説明

顆粒化し混合する装置

特に医薬有効物質の調合薬を顆粒化したり、混合したり、或いは、顆粒化して混合する装置であって、蓋(31)によって密閉可能な円筒形顆粒化チャンバ(10)を有する、装置。回転攪拌器(6)が、顆粒化チャンバの底部のところに配置され、回転可能なチョッパ(20)が、顆粒化チャンバの周囲に沿って配置されている。インサート(34)が、収容量を減少させるインサートが、蓋(31)に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に医薬有効物質の調合薬を顆粒化したり、混合したり、或いは、顆粒化して混合する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品業界における調合薬を開発する初期の段階では、最適な調合製剤を見出すことを目的とする多数回にわたる調合治験のために極微量の有効物質が利用されることが多い。市販されている標準の顆粒化装置は、一般に、それ自体の密閉ハウジング、所謂アイソレータ内に静止状態で収納されなければならない寸法のものである一方で、作業員の十分な保護を保証するために効き目の非常に強い有効物質の処理又は加工が密閉ハウジング、つまりアイソレータ内で実施されなければならないという別の課題が生じる。
【0003】
先行技術から、ベルギー国ゼルゼータ所在のプロセプト・エヌブイ(PROCEPT nv)社によってMiProというブランド名で製造されると共に市販されている顆粒化したり、混合したり、或いは、顆粒化して混合する装置が知られている。この装置を用いて比較的少量の物質を処理することができ、この場合、攪拌器ヘッド及びチョッパが、上方から顆粒化チャンバ内に突き出ている。製造業者によって提供された情報によれば、40gの物質を再現可能に顆粒化することができるが、これは、調合薬の開発の初期段階では非常に多くの量である場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、先行技術で知られている装置よりも実質的に少量の物質を処理するのに適した上述の形式の装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この課題は、特に医薬有効物質の調合薬を顆粒化したり、混合したり、或いは、顆粒化して混合する装置であって、蓋によって密閉可能な円筒形顆粒化チャンバを有し、顆粒化チャンバは、その基端部が回転攪拌器ヘッドと関連すると共にその周囲が回転可能なチョッパと関連しており、収容量を減少させるインサートが、蓋に取り付けられていることを特徴とする装置を提供するによって解決される。
【0006】
顆粒化チャンバの収容量を減少させるインサートにより、微量の物質を顆粒化すると共に(或いは)混合することができる。加うるに、この装置は、使用するのが容易である。というのは、物質が、すぐに組み立てることができるようになっている装置に収納され、次にインサート付きの蓋が、これに載せられるからである。インサートは、その自由端部が攪拌器ヘッド又はチョッパの上方に位置するほどの高さのものであるのが良い。
【0007】
処理されるべき物質が下に落下するようにするために、好都合なことには、インサートは、その自由端部から蓋の方向に円錐状にテーパしている。かくして、攪拌器ヘッド又はチョッパが顆粒化チャンバ内に配置される場合の問題を生じないで、インサートが取り付けられている蓋を載せることができる。
【0008】
処理されるべき物質が堆積する場合のある顆粒化チャンバ内部のシャープな縁を回避するために、インサートの内壁は、好ましくは、蓋に平行に延びる端壁に、丸みが形成された状態で、合体している。
【0009】
別の特徴によれば、インサート及び蓋のうちの少なくとも一方は、シールを形成するよう顆粒化チャンバ内に嵌め込み可能である。シールは、例えば、任意所望の密封手段を用いて得られるが、好ましくは、接合されるべきコンポーネント相互間に比較的僅かな隙間を維持することによって得られるのが良い。
【0010】
インサートは、好都合なことには、蓋にねじ止めされる。すると、インサートをクリーニングのために蓋から比較的容易に取り外すことができる。
【0011】
顆粒化チャンバが所定の位置に取り付けられるようにするために、顆粒化チャンバは、好ましくは、少なくとも1つの円周方向溝を有し、静止チャンバホルダの対応の突出部が、円周方向溝内に嵌まり込む。顆粒化チャンバは、好ましくは、チャンバホルダにねじ止めされる。これにより、顆粒化チャンバを迅速且つ容易に取り外すことができる。変形例として、正確な固定を可能にする他の連結手段、例えば、ライナ、プリズム又はトリクランプ(triclamp)クロージャを備えた案内管を用いても良い。
【0012】
顆粒化チャンバ及びこの中に入っている物質に対する媒質の間接的作用を保証するため、有利には、顆粒化チャンバには、管が螺旋に巻き付けられる。一特徴によれば、管は、ホースを介して温度制御装置に取付け可能なクイックリリース継手に連結される。このように、顆粒化、特に融解顆粒化に必要な温度は、温度調節された流体を管中に流すことにより達成できる。ホース及びクイックリリース継手は、温度調節装置への螺旋管の迅速且つ面倒のない連結を保証する。典型例として、温度調節式発熱箔又は温度調節式発熱ジャケットが、顆粒化チャンバと関連している。
【0013】
顆粒化チャンバ内で物質を均質に混合するため、攪拌器ヘッドは、星形に互いに整列した3枚の攪拌羽根を有し、攪拌器ヘッドは、好都合なことには、刻み付き頭を備えたねじによって駆動シャフトに取り付けられる。刻み付き頭を備えたねじにより、攪拌器ヘッドを迅速に且つ工具を必要としないで取り付けたり取り外したりすることができる。
【0014】
顆粒化チャンバの内壁にくっつく顆粒の量を減少させるため、攪拌羽根の外径は、顆粒化チャンバの内径よりも僅かに小さい。その結果、攪拌羽根は、次の処理のために内壁にくっついた物質を捕捉する。
【0015】
物質の効果的な微粉砕のため、チョッパは、好ましくは、顆粒を掻き落とすためにインサートに適合するようになった多数枚の細断羽根を有する。
【0016】
装置への付着により生じる物質の損失量を最小限に抑えるため、顆粒化され又は混合されるべき物質に接触する表面には、有利には、ナノコーティングが施される。
【0017】
適当に寸法決めされた本発明の装置は、非常に僅かなバッチ量を処理するために使用でき、他方、顆粒化チャンバ、チョッパ及び攪拌器ヘッドの幾何学的形状及び配置状態は、大量生産用に設計された装置に合うように選択されるのが良く、かくして、所謂スケールアップを何ら問題なく行うことができる。
【0018】
上述の特徴及び後で説明する特徴は、指定された特定の組合せだけでなく、他の組合せの状態で利用できることは理解されよう。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載にのみ基づいて定められる。
【0019】
次に、添付の図面を参照して例示の実施形態により本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の装置の分解組立て図である。
【図2】図1の装置の部分断面斜視図である。
【図3】本発明の装置用のインサート付き蓋の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本装置は、ゴム足1に取り付けられた基部フレーム2を有し、この基部フレーム上には、カスケード歯車箱4を備えたAC又はDCモータ3が固定されている。カスケード歯車箱4は、攪拌器ヘッド6のための駆動シャフト5に結合されている。加うるに、保持板7が、スペーサースリーブ8を介在させて基部フレーム1上に固定されており、保持板7は、顆粒化チャンバ10のためのチャンバホルダ9を取り付けるのに役立つ。顆粒化チャンバ10をチャンバホルダ9に対して定位置に固定するため、顆粒化チャンバ10は、その外周部に溝11を有し、チャンバホルダ9の対応の突出部が、これら溝内に嵌まり込んでいる。チャンバホルダ9への顆粒化チャンバ10の固定は、工具を用いる必要なく、組立てのための刻み付きねじ頭13を備えた横方向ねじ12を用いると共に顆粒化チャンバ10の基部を貫通して突き出たねじ14を用いて行われる。星形に互いに整列した3枚の攪拌羽根15を有する攪拌器ヘッド6は、駆動シャフト5への取付けのための刻み付きねじ頭17を備えたねじ18のための同心ボア16を有している。
【0022】
物質を微粉砕し又は顆粒化するため、チョッパ20が、十字の形に配置された4枚の細断羽根19を備えた状態で設けられており、このチョッパは、円周方向に、即ち側方に顆粒化チャンバ10内に突き出ていて、このチョッパは、水平に設けられたモータ21によって駆動される。モータ21は、モータマウント22を介して保持板7に連結されている。細断羽根19を取り付けたシャフト26を受け入れるためのドリルチャック25が、ドリルチャックホルダ24を介してモータシャフト23に固定されている。
【0023】
螺旋に曲げられた管27が、顆粒化チャンバ10の外周部に通され又は巻き付けられており、その端部28は各々、クイックリリース継手29を備えたホース30に連結されている。管27は、顆粒化チャンバ10の所望の一定の温度を達成するために、クイックリリース継手29を介して温度制御装置に連結されるのが良く、顆粒化チャンバの一定の温度は、融解顆粒化中に特に重要である。
【0024】
顆粒化チャンバ10は、頂部が蓋31で密閉されており、この蓋は、顆粒化チャンバ上にシールを形成し、この蓋は、ねじ32によって取り付けられた球形ノブ33を支持している。顆粒化チャンバ10の容量を減少させるインサート34が、ねじ35によって蓋31の下面に取り付けられている。インサート34は、その自由端部35から蓋31に向かって円錐状にテーパしており、インサート34の内壁36は、蓋に平行に延びて丸み37を包囲している端壁38に合体している。インサート34の外周部は、顆粒化チャンバ10内に密封的に嵌まり込むのに適した寸法のものである。
【0025】
本装置は、例えば、全長が約215mmであり、全幅が約105mmであり、全高が約185mmであり、本装置は、特に約5gから10gの重さの物質を処理するのに適している。
【0026】
本装置の非常にコンパクトな寸法にもかかわらず、顆粒化の本質的な特性の全てを正確に決定することができ、即ち、
・攪拌羽根及びチョッパモータの回転速度を、DCモータの場合に選択されるボルト値によって且つ(或いは)無接触式回転数カウンタによって正確に定めることができ、
・顆粒化物質の温度を上方から又は側方から挿入される温度センサによって正確に求めることができ、
・顆粒化質量の粘度を、攪拌器モータの駆動シャフトに加わるトルクを測定することにより又は攪拌器モータの電流消費量によって正確に求めることができる。
【0027】
これら測定データにより、顆粒化プロセスをスケールアップすることが容易になる。
【符号の説明】
【0028】
1 ゴム足
2 基部フレーム
3 DC又はACモータ
4 カスケード歯車箱
5 駆動シャフト
6 攪拌器ヘッド
7 保持板
8 スペーサースリーブ
9 チャンバホルダ
10 顆粒化チャンバ
11 溝
12 横方向ねじ
13 刻み付きねじ頭
14 ねじ
15 攪拌羽根
16 ボア
17 刻み付きねじ頭
18 ねじ
19 細断羽根
20 チョッパ
21 モータ
22 モータマウント
23 モータシャフト
24 ドリルチャックホルダ
25 ドリルチャック
26 シャフト
27 管
28 管27の端部
29 クイックリリース継手
30 ホース
31 蓋
32 ねじ
33 球形ノブ
34 インサート
35 端部
36 内壁
37 丸み又はアール
38 端壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に医薬有効物質の調合薬を顆粒化したり、混合したり、或いは、顆粒化して混合する装置であって、蓋(31)によって密閉可能な円筒形顆粒化チャンバ(10)を有し、前記顆粒化チャンバは、その基端部が回転攪拌器ヘッド(6)と関連すると共に、その周囲が回転可能なチョッパ(20)と関連しており、収容量を減少させるインサート(34)が、前記蓋(31)に取り付けられていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記インサート(34)は、その自由端部(35)から前記蓋(31)の方向に円錐状にテーパしていることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記インサート(34)の内壁(36)は、前記蓋(31)に平行に延びる端壁(38)に、丸みが形成された状態で、合体していることを特徴とする、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記インサート(34)及び前記蓋(31)のうちの少なくとも一方は、前記顆粒化チャンバ(10)内に密封的に挿入可能であることを特徴とする、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記インサート(34)は、前記蓋(31)にねじ止めされていることを特徴とする、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記顆粒化チャンバ(10)は、少なくとも1つの円周方向溝(11)を有し、静止チャンバホルダ(9)の対応の突出部が、前記円周方向溝内に嵌まり込んでいることを特徴とする、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記顆粒化チャンバ(10)は、前記チャンバホルダ(9)にねじ止めされていることを特徴とする、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記顆粒化チャンバ(10)には、管(27)が螺旋に巻き付けられていることを特徴とする、請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記管(27)は、ホース(30)を介して温度制御装置に取付け可能なクイックリリース継手(29)に連結されていることを特徴とする、請求項8記載の装置。
【請求項10】
温度調節式発熱箔又は温度調節式発熱ストリップが、前記顆粒化チャンバ(10)と関連していることを特徴とする、請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記攪拌器ヘッド(6)は、星形に互いに整列した3枚の攪拌羽根(15)を有し、前記攪拌器ヘッド(6)は、刻み付き頭を備えたねじによって駆動シャフト(5)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記攪拌羽根(15)の外径は、前記顆粒化チャンバ(10)の内径よりも僅かに小さいことを特徴とする、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記チョッパ(20)は、顆粒を掻き落とすために前記インサート(34)に適合するようになった複数枚の細断羽根(19)を有することを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項14】
顆粒化され又は混合されるべき物質に接触する表面には、ナノコーティングが施されていることを特徴とする、請求項1〜13のうちいずれか一項に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2010−500164(P2010−500164A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523252(P2009−523252)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058040
【国際公開番号】WO2008/017634
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】