説明

顔料分散液、カラーフィルタ用着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置

【課題】得られる画素の輝度が高く、且つ厚み方向の位相差を低減しうる着色樹脂組成物の1成分となる顔料分散液の提供。
【解決手段】C.I.(カラーインデックス)ピグメントイエロー138を含有する顔料、溶剤、分散剤及び式(1)で表される化合物を添加剤として含む顔料分散液。


(式中、Aは、置換基を有していてもよい含窒素縮合環基を表し、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基等表す。nは、0〜5の整数を表す。Xは、直接結合、又は2価の基を表し、Zは、含窒素飽和複素環基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料分散液、着色樹脂組成物(以下、「レジスト」と称することがある。)、カラーフィルタ、並びに液晶表示装置及び有機EL表示装置に関する。
従来、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタを製造する方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法等が知られている。中でも、分光特性、耐久性、パターン形状及び精度等の観点から、平均的に優れた特性を有する顔料分散法が最も広範に採用されている。
【0002】
近年、液晶表示装置においては、大型テレビやノートパソコン向けとして、省電力化及び高輝度化が要求されており、カラーフィルタにおいては更なる高透過率化及び高コントラスト化が望まれている。特に、省電力化の観点から、高透過率化の流れが一段と強まっている。
一般的に高輝度化の支配的要因としては顔料種の選定およびその微粒化・分散工程である。即ち、高い透過性を有する顔料を高度に微粒化し、更に顔料の粒度分布を粒子サイズの小さい領域で狭く制御して分散することで高輝度化が達成可能となる。
近年、黄色顔料ではキノフタロン系顔料であるC.I.(カラーインデックス)ピグメントイエロー138が高い透過性を有しており注目されている。しかしながら、C.I.ピグメントイエロー138は、高度に微粒化すると、分散時に微細粒子同士の凝集力が強まり、分散体の粘度安定性確保が著しく困難になるという課題を有していた。
【0003】
この課題に対して、例えば、特許文献1では、キノフタロン骨格にスルホン酸基を付加させた化合物とアルカリ金属を除く金属との対イオンである顔料誘導体について開示されている。また、特許文献2では、キノフタロン骨格にスルホ基を含有させた顔料誘導体について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−39307号公報
【特許文献2】特開2011−118219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の化合物であっても、顔料、特に、C.I.ピグメントイエロー138を高度に微粒化した場合に、顔料分散液の粘度安定性の確保が困難であることを見出した。
尚、顔料を微粒化した際に粘度安定性が確保されていないと、組成物の増粘による製造上の歩留まり悪化が生じ易くなってしまう。
【0006】
ここで、本発明は、顔料、特にC.I.ピグメントイエロー138を高度に微粒化した場合にでも、粘度安定性に優れ、製造上の歩留まりが生じ難い顔料分散液を提供することを課題とする。
更に、本発明は、前記顔料分散液を含む着色樹脂組成物、該着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有するカラーフィルタ、並びに該カラーフィルタを有する液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の化合物を添加剤に含有することで、上記課題を解決しうることを見出して本発明に到達した。
即ち、本発明は、(A)顔料、(B)溶剤、(D)分散剤及び添加剤を含有し、該(A)顔料が、C.I.(カラーインデックス)ピグメントイエロー138(以下、「Y138」と称する場合がある)を含有し、且つ、該添加剤が下記式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」と称する場合がある)を含むことを特徴とする顔料分散液、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置に存する。
【0008】
【化1】

【0009】
(上記式(1)中、Aは、置換基を有していてもよい含窒素縮合環基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族環基を表す。
nは、0〜5の整数を表す。
Xは、直接結合、又は下記<2価の連結基群>から選ばれる2価の基を表す。
<2価の連結基群>
【0010】
【化2】

【0011】
(上記式中、*は、連結部位を表す。)
Zは、含窒素飽和複素環基を表す。)
【発明の効果】
【0012】
本発明は、顔料、特に特にY138を高度に微粒化した場合にでも、粘度安定性に優れ、製造上の歩留まりが生じ難い顔料分散液を提供することが可能となる。
更に、本発明は、前記顔料分散液を含む着色樹脂組成物、該着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有するカラーフィルタ、並びに該カラーフィルタを有する液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のカラーフィルタを有する有機EL素子の一例を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の構成要件及び実施の形態等について詳細に説明するが、これらは本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に限定されるものではない。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」等は「アクリル及びメタクリルのうち少
なくとも一つ」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリレート及びメタクリレートのうち少なくとも一つ」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及びメタクリル酸のうち少なくとも一つ」を意味するものとする。
【0015】
又、「全固形分」とは、顔料分散液又は着色樹脂組成物に含まれる、後記する溶剤成分以外の全成分を意味するものとする。
本発明において、特に断りの無い限り、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を指す。「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0016】
更に、本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表される値である。尚、測定方法については後述する。一方、「酸価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算の酸価を表し、中和滴定することで算出する。
本発明において、「芳香族環」とは「芳香族炭化水素環」及び「芳香族複素環」の双方を示すものとする。
【0017】
<顔料分散液>
本発明の顔料分散液は、(A)顔料、(B)溶剤、(D)分散剤及び添加剤を含有し、該(A)顔料が、Y138を含有し、且つ、該添加剤が化合物(1)を含む。
以下、先ず化合物(1)について詳説する。
[化合物(1)について]
【0018】
【化3】

【0019】
(上記式(1)中、Aは、置換基を有していてもよい含窒素縮合環基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族環基を表す。
nは、0〜5の整数を表す。
Xは、直接結合、又は下記<2価の連結基群>から選ばれる2価の基を表す。
<2価の連結基群>
【0020】
【化4】

【0021】
(上記式中、*は、連結部位を表す。)
Zは、含窒素飽和複素環基を表す。)
(Aについて)
は、置換基を有していてもよい含窒素縮合環基を表す。
含窒素縮合環基としては、例えば、芳香族環含有ラクタム、芳香族環含有イミド、芳香族環含有ウレアが挙げられる。
また、ラクタム、イミド又はウレアと縮合する芳香族環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などが挙げられる。
上記の置換基を含めた好ましい含窒素縮合環の例としては、下記<含窒素縮合環基群A>のものが挙げられる。
<含窒素縮合環基群A>
【0022】
【化5】

【0023】
(上記式中、*は、連結部位を表す。)
中でも、微粒化工程において望ましく無い結晶成長を抑制する目的として顔料表面に効率的に吸着させるのに、特に<含窒素縮合環基群A>で挙げられる基が好ましい。
<含窒素縮合環基群A
【0024】
【化6】

【0025】
(上記式中、*は、連結部位を表す。)
における含窒素縮合環基が有していてもよい置換基としては、例えば、下記<置換基群W>の項のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
尚、上記構造中に含まれるベンゼン環は、連結基以外に置換基を有していてもよい。
【0026】
<置換基群W>
置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基、スルファモイル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基又は置換基を有していてもよいアリールスルファモイル基、水酸基、ニトロ基、スルホ基、スルホン酸塩の基、カルボキシ基、カルボン酸塩の基、オキソ基、シアノ基及びハロゲン原子等が挙げられる。
【0027】
置換基を有していてもよいアルキル基は、置換基を含めた総炭素数が、通常1以上、通常6以下、好ましくは4以下である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基及びカルボキシ基などが挙
げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、ヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシプロピル基等の置換基を有していてもよい低級アルキル基が挙げられる。
【0028】
置換基を有していてもよいアルコキシ基は置換基を含めた総炭素数が、通常1以上、通常6以下、好ましくは3以下である。該アルコキシ基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基及びカルボキシ基などが挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、1,2−ジヒドロキシプロポキシ基等の置換基を有していてもよい低級アルコキシ基が挙げられる。
【0029】
置換基を有していてもよいアルキルアミノ基は、−NR5152で表され、R51は、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R52は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基は、置換基を含めた総炭素数が、通常1以上、通常4以下、好ましくは2以下である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基及びハロゲン原子などが挙げられる。該アルキルアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジメチルアミノ基等が挙げられる。
【0030】
置換基を有していてもよいアリールアミノ基は、−NR5354で表され、R53は、置換基を有していてもよいフェニル基又はナフチル基を表し、R54は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有していてもよいナフチル基を表す。
【0031】
前記アルキル基の置換基を含めた総炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R51及びR52のアルキル基の場合に例示したものと同様である。該フェニル基は、置換基を含めた総炭素数が、通常6以上、通常10以下、好ましくは8以下である。該ナフチル基は、置換基を含めた総炭素数が、通常10以上、通常14以下、好ましくは12以下である。該フェニル基及び該ナフチル基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基及びハロゲン原子などが挙げられる。該アリールアミノ基の具体例としては、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、フェニルメチルアミノ基、ナフチルアミノ基等が挙げられる。
【0032】
置換基を有していてもよいアシルアミノ基は、−NH−COR55で表され、R55は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該アルキル基は、置換基を含めた総炭素数が、通常1以上、通常4以下、好ましくは2以下である。該フェニル基は、置換基の炭素数が通常6以上、通常10以下、好ましくは8以下である。該ナフチル基は、置換基を含めた総炭素数が、通常10以上、通常14以下、好ましくは12以下である。該アルキル基、該フェニル基及び該ナフチル基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基及びハロゲン原子などが挙げられる。アシルアミノ基の具体例としては、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等が挙げられる。
【0033】
置換基を有していてもよいアルキルスルホニルアミノ基は、−NH−SO61で表され、R61は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の好ましい置換基を含めた総炭素数、及び有していてもよい置換基の例は、前記R51及びR52のアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アルキルスルホニルアミノ基の具体例としては、メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基等が挙げられる。
【0034】
置換基を有していてもよいアリールスルホニルアミノ基は、−NH−SO62で表
され、R62は置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該フェニル基及びナフチル基の好ましい置換基を含めた総炭素数、及び有していてもよい置換基の例は、前記R53及びR54のフェニル基及びナフチル基の場合に例示したものと同様である。該アリールスルホニルアミノ基の具体例としては、ベンゼンスルホニルアミノ基、p−トリルスルホニルアミノ基等が挙げられる。
【0035】
置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基は、−CO−NHR56で表され、R56は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の好ましい置換基を含めた総炭素数、及び有していてもよい置換基の例は、前記R51及びR52のアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アルキルカルバモイル基の具体例としては、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基等が挙げられる。
【0036】
置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基は、−CO−NHR57で表され、R57は置換基を有していてもよいフェニル基又は、置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該フェニル基及びナフチル基の好ましい置換基を含めた総炭素数、及び有していてもよい置換基の例は、前記R53及びR54のフェニル基及びナフチル基の場合に例示したものと同様である。該アリールカルバモイル基の具体例としてはフェニルカルバモイル基、ナフチルカルバモイル基等が挙げられる。
【0037】
置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基は、−SO−NHR58で表さ
れ、R58は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の好ましい置換基を含めた総炭素数、及び有していてもよい置換基の例は、前記R51及びR52のアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アルキルスルファモイル基の具体例としては、メチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基等が挙げられる。
【0038】
置換基を有していてもよいアリールスルファモイル基は、−SO−NHR59で表され、R59は置換基を有していてもよいフェニル基又は、置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該フェニル基及びナフチル基の好ましい置換基を含めた総炭素数、及び有していてもよい置換基の例は、前記R53及びR54のフェニル基及びナフチル基の場合に例示したものと同様である。該アリールスルファモイル基の具体例としてはフェニルスルファモイル基、ナフチルスルファモイル基等が挙げられる。
【0039】
スルホン酸塩の基、及びカルボン酸塩の基の塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属の塩、カルシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属の塩、アルミニウム塩、銅塩等の各種金属塩、アンモニウム塩、アルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムの塩、又は有機アミンの塩等が挙げられる。
前記アンモニウムの塩が有していてもよい置換基であるアルキル基又はヒドロキシアルキル基としては、炭素数1〜6の低級アルキル基及びヒドロキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキル基が挙げられる。
【0040】
有機アミンとしては、例えば、炭素数1〜6の低級アルキルアミン(例えば、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等)、ヒドロキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、カルボキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン(例えば、カルボキシメチルアミン、カルボキシエチルアミン、カルボキシプロピルアミン、ジカルボキシメチルアミン等)等が挙げられる。
これらの塩である場合、その種類は1種類に限られず複数種混在していてもよい。また、化合物の一分子内に複数種混在してもよいし、顔料分散液又は着色樹脂組成物中に複数種混在していてもよい。
【0041】
スルホン酸塩の基及びカルボン酸塩の基として、好ましい塩は、水に対して低溶解度が必要な場合(例えば、微粒化工程に添加するなど)には、遊離酸型であるか、カルシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩が好ましく、有機溶剤、分散剤や樹脂との親和性を持たせるためには、アンモニウム塩、置換基を有していてもよいアンモニウム塩、有機アミンの塩が好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、なかでもフッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
(Xについて)
Xは、直接結合、又は下記<2価の連結基群>から選ばれる2価の基を表す。
<2価の連結基群>
【0042】
【化7】

【0043】
(上記式中、*は、連結部位を表す。)
(nについて)
nは、0〜5の整数を表す。
(Zについて)
Zは含窒素飽和複素環基を表す。
含窒素飽和複素環基としては、脂環式炭化水素環中の1つ以上の炭素原子がヘテロ原子に置換された環が挙げられる。
特に、得られる画素の、厚み方向の位相差の低減にはヘテロ原子として窒素原子が含有されていることが好ましい。
含窒素飽和複素環基としては、下記<含窒素飽和複素環基B>から選ばれる基が好ましい。
<含窒素飽和複素環基B>
【0044】
【化8】

【0045】
(上記式中、*は、連結部位を表す。)
は、水素原子および、炭素数1〜7のアルキル基を表す。該アルキル基は、直鎖であっても分岐であってもよい。
(Rについて)
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族環基を表す。
【0046】
におけるアルキル基の炭素数は、通常1〜5、好ましくは1〜3である。前記範囲内であると、微粒化助剤として用いた場合、化合物(1)の有機溶剤に対する溶解が抑制され、顔料表面への効率的な吸着が可能である点で好ましい。
におけるアルキル基としては、炭素数が1〜3のアルキル基が分子全体の平面性を維持するために好ましい。メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプルピル基、メトキシエチル基等が挙げられる。
【0047】
におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、水酸基及びハロゲン原子等が挙げられる。
該アルコキシ基、アルキルアミノ基、アシルアミノ基の好ましい置換基を含めた総炭素数、及び有していてもよい置換基の例及び好ましい具体例は、前記<置換基群W>の項で記載したものが挙げられる。
【0048】
におけるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプルピル基、メトキシエチル基等が挙げられる。
におけるアルコキシ基の炭素数は、通常1〜5、好ましくは1〜3である。前記範囲内であると、微粒化助剤や分散助剤として用いた場合、化合物(1)の有機溶剤に対する溶解が抑制され、顔料表面への効率的な吸着が可能である点で好ましい。
におけるアルコキシ基が有していてもよい置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、水酸基及びハロゲン原子等が挙げられる。
該アルキル基、アルキルアミノ基、アシルアミノ基の好ましい置換基を含めた総炭素数、及び有していてもよい置換基の例及び好ましい具体例は、前記<置換基群W>の項で記載したものが挙げられる。
【0049】
におけるアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、1,2―ジヒドロキシプロポキシ基等が挙げられる。
における芳香族環基の炭素数は、通常6〜10である。前記範囲内であると、助剤自身の色相を長波長領域に高い透過性を有するように制御することが可能になるので好ましい。
【0050】
における芳香族環基としては、フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基又は、単環又は二環性の複素環由来の基が好ましい。複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。具体的には、ピリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ベンゾチアゾリニル基、フタルイミドイル基、ベンズイミダゾロニル基等が挙げられる。中でも顔料や分散剤と強固な水素結合が可能となる点でフタルイミドイル基、ベンズイミダゾロニル基が好ましい。
における芳香族環基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記<置換基群W>の項で記載したものが挙げられる。
の芳香族環基の好ましい置換基を含めた総炭素数、有していてもよい置換基の例及び好ましい具体例、好ましい置換基の数は、前記<置換基群W>の項で記載したものが挙げられる。
【0051】
(合成方法)
本発明における化合物(1)は、公知の方法に従って製造することができるが、例えば、ジアゾ化反応で合成することが挙げられる。
ジアゾ化反応で合成する場合、例えば、一級アミンを酸性水溶液中で亜硝酸塩(おもに亜硝酸ナトリウム)と混合させることで、速やかにジアゾニウム塩を生成させ、該当のカップラーと反応させる。
また、その他の手法としては、濃硫酸などに溶解させ、ニトロシル硫酸を用いてジアゾ
化カップリングする方法なども挙げられる。
以下に、化合物(1)の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[具体例]
【化9】

【0052】
【化10】

【0053】
(含有量)
本発明の顔料分散液又は着色樹脂組成物において、化合物(1)の含有量は、(A)顔料に対して、重量比で、通常0.01倍以上、好ましくは0.03倍以上、また通常0.25倍以下、好ましくは0.20倍以下である。
上記範囲内であると、顔料表面に充分に吸着する添加剤が存在するので、顔料同士の凝集による増粘が抑制され、本発明の効果が良好に得られる点で好ましい。
【0054】
<効果を奏する理由>
本発明の顔料分散液とすることで、Y138を高微粒化した場合であっても、得られる顔料分散液の粘度安定性が良好である理由について、下記の通り推測する。
本発明における化合物(1)は、化合物の平面性が高い。その為、Y138とπ−πスタッキングが起き易い。これにより、Y138顔料表面上に化合物(1)が吸着し、化合物(1)の末端アミノ基が、他の顔料に吸着している化合物(1)の末端アミノ基に対して立体反発を誘起することで、顔料同士の凝集を阻害する。
その結果、Y138を高微粒化した場合でも、顔料同士が凝集し難く、分散状態が良好となる為、初期・経時粘度安定性が良好である。
【0055】
[(A)顔料]
本発明の顔料分散液は、(A)顔料にY138を含有する。
また、本発明の効果を損なわない限り、(A)顔料として、その他の顔料を含有していてもよく、通常、赤色顔料、緑色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料等各種の色の顔料を含有していてもよい。
【0056】
各種顔料の化学構造としては、例えばアゾ系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料が挙げられる。これらの他に種々の無機顔料等も利用可能である。
尚、本発明に使用できる顔料は、以下にその具体例をピグメントナンバーで示すが、これら例示によって限定されるものではない。
【0057】
先ず赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、242、254等である。
【0058】
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36、58等である。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、139、142、147、148、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167
、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208、並びに特開2005−325350号公報及び特開2007−25687号公報に記載の顔料が挙げられる。
【0059】
これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、139、154、155、180、185、及び前記2公報記載の顔料、顔料Y等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、139、180、及び前記2公報記載の顔料等である。
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23等である。
【0060】
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントオレンジ38、71等である。
【0061】
又、本発明の顔料分散液を使用し、後述するように着色樹脂組成物を調製してカラーフィルタの樹脂ブラックマトリックスを形成してもよく、その場合には、黒色顔料を使用することができる。尚、黒色顔料は、単独で使用してもよく、赤色、緑色、青色等の顔料を混合して使用してもよい。又、無機顔料であっても有機顔料であってもよい。
又、本発明に使用可能な無機顔料として、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム等が挙げられる。
【0062】
尚、上記各種の顔料は、複数種を併用することもできる。例えば、色度の調整のために、(A)顔料として、赤色顔料と黄色顔料とを併用したり、緑色顔料と黄色顔料とを併用したりすることができる。
又、本発明に係る(A)顔料は、その平均一次粒径が、通常100nm以下、好ましくは80nm以下、より好ましくは20nm以上70nm以下である。本発明は、高度に微粒化された顔料を含む組成物の場合に特に有効であるため、平均一次粒径20nm以上60nm以下である顔料を含む場合が特に好ましい。
【0063】
使用する(A)顔料の平均一次粒径を上記範囲とすることにより、消偏特性を良好に保ち、高いコントラストや透過率などを実現し、又、分散安定性が良好で、耐熱性や耐光性にも優れた顔料分散液及び着色樹脂組成物を得ることができる。
尚、顔料の一次粒径は次の方法で求めることができる。
先ず、顔料をクロロホルム中に超音波分散し、コロジオン膜貼り付けメッシュ上に滴下して、乾燥させ、透過電子顕微鏡(TEM)観察により、顔料の一次粒子像を得る。但し、有機顔料の場合は、個々の顔料粒子の粒径を、同じ面積となる円の直径に換算した面積円相当径として、複数個(通常200〜300個程度)の顔料粒子についてそれぞれ粒径を求める。得られた一次粒径の値を用い、下式の計算式の通り個数平均値を計算し平均粒径を求める。
【0064】
【数1】

【0065】
こうして得られた(A)顔料は、単独で使用してもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で1種又は2種以上の顔料を混合して用いることができる。
本発明における(A)顔料の含有量は、固形分全量に対し、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下であり、又、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上である。
【0066】
(A)顔料の含有量を上記範囲とすることにより、色濃度に対する膜厚が大きくなり過ぎず、液晶セル化の際のギャップ制御等に悪影響を及ぼすことなく、且つ十分な画像形成性が得られるうえ、顔料の分散状態も維持され、凝集や沈降が生じにくく、結果として、増粘や輝度・コントラストの低下などといった問題を解消することができる。
【0067】
[(B)溶剤]
溶剤は、本発明において、上記成分のほか、場合により配合したこれら以外の成分等を溶解又は分散させ、粘度を調節する機能を有する。
溶剤としては、特に制限がなく、各成分を溶解又は分散させることができるものであればよい。このような溶剤としては、例えば国際公開公報WO2009/107734等に記載の溶剤等が挙げられる。
【0068】
又、これら溶剤に該当する市販のものとしては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。これら溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、本発明の顔料分散液中に占める溶剤の含有量は、特に制限されないが、通常99重量%以下、また通常60重量%以上、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上である。
【0069】
また、本発明の着色樹脂組成物全体に占める溶剤の含有割合は、特に制限されないが、その上限は通常99重量%以下とし、塗布に適した粘性等をも考慮すれば、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%以上である。
【0070】
[微粒化助剤]
本発明の顔料分散液は、微粒化助剤を含有していてもよい。
微粒化助剤としては、前記微粒化工程時に生じる、顔料微粒子の結晶転移を抑制しうるものでは、特に種類が問わないが、例えば、特開2009−251482号公報、特開2010−235637号公報などに記載のものが挙げられる。
本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物における微粒化助剤の含有総量は、(A)顔料に対して、重量比で通常0.01倍以上、好ましくは0.03倍以上、また通常0.25倍以下、好ましくは0.20倍以下である。上記範囲内であると、本発明の効果が良好に得られる点で好ましい。
【0071】
[(D)分散剤]
本発明における(D)分散剤は、顔料が分散し、安定を保つことができれば特に種類を
問わない。例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系や両性等の分散剤を使用することができるが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、変性アクリル系共重合体、アクリル系共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、高分子共重合体のアルキルアンモニウム塩又はリン酸エステル塩、カチオン性櫛型グラフトポリマー等を挙げることができる。これら分散剤の中で、変性アクリル系共重合体、ポリウレタン、カチオン性櫛型グラフトポリマーが好ましい。特に変性アクリル系共重合体が好ましく、この中でも親溶剤性を有するAブロック及び窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体からなり、そのアミン価が80mg−KOH/g以上150mg−KOH/g以下(有効固形分換算)であるものが特に好ましい。 より好ましくは100〜140mg−KOH/
gである。
上記範囲内であると、顔料表面への吸着力が十分で、分散安定性が良好である。
【0072】
中でも、特開2009−025813号公報に記載の(メタ)アクリル系ブロック共重合体が好ましい。 アクリル系ブロック共重合体は、(A)顔料を極めて効率よく分散
できる。これは、分子配列が制御されていることにより、分散剤が顔料に吸着する際に障害となる構造が少ないためと推察される。
又、本発明において、アクリル系ブロック共重合体は、Aブロック及びBブロックからなるABブロック、及び/又はABAブロック共重合体であることが好ましい。
【0073】
前記アクリル系ブロック共重合体を構成するBブロックは、アミノ基を有し、アミノ基は、好ましくは−NR4142(但し、R41及びR42は、各々独立に、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。)で表わされ、これを含む部分構造として好ましいものは、例えば下記式で表される。
【0074】
【化11】

【0075】
(但し、R41及びR42は、上記のR41及びR42と同義であり、R43は炭素数1以上のアルキレン基であり、R44は水素原子又はメチル基を表す。)
中でも、R41及びR42はメチル基が好ましく、R43はメチレン基、またはエチレン基が好ましく、R44はメチル基であるのが好ましい。このような化合物として下記式で表される部分構造が挙げられる。
【0076】
【化12】

【0077】
上記の如きアミノ基を含有する部分構造は、1つのBブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上のアミノ基含有部分構造は、該Bブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、アミノ基を含有しない部分構造が、Bブロック中に一部含まれていてもよく、そのような部分構造の例としては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。
【0078】
一方、本発明において、(D)分散剤のAブロックは、親溶媒性であり、上述したBブロックを構成するモノマーと共重合しうるモノマーから成るものであれば、特に制限は無い。
Aブロックとしては、例えば、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、(メタ)アクリル酸塩系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、グリシジルエーテル系モノマー等のコモノマーを共重合させたポリマー構造が挙げられる。
【0079】
本発明における(D)分散剤は、上述するようなAブロックとBブロックとからなるABブロック又はABAブロック共重合型高分子化合物である。中でもABブロック共重合体が好ましい。このようなブロック共重合体は、例えばリビング重合法にて調製される。
リビング重合法にはアニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、ラジカルリビング重合法がある。具体的には、例えば特開2007−270147号公報に記載の方法が挙げられる。
【0080】
なお、分散剤のアミン価(有効固形分換算)は、分散剤試料中の溶剤を除いた固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表し、次の方法により測定する。100mLのビーカーに分散剤試料の0.5〜1.5gを精秤し、50mLの酢酸で溶解する。pH電極を備えた自動滴定装置を使って、この溶液を0.1mol/L HClO酢酸溶液にて中和滴定する。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点とし次式によりアミン価を求める。
【0081】
アミン価[mg−KOH/g]=(561×V)/(W×S)
(但し、W:分散剤試料秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[mL]、S:分散剤試料の固形分濃度[wt%]を表す。)
また、このブロック共重合体の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、低い方が好ましく、通常50mg−KOH/g以下、好ましくは40以下、より好ましくは30以下である。
【0082】
顔料の平均一次粒径が小さい場合、比表面積が増大し単位面積当たりの分散剤吸着量が少なくなる。この場合、前記共重合体からなる分散剤は、他の分散剤よりも効果が大きく好適に用いられる。
本発明における(D)分散剤は、顔料分散液又は着色樹脂組成物中の顔料全量に対し、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、また通常200重量%以下、
更に好ましくは100重量%以下である。
本発明の顔料分散液は、本発明の効果を損なわない限り、その他の分散剤を含んでいてもよい。その他の分散剤としては、例えば、例えば特開2006−343648号公報に記載のものが挙げられる。
【0083】
[分散助剤]
本発明の顔料分散液には、分散助剤を含有していてもよい。ここでいう分散助剤は、顔料誘導体であってもよく、顔料誘導体としては、例えば特開2001−220520号公報、特開2001−271004号公報、特開2002−179976号公報、特開2007−113000号公報、及び特開2007−186681号公報等に記載の各種化合物等を使用することができる。
尚、本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物における分散助剤の含有量は、(A)顔料に対して通常0.1重量%以上、又、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。
上記範囲内であると、分散助剤としての効果が有効に得られ、分散性及び分散安定性が良好である点で好ましい。
【0084】
[分散樹脂]
本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物には、後述する(C)バインダー樹脂もしくはその他のバインダー樹脂から選ばれた樹脂の一部又は全部を下記の分散樹脂として含有していてもよい。
具体的には、後述する分散処理工程において、前述の(D)分散剤等の成分とともに、(C)バインダー樹脂を含有させることにより、該(C)バインダー樹脂が、(D)分散剤との相乗効果で(A)顔料の分散安定性に寄与する。結果として(D)分散剤の添加量を減らせる可能性があるため好ましい。又、現像性が向上し、基板の非画素部に未溶解物が残存せず、画素の基板への密着性が向上する、といった効果も奏するため好ましい。
このように、分散処理工程に使用される(C)バインダー樹脂を、分散樹脂と称することがある。分散樹脂は、顔料分散液中の顔料全量に対して0〜200重量%程度使用することが好ましく、10〜100重量%程度使用することがより好ましい。
【0085】
分散樹脂としては、後述する各種(C)バインダー樹脂を使用することができる。
分散樹脂の酸価は0.5mg−KOH/g以上が好ましく、1mg−KOH/g以上がより好ましく、5mg−KOH/g以上が最も好ましく、また300mg−KOH/g以下が好ましく、200mg−KOH/g以下がより好ましく、150mg−KOH/g以下が最も好ましい。酸価を上記の範囲に制御することにより、アルカリ現像性が良好となり、合成上等においても、取り扱いやすくなる。
【0086】
又、分散樹脂のGPCにて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、1000以上が好ましく、1500以上がより好ましく、2000以上が最も好ましく、また200000以下が好ましく、50000以下がより好ましく、30000以下が最も好ましい。分子量を上記の範囲に制御することにより、アルカリ現像性が良好となり、又、分散安定性が低下するのを防ぐこともできる。
【0087】
<着色樹脂組成物>
本発明の着色樹脂組成物は、本発明の顔料分散液及び(C)バインダー樹脂を含有する。即ち、本発明の着色樹脂組成物は、Y138を含む(A)顔料、(B)溶剤、(C)バインダー樹脂、(D)分散剤及び化合物(1)を含有し、好ましくは(D)重合性モノマー、(E)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分、更に必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。
以下、各成分について説明する。
【0088】
[(C)バインダー樹脂]
本発明における(C)バインダー樹脂は、硬化手段により好ましい樹脂は異なる。
本発明の着色樹脂組成物が光重合性樹脂組成物である場合、(C)バインダー樹脂としては、例えば特開平7−207211号、特開平8−259876号、特開平10−300922号、特開平11−140144号、特開平11−174224号、特開2000−56118号、特開2003−233179号などの各公報等に記載される高分子化合物を使用することができるが、中でも好ましくは下記(C−1)〜(C−5)の樹脂などが挙げられる。
【0089】
(C−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、又は該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる、アルカリ可溶性樹脂(以下、「樹脂(C−1)」と称す場合がある。)
(C−2):カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可溶性樹脂(C−2)(以下、「樹脂(C−2)」と称す場合がある。)
(C−3):前記樹脂(C−2)のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂(以下「樹脂(C−3)」と称す場合がある。)
(C−4):(メタ)アクリル系樹脂(以下、「樹脂(C−4)」と称す場合がある。)
(C−5):カルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂(以下「樹脂(C−5)と称す場合がある。)
【0090】
このうち特に好ましくは樹脂(C−1)が挙げられ、以下該樹脂について説明する。
尚、樹脂(C−2)〜(C−5)は、アルカリ性の現像液によって溶解され、目的とする現像処理が遂行される程度に溶解性を有するものであればよく、各々、特開2009−025813号公報に同項目として記載のものと同様である。好ましい態様も同様である。
【0091】
(C−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂
樹脂(C−1)の特に好ましい樹脂の一つとして、エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
【0092】
そのエポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が例示できる。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0093】
上記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと共重合させる他のラジカル重合性単量体としては、本発明の効果を損わない限り特に制限はなく、例えば、ビニル芳香族類、ジエン類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、ビニル化合物類、不飽和ジカルボン酸ジエステル類、モノマレイミド類などが挙げられるが、特に下記式(7
)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
下記式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位は、「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、5〜90モル%含有するものが好ましく、10〜70モル%含有するものが更に好ましく、15〜50モル%含有するものが特に好ましい。
【0094】
【化13】

【0095】
上記式(7)中、R89は水素原子又はメチル基を示し、R90は下記式(8)で表される構造を示す。
【0096】
【化14】

【0097】
上記式(8)中、R91〜R98は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。尚、R96とR98とが、互いに連結して環を形成していてもよい。
96とR98が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、更に炭素数は5〜6であることが好ましい。
中でも、式(8)で表される構造中、特に下記構造式(8a)、(8b)、又は(8c)で表されるものが好ましい。
【0098】
【化15】

【0099】
尚、前記式(8)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記式(8)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラジカル重合性単量体」としては、着色樹脂組成物に優れた耐熱性及び強度を向上しうる点で、スチレン、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、が挙げられる。
上記モノマー群から選択された少なくとも1種に由来する繰返し単位の含有割合が、1〜70モル%であるものが好ましく、3〜50モル%であるものが更に好ましい。
【0100】
尚、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、前記他のラジカル重合性単量体との共重合反応には、公知の溶液重合法が適用される。
本発明において、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他のラジカル重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位10〜95モル%と、からなるものが好ましく、前者20〜80モル%と、後者80〜20モル%とからなるものが更に好ましく、前者30〜70モル%と、後者70〜30モル%とからなるものが特に好ましい。
【0101】
上記範囲内であると、後述の重合性成分及びアルカリ可溶性成分の付加量が十分であり、また、耐熱性や強度が十分であるため好ましい。
上記の様に合成された、エポキシ基含有共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、更に多塩基酸無水物(アルカリ可溶性成分)とを反応させる。
ここで、エポキシ基に付加させる不飽和一塩基酸としては、公知のものを使用することができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
【0102】
具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基な
どで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような成分を付加させることにより、本発明で用いるバインダー樹脂に重合性を付与することができる。
【0103】
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%に付加させる。前記範囲内であると、着色樹脂組成物の経時安定性に優れるため好ましい。尚、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させたときに生じる水酸基に付加させる多塩基酸無水物としては、公知のものが使用できる。
【0104】
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、無水コハク酸及びテトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0105】
このような成分を付加させることにより、本発明で用いるバインダー樹脂にアルカリ可溶性を付与することができる。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは20〜90モル%、より好ましくは30〜80モル%に付加させる。
上記範囲内であると、現像時の残膜率及び溶解性が十分であるため好ましい。
【0106】
尚、該水酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、光感度を向上させるために、前述の多塩基酸無水物を付加させた後、生成したカルボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。このような樹脂の構造に関しては、例えば特開平8−297366号公報や特開2001−89533号公報に記載されている。
【0107】
上述のバインダー樹脂(C−1)の、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、3000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。分子量が3000未満であると、耐熱性や膜強度に劣る可能性があり、100000を超えると現像液に対する溶解性が不足する傾向がある。また、分子量分布の目安として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比は、2.0〜5.0が好ましい。
なお、バインダー樹脂(C−1)の酸価は、通常10〜200mg−KOH/g、好ましくは15〜150mg−KOH/g、更に好ましくは25〜100mg−KOH/gである。
【0108】
上記範囲内であると、現像液に対する溶解性が良好で、また膜荒れなどが生じ難いため好ましい。
また、(C)バインダー樹脂の含有割合は、全固形分中、通常0.1〜80重量%、好ましくは1〜60重量%である。
上記範囲内であると、基板への密着性が良好であり、また露光部への現像液の浸透性が
適度で、画素の表面平滑性や感度が良好である点で好ましい。
【0109】
[(E)重合性モノマー]
本発明の着色樹脂組成物は、(E)重合性モノマーを含有することが好ましい。(E)重合性モノマーは、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と言う場合がある。)が好ましい。
エチレン性化合物は、本発明の着色樹脂組成物が活性光線の照射を受けた場合、前記光重合開始成分の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。尚、本発明における(E)重合性モノマーは、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーも包含する。
【0110】
(E)重合性モノマーにおけるエチレン性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸;モノヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル;ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物;等が挙げられる。
【0111】
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。また、これら(メタ)アクリル酸エステルの(メタ)アクリル酸部分を、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、或いは、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
【0112】
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジ(メタ)アクリレート、レゾルシンジ(メタ)アクリレート、ピロガロールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、必ずしも単一物ではなく、混合物であってもよい。代表例としては、(メタ)アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、テレフタル酸、及びペンタエリスリトールの縮合物;(メタ)アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール、及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
【0113】
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ〔1,1,1−トリ(メタ)アクリロイルオキシメチル〕プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ
化合物との反応物が挙げられる。
【0114】
その他、本発明に用いられるエチレン性化合物の例としては、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等が挙げられる。
これらの中では脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましく、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0115】
また、エチレン性化合物は酸価を有するモノマーであってもよい。酸価を有するモノマーとしては、例えば、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能単量体が好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものである。
【0116】
これらの単量体は1種を単独で用いてもよいが、製造上、単一の化合物を得ることは難しいことから、2種以上の混合物を使用してもよい。
また、必要に応じて(E)重合性モノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜30mg−KOH/gである。
上記範囲内であると、現像溶解特性が低下しにくく、また製造や取り扱いが容易である。更に、光重合性能が落ち難く、画素の表面平滑性等の硬化性が良好であるため好ましい。
【0117】
本発明において、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。この多官能モノマーと他の多官能モノマーを組み合わせて使用することもできる。
本発明の着色樹脂組成物において、これらの(E)重合性モノマーの含有割合は、全固形分中、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上であり、また、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、更に好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下である。
【0118】
また、(E)重合性モノマーの全色材に対する比率は、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、また、通常200重量%以下、好ましくは150重量%以下、更に好ましくは110重量%以下である。
上記範囲内であると、光硬化が適度であり、現像時の密着不良が置き難く、また現像後の断面が逆テーパー形状になり難く、更に溶解性低下による剥離現象・抜け不良が置き難いため好ましい。
【0119】
[(F)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分]
本発明の着色樹脂組成物は、塗膜を硬化させる目的で、(F)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分を含むことが好ましい。ただし、硬化の方法はこれらの開始剤によるもの以外でもよい。
特に、本発明の着色樹脂組成物が、(C)成分としてエチレン性二重結合を有する樹脂を含む場合や、(E)成分としてエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機
能を有する光重合開始成分及び/又は熱によって重合活性ラジカルを発生する熱重合開始成分を含有することが好ましい。なお、本発明において光重合開始成分としての(F)成分とは、光重合開始剤(以下、任意に(F1)成分と称する)に重合加速剤(以下、任意に(F2)成分と称する)、増感色素(以下、任意に(F3)成分と称する)などの付加剤が併用されている混合物を意味する。
【0120】
(光重合開始成分)
本発明の着色樹脂組成物は、光重合開始成分を含有することが好ましい。光重合開始成分は、通常、(F1)光重合開始剤、及び必要に応じて添加される(F3)増感色素、(F2)重合加速剤等の付加剤との混合物として用いられ、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
【0121】
光重合開始成分を構成する(F1)光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報等に記載のチタノセン誘導体類;特開平10−300922号、特開平11−174224号、特開2000−56118号各公報等に記載されるヘキサアリールビイミダゾール誘導体類;特開平10−39503号公報等に記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体類、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン誘導体類;特開2000−80068号公報等に記載のオキシムエステル系誘導体類等が挙げられる。
【0122】
具体的には、例えば国際公開第2009/107734号パンフレット等に記載の光重合開始剤等が挙げられる。
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類、ビイミダゾール誘導体類、アセトフェノン誘導体類、及びチオキサントン誘導体類がより好ましい。
【0123】
また、オキシムエステル系誘導体類としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(o−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕,1−(o−アセチルオキシム)、等が挙げられる。
その他に、ベンゾインアルキルエーテル類、アントラキノン誘導体類;2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン等のアセトフェノン誘導体類、2−エチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類、安息香酸エステル誘導体類、アクリジン誘導体類、フェナジン誘導体類、アンスロン誘導体類等も挙げられる。
【0124】
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、チオキサントン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類がより好ましい。特に、オキシムエステル系誘導体類が好ましい。
必要に応じて用いられる(F2)重合加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物;脂肪族多官能メルカプト化合物等のメルカプト化合物類等が挙げられる。
これらの(F1)光重合開始剤及び(F2)重合加速剤は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0125】
また、必要に応じて感応感度を高める目的で、(F3)増感色素が用いられる。増感色素は、画像露光光源の波長に応じて、適切なものが用いられるが、例えば特開平4−221958号、特開平4−219756号各公報等に記載のキサンテン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の複素環を有するクマリン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の3−ケトクマリン系色素;特開平6−19240号公報等に記載のピロメテン系色素;特開昭47−2528号、特開昭54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、特開昭52−112681号、特開昭58−15503号、特開昭60−88005号、特開昭59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号各公報等に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等が挙げられる。
(F3)増感色素もまた1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0126】
本発明の着色樹脂組成物において、これらの(F)光重合開始成分の含有割合は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下の範囲である。この含有割合が著しく低いと、露光光線に対する感度が低下する原因となることがあり、反対に著しく高いと、未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起することがある。
【0127】
(熱重合開始成分)
本発明の着色樹脂組成物に含有されていてもよい熱重合開始成分(熱重合開始剤)の具体例としては、アゾ系化合物、有機過酸化物及び過酸化水素等が挙げられる。これらのうち、アゾ系化合物が好適に用いられる。より具体的には、例えば国際公開第2009/107734号パンフレット等に記載の熱重合開始剤を用いることができる。
これらの熱重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0128】
<顔料分散液及び着色樹脂組成物の調製法方>
本発明の顔料分散液は、適宜の方法により調製することができるが、例えば、Y138を含む(A)顔料、(B)溶剤、(D)分散剤及び化合物(1)と共に混合することで調製できる。
より好ましい調製方法としては、先ずY138を含む顔料を微粒化する工程が挙げられる。
【0129】
微粒化工程としては、顔料及び化合物(1)、並びにその他の微粒化助剤を機械的に粉砕して粒径を細かくする磨砕法が挙げられる。磨砕法は顔料及び添加剤をボールミル、サンドミル又はニーダーを用いて、磨砕剤として食塩などの水溶性無機塩、及び必要に応じてそれらを溶解しない水溶性有機溶剤とともに磨砕した後に、水洗などにより磨砕剤及び水溶性有機溶剤を除去して一次粒子を細かくする方法で、比較的均一な顔料微粒子が得られる。
このようにして得られた顔料を溶剤中、(D)分散剤、並びに化合物(1)又はその他の分散助剤の存在下で、場合により(C)バインダー樹脂の一部と共に、例えば、ペイントシェイカー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して顔料分散液を調製する。
【0130】
また本発明の着色樹脂組成物も同様に、適宜の方法により調製することができるが、例えば、前記(A)顔料、(B)溶剤、(C)バインダー樹脂、(D)分散剤、化合物(1)、及びその他の添加剤と共に混合することで調製できる。
より好ましい調製方法としては、上記の様に微粒化、分散により調製した顔料分散液に、(C)バインダー樹脂、更に(E)重合性モノマー及び(F)光重合開始成分及び/又
は熱重合開始成分、その他必要に応じて添加する成分を混合する方法が挙げられる。
【0131】
[着色樹脂組成物の調製方法]
本発明の着色樹脂組成物は、適宜の方法により調製することができるが、例えば、調製方法としては、(A)顔料を含む溶剤中、(D)分散剤、化合物(1)、及び必要に応じて更に添加する分散助剤の存在下で、場合により(C)バインダー樹脂の一部と共に、例えば、ペイントシェイカー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して顔料分散液を調製する。該顔料分散液に、(C)バインダー樹脂、必要に応じて、(E)重合性モノマー、及び(F)光重合開始剤及び/又は熱重合開始剤などの添加剤を添加し、混合することにより調製する方法を挙げることができる。
より好ましくは、前記した通り、化合物(1)を用いて微粒化工程を経た後、(D)分散剤、(C)バインダー樹脂の一部と共に、分散して顔料分散液を調製後、その他の添加剤を加えて着色樹脂組成物を調製する方法が挙げられる。
【0132】
[着色樹脂組成物の応用]
本発明の着色樹脂組成物は、通常、すべての構成成分が溶剤中に溶解又は分散された状態である。この着色樹脂組成物が基板上へ供給され、カラーフィルタや液晶表示装置、有機EL表示装置などの構成部材が形成される。本発明の着色樹脂組成物は、特にカラーフィルタ用途であることが好ましい。つまり、カラーフィルタ用着色樹脂組成物であることが好ましい。
以下、本発明の着色樹脂組成物の応用例として、カラーフィルタとしての応用、及びそれらを用いた液晶表示装置(パネル)及び有機EL表示装置について、説明する。
【0133】
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色樹脂組成物から形成された画素を有するものである。
以下に、本発明のカラーフィルタを形成する方法について説明する。
カラーフィルタの画素は、様々な方法で形成することができる。ここでは光重合性の着色樹脂組成物を使用してフォトリソグラフィ法にて形成する場合を例に説明するが、製造方法はこれに限定されるものではない。
【0134】
まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するようにブラックマトリックスを形成し、この基板上に、本発明の着色樹脂組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶剤を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去し、その後ポストベークすることにより、赤色、緑色、青色の各画素パターンを形成して、カラーフィルタを作製することができる。
【0135】
画素を形成する際に使用される基板としては、透明で適度な強度を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂 ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、熱硬化性樹脂、各種ガラスなどが挙げられる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤やウレタン系樹脂などに
よる薄膜形成処理、コロナ放電処理やオゾン処理などの表面処理等、適宜前処理を施してもよい。
【0136】
着色樹脂組成物を基板に塗布する際には、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート
法、スリット・アンド・スピン法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法等が挙げられる。中でも、スリット・アンド・スピン法、及びダイコート法が好ましい。
塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.2〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは0.8〜5.0μmである。
【0137】
上記範囲内であると、パターン現像や液晶セル化工程でのギャップ調整が容易であり、また所望の色発現がし易い点で好ましい。
画素を形成する際に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
【0138】
画像露光に使用される、波長190〜450nmの放射線を用いるための光源は、特に限定されるものではないが、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源;アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルターを利用することもできる。
放射線の露光量は、10〜10,000J/mが好ましい。
【0139】
また、前記アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ性化合物;モノ−・ジ−・又はトリ−エタノールアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−メチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−エチルアミン、モノ−・又はジ−イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−イソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ性化合物等の水溶液が好ましい。
【0140】
前記アルカリ現像液には、例えばイソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。現像条件は、室温(23℃)で5〜300秒が好ましい。
【0141】
現像処理の条件には特に制限はないが、現像温度は通常10℃以上、中でも15℃以上、更には20℃以上、また、通常50℃以下、中でも45℃以下、更には40℃以下の範囲が好ましい。
現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。
【0142】
このようにして作製されたカラーフィルタを液晶表示装置に使用する場合には、このままの状態で画像上にITO等の透明電極を形成して、カラーディスプレー、液晶表示装置等の部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミド等のトップコート層を設けることもできる。また、一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)等の用途においては、透明電極を形成しないこともある。また、垂直配向型駆動方式(MVAモード)では、リブを形成することもある。また、ビーズ散布型スペーサに代わり、フォトリソによる柱構造(フォトスペーサー)を形
成することもある。
【0143】
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、上述の本発明のカラーフィルタを用いたものである。本発明の液晶表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明のカラーフィルタを用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社、1989年9月29日発行、日本学術振興会第142委員会著)に記載の方法で、本発明の液晶表示装置を形成することができる。
【0144】
<有機EL表示装置>
本発明のカラーフィルタを含む有機EL表示装置を作成する場合、例えば図1に示すように、透明支持基板10上に、本発明の着色樹脂組成物により画素20が形成された青色カラーフィルタ上に有機保護層30及び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって多色の有機EL素子を作製する。
有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルタ上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、及び陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100は、パッシブ駆動方式の有機EL表示装置にもアクティブ駆動方式の有機EL表示装置にも適用可能である。
【実施例】
【0145】
以下に、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。尚、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(合成例1:化合物Aの合成)
【0146】
【化16】

【0147】
5−アミノ−2−ベンズイミダゾロン(16.1g、110mmol)を67%N−メ
チルピロリドン水溶液(300mL)に溶解し、10℃に冷却したところへ、濃塩酸(27.0g)と23%亜硝酸ナトリウム水溶液(43g、143mmol)を加えて10℃で30分攪拌した。
N−[4−[N−(2−モルホリノエチル)スルファモイル]フェニル]−3−オキソブタ
ンアミド(40.6g、110mmol)をアセトン(200g)に溶解し、水(100g)を加え、上記のジアゾニウム塩を含む液を炭酸ナトリウム水溶液を加えながら、pH=8.0、5℃で30分間で滴下した。
得られた沈殿物をろ過して水(1000g)洗浄し、黄色のケーキを得た。このケーキを乾燥して上記化合物Aを得た。(39g、収率67%)
(合成例2:化合物Bの合成)
【0148】
【化17】

【0149】
合成例1においてN−[4−[N−(2−モルホリノエチル)スルファモイル]フェニル]
−3−オキソブタンアミドの代わりにN−[4−[N−(イソプロピル−4−ピペリニジル
)スルファモイル]フェニル]−3−オキソブタンアミドを用いて同様に合成を行い、上記化合物Bを得た。(35.6g、収率59%)
【0150】
(合成例3:化合物Cの合成)
C.I.ピグメントエロー138(100g)を25%発煙硫酸(900g)に添加し、50℃で4時間反応させた。冷却後、反応混合物を氷水中(10000ml)に析出させ、濾過及び水洗した後に、アンモニア水を添加して、化合物Cを得た。
【0151】
(合成例4:樹脂Sの合成)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン10重量部、グリシジルメタクリレート85.2重量部及びトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレートFA−513M(日立化成社製)66重量部を滴下し、及び2.2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル8.47重量部を3時間かけて滴下し、更に90℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸43.2重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部及びハイドロキノン0.12重量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)56.2重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、100℃3.5時間反応させた。こうして得られたバインダ樹脂のGPCにより測定した重量平均分子量Mwは約8400、酸価80mgKOH/gであった。
【0152】
(分散剤BYK−LPN6919(ビックケミー社製))
メタクリル酸系ABブッロク共重合体であり、アミン価は、121mgKOH/g、酸価は1mgKOH/g以下である。
Bブロックに含まれる窒素原子含有官能基を有する繰り返し単位のうち、約100モル%が下記式(i)で表わされる構造であり、又、下記式(ii)で表わされる繰り返し単位は、該メタクリル酸系ABブッロク共重合体を構成する単量体換算で1分子中における割合は7.5モル%であった。
【0153】
【化18】

【0154】
[顔料分散液の調製]
<実施例1〜2:化合物A〜Bを使用した黄色顔料分散液(1)の調製>
分散助剤として合成例1〜2で得られた化合物1を5.5重量部、顔料として微粒化されたC.I.ピグメントイエロー138を100重量部、合成例2にて得られた樹脂Sを固形分量にて32.3重量部、分散剤として「BYK−LPN6919」(ビックケミー社製)を23.1重量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と称することがある。)を645重量部を配合し、ジルコニアビーズを1793重量部加え、ペイントシェーカーで6時間分散を行い、黄色顔料分散液(1)を調製した。
【0155】
(比較例1:比較黄顔料分散液(1)の調製)
実施例1において、化合物Aを化合物C(合成例3で合成された化合物)に変更した他は、実施例1と同様にして、比較黄色顔料分散液(1)を調製した。
[3]粘度安定性の確認
上記で得られた分散液を1日間又は7日間室温(23℃)下で保存した後に、23℃で、E型粘度計RE−85L(東機産業社製)にて粘度を測定した。
測定結果を表1に示す。
【0156】
【表1】

【0157】
表1に示すが如く、本発明の顔料分散液は、粘度安定性が良好である。
より具体的には、本発明の顔料分散液(実施例1及び2)は、7日間保存した後の粘度は、1日間保存した後の粘度よりも低くなっている。一方で、本発明の顔料分散液でないもの(比較例1)は、1日間保存した後の粘度と7日間保存した後の粘度は、大幅に増粘してしまっている。
【0158】
つまり、本発明の顔料分散液は、粘度安定性に優れることから、増粘による製造上の歩留まりが生じ難い。
また、本発明の顔料分散液を含む着色樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタ、並びに該カラーフィルタを含む液晶表示装置及び有機EL表示装置は高品質である。
【符号の説明】
【0159】
100 有機EL素子
20 画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
500 有機発光体
51 正孔注入層
54 電子注入層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)顔料、(B)溶剤、(D)分散剤及び添加剤を含有し、
該(A)顔料が、C.I.(カラーインデックス)ピグメントイエロー138を含有し、且つ、該添加剤が下記式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする、顔料分散液。
【化1】

(上記式(1)中、Aは、置換基を有していてもよい含窒素縮合環基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族環基を表す。
nは、0〜5の整数を表す。
Xは、直接結合、又は下記<2価の連結基群>から選ばれる2価の基を表す。
<2価の連結基群>
【化2】

(上記式中、*は、連結部位を表す。)
Zは、含窒素飽和複素環基を表す。)
【請求項2】
前記Aにおける含窒素縮合環基が、下記<含窒素縮合環基群A>から選ばれる基であることを特徴とする、請求項1に記載の顔料分散液。
<含窒素縮合環基群A>
【化3】

【請求項3】
前記Zにおける含窒素飽和複素環基が、下記<含窒素飽和複素環基群B>から選ばれる基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の顔料分散液。
<含窒素飽和複素環基群B>
【化4】

(上記式中、Rは、水素原子、炭素数1〜7の直鎖又は分岐アルキル基を表す。)
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の顔料分散液、及び(C)バインダー樹脂を含有することを特徴とする、着色樹脂組成物。
【請求項5】
更に、(E)重合性モノマーを含有することを特徴とする、請求項4に記載の着色樹脂組成物。
【請求項6】
更に、(F)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分を含有することを特徴とする、請求項4又は5に記載の着色樹脂組成物。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有することを特徴とする、カラーフィルタ。
【請求項8】
請求項7に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、液晶表示装置。
【請求項9】
請求項7に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、有機EL表示装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2013−82906(P2013−82906A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−211339(P2012−211339)
【出願日】平成24年9月25日(2012.9.25)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】