説明

顔料および多塩基分散剤を含む組成物および方法

様々な実施形態において、基材粒子および分散剤を含む顔料組成物を提供する。分散剤は、(i)アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンと(ii)多塩基酸との塩および/またはエステルを含み、アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンの多塩基酸に対するモル比が3:1を超える。様々な実施形態において、顔料は改善された安定性、隠ぺい力、着色力および/または光沢を有する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
顔料は、例えば、自動車市場、工業市場または家電市場におけるペイント、プラスチック、紙、ラミネート、さび止め下塗り、装飾上塗りなど、多種多様なコーティングで使用される。コーティングは、表面に塗布されたときに被膜を形成する固体および液体材料の混合物を含有し、コーティングは硬化することが可能となる。コーティングの固体材料は、顔料、充填剤および樹脂のブレンドである。通常、顔料は隠ぺい力を提供し光沢に影響を与え、樹脂がコーティングを硬化させたときに被膜を形成する。
【0002】
特定の用途のための所望の特性(例えば、安定性、粘度、隠ぺい力、着色力および/または光沢)を有する顔料を製造するために著しい努力がなされている。特定の最終用途のための顔料に所望の特性を付与するために、例えば、アルミナ、シリカ、リン酸塩および/またはシランなどの化合物で顔料を表面処理することが、多くの従来技術文献に記載されている。
【0003】
他の従来技術文献には、上記所望の特性を有するコーティングを得るために顔料または顔料スラリーに添加することができる1種以上の分散剤を使用することが記載されている。これらの分散剤は、例えば、例えばトリエタノールアミンのようなアミンを、例えばポリカルボン酸のような多塩基酸と反応させることによって作製することができる。通常、多塩基酸に対するアミンのモル比は、3:1未満(例えば、1:1、2:1、2.5:1)である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
残念ながら、従来技術の分散剤を用いて作製したいくつかのスラリーは、貯蔵中に安定性が低下してしまう。というのも、顔料がスラリーから分離してしまうことがあり、スラリーをポンプでくみ上げ、輸送することが困難になる。顔料を適切なコーティングに添加した際、コーティングから得られる隠ぺい力、着色力および/または光沢が商業的に受け入れ可能でないことがある。
【0005】
商業的に受け入れ可能な顔料を高処理効率で製造するための新規な顔料組成物および方法が必要である。安定性、隠ぺい力、付着力および/または光沢が改善された顔料組成物も必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
様々な実施形態において、安定性、隠ぺい力、着色力および/または光沢が改善された顔料を作製するための組成物および方法を提供する。様々な実施形態において、既存の顔料製造プロセスに容易に組み込むことができ、削減されたコストで作製することができる新規な分散剤を含む顔料組成物を提供する。
【0007】
一実施形態では、基材粒子および分散剤を含む顔料を提供する。この分散剤は、(i)アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンと(ii)多塩基酸との塩および/またはエステルを含み、アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンの多塩基酸に対するモル比が3:1を超える。
【0008】
別の実施形態では、二酸化チタンおよび分散剤を含む顔料スラリーを提供する。この分散剤は、(i)アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンと(ii)多塩基酸との塩および/またはエステルを含み、アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンの多塩基酸に対するモル比が3:1を超える。
【0009】
さらに別の実施形態では、二酸化チタン顔料を作製する方法を提供する。この方法は、1:3を超えるモル比でアミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンに多塩基酸を添加して分散剤を形成すること、および分散剤に二酸化チタンを添加して二酸化チタン顔料を作製することを含む。
【0010】
例示的な一実施形態では、二酸化チタン顔料を作製する方法を提供する。この方法は、a)二酸化チタンの水性スラリーを調製し、b)(i)実質的にはカルボン酸を含有しない多塩基酸を前記スラリーに添加することと(ii)アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンを前記スラリーに添加することを任意の順序で実施すること含み、ここでアミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンの多塩基酸に対するモル比が3:1を超える。
【0011】
例示的な別の実施形態では、基材粒子および分散剤を含む顔料を提供する。この分散剤は、(i)アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンと(ii)多塩基酸との塩および/またはエステルを含み、アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンの多塩基酸に対するモル比が3:1を超え、かつ溶媒を含む。
【0012】
様々な実施形態の追加の特徴および利点は、以下の説明に一部記載され、その説明から一部明らかとなるが、様々な実施形態を実施することによって知ることができる。様々な実施形態の他の利点は、説明および添付の特許請求の範囲に詳細に示す要素および組合せによって実現され、達成されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲のために、断りのない限り原料の量、材料の百分率または割合、反応条件、ならびに明細書および特許請求の範囲の中で使用される他の数値を表す数字は、用語「約」によってすべての場合に修正されるものと理解すべきである。したがって、それとは反対の指示がない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、本発明によって得ることが求められている所望の特性に応じて変わることがある近似値である。少なくとも、また特許請求の範囲への均等論の適用を制限しようとする試みとしてではなく、報告されている有効桁数を踏まえて、また通常の丸めの技法を適用することによって各数値パラメータを少なくとも解釈すべきである。
【0014】
記載の数値域および数値パラメータ、すなわち広範囲に及ぶ本発明は近似値であるにもかかわらず、具体例に記載されている数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、どの数値も、それらのそれぞれの試験測定において見られる標準偏差から必然的に生じるある程度の誤差を本質的に含む。さらに、本明細書中に開示されるすべての範囲を、そこに含まれるありとあらゆるサブ範囲を包含するように理解すべきである。例えば、「1から10」という範囲は、最小値1と最大値10との間の(最小値1および最大値10を含む)ありとあらゆるサブ範囲、すなわち、最小値が1以上で最大値が10以下であるありとあらゆるサブ範囲、例えば、5.5から10を含む。
【0015】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形は、明確にかつ明白に単数に限定されている場合を除き、複数を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「モノマー」という表現は、2種以上のモノマーを含む。
【0016】
これから本発明のいくつかの実施形態について詳細に言及する。本発明を例示の諸実施形態と併せて説明するが、これら諸実施形態は本発明をそれら諸実施形態に限定するものではないことが理解されよう。逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明に含むことができるすべての代替形態、変更形態および均等形態に及ぶものである。
【0017】
顔料
本発明の方法および顔料組成物は、基材粒子を含む。これら基材粒子は、無機物でも有機物でもこれらの組合せでもよい。有機基材粒子の例には、ペリレン、ペリノン、キナクリドン、キナクリドンキノン、アントラキノン、アンタンスロン、ベンズイミダゾロン、ジスアゾ縮合、アゾ、インダンスロン、フタロシアニン、トリアリールカルボニウム、ジオキサジン、アミノアントラキノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、チアジンインンジゴ、イソインドリン、イソインドリノン、ピラントロンもしくはイソビオラントロン顔料、またはこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。無機基材粒子の例には、シリコン、チタン、ジルコニウム、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム若しくは鉄の酸化物またはこれらの組合せ、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、粘土、雲母またはこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。この基材粒子は、当業者によって容易に決定される多種多様な重量百分率で本顔料組成物に使用することができる。
【0018】
様々な実施形態において、基材粒子は、ルチル型もしくはアナターゼ型二酸化チタン、またはこれらの組合せを含む。二酸化チタンは、塩化物または硫酸塩プロセスによってなど、当技術分野で公知の方法によって作製することができる。この二酸化チタンは、酸化剤から作製して直接使用することも、水性または非水性スラリーとすることもできる。二酸化チタンのスラリーは、当技術分野で公知の方法によって作製することができる。様々な実施形態において、このスラリーの固形分は、約40%から約85%である。スラリーのpHおよび温度は、当技術分野で公知の方法によって湿式処理プロセスが最適化されるように決定し調整することができる。
【0019】
様々な実施形態において、本発明の方法によって生成したスラリーの粘度は、スラリーの用途ならびにスラリーがさらされる加工条件および加工装置(例えば、混合、ろ過、洗浄、粉砕、微粉化、ポンプくみ上げ等)に応じて広範囲に及ぶことができる。本発明のスラリーは、約1500cpsをはるかに超えるブルックフィールド粘度では、通常容易にポンプでくみ上げ可能ではない傾向にあり、約1500cps未満のブルックフィールド粘度を有するスラリーが好ましく、より好ましいのは、約1000cps未満のブルックフィールド粘度を有するスラリーである。
【0020】
二酸化チタン基材粒子は、所望により、例えばシリコン化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物またはこれらの組合せで表面処理することができ、その後コーティングを作製するために使用することができる。湿式処理に適したシリコン化合物には、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムなどが含まれるが、これらに限定されない。湿式処理に適したアルミニウム化合物には、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、硫酸アルミニウムなどが含まれるが、これらに限定されない。湿式処理に適したジルコニウム化合物には、オキシ塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニルなどが含まれるが、これらに限定されない。これらのシリコン化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物は、チタン基材粒子の全重量に基づき、約0.05%から約5.0%の重量百分率で添加することができる。
【0021】
様々な実施形態では、湿式処理後、基材粒子をろ過によって回収し、洗浄することにより顔料に付着している可溶性塩をほぼなくし、乾燥させ、その後当技術分野で公知の流体エネルギーによる粉砕技法を用いて最終的な粉砕を施すことができる。所望により、洗浄し乾燥させた顔料を、当業者には公知の強度の蒸気微粉砕機内で微粉化して、所望の粒径分布をもたらすことができる。様々な実施形態において、基材粒子の粒径は、約0.1ミクロンから約1ミクロンの間を含む。
【0022】
所望により、例えばトリメチロールプロパンやペンタエリスリトールなどの有機化合物を、二酸化チタン基材粒子の重量に基づき約0.2重量%から約0.4重量%の量で、空気または蒸気による微粉化中に顔料に添加することができる。
【0023】
様々な実施形態において、この二酸化チタン粒子をコーティングに添加することができる。典型的なコーティングは、樹脂、顔料、分散剤および他の添加剤を含む。コーティングをある表面に塗布すると、コーティングはその表面に保護および/または装飾層を形成する。コーティングの例には、ペイント、ステイン、ワニス、ラッカー、プラスチックなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
本発明のコーティングは1種以上の樹脂を含む。コーティングでの使用に適した一部の樹脂には、コーティングおよびその最終用途と適合するモノマーもしくはポリマー、またはこれらの組合せが含まれる。適切な樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリル樹脂、ポリエステル−エポキシ樹脂またはこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、飽和多塩基酸またはその無水物とポリアルコールとの重合−縮合反応によって適切なポリエステル樹脂を得ることができる。
【0025】
エポキシ樹脂の幾つかの例としては、ビスフェノール−A樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、環式エポキシ樹脂またはこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。アクリル樹脂は、アクリル酸のような機能性モノマーと様々な共重合可能なモノマーとの共重合によって得ることができる。これら共重合可能なモノマーは、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレンなどの不飽和オレフィンモノマー、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族モノマー、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレートなど、アクリル酸およびメタクリル酸の炭素数1〜18のアルコールとのエステル、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニル−2−エチルヘキシルアクリレートなど、炭素数2〜11のカルボン酸のビニルエステル、または塩化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど他のコモノマーなどである。ポリウレタン樹脂の幾つかの例としては、イソシアネートの様々なポリオールとの重縮合によって得られるブロックウレタンポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
樹脂には、1分子当たりに少なくとも1つのヒドロキシル基およびエポキシ基を含有するアクリル樹脂が含まれる。このようなアクリル樹脂は、例えば重合可能なヒドロキシル含有モノマー、重合可能なエポキシ含有モノマー、重合可能なアクリルモノマー、および必要であれば、さらに他の重合可能なモノマーを共重合させることによって得られる。重合可能なヒドロキシル含有モノマーは、1分子当たりにヒドロキシル基と重合可能な二重結合とを少なくとも1つ含有する化合物である。この重合可能なヒドロキシル含有モノマーの例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、または上記モノマーをラクトンと反応させることによって得られるヒドロキシアルキルアクリレート(ヒドロキシアルキルメタクリレート)が挙げられる。重合可能なエポキシ含有モノマーは、エポキシ基および重合可能な二重結合をそれぞれ1分子当たりに少なくとも1つ含有する化合物である。この重合可能なエポキシ含有モノマーの例には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートおよびアリルグリシジルエーテルが含まれる。重合可能なアクリルモノマーには、アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C20モノアルコールとのモノエステル化生成物が含まれ、具体的な例には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレートおよびシクロヘキシルメタクリレートが含まれる。さらに、アクリル酸またはメタクリル酸のC2〜C20アルコキシアルキルエステルを重合可能なアクリルモノマーとして使用することもできる。
【0027】
好ましい樹脂としては、アルキド、アクリル、ウレタン、ポリエステル、エポキシ、ビニルまたはこれらの組合せが挙げられる。特に好ましい樹脂としては、アクリレート化エポキシ大豆油、エポキシアクリレート/モノマーまたはオリゴマーの配合物、アクリレート化エポキシ亜麻仁油、ノニル−フェノールエトキシレートモノアクリレート、フェノールエトキシレートモノアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、二官能性脂肪族アクリレート、単官能性芳香族アクリレート、ビスフェノールAエポキシジアクリレート、ビスフェノールAエトキシレートジアクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジアクリレート、脂肪酸改質エポキシジアクリレート、アミン改質エポキシジアクリレート、1,6ヘキサンジオールプロポキシレートジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートエステル類、2−フェノキシエチルアクリレート、二官能性芳香族ウレタンアクリレート、二官能性脂肪族アクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、酸性官能基性ポリエステルアクリレートオリゴマー、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートエステル類、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリルプロポキシレートトリアクリレート、またはこれらの組合せが挙げられる。
【0028】
様々な実施形態において、コーティングは溶媒を含むことができる。適切な溶媒には、例えば非水性溶媒が含まれる。非水溶性溶媒の幾つかの例としては、メチルアセテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、メトキシプロピルアセテート、メタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、メトキシプロパノール、ミネラルスピリット、石油、メチルエチルケトン、エチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ブチルアセテート、ブチルグリコール、炭化水素、またはこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
様々な実施形態において、コーティングは結合剤および/または着色剤を含む。結合剤は、顔料粒子を結合させて均一なコーティング膜とし、コーティングが塗布される表面に対するコーティングの付着力を高める。使用すべき結合剤の性質および量は、当業者には公知であり、例えば耐洗浄性、堅牢性、付着性および保色性などコーティングの性能特性に依存することがある。
【0030】
着色剤は、コーティングの色に寄与する1種以上の物質を含む。着色剤の一部の例には、特定の色を生成するためにコーティングに添加することができる染料が含まれる。
【0031】
様々な実施形態において、コーティングを、当業者に公知の任意の技法を用いて表面に塗布することができる。この任意の技法には、溶射被覆、はけ塗り、粉体被覆、およびアプリケータのはけまたはブレードを用いる塗布が含まれるが、これらに限定されない。塗布したら、コーティングを硬化させて被膜を形成することができる。硬化の方法は、当技術分野で公知であり、空気乾燥、ベーキング、自然乾燥、紫外光、マイクロ波、赤外線またはこれらの組合せなどの光による硬化が含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
分散剤
本発明の顔料組成物は、(i)アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンと(ii)無機および/または有機多塩基酸との塩および/またはエステルを含む分散剤を含み、アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンの多塩基酸に対するモル比が3:1を超える。様々な実施形態において、アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンの多塩基酸に対するモル比は、4:1から約20:1である。このモル比により、安定性、隠ぺい力、着色力および/または光沢が改善された顔料の生成が可能となる。
【0033】
様々な実施形態において、分散剤は、アミンの多塩基酸との反応による塩を含む。あるいは、分散剤は、アルコールまたはアルカノールアミンの多塩基酸との反応による塩またはエステルであっても、その塩およびエステルの組合せであってもよい。
【0034】
本発明の分散剤の作製での使用に適した1種以上のアミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンには、アミノアルコール類、ジオール類、トリオール類、アミノポリオール類、ポリオール類、第1級アミン類、第2級アミン類、第3級アミン類、第4級アミン類またはこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。様々な実施形態において、これらの好ましいアミン類および/またはアルコール類には、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、1−アミノ−1−ブタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、メタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、メトキシプロパノール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
本発明での使用に適した1種以上の多塩基酸は、2つ以上のH+イオン、すなわちプロトンを失うことができる。好ましい一実施形態では、1種以上の多塩基酸は実質的にはカルボン酸を含有しない。「実質的にはカルボン酸含有しない」とは、多塩基酸がカルボン酸を含有しない、または少量もしくは微量しか含有しないことを意味する。様々な実施形態において、多塩基酸は、1%未満のカルボン酸しか含まない。好ましい一実施形態では、多塩基酸は、無機多塩基酸を含む。
【0036】
1種以上のアミンおよび/またはアルコールによって、1種以上の多塩基酸を完全にまたは部分的に中和することができる。本発明の分散剤の作製での使用に適した多塩基酸には、リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、メタリン酸、ピロリン酸、次リン酸、五酸化リン、他のリン酸誘導体、もしくは任意のリン含有酸の誘導体、またはこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
様々な実施形態において、分散剤は、アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンを多塩基酸に添加して、またはその逆にして、アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンと多塩基酸との塩および/またはエステルを含む分散剤を形成することによって作製することができる。様々な実施形態において、ブレンダーまたは他の任意の高速混合装置を使用して約10℃から約270℃の温度範囲で均一な混合を提供することによって、分散剤を作製するための反応物を添加し混合することができる。
【0038】
分散剤を作製するための方法は、既存の顔料製造プロセスに容易にまた柔軟に組み込まれる。アミン、アルコールおよび/もしくはアルカノールアミンならびに多塩基酸は、任意の順序で別々に顔料の基材粒子に添加しても、または、例えば水などの溶媒との混合物として基材粒子に添加してもよい。
【0039】
様々な実施形態において、アミン、アルコールおよび/もしくはアルカノールアミン、または多塩基酸、またはこれらから形成した反応性生成物は、湿式処理前に基材粒子に添加しても、噴霧乾燥前に洗浄したろ過ケーキに添加しても、微粉化の前または微粉化と同時に高強度粉砕装置または微粉砕機供給物に添加してもよい。様々な実施形態において、多塩基酸は湿式処理前に顔料スラリーに添加され、アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンは顔料の微粉化中に添加される。
【0040】
様々な実施形態において、本発明の分散剤は、顔料に添加されると、粘度安定性および顔料の凝集に対する耐性を付与する。通常、この分散剤は、顔料の基材粒子の重量に基づき最大約5%の百分率で顔料組成物中に存在することができる。様々な実施形態において、分散剤は、顔料の基材粒子の重量に基づき約0.01%から約2%の量で存在する。
【0041】
分散剤と顔料の基材粒子との混合は、当技術分野で公知の混合方法によって実施することができる。したがって、この混合は、例えばブレンダーまたは他の任意の高速混合装置により実施することができる。一般に、50rpm以上、例えば1000rpmから3000rpmのブレード速度が混合には好ましい。
【0042】
顔料の基材粒子を磨砕または粉砕して、スラリーの固形分の粒径を削減することができる。混合では顔料または他の固体の寸法の減少が実質的にはないという点で、磨砕または粉砕は混合とは区別することができる。通常、磨砕には、スラリー中の基材粒子および他の固体の寸法を減少するために使用される研磨媒体または粉砕媒体の使用が必要となる。研磨媒体または粉砕媒体の幾つかの例としては、ボールまたは媒体ミル、例えば、砂粉砕、コーンクラッシャおよびジャイレトリクラッシャ、ディスクアトリションミル、コロイドミルおよびロールミル、スクリーンミルおよびグラニュレータ、ハンマーミルおよびケージミル、ピンミルおよびユニバーサルミル、インパクトミルおよびインパクトブレーカ、ジョークラッシャ、ジェットミルおよび流体エネルギーミル、ロールクラッシャ、ディスクミル、縦型ローラ、加圧ローラなどが挙げられる。
【0043】
顔料の特性
様々な実施形態において、本発明の方法によってこの新規な分散剤を用いて生成した顔料は、従来の分散剤を用いて作製した顔料に対して安定性が向上していることが判明した。安定性には、顔料が時間に伴う変化に耐える能力が含まれる。例えば、顔料をスラリーに組み込んだ場合、改善された安定性の特性の一部には、改善された流動性、粘度、ポンプくみ上げ性、分散性、および時間と共に凝集する傾向の低減が含まれるが、これらに限定されない。様々な実施形態において、改善された安定性には、その速度の減少、その量の減少および/またはその沈降の軟らかさが含まれる。
【0044】
顔料の安定性は、当技術分野で公知の方法によって決定することができる。安定性を測定する一部の方法には、ダイノメータ硬度評価試験、ブルックフィールド粘度試験、目視検査、液体の%固形分などが含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
様々な実施形態において、本発明の方法によって新規な分散剤を用いて生成した顔料は、従来の分散剤を用いて作製した顔料に対して隠ぺい力が改善されているまたは匹敵していることが判明した。顔料の隠ぺい力は、当技術分野で認識されている用語であり、その上に顔料が均一に塗布されている表面、色またはステインを顔料が隠ぺいするまたは覆い隠す能力を含む。
【0046】
様々な実施形態において、隠ぺい力には、被膜で被覆された表面の色が肉眼では認識することができない最小膜厚が含まれる。例えば、隠ぺい力として、表面、例えば白黒チェックの表面に被膜を形成した場合に、被膜の上から目視観測すると表面の白黒色が実質的には認識できない最小膜厚を挙げることができる。好ましくは、コーティングの隠ぺい力には、被膜が乾燥したときに98%のコントラスト比をもたらすのに十分な膜厚で、湿潤コーティングの単位体積が覆う面積が含まれる。98%のコントラスト比は限界であり、この限界を超えるコントラスト比のさらなる増大は、訓練された目によっても視覚的に検知可能ではないため、98%のコントラスト比が使用される。通常、隠ぺい力の単位は、m2/L-1またはft2/gal-1である。
【0047】
様々な実施形態において、改善された隠ぺい力には、この新規な分散剤なしの顔料と比較した場合、最大約40%の隠ぺい力増大、好ましくは約5%から約40%の増大、より好ましくは約10%から約20%の増大が含まれる。
【0048】
様々な実施形態において、本発明の方法によって新規な分散剤を用いて生成した顔料は、従来の分散剤を用いて作製した顔料に対して着色力が向上しているまたは匹敵していることが判明した。顔料の着色力は、当技術分野で認識されている用語であり、顔料またはペイントが異なる色の別の顔料またはペイントの色を変える能力を含む。例えば、ペイントが二酸化チタンを含有する実施形態では、染色剤または色ペイントの色が変化すればするほど(例えば、白が変化しなければしないほど)、白ペイントの着色力が高くなる。
【0049】
本発明の様々な実施形態において、本発明の方法によって新規な分散剤を用いて生成した顔料は、従来の分散剤を用いて作製した顔料に対して光沢が改善されているまたは匹敵していることが判明した。顔料の光沢ポテンシャルは、例えば基材粒子径および直径が500ナノメートルを超える粒子の数の影響を受けることがある。通常、大ぶりの粒子の割合が高いと、光沢ポテンシャルが減少してしまう。均一な粒径により、被膜中により良い顔料充填が提供され、これにより光沢ポテンシャルが増大することになる。
【0050】
基材粒子の分散度は、この光沢に大いに寄与する。光沢の向上は、顔料の粒径分布が狭く、かつ大ぶりの材料の割合が最小限に抑えられた場合に実現される。分散剤は、幅広いコーティング系において高い光沢ポテンシャルを示す顔料組成物の製造を可能にする改善された分散性能および耐凝集性を付与する。
【0051】
改善された光沢には、約1%から約100%、より好ましくは約10%から約90%、最も好ましくは約20%から約60%の増大が含まれる。光沢は、当技術分野で公知の方法によって決定することができる。例えば、光沢は、顔料をコーティングペイントに組み込み、例えば20°、45°、60°および85°の角度で光沢計を用いて光沢を測定することによって、決定することができる。
【0052】
これまで本発明を全般的に説明してきたが、以下の実施例を参照することにより同じことをより容易に理解することができるであろう。これらの実施例は、例示の目的で提供されるものであり、特定の場合を除き、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0053】
これらの実施例は、様々な実施形態において、新規な分散剤を用いて作製した顔料が、市販の分散剤を用いて作製した顔料と同様のまたはより優れた安定性、隠ぺい力、着色力および/または光沢を有することを示す。
【0054】
実施例1
連続的に撹拌しながら、100gのトリエタノールアミン(アルドリッチケミカルズから市販されている)に10.2gのポリリン酸(アルドリッチケミカルズから市販されている)を添加した。添加の際、温度を50〜60℃に上昇させ、その後ゆっくりと室温まで下げた。40℃〜室温で、反応混合物を40〜45gの水で希釈した。次いでこの混合物を、最初に形成されたゲルがすべて添加した水に溶解するまで撹拌した。
【0055】
実施例2
最低粘度とするのに必要な分散剤の量を決定するために、分散剤要求量試験手順を行った。この手順は次のとおりである。184.3gの脱イオン水をビーカーに秤量し、600gのTiO2をさじに秤量した。ディスパーマットを最低速度に設定した状態で、TiO2をゆっくりと水の中に移す。必要に応じて所定の増分の分散剤を添加する。1増分当たりの添加すべき分散剤の量を決定するために、以下の式を使用する。
76.5%固形分の計算
【式1】
【0056】

【0057】
cc’s =1増分当たりの分散剤のcc’s
S =分散剤の固形分%(少数を含む数字)
Sp.G.=分散剤の比重(g/cc)
通常の増分は、TiO2重量に関し0.05%の活性分散剤であるが、他の量を使用することもできる。二酸化チタンをすべて添加した後、5000rpmで5分間分散させ、その後粘度を測定する。分散剤の増分の添加を継続し、各添加後に粘度を記録する。粘度および使用した分散剤の量を記録する。上記ステップを、最低粘度の点を過ぎて最低4つの観測記録が得られるまで繰り返す。図1は、新規な分散剤が、タモール(登録商標)(市販されている、ロームアンドハースの商標)から得られる粘度と同じ粘度を実現するためにさらに必要であっても、前者はやはり後者の粘度プロファイルよりもはるかに優れた粘度プロファイルを生成することを明確に示している。図1からわかるように、タモール量の偶発的な増大はスラリーの粘度に否定的な効果を及ぼすことになるが、新規な分散剤の偶発的な増大はわずかな影響しか及ぼさない。このような影響により、プラント用のより幅広いウインドウを稼動させることが可能となり、また高処理効率の生産が可能となる。
【0058】
実施例3
184.3gの水を600gの二酸化チタン(ティオナ(登録商標)596、ミレニアムケミカルズから入手可能)と混合し、一方では分散剤としてタモール(登録商標)1124(ロームアンドハースから得られる)を4.3g(50%固形分)使用し、もう一方では上記新たに調製した分散剤を5.2g(67%固形分)使用することによって、2種類の約76.5%のスラリー試料を調製した。上記2種類の試料について固形分%およびブルックフィールド粘度を決定し、分散剤要求データから得られる値と比較した。
【0059】
2つのナルゲン30mlボトルに、一方はタモール(登録商標)1124を用いて調製した596スラリーを、他方は新規な分散剤を用いて調製した596スラリーを、それぞれ正確に76.2g入れる。10日後、必要以上に内容物を乱さないようにボトルを慎重に開ける。連続的な流れとして流れる液体をすべて慎重に注ぐ。この連続的な流れが中断する最初の時点で注入を止める。ダイノメータ硬度評価試験結果を行ない結果は図2に示される。ダイノメータデータのグラフ(グラフ2)は、ダイノメータによって与えられる観測記録の増加からも明らかなように、新規な分散剤を用いて調製した596スラリーが容器内でより多くの沈殿材料を有することを示す。
【0060】
現在の分散剤(タモール1124)(ロームアンドハースから入手可能)を用いて作製した596スラリーは、容器内でそんなに多くの沈殿材料を示さない。各試料の中の沈殿材料の特性は、生成物の安定性および性能の議論の対象である。ダイノメータは、プローブに沈殿材料を通り抜けるよう機械的に強いることによって、沈殿を測定する。プローブが沈殿材料に深く貫通すればするほど、沈降は密である。タモール1124を用いて調製した試料のデータにこの原理を適用すると、ダイノメータによる最後の観測記録は無限となるはずである。このダイノメータは、硬すぎて装置に損傷を与えることなしにプローブが浸透することができない沈殿材料に遭遇した。このことは、タモール1124を用いて作製したティオナ596の試料中の沈殿材料をスパチュラにより手で探る場合にも体験する。タモール1124を用いて作製したティオナ596スラリーの容器の底にある沈殿材料を通り抜けるようスパチュラに強いることは困難である。この沈殿は非常に粘着性で、スパチュラを動かすことが困難となり、これは沈殿後に沈殿材料を再添加することは非常に困難であろうことを示す。この容器を手で振っても、沈殿材料を容器から取り除くことは少しもできない。新規な分散剤を用いて作製したスラリーに同じ評価を適用すると、劇的に異なる結果が得られる。ダイノメータは沈殿物を完全に貫通することが可能であり、プローブが容器の底と接触し、そこでダイノメータが無限の硬度に遭遇するまで沈殿材料層を通り抜ける。この観測は、沈殿材料をスパチュラにより手で探ることでも支持される。スパチュラは沈殿材料を容易に通り抜け、この沈殿材料は容易に動かされ、非常に軟らかい。新規な分散剤を用いて作製したスラリーの沈殿材料の容器を手で振り、沈殿材料をすべて容器から注ぎだした。このことは、新規な分散剤を用いて作製したスラリーがタモール1124を用いて作製したスラリーよりも多く沈殿したとしても、その沈殿物が本来チキソトロピー性であり、それにより沈殿材料の再添加することが容易に可能となることを示している。再添加が容易であることに基づき、新規な分散剤パッケージを用いて作製したティオナ596スラリーの試料は、タモール1124を用いて作製した試料よりも性能が優れている。
【0061】
これらの観測から、タモール(登録商標)1124を用いて作製したスラリーの沈殿に対する貨車内での散布による影響はほとんどまたは全くないが、新規な分散剤を用いて作製したスラリーの沈殿は非常に流動的で、したがってポンプくみ出しがはるかに容易であると予測される。
【0062】
実施例4
配合物の供給者リスト
MCH TiO2スラリー配合
水 バルチモア市水道水
タモール 1124 ロームアンドハース
AMP-95 ダウケミカル
TiO2 ミレニアムケミカルズ
内装用高光沢エナメル(S−11)
水 バルチモア市水道水
QP-4400 ダウケミカル
プロピレングリコール ライオンデル
ヘキシレングリコール ダウケミカル
レオプレックスAC-417 ロームアンドハース
外装用光沢アクリルトリムペイント(D−603)
水 バルチモア市水道水
QP-4400 ダウケミカル
プロピレングリコール ライオンデル
クロイズ 650 ローディア
トリントンCA ダウケミカル
ヌオセプト635W クリーノバ
水酸化アンモニウム フィッシャーサイエンティフィック
テキサノール イーストマンケミカル
AC-2507 ロームアンドハース
Lampblack 888-9907B デグサ
内装用高PVCつや無しラテックスペイント(60PVC)
水 バルチモア市水道水
タージトールNP9 ダウケミカル
551 Soya Lecithin ロスアンドロウ
ブサン1025 バックマンラボ
コロイズ581-B ヴィニングス
QP-4400 ダウケミカル
水酸化アンモニウム フィッシャーサイエンティフィック
KTPP フィッシャーサイエンティフィック
オムヤカーブUF OYMA
バンタラック6H バンダービルト
エチレングリコール アシランド
カルビトール溶媒 ダウケミカル
UCAR 367 ダウケミカル
ドラマトーンブラックY-1782 ヒュルスアメリカ
HG−700内装用高光沢ラテックスペイント
HG-700 ロームアンドハース
プロピレングリコール ライオンデル
BYK-022 BYK-ケミ
テキサノール イーストマン
トリトンX-405 ダウケミカル
TiO2 ミレニアムケミカルズ
水 バルチモア市水道水
安息香酸ナトリウム BF-グッドリッチ
カソンLX 1.5% ロームアンドハース
タモール681 ロームアンドハース
アクリゾル RM-2020NPR ロームアンドハース
アクリゾル RM-825 ロームアンドハース
ランプブラック888-9907B デグサ
内装用高PVCつや無しラテックスペイントにおけるTiO2乾燥/スラリーの試験(60PVC)
少量の内装用高PVC(顔料体積濃度)つや無しラテックスペイントを、TiO2試料のそれぞれを用いて調製した。
試験ペイントの配合は次のとおりである。
TiO2スラリーからのペイント調製
TiO2スラリー 200.02gの乾燥TiO2を提供するのに十分な量
水 上記TiO2スラリーを48.40%の一定固形分に希釈するのに十分な量
ベースペイント 745.1g
各スラリーのTiO2固形分はわずかに異なっている。これを、使用する水の量によって補償する。これにより、確実に各試験ペイントにおいて一貫した量のTiO2が使用される。
乾燥TiO2からのペイント調製
ベースペイントの配合は次のとおりである。
【0063】
【表1】

【0064】
着色ペーストの配合は次のとおりである。
【0065】
【表2】

【0066】
ペイント作製手順
このベースペイントを、複数のスラリー試料を試験するのに十分な量前もって調製する。コウルス型ブレードを装着した高速分散装置で顔料の磨砕を行う。バッチに空気を入れることなく均一性を確実にするために、十分にかき混ぜながら上記の材料を順序正しく互いに添加する。これは、パドル撹拌機を装着した電動スタンドミキサにより実施される。このスラリーと水とを混ぜ合わせ、次いでこの混合物を、適度な速度のパドル撹拌機付き電動ミキサを用いてベースペイントに添加することによって、個々の試験ペイントを調製する。7gの黒色着色ベースを200gの白色試験ペイントに混合することによって、灰色の各試験ペイントも調製する。これらのペイントを秤量して1/2パイントの缶に入れ、次いでレッドデビルのペイントコンディショナで4分間混ぜ合わせる。
試験パネル作製
対照ペイントと並べてこれらの試験ペイントで描くことによって、試験ペイントを用いて試験パネルを作製した。以下の表を作成した。
【0067】
【表3】

【0068】
これらの試験パネルを、22℃で相対湿度50%に設定された温度および湿度が一定のキャビネット内で一晩硬化させる。
性能特性の測定
硬化させたら、次のように適当な特性についてパネルを評価する。
【0069】
明度、上色(masstone)、着色力および色調を、BYKガードナーの分光光度計カラースフェア型またはBYKガードナーのカラービュー45−0色度計で読み取る。これらの機器は共に、2度視野でCIE L***カラースケール、C光源を用いて測定するように設定される。
【0070】
光沢の測定は、BYKガードナーの曇度光沢計により行う。この機器により、20度、60度および85度での光沢、ならびに曇度を測定することができる。試験ペイントを、同じ試験パネル上の対照ペイントと比較する。この対照との差を計算し報告する。
内装用高光沢エナメル(S11)におけるTiO2乾燥/スラリーの試験
少量の内装用高光沢エナメルペイントを、TiO2試料のそれぞれを用いて調製した。これらTiO2試料の調製については、他の個所に説明されている。
試験ペイントの配合は次のとおりである。
TiO2スラリーからのペイント調製
TiO2スラリー 124.42gの乾燥TiO2を提供するのに十分な量
水 上記TiO2スラリーを70.0%の一定固形分に希釈するのに十分な量
ベースペイント 356.5g
乾燥TiO2からのペイント調製
下記の配合に従って研究室作製スラリーを調製する。
【0071】
【表4】

【0072】
ベースペイントの配合は次のとおりである。
【0073】
【表5】

【0074】
ペイント作製手順
このベースペイントを、複数のスラリー試料を試験するのに十分な量前もって調製する。コウルス型ブレードを装着した高速分散装置で顔料の磨砕を行う。バッチに空気を入れることなく均一性を確実にするために、十分にかき混ぜながら記載の材料を順序正しく互いに添加する。これは、パドル撹拌機を装着した電動スタンドミキサにより実施される。このスラリーと水とを混ぜ合わせ、次いでこの混合物を、適度な速度のパドル撹拌機付き電動ミキサを用いてベースペイントに添加することによって、個々の試験ペイントを調製する。
試験パネル作製
対照ペイントと並べてこれらの試験ペイントで描くことによって、試験ペイントを用いて試験パネルを作製した。以下の表を作成した。
【0075】
【表6】

【0076】
これらの試験パネルを、22℃で相対湿度50%に設定された温度および湿度が一定のキャビネット内で一晩硬化させる。
性能特性の測定
硬化させたら、次のように適当な特性についてパネルを評価する。
【0077】
明度、上色、および不透明度を、BYKガードナーの分光光度計カラースフェア型またはBYKガードナーのカラービュー45−0色度計で読み取る。これらの機器は共に、2度視野でCIE L***カラースケール、C光源を用いて測定するように設定される。光沢の測定は、BYKガードナーの曇度光沢計により行う。この機器により、20度、60度および85度での光沢、ならびに曇度を測定することができる。試験ペイントを、同じ試験パネル上の対照ペイントと比較する。この対照との差を計算し報告する。
外装用光沢アクリルトリムペイント(D−603)におけるTiO2乾燥/スラリーの試験
少量の外装用光沢アクリルトリムペイントを、TiO2試料のそれぞれを用いて調製した。
試験ペイントの配合は次のとおりである。
TiO2スラリーからのペイント調製
TiO2スラリー 87.50gの乾燥TiO2を提供するのに十分な量
水 上記TiO2スラリーを70.0%の一定固形分に希釈するのに十分な量
ベースペイント 362.2g
乾燥TiO2からのペイント調製
下記の配合に従って研究室作製スラリーを調製する。
【0078】
【表7】

【0079】
【表8】

【0080】
着色ペーストの配合は次のとおりである。
【0081】
【表9】

【0082】
ペイント作製手順
このベースペイントを、複数のスラリー試料を試験するのに十分な量前もって調製する。コウルス型ブレードを装着した高速分散装置でTiO2スラリーを生成する。この液状部分を静的状態で一緒に添加し、かき混ぜながら乾燥TiO2をゆっくりと添加する。任意の還元水の添加をより低い1分間当たりの回転数(RPM)で取り入れ、かき混ぜながら添加する。
【0083】
バッチに空気を入れることなく均一性を確実にするために、十分にかき混ぜながら記載のペイントベース材料を順序正しく互いに添加する。これは、パドル撹拌機を装着した電動スタンドミキサにより実施される。このスラリーと水とを混ぜ合わせ、次いでこの混合物を、適度な速度のパドル撹拌機付き電動ミキサを用いてベースペイントに添加することによって、個々の試験ペイントを調製する。
【0084】
7gの黒色着色ペーストを200gの白色試験ペイントに混合することによって、灰色の各試験ペイントも調製する。これらのペイントを秤量して1/2パイントの缶に入れ、次いでレッドデビルのペイントコンディショナで4分間混ぜ合わせる。
試験パネル作製
対照ペイントと並べてこれらの試験ペイントで描くことによって、試験ペイントを用いて試験パネルを作製した。以下の表を作成した。
【0085】
【表10】

【0086】
これらの試験パネルを、22℃で相対湿度50%に設定された温度および湿度が一定のキャビネット内で一晩硬化させる。
性能特性の測定
硬化させたら、次のように適当な特性についてパネルを評価する。
【0087】
着色力および色調を、BYKガードナーの分光光度計カラースフェア型またはBYKガードナーのカラービュー45−0色度計で読み取る。これらの機器は共に、2度視野でCIE L***カラースケール、C光源を用いて測定するように設定される。
【0088】
光沢の測定は、BYKガードナーの曇度光沢計により行う。この機器により、20度、60度および85度での光沢、ならびに曇度を測定することができる。試験ペイントを、同じ試験パネル上の対照ペイントと比較する。この対照との差を計算し報告する。
HG−700ラテックスに基づく高光沢ラテックスペイントにおけるTiO2スラリーの試験
少量の高光沢ラテックスペイントを、TiO2スラリー試料のそれぞれを用いて調製した。これらTiO2スラリーの調製については、他の個所に説明されている。
試験ペイントの配合は次のとおりである。
TiO2スラリー 86.29gの乾燥TiO2を提供するのに十分な量
水 上記TiO2スラリーを70.0%の一定固形分に希釈するのに十分な量
ベースペイント 208.68g
各スラリーのTiO2固形分はわずかに異なっている。これを、使用する水の量によって補償する。これにより、確実に各試験ペイントにおいて一貫した量のTiO2が使用される。
【0089】
【表11】

【0090】
ペイント作製手順
このベースペイントを、複数のスラリー試料を試験するのに十分な量前もって調製する。バッチに空気を入れることなく均一性を確実にするために、十分にかき混ぜながら記載の材料を順序正しく互いに添加する。これは、パドル撹拌機を装着した電動スタンドミキサにより実施される。このスラリーと水とを混ぜ合わせ、次いでこの混合物を、適度な速度のパドル撹拌機付き電動ミキサを用いてベースペイントに添加することによって、個々の試験ペイントを調製する。2gの普遍的な黒色着色剤(カラートレンドランプブラック888−9907B)を200gの白色試験ペイントに混合することによって、灰色の各試験ペイントも調製する。これらのペイントを秤量して1/2パイントの缶に入れ、次いでレッドデビルのペイントコンディショナで5分間混ぜ合わせる。
試験パネル作製
対照ペイントと並べてこれらの試験ペイントで描くことによって、試験ペイントを用いて試験パネルを作製した。以下の表を作成した。
【0091】
【表12】

【0092】
これらの試験パネルを、22℃で相対湿度50%に設定された温度および湿度が一定のキャビネット内で一晩硬化させる。
性能特性の測定
硬化させたら、次のように適当な特性についてパネルを評価する。
【0093】
明度、上色、着色力、色調および不透明度を、BYKガードナーの分光光度計カラースフェア型またはBYKガードナーのカラービュー45−0色度計で読み取る。これらの機器は共に、2度視野でCIE L***カラースケール、C光源を用いて測定するように設定される。
【0094】
光沢の測定は、BYKガードナーの曇度光沢計により行う。この機器により、20度、60度および85度での光沢、ならびに曇度を測定することができる。
【0095】
試験ペイントを、同じ試験パネル上の対照ペイントと比較する。この対照との差を計算し報告する。
結果および考察:
【0096】
【表13】

【0097】
【表14】

【0098】
【表15】

【0099】
上記試験により、開発スラリーの光学特性の性能を、現在使用されているスラリーに対して比較した。いくつかの異なるペイント配合物を使用した。
内装用アクリルラテックストリムペイント(S−11)
ティオナ596スラリーの標準的な配合(新規な分散剤なし)と、新規な分散剤を有するティオナ596スラリーの開発配合とを比較した。明度、底色(undertone)、コントラスト比および光沢の特性を評価した。
【0100】
ティオナ596スラリーについて、これらの結果は、開発スラリー配合の性能が標準的なスラリー配合の性能に非常に近いことを示している。明度は99.8%で、底色は標準よりも0.1青く、これらは試験の実験誤差の範囲内である。コントラスト比は、標準的な配合の99.8%であり、これもまた試験のばらつきの範囲内である。20度での光沢の3単位増加および60度での光沢の4単位増大が顕著な差異であり、視覚的差異のしきい値を超えている。
【0101】
ティオナ595スラリーでは、明度は同等で、底色は標準よりも0.1青い。これらの値は、試験の実験誤差の範囲内である。コントラスト比は、標準的な配合の99.8%であり、これもまた同等で試験のばらつきの範囲内であると考えるべきである。20度での光沢の5単位減少および60度での光沢の5単位低下は、標準よりも有意に低い。これは顕著な差異であり、視覚的差異のしきい値を超えている。
外装用光沢アクリルトリムペイント(D−603)
同じ上記試料を、光学特性ならびに着色力および色調について試験した。
【0102】
ティオナ596スラリーについて、これらの結果は、開発配合の着色力が標準的な配合の100.4%、すなわち顕著な差異であることを示している。色調は、標準的な配合の色調と比べて0.1単位の範囲内であり、これは実験誤差内である。これらの結果は、現在のスラリー配合を超える着色力の向上を明確に示している。
【0103】
ティオナ595について、これらの結果は、開発配合の着色力が標準的な配合の100.6%、すなわち顕著な差異であることを示している。色調は、標準的な配合と比べて0.1単位の範囲内であり、これは実験誤差内である。これらの結果は、現在のスラリー配合を超える着色力の向上を明確に示している。
HG−700樹脂に基づく非常に高光沢のアクリルラテックスペイント
他の配合物と同様に、開発スラリー配合を標準的な配合と比較した。結果は、ティオナ596を用いて作製した開発配合の色(明度および上色)が標準的な配合の光学的対照と同等であることを示している。開発配合の光沢は、20度で3単位高く、また60度で1単位高く、これはほぼ試験のばらつきの限界である。コントラスト比は標準と同等であり、着色力および色調はすべて実験誤差内である。
【0104】
ティオナ595を用いて作製した開発スラリー配合は、標準と比較して明度が99.9%で、標準より0.1黄色い。これは実験誤差内である。光沢は、20度で5単位低く、60度で2単位低い。20度での示度は、標準よりも有意に低い。コントラスト比は標準配合と同等であるが、着色力および色調はそれぞれ、99.7%で0.2より黄色い。前者は、実験誤差をわずかに超えているだけである。
内装用高PVCつや無しラテックスペイント(60PVC)
結果は、明度、60度および85度での光沢および上色がすべてほぼ同等で、実験誤差の範囲内であることを示している、しかしながら、開発スラリーでは、色調は0.2単位高く、着色力は100.4%である。これは、標準を越える顕著な向上である。
【0105】
本明細書中の教示の精神または範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の様々な実施形態に様々な変更および変化を加えることができることが、当業者には明らかであろう。したがって、様々な実施形態は、本教示の範囲内で様々な実施形態の他の変更形態および変形形態に及ぶものとする。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】二酸化チタン顔料および従来技術の分散剤の粘度プロファイルを、二酸化チタンおよび新規な分散剤のものと比較して示すグラフである。
【図2】従来技術の分散剤を有する二酸化チタン顔料と比較して、新規な分散剤を有する10日間貯蔵した二酸化チタン顔料についてのダイノメータ硬度評価試験を示すグラフであり、このダイノメータ硬度評価により、プローブが二酸化チタンスラリーを通過するのに必要な力が決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材粒子および分散剤を含む顔料であって、該分散剤が、(i)アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンと(ii)多塩基酸との塩および/またはエステルを含み、アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンの多塩基酸に対するモル比が3:1を超える顔料。
【請求項2】
顔料が、改善された安定性、光沢、隠ぺい力、着色力またはこれらの組合せを有する、請求項1に記載の顔料。
【請求項3】
多塩基酸が、実質的にはカルボン酸を含有しない、請求項1に記載の顔料。
【請求項4】
多塩基酸が、リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、メタリン酸、ピロリン酸、次リン酸、五酸化リン、他のリン酸誘導体、もしくは他の任意のリン含有酸、またはこれらの組合せを含み、アミン、アルコールまたはアルカノールアミンが、少なくとも1つのアミノアルコール、ジオール、トリオール、アミノポリオール、ポリオール、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンまたはこれらの組合せを含む、請求項1に記載の顔料。
【請求項5】
アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンが、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、1−アミノ−1−ブタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、メタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、メトキシプロパノール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはこれらの組合せを含む、請求項4に記載の顔料。
【請求項6】
前記基材粒子が、チタン、ジルコニウム、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、シリカ、雲母、鉄またはこれらの組合せを含む、請求項1に記載の顔料。
【請求項7】
前記分散剤が、基材粒子の重量に基づき約0.01重量%から約5重量%含まれる、請求項1に記載の顔料。
【請求項8】
前記基材粒子の粒径範囲が約0.1ミクロンから約1ミクロンである、請求項1に記載の顔料。
【請求項9】
前記基材粒子が、アナターゼ型もしくはルチル型の二酸化チタン、またはこれらの組合せを含む、請求項1に記載の顔料。
【請求項10】
前記基材粒子が、シリカ、ジルコニア、アルミナまたはこれらの組合せで処理される、請求項9に記載の顔料。
【請求項11】
アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンの多塩基酸に対するモル比が4:1から約20:1である、請求項1に記載の顔料。
【請求項12】
請求項1に記載の顔料を含むコーティング。
【請求項13】
請求項1に記載の顔料を含むペイント、紙またはプラスチック。
【請求項14】
二酸化チタンおよび分散剤を含む顔料スラリーであって、分散剤が、(i)アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンと(ii)多塩基酸との塩および/またはエステルを含み、アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンの多塩基酸に対するモル比が3:1を超える顔料スラリー。
【請求項15】
多塩基酸が、実質的にはカルボン酸を含有しない、請求項14に記載の顔料スラリー。
【請求項16】
顔料が、改善された安定性、光沢、隠ぺい力、着色力またはこれらの組合せを有する、請求項15に記載の顔料スラリー。
【請求項17】
多塩基酸が、リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、メタリン、ピロリン酸、次リン酸、五酸化リン、他のリン酸誘導体、もしくは他の任意のリン含有酸、またはこれらの組合せを含み、アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンが、少なくとも1つのアミノアルコール、ジオール、トリオール、アミノポリオール、ポリオール、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンまたはこれらの組合せを含む、請求項16に記載の顔料スラリー。
【請求項18】
アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンが、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、1−アミノ−1−ブタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、メタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、メトキシプロパノール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはこれらの組合せを含む、請求項17に記載の顔料スラリー。
【請求項19】
前記分散剤が、二酸化チタンの重量に基づき約0.01重量%から約5重量%含まれる、請求項14に記載の顔料スラリー。
【請求項20】
二酸化チタンの粒径が約0.1ミクロンから約1ミクロンである、請求項14に記載の顔料スラリー。
【請求項21】
二酸化チタンが、シリカ、ジルコニア、アルミナまたはこれらの組合せで処理される、請求項14に記載の顔料スラリー。
【請求項22】
アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンの多塩基酸に対するモル比が4:1から約20:1である、請求項14に記載の顔料スラリー。
【請求項23】
二酸化チタン顔料を作製する方法であって、アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンに多塩基酸を1:3を超えるモル比で添加して分散剤を形成すること、および該分散剤に二酸化チタンを添加して二酸化チタン顔料を作製することを含む方法。
【請求項24】
前記顔料が、改善された安定性、光沢、隠ぺい力、着色力またはこれらの組合せを有する、請求項23に記載の二酸化チタン顔料を作製する方法。
【請求項25】
多塩基酸が、実質的にはカルボン酸を含有しない、請求項23に記載の二酸化チタン顔料を作製する方法。
【請求項26】
酸化、焼成もしくは粉砕後の二酸化チタンに、または二酸化チタンを少なくとも湿式処理、ろ過、乾燥もしくは微粉化する前もしくはした後に前記分散剤を添加する、請求項23に記載の二酸化チタン顔料を作製する方法。
【請求項27】
多塩基酸が、リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、メタリン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、次リン酸、五酸化リン、他のリン酸誘導体、もしくは他の任意のリン含有酸、またはこれらの組合せを含み、アミン、アルコールまたはアルカノールアミンが、少なくとも1つのアミノアルコール、ジオール、アミノポリオール、ポリオール、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンまたはこれらの組合せを含む、請求項23に記載の二酸化チタン顔料を作製する方法。
【請求項28】
アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンが、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、1−アミノ−1−ブタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、メタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、メトキシプロパノール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはこれらの組合せを含む、請求項27に記載の二酸化チタン顔料を作製する方法。
【請求項29】
前記分散剤が、二酸化チタンの重量に基づき約0.01重量%から約5重量%含まれる、請求項23に記載の二酸化チタン顔料を作製する方法。
【請求項30】
二酸化チタンの粒径が約0.1ミクロンから約1ミクロンである、請求項23に記載の二酸化チタン顔料を作製する方法。
【請求項31】
二酸化チタンが、シリカ、ジルコニア、アルミナまたはこれらの組合せで処理される、請求項23に記載の二酸化チタン顔料を作製する方法。
【請求項32】
アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンの多塩基酸に対するモル比が4:1から約20:1である、請求項23に記載の二酸化チタン顔料を作製する方法。
【請求項33】
a)二酸化チタンの水性スラリーを調製すること、b)(i)実質的にはカルボン酸を含有しない多塩基酸を前記スラリーに添加すること、(ii)アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンを前記スラリーに添加することを任意の順序で実施することを含む、二酸化チタン顔料を作製する方法であって、アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンの多塩基酸に対するモル比が3:1を超える方法。
【請求項34】
多塩基酸を湿式処理前に前記スラリーに添加し、アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンは顔料の微粉化の間に添加する、請求項33に記載の二酸化チタン顔料を作製する方法。
【請求項35】
基材粒子および分散剤を含む顔料であって、該分散剤が、(i)アミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンと(ii)多塩基酸との塩および/またはエステルを含み、かつ溶媒を含み、ここでアミン、アルコールおよび/またはアルカノールアミンの多塩基酸に対するモル比が3:1を超える顔料。
【請求項36】
前記溶媒が水を含む、請求項35に記載の顔料。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−521970(P2008−521970A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543393(P2007−543393)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/042281
【国際公開番号】WO2006/057993
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(506036493)ミレニアム インオーガニック ケミカルズ、 インコーポレイテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】MILLENNIUM INORGANIC CHEMICALS, INC.
【Fターム(参考)】