説明

頸椎を前湾状態に湾曲させる枕

【課題】頸椎1cを前湾状態に湾曲させる枕であって、おなかのまわりの緊張をとり除き、体が安まり、気道を確保し、いびきを軽減し、安眠可能な枕2A、2B、2Cを得る。
【解決手段】首1bを載せたときに大きくその断面形状が変形することのない受頸部4A、4B、4Dと後頭部1aを載せる受頭部3A、3B、3Dとシート6、7とからなる枕2A、2B、2Cとする。シート6の片方の端部6bを受頸部4Aに接合するか又はシート7の片方の端部に受頸袋7bを設けてこれに受頸部材4cを挿入することにより受頭部4A、4Dを構成する。シート6の他方の端部6cを受頭部3Bに接合するか又はシート7の他方の端部に受頭袋7aを設けてこれに受頭部材3cを挿入して受頭部3B、3Dを構成する。さらに受頸部4A、4B、4Dの外周をシート6、7により巻いて枕2A、2B、2Cとし、枕カバー11で包んで使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は頸椎を前湾状態に湾曲させる枕であって、おなかのまわりの緊張をとり除き、気道を確保する作用があって、体が安まり、いびきを軽減し、さらに安眠することを可能とする効果が得られる枕に関するものである。
【背景技術】
【0002】
頸椎を前湾状態に湾曲させる枕として、頭載部と頭載部より高く形成した首筋載部とを一体にしたクッション体を備えた枕の発明があった(例えば、特許文献1参照。)。しかしかかる発明には使用者に合わせて、首筋載部や頭載部の高さ関係や水平位置関係などを、調節することができない問題があった。
大人と子供また男性と女性ではその体格が大きく異なり、男性の大人同士の間においても首の長短や太さの差異、頭の長さや後頭部の形状などに差異があるため、使用者がそれぞれに合わせて各部の高さ関係や水平位置関係を微妙に調節できる枕でなければ、体が安まり安眠することが可能な効果が得られない。
また側面楕円筒体の枕であって低反発弾性プラスチックからなる首枕の考案があった(例えば、特許文献2参照。)。かかる考案では弾性的に首を支持するため略全ての体形の人にマッチングできるとの効果を主張しているが、弾性体だからといって全ての体形の人にマッチングできることはない。従って使用する個人に合わせて首を載せる高さ位置を微妙に調節できない問題があった。
例えば使用者の首が細いため高い位置で首を受けるべきところが、頭が重たいため首枕が低い位置まで変形したり、使用者の首が太いため低い位置で首を受けるべきところが、頭が軽いため首枕が高い位置までしか変形しないなどの場合があるからである。
さらに例え最適位置に調節して寝たとしても、使用者が睡眠中に頭を動かすたびに弾性体が変形してしまうため、睡眠中に最適な位置や形状の関係を維持することができない問題があった。
また詰め物の出し入れを行い面ファスナ等を使用して高さを調節可能にした頸・頭サポート枕の発明があった(例えば、特許文献3参照。)。しかしかかる発明は詰め物を出し入れする作業や面ファスナで位置調節する作業が必要で面倒となる問題があった。さらに詰め物を抜き出した後の頸サポート部では中で詰め物が移動する空間が発生して変形してしまうため、睡眠中に最適な位置や形状を維持できない問題があった。
また頭側筒状袋体と中間筒状袋体と足側筒状袋体と和布とからなる健康枕の発明があった(例えば、特許文献4参照。)。しかしかかる発明は3個に分かれた袋体を組合わせた構成であって、体が安まり安眠することが可能な効果を得るためには、無駄な袋体を有するため邪魔になったり、価格が高くなるなどの問題があった。
さらにそば殻などの詰め物を詰めた袋体であるため袋体自体が変形したり、3個の袋体を積み上げて使用する場合は袋体同士の間で位置ずれが生じるため、睡眠中に最適な位置や形状を維持できない問題があった。
【特許文献1】特開2000−102468号公報
【特許文献2】実用新案登録第3085524号公報
【特許文献3】特開2003− 93212号公報
【特許文献4】実開平 7− 11976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、使用者が仰向けに寝ている姿勢において、頸椎を前湾状態に湾曲させる枕であって、おなかのまわりの緊張をとり除く作用と、気道を確保する作用があって、体が安まり、いびきを軽減し、さらに安眠することを可能にする効果が得られる枕を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
受頸部、受頭部及びシート部とからなる枕とする。シート部の片方の端部を受頸部に接合するか又はシート部の片方の端部に包みを設けこれを受頸包とし、受頸包に受頸部材を挿入することにより受頸部を構成する。
またシート部の他方の端部を受頭部に接合するか又はシート部の他方の端部に包みを設けてこれを受頭包とし、受頭包に受頭部材を挿入することにより受頭部を構成する。さらにシート部により受頸部の外周を1周以上巻くことが可能な枕とする。
【発明の効果】
【0005】
使用者が寝ているときに頸椎を前湾状態に湾曲させる枕であって、大人と子供の間、男性と女性の間及び同性の大人同士の間における、首の長短や太さの差異、頭の長さや後頭部の形状などの差異に合わせ、使用者がそれぞれの体形に合わせて首を載せる高さ関係を微妙に調節できる枕を得ることができた。
また使用者が寝ているときに頸椎を前湾状態に湾曲させる枕であって、弾性体が変形したり、枕の中で詰め物が移動して変形したり、積み上げた袋体同士の間で位置ずれが生じるなどの理由により、睡眠中に最適な位置や形状を維持できない問題をなくし、常に最適な位置や形状を維持する枕を得ることができた。
また使用者が寝ているときに頸椎を前湾状態に湾曲させる枕としたので、おなかのまわりの緊張をとり除く作用と、気道を確保する作用があって、体が安まり、いびきを軽減し、さらに安眠することが可能な枕を得ることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
受頸部と受頭部とシート部とからなる枕であって、シート部の片方の端部を受頸部に接合するか又はシート部の片方の端部に包みを設けこれを受頸包として、受頸包に受頸部材を挿入することにより受頸部を構成し、受頸部は首を載せたときに大きく変形しない構成とし、シート部の他方の端部を受頭部に接合するか又はシート部の他方の端部に包みを設けこれを受頭包として、受頭包に受頭部材を挿入して受頭部を構成し、シート部の長さを受頸部の外周を少なくとも1周以上巻くことのできる長さとした枕とする。
受頸部は概略円柱形状を有するものとすることが好ましい。また使用者が首を受頸部に載せ後頭部を受頭部に載せたときに、首と接触した部分の表面が少し変形したり、全体的にその断面が少し変形する程度に止まるものとして、目視により変形がはっきり判別できるほど大きくその断面形状が変形することのない受頸部とする。
受頸部の断面形状は大きく変形してはいけないが、概略円柱形状の中心線が弧状になったりS字状に湾曲するなどの変形は問題ではない。断面形状が大きく変形しないように構成することにより、使用者が自分の最も気持ちよいと思う高さに調節した後は、常に最適な高さを維持することができるからである。
使用者が後頭部を受頭部に載せたときにその断面形状が変形しても変形しなくてもどちらでも構わない。使用者が後頭部を枕に沈めた姿勢で寝ることを好む場合は柔らかい受頭部を選び、そうでない使用者は固めの受頭部を選ぶことが可能であり、それぞれが自分の好みに合わせて使用すればよいからである。
シート部はビニールシートなどの不織布を使用することが可能である。また綿、絹、化繊などの織布を使用することは吸水性があるため好ましい。シート部の厚さが薄ければ薄いほど高さの微調節が可能になるが、高さ調節のためにシート部を巻き取る長さが長くなるため、シート部の厚さを1〜10mmの範囲で適宜選定することが好ましい。
シート部の幅は200〜800mmとすることが好ましい。小さな子供用の枕は200mm、特大の男性用の場合は800mm、通常の大人用の場合は400〜600mmの幅が適当だからである。
シート部の端部を受頸部や受頭部に接合する方法や包みを設ける方法には面ファスナ、接着テープ又は接着剤を使用したり、溶着したり、縫いつけたり単に受頸部材や受頭部材を包むなどの方法がある。
シート部の長さを受頸部の外周を少なくとも1周以上巻くことのできる長さとしたのは、シート部により受頸部の外周を1周巻いたり全く巻かなかったりすることにより、その範囲でシート部の厚さを含めた受頸部分の高さを高くしたり低くくすることが可能になるからである。
本発明では受頸部の外周にシート部をより多くの回数巻いた状態にしたり、巻き戻してより少ない回数巻いた状態にすることにより、シート部の厚さを含めた受頸部分の高さを高くしたり低くくすることが容易であり、使用者がそれぞれの体形に合わせて受頸部分の高さを調節して使用することが可能になる。
【0007】
上記した枕であって、受頸部は概略円柱形状を有するものとし、受頭部は扁平な概略楕円断面、扁平な概略矩形断面又は扁平な概略小判形断面などの扁平な断面形状を有するものとし、受頸部の概略円柱形状の外径に対して受頭部の扁平な断面の高さを小さな寸法とした枕とする。
受頸部を概略円柱形状として外周にシート部を巻きやすくするとともに、シート部の厚さを含めた受頸部分の高さについて、シート部を受頸部に巻き付けるに連れ段々高くし、シート部を巻き戻すに連れ段々低くすることができるからである。
受頸部の概略円柱形状の断面は外径20〜120mmとすることが好ましい。小さな子供用の場合は20mm、特大の男性用の場合は120mm、通常の大人用の場合は50〜60mmの範囲のサイズが合うからである。
概略円柱形状の長さは200〜800mmとすることが好ましい。小さな子供用の場合は200mm、特大の男性用の場合は800mm、通常の大人用の場合は400〜600mmの範囲のサイズが好ましいからである。
使用者が仰向けになって枕を使用する状態において、側面から見た断面において受頭部は扁平な断面形状を有するものとする。受頭部を扁平な断面形状としたのは受頸部より低い位置に後頭部を載せるためである。また使用者の頭の形状の相違によって後頭部が載る水平位置が変わっても、ほぼ同じ高さで後頭部を載せることが可能だからである。
従って受頭部の扁平な断面形状の高さは受頸部の外径より小さな寸法とする。受頭部の扁平な断面形状の左右方向の寸法は200〜400mmとすることが好ましい。小さな子供用の場合は200mm、通常の大人用の場合は400mmあれば使用者の後頭部全体が載るからである。
受頭部の奥行き方向の寸法は200〜800mmとすることが好ましい。小さな子供用の場合は200mm、特大の男性用の場合は800mm、通常の大人用の場合は400〜600mmの範囲のサイズが好ましいからである。
上記したいずれかの枕であって、受頸部又は受頸部材がスチールの筒、ステンレスの筒、アルミ合金の筒、ゴムの筒、合成樹脂の筒、竹の筒、紙の管、陶器の筒、ビニールホースを切断してなる筒、木材、石、大理石、ゴム又は樹脂のいずれかである枕とする。
本発明は受頸部をその断面形状が大きく変形することのない程度に剛性のある材料としたものである。人が頸部を載せたときに大きく変形しない限り軽量化の観点から筒状の受頭部とすることが好ましい。しかし木材や石などを使用する場合にわざわざ中をくり抜く必要はなく、円柱形状のまま使用することも可能である。
【0008】
上記したいずれかの枕であって、受頸部又は受頸部材が袋と袋の中に封入した詰め物とからなるものとし、詰め物が籾殻、そば殻、羽根、羽毛、羊毛、綿、ポリエステルの綿、わら、お茶、草、木材の小片、樹脂の小片、竹炭や炭の小片、トルマリン素材の小片、スポンジの小片、スポンジ、ウレタン、低反発ウレタン、タオル、布、水若しくはジェル状の液体のいずれか又はこれらの組み合わせである枕とする。
本発明は剛性のない材料を袋に詰めて受頸部として使用する発明である。受頸部は大きく変形してはいけないので、袋の中に詰め物を固く詰めることにより、目視により変形がはっきり判別できるほど大きくその断面形状が変形することのない受頸部とする。
上記したいずれかの枕であって、受頭部又は受頭部材がスチール、ステンレス、アルミ合金、ゴム、合成樹脂、陶器、紙、木材、石、大理石、ゴム、樹脂、ウレタン又は低反発ウレタンのいずれかである枕とする。
本発明は受頭部又は受頭部材を剛性のある材料としたものである。軽量化の観点から中空体の受頭部とすることが好ましいが、木材や石などを使用する場合にわざわざ中をくり抜く必要はなくそのまま使用することも可能である。
受頭部又は受頭部材を剛性のある材料とする場合は、シート部の端部に受頭包を設けて受頭部材を挿入した受頭部とすることが好ましい。受頸部の外周をシート部により巻いたり巻き戻したりするときに受頭部材を反転することなく、受頭包だけを回転させることが可能となるからである。
【0009】
上記したいずれかの枕であって、受頭部が袋と袋の中に封入した詰め物とからなるものとし、詰め物が籾殻、そば殻、羽根、羽毛、羊毛、綿、ポリエステルの綿、わら、お茶、草、木材の小片、樹脂の小片、竹炭や炭の小片、トルマリン素材の小片、スポンジの小片、スポンジ、ウレタン、低反発ウレタン、タオル、布、水若しくはジェル状の液体のいずれか又はこれらの組み合わせである枕とする。
本発明は剛性のない材料を袋に詰めて受頭部として使用する発明である。受頭部は使用者が後頭部を載せたときに大きく変形しても変形しなくてもどちらでも構わないので、袋の中に詰め物をいっぱい詰めて押し固めてもよいし、袋に余裕を持たせて詰め物を詰めることにより柔らかな受頭部とすることも好ましい。
受頭部が大きく変形してどの向きに置いても床に対して扁平断面を維持する場合は、シート部の端部を受頭部に接合すればよいが、そうでない場合はシート部の端部に受頭包を設け、詰め物を袋に詰めた受頭部材を受頭包に挿入してなる受頭部とする。受頸部の外周をシート部により巻いたり巻き戻したりするときに受頭部材を反転することなく、受頭包だけを回転させることが可能となるからである。
上記したいずれかの枕であって、シート部が竹炭の成分を含ませ若しくはコーティングしてなる竹炭シート又はトルマリンの成分を含ませ若しくはコーティングしてなるトルマリンシートである枕とする。
竹炭シートは消臭効果と調湿効果が高く、トルマリンシートは微弱電流を出すので神経系統に刺激を与え免疫力を高める効果がある。さらに竹炭とトルマリンは共に赤外線とマイナスイオンを放出するので、赤外線による血行促進効果やマイナスイオンによる心を落ち着かせ疲労を回復する効果が得られるので好ましい。
上記したいずれかの枕であって、ペパーミント、ローズマリー、ジャスミン、セージ、タイム、カモミール、ラベンダーなどのバーブを受頸部又は受頭部のいずれかに取り付け若しくは詰め物に混ぜた枕とする。
これらのハーブを使用した枕は、ハーブの臭いが心地よかったり、人をリラックスさせてストレスを取り除いたりする効果が得られ、ハーブの成分により虫を寄せ付けない効果や細菌の増殖を防ぐ効果などが得られるからである。
ハーブは乾燥させたものを使い、受頸部や受頭部に直接接着してもよいし、受頸包や受頭包みに受頸部材や受頭部材と一緒に入れてもよいし、受頸部材や受頭部材を構成する詰め物に混入させてもよい。
上記したいずれかに記載した枕を、袋又は枕カバーで包んでなるカバー付き枕とする。枕を袋の中に入れたり枕カバーで包むことにより枕自体が汚れることがなく、睡眠中に受頸部と受頭部との位置関係を最適な状態に維持することができるからである。
受頭部又は受頭部材のいずれかであって、使用者が後頭部を載せる部分に凹みを設け、凹みを埋める埋合部を附属させた受頭部又は受頭部材とする。
使用者が後頭部を枕に沈めた姿勢で寝ることを好む場合は、埋合部を取り外した受頭部又は受頭部材とすると、シート部が凹みの部分でへこむため使用者は後頭部を受頭部に沈めて寝ることが可能である。使用者が後頭部を枕に沈めた姿勢で寝ることを好まない場合は、埋合部を凹みに取り付けた受頭部又は受頭部材とすると、後頭部が沈まない受頭部とすることができる。
【実施例1】
【0010】
本発明の実施例1について図1に示し説明する。実施例1の枕2Aは外径52mm×長さ500mmの紙の管を受頸部4Aとし、竹炭シート6の片方の端部6bを接着剤を使用して接着した。
また高さ38mm×左右方向の寸法350mm×奥行き500mmの小判形断面を有する檜の木材を受頭部材3aとし、竹炭シート6の他方の端部を起点として受頭部材3aを1周巻いたところで竹炭シート6同士を縫いつけてこれを受頭包6aとした。そして受頭部材3aを受頭包6aに挿入することにより受頭部3Aを構成した。
竹炭シート6は2mm厚さのものを使用し、受頭袋6aの部分を除いた部分により受頭部3Aを2周以上巻き、さらに受頸部4Aを3周以上巻いた。そして枕2Aを枕カバー11で包んで使用する。
実施例1は後頭部が突き出ていない人や固めの枕を好む人に適した枕である。使用者は竹炭シート6で巻いた受頸部4Aに首1bを載せ、後頭部1aを竹炭シート6で巻いた受頭部3Aに載せる。
使用者が竹炭シート6で巻いた受頸部4Aに首を載せたときに高く感じたときは竹炭シート6を巻き戻し、巻き戻した竹炭シート6は受頭部3Aで巻き取る。竹炭シート6で巻いた受頸部4Aが低く感じたときは受頭部3Aに巻いてある竹炭シート6を巻き戻して受頸部4Aに巻き付ける。
実施例1では受頭部材3aを受頭包6aの中に入れたので、受頭包6aだけを回転させて竹炭シート6を巻き込んだり巻き戻したりすることが可能であり、受頭部材3aは常に扁平な断面を床に置いた図1の状態を維持することができる。
このようにして使用者は首1bと後頭部1aを載せてみて、1番気持ちよく感じる高さに合わせて枕2Aを使用する。受頭部3Aの外周の長さは受頸部4Aの外周の長さと比べはるかに長いので、受頸部4Aの巻き数を1巻き変えることにより高さを4mm変えたとしても、受頭部3Aの高さはほとんど変わらない。
また竹炭シート6で巻いた受頸部4Aの方が竹炭シート6で巻いた受頭部3Aより高いので頸椎1cは前湾状態に湾曲する。頸椎1cが前湾状態の姿勢で仰向けになると、おなかのまわりの緊張をとり除く作用と、気道を確保する作用があって、体が安まり、いびきを軽減し、さらに安眠することができる。
また竹炭シート6を使用したので、竹炭シート6の有する消臭効果、調湿効果及び血行を促進する効果を得ることができる。
また枕2Aを枕カバー11で包んだので、枕2A自体が汚れることがなく、睡眠中に受頸部4Aと受頭部3Aの位置関係を最適な状態で維持することができる。
【実施例2】
【0011】
本発明の実施例2について図2に示し説明する。実施例2の枕2Bは外径60mm×長さ500mmの布の袋に籾殻を固く詰めることにより、首を載せたときに目視によりはっきり判別できるほど大きくその断面形状が変形することのない受頸部4Bとして、竹炭シート6の片方の端部6bを縫いつけた。
また柔らかい合成樹脂の袋の中に水を入れた受頭部3Bとし、床に置いたときに高さ40mm×左右方向の寸法350mm×奥行き500mmの概略小判形の断面になるようにして、竹炭シート6の他方の端部6cを受頭部3Bに接着剤を使用して接着した。
竹炭シート6は2mm厚さのものを使用し、受頭部3Bを3周以上巻きさらに受頸部4Bを3周以上巻くことのできる長さとした。実施例2でも枕2Bを枕カバー11で包んで使用する。
実施例2は後頭部が突き出た人や柔らかな枕を好む人に適した枕である。使用者は竹炭シート6で巻いた受頸部4Bに首1bを載せ、後頭部1aを竹炭シート6で巻いた受頭部3Bに載せる。
使用者が竹炭シート6で巻いた受頸部4Bに首を載せたときに高く感じたときは竹炭シート6を巻き戻し、巻き戻した竹炭シート6は受頭部3Bで巻き取る。竹炭シート6で巻いた受頸部4Bが低く感じたときは受頭部3Bに巻いてある竹炭シート6を巻き戻して受頸部4Bに巻き付ける。
このようにして使用者は首1bと後頭部1aを載せてみて、1番気持ちよく感じる高さに合わせて枕2Bを使用する。受頭部3Bの外周の長さは受頸部4Bの外周の長さと比べはるかに長いので、受頸部4Bの巻き数を1巻き変えることにより高さを4mm変えたとしても、受頭部3Bの高さはほとんど変わらない。
受頭部3Bに竹炭シート材6を巻き付けたり巻き戻したりするときに受頭部3Bの向きが変わるが、受頭部3Bはどの向きにして床に置いても概略小判形の断面になる程柔らかいので、袋に入れる必要はない。
また竹炭シート6で巻いた受頸部4Bの方が竹炭シート6で巻いた受頭部3Bより高いので頸椎1cは前湾状態に湾曲する。頸椎1cが前湾状態の姿勢で仰向けになると、おなかのまわりの緊張をとり除く作用と気道を確保する作用があって、体が安まり、いびきを軽減し、安眠することができる。
また竹炭シート6を使用したので、竹炭シート6の有する消臭効果、調湿効果及び血行を促進する効果を得ることができる。
また枕2Bを枕カバー11で包んだので、枕2B自体が汚れることがなく、睡眠中に受頸部4Bと受頭部3Bの位置関係を最適な状態で維持することができる。
【実施例3】
【0012】
本発明の実施例3について図3に示し説明する。実施例3の枕2Cは木綿シート7の片方の端部に受頸包7bを設け受頸部材4cを挿入することにより受頸部4Dを構成し、木綿シート7の他方の端部に受頭包7aを設け受頭部材3cを挿入することにより受頭部3Dを構成したものである。
実施例3では首を載せたときに目視により変形がはっきり判別できるほど大きくその断面形状が変形することのないビニールホースを必要な長さに切断して受頸部材4cとし、ハーブと一緒に受頸包7bに入れて受頸部4Dを構成した。また低反発ウレタンを受頭部材3cとして使用した。
実施例3の枕2Cは実施例1又は実施例2の発明と同様に使用し、同様の効果を得ることが可能である。さらにハーブを入れたのでその臭いが心地よかったり、人をリラックスさせてストレスを取り除いたり、虫を寄せ付けない効果や細菌の増殖を防ぐ効果などが得られる。
また受頭部3Dに使用した低反発ウレタンが、後頭部の形状に合わせてゆっくりと変形してなじむので、後頭部の重さを分散して受頭部3Dが受ける効果と衝撃を和らげる効果が得られる。
【実施例4】
【0013】
本発明の実施例4について図4に示し説明する。実施例4の受頭部材8は扁平な概略楕円断面形状の袋であって、使用者が後頭部を載せる部分に凹み8aを設けた袋の中に、短く切ったストロー形状又は中を空洞とした球形状を有する樹脂の小片を詰めたもので、凹み8aには面ファスナ9aを取り付けた。
また、受頭部材8には凹み8aにはめ込んで凹み8aを埋める埋合部10を附属させ、埋合部には面ファスナ9bを取り付けた。
本実施例では袋に詰め物を入れた受頭部材8としたが、木材や樹脂など剛性のある材料を使用することも好ましい。
使用者が後頭部を枕に沈めた姿勢で寝ることを好む場合は、埋合部10を取り外した受頭部材8を使用すると、シート部が凹み8aの部分でへこむため後頭部が受頭部に沈めた状態で寝ることができる。
使用者が後頭部を受頭部に沈めた姿勢で寝ることを好まない場合は、埋合部10を凹み8aに挿入し面ファスナ9a、9bで止めて受頭部として使用すると、後頭部が受頭部に沈まない受頭部を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は寝具用枕を製造販売する産業や、病人や老人や障害者などを収容して治療や世話や介護などのサービスを提供する産業や、あんまやマッサージや整体やカイロプラティックなどのサービスを提供する産業でも利用される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1の枕に人が頭を載せた状態を表した側面視の断面図である。
【図2】実施例2の枕に人が頭を載せた状態を表した側面視の断面図である。
【図3】実施例3枕の斜視図である。
【図4】実施例4の受頭部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0016】
1a:後頭部 1b:首 1c:頸椎
2A:枕 2B:枕 2C:枕
3A:受頭部 3B:受頭部 3D:受頭部
3a:受頭部材 3c:受頭部材 4A:受頸部
4B:受頸部 4D:受頸部 4c:受頸部材
6 :竹炭シート 6a:受頭包 6b:端部
6c:端部 7 :木綿シート 7a:受頭包
7b:受頸包 8 :受頭部材 8a:凹み
9a:面ファスナ 9b:面ファスナ 10 :埋合部
11 :枕カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受頸部と受頭部とシート部とからなる枕であって、前記シート部の片方の端部を前記受頸部に接合するか又は前記シート部の片方の端部に包みを設けこれを受頸包として、前記受頸包に受頸部材を挿入することにより前記受頸部を構成し、前記受頸部は首を載せたときに大きく変形しない構成とし、前記シート部の他方の端部を前記受頭部に接合するか又は前記シート部の他方の端部に包みを設けこれを受頭包として、前記受頭包に受頭部材を挿入して前記受頭部を構成し、前記シート部の長さを前記受頸部の外周を少なくとも1周以上巻くことのできる長さとしたことを特徴とする枕。
【請求項2】
請求項1に記載した枕であって、受頸部は概略円柱形状を有するものとし、受頭部は扁平な断面形状を有するものとし、前記受頸部の概略円柱形状の外径に対して前記受頭部の扁平な断面の高さを小さな寸法としたことを特徴とする枕。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載した枕であって、受頸部又は受頸部材がスチールの筒、ステンレスの筒、アルミ合金の筒、ゴムの筒、合成樹脂の筒、竹の筒、紙の管、陶器の筒、ビニールホースを切断してなる筒、木材、石、大理石、ゴム又は樹脂のいずれかであることを特徴とする枕。
【請求項4】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載した枕であって、受頸部又は受頸部材が袋と前記袋の中に封入した詰め物とからなるものとし、前記詰め物が籾殻、そば殻、羽根、羽毛、羊毛、綿、ポリエステルの綿、わら、お茶、草、木材の小片、樹脂の小片、竹炭や炭の小片、トルマリン素材の小片、スポンジの小片、スポンジ、ウレタン、低反発ウレタン、タオル、布、水若しくはジェル状の液体のいずれか又はこれらの組み合わせであること特徴とする枕。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載した枕であって、受頭部又は受頭部材がスチール、ステンレス、アルミ合金、ゴム、合成樹脂、陶器、紙、木材、石、大理石、ゴム、樹脂、ウレタン又は低反発ウレタンのいずれかであることを特徴とする枕。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載した枕であって、受頭部が袋と前記袋の中に封入した詰め物とからなるものとし、前記詰め物が籾殻、そば殻、羽根、羽毛、羊毛、綿、ポリエステルの綿、わら、お茶、草、木材の小片、樹脂の小片、竹炭や炭の小片、トルマリン素材の小片、スポンジの小片、スポンジ、ウレタン、低反発ウレタン、タオル、布、水若しくはジェル状の液体のいずれか又はこれらの組み合わせであることを特徴とする枕。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載した枕であって、シート部が竹炭の成分を含ませ若しくはコーティングしてなる竹炭シート又はトルマリンの成分を含ませ若しくはコーティングしてなるトルマリンシートであることを特徴とする枕。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載した枕であって、ペパーミント、ローズマリー、ジャスミン、セージ、タイム、カモミール、ラベンダーなどのバーブを受頸部又は受頭部のいずれかに取り付け若しくは詰め物に混ぜたことを特徴とする枕。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載した枕を、袋又は枕カバーで包んだことを特徴とするカバー付き枕。
【請求項10】
受頭部又は受頭部材のいずれかであって、使用者が後頭部を載せる部分に凹みを設け、前記凹みを埋める埋合部を附属させたことを特徴とする受頭部又は受頭部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−22317(P2009−22317A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185260(P2007−185260)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(507124380)
【Fターム(参考)】