説明

顔料・樹脂組成物の製造方法、着色剤および着色方法

【課題】プラスチックの着色や画像記録剤の着色に有用な着色剤を、需要量の増大にも柔軟に対応して生産でき、さらに仕込み、混練から後続する工程を含め、生産効率を上げ、加工時間を短縮し、省人化し、合理化を図ることのできる顔料・樹脂組成物の製造方法の提供。
【解決手段】顔料と熱溶融性樹脂とを、両者の合計の3〜70質量%の水分の存在下に、少なくとも1個のベント口を有する押出混練機に連続的に投入し、上記樹脂の溶融温度以上の温度で混練し、分離した水分および残存した水分の水蒸気を上記ベント口から排出しつつ、上記樹脂の溶融温度以上の温度で混練して、顔料を溶融樹脂中に分散させることを特徴とする顔料・樹脂組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効率の良い顔料・樹脂組成物(画像記録剤用着色剤およびこれ以外の樹脂の着色剤などを含む、以下同じ)の製造方法に関し、さらに詳しくは顔料の分散性に優れている顔料・樹脂組成物の合理化された製造方法、汎用樹脂用着色剤、画像記録剤用着色剤、これらの着色剤を用いる着色方法、画像記録方法、着色物品、および記録画像の提供を目的としている。
【背景技術】
【0002】
従来、顔料・樹脂組成物は、顔料として乾燥粉末顔料を使用し、樹脂ペレット表面に顔料を着色させた着色剤、顔料と分散剤とを混合した粉末状あるいは顆粒状の着色剤、顔料を可塑剤に分散させたペースト状着色剤、あるいは顔料、樹脂および分散剤などを高濃度に混練したマスターバッチなどが広く使用されている。
【0003】
高濃度顔料分散体であるマスターバッチは、乾燥粉末顔料と樹脂を予め混合した後、単軸押出機、二軸押出機などの多軸押出機、ニーダー混練機、バンバリーミキサー、二本ロール、三本ロールなどで混練する方法が一般的である。しかしながら、一旦乾燥した顔料粉末は、粗大な二次凝集粒子を多数含有するため、これらの二次凝集粒子を一次粒子まで再分散させるのは非常に困難である。
【0004】
そのため、分散性に優れた顔料・樹脂組成物として、顔料の水性プレスケーキあるいは水性ペーストと樹脂とをフラッシャーやニーダーのような混練機で混練してフラッシングし、水性相の顔料を樹脂相に移行させ、しかる後に水を除去することにより得られる画像記録剤用着色剤あるいはプラスチック用着色剤が提案されている(特許文献1〜3)。
【0005】
一般的に、上記の顔料の水性ペーストと樹脂とを混練して水性相の顔料を樹脂相に移行させ、しかる後に水を除去する顔料・樹脂組成物(着色剤)の製造方法はバッチ式である。そのため、このような方法では、原料の仕込み、あるいは混合、混練工程から次の工程へと移る際に人手を要し、また、加工時間も長く、着色剤の生産効率が悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2910945号公報
【特許文献2】特公平07−096663号公報
【特許文献3】特許第3108228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献に記載の方法は、ニーダーやフラッシャーを使用するバッチ式であるため、生産量もニーダーやフラッシャーの大きさにより限定され、生産量の増大などの需要量の変化に対する対応が困難である。また、生産工程上においても、原料の仕込み、あるいは混合、混練工程から次の工程へと移る際に、それぞれ人手を要し、また、加工時間も長く、生産効率が悪かった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、押出混練機を使用して顔料と熱溶融性樹脂とからなる顔料・樹脂組成物を製造するに際して、顔料を含水物の状態で使用し、熱溶融性樹脂粉末とともに押出機に投入して混練する方法を検討した。
【0009】
その結果、含水状態の顔料と熱溶融性樹脂粉末とは、押出機中で加温されつつ混練され、顔料に由来する水分が押出機のベント口から水および水蒸気として放出され、顔料は、樹脂の溶融温度以上の温度で樹脂と混練して、顔料が樹脂中に容易に分散することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
この方法では、顔料と樹脂との加熱混練時間を従来技術よりも短くでき、さらに原料の供給に定量供給装置を用いることにより、装置への顔料の付着もなく、安定した顔料・樹脂組成物(着色剤)の連続生産が可能であり、さらに後続する工程(例えば、造粒工程など)にそのまま連結することが可能で、着色剤の生産効率が向上し、この方法は、経済的で省エネルギーであり、また、得られる着色剤中の顔料の分散も優れているなどの効果が奏される。
【0011】
すなわち、本発明は、顔料と熱溶融性樹脂とを、両者の合計の3〜70質量%の水分の存在下に、少なくとも1個のベント口を有する押出混練機に連続的に投入し、上記樹脂の溶融温度以上の温度で混練し、分離した水分および残存した水分の水蒸気を上記ベント口から排出しつつ、上記樹脂の溶融温度以上の温度で混練して、顔料を溶融樹脂中に分散させることを特徴とする顔料・樹脂組成物(着色剤)の製造方法を提供する。
【0012】
上記本発明においては、押出混練機に投入する前に、水分を含む顔料と熱溶融性樹脂とを、その混合前、混合しつつ、または混合後に、加熱および/または減圧により水分を除去し、顔料と熱溶融性樹脂との混合物の水分を3〜70質量%とすること;熱溶融性樹脂が、少なくとも1種のポリマーまたは少なくとも1種のポリマーアロイであること;顔料が、有彩色、黒色、白色の有機または無機顔料または体質顔料であることが好ましい。
【0013】
また、上記本発明においては、押出機が、少なくとも1個のベント口を持つ単軸、二軸あるいは多軸押出機であること;得られた顔料・樹脂組成物を、さらに混練機にて混練し、必要に応じてさらに連続造粒機あるいは連続シーティングマシーンによりペレット化あるいはシート化すること;上記混練機が、二本ロール、三本ロール、ニーダー、連続式オープンロールまたは押出機であること;さらに分散剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤またはそれらの混合物を添加することが好ましい。
【0014】
上記本発明において得られる顔料・樹脂組成物は、一般的な(汎用)樹脂の着色剤として有用であり、特に画像記録剤の着色剤としても有用である。
【0015】
上記本発明の汎用樹脂用着色剤または画像記録剤用着色剤は、顔料を高濃度に含有する固体状の着色剤であり得、上記高濃度着色剤は、画像記録剤用樹脂、ポリマーおよび/またはモノマーに混練あるいは溶解して顔料を分散させ、微粒子化処理をすることで画像記録剤とすることができる。該微粒子化処理は、破砕造粒法、懸濁重合法、エマルジョン分散法あるいは噴霧造粒法で行うことができる。
【0016】
また、本発明は、前記汎用樹脂用着色剤を用いることを特徴とする汎用樹脂の着色方法、および該着色方法で得られたことを特徴する着色物品、および前記画像記録剤用着色剤を用いることを特徴とする画像記録方法、および該画像記録方法で得られたことを特徴する記録画像を提供する。
【発明の効果】
【0017】
以上の如き本発明によれば、顔料の水性プレスケーキや顔料の水性スラリーなどを、顔料・樹脂組成物(着色剤)の顔料として使用することから、顔料の乾燥および粉末化工程による顔料の一次粒子の二次凝集を起こすことない。
【0018】
また、本発明の方法では、フラッシャーあるいはニーダーによるフラッシングで使用されるような有機溶剤を使用することなく、顔料を水相から樹脂相に移行させることができる。
【0019】
また、本発明の方法では、粉末の顔料であっても含水させることによって、本発明の顔料・樹脂組成物の原料として使用することができる。すなわち、粉末顔料を含水させることによって、顔料の1次粒子の表面が水分で湿潤した状態になり、水分が顔料の分散助剤として作用して、顔料が含水相から樹脂相に移行し、顔料の粗大粒子(二次凝集粒子)を含有しない、顔料の分散性に優れた汎用樹脂用着色剤および画像記録剤用着色剤として使用される顔料・樹脂組成物が提供される。
【0020】
また、本発明の方法においては、使用する顔料含水物の顔料濃度を高くして、従来のフラッシングに使用する顔料の水性プレスケーキより、顔料に含まれる水分を少なくすることができる。少ない水分でも、その存在により顔料の一次粒子は、強固な二次凝集をすることなく、顔料は、一次粒子のソフトな集合体として存在し、押出機での加熱により顔料を水相から樹脂相に移行させることによって、あるいは分散助剤としての水の作用により顔料を含水相から樹脂相に移行させることによって、顔料の粗大粒子を含有しない、分散性の優れた顔料・樹脂組成物が提供される。
【0021】
上記方法において、部分的に水分が非常に少ない顔料含水物において、顔料が凝集していたとしても、その凝集体は、押出機の中で加熱により内部の水分がベント口で圧力開放されて水蒸気ガスとなり膨張し、顔料の二次凝集粒子は、破壊されて一次粒子に散らされ、この散らされた一次粒子の顔料が、樹脂中に分散および拡散してゆくものと考えられる。
【0022】
本発明においては、加熱混練に、少なくとも1個のベント口を有する単軸、二軸押出機あるいは多軸押出機を使用しており、従来のニーダーやフラッシャーなどを使用したバッチ式生産と違い、加熱混練時間が非常に短く、さらに定量供給装置を用いることにより、顔料・樹脂組成物の連続生産が可能である。
【0023】
さらに後続する工程として、後述する再分散のためのオープンロール連続混練機などの混練機や、シーティングマシーン、粗砕機、ペレタイザー、造粒機、貯槽、包装機など、各種の機器に、本発明の混練工程をそのまま連結することが可能であり、顔料・樹脂組成物の生産効率が非常に高い。
【0024】
また、本発明において押出機として二軸押出機を用いた場合は、二軸押出機による加熱混練は、効率良く短時間で終了するために、顔料の水性プレスケーキの水分、または含水状態の顔料と樹脂との混合物の水分は少ない方が、水分の蒸発時間、および使用する熱エネルギーが少なくて済み、有利である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明の好ましい実施の形態は、汎用樹脂の着色剤の用途および画像記録剤の着色剤の用途である。
[汎用樹脂用着色剤の実施形態]
本発明においては、顔料の水性プレスケーキ、顔料の水性スラリーあるいは含水させた粉末顔料のいずれかと熱溶融性樹脂とは、混合する以前或いは混合状態で、その水分を両者の質量の3〜70質量%、好ましくは約4〜50質量%、さらに好ましくは約4〜25質量%相当に調整する。このような水分の調整は、フィルタープレス濾過工程における水の絞り率、箱型乾燥機、流動層乾燥機、減圧乾燥機などにより水分を除去する方法などで行うことができる。乾燥に際しては乾燥温度が、樹脂の融点よりも低いことが好ましい。また、粉末顔料を使用する場合には水分を添加する場合もある。上記において含水量が3質量%未満であることは事前の乾燥が過度で顔料が凝集傾向にあり、また押出機中で加熱により水分が瞬時に蒸発してしまい、分散助剤としての水の作用が不充分となって顔料の分散が困難になる。一方、含水量が70質量%を超えると顔料含水物は多くの場合スラリー状になり押出機への注入が困難となる。また、押出機中に注入できても、押出機によって混練部のシリンダーの長さが決まっており、水分が多くなるとその範囲内で顔料樹脂混合液の温度を樹脂溶融温度に上昇することが困難となって溶融混練が出来ず、またフラッシングも出来ないかあるいは不十分となる。
【0026】
また、押出機に投入する前の原料の混合時に、混合機の混合槽、攪拌機あるいは混合系を加熱し、原料混合物から水分を蒸発させ、原料混合物の水分を好ましい水分に調節してもよい。この時の、加熱温度は樹脂の融点より低いことが望ましい。好ましくは50〜95℃の温度である。
【0027】
水分が調整された顔料と樹脂とは、それぞれ単独で或いは混合物として、定量供給機を使用して連続して、好ましくは二軸押出機に投入する。本発明で使用する押出機としては二軸押出機が好ましく、二軸押出機としては、L/Dが25以上のものを使用し、好ましくはL/Dが30以上のものを使用する。混練のためにはL/Dが大きい方が好ましい。また、二軸押出機のベント口は、少なくとも1個、好ましくは2個以上である。ベント口は多い方が分離した熱水や残存した水分の水蒸発の放散には有利であるが、ベント口の数は、混合物の混練とのバランスを考えて決めることが必要である。
【0028】
本発明で使用する顔料としては、従来公知の有彩色および黒色〜白色の顔料が挙げられ、例えば、アゾ系、ポリ縮合アゾ系、アゾメチン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系、ジケトピロロピロール顔料、キノフタロン顔料、ペリノン・ペリレン系、インジゴ・チオインジゴ系、ジオキサジン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、アニリンブラック系、金属錯体顔料などの有機顔料および酸化チタン系、酸化鉄系、スピネル構造系などの無機顔料、カーボンブラック系顔料などが挙げられる。それらの中で特に親油性の高い有機顔料が好ましい。
【0029】
これらの顔料は、微粒子化された顔料であることが好ましい。微粒子化の方法としては、例えば、(1)顔料を硫酸に溶解し、水中に析出して微粒子化する方法、(2)顔料を食塩、粘稠な液体とともに混練・磨砕して微細化する方法、(3)顔料を、横型あるいは縦型メディア分散機により分散して微細化する方法などが挙げられる。
本発明においては、顔料・樹脂含水混合物中の水分は特に限定されないが、本発明において、二軸押出機を用いて加熱混練を効率良く短時間で終了するためには、顔料・樹脂含水混合物中の水分は、少ない方が押出機中での顔料・樹脂含水混合物の加熱による樹脂の溶融温度までの昇温、水分の蒸発時間、熱エネルギーが少なくて済み、有利である。
【0030】
従って、水で湿潤した顔料と樹脂とが混合物して押出機に投入される場合と、それぞれが別に計量されて押出機に投入される場合とがあるが、押出機に投入された段階での顔料・樹脂含水混合物中の水分は、該混合物の3〜70質量%に相当する量であり、好ましい水分は約4〜50質量%相当量、さらに好ましくは約4〜25質量%相当量である。本発明で使用される粉末顔料としては、カーボンブラック系顔料が挙げられるが、通常の有機顔料、無機顔料においても、顔料の水性プレスケーキなどが入手できないものは、粉末顔料として使用することができる。
【0031】
本発明において使用する熱溶融性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレンのランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体、α−オレフィンとエチレンあるいはプロピレンの共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体などのポリエチレン系共重合体あるいはポリプロピレン系共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル重合体および共重合体、スチレン−ジエン系共重合体などの付加重合系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂などの縮合系樹脂、および各種ワックス類などが挙げられる。顔料と樹脂との使用比率は、樹脂100質量部に対して顔料1〜900質量部であることが好ましい。
ここで顔料の使用量が、樹脂100質量部あたり11〜300質量部であると、高濃度顔料着色組成物(マスターバッチ)が得られる。上記において顔料が1質量%未満であると顔料分が低くなり過ぎて着色剤として使用するのに非効率的であり、経済的にも不利である。また、高濃度顔料着色組成物の溶融粘度が低くなり分散が不充分であり、一方、顔料が900質量%を超えると分散媒体である樹脂分が少なくなり過ぎて、顔料と樹脂の混練で流動性が出ず、顔料は分散が不十分な状態のまま押出機から吐出され、着色剤としては不適当である。
【0032】
本発明における顔料・樹脂含水混合物の製造方法は、公知の顔料含水物の調製方法で得られるものが使用され、特に限定されないが、例えば、好ましい方法として、
(1)顔料プレスケーキと樹脂粉末あるいは樹脂チップとを均一に混合する方法、
(2)濾過前の顔料スラリーに樹脂粉末あるいは樹脂チップを添加し、均一に混合後に濾過する方法、
(3)アゾ顔料の場合において、カップリング成分の溶液に樹脂粉末あるいは樹脂チップを添加し、カップリングしてアゾ顔料を合成する方法、
(4)顔料プレスケーキと樹脂粉末あるいは樹脂チップを押出機に別々に自動計量で注入して混練する方法、
(5)粉末顔料に水を添加して、顔料に水分を充分吸収、吸着させ、これに樹脂粉末あるいは樹脂チップを添加し、均一に混合する方法、および
(6)粉末顔料に水蒸気を充満して、顔料に水分を充分吸収、吸着させ、それと樹脂粉末あるいは樹脂チップとを添加し、均一に混合する方法
などが挙げられる。これらの方法において、(1)〜(3)および(6)のいずれかの方法で得られた顔料・樹脂含水混合物を使用することが好ましい。
【0033】
本発明の顔料・樹脂組成物(汎用樹脂用着色剤)の製造方法は、上記の如き3〜70質量%の水分を含有する顔料・樹脂含水混合物を、分離した熱水や残存した水分の水蒸気を排出させるように少なくとも1個のベント口を有するベント式の二軸押出機、単軸押出機あるいは多軸押出機の如き、混練機中で連続して溶融温度で加熱混練して、水相の顔料を樹脂相中に移行させる方法である。上記のベント口は上向き、横向きあるいは下向きで設置されるが、分離した熱水の排出のためには下向きあるいは横向きが好ましい。
【0034】
本発明の顔料・樹脂組成物の製造に際しては、水分を調整した顔料の含水物と樹脂とを混合機にて混合してもよく、また、加熱装置を持った混合機で顔料の含水物と樹脂とを混合しながら含水混合物の水分を調節してもよい。
【0035】
水分を調整した顔料・樹脂含水混合物を、定量供給機を使用して二軸押出機などの混練機に投入する。二軸押出混練機のヒーター加熱温度は、70〜150℃に設定することが好ましい。混練機の中で、常圧下で加熱混練しながら樹脂を溶融させ、水相の顔料を溶融樹脂相に移行させ、分離した水分や水蒸気を押出機のベント口から排出する。水分を除去した混練物は、同じ混練機の中でさらに混練し、顔料を樹脂の中に微分散させ、本発明の顔料・樹脂組成物(汎用樹脂用着色剤)として押出機のダイスから押し出され、冷却ベルトなどで冷却し、ペレタイザーあるいは邂砕機でチップ化する。
【0036】
このようにして本発明によれば、樹脂用着色剤を連続で効率的に生産することが可能である。さらに、上記の樹脂用着色剤を、二本ロール混練機、三本ロール混練機、ニーダー混練機、連続式オープンロール混練機、または押出混練機などを用いて混練することにより、混練物中に微量に混在する可能性のある不完全分散の顔料粒子を完全に分散させるために、分散を促進させ、分散性、鮮明性、透明性に優れた本発明の樹脂用着色剤が得られる。
【0037】
また、本発明の高濃度顔料着色剤を使用して樹脂用着色剤を得る方法としては、従来公知の樹脂用着色剤の製造法が挙げられる。例えば、本発明の高濃度顔料着色剤、樹脂および添加剤を混合し、同様に二本ロール混練機、三本ロール混練機、ニーダー混練機、連続式オープンロール混練機あるいは押出混練機を用いて混練後、ペレタイザーなどでチップ化し、樹脂用着色剤とする。
【0038】
前記の樹脂用着色剤に用いる樹脂としては一般の熱可塑性樹脂が挙げられる。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、エチレン−ビニルアルコール系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、液晶ポリエステル樹脂(LCP)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリウレタン樹脂およびポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)などからなる群より選ばれた樹脂または2種以上のポリマーブレンドあるいはポリマーアロイが挙げられる。
【0039】
さらに本発明の高濃度顔料着色剤は、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化樹脂、ワックスあるいはエマルジョンと公知の方法で混練し、それぞれの着色剤とすることができる。
【0040】
以上の本発明においては、得られた顔料・樹脂組成物を、さらに混練機にて混練し、必要に応じてさらに連続造粒機あるいは連続シーティングマシーンによりペレット化あるいはシート化することができる。上記混練機は、二本ロール、三本ロール、ニーダー、連続式オープンロールまたは押出機であり得る。本発明の顔料・樹脂組成物には、さらに分散剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤またはそれらの混合物を添加することができる。
また、本発明は、前記方法で得られたことを特徴とする汎用樹脂用着色剤を提供する。また、本発明は、本発明の汎用樹脂用着色剤を用いることを特徴とする汎用樹脂の着色方法、および該着色方法で得られたことを特徴する着色物品を提供する。
【0041】
[画像記録剤用着色剤の実施形態]
本発明においては、顔料の水性プレスケーキ、顔料の水性スラリーあるいは含水させた粉末顔料のいずれかと熱溶融性樹脂とは、混合する以前或いは混合状態で、その水分を両者の質量の3〜70質量%、好ましくは約4〜50質量%、さらに好ましくは約4〜25質量%相当に調整する。このような水分の調整は、フィルタープレス濾過工程における水の絞り率、箱型乾燥機、流動層乾燥機、減圧乾燥機などにより水分を除去する方法などで行うことができる。乾燥に際しては乾燥温度が、樹脂の融点よりも低いことが好ましい。また、粉末顔料を使用する場合には水分を添加する場合もある。上記において含水量が3質量%未満であることは事前の乾燥が過度で顔料が凝集傾向にあり、また押出機中で加熱により水分が瞬時に蒸発してしまい、分散助剤としての水の作用が不充分となって顔料の分散が困難になる。一方、含水量が70質量%を超えると顔料含水物は多くの場合スラリー状になり押出機への注入が困難となる。また、押出機中に注入できても、押出機によって混練部のシリンダーの長さが決まっており、水分が多くなるとその範囲内で顔料樹脂混合液の温度を樹脂溶融温度に上昇することが困難となって溶融混練が出来ず、またフラッシングも出来ないかあるいは不十分となる。
【0042】
また、押出機に投入する前の原料の混合時に、混合機の混合槽、攪拌機あるいは混合系を加熱し、原料混合物から水分を蒸発させ、原料混合物の水分を好ましい水分に調節してもよい。この時の、加熱温度は樹脂の融点より低いことが望ましい。好ましくは50〜95℃の温度である。
【0043】
水分が調整された顔料と樹脂とは、それぞれ単独で或いは混合物として、定量供給機を使用して連続して、好ましくは二軸押出機に投入する。本発明で使用する押出機としてはベント式の二軸押出機が好ましく、二軸押出機としては、L/Dが25以上のものを使用し、好ましくはL/Dが30以上のものを使用する。混練のためにはL/Dが大きい方が好ましい。また、二軸押出機のベント口は、分離した熱水や残存した水分の水蒸気を排出させるように少なくとも1個、好ましくは2個以上である。ベント口は多い方が水蒸発の放散には有利であるが、ベント口の数は、混合物の混練とのバランスを考えて決めることが必要である。上記のベント口は上向き、横向きあるいは下向きで設置されるが、分離した熱水の排出のためには下向きあるいは横向きが好ましい。
【0044】
本発明で使用する顔料としては、従来公知の有彩色および黒色〜白色の顔料が挙げられ、例えば、アゾ系、ポリ縮合アゾ系、アゾメチン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系、ジケトピロロピロール顔料、キノフタロン顔料、ペリノン・ペリレン系、インジゴ・チオインジゴ系、ジオキサジン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、アニリンブラック系、金属錯体顔料などの有機顔料および酸化チタン系、酸化鉄系、スピネル構造系などの無機顔料、カーボンブラック系顔料などが挙げられる。それらの中で特に親油性の高い有機顔料が好ましい。
【0045】
これらの顔料は、微粒子化された顔料であることが好ましい。微粒子化の方法としては、例えば、(1)顔料を硫酸に溶解し、水中に析出して微粒子化する方法、(2)顔料を食塩、粘稠な液体とともに混練・磨砕して微細化する方法、(3)顔料を、横型あるいは縦型メディア分散機により分散して微細化する方法などが挙げられる。
本発明においては、顔料・樹脂含水混合物中の水分は特に限定されないが、本発明において、二軸押出機を用いて加熱混練を効率良く短時間で終了するためには、顔料・樹脂含水混合物中の水分は、少ない方が押出機中での顔料・樹脂含水混合物の加熱による樹脂の溶融温度までの昇温、水分の蒸発時間、熱エネルギーが少なくて済み、有利である。
【0046】
従って、水で湿潤した顔料と樹脂とが混合物して押出機に投入される場合と、それぞれが別に計量されて押出機に投入される場合とがあるが、押出機に投入された段階での顔料・樹脂含水混合物中の水分は、該混合物の3〜70質量%に相当する量であり、好ましい水分は約4〜50質量%相当量、さらに好ましくは約4〜25質量%相当量である。本発明で使用される粉末顔料としては、カーボンブラック系顔料が挙げられるが、通常の有機顔料、無機顔料においても、顔料の水性プレスケーキなどが入手できないものは、粉末顔料として使用することができる。
【0047】
本発明において使用する樹脂としては、従来公知の画像記録剤用着色剤において使用される樹脂が使用され、さらに高濃度の着色剤を作る場合には、それと相溶性のあるマスターバッチの担体樹脂なども使用することができる。例えば、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂などの縮合系樹脂、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル重合体および共重合体、スチレン−ジエン系共重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などの付加重合系樹脂、および各種ワックス類などが使用される。上記樹脂のうち好ましいものは融点または軟化点が約150℃以下、好ましくは130℃以下の常温で固体の樹脂である。顔料と樹脂成分の比率は、その画像記録剤用着色剤の目的によって異なり、高濃度着色剤の場合は、顔料含有量が20〜70質量%であり、現像剤などの画像記録剤の場合は、顔料含有量が1〜20質量%である。
【0048】
本発明における顔料・樹脂含水混合物の製造方法は、公知の顔料・樹脂含水混合物の調製方法で得られものが使用され、特に限定される訳ではないが、例えば、
(1)顔料プレスケーキと樹脂粉末とを混合する方法、
(2)濾過前の顔料スラリーに樹脂粉末を添加し、均一に混合後に濾過する方法、および
(3)アゾ顔料の場合において、カップリング成分の溶液に樹脂粉末を添加し、カップリングしてアゾ顔料を合成する方法
などが挙げられる。(1)〜(3)いずれかの方法で得られた顔料・樹脂含水混合物を使用することが好ましい。
【0049】
本発明の顔料・樹脂組成物(画像記録剤用着色剤)の製造方法は、上記の如き3〜70質量%の水分を含有する顔料・樹脂含水混合物を、少なくとも1個のベント口を有する二軸押出機、単軸押出機あるいは多軸押出機の如き、混練機中で連続して溶融温度で加熱混練して、水相の顔料を樹脂相中に移行させる方法である。
【0050】
本発明の顔料・樹脂組成物の製造に際しては、水分を調整した顔料の含水物と樹脂とを混合機にて混合してもよく、また、加熱装置を持った混合機で顔料の含水物と樹脂とを混合しながら含水混合物の水分を調節してもよい。
【0051】
水分を調整した顔料・樹脂含水混合物を、定量供給機を使用して二軸押出機などの混練機に投入する。二軸押出混練機のヒーター加熱温度は、70〜150℃に設定することが好ましい。混練機の中で、常圧下で加熱混練しながら樹脂を溶融させ、水相の顔料を溶融樹脂相に移行させ、分離した水分や水蒸気を押出機のベント口から排出する。水分を除去した混練物は、同じ混練機の中でさらに混練し、顔料を樹脂の中に微分散させ、本発明の顔料・樹脂組成物(汎用樹脂用着色剤)として押出機のダイスから押し出され、冷却ベルトなどで冷却し、ペレタイザーあるいは邂砕機でチップ化する。
【0052】
このように本発明は、顔料・樹脂組成物(画像記録剤用着色剤)を連続で効率的に生産することが可能である。さらに、上記の画像記録剤用着色剤を、二本ロール混練機、三本ロール混練機、ニーダー混練機、連続式混練機、押出混練機を用いて混練することにより、顔料の分散を促進し、鮮明性、透明性に優れた画像記録剤用着色剤が得られる。
【0053】
本発明の高濃度顔料着色剤を使用して画像記録剤を得る方法としては、当然ながら、従来公知の画像記録剤の製造方法が挙げられる。
(1)本発明の高濃度顔料着色剤を、オリゴマーに溶解し、荷電制御剤を加えて縮合重合し粉砕分級する破砕造粒法による方法、
(2)本発明の高濃度顔料着色剤を、モノマーに溶解し重合する懸濁重合法による方法、
(3)本発明の高濃度顔料着色剤に、他の必要な樹脂、荷電制御剤を加え、溶剤溶液あるいは樹脂、荷電制御剤を加えた溶融液をエマルジョン化して造粒する方法および
(4)本発明の高濃度顔料着色剤に、他の必要な樹脂、荷電制御剤を加え、溶剤溶液あるいは樹脂、荷電制御剤を加えた溶融液を噴霧造粒する方法により、本発明の画像記録剤用着色剤を製造することができる。
【0054】
以上の本発明においては、得られた顔料・樹脂組成物を、さらに混練機にて混練し、必要に応じてさらに連続造粒機あるいは連続シーティングマシーンによりペレット化あるいはシート化することができる。上記混練機は、二本ロール、三本ロール、ニーダー、連続式オープンロールまたは押出機であり得る。本発明の顔料・樹脂組成物には、さらに分散剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤またはそれらの混合物を添加することができる。
また、本発明は、前記方法で得られたことを特徴とする画像記録剤用着色剤を提供する。また、本発明は、本発明の画像記録剤用着色剤を用いることを特徴とする画像記録方法、および該画像記録方法で得られたことを特徴する記録画像を提供する。
【実施例】
【0055】
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、文中「部」または「%」とあるのは質量基準である。
【0056】
[汎用樹脂用着色剤の実施例(I)]
実施例A−1(高濃度着色剤の製造と樹脂の着色)
(1)銅フタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:3、以下「PB15:3」と略称する)水性プレスケーキを減圧下で水分を除去した顔料含水物(顔料分:88%、水分:12%)34.1部およびポリエチレン系樹脂(エチレン−αオレフィンコポリマー、融点約60℃、)の65.9部をヘンシルミキサーにて2分間混合し、定量供給機にて3個のベント口を有する二軸押出機(L/D=52)に投入した。二軸押出機のヒーター温度は60〜140℃に徐々に高温度になるように傾斜して設定した。混合物を投入後しばらくして投入口に近い下向きのベント口から水分が排出し、次のベント口から水蒸気が噴出した。押出機先端のダイスに近いベント口からは、ほとんど水蒸気が出ていなかった。ダイスから押し出された高濃度着色剤は、冷却水槽で冷却しペレタイザーでチップ化した。以下、この高濃度着色剤を「青色高濃度着色剤−1」と称する。
【0057】
(2)上記(1)で得られた青色高濃度着色剤−1をポリプロピレン(ランダムコポリマー、MFR:30)と最終顔料濃度が0.3%になるよう配合し、単軸押出機で混練しチップ化した。チップを成型機にて成型したところ青色の鮮明で透明な成型板が得られた。この成型板の表面を顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は微細に分散していた。
【0058】
実施例A−2(高濃度着色剤の製造と樹脂の着色)
(1)銅フタロシアニンブルー顔料(PB15:3)水性プレスケーキを減圧下で水分を除去した顔料含水物(顔料分:70%、水分:30%)42.9部およびポリプピレン系樹脂(ポリプロピレンワックス、融点約87℃)の57.1部をヘンシルミキサーにて2分間混合し、定量供給機にて3個のベント口を有する二軸押出機(L/D=52)に投入した。
【0059】
二軸押出機のヒーター温度は60〜140℃に徐々に高温度になるように傾斜して設定した。混合した材料を投入後しばらくして投入口に近い下向きのベント口から水分が排出し、次のベント口から水蒸気が噴出した。押出機先端のダイスに近いベント口からは、ほとんど水蒸気が出ていなかった。ダイスから押し出された高濃度着色剤は冷却水槽で冷却しペレタイザーでチップ化した。得られた着色チップをオープンロール連続混練機で混練し、青色高濃度着色剤を得た。以下、この青色高濃度着色剤を「青色高濃度着色剤−2」と称する。
【0060】
(2)上記(1)で得られた青色高濃度着色剤−2をポリプロピレン(ランダムコポリマー、MFR:30)と最終顔料濃度が0.3%になるよう配合し単軸押出機で混練しチップ化した。チップを成型機にて成型したところ青色の鮮明で透明な成型板が得られた。この成型板の表面を顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は微細に分散していた。
【0061】
実施例A−3〜5(高濃度着色剤の製造と樹脂の着色)
実施例A−2で述べた方法に従って、実施例A−2で使用した材料に代えて下記の表A−1に記した材料を使用して各々高濃度着色剤を作成した。キナクリドン顔料の含水物およびモノアゾ系黄色顔料の含水物は、それぞれの顔料の水性プレスケーキから減圧下で水分を除去して調製し、カーボンブラック顔料の含水物は、密閉容器中で水蒸気でカーボンブラック顔料を湿潤させて調製した。なお、PR122、PY74、PBK7は、PB15:3と同様にそれぞれカラーインデックスの顔料の番号を示す。
【0062】

【0063】
実施例A−3〜5で得られた赤色、黄色および黒色の高濃度着色剤を、ポリプロピレン(ランダムコポリマー、MFR:30)と最終顔料濃度が0.3%になるよう配合し単軸押出機で混練しチップ化した。チップを成型機にて成型したところそれぞれの色の鮮明で透明な成型板が得られた。各色成型板の表面を顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は微細に分散していた。
【0064】
実施例A−6(高濃度着色剤の製造と樹脂の着色)
(1)銅フタロシアニンブルー顔料(PB15:3)の水性スラリー(顔料分10%、水分90%)300部を撹拌槽に投入した。次いで、実施例A−2で使用したポリプロピレン樹脂の粉末70部を添加し、20分間撹拌混合した。
【0065】
該混合物をフィルタープレス濾過機で濾過し、55℃に設定した箱型乾燥機で20時間加熱し水分を16.7%含有する顔料・樹脂含水混合物を得た。実施例A−1と同様にして、定量供給機にて二軸押出機に投入し、混練した。ダイスから押し出された高濃度着色剤は冷却水槽で冷却しペレタイザーでチップ化した。さらに、チップを加熱2本ロールで混練し、青色高濃度着色剤を得た。以下、この青色高濃度着色剤を「青色高濃度着色剤−3」と称する。
【0066】
(2)上記(1)で得られた青色高濃度着色剤−3をポリプロピレン(ランダムコポリマー、MFR:30)と最終顔料濃度が0.3%になるよう配合し単軸押出機で混練しチップ化した。チップを成型機にて成型したところ青色の鮮明で透明な成型板が得られた。成型板の表面を顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は微細に分散していた。
【0067】
実施例A−7(樹脂用着色剤の製造および樹脂の着色)
(1)実施例A−1で製造した青色高濃度着色剤−1(顔料分:30%)33.3部、ポリプロピレン(ランダムコポリマー、MFR:30)66.7部を配合、混合後に二軸押出機へ投入し混練りした。押出機のダイスより吐出した着色剤を水槽で冷却し、ペレタイザーでチップ化し顔料分10%のポリプロピレンマスターバッチ(樹脂用着色剤)を得た。以下、「青色樹脂用着色剤−1」と称する。
【0068】
(2)得られた青色樹脂用着色剤−1をポリプロピレン(ランダムコポリマー、MFR=30)と最終顔料濃度が0.3%になるよう配合し単軸押出機で混練しチップ化した。チップを成型機にて成型したところ青色鮮明で透明な成型板が得られた。成型板の表面を顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は微細に分散していた。
【0069】
[画像記録剤用着色剤の実施例(II)]
実施例B−1
(1)画像記録剤用高濃度着色剤の製造
銅フタロシアニンブルー顔料(PB15:3)水性プレスケーキを減圧下で水分を除去した顔料含水物(顔料分:87%、水分:13%)34.5部とポリエステル樹脂(ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加ジオールとテレフタル酸を主体とする縮合ポリエステル、融点約98℃、ガラス転移点約58℃、重量平均分子量約15,000)の微粉末70部とをヘンシルミキサーにて2分間混合し、定量供給機にて3個のベント口を有する二軸押出機(L/D=52)に投入した。
【0070】
二軸押出機のヒーター温度は60〜140℃に徐々に高温度になるように傾斜して設定した。混合した材料を投入後しばらくして投入口に近い下向きのベント口から水分が排出し、次のベント口から水蒸気が噴出した。押出機先端のダイスに近いベント口からは、ほとんど水蒸気が出ていなかった。ダイスから押し出された画像記録剤用高濃度着色剤は冷却スチールベルトの上で冷却しながら運び、解砕機にて粗砕し粗粒にした。これをスライドガラスに乗せて加熱溶融させて顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は微細に分散していた。また、赤外線水分計による105℃加熱減量水分は0.4%であった。
【0071】
(2)画像記録剤の製造
次いで上記で得た青色顔料を含む画像記録剤用高濃度着色剤11部とアルミニウム錯塩系負電荷制御剤3部とを、上記で使用したポリエステル樹脂86部と常法に従って混練し、冷却後粗砕した後ジェットミルで微粉砕し、分級して3〜10μmの青色画像記録剤の微粉末を得た。これに流動化剤としてコロイダルシリカを添加し、キャリアの磁性鉄粉と混合し、シアン色電子写真式現像剤とした。これを用いてフルカラー電子写真複写機にて複写をしたところ、鮮明なシアン色画像が得られた。
【0072】
実施例B−2〜4
実施例B−1(1)で述べた方法に従って、実施例B−1(1)で使用した材料に代えて下記の表B−1に記した材料を使用して各々画像記録剤用高濃度着色剤を作った。キナクリドン顔料含水物およびモノアゾ系黄色顔料含水物は、水性プレスケーキから減圧下で水分を除去して水分を調整し、カーボンブラック顔料含水物は、カーボンブラック顔料を水中に湿潤させ、分散し、次いで濾過し減圧で水分を除去して調製した。なお、PR122、PY74、PBK7は、PB15:3と同様にそれぞれカラーインデックスの顔料の番号を示す。
【0073】
さらに実施例B−1(2)で述べた方法に従って、実施例B−1(2)で使用した画像記録剤用高濃度着色剤に代えて下記の表B−2に記した画像記録剤用高濃度着色剤および実施例B−1で使用したポリエステル樹脂を使用してそれぞれの色の電子写真用乾式現像剤(画像記録剤)を作った。
【0074】
実施例B−2、3および4の乾式現像剤を使用して負電荷二成分フルカラー現像剤用複写機にて各々複写し、表B−2に示す鮮明な色の画像が得られた。また、実施例B−1、2、3および4の4色の現像剤を使用して鮮明な色の画像が得られた。また、オーバーヘッドプロジェクター用透明ポリエステルフィルムに複写したところ、スクリーンに鮮明な映像を映す画像が得られた。
【0075】

【0076】

【0077】
実施例B−5
(1)画像記録剤用高濃度着色剤の製造
実施例B−1(1)で使用したポリエステル樹脂の微粉末70部と銅フタロシアニンブルー顔料(PB15:3)の水性プレスケーキ(顔料分30%、水分70%)100部とを、実施例B−1(1)と同様にしてヘンシルミキサーにて混合し、3個のベント口を有する二軸押出機(L/D=52)に投入し、混練した。投入口に近い下向きのベント口から水分が排出し、次のベント口から水蒸気が噴出し、ダイスに近いベント口からは、ほとんど水蒸気が出ていなかった。
【0078】
ダイスから押し出された画像記録剤用高濃度着色剤は、冷却スチールベルトの上で冷却しながら運び、解砕機にて粗砕し粗粒にした。これをスライドガラスに乗せて加熱溶融させて顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は微細に分散していた。また、赤外線水分計による105℃加熱減量水分は0.5%であった。
【0079】
(2)画像記録剤の製造
次いで上記で得た青色顔料を含む画像記録剤用高濃度着色剤11部とアルミニウム錯塩系負電荷制御剤3部とを、上記で使用したポリエステル樹脂86部と常法に従って混練り、冷却後粗砕した後ジェットミルで微粉砕し、分級して3〜10μmの青色画像記録剤の微粉末を得た。これに流動化剤としてコロイダルシリカを添加し、キャリアの磁性鉄粉と混合し、シアン色電子写真式現像剤とした。これを用いてフルカラー電子写真複写機にて複写をしたところ、鮮明なシアン色画像が得られた。
【0080】
実施例B−6
(1)画像記録剤用高濃度着色剤の製造
銅フタロシアニンブルー顔料(PB15:3)の水性スラリー(顔料分10%、水分90%)300部を撹拌槽に投入した。次いで、実施例B−1(1)で使用したポリエステル樹脂の微粉末70部を添加し、20分間撹拌混合した。混合物をフィルタープレス濾過機で濾過し、55℃に設定した箱型乾燥機で20時間加熱し水分16.7%含有する顔料・樹脂含水混合物を得た。実施例B−1(1)と同様にして、この含水混合物を二軸押出機に投入し、混練した。
【0081】
投入口に近い下向きのベント口から水分が排出し、次のベント口から水蒸気が噴出し、ダイスに近いベント口からは、ほとんど水蒸気が出ていなかった。ダイスから押し出された画像記録剤用高濃度着色剤は、冷却スチールベルトの上で冷却しながら運び、解砕機にて粗砕し粗粒にした。これをスライドガラスに乗せて加熱溶融させて顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は微細に分散していた。また、赤外線水分計による105℃加熱減量水分は0.4%であった。
【0082】
(2)画像記録剤の製造
次いで上記で得た青色顔料を含む画像記録剤用高濃度着色剤11部とアルミニウム錯塩系負電荷制御剤3部とを、上記で使用したポリエステル樹脂86部と常法に従って混練し、冷却後粗砕した後ジェットミルで微粉砕し、分級して3〜10μmの青色画像記録剤の微粉末を得た。これに流動化剤としてコロイダルシリカを添加し、キャリアの磁性鉄粉と混合し、シアン色電子写真式現像剤とした。これを用いてフルカラー電子写真複写機にて複写をしたところ、鮮明なシアン色画像が得られた。
【0083】
実施例B−7〜9
実施例B−6(1)で述べた方法に従って、実施例B−6(1)で使用した材料に代えて下記の表B−3に記した材料を使用して各々画像記録剤用高濃度着色剤を作った。さらに実施例B−6(2)で述べた方法に従って、実施例B−6(2)で使用した画像記録剤用高濃度着色剤に代えて下記の表B−4に記した画像記録剤用高濃度着色剤および実施例B−6で使用したポリエステル樹脂を使用してそれぞれの色の電子写真用乾式現像剤を作った。
【0084】
上記で得た実施例B−7、8および9の乾式現像剤を使用して負電荷二成分フルカラー現像剤用複写機にて各々複写し、表B−4に示す鮮明な色の画像が得られた。また、実施例B−6、7、8および9の4色の現像剤を使用して鮮明な色の画像が得られた。また、オーバーヘッドプロジェクター用透明ポリエステルフィルムに複写したところ、スクリーンに鮮明な映像を映す画像が得られた。
【0085】

【0086】

【0087】
実施例B−10
(1)画像記録剤用高濃度着色剤の製造
実施例B−1(1)で使用したポリエステル樹脂の微粉末70部と乾燥機で顔料分を87%に調整した銅フタロシアニンブルー顔料(PB15:3)水性プレスケーキ34.48部とを、実施例B−1(1)と同様にしてヘンシルミキサーにて混合し、3個のベント口を有する二軸押出機(L/D=52)に投入し、混練した。投入口に近い下向きのベント口から水分が排出し、次のベント口から水蒸気が噴出し、ダイスに近いベント口からは、ほとんど水蒸気が出ていなかった。
【0088】
ダイスから押し出された画像記録剤用高濃度着色剤は、冷却スチールベルトの上で冷却しながら運び、解砕機にて粗砕し粗粒にした。さらに130℃に設定した3本ロールに供給し混練した。これをスライドガラスに乗せて加熱溶融させて顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は全て微細に分散しており、粗大粒子は認められなかった。また、スライドガラス板上の膜はさらに透明性が向上していた。赤外線水分計による105℃加熱減量水分は0.4%であった。
【0089】
(2)画像記録剤の製造
次いで上記で得た青色顔料を含む画像記録剤用高濃度着色剤11部とアルミニウム錯塩系負電荷制御剤3部とを上記で使用したポリエステル樹脂86部と常法に従って混練りし、冷却後粗砕した後ジェットミルで微粉砕し、分級して3〜10μmの青色画像記録剤の微粉末を得た。これに流動化剤としてコロイダルシリカを添加し、キャリアの磁性鉄粉と混合し、シアン色電子写真式現像剤とした。これを用いてフルカラー電子写真複写機にて複写をしたところ、鮮明なシアン色画像が得られた。
【0090】
実施例B−11〜13
実施例B−10(1)で述べた方法に従って、実施例B−10(1)で使用した材料に代えて下記の表B−5に記した材料を使用して各々画像記録剤用高濃度着色剤を作った。さらに実施例B−10(2)で述べた方法に従って、実施例B−10(2)で使用した画像記録剤用高濃度着色剤に代えて下記の表B−6に記した画像記録剤用高濃度着色剤および実施例B−10で使用したポリエステル樹脂を使用してそれぞれの色の電子写真用乾式現像剤を作った。
【0091】
上記で得た実施例B−11、12および13の乾式現像剤を使用して負電荷二成分フルカラー現像剤用複写機にて各々複写し、表B−6に示す鮮明な色の画像が得られた。また、実施例B−10、11、12および13の4色の現像剤を使用して鮮明な色の画像が得られた。また、オーバーヘッドプロジェクター用透明ポリエステルフィルムに複写したところ、スクリーンに鮮明な映像を映す画像が得られた。
【0092】

【0093】

【0094】
実施例B−14
(1)画像記録剤用高濃度着色剤の製造
銅フタロシアニンブルー顔料(PB15:3)水性スラリー(顔料分10%)300部を撹拌槽に投入した。次に、実施例B−1(1)で使用したポリエステル樹脂の微粉末70部を添加し、20分間撹拌混合した。該混合物をフィルタープレス濾過機で濾過し、55℃に設定した箱型乾燥機で20時間加熱し水分16.7%含有する顔料・樹脂含水混合物を得た。この顔料・樹脂含水混合物を定量供給機にて3個のベント口を有する二軸押出機(L/D=52)に投入した。
【0095】
二軸押出機のヒーター温度は60〜140℃に徐々に高温度になるように傾斜して設定した。混合した材料を投入後しばらくして投入口に近い下向きのベント口から水分が排出し、次のベント口から盛んに水蒸気が噴出した。押出機先端のダイスに近いベント口からは、ほとんど水蒸気が出ていなかった。ダイスから押し出された画像記録剤用高濃度着色剤は、冷却スチールベルトの上で冷却しながら運び、解砕機にて粗砕し粗粒にした。さらに130℃に設定した3本ロールに供給し混練した。これをスライドガラスに乗せて加熱溶融させて顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は全て微細に分散しており、粗大粒子は認められなかった。また、スライドガラス板上の膜はさらに透明性が向上していた。赤外線水分計による105℃加熱減量水分は0.3%であった。
【0096】
(2)画像記録剤の製造
次いで上記で得た青色顔料を含む画像記録剤用高濃度着色剤11部とアルミニウム錯塩系負電荷制御剤3部とを上記で使用したポリエステル樹脂86部と常法に従って混練りし、冷却後粗砕した後ジェットミルで微粉砕し、分級して3〜20μmの青色画像記録剤の微粉末を得た。これに流動化剤としてコロイダルシリカを添加し、キャリアの磁性鉄粉と混合し、シアン色電子写真式現像剤とした。これを用いてフルカラー電子写真複写機にて複写をしたところ、鮮明なシアン色画像が得られた。
【0097】
実施例B−15〜17
実施例B−14(1)で述べた方法に従って、実施例B−14(1)で使用した材料に代えて下記の表B−7に記した材料を使用して各々画像記録剤用高濃度着色剤を作った。さらに実施例B−14(2)で述べた方法に従って、実施例B−14(2)で使用した画像記録剤用高濃度着色剤に代えて下記の表B−8に記した画像記録剤用高濃度着色剤および実施例B−14で使用したポリエステル樹脂を使用してそれぞれの色の電子写真用乾式現像剤を作った。
【0098】
上記で得た実施例B−15、16および17の乾式現像剤を使用して負電荷二成分フルカラー現像剤用複写機にて各々複写し、表B−8に示す鮮明な色の画像が得られた。また、実施例B−14、15、16および17の4色の現像剤を使用して鮮明な色の画像が得られた。また、オーバーヘッドプロジェクター用透明ポリエステルフィルムに複写したところ、スクリーンに鮮明な映像を映す画像が得られた。
【0099】

【0100】


【0101】
実施例B−18
縮合重合反応装置にビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物52.7部、テレフタル酸ジメチル33.3部、酢酸亜鉛0.02部仕込み、撹拌および加熱し、230℃〜240℃にて約6時間縮合反応を行い、さらに、減圧下にて2時間縮合反応を続け、反応を完結させた。反応後の重合液に実施例B−1で得られた青色画像記録剤用高濃度着色剤11部およびアルミニウム錯塩系負電荷制御剤3部を添加し、充分攪拌し、分散させた。反応装置から押出機に連結して取り出し、冷却スチールベルト上で冷却後、粗砕した後ジェットミルで微粉砕し、分級して3〜10μmの青色組成物の微粉末を得た。これに流動化剤としてコロイダルシリカを添加し、キャリアの磁性鉄粉と混合し、シアン色電子写真式現像剤とした。
【0102】
次いで、マゼンタ色、黄色、黒色の電子写真式現像剤を得るために、上記の青色画像記録剤用高濃度着色剤に代えて、実施例B−2〜4で得られたマゼンタ色、黄色、黒色の画像記録剤用高濃度着色剤をそれぞれポリエステル樹脂の重合後に添加し、上記と同様にして後加工を行い、それぞれマゼンタ色、黄色、黒色の電子写真式現像剤を得た。上記の各色の現像剤を使用してフルカラー電子写真複写機にて複写をしたところ、鮮明なフルカラー電子写真印刷物が得られた。
【0103】
実施例B−19
実施例B−14(1)で得られた青色画像記録剤用高濃度着色剤11部およびアルミニウム錯塩系負電荷制御剤3部およびスチレン38.8部、メチルメタクリレート30部、ブチルアクリレート17.2部、アゾビスイソブチロニトリル1部、ポリビニルアルコール1部を50℃にて15分間加熱撹拌した。
【0104】
次いで、3%ポリビニルアルコール水溶液700部を30分かけて滴下し充分撹拌し懸濁させた。70℃〜80℃にて6時間、80℃〜90℃にて1時間加熱、撹拌を続けて懸濁重合反応を完結させた。冷却後、濾過、洗浄、減圧乾燥し、分級して3〜20μmの青色組成物の微粉末を得た。これに流動化剤としてコロイダルシリカを添加し、キャリアの磁性鉄粉と混合し、シアン色電子写真式現像剤とした。
【0105】
次いで、マゼンタ色、黄色、黒色の電子写真式現像剤を得るために、上記の青色画像記録剤用高濃度着色剤に代えて、実施例B−15(1)、16(1)、17(1)で得られたマゼンタ色、黄色、黒色の画像記録剤用高濃度着色剤をそれぞれ単量体に添加し、上記と同様にして懸濁重合し、後加工を行い、それぞれマゼンタ色、黄色、黒色の電子写真式現像剤を得た。上記の各色の現像剤を使用してフルカラー電子写真複写機にて複写をしたところ、鮮明なフルカラー電子写真印刷物が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0106】
[汎用樹脂用着色剤]
以上の如き本発明によれば、混練機として押出機を使用し、顔料として、二次凝集していない顔料の水性プレスケーキ、水性スラリー、吸水湿潤させた顔料粉末を使用し、樹脂との顔料・樹脂含水混合物を作成し、該顔料・樹脂含水混合物をベント口を有する押出機中で混練することによって、顔料を水相から樹脂相に移行させ、また、分散助剤としての水およびベント口を活用して、水蒸気ガスの作用により凝集顔料粒子あるいは吸水湿潤状態の顔料粗粒子を崩壊、飛散させ、さらに混練機で混練を続けることによって、顔料の粗大粒子を含有しない、分散性に優れた樹脂用着色剤として有用な顔料・樹脂組成物が得られる。
【0107】
また、本発明においては、押出混練機による混練工程の連続性から、ニーダーやフラッシャーなどのバッチ式の混練機では困難であった需要量の増大にも柔軟に対応して生産でき、さらに仕込み、混練から後続する工程を含め全体に連続化することで、生産効率を上げ、加工時間を短縮し、省人化し、合理化を図り、効率的に提供される。本発明の樹脂用着色剤を用いることにより、鮮明性および透明性に優れた成型品が提供される。
【0108】
[画像記録剤用着色剤]
以上の如き本発明によれば、二次凝集していない顔料の水性プレスケーキ、水性スラリーから、顔料の乾燥、粉末化工程を経ることなく、また、有機溶剤を使用することなく、顔料を水相から樹脂相に移行させることによって、あるいは分散助剤としての水の作用により乾燥粉末顔料を水相から樹脂相に移行させることによって、さらに混練機で混練りすることによって、顔料の粗大粒子を含有しない、分散性の優れた画像記録剤用着色剤および画像記録剤が押出混練機を使用して連続工程で効率的に提供される。本発明の画像記録剤用着色剤を用いた画像記録剤による複写画像の色は鮮明性および透明性に優れており、紙ばかりでなくオーバーヘッドプロジェクター用のフィルムへの複写にも好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料と熱溶融性樹脂とを、両者の合計の3〜70質量%の水分の存在下に、少なくとも1個のベント口を有する押出混練機に連続的に投入し、上記樹脂の溶融温度以上の温度で混練し、分離した水分および残存した水分の水蒸気を上記ベント口から排出しつつ、上記樹脂の溶融温度以上の温度で混練して、顔料を溶融樹脂中に分散させることを特徴とする顔料・樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
押出混練機に投入する前に、水分を含む顔料と熱溶融性樹脂とを、その混合前、混合しつつ、または混合後に、加熱および/または減圧により水分を除去し、顔料と熱溶融性樹脂との混合物の水分を3〜70質量%とする請求項1に記載の顔料・樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
熱溶融性樹脂が、少なくとも1種のポリマーまたは少なくとも1種のポリマーアロイである請求項1に記載の顔料・樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
顔料が、有彩色、黒色、白色の有機または無機顔料または体質顔料である請求項1〜3の何れか1項に記載の顔料・樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
押出機が、少なくとも1個のベント口を持つ単軸、二軸あるいは多軸押出機である請求項1〜4の何れか1項に記載の顔料・樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
得られた顔料・樹脂組成物を、さらに混練機にて混練し、必要に応じてさらに連続造粒機あるいは連続シーティングマシーンによりペレット化あるいはシート化する請求項1〜5の何れか1項に記載の顔料・樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
混練機が、二本ロール、三本ロール、ニーダー、連続式オープンロールまたは押出機である請求項6に記載の顔料・樹脂組成物の製造方法。
【請求項8】
さらに分散剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤またはそれらの混合物を添加する請求項1〜7の何れか1項に記載の顔料・樹脂組成物の製造方法。
【請求項9】
顔料・樹脂組成物が、汎用樹脂用着色剤である請求項1〜8の何れか1項に記載の製造方法、および該方法で得られたことを特徴とする汎用樹脂用着色剤。
【請求項10】
顔料・樹脂組成物が、画像記録剤用着色剤である請求項1〜8の何れか1項に記載の製造方法、および該方法で得られたことを特徴とする画像記録剤用着色剤。
【請求項11】
顔料を高濃度に含有する固体状の着色剤である請求項9または10に記載の汎用樹脂用着色剤または画像記録剤用着色剤。
【請求項12】
請求項11に記載の高濃度画像記録剤用着色剤を、画像記録剤用樹脂、ポリマーおよび/またはモノマーに混練あるいは溶解して顔料を分散させ、微粒子化処理をすることを特徴とする画像記録剤の製造方法、および該方法で得られた微粒子化画像記録剤。
【請求項13】
微粒子化処理が、破砕造粒法、懸濁重合法、エマルジョン分散法あるいは噴霧造粒法である請求項12に記載の画像記録剤の製造方法。
【請求項14】
請求項9に記載の汎用樹脂用着色剤を用いることを特徴とする汎用樹脂の着色方法、および該着色方法で得られたことを特徴する着色物品。
【請求項15】
請求項10に記載の画像記録剤用着色剤を用いることを特徴とする画像記録方法、および該画像記録方法で得られたことを特徴する記録画像。

【公開番号】特開2010−138381(P2010−138381A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249323(P2009−249323)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000002820)大日精化工業株式会社 (387)
【Fターム(参考)】