説明

顔料分散剤、塗料組成物の製造方法、並びに塗料組成物

塗料組成物は、アクリルポリマー中に分散された少なくとも1つの顔料を含有し、その際、該アクリルポリマーは、第一に、エチレン性不飽和モノマーの混合物であって:(a)少なくとも約15質量%の不飽和メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートと(b)少なくとも1つの他の芳香族の重合可能なモノマー(モノマー(a)と(b)とが一緒になってエチレン性不飽和モノマーの混合物の少なくとも約50質量%である量で)と(c)少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレートとを含有する混合物を重合させて、ポリマーを形成させ、そして第二に、該ポリマーのイソシアネート基を、(d)ヒドロキシ基及び酸基が少なくとも4原子によって隔てられているヒドロキシアルキル酸または第一級のヒドロキシル基及び第二級のヒドロキシル基を有するジオールと反応させ、次いで環状酸無水物と反応させることによって製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料分散剤及び顔料分散剤を有する塗料組成物の製造方法に関する。
【0002】
塗装仕上げ、特に自動車産業における外部塗装仕上げは、一般に2層以上の異なる層で適用される。1層以上のプライマー塗料組成物の層は、まず未塗布の下地に適用され、引き続き1層以上のトップコート層が適用されうる。ベースコート−クリアコートの複合塗装は、格別の光沢、色の深み、像の明瞭さ、または特別なメタリック効果が所望されるトップコートとして特に有用である。ベースコート層は、トップコートの色を与える着色剤を含むが、一方クリアコート層は、なめらかな、光沢のある仕上げをもたらす。自動車産業は、自動車の外板に対してそれら塗料を大規模に使用している。
【0003】
自動車用ベースコート組成物における着色剤は、典型的に1種以上の分散した顔料である。該組成物中の顔料の分散は、少なくとも2つの目的を果たさなければならない。第一に、顔料は、塗装層の適した発色のために、できるだけ十分に濡れていなければならない。第二に、顔料は、ベースコート組成物が適度に長い保存期間を有するように、顔料の粒子の激しい沈降及び再凝集に逆らって安定化されていることが望ましい。多くの種類の分散剤が、溶剤系組成物用に提案されている。水系組成物の選択は、分散剤がそれ自体水に分散可能でなければならないので、より制限される。それにもかかわらず、水系ベースコート組成物は、溶剤系ベースコート組成物と同じく、良い発色及び安定性を必要とする。溶剤系と水系の両方の組成物に有効である顔料分散剤は、製造及び貯蔵を容易にしうる。それというのも同一の分散剤の中間体が合成され、溶剤系か水系のいずれかの組成物の顔料分散剤を製造するために使用されうるためである。
【0004】
本発明は、塗料組成物において、特にベースコート塗料組成物のための優れた発色をもたらす顔料分散剤を提供する。
【0005】
本発明の着色塗料組成物は、アクリルポリマー中に分散された少なくとも1つの顔料を含み、その際、該アクリルポリマーは、第一に、エチレン性不飽和モノマーの混合物であって:(a)少なくとも約15質量%の不飽和メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(TMIと略記される)と、(b)少なくとも1つの他の芳香族の重合可能なモノマー(モノマー(a)と(b)とが一緒になって、エチレン性不飽和モノマーの混合物の少なくとも約50質量%である量で)と、(c)少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレートとを含有する混合物を重合させ、そして第二に、そのポリマーのイソシアネート基を、(d)ヒドロキシ基及び酸基が少なくとも4つの炭素原子によって隔てられているヒドロキシアルキル酸もしくは第一級のヒドロキシル基及び第二級のヒドロキシル基を有するジオールと反応させ、次いで環状酸無水物と反応させ、(e)また場合によりヒドロキシエチレンエチルウレアと反応させ、(f)また場合によりメトキシポリエチレングリコールと反応させ、そして(g)また場合によりイソシアネートと反応性の官能基を有する異なった材料との反応によって製造される。アクリルポリマー中に分散された顔料を含有する組成物は、溶剤系または水系であってよい。有利には、ベースコート組成物は、顔料を分散させるアクリルポリマー以外の被膜形成性ポリマー、及び有利には架橋剤をも含有する。
【0006】
本発明の塗料組成物は、優れた発色、耐湿性、かつ粘着性を示す。
【0007】
本願で使用する場合には、"(メタ)アクリレート"は、アクリレートとメタクリレートの両方を指す。本願で使用される単数形は、その物が"少なくとも1つ"存在することを示し;可能であれば、その物が複数存在してよい。値に添えられた"約"は、計算もしくは測定が値において若干のわずかな不正確さをみていることを示す(値の正確さにいくらか近づいて;近似的に、もしくは適度に値と近い;ほぼ)。何らかの理由で、"約"によって与えられたその不正確さが、ともすれば当該技術分野においてこの普通の意味で理解されなければ、その時、本願で使用される"約"は、その値の5%までの差異の可能性を示す。
【0008】
次の好ましい実施態様の説明は、単に例示をする性質のものであって、決して本発明、その応用、もしくは利用の制限を意図するものではない。
【0009】
該塗料組成物は、アクリルポリマー中に分散された少なくとも1つの顔料を含む。アクリルポリマー分散剤は、まず、エチレン性不飽和モノマーの混合物であって:(a)少なくとも約15質量%のTMIと、(b)少なくとも一つの他の芳香族の重合可能なモノマー(モノマー(a)と(b)とが一緒になって、エチレン性不飽和モノマーの混合物の少なくとも約50質量%である量で)と、(c)少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレートとを含有する混合物を重合させ、そして次いでそのポリマーのイソシアネート基を、(d)ヒドロキシ基と酸基が少なくとも4つの原子によって隔てられているヒドロキシアルキル酸もしくは第一級のヒドロキシル基及び第二級のヒドロキシル基を有するジオールと反応させ、次いで環状酸無水物と反応させ、そして場合により(e)ヒドロキシエチレンエチルウレア、(f)メトキシポリエチレングリコール、及び(g)イソシアネートと反応性の官能基を有する異なった材料の1つ以上と反応させることによって製造される。
【0010】
芳香族の重合可能なモノマー(b)の好適な例は、制限されることなく、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、第三級ブチルスチレン、並びにそれらの組み合わせを含む。分散性のあるアクリルポリマーを製造するために使用されるエチレン性不飽和モノマーの混合物は、有利には少なくともスチレンを含む。モノマー(a)と(b)は一緒になって、エチレン性不飽和モノマーの混合物の少なくとも約50質量%であり、有利にはエチレン性不飽和モノマーの混合物の少なくとも約60質量%であり、並びに有利にはエチレン性不飽和モノマーの混合物の約75質量%までである。
【0011】
エチレン性不飽和モノマーの混合物は、さらに少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレートを含む。アルキル(メタ)アクリレート(c)の好適な例は、制限されることなく、1〜20個の炭素原子を含有する飽和脂肪族アルコール、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル、シクロヘキシル、アルキル置換されたシクロヘキシル、アルカノール置換されたシクロヘキシル、例えば2−t−ブチルシクロヘキシル及び4−t−ブチルシクロヘキシル、4−シクロヘキシル−1−ブチル、及び3,3,5,5,−テトラメチルシクロヘキシル;イソボニル、ラウリル、並びにステアリルアルコールとの反応によるアクリル酸及びメタクリル酸のエステルを含む。
【0012】
エチレン性不飽和モノマーの混合物は、他のエチレン性不飽和で、モノマー(a)、(b)及び(c)以外の重合可能なポリマーを含有しうる。他のエチレン性不飽和の重合可能なモノマーの代表的な例は、制限されることなく、アルコール例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、及び第三級ブタノールとのフマル酸、マレイン酸、及びイタコン酸のモノエステル及びジエステル、並びにビニルモノマー、例えばビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルエチルエーテルのようなビニルエーテル、ビニル及びビニリデンのハロゲン化物、ビニルエチルケトン、及び2−ビニルピロリドンといった化合物を含む。
【0013】
アクリルポリマーは、一般的な方法、例えば塊状重合もしくは溶液重合に従ってエチレン性不飽和モノマーの混合物から製造される。アクリルポリマーは、有機溶剤中の、有利には水溶性または水と混和性の有機溶剤から選択される有機溶剤中の溶液として製造され、溶剤次いでそれを水中に分散させてよい。水中に分散した後、有機溶剤は、水性分散液またはエマルジョンから蒸留されうる。アクリルポリマーは、有利には、約8,000〜約100,000の質量平均分子量を有する。
【0014】
重合は、遊離基重合によって実施してよい。遊離基の源は、典型的にレドックス開始剤によって、または有機ペルオキシドもしくはアゾ化合物によって供給される。有用な開始剤は、制限されることなく、アンモニウムペルオキシジスルフェート、カリウムペルオキシジスルフェート、メタビス亜硫酸ナトリウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、並びにレドックス開始剤、例えばペルオキソ二硫酸アンモニウム及びメタ重亜硫酸ナトリウムと硫酸アンモニウム鉄との組み合わせを含む。場合により、連鎖移動剤を使用してよい。典型的な連鎖移動剤は、メルカプタン、例えばオクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンもしくは第三級−ドデシルメルカプタン、チオサリチル酸、メルカプト酢酸、及びメルカプトエタノール;ハロゲン化された化合物;並びにアルファ-メチルスチレンの二量体を含む。
【0015】
重合後に、ポリマーのイソシアネート基を、(d)ヒドロキシ基と酸基が少なくとも4つの炭素原子によって隔てられているヒドロキシアルキル酸もしくは第一級のヒドロキシル基かつ第二級のヒドロキシル基を有するジオールと反応させ、次いで環状酸無水物と反応させ、そして場合により(e)ヒドロキシエチレンエチルウレア、(f)メトキシポリエチレングリコール、及び(g)イソシアネートと反応型の官能基を有する異なった物質の1つ以上と反応させて、アクリルポリマー分散剤を形成させる。
【0016】
ポリマーのイソシアネート基は、アクリルポリマー分散剤が少なくとも約20、有利には少なくとも約25の酸価を有し、かつ約35まで、有利には約30までの酸価を有するような十分な量のヒドロキシアルキル酸、もしくはジオールと反応させ、次いで環状酸無水物と反応させる。酸価の単位は、mg KOH/gである。ヒドロキシアルキル酸の好適な例は、制限されることなく、12−ヒドロキシステアリン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、並びにヒドロキシアルキル酸とイプシロン−カプロラクトンとの反応生成物であってそのエステル生成物がイプシロンカプロラクトンからの3以下のモノマー単位を有する反応生成物(例えば、1モルの2−ヒドロキシイソ酪酸と1〜3モルのイプシロン−カプロラクトンとの反応)を含む。代替的な経路において、ポリマーのイソシアネート基を、第一級のヒドロキシル基及び第二級のヒドロキシル基を持つジオール、例えば1,10−オクタデカンジオールと反応させ、次いで未反応の第二級のヒドロキシル基を、環状酸無水物、例えばヘキサヒドロフタル酸無水物と反応させる。
【0017】
アクリルポリマー分散剤が、水系塗料組成物を製造するために使用されるならば、そのとき酸官能は、有利にはアルカリ又は塩基、有利にはアミン、さらに有利には第三級アミンと塩を形成してよい。好適な塩形成物質の例は、制限されることなく、アンモニア、モノエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、エチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、並びにモルホリンを含む。好ましい塩形成物質は、2−アミノ−2−メチルプロパノール並びにジメチルエタノールアミンを含む。
【0018】
ポリマーのイソシアネート基を、(e)ヒドロキシエチレンエチルウレア、(f)メトキシポリエチレングリコール、及び(g)イソシアネートと反応性の官能基を有する他の物質の1つ以上と反応させてもよい。反応してアクリルポリマーとなるTMIの量は、ヒドロキシ基と酸基が少なくとも4原子によって隔てられているヒドロキシアルキル酸もしくはジオール及び環状酸無水物、並びにヒドロキシエチレンエチルウレア、メトキシポリエチレングリコール、及びイソシアネートと反応性の官能基を有する他の物質からなる群から所望される反応物と反応するために所望される量のイソシアネート基が提供されるように選択される。
【0019】
好ましい一実施態様において、アクリルポリマーのイソシアネート基は、アクリルポリマー分散剤の質量に対して約10質量%までのヒドロキシエチレンエチルウレアと反応する。まして有利には、アクリルポリマーのイソシアネート基は、アクリルポリマーの分散剤の質量に対して少なくとも約1質量%、より有利には少なくとも約5質量%のヒドロキシエチレンエチルウレアと反応する。
【0020】
アクリルポリマーのイソシアネート基が、アクリルポリマー分散剤の質量に対して約40質量%まで、さらに有利には約30質量%まで、まして有利には約15質量%までのメトキシポリエチレングリコールと反応することも好ましい。アクリルポリマーのイソシアネート基と、アクリルポリマー分散剤の質量に対して少なくとも約5質量%のメトキシポリエチレングリコールとを反応させることが好ましい。メトキシポリエチレングリコールの好ましい例は、少なくとも約750、より有利には少なくとも約1000の数平均分子量を有するメトキシポリエチレングリコールであり、並びに約4500まで、より有利には約3000まで、さらに有利には約2500までの平均分子量を有するメトキシポリエチレングリコールである。
【0021】
アクリルポリマーのイソシアネート基を、イソシアネートと反応性の官能基を有する1つ以上の他の物質と反応させることも好ましい。一つの好ましい実施態様によれば、それら他の材料との反応は、ヒドロキシ基と酸基が少なくとも4原子によって隔てられているヒドロキシアルキル酸及びヒドロキシエチレンエチルウレア、ジオール及び環状酸無水物、使用するならメトキシポリエチレングリコール、並びに/または使用するならヒドロキシエチレンエチルウレアとの反応後の1段階で行われる;すなわち、他の物質はポリマーに残留したイソシアネート官能と反応する。イソシアネートと反応性の官能基を有する他の物質は、制限されることなく、アルコール及び多価アルコール、アミン及びポリアミン、アミノアルコール、並びにメルカプタンを含む。これらのうちで好ましいのは、アミノアルコール、例えばエタノールアミン及びジエタノールアミン;プロピレングリコールエーテル、例えばプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、及びプロピレングリコールn−ブチルエーテル;ヒドロキシアルキルカルバメート化合物、例えばヒドロキシエチルカルバメート及びヒドロキシプロピルカルバメートである。
【0022】
アクリル樹脂のイソシアネート基と、(d)ヒドロキシ基と酸基が少なくとも4原子によって隔てられているヒドロキシアルキル酸もしくはジオール及び環状酸無水物と、場合により含まれるならば、(e)ヒドロキシエチレンエチルウレア、(f)メトキシポリエチレングリコール、及び/または(g)イソシアネートと反応性の官能基を有する他の物質との反応は、適した反応条件下で行われうる。代表的な反応条件は、制限されることなく、重合溶剤中での反応、約70℃〜約130℃の温度での反応、並びにジブチルスズオキシド及びジブチルスズジラウレートのようなイソシアネート反応用の適切な触媒の存在下での反応を含む。
【0023】
本発明による塗料組成物は、あらゆる有機化合物もしくは無機化合物または着色材料からも選択されうる顔料をさらに含む。使用されうる有機顔料の好適な種類の例は、制限されることなく、金属化及び非金属化のアゾ顔料、アゾメチン顔料、メチン顔料、アントラキノン顔料、フタロシアニン顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料、イミノイソインドリン顔料、イミノイソインドリノン顔料、キナクリドン顔料、例えばキナクリドンレッド及びキナクリドンバイオレット、フラバントロン顔料、インダントロン顔料、アントラピリミジン顔料、カルバゾール顔料、モノアリーライド及びジアリーライドイエロー、ベンゾイミダゾロンイエロー、トリルオレンジ、ナフトールオレンジ、並びにキノフタロン顔料を含む。無機顔料の好適な例は、制限されることなく、金属酸化物顔料、例えば二酸化チタン、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、及び酸化鉄粉を含む酸化鉄、及び酸化クロムグリーン;カーボンブラック;フェロシアン化第二鉄(プルシアンブルー);ウルトラマリン;クロム酸鉛などを含む。
【0024】
1つまたは複数の着色顔料は、公知の方法に従ってアクリルポリマー分散剤中に分散される。一般的に、乾燥顔料とアクリルポリマー分散剤を、顔料凝塊物を一次顔料粒子へと破壊するのに十分に、かつ顔料粒子の表面を湿らすのに十分に高い剪断下で接触させる。凝塊物の破壊と一次顔料粒子の濡れは、顔料の安定性と発色に重要である。すべての顔料を、共にアクリルポリマー分散剤中に分散させてよく、または別個の顔料分散液を、1つ以上の顔料について作製してから、次に塗料組成物中で合してよい。
【0025】
塗料の組成物は、充填剤、及び/または金属のもしくは他の無機のフレーク物質、例えば真珠光沢のある雲母フレーク顔料もしくは金属フレーク顔料、例えばアルミニウムフレークも含んでよい。メタリックベースコート色は、1つ以上の特殊なフレーク顔料を使用してもたらされる。メタリック色は、一般的に、不均質系(gonioapparent)効果を有する色素として定義される。例えば、米国材料試験協会(ASTM)の文書F284は、メタリックを、"金属フレークを含有する不均質系材料の外観に関係する"として定義している。メタリックベースコート色は、アルミニウムフレーク顔料、銅フレーク顔料、亜鉛フレーク顔料、ステンレス鋼フレーク顔料、及び青銅フレーク顔料のような金属フレーク顔料を使用して、かつ/または二酸化チタンで被覆された雲母顔料、及び酸化鉄で被覆された雲母顔料のような処理された雲母を含む真珠光沢フレーク顔料を使用してもたらして、異なった角度から見た場合に塗膜に異なった外観を与えることができる。ソリッドカラー顔料と異なり、フレーク顔料は凝塊せず、高い剪断下で粉砕されない。それというのも高い剪断は、フレークまたはその結晶形態を破壊または歪曲し、その不均質系効果を減少または破壊するからである。フレーク顔料は、アクリルポリマー分散剤と一緒に分散させることができるが、低い剪断下での撹拌によって、架橋剤または他の被膜形成性樹脂もしくはポリマーと一緒に分散させてもよい。
【0026】
塗料の組成物がベースコート組成物である場合、それは特に、使用される顔料に応じて、顔料対バインダーの比率は、約0.04〜約1.0である。
【0027】
本発明の塗料組成物は、有利には、顔料を分散するアクリルポリマー以外の被膜形成性ポリマーもしくは樹脂も含む。かかる被膜形成性ポリマー及び樹脂の好適な例は、制限されることなく、アクリルポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、並びに変性ポリウレタン、例えばグラフトコポリマーを含む。被膜形成性ポリマー及び樹脂は、一般的に反応性基、例えば活性水素基、特にヒドロキシル基を有する。
【0028】
本発明の塗料組成物は、有利には、架橋剤成分も含む。架橋剤成分は、活性水素官能と反応性の1つ以上の架橋剤を含む。活性水素官能と反応性の架橋剤の例は、制限されることなく、活性メチロール基もしくはメチルアルコキシ基を有する材料、例えばアミノプラスト樹脂またはフェノール/ホルムアルデヒド付加物;ブロックトポリイソシアネート硬化剤;トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジン(名称TACTとしてCytec工業から入手できる);並びにそれらの組み合わせを含む。好適なアミノプラスト樹脂は、アミン/アルデヒド縮合物、有利には少なくとも部分的にエーテル化されたもの、最も有利には完全にエーテル化されたものである。メラミン及び尿素は好ましいアミンであるが、他のトリアジン、トリアゾール、ジアジン、グアニジン、もしくはグアナミンを使用して、アルキル化されたアミン/アルデヒドアミノプラスト樹脂型の架橋剤を製造することもできる。アミノプラスト樹脂は有利にはアミン/ホルムアルデヒド縮合物であるが、他のアルデヒド、例えばアセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、並びにベンズアルデヒドを使用してよい。好ましいアミノプラスト樹脂の制限されない例は、モノマーもしくはポリマーのメラミンホルムアルデヒド樹脂、例えば1〜6個の、さらに有利には1〜4個の炭素原子を有するアルコールを使用して部分的にまたは完全にアルキル化されたメラミン樹脂、例えばヘキサメトキシメチル化メラミン;ウレア−ホルムアルデヒド樹脂、例えばメチロールウレア及びシロキシウレア、例えばブチル化ウレアホルムアルデヒド樹脂、アルキル化ベンゾグアニミン、グアニルウレア、グアニジン、ビグアニジン、ポリグアニジンなどを含む。モノマーのメラミンホルムアルデヒド樹脂が、特に好ましい。好ましいアルキル化されたメラミンホルムアルデヒド樹脂は、水に混和性または水溶性である。ブロックトポリイソシアネートの例は、封鎖剤、例えばアルコール、オキシム、または第二級アミン、例えばピラゾールもしくは置換されたピラゾールで封鎖されたトルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、並びにヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートを含む。
【0029】
架橋剤成分は、被膜形成性材料の合わせた不揮発物の質量の、有利には約2質量%〜約40質量%、さらに有利には約15質量%〜約35質量%、及び特に有利には約20%〜約30質量%である。
【0030】
塗料組成物は、1つ以上の触媒を含んでよい。触媒の型は、特に使用される架橋剤成分の組成に依存している。有用な触媒は、制限されることなく、ブロック化酸触媒、例えばアミンでブロック化されたパラ−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸及びジノニルナフタレンジスルホン酸;フェニル酸ホスフェート、モノブチルマレエート及びブチルリン酸、ヒドロキシリン酸エステル;ルイス酸、亜鉛塩並びにスズ塩、例えばジブチルスズジラウレート及びジブチルスズオキシドを含む。
【0031】
塗料組成物は、溶剤系または水系であってよい。溶剤系組成物の好適な溶剤は、制限されることなく、エステル、アルコール、並びに置換された芳香族の溶剤を含む。水系組成物は、水に加え、有機補助溶剤、例えば制限されることなくプロピレン及びエチレングリコールのアルキルエーテル並びにそのダイマーを含みうる。
【0032】
他の通常の物質、例えば流動調節剤またはレオロジー調節剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン光吸収剤、並びに他の従来の塗料の添加剤を添加して、組成物とすることができる。
【0033】
本発明の塗料組成物は、自動車部品、例えば、金属またはプラスチックの車体もしくはエラストマーのフェーシャにベースコートとして適用される。本発明のベースコート塗料組成物の適用前にプライマーサーフェーサーの層を有することが好ましい。クリアコート組成物は、有利にはベースコート組成物上に適用される。
【0034】
本発明の好ましい複合塗装は、1つの層として、本発明の水性ベースコート組成物から得られるベースコート塗装層を有する。複合塗装は、ベースコート塗装層上に適用されたクリアコート層を有する。架橋性の組成物は、クリアコート層の形成に好ましい。この種類の塗料は、当該技術分野でよく知られており、かつ溶剤系組成物だけでなく水系組成物を含む。例えば、米国特許第5,474,811号によるクリアコートは、ベースコート組成物の層上にウェットオンウェットで適用できる。クリアコート組成物に有用な技術分野で知られるポリマーは、制限されることなく、アクリル系、ビニル系、ポリウレタン系、ポリカーボネート系、ポリエステル系、アルキド系、並びにポリシロキサン系を含む。アクリル系及びポリウレタン系が好ましい。熱硬化性のクリアコート組成物も好ましく、かつその目的のために、好ましいポリマーは、1種類以上の架橋可能な官能基、例えばカルバメート、ヒドロキシ、イソシアネート、アミン、エポキシ、アクリレート、ビニル、シラン、アセトアセテートなどを有する。該ポリマーは自己架橋性であるか、もしくは、有利には、その組成物は、架橋剤、例えば前記の種類のポリイソシアネートまたはアミノプラスト樹脂を含みうる。一実施態様では、低揮発性の有機含分を有する水系クリアコート組成物が使用される。水系クリアコート組成物は、有利には約1.5未満、より有利には約1.3未満の揮発性有機含分を有する。
【0035】
本発明の複合塗装のそれぞれの層は、塗装されるべき物品に、当該技術分野でよく知られている多数の技術のいずれかに従って適用することができる。それらは、例えば、吹き付け塗り、浸し塗り、ロール塗工、カーテン塗工、などの方法を含む。最初の電着プライマー層が、金属の下地に適用されるのであれば、電着プライマーは電着によって適用される。自動車用途には、プライマーサーフェーサー塗料組成物、本発明のベースコート組成物、並びにクリアコート組成物の層を、吹き付け塗り、特に静電塗装法によって適用することが好ましい。1ミル以上の塗装層は、たいてい2つ以上の塗装で、適用された層から幾らかの溶剤もしくは水性媒体が蒸発または"瞬間蒸発(flash)"するのに十分な時間だけ隔てて、適用される。例えば、瞬間蒸発は室温または高温であってよく、例えば瞬間蒸発には放射熱が使用される。適用される塗料は、0.5ミル〜3ミル(乾燥)であってよく、かつ十分な数の塗装を適用して、所望の最終塗装厚が得られる。
【0036】
ベースコート−クリアコートのトップコートは、通常、ウェット−オン−ウェットで適用される。その組成物は、複数の塗装において、前記のように、瞬間蒸発によって隔てて適用され、その際、ベースコートの組成物の最後の塗装とクリアコートの最初の塗装との間でも瞬間蒸発させる。2つの塗装層を、その時同時に硬化させる。有利には、硬化されたベースコート層は、0.5〜1.5ミル厚であり、有利には少なくとも隠蔽する厚さであり、かつ硬化されたクリアコート層は、1〜3ミル厚、さらに有利には1.6〜2.2ミル厚である。
【0037】
前記の塗料組成物は、有利には熱で硬化する。硬化温度は、ブロック化されていない酸触媒を含む組成物については、有利には約70℃〜約180℃であり、特に有利には約170゜F〜約200゜Fであり、またはブロック化された酸触媒を含む組成物については、約240°F〜約275゜Fである。それらの温度での典型的な硬化時間は15〜60分に及び、並びに有利にはその温度は約15〜30分の硬化時間を可能にするように選択される。好ましい一実施態様として、被覆される物品は、自動車の車体または部品である。
【0038】
本発明を、次の実施例においてさらに説明する。それらの実施例は、単に説明を目的とするものであり、発明の詳細な説明及び特許請求の範囲に記載された発明の範囲をなんら制限するものではない。
実施例
実施例1.本発明の顔料分散剤
【0039】
マントルヒーター、凝縮器、温度計並びに添加漏斗を備えた3リットルのガラス製反応器に、84グラムのメチルイソアミルケトンを装入した。装入されたメチルイソアミルケトンを還流まで加熱した(約142〜145℃)。46グラムのスチレン、131グラムのTMI(メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート)、70グラムのブチルアクリレート、77グラムのブチルメタクリレート、4グラムのメチルイソアミルケトン及び32グラムの過酢酸t−ブチル(50%活性)の混合物を、添加漏斗に入れた。該混合物を反応器に添加し、142〜145℃で4時間の期間にわたって保った。すべての混合物を添加した後で、添加漏斗を10グラムのメチルイソアミルケトンで洗った。そのバッチを更に30分間142〜145℃に保った。そして16グラムの過酢酸t−ブチル(50%活性)を添加漏斗を用いて添加して、7グラムのメチルイソアミルケトンで洗った。そのバッチを1.5時間142〜154℃に保ち、それから60℃に冷却した。
【0040】
その温度で、131グラムのヒドロキシステアリン酸を添加した。反応器の温度を120℃まで上げ、かつ該反応混合物が約1.45%のイソシアネート含有率になるまで保った。それから、25グラムのヒドロキシエチレンウレアを添加し、そして0%のイソシアネート含有率になるまで反応を続けた。その時点で、加熱をやめ、そして該反応混合物を40℃に冷却しながら445グラムのプロピルプロパゾールを添加した。30グラムのアミノメチルプロパノールを加え、そして該反応混合物を5分間撹拌した。それから470グラムの脱イオン水を徐々に、撹拌しながら均質な生成物が得られるまで添加した。生成物は、32.98質量%の不揮発物含分、pH7.93、かつ49.80mg KOH/g(不揮発物含分)の不揮発物に対する酸価が得られた。
実施例2.本発明の顔料分散剤
【0041】
マントルヒーター、凝縮器、温度計及び添加漏斗を備えた3リットルのガラス製の反応器に、84グラムのメチルイソアミルケトンを装入した。装入されたメチルイソアミルケトンを還流まで加熱した(約142〜145℃)。46グラムのスチレン、131グラムのTMI(メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート)、70グラムのブチルアクリレート、77グラムのブチルメタクリレート、4グラムのメチルイソアミルケトン及び32グラムの過酢酸t−ブチル(50%活性)の混合物を、添加漏斗に入れた。該混合物を反応器に添加し、4時間にわたり142〜145℃に保った。すべての混合物を添加した後で、添加漏斗を10グラムのメチルイソアミルケトンで洗った。そのバッチを更に30分間142〜145℃に保った。そして16グラムの過酢酸t−ブチル(活性50%)を添加漏斗を用いて添加し、7グラムのメチルイソアミルケトンで洗った。そのバッチを1.5時間142〜154℃に保ち、その後60℃に冷却した。
【0042】
その温度で、57グラムのヒドロキシステアリン酸と79グラムのメトキシポリエチレングリコール(2000Mw)を添加した。反応器温度を120℃まであげ、かつ該反応混合物が約2.90%のイソシアネート含有率を有するまで温度を保った。それから26グラムのヒドロキシエチレンウレアを添加し、そして約0.75%のイソシアネート含有率になるまで反応を続けた。次に、445グラムのプロピルプロパゾールを添加し、そしてイソシアネートが0%になるまで反応を続けた。該反応混合物を40℃まで冷却し、そしてそこに17グラムのアミノメチルプロパノールを添加し5分間混合した。そして435グラムの脱イオン水を徐々に、撹拌しながら均質な生成物が得られるまで添加した。生成物は、34.67質量%の不揮発物含分、pH7.28、かつ20.43mg KOH/g(不揮発物)の不揮発物に対する酸価が得られた。
実施例3.本発明による赤色顔料組成物
【0043】
赤色顔料組成物を、14.31質量部のペリレン顔料(C.I. Pigment Red 179)を、実施例1に従って製造された16.74質量部の顔料分散剤樹脂、16.74質量部のポリウレタン樹脂、4.58質量部のプロピレングリコールn−プロピルエーテル、45.71質量部の脱イオン水、及び1.92質量部の工業用のポリアルキレン添加剤の撹拌された混合物に添加することによって製造した。得られた混合物を30分間Cowls社製の分散機で撹拌し、そして2時間半Eiger社製のビーズミルで粉砕した。
比較例A.比較赤色顔料組成物
【0044】
比較赤色顔料組成物を、14.31質量部のペリレン顔料(C.I. Pigment Red 179)を、本発明に従って製造されなかった16.74質量部のアクリル研磨樹脂(acrylic grind resin)、16.74質量部のポリウレタン樹脂、4.58質量部のプロピレングリコールn−プロピルエーテル、45.71質量部の脱イオン水、及び1.92質量部の工業用のポリアルキレン添加剤の撹拌された混合物に添加することによって製造した。得られた混合物を30分間Cowls社製の分散機で撹拌し、そして2時間半Eiger社製のビーズミルで粉砕した。
実施例4.本発明による青色顔料組成物
【0045】
青色顔料組成物を、14.28質量部のインダントロン顔料(C.I. Pigment Blue 60)を実施例2に従って製造された19.04質量部の顔料分散剤樹脂、8.57質量部のプロピレングリコールn−プロピルエーテル、及び58.11質量部の脱イオン水の撹拌された混合物に添加することによって製造した。得られた混合物を30分間Cowls社製の分散機で撹拌し、そして10時間Eiger社製のビーズミルで粉砕した。
比較例B.比較青色顔料組成物
【0046】
青色顔料ペーストを、14.28質量部のインダントロン顔料(C.I. Pigment Blue 60)を本発明に従って製造されなかった19.04質量部のアクリル研磨樹脂、8.57質量部のプロピレングリコールn−プロピルエーテル、及び58.11質量部の脱イオン水の撹拌された混合物に添加することによって製造した。得られた混合物を30分間Cowls社製の分散機で撹拌し、そして10時間Eiger社製のビーズミルで粉砕した。
実施例5.本発明による塗料組成物
【0047】
高速に撹拌しながら79.94質量部の顔料を含まないベースコート混合物、16.18質量部の実施例3の赤色顔料組成物、1.16質量部の黒色着色ペースト(アニオンポリウレタン樹脂とカーボンブラック顔料とを混合し、該混合物をCowles社製の分散機で30分間撹拌し、そして撹拌した混合物をEiger社製のビーズミルで2時間半粉砕することによって製造した)、及び7.72質量部の雲母顔料分散液(酸化鉄で被覆された雲母2.20質量部を、2.54質量部のポリエステル樹脂と2.54質量部のプロピレングリコールn−プロピルエーテルとの組合せ物中でスラリー化し、次いでさらに0.44質量部の20%アミン水溶液を添加することによって製造した)を合することによって、実施例3の赤色顔料組成物を含有する塗料組成物を製造した。撹拌を約30分間継続した。
比較例C.比較塗料組成物
【0048】
塗料組成物を、実施例5に従って製造したが、但し、16.18質量部の実施例3の赤色顔料組成物を、16.18質量部の比較例Aの比較赤色顔料組成物によって置き換えた。
実施例6.本発明による塗料組成物
【0049】
高速で撹拌しながら82.62質量部の実施例5で使用した顔料を含まないベースコート混合物と、前もって9.55質量部のアルミニウム顔料分散液(アルミニウム顔料4.01質量部を、2.55質量部のポリエステル樹脂と2.55質量部のプロピレングリコールn−プロピルエーテルとの組み合わせ中でスラリー化し、次いでさらに0.44質量部の20%アミン水溶液を添加することによって製造した)と混合された実施例4の7.83質量部の青色顔料組成物とを合することによって、実施例4の青色顔料組成物を含有する塗料組成物を製造した。撹拌を約30分間継続した。
比較例D.比較塗料組成物
【0050】
塗料組成物を、実施例6に従って製造したが、但し、7.83質量部の実施例4の青色顔料組成物を、7.83質量部の比較例Bの比較青色顔料組成物によって置き換えた。
塗料組成物の試験
【0051】
実施例5及び6並びに比較例C及びDの塗料組成物を、ベースコートとして適用し、そして既定の手順及び装置により硬化させた。
【0052】
塗装における発色及び塗料組成物の安定性を比較した。実施例5の塗料組成物から得られた塗膜は、赤色顔料中における良好な透明度の結果、非常に優れたメタリック効果を示した。実施例5の塗料組成物は、補充及び貯蔵の後に不安定性を示さなかった。
【0053】
ベースコート塗料の色は、変角分光光度計によって鏡面から25°で、以下に示した結果で測定された。

塗料組成物 L*(明度) a*(赤色指数) b*(黄色指数)
実施例5 27.1 42.2 23.3
比較例C 24.9 38.8 19.7
実施例6 62.32 −3.90 −43.29
比較例D 65.10 −6.85 −42.52
【0054】
本発明の詳細な説明は、単に例示を性質とするものであるため、本発明の要旨から逸脱しない変更は、本発明の範囲内であることとする。係る変更は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱したものとみなされるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリルポリマー中に分散された少なくとも1つの顔料を含有する塗料組成物であって、該アクリルポリマーが、
第一に、以下の:
(a)少なくとも約15質量%の不飽和メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートと;
(b)少なくとも1つの他の芳香族の重合可能なモノマー(モノマー(a)と(b)とが一緒になって、エチレン性不飽和モノマーの混合物の少なくとも約50質量%の量で)と;
(c)少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレートと
を含有するエチレン性不飽和モノマーの混合物を重合させて、ポリマーを形成させること、
第二に、該ポリマーのイソシアネート基を、
(d)ヒドロキシ基と酸基が少なくとも4原子によって隔てられているヒドロキシアルキル酸もしくは第一級のヒドロキシル基及び第二級のヒドロキシル基を有するジオールと反応させ、次いで環状酸無水物と反応させ、
そして場合により、以下の
(e)ヒドロキシエチレンエチルウレアと、
(f)メトキシポリエチレングリコールと、
(g)イソシアネートと反応性の官能基を有する他の異なる材料
の群から選択された1つ以上の要素と反応させること
によって製造される塗料組成物。
【請求項2】
モノマー(b)が、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、第三級ブチルスチレン、及びその組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
アクリルポリマーが、約10,000〜約70,000の質量平均分子量を有する、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項4】
モノマー(b)が、少なくともスチレンを含む、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項5】
モノマー(a)及び(b)が、エチレン性不飽和モノマーの混合物の少なくとも約60質量%を構成する、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項6】
モノマー(a)及び(b)が、エチレン性不飽和モノマーの混合物の約75質量%までを構成する、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項7】
ポリマーのイソシアネート基が、十分な量のヒドロキシアルキル酸もしくはジオール及び環状酸無水物(d)と反応されて、アクリルポリマーが約20mg KOH/g〜約35mg KOH/gの酸価を有する、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項8】
ポリマーのイソシアネート基が、十分な量のヒドロキシアルキル酸もしくはジオール及び環状酸無水物(d)と反応されて、アクリルポリマーが約25mg KOH/g 〜約30mg KOH/gの酸価を有する、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項9】
ポリマーのイソシアネート基を、ヒドロキシエチレンエチルウレア(e)と反応させる、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項10】
ポリマーのイソシアネート基を、少なくとも1つのメトキシポリエチレングリコール(f)と反応させる、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項11】
ポリマーのイソシアネート基を、約750〜約4500の数平均分子量を有するメトキシポリエチレングリコール(f)と反応させる、請求項10に記載の塗料組成物。
【請求項12】
ポリマーのイソシアネート基を、約1000〜約2500の数平均分子量を有するメトキシポリエチレングリコール(f)と反応させる、請求項10に記載の塗料組成物。
【請求項13】
ポリマーのイソシアネート基を、アミノアルコール、プロピレングリコールエーテル、ヒドロキシアルキルカルバメート化合物、並びにその組み合わせから成る群から選択されるものと反応させる、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項14】
アクリルポリマーが、イソシアネート基と反応されたヒドロキシエチレンエチルウレア(f)を約5質量%〜約10質量%有する、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項15】
アクリルポリマーが、イソシアネート基と反応されたメトキシポリエチレングリコールを約5質量%〜約40質量%有する、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項16】
塗料組成物が、水系塗料組成物である、請求項1に記載の塗料組成物。

【公表番号】特表2008−534712(P2008−534712A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502970(P2008−502970)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/043661
【国際公開番号】WO2006/101543
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(591020700)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (53)
【氏名又は名称原語表記】BASF Corporation
【Fターム(参考)】