顔へのフィット性調整システム
本発明は顔の所定の部分に包囲部をもたらす顔カバー器具に関し、機能部(2)と顔当て部(1)とを有し、機能部(2)と顔当て部(1)は1つの接続部又は複数の接続部(3、8)によって相互接続され、1つの接続部又は複数の接続部の内の少なくとも1つは、機能部に対する顔当て部の位置を調整可能とする調整可能接続部(3)であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の顔へのフィット性を向上したゴーグルやフェイスマスクのような顔カバー器具に関する。
【0002】
人の顔の所定の部分に包囲部を設ける顔カバー器具は、様々な目的で広く使用されている。そのような顔カバー器具には、サイクリング、オートバイ乗り、ダイビング、スカイダイビング、ペイントボール、スノーモービル、四輪車乗り、スノースポーツ等の様々な種類のスポーツ用のスポーツゴーグルや、軍用ゴーグル、消防士、警察官、機械工、整備士等用の保護ゴーグル、例えば産業用、物理、化学、生物等の研究所で使用する安全ゴーグル、及び目を保護するあらゆる種類の安全ゴーグルがある。そのような顔カバー器具には、産業用又は医療用の呼吸用マスクや消防士やパイロット等用の空気・酸素マスク等のフェイスマスクもある。
【0003】
そのような顔カバー器具が目的の機能を果たすためには、使用者の顔への密着したフィット性が通常重要である。顔カバー器具の目的に応じた包囲部のある程度の密封が得られるように、包囲部が形成される部分を囲む密封部における密着したフィット性が要求される。更に、装着感の良さをもたらし不要な圧点を防止するため、顔カバー器具によって特に密封部分において使用者の顔に対し均一な圧力がかからなければならない。
【0004】
しかしながら、すべての使用者は、特にこめかみ、頬部、額、鼻、顎等において異なる顔の形状を有するので、定められた特定の形を有する顔カバー器具は、すべての使用者に対して同じようにフィットし、同じ装着感の良さをもたらすことはできない。僅かなフィット性の悪さにより、顔カバー器具によって人の顔へかかる、例えば不均一な圧力等、意図に反する圧力の分布を密封部に生じる。これによって装着感の良さを損ない、使用者の顔に圧点を生じてしまう可能性がある。フィット性がより悪い場合は、密封部の密封が不十分となり、顔カバー器具の目的の機能が低下する場合がある。例えば、オートバイ用ゴーグルによって設けられた包囲部に粉塵が入ったり、ダイビング用マスクの包囲部に水が入ったりする場合がある。
【0005】
通常ダイビング用マスクは、目と鼻の周辺に包囲部をもたらす。ダイビング用マスクは、目の前のガラス板と、ダイバーの顔を防水密封するゴム製又はシリコン製のスカート部とを有し、ダイバーの頭周りのベルト又はストラップによってダイビング用マスクをダイバーの顔の所定の位置に保持する。スカート部は使用者の顔面で終端し、十分な強さの防水をもたらす。使用者の鼻と口を覆う包囲部をもたらす呼吸用マスクと空気マスクの構成は、密封に関して同様である。ストラップによってかかる圧力を調整して、ダイバーの顔へのダイビング用マスクの圧力を可能な限り最適に選択できる。これによって、ダイバーの顔の形状と、ダイビング用マスクのデザインの対象となった顔の形状との僅かなずれは克服できる。しかしながらずれが大きすぎる場合は、ダイビング用マスクが強い圧力をかける位置のダイバーの顔に圧点が生じ、ダイビング用マスクの信頼できる機能を台無しにする。
【0006】
スノースポーツ用ゴーグル等の他種類の顔カバー器具では、包囲部に要求される密封度は下がり、人の顔面に対して密着して沿う第1フレームによって密封がもたらされる。第1フレームは多くの場合、閉じたフレームである。垂直に、つまり人の顔面に実質的に垂直に配置される第2フレームは、第1フレームの上に位置し、透明な風防部を保持する。第1フレーム及び第2フレームは、1つ又は数個の接続部で接続され、更にこれら2つのフレームは一体型として形成することもできる。スノースポーツ用ゴーグルの第1フレーム及び第2フレームを囲う側面には接続部があり、ゴーグルの十分な気密性と十分な通気を同時に満たすような通気性のある素材によって覆われる隙間を設けてもよい。つまり2つのフレームは、使用者の顔の目の部分を覆う包囲部用の枠組みをもたらす。そのようなゴーグルは、特にそれらのフレームは、多くの場合可撓性を有し、使用者の頭にゴーグルを固定するストラップによりかかる力によって僅かにゴーグルを変形させ、ゴーグルの形状を使用者の顔の形状に合わせ、見込まれるずれを克服する。更に、第1フレームの下に発砲体層を設け、使用者の顔に包囲部を密封し、使用者の顔部分の密封部における隙間と圧点を軽減することも周知である。改良された方法では、第1フレームの下の密封部において、厚み、密度又は形状を変化させた発砲体層を設ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながらそのような方法を取っても結果は十分ではなく、そのようなゴーグルのフィット性を向上させ、機能を保証できるように改良する要求が依然としてある。
【0008】
そのため、本発明の目的は、異なる顔の形状に対し、信頼できる機能と向上した装着感の良さをもたらす顔カバー器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本目的は、独立請求項に係る顔カバー器具によって達成される。従属請求項は、好適な構成を定義する。
【0010】
本発明の顔カバー器具は、使用者の顔、つまり人の顔の所定の部分を覆う包囲部をもたらすフェイスマスクやゴーグル等に関連する。そのような顔カバー器具は、好適には可撓性のあるゴムのような素材で作られた固定ストラップ等のベルト又はストラップによって使用者の頭部に固定することが望ましい。包囲部は、顔カバー器具の外部から密封され閉鎖された空間であって、密封の範囲、性質、強度は、顔カバー器具の意図される目的に応じて適応される。
【0011】
顔カバー器具は、顔カバー器具の目的の機能をもたらす機能部を有し、機能部は、例えば風防用の透明な層、又は呼吸用マスク又は空気マスクに呼吸用空気を通すチューブ入口部を有する。機能部は更に、可撓性のあるスカート部や通気性のある素材による包囲部を有し、使用者の顔の所定部分の包囲部を完全にする。包囲部は、使用者の顔の密封部上の顔カバー器具の側面部に配置してもよい。
【0012】
本発明による顔カバー器具は、好適には使用者の顔の表面に対し密着して沿う平らな面を有する顔当て部を更に有する。顔当て部は、包囲部が形成される顔の所定の部分を囲う部分において人の顔の形状に合わせられ、顔カバー器具の使用者の顔に対する密着したフィット性をもたらす。
【0013】
顔当て部と機能部とは、1つ又は複数の接続部によって機械的に相互接続される。
【0014】
本発明によれば、1つの接続部又は複数の接続部の内の少なくとも1つは、調整可能な接続部として構成される。そのような調整可能接続部によって、機能部に対する顔当て部の位置を調整可能とする。好適には調整可能接続部は、使用者の顔面に垂直な方向において顔当て部と機能部との間の距離を調整するか、使用者の顔面に平行な方向において機能部に対する顔当て部の横方向の位置を調整するか、又はその両方を調整する。好適には顔当て部と機能部のお互いに対する位置は、調整可能接続部の複数の所定の位置の1つを選択することで調整し、調整可能接続部の各所定の位置は、顔当て部と機能部の相対的な配置を定める。
【0015】
この調整によって、顔カバー器具の目的の機能が効果的にもたらされるよう、顔カバー器具の機能部を使用者の顔に配置できる。ゴーグルの場合、例えば、使用者の目から機能部の透明部分への適切な距離を選択可能とする。この調整は、透明層がレンズ機能を有する場合は特に効果的である。呼吸用マスクや空気マスクの場合のように顔カバー器具によって鼻や顎等の使用者の顔の突起部分を覆う場合、調整可能接続部による調整によって、顔カバー器具が形成する包囲部内にそのような突起部分が安全に覆われることを保証する。更にこの調整によって、密着したフィット性が得られるように顔カバー器具の顔当て部を使用者の顔に配置できる。
【0016】
上記のようにダイビング用ゴーグル等の顔カバー器具の多くは、ガラス板等の剛性部と、それを包囲し密封するゴムのような可撓性材料のスカート部のような包囲部とを有する。呼吸用マスク又は空気マスクは、密封に関して同様の構成を持つが、ガラス板の代わりに呼吸空気用のチューブ入口部を備える。
【0017】
顔カバー器具の内部(つまり顔カバー器具によって形成される包囲部)と顔カバー器具の外部との上昇する圧力差に耐える十分に強い密封をもたらすには、スカート部は多くの場合人の顔面上に直接終端する。本発明による顔当て部は、好適には機能部の剛性部と接続される少なくとも1つの調整可能接続部と組み合わせて、人の顔面にかかるスカート部の圧力の調整を可能にする。このため、人の顔にかかるスカート部を最適な圧力に選択でき、最適な密封状態等、最良の結果をもたらす。
【0018】
固定ストラップは、顔当て部又は好適には機能部に取り付け可能である。
【0019】
顔カバー器具の好適な構成では、調整可能接続部を複数備え、特に複数の調整可能接続部が配置される部分の機能部と顔当て部の位置において、各調整可能接続部は機能部に対する顔当て部の位置をそれぞれ独立して調整可能である。複数の調整可能接続部は、好適には異なる部品として設ける。相互に独立して調整可能な複数の調整可能接続部を備えることによって、簡易な方法で取り付け可能な接続部をもたらし、一方機能部は顔当て部に対して様々に選択できる方法で配置することができる。例えば、顔当て部に対する(つまり使用者の顔に対する)機能部の傾きは、複数の調整可能接続部を設け、各調整可能接続部が顔当て部と機能部との間の距離のみを調整可能とすることによって調整できる。
【0020】
更に好適な実施形態では、顔カバー器具の顔当て部は、相互に機械的に独立した複数の部分を有する。複数の部分は、好適には顔カバー器具が包囲部を形成する使用者の顔の所定の部分を囲むように配置される。各複数の部分は、少なくとも1つの調整可能接続部によって機能部へ接続され、顔カバー器具の機能部に対する顔当て部の各部分の位置を独立して調整可能とする。機能部がゴーグルのガラス板等の剛性部を有する場合は、相互に独立して調整可能な調整可能接続部によって顔カバー器具の機能部に対する顔当て部の複数の部分を独立して調整することで、顔当て部を使用者の顔の形状に合わせることができる。これによって各複数部分によってかかる圧力を均一とできるので、顔カバー器具によって使用者の顔にかかる圧力を一定にできる。好適には調節可能接続部は、顔当て部の複数の部分と機能部の剛性部とを相互接続する。
【0021】
更に好適な構成では、顔当て部は、例えば可撓性素材から作られた可撓性構成要素として備える。顔当て部が複数部分に分かれる場合は、複数部分の内の数個又は各複数部分をそのような可撓性素材から作る。一方好適な他の構成では、顔当て部は、顔カバー器具が包囲部を形成する顔の所定の部分を囲むか又はその一部である閉じたフレームとして設ける。特に好適な実施形態では、顔当て部は可撓性を有し、使用者の顔の所定の部分を完全に囲む一体型として備える。顔当て部が可撓性を有する場合は、閉じたフレームのように一体型として顔当て部を備える場合でも、上記の顔当て部が複数の部分から構成される場合と同じ利点を得ることができる。つまり、閉じたフレームを複数の調整可能接続部によって顔カバー器具の機能部へ接続される可撓性構成要素として設け、調整可能接続部が設けられた部分において各調整可能接続部により機能部に対する顔当て部の位置を相互に独立して調整可能とすることによって、顔当て部を使用者の顔の個々の形状に合わせることが可能となる。それによって、顔当て部の使用者の顔への密着した接触と高いフィット性を保証でき、顔当て部の各部に均一の圧力を与えることができる。好適には顔当て部は、使用者の顔面に接する平らな表面を有する。一方ではこれによって使用者の顔に圧点がかかるのを防止するので、装着感が向上する。他方では顔当て部による使用者の顔に対する密封を向上させる。顔当て部によってもたらされる密封が向上し、顔カバー器具によってもたらす必要のある密封に十分であれば、機能部を好適には完全に包囲する機能部の包囲部、例えばダイビングマスクのスカート部が顔の皮膚に直接終端する必要はなくなる。むしろ包囲部は顔当て部に直接終端してもよく、これによって顔カバー器具の構成を簡素化できる。顔当て部の密封度が向上すれば、使用者の顔の所定の部分に包囲部をもたらす顔カバー器具の目的の機能にとって有利である。この場合、顔カバー器具の機能層の包囲部は、機能部に対する顔当て部の様々な位置に対応できる必要があり、この位置は複数の調節可能接続部によって調整してもよい。
【0022】
これは、機能部の包囲部に例えば合成樹脂等の可撓性素材又はゴムのような素材を使用し、包囲部の変形を容易にする波形等の所定の形状の包囲部を設けることによって達成でき、目的の包囲部の機能を保持しながら十分な変形を可能にする。その代わりに又はそれに加えて、包囲部を重なり合う2層として設け、調整可能部によって顔当て部と機能層がお互いに対する位置を調整された場合に、例えばそれらがスライドして相互に重なったり、内部に入ったりするようにしてもよい。そのため、重なり合う2層は、対応し合う雄雌部品として構成してもよい。包囲部は、顔カバー器具の目的に応じて、織布、布、膜等の通気性のある素材、通気性のない素材又は発砲体で構成してもよい。包囲部の機能は、機能部又は機能部のフレーム等の一部によって実現してもよい。そのため、機能部及びその一部は、顔カバー器具の包囲部の十分な密封を保持しつつ、容易に変形するよう可撓性を有してもよい。
【0023】
更に好適な構成では、機能部及び顔当て部は、一体型として構成する。つまり、少なくとも1つの調整可能接続部に加えて、顔カバー器具の顔当て部と機能部との間に少なくとももう1つの調整不能な追加接続部を設け、顔当て部の少なくとも一部を機能部に対して固定した位置とする。そのような固定した追加の接続部を設けることによって顔カバー器具の機械的な安定性は増加するが、顔当て部の機能部に対する全体的な調整度は制限される。このため、そのような構成は顔カバー器具の制限された適応が必要な場合又は望まれる場合のみ好適である。この構成において好適には、異なる使用者間の顔の形状で最も差があると見込まれる顔カバー器具の部分に調整可能部を設ける。
【0024】
更に好適な構成では、接続部が調整可能な接続部であるか、他の位置を選択することができず1つの位置のみ可能な接続部であるかに関わらず、各接続部を取り外し可能とする。調整可能接続部の取り外し可能部は、調整可能接続部の目的の調整を可能とする部分とは好適には別個である。顔当て部と機能部が取り外し可能接続部のみによって接続される場合、顔当て部と機能部は互いに分離できる2つの個別の構成要素を形成する。これによって顔当て部又は機能部のどちらも交換可能な構成要素として備えることが可能となる。機能部を交換可能な構成要素とする場合、使用者は同一の顔当て部を異なる複数の機能部の内の1つと組み合わせて使用することができる。これによって特定の使用者の顔の形状に完全に合った顔当て部を複数の顔カバー器具と組み合わせて使用することが可能となる。好適な実施形態では、顔当て部は交換可能な構成要素を形成する。これによって特定の顔カバー器具に対して複数の顔当て部の内の1つを選択可能にする。好適には、顔当て部のこの選択によって、特定の使用者の顔の形状に顔カバー器具を少なくとも大まかに合わせる調整を可能にし、少なくとも1つの調整可能接続部によって微調整を可能にする。調整可能又は不可の接続部の取り外し可能部は、機械的に取り外し可能な部品、磁気的に取り外し可能な部品又は面ファスナ帯として備えてもよい。
【0025】
同様に、本発明は、顔当て部と機能部とを有する顔カバー器具の上記の好適な構成と、顔カバー器具の第1顔当て部と交換可能な追加のさらなる顔当て部とを有するシステムにも関する。
【0026】
調整可能接続部は、様々な異なる方法で取り付けられる。
【0027】
好適な実施形態では、調整可能接続部は一体型として構成された調整可能部を有する。調整可能部の形状、特に長さは、選択的に変更可能である。つまり調整可能部は、顔カバー器具の顔当て部と機能部のお互いに対する位置を適切に選択できるよう、例えば引っ込めたり引き伸ばしたりして変形可能である。調整可能部は、顔カバー器具の顔当て部か機能部又はその両方に、直接又は追加の部品を介して固定的に取り付けてもよい。特に好適な実施形態では、変形可能部と顔当て部か機能部又はその両方は、一体型として構成する。
【0028】
好適な実施形態では、調整可能部は塑性変形できる。その形状は、熱、電界、磁界又は電力等の外的影響を受け調整可能である。調整可能部は、そのような外的影響がない場合は、剛性であり、僅かに弾性変形するぐらいである。このように、外的影響がある場合は、調整可能部の形状を決め、顔当て部と機能部とをお互いに対して適切な位置に配置し、一方外的影響がない場合は、変形可能部は決められた形状を維持し、例えば外的な力の動きによって生じ得る僅かな弾性変形以外は固定的である。そのような調整可能部は、デュロプラスティック(Duroplastic)又は熱可塑性物質によって形成し、一回又は複数回、それぞれ熱を加えたときに接続部の形状を調整可能とする。
【0029】
他の実施形態では、調整可能部は可撓性物質によって形成する。つまり調整可能部は、例えば外的影響のあるなしに関わらず弾性変形可能である。調整可能部は、穴、好適には貫通穴を有し、穴が変形した場合に調整可能部全体の形状が変形されるように構成される。このように、調整可能部の穴が変形されると、調整可能接続部が調整され、顔当て部は、顔カバー器具の機能部に対し配置される。好適には、穴は、挿入部材が穴に差し込まれることによって変形する。挿入部材の一部のみ穴に挿入される場合は、下記における「挿入部材」は挿入部材のその一部に関し、挿入部材の他の部分は、例えば操作しやすいような適切な形状に形成してもよい。挿入部材の形状は、調整可能部に力が加えられない状態において穴の形状とは一致せず、挿入部材が穴に挿入されると意図的に変形される。挿入部材は、調整可能部よりも弾性が低く、つまりより剛性である。更に穴及び挿入部材の形状は、穴の変形つまり調整可能部の変形が穴内の挿入部材の角位置によるように相互に適合される。これは、穴に渡る第1方向に沿った第1寸法が穴に渡る第2方向に沿った第2寸法よりも長く、第2方向は第1方向とは異なり、好適には垂直であるように挿入部材を構成することによって実現される。好適には、力が加えられていない状態の穴と挿入部材(つまり挿入部材の穴に挿入される部分)の円周は少なくとも実質的に同一である。
【0030】
例えば、穴は力が加えられていない状態で円形であり、一方挿入部材は例えば楕円形や卵型等の非円形である。力が加えられていない状態では挿入部材の第1寸法は穴の寸法よりも長いが、第2寸法は穴の寸法よりも短い。挿入部材が楕円形の場合、基礎をなす楕円の長軸が第1寸法であり、短軸が第2寸法である。挿入部材が穴に挿入されると、穴も同様に楕円形となり、楕円形の挿入部材の長軸の方向に調整可能部は伸長する。このため、長軸が顔当て部及び機能部を指す向きに配置される場合、調整可能部に力が加えられていない状態と比べると、調整可能接続部の調整可能部は、より長くより薄くなり、顔当て部と機能部はお互いに対して離れる。逆に、短軸が顔当て部及び機能部を指す向きに配置される場合、調整可能部に力が加えられていない状態と比べると、調整可能接続部の接続部は、より短くより厚くなり、顔当て部と機能部はお互いに対して近付く。
【0031】
他の例では、穴は力が加えられていない状態で正方形の形状であり、挿入部材は長方形の形状であって、基礎となる長方形は長辺と短辺がある。挿入部材を穴に入れる際に、穴は少なくとも部分的に長方形の形状に合わせられ、穴内の長方形の挿入部材の向きによって、調整可能部はより長くより薄くなるか、より短くより厚くなり、これに対応して顔当て部と機能部はお互いに対して離れるか又は近付く。
【0032】
穴と挿入部材が三角形、五角形、六角形又は八角形等のその他の形状であっても調整可能部の寸法に対する同様の作用が得られる。上記の最初の2つの構成では、顔当て部と機能部は挿入部材を90°回すと顔当て部と機能部はお互いに対して最も離れるか最も近づく。後述の構成では、この角度は例えば等辺三角形では60°、正六角形では30°のように、より小さくなる。
【0033】
更に好適な実施形態では、調整可能接続部は複数の部材から構成される。顔当て部に固定された第1部分と機能部に固定された第2部分とを有する。第1部分は顔当て部に固定的に取り付けてもよいし、第1部分と顔当て部とを一体型として備えてもよい。同様に、第2部分は機能部に固定的に取り付けてもよいし、第2部分と機能部とを一体型として備えてもよい。第1部分と第2部分、そして第1部分と第2部分が配置される顔当て部と機能部の部分は、お互いに対して選択的に配置でき、顔当て部と機能部はお互いに対して異なる複数の位置の内の1つを適応できる。言い換えれば、調整可能接続部によって、顔当て部に対する機能部の位置を選択でき、位置は好適に事前に設定できる。複数の位置からの選択は、複数の部品の機械的相互作用、磁気力か電気力又はその両方、面ファスナ帯や機械的な力を加えることができる同様の機構を基礎とする。機能部に対する顔当て部の調整度を高めるため、第1部分と第2部分とを有する調整接続部に、上記のような調整可能部を追加で設けてもよい。
【0034】
好適な実施形態では、第2部分に対する第1部分の調整は、第1部分に一本のピン、第2部分に複数の対応する穴を設けること又はその逆によって実施でき、ピンを複数の穴の1つに選択して係合することができる。それによって顔当て部と機能部はお互いに対して異なる位置を選択できる。あるいは第1部分又は第2部分の一方に複数のピンを備え、第1部分又は第2部分の他方に1つの穴を設ける。特に好適な構成では、複数のピンを第1部分又は第2部分に備え、第1部分と第2部分の他方に複数の穴を備える。これによって多数の異なる位置を選択できる。ピンと穴は共通の軸に沿った向きに配置されるが、この共通の軸は、例えば使用者の顔に顔カバー器具を装着する時や顔カバー器具の使用時等に、顔カバー器具にかかる力が共通の軸に沿ってかからないような向きに配置する。好適には、ピンは対応する穴に摩擦係合させ、これはピン及び穴が形成される材料が合成樹脂やゴム、特に成型合成樹脂等の可撓性材料である場合に容易に実現できる。好適にはピンと穴は、目的の調整、例えば顔当て部と機能部との間の複数の距離等が実現できるように構成する。
【0035】
本実施形態の変形例では、ピンと穴の代わりに又は追加として、第1磁石と第2磁石を第1部分と第2部分とにそれぞれ設ける。第1磁石と第2磁石は、第2部分に対する第1部分の複数の異なる所定の位置の内の1つを選択できるよう引力がそれらの間に働く向きにお互いに対して配置する。
【0036】
他の構成では、第1部分と第2部分の一方はスライダによって構成するかスライダを含み、第1部分と第2部分の他方は、スライダを選択可能な異なる位置で係合できる開口部によって構成するか開口部を含む。これによってスライダと開口部を係合する方向において調整することが可能となる。スライダの外面と開口部の内面は平面であって、開口部内にスライダを摩擦係合させるので、異なる位置を連続的に選択できる。あるいはスライダの1つ又は複数の外面を例えば波状とし突起部が出るようにし、開口部の対応する1つ又は複数の内面に対応する凹部を設け、開口部内にスライダを形状適合係合できるようにし、開口部内のスライダの位置を複数の異なる所定の位置の1つに選択できるようにする。好適には、開口部とスライダの2つの対向する面に、そのような突起部と凹部を設ける。
【0037】
本実施形態の変形例では、突起部と凹部の代わりに又は追加として、開口部とスライダに第1磁石と第2磁石をそれぞれ設ける。第1磁石と第2磁石は、引力がそれらの間に働き、開口部内にスライダを複数の異なる所定の位置の1つに選択的に配置できるようなお互いに対する向きで配置する。
【0038】
顔カバー器具の調整可能接続部の更に好適な構成では、第1部分と第2部分とを接続する追加の接続部材を設ける。この目的のため接続部材は、複数の異なる方法から選択可能な方法によって第1部分と第2部分とに固定し、第2部分に対して第1部分を、つまり機能部に対して顔当て部を異なる位置に配置可能とする。
【0039】
更に好適な実施形態では、接続部材を選択可能な異なる複数の角位置の1つで第1部分と第2部分のどちらか一方の穴に挿入する。接続部材と穴は、円形等対応する形状を有し、異なる角位置に対して接続部材を穴内に摩擦係合可能とし、異なる角位置を連続的に選択できるようにする。あるいは接続部材と穴は、長方形、楕円形、三角形、正方形、六角形、八角形等でもよく、接続部材を穴内に形状適合係合させ、それぞれ対応する2つ、3つ、4つ、6つ、8つ等の穴内の接続部材の異なる角位置を可能にする。接続部材は更に少なくとも1つのピンを有し、ピンは接続部材に偏心的に配置し、第1部分と第2部分の他方は穴を有し、偏心的に配置されたピンを係合できる。あるいはピンと穴の位置は交換できる。
【0040】
他の実施形態では、配置部材によって接続部の第1部分と第2部分とをお互いに対して正確な1つの位置に接続する。この構成では、配置部材は交換可能な部品として設け、そのため異なる各交換可能配置部材によって、第2部分に対し第1部分を異なる位置に定める。このため本発明は顔カバー器具と複数の配置部材を有するシステムにも関し、各配置部材は第1部分と第2部分とをそれぞれ正確な1つの位置に接続して配置し、別の配置部材は第1部分と第2部分とをお互いに対して異なる位置に定める。複数の配置部材の1つを接続部の第1部分と第2部分とを正確な1つの位置に定める交換可能な部品として使用することで、以前に決めた位置の不注意な変更を防止できる。
【0041】
調整可能接続部の調整方法は、いかなる適した調整システムによって実現してもよい。例えば、バイクヘルメット等のヘルメットは、使用者の頭部へフィットするよう調整するため、調整可能支持システムを用いて運転者の頭部へ装着される。支持システムの円周長は歯車を回すことによって調整でき、歯車の歯は支持システムに設けられた対応する歯と係合し、支持システムの2つの端部は、歯車の回転方向に従いお互いに対して移動し、支持システムの周辺長を短くしたり長くしたりする。そのようなシステムを小型化し顔カバー器具の少なくとも1つの調整可能接続部内での使用に適合させることもできる。
【0042】
接続部の様々な構成は、相互に組み合わせることができる。例えば、接続部材は交換可能部品として設けて、接続部の調整度を高めることができる。あるいは複数の調整機構を1つの調整可能接続部に設けてもよい。更に、顔カバー器具に異なる調整機構に基づく複数の接続部を設けてもよい。つまり異なる方式で構成された複数の接続部を特定の顔カバー器具に配置してもよい。これによって顔カバー器具の各部に、例えば使用者による容易な調整を可能にしたり、決めた位置の不注意な変更を防止する等、特定の目的に最適な調整可能接続部を設けることができる。
【0043】
上記の調整可能接続部の様々な構成は、場合によっては突起部と対応する凹部を備えるピンと穴等の複数の対応する機械部品の摩擦係合か形状適合係合又はその両方に実質的に基づく。その代わりに又はそれに加えて、十分な機械力を及ぼす他のシステムが設けられた場合でも同様の動作状態が得られる。例えば、磁気系、面ファスナ帯又は電気力に基づくシステム等である。例えば、ピンとそれに対応する穴の代わりに、十分な引力を備え、適切な向きに配置された一対の磁石を設けてもよい。複数の場合は、好適には同一の複数の対の磁石を適切に配置し、複数の所定の異なる位置を選択できる。同様に、そのような対の磁石を突起部及びそれに対応する凹部の代わり又は追加として備えることもできる。面ファスナ帯も同様の自由度をもたらし、調整可能接続部内の2つの機械部品のお互いに対する配置を選択できる。本発明は調整可能接続部にも適用され、調整機構は磁力か電気力又はその両方、面ファスナ帯、及び同様のシステムに基づく。
【0044】
本発明の更なる実施形態と効果は添付の図面によって例示される。図示された例は好適な実施形態を示し、発明を限定するものではない。図面は概略的な図であって実際の寸法を表すものではなく、様々な実施形態を良く理解してもらうことを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】ゴーグルの第1実施形態を示す図である。
【図2】ゴーグルの第2実施形態の外観を示す図である。
【図3】ゴーグルの第2実施形態の外観を示す図である。
【図4】ゴーグルの第3実施形態の斜視図である。
【図5】接続部の調整が異なるゴーグルの第3実施形態の上下から見た平面図である。
【図6】接続部の調整が異なるゴーグルの第3実施形態の上下から見た平面図である。
【図7】接続部の調整が異なるゴーグルの第3実施形態の上下から見た平面図である。
【図8】接続部の調整が異なるゴーグルの第3実施形態の上下から見た平面図である。
【図9】ゴーグルの第4実施形態の斜視図である。
【図10a】調整可能部の状態を示す平面図である。
【図10b】調整可能部の状態を示す平面図である。
【図10c】調整可能部の状態を示す平面図である。
【図10d】調整可能部の状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1に顔カバー器具の例としてスノースポーツ用ゴーグルの第1実施形態を示す。ゴーグルは顔当て部1を有し、顔当て部1は使用者の顔の上に乗せられるよう適合される。顔当て部1は、使用者の顔と良く合い平面で接触するような平面を有する。顔当て部1は、可撓性材料によって形成された成型構成要素であり使用者の目の周囲を囲む閉じたフレームとして形成され、このため装着すると、使用者の額、頬、鼻、こめかみ上に置かれる。ゴーグルは更に機能部2を有し、機能部2は別の閉じたフレームで支持される透明な風防部(図1に図示せず)を有する。ゴーグルの機能部2の閉じたフレームは、原則的に顔当て部1の閉じたフレームの上に配置される。機能部2及び顔当て部1の閉じたフレームの外郭に沿って複数の調整可能接続部3が配置され、顔当て部1と機能部2とのお互いに対する位置を調整できるようにする。図1に示すように、ゴーグルに異なるタイプの調整可能部3を一緒に設ける。
【0047】
ゴーグルの中央上部に配置された接続部3は、接続部3の第1部分として開口部4を有し、開口部4は顔当て部1と一体型として構成する。接続部3の第2部分としてスライダ5を機能部2の閉じたフレーム上に配置し、機能部2と一体型として形成する。スライダ5と開口部4は、相互に係合し合い調整可能接続部3を形成するように構成する。スライダ5の外側面は波状であるため突起部がある。開口部4の対応する内側面は対応する波状であり、スライダ5の突起部が係合できる凹部を形成する。それに応じて、スライダ5の開口部4内への形状適合係合がゴーグルの中央上部に配置される調整可能接続部3にもたらされ、開口部4内のスライダ5の所定の複数の位置から1つを選択可能にする。開口部4及びスライダ5はそれぞれ成型部品である。
【0048】
第1実施形態における残りの接続部3は、顔当て部1と機能部の閉じたフレームに沿って配置され、各接続部3は、ピンを有する第1部分6を有し、第1部分6は顔当て部1の閉じたフレームと一体型に構成される。機能部2の閉じたフレームには、対応する第2部分7が配置され、第1部分6のピンを係合できる複数の穴が設けられる。第2部分7の複数の穴の内の1つを選択することによって、調整可能接続部3が配置された場所において機能部2に対する顔当て部1の位置を特定して選択できる。第1実施形態に係るゴーグルの上部に示された調整可能接続部3では、第2部分7の複数の穴は直線に沿って配置される。一方、場合によって複数の穴は、例えばゴーグルの側面に配置された調整可能接続部3の第2部分7に図示されるように、ある範囲に広がるような別の配置でもよい。ゴーグルの底部中央に位置するゴーグルの鼻の部分に調整可能接続部3の他の構成を開示する。そこでは、ピンは顔当て部1の閉じたフレームに直接位置する。第1部6及び第2部7は成型部品である。
【0049】
図1に図示した様々な調整可能接続部3は、各第1部分6と第2部分7及びスライダ5と開口部4は完全に離れる、つまり取り外せるように構成する。これに対応して、顔当て部1と機能部2は2つの個別の構成要素を形成する。このため顔当て部1は、交換可能部品として備えることが可能となる。これに対応して使用者の顔の特定の形状に合った顔当て部1を選択し、機能部2に取り付けることが可能である。異なる交換可能顔当て部1は、機能部2の対応する第2部分7及びスライダ5と係合して形成される調整可能接続部3の第1部分6及び開口部4の構成が異なってもよい。このように、顔当て部1を選択することによって使用者の顔への大まかな調整ができ、細かい調整は様々な接続部3の特定の位置を選択することによって実行できる。
【0050】
図2と3にスノースポーツ用ゴーグルの第2実施形態を図示する。図2では、第2実施形態に係るゴーグルを上方から、図3では下方から見ることができる。図1に開示された第1実施形態とは対照的に、第2実施形態ではゴーグルの上部に調整可能接続部3の代わりに固定部8が設けられる。顔当て部1と機能部2の閉じたフレームは、相互に調整不能に固定され一体型に形成される。ゴーグルの鼻部分では、顔当て部1と機能部2は同様に調整不能に相互に固定される。
【0051】
ゴーグルの底部には、2つの調整可能接続部3を設ける。これらは顔当て部1に第1部分6を有し、機能部2の閉じたフレームに第2部分7を有する。調整可能接続部3の第1部分6と第2部分7は接続部材9によって相互接続される。この目的で、接続部材9は、接続部3の第2部分7にある対応する穴10に挿入される。接続部材9と穴10は8角形であって、接続部材9は穴10へ8つの異なる各角度で選択的に配置できる。接続部材9は、逆の面にスクリュードライバ用の溝を有し、穴10内の接続部材9の角位置を容易に変えられるようにする。
【0052】
接続部材9は更に偏心的に配置されたピン11を備え、ピン11は接続部3の第1部分6にある対応する穴内に係合する。穴10内の接続部材9の異なる角位置を選択することによって、第1部分6、つまり顔当て部1は、第2部分7、つまりゴーグルの機能部に対して8つの位置の内の1つに選択的に配置できる。ピン11、顔当て部1、機能部2の様々な選択可能なお互いに対する位置は実質的に円状となっているので、顔当て部1と機能部の距離の調整だけでなく、これらの部分の横方向の相互位置も調整できる。
【0053】
図4にスノースポーツ用ゴーグルの第3実施形態を示す。第2実施形態とはゴーグルの底部に位置する調整可能接続部3の構成によって異なる。この場合も接続部3の第2部分7は接続部材9が挿入される穴10を有する。第2実施形態とは異なり、第3実施形態では接続部材9と穴10は両方とも正方形であり、接続部材9は穴10内での4つの異なる角位置が可能である。更に配置部材12を備え、配置部材12は接続部材9のピン11が挿入される穴を有する。配置部材12は、配置部材12とゴーグルの顔当て部1に位置する接続部3の第1部分の対応する穴とを係合させるピンを有する。そのような構成は、ゴーグルとその調整可能接続部3の製造を単純化するが、特にそれらが成型処理によって形成される場合に顕著である。
【0054】
図5に第3実施形態の下から見た平面図(図5上)及び上から見た平面図(図5下)を示す。図5の左側では、接続部材9と配置部材12を省略し、右側には示す。図5では、穴10内の接続部材9の角位置は、顔当て部1がゴーグルの鼻部分の方へ移動するに従い、顔当て部1と機能部2との間の距離が最大となるように選択される。そのような調整はゴーグルの使用者が細く長い鼻である場合に適する。
【0055】
図6では、穴10内の接続部材9の角位置は、顔当て部1がゴーグルの鼻部分の方へ移動するに従い、顔当て部1と機能部2との間の距離が最小となるように選択される。そのような調整は使用者が細く短い鼻である場合に適する。
【0056】
図7では、穴10内の接続部材9の角位置は、顔当て部1が鼻部分から離れて移動するに従い、顔当て部1と機能部2との間の距離が最小となるように調整する。そのような調整は使用者が短く太い鼻である場合に適する。
【0057】
図8では、穴10内の接続部の角位置は、顔当て部1が鼻部分から離れて移動するに従い、顔当て部1と機能部2との間の距離が最大となるように調整する。そのような調整は使用者が太く長い鼻である場合に適する。
【0058】
図9にスノースポーツ用ゴーグルの第4実施形態を示す。第2実施形態とは異なり、ゴーグルの上側に位置する追加調整可能接続部3を有する。この追加調整可能接続部3は、顔当て部1と機能部2のフレームとを接続し、調整可能部として構成する。調整可能部、顔当て部1及び機能部2のフレームは、一体型として構成する。調整可能部は、可撓性材料によって形成し、貫通穴13を設け、調整可能接続部3の調整可能部の形状は貫通穴13が変形された場合に変わるように構成する。貫通穴13を変形させるため、剛性挿入部材14を設ける。貫通穴13は調整可能部に力が加えられていない状態、つまり例えば挿入部材14が挿入されていない場合等、貫通穴13が変形していない時は円形である。挿入部材14は第1部分と第2部分とを有し、第1部分は楕円形であり、貫通穴13へ挿入されるように適合され、第2部分は穴13に挿入された場合に挿入部材14の角位置の調整等の操作が容易になるように適合される。図示された第4実施形態では、挿入部材14の第2部分は円形である。スクリュードライバ用の溝を設けてもよい。
【0059】
図10aは、図9に示した接続部3の調整部の平面図であって、挿入部材14が貫通穴13に挿入された場合を示す。調整可能接続部3は、図10aの上部に位置する顔当て部1と図10aの下部に位置する機能部2とを接続する。挿入部材14は、楕円形の第1部分が顔当て部1と機能部2の方向を指すような向きで穴13内に配置される。これによって楕円形に変形した貫通穴13の長軸が顔当て部1と機能部2とに同様に向くように貫通穴13は楕円形に変形する。言い換えると、調整可能部3の調整可能部に力が加えられていない状態に比べて、調整可能接続部3の寸法は、挿入部材14の楕円形の第1部分の長軸方向に長くなり、結果的に顔当て部1と機能部2との間の距離は同様に増加する。同時に調整可能部の直交する方向の寸法は短くなる。図10aに示すように、変形した貫通穴13は、楕円形の挿入部材14の第1部分の形状に完全に合う分けではない。
【0060】
図10bでは、挿入部材14の向きを90°変える。挿入部材14の楕円形の第1部分の長軸は、顔当て部1と機能部2とに平行な方向を指す。これによって楕円形に変形した貫通穴13の短軸は顔当て部1と機能部2とを指すように、貫通穴13は楕円形に変形する。このため、調整可能接続部3の寸法は、挿入部材14の楕円形の第1部分の短軸方向に短くなり、結果的に顔当て部1と機能部2との間の距離は短くなる。同時に直交する方向における調整可能部の寸法は長くなる。
【0061】
図10cと10dは、貫通穴13と挿入部材14の他の構成を図示する。貫通穴13は、調整可能部に力が加えられない状態では正方形であって、挿入部材14は四角形である。挿入部材14は長辺と短辺とを有する。挿入部材14を挿入すると、貫通穴13は完全に挿入部材14の形状に合う。図10a及び図10bに示した前の構造と同様、挿入部材14の長辺が顔当て部1と機能部2の方向を指す場合は、顔当て部1と機能部2との間の距離は長くなり(図10c参照)、挿入部材14の長辺が顔当て部1と機能部2とに平行な方向を指す場合は、顔当て部1と機能部2との間の距離は短くなる(図10d参照)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の顔へのフィット性を向上したゴーグルやフェイスマスクのような顔カバー器具に関する。
【0002】
人の顔の所定の部分に包囲部を設ける顔カバー器具は、様々な目的で広く使用されている。そのような顔カバー器具には、サイクリング、オートバイ乗り、ダイビング、スカイダイビング、ペイントボール、スノーモービル、四輪車乗り、スノースポーツ等の様々な種類のスポーツ用のスポーツゴーグルや、軍用ゴーグル、消防士、警察官、機械工、整備士等用の保護ゴーグル、例えば産業用、物理、化学、生物等の研究所で使用する安全ゴーグル、及び目を保護するあらゆる種類の安全ゴーグルがある。そのような顔カバー器具には、産業用又は医療用の呼吸用マスクや消防士やパイロット等用の空気・酸素マスク等のフェイスマスクもある。
【0003】
そのような顔カバー器具が目的の機能を果たすためには、使用者の顔への密着したフィット性が通常重要である。顔カバー器具の目的に応じた包囲部のある程度の密封が得られるように、包囲部が形成される部分を囲む密封部における密着したフィット性が要求される。更に、装着感の良さをもたらし不要な圧点を防止するため、顔カバー器具によって特に密封部分において使用者の顔に対し均一な圧力がかからなければならない。
【0004】
しかしながら、すべての使用者は、特にこめかみ、頬部、額、鼻、顎等において異なる顔の形状を有するので、定められた特定の形を有する顔カバー器具は、すべての使用者に対して同じようにフィットし、同じ装着感の良さをもたらすことはできない。僅かなフィット性の悪さにより、顔カバー器具によって人の顔へかかる、例えば不均一な圧力等、意図に反する圧力の分布を密封部に生じる。これによって装着感の良さを損ない、使用者の顔に圧点を生じてしまう可能性がある。フィット性がより悪い場合は、密封部の密封が不十分となり、顔カバー器具の目的の機能が低下する場合がある。例えば、オートバイ用ゴーグルによって設けられた包囲部に粉塵が入ったり、ダイビング用マスクの包囲部に水が入ったりする場合がある。
【0005】
通常ダイビング用マスクは、目と鼻の周辺に包囲部をもたらす。ダイビング用マスクは、目の前のガラス板と、ダイバーの顔を防水密封するゴム製又はシリコン製のスカート部とを有し、ダイバーの頭周りのベルト又はストラップによってダイビング用マスクをダイバーの顔の所定の位置に保持する。スカート部は使用者の顔面で終端し、十分な強さの防水をもたらす。使用者の鼻と口を覆う包囲部をもたらす呼吸用マスクと空気マスクの構成は、密封に関して同様である。ストラップによってかかる圧力を調整して、ダイバーの顔へのダイビング用マスクの圧力を可能な限り最適に選択できる。これによって、ダイバーの顔の形状と、ダイビング用マスクのデザインの対象となった顔の形状との僅かなずれは克服できる。しかしながらずれが大きすぎる場合は、ダイビング用マスクが強い圧力をかける位置のダイバーの顔に圧点が生じ、ダイビング用マスクの信頼できる機能を台無しにする。
【0006】
スノースポーツ用ゴーグル等の他種類の顔カバー器具では、包囲部に要求される密封度は下がり、人の顔面に対して密着して沿う第1フレームによって密封がもたらされる。第1フレームは多くの場合、閉じたフレームである。垂直に、つまり人の顔面に実質的に垂直に配置される第2フレームは、第1フレームの上に位置し、透明な風防部を保持する。第1フレーム及び第2フレームは、1つ又は数個の接続部で接続され、更にこれら2つのフレームは一体型として形成することもできる。スノースポーツ用ゴーグルの第1フレーム及び第2フレームを囲う側面には接続部があり、ゴーグルの十分な気密性と十分な通気を同時に満たすような通気性のある素材によって覆われる隙間を設けてもよい。つまり2つのフレームは、使用者の顔の目の部分を覆う包囲部用の枠組みをもたらす。そのようなゴーグルは、特にそれらのフレームは、多くの場合可撓性を有し、使用者の頭にゴーグルを固定するストラップによりかかる力によって僅かにゴーグルを変形させ、ゴーグルの形状を使用者の顔の形状に合わせ、見込まれるずれを克服する。更に、第1フレームの下に発砲体層を設け、使用者の顔に包囲部を密封し、使用者の顔部分の密封部における隙間と圧点を軽減することも周知である。改良された方法では、第1フレームの下の密封部において、厚み、密度又は形状を変化させた発砲体層を設ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながらそのような方法を取っても結果は十分ではなく、そのようなゴーグルのフィット性を向上させ、機能を保証できるように改良する要求が依然としてある。
【0008】
そのため、本発明の目的は、異なる顔の形状に対し、信頼できる機能と向上した装着感の良さをもたらす顔カバー器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本目的は、独立請求項に係る顔カバー器具によって達成される。従属請求項は、好適な構成を定義する。
【0010】
本発明の顔カバー器具は、使用者の顔、つまり人の顔の所定の部分を覆う包囲部をもたらすフェイスマスクやゴーグル等に関連する。そのような顔カバー器具は、好適には可撓性のあるゴムのような素材で作られた固定ストラップ等のベルト又はストラップによって使用者の頭部に固定することが望ましい。包囲部は、顔カバー器具の外部から密封され閉鎖された空間であって、密封の範囲、性質、強度は、顔カバー器具の意図される目的に応じて適応される。
【0011】
顔カバー器具は、顔カバー器具の目的の機能をもたらす機能部を有し、機能部は、例えば風防用の透明な層、又は呼吸用マスク又は空気マスクに呼吸用空気を通すチューブ入口部を有する。機能部は更に、可撓性のあるスカート部や通気性のある素材による包囲部を有し、使用者の顔の所定部分の包囲部を完全にする。包囲部は、使用者の顔の密封部上の顔カバー器具の側面部に配置してもよい。
【0012】
本発明による顔カバー器具は、好適には使用者の顔の表面に対し密着して沿う平らな面を有する顔当て部を更に有する。顔当て部は、包囲部が形成される顔の所定の部分を囲う部分において人の顔の形状に合わせられ、顔カバー器具の使用者の顔に対する密着したフィット性をもたらす。
【0013】
顔当て部と機能部とは、1つ又は複数の接続部によって機械的に相互接続される。
【0014】
本発明によれば、1つの接続部又は複数の接続部の内の少なくとも1つは、調整可能な接続部として構成される。そのような調整可能接続部によって、機能部に対する顔当て部の位置を調整可能とする。好適には調整可能接続部は、使用者の顔面に垂直な方向において顔当て部と機能部との間の距離を調整するか、使用者の顔面に平行な方向において機能部に対する顔当て部の横方向の位置を調整するか、又はその両方を調整する。好適には顔当て部と機能部のお互いに対する位置は、調整可能接続部の複数の所定の位置の1つを選択することで調整し、調整可能接続部の各所定の位置は、顔当て部と機能部の相対的な配置を定める。
【0015】
この調整によって、顔カバー器具の目的の機能が効果的にもたらされるよう、顔カバー器具の機能部を使用者の顔に配置できる。ゴーグルの場合、例えば、使用者の目から機能部の透明部分への適切な距離を選択可能とする。この調整は、透明層がレンズ機能を有する場合は特に効果的である。呼吸用マスクや空気マスクの場合のように顔カバー器具によって鼻や顎等の使用者の顔の突起部分を覆う場合、調整可能接続部による調整によって、顔カバー器具が形成する包囲部内にそのような突起部分が安全に覆われることを保証する。更にこの調整によって、密着したフィット性が得られるように顔カバー器具の顔当て部を使用者の顔に配置できる。
【0016】
上記のようにダイビング用ゴーグル等の顔カバー器具の多くは、ガラス板等の剛性部と、それを包囲し密封するゴムのような可撓性材料のスカート部のような包囲部とを有する。呼吸用マスク又は空気マスクは、密封に関して同様の構成を持つが、ガラス板の代わりに呼吸空気用のチューブ入口部を備える。
【0017】
顔カバー器具の内部(つまり顔カバー器具によって形成される包囲部)と顔カバー器具の外部との上昇する圧力差に耐える十分に強い密封をもたらすには、スカート部は多くの場合人の顔面上に直接終端する。本発明による顔当て部は、好適には機能部の剛性部と接続される少なくとも1つの調整可能接続部と組み合わせて、人の顔面にかかるスカート部の圧力の調整を可能にする。このため、人の顔にかかるスカート部を最適な圧力に選択でき、最適な密封状態等、最良の結果をもたらす。
【0018】
固定ストラップは、顔当て部又は好適には機能部に取り付け可能である。
【0019】
顔カバー器具の好適な構成では、調整可能接続部を複数備え、特に複数の調整可能接続部が配置される部分の機能部と顔当て部の位置において、各調整可能接続部は機能部に対する顔当て部の位置をそれぞれ独立して調整可能である。複数の調整可能接続部は、好適には異なる部品として設ける。相互に独立して調整可能な複数の調整可能接続部を備えることによって、簡易な方法で取り付け可能な接続部をもたらし、一方機能部は顔当て部に対して様々に選択できる方法で配置することができる。例えば、顔当て部に対する(つまり使用者の顔に対する)機能部の傾きは、複数の調整可能接続部を設け、各調整可能接続部が顔当て部と機能部との間の距離のみを調整可能とすることによって調整できる。
【0020】
更に好適な実施形態では、顔カバー器具の顔当て部は、相互に機械的に独立した複数の部分を有する。複数の部分は、好適には顔カバー器具が包囲部を形成する使用者の顔の所定の部分を囲むように配置される。各複数の部分は、少なくとも1つの調整可能接続部によって機能部へ接続され、顔カバー器具の機能部に対する顔当て部の各部分の位置を独立して調整可能とする。機能部がゴーグルのガラス板等の剛性部を有する場合は、相互に独立して調整可能な調整可能接続部によって顔カバー器具の機能部に対する顔当て部の複数の部分を独立して調整することで、顔当て部を使用者の顔の形状に合わせることができる。これによって各複数部分によってかかる圧力を均一とできるので、顔カバー器具によって使用者の顔にかかる圧力を一定にできる。好適には調節可能接続部は、顔当て部の複数の部分と機能部の剛性部とを相互接続する。
【0021】
更に好適な構成では、顔当て部は、例えば可撓性素材から作られた可撓性構成要素として備える。顔当て部が複数部分に分かれる場合は、複数部分の内の数個又は各複数部分をそのような可撓性素材から作る。一方好適な他の構成では、顔当て部は、顔カバー器具が包囲部を形成する顔の所定の部分を囲むか又はその一部である閉じたフレームとして設ける。特に好適な実施形態では、顔当て部は可撓性を有し、使用者の顔の所定の部分を完全に囲む一体型として備える。顔当て部が可撓性を有する場合は、閉じたフレームのように一体型として顔当て部を備える場合でも、上記の顔当て部が複数の部分から構成される場合と同じ利点を得ることができる。つまり、閉じたフレームを複数の調整可能接続部によって顔カバー器具の機能部へ接続される可撓性構成要素として設け、調整可能接続部が設けられた部分において各調整可能接続部により機能部に対する顔当て部の位置を相互に独立して調整可能とすることによって、顔当て部を使用者の顔の個々の形状に合わせることが可能となる。それによって、顔当て部の使用者の顔への密着した接触と高いフィット性を保証でき、顔当て部の各部に均一の圧力を与えることができる。好適には顔当て部は、使用者の顔面に接する平らな表面を有する。一方ではこれによって使用者の顔に圧点がかかるのを防止するので、装着感が向上する。他方では顔当て部による使用者の顔に対する密封を向上させる。顔当て部によってもたらされる密封が向上し、顔カバー器具によってもたらす必要のある密封に十分であれば、機能部を好適には完全に包囲する機能部の包囲部、例えばダイビングマスクのスカート部が顔の皮膚に直接終端する必要はなくなる。むしろ包囲部は顔当て部に直接終端してもよく、これによって顔カバー器具の構成を簡素化できる。顔当て部の密封度が向上すれば、使用者の顔の所定の部分に包囲部をもたらす顔カバー器具の目的の機能にとって有利である。この場合、顔カバー器具の機能層の包囲部は、機能部に対する顔当て部の様々な位置に対応できる必要があり、この位置は複数の調節可能接続部によって調整してもよい。
【0022】
これは、機能部の包囲部に例えば合成樹脂等の可撓性素材又はゴムのような素材を使用し、包囲部の変形を容易にする波形等の所定の形状の包囲部を設けることによって達成でき、目的の包囲部の機能を保持しながら十分な変形を可能にする。その代わりに又はそれに加えて、包囲部を重なり合う2層として設け、調整可能部によって顔当て部と機能層がお互いに対する位置を調整された場合に、例えばそれらがスライドして相互に重なったり、内部に入ったりするようにしてもよい。そのため、重なり合う2層は、対応し合う雄雌部品として構成してもよい。包囲部は、顔カバー器具の目的に応じて、織布、布、膜等の通気性のある素材、通気性のない素材又は発砲体で構成してもよい。包囲部の機能は、機能部又は機能部のフレーム等の一部によって実現してもよい。そのため、機能部及びその一部は、顔カバー器具の包囲部の十分な密封を保持しつつ、容易に変形するよう可撓性を有してもよい。
【0023】
更に好適な構成では、機能部及び顔当て部は、一体型として構成する。つまり、少なくとも1つの調整可能接続部に加えて、顔カバー器具の顔当て部と機能部との間に少なくとももう1つの調整不能な追加接続部を設け、顔当て部の少なくとも一部を機能部に対して固定した位置とする。そのような固定した追加の接続部を設けることによって顔カバー器具の機械的な安定性は増加するが、顔当て部の機能部に対する全体的な調整度は制限される。このため、そのような構成は顔カバー器具の制限された適応が必要な場合又は望まれる場合のみ好適である。この構成において好適には、異なる使用者間の顔の形状で最も差があると見込まれる顔カバー器具の部分に調整可能部を設ける。
【0024】
更に好適な構成では、接続部が調整可能な接続部であるか、他の位置を選択することができず1つの位置のみ可能な接続部であるかに関わらず、各接続部を取り外し可能とする。調整可能接続部の取り外し可能部は、調整可能接続部の目的の調整を可能とする部分とは好適には別個である。顔当て部と機能部が取り外し可能接続部のみによって接続される場合、顔当て部と機能部は互いに分離できる2つの個別の構成要素を形成する。これによって顔当て部又は機能部のどちらも交換可能な構成要素として備えることが可能となる。機能部を交換可能な構成要素とする場合、使用者は同一の顔当て部を異なる複数の機能部の内の1つと組み合わせて使用することができる。これによって特定の使用者の顔の形状に完全に合った顔当て部を複数の顔カバー器具と組み合わせて使用することが可能となる。好適な実施形態では、顔当て部は交換可能な構成要素を形成する。これによって特定の顔カバー器具に対して複数の顔当て部の内の1つを選択可能にする。好適には、顔当て部のこの選択によって、特定の使用者の顔の形状に顔カバー器具を少なくとも大まかに合わせる調整を可能にし、少なくとも1つの調整可能接続部によって微調整を可能にする。調整可能又は不可の接続部の取り外し可能部は、機械的に取り外し可能な部品、磁気的に取り外し可能な部品又は面ファスナ帯として備えてもよい。
【0025】
同様に、本発明は、顔当て部と機能部とを有する顔カバー器具の上記の好適な構成と、顔カバー器具の第1顔当て部と交換可能な追加のさらなる顔当て部とを有するシステムにも関する。
【0026】
調整可能接続部は、様々な異なる方法で取り付けられる。
【0027】
好適な実施形態では、調整可能接続部は一体型として構成された調整可能部を有する。調整可能部の形状、特に長さは、選択的に変更可能である。つまり調整可能部は、顔カバー器具の顔当て部と機能部のお互いに対する位置を適切に選択できるよう、例えば引っ込めたり引き伸ばしたりして変形可能である。調整可能部は、顔カバー器具の顔当て部か機能部又はその両方に、直接又は追加の部品を介して固定的に取り付けてもよい。特に好適な実施形態では、変形可能部と顔当て部か機能部又はその両方は、一体型として構成する。
【0028】
好適な実施形態では、調整可能部は塑性変形できる。その形状は、熱、電界、磁界又は電力等の外的影響を受け調整可能である。調整可能部は、そのような外的影響がない場合は、剛性であり、僅かに弾性変形するぐらいである。このように、外的影響がある場合は、調整可能部の形状を決め、顔当て部と機能部とをお互いに対して適切な位置に配置し、一方外的影響がない場合は、変形可能部は決められた形状を維持し、例えば外的な力の動きによって生じ得る僅かな弾性変形以外は固定的である。そのような調整可能部は、デュロプラスティック(Duroplastic)又は熱可塑性物質によって形成し、一回又は複数回、それぞれ熱を加えたときに接続部の形状を調整可能とする。
【0029】
他の実施形態では、調整可能部は可撓性物質によって形成する。つまり調整可能部は、例えば外的影響のあるなしに関わらず弾性変形可能である。調整可能部は、穴、好適には貫通穴を有し、穴が変形した場合に調整可能部全体の形状が変形されるように構成される。このように、調整可能部の穴が変形されると、調整可能接続部が調整され、顔当て部は、顔カバー器具の機能部に対し配置される。好適には、穴は、挿入部材が穴に差し込まれることによって変形する。挿入部材の一部のみ穴に挿入される場合は、下記における「挿入部材」は挿入部材のその一部に関し、挿入部材の他の部分は、例えば操作しやすいような適切な形状に形成してもよい。挿入部材の形状は、調整可能部に力が加えられない状態において穴の形状とは一致せず、挿入部材が穴に挿入されると意図的に変形される。挿入部材は、調整可能部よりも弾性が低く、つまりより剛性である。更に穴及び挿入部材の形状は、穴の変形つまり調整可能部の変形が穴内の挿入部材の角位置によるように相互に適合される。これは、穴に渡る第1方向に沿った第1寸法が穴に渡る第2方向に沿った第2寸法よりも長く、第2方向は第1方向とは異なり、好適には垂直であるように挿入部材を構成することによって実現される。好適には、力が加えられていない状態の穴と挿入部材(つまり挿入部材の穴に挿入される部分)の円周は少なくとも実質的に同一である。
【0030】
例えば、穴は力が加えられていない状態で円形であり、一方挿入部材は例えば楕円形や卵型等の非円形である。力が加えられていない状態では挿入部材の第1寸法は穴の寸法よりも長いが、第2寸法は穴の寸法よりも短い。挿入部材が楕円形の場合、基礎をなす楕円の長軸が第1寸法であり、短軸が第2寸法である。挿入部材が穴に挿入されると、穴も同様に楕円形となり、楕円形の挿入部材の長軸の方向に調整可能部は伸長する。このため、長軸が顔当て部及び機能部を指す向きに配置される場合、調整可能部に力が加えられていない状態と比べると、調整可能接続部の調整可能部は、より長くより薄くなり、顔当て部と機能部はお互いに対して離れる。逆に、短軸が顔当て部及び機能部を指す向きに配置される場合、調整可能部に力が加えられていない状態と比べると、調整可能接続部の接続部は、より短くより厚くなり、顔当て部と機能部はお互いに対して近付く。
【0031】
他の例では、穴は力が加えられていない状態で正方形の形状であり、挿入部材は長方形の形状であって、基礎となる長方形は長辺と短辺がある。挿入部材を穴に入れる際に、穴は少なくとも部分的に長方形の形状に合わせられ、穴内の長方形の挿入部材の向きによって、調整可能部はより長くより薄くなるか、より短くより厚くなり、これに対応して顔当て部と機能部はお互いに対して離れるか又は近付く。
【0032】
穴と挿入部材が三角形、五角形、六角形又は八角形等のその他の形状であっても調整可能部の寸法に対する同様の作用が得られる。上記の最初の2つの構成では、顔当て部と機能部は挿入部材を90°回すと顔当て部と機能部はお互いに対して最も離れるか最も近づく。後述の構成では、この角度は例えば等辺三角形では60°、正六角形では30°のように、より小さくなる。
【0033】
更に好適な実施形態では、調整可能接続部は複数の部材から構成される。顔当て部に固定された第1部分と機能部に固定された第2部分とを有する。第1部分は顔当て部に固定的に取り付けてもよいし、第1部分と顔当て部とを一体型として備えてもよい。同様に、第2部分は機能部に固定的に取り付けてもよいし、第2部分と機能部とを一体型として備えてもよい。第1部分と第2部分、そして第1部分と第2部分が配置される顔当て部と機能部の部分は、お互いに対して選択的に配置でき、顔当て部と機能部はお互いに対して異なる複数の位置の内の1つを適応できる。言い換えれば、調整可能接続部によって、顔当て部に対する機能部の位置を選択でき、位置は好適に事前に設定できる。複数の位置からの選択は、複数の部品の機械的相互作用、磁気力か電気力又はその両方、面ファスナ帯や機械的な力を加えることができる同様の機構を基礎とする。機能部に対する顔当て部の調整度を高めるため、第1部分と第2部分とを有する調整接続部に、上記のような調整可能部を追加で設けてもよい。
【0034】
好適な実施形態では、第2部分に対する第1部分の調整は、第1部分に一本のピン、第2部分に複数の対応する穴を設けること又はその逆によって実施でき、ピンを複数の穴の1つに選択して係合することができる。それによって顔当て部と機能部はお互いに対して異なる位置を選択できる。あるいは第1部分又は第2部分の一方に複数のピンを備え、第1部分又は第2部分の他方に1つの穴を設ける。特に好適な構成では、複数のピンを第1部分又は第2部分に備え、第1部分と第2部分の他方に複数の穴を備える。これによって多数の異なる位置を選択できる。ピンと穴は共通の軸に沿った向きに配置されるが、この共通の軸は、例えば使用者の顔に顔カバー器具を装着する時や顔カバー器具の使用時等に、顔カバー器具にかかる力が共通の軸に沿ってかからないような向きに配置する。好適には、ピンは対応する穴に摩擦係合させ、これはピン及び穴が形成される材料が合成樹脂やゴム、特に成型合成樹脂等の可撓性材料である場合に容易に実現できる。好適にはピンと穴は、目的の調整、例えば顔当て部と機能部との間の複数の距離等が実現できるように構成する。
【0035】
本実施形態の変形例では、ピンと穴の代わりに又は追加として、第1磁石と第2磁石を第1部分と第2部分とにそれぞれ設ける。第1磁石と第2磁石は、第2部分に対する第1部分の複数の異なる所定の位置の内の1つを選択できるよう引力がそれらの間に働く向きにお互いに対して配置する。
【0036】
他の構成では、第1部分と第2部分の一方はスライダによって構成するかスライダを含み、第1部分と第2部分の他方は、スライダを選択可能な異なる位置で係合できる開口部によって構成するか開口部を含む。これによってスライダと開口部を係合する方向において調整することが可能となる。スライダの外面と開口部の内面は平面であって、開口部内にスライダを摩擦係合させるので、異なる位置を連続的に選択できる。あるいはスライダの1つ又は複数の外面を例えば波状とし突起部が出るようにし、開口部の対応する1つ又は複数の内面に対応する凹部を設け、開口部内にスライダを形状適合係合できるようにし、開口部内のスライダの位置を複数の異なる所定の位置の1つに選択できるようにする。好適には、開口部とスライダの2つの対向する面に、そのような突起部と凹部を設ける。
【0037】
本実施形態の変形例では、突起部と凹部の代わりに又は追加として、開口部とスライダに第1磁石と第2磁石をそれぞれ設ける。第1磁石と第2磁石は、引力がそれらの間に働き、開口部内にスライダを複数の異なる所定の位置の1つに選択的に配置できるようなお互いに対する向きで配置する。
【0038】
顔カバー器具の調整可能接続部の更に好適な構成では、第1部分と第2部分とを接続する追加の接続部材を設ける。この目的のため接続部材は、複数の異なる方法から選択可能な方法によって第1部分と第2部分とに固定し、第2部分に対して第1部分を、つまり機能部に対して顔当て部を異なる位置に配置可能とする。
【0039】
更に好適な実施形態では、接続部材を選択可能な異なる複数の角位置の1つで第1部分と第2部分のどちらか一方の穴に挿入する。接続部材と穴は、円形等対応する形状を有し、異なる角位置に対して接続部材を穴内に摩擦係合可能とし、異なる角位置を連続的に選択できるようにする。あるいは接続部材と穴は、長方形、楕円形、三角形、正方形、六角形、八角形等でもよく、接続部材を穴内に形状適合係合させ、それぞれ対応する2つ、3つ、4つ、6つ、8つ等の穴内の接続部材の異なる角位置を可能にする。接続部材は更に少なくとも1つのピンを有し、ピンは接続部材に偏心的に配置し、第1部分と第2部分の他方は穴を有し、偏心的に配置されたピンを係合できる。あるいはピンと穴の位置は交換できる。
【0040】
他の実施形態では、配置部材によって接続部の第1部分と第2部分とをお互いに対して正確な1つの位置に接続する。この構成では、配置部材は交換可能な部品として設け、そのため異なる各交換可能配置部材によって、第2部分に対し第1部分を異なる位置に定める。このため本発明は顔カバー器具と複数の配置部材を有するシステムにも関し、各配置部材は第1部分と第2部分とをそれぞれ正確な1つの位置に接続して配置し、別の配置部材は第1部分と第2部分とをお互いに対して異なる位置に定める。複数の配置部材の1つを接続部の第1部分と第2部分とを正確な1つの位置に定める交換可能な部品として使用することで、以前に決めた位置の不注意な変更を防止できる。
【0041】
調整可能接続部の調整方法は、いかなる適した調整システムによって実現してもよい。例えば、バイクヘルメット等のヘルメットは、使用者の頭部へフィットするよう調整するため、調整可能支持システムを用いて運転者の頭部へ装着される。支持システムの円周長は歯車を回すことによって調整でき、歯車の歯は支持システムに設けられた対応する歯と係合し、支持システムの2つの端部は、歯車の回転方向に従いお互いに対して移動し、支持システムの周辺長を短くしたり長くしたりする。そのようなシステムを小型化し顔カバー器具の少なくとも1つの調整可能接続部内での使用に適合させることもできる。
【0042】
接続部の様々な構成は、相互に組み合わせることができる。例えば、接続部材は交換可能部品として設けて、接続部の調整度を高めることができる。あるいは複数の調整機構を1つの調整可能接続部に設けてもよい。更に、顔カバー器具に異なる調整機構に基づく複数の接続部を設けてもよい。つまり異なる方式で構成された複数の接続部を特定の顔カバー器具に配置してもよい。これによって顔カバー器具の各部に、例えば使用者による容易な調整を可能にしたり、決めた位置の不注意な変更を防止する等、特定の目的に最適な調整可能接続部を設けることができる。
【0043】
上記の調整可能接続部の様々な構成は、場合によっては突起部と対応する凹部を備えるピンと穴等の複数の対応する機械部品の摩擦係合か形状適合係合又はその両方に実質的に基づく。その代わりに又はそれに加えて、十分な機械力を及ぼす他のシステムが設けられた場合でも同様の動作状態が得られる。例えば、磁気系、面ファスナ帯又は電気力に基づくシステム等である。例えば、ピンとそれに対応する穴の代わりに、十分な引力を備え、適切な向きに配置された一対の磁石を設けてもよい。複数の場合は、好適には同一の複数の対の磁石を適切に配置し、複数の所定の異なる位置を選択できる。同様に、そのような対の磁石を突起部及びそれに対応する凹部の代わり又は追加として備えることもできる。面ファスナ帯も同様の自由度をもたらし、調整可能接続部内の2つの機械部品のお互いに対する配置を選択できる。本発明は調整可能接続部にも適用され、調整機構は磁力か電気力又はその両方、面ファスナ帯、及び同様のシステムに基づく。
【0044】
本発明の更なる実施形態と効果は添付の図面によって例示される。図示された例は好適な実施形態を示し、発明を限定するものではない。図面は概略的な図であって実際の寸法を表すものではなく、様々な実施形態を良く理解してもらうことを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】ゴーグルの第1実施形態を示す図である。
【図2】ゴーグルの第2実施形態の外観を示す図である。
【図3】ゴーグルの第2実施形態の外観を示す図である。
【図4】ゴーグルの第3実施形態の斜視図である。
【図5】接続部の調整が異なるゴーグルの第3実施形態の上下から見た平面図である。
【図6】接続部の調整が異なるゴーグルの第3実施形態の上下から見た平面図である。
【図7】接続部の調整が異なるゴーグルの第3実施形態の上下から見た平面図である。
【図8】接続部の調整が異なるゴーグルの第3実施形態の上下から見た平面図である。
【図9】ゴーグルの第4実施形態の斜視図である。
【図10a】調整可能部の状態を示す平面図である。
【図10b】調整可能部の状態を示す平面図である。
【図10c】調整可能部の状態を示す平面図である。
【図10d】調整可能部の状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1に顔カバー器具の例としてスノースポーツ用ゴーグルの第1実施形態を示す。ゴーグルは顔当て部1を有し、顔当て部1は使用者の顔の上に乗せられるよう適合される。顔当て部1は、使用者の顔と良く合い平面で接触するような平面を有する。顔当て部1は、可撓性材料によって形成された成型構成要素であり使用者の目の周囲を囲む閉じたフレームとして形成され、このため装着すると、使用者の額、頬、鼻、こめかみ上に置かれる。ゴーグルは更に機能部2を有し、機能部2は別の閉じたフレームで支持される透明な風防部(図1に図示せず)を有する。ゴーグルの機能部2の閉じたフレームは、原則的に顔当て部1の閉じたフレームの上に配置される。機能部2及び顔当て部1の閉じたフレームの外郭に沿って複数の調整可能接続部3が配置され、顔当て部1と機能部2とのお互いに対する位置を調整できるようにする。図1に示すように、ゴーグルに異なるタイプの調整可能部3を一緒に設ける。
【0047】
ゴーグルの中央上部に配置された接続部3は、接続部3の第1部分として開口部4を有し、開口部4は顔当て部1と一体型として構成する。接続部3の第2部分としてスライダ5を機能部2の閉じたフレーム上に配置し、機能部2と一体型として形成する。スライダ5と開口部4は、相互に係合し合い調整可能接続部3を形成するように構成する。スライダ5の外側面は波状であるため突起部がある。開口部4の対応する内側面は対応する波状であり、スライダ5の突起部が係合できる凹部を形成する。それに応じて、スライダ5の開口部4内への形状適合係合がゴーグルの中央上部に配置される調整可能接続部3にもたらされ、開口部4内のスライダ5の所定の複数の位置から1つを選択可能にする。開口部4及びスライダ5はそれぞれ成型部品である。
【0048】
第1実施形態における残りの接続部3は、顔当て部1と機能部の閉じたフレームに沿って配置され、各接続部3は、ピンを有する第1部分6を有し、第1部分6は顔当て部1の閉じたフレームと一体型に構成される。機能部2の閉じたフレームには、対応する第2部分7が配置され、第1部分6のピンを係合できる複数の穴が設けられる。第2部分7の複数の穴の内の1つを選択することによって、調整可能接続部3が配置された場所において機能部2に対する顔当て部1の位置を特定して選択できる。第1実施形態に係るゴーグルの上部に示された調整可能接続部3では、第2部分7の複数の穴は直線に沿って配置される。一方、場合によって複数の穴は、例えばゴーグルの側面に配置された調整可能接続部3の第2部分7に図示されるように、ある範囲に広がるような別の配置でもよい。ゴーグルの底部中央に位置するゴーグルの鼻の部分に調整可能接続部3の他の構成を開示する。そこでは、ピンは顔当て部1の閉じたフレームに直接位置する。第1部6及び第2部7は成型部品である。
【0049】
図1に図示した様々な調整可能接続部3は、各第1部分6と第2部分7及びスライダ5と開口部4は完全に離れる、つまり取り外せるように構成する。これに対応して、顔当て部1と機能部2は2つの個別の構成要素を形成する。このため顔当て部1は、交換可能部品として備えることが可能となる。これに対応して使用者の顔の特定の形状に合った顔当て部1を選択し、機能部2に取り付けることが可能である。異なる交換可能顔当て部1は、機能部2の対応する第2部分7及びスライダ5と係合して形成される調整可能接続部3の第1部分6及び開口部4の構成が異なってもよい。このように、顔当て部1を選択することによって使用者の顔への大まかな調整ができ、細かい調整は様々な接続部3の特定の位置を選択することによって実行できる。
【0050】
図2と3にスノースポーツ用ゴーグルの第2実施形態を図示する。図2では、第2実施形態に係るゴーグルを上方から、図3では下方から見ることができる。図1に開示された第1実施形態とは対照的に、第2実施形態ではゴーグルの上部に調整可能接続部3の代わりに固定部8が設けられる。顔当て部1と機能部2の閉じたフレームは、相互に調整不能に固定され一体型に形成される。ゴーグルの鼻部分では、顔当て部1と機能部2は同様に調整不能に相互に固定される。
【0051】
ゴーグルの底部には、2つの調整可能接続部3を設ける。これらは顔当て部1に第1部分6を有し、機能部2の閉じたフレームに第2部分7を有する。調整可能接続部3の第1部分6と第2部分7は接続部材9によって相互接続される。この目的で、接続部材9は、接続部3の第2部分7にある対応する穴10に挿入される。接続部材9と穴10は8角形であって、接続部材9は穴10へ8つの異なる各角度で選択的に配置できる。接続部材9は、逆の面にスクリュードライバ用の溝を有し、穴10内の接続部材9の角位置を容易に変えられるようにする。
【0052】
接続部材9は更に偏心的に配置されたピン11を備え、ピン11は接続部3の第1部分6にある対応する穴内に係合する。穴10内の接続部材9の異なる角位置を選択することによって、第1部分6、つまり顔当て部1は、第2部分7、つまりゴーグルの機能部に対して8つの位置の内の1つに選択的に配置できる。ピン11、顔当て部1、機能部2の様々な選択可能なお互いに対する位置は実質的に円状となっているので、顔当て部1と機能部の距離の調整だけでなく、これらの部分の横方向の相互位置も調整できる。
【0053】
図4にスノースポーツ用ゴーグルの第3実施形態を示す。第2実施形態とはゴーグルの底部に位置する調整可能接続部3の構成によって異なる。この場合も接続部3の第2部分7は接続部材9が挿入される穴10を有する。第2実施形態とは異なり、第3実施形態では接続部材9と穴10は両方とも正方形であり、接続部材9は穴10内での4つの異なる角位置が可能である。更に配置部材12を備え、配置部材12は接続部材9のピン11が挿入される穴を有する。配置部材12は、配置部材12とゴーグルの顔当て部1に位置する接続部3の第1部分の対応する穴とを係合させるピンを有する。そのような構成は、ゴーグルとその調整可能接続部3の製造を単純化するが、特にそれらが成型処理によって形成される場合に顕著である。
【0054】
図5に第3実施形態の下から見た平面図(図5上)及び上から見た平面図(図5下)を示す。図5の左側では、接続部材9と配置部材12を省略し、右側には示す。図5では、穴10内の接続部材9の角位置は、顔当て部1がゴーグルの鼻部分の方へ移動するに従い、顔当て部1と機能部2との間の距離が最大となるように選択される。そのような調整はゴーグルの使用者が細く長い鼻である場合に適する。
【0055】
図6では、穴10内の接続部材9の角位置は、顔当て部1がゴーグルの鼻部分の方へ移動するに従い、顔当て部1と機能部2との間の距離が最小となるように選択される。そのような調整は使用者が細く短い鼻である場合に適する。
【0056】
図7では、穴10内の接続部材9の角位置は、顔当て部1が鼻部分から離れて移動するに従い、顔当て部1と機能部2との間の距離が最小となるように調整する。そのような調整は使用者が短く太い鼻である場合に適する。
【0057】
図8では、穴10内の接続部の角位置は、顔当て部1が鼻部分から離れて移動するに従い、顔当て部1と機能部2との間の距離が最大となるように調整する。そのような調整は使用者が太く長い鼻である場合に適する。
【0058】
図9にスノースポーツ用ゴーグルの第4実施形態を示す。第2実施形態とは異なり、ゴーグルの上側に位置する追加調整可能接続部3を有する。この追加調整可能接続部3は、顔当て部1と機能部2のフレームとを接続し、調整可能部として構成する。調整可能部、顔当て部1及び機能部2のフレームは、一体型として構成する。調整可能部は、可撓性材料によって形成し、貫通穴13を設け、調整可能接続部3の調整可能部の形状は貫通穴13が変形された場合に変わるように構成する。貫通穴13を変形させるため、剛性挿入部材14を設ける。貫通穴13は調整可能部に力が加えられていない状態、つまり例えば挿入部材14が挿入されていない場合等、貫通穴13が変形していない時は円形である。挿入部材14は第1部分と第2部分とを有し、第1部分は楕円形であり、貫通穴13へ挿入されるように適合され、第2部分は穴13に挿入された場合に挿入部材14の角位置の調整等の操作が容易になるように適合される。図示された第4実施形態では、挿入部材14の第2部分は円形である。スクリュードライバ用の溝を設けてもよい。
【0059】
図10aは、図9に示した接続部3の調整部の平面図であって、挿入部材14が貫通穴13に挿入された場合を示す。調整可能接続部3は、図10aの上部に位置する顔当て部1と図10aの下部に位置する機能部2とを接続する。挿入部材14は、楕円形の第1部分が顔当て部1と機能部2の方向を指すような向きで穴13内に配置される。これによって楕円形に変形した貫通穴13の長軸が顔当て部1と機能部2とに同様に向くように貫通穴13は楕円形に変形する。言い換えると、調整可能部3の調整可能部に力が加えられていない状態に比べて、調整可能接続部3の寸法は、挿入部材14の楕円形の第1部分の長軸方向に長くなり、結果的に顔当て部1と機能部2との間の距離は同様に増加する。同時に調整可能部の直交する方向の寸法は短くなる。図10aに示すように、変形した貫通穴13は、楕円形の挿入部材14の第1部分の形状に完全に合う分けではない。
【0060】
図10bでは、挿入部材14の向きを90°変える。挿入部材14の楕円形の第1部分の長軸は、顔当て部1と機能部2とに平行な方向を指す。これによって楕円形に変形した貫通穴13の短軸は顔当て部1と機能部2とを指すように、貫通穴13は楕円形に変形する。このため、調整可能接続部3の寸法は、挿入部材14の楕円形の第1部分の短軸方向に短くなり、結果的に顔当て部1と機能部2との間の距離は短くなる。同時に直交する方向における調整可能部の寸法は長くなる。
【0061】
図10cと10dは、貫通穴13と挿入部材14の他の構成を図示する。貫通穴13は、調整可能部に力が加えられない状態では正方形であって、挿入部材14は四角形である。挿入部材14は長辺と短辺とを有する。挿入部材14を挿入すると、貫通穴13は完全に挿入部材14の形状に合う。図10a及び図10bに示した前の構造と同様、挿入部材14の長辺が顔当て部1と機能部2の方向を指す場合は、顔当て部1と機能部2との間の距離は長くなり(図10c参照)、挿入部材14の長辺が顔当て部1と機能部2とに平行な方向を指す場合は、顔当て部1と機能部2との間の距離は短くなる(図10d参照)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔の所定の部分に包囲部を設ける顔カバー器具であって、
機能部(2)と
顔当て部(1)と、を有し、
前記機能部と前記顔当て部は、1つの接続部又は複数の接続部(3、8)によって相互接続され、
前記1つの接続部又は前記複数の接続部の内の少なくとも1つは、前記機能部に対する前記顔当て部の位置を調整可能にする調整可能接続部(3)であることを特徴とする顔カバー器具。
【請求項2】
請求項1に記載の顔カバー器具であって、前記調整可能接続部(3)は前記顔当て部と前記機能部との間の距離の調整を可能にするか、使用者の顔面に平行な方向における前記機能部に対する前記顔当て部の横位置を調整可能にするか、又はその両方の調整を可能にする顔カバー器具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の顔カバー器具であって、前記複数の調整可能接続部(3)のそれぞれが前記機能部(2)に対する前記顔当て部(1)の位置を相互に独立して調整可能にし、好適には前記顔カバー器具の前記各接続部は調整可能な接続部であることを特徴とする顔カバー器具。
【請求項4】
請求項3に記載の顔カバー器具であって、前記顔当て部(1)は機械的に相互に独立した複数の部分を有し、それぞれ少なくとも1つの前記調整可能接続部(3)によって前記機能部(2)へ接続されることを特徴とする顔カバー器具。
【請求項5】
請求項3に記載の顔カバー器具であって、前記顔当て部(1)は可撓性を有し、前記複数の調整可能接続部(3)によって前記機能部(2)へ接続され、好適には閉じたフレームとして形成することを特徴とする顔カバー器具。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の顔カバー器具であって、前記機能部(2)と前記顔当て部(1)は一体型として形成することを特徴とする顔カバー器具。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の顔カバー器具であって、前記各接続部(3)は取り外し可能であることを特徴とする顔カバー器具。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の顔カバー器具であって、少なくとも1つの前記調整可能接続部(3)は一体型として構成された調整可能部と、好適には長さを調整できる形状と、を有し、好適には前記調整可能接続部は一体型として構成することを特徴とする顔カバー器具。
【請求項9】
請求項8に記載の顔カバー器具であって、前記調整可能部は熱、電界又は磁界のような外的影響がある場合に変形可能であって、前記外的影響がない場合は剛性であることを特徴とする顔カバー器具。
【請求項10】
請求項8に記載の顔カバー器具であって、前記調整可能部は可撓性を有し、好適には貫通穴である穴(13)を備え、更に前記貫通穴に挿入できる挿入部材(14)を有し、前記貫通穴は、前記貫通穴内の前記挿入部材の角位置に依存して変形することを特徴とする顔カバー器具。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の顔カバー器具であって、前記少なくとも1つの調整可能部(3)は、前記顔当て部(1)に固定された第1部分(6)と、前記機能部(2)に固定された第2部分(7)と、を有し、前記第1部分(6)と前記第2部分(7)とはお互いに対して選択的に配置でき、好適には機械力、磁気力又は電気力、又は面ファスナ帯によって前記第1部分(6)と前記第2部分(7)とがお互いに対して異なる複数の位置の内の1つの位置を適用できることを特徴とする顔カバー器具。
【請求項12】
請求項11に記載の顔カバー器具であって、前記第1部分(6)と前記第2部分(7)の内のいずれか一方は1つ又は複数のピンを備え、前記第1部分と前記第2部分の他方は前記1つ又は複数のピンを選択的に係合できる1つ又は複数の穴を備えることを特徴とする顔カバー器具。
【請求項13】
請求項11に記載の顔カバー器具であって、前記第1部分(6)と前記第2部分(7)のいずれか一方はスライダ(5)を備え、前記第1部分と前記第2部分の他方は前記スライダを選択可能な異なる位置で係合できる開口部(4)を有することを特徴とする顔カバー器具。
【請求項14】
請求項11に記載の顔カバー器具であって、前記第1部分(6)と前記第2部分(7)を接続する接続部材(9)を有し、前記接続部材は前記第1部分と前記第2部分に複数の選択可能な異なる方法で固定できることを特徴とする顔カバー器具。
【請求項15】
請求項14に記載の顔カバー器具であって、前記接続部材(9)は、前記第1部分(6)と前記第2部分(7)のいずれか一方に配置された穴(10)に選択可能な異なる複数の角位置で挿入可能であって、前記接続部材は前記接続部材に偏心的に配置された少なくとも1つのピン(11)を有し、前記第1部分と前記第2部分の他方は前記接続部材の前記ピンを係合できる穴を有することを特徴とする顔カバー器具。
【請求項16】
請求項11に記載の顔カバー器具であって、前記第1部分と前記第2部分とをお互いに対して正確な1つの位置に配置する配置部材(12)を有し、前記配置部材は交換可能な部品であることを特徴とする顔カバー器具。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の顔カバー器具であって、前記機能部から使用者の顔の皮膚又は前記顔当て部へ伸びる変形可能な包囲部を更に有し、前記変形可能包囲部は通気性のある又は通気性のない素材で作られ、前記包囲部は好適には変形可能な形状であるか、変形可能な素材、好適には可撓性素材であるか、又はその両方で構成することを特徴とする顔カバー器具。
【請求項18】
請求項11〜17のいずれかに記載の顔カバー器具と複数の配置部材(12)とを有するシステムであって、各前記配置部材は、前記顔カバー器具の前記第1部分(6)と前記第2部分(7)とをお互いに対して正確な1つの位置に配置することを可能とし、前記複数の配置部材の第1配置部材と第2配置部材とは、前記第1部分と前記第2部分とをお互いに対して第1位置と第2位置とに配置でき、前記第1位置と前記第2位置は相互に異なることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項7〜17のいずれかに記載の顔カバー器具と前記顔カバー器具の前記機能部(2)に取り付け、前記顔カバー器具の前記第1顔当て部(1)と交換するように構成された少なくとも1つの追加の顔当て部とを有し、前記顔カバー器具の前記第1顔当て部と前記追加の顔当て部は、顔の異なる形状に適合されることを特徴とするシステム。
【請求項1】
顔の所定の部分に包囲部を設ける顔カバー器具であって、
機能部(2)と
顔当て部(1)と、を有し、
前記機能部と前記顔当て部は、1つの接続部又は複数の接続部(3、8)によって相互接続され、
前記1つの接続部又は前記複数の接続部の内の少なくとも1つは、前記機能部に対する前記顔当て部の位置を調整可能にする調整可能接続部(3)であることを特徴とする顔カバー器具。
【請求項2】
請求項1に記載の顔カバー器具であって、前記調整可能接続部(3)は前記顔当て部と前記機能部との間の距離の調整を可能にするか、使用者の顔面に平行な方向における前記機能部に対する前記顔当て部の横位置を調整可能にするか、又はその両方の調整を可能にする顔カバー器具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の顔カバー器具であって、前記複数の調整可能接続部(3)のそれぞれが前記機能部(2)に対する前記顔当て部(1)の位置を相互に独立して調整可能にし、好適には前記顔カバー器具の前記各接続部は調整可能な接続部であることを特徴とする顔カバー器具。
【請求項4】
請求項3に記載の顔カバー器具であって、前記顔当て部(1)は機械的に相互に独立した複数の部分を有し、それぞれ少なくとも1つの前記調整可能接続部(3)によって前記機能部(2)へ接続されることを特徴とする顔カバー器具。
【請求項5】
請求項3に記載の顔カバー器具であって、前記顔当て部(1)は可撓性を有し、前記複数の調整可能接続部(3)によって前記機能部(2)へ接続され、好適には閉じたフレームとして形成することを特徴とする顔カバー器具。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の顔カバー器具であって、前記機能部(2)と前記顔当て部(1)は一体型として形成することを特徴とする顔カバー器具。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の顔カバー器具であって、前記各接続部(3)は取り外し可能であることを特徴とする顔カバー器具。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の顔カバー器具であって、少なくとも1つの前記調整可能接続部(3)は一体型として構成された調整可能部と、好適には長さを調整できる形状と、を有し、好適には前記調整可能接続部は一体型として構成することを特徴とする顔カバー器具。
【請求項9】
請求項8に記載の顔カバー器具であって、前記調整可能部は熱、電界又は磁界のような外的影響がある場合に変形可能であって、前記外的影響がない場合は剛性であることを特徴とする顔カバー器具。
【請求項10】
請求項8に記載の顔カバー器具であって、前記調整可能部は可撓性を有し、好適には貫通穴である穴(13)を備え、更に前記貫通穴に挿入できる挿入部材(14)を有し、前記貫通穴は、前記貫通穴内の前記挿入部材の角位置に依存して変形することを特徴とする顔カバー器具。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の顔カバー器具であって、前記少なくとも1つの調整可能部(3)は、前記顔当て部(1)に固定された第1部分(6)と、前記機能部(2)に固定された第2部分(7)と、を有し、前記第1部分(6)と前記第2部分(7)とはお互いに対して選択的に配置でき、好適には機械力、磁気力又は電気力、又は面ファスナ帯によって前記第1部分(6)と前記第2部分(7)とがお互いに対して異なる複数の位置の内の1つの位置を適用できることを特徴とする顔カバー器具。
【請求項12】
請求項11に記載の顔カバー器具であって、前記第1部分(6)と前記第2部分(7)の内のいずれか一方は1つ又は複数のピンを備え、前記第1部分と前記第2部分の他方は前記1つ又は複数のピンを選択的に係合できる1つ又は複数の穴を備えることを特徴とする顔カバー器具。
【請求項13】
請求項11に記載の顔カバー器具であって、前記第1部分(6)と前記第2部分(7)のいずれか一方はスライダ(5)を備え、前記第1部分と前記第2部分の他方は前記スライダを選択可能な異なる位置で係合できる開口部(4)を有することを特徴とする顔カバー器具。
【請求項14】
請求項11に記載の顔カバー器具であって、前記第1部分(6)と前記第2部分(7)を接続する接続部材(9)を有し、前記接続部材は前記第1部分と前記第2部分に複数の選択可能な異なる方法で固定できることを特徴とする顔カバー器具。
【請求項15】
請求項14に記載の顔カバー器具であって、前記接続部材(9)は、前記第1部分(6)と前記第2部分(7)のいずれか一方に配置された穴(10)に選択可能な異なる複数の角位置で挿入可能であって、前記接続部材は前記接続部材に偏心的に配置された少なくとも1つのピン(11)を有し、前記第1部分と前記第2部分の他方は前記接続部材の前記ピンを係合できる穴を有することを特徴とする顔カバー器具。
【請求項16】
請求項11に記載の顔カバー器具であって、前記第1部分と前記第2部分とをお互いに対して正確な1つの位置に配置する配置部材(12)を有し、前記配置部材は交換可能な部品であることを特徴とする顔カバー器具。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の顔カバー器具であって、前記機能部から使用者の顔の皮膚又は前記顔当て部へ伸びる変形可能な包囲部を更に有し、前記変形可能包囲部は通気性のある又は通気性のない素材で作られ、前記包囲部は好適には変形可能な形状であるか、変形可能な素材、好適には可撓性素材であるか、又はその両方で構成することを特徴とする顔カバー器具。
【請求項18】
請求項11〜17のいずれかに記載の顔カバー器具と複数の配置部材(12)とを有するシステムであって、各前記配置部材は、前記顔カバー器具の前記第1部分(6)と前記第2部分(7)とをお互いに対して正確な1つの位置に配置することを可能とし、前記複数の配置部材の第1配置部材と第2配置部材とは、前記第1部分と前記第2部分とをお互いに対して第1位置と第2位置とに配置でき、前記第1位置と前記第2位置は相互に異なることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項7〜17のいずれかに記載の顔カバー器具と前記顔カバー器具の前記機能部(2)に取り付け、前記顔カバー器具の前記第1顔当て部(1)と交換するように構成された少なくとも1つの追加の顔当て部とを有し、前記顔カバー器具の前記第1顔当て部と前記追加の顔当て部は、顔の異なる形状に適合されることを特徴とするシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図10d】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図10d】
【公表番号】特表2013−516251(P2013−516251A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547447(P2012−547447)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/000065
【国際公開番号】WO2011/082718
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512179979)スコット スポーツ エス エイ (1)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/000065
【国際公開番号】WO2011/082718
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512179979)スコット スポーツ エス エイ (1)
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