部は、前記制御モードが前記第1モードに設定された際に、前記頭部姿勢情報と前記位置情報との組み合わせが前記第2のデータベースに存在しない場合には、前記カテゴリIDとしてブランクIDを前記頭部装着型表示装置に送信してもよい。
【0029】
これにより、頭部装着型表示装置の処理部は、ブランクIDを取得した場合には、画像記憶領域に表示領域を設定しないこと等が可能になる。
【0030】
また、本発明の他の態様では、前記記憶部は、前記頭部姿勢情報と前記位置情報との組み合わせに複数の画像データが関連付けられた第3のデータベースを記憶し、前記処理部は、前記制御モードを第2モードに設定した場合には、前記頭部姿勢情報と前記位置情報との組み合わせに関連付けられた前記複数の画像データを、前記第3のデータベースから取得し、前記通信部は、取得した前記複数の画像データを前記頭部装着型表示装置に送信してもよい。
【0031】
これにより、頭部装着型表示装置の表示バッファは、表示レイアウトデータにより設定された画像記憶領域に複数の画像データを記憶すること等が可能になる。
【0032】
また、本発明の他の態様では、前記処理部は、前記頭部装着型表示装置から前記通信部を介して受信されたユーザ入力情報に基づいて、前記第1モードから第2モードに、又は前記第2モードから前記第1モードに、前記制御モードを切り替えてもよい。
【0033】
これにより、例えば、ユーザが施設等の詳細情報を参照したいと考える場合に、ユーザ入力により制御モードを第2モードに変更し、ユーザが移動を再開したため周辺施設の概要情報を参照したいと考える場合にユーザ入力により第1モードに変更すること等が可能になる。
【0034】
また、本発明の他の態様では、上記各部としてコンピュータを機能させるプログラム、又は該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に関係する。
【0035】
また、本発明の他の態様では、頭部姿勢情報を取得し、画像データを記憶する画像記憶領域に表示領域を設定し、設定された前記表示領域の画像を表示する頭部装着型表示装置と、位置情報の検出処理と制御モードの設定処理を行い、前記頭部装着型表示装置と通信を行う情報端末と、を含み、前記情報端末は、カテゴリIDと画像データとが関連付けられた第1のデータベースの情報と、前記頭部姿勢情報と前記位置情報との組み合わせに前記カテゴリIDが関連付けられた第2のデータベースの情報とを記憶し、前記第1のデータベースを前記頭部装着型表示装置に送信し、前記情報端末が前記制御モードを第1モードに設定した場合には、前記頭部装着型表示装置は、前記頭部姿勢情報を前記情報端末に送信し、前記情報端末は、受信した前記頭部姿勢情報と前記位置情報との組み合わせに関連付けられた前記カテゴリIDを前記第2のデータベースから取得し、取得した前記カテゴリIDを前記頭部装着型表示装置に送信し、前記頭部装着型表示装置は、受信した前記カテゴリIDに関連付けられた前記画像データを、前記第1のデータベースから特定し、前記画像記憶領域のうち、特定した前記画像データが記憶されている領域を、前記表示領域として設定し、前記情報端末が前記制御モードを第2モードに設定した場合には、前記頭部装着型表示装置は、前記頭部姿勢情報を前記情報端末に送信せず、前記頭部姿勢情報に基づいて、前記画像記憶領域に前記表示領域を設定する画像処理システムに関係する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1(A)、図1(B)は、本実施形態のシステム構成図。
【図2】図2(A)、図2(B)は、制御モードの説明図。
【図3】第1モード設定時の処理の流れを説明するシーケンス図。
【図4】図4(A)〜図4(C)は、アイコン画像の表示例。
【図5】第2モード設定時の処理の流れを説明するシーケンス図。
【図6】図6(A)〜図6(C)は、表示レイアウト例。
【図7】姿勢変化量に基づき表示領域を移動させる一例を説明するフローチャート。
【図8】図8(A)〜図8(C)は、詳細情報を表す画像の表示例。
【図9】図9(A)、図9(B)は、コンテンツIDに基づいて画像を配置設定する例。
【図10】図10(A)〜図10(C)は、データベースの一例。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本実施形態について説明する。まず、本実施形態の概要を説明し、次に本実施形態のシステム構成例について説明する。そして、本実施形態の処理の詳細についてシーケンス図と具体例を用いて詳細に説明し、最後に、本実施形態の手法について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0038】
1.概要
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯電子機器を用いて、タウン情報・マップ情報を提供するサービスが展開されている。具体的には、ナビゲーションサービスや店舗情報の提供サービス等が挙げられる。例えば、店舗情報提供サービスにおいては、ユーザの現在位置をGPS等の手段を用いて取得したり、ユーザに検索対象位置を入力させた上で、携帯電子機器の画面に表示された地図上に、レストラン等の施設の位置を表示したりする。
【0039】
しかし、地図を読むのが苦手なユーザもおり、地図上に施設位置を表示するだけの情報提供サービスは、場合によってはわかりにくいという問題があった。
【0040】
さらに、従来の情報提供サービスには、利用時にユーザの視点(視線方向)が頻繁に上下してしまうという問題点がある。例えば、このような情報提供サービスの画面を参照するためには、手で把持している携帯電子機器に目を落とす必要がある。そのため、移動中に利用しようとした場合(例えば表示画面を参照しつつ、表示された施設へ実際に移動するような場合)、ユーザは道路の安全確認等を行いつつ、携帯電子機器に視線を向けなければならない。これは、ユーザにとって非常に煩わしい。
【0041】
本来、ユーザの利便性を考えると、情報提供サービスの利用中も視線方向が変わらないことが望ましく、歩行中(ここでは歩行者向けサービスを想定している)であれば、進行方向に視線を向けていることが好ましい。ここで、ユーザの視点を変えずに情報を提供する手法として、ユーザの頭部に装着して用いる画像表示装置であるHMD(Head Mounted Display)を用いて、ユーザの視界内に表示画面を重畳する手法がある。特許文献1では、ユーザの頭部の動きに応じて、HMDにおいて表示される画像を制御する手法が開示されている。
【0042】
その一手法として、情報端末とHMD間で通信状態を維持せずにHMD単体で、情報提供サービスを行う手法がある。しかし、この場合には、HMDの表示バッファや記憶部に記憶できるデータ量に上限があるため、情報提供サービスを行うことができる地域が限られたり、店舗等の詳細な情報をユーザに提供できなかったりするという課題がある。
【0043】
一方で、情報端末とHMD間で通信状態を維持しつつ、情報端末とHMDの両方を用いて情報提供サービスを行う場合には、以下のような課題がある。
【0044】
第1に、HMDと情報端末間で、センサデータを無線で常に送受信する必要があるため、消費電力が高くなる。
【0045】
第2に、前述した情報提供サービスを実現するシステムでは、HMDからセンサデータを受信した情報端末が、表示制御の信号をHMDへ送信する。すなわち、HMDと情報端末間で双方向の通信が必要となる。そのため、頭の動きに合わせて画面をスクロールするような場合にリアルタイム性が損なわれる場合がある。
【0046】
そこで、本実施形態の頭部装着型表示装置(HMD)及び情報端末等は、頭部装着型表示装置に表示する画像を特定するための処理を、設定された制御モードに従って行う。
【0047】
2.システム構成例
まず図1(A)に、ユーザ10が本実施形態の頭部装着型表示装置(HMD)と情報端末を利用している様子を示す。図1(A)においてユーザ10は、HMD100を頭部に装着しており、情報端末200を所持している。さらにウェアラブルセンサとして種々のセンサを身につけている。具体的には、加速度センサ551や方位センサ560がHMD100に設けられ、GPSセンサ550が情報端末200に設けられる。
【0048】
GPSセンサ550は、ユーザの位置(場所)を検知するセンサである。なおGPSセンサ550の代わりに携帯電話の位置情報サービスや周辺にある無線LANの位置情報を利用してもよい。
【0049】
方位センサ560は、例えば地磁気センサ等であり、センサの向いている方位を角度(0°〜360°)で計測する。地磁気センサは、例えば磁場の強さによって抵抗値やインピーダンス値が増減する素子等で構成され、三軸の地磁気情報を検知する。
【0050】
加速度センサ551は、例えば外力によって抵抗値が増減する素子等で構成され、三軸の加速度情報を検知する。
【0051】
また、地磁気センサや加速度センサ、ジャイロセンサの機能を併せ持つセンサを用いてもよい。さらに、地磁気情報や加速度情報から、磁北を基準とした偏角を算出し、出力するセンサを用いてもよい。
【0052】
次に、図1(B)に本実施形態の頭部装着型表示装置(HMD)、情報端末及びこれらを含む画像処理システムの構成例を示す。
【0053】
頭部装着型表示装置100は、通信部110と、表示バッファ120と、処理部130と、表示部140と、情報取得部150と、操作部160と、を含む。
【0054】
また、情報端末200は、通信部210と、記憶部220と、処理部230と、位置検出部240と、を含む。情報端末200は、例えば、PDA、ノート型PCなどの携帯情報端末(モバイルコンピュータ)である。なお、情報端末200は、携帯電話、腕時計、或いはポータブルオーディオなどとして兼用される機器であってもよい。
【0055】
本実施形態のHMD及び画像生成システムは、図1(B)の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加したりするなどの種々の変形実施が可能である。なお、本実施形態の画像生成システムの一部の機能は、情報端末200により実現されるが、例えば情報端末200とは異なる電子機器により実現してもよい。例えば、本実施形態の画像生成システムの一部の機能は、情報端末200もしくはHMD100と通信により接続されたサーバにより実現されてもよい。
【0056】
次に各部の接続について説明する。HMDの通信部110と情報端末の通信部210は、例えば、WifiやBluetooth(登録商標)などの通信規格で互いに情報を送受信する。なお、通信部110及び通信部210は、有線により通信を行うものであってもよく、無線により通信を行うものであってもよい。
【0057】
そして、HMDの通信部110は、処理部130に接続されている。処理部130は、表示バッファ120と、情報取得部150と、操作部160と、に接続されている。表示バッファ120は、表示部140に接続されている。情報取得部150は、処理部130に接続されている。
【0058】
さらに、情報端末の通信部210は、処理部230に接続されている。処理部230は、通信部210と、記憶部220と、位置検出部240と、に接続されている。記憶部220は、処理部230に接続されている。位置検出部240は、処理部230に接続されている。
【0059】
次に各部で行われる処理について説明する。
【0060】
表示バッファ120は、表示部140に表示できる画像の解像度の2倍以上の解像度を持つ画像を記憶できる画像記憶領域を持つ。表示バッファ120の画像記憶領域は、RAM等のメモリやHDD(ハードディスクドライブ)などにより実現できる。
【0061】
処理部130は、HMDの各部を制御する。具体的には、処理部130は、後述する表示領域の設定処理を行ったり、ユーザ入力情報に応じて情報取得部にセンサ情報の取得の開始・停止を指示したりする。
【0062】
表示部140は、表示バッファ120の画像記憶領域に記憶された画像を表示する。表示部140は、例えば、ユーザの頭部の近傍に装着されると共に、大きさが瞳孔の大きさよりも小さくなるように設定され、いわゆるシースルービューアの表示部として機能する。
【0063】
情報取得部150は、センサ情報を取得して処理部130に通知する。情報取得部150は、センサ自体であってもよいし、センサからセンサ情報を取得する機能部であってもよい。
【0064】
操作部160は、ユーザからの入力情報を取得し、処理部130に通知する。操作部160は、例えばHMD100に設けられるボタンやスイッチ等である。なお、操作部160は情報端末200に設けられてもよい。
【0065】
記憶部220は、HMDの表示部140に表示する画像や、データベースを記憶したり、処理部230等のワーク領域となるもので、その機能はRAM等のメモリやHDDなどにより実現できる。
【0066】
処理部230は、情報端末の各部を制御する。また、処理部230は、制御モードの設定処理を行う。なお、処理部130及び処理部230の機能は、各種プロセッサ(CPU等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0067】
位置検出部240は、ユーザの位置情報を取得して処理部230に通知する。位置検出部240は、GPSセンサ550等のセンサ自体であってもよいし、センサからセンサ情報を取得する機能部であってもよい。
【0068】
3.処理の詳細
3.1 制御モードの概要
初めに、制御モードの概要について図2(A)と図2(B)を用いて説明する。まず、本実施形態における制御モードには、第1モードと第2モードとの2種類がある。
【0069】
制御モードが第1モードに設定されている場合の処理の様子を図2(A)に示す。この場合には、頭部装着型表示装置(以下、HMD)は情報端末に頭部姿勢情報等を送信し、情報端末は受信した頭部姿勢情報に基づいて、表示画像情報を特定する。そして、情報端末は、特定した表示画像情報をHMDに送信する。すなわち、HMDと情報端末は、互いに通信を行いながら、表示画像を特定する。なお、表示画像情報は、表示画像そのものであってもよいし、本実施形態で用いるように特定の画像を指し示す情報であってもよい。これに関しては後述する。
【0070】
一方、制御モードが第2モードに設定されている場合の処理の様子を図2(B)に示す。この場合には、HMDと情報端末は、処理の開始時には互いに通信を行うが、その後は通信を切断する。そして、HMDが単独で、頭部姿勢情報に基づいて表示画像を特定する。
【0071】
以下で、第1モード設定時と第2モード設定時の処理について、具体的に説明する。
【0072】
3.2 第1モード設定時の処理の詳細
ここでは、図3のシーケンス図を用いて、第1モード設定時の処理の詳細について説明する。また、本実施形態の画像処理システムを利用している様子を図4(A)に示す。さらに、図4(A)において、制御モードが第1モードに設定されている場合に、HMDに表示するアイコン画像の一例を図4(B)に、HMDの表示バッファの画像記憶領域の一例を図4(C)に示す。
【0073】
まず、図4(A)に示す例では、ユーザUSの頭部方向がDRの方向であり、頭部方向DRの先には郵便局がある。そして、ユーザUSの周辺には他にも踏切と、レストランと、トイレなどがある。このような場合にユーザUSが本実施形態のHMDと情報端末を用いて、情報提供サービスを利用し始めたとする。
【0074】
すると、まず、情報端末の処理部は、記憶部からアイコン画像(画像データ又は第1モード用アイコン画像群)と、アイコン画像に関連付けられたカテゴリIDを読み出す(S30)。
【0075】
ここで、アイコン画像の具体例として、図4(B)の画像IIMや、図4(C)の画像記憶領域IB内に記憶される各画像などがある。
【0076】
また、アイコン画像とカテゴリIDとが関連付けられたデータの具体例として、図10(A)に示す第1のデータベースDB1がある。図10(A)の第1のデータベースDB1は、例えば、トイレや郵便局、レストラン、駅などの施設の種類別に、固有のカテゴリIDが関連付けられている。そして、第1のデータベースDB1は、そのカテゴリIDとアイコン画像のファイル名が関連付けられており、カテゴリIDを指定すれば対応するアイコン画像を特定することができる。例えば、カテゴリIDを2と指定した場合には、「レストラン」に関するアイコンファイル(restautrant.jpg)が示すアイコン画像が特定される。
【0077】
次に、情報端末の処理部は、通信部を介して、これらのアイコン画像とカテゴリID(以下、第1のデータベースDB1とする)とをHMDの処理部に送信する(S31)。そして、HMDの処理部は、第1のデータベースDB1を受信し、これを記憶する(S32)。なお、ステップS32までに、本実施形態の情報端末は、第1のデータベースを全て送信しているが、第1のデータベースの一部のみを送信してもよいし、HMDがあらかじめ第1のデータベースを記憶していてもよい。
【0078】
以上の一連の処理が完了すると、情報端末の処理部は、第1モード用のループ処理の開始指示をHMDの処理部に送信し(S34)、第1モード用のループ処理を開始する(S36)。
【0079】
一方、第1モード用のループ処理の開始指示を受信したHMDの処理部は、情報取得部に頭部姿勢情報(方向)取得開始指示を行い(S35)、情報取得部から方位や仰角などの頭部姿勢情報を取得する(S37)。例えば、図4(A)では、頭部姿勢情報のうちの方位情報は、DR方向を示す情報となる。
【0080】
また、情報端末の処理部は、HMDから頭部姿勢情報を受信するとともに、情報端末に設けられた位置検出部からユーザの位置情報を取得する(S38)。位置情報は、ユーザの現在位置の緯度や経度等を表す情報である。
【0081】
ところで、情報端末の記憶部は、あらかじめ例えば図10(B)に示した第2のデータベースを記憶しておく。第2のデータベースは、図10(B)に示すように、位置情報(ここでは緯度及び経度)と頭部姿勢情報(ここでは方位及び仰角)との各組み合わせに、カテゴリIDが関連付けられたデータ(レコード)の集合である。
【0082】
そして、情報端末の処理部は、第2のデータベース内において、受信した頭部姿勢情報と取得した位置情報とに対応するデータ(レコード)が存在するか否かを判定し(S39)、対応するデータが存在すると判定した場合には、そのデータのカテゴリIDを読み出して、HMDの処理部に通知する(S40)。
【0083】
例えば、図4(A)の場合に、ユーザUSの現在位置の緯度が35.7247413801で、経度が139.367346525であり、ユーザUSの頭部姿勢の方位が124であり、仰角も127である場合には、図10(B)に示す第2のデータベースDB2からカテゴリIDは0であると特定でき、情報端末は特定したカテゴリID=0をHMDの処理部に送信する。
【0084】
一方、HMDの処理部は、第1のデータベースを用いて、受信したカテゴリIDに対応するアイコン画像を特定する。そして、画像記憶領域において、特定したアイコン画像が記憶されている領域を表示領域に設定し、アイコン画像を表示部に表示する(S41)。
【0085】
例えば、前述した例において、HMDの処理部がカテゴリID=0を受信した場合には、図10(A)に示す第1のデータベースDB1の中からカテゴリID=0のデータ(レコード)を検索し、検索したデータから「郵便局」を表すアイコンファイルをする。そして、図4(C)に示す画像記憶領域IBのうち、特定したアイコンファイルが記憶されている領域を表示領域に設定し、図4(B)に示すように表示部にアイコン画像IIMを表示する。
【0086】
また、情報端末の処理部は、第2のデータベース内において、受信した頭部姿勢情報と取得した位置情報との組み合わせに対応するデータが存在しないと判定した場合には、ブランクID(空のカテゴリID)をHMDの処理部に通知する(S42)。ブランクIDには、第1のデータベースにおいてアイコンファイル(アイコン画像)と関連付けられていない任意の記号や数字を用いればよい。例えば、図10(A)の例では、ブランクIDとして「255」などを用いる。
【0087】
そして、HMDの処理部は、ブランクIDを受信した場合には、画像記憶領域に表示領域を設定せず、ブランク画像を表示部に表示する(S43)。もしくは、表示部に画像を表示しない。
【0088】
ここで、ユーザが操作部を介して、詳細情報表示要求を行った場合には(S44)、HMDの処理部は、第1モードのループ処理終了要求(もしくは第2モードへの遷移要求)を情報端末の処理部へ送信する(S45)。
【0089】
第1モードのループ処理終了要求を受信した情報端末の処理部は、ループ処理を終了し、制御モードを第2モードに設定する(S46)。
【0090】
3.3 第2モード設定時の処理の詳細
ここでは、図5のシーケンス図を用いて、第2モード設定時の処理の詳細について説明する。
【0091】
前提として、情報端末の記憶部は、あらかじめ例えば図10(C)に示した第3のデータベースを記憶しておく。第3のデータベースは、図10(C)に示すように、位置情報(ここでは緯度及び経度)と頭部姿勢情報(ここでは方位及び仰角)との各組み合わせに、複数の画像ファイル名(詳細情報画像ファイル)が関連付けられたデータ(レコード)の集合である。
【0092】
まず、情報端末の処理部は、制御モードが第2モードに切り替わる直前のユーザの頭部姿勢情報と、位置情報との組み合わせに対応する画像データ(詳細情報画像)を第3のデータベースDB3から読み込む(S50)。なお、詳細情報画像の実用例については、後述する。
【0093】
次に、情報端末の処理部は、表示レイアウトデータを指定して、画像データ(詳細情報画像)とともにHMDへ送信する(S51)。そして、HMDの処理部は、受信した表示レイアウト情報が示す表示レイアウトの画像記憶領域に、受信した画像データを記憶させる。そして、HMDの処理部は、画像記憶領域に表示領域を設定し、表示部が画像を表示する(S52)。
【0094】
ここで、表示レイアウトデータとは、後述するように表示レイアウトを指し示すデータのことである。
【0095】
例えば、表示レイアウトデータにより3行×3列の長方形の表示レイアウトを指定した場合の例を、図6(A)〜図6(C)を用いて説明する。図6(A)にはHMDを装着したユーザUSが首を振っている様子を、図6(B)には表示部に表示する画像IIMの一例を、図6(C)には表示バッファの画像記憶領域IBと記憶される画像を示す。
【0096】
前述したように表示バッファの画像記憶領域IBは、表示部が表示可能な画像の2倍以上の領域(本例では9画面分)を持っており、受信した表示レイアウトデータにより設定された画像記憶領域IBに、情報端末から受信した画像データを記憶する(図6(C))。そして、表示部には記憶した画像の一部(図6(B)のIIM)が表示される。
【0097】
また、他にも、表示レイアウトとして、1行×9列の横長の長方形や、9行×1列の縦長の長方形等を指定することも可能である。なお、ここでは表示レイアウトの例として3つの例を示したが、表示レイアウト上での画像の配置や、表示バッファの大きさは任意であり、これらの例に限定されるものではない。
【0098】
次に、情報端末の処理部が第2モードの処理を開始する指示(S53)を送信し、HMDの処理部が第2モードの処理を開始すると(S54)、HMDの情報取得部からHMDの処理部へ方位および仰角などの頭部姿勢情報が送信される(S55)。
【0099】
そして、HMDの処理部は取得した頭部姿勢情報に基づいて、画面遷移判定処理を行う(S56)。画面遷移判定処理の結果、表示する画像をスクロールすると判定された場合には、表示部は画像をスクロールして表示する(S57)。
【0100】
例えば図6(C)の中央の画像が図6(B)のように表示画像IIMとされている時に、図6(A)のDR1方向にユーザUSが首を動かした場合について説明する。
【0101】
まず、この場合には、画像記憶領域IBの中央の領域が表示領域として設定されており、表示領域の画像が表示部に表示される。この状態で、DR1方向にユーザUSが首を動かした場合には、後述する画面遷移条件を満たした時に、画像記憶領域IBにおいて表示領域をDR1方向に移動させる。その結果、画像記憶領域IBの中央の画像が表示部に表示されていた状態から、DR1方向にスクロールして画像を表示することが可能となる。ユーザUSが首をDR2方向やDR3方向、DR4方向に動かした場合や、他の表示レイアウトを用いる場合も同様である。
【0102】
ここで、画面遷移判定処理の詳細について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0103】
本実施形態において、HMDの情報取得部が取得するセンサ情報には、0°〜360°の値を示す方位dと、0°から255°の値を示す仰角aが含まれる。なお、方位dは、0°及び360°が北の周期境界条件であり、仰角aは、a=0°の時に真下を示し、a=127°の時に水平を示し、a=255°の時に真上を示す。さらに、初期方位をdi、初期仰角をai、初期方位diと現在の方位dの差分と比較する閾値をΔd、初期仰角aiと現在の仰角aの差分と比較する閾値をΔaとする。
【0104】
まず、HMDの処理部は、今回の画面遷移判定処理が初回の処理又は後述する初期化割り込み時の処理であるか否かを判定する(S1)。
【0105】
画面遷移判定処理が初回の処理又は後述する初期化割り込み時の処理であると判定した場合には、現在の方位dに初期方位diを、現在の仰角aに初期仰角aiを代入する(S2)。
【0106】
一方、画面遷移判定処理が初回の処理又は後述する初期化割り込み時の処理ではないと判定した場合には、表示レイアウトが正方形であるか否かを判定する(S3)。なお、正方形の表示レイアウトとは、図6(C)のように行と列の数が同じ表示レイアウトのことを指す。
【0107】
表示レイアウトが正方形であると判定した場合において、(ai−a)>Δaであると判定した場合には(S4)、上方向へスクロールし(S5)、(ai−a)>Δaではなく、(ai−a)<−Δaであると判定した場合には(S6)、下方向へスクロールする(S7)。
【0108】
さらに、(ai−a)<−Δaでもないと判定した場合に、(di−d)>Δdであると判断する場合には(S8)、右方向へスクロールし(S9)、(di−d)<−Δdであると判断する場合には(S10)、左方向へスクロールする(S11)。(di−d)<−Δdでもないと判定した場合には、画面遷移判定処理を終了する。
【0109】
一方、表示レイアウトが正方形ではないと判定した場合には、表示レイアウトが垂直か否かを判定する(S12)。なお、垂直な表示レイアウトとは、複数の行と1列の表示レイアウトのことを指す。
【0110】
表示レイアウトが垂直であると判定した場合において、(ai−a)>Δaであると判定した場合には(S13)、上方向へスクロールし(S14)、(ai−a)>Δaではなく、(ai−a)<−Δaであると判定した場合には(S15)、下方向へスクロールする(S16)。(ai−a)<−Δaでもないと判定した場合には、画面遷移判定処理を終了する。
【0111】
そして、表示レイアウトが垂直ではないと判定した場合には、表示レイアウトは水平であると判定する。なお、水平な表示レイアウトとは、1行と複数の列の表示レイアウトのことを指す。
【0112】
表示レイアウトが水平であると判定した場合において、(di−d)>Δdであると判定した場合には(S17)、右方向へスクロールし(S18)、(di−d)>Δdではなく、(di−d)<−Δdであると判定した場合には(S19)、左方向へスクロールする(S20)。(di−d)<−Δdでもないと判定した場合には、画面遷移判定処理を終了する。
【0113】
これにより、頭部の上下左右の動きに応じて、画像記憶領域上で表示領域をスクロールさせることが可能となる。
【0114】
ここで、例えば、表示部に表示された施設詳細情報を表す画像と手元の資料とを、ユーザが見比べたい場合など、ユーザが頭部を動かしつつも、特定の表示画像の表示を継続させたい場合がある。しかし、前述した手法を用いた場合には、ユーザの頭部姿勢に連動して、表示画像が切り替わってしまう。
【0115】
そこで、本実施形態では、操作部による割り込みによって、第2モード設定時の表示処理ループ(S54〜S57)及び情報取得部を一時停止および再開することができる(S58)。例えば、図6(A)〜図6(C)の状態で、表示処理ループを一時停止した場合には、図6(C)の画像記憶領域IBの中央の画像がHMDの表示部に表示されており、例えユーザがDR4方向を向いたとしても表示部に表示される画像は変わらない(DR1〜DR3方向の場合も同様)。
【0116】
ここで、前述した画面遷移判定処理では、開始時の方位および仰角を保存し、次回以降の方位および仰角との差分が閾値を超えるか否かを判定することにより、スクロールをするか否かを判定しているため、ユーザが直立しておらず、頭部が地面に対して水平・垂直でない状態で表示処理ループが開始された場合には、頭の動きではスクロール不可能な領域ができてしまうという問題がある。
【0117】
そこで、本実施形態では、HMDの操作部から表示処理ループに対して割り込みを行い、その割り込み発生時点での方位と仰角を初期値として利用する(S59)。
【0118】
そして、第2モードの終了要求(第1モードへの遷移要求)を、ユーザが操作部を介して入力するまで、HMDの処理部は第2モード設定時の表示処理ループを継続する。第2モードの終了要求が入力された場合には(S60)、HMDの処理部は表示処理ループを終了する(S61)。そして、制御モードを第1モードに変更することを情報端末へ通知する(S62)。
【0119】
次に、詳細情報画像の実用例について、図8(A)〜図8(C)を用いて説明する。
【0120】
まず、詳細情報画像とは、個別の施設等に関する情報を表す画像のことをいう。具体的には、レストランに関する詳細情報画像としては、外観写真の画像やアクセス情報を表す画像、地図画像、レビュー情報を表す画像などがあり、これらを図10(C)のような第3のデータベースから読み出し、図8(C)に示すように、HMDの表示バッファの画像記憶領域IBに記憶する。
【0121】
そして、例えば図8(A)のユーザUSが、正面を向いており、図8(C)の画像記憶領域IBに記憶した詳細情報画像DIM2(アクセス情報を表す画像)が表示画像IIMであるとする。この時に、前述したように、ユーザUSが、正面を向いている状態から下方向(DR1方向)を向いた状態に頭部姿勢を変更した時に、図8(C)の画像記憶領域上に設定する表示領域も移動させて、詳細情報画像DIM3(地図画像)が記憶されている領域を表示領域に設定し、地図画像DIM3を表示することができる。
【0122】
また、前述した例のように、ユーザが首を振って、表示画像を変更する場合には、表示バッファの画像記憶領域の同じ位置に、同じ種類の情報を示す画像を記憶した方がよい。
【0123】
例えば、表示バッファの画像記憶領域の1段目に施設等の外観写真の画像を記憶し、2段目にアクセス情報を表す画像を記憶し、3段目に地図画像を、4段目にレビュー情報を表す画像を記憶する。これによって、詳細情報画像の対象となる施設が異なる場合(例えばレストランAとレストランB、もしくはレストランAとスーパーマーケットAなど)であっても、参照したい詳細情報画像を表示するには、どの方向に首を振ればよいか分かりやすくなる。
【0124】
そこで、本実施形態では、図9(A)に示すように、各領域AR1〜AR4にコンテンツIDが関連付けられた画像記憶領域IBを有する表示バッファを用いる。さらに、図9(B)に示すように、詳細情報画像の種類毎に異なるコンテンツIDを関連付ける。例えば、施設等の外観写真の画像にはコンテンツID=001を、アクセス情報を表す画像にはコンテンツID=002を、地図画像にはコンテンツID=003を、レビュー情報を表す画像にはコンテンツID=004を、関連付ける。そして、詳細情報画像を、その詳細情報画像のコンテンツIDが関連付けられた画像記憶領域に記憶する。
【0125】
これにより、図9(B)に示す詳細情報画像のうち、画像IM1とIM6は、第1の画像記憶領域AR1に、画像IM4とIM8は、第1の画像記憶領域AR2に、画像IM3とIM5は、第1の画像記憶領域AR3に、画像IM2とIM7は、第1の画像記憶領域AR4に、記憶することができる。
【0126】
4.本実施形態の手法
4.1 頭部装着型表示装置
以上の本実施形態の頭部装着型表示装置100は、情報端末200と通信を行う通信部110と、通信部110を介して情報端末200から受信した画像データを画像記憶領域に記憶する表示バッファ120と、頭部姿勢情報を取得する情報取得部150と、表示バッファ120の画像記憶領域に表示領域を設定する処理部130と、設定された表示領域の画像を表示画像として表示する表示部140と、を含む。制御モードが第1モードに設定された場合には、通信部110は、頭部姿勢情報を情報端末200に送信する。一方、制御モードが第2モードに設定された場合には、通信部110は、頭部姿勢情報を情報端末200に送信せず、処理部130は、頭部姿勢情報に基づいて、表示バッファ120の画像記憶領域に表示領域を設定する。
【0127】
ここで、表示領域とは、画像記憶領域において、表示部140に表示する画像を記憶する領域として特定される領域のことをいう。表示領域は、画像記憶領域のアドレスにより特定される。
【0128】
そして、頭部姿勢情報とは、ユーザの頭部姿勢を表す情報である。例えば、頭部姿勢情報は、ユーザの頭部に設けられたセンサにより取得される仰角や方位などの値のことである。
【0129】
また、ここで、制御モードとは、頭部装着型表示装置と情報端末とが行う一連の処理内容を決定付けるモードのことを言い、本実施形態における制御モードには、第1モードと第2モードとがある。ただし、制御モードには、第1モードと第2モード以外のモードがあってもよい。
【0130】
制御モードのうちの第1モード(同期モード)とは、頭部装着型表示装置と情報端末とが互いに通信を行いながら、画像記憶領域に表示領域を設定するモードのこと等をいう。例えば、図2(A)にその一例を示す。
【0131】
一方、第2モード(非同期モード)とは、頭部装着型表示装置と情報端末とが処理の開始時には互いに通信を行うが、その後は、頭部装着型表示装置が単独で、頭部姿勢情報に基づいて画像記憶領域に表示領域を設定するモードのこと等をいう。例えば、図2(B)にその一例を示す。
【0132】
これにより、頭部装着型表示装置に表示する画像を特定するための処理を、設定された制御モードに従って行うことができる。
【0133】
また、通信部110は、制御モードが第2モードに設定されている場合には、情報端末200から表示レイアウトデータと画像データとを受信してもよい。そして、表示バッファ120は、表示レイアウトデータにより設定された画像記憶領域に画像データを記憶し、処理部130は、頭部姿勢情報に基づいて、画像記憶領域に表示領域を設定してもよい。
【0134】
ここで、表示レイアウトデータとは、表示レイアウトを指し示すデータのことをいう。また、表示レイアウトとは、表示バッファの画像記憶領域に記憶される画像が表示部140に表示される際の、各画像の位置関係を示す情報のことをいう。また、表示レイアウトは、画像記憶領域において、HMDの表示部140と同じ解像度で区切られた各領域の順序情報であってもよい。例えば、表示レイアウトは、図6(C)に示す3行×3列の正方形(ただし、画像のサイズによっては長方形となる)や、1行×9列の横長の長方形、9行×1列の縦長の長方形などがある。ただし、これらに限定されない。
【0135】
これにより、制御モードが第2モードに設定されている場合に、情報端末200から受信した表示レイアウトデータが示す表示レイアウトで、画像データを表示バッファ120に記憶することができ、頭部装着型表示装置100の表示部140に画像を表示することが可能となる。
【0136】
また、情報端末200から受信する表示レイアウトデータによって、表示バッファ120の表示レイアウトを変更することが可能となる。
【0137】
そして、頭部装着型表示装置100が、ユーザの頭部姿勢情報に応じて表示バッファ120の画像記憶領域に表示領域を設定することが可能となる。
【0138】
さらに、頭部姿勢情報を一度情報端末200に送信し、通知された頭部姿勢情報に基づいて、表示部140に表示する画像を情報端末200が特定する手法に比べて、頭部装着型表示装置100と情報端末200間での通信機会を減らすことが可能となり、応答速度の向上を図ることが可能となる。すなわち、情報端末200と通信をせずに、頭部装着型表示装置100内部で表示制御を行うため、スクロールのリアルタイム性が向上する。
【0139】
また、処理部130は、頭部姿勢情報により表される頭部姿勢が第1の頭部姿勢である場合には、画像記憶領域に第1の表示領域を設定し、頭部姿勢が第2の頭部姿勢である場合には、画像記憶領域に第2の表示領域を設定してもよい。そして、表示部140は、第1の表示領域が設定された場合には、第1の表示領域の画像を表示画像として表示し、第2の表示領域が設定された場合には、第2の表示領域の画像を表示画像として表示してもよい。
【0140】
ここで、第1の表示領域と第2の表示領域は、画像記憶領域内の領域のうち、互いに異なる領域のことをいう。本例では、第1の表示領域と第2の表示領域は、表示レイアウト上で隣接していることが望ましいが、これに限定されない。例えば、図8(B)では、画像記憶領域IBのうち、画像DIM2を記憶する領域が第1の表示領域であり、画像DIM1を記憶する領域が第2の表示領域である。
【0141】
また、第1の頭部姿勢は、第2の頭部姿勢と異なる頭部姿勢のこという。例えば、図8(A)では、ユーザUSが正面を向いている状態が第1の頭部姿勢であり、ユーザUSが下方向(DR1方向)を向いている状態が第2の頭部姿勢である。
【0142】
これにより、頭部姿勢情報に応じて、画像記憶領域上の異なる領域に表示領域を設定すること等が可能になる。すなわち、ユーザの頭部の上下左右の動きに応じて、画像記憶領域上で表示領域をスクロールさせること等が可能となる。
【0143】
また、処理部130は、取得された頭部姿勢情報に基づいて姿勢変化量を求め、姿勢変化量が所定の閾値以上であると判断する場合に、表示領域を第1の表示領域から第2の表示領域に移動させてもよい。
【0144】
ここで、姿勢変化量とは、基準頭部姿勢と現在の頭部姿勢との差である。基準頭部姿勢は、初期姿勢のことであってもよい。例えば、図7の初期方位d及び初期仰角aのこという。
【0145】
これにより、姿勢変化量と所定の閾値を比較することによって、表示領域を移動させるか否かを判定すること等が可能となる。
【0146】
また、通信部110は、制御モードが第2モードに設定されている場合には、頭部姿勢情報を情報端末200に送信し、送信された頭部姿勢情報と位置情報とに対応する複数の画像データを、情報端末200から受信してもよい。そして、表示バッファ120は、表示レイアウトデータにより設定された画像記憶領域に複数の画像データを記憶してもよい。
【0147】
ここで、位置情報とは、ユーザの位置を表す情報のことをいい、例えば、ユーザの現在位置の緯度や経度などの情報のことをいう。
【0148】
これにより、例えば、施設等に関する情報を表す複数の画像を、頭部装着型表示装置の表示バッファ120の画像記憶領域に記憶し、情報端末と通信を行わずに、頭部装着型表示装置がユーザの頭部姿勢に応じて、表示画像を変えること等が可能になる。
【0149】
また、例えばユーザがある地点に立ち止まって、施設等の詳細情報を確認している間は、必ずしも情報端末と通信する必要はないため、このような場合に通信処理にかかる消費電力等を抑制すること等も可能になる。
【0150】
また、通信部110は、画像データと画像データに関連付けられたコンテンツIDとを受信してもよい。そして、表示バッファ120は、各コンテンツIDに関連付けられた画像データを、コンテンツIDに対応する画像記憶領域の各領域に記憶してもよい。
【0151】
ここで、コンテンツIDとは、画像が表す情報の種類を判別するために用いられる数字や記号等である。具体例を、図9(A)及び(B)に示す。
【0152】
これにより、同じ種類の内容を表す画像に同一のコンテンツIDを割り当てておけば、同じ種類の画像データを画像記憶領域の同じ位置に記憶すること等が可能になる。よって、例えば、情報端末から受信した複数の画像データの表示対象となる施設が異なる場合であっても、参照したい詳細情報画像を表示するには、どの方向に首を振ればよいか分かりやすくすること等が可能になる。
【0153】
4.2 情報端末
また、本実施形態の情報端末200は、頭部装着型表示装置100と通信を行う通信部210と、画像データを記憶する記憶部220と、制御モードの設定処理を行う処理部230と、位置情報を検出する位置検出部240と、を含む。記憶部220は、カテゴリIDと画像データとが関連付けられた第1のデータベースの情報と、頭部装着型表示装置100から受信した頭部姿勢情報と、位置情報との組み合わせにカテゴリIDが関連付けられた第2のデータベースの情報と、を記憶する。そして、通信部210は、第1のデータベースの情報を頭部装着型表示装置100に送信する。さらに、処理部230は、制御モードを第1モードに設定した場合には、頭部姿勢情報と位置情報との組み合わせに関連付けられたカテゴリIDを第2のデータベースから取得する。その後、通信部210は、取得したカテゴリIDを頭部装着型表示装置100に送信する。
【0154】
これにより、頭部装着型表示装置の処理部は、取得されたカテゴリIDに対応する画像データを第1のデータベースに基づいて特定し、表示バッファ120の画像記憶領域において、特定した画像データが記憶される領域を表示領域に設定すること等が可能になる。
【0155】
ここで、カテゴリIDとは、例えば、トイレや郵便局、レストラン、駅などの施設の種類別に割り当てられる固有の数字や記号のことをいう。例えば、図10(A)に示すようなものがある。
【0156】
また、第1のデータベースとは、カテゴリIDと画像データ情報とが関連付けられたデータ(レコード)の集合(データベース)のことをいう。また、カテゴリIDに関連付けられる画像データ情報は、画像データそのものであってもよし、画像データのファイル名などの画像データを特定可能な情報であればよい。例えば、図10(A)に示すDB1である。
【0157】
さらに、第2のデータベースとは、位置情報と頭部姿勢情報との各組み合わせに、カテゴリIDが関連付けられたデータ(レコード)の集合(データベース)である。例えば、図10(B)に示すDB2である。
【0158】
したがって、例えばユーザが移動している場合に、ユーザの現在位置と頭部姿勢に対応する画像を表示すること等が可能となる。頭部装着型表示装置は、前述した第1のデータベースを記憶するだけで良いため、頭部装着型表示装置の記憶容量が問題とならない。また、一度、頭部装着型表示装置が第1のデータベースを受信した後は、頭部装着型表示装置と情報端末間では、頭部姿勢情報とカテゴリIDとを送受信するだけですむため、通信コストも抑制すること等が可能となり、要求されるリアルタイム性を満たすことが容易になる。
【0159】
また、通信部210は、制御モードが第1モードに設定された際に、頭部姿勢情報と位置情報との組み合わせが第2のデータベースに存在しない場合には、カテゴリIDとしてブランクIDを頭部装着型表示装置100に送信してもよい。
【0160】
ここで、ブランクIDとは、第2のデータベース内において、所定の頭部姿勢情報と所定の位置情報との組み合わせに対応するデータが存在しない場合に用いるカテゴリIDのことをいう。また、ブランクIDには、第1のデータベースにおいてアイコンファイル(アイコン画像)と関連付けられていない任意の記号や数字を用いればよい。例えば、図10(A)の例では、ブランクIDとして「255」などを用いる。
【0161】
これにより、頭部装着型表示装置の処理部は、ブランクIDを取得した場合には、画像記憶領域に表示領域を設定しないこと等が可能になる。
【0162】
また、記憶部220は、頭部姿勢情報と位置情報との組み合わせに複数の画像データが関連付けられた第3のデータベースを記憶してもよい。そして、処理部230は、制御モードを第2モードに設定した場合には、頭部姿勢情報と位置情報との組み合わせに関連付けられた複数の画像データを、第3のデータベースから取得してもよい。さらに、通信部210は、取得した複数の画像データを頭部装着型表示装置100に送信してもよい。
【0163】
ここで、第3のデータベースとは、位置情報と頭部姿勢情報との各組み合わせに、複数の画像データ情報が関連付けられたデータ(レコード)の集合(データベース)である。また、カテゴリIDに関連付けられる複数の画像データ情報は、画像データそのものであってもよし、画像データのファイル名などの画像データを特定可能な情報であればよい。例えば、図10(C)に示すDB3である。また、前述した第2のデータベースと共通項をまとめて、一つのデータベースとしてもよい。
【0164】
これにより、頭部装着型表示装置の表示バッファは、表示レイアウトデータにより設定された画像記憶領域に複数の画像データを記憶すること等が可能になる。そして、例えば、情報端末と通信を行わずに、頭部装着型表示装置がユーザの頭部姿勢に応じて、表示画像を変えること等が可能になる。
【0165】
また、処理部230は、頭部装着型表示装置100から通信部210を介して受信されたユーザ入力情報に基づいて、第1モードから第2モードに、又は第2モードから第1モードに、制御モードを切り替えてもよい。
【0166】
ここで、ユーザ入力情報とは、ユーザにより操作部160を介して入力される情報のことをいう。
【0167】
これにより、例えば、ユーザが施設等の詳細情報を参照したいと考える場合に、ユーザ入力により制御モードを第2モードに変更し、ユーザが移動を再開したため周辺施設の概要情報を参照したいと考える場合にユーザ入力により第1モードに変更すること等が可能になる。
【0168】
なお、本実施形態の情報端末等は、プログラムにより実現してもよい。この場合には、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することで、本実施形態の状態推定装置等が実現される。具体的には、情報記憶媒体に記憶されたプログラムが読み出され、読み出されたプログラムをCPU等のプロセッサが実行する。ここで、情報記憶媒体(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(DVD、CD等)、HDD(ハードディスクドライブ)、或いはメモリ(カード型メモリ、ROM等)などにより実現できる。そして、CPU等のプロセッサは、情報記憶媒体に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。即ち、情報記憶媒体には、本実施形態の各部としてコンピュータ(操作部、処理部、記憶部、出力部を備える装置)を機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)が記憶される。
【0169】
以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、頭部装着型表示装置、情報端末、プログラム、情報記憶媒体及び画像処理システムの構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0170】
100 頭部装着型表示装置、110 通信部、120 表示バッファ、
130 処理部、140 表示部、150 情報取得部、160 操作部、
200 情報端末、210 通信部、220 記憶部、230 処理部、
240 位置検出部、550 GPSセンサ、551 加速度センサ、
560 方位センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報端末と通信を行う通信部と、
前記通信部を介して前記情報端末から受信した画像データを画像記憶領域に記憶する表示バッファと、
頭部姿勢情報を取得する情報取得部と、
前記表示バッファの前記画像記憶領域に表示領域を設定する処理部と、
設定された前記表示領域の画像を表示画像として表示する表示部と、
を含み、
制御モードが第1モードに設定された場合には、
前記通信部は、
前記頭部姿勢情報を前記情報端末に送信し、
前記制御モードが第2モードに設定された場合には、
前記通信部は、
前記頭部姿勢情報を前記情報端末に送信せず、
前記処理部は、
前記頭部姿勢情報に基づいて、前記表示バッファの前記画像記憶領域に前記表示領域を設定することを特徴とする頭部装着型表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記通信部は、
前記制御モードが前記第2モードに設定されている場合には、前記情報端末から表示レイアウトデータと前記画像データとを受信し、
前記表示バッファは、
前記表示レイアウトデータにより設定された前記画像記憶領域に前記画像データを記憶し、
前記処理部は、
前記頭部姿勢情報に基づいて、前記画像記憶領域に前記表示領域を設定することを特徴とする頭部装着型表示装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記処理部は、
前記頭部姿勢情報により表される頭部姿勢が第1の頭部姿勢である場合には、前記画像記憶領域に第1の表示領域を設定し、
前記頭部姿勢が第2の頭部姿勢である場合には、前記画像記憶領域に第2の表示領域を設定し、
前記表示部は、
前記第1の表示領域が設定された場合には、前記第1の表示領域の画像を前記表示画像として表示し、
前記第2の表示領域が設定された場合には、前記第2の表示領域の画像を前記表示画像として表示することを特徴とする頭部装着型表示装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記処理部は、
取得された前記頭部姿勢情報に基づいて姿勢変化量を求め、前記姿勢変化量が所定の閾値以上であると判断する場合に、前記表示領域を前記第1の表示領域から前記第2の表示領域に移動させることを特徴とする頭部装着型表示装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかにおいて、
前記通信部は、
前記制御モードが前記第2モードに設定されている場合には、前記頭部姿勢情報を前記情報端末に送信し、送信された前記頭部姿勢情報と位置情報とに対応する複数の画像データを、前記情報端末から受信し、
前記表示バッファは、
前記表示レイアウトデータにより設定された前記画像記憶領域に前記複数の画像データを記憶することを特徴とする頭部装着型表示装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかにおいて、
前記通信部は、
前記画像データと前記画像データに関連付けられたコンテンツIDとを受信し、
前記表示バッファは、
前記各コンテンツIDに関連付けられた前記画像データを、前記コンテンツIDに対応する前記画像記憶領域の各領域に記憶することを特徴とする頭部装着型表示装置。
【請求項7】
頭部装着型表示装置と通信を行う通信部と、
画像データを記憶する記憶部と、
制御モードの設定処理を行う処理部と、
位置情報を検出する位置検出部と、
を含み、
前記記憶部は、
カテゴリIDと前記画像データとが関連付けられた第1のデータベースの情報と、
前記頭部装着型表示装置から受信した頭部姿勢情報と、前記位置情報との組み合わせに前記カテゴリIDが関連付けられた第2のデータベースの情報と、を記憶し、
前記通信部は、
前記第1のデータベースの情報を前記頭部装着型表示装置に送信し、
前記処理部は、
前記制御モードを第1モードに設定した場合には、前記頭部姿勢情報と前記位置情報との組み合わせに関連付けられた前記カテゴリIDを前記第2のデータベースから取得し、
前記通信部は、
取得した前記カテゴリIDを前記頭部装着型表示装置に送信することを特徴とする情報端末。
【請求項8】
請求項7において、
前記通信部は、
前記制御モードが前記第1モードに設定された際に、前記頭部姿勢情報と前記位置情報との組み合わせが前記第2のデータベースに存在しない場合には、前記カテゴリIDとしてブランクIDを前記頭部装着型表示装置に送信することを特徴とする情報端末。
【請求項9】
請求項7又は8において、
前記記憶部は、
前記頭部姿勢情報と前記位置情報との組み合わせに複数の画像データが関連付けられた第3のデータベースを記憶し、
前記処理部は、
前記制御モードを第2モードに設定した場合には、前記頭部姿勢情報と前記位置情報との組み合わせに関連付けられた前記複数の画像データを、前記第3のデータベースから取得し、
前記通信部は、
取得した前記複数の画像データを前記頭部装着型表示装置に送信することを特徴とする情報端末。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれかにおいて、
前記処理部は、
前記頭部装着型表示装置から前記通信部を介して受信されたユーザ入力情報に基づいて、前記第1モードから第2モードに、又は前記第2モードから前記第1モードに、前記制御モードを切り替えることを特徴とする情報端末。
【請求項11】
頭部装着型表示装置と通信を行う通信部と、
画像データを記憶する記憶部と、
制御モードの設定処理を行う処理部と、
位置情報を検出する位置検出部として、
コンピュータを機能させ、
前記記憶部は、
カテゴリIDと前記画像データとが関連付けられた第1のデータベースの情報と、
前記頭部装着型表示装置から受信した頭部姿勢情報と、前記位置情報との組み合わせに前記カテゴリIDが関連付けられた第2のデータベースの情報と、を記憶し、
前記通信部は、
前記第1のデータベースの情報を前記頭部装着型表示装置に送信し、
前記処理部は、
前記制御モードを第1モードに設定した場合には、前記頭部姿勢情報と前記位置情報との組み合わせに関連付けられた前記カテゴリIDを前記第2のデータベースから取得し、
前記通信部は、
取得した前記カテゴリIDを前記頭部装着型表示装置に送信することを特徴とするプログラム。
【請求項12】
コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、請求項11に記載のプログラムを記憶したことを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項13】
頭部姿勢情報を取得し、画像データを記憶する画像記憶領域に表示領域を設定し、設定された前記表示領域の画像を表示する頭部装着型表示装置と、
位置情報の検出処理と制御モードの設定処理を行い、前記頭部装着型表示装置と通信を行う情報端末と、
を含み、
前記情報端末は、
カテゴリIDと画像データとが関連付けられた第1のデータベースの情報と、前記頭部姿勢情報と前記位置情報との組み合わせに前記カテゴリIDが関連付けられた第2のデータベースの情報とを記憶し、前記第1のデータベースの情報を前記頭部装着型表示装置に送信し、
前記情報端末が前記制御モードを第1モードに設定した場合には、
前記頭部装着型表示装置は、
前記頭部姿勢情報を前記情報端末に送信し、
前記情報端末は、
受信した前記頭部姿勢情報と前記位置情報との組み合わせに関連付けられた前記カテゴリIDを前記第2のデータベースから取得し、取得した前記カテゴリIDを前記頭部装着型表示装置に送信し、
前記頭部装着型表示装置は、
受信した前記カテゴリIDに関連付けられた前記画像データを、前記第1のデータベースから特定し、前記画像記憶領域のうち、特定した前記画像データが記憶されている領域を、前記表示領域として設定し、
前記情報端末が前記制御モードを第2モードに設定した場合には、
前記頭部装着型表示装置は、
前記頭部姿勢情報を前記情報端末に送信せず、前記頭部姿勢情報に基づいて、前記画像記憶領域に前記表示領域を設定することを特徴とする画像処理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図10】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−93706(P2013−93706A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233915(P2011−233915)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】