説明

顔料分散剤、コーティング組成物の製造方法およびコーティング組成物

コーティング組成物は、ビニルまたはアクリルポリマー中に分散された少なくとも1種の材料を含有し、その際、ビニルまたはアクリルポリマーは、(a)イオン化可能な官能基または活性の水素官能基または分散された材料との共有結合を形成する官能基を有する、1種またはそれ以上のアンカー基モノマー単位(a)、その際、イオン化可能な官能基は、カルボニル炭素が最も近いエチレン性不飽和炭素と少なくとも4個の原子により分離されているカルボン酸基以外であり、かつ該アンカー基モノマー単位(a)は、ポリオキシアルキレン基を有するもの以外であり;(b)カルボニル炭素が最も近いエチレン性不飽和炭素と少なくとも4個の原子によって分離されているカルボン酸基、ポリオキシアルキレン基、γ−ヒドロキシカルバメートまたはβ−ヒドロキシカルバメート基およびこれらの組合せ物を有する、1種またはそれ以上の安定化剤モノマー単位(b)約5質量%〜約45質量%;および(c)約50質量%までの芳香族モノマー単位、を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、本開示において参考のために含む、US特許出願11/087,953(出願日March 23, 2005)の一部継続出願である。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、顔料および他の有機および無機材料のための分散液、コーティング組成物の製造方法ならびに分散液を含む他の組成物に関する。
【0003】
背景技術
仕上げ用コーティング剤、特に自動車工業における外装仕上げ用コーティング剤は、一般には、2またはそれ以上の別個の層の形で塗布される。プライマーコーティング組成物の層は、塗装されていない支持体上に最初に塗布し、引き続いて1またはそれ以上のトップコート層を塗布する。ベースコート−クリアコート複合コーティング剤は、特別な光沢、色の深み、画像の明瞭性または特別な金属効果のためのトップコートとして特に有用であることが記載されている。ベースコート層は着色剤を含有し、トップコートに色を提供する一方で、クリアコート層は滑らかな光沢のある仕上げを提供する。自動車産業は、自動車車体パネルのために、これらのコーティング剤を広範囲に使用している。
【0004】
自動車用ベースコート組成物中の着色剤は、典型的には1またはそれ以上の分散された顔料である。組成物中の顔料分散液は、少なくとも2つの課題を解決するものでなければならない。第1に、顔料は、コーティング層における色改善を最適化するために、可能な限り十分に湿潤していなければならない。第2に、顔料は、顔料粒子の堅固な沈澱および再凝集に対して安定化していなければならず、その結果、ベースコート組成物は顕著に長い寿命を有しうる。分散剤の多くの型は、溶剤系組成物のために支持されるべきである。水系組成物のための任意選択はより制限され、それというのも、分散剤それ自体は水分散性でなければならないためである。にもかかわらず、水系ベースコート組成物は、溶剤系ベースコート組成物と同様の良好な色改善性および安定性が要求される。溶剤系および水系組成物の双方において有用な顔料分散剤は簡単に製造および貯蔵され、それというのも、同様の分散剤は中間的に合成されてもよく、かつ溶剤系または水系組成物のための顔料分散液を製造するために使用されるためである。
【0005】
エナメル、この場合、これはプライマー、bc、淡彩cc、ワンパック(one-pack)エナメルを含むもの、他の材料および添加剤であって、それ自体が、水溶性または水分散性ではないものもまた、一般にはコーティング組成物中に混合される。
【0006】
発明の要旨
本発明は、顔料、樹脂、ポリマー、粉末塗料粒子および他の有機および無機の材料を、溶剤系または水系組成物、たとえば塗料組成物、インク組成物、ポリマー系、仕上げ剤組成物、シーラントまたは接着剤中に混合するため、あるいは、固体コポリマー系に混合するための分散剤を提供する。一つの実施態様において、本発明は、良好な色改善を、コーティング組成物、特にベースコート組成物に付与する顔料分散液を提供する。特定の実施態様において、分散剤は、他の非揮発性の材料、たとえば充填剤、ナノ粒子、コロイダルシリカ、樹脂またはポリマー、硬化剤、粉末塗料粒子および/または添加剤を、塗料組成物中に分散させるために使用する。特定の実施態様において、分散剤と一緒に形成された分散液は、1を上回る分散された材料を含む分散剤と一緒に形成される。
【0007】
本発明の分散液またはエマルション(この場合、これらは本明細書中において兌換性のあるものとして使用される)は、分散性ビニルまたはアクリルポリマーによって分散された少なくとも1種の材料を含有し、その際、分散性ビニルまたはアクリルポリマーは:
(a)1種またはそれ以上のアンカー基モノマー単位(a)、この場合、これは、イオン化可能な官能基または活性の水素官能基であるか、あるいは、分散される材料と共有結合を形成する官能基を有し、その際、該イオン化可能な官能性は、カルボニル炭素が最も近いエチレン性不飽和炭素から少なくとも4個の原子によって分離されているカルボン酸基以外であり、かつ、該アンカー基モノマー単位(a)は、ポリオキシアルキレン基を有するもの以外であり;
(b)約5質量%〜約45質量%の1種またはそれ以上の安定化剤モノマー単位(b)、この場合、これは、カルボニル炭素が最も近いエチレン系不飽和炭素から少なくとも4個の原子によって分離されているカルボン酸基、ポリオキシアルキレン基、γ−ヒドロキシカルバメート基またはβ−ヒドロキシカルバメート基およびこれらの組合せ物を有し、
(c)約50質量%までの芳香族モノマー単位、を含有する。分散される材料は、有機、無機およびこれらの組合せ物である。
【0008】
本発明の水系組成物は、少なくとも1種の不溶性成分、たとえばポリマー、樹脂、硬化剤、顔料、充填剤、ナノ粒子または本発明の分散性ビニルまたはアクリルポリマーによって分散された添加剤を有する、水性分散液を含む。
【0009】
本発明は、光学特性領域における改善、たとえばコーティング組成物、特にベースコート組成物における良好な色改善、あるいは、改善された分散効率、たとえば減少した粉砕時間または増加した顔料負荷量、あるいは、安定性における改善を付与する顔料分散液を提供する。本発明の顔料含有コーティング組成物は、本発明の分散性ビニルまたはアクリルポリマー中で分散される少なくとも1種の顔料を含有する。組成物は、溶剤系、水系または固体材料、たとえば粉末塗料であってもよい。特別な実施態様において、本発明の顔料含有コーティング組成物は、ビニルまたはアクリルポリマー中に分散された少なくとも1種の顔料を含有し、その際、ビニルまたはアクリルポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの混合物から重合され、この場合、このモノマーは:(a)活性の水素官能基を有する1種またはそれ以上のモノマー;(b)少なくとも約5質量%の1種またはそれ以上のモノマー、この場合、これは、カルボニル炭素が最も近いエチレン性不飽和炭素から少なくとも4個の原子によって分離されているカルボン酸基を有するモノマー、ω−メチルオキシポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ω−メチルオキシ−ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)(メタ)アクリレートおよびこれらの組合せ物から選択され;(c)場合により、ヒドロキシエチレンエチル尿素(メタ)アクリレート;および(d)約50質量%までの、芳香族の重合可能なモノマーから成る群から選択された1種またはそれ以上のモノマーを含有し、その際、組み合わされたモノマー(b)および(c)は、エチレン性不飽和モノマーの混合物の約5〜45質量%である。この組成物は、溶剤系または水系であってもよい。
【0010】
本発明の水系ベースコート組成物は、本発明の分散性ビニルまたはアクリルポリマーによって分散される少なくとも1種の顔料を有する、水性分散液を含有する。特定の実施態様において、本発明の水系ベースコート組成物は、ビニルまたはアクリルポリマーによって分散される少なくとも1種の顔料を有する水性分散液を含有し、その際、ビニルまたはアクリルポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの混合物から重合され;この場合、このモノマーは:(a)活性の水素官能基を有する1種またはそれ以上のモノマー;(b)少なくとも約5質量%の1種またはそれ以上のモノマー、この場合、これは、カルボニル炭素が最も近いエチレン性不飽和炭素から少なくとも4個の原子によって分離されているカルボン酸基を有するモノマー、ω−メチルオキシポリオキシエチレン(メタ)アクリレートおよびこれらの組合せ物から成る群から選択され;(c)場合により、ヒドロキシエチレンエチル尿素(メタ)アクリレート;および(d)約50質量%までの、芳香族の重合可能なモノマーから成る群から選択された1種またはそれ以上のモノマーを含有し、その際、組み合わされたモノマー(b)および(c)は、エチレン性不飽和モノマーの混合物の約5〜約45質量%である。好ましくは、さらに水系ベースコート組成物は、顔料を分散する膜形成ポリマーを分散性のビニルまたはアクリルポリマーに加えて含有し、かつ好ましくは、本発明による分散性のビニルまたはアクリルポリマーによって分散されてもよい架橋剤を含有する。
【0011】
本発明の組成物は、良好な安定性を有する。本発明の顔料を含有するコーティング組成物は、良好な色改善性、耐湿性および付着性を示す。
【0012】
方法において、本発明の分散性ビニルまたはアクリルポリマーと一緒に混合された材料は、溶剤系組成物または水系組成物中で分散される。方法は:材料および分散性ビニルまたはアクリルポリマーの混合物を製造し;かつこの混合物を:水性組成物、この場合、これは、必要に応じて任意のイオン化可能な基をイオン化しているもの、あるいは、溶剤系組成物のいずれか1つ中に分散することを含む。
【0013】
本明細書中で使用されているように、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレート化合物の双方に関する。「アクリル」または「アクリルポリマー」は、ビニルコポリマーに関し、この場合、これは、少なくとも1種の重合された(メタ)アクリレートモノマーを包含する。本明細書中で使用される用語"A"および"an"は、対象物の「少なくとも1つ」が存在することを示し;場合によっては、このような対象物の複数個が存在していてもよい。数値に関して適用される「約」は、数値においていくつかのわずかな不正確さを示す(この場合、値の正確度に或る程度近い;値への近似的または適度な接近;ほぼ)。幾つかの理由のために、「約」によって提供される不正確さがともすればこの通常の意味で、当該技術分野において理解されない場合には、本明細書中で使用される「約」は5%までの値の可能な変動を示す。
【0014】
好ましい実施態様の詳細な説明
好ましい実施態様の次の記載は、性質の点で例示的なものにすぎず、本発明、その適用または使用を制限するものではない。材料は、水系または有機液体を含有する組成物中で、本発明のビニルまたはアクリルポリマー分散剤を使用して分散するかまたは乳化する。「分散された」「分散液」は、いいかえれば、本願では「乳化された」「エマルション」を包含し、さらに用語「乳化する」に相当する。簡略化のために、分散性のビニルポリマーは、以下アクリルポリマーと呼称されうるが、しかしながら、特定の実施態様において、分散性ビニルポリマーは、任意の(メタ)アクリレートモノマー単位を含むものではないことを理解すべきである。
【0015】
分散性のアクリルポリマーは、組成物中、たとえば塗料組成物、インク組成物、ポリマー系、固体ポリマー系、仕上げ用組成物、シーラントまたは接着剤中に材料を分散する。材料は、固体、たとえば顔料または充填剤であるか、あるいは、液体、たとえば樹脂またはポリマーであり、この場合、これは、そのガラス転移温度を下回る。分散される材料は有機または無機であってもよい。分散されてもよいこのような材料の制限のない例は、顔料、充填剤、ナノ粒子、ポリマーおよび樹脂、粉末塗料粒子、硬化剤、コロイダルシリカ、紫外光吸収剤、この場合、これは、ヒンダードアミン光吸収剤を含み、抗酸化剤、触媒等を含む。
【0016】
分散されてもよい顔料および充填剤の制限のない例は、任意の有機または無機化合物または着色された材料を含む。使用されてもよい有機顔料の適した群の例は、これに制限されることはないが、金属化または非金属化アゾ顔料、アゾメチン顔料、メチン顔料、アントラキノン顔料、フタロシアニン顔料、ペリノン顔料、ペリーレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインディゴ顔料、イミノイソインドリン顔料、イミノイソインドリノン顔料、キナクリドン顔料、たとえばキナクリドンレッドおよびバイオレット、フラバントロン顔料、インダントロン顔料、アントラピリミジン顔料、カルバゾール顔料、モノアリリドおよびジアリリドイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、トリル顔料、モノアリリドおよびジアリリドイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、トリルオレンジ、ナフトールオレンジ、およびキノフタロン顔料である。適した無機顔料の例は、制限されることはないが、酸化金属顔料、たとえば二酸化チタン、酸化鉄、この場合、これは赤色酸化鉄、黒色酸化鉄および褐色酸化鉄、酸化クロムグリーン;カーボンブラック;ビスマスバナデート;フェロシアン化第二鉄(プルシアンブルー);ウルトラマリン;クロム酸鉛等を含む。適した充填剤の例は、制限されることはないが、バライト、タルクおよび炭酸カルシウムを含む。
【0017】
分散されてもよいナノ粒子の制限のない例は、コロイダルシリカ、ベントナイト粘土、カーボンナノチューブ、無機酸化物および透明顔料を含む。
【0018】
分散されていてもよいポリマー、樹脂および硬化剤の制限のない例はポリエステル、ポリウレタン、他のアクリルポリマー、ポリカーボネート、ポリエーテル、モノマー、オリゴマーおよびポリマーのアミノプラストおよびポリイソシアネート、およびこれらの組合せ物を含む。一般に、熱硬化性材料(たとえば、硬化可能な塗料組成物)は、複数個の架橋可能な基を含んでいてもよい。
【0019】
多くの添加剤、たとえばUV吸収剤、この場合、これはヒンダードアミン光吸収剤を含み、抗酸化剤、触媒等は、分散性のアクリルポリマーを用いて分散することができる。特に有利であるのは、組成物中で不溶性であるか、あるいは、わずかに溶解性の添加剤を、このようにして分散することである。
【0020】
粉末塗料粒子は、分散性のアクリルポリマーを用いて分散されてもよい。粉末塗料粒子は、たとえば、溶融混合によって、通常室温で固体の膜形成成分を溶融混合することにより製造されてもよく、この場合、これは好ましい添加剤、顔料および他の塗料材料を添加してもよい。粉末塗料は、たとえば押出機中で溶融混合し、その後に押出物を冷却して固体化し、その後に微粉砕または粉砕して、好ましい粒度分布にする。粉末塗料の例は、US特許 6,710,103 (Norris ら.)、6,669,984 (Anchor ら)、6,599,993 (Norris ら)、5,552,487 (Clark ら)、5,536,785 (Foukes ら)および5,508,349 (Clark ら)に記載されており、この場合、これらは参考のために記載されている。粉末塗料粒子は、水性媒体中で、分散性アクリルポリマーと一緒に分散してもよく、粉末スラリーを、たとえば1次平均粒径の粉末塗料粒子、分散性アクリルポリマーおよび水性媒体と一緒に混合し、その後に、混合物を微粉砕または粉砕して、粉末塗料粒子の平均粒径を減少させてより小さい2次粒径にし、同時に、水性媒体中の粉末塗料粒子の分散液を生じさせ、分散性のアクリルポリマーによって、分散液を安定化させる。粉末塗料スラリーおよびその成形方法は、US特許6,812,316 (Ohrbom ら)、6,391,969 (Harrisら)および6,360,974 (Sacharski ら)中に記載されており、この場合、これはさらに詳細には、粉末スラリー組成物および製造方法を含む。
【0021】
一つの実施態様において、コーティング組成物は、分散性アクリルポリマー中に分散された少なくとも1種の顔料を含む。
【0022】
分散性のアクリルポリマーは、分散された材料と結合するアンカー基を有する1種またはそれ以上のモノマー単位(a)、分散媒体中で分散された材料を安定化させる安定化剤基を有する1種またはそれ以上のモノマー単位(b)および場合によっては芳香族モノマー単位を含有する。
【0023】
モノマー単位(a)のアンカー基を提供するために使用されてもよい適したエチレン性不飽和モノマーの例は、これに制限されることはないが、酸性モノマー、アクリルモノマー、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸およびそのモノエステル、フマル酸およびそのモノエステル、イタコン酸およびそのモノマー、ビニル安息香酸(すべての異性体)、α−メチルビニル安息香酸(すべての異性体)、p−ビニルベンゼンスルホン酸またはビニルベンゼンホスホン酸またはその部分エステルまたはモノ(メタ)アクリロイルオキシエチマレエート、スクシネートまたはフタレート;アミノモノマー、たとえばt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノ−α−メチルスチレン(すべての異性体)、N,N−ジエチルアミノスチレン(すべての異性体)、アリルアミン、クロチルアミン、グリシジル(メタ)アクリレートまたは他のグリシジル含有エチレン性不飽和モノマー、この場合、このグリシジル含有エチレン性不飽和モノマーは、グリシジル基が、モノアミン、たとえば(これに制限されることはないが)シクロヘキシルアミンと重合前、重合中または重合後に反応するもの、アミノ酸、ヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー、たとえばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、およびε−カプロラクトンのエステルおよびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、たとえば通常入手可能なTone 1OOMモノマー(Dow Chemical)、アクリルアミド、メタクリルアミド、カルバメートアルキル(メタ)アクリレート、カルバミルオキシアルキル(メタ)アクリレート、たとえば2−カルバミルオキシエチルメタクリレートおよび4−カルバミルコキシブチルアクリレート、アルコキシシラン官能性またはシラノール官能性モノマー、たとえばトリエトキシシラン、エチレン性不飽和モノマー、この場合、これは尿素またはヒドラジド基を有するもの、たとえばヒドロキシエチレンエチル尿素(メタ)アクリレートおよびこれらモノマーの適した組合せ物(たとえばゲル化を招くことのない組合せ物)を含む。ヒドロキシル官能基およびカルバメート官能基を有することが好ましい。アクリルポリマーは、好ましくは、約400〜約2000、より好ましくは約400〜約1000の活性の水素基当量を有する。
【0024】
安定化剤基を有するモノマー単位(b)を提供するために使用されてもよい付加重合可能なモノマーの制限のない例は、カルボニル炭素が最も近いエチレン性不飽和炭素と少なくとも4個の原子によって分離されているカルボン酸基を有するものであって、この場合、これは、(メタ)アクリル酸のオリゴマー、特にβ−カルボキシエチルアクリレートを含み、かつ、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート)と環式カルボン酸無水物(例えば、コハク酸無水物、イソフタル酸無水物)との反応生成物、たとえばモノメタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート;エーテル鎖を有するもの、たとえばω−メチルオキシ−ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ω−メチルオキシ−ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)(メタ)アクリレート、ω−メチルオキシ−ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ω−メチルオキシ−ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)(メタ)アクリレート、ω−アミノポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ω−アミノ−ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)(メタ)アクリレート;ω−メチルオキシ−ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ω−メチルオキシ−ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)(メタ)アクリレート、ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(メタ)アクリレートおよびω−ヒドロキシ−ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)(メタ)アクリレートと環式無水物との酸官能性反応生成物、β−およびγ−カルバミルオキシヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、たとえば2−カルバミルオキシ−3−ヒドロキシプロピルメタクリレートおよび3−カルバミルオキシ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートである。
【0025】
モノマー単位(b)を提供するエチレン性不飽和モノマーの好ましい例は、β−カルボキシエチルアクリレートである。モノメタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート、ω−メチルオキシ−ポリオキシエチレン(メタ)アクリレートおよびω−メチルオキシ−ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)(メタ)アクリレート、この場合、これは、少なくとも約750、より好ましくは少なくとも約1000であり、かつ、約4500まで、より好ましくは約3000まで、およびさらに好ましくは約2500までの分子量を有する。
【0026】
分散性のアクリルポリマーを製造するために使用されるエチレン性不飽和モノマーの混合物は、好ましくは、カルボニル炭素が最も近いエチレン性不飽和炭素から少なくとも4個の原子により分離されているカルボン酸基を有する1種またはそれ以上のモノマーを、該アクリルポリマーが、1当量あたり800gまたはそれ以上の酸当量またはそれ以上の、好ましくは約2000gまたはそれ以下であって、かつ約1000gまたはそれ以上の当量を有する程度の十分な量で含む。分散性アクリルポリマーを製造するために使用されるエチレン性不飽和モノマーの混合物は、好ましくは、約20質量%までの1種またはそれ以上のω−メチルオキシ−ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、より好ましくは約15質量%までの1種またはそれ以上のω−メチルオキシ−ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、さらに好ましくは少なくとも約5質量%の1種またはそれ以上のω−メチルオキシ−ポリオキシエチレン(メタ)アクリレートを含む。水性分散液を形成する場合には、安定化剤モノマー単位の十分な量を、分散性アクリルポリマー中に導入し、それによってポリマーが水溶性または水分散性になる。他方では、このような基を、ポリマーを水溶性または水分散性にするのに十分な量を超える過剰量で混合しないことが有利であり、これにより、本発明の組成物で製造されたコーティング、接着フィルム、インク、シールおよび他の製品の耐水性が減少するのを回避する。一般に、安定剤モノマー単位は、100gの分散性アクリルポリマー当たり9〜200meqの量で含まれてもよく、特定の実施態様においては100gの分散性アクリルポリマー当たり20〜150meqおよび特定の実施態様においては100gの分散性アクリルポリマー当たり30〜100meq/100gの量で含まれてもよい。
【0027】
芳香族モノマーを提供するために使用することができる付加重合可能なモノマーの制限のない例は、ビニル芳香族炭化水素、たとえばスチレン、ビニルトルエン、ジフェニルエチレンおよびα−アルキルスチレン、たとえばα−メチルスチレンを含む。
【0028】
分散剤アクリルポリマーは、少なくとも約5質量%、好ましくは約5質量%〜約45質量%の、1種またはそれ以上の安定化剤モノマー単位(b)を含む。
【0029】
特定の実施態様において、アクリルポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの混合物から重合され、この場合、この混合物は:(a)活性の水素官能基を有する1種またはそれ以上のモノマー;(b)少なくとも約5質量%の1種またはそれ以上のモノマー、この場合、これは、カルボニル炭素が最も近いエチレン性不飽和炭素と少なくとも4個の原子により分離されているカルボン酸基を有するモノマー、ω−メチルオキシ−ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ω−メチルオキシ−ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)(メタ)アクリレートおよびこれらの組合せ物;場合によりヒドロキシエチレンエチル尿素(メタ)アクリレートと前記(b)との組合せ、から選択され;および(c)約50質量%までの1種またはそれ以上のモノマー、この場合、これは、芳香族の重合可能なモノマーから成る群から選択される、を含有し、その際、カルボニル炭素が最も近いエチレン性不飽和炭素から少なくとも4個の原子により分離されているカルボン酸基、ポリエーテル基およびこれらの組合せ物を有するモノマー(b)および場合によって組み合わされるヒドロキシエチレンエチル尿素(メタ)アクリレートは、エチレン性不飽和モノマーの混合物の約5質量%〜約45質量%である。非伸長性の(Nonextended)酸は、4個より少ない原子をビニル基とカルボン酸基との間に有する重合可能なビニル酸を意味しており、カルボン酸基を有するモノマー(b)との組合せの形で使用してもよいが、但し、このカルボン酸基を有するモノマー(b)は、コポリマーを製造するために使用されるモノマー混合物の少なくとも5質量%である。全酸官能性モノマーの50質量%までは、非伸長性の酸であってもよく、好ましくは25質量%未満、最も好ましくは10質量%未満である。場合により、分散性アクリルポリマーを製造するために使用されるエチレン性不飽和モノマーの混合物は、ヒドロキシエチレンエチル尿素メタクリレートおよび/またはヒドロキシエチレンエチル尿素アクリレートを含む。分散性アクリルポリマーを製造するために使用されるエチレン性不飽和モノマーの混合物は、好ましくは約10質量%まで、より好ましくは約7質量%までのヒドロキシエチレンエチル尿素(メタ)アクリレートを含み、かつ好ましくは少なくとも約1質量%、より好ましくは少なくとも約2質量%およびさらに好ましくは少なくとも約3質量%のヒドロキシエチレンエチル尿素(メタ)アクリレートを含む。
【0030】
カルボニル炭素が、最も近いエチレン性不飽和炭素酸から少なくとも4個の原子によって分離されているカルボン酸基を有する付加重合可能なモノマー、ポリオキシアルキレン基を有する付加重合可能なモノマー、γ−ヒドロキシカルバメート基またはβ−ヒドロキシカルバメート基を有するモノマーおよびこれらの組合せ物から選択された安定化剤モノマー(b)と一緒に、かつモノマーヒドロキシエチレンエチル尿素(メタ)アクリレートは、アクリルポリマーを形成するためのエチレン性不飽和モノマーの混合物の少なくとも5質量%、より好ましくは少なくとも約15質量%で含まれる。安定化剤モノマー(b)、カルボニル炭素が最も近いエチレン性不飽和カルボン酸から少なくとも4個の原子によって分離されているカルボン酸を有する付加重合可能なモノマー、ポリオキシアルキレン基を有する付加重合可能なモノマー、γ−ヒドロキシカルバメート基またはβ−ヒドロキシカルバメート基を有する付加重合可能なモノマーおよびこれらの組合せ物と一緒に、かつモノマーヒドロキシエチレンエチル尿素(メタ)アクリレートが、アクリルポリマーを形成するために重合されたエチレン性不飽和モノマーの混合物の約45質量%まで、より好ましくは約35質量%までを含有することは有利である。
【0031】
アクリルポリマーを形成するために重合されるエチレン性不飽和モノマーの混合物は、好ましくは、1種またはそれ以上の芳香族重合可能なモノマーを含有する。芳香族の重合可能なモノマーの適した例は、これに制限されることはないが、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、tert−ブチルスチレンおよびこれらの組合せ物を含む。分散性アクリルポリマーを製造するために使用されるエチレン性不飽和モノマーの混合物は、少なくとも5質量%、より好ましくは少なくとも15質量%の、1種またはそれ以上の、芳香族の重合可能なモノマーを含有する。分散性アクリルポリマーを製造するために使用されるエチレン性不飽和モノマーの混合物は、約50質量%まで、好ましくは約30質量%まで、およびより好ましくは約25質量%までの、1種またはそれ以上の、芳香族の重合可能なモノマーを含む。
【0032】
エチレン性不飽和モノマーの混合物は、他の重合可能なモノマー、たとえばこれに制限されることはないが、3〜5個の炭素原子を有するα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸のエステル、たとえばアクリル酸、メタクリル酸およびクロトン酸;4〜6個の炭素原子を有するα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノおよびジエステル;ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトンおよびヘテロ環式脂肪族ビニル化合物を含むものであってもよい。アクリル酸、メタクリル酸およびクロトン酸の適したエステルの典型的な例は、これに制限されることはないが、1〜20個の炭素原子を含有する飽和脂肪族アルコールとの反応に由来するこれらのエステル、たとえばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル、シクロヘキシル、アルキル置換されたシクロヘキシル、アルカノール置換されたシクロヘキシル、例えば2−tert−ブチルおよび4−tert−ブチルシクロヘキシル、4−シクロヘキシル−ブチルおよび3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキシル;イソボルニル、ラウリルおよびステアリルアクリレート、メタクリレートおよびクロトネートである。他のエチレン性不飽和重合可能なモノマーの典型的な例は、これに制限されることはないが、たとえばフマル酸、マレイン酸およびイタコン酸モノエステルの化合物、およびアルコール、たとえばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、およびtert−ブタノールとのジエステルである。共重合可能なビニルモノマーの典型的な例は、これに制限されることはないが、たとえばビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルエステル、たとえばビニルエチルエーテル、ビニルおよびビニリデンハロゲン化物、ビニルエチルケトンおよび2−ビニルピロリドンを含む。
【0033】
アクリルポリマーは通常の方法によって、たとえば塊状重合または溶液重合によって製造される。いくつかの適用において、アクリルポリマーが、約8000〜約70000の質量平均分子量を有することは好ましい。質量平均分子量は、ポリスチレン標準を用いて、ゲル透過型クロマトグラフィーにより測定することができる。ガラス転移温度は、極めて広範囲に、組成物の適用に依存する。理論的なガラス転移温度は、公知のFox等式によって算定されてもよく、かつ実際のガラス転移温度は、標準的な熱技術、たとえば示差走査熱分析によって測定されてもよい。一般に、理論的ガラス転移温度は−30〜+180℃であるが、その一方でいくつかの適用においてより狭い範囲、たとえば0〜120℃で、より良好な特性を提供することができる。
【0034】
重合後に、任意の酸官能基が、好ましくはアルカリまたは塩基を用いて、好ましくはアミンで塩形成(salted)され、より好ましくは第3級アミンを使用する。適した塩形成材料の例は、これに制限されることはないが、アンモニア、アンモニウム塩、たとえば炭酸アンモニウムまたは炭酸水素アンモニウム、モノエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、エチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、2−アミノー2−メチルプロパノール、ジエチルアニリン、トリフェニルアミンおよびモルホリンを含む。好ましい塩形成材料は、2−アミノ−2−メチルプロパノールおよびジメチルエタノールアミンを含む。任意のアミノ官能基は、酸で塩形成されてもよく、この制限のない例は、硫酸、塩酸、リン酸、蟻酸、酢酸、乳酸、ジメチロールプロピオン酸またはクエン酸であってもよい。
【0035】
アクリルポリマーは、溶液として有機溶剤媒体中に製造されてもよい。水性のコーティング組成物に対して、有機溶剤または溶剤は、好ましくは水溶解性または水混和性の有機溶剤から選択され、かつ重合後にアクリルポリマーを水中に分散させる。水中に分散させた後に、有機溶剤は、水性分散液またはエマルションから蒸留することができる。
【0036】
さらにアクリルポリマーは、乳化重合により製造することができる。好ましくは、ノニオンまたはアニオン表面活性剤を、乳化重合のために使用する。適した表面活性剤は、これに制限されることはないが、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸のアミノおよびアルカリ塩、たとえばドデシルベンゼンスルホン酸のジメチルエタノールアミン塩およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびナトリウムジオクチルスルホスクシネートである。
【0037】
重合はフリーラジカル重合によって実施されてもよい。フリーラジカル源は、典型的にはレドックス開始剤または有機酸化物またはアゾ化合物によって提供される。通常の開始剤は、これに制限されることはないが、アンモニウムペルオキシジスルフェート、カリウムペルオキシジスルフェート、ナトリウムメタビスルフィット、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、2,2’−アゾビス(イソブチルニトリル)およびレドックス開始剤、たとえばアンモニウムペルオキシジスルフェートおよびナトリウムメタビスルフィドと硫酸第一鉄アンモニウムを含む。場合によっては、連鎖移動剤を使用することができる。典型的な連鎖移動剤はメルカプタン、たとえばオクチルメルカプタン、n−またはtert−ドデシルメルカプタン、チオサリチル酸、メルカプト酢酸およびメルカプトエタノール;ハロゲン化化合物;およびダイマーα−メチルスチレンを含む。重合は、さらにアニオン重合、カチオン重合、制御されたラジカル重合および他の付加重合技術によって実施することができる。
【0038】
顔料を含有するコーティング剤の実施態様において、着色顔料または顔料を、公知方法によりアクリルポリマー中に分散する。一般に、乾燥顔料およびアクリルポリマーは、破壊のために十分に高い剪断力下で、顔料凝集物と接触させて1次顔料粒子にし、かつ顔料粒子表面を湿潤させる。凝集物の破壊および1次顔料粒子の湿潤は、顔料安定性および色改善に対して重要である。すべての顔料は、アクリルポリマー中に一緒に分散されてもよいか、あるいは、別個の顔料分散液を1種またはそれ以上の顔料に対して製造してもよく、その後にコーティング組成物中で組合せてもよい。
【0039】
コーティング組成物は、さらに充填剤および/または金属または他の無機のフレーク材料、たとえば真珠箔マイカフレーク顔料または金属フレーク顔料、たとえばアルミニウムフレークを含有していてもよい。金属ベースコートカラーは、1種またはそれ以上の特別なフレーク顔料を用いて製造される。金属カラーは、一般には角度依存的効果(gonioapparent effect)を有するカラーとして定義されている。たとえば、the American Society of Testing Methods (ASTM)の文献によれば、F284は「金属フレークを含有する角度依存的材料の外観を保持するもの」として定義されている。金属ベースコートカラーは、金属フレーク顔料、たとえばアルミニウムフレーク顔料、銅フレーク顔料、亜鉛フレーク顔料、ステンレス鋼フレーク顔料および青銅フレーク顔料を使用して、および/または真珠箔フレーク顔料、この場合、これは、処理されたマイカ様の二酸化物被覆マイカ顔料および酸化鉄被覆マイカ顔料を含む、を使用して製造してもよく、異なる角度で見た場合に、異なる外観の被覆を生じさせる。固体のカラー顔料とは異なって、フレーク顔料は、凝集することなく、かつ高い剪断下で粉砕されることはなく、それというのも、高い剪断力はフレークまたはその結晶形態を破壊または結合し、角度依存的効果を減少または破壊するためである。フレーク顔料は、アクリルポリマーを用いて分散されてもよいが、しかしながら、さらに架橋剤または他の膜形成樹脂またはポリマーを用いて、低い剪断力下での撹拌によって分散されてもよい。
【0040】
コーティング組成物がベースコート組成物である場合には、典型的に、顔料と結合剤との比が、約0.04:約1.5であり、この場合、これは、使用される顔料に依存する。
【0041】
本発明のコーティング組成物は、好ましくは、膜形成ポリマーまたは樹脂を、分散性アクリルポリマー以外に含む。このような膜形成ポリマーおよび樹脂の適した例は、これに制限されることなく、アクリルポリマー、ポリエステル、ポリウレタンおよび改質化ポリウレタン、たとえばグラフトコポリマーを含む。膜形成ポリマーおよび樹脂は、一般には反応性基、たとえば活性の水素基、特にヒドロキシル基を有する。特定の実施態様において、膜形成材料は、反応性基を有する樹脂またはポリマーおよびこれらの反応性基と反応する架橋剤を含有し、熱硬化性または架橋性フィルムを形成する。膜形成材料は、さらに化学線で硬化可能な材料を含む。
【0042】
本発明のコーティング組成物は、好ましくは架橋剤成分を含み、この場合、これは、分散性アクリルポリマーによって分散されていてもよい。架橋剤成分は、活性の水素官能基と反応性の1種またはそれ以上の架橋剤を含む。活性の水素官能基と反応性の架橋剤の例は、これに制限されることはないが、活性化アミン、エポキシド基、シラノール基、シラノール基、シリルエステル、アミド、活性のメチロールまたはメチルアルコキシ基を有する材料であり、この場合、これらは、アミノプラスト樹脂またはフェノール/ホルムアルデヒド付加物を含み;ブロックドポリイソシアネート硬化剤;トリス(アルコキシカルボノルアミノ)トリアジン(この場合、これらは、TACTの名称下でCytec Industriesから入手可能である);およびこれらの組合せ物を含む。適したアミノプラスト樹脂は、活性化アミン/アルデヒド縮合物であり、好ましくは少なくとも部分的にエーテル化され、かつ最も好ましくは十分にエーテル化されたものである。アルデヒドとの縮合のための有用な活性化アミンは、これに制限されることはないが、芳香族アミン、尿素およびカルバメート、メラミン、カルバメートおよび尿素を含み、この場合、これは好ましくはアミンであるが、しかしながら他のトリアジン、トリアゾール、ジアジン、グアニジンまたはグアナミンは、さらにアルキル化アミン/アルデヒドアミノプラスト樹脂架橋剤を製造するために使用することができる。アミノプラスト樹脂は、好ましくはアミン/ホルムアルデヒド縮合物であるが、しかしながら他のアルデヒド、たとえばアセトアルデヒド、クロトンアルデヒドおよびベンズアルデヒドを使用することができる。好ましいアミノプラスト樹脂の制限のない例は、モノマーまたはポリマーのメラミンホルムアルデヒド樹脂を含み、この場合、これらは、1個〜6個、好ましくは1個〜4個の炭素原子を有するアルコールを用いて部分的または完全にアルキル化されたメラミン樹脂を含み、たとえばヘキサメトキシメチル化メラミン;メチロール尿素およびシロキシ尿素を含む、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、たとえば、ブチル化尿素ホルムアルデヒド樹脂、アルキル化ベンゾグアニミン、グアニル尿素、グアニジン、ビグアニジン、ポリグアニジン等を含む。モノマーのメラミンホルムアルデヒド樹脂が特に好ましい。好ましいアルキル化メラミンホルムアルデヒド樹脂は、水混和性または水溶性である。ブロックドポリイソシアネートの例は、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートを含み、この場合、これらは、ブロッキング剤、たとえばアルコール、オキシムまたは第2級アミン、たとえばピラゾールまたは置換ピラゾールでブロッキングされたものである。
【0043】
架橋剤成分は、好ましくは、膜形成材料の組み合わされた不揮発性質量の約2質量%〜約40質量%、より好ましくは約15質量%〜約35質量%および特に好ましくは約20質量%〜約30質量%である。
【0044】
コーティング組成物は、1種またはそれ以上の触媒を含んでいてもよい。触媒の型は、使用される特定の架橋剤成分組成物に依存する。有用な触媒は、これに制限されることはないが、ブロック化酸触媒、たとえばp−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、およびジノニルナフタレンジスルホン酸であり、この場合、これはアミンでブロックされているものであり;フェニル酸ホスフェート、モノブチルマレエート、およびブチルホスフェート、ヒドロキシホスフェートエステル;ルイス酸、亜鉛塩および錫塩であり、この場合、これは、ジブチル錫ジラウレートおよびジブチル錫オキシドを含む。
【0045】
組成物は、溶剤系または水系であってもよい。溶剤系組成物のための適した溶剤は、これに制限されることはないが、エステル、アルコールおよび置換芳香族溶剤を含む。水系組成物は、水に加えて有機性の共溶剤、たとえば、これに制限されることはないが、プロピレンおよびエチレングリコールのアルキルエステルおよびこれらのダイマーを含んでいてもよい。特定の実施態様において、分散性アクリルポリマーは、溶剤系または水系組成物中に材料を分散する能力を有する。特定の例において、分散性アクリルポリマーのイオン化可能な官能基、たとえばカルボキシル官能基またはアミノ官能基は、水性の組成物を形成する場合にはイオン化され、かつ非水性または溶剤系の組成物を形成する場合にはイオン化されない。
【0046】
他の実施態様において、分散性ポリマーは、有機溶剤中、たとえばポリマーまたは樹脂溶融物中で材料を分散し、この場合、これは、その後に固体製品に成形または形成されてもよい。このような例において、分散性ポリマーは、有機材料の物理的特性を改善させてもよい。
【0047】
他の通常の材料、たとえば流れ調整剤またはレオロジー調整剤、抗酸化剤、ヒンダードアミン光吸収剤および他の通常の塗料添加剤を組成物に添加することができる。方法において、本発明のコーティング材料の適用は、特別な特徴を有するものではないが、しかしながら、それよりむしろ、任意の常用の方法、たとえば噴霧、ナイフ塗布、ブラシ塗り、フローコーティング、浸漬、トリクル(trickling)またはロールコートによって実施されてもよい。好ましくは、噴霧塗布方法を使用し、この場合、これは、たとえば圧縮空気スプレー、エアレススプレー、高速回転、静電スプレー塗布(ESTA)を、単独で、あるいは、熱スプレー塗布、たとえばホットエアスプレーとの組合せで使用する。
【0048】
適した支持体は、熱および/または化学線照射を用いて、支持体上に存在するコーティングを硬化させることによりダメージを受けない被覆されるべきすべての表面を含み;たとえば金属、プラスチック、木材、セラミック、石、テキスタイル、繊維複合材料、皮革、ガラス、ガラス繊維、ガラスウールおよび石綿、鉱物結合および樹脂結合建築材料、たとえばプラスターボードおよびセメントスラブまたはルーフィング板(roofing shingles)、さらにはこれら材料の複合材料である。したがって、本発明のコーティング材料は、同様に自動車の外装仕上げのために適している。これに関しては、建築塗料材料として内装および外装のために、家具の被覆および工業用被覆のために特に適しており、この場合、工業用被覆はコイルコーティング、コンテナコーティングおよび電気部品の含浸または被覆を含む。工業用被覆の内容において、実際には、個人的用途または工業的用途のすべての部品、たとえばラジエータ、家庭用電化製品、小さい金属パーツ、たとえばナットおよびボルト、ホイールキャップ、車輪リム、パッッケージングまたは電気部品、たとえばモータ−コイルまたは変圧器コイルに関する被覆に適している。
【0049】
本発明のコーティング組成物は、エナメル、たとえばプライマーまたはワンコートトップコートであってもよいか、あるいは、淡彩クリアコートであってもよい。しかしながら、本発明のコーティング組成物は、好ましくは、自動車製品上のベースコートとして、たとえば金属またはプラスチック自動車車体またはゴム弾性板のベースコートとして塗布される。本発明のベースコートコーティング組成物の塗布前に、プライマーサーフェーサーの層を有していることは好ましい。クリアコート組成物は、好ましくはベースコート組成物上に塗布される。
【0050】
本発明の好ましい複合コーティングは、1種またはそれ以上の層として、本発明のベースコート組成物から得られるベースコート層を有する。架橋剤組成物は、クリアコート層を形成するのに好ましい。この型の塗料は当業者に公知であり、かつ水系組成物と同様に溶剤系組成物を含む。たとえば、US特許5,474,811によるクリアコートは、ベースコート組成物の層上にウエット・オン・ウエットで適用されてもよい。ベースコート組成物中で有用であってもよい公知技術のポリマーは、これに制限されることはないが、アクリル、ビニル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエステル、アルキドおよびポリシロキサンを含む。アクリルおよびポリウレタンが好ましい。さらに熱硬化性クリアコート組成物が好ましく、かつこの目的のために好ましいポリマーは、1種またはそれ以上の架橋可能な官能基、たとえばカルバメート、ヒドロキシ、イソシアネート、アミン、エポキシ、アクリレート、ビニル、シラン、アセトアセテート等を含有し、この場合、これは、化学線照射により硬化されてもよい基を含む。ポリマーは、自己架橋性であってもよいか、あるいは、好ましくは、組成物は、架橋剤、たとえば前記種類のポリイソシアネートまたはアミノプラスト樹脂を含んでいてもよい。一つの実施態様において、低い揮発性有機含量を有する水系クリアコート組成物が使用される。水系クリアコート組成物は、好ましくは、約1.5未満、好ましくは約1.3未満の揮発性有機含量を有する。
【0051】
本発明の複合コーティングのそれぞれの層は、いくつかの公知技術の一つによって被覆すべき製品に適用することができる。これらは、たとえば噴霧塗布、浸漬塗布、ロールコート、カーテンコーティング等を含む。最初の電着プライマー層を、金属支持体上に適用する場合には、電着プライマーは、電着により塗布される。自動車のための適用に関して、プライマーサーフェーサーコーティング組成物、本発明によるベースコート組成物およびクリアコート組成物層は、好ましくは、噴霧塗布、特に電着噴霧塗布によって適用される。1mmまたはそれ以上のコーティング層は、通常、2またはそれ以上のコーティングの形で塗布され、この場合、このコーティングは、幾らかの溶剤または水性媒体が蒸発可能な十分な時間によって、あるいは、塗布された層からの「フラッシュ(flash)」により分けられる。フラッシュは、周囲温度または高められた温度であってもよく、たとえばフラッシングは放射熱を使用してもよい。塗布されるコーティングは、乾燥状態で0.5mmから3mmまでであってもよく、かつ十分な数のコーティングを適用することによって、好ましい最終的なコーティング厚を得る。
【0052】
ベースコート−クリアコートトップコートは、通常はウエット・オン・ウエットで塗布される。組成物は、前記のようにフラッシュにより分けられる複数個のコーティングに適用され、その際、さらにベースコート組成物の最後のコーティングとクリアコート組成物の最初のコーティングとの間のフラッシュを含む。その後に2個のコーティング層を同時に硬化する。好ましくは、硬化したベースコート層は0.5〜1.5mmの厚さであり、好ましくは、少なくとも遮断のための厚さであり、かつ硬化したクリアコート層は1〜3mm、より好ましくは1.6〜2.2mmの厚さである。
【0053】
記載されたコーティング組成物は、室温で、熱を用いて好ましくは硬化される。硬化温度は、好ましくは、約室温から約180℃の温度である。この温度での典型的な硬化時間は15分〜60分であり、かつ、好ましくは、この温度は、約15分〜約30分の硬化時間を可能にするために選択される。好ましい実施態様において、塗布された製品は自動車用製品または自動車パーツである。ここで、典型的な熱硬化性自動車コーティングを、約110℃から約150℃の温度でベーキングする。さらにコーティング組成物は、化学線で硬化可能であるか、あるいは、「デュアルキュア」コーティングであってもよく、この場合、これは、化学線および熱の双方により硬化する。
【0054】
材料は、同様の方法で分散性アクリルポリマーを用いて、種々の他の組成物中に分散されてもよく、この場合、この組成物は、インク組成物、ポリマー系、仕上げ用組成物、シーラントおよび接着剤を含み、この場合、これは、いくつかの場合において、溶剤系、水系であるか、あるいは、有機溶剤または水を含有しないものであってもよい。
【0055】
本発明を以下の実施例により更に説明する。実施例は単に例証するものであって、記載し請求した本発明の範囲を限定するものではない。
【0056】

例1:本発明の顔料分散剤
適した反応器は、450質量部のプロピレングリコールモノプロピルエーテルで装填し、これを、不活性雰囲気中で、140℃に加熱する。その後に92質量部のSipomer B-CEA (Rhodia, Cranbury, NJ)、132.5質量部の2−ヒドロキシエチルアクリレート、32.5質量部のメチルメタクリレート、128.6質量部のブチルメタクリレート、42.6質量部の2−エチルヘキシルアクリレート、123.7質量部のスチレン、32.5質量部の1−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−イミダゾリジノン、65質量部のM−230 (Kowa American Corp. NY, NY)、8.3質量部のt−ブチルペルアセテートおよび8.3質量部の無香の鉱物スピリッツを、反応器に、3時間に亘って添加した。その後に、20質量部のプロピレングリコールモノプロピルエーテルを添加し、かつ反応混合物を140℃で50分に亘って維持した。反応混合物を110℃に冷却し、かつ9.7質量部のt−ブチル−オキシ−2−エチルヘキサノエートと20質量部のプロピレングリコールモノプロピルエーテルとの混合物を20分に亘って添加した。その後に、10質量部のプロピレングリコールモノプロピルエーテルを添加し、かつ反応混合物を110℃で1時間に亘って維持した。その後に反応混合物を冷却した。脱イオン水中の20%のアミノプロパノール混合物167部を添加し、引き続いて脱イオン水346.4部を添加した。最終的な樹脂は、測定された不揮発性含量41.2質量部を有していた。
【0057】
例2:本発明による赤色顔料組成物
赤色顔料組成物は、14.31質量部のペリーレン顔料(C.I.Pigment Red 179)を、例1にしたがって製造された33.48質量部の顔料分散剤樹脂、4.58質量部のプロピレングリコールn−プロピルエーテル、45.71質量部の脱イオン水および1.92質量部の市販のポリアルキレン添加剤の撹拌混合物に添加することにより製造した。得られた混合物を、Cowles 分散器上で30分に亘って撹拌し、その後にEigerビーズミル中で、2時間30分に亘って粉砕した。
【0058】
比較例A:比較のための赤色顔料組成物
比較可能な赤色顔料組成物は、14.31質量のペリーレン顔料(C.I.Pigment Red 179)を、16.74質量部の本発明によって製造されていないアクリル粉砕樹脂、16.74質量部のポリウレタン樹脂、4.58質量部のプロピレングリコールn−プロピルエーテル、45.71質量部の脱イオン水および1.92質量部の市販のポリアルキレン添加剤の撹拌混合物に添加することによって製造した。得られた混合物を、Cowles分散器上で30分に亘って撹拌し、その後にEigerビーズミル中で、2時間30分に亘って粉砕した。
【0059】
例3:本発明による青色顔料組成物
青色顔料組成物は、14.28質量部のインダントロン顔料(C.I. Pigment Blue60)を、例1にしたがって製造された19.04質量部の顔料分散剤樹脂、8.57質量部のプロピレングリコールn−プロピルエーテルおよび58.11質量部の脱イオン水の撹拌混合物に添加することによって製造した。得られた混合物を、Cowles分散器上で30分に亘って撹拌し、その後にEigerビーズミル中で10時間に亘って粉砕した。
【0060】
比較例B:比較のための青色顔料組成物
青色顔料ペーストは、14.28質量のインダントロン顔料(C.I. Pigment Blue60)を、本発明によって製造されていない19.04質量部のアクリル粉砕樹脂、8.57質量部のプロピレングリコールn−プロピルエーテルおよび58.11質量部の脱イオン水の撹拌混合物に添加することによって製造した。得られた混合物を、Cowles分散器上で30分に亘って撹拌し、かつ、Eigerビーズミル中で10時間に亘って粉砕した。
【0061】
例4:本発明によるコーティング組成物
コーティング組成物、この場合、これは、例2の赤色顔料組成物を含有するもの、を、迅速に撹拌しながら、79.94質量部の顔料不含のベースコート混合物、16,18質量部の例2の赤色顔料組成物、1.16質量部の黒色着色ペースト(アニオンポリウレタン樹脂とカーボンブラック顔料とを混合し、この混合物をCowles分散器上で30分に亘って撹拌し、かつこの撹拌混合物をEigerビーズミル中で2.5時間に亘って粉砕することにより製造したもの)および7.72質量部のマイカ顔料分散液(2.20質量部の酸化鉄被覆マイカを、2.54質量部のポリエステル樹脂および2.54質量部のプロピレングリコールn−プロピルエーテルの組合せ物中でスラリー化し、その後に、20%のアミン水溶液0.44質量部を添加することにより製造されたもの)を組合せることによって製造した。撹拌を、約30分に亘って継続した。
【0062】
比較例C:比較のためのコーティング組成物
コーティング組成物は例4にしたがって製造したが、但し、例2の赤色顔料組成物16.18質量部を、比較例Aの赤色顔料組成物16.18質量部と置き換えた。
【0063】
例5:本発明によるコーティング組成物
コーティング組成物、この場合、これは、例3の青色顔料組成物を含有するもの、を、迅速に撹拌しながら、82.62質量部の例4中で使用された顔料不含のベースコート混合物および7.83質量部の例3の青色顔料組成物、この場合、これは、9.55質量部のアルミニウム顔料分散液(4.01質量部のアルミニウム顔料を、2.55質量部のポリエステル樹脂および2.55質量部のプロピレングリコールn−プロピルエーテルとの組合せ物中でスラリー化し、その後に20%アミン水溶液0.44質量部を添加することによって製造されたもの)と一緒に予備混合したもの、と組合せることによって製造した。撹拌を、約30分に亘って継続した。
【0064】
比較例D、比較のためのコーティング組成物
コーティング組成物は例5にしたがって製造されたが、但し、例3の青色顔料組成物の7.83質量部を、比較例Bの青色顔料組成物7.83質量部と置き換えた。
【0065】
コーティング組成物の試験
例4および5ならびに比較例CおよびDのコーティング組成物を、ベースコートとして塗布し、かつ、確立された方法および装置にしたがって硬化させた。
【0066】
コーティング中の色改善およびコーティング組成物の安定性を比較した。例4および例5のコーティング組成物由来のフィルムは、それぞれ、赤色顔料および青色顔料中での良好な透過性の結果として良好なメタリック効果を示した。例4および5のコーティング組成物は、調製および貯蔵後であっても不安定性を示すことはなかった。
【0067】
ベースコートコーティングカラーは、以下に示す結果を有する鏡面から25゜で、ゴニオスペクトロホトメーターによって測定した。
【0068】
【表1】

【0069】
本発明の記載は、専ら例証するものであり、したがって、本発明の要旨を逸脱しない変法は、本発明の範囲内に含まれるものとする。このような変法は、本発明の趣旨および範囲から逸脱するものとしてみなされてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散剤および分散剤により分散される少なくとも1種の材料を含有する組成物において、該分散剤が、
(a)1つまたはそれ以上のアンカー基モノマー単位(a)、この場合、これは、イオン化可能な官能基、活性の水素官能基、分散される材料と共有結合を形成する官能基またはこれらの組合せ物の少なくとも1つを有し、その際、該イオン化可能な官能基は、カルボニル炭素が最も近いエチレン性不飽和炭素から少なくとも4個の原子によって分離されているカルボン酸基以外であり、かつ、該アンカー基モノマー単位(a)は、ポリオキシアルキレン基を有する単位以外であり;
(b)約5%質量%〜約45質量%の1種またはそれ以上の安定化剤モノマー単位(b)、この場合、これは、カルボニル炭素が最も近いエチレン性不飽和炭素から少なくとも4個の原子によって分離されているカルボン酸基、ポリオキシアルキレン基、γ−ヒドロキシカルバメート基、β−ヒドロキシカルバメート基またはこれらの組合せ物の少なくとも1つを有し;および
(c)約50質量%までの芳香族モノマー単位;
を含有するビニルまたはアクリルポリマーを含む、分散剤および分散剤により分散される少なくとも1種の材料を含有する組成物。
【請求項2】
組成物がコーティング組成物であり、かつ分散剤により分散される材料が顔料を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物が水性である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
1つまたはそれ以上のアンカー基モノマー単位(a)が、活性の水素官能基を含有し、かつその際、該分散性ポリマーが、重合されたヒドロキシエチレンエチル尿素(メタ)アクリレートモノマー単位をさらに含有するアクリルポリマーである、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
分散剤により分散される材料が、顔料、充填剤、ナノ粒子、ポリマー、樹脂、硬化剤、ヒンダードアミン光吸収剤を含む紫外光吸収剤、抗酸化剤、触媒および粉末塗料粒子からなる群から選択されたものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
該アンカー基モノマー単位(a)が、酸性モノマー、アミノモノマー、ヒドロキシル官能性モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、カルバメートアルキル(メタ)アクリレート、カルバミルオキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチレンエチル尿素(メタ)アクリレートおよびこれらの組合せ物から成る群から選択される、重合されたモノマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
該安定化剤モノマー単位(b)が、β−カルボキシエチルアクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと環式カルボン酸無水物との反応生成物、ω−メチルオキシポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ω−メチルオキシ−ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)(メタ)アクリレート、ω−メチルオキシ−ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ω−メチルオキシ−ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)(メタ)アクリレート、ω−アミノ−ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ω−アミノ−ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)(メタ)アクリレートならびにω−メチルオキシ−ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ω−メチルオキシ−ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)(メタ)アクリレート、ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(メタ)アクリレートおよびω−ヒドロキシ−ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)(メタ)アクリレートと環式無水物との酸官能性反応生成物、β−およびγ−カルバミルオキシヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートならびにこれらの組合せ物から成る群から選択される、重合されたモノマーを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
該安定化剤モノマー単位(b)が、β−カルボキシエチルアクリレート、モノメタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート、ω−メチルオキシ−ポリオキシエチレン(メタ)アクリレートおよびω−メチルオキシ−ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)(メタ)アクリレート、この場合、これは、少なくとも約750の分子量を有するもの、およびこれらの組合せ物から成る群から選択される、重合されたモノマーを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
分散剤ビニルまたはアクリルポリマーが、約5〜45質量%の1種またはそれ以上の安定化剤モノマー単位(b)を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
分散剤ビニルまたはアクリルポリマーが、約1質量%〜約10質量%の重合されたヒドロキシエチレンエチル尿素(メタ)アクリレートからのモノマー単位を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
分散剤によって分散される材料が、架橋剤を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
組成物が、ベースコートコーティング組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
材料を分散する方法において、材料を、
(a)1種またはそれ以上のアンカー基モノマー単位(a)、この場合、これは、イオン化可能な官能基、活性の水素官能基、分散される材料と共有結合を形成する官能基またはこれらの組合せ物の少なくとも1つを有し、その際、該イオン化可能な官能基は、カルボニル炭素が最も近いエチレン性不飽和炭素から少なくとも4個の原子によって分離されているカルボン酸基以外であり、かつ、該アンカー基モノマー単位(a)は、ポリオキシアルキレン基を有する単位以外であり;
(b)約5%質量%〜約45質量%の1つまたはそれ以上の安定化剤モノマー単位(b)、この場合、これは、カルボニル炭素が最も近いエチレン性不飽和炭素から少なくとも4個の原子によって分離されているカルボン酸基、ポリオキシアルキレン基、γ−ヒドロキシカルバメート基、β−ヒドロキシカルバメート基またはこれらの組合せ物の少なくとも1つを有し;および
(c)約50質量%までの芳香族モノマー単位;を含有するビニルまたはアクリルポリマーと組合せ、かつ、該混合物を、連続媒体中に分散することを含む、材料を分散する方法。
【請求項14】
材料が顔料を含有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
連続媒体が水性である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
連続媒体がポリマーまたは樹脂を含有する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
連続媒体が重合性である、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
1つまたはそれ以上のアンカー基モノマー単位(a)が、活性の水素官能基を含有し、かつ、該アクリルポリマーが、重合されたヒドロキシエチレンエチル尿素(メタ)アクリレートモノマー単位をさらに含有する、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
材料が、顔料、充填剤、ナノ粒子、ポリマー、樹脂、硬化剤、ヒンダードアミン光吸収剤を含む紫外光吸収剤、抗酸化剤、触媒および粉末塗料粒子からなる群から選択されるものを含有する、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
該アンカー基モノマー単位(a)が、酸性モノマー、アミノモノマー、ヒドロキシル官能性モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、カルバメートアルキル(メタ)アクリレート、カルバミルオキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチレンエチル尿素(メタ)アクリレートおよびこれらの組合せ物から成る群から選択される、重合されたモノマーを含有する、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
(a)1つまたはそれ以上のアンカー基モノマー単位(a)、この場合、これは、イオン化可能な官能基または活性の水素官能基、分散される材料と共有結合を形成する官能基を有し、その際、該イオン化可能な官能基は、カルボニル炭素が最も近いエチレン性不飽和炭素から少なくとも4個の原子によって分離されているカルボン酸基以外であり、かつ、該アンカー基モノマー単位(a)は、ポリオキシアルキレン基を有する単位以外であり;
(b)約5%質量%〜約45質量%の1つまたはそれ以上の安定化剤モノマー単位(b)、この場合、これは、カルボニル炭素が最も近いエチレン性不飽和炭素から少なくとも4個の原子によって分離されているカルボン酸基を有し;および
(c)約50質量%までの芳香族モノマー単位;
を含有する、分散剤。

【公表番号】特表2008−536966(P2008−536966A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503097(P2008−503097)
【出願日】平成18年3月21日(2006.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/010267
【国際公開番号】WO2006/102341
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(591020700)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (53)
【氏名又は名称原語表記】BASF Corporation
【Fターム(参考)】