説明

頭髪修復方法

【課題】頭髪の縮毛矯正や、パーマネントウェーブの形成中に、還元剤の塗布後に頭髪の傷んだ箇所が溶解状に軟化した場合に、これら縮毛矯正などの過程においてこれを効果的に修復できるようにする。
【解決手段】チオグリコール酸やシステインなどを主成分とする還元剤の塗布後に臭素酸ナトリウムや過酸化水素水などを主成分とする酸化剤を塗布して頭髪の縮毛矯正や頭髪にパーマネントウェーブを形成させる頭髪改善において、前記還元剤を塗布した頭髪に溶解状の軟化が生じたときに、前記酸化剤を塗布するに先だって、システアミンを0.1重量%以上6重量%以下の範囲で含み、かつ、水素イオン濃度をPH3.0以上PH7.0以下の範囲とする修復剤を、少なくとも頭髪において前記軟化が生じた箇所に塗布する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、頭髪の縮毛矯正や、パーマネントウェーブの形成中に、頭髪の傷んだ箇所が溶解状に軟化した場合にこれをこれらの過程において修復する方法、および、このような軟化に起因して縮緬状の不均一な波状を呈した頭髪を事後的に修復する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
頭髪の縮毛矯正や、パーマネントウェーブの形成にあたっては、一般に、下記の工程での処置がなされる。(なお、下記の表1は縮毛矯正の工程である。)
【表1】

【0003】
その要点は、還元剤(チオグリコール酸、システインなどを主成分とする。第1剤等とも称される。)の塗布と、その後の酸化剤(臭素酸ナトリウムや過酸化水素水などを主成分とする。第2剤等とも称される。)の塗布にある。
【0004】
しかるに、頭髪が傷んでいる場合、還元剤を塗布したときに、この傷んだ部分が溶解したかのように軟化する場合がある。こうした場合、これまでは還元剤を直ちに洗い流して酸化剤を塗布するようにしていた。しかし、このような頭髪の軟化が生じていると、還元剤の洗い流しとその水分の除去の過程で断毛を生じさせてしまうことが少なくなかった。また、この後に酸化剤で処理しても、頭髪が水で濡れると弱い引っ張り力が加わっただけで断毛を生じさせてしまうことが少なくなかった。さらに、このような軟化が一度生じた頭髪は、乾いた状態では縮緬状の不均一な波状を呈し、乾いた状態でも櫛やブラシで梳かすと断毛を生じ易い。(図4参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、第一に、頭髪の縮毛矯正や、パーマネントウェーブの形成中に、還元剤の塗布後に頭髪の傷んだ箇所が溶解状に軟化した場合に、これら縮毛矯正などの過程においてこれを効果的に修復できるようにする点にある。(第一の課題)
【0006】
また、第二に、頭髪の縮毛矯正や、パーマネントウェーブの形成中に、還元剤の塗布により頭髪の傷んだ箇所が溶解状に軟化して縮緬状の不均一な波状になってしまった頭髪を、事後的に効果的に修復できるようにする点にある。(第二の課題)
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記第一の課題を達成するために、第一の発明にあっては、頭髪修復方法を、チオグリコール酸やシステインなどを主成分とする還元剤の塗布後に臭素酸ナトリウムや過酸化水素水などを主成分とする酸化剤を塗布して頭髪の縮毛矯正や頭髪にパーマネントウェーブを形成させる頭髪改善において、
前記還元剤を塗布した頭髪に溶解状の軟化が生じたときに、前記酸化剤を塗布するに先だって、システアミンを0.1重量%以上6重量%以下の範囲で含み、かつ、水素イオン濃度をPH3.0以上PH7.0以下の範囲とする修復剤を、少なくとも頭髪において前記軟化が生じた箇所に塗布するものとした。
【0008】
前記頭髪の溶解状の軟化は、傷んでタンパク質の結合力が弱くなっている頭髪のこの結合力を還元剤によってさらに弱めてしまうことと、アルカリ性である還元剤が頭髪に膨潤を生じさせてしまうことに起因する。システアミンは、タンパク質の結合力を強化する作用があることから、還元剤の塗布により頭髪の溶解状の軟化が生じた後に、前記修復剤を塗布することで、かかる軟化を停止させることができる。そして、この後、頭髪の水分量を一定量まで減らした上で頭髪に所望の形状を付与し、酸化剤を塗布することで、適切な頭髪改善をなすことができる。修復剤へのシステアミンの含有量が少なすぎると頭髪の修復効果がなく、これが多すぎると頭髪にダメージを与えてしまうことから、修復剤へのシステアミンの含有量は0.1重量%以上6重量%以下の範囲とすることが最適である。また、水素イオン濃度が高すぎても低すぎても頭髪にダメージを与えてしまうことから、修復剤の水素イオン濃度は PH3.0以上PH7.0以下の範囲とすることが最適である。
【0009】
また、前記第二の課題を達成するために、第二の発明にあっては、頭髪修復方法を、チオグリコール酸やシステインなどを主成分とする還元剤の塗布後に臭素酸ナトリウムや過酸化水素水などを主成分とする酸化剤を塗布して頭髪の縮毛矯正や頭髪にパーマネントウェーブを形成させる頭髪改善において前記還元剤を塗布したことに起因して縮緬状の不均一な波状になってしまった頭髪の少なくともこの縮緬状の不均一な波状になった箇所に、
前記酸化剤を塗布するに先だって、先ず、システアミンを0.1重量%以上6重量%以下の範囲で含み、かつ、水素イオン濃度をPH3.0以上PH7.0以下の範囲とする修復剤を塗布し、
次いで、この修復剤を洗い流した後に、一対の挟持体よりなるヘアーアイロンのこの一対の挟持体間に頭髪を挟み込んで頭髪の長さ方向に沿ってこの挟持体を移動させて頭髪にアイロンがけをすると共に、
このアイロンがけにあたり、前記一対の挟持体の一方の頭髪の挟み込み面を、紙製の補助シートによりその繊維方向を挟持体の移動方向に対し交叉させるようにして覆って、このアイロンがけをなすものとした。
【0010】
頭髪改善において還元剤の塗布により頭髪に溶解状の軟化が生じた場合に、この修復ができなかった場合は、この軟化が生じた箇所は縮緬状の不均一な波状を呈する。こうした場合に、前記修復剤を塗布すると共に、この後、酸化剤を塗布する前に、前記アイロンがけを行うことで、かかる頭髪を修復させることができる。すなわち、頭髪はその長さ方向に直交する向きの断面外郭形状を真円とはしないので、前記のように一対の挟持体の一方の頭髪の挟み込み面を補助シートで覆った状態でアイロンがけを行うと頭髪は摩擦の大きいこの補助シートとの接点側を軸として回転される。これにより頭髪の形状を一定に整えることができる。また、頭髪の水分量が少なくなり過ぎると頭髪にダメージが生じ、また、これが多すぎると酸化剤の反応が悪くなり、頭髪に付与した形状の持続性が損なわれるところ、前記補助シートを利用したアイロンがけによれば、紙の凹凸により頭髪に含まれている水分を蒸発させやすく、頭髪に過度の熱を与えることなく頭髪の水分量を一定量まで減らすことができる。
【発明の効果】
【0011】
第一の発明にかかる頭髪修復方法によれば、頭髪の縮毛矯正や、パーマネントウェーブの形成中に、還元剤の塗布後に頭髪の傷んだ箇所が溶解状に軟化した場合に、これら縮毛矯正などの過程においてこれを効果的に修復することができる。
【0012】
また、第二の発明にかかる頭髪修復方法によれば、頭髪の縮毛矯正や、パーマネントウェーブの形成中に、還元剤の塗布により頭髪の傷んだ箇所が溶解状に軟化して縮緬状の不均一な波状になってしまった頭髪を、事後的に効果的に修復することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の典型的な実施の形態について説明する。
【0014】
この実施の形態にかかる頭髪修復方法の一つは、チオグリコール酸やシステインなどを主成分とする還元剤の塗布後に臭素酸ナトリウムや過酸化水素水などを主成分とする酸化剤を塗布して頭髪の縮毛矯正や頭髪にパーマネントウェーブを形成させる頭髪改善において、この頭髪改善の過程において還元剤の塗布により頭髪の溶解状の軟化が生じたときに、これを修復するものである。(以下、過程中修復と称する。)
【0015】
また、この実施の形態にかかる頭髪修復方法の他の一つは、チオグリコール酸やシステインなどを主成分とする還元剤の塗布後に臭素酸ナトリウムや過酸化水素水などを主成分とする酸化剤を塗布して頭髪の縮毛矯正や頭髪にパーマネントウェーブを形成させる頭髪改善において前記還元剤を塗布したことに起因して縮緬状の不均一な波状になってしまった頭髪を、事後的に修復するものである。(以下、事後修復と称する。)
【0016】
過程中修復は、前記還元剤を塗布した頭髪に溶解状の軟化が生じたときに、前記酸化剤を塗布するに先だって、システアミンを0.1重量%以上6重量%以下の範囲で含み、かつ、水素イオン濃度をPH3.0以上PH7.0以下の範囲とする修復剤を、少なくとも頭髪において前記軟化が生じた箇所に塗布してなされる。
【0017】
過程中修復の典型的な手順を表2に示す。(なお、下記の表2は縮毛矯正の工程である。)
【表2】

【0018】
表2中、工程4に「縮毛矯正第1剤塗布」とあるのが還元剤の塗布工程である。かかる還元剤の典型的な構成例(配合例)を表3に示す。
【表3】

【0019】
還元剤の塗布により、頭髪に溶解状の軟化が生じなければ、修復剤の塗布の必要はない。還元剤の塗布により、頭髪に溶解状の軟化が生じた場合、修復剤の塗布をなす。表2の工程6の作業内容中、「過剰反応部」とあるのは溶解状の軟化の生じた頭髪の部分を意味している。
【0020】
前記頭髪の溶解状の軟化は、傷んでタンパク質の結合力が弱くなっている頭髪のこの結合力を還元剤によってさらに弱めてしまうことと、アルカリ性である還元剤が頭髪に膨潤を生じさせてしまうことに起因する。システアミンは、タンパク質の結合力を強化する作用があることから、この還元剤の塗布により頭髪の溶解状の軟化が生じた後に、かかるシステアミンを含む前記修復剤を塗布することで、かかる軟化を停止させることができる。そして、この後、頭髪の水分量を一定量まで減らした上で、(表2の工程10のドライ)頭髪に所望の形状を付与し、(表2の工程11のアイロン操作)酸化剤を塗布することで、(表2の工程12の第2剤塗布)適切な頭髪改善をなすことができる。
【0021】
修復剤へのシステアミンの含有量が少なすぎると頭髪の修復効果がなく、これが多すぎると頭髪にダメージを与えてしまうことから、修復剤へのシステアミンの含有量は0.1重量%以上6重量%以下の範囲とすることが最適である。また、水素イオン濃度が高すぎても低すぎても頭髪にダメージを与えてしまうことから、修復剤の水素イオン濃度は PH3.0以上PH7.0以下の範囲とすることが最適である。
【0022】
かかる修復剤の典型的な構成例(配合例)の一つを表4に示す。
【表4】

【0023】
かかる修復剤の典型的な構成例(配合例)の他の一つを表5に示す。
【表5】

【0024】
かかる修復剤の典型的な構成例(配合例)のさらに他の一つを表6に示す。
【表6】

【0025】
かかる過程中修復における頭髪に所望の形状を付与する工程(表2の工程11のアイロン操作)においては、一対の挟持体Aa、Aaを備えたヘアーアイロンAが用いられる。図1〜図3にかかる工程に用いる補助シートおよびヘアーアイロンの要部を示す。ここで図1は実施の形態にかかる補助シートSの全体構成を、図2はヘアーアイロンAを構成する頭髪Hの一対の挟持体Aa、Aaの一方に補助シートSを備えさせた状態を、図3はこのように補助シートSを備えさせた状態において一対の挟持体Aa、Aaにより挟み付けた頭髪Hの長さ方向Haにこの挟持体Aaを移動させた場合に生じる頭髪Hの捻転動作の様子を理解しやすいように示したものである。
【0026】
この工程においては、かかるヘアーアイロンAのこの一対の挟持体Aa、Aa間に頭髪Hを挟み込んで頭髪Hの長さ方向Haに沿ってこの挟持体Aaを移動させて頭髪Hにアイロンがけをすると共に、このアイロンがけにあたり、前記一対の挟持体Aa、Aaの一方の頭髪Hの挟み込み面Abを、紙製の補助シートSによりその繊維方向zを挟持体Aaの移動方向に対し交叉させるようにして覆って、このアイロンがけをなすようにする。挟持体Aaの移動方向に対して補助シートSの繊維方向zは直角か、この直角を挟んだ前後10度の範囲で交叉するようにしておくことが最適である。
【0027】
頭髪Hはその長さ方向に直交する向きの断面外郭形状を真円とはしないので、前記のように一対の挟持体Aa、Aaの一方の頭髪Hの挟み込み面Abを補助シートSで覆った状態でアイロンがけを行うと、頭髪Hは摩擦の大きいこの補助シートSとの接点P側を軸とし、挟持体Aaの他方の挟み込み面Abとの接点P’側では滑りを生じて、回転される。(頭髪Hが図3の(a)の状態にある場合、アイロンがけにより頭髪Hは図3の(b)の状態となる。)これにより頭髪Hの形状を一定に整えることができる。また、頭髪Hの水分量が少なくなり過ぎると頭髪Hにダメージが生じ、また、これが多すぎると酸化剤の反応が悪くなり、頭髪Hに付与した形状の持続性が損なわれるところ、前記補助シートSを利用したアイロンがけによれば、紙の凹凸により頭髪Hに含まれている水分を蒸発させやすく、頭髪Hに過度の熱を与えることなく頭髪Hの水分量を一定量まで減らすことができる。
【0028】
この実施の形態にあっては、かかる補助シートSは、紙製のシート1を主体として構成されている。かかる補助シートSは、典型的には、図1に示されるように、ヘアーアイロンAにおける頭髪Hの挟み込み面Abを覆う幅xを持ち、かつ一定の長さyを備えるように構成される。そして、ヘアーアイロンAにおける頭髪Hを挟み込む一対の挟持体Aa、Aaの一方の頭髪Hの挟み込み面Abを、紙の繊維方向zを挟持体Aaの移動方向に対し交叉させるようにして覆って、この挟持体Aaの一方に取り付けられるように構成される。挟持体Aaの移動方向は頭髪Hの長さ方向Haであり、毛先の癖をとる場合や縮毛矯正の場合には頭髪Hの根元側から毛先側に向けて挟持体Aaは移動される。挟持体Aaの移動方向に対して補助シートSの繊維方向zは直角か、この直角を挟んだ前後10度の範囲で交叉するようにしておくことが最適である。このような紙製のシート1としては、典型的には、クラフト紙にポリエチレンのラミネート加工を施してなるポリラミ紙などを用いることができる。図1に示される例では、補助シートSはその幅x方向に前記繊維方向zを沿わせるようにして構成されていると共に、この幅x方向をヘアーアイロンAの挟持体Aaの長さ方向Acに沿わせる向きでこの挟持体Aaに巻き付けることで、この挟持体Aaの挟み込み面Abを覆うように構成されている。図中符号Aaで示されるのが挟持体であり、その内部には図示を省略するヒーターが収められる。図示の例では、かかるヘアーアイロンAはストレートパーマ用のヘアーアイロンAであり、一対の挟持体Aa、Aaの頭髪Hの挟み込み面Abは、平坦面として構成されており、一対の挟持体Aa、Aaの一方の挟み込み面Abと他方の挟み込み面Abとは平行をなすように構成されている。補助シートSは、かかる一対の挟持体Aa、Aaの一方にのみ取り付けられ、その一部によって、かかる一対の挟持体Aa、Aaの一方の挟み込み面Abを前記のように覆う。
【0029】
また、この実施の形態にあっては、かかる補助シートSには、その紙の繊維方向zに沿った一辺部にこの一辺部に亘って接着部2が形成されている。それと共に、この接着部2がその余の箇所より厚く構成されている。
【0030】
具体的には、図示の例にあっては、前記の幅xと長さyとを備えた紙製のシート1の一辺部に、この紙製のシート1の幅と等しい長さを備えた帯状の厚紙2aを備えさせている。図示の例では、この厚紙2aの一面と紙製のシート1の一辺部の一面とを接着させている。そして、図示の例では、この厚紙2aの他面に接着剤により接着面2bが形成されており、この他面側が接着部2となっている。
【0031】
これにより、この実施の形態にあっては、ヘアーアイロンAの挟持体Aaの頭髪Hの挟み込み面Abと反対の背側Adに接着部2をその接着面2bをこの背側Adに向けないようにして位置づけさせた状態から、この挟持体Aaに補助シートSを掛け回し、回されて背側Adに引き出された部分を接着面2bに接着させることで、挟持体Aaに隙間少なく補助シートSを巻き付けて、その頭髪Hの挟み込み面Abを覆うことができる。補助シートSにおける接着部2から先に余った部分はカッティングする。接着部2は補助シートSのその余の箇所より厚く構成されていることから、この接着部2は挟持体Aaの背側Adと頭髪Hの挟み込み面Abとの間の稜部Aeを乗り越え難く、挟持体Aaを中心として補助シートSが回転してこの接着部2を頭髪Hの挟み込み面Ab側に回り込ませてしまうことはない。
【0032】
また、この実施の形態にあっては、前記接着部2の接着面2bは剥離シート2cにより覆われており、ヘアーアイロンAの挟持部への備え付けが必要なときにこの剥離シート2cを剥がして利用するようになっている。
【0033】
事後修復は、前記頭髪改善において前記還元剤を塗布したことに起因して縮緬状の不均一な波状になってしまった頭髪の少なくともこの縮緬状の不均一な波状になった箇所に、
前記酸化剤を塗布するに先だって、先ず、システアミンを0.1重量%以上6重量%以下の範囲で含み、かつ、水素イオン濃度をPH3.0以上PH7.0以下の範囲とする修復剤を塗布し、
次いで、この修復剤を洗い流した後に、前記過程中修復と同様に、一対の挟持体Aa、AaよりなるヘアーアイロンAのこの一対の挟持体Aa、Aa間に頭髪Hを挟み込んで頭髪Hの長さ方向Haに沿ってこの挟持体Aaを移動させて頭髪Hにアイロンがけをすると共に、
このアイロンがけにあたり、前記一対の挟持体Aa、Aaの一方の頭髪Hの挟み込み面Abを、紙製の補助シートSによりその繊維方向zを挟持体Aaの移動方向に対し交叉させるようにして覆って、このアイロンがけをなすものである。
【0034】
事後修復の典型的な手順を表7に示す。
【表7】

頭髪改善において還元剤の塗布により頭髪に溶解状の軟化が生じた場合に、この修復ができなかった場合は、この軟化が生じた箇所は縮緬状の不均一な波状を呈する。こうした場合に、前記修復剤(表7の工程3)を塗布すると共に、この後、酸化剤(表7の工程9)を塗布する前に、前記アイロンがけ(表7の工程8)を行うことで、かかる頭髪を事後的に修復させることができる。
【0035】
なお、以上に説明した補助シートSを利用したアイロンがけは、カール用のヘアーアイロンを利用してなすこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】補助シートSの斜視構成図
【図2】同使用状態を示した斜視構成図
【図3】頭髪Hの捻転の様子を示した断面構成図
【図4】縮緬状の不均一な波状を呈した頭髪の毛先側の写真

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チオグリコール酸やシステインなどを主成分とする還元剤の塗布後に臭素酸ナトリウムや過酸化水素水などを主成分とする酸化剤を塗布して頭髪の縮毛矯正や頭髪にパーマネントウェーブを形成させる頭髪改善において、
前記還元剤を塗布した頭髪に溶解状の軟化が生じたときに、前記酸化剤を塗布するに先だって、システアミンを0.1重量%以上6重量%以下の範囲で含み、かつ、水素イオン濃度をPH3.0以上PH7.0以下の範囲とする修復剤を、少なくとも頭髪において前記軟化が生じた箇所に塗布することを特徴とする頭髪修復方法。
【請求項2】
チオグリコール酸やシステインなどを主成分とする還元剤の塗布後に臭素酸ナトリウムや過酸化水素水などを主成分とする酸化剤を塗布して頭髪の縮毛矯正や頭髪にパーマネントウェーブを形成させる頭髪改善において前記還元剤を塗布したことに起因して縮緬状の不均一な波状になってしまった頭髪の少なくともこの縮緬状の不均一な波状になった箇所に、
前記酸化剤を塗布するに先だって、先ず、システアミンを0.1重量%以上6重量%以下の範囲で含み、かつ、水素イオン濃度をPH3.0以上PH7.0以下の範囲とする修復剤を塗布し、
次いで、この修復剤を洗い流した後に、一対の挟持体よりなるヘアーアイロンのこの一対の挟持体間に頭髪を挟み込んで頭髪の長さ方向に沿ってこの挟持体を移動させて頭髪にアイロンがけをすると共に、
このアイロンがけにあたり、前記一対の挟持体の一方の頭髪の挟み込み面を、紙製の補助シートによりその繊維方向を挟持体の移動方向に対し交叉させるようにして覆って、このアイロンがけをなすことを特徴とする頭髪修復方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−100559(P2010−100559A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272850(P2008−272850)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(507073701)
【Fターム(参考)】