顔のほか足や腕の毛を剃るための安全カミソリ
【課題】ガード部の有無にかかわらず、足や腕などを円滑に剃ることができる安全カミソリを提供する。
【解決手段】ハンドル1の上部に刃装置3を有する安全カミソリであって、刃装置3に対して可動の皮膚接触部材として、少なくとも一方が円柱状ローラーである先導皮膚接触部18と後続皮膚接触部20を設け、かつこのローラーの表面をシービングエイドで構成することで、顔のみならず、足や腕の毛をも円滑に剃れるようにする。
【解決手段】ハンドル1の上部に刃装置3を有する安全カミソリであって、刃装置3に対して可動の皮膚接触部材として、少なくとも一方が円柱状ローラーである先導皮膚接触部18と後続皮膚接触部20を設け、かつこのローラーの表面をシービングエイドで構成することで、顔のみならず、足や腕の毛をも円滑に剃れるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は安全カミソリに関する。主に女性用として開発されたもので、顔のほか足や腕の毛を剃ることに向いている安全カミソリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から皮膚接触部材が刃装置に対して移動可能に取り付けられた安全カミソリは存在する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実公昭58−51897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、特に足や腕の毛を円滑に剃ることを課題とする。また、女性が使用するときに皮膚に鋭い刃が当たることの恐怖感をやわらげることを課題とする。皮膚接触部材の一種であるガード部材が刃装置に対して移動可能である安全カミソリは前記特許文献1に記載されている。通常の安全カミソリはガード部が固定されている。特許文献1の安全カミソリは、係止装置によってガード部材の移動を段階的に変えることができるものであって、使用前にガード部材をあらかじめ希望する位置に固定して使用する。したがって、ガード部材が使用中に自動的に移動することはなく、一度設定した位置で使用し続けることになる。
【0004】
また、特許文献1に記載の安全カミソリはヒゲ剃り専用である。この安全カミソリも含めて、通常の安全カミソリは刃先の前方にガード部を有しており、このガード部によってヒゲ剃り時における剃り角度が決定される。剃り角度とは、刃先からガード部の表面に引いた接線と、刃体表面とのなす角度をいう。特許文献1のガード部は移動可能であるが使用中は固定されており、ガード部が固定された通常の安全カミソリのガード部と同じ作用をするのである。近年、このような安全カミソリのガード部に使用時に皮膚の滑りを良くするためのシェービングエイドが形成されている。従来の安全カミソリのガード部は細く幅が狭く形成されている。その理由は、ガード部を太く幅広に形成すると、ガード部の前縁付近に皮膚が当たったときに、幅広のガード部の前縁付近部分が邪魔をして刃先が皮膚に届かないのである。したがって、従来はガード部は幅広でなかった。そして、幅の狭いガード部にシェービングエイドを形成するのであるから、使用時においてシェービングエイドが溶け出して皮膚上に供給される量はさほど多くない。ヒゲ剃りは顔の一部を剃るのであるからそのような比較的少ない供給であっても十分である。
【0005】
しかし、足や腕などの皮膚の広い部分を剃るときはそのような少ない供給量では十分な円滑性を得ることができない。そこで本発明は、安全カミソリが従来のガード部を有しているかいないかにかかわらず、従来のガード部と構成が異なる皮膚接触部材を設け、使用時にシェービングエイドを十分に供給することができるようにして、足や腕などを円滑に剃ることができることを目的とする。
【0006】
また、前方に刃先が延びるカミソリは鋭い刃先が露出しているので恐怖感を覚える使用者が存在する。安全カミソリは、その恐怖感をやわらげ安全に使用できるようにしたもので、その役目を果たすのが安全カミソリに設けられた従来から存在するガード部である。しかし、それでも女性が足や腕などを剃るときは恐怖感を覚える場合がある。そこで本発明は、ガード部を設けない安全カミソリであっても、あるいはガード部を有する安全カミソリであってもさらに、皮膚接触部材を設けて恐怖感を減じることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に本発明の請求項1の構成を説明すると、ハンドルの上部に刃装置を有する安全カミソリであって、前記刃装置に対して可動の皮膚接触部材を含み、前記刃装置はその長さ方向に延びる刃体を有し、該刃体の前方で刃体と平行に延びる先導皮膚接触部が前記皮膚接触部材に設けられ、安全カミソリの使用中に、前記先導皮膚接触部が刃体の前で刃体に対して揺動可能となるように皮膚接触部材がハンドル又は刃装置に取り付けられている構成である。
【0008】
請求項2は、ハンドルの上部に刃装置を有する安全カミソリであって、前記刃装置に対して可動の皮膚接触部材を含み、前記刃装置はその長さ方向に延びる刃体を有し、該刃体の後方で刃体と平行に延びる後続皮膚接触部が前記皮膚接触部材に設けられ、安全カミソリの使用中に、前記後続皮膚接触部が刃体の後で刃体に対して揺動可能となるように皮膚接触部材がハンドル又は刃装置に取り付けられている構成である。
【0009】
請求項3は、ハンドルの上部に刃装置を有する安全カミソリであって、前記刃装置に対して可動の皮膚接触部材を含み、前記刃装置は横方向に延びる刃体を有し、該刃体の前方で刃体と平行に延びる先導皮膚接触部及び前記刃体の後方で刃体と平行に延びる後続皮膚接触部が前記皮膚接触部材に設けられ、安全カミソリの使用中に、前記先導皮膚接触部と前記後続皮膚接触部が刃体の前後で刃体に対して揺動可能となるように皮膚接触部材がハンドル又は刃装置に取り付けられている構成である。
【0010】
請求項4は、刃装置は、ハンドルと別体に形成されて替刃を構成し、この替刃をハンドルに着脱自在に取り付けるための結合構造を有し、且つ皮膚接触部材がハンドル又は刃装置に取り付けられている要素が請求項1乃至請求項3に付加されている構成である。
【0011】
請求項5は、皮膚接触部材は、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部を連結部で一体的に連結して構成され、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部が一体的に揺動する要素が請求項3又は請求項4に付加された構成である。
【0012】
請求項6は、皮膚接触部材が、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部と1又は2つの連結部で構成され前記刃装置の周囲を囲んでいる要素が請求項5に付加された構成である。
【0013】
請求項7は、皮膚接触部材が、刃体の長さ方向に延びる揺動軸線を中心に揺動することにより、各皮膚接触部が刃体に対して揺動する要素が請求項1乃至請求項6に付加された構成である。
【0014】
請求項8は、揺動軸線が前記連結部の中心を通り、皮膚接触部材全体が揺動軸線を中心とするシーソー運動状に揺動する要素が請求項5又は請求項6に付加された構成である。
【0015】
請求項9は、皮膚接触部材が刃装置に対して上下に移動可能で、その移動範囲の上端及び下端で前記皮膚接触部材の上下の移動を固定するための手段を備えている要素が請求項3乃至請求項8に付加された構成である。
【0016】
請求項10は、皮膚接触部材は、接続体を介してハンドル又は刃装置に取り付けられ、該接続体は刃装置に対して相対的に上下に移動可能であってその移動範囲の上端及び下端で固定するための手段を有し、皮膚接触部材が前記接続体に対して揺動可能にジャーナル結合され、その結合によって皮膚接触部材が揺動可能で且つ接続体と共に上下に移動可能である要素が請求項9に付加された構成である。
【0017】
請求項11は、刃装置と接続体と皮膚接触部材が一体的に組み合わされて替刃を構成し、この替刃をハンドルに着脱自在に取り付けるための結合構造を有する要素が請求項10に付加された構成である。
【0018】
請求項12は、刃装置の頭部上面が弧状に形成され、頭部に少なくとも1枚の刃体が装着されており、皮膚接触部材が上下に移動可能であるときは上端の位置にあるとき、皮膚接触部材の揺動中に、先導皮膚接触部の最も高い位置と後続皮膚接触部の最も高い位置を結ぶ共通接線に対する前記頭部の突出量はマイナス1.2mm以上プラス1.2mm以下である要素が請求項3乃至請求項11に付加された構成である。
【0019】
請求項13は、先導皮膚接触部又は後続皮膚接触部の少なくとも一方の表面に窓部が設けられ、皮膚接触部の内部に装着された回動体の一部が前記窓部から覗いている要素が請求項1乃至請求項12に付加された構成である。
【0020】
請求項14は、窓部が複数個設けられ、各窓部から覗く各回転体は単一の軸で一体に連結されており一体的に回動する要素が請求項13に付加された構成である。
【0021】
請求項15は、先導皮膚接触部又は後続皮膚接触部の少なくとも一方が円柱状ローラーであって回動可能に皮膚接触部材に結合され、該ローラーの表面はシェービングエイドで構成されている要素が請求項1乃至請求項14に付加された構成である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1は、ハンドルの上部に刃装置を有する安全カミソリであって、刃装置に対して可動の皮膚接触部材を含み、先導皮膚接触部が皮膚接触部材に設けられ、安全カミソリの使用中に、先導皮膚接触部が刃体の前で刃体に対して揺動可能となる構成である。従来の安全カミソリに設けられたガード部は、刃体の前で且つ刃体よりも下方に延在していた。これに対して本発明は、使用中に皮膚に対するハンドルの角度が頻繁に変化しても、その変化に対応して先導皮膚接触部が揺動するのでシェービングエイドがなくても円滑に毛を剃ることができる。また、皮膚の凹凸にも的確に対応して円滑に毛を剃ることができる。さらに、先導皮膚接触部は刃体の前で揺動可能であるから、先導皮膚接触部の幅を広くしても刃体による毛の切断作用を邪魔することがない。したがって、先導皮膚接触部に幅広のシェービングエイドを形成することができる。シェービングエイドを幅広に形成すれば手足のような広い部分の毛を剃るときもシェービングエイドを十分に供給できる。さらに、刃先が常に露出しているので女性の中には恐怖感を覚える人もいた。本発明は、先導皮膚接触部が刃体の前で揺動可能であるから先導皮膚接触部が刃先の正面にかかることが多く、刃先が常に露出することがなく使用者に恐怖感を与えない。
【0023】
請求項2は、ハンドルの上部に刃装置を有する安全カミソリであって、刃装置に対して可動の皮膚接触部材を含み、後続皮膚接触部が皮膚接触部材に設けられ、安全カミソリの使用中に、後続皮膚接触部が刃体の後ろで刃体に対して揺動可能となる構成である。したがって、請求項1と同じように、使用中に皮膚に対するハンドルの角度が頻繁に変化しても、その変化に対応して後続皮膚接触部が揺動するので円滑に毛を剃ることができる。また、後続皮膚接触部は刃体の後ろで揺動可能であるから、後続皮膚接触部の幅を広くしても刃体による毛の切断作用を邪魔することがない。したがって、後続皮膚接触部に幅広のシェービングエイドを形成することができる。シェービングエイドを幅広に形成すれば手足のような広い部分の毛を剃るときもシェービングエイドを十分に供給できる。
【0024】
請求項3は、ハンドルの上部に刃装置を有する安全カミソリであって、刃装置に対して可動の皮膚接触部材を含み、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部が皮膚接触部材に設けられ、安全カミソリの使用中に、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部が刃体の前後で刃体に対して揺動可能となる構成である。したがって、使用中に皮膚に対するハンドルの角度が頻繁に変化しても、その変化に対応して先導皮膚接触部と後続皮膚接触部が揺動するのでシェービングエイドがなくても円滑に毛を剃ることができる。また、先導皮膚接触部は刃体の前で揺動可能であり、後続皮膚接触部は刃体の後ろで揺動可能であるから、両皮膚接触部の幅を広くしても刃体による毛の切断作用を邪魔することがない。したがって、両皮膚接触部に幅広のシェービングエイドを形成することができる。シェービングエイドを幅広に形成すれば手足のような広い部分の毛を剃るときもシェービングエイドを十分に供給できる。さらに、刃先が常に露出しているので女性の中には恐怖感を覚える人もいた。本発明は、先導皮膚接触部が刃体の前で揺動可能であるからその先導皮膚接触部が刃先の正面にかかることが多く、刃先が常に露出することがなく使用者に恐怖感を与えない。また、使用中に片方の皮膚接触部だけが皮膚に当たる場合もあるが両方の皮膚接触部が同時に皮膚に当たることもある。そのときは、毛の切断時には刃装置の前後にある皮膚接触部で皮膚を支持するので安定する。皮膚接触部を幅広にすればさらに安定する。
【0025】
請求項4は、替刃をハンドルに着脱自在に取り付けるための結合構造を有し、且つ皮膚接触部材がハンドル又は刃装置に取り付けられている。したがって、安全カミソリを替刃式にして前記請求項1から請求項3の効果を得ることができる。
【0026】
請求項5は、皮膚接触部材が、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部を連結部で一体的に連結して構成され、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部が一体的に揺動する構成である。したがって、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部を有する皮膚接触部材を一体に形成できるので製造が簡単で、ハンドルや刃装置への取り付けも皮膚接触部ごとに行う必要がなく構造が複雑になることがない。
【0027】
請求項6は、皮膚接触部材が、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部と1又は2つの連結部で構成され前記刃装置の周囲を囲んでいる構成である。したがって、連結部を刃装置の外側に取り付ければよいので、皮膚接触部材のハンドルへの取り付けを簡単に行うことができる。
【0028】
請求項7は、皮膚接触部材が、刃体の長さ方向に延びる揺動軸線を中心に揺動することにより、各皮膚接触部が刃体に対して揺動する構成である。したがって、一方の皮膚接触部が上方に揺動すればそれに対応して他方の皮膚接触部が下方に揺動するので、使用中に双方の皮膚接触部が接近して作業に支障をきたすことを防止できる。
【0029】
請求項8は、揺動軸線が連結部の中心を通り、皮膚接触部材全体が揺動軸線を中心とするシーソー運動状に揺動する構成である。したがって、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部の中心軸は共に刃装置からほぼ等しく離れるので、使用時に双方の皮膚接触部がバランス良く皮膚に当たる。
【0030】
請求項9は、皮膚接触部材が刃装置に対して上下に移動可能で、その移動範囲の上端及び下端で前記皮膚接触部材の上下の移動を固定するための手段を備えている構成である。したがって、皮膚接触部材を下端に固定したときは刃装置が突出するので、皮膚の凹状部分などの毛を剃るときに皮膚接触部材が邪魔にならない。皮膚接触部材の位置を選択できるから剃る場所に応じて変えることができる。
【0031】
請求項10は、皮膚接触部材が、接続体を介してハンドル又は刃装置に取り付けられ、接続体は刃装置に対して相対的に上下に移動可能であってその移動範囲の上端及び下端で固定するための手段を有し、皮膚接触部材が接続体に対して揺動可能にジャーナル結合され、その結合によって皮膚接触部材が揺動可能で且つ接続体と共に上下に移動可能である構成である。皮膚接触部材を直接的にハンドル又は刃装置に取り付けるときは、皮膚接触部材に取り付けのための結合装置のほかに、揺動装置と上下に移動可能にする装置を設けなければならず構造が複雑になる。接続体を使用すれば皮膚接触部材の構造が簡単となるから製造が容易である。
【0032】
請求項11は、刃装置と接続体と皮膚接触部材が一体的に組み合わされて替刃を構成し、この替刃をハンドルに着脱自在に取り付けるための結合構造を有する構成である。したがって、刃の切れ味が落ちたときに交換可能であってハンドルを長期間に亘って使用できる。
【0033】
請求項12は、刃装置の頭部上面が弧状に形成され、頭部に少なくとも1枚の刃体が装着されており、皮膚接触部材が上下に移動可能であるときは上端の位置にあるとき、皮膚接触部材の揺動中に、先導皮膚接触部の最も高い位置と後続皮膚接触部の最も高い位置を結ぶ共通接線に対する前記頭部の突出量はマイナス1.2mm以上プラス1.2mm以下の構成である。頭部の突出量がこのような数値であるときは使用中に頭部が強すぎない力で皮膚に当たる。そして、頭部上面が弧状であるから皮膚の上を円滑に滑る。頭部に複数の刃体を設ければ、皮膚接触部材の揺動中、常時少なくとも1つの刃先を皮膚に接触させておくことができる。
【0034】
請求項13は、先導皮膚接触部又は後続皮膚接触部の少なくとも一方の表面に窓部が設けられ、皮膚接触部の内部に装着された回動体の一部が前記窓部から覗いている構成である。使用中、窓部から覗く回動体が皮膚上を転がりながら皮膚を圧迫するのでマッサージ効果を得ることができる。
【0035】
請求項14は、窓部が複数個設けられ、各窓部から覗く各回転体は単一の軸で一体に連結されており一体的に回動する構成である。したがって、回転体の回転速度は同じであるから全部の回転体が一様に円滑に回転する。したがって、皮膚接触部が皮膚の上を円滑に滑り、且つ複数の回転体によりマッサージ効果をさらに高めることができる。
【0036】
請求項15は、先導皮膚接触部又は後続皮膚接触部の少なくとも一方が円柱状ローラーであって回動可能に皮膚接触部材に結合され、ローラーの表面はシェービングエイドで構成されている構成である。本発明は、使用中に皮膚接触部が揺動する構成である。したがって、皮膚接触部を幅広にしたり太くしたりしても毛の切断作業に支障をきたすことがない。したがって、ローラーを太くすることによって手足のような広い部分の毛を剃るときに、皮膚にシェービングエイドを十分に供給できるので常に円滑な作業をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
次に本発明を実施するための最良の形態について説明する。この形態の安全カミソリはハンドル1に替刃2を着脱自在に取り付けることのできる替刃式のものである。替刃2は刃装置3と皮膚接触部材4とを含む。図8に示すように刃装置3は、その基台5と別体の刃カートリッジ6とから成り、刃カートリッジ6は基台の両側壁15,15の間にはめ込まれており、着脱自在にすることもできる。したがって、刃カートリッジ6のみを交換することができる。この刃カートリッジ6は上面が弧状に形成され、刃カートリッジ6の前から順に3つの刃先12,13,14が覗いている。一番後ろの刃先14は刃カートリッジの頂部よりも後ろに存在している。中央の刃先13はほぼ頂部に存在しているが、頂部の前又は後ろに存在してもよい。このように、刃先がひとつの平面上にないので、使用時にすべての刃先が皮膚に接触しない場合がある。刃カートリッジ6が刃装置3の頭部を構成する。本発明において、刃カートリッジ6の上面は弧状のものに限定されることはない。例えば、図14に示す従来品のように刃台の上に刃体がのせられ、その刃体の上に板状の天板がのせられて、刃体が刃台と天板との間に挟着固定された刃装置であってもよい。このような板状の天板の上面は弧状でなく平坦に形成されていて弧状ではない。
【0038】
図5に示すように先導皮膚接触部18の最も高い位置と後続皮膚接触部20の最も高い位置を結ぶ共通接線41に対する刃カートリッジ6すなわち頭部の突出量はマイナス1.2mm以上プラス1.2mm以下である。図6に示すように、皮膚接触部材4の揺動中もこの数値の範囲内である。刃カートリッジ6の上面を弧状にすることにより、刃カートリッジ6の突出量を揺動中一定にすることができる。
【0039】
基台5の胴部7は矩形に形成され、その両側面8の中ほどの高さよりやや下の位置にはそれぞれ2つの係止突部9,9が形成されている。この係止突部9,9は弾性片に一体に形成され側面8に没入可能である。基台5の両端面10の下端よりやや下方にはそれぞれ1つの係止突部11が形成されている。この係止突部11は弾性片16に一体に形成され端面10よりも中に没入可能である。基台5の底部には結合片17が一体に形成されている。この結合片17をハンドル1の上端に設けられた開口部に挿入し、結合片17の下端に形成された係止突部43を開口部内の結合構造に係止して替刃2をハンドル1に結合する。図4に示すように係止片17には矢印が表示されているが、これは係止片17の差込み方向を示すものである。
【0040】
皮膚接触部材4は矩形の枠状に形成されており、先導皮膚接触部18に円柱状のローラー25が回動可能に取り付けられている。このローラー25の表面にはシェービングエイドが形成されている。シェービングエイドには、例えば香料、化粧水、乳液、止血剤、毛成長抑制剤、脱毛剤、髭軟化剤、植物性女性ホルモン様成分、吸水発熱剤などが添加される。具体的には、ビタミンA、ビタミンC、ハイドロキノン、アルファ-アルブチン、コラーゲン、レチノイン酸、セラミド、ヒアルロン酸、リピジュア、アミノ酸、大豆エキス(フラボステロン)、パパイヤエキス(パパイン酵素)、イソフラボン、アロエベラエキス、ヒオウギエキス、オトギリソウエキス、スギナエキス、レモンエキス、海藻エキス、オウゴンエキス、センブリエキス、チョウジエキス、カンゾウエキス、サンショウエキス、ジオウエキス、ニンジンエキス、ローズマリーエキス、ラカンマキエキス、アマチャズルエキス、ヘンナ葉エキス、紫根エキス、ホップエキス、ヨクイニンエキス、米胚芽エキス等を0.05〜10重量%添加することができる。これらを添加することにより、美肌効果、保湿効果、毛成長抑制や脱毛効果が付与される。このようなシェービングエイドを形成したローラー25を成形する方法としては、射出成形及び押出し成形が可能で、芯に硬質樹脂を設ける場合は射出の2回成形や、同時押出し成形により芯材の周囲をシェービングエイドで覆うこともできる。また、ローラー25の表面の長手方向に複数の溝19が形成されており、使用時にローラー25の回動を容易にすることができるので、シェービングエイドが全面的に均一に消耗する。溝19に代えてリブを設けてもよい。円柱形ローラー25の直径は好ましくは7.5mm前後であるがこの数値に限定されないことは勿論である。3mm〜4mm、4mm〜7.5mmでもよく、7.5mm〜10mm程度であってもよい。この数値は従来のガード部よりもかなり大きな数値であり、足や腕などのように広い部分を剃るときにシェービングエイドを十分に供給することができる。
【0041】
ローラー25を形成するものとしては、金属、硬質樹脂、エラストマーなどの柔軟な樹脂、軽石のような硬質の多孔質体、スポンジのような柔軟な多孔質体が用いられる。多孔質体の場合は、固形、半流動状又は液状のシェービングエイドを含浸することもできる。シェービングエイドを含浸することにより、ローラー25の表面にシェービングエイドが形成される。このようなローラー25を刃装置3の後ろに設けてもよい。ローラー25に代えて回転しない平坦なシェービングエイド面を設けてもよい。
【0042】
後続皮膚接触部20はその上面が皮膚接触面21に形成されている。この皮膚接触面21は曲率半径が8mm以上の緩やかな曲面に形成されている。曲率半径は好ましくは12mmから20mmであるが、10mmでもよく22mmや24mmでもよくそれ以上であってもよい。曲面でなく平坦であってもよい。後続皮膚接触部20の前後方向の幅は約7.5mmである。皮膚接触部材4の前後方向の幅は約28.5mmであり、刃カートリッジ6の前後方向の幅は約10.5mmである。このことからも、前述した先導皮膚接触部18に取り付けられたローラー25や後続皮膚接触部20の前後幅が刃カートリッジ6の前後幅に対して大きな割合を有していることが理解できる。
【0043】
前記皮膚接触面21には3つの窓部が設けられており、それぞれの窓部22から円板状ローラー23が覗いている。これら3つの円板状ローラー23は1本の軸で連結されており、皮膚接触面21の下でジャーナル結合されている。円板状ローラー23の材料としては硬質樹脂のほか金属などであってもよい。複数の円板状ローラー23をすべて同じ材料で形成してもよく、異なる材料を組み合わせてもよい。円板状ローラー23に代えてボールをコイルスプリングなどで支持して窓部22から覗かせてもよい。
【0044】
皮膚接触面21の両端付近には孔部24,24が設けられている。孔部24,24の内側に固形石鹸が収納されている。シェービングエイドに添加される成分として段落「0040」に挙げた成分をこの固形石鹸に添加してもよい。これら円板状ローラー23や固形石鹸は存在しなくてもよく、いずれか一方のみ存在してもよい。これらの代わりに、使用中に皮膚との接触を円滑にできる他の手段を用いてもよい。
【0045】
前記先導皮膚接触部18と後続皮膚接触部20のそれぞれの端部同士は連結部26,26で一体に連結されて皮膚接触部材4は全体的に矩形の枠状に形成されている。連結部26は上下の幅が狭く形成され、その両端部に設けられた先導皮膚接触部18と後続皮膚接触部20は連結部26よりも上方に延びている。したがって、図5に示すように皮膚接触部材4はコ字形をなしている。コ字形であるから、皮膚接触部材4が揺動したときにコ字形の中にある刃装置3に皮膚接触部材4の一部が当たって揺動が一定の角度で規制される。後述するように皮膚接触部材4が刃装置3に対して下方に移動したときも同様である。連結部26の中央下部に軸受け部27が一体に設けられ、その内面にジャーナル軸受け(図示せず。)が形成されている。
【0046】
刃装置3に皮膚接触部材4を結合するための接続体28が枠状の皮膚接触部材4の枠内に取り付けられている。図9又は図10に示すように接続体28は矩形の枠状に形成され、接続体28の両側部の外面にジャーナル軸42,42が設けられ、このジャーナル軸42,42が連結部26,26の軸受け部27に形成されているジャーナル軸受けとジャーナル結合している。接続体28はこのジャーナル結合によりジャーナル軸線を中心にシーソーのように揺動する。揺動軸線は刃体よりも下方に存在する。
【0047】
図10に示すように、接続体28の枠内に刃装置の基台5の胴部7が移動可能に嵌挿する。接続体28は胴部7に対して上下に移動可能で、移動範囲の上端位置と下端位置で固定される。固定手段は、基台5の側面8に設けられた係止突部9,9と端面10に設けられた係止突部11である。接続体28が上端位置にあるときは、接続体28の下端縁が係止突部9,9に係止して下がることがなくその位置で固定される。
【0048】
接続体28を下端位置まで移動させるために接続体28を下方に引くと、接続体28が係止突部9を側面8内に押し込みながら下降する。接続体28が係止突部9を完全に乗り越えたときに、接続体28の下端縁は係止突部11に係止する。そのとき、接続体28の上端縁は元の位置に復帰した係止突部9,9によって係止され上方にずれることはなく固定される。本発明の皮膚接触部材はこのように上下に移動する構成のものに限定されるものではなく、刃装置3に対し上下方向には固定的に設けられたものでもよい。特に、皮膚接触部材4を刃装置3に対し上下方向に固定的に設けたときは、これらの間に弾性部材を介在させることによって、皮膚接触部材4が弾性的に揺動するものとすることができる。また、弾性部材を刃装置の前後に設けたときは皮膚接触部材4の初期位置は水平であり、弾性部材を片側に設けたときは皮膚接触部材4が他方に揺動した状態の初期位置となる。なお、皮膚接触部材4の前後が入れ替わって、前述した先導皮膚接触部18の構造を後続皮膚接触部20の構造とし、後続皮膚接触部20の構造を先導皮膚接触部18の構造としてもよい。なお、刃装置と皮膚接触部材は皮膚に直接接触する部材である。これらは、赤色の色彩以外の色にすることが好ましい。安全カミソリの使用の前後に、これらの部材に血液が付着しているときに部材が赤色であると血液を確認しづらいからである。また、これらの部材を赤色にすると血液を連想して、露出した刃先と相俟って使用者に対して恐怖感を与えかねないからである。例えば、白色、緑色、水色あるいは淡いピンク色であれば血液の付着をすぐに確認できるし、恐怖感を与えることがない。
【0049】
図12に示すローラー29は前述したローラー25に代えて使用ことができる。すなわち、先導皮膚接触部18又は後続皮膚接触部20に軸30を中心に回動可能に取り付けて使用する。このローラー29は長さ方向に延びる軸30の周囲に多数の円板状の櫛歯31を並べて設けてある。この櫛歯31によって手足の毛をそるときにマッサージ作用をなす。さらに、手足の長めの毛や髪の毛を切断するときに櫛歯31が毛を梳きながら切断するので、毛をむらなく切断できる。このローラー29は図面に示した安全カミソリに使用できるが、さらにローラー29が刃体に対して揺動不能に固定され回動のみする安全カミソリとして使用できる。また、替刃式の安全カミソリでなく、ハンドルの上端に刃装置が一体的に設けられた安全カミソリであっても使用できる。ローラー29は主にプラスチックで形成されるが金属等の他の材料であってもよい。また、ローラー29の表面にシェービングエイドを形成してもよい。なお、各櫛歯31の間隔は1mm〜10mmが好ましく、各櫛歯31の厚みは0.5mm〜5mmが好ましく、各櫛歯31の直径は3mm〜16mmが好ましい。櫛歯の直径と厚みの比率については、直径は厚みの2倍以上であることが好ましい。各櫛歯の間隔は櫛歯の厚みよりも広いことが好ましい。
【0050】
図13に示すように替刃2はケース32に収納することができる。ケース32は矩形に形成された2つの収納部33,33を一体に連結したもので全体が一体成形である。替刃2は収納部33に逆さに収納される。収納部33の端面34の内面に係止突部35が形成され、基台の側壁15の下端縁36がその係止突部35に係止して替刃2の自然の抜け出しを防止する。側壁15の下端縁36は図11に示す替刃のキャップ37を係止する作用もなす。図11に示すように替刃2にはキャップ37を装着できる。キャップ37の端面の内面に係止突部(図示せず。)が形成され、キャップ37を替刃2に装着したときにその係止突部が側壁15の下端縁36に係止する。
【0051】
ケース32のそれぞれの収納部33に蓋38が設けられている。蓋38はヒンジ39で収納部33の壁と一体に結合し、ヒンジ39を中心に回動することにより開閉される。蓋38のヒンジ39と反対側の下縁に係止部40が設けられ、蓋38を閉じたときにこの係止部40が収納部33の壁の外側に設けられた係止部に係止する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の側面図
【図2】替刃の上面図
【図3】替刃の底面図
【図4】替刃の後面図
【図5】替刃の側面図
【図6】替刃の皮膚接触部材の揺動状態図
【図7】替刃の皮膚接触部材の上下移動図
【図8】刃装置の斜視図
【図9】皮膚接触部材と接続体を組み合わせた斜視図
【図10】刃装置の前面図
【図11】替刃にキャップを装着した斜視図
【図12】ローラーの他の実施例を示す斜視図
【図13】替刃のケースの断面図
【図14】他の刃装置を使用した模式図
【符号の説明】
【0053】
1 ハンドル
2 替刃
3 刃装置
4 皮膚接触部材
5 基台
6 刃カートリッジ
7 胴部
8 基台の側面
9 係止突部
10 端面
11 係止突部
12 刃先
13 刃先
14 刃先
15 側壁
16 弾性片
17 結合片
18 先導皮膚接触部
19 溝
20 後続皮膚接触部
21 皮膚接触面
22 窓部
23 円板状ローラー
24 孔部
25 ローラー
26 連結部
27 軸受け部
28 接続体
29 ローラー
30 軸
31 櫛歯
32 ケース
33 収納部
34 端面
35 係止突部
36 下端縁
37 キャップ
38 蓋
39 ヒンジ
40 係止部
41 共通接線
42 ジャーナル軸
43 係止突部
【技術分野】
【0001】
本発明は安全カミソリに関する。主に女性用として開発されたもので、顔のほか足や腕の毛を剃ることに向いている安全カミソリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から皮膚接触部材が刃装置に対して移動可能に取り付けられた安全カミソリは存在する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実公昭58−51897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、特に足や腕の毛を円滑に剃ることを課題とする。また、女性が使用するときに皮膚に鋭い刃が当たることの恐怖感をやわらげることを課題とする。皮膚接触部材の一種であるガード部材が刃装置に対して移動可能である安全カミソリは前記特許文献1に記載されている。通常の安全カミソリはガード部が固定されている。特許文献1の安全カミソリは、係止装置によってガード部材の移動を段階的に変えることができるものであって、使用前にガード部材をあらかじめ希望する位置に固定して使用する。したがって、ガード部材が使用中に自動的に移動することはなく、一度設定した位置で使用し続けることになる。
【0004】
また、特許文献1に記載の安全カミソリはヒゲ剃り専用である。この安全カミソリも含めて、通常の安全カミソリは刃先の前方にガード部を有しており、このガード部によってヒゲ剃り時における剃り角度が決定される。剃り角度とは、刃先からガード部の表面に引いた接線と、刃体表面とのなす角度をいう。特許文献1のガード部は移動可能であるが使用中は固定されており、ガード部が固定された通常の安全カミソリのガード部と同じ作用をするのである。近年、このような安全カミソリのガード部に使用時に皮膚の滑りを良くするためのシェービングエイドが形成されている。従来の安全カミソリのガード部は細く幅が狭く形成されている。その理由は、ガード部を太く幅広に形成すると、ガード部の前縁付近に皮膚が当たったときに、幅広のガード部の前縁付近部分が邪魔をして刃先が皮膚に届かないのである。したがって、従来はガード部は幅広でなかった。そして、幅の狭いガード部にシェービングエイドを形成するのであるから、使用時においてシェービングエイドが溶け出して皮膚上に供給される量はさほど多くない。ヒゲ剃りは顔の一部を剃るのであるからそのような比較的少ない供給であっても十分である。
【0005】
しかし、足や腕などの皮膚の広い部分を剃るときはそのような少ない供給量では十分な円滑性を得ることができない。そこで本発明は、安全カミソリが従来のガード部を有しているかいないかにかかわらず、従来のガード部と構成が異なる皮膚接触部材を設け、使用時にシェービングエイドを十分に供給することができるようにして、足や腕などを円滑に剃ることができることを目的とする。
【0006】
また、前方に刃先が延びるカミソリは鋭い刃先が露出しているので恐怖感を覚える使用者が存在する。安全カミソリは、その恐怖感をやわらげ安全に使用できるようにしたもので、その役目を果たすのが安全カミソリに設けられた従来から存在するガード部である。しかし、それでも女性が足や腕などを剃るときは恐怖感を覚える場合がある。そこで本発明は、ガード部を設けない安全カミソリであっても、あるいはガード部を有する安全カミソリであってもさらに、皮膚接触部材を設けて恐怖感を減じることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に本発明の請求項1の構成を説明すると、ハンドルの上部に刃装置を有する安全カミソリであって、前記刃装置に対して可動の皮膚接触部材を含み、前記刃装置はその長さ方向に延びる刃体を有し、該刃体の前方で刃体と平行に延びる先導皮膚接触部が前記皮膚接触部材に設けられ、安全カミソリの使用中に、前記先導皮膚接触部が刃体の前で刃体に対して揺動可能となるように皮膚接触部材がハンドル又は刃装置に取り付けられている構成である。
【0008】
請求項2は、ハンドルの上部に刃装置を有する安全カミソリであって、前記刃装置に対して可動の皮膚接触部材を含み、前記刃装置はその長さ方向に延びる刃体を有し、該刃体の後方で刃体と平行に延びる後続皮膚接触部が前記皮膚接触部材に設けられ、安全カミソリの使用中に、前記後続皮膚接触部が刃体の後で刃体に対して揺動可能となるように皮膚接触部材がハンドル又は刃装置に取り付けられている構成である。
【0009】
請求項3は、ハンドルの上部に刃装置を有する安全カミソリであって、前記刃装置に対して可動の皮膚接触部材を含み、前記刃装置は横方向に延びる刃体を有し、該刃体の前方で刃体と平行に延びる先導皮膚接触部及び前記刃体の後方で刃体と平行に延びる後続皮膚接触部が前記皮膚接触部材に設けられ、安全カミソリの使用中に、前記先導皮膚接触部と前記後続皮膚接触部が刃体の前後で刃体に対して揺動可能となるように皮膚接触部材がハンドル又は刃装置に取り付けられている構成である。
【0010】
請求項4は、刃装置は、ハンドルと別体に形成されて替刃を構成し、この替刃をハンドルに着脱自在に取り付けるための結合構造を有し、且つ皮膚接触部材がハンドル又は刃装置に取り付けられている要素が請求項1乃至請求項3に付加されている構成である。
【0011】
請求項5は、皮膚接触部材は、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部を連結部で一体的に連結して構成され、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部が一体的に揺動する要素が請求項3又は請求項4に付加された構成である。
【0012】
請求項6は、皮膚接触部材が、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部と1又は2つの連結部で構成され前記刃装置の周囲を囲んでいる要素が請求項5に付加された構成である。
【0013】
請求項7は、皮膚接触部材が、刃体の長さ方向に延びる揺動軸線を中心に揺動することにより、各皮膚接触部が刃体に対して揺動する要素が請求項1乃至請求項6に付加された構成である。
【0014】
請求項8は、揺動軸線が前記連結部の中心を通り、皮膚接触部材全体が揺動軸線を中心とするシーソー運動状に揺動する要素が請求項5又は請求項6に付加された構成である。
【0015】
請求項9は、皮膚接触部材が刃装置に対して上下に移動可能で、その移動範囲の上端及び下端で前記皮膚接触部材の上下の移動を固定するための手段を備えている要素が請求項3乃至請求項8に付加された構成である。
【0016】
請求項10は、皮膚接触部材は、接続体を介してハンドル又は刃装置に取り付けられ、該接続体は刃装置に対して相対的に上下に移動可能であってその移動範囲の上端及び下端で固定するための手段を有し、皮膚接触部材が前記接続体に対して揺動可能にジャーナル結合され、その結合によって皮膚接触部材が揺動可能で且つ接続体と共に上下に移動可能である要素が請求項9に付加された構成である。
【0017】
請求項11は、刃装置と接続体と皮膚接触部材が一体的に組み合わされて替刃を構成し、この替刃をハンドルに着脱自在に取り付けるための結合構造を有する要素が請求項10に付加された構成である。
【0018】
請求項12は、刃装置の頭部上面が弧状に形成され、頭部に少なくとも1枚の刃体が装着されており、皮膚接触部材が上下に移動可能であるときは上端の位置にあるとき、皮膚接触部材の揺動中に、先導皮膚接触部の最も高い位置と後続皮膚接触部の最も高い位置を結ぶ共通接線に対する前記頭部の突出量はマイナス1.2mm以上プラス1.2mm以下である要素が請求項3乃至請求項11に付加された構成である。
【0019】
請求項13は、先導皮膚接触部又は後続皮膚接触部の少なくとも一方の表面に窓部が設けられ、皮膚接触部の内部に装着された回動体の一部が前記窓部から覗いている要素が請求項1乃至請求項12に付加された構成である。
【0020】
請求項14は、窓部が複数個設けられ、各窓部から覗く各回転体は単一の軸で一体に連結されており一体的に回動する要素が請求項13に付加された構成である。
【0021】
請求項15は、先導皮膚接触部又は後続皮膚接触部の少なくとも一方が円柱状ローラーであって回動可能に皮膚接触部材に結合され、該ローラーの表面はシェービングエイドで構成されている要素が請求項1乃至請求項14に付加された構成である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1は、ハンドルの上部に刃装置を有する安全カミソリであって、刃装置に対して可動の皮膚接触部材を含み、先導皮膚接触部が皮膚接触部材に設けられ、安全カミソリの使用中に、先導皮膚接触部が刃体の前で刃体に対して揺動可能となる構成である。従来の安全カミソリに設けられたガード部は、刃体の前で且つ刃体よりも下方に延在していた。これに対して本発明は、使用中に皮膚に対するハンドルの角度が頻繁に変化しても、その変化に対応して先導皮膚接触部が揺動するのでシェービングエイドがなくても円滑に毛を剃ることができる。また、皮膚の凹凸にも的確に対応して円滑に毛を剃ることができる。さらに、先導皮膚接触部は刃体の前で揺動可能であるから、先導皮膚接触部の幅を広くしても刃体による毛の切断作用を邪魔することがない。したがって、先導皮膚接触部に幅広のシェービングエイドを形成することができる。シェービングエイドを幅広に形成すれば手足のような広い部分の毛を剃るときもシェービングエイドを十分に供給できる。さらに、刃先が常に露出しているので女性の中には恐怖感を覚える人もいた。本発明は、先導皮膚接触部が刃体の前で揺動可能であるから先導皮膚接触部が刃先の正面にかかることが多く、刃先が常に露出することがなく使用者に恐怖感を与えない。
【0023】
請求項2は、ハンドルの上部に刃装置を有する安全カミソリであって、刃装置に対して可動の皮膚接触部材を含み、後続皮膚接触部が皮膚接触部材に設けられ、安全カミソリの使用中に、後続皮膚接触部が刃体の後ろで刃体に対して揺動可能となる構成である。したがって、請求項1と同じように、使用中に皮膚に対するハンドルの角度が頻繁に変化しても、その変化に対応して後続皮膚接触部が揺動するので円滑に毛を剃ることができる。また、後続皮膚接触部は刃体の後ろで揺動可能であるから、後続皮膚接触部の幅を広くしても刃体による毛の切断作用を邪魔することがない。したがって、後続皮膚接触部に幅広のシェービングエイドを形成することができる。シェービングエイドを幅広に形成すれば手足のような広い部分の毛を剃るときもシェービングエイドを十分に供給できる。
【0024】
請求項3は、ハンドルの上部に刃装置を有する安全カミソリであって、刃装置に対して可動の皮膚接触部材を含み、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部が皮膚接触部材に設けられ、安全カミソリの使用中に、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部が刃体の前後で刃体に対して揺動可能となる構成である。したがって、使用中に皮膚に対するハンドルの角度が頻繁に変化しても、その変化に対応して先導皮膚接触部と後続皮膚接触部が揺動するのでシェービングエイドがなくても円滑に毛を剃ることができる。また、先導皮膚接触部は刃体の前で揺動可能であり、後続皮膚接触部は刃体の後ろで揺動可能であるから、両皮膚接触部の幅を広くしても刃体による毛の切断作用を邪魔することがない。したがって、両皮膚接触部に幅広のシェービングエイドを形成することができる。シェービングエイドを幅広に形成すれば手足のような広い部分の毛を剃るときもシェービングエイドを十分に供給できる。さらに、刃先が常に露出しているので女性の中には恐怖感を覚える人もいた。本発明は、先導皮膚接触部が刃体の前で揺動可能であるからその先導皮膚接触部が刃先の正面にかかることが多く、刃先が常に露出することがなく使用者に恐怖感を与えない。また、使用中に片方の皮膚接触部だけが皮膚に当たる場合もあるが両方の皮膚接触部が同時に皮膚に当たることもある。そのときは、毛の切断時には刃装置の前後にある皮膚接触部で皮膚を支持するので安定する。皮膚接触部を幅広にすればさらに安定する。
【0025】
請求項4は、替刃をハンドルに着脱自在に取り付けるための結合構造を有し、且つ皮膚接触部材がハンドル又は刃装置に取り付けられている。したがって、安全カミソリを替刃式にして前記請求項1から請求項3の効果を得ることができる。
【0026】
請求項5は、皮膚接触部材が、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部を連結部で一体的に連結して構成され、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部が一体的に揺動する構成である。したがって、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部を有する皮膚接触部材を一体に形成できるので製造が簡単で、ハンドルや刃装置への取り付けも皮膚接触部ごとに行う必要がなく構造が複雑になることがない。
【0027】
請求項6は、皮膚接触部材が、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部と1又は2つの連結部で構成され前記刃装置の周囲を囲んでいる構成である。したがって、連結部を刃装置の外側に取り付ければよいので、皮膚接触部材のハンドルへの取り付けを簡単に行うことができる。
【0028】
請求項7は、皮膚接触部材が、刃体の長さ方向に延びる揺動軸線を中心に揺動することにより、各皮膚接触部が刃体に対して揺動する構成である。したがって、一方の皮膚接触部が上方に揺動すればそれに対応して他方の皮膚接触部が下方に揺動するので、使用中に双方の皮膚接触部が接近して作業に支障をきたすことを防止できる。
【0029】
請求項8は、揺動軸線が連結部の中心を通り、皮膚接触部材全体が揺動軸線を中心とするシーソー運動状に揺動する構成である。したがって、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部の中心軸は共に刃装置からほぼ等しく離れるので、使用時に双方の皮膚接触部がバランス良く皮膚に当たる。
【0030】
請求項9は、皮膚接触部材が刃装置に対して上下に移動可能で、その移動範囲の上端及び下端で前記皮膚接触部材の上下の移動を固定するための手段を備えている構成である。したがって、皮膚接触部材を下端に固定したときは刃装置が突出するので、皮膚の凹状部分などの毛を剃るときに皮膚接触部材が邪魔にならない。皮膚接触部材の位置を選択できるから剃る場所に応じて変えることができる。
【0031】
請求項10は、皮膚接触部材が、接続体を介してハンドル又は刃装置に取り付けられ、接続体は刃装置に対して相対的に上下に移動可能であってその移動範囲の上端及び下端で固定するための手段を有し、皮膚接触部材が接続体に対して揺動可能にジャーナル結合され、その結合によって皮膚接触部材が揺動可能で且つ接続体と共に上下に移動可能である構成である。皮膚接触部材を直接的にハンドル又は刃装置に取り付けるときは、皮膚接触部材に取り付けのための結合装置のほかに、揺動装置と上下に移動可能にする装置を設けなければならず構造が複雑になる。接続体を使用すれば皮膚接触部材の構造が簡単となるから製造が容易である。
【0032】
請求項11は、刃装置と接続体と皮膚接触部材が一体的に組み合わされて替刃を構成し、この替刃をハンドルに着脱自在に取り付けるための結合構造を有する構成である。したがって、刃の切れ味が落ちたときに交換可能であってハンドルを長期間に亘って使用できる。
【0033】
請求項12は、刃装置の頭部上面が弧状に形成され、頭部に少なくとも1枚の刃体が装着されており、皮膚接触部材が上下に移動可能であるときは上端の位置にあるとき、皮膚接触部材の揺動中に、先導皮膚接触部の最も高い位置と後続皮膚接触部の最も高い位置を結ぶ共通接線に対する前記頭部の突出量はマイナス1.2mm以上プラス1.2mm以下の構成である。頭部の突出量がこのような数値であるときは使用中に頭部が強すぎない力で皮膚に当たる。そして、頭部上面が弧状であるから皮膚の上を円滑に滑る。頭部に複数の刃体を設ければ、皮膚接触部材の揺動中、常時少なくとも1つの刃先を皮膚に接触させておくことができる。
【0034】
請求項13は、先導皮膚接触部又は後続皮膚接触部の少なくとも一方の表面に窓部が設けられ、皮膚接触部の内部に装着された回動体の一部が前記窓部から覗いている構成である。使用中、窓部から覗く回動体が皮膚上を転がりながら皮膚を圧迫するのでマッサージ効果を得ることができる。
【0035】
請求項14は、窓部が複数個設けられ、各窓部から覗く各回転体は単一の軸で一体に連結されており一体的に回動する構成である。したがって、回転体の回転速度は同じであるから全部の回転体が一様に円滑に回転する。したがって、皮膚接触部が皮膚の上を円滑に滑り、且つ複数の回転体によりマッサージ効果をさらに高めることができる。
【0036】
請求項15は、先導皮膚接触部又は後続皮膚接触部の少なくとも一方が円柱状ローラーであって回動可能に皮膚接触部材に結合され、ローラーの表面はシェービングエイドで構成されている構成である。本発明は、使用中に皮膚接触部が揺動する構成である。したがって、皮膚接触部を幅広にしたり太くしたりしても毛の切断作業に支障をきたすことがない。したがって、ローラーを太くすることによって手足のような広い部分の毛を剃るときに、皮膚にシェービングエイドを十分に供給できるので常に円滑な作業をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
次に本発明を実施するための最良の形態について説明する。この形態の安全カミソリはハンドル1に替刃2を着脱自在に取り付けることのできる替刃式のものである。替刃2は刃装置3と皮膚接触部材4とを含む。図8に示すように刃装置3は、その基台5と別体の刃カートリッジ6とから成り、刃カートリッジ6は基台の両側壁15,15の間にはめ込まれており、着脱自在にすることもできる。したがって、刃カートリッジ6のみを交換することができる。この刃カートリッジ6は上面が弧状に形成され、刃カートリッジ6の前から順に3つの刃先12,13,14が覗いている。一番後ろの刃先14は刃カートリッジの頂部よりも後ろに存在している。中央の刃先13はほぼ頂部に存在しているが、頂部の前又は後ろに存在してもよい。このように、刃先がひとつの平面上にないので、使用時にすべての刃先が皮膚に接触しない場合がある。刃カートリッジ6が刃装置3の頭部を構成する。本発明において、刃カートリッジ6の上面は弧状のものに限定されることはない。例えば、図14に示す従来品のように刃台の上に刃体がのせられ、その刃体の上に板状の天板がのせられて、刃体が刃台と天板との間に挟着固定された刃装置であってもよい。このような板状の天板の上面は弧状でなく平坦に形成されていて弧状ではない。
【0038】
図5に示すように先導皮膚接触部18の最も高い位置と後続皮膚接触部20の最も高い位置を結ぶ共通接線41に対する刃カートリッジ6すなわち頭部の突出量はマイナス1.2mm以上プラス1.2mm以下である。図6に示すように、皮膚接触部材4の揺動中もこの数値の範囲内である。刃カートリッジ6の上面を弧状にすることにより、刃カートリッジ6の突出量を揺動中一定にすることができる。
【0039】
基台5の胴部7は矩形に形成され、その両側面8の中ほどの高さよりやや下の位置にはそれぞれ2つの係止突部9,9が形成されている。この係止突部9,9は弾性片に一体に形成され側面8に没入可能である。基台5の両端面10の下端よりやや下方にはそれぞれ1つの係止突部11が形成されている。この係止突部11は弾性片16に一体に形成され端面10よりも中に没入可能である。基台5の底部には結合片17が一体に形成されている。この結合片17をハンドル1の上端に設けられた開口部に挿入し、結合片17の下端に形成された係止突部43を開口部内の結合構造に係止して替刃2をハンドル1に結合する。図4に示すように係止片17には矢印が表示されているが、これは係止片17の差込み方向を示すものである。
【0040】
皮膚接触部材4は矩形の枠状に形成されており、先導皮膚接触部18に円柱状のローラー25が回動可能に取り付けられている。このローラー25の表面にはシェービングエイドが形成されている。シェービングエイドには、例えば香料、化粧水、乳液、止血剤、毛成長抑制剤、脱毛剤、髭軟化剤、植物性女性ホルモン様成分、吸水発熱剤などが添加される。具体的には、ビタミンA、ビタミンC、ハイドロキノン、アルファ-アルブチン、コラーゲン、レチノイン酸、セラミド、ヒアルロン酸、リピジュア、アミノ酸、大豆エキス(フラボステロン)、パパイヤエキス(パパイン酵素)、イソフラボン、アロエベラエキス、ヒオウギエキス、オトギリソウエキス、スギナエキス、レモンエキス、海藻エキス、オウゴンエキス、センブリエキス、チョウジエキス、カンゾウエキス、サンショウエキス、ジオウエキス、ニンジンエキス、ローズマリーエキス、ラカンマキエキス、アマチャズルエキス、ヘンナ葉エキス、紫根エキス、ホップエキス、ヨクイニンエキス、米胚芽エキス等を0.05〜10重量%添加することができる。これらを添加することにより、美肌効果、保湿効果、毛成長抑制や脱毛効果が付与される。このようなシェービングエイドを形成したローラー25を成形する方法としては、射出成形及び押出し成形が可能で、芯に硬質樹脂を設ける場合は射出の2回成形や、同時押出し成形により芯材の周囲をシェービングエイドで覆うこともできる。また、ローラー25の表面の長手方向に複数の溝19が形成されており、使用時にローラー25の回動を容易にすることができるので、シェービングエイドが全面的に均一に消耗する。溝19に代えてリブを設けてもよい。円柱形ローラー25の直径は好ましくは7.5mm前後であるがこの数値に限定されないことは勿論である。3mm〜4mm、4mm〜7.5mmでもよく、7.5mm〜10mm程度であってもよい。この数値は従来のガード部よりもかなり大きな数値であり、足や腕などのように広い部分を剃るときにシェービングエイドを十分に供給することができる。
【0041】
ローラー25を形成するものとしては、金属、硬質樹脂、エラストマーなどの柔軟な樹脂、軽石のような硬質の多孔質体、スポンジのような柔軟な多孔質体が用いられる。多孔質体の場合は、固形、半流動状又は液状のシェービングエイドを含浸することもできる。シェービングエイドを含浸することにより、ローラー25の表面にシェービングエイドが形成される。このようなローラー25を刃装置3の後ろに設けてもよい。ローラー25に代えて回転しない平坦なシェービングエイド面を設けてもよい。
【0042】
後続皮膚接触部20はその上面が皮膚接触面21に形成されている。この皮膚接触面21は曲率半径が8mm以上の緩やかな曲面に形成されている。曲率半径は好ましくは12mmから20mmであるが、10mmでもよく22mmや24mmでもよくそれ以上であってもよい。曲面でなく平坦であってもよい。後続皮膚接触部20の前後方向の幅は約7.5mmである。皮膚接触部材4の前後方向の幅は約28.5mmであり、刃カートリッジ6の前後方向の幅は約10.5mmである。このことからも、前述した先導皮膚接触部18に取り付けられたローラー25や後続皮膚接触部20の前後幅が刃カートリッジ6の前後幅に対して大きな割合を有していることが理解できる。
【0043】
前記皮膚接触面21には3つの窓部が設けられており、それぞれの窓部22から円板状ローラー23が覗いている。これら3つの円板状ローラー23は1本の軸で連結されており、皮膚接触面21の下でジャーナル結合されている。円板状ローラー23の材料としては硬質樹脂のほか金属などであってもよい。複数の円板状ローラー23をすべて同じ材料で形成してもよく、異なる材料を組み合わせてもよい。円板状ローラー23に代えてボールをコイルスプリングなどで支持して窓部22から覗かせてもよい。
【0044】
皮膚接触面21の両端付近には孔部24,24が設けられている。孔部24,24の内側に固形石鹸が収納されている。シェービングエイドに添加される成分として段落「0040」に挙げた成分をこの固形石鹸に添加してもよい。これら円板状ローラー23や固形石鹸は存在しなくてもよく、いずれか一方のみ存在してもよい。これらの代わりに、使用中に皮膚との接触を円滑にできる他の手段を用いてもよい。
【0045】
前記先導皮膚接触部18と後続皮膚接触部20のそれぞれの端部同士は連結部26,26で一体に連結されて皮膚接触部材4は全体的に矩形の枠状に形成されている。連結部26は上下の幅が狭く形成され、その両端部に設けられた先導皮膚接触部18と後続皮膚接触部20は連結部26よりも上方に延びている。したがって、図5に示すように皮膚接触部材4はコ字形をなしている。コ字形であるから、皮膚接触部材4が揺動したときにコ字形の中にある刃装置3に皮膚接触部材4の一部が当たって揺動が一定の角度で規制される。後述するように皮膚接触部材4が刃装置3に対して下方に移動したときも同様である。連結部26の中央下部に軸受け部27が一体に設けられ、その内面にジャーナル軸受け(図示せず。)が形成されている。
【0046】
刃装置3に皮膚接触部材4を結合するための接続体28が枠状の皮膚接触部材4の枠内に取り付けられている。図9又は図10に示すように接続体28は矩形の枠状に形成され、接続体28の両側部の外面にジャーナル軸42,42が設けられ、このジャーナル軸42,42が連結部26,26の軸受け部27に形成されているジャーナル軸受けとジャーナル結合している。接続体28はこのジャーナル結合によりジャーナル軸線を中心にシーソーのように揺動する。揺動軸線は刃体よりも下方に存在する。
【0047】
図10に示すように、接続体28の枠内に刃装置の基台5の胴部7が移動可能に嵌挿する。接続体28は胴部7に対して上下に移動可能で、移動範囲の上端位置と下端位置で固定される。固定手段は、基台5の側面8に設けられた係止突部9,9と端面10に設けられた係止突部11である。接続体28が上端位置にあるときは、接続体28の下端縁が係止突部9,9に係止して下がることがなくその位置で固定される。
【0048】
接続体28を下端位置まで移動させるために接続体28を下方に引くと、接続体28が係止突部9を側面8内に押し込みながら下降する。接続体28が係止突部9を完全に乗り越えたときに、接続体28の下端縁は係止突部11に係止する。そのとき、接続体28の上端縁は元の位置に復帰した係止突部9,9によって係止され上方にずれることはなく固定される。本発明の皮膚接触部材はこのように上下に移動する構成のものに限定されるものではなく、刃装置3に対し上下方向には固定的に設けられたものでもよい。特に、皮膚接触部材4を刃装置3に対し上下方向に固定的に設けたときは、これらの間に弾性部材を介在させることによって、皮膚接触部材4が弾性的に揺動するものとすることができる。また、弾性部材を刃装置の前後に設けたときは皮膚接触部材4の初期位置は水平であり、弾性部材を片側に設けたときは皮膚接触部材4が他方に揺動した状態の初期位置となる。なお、皮膚接触部材4の前後が入れ替わって、前述した先導皮膚接触部18の構造を後続皮膚接触部20の構造とし、後続皮膚接触部20の構造を先導皮膚接触部18の構造としてもよい。なお、刃装置と皮膚接触部材は皮膚に直接接触する部材である。これらは、赤色の色彩以外の色にすることが好ましい。安全カミソリの使用の前後に、これらの部材に血液が付着しているときに部材が赤色であると血液を確認しづらいからである。また、これらの部材を赤色にすると血液を連想して、露出した刃先と相俟って使用者に対して恐怖感を与えかねないからである。例えば、白色、緑色、水色あるいは淡いピンク色であれば血液の付着をすぐに確認できるし、恐怖感を与えることがない。
【0049】
図12に示すローラー29は前述したローラー25に代えて使用ことができる。すなわち、先導皮膚接触部18又は後続皮膚接触部20に軸30を中心に回動可能に取り付けて使用する。このローラー29は長さ方向に延びる軸30の周囲に多数の円板状の櫛歯31を並べて設けてある。この櫛歯31によって手足の毛をそるときにマッサージ作用をなす。さらに、手足の長めの毛や髪の毛を切断するときに櫛歯31が毛を梳きながら切断するので、毛をむらなく切断できる。このローラー29は図面に示した安全カミソリに使用できるが、さらにローラー29が刃体に対して揺動不能に固定され回動のみする安全カミソリとして使用できる。また、替刃式の安全カミソリでなく、ハンドルの上端に刃装置が一体的に設けられた安全カミソリであっても使用できる。ローラー29は主にプラスチックで形成されるが金属等の他の材料であってもよい。また、ローラー29の表面にシェービングエイドを形成してもよい。なお、各櫛歯31の間隔は1mm〜10mmが好ましく、各櫛歯31の厚みは0.5mm〜5mmが好ましく、各櫛歯31の直径は3mm〜16mmが好ましい。櫛歯の直径と厚みの比率については、直径は厚みの2倍以上であることが好ましい。各櫛歯の間隔は櫛歯の厚みよりも広いことが好ましい。
【0050】
図13に示すように替刃2はケース32に収納することができる。ケース32は矩形に形成された2つの収納部33,33を一体に連結したもので全体が一体成形である。替刃2は収納部33に逆さに収納される。収納部33の端面34の内面に係止突部35が形成され、基台の側壁15の下端縁36がその係止突部35に係止して替刃2の自然の抜け出しを防止する。側壁15の下端縁36は図11に示す替刃のキャップ37を係止する作用もなす。図11に示すように替刃2にはキャップ37を装着できる。キャップ37の端面の内面に係止突部(図示せず。)が形成され、キャップ37を替刃2に装着したときにその係止突部が側壁15の下端縁36に係止する。
【0051】
ケース32のそれぞれの収納部33に蓋38が設けられている。蓋38はヒンジ39で収納部33の壁と一体に結合し、ヒンジ39を中心に回動することにより開閉される。蓋38のヒンジ39と反対側の下縁に係止部40が設けられ、蓋38を閉じたときにこの係止部40が収納部33の壁の外側に設けられた係止部に係止する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の側面図
【図2】替刃の上面図
【図3】替刃の底面図
【図4】替刃の後面図
【図5】替刃の側面図
【図6】替刃の皮膚接触部材の揺動状態図
【図7】替刃の皮膚接触部材の上下移動図
【図8】刃装置の斜視図
【図9】皮膚接触部材と接続体を組み合わせた斜視図
【図10】刃装置の前面図
【図11】替刃にキャップを装着した斜視図
【図12】ローラーの他の実施例を示す斜視図
【図13】替刃のケースの断面図
【図14】他の刃装置を使用した模式図
【符号の説明】
【0053】
1 ハンドル
2 替刃
3 刃装置
4 皮膚接触部材
5 基台
6 刃カートリッジ
7 胴部
8 基台の側面
9 係止突部
10 端面
11 係止突部
12 刃先
13 刃先
14 刃先
15 側壁
16 弾性片
17 結合片
18 先導皮膚接触部
19 溝
20 後続皮膚接触部
21 皮膚接触面
22 窓部
23 円板状ローラー
24 孔部
25 ローラー
26 連結部
27 軸受け部
28 接続体
29 ローラー
30 軸
31 櫛歯
32 ケース
33 収納部
34 端面
35 係止突部
36 下端縁
37 キャップ
38 蓋
39 ヒンジ
40 係止部
41 共通接線
42 ジャーナル軸
43 係止突部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルの上部に刃装置を有する安全カミソリであって、前記刃装置に対して可動の皮膚接触部材を含み、前記刃装置はその長さ方向に延びる刃体を有し、該刃体の前方で刃体と平行に延びる先導皮膚接触部が前記皮膚接触部材に設けられ、安全カミソリの使用中に、前記先導皮膚接触部が刃体の前で刃体に対して揺動可能となるように皮膚接触部材がハンドル又は刃装置に取り付けられていることを特徴とする安全カミソリ
【請求項2】
ハンドルの上部に刃装置を有する安全カミソリであって、前記刃装置に対して可動の皮膚接触部材を含み、前記刃装置はその長さ方向に延びる刃体を有し、該刃体の後方で刃体と平行に延びる後続皮膚接触部が前記皮膚接触部材に設けられ、安全カミソリの使用中に、前記後続皮膚接触部が刃体の後で刃体に対して揺動可能となるように皮膚接触部材がハンドル又は刃装置に取り付けられていることを特徴とする安全カミソリ
【請求項3】
ハンドルの上部に刃装置を有する安全カミソリであって、前記刃装置に対して可動の皮膚接触部材を含み、前記刃装置は横方向に延びる刃体を有し、該刃体の前方で刃体と平行に延びる先導皮膚接触部及び前記刃体の後方で刃体と平行に延びる後続皮膚接触部が前記皮膚接触部材に設けられ、安全カミソリの使用中に、前記先導皮膚接触部と前記後続皮膚接触部が刃体の前後で刃体に対して揺動可能となるように皮膚接触部材がハンドル又は刃装置に取り付けられていることを特徴とする安全カミソリ
【請求項4】
刃装置は、ハンドルと別体に形成されて替刃を構成し、この替刃をハンドルに着脱自在に取り付けるための結合構造を有し、且つ皮膚接触部材がハンドル又は刃装置に取り付けられている請求項1乃至請求項3記載の安全カミソリ
【請求項5】
皮膚接触部材は、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部を連結部で一体的に連結して構成され、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部が一体的に揺動する請求項3又は請求項4記載の安全カミソリ
【請求項6】
皮膚接触部材は、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部と1又は2つの連結部で構成され前記刃装置の周囲を囲んでいる請求項5記載の安全カミソリ
【請求項7】
皮膚接触部材が、刃体の長さ方向に延びる揺動軸線を中心に揺動することにより、各皮膚接触部が刃体に対して揺動する請求項1乃至請求項6記載の安全カミソリ
【請求項8】
揺動軸線が前記連結部の中心乃至その付近を通り、皮膚接触部材全体が揺動軸線を中心とするシーソー運動状に揺動する請求項5又は請求項6記載の安全カミソリ
【請求項9】
皮膚接触部材が刃装置に対して上下に移動可能で、その移動範囲の上端及び下端で前記皮膚接触部材の上下の移動を固定するための手段を備えている請求項3乃至請求項8記載の安全カミソリ
【請求項10】
皮膚接触部材は、接続体を介してハンドル又は刃装置に取り付けられ、該接続体は刃装置に対して相対的に上下に移動可能であってその移動範囲の上端及び下端で固定するための手段を有し、皮膚接触部材が前記接続体に対して揺動可能にジャーナル結合され、その結合によって皮膚接触部材が揺動可能で且つ接続体と共に上下に移動可能である請求項9記載の安全カミソリ
【請求項11】
刃装置と接続体と皮膚接触部材が一体的に組み合わされて替刃を構成し、この替刃をハンドルに着脱自在に取り付けるための結合構造を有する請求項10記載の安全カミソリ
【請求項12】
刃装置の頭部上面は弧状に形成され、頭部に少なくとも1枚の刃体が装着されており、皮膚接触部材が上下に移動可能であるときは上端の位置にあるとき、皮膚接触部材の揺動中に、先導皮膚接触部の最も高い位置と後続皮膚接触部の最も高い位置を結ぶ共通接線に対する前記頭部の突出量はマイナス1.2mm以上プラス1.2mm以下である請求項3乃至請求項11記載の安全カミソリ
【請求項13】
先導皮膚接触部又は後続皮膚接触部の少なくとも一方の表面に窓部が設けられ、皮膚接触部の内部に装着された回動体の一部が前記窓部から覗いている請求項1乃至請求項12記載の安全カミソリ
【請求項14】
窓部は複数個設けられ、各窓部から覗く各回転体は単一の軸で一体に連結されており一体的に回動する請求項13記載の安全カミソリ
【請求項15】
先導皮膚接触部又は後続皮膚接触部の少なくとも一方は円柱状ローラーであって回動可能に皮膚接触部材に結合され、該ローラーの表面はシェービングエイドで構成されている請求項1乃至請求項14記載の安全カミソリ
【請求項1】
ハンドルの上部に刃装置を有する安全カミソリであって、前記刃装置に対して可動の皮膚接触部材を含み、前記刃装置はその長さ方向に延びる刃体を有し、該刃体の前方で刃体と平行に延びる先導皮膚接触部が前記皮膚接触部材に設けられ、安全カミソリの使用中に、前記先導皮膚接触部が刃体の前で刃体に対して揺動可能となるように皮膚接触部材がハンドル又は刃装置に取り付けられていることを特徴とする安全カミソリ
【請求項2】
ハンドルの上部に刃装置を有する安全カミソリであって、前記刃装置に対して可動の皮膚接触部材を含み、前記刃装置はその長さ方向に延びる刃体を有し、該刃体の後方で刃体と平行に延びる後続皮膚接触部が前記皮膚接触部材に設けられ、安全カミソリの使用中に、前記後続皮膚接触部が刃体の後で刃体に対して揺動可能となるように皮膚接触部材がハンドル又は刃装置に取り付けられていることを特徴とする安全カミソリ
【請求項3】
ハンドルの上部に刃装置を有する安全カミソリであって、前記刃装置に対して可動の皮膚接触部材を含み、前記刃装置は横方向に延びる刃体を有し、該刃体の前方で刃体と平行に延びる先導皮膚接触部及び前記刃体の後方で刃体と平行に延びる後続皮膚接触部が前記皮膚接触部材に設けられ、安全カミソリの使用中に、前記先導皮膚接触部と前記後続皮膚接触部が刃体の前後で刃体に対して揺動可能となるように皮膚接触部材がハンドル又は刃装置に取り付けられていることを特徴とする安全カミソリ
【請求項4】
刃装置は、ハンドルと別体に形成されて替刃を構成し、この替刃をハンドルに着脱自在に取り付けるための結合構造を有し、且つ皮膚接触部材がハンドル又は刃装置に取り付けられている請求項1乃至請求項3記載の安全カミソリ
【請求項5】
皮膚接触部材は、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部を連結部で一体的に連結して構成され、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部が一体的に揺動する請求項3又は請求項4記載の安全カミソリ
【請求項6】
皮膚接触部材は、先導皮膚接触部と後続皮膚接触部と1又は2つの連結部で構成され前記刃装置の周囲を囲んでいる請求項5記載の安全カミソリ
【請求項7】
皮膚接触部材が、刃体の長さ方向に延びる揺動軸線を中心に揺動することにより、各皮膚接触部が刃体に対して揺動する請求項1乃至請求項6記載の安全カミソリ
【請求項8】
揺動軸線が前記連結部の中心乃至その付近を通り、皮膚接触部材全体が揺動軸線を中心とするシーソー運動状に揺動する請求項5又は請求項6記載の安全カミソリ
【請求項9】
皮膚接触部材が刃装置に対して上下に移動可能で、その移動範囲の上端及び下端で前記皮膚接触部材の上下の移動を固定するための手段を備えている請求項3乃至請求項8記載の安全カミソリ
【請求項10】
皮膚接触部材は、接続体を介してハンドル又は刃装置に取り付けられ、該接続体は刃装置に対して相対的に上下に移動可能であってその移動範囲の上端及び下端で固定するための手段を有し、皮膚接触部材が前記接続体に対して揺動可能にジャーナル結合され、その結合によって皮膚接触部材が揺動可能で且つ接続体と共に上下に移動可能である請求項9記載の安全カミソリ
【請求項11】
刃装置と接続体と皮膚接触部材が一体的に組み合わされて替刃を構成し、この替刃をハンドルに着脱自在に取り付けるための結合構造を有する請求項10記載の安全カミソリ
【請求項12】
刃装置の頭部上面は弧状に形成され、頭部に少なくとも1枚の刃体が装着されており、皮膚接触部材が上下に移動可能であるときは上端の位置にあるとき、皮膚接触部材の揺動中に、先導皮膚接触部の最も高い位置と後続皮膚接触部の最も高い位置を結ぶ共通接線に対する前記頭部の突出量はマイナス1.2mm以上プラス1.2mm以下である請求項3乃至請求項11記載の安全カミソリ
【請求項13】
先導皮膚接触部又は後続皮膚接触部の少なくとも一方の表面に窓部が設けられ、皮膚接触部の内部に装着された回動体の一部が前記窓部から覗いている請求項1乃至請求項12記載の安全カミソリ
【請求項14】
窓部は複数個設けられ、各窓部から覗く各回転体は単一の軸で一体に連結されており一体的に回動する請求項13記載の安全カミソリ
【請求項15】
先導皮膚接触部又は後続皮膚接触部の少なくとも一方は円柱状ローラーであって回動可能に皮膚接触部材に結合され、該ローラーの表面はシェービングエイドで構成されている請求項1乃至請求項14記載の安全カミソリ
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−204668(P2006−204668A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−22661(P2005−22661)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)
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