説明

顔料分散剤およびその使用

【課題】顔料濃度が高い場合にも異物の発生、粘度の増大および貯蔵安定性の低下が防止され、優れた透明性および色品位を有するカラーフィルターの製造が可能な顔料分散剤を提供すること。
【解決手段】下記の一般式(I)で表される化合物を含むことを特徴とする顔料分散剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料分散剤、液晶カラーディスプレイや撮像素子などの製造に使用されるカラーフィルター用着色組成物およびこれを用いたカラーフィルターに関する。さらに詳しくは、顔料分散性、透明性、流動性や貯蔵安定性に優れたカラーフィルター用着色組成物およびこれを用いたカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイなどに使用されるカラーフィルターは、現在フォトレジストに顔料を分散させた着色組成物を、スピンコート法、コーティング法、或いは転写法により基板に塗布後、フォトマスクを介して露光および現像して画素を形成させる方法により主に作製されている。その際、赤色画素形成用の顔料として、通常、アントラキノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料および縮合アゾ系顔料が用いられているが、該顔料を樹脂および溶剤などとともに、通常の分散機で分散させるだけでは、顔料が充分に分散しないことから、該分散液(「カラーフィルター用着色組成物」を意味する場合がある)をカラーフィルターの着色画素(以下単に「画素」という)の形成に使用すると、得られる赤色画素は透明性に欠け、該画素は、カラーフィルターとして透過率が不十分であり、上記赤色顔料はカラーフィルター用着色組成物用の顔料としては不満足なものであった。
【0003】
また、フォトレジストに一般的に使用される樹脂としては、アルカリ水溶液がパターニングの現像液に使用できることから、酸価が高いアクリル系ポリマーが主に採用されている。しかしながら、上記の顔料と高酸価のアクリル系樹脂からなる顔料分散液では、顔料粒子の凝集が起こり、顔料分散液の粘度が高くなりやすく、また、経時で顔料分散液が増粘し、顔料分散液の貯蔵安定性が悪くなる場合が多い。
【0004】
以上のような困難さを伴う顔料分散液によりカラーフィルターを作製する場合、使用する顔料分散液をスピンコート法により基板に塗布および成膜し、その後に着色膜を画素化するが、顔料分散液の粘度が高かったり、顔料が粒子凝集してカラーフィルター用着色組成物がチクソトロピックな粘性を示す場合には、画素化前の塗布層の中央部が盛り上がるため、大画面のカラーフィルターを作製する際には基板の中央部に形成した画素と周辺部に形成した画素とは色相にむらや濃度差が発生する原因となっている。
【0005】
従って、カラーフィルター用着色組成物(顔料分散液)は、通常、顔料濃度が5〜20質量%の高濃度範囲にあるにも拘らず、その分散状態は顔料粒子同士が凝集せず、かつ一般的な常乾塗料や焼き付け塗料に比べて粘度が低く(例えば、5〜20mPa・s程度)、かつ貯蔵安定性に優れたものでなければならない。
【0006】
上記の要求を満たすために、従来、例えば、赤色顔料がジケトピロロピロール系顔料(例えば、C.I.ピグメントレッド254)の場合には、スルホン化度が1分子当たり1以上のジケトピロロピロールスルホン酸を上記顔料に添加したり、または上記顔料を上記スルホン化物で処理する方法などが提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−160084公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、液晶表示装置もパーソナルコンピューターのモニターからカラーテレビジョンのカラーディスプレイ用にと拡大し、カラーフィルターに対してもさらなる性能向上の要請が高まり、画素の透明性の改善や、画素の透過光のコントラスト比のアップや、画素中の顔料濃度を高める必要が生じてきた。
【0008】
しかしながら、上記スルホン化物を使用する方法では、顔料の分散性向上による画素の透明性の改良や、顔料濃度が高くなることによる顔料分散液の粘度の増大および貯蔵安定性の低下を防止することは困難であり、また、顔料をスルホン化する際のスルホン酸基の導入個数などの反応の制御が難しく、スルホン酸基が多く導入されたスルホン化物を分散剤として使用した場合、得られる顔料分散液中に凝集物が発生することがあり、これらの改善が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、カラーフィルター用着色組成物における上記の問題点を解決し、カラーフィルター用着色組成物の色品位の向上、低粘度化および凝集物の発生防止を可能にするべく鋭意研究した結果、スルホン酸基を持つ縮合アゾ化合物を顔料分散剤として使用することにより、カラーフィルター用着色組成物の低粘度化が達成でき、かつ貯蔵時の該着色用組成物の増粘ゲル化を防止でき、かつ凝集物の発生を防止するとともに、カラーフィルターとして最も重要な画素の透明性も向上させることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、下記の一般式(I)で表される化合物を含むことを特徴とする顔料分散剤を提供する。

【0011】
上記本発明の分散剤は、前記一般式(I)で表される化合物を主成分とし、下記一般式(II)および/または一般式(III)で表される化合物を含んでもよい。


【0012】
また、本発明は、下記一般式(IV)で表される化合物1モル当たり、スルホン酸基を1個以上有する1モルの芳香族アミンまたは複素環アミンのジアゾニウム塩をカップリングさせた後、スルホン酸基を有さない1モルの芳香族アミンまたは複素環アミンのジアゾニウム塩をカップリングさせることを特徴とする前記一般式(I)で表される化合物を含む顔料分散剤の製造方法を提供する。

(但し、上記一般式(I)〜(IV)において、Xはスルホン酸基を1個以上有しかつ置換基を有していてもよい芳香族環基または複素環基であり、Yはスルホン酸基以外の置換基を有していてもよい芳香族環基または複素環基であり、Zはスルホン酸基以外の置換基を有していてもよい芳香族環基または複素環基である。)
【0013】
上記本発明においては、特にYが、4−スルホフェニル基であり、Xが、2−クロル−5−トリフロオロメチルフェニル基または2,5−ジクロロフェニル基であり、Zが、スルホン酸基以外の置換基を有してもよいフェニル基またはビフェニル基であることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、顔料と前記本発明の顔料分散剤と樹脂系分散剤と樹脂ワニスとを含むことを特徴とするカラーフィルター用着色組成物を提供する。上記顔料としては、例えば、溶性・不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インジゴ・チオインジゴ系顔料およびフタロシアニン系顔料から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。特に好ましい顔料は、C.I.ピグメントレッド(PR)254、PR242、PR177、PR122、PR146、PR166、PR224、C.I.ピグメントバイオレット(PV)19、PV23、C.I.ピグメントブルー(PB)15:6、PB15:3およびPB60から選ばれる少なくとも1種である。また、上記樹脂系分散剤はカチオン性樹脂系分散剤であることが好ましい。
【0015】
また、本発明は、カラーフィルター用基板に着色画素を形成する工程を含むカラーフィルターの製造方法において、上記着色画素を、前記本発明のカラーフィルター用着色組成物を使用して形成することを特徴とするカラーフィルターの製造方法、該方法で形成されたカラーフィルター、該カラーフィルターを装備している画像表示装置および該画像表示装置を装備している情報伝達機器を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、特定の顔料分散剤をカラーフィルターの、特に赤色、紫色および青色画素形成用着色組成物の分散剤として使用することにより、カラーフィルター用着色組成物を安定に製造することができ、凝集物の発生を防止し、また、最終的にカラーフィルター用着色組成物として使用される際にも、優れた分光カーブ特性を有し、鮮明で冴えた、透明感の高い、しかも耐光性、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性および耐水性などの諸堅牢性に優れた画素を有するカラーフィルターを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に本発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の分散剤は、スルホン酸基を持つ縮合アゾ構造を有することに特徴があり、本発明の分散剤は種々の顔料に対する優れた親和性を有しており、広範囲の顔料に使用可能である。また、本発明の分散剤は優れた顔料分散効果を有していることより、カラーフィルターの製造に使用される着色組成物の製造に使用することができる。
【0018】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物を含む分散剤は以下の如く方法で製造することが好ましい。すなわち、先ず、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の酸クロライド化物を、スルホン酸基以外の置換基を有していてもよいジアミノ芳香族化合物またはジアミノ複素環化合物とをニトロベンゼンなどの不活性な溶媒中、110〜180℃で反応させ前記一般式(IV)で表される化合物を生成させる。該化合物を好ましくはアルカリメタノール中に溶解・分散させ、カップリング成分とし、該カップリング成分約1モル当たり、約1モルのスルホン酸基を有する芳香族アミンまたは複素環アミン(第一アミン)を常法によりジアゾ化し、該ジアゾニウム化合物をカップリングさせ、次いで約1モルのスルホン酸基以外の置換基を有していてもよい芳香族アミンまたは複素環アミン(第二アミン)を常法によりジアゾ化し、該ジアゾニウム化合物をカップリングさせることによって得ることができる。
【0019】
上記方法において第二アミンを最初にジアゾ化およびカップリングすると、前記一般式(I)で表される化合物の収率が低い。また、第一アミンおよび第二アミンを同時にジアゾ化およびカップリングした場合にも、前記一般式(I)で表される化合物の生成率が低い。本発明では、第一アミンおよび第二アミンを順次ジアゾ化およびカップリングすることにより、前記一般式(I)で表される化合物の生成率を向上させることができるので好ましい。
【0020】
本発明の分散剤は上記方法で得られるが、生成物中には前記一般式(II)および/または前記一般式(III)で表される化合物(以下、副生物という)が少量含まれる可能性があるが、これらの副生物を分離することなく、上記生成物を顔料分散剤として使用することができる。また、本発明の分散剤は、そのスルホン酸基がフリーであってもよいし、スルホン酸基が塩基との塩の形態であってもよい。
【0021】
前記第一アミンとしては、例えば、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、スルファニル酸、2−クロロアニリン−3−スルホン酸、4−クロロアニリン−2−スルホン酸、4−クロロアニリン−3−スルホン酸、2,5−ジクロロアニリン−4−スルホン酸、2−ニトロアニリン−4−スルホン酸、2−アミノフェノール−4−スルホン酸、o−アニシジン−5−スルホン酸、p−アニシジン−5−スルホン酸、o−トルイジン−4−スルホン酸、m−トルイジン−4−スルホン酸、p−トルイジン−2−スルホン酸、2−クロロ−p−トルイジン−3−スルホン酸、2−クロロ−p−トルイジン−5−スルホン酸、4−クロロ−m−トルイジン−2−スルホン酸、3−アミノ−6−クロロトルエン−4−スルホン酸、3−アミノ−6−クロロ−4−スルホ安息香酸、1−アミノ−8−ナフタレンスルホン酸、2−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、4−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、5−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、6−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、5−アミノ−3−ナフタレンスルホン酸、4−アミノ−5−ヒドロキシ−2,7−ナフタレンジスルホン酸、1−アミノ−2−ヒドロキシ−4−ナフタレンスルホン酸、6−アミノ−4−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸、7−アミノ−4−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸、1−アミノ−2−アントラキノンスルホン酸、1−アミノ−5−アントラキノンスルホン酸、1−アミノ−8−アントラキノンスルホン酸、3−アミノカルバゾールスルホン酸、9−アミノアクリジンスルホン酸、6−アミノインダゾールスルホン酸などが挙げられる。特に好ましい第一アミンはスルファニル酸である。
【0022】
また、前記第二アミンとしては、例えば、アニリン、トルイジン(o−、m−またはp−)、2,4−キシリジン、3,4−キシリジン、p−クレシジン、アニシジン(o−、m−またはp−)、アミノフェノール(o−、m−またはp−)、アントラニル酸、p−アミノ安息香酸、ニトロアニリン(o−、m−またはp−)、クロロアニリン(o−、m−またはp−)、2,5−ジクロロアニリン、3,4−ジクロロアニリン、3,5−ジクロロアニリン、2,4,5−トリクロロアニリン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、5−クロロ−2−ニトロアニリン、2,6−ジクロロ−4−ニトロアニリン、o−フルオロアニリン、2,4−ジフルオロアニリン、m−トリフルオロメチルアニリン、2−クロロ−5−トリフルオロメチルアニリン、2−アミノチオフェノール、2−アミノ−5−ニトロベンゾニトリル、2−アミノ−3−ブロモ−5−ニトロベンゾニトリル、ジフェニルアミン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、3−アミノ−9−エチルカルバゾール、2−アミノチアゾール、2−アミノ−5−ニトロチアゾール、2−アミノベンゾチアゾール、2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾール、1−アミノアントラキノン、2−アミノアントラキノン、o−(フェニルスルホニル)アニリン、2−エチルスルホニル−5−トリフルオロメチルアニリン、4−ベンジルスルホニル−o−アニシジン、o−アニシジン−4−スルホンジエチルアマイド、o−アニシジン−4−スルホンエチル、6−ベンズアミド−m−4−キシリジン、4,4−ジクロロ−2−アミノジフェニルエーテル、4−ベンズアミド−2,5−ジメトキシアニリン、9−アミノアクリジン、6−アミノインダゾールなどが挙げられる。特に好ましい第二アミンは2,5−ジクロロアニリンおよび2−クロロ−5−トリフルオロメチルアニリンである。
【0023】
一般式(I)で表される化合物の製造に使用されるジアミノ芳香族化合物としては、フェニレンジアミン(o−、m−またはp−)、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン、2−メチル−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミン、2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミン、2−ニトロ−1,4−フェニレンジアミン、2−シアノ−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、2−クロロ−5−メチル−1,4−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、3,4−ジアミノトルエン、6−クロロ−1,3−フェニレンジアミン、5−クロロ−1,2−フェニレンジアミン、3,4−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノクロロベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、o−トリジン、m−トルイレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジンなどが挙げられる。特に好ましいジアミノ芳香族化合物はフェニレンジアミン(o−、m−またはp−)、2,5−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミンおよび3,3’−ジクロロベンジジンである。
【0024】
また、前記一般式(I)で表される化合物のスルホン酸基が塩基との塩である場合の塩基としては、例えば、Li、NaおよびKなどのアルカリ金属;Ca、Ba、Al、Mn、Sr、MgおよびNiなどの多価金属;アンモニア;(モノ、ジまたはトリ)アルキルアミン類、置換または未置換のアルキレンジアミン類、アルカノールアミン類およびアルキルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
【0025】
本発明のカラーフィルター用着色組成物は、顔料、前記の顔料分散剤、樹脂系分散剤および樹脂ワニスから構成される。本発明で使用する顔料は、赤色顔料としてはジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、縮合アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料などが挙げられる。ジケトピロロピロール系顔料としては、PR254などが、アントラキノン系顔料としては、PR177などが、縮合アゾ系顔料としては、PR242、PR166などが、キナクリドン系顔料としては、PR122、PV19、ペリレン系顔料としては、PR224などが挙げられる。特に好ましい赤色顔料はPR254、PR242、PR177、PR122およびPR224から選ばれる少なくとも1種である。
【0026】
これらの顔料はそれぞれ単独で使用してもよいし、2種類以上混合してもよい。その際、色補正のため、黄色顔料などを配合してもよい。このような黄色顔料としては、イソインドリン顔料(C.I.ピグメントイエロー(PY)139)、キノフタロンイエロー顔料(PY138)、金属錯体顔料(PY150)、ジスアゾイエロー顔料(PY83)などを用いることができる。上記赤色顔料の使用量は特に限定されないが、通常、後述の樹脂ワニスの樹脂バインダー100質量部に対し5〜500質量部の割合で使用される。
【0027】
前記顔料分散剤の顔料に対する配合割合は、顔料100質量部に対して、0.05〜40質量部の割合が好ましく、さらに好ましくは0.1〜10質量部の割合である。分散剤の配合割合が少なすぎると、目的とする分散剤の効果が十分に得られにくくなる。また、分散剤の配合割合が多すぎると、多く用いただけの効果が得られず、逆にその結果得られるカラーフィルター用着色組成物の諸物性の低下をもたらし、さらには、分散剤自体の持つ色によって、分散されるべき顔料の色相が大きく変化してしまう。
【0028】
本発明で用いられる樹脂系分散剤としては、公知の分散剤が使用でき、特にカチオン性樹脂系分散剤が好ましい。カチオン性樹脂系分散剤としては、例えば、BYK(ビッグ)ケミー社(ドイツ)の商品名:DISPER BYK−160、同161、同162、同163、同164、同166、同171、同182、同184、同2000、同2001、同2070、同2150;EFKA社(オランダ)の商品名:EFKA−44、同46、同47、同48、同4010、同4050、同4055、同4020、同4015、同4060、同4300、同4330、同4400、同4406、同4510、同4800;Avecia社(イギリス)の商品名:SOLSPERS−24000、同32550、NBZ−4204/10;川研ファインケミカル社の商品名:ヒノアクトT−6000、同7000、同8000;味の素社の商品名:アジスパーPB−821、同822、同823;共栄社化学社の商品名:フローレンDOPA−17HF、同15BHF、同33、同44などが挙げられる。
【0029】
本発明で用いる樹脂系分散剤の添加量としては、特に限定されるわけではないが、好ましくは顔料100質量部に対して2〜100質量部であり、より好ましくは10〜50質量部である。樹脂系分散剤の添加量が2質量部より少ないと良好な顔料分散安定性が得られず、100質量部より多いと、本発明のカラーフィルター用着色組成物から形成される被膜の現像性が不良となる場合がある。
【0030】
本発明において顔料を分散させる分散媒体としての樹脂ワニスとしては、従来からカラーフィルター用着色組成物に使用されている公知の樹脂ワニスがいずれも使用でき、特に限定されない。また、分散媒体として樹脂ワニスとしては適切な溶剤または水系媒体が使用される。また、必要に応じて従来公知の添加剤、例えば、分散助剤、平滑化剤および密着化剤などが適宜添加使用される。
【0031】
樹脂ワニスとしては、感光性樹脂ワニスと非感光性樹脂ワニスが使用される。感光性樹脂ワニスとしては、例えば、紫外線硬化性インキや電子線硬化インキなどに用いられる感光性樹脂ワニスが挙げられ、非感光性樹脂ワニスとしては、例えば、凸版インキ、平版インキ、凹版グラビアインキおよび孔版スクリーンインキなどの印刷インキに使用する樹脂ワニス、インクジェットプリンティングに使用する樹脂ワニス、電着塗装に使用する樹脂ワニス、電子印刷や静電印刷の現像剤に使用する樹脂ワニス、熱転写フィルムまたはリボンに使用する樹脂ワニスなどが挙げられる。
【0032】
感光性樹脂ワニスの具体例としては、例えば、感光性環化ゴム系樹脂、感光性フェノール系樹脂、感光性ポリアクリレート系樹脂、感光性ポリアミド系樹脂、感光性ポリイミド系樹脂など、および不飽和ポリエステル系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリエポキシアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、ポリエーテルアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂などのワニス、或いはこれらにさらに反応性希釈剤としてモノマーが加えられたワニスが挙げられる。上記感光性樹脂ワニスの中で好適な樹脂としては、分子中にフリーのカルボン酸基を有するアルカリ現像可能なアクリレート系の樹脂が望ましい。
【0033】
非感光性樹脂ワニスの具体例としては、例えば、セルロースアセテート系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、スチレン系(共)重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アミノ樹脂変性ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリルポリオールウレタン系樹脂、可溶性ポリアミド系樹脂、可溶性ポリイミド系樹脂、可溶性ポリアミドイミド系樹脂、可溶性ポリエステルイミド系樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、スチレン−マレイン酸エステル系共重合体の水溶性塩、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体の水溶性塩、水溶性アミノアルキッド系樹脂、水溶性アミノポリエステル系樹脂および水溶性ポリアミド系樹脂などが挙げられ、これらは単独或いは2種以上を組み合わせて使用される。
【0034】
本発明の上記の各成分から構成される着色組成物の製造方法は、特に制限されないが、例えば、下記の方法などが挙げられる。
(イ)硫酸などに顔料および顔料分散剤を溶解した後、水中に析出させ、両者を固溶体にして、カチオン性樹脂系分散剤とともに樹脂ワニスに添加して練肉する方法。
(ロ)水または有機溶媒中に顔料を均一に懸濁させ、該懸濁液に顔料分散剤を含有する溶液を添加し、上記顔料粒子表面に顔料分散剤を沈着させたものをカチオン性樹脂系分散剤とともに樹脂ワニスに加えて練肉する方法。
(ハ)顔料、顔料分散剤およびカチオン性樹脂系分散剤をアトライターやボールミルなどの湿式媒体分散機で微分散し、樹脂ワニスに添加して練肉する方法。
(ニ)樹脂ワニス中に顔料、顔料分散剤およびカチオン性樹脂系分散剤をプレミキシング時に添加し、湿式媒体分散機で分散処理する方法。
【0035】
本発明のカラーフィルター用着色組成物を用いてカラーフィルターを製造するに際しては、樹脂ワニスとして感光性の樹脂ワニスを使用する場合には、該組成物にベンゾインエーテルやベンゾフェノンなどの従来公知の光重合開始剤を加え、従来公知の方法で練肉して調製した感光性着色組成物を使用するまた、上記の光重合開始剤に代えて熱重合開始剤を使用して熱重合性着色組成物として使用することもできる。
【0036】
上記の感光性着色組成物を用いて基板上にカラーフィルターの画素を形成する場合には、透明基板上に該感光性着色組成物を、例えば、スピンコーター、低速回転コーター、ロールコーターまたはナイフコーターなどを用いて全面コーティングを行うか、或いは各種の印刷方法による全面印刷または画素よりやや大きな部分印刷を行い、予備乾燥後フォトマスクを密着させ、超高圧水銀灯を使用して露光を行って画素を焼き付けする。次いで現像および洗浄を行い、必要に応じポストベークを行うことによりカラーフィルターの画素を形成することができる。これらのカラーフィルターの画素形成方法自体は公知であり、本発明においてはカラーフィルターの画素形成方法は特に限定されない。
【0037】
非感光性の樹脂ワニスを使用した本発明のカラーフィルター用着色組成物(非感光性着色組成物)を用いてカラーフィルターの画素を形成する場合には、透明基板上に該非感光性着色組成物を、例えば、カラーフィルター用印刷インキとして上記した各種の印刷方法にて直接基板に画素を印刷する方法、カラーフィルター用水性電着塗装組成物として電着塗装により基板に画素を形成する方法、インクジェット用インキとしてインクジェットプリンティングにより基板に画素を形成する方法、電子印刷方法や静電印刷方法を用いたり、或いは転写性基材に上記の方式などで一旦画素を形成させてからカラーフィルター用基板に転写する方法などが挙げられる。次いで常法に従い、必要に応じてベーキングを行ったり、表面平滑化のための研磨を行ったり、表面保護のためのトップコーティングを行う。また、常法に従いブラックマトリックスを形成させて、RGBの各画素を有するカラーフィルターを得ることができる。これらのカラーフィルターの製造方法自体は公知であり、本発明においてはカラーフィルターの製造方法は特に限定されない。
【実施例】
【0038】
次に合成例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中「部」または「%」とあるのは質量基準である。
[合成例1]
常法により、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸60部をニトロベンゼン400部中において、塩化チオニル40部を用いて酸クロライド化し、2,5−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミン25部を加え130〜135℃で5時間加熱する。冷却後、メタノール200部を加え、ろ過しメタノール、次いで水で洗浄、乾燥し、反応生成物60部を得た。
【0039】
上記反応生成物10部(0.02モル)に、メタノール100部、水酸化ナトリウム3部、酢酸ナトリウム3水和物11部を加えて下漬液とする。スルファニル酸3.5部(0.02モル)を常法によりジアゾ化し、上記下漬液にカップリングさせ、1時間後、2−クロロ−5−トリフルオロメチルアニリンを4.3部(0.022モル)を常法によりジアゾ化し、カップリングさせ、硫黄の元素分析の結果より1分子あたり平均1個のスルホン酸基が導入されている下記式で表される化合物を主成分とする顔料分散剤(A)15部を得た。
【0040】

【0041】
上記反応生成物中には、下記式で表される副生物が少量含まれている可能性があるが、これらの式で表される副生物の分離は不要であった。


【0042】
[合成例2]
合成例1の2,5−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミン25部の代わりに3,3’−ジクロロベンジジン35部を使用する以外は合成例1と同様にして、硫黄の元素分析の結果より1分子あたり平均1個のスルホン酸基が導入されている顔料分散剤(B)15部を得た。
【0043】

上記反応生成物中には、下記式で表される副生物が少量含まれている可能性があるが、これらの式で表される副生物の分離は不要であった。
【0044】


【0045】
[合成例3]
常法により、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸60部をニトロベンゼン400部中、塩化チオニル40部を用いて酸クロライド化し、1,4−フェニレンジアミン17部を加え130〜135℃で5時間加熱する。冷却後、メタノール200部を加え、ろ過しメタノール、次いで水で洗浄、乾燥し、反応生成物57部を得た。このうちの10部(0.022モル)に、メタノール100部、水酸化ナトリウム3部、酢酸ナトリウム3水和物11部を加えて下漬液とする。スルファニル酸3.9部(0.022モル)を常法によりジアゾ化し、上記下漬液にカップリングさせ、1時間後、2,5−ジクロロアニリンを4部(0.025モル)を常法によりジアゾ化し、カップリングさせ硫黄の元素分析の結果より1分子あたり平均1個のスルホン酸基が導入されている下記式で表される顔料分散剤(C)16部を得た。
【0046】

上記反応生成物中には、下記式で表される副生物が少量含まれている可能性があるが、これらの式で表される副生物の分離は不要であった。
【0047】


【0048】
[実施例1]
アクリル樹脂ワニス(メタクリル酸/ブチルアクリレート/スチレン/ヒドロキシエチルアクリレートを25/50/15/10のモル比で共重合させたもの、分子量12,000、固形分30%)50部にPR254を20部、合成例1で得られた顔料分散剤(A)を1部、カチオン性樹脂系分散剤を4部および溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)(以下PGMAcと略す)を20部配合し、プレミキシングの後、横型ビーズミルで分散し赤色のカラーフィルター用着色組成物を得た。
【0049】
[実施例2、3]
実施例1の顔料分散剤(A)の代わりにそれぞれ合成例2、3で得られた顔料分散剤(B)、(C)を使用し、その他は実施例1と同様にして、表1に記載の顔料と分散剤との組み合わせの2種の赤色のカラーフィルター用着色組成物を得た。
【0050】
[実施例4〜6]
実施例1のPR254の代わりに、PR177を使用し、それぞれ合成例1〜3で得られた顔料分散剤(A)〜(C)を使用し、その他は実施例1と同様にして、表1に記載の顔料と分散剤との組み合わせの3種の赤色のカラーフィルター用着色組成物を得た。
【0051】
[実施例7〜9]
実施例1のPR254の代わりに、PR242を使用し、それぞれ合成例1〜3で得られた顔料分散剤(A)〜(C)を使用し、その他は実施例1と同様にして、表1に記載の顔料と分散剤との組み合わせの3種の赤色のカラーフィルター用着色組成物を得た。
【0052】
[実施例10〜12]
実施例1のPR254の代わりに、PR122を使用し、それぞれ合成例1〜3で得られた顔料分散剤(A)〜(C)を使用し、その他は実施例1と同様にして、表1に記載の顔料と分散剤との組み合わせの3種の赤色のカラーフィルター用着色組成物を得た。
【0053】
[実施例13〜15]
実施例1のPR254の代わりに、PR224を使用し、それぞれ合成例1〜3で得られた顔料分散剤(A)〜(C)を使用し、その他は実施例1と同様にして、表1に記載の顔料と分散剤との組み合わせの3種の赤色のカラーフィルター用着色組成物を得た。
【0054】
[比較例1〜5]
顔料分散剤(A)を使用しない以外は、実施例1、4、7、10、13と同様にして、表1に記載の顔料を用いて5種の赤色のカラーフィルター用着色組成物を得た。
【0055】
上記の実施例1〜15のカラーフィルター用着色組成物の流動性と展色面のグロスおよび凝集物発生の有無を比較例1〜5の場合と比較した。カラーフィルター用着色組成物の流動性と展色面のグロスおよび凝集物発生の有無の観察は、下記の方法に従って測定し、製造直後と室温で1ヶ月間貯蔵後について比較例の場合と相対評価を行った。
【0056】
流動性(粘度変化):製造直後と25℃で1ヶ月貯蔵後の実施例および比較例の着色組成物の粘度(mPa・s)を、E型粘度計を用い、室温(25℃)、ローターの回転数6rpmの条件で測定した。
【0057】
グロス:製造直後と25℃で1ヶ月貯蔵後の実施例および比較例の着色組成物を、バーコーター(巻線の太さ0.45mm)を使用して、ポリプロピレンフィルムに展色し、展色面のグロスを目視およびグロスメーターにて比較した。なおグロスの高いものを良好とし、下記の指標で表示した。
○:良好
△:やや良好
×:不良
【0058】
凝集物観察:製造直後と25℃で1ヶ月貯蔵後の実施例および比較例の着色組成物を、スピンナーでガラス基板に塗布し、90℃で2分乾燥後、顕微鏡を用いて200倍で、凝集物の有無を観察し、下記の指標で表示した。
○:凝集物なし
△:わずかに凝集物あり
×:凝集物あり
以上の結果を表1に示す。
【0059】

【0060】
表1から明らかなように、顔料分散剤(A)〜(C)を使用した実施例1〜15のカラーフィルター用着色組成物は、顔料分散剤を使用しない比較例1〜5の該組成物に比べて、製造直後および貯蔵後の粘度(1ヶ月後)が低く、グロスも良好で、製造直後および1ヶ月後も凝集物の発生がなく、カラーフィルター用着色組成物として優れた性質を有していた。
【0061】
[参考例1]
実施例1で使用したアクリル樹脂ワニス50部に臭塩素化フタロシアニングリーン(C.I.ピグメントグリーン36)17部、キノフタロンイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー138)13部、顔料分散剤としてモノスルホン化キノフタロンイエロー2部、カチオン性樹脂系分散剤4部およびPGMAc20部を配合し、プレミキシングの後、横型ビーズミルで分散し、緑色のカラーフィルター用着色組成物を得た。
【0062】
[参考例2]
実施例1で使用したアクリル樹脂ワニス50部にε型銅フタロシアニンブルー(C.I.ピグメントブルー15:6)16部、ジオキサジンバイオレット(C.I.ピグメントバイオレット23)4部、顔料分散剤としてモノスルホン化フタロシアニンブルー2部、モノスルホン化インダントロン1部、カチオン性樹脂系分散剤4部およびPGMAc20部を配合し、プレミキシングの後、横型ビーズミルで分散し、青色のカラーフィルター用着色組成物を得た。
【0063】
[実施例16]
RGBのカラーフィルターを作製するために、下記の表2の配合処方によりR、GおよびBのカラーフィルター用着色組成物を得た。
【0064】

【0065】
シランカップリング剤処理を行ったガラス基板をスピンコーターにセットし、表2のRのカラーフィルター用着色組成物を最初300rpmで5秒間、次いで1,200rpmで5秒間の条件でスピンコートした。次いで80℃で10分間プリベークを行い、モザイク状の画素を有するフォトマスクを密着させ、超高圧水銀灯を用い100mJ/cm2の光量で露光を行った。次いで専用現像液および専用リンスで現像および洗浄を行い、ガラス基板上に赤色のモザイク状画素を形成させた。引き続いて緑色モザイク状画素および青色モザイク状画素を表2のGおよびBのカラーフィルター用着色組成物を用いて上記の方法に準じて塗布および焼き付けを行って形成し、RGBの各画素を有するカラーフィルターを得た。得られたカラーフィルターは優れた分光カーブ特性を有し、各画素の耐光性や耐熱性などの堅牢性に優れ、また、光の透過性にも優れた性質を有し、液晶カラーディスプレイ用カラーフィルターとして優れた性質を示した。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上の本発明によれば、特定の分散剤を、カラーフィルターの赤色画素形成用着色組成物の分散剤として使用することにより、カラーフィルター用着色組成物も安定に製造することができ、凝集物の発生を防止し、また、最終的にカラーフィルター用着色組成物として使用される際にも、優れた分光カーブ特性を有し、鮮明で冴えた、透明感の高い、しかも耐光性、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性および耐水性などの諸堅牢性に優れた画素を有するカラーフィルターを得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(I)で表される化合物を含むことを特徴とする顔料分散剤。

(但し、式中のXはスルホン酸基を1個以上有しかつ置換基を有していてもよい芳香族環基または複素環基であり、Yはスルホン酸基以外の置換基を有していてもよい芳香族環基または複素環基であり、Zはスルホン酸基以外の置換基を有していてもよい芳香族環基または複素環基である。)
【請求項2】
Yが、4−スルホフェニル基であり、Xが、2−クロル−5−トリフロオロメチルフェニル基または2,5−ジクロロフェニル基であり、Zが、スルホン酸基以外の置換基を有してもよいフェニル基またはビフェニル基である請求項1に記載の顔料分散剤。
【請求項3】
前記一般式(I)で表される化合物を主成分とし、下記一般式(II)および/または一般式(III)で表される化合物を含んでもよい請求項1に記載の顔料分散剤。


(但し、式中のXはスルホン酸基を1個以上有しかつ置換基を有していてもよい芳香族環基または複素環基であり、Yはスルホン酸基以外の置換基を有していてもよい芳香族環基または複素環基であり、Zはスルホン酸基以外の置換基を有していてもよい芳香族環基または複素環基である。)
【請求項4】
Yが、4−スルホフェニル基であり、Xが、2−クロル−5−トリフロオロメチルフェニル基または2,5−ジクロロフェニル基であり、Zが、スルホン酸基以外の置換基を有してもよいフェニル基またはビフェニル基である請求項3に記載の顔料分散剤。
【請求項5】
下記一般式(IV)で表される化合物1モル当たり、スルホン酸基を1個以上有する1モルの芳香族アミンまたは複素環アミンのジアゾニウム塩をカップリングさせた後、スルホン酸基を有さない1モルの芳香族アミンまたは複素環アミンのジアゾニウム塩をカップリングさせることを特徴とする前記一般式(I)で表される化合物を含む顔料分散剤の製造方法。

(但し、式中のZはスルホン酸基以外の置換基を有していてもよい芳香族環基または複素環基である。)
【請求項6】
顔料と請求項1に記載の顔料分散剤と樹脂系分散剤と樹脂ワニスとを含むことを特徴とするカラーフィルター用着色組成物。
【請求項7】
顔料が、溶性・不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インジゴ・チオインジゴ系顔料およびフタロシアニン系顔料から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載のカラーフィルター用着色組成物。
【請求項8】
顔料が、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド122、
C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー15:3およびC.I.ピグメントブルー60から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載のカラーフィルター用着色組成物。
【請求項9】
樹脂系分散剤が、カチオン性樹脂系分散剤である請求項6に記載のカラーフィルター用着色組成物。
【請求項10】
カラーフィルター用基板に着色画素を形成する工程を含むカラーフィルターの製造方法において、上記着色画素を、請求項6に記載のカラーフィルター用着色組成物を使用して形成することを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法で形成されたことを特徴とするカラーフィルター。

【公開番号】特開2006−321979(P2006−321979A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93662(P2006−93662)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000002820)大日精化工業株式会社 (387)
【Fターム(参考)】