説明

顆粒、錠剤およびそれらの製造方法

【課題】粉末化又は錠剤化された機能性物質、例えばビタミンAについて、保存安定性を実用上問題ないレベルにまで向上させること。
【解決手段】多孔性ケイ酸カルシウムからなる担体、該担体に吸着した油状液体又は低融点固体である機能性物質及び水溶性酸化防止剤、及び造粒成分を含む顆粒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は顆粒や錠剤およびそれらの製造方法に関し、特に機能性物質として油状液体又は低融点固体を含む顆粒、錠剤およびそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や健康食品の有効成分である機能性物質を摂取する際の剤形としては、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤等がある。このうち錠剤は、取扱いや服用が容易であり、もっともよく使用されている。
【0003】
一般に、錠剤は、機能性物質と賦形剤、結合剤さらに崩壊剤等(いずれもセルロースや合成もしくは天然由来の高分子添加物)の任意成分を配合した混合粉末に水および/または有機溶媒を加えて造粒し、造粒した顆粒をホッパー(造粒した顆粒が入った容器)からこれを打錠機の回転盤の上に定量的に流し、回転盤に形成されている穴(臼)に入った造粒した顆粒を上下2組のスチール棒(上杵、下杵)で圧縮することにより製造される。
【0004】
錠剤はこのように圧縮して賦形されるため、機能性物質が常温環境下で油状液体や低融点固体である場合、そのままでは錠剤に成形することが困難である。それゆえ、機能性物質がかかる性状である場合は、それらの形態を固体や粉末に変換する処理が行われる。
【0005】
特開昭63−243034号公報には、ビタミンEやビタミンEニコチン酸エステルのような油性薬物及びメンフエゴールや生薬エキスなどの低融点物質を、機能性物質として担体に吸着させて、固形化する技術が記載されている。担体には軟質無水ケイ酸やケイ酸カルシウムが用いられている。機能性物質を担体に吸着させた担持物は、その後メチルセルロースを用いて造粒され、ロータリー型打錠機で製錠されている。
【0006】
国際公開第2007/97333号パンフレットには、油状液体又は低融点固体である機能性物質を吸着粉末化するための担体としてケイ酸カルシウムを用い、造粒成分としてデンプン類又は糖類を用いることが記載されている。そうすることによって得られる粉末のゆるみ嵩密度が適度に調節され、打錠機で肉圧に製錠することが可能となった。その結果、担体にケイ酸カルシウムを用いた錠剤に、実使用に耐える適切な直径及び厚さ、かつ適切な重量を付与することができる。
【0007】
このように、担体にケイ酸カルシウムを用いた錠剤は、実用化に向けてその成形性及び形状(賦形性)の問題は解決された。しかし、粉末化又は錠剤化された機能性物質は劣化し易く、保存安定性に劣る問題が新たに明らかになった。
【0008】
ところで、特開平7−285876号公報には、ポリフェノールが抗酸化性などの機能を奏することが記載されている。また、ポリフェノールは人体の健康に有用な物質として注目されている。ポリフェノールの抗酸化機能を発揮させるためには、対象物質に対し満遍なく接触させる必要があり、溶解又は微分散させることが好ましい。しかし、ポリフェノールは親水性であり、そのままでは親油性物質中に均一に分散することができず(二層に分かれてしまう。)、親油性物質に対する酸化防止剤として機能させることが困難である。
【0009】
例えば、ビタミンAは生化学、医薬、薬学的に重要な脂溶性ビタミンであり、近年では健康食品としての需要も多い。しかし、ビタミンAは酸化され易く、空気に触れる環境では極めて不安定である。ビタミンAを安定に保つためには、エステル化、抗酸化剤の添加、空気を遮断して冷所に保存等の方法をとる必要がある。
【0010】
ビタミンA又はその誘導体と組み合わせて用いられる安定化物質の例には、酸化されにくい油脂(特開2001−97858)、卵白アルブミンや羊毛ケラチン(特開2007−15970)及びアミノ酸や多価アルコールの脂肪酸エステルなど(特開平6−32774号公報)がある。
【0011】
しかし、これらの安定化物質と組み合わせたビタミンAは液状又は半固形状であり、取扱いや服用に不便である。特開2007−15970にはソフトカプセル化することが示唆されているが、ソフトカプセルに加工するには手間とコストが必要になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、粉末化又は錠剤化された機能性物質、例えばビタミンAについて、保存安定性を実用上問題ないレベルにまで向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、多孔性ケイ酸カルシウムからなる担体、該担体に吸着した油状液体又は低融点固体である機能性物質及び水溶性酸化防止剤、及び造粒成分を含む顆粒を提供する。
【0014】
本発明は、多孔性ケイ酸カルシウムと、ビタミンA又はビタミンA誘導体を油状液体又は低融点固体に溶解又は分散させたものであるビタミンA含有液と、水溶性酸化防止剤と、造粒成分とを含む顆粒を提供する。
【0015】
本発明は、機能性物質及び水溶性酸化防止剤を多孔性ケイ酸カルシウムからなる担体に吸着させる工程;及び
得られた担持物と造粒成分とを混合して造粒する工程;
を包含する顆粒の製造方法を提供する。
【0016】
本発明は、ビタミンA又はビタミンA誘導体を油状液体又は低融点固体に溶解又は分散させてビタミンA含有液を得る工程;
ビタミンA含有液及び多孔性ケイ酸カルシウムを混合する工程;及び
得られた混合物、造粒成分及び水溶性酸化防止剤を混合する工程;
を包含する顆粒の製造方法を提供する。
【0017】
本発明は、上記顆粒を筒状の臼に充填する工程;及び
臼に充填された顆粒を棒で圧縮する工程;
を包含する錠剤の製造方法を提供する。
【0018】
本発明は、上記方法により得られる錠剤を提供する。
【発明の効果】
【0019】
粉末化又は錠剤化された機能性物質、例えばビタミンAの保存安定性が実用上問題ないレベルにまで向上した。また、水溶性酸化防止剤の抗酸化機能を親油性物質に対して発揮させることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
顆粒
本発明の顆粒は、担体、機能性物質、水溶性酸化防止剤、及び造粒成分を含むものである。そして、少なくとも機能性物質及び水溶性酸化防止剤は担体に吸着されている。
【0021】
担体とは液体を担持して固形化できる固体物質をいう。一般には化学的な安定性に優れた微粉や多孔質材料が担体として用いられる。担体の具体例はケイ酸、ケイ酸の金属塩等の微粉末である。例えば、特開平6−40714号公報及び特開平8−157362号公報には多孔質シリカが記載されており、これらは液体を担持させて固形化する担体として用いられる。
【0022】
ケイ酸の金属塩の具体例には、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウムアルミニウム等がある。本願発明の顆粒に好ましい担体は多孔性ケイ酸カルシウムである。多孔性ケイ酸カルシウムは吸油性に優れ、液体を固形化する能力が高い。また、多孔性ケイ酸カルシウムは液体を微細化する能力が高く、機能性物質及び水溶性酸化防止剤を吸着させた場合に、これらを微細形状とし、高度に分散した状態で共存させることができる。そのため、機能性物質が親油性物質であっても、機能性物質は水溶性酸化防止剤と満遍なく接触し、水溶性酸化防止剤の抗酸化機能が効果的に発揮される。
【0023】
特に好ましい多孔性ケイ酸カルシウムは、平均粒径18〜32μmであり、ゆるみ嵩密度が0.07〜0.15g/mlであり、吸油量が300〜550ml/100gのものである。このような特性を有するケイ酸カルシウム粉末は、式
【0024】
[化1]
2CaO・3SiO・mSiO・nH
[式中、1<m<2であり、2<n<3である。]
【0025】
で表される組成であり、電子顕微鏡で観察して花弁状結晶構造を有するジャイロライト型ケイ酸カルシウム粉末が挙げられる。具体的には、株式会社トクヤマの商品名「フローライト」がある。
【0026】
担体は機能性物質100重量部に対し、好ましくは20〜200重量部、より好ましくは50〜150重量部となる比率で配合される。担体の量が20重量部未満であると機能性物質が担体から浸出し易くなり、顆粒を打錠する際のキャッピングやスティッキング、錠剤の硬度不足や外観不良などの問題が発生する。担体の量が200重量部を越えると軽質な顆粒となり、臼に所定の顆粒を充てんすることができず、打錠を行ったとしても、極めて薄い実用性のない錠剤となる。
【0027】
機能性物質とは人体に摂取した後に、体内で意図される作用を奏する物質をいい、医薬品や健康食品でいう有効成分を含む概念である。機能性物質は、何等かの方法で担体に吸着させることができるものであれば性状は限定されないが、好ましい性状は油状液体又は低融点固体である。かかる性状の機能性物質は粉末化又は錠剤化された状態で特に劣化し易いからである。ここで、液体とは常温(20℃)で流動性を示す物質をいい、固体とは常温で流動性を示さない物質をいう。低融点とは融点が100〜120℃以下であることをいう。
【0028】
油状液体の具体例を示すと、ビタミンA、ビタミンA誘導体、ビタミンE、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸等である。天然物由来の油状液体は天然物より抽出した物質であり、脂溶性成分を中心とした油状エキス、結晶化できない酢酸のような有機酸を多く含むために乾燥物を作ることができないものを総称する。天然物由来の油状液体の具体例を示すと、ノコギリヤシエキス、野菜汁を乳酸発酵した生成物、黒酢等である。
【0029】
低融点固体は常温で圧縮するとスティッキング現象が生じるため、油状液体と同様に圧縮して賦形することが困難である。それゆえ低融点固体も本発明の機能性物質として有用である。低融点固体の具体例を示すと、CoエンザイムQ10、αリポ酸、リボース等である。
【0030】
上述のように、機能性物質を固形化する担体として多孔性ケイ酸カルシウムを用いれば、親油性物質についても水溶性酸化防止剤と組み合わせてその酸化防止機能を十分に発揮させることができるようになった。その際、乳化剤や分散剤等の界面活性剤を用いる必要はない。多孔性ケイ酸カルシウム及び水溶性酸化防止剤と組み合わせて用いるのに特に好ましい親油性の機能性物質は、例えば、ビタミンA、ビタミンA誘導体、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンK、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、βカロテン、ルテイン、アスタキサンチン、リコピン、リポ酸、リノール酸、γリノレン酸、トコトリエノール、月見草オイル、ノコギリヤシエキスおよび野菜汁を乳酸発酵した生成物など、より好ましくはビタミンA、ビタミンA誘導体、ビタミンE、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、リポ酸、月見草オイル、βカロテン及びノコギリヤシエキスである。
【0031】
これらを油状液体又は低融点固体に溶解又は分散させ、機能性物質含有液を調製し、これを用いてもよい。例えば、特開2001−97858、特開2007−15970及び特開平6−32774号公報に記載の安定化物質と組み合わされたビタミンA含有液は、本発明に用いる親油性の機能性物質として特に好ましい。
【0032】
ビタミンAは、レチノール又はアキセロフトールとも称され、肝油、魚油等に多く含まれる脂溶性ビタミンである。ビタミンA誘導体としては、例えば、ビタミンAの酢酸エステル及びパルミチン酸エステルを挙げることができる。ビタミンA酢酸エステルは、酢酸レチノールとして日本薬局方に記載されており、パルミチン酸エステルは、通常、日本薬局方記載のビタミンA油として入手できる。以下、ビタミンA及びビタミンA誘導体を総称して「ビタミンA等」という。
【0033】
油状液体又は低融点固体は、常温常圧のような通常の保存条件においてビタミンA等を溶解又は分散させ、容易に酸化を受けないものであれば、特に限定されない。液体とは常温(20℃)で流動性を示す物質をいい、固体とは常温で流動性を示さない物質をいう。低融点とは融点が100〜120℃以下であることをいう。
【0034】
好ましい油状液体又は低融点固体は脂肪酸グリセリドである。これらはビタミンA等の溶解性に優れているからである。油脂とは脂肪酸のグリセリンエステルをいう。グリセリンエステルはモノエステルでも、ジエステルでも、トリエステルでも、これらの混合物でもよい。
【0035】
脂肪酸は中鎖脂肪酸が好ましい。中鎖脂肪酸、特に中鎖飽和脂肪酸から構成される油脂は安定性が高いからである。本発明で中鎖脂肪酸とは炭素数が6〜12の脂肪酸、特に飽和脂肪酸をいうものとする。例としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸が挙げられ、炭素数が8〜10の飽和脂肪酸、特にカプリル酸およびカプリン酸が好ましい。
【0036】
油状液体又は低融点固体は、脂肪酸、特に中鎖脂肪酸の多価アルコールエステル、多価アルコールのポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレン付加物、流動パラフィン、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンEの酢酸エステルなどであってもよい。
【0037】
上記多価アルコールには、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン及びソルビトールなどが含まれる。ビタミンEの酢酸エステルには酢酸dl−α−トコフェロール、酢酸d−α−トコフェロール、酢酸l−α−トコフェロール等が含まれる。
【0038】
油状液体又は低融点固体はビタミンA等100重量部に対し、50〜1200重量部、好ましくは60〜1000重量部、より好ましくは100〜400重量部となる比率で配合される。油状液体又は低融点固体の量が50重量部未満であるとビタミンA等の保存安定性が低下する。その量が1200重量部を超えると、粉末化が困難となる。
【0039】
水溶性酸化防止剤は食品添加物として通常用いられる物質であれば特に限定されない。好ましいものは、例えば、ポリフェノール、ビタミンC(アスコルビン酸)及びその塩類、エリソルビン酸及びその塩類、ソルビン酸及びその塩類、ローズマリー抽出物、及びカテキンなどである。これらは単独で用いても複数組み合わせて用いてもよい。
【0040】
ポリフェノールは植物由来のものが好ましい。特に、果実がリンゴ、モモ、ナシ、ホップ、茶由来のポリフェノールが好ましく、リンゴポリフェノール、ホップポリフェノールが最も好ましい。
【0041】
リンゴポリフェノールは特開平7−285876号公報に記載の方法で製造したものが使用できる。リンゴポリフェノールはリンゴの果実、好ましくは未熟果実の搾汁果汁、抽出液より精製されたポリフェノール画分からなるものである。
【0042】
果実の搾汁方法としては原料を洗浄し、そのまま、または亜硫酸を添加しながら破砕、圧搾により搾汁果汁を得、好ましくはペクチン分解酵素を添加する。次いで遠心分離、濾過等の手段により清澄果汁を得る方法を挙げることができる。
【0043】
また抽出方法としては、洗浄した原料をアルコール(エタノール、メタノール等)と混合して破砕し、そのまま浸漬及び圧搾、または加熱還流しながら抽出し、次いで減圧濃縮によりアルコールを留去した後、遠心分離及び濾過、または有機溶媒(ヘキサン、クロロホルム等)による分配及び濾過を行ない、清澄抽出液を得る方法を挙げることができる。
【0044】
精製方法としては、ポリフェノール類を選択的に吸着且つ溶離できる吸着剤、例えばスチレン−ジビニルベンゼン系の合成吸着樹脂、陰イオン交換樹脂、オクタデシル基化学結合型シリカゲル(ODS)等を充填したカラムに、上記の清澄果汁又は清澄抽出液を通すことによりポリフェノール画分を吸着させる。次いで、蒸留水を通すことにより洗浄した後、20〜100%アルコール(例えばエタノール)溶液、好ましくは約50%アルコール溶液をカラムに通すことによりポリフェノール画分が溶出、回収できる。
【0045】
得られたポリフェノール溶液を減圧濃縮することによりアルコールを留去し、リンゴポリフェノール液体製剤(好ましくはリンゴ酸等の有機酸を添加)を得ることができる。さらに、液体製剤をそのままもしくはデキストリン等の粉末助剤を添加し、噴霧乾燥又は凍結乾燥を行ない、リンゴポリフェノール粉末製剤を得ることができる。
【0046】
リンゴポリフェノールの成分は、例えば、単純ポリフェノール化合物としてカフェー酸誘導体、p−クマル酸誘導体、フラバン−3−オール類(カテキン類)、フラボノール類(ケルセチン配糖体類)、ジヒドロカルコン類(フロレチン配糖体類)など、また高分子ポリフェノール化合物として縮合型タンニン類などがある。
【0047】
ホップポリフェノールは特開平9−295944号公報、特開平9−2917号公報に記載の方法で製造したものが使用できる。ホップポリフェノールはホップ又はホップ苞から水溶性画分を抽出し、これをゲル型合成吸着剤に通して、水またはエタノール水溶液で洗浄後、エタノールまたはエタノール水溶液により溶出させたものである。ホップポリフェノールの成分は、例えば、カテキンや、ルチン、イソクエルシトリンなどのフラボノイドなどがある。好ましいポリフェノールはカテキン、リンゴ由来のプロシアニジン類などである。
【0048】
ある実施形態においては、ポリフェノールは機能性物質100重量部に対し、好ましくは3〜20重量部、より好ましくは5〜10重量部となる比率で配合される。ポリフェノールの量が3重量部未満であると粉末化又は錠剤化された機能性物質の保存安定性が不十分となり、20重量部を越えると、コスト高となり、安価に錠剤を製造することができない。
【0049】
また、ある実施形態においては、水溶性酸化防止剤はビタミンA等100重量部に対し、5〜800重量部、好ましくは10〜600重量部、より好ましくは20〜100重量部となる比率で配合される。水溶性酸化防止剤の量が5重量部未満であるとビタミンA等の保存安定性が不十分となり、800重量部を越えると顆粒や錠剤が吸湿性となり、またコスト高となり、安価に錠剤を製造することができない。
【0050】
造粒成分とは担体の粒子を結合して顆粒状にするのに用いる成分をいう。造粒成分は微粒子を結合する機能を奏する材料であれば特に限定されない。一般には、デンプン、ポピドン、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルファー化デンプン、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアゴム末などがよく用いられる。
【0051】
好ましい造粒成分はデンプン類、糖類またはデンプン類と糖類の混合物である。例えば、担体としてケイ酸カルシウムのみを用いる場合、ケイ酸カルシウムは軽質であり、造粒することは困難であるが、このようにデンプン類、糖類またはデンプン類と糖類の混合物を加えて造粒することにより、適切なゆるみ嵩密度、粒度分布をもつ顆粒を得ることができる。
【0052】
また、デンプンや糖が存在すると密な状態を作りやすくなり、油と空気の接触面積を減らすため、ポリフェノールの酸化防止機能を最大限に引き出すことができる。
【0053】
デンプン類は、公知なものが制限なく使用することができ、例えば、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、タピオカデンプン等であり、さらにこれらのデンプンを酵素分解、酸分解、アルカリ分解またはこれらの組み合わせにより得られるデキストリン等が含まれる。
【0054】
好ましいデンプン類はデキストリンである。デキストリンとしては、マルトデキストリン、アクロデキストリン、エリスロデキストリン、アミロデキストリンのいずれも使用できる。好ましいデキストリンはマルトデキストリンである。
【0055】
糖類は、公知なものが制限なく使用することができ、例えば、グルコース、マルト―ス等、これらの糖類を水素添加して得られる糖アルコールであってよい。好ましくは、糖アルコールが挙げられる。糖アルコールとしては、ソルビトール、エリスリトール、キシリトールおよびマルチトールのいずれも使用することができる。
【0056】
造粒成分の使用量は特に限定されない。一般に、使用量が少なすぎれば顆粒が軽質となり、多すぎれば機能性物質の含有量が低下し、錠剤化に大量の顆粒が必要になって実用的ではない。造粒成分は、担体100重量部に対し、20〜500重量部、好ましくは30〜300重量部、より好ましくは50〜200重量部となる比率で配合される。造粒成分の量が20重量部未満であると顆粒のゆるみ嵩密度が小さくなりすぎて、錠剤が肉圧になりにくい。造粒成分の量が500重量部を越えると配合できる機能性物質の量が少なくなり、錠剤に含まれる機能性物質の濃度が低くなりすぎる。
【0057】
本発明の顆粒は、担体、機能性物質、水溶性酸化防止剤及び造粒成分の他に、必要に応じて滑沢剤、崩壊剤等の添加物を含んで良い。例えば、滑沢剤として硬化油、硬化ヒマシ油、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリド、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステルなど、崩壊剤として低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、デンプン、寒天等を配合して行っても良い。
【0058】
本発明の顆粒は、担体としてケイ酸カルシウムのみを用いる場合、機能性物質の含有率が10〜50重量%、好ましくは、25〜35重量%であり、機能性物質の含有率を非常に高めることができる。また、本発明の顆粒は、造粒成分としてデンプン類、糖類またはデンプン類と糖類の混合物を用いる場合、ゆるみ嵩密度が0.20〜0.80g/ml、好ましくは、0.30〜0.60g/mlである。
【0059】
顆粒のゆるみ嵩密度がかかる範囲に調節されることにより、通常の打錠機を用いて適切な直径及び厚さ、かつ適切な重量の錠剤を得ることができる。つまり、本発明の顆粒を用いれば、実用として強度が充分で取扱いにも便利な形状、寸法の錠剤が提供される。
【0060】
本発明の顆粒には、必要に応じて水溶性高分子を用いたコーティングを施してもよい。コーティングを施すことにより、水溶性抗酸化成分由来の匂いや味を低減することが可能となる。また、顆粒剤の服用性並びに耐湿性が向上する。なお、本発明による顆粒へのコーティングについては、方法、使用する素材は限定されない。水溶性高分子の例には、一般に、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース等があり、水不溶性高分子の例には、シェラック、ツェイン、エチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどがある。
【0061】
顆粒の製造方法
機能性物質含有液は常法又は特開2001−97858、特開2007−15970又は特開平6−32774号公報に記載の方法等により機能性物質を油状液体又は低融点固体に溶解又は分散させるなどして調製する。
【0062】
機能性物質の担体に対する吸着、担持は、当該機能性物質を、要すれば溶媒に溶解または分散させて低粘度化し、担体と混合し、適宜乾燥させることにより行う。その結果、機能性物質は、担体の細孔に密に保持され、打錠時において、機能性物質は顆粒剤表面に滲出することがなく、圧縮成形性が向上し、スティッキング現象等が抑制される。
【0063】
機能性物質を低粘度化するのに使用する有機溶媒としては、エタノールが好ましい。安全性が高いからである。また、エタノールと共に少量の水を混合させてもよい。機能性物質を溶解または分散させた有機溶媒と、担体との混合は、いかなる容器中で実施してもよいが、通常は、混合機や後述する造粒工程で使用する攪拌造粒機等を使用して攪拌下で行われる。
【0064】
機能性物質を溶解または分散させた有機溶媒の使用量は、溶解する機能性物質を溶解または分散して低粘度化する量であれば足りる。有機溶媒の量が少なすぎると機能性物質は均一に吸着せず、多すぎると担持物が湿潤化するので適宜調節すればよい。
【0065】
水溶性酸化防止剤の担体に対する吸着、担持は、水溶性酸化防止剤又はその水溶液を担体と混合して行う。この工程は、機能性物質を担体に吸着させた後に行うのが好ましい。担体の微細孔の奥から機能性物質、水溶性酸化防止剤の順に位置するのが、酸化防止効果を得るのに有効だからである。
【0066】
しかし、担体に対して水溶性酸化防止剤を吸着させる工程は、機能性物質を吸着させる工程の前、又は同時に行ってもよい。同時に行う場合は、機能性物質と一緒に水溶性酸化防止剤を有機溶媒に溶解または分散させて担体に吸収させてもよい。
【0067】
機能性物質等を担体に吸収させて得られる担持物は、通常は粉末状を保っている。しかし、担持物が湿潤化されてしまう場合は、適宜乾燥して粉末化する。
【0068】
次いで、得られた担持物(担体と機能性物質もしくはその含有液との混合物)の造粒、顆粒化を行う。担持物の造粒は、造粒成分、水や有機溶媒を用いて通常の方法により行う。水溶性酸化防止剤は、担持物に造粒成分を加える際に、またはその後に、粉末状で、または造粒を行うための水に予め溶解して添加してもよい。一般に造粒成分は水溶性であり、粉末で添加しても水溶性酸化防止剤が一緒に溶解することにより、担持物に均一に混合され、多孔性ケイ酸カルシウムの細孔をふさぐ形で吸着されるからである。
【0069】
造粒は噴霧造粒、攪拌造粒のいずれによっても可能であるが、攪拌造粒が好ましい。嵩密度の高い顆粒が得られるからである。攪拌造粒は、様々な形態を有するものであるが、容器の上部の回転アームによるもの、容器の底部にある回転翼によるものと、さらにこれに異方向の攪拌を加えたものがある。
【0070】
造粒に使用される装置としては、例として、バーチカルグラニュレータ、ハイシェアーミキサー、ハイスピードミキサー、プラネタリーミキサー、コレットグラル造粒機、チョッパー式プラネタリーミキサーなどである。造粒には、粉体を適切に混合可能な装置であればよく、その撹拌力が強いほど、造粒が速やかに進行する。
【0071】
このようにして得られた顆粒は、必要に応じて乾燥し、含有する水や有機溶媒を除去する。乾燥温度は、20〜90℃、好ましくは25〜75℃、より好ましくは30〜60℃である。
【0072】
錠剤の製造方法
乾燥した顆粒は整粒を行い、高分子添加物および滑沢剤を加え、圧縮成形して錠剤とする。高分子添加物としては、一般に顆粒や錠剤を作るために使用するものを使うことができる。具体的には、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルピロリドン等の合成高分子、アラビアゴム、寒天、プルラン等の天然高分子が挙げられる。
【0073】
高分子添加物は、一つまたは二つ以上組み合わせて使用されるが、その用途に応じて賦形剤、結合剤、崩壊剤に分けて使うことが望ましい。このように製造した錠剤には、フィルムコーティングまたは糖衣コーティングを施すコーティング工程を適宜設けてもよい。
【0074】
錠剤の製造は、顆粒などを含む粉末を筒状の臼に充填し、臼に充填された顆粒を棒で圧縮して行われる。打錠機は公知のものがなんらの制限もなく使用することができる。
【0075】
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【実施例】
【0076】
実施例1
天然物由来の液状エキスであるノコギリヤシエキスを準備した。また、ポリフェノールにはリンゴポリフェノール(商品名:アップルフェノンSH、アサヒフードヘルスケア株式会社製)を用いた。このリンゴポリフェノールの成分を表1に示す。リンゴポリフェノールはポリフェノールに該当する成分95%を含む。
【0077】
[表1]

【0078】
ノコギリヤシエキス38重量部をエタノール45.6重量部へ加え、分散液とした。ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)38重量部を篩過し、バーチカルグラニュレーター(造粒機、株式会社パウレックス製)に投入した。尚、上記ケイ酸カルシウムは0.1g/mlのゆるみ嵩密度及び480ml/100gの吸油量を有する多孔性ケイ酸カルシウムである。その後、ノコギリヤシエキス分散液、リンゴポリフェノール7.6重量部を水76重量部へ溶解した水溶液を投入し、5分間、混合した。次にデキストリンを16.4重量部添加し、5分間攪拌造粒後、整粒、乾燥して、ノコギリヤシエキス含有顆粒を得た。
【0079】
得られた顆粒をトレイに乗せて、70℃で48時間、放置した。加熱後の顆粒中のノコギリヤシエキスに含まれる指標成分βシトステロールの残存率は100.0%だった。
【0080】
実施例2
天然物由来の液状エキスであるノコギリヤシエキスを準備した。ノコギリヤシエキス38重量部をエタノール45.6重量部へ加え、分散液とした。ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)38重量部を篩過し、バーチカルグラニュレーターに投入した。その後、ノコギリヤシエキス分散液、リンゴポリフェノール3.8重量部を水76重量部へ溶解した水溶液を投入し、5分間、混合した。次にキシリトールを20.2重量部添加し、5分間攪拌造粒後、整粒、乾燥した。得られた顆粒をトレイに乗せて、70℃で放置した。
【0081】
加熱後の顆粒中のノコギリヤシエキスに含まれる指標成分βシトステロールの残存率は、24時間加熱後で100.0%、48時間加熱後も100.0%だった。
【0082】
実施例3
天然物由来の液状エキスであるノコギリヤシエキスを準備した。ノコギリヤシエキス38重量部をエタノール45.6重量部へ加え、分散液とした。ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)38重量部を篩過し、バーチカルグラニュレーターに投入した。その後、ノコギリヤシエキス分散液、リンゴポリフェノール7.6重量部を水76重量部へ溶解した水溶液を投入し、5分間、混合した。次にキシリトールを16.4重量部添加し、5分間攪拌造粒後、整粒、乾燥した。得られた顆粒をトレイに乗せて、70℃で放置した。
【0083】
加熱後の顆粒中のノコギリヤシエキスに含まれる指標成分βシトステロールの残存率は、24時間加熱後で100.0%、48時間加熱後も100.0%だった。
【0084】
比較例1
天然物由来の液状エキスであるノコギリヤシエキスを準備した。ノコギリヤシエキス38重量部をエタノール22.9重量部へ加え、分散液とした。ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)38重量部を篩過し、バーチカルグラニュレーターに投入した。その後、ノコギリヤシエキス分散液、水76重量部を投入し、5分間、混合した。次にキシリトールを24重量部添加し、5分間攪拌造粒後、整粒、乾燥した。得られた顆粒をトレイに乗せて、70℃で放置した。
【0085】
加熱後の顆粒中のノコギリヤシエキスに含まれる指標成分βシトステロールの残存率は、24時間加熱後で98.3%、48時間加熱後は91.4%だった。
【0086】
比較例2
天然物由来の液状エキスであるノコギリヤシエキスをトレイに乗せて、70℃で48時間、放置した。加熱後のノコギリヤシエキスに含まれる指標成分βシトステロールの残存率は、24時間加熱後で92.5%、48時間加熱後は80.2%だった。
【0087】
実施例4
油状成分であるβカロテンを準備した。βカロテン(30%含有オイル懸濁製剤)16.7重量部をエタノール58重量部へ加え、分散液とした。ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)57.5重量部を篩過し、バーチカルグラニュレーターに投入した。その後、βカロテン分散液、リンゴポリフェノール1.7重量部を水144重量部へ溶解した水溶液を投入し、5分間、混合した。次にキシリトールを24.1重量部添加し、5分間攪拌造粒後、整粒、乾燥した。得られた顆粒をトレイに乗せて、70℃で48時間、放置した。加熱後の顆粒中に含まれるβカロテンの残存率は99.2%だった。
【0088】
実施例5
油状成分であるβカロテンを準備した。βカロテン(30%含有オイル懸濁製剤)16.7重量部をエタノール58重量部へ加え、分散液とした。ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)57.5重量部を篩過し、バーチカルグラニュレーターに投入した。その後、βカロテン分散液、リンゴポリフェノール3.3重量部を水144重量部へ溶解した水溶液を投入し、5分間、混合した。次にキシリトールを22.5重量部添加し、5分間攪拌造粒後、整粒、乾燥した。得られた顆粒をトレイに乗せて、70℃で48時間、放置した。加熱後の顆粒中に含まれるβカロテンの残存率は99.4%だった。
【0089】
比較例3
油状成分であるβカロテンを準備した。βカロテン(30%含有オイル懸濁製剤)16.7重量部をエタノール58重量部へ加え、分散液とした。ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)57.5重量部を篩過し、バーチカルグラニュレーターに投入した。その後、βカロテン分散液、水144重量部を投入し、5分間、混合した。次にキシリトールを25.8重量部添加し、5分間攪拌造粒後、整粒、乾燥した。得られた顆粒をトレイに乗せて、70℃で48時間、放置した。加熱後の顆粒中に含まれるβカロテンの残存率は75.1%だった。
【0090】
比較例4
油状成分であるβカロテン(30%含有オイル懸濁製剤)をトレイに乗せて、70℃で48時間、放置した。加熱後のβカロテンの残存率は67.0%だった。
【0091】
実施例6
油状成分であるルテインを準備した。ルテイン(20%含有オイル懸濁製剤)25重量部をエタノール58重量部へ加え、分散液とした。ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)57.5重量部を篩過し、バーチカルグラニュレーターに投入した。その後、βカロテン分散液、リンゴポリフェノール2.5重量部を水144重量部へ溶解した水溶液を投入し、5分間、混合した。次にキシリトールを15重量部添加し、5分間攪拌造粒後、整粒、乾燥した。得られた顆粒をトレイに乗せて、70℃で48時間、放置した。加熱後の顆粒中に含まれるルテインの残存率は100.0%だった。
【0092】
実施例7
油状成分であるルテインを準備した。ルテイン(20%含有オイル懸濁製剤)25重量部をエタノール58重量部へ加え、分散液とした。ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)57.5重量部を篩過し、バーチカルグラニュレーターに投入した。その後、βカロテン分散液、リンゴポリフェノール5重量部を水144重量部へ溶解した水溶液を投入し、5分間、混合した。次にキシリトールを12.5重量部添加し、5分間攪拌造粒後、整粒、乾燥した。得られた顆粒をトレイに乗せて、70℃で48時間、放置した。加熱後の顆粒中に含まれるルテインの残存率は100.0%だった。
【0093】
比較例5
油状成分であるルテインを準備した。ルテイン(20%含有オイル懸濁製剤)25重量部をエタノール58重量部へ加え、分散液とした。ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)57.5重量部を篩過し、バーチカルグラニュレーターに投入した。その後、βカロテン分散液、水144重量部を投入し、5分間、混合した。次にキシリトールを17.5重量部添加し、5分間攪拌造粒後、整粒、乾燥した。得られた顆粒をトレイに乗せて、70℃で48時間、放置した。加熱後の顆粒中に含まれるルテインの残存率は89.0%だった。
【0094】
比較例6
油状成分であるルテイン(20%含有オイル懸濁製剤)をトレイに乗せて、70℃で48時間、放置した。加熱後のルテインの残存率は67.0%だった。
【0095】
実施例8
難溶性の結晶粉末であるリポ酸を準備した。リポ酸20.8重量部、リンゴポリフェノール2.1重量部をエタノール40重量部へ加え、分散液とした。ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)41.7重量部を篩過し、バーチカルグラニュレーターに投入した。その後、リポ酸・リンゴポリフェノール分散液、水125重量部を投入し、5分間、混合した。次にトレハロースを37.5重量部添加し、5分間攪拌造粒後、整粒、乾燥した。得られた顆粒をトレイに乗せて、70℃で24時間、放置した。加熱後の顆粒中に含まれるリポ酸の残存率は92.7%だった。
【0096】
実施例9
難溶性の結晶粉末であるリポ酸を準備した。リポ酸20.8重量部、リンゴポリフェノール4.2重量部をエタノール40重量部へ加え、分散液とした。ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)41.7重量部を篩過し、バーチカルグラニュレーターに投入した。その後、リポ酸・リンゴポリフェノール分散液、水125重量部を投入し、5分間、混合した。次にトレハロースを33.3重量部添加し、5分間攪拌造粒後、整粒、乾燥した。得られた顆粒をトレイに乗せて、70℃で24時間、放置した。加熱後の顆粒中に含まれるリポ酸の残存率は98.9%だった。
【0097】
比較例7
難溶性の結晶粉末であるリポ酸を準備した。リポ酸20.8重量部をエタノール40重量部へ加え、分散液とした。ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)41.7重量部を篩過し、バーチカルグラニュレーターに投入した。その後、リポ酸分散液、水125重量部を投入し、5分間、混合した。次にトレハロースを37.5重量部添加し、5分間攪拌造粒後、整粒、乾燥した。得られた顆粒をトレイに乗せて、70℃で24時間、放置した。加熱後の顆粒中に含まれるリポ酸の残存率は75.3%だった。
【0098】
比較例8
難溶性の結晶粉末であるリポ酸をトレイに乗せて、70℃で24時間、放置した。加熱後のリポ酸の残存率は40.5%だった。
【0099】
実施例10
油状成分であるビタミンEを準備した。ビタミンE 36.6重量部をエタノール20重量部へ加え、分散液とした。ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)41.8重量部を篩過し、バーチカルグラニュレーターに投入した。その後、ビタミンE分散液、リンゴポリフェノール3.7重量部を水92重量部へ溶解した水溶液を投入し、5分間、混合した。次にトレハロースを17.9重量部添加し、5分間攪拌造粒後、整粒、乾燥した。得られた顆粒をトレイに乗せて、70℃で72時間、放置した。加熱後の顆粒中に含まれるビタミンEの残存率は100.0%だった。
【0100】
実施例11
油状成分であるビタミンEを準備した。ビタミンE 36.6重量部をエタノール20重量部へ加え、分散液とした。ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)41.8重量部を篩過し、バーチカルグラニュレーターに投入した。その後、ビタミンE分散液、リンゴポリフェノール7.4重量部を水92重量部へ溶解した水溶液を投入し、5分間、混合した。次にトレハロースを14.2重量部添加し、5分間攪拌造粒後、整粒、乾燥した。得られた顆粒をトレイに乗せて、70℃で72時間、放置した。加熱後の顆粒中に含まれるビタミンEの残存率は100.0%だった。
【0101】
比較例9
油状成分であるビタミンEを準備した。ビタミンE 36.6重量部をエタノール20重量部へ加え、分散液とした。ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)41.8重量部を篩過し、バーチカルグラニュレーターに投入した。その後、ビタミンE分散液、水92重量部を投入し、5分間、混合した。次にトレハロースを21.6重量部添加し、5分間攪拌造粒後、整粒、乾燥した。得られた顆粒をトレイに乗せて、70℃で72時間、放置した。加熱後の顆粒中に含まれるビタミンEの残存率は99.5%だった。
【0102】
比較例10
油状成分であるビタミンEをトレイに乗せて、70℃で72時間、放置した。加熱後のビタミンEの残存率は96.5%だった。
【0103】
ゆるみ嵩密度の測定
実施例で得られた顆粒を適量16号(1000μm)ふるいに通して解砕した。その試料を一定容積(100mL)のステンレス容器へ静かにあふれるまで流下させた。容器の上部に堆積した過剰の粉体をスライドグラスなどで注意深くすり落とした。この容器中に充てんされた粉体の質量を測定し、1mLあたりに含まれる粉体の量をゆるみ嵩密度(g/mL)とした。測定結果を表2に示す。
【0104】
[表2]

【0105】
錠剤の製造
実施例で得られた顆粒に、寒天5重量部、ショ糖脂肪酸エステル1重量部を加え、打錠用顆粒とし、打錠機(畑鉄工所社製、型番:HT-AP12SS-U)を用いて打錠することにより錠剤を得た。得られた錠剤の形状を表3に示す。
【0106】
[表3]

【0107】
装置及び条件
以下の実施例において使用した造粒機は、株式会社パウレック製高速撹拌造粒機「VG−05」型である。造粒時の攪拌回転速度はそれぞれ、底部攪拌装置(ブレード)が約300回転/分、底部攪拌装置と異方向の攪拌装置(クロススクリュー)が約3000回転/分である。
乾燥機は、株式会社パウレック製流動層乾燥機「MP−01」型である。乾燥に使用する空気量は、造粒物の流動状態に応じて適宜変更した。乾燥空気温度は、75℃とし、製品中の水分値が2%以下まで乾燥した。水分測定には、メトラー社製赤外水分計を使用し、85℃15分間での乾燥減量を元に計測を行った。
整粒には、QUADRO社製「COMIL 197S」型を使用し、丸型インペラと810μmのスクリーンを使用した。
錠剤の成形には、菊水株式会社製「VIRGO 512HUK」型を使用し、回転盤40回転で圧縮を行った。金型は、直径10mmR15を使用した。
サンプル中のビタミンA誘導体は、イソプロピルアルコールとメタノールの等量混合液を用いて抽出し、定量には、オクタデシル基を結合したシリカゲルを充填剤とし、紫外可視検出器を備えた高速液体クロマトグラフを使用した。
【0108】
実施例12
ビタミンA含有顆粒を以下のように製造した。
ビタミンAパルミチン酸エステル(100万ユニット/g)30gを中鎖脂肪酸トリグリセリド(カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸トリグリセリドの混合物、花王社製、商品名「ココナード」)75gに溶解した。得られた油状液を、ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)100gとともに高速撹拌造粒機に投入し、撹拌を行った。その後、キシリトール60gを造粒機中に投入し、リンゴポリフェノール(アサヒフードアンドヘルスケア社製、商品名「アップルフェノンSH」)12gを溶解した精製水300gを加え造粒を行った。流動層乾燥装置を用いて得られた造粒物を乾燥し、ビタミンA顆粒を得た。
【0109】
顆粒をアルミパウチ包装中に充填し、70℃下で4日間保存した後のビタミンA残存率は90%であった。
【0110】
実施例13
ビタミンA含有顆粒を以下のように製造した。
ビタミンAパルミチン酸エステル(100万ユニット/g)10gを中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王社製、商品名「ココナード」)100gに溶解した。得られた油状液を、ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)100gとともに高速撹拌造粒機に投入し、撹拌を行った。その後、キシリトールを40gとヒドロキシプロピルセルロース20gとを造粒機中に投入し、リンゴポリフェノール(アサヒフードアンドヘルスケア社製、商品名「アップルフェノンSH」)1gを溶解した精製水200gを加え造粒を行った。流動層乾燥装置を用いて得られた造粒物を乾燥し、ビタミンA顆粒を得た。
【0111】
顆粒をアルミパウチ包装中に充填し、70℃下で4日間保存した後のビタミンA残存率は80%であった。
【0112】
実施例14
ビタミンA含有顆粒を以下のように製造した。
ビタミンAパルミチン酸エステル(100万ユニット/g)80gを中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王社製、商品名「ココナード」)50gに溶解した。得られた油状液を、ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)100gとともに高速撹拌造粒機に投入し、撹拌を行った。その後、キシリトール60gを造粒機中に投入し、リンゴポリフェノール(アサヒフードアンドヘルスケア社製、商品名「アップルフェノンSH」)50gを溶解した精製水300gを加え造粒を行った。流動層乾燥装置を用いて得られた造粒物を乾燥し、ビタミンA顆粒を得た。
【0113】
顆粒をアルミパウチ包装中に充填し、70℃下で4日間保存した後のビタミンA残存率は85%であった。
【0114】
実施例15
ビタミンA含有顆粒を以下のように製造した。
ビタミンAパルミチン酸エステル(100万ユニット/g)30gを中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王社製、商品名「ココナード」)75gに溶解した。得られた油状液を、ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)100gとともに高速撹拌造粒機に投入し、撹拌を行った。その後、キシリトール60gを造粒機中に投入し、リンゴポリフェノール(アサヒフードアンドヘルスケア社製、商品名「アップルフェノンSH」)12gを溶解した精製水300gを加え造粒を行った。流動層乾燥装置を用いて得られた造粒物を乾燥した。乾燥後、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いコーティングを行った。
【0115】
得られたコーティング顆粒をアルミパウチ包装中に充填し、70℃下で4日間保存した後のビタミンA残存率は92%であった。
【0116】
実施例16
ビタミンA含有顆粒を以下のように製造した。
ビタミンAパルミチン酸エステル(100万ユニット/g)30gを中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王社製、商品名「ココナード」)75gに溶解した。得られた油状液を、ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)120gとともに高速撹拌造粒機に投入し、撹拌を行った。その後、キシリトール50gを造粒機中に投入し、アスコルビン酸10gを溶解した精製水280gを加え造粒を行った。流動層乾燥装置を用いて得られた造粒物を乾燥し、ビタミンA顆粒を得た。
【0117】
得られた顆粒をアルミパウチ包装中に充填し、70℃下で4日間保存した後のビタミンA残存率は88%であった。
【0118】
実施例17
ビタミンA含有顆粒を以下のように製造した。
ビタミンA酢酸エステル(100万ユニット/g)20gを中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王社製、商品名「ココナード」)80gに溶解した。得られた油状液を、ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)120gとともに高速撹拌造粒機に投入し、撹拌を行った。その後、キシリトール50gを造粒機中に投入し、リンゴポリフェノール(アサヒフードアンドヘルスケア社製、商品名「アップルフェノンSH」)10gを溶解した精製水300gを加え造粒を行った。流動層乾燥装置を用いて得られた造粒物を乾燥し、ビタミンA顆粒を得た。
【0119】
得られた顆粒をアルミパウチ包装中に充填し、70℃下で4日間保存した後のビタミンA残存率は85%であった。
【0120】
実施例18
ビタミンA含有顆粒を以下のように製造した。
ビタミンAパルミチン酸エステル(170万ユニット/g)40gを中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王社製、商品名「ココナード」)40gに溶解した。得られた油状液を、ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)100gとともに高速撹拌造粒機に投入し、撹拌を行った。その後、マルチトール60gとヒドロキシプロピルメチルセルロース20gとを造粒機中に投入し、茶ポリフェノール(三井農林製、商品名「ポリフェノンAC」)20gを溶解した精製水300gを加え造粒を行った。流動層乾燥装置を用いて得られた造粒物を乾燥し、ビタミンA顆粒を得た。
【0121】
得られた顆粒をアルミパウチ包装中に充填し、70℃下で4日間保存した後のビタミンA残存率は89%であった。
【0122】
実施例19
ビタミンA含有顆粒を以下のように製造した。
ビタミンAパルミチン酸エステル(170万ユニット/g)20gを中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王社製、商品名「ココナード」)80gに溶解した。得られた油状液を、ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)100gとともに高速撹拌造粒機に投入し、撹拌を行った。その後、キシリトール150gを造粒機中に投入し、リンゴポリフェノール(アサヒフードアンドヘルスケア社製、商品名「アップルフェノンSH」)120gを溶解した精製水350gを加え造粒を行った。流動層乾燥装置を用いて得られた造粒物を乾燥し、ビタミンA顆粒を得た。
【0123】
得られた顆粒をアルミパウチ包装中に充填し、70℃下で4日間保存した後のビタミンA残存率は88%であった。
【0124】
実施例20
中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王社製、商品名「ココナード」)の代わりに中鎖脂肪酸モノグリセリド(花王社製、商品名「ホモテックスPT」)を用いること以外は、実施例12と同様にしてビタミンA顆粒を得、保存安定性を試験した。その結果、ビタミンA残存率は85%であった。
【0125】
比較例11
比較として、ビタミンA含有顆粒を以下のように製造した。
ビタミンAパルミチン酸エステル(100万ユニット/g)40gを中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王社製、商品名「ココナード」)40gに溶解した。得られた油状液を、ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)100gとともに高速撹拌造粒機に投入し、撹拌を行った。その後、キシリトール80gを造粒機中に投入し、精製水300gを加え造粒を行った。流動層乾燥装置を用いて得られた造粒物を乾燥し、ビタミンA顆粒を得た。
【0126】
得られた顆粒をアルミパウチ包装中に充填し、70℃下で4日間保存した後のビタミンA残存率は62%であった。
【0127】
比較例12
中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王社製、商品名「ココナード」)の代わりにビタミンE40gを用いること以外は比較例11と同様にしてビタミンA顆粒を得、保存安定性を試験した。その結果、ビタミンA残存率は68%であった。
【0128】
比較例13
比較として、ビタミンA含有顆粒を以下のように製造した。
ビタミンAパルミチン酸エステル(100万ユニット/g)40gを、ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)100gとともに高速撹拌造粒機に投入し、撹拌を行った。その後、キシリトール80gを造粒機中に投入し、リンゴポリフェノール(アサヒフードアンドヘルスケア社製、商品名「アップルフェノンSH」)20gを溶解した精製水300gを加え造粒を行った。流動層乾燥装置を用いて得られた造粒物を乾燥し、ビタミンA顆粒を得た。
【0129】
得られた顆粒をアルミパウチ包装中に充填し、70℃下で4日間保存した後のビタミンA残存率は36%であった。
【0130】
比較例14
比較として、ビタミンA含有顆粒を以下のように製造した。
ビタミンAパルミチン酸エステル(100万ユニット/g)40gを、ケイ酸カルシウム(株式会社トクヤマ製、商品名「フローライトR」)100gとともに高速撹拌造粒機に投入し、撹拌を行った。その後、キシリトール80gを造粒機中に投入し、精製水300gを加え造粒を行った。流動層乾燥装置を用いて得られた造粒物を乾燥し、ビタミンA顆粒を得た。
【0131】
得られた顆粒をアルミパウチ包装中に充填し、70℃下で4日間保存した後のビタミンA残存率は19%であった。
【0132】
比較例15
比較として、市販されているビタミンA含有顆粒の安定性を評価した。
ビタミンAパルミチン酸エステルを含有する市販顆粒、理研ビタミン社製、商品名「理研 Dry A S-200PT」をアルミパウチ包装中に充填し、70℃下で4日間保存した後のビタミンA残存率は3%であった。
【0133】
比較例16
比較として、市販されているビタミンA含有顆粒の安定性を評価した。
ビタミンA酢酸エステルを含有する市販顆粒、BASF社製、商品名「Dry Vitamin A Acetate 325GFP」をアルミパウチ包装中に充填し、70℃下で4日間保存した後のビタミンA残存率は27%であった。
【0134】
ゆるみ嵩密度の測定
上記実施例及び比較例で得られた顆粒を適量16号(1000μm)ふるいに通して解砕した。その試料を一定容積(100mL)のステンレス容器へ静かにあふれるまで流下させた。容器の上部に堆積した過剰の粉体をスライドグラスなどで注意深くすり落とした。この容器中に充てんされた粉体の質量を測定し、1mLあたりに含まれる粉体の量をゆるみ嵩密度(g/mL)とした。測定結果を表4に示す。
【0135】
[表4]

a)ビタミンA等100部に対する量
b)ビタミンA含有液100部に対する量
【0136】
実施例21
ビタミンA含有錠剤を以下のように製造した。
実施例12により製造したビタミンA含有顆粒100gに、結晶セルロース890g、ステアリン酸マグネシウム10gを加え、混合し、打錠用粉末を得た。得られた打錠用粉末を圧縮し、ビタミンA含有錠剤を成型した。錠剤の形状を表2に示す。
【0137】
得られた錠剤をアルミパウチ包装中に充填し、70℃下で4日間保存した後のビタミンA残存率は82%であった。
【0138】
比較例17
比較として、ビタミンA含有錠剤を以下のように製造した。
ビタミンAパルミチン酸エステル(100万ユニット/g)10gに、結晶セルロース980g、ステアリン酸マグネシウム10gを加え、混合し、打錠用粉末を得た。得られた打錠用粉末を圧縮し、ビタミンA含有錠剤を成型した。錠剤の形状を表2に示す。
【0139】
得られた錠剤をアルミパウチ包装中に充填し、70℃下で4日間保存した後のビタミンA残存率は46%であった。
【0140】
実施例22
ビタミンA含有錠剤を以下のように製造した。
実施例12により製造したビタミンA含有顆粒100gに、結晶セルロース590g、貝カルシウム100g、グルコン酸亜鉛100g、酸化マグネシウム100g、ステアリン酸マグネシウム10gを加え、混合し、打錠用粉末を得た。得られた打錠用粉末を圧縮し、ビタミンA、ミネラル含有錠剤を成型した。錠剤の形状を表2に示す。
【0141】
得られた錠剤をアルミパウチ包装中に充填し、70℃下で4日間保存した後のビタミンA残存率は75%であった。
【0142】
比較例18
比較として、ビタミンA含有錠剤を以下のように製造した。
ビタミンAパルミチン酸エステル(100万ユニット/g)10gに、結晶セルロース680g、貝カルシウム100g、グルコン酸亜鉛100g、酸化マグネシウム100g、ステアリン酸マグネシウム10gを加え、混合し、打錠用粉末を得た。得られた打錠用粉末を圧縮し、ビタミンA含有錠剤を成型した。錠剤の形状を表5に示す。
【0143】
得られた錠剤をアルミパウチ包装中に充填し、70℃下で4日間保存した後のビタミンA残存率は6%であった。
【0144】
[表5]


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性ケイ酸カルシウムからなる担体、該担体に吸着した油状液体又は低融点固体である機能性物質及び水溶性酸化防止剤、及び造粒成分を含む顆粒。
【請求項2】
前記油状液体又は低融点固体が親油性物質である請求項1記載の顆粒。
【請求項3】
前記水溶性酸化防止剤がポリフェノールである請求項1又は2記載の顆粒。
【請求項4】
前記水溶性酸化防止剤が機能性物質100重量部に対し3〜20重量部の量で配合されている請求項1〜3のいずれか記載の顆粒。
【請求項5】
前記水溶性酸化防止剤がリンゴポリフェノール又はホップポリフェノールである請求項1〜4のいずれか記載の顆粒。
【請求項6】
前記機能性物質がビタミンE、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、リポ酸、月見草オイル、βカロテン及びノコギリヤシエキスからなる群から選択される少なくとも一種である請求項1〜5のいずれか記載の顆粒。
【請求項7】
前記担体は機能性物質100重量部に対し20〜200重量部の量で配合され、前記造粒成分は担体100重量部に対し30〜300重量部の量で配合され、そしてゆるみ嵩密度が0.20〜0.80g/mlである請求項1〜6のいずれか記載の顆粒。
【請求項8】
多孔性ケイ酸カルシウムと、ビタミンA又はビタミンA誘導体を油状液体又は低融点固体に溶解又は分散させたものであるビタミンA含有液と、水溶性酸化防止剤と、造粒成分とを含む顆粒。
【請求項9】
前記油状液体又は低融点固体が脂肪酸グリセリドである請求項8記載の顆粒。
【請求項10】
前記油状液体又は低融点固体がビタミンA又はビタミンA誘導体100重量部に対し50〜1200重量部の量で含まれている請求項8又は9記載の顆粒。
【請求項11】
前記水溶性酸化防止剤がリンゴポリフェノール、ホップポリフェノール、茶ポリフェノール又はビタミンCである請求項8〜10のいずれか記載の顆粒。
【請求項12】
前記ビタミンA誘導体がビタミンAのパルミチン酸エステル又は酢酸エステルである請求項8〜11のいずれか記載の顆粒。
【請求項13】
前記水溶性酸化防止剤がビタミンA又はビタミンA誘導体100重量部に対し5〜800重量部の量で含まれている請求項8〜12のいずれか記載の顆粒。
【請求項14】
前記多孔性ケイ酸カルシウムがビタミンA含有液100重量部に対し50〜500重量部の量で含まれ、前記造粒成分が多孔性ケイ酸カルシウム100重量部に対し30〜500重量部の量で含まれ、ゆるみ嵩密度が0.20〜0.80g/mlである請求項8〜13のいずれか記載の顆粒。
【請求項15】
水溶性高分子でコーティングされた請求項1〜14のいずれか記載の顆粒。
【請求項16】
前記造粒成分がデンプン類及び糖類からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1〜15のいずれか記載の顆粒。
【請求項17】
機能性物質及びポリフェノールを多孔性ケイ酸カルシウムからなる担体に吸着させる工程;及び
得られた担持物と造粒成分とを混合して造粒する工程;
を包含する顆粒の製造方法。
【請求項18】
ビタミンA又はビタミンA誘導体を油状液体又は低融点固体に溶解又は分散させてビタミンA含有液を得る工程;
ビタミンA含有液及び多孔性ケイ酸カルシウムを混合する工程;及び
得られた混合物、造粒成分及び水溶性酸化防止剤を混合する工程;
を包含する顆粒の製造方法。
【請求項19】
請求項1〜16のいずれか記載の顆粒を筒状の臼に充填する工程;及び
臼に充填された顆粒を棒で圧縮する工程;
を包含する錠剤の製造方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法により得られる錠剤。

【公開番号】特開2012−72190(P2012−72190A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−3707(P2012−3707)
【出願日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【分割の表示】特願2009−536101(P2009−536101)の分割
【原出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000000055)アサヒグループホールディングス株式会社 (535)
【出願人】(000237972)富田製薬株式会社 (30)
【Fターム(参考)】