説明

顔料分散液

【課題】 顔料分散性や分散用樹脂の溶解性に優れ、塗工性が高く、より透明性及びコントラストの高い塗膜を形成しうる顔料分散液を得る。
【解決手段】 顔料分散液は、顔料と有機溶剤とを含み、該有機溶剤として、(a)(a1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコール及び(a2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールからなるアルコール化合物群、(b)(b1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコールのアセテート及び(b2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールのアセテートからなるアセテート化合物群、および(c)(c1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコールのアルキルエーテル及び(c2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールのアルキルエーテルからなるエーテル化合物群より選ばれた少なくとも1種の有機溶剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗料、印刷インキその他に用いられる顔料分散液、より詳細には、例えば自動車、塗装鋼板、建材、缶、平板、グラビア、フレキソ、インクジェットプリンタ、カラーフィルター等に使用可能であって、使用時の安全性に優れ、顔料分散性、塗工性、透明性に優れ、塗布後に高コントラストな塗膜を形成する顔料分散液に関する。
【背景技術】
【0002】
顔料分散液には、様々な性能、例えば顔料の高い分散性、顔料の分散安定性、分散用樹脂の高い溶解性、分散液の良好な流動性、塗布装置射出部での流動安定性、使用する揮発性溶剤の安全性などが要求される。また、顔料分散液を塗布したものでは高光沢性、高鮮鋭性、高耐光性、特にカラーフィルターでは高コントラスト、高透過性などが求められる。この要求を満たすため、種々の溶剤が分散用溶剤として用いられる。顔料分散用の溶剤に求められる性能、特性としては、例えば、顔料の分散性が高いこと、分散用樹脂の溶解性が高いこと、塗布装置射出部での流動安定性に優れること、塗膜の乾燥性に優れること、使用時の安全性が高いこと、安価であることなどが挙げられる。
【0003】
しかしながら、実際には上記の性能、特性を十分満足する溶剤は少ない。この理由として、顔料の分散性と分散用樹脂の溶解性とを同時に満たす溶剤の極性は限られていることが挙げられる。従来、顔料分散用の溶剤として、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのセロソルブ類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、およびこれらの酢酸エステルが用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。しかし、これらの溶剤は乾燥性が高いため、スリットコートやインクジェットなどの塗布装置射出部にて乾燥し、詰まりや固形物析出による液ダレ、塗工不良を生じるという問題があった。また、セロソルブ類は毒性が高い溶剤であるため、作業安全上の危険性も高い。
【0004】
【特許文献1】特開平6−279702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、顔料分散性や分散用樹脂の溶解性に優れるだけでなく、塗工性が高く、より透明性及びコントラストの高い塗膜を形成しうる顔料分散液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意研究した結果、顔料分散液を構成する溶剤として特定の有機溶剤を用いることにより上記の目的を達成できることを見出し本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、顔料と有機溶剤とを含む顔料分散液であって、該有機溶剤として、顔料と有機溶剤とを含む顔料分散液であって、該有機溶剤として、(a)(a1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコール及び(a2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールからなるアルコール化合物群、(b)(b1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコールのアセテート及び(b2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールのアセテートからなるアセテート化合物群、および(c)(c1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコールのアルキルエーテル及び(c2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールのアルキルエーテルからなるエーテル化合物群より選ばれた少なくとも1種の有機溶剤を含むことを特徴とする顔料分散液を提供する。
【0008】
前記顔料分散液は、有機溶剤として、(a)(a1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコール及び(a2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールからなるアルコール化合物群、(b)(b1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコールのアセテート及び(b2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールのアセテートからなるアセテート化合物群、および(c)(c1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコールのアルキルエーテル及び(c2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールのアルキルエーテルからなるエーテル化合物群の3つの化合物群のうち少なくとも2つの化合物群からそれぞれ1種以上選ばれた複数の有機溶剤を含んでいてもよい。
【0009】
前記顔料分散液は、有機溶剤として、さらに、モノプロピレングリコールモノメチルエーテル及びモノプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択された少なくとも1種の有機溶剤を含んでいてもよい。また、有機溶剤として、さらに、カルボン酸アルキルエステル類及び脂肪族ケトン類から選択された少なくとも1種の有機溶剤を含んでいてもよい。また、顔料と有機溶剤に加えて、さらに樹脂及び/又は分散助剤を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、顔料分散用樹脂の溶解性が高く、顔料分散液の安定性が向上し、しかも、当該顔料分散液の乾燥性を調整でき、塗工性が向上し、かつ透明性やコントラスト、安全性の高い顔料分散液が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の顔料分散液は、有機溶剤として、(a)(a1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコール及び(a2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールからなるアルコール化合物群、(b)(b1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコールのアセテート(酢酸エステル)及び(b2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールのアセテート(酢酸エステル)からなるアセテート化合物群、および(c)(c1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコールのアルキルエーテル及び(c2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールのアルキルエーテルからなるエーテル化合物群より選ばれた少なくとも1種の有機溶剤を含んでいる。
【0012】
これらの有機溶剤はそれぞれ単独で用いられるほか、2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。また、上記以外の他の有機溶剤と併用することもできる。
【0013】
前記「4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコール」とは、環を構成する原子数が4〜8で且つ環状部分の炭素数が2〜6個の環状エーテル骨格を有するアルコールを意味する。4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を構成する環としては、オキセタン環、ジオキセタン環(1,3−ジオキセタン環等)、テトラヒドロフラン環(オキソラン環)、ジオキソラン環(1,3−ジオキソラン環等)、テトラヒドロピラン環(オキサン環)、ジオキサン環(1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環等)、オキセパン環、ジオキセパン環(1,3−ジオキセパン環、1,4−ジオキセパン環等)、ジオキソカン環(1,3−ジオキソカン環、1,4−ジオキソカン環等)などが挙げられる。アルコールは1価アルコールであっても、2価以上の多価アルコールであってもよい。環状エーテル骨格を構成する環とアルコール性のヒドロキシル基とは直接結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。連結基としては、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピリデン、トリメチレン、テトラメチレン基等)が挙げられる。好ましい連結基はメチレン基又はエチレン基であり、なかでもメチレン基が好ましい。また、環状エーテル骨格を構成する環は置換基を有していてもよい。該置換基として、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル基などのC1-4アルキル基などが挙げられる。
【0014】
前記「4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノール」は、炭素数4〜7のシクロアルカン環にヒドロキシアルキル基が結合している化合物である。4〜7員のシクロアルカン環には、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環及びシクロヘプタン環が含まれる。「アルカノール」部分の炭素数は1〜4が好ましく、より好ましくは1又は2、特に好ましくは1である。アルコールは1価アルコール(シクロアルカン環にヒドロキシアルキル基が1個結合している化合物)であっても、2価以上の多価アルコール(シクロアルカン環にヒドロキシアルキル基が複数個結合している化合物)であってもよいが、2価以上の多価アルコールがより好ましい。シクロアルカン環は置換基を有していてもよい。該置換基としては、上記と同様、C1-4アルキル基などが挙げられる。
【0015】
前記(b)の「アルコールのアセテート」や、(c)の「アルコールのアルキルエーテル」において、該アルコールが多価アルコールの場合には、複数のヒドロキシル基のうち1つのみがアセテート化又はアルキルエーテル化されていてもよく、2以上のヒドロキシル基(例えば、すべてのヒドロキシル基)がアセテート化又はアルキルエーテル化されていてもよい。本発明では、すべてのヒドロキシル基がアセテート化又はアルキルエーテル化されているのがより好ましい。
【0016】
前記(c)の「アルコールのアルキルエーテル」におけるアルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、ブチル基などのC1-4アルキル基などが挙げられる。
【0017】
(a1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコールとしては、例えば、ヒドロキシオキセタン、オキセタン−2−イル−メタノール、オキセタン−2−イル−エタノール、オキセタン−2−イル−プロパノール、オキセタン−2−イル−ブタノール、オキセタン−3−イル−メタノール、2,3−ジメチルオキセタン−2−イル−メタノール、3,3−ジエチルオキセタン−2−イル−メタノール、2−ヒドロキシメチルオキセタン−2−イル−メタノール、3−ヒドロキシメチルオキセタン−2−イル−エタノール、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキセタン−2−イル−メタノール等の4員の環状エーテル骨格を有するアルコール;ヒドロキシテトラヒドロフラン、2,3−ジヒドロキシテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン−2−イル−メタノール、テトラヒドロフラン−2−イル−エタノール、メチルテトラヒドロフラン−2−イル−メタノール、2,5−ジヒドロキシジオキソラン、5−ヒドロキシメチルジオキソラン−2−イル−メタノール、メチルジオキソラン−2−イル−メタノール等の5員の環状エーテル骨格を有するアルコール;ヒドロキシテトラヒドロピラン、2,3−ジヒドロキシテトラヒドロピラン、テトラヒドロピラン−2−イル−メタノール、メチルテトラヒドロピラン−2−イル−メタノール、2−ヒドロキシジオキサン、2,5−ジヒドロキシジオキサン、5−ヒドロキシメチルジオキサン−2−イル−メタノール、メチルジオキサン−2−イル−メタノール等の6員の環状エーテル骨格を有するアルコール;ヒドロキシオキセパン、2,3−ジヒドロキシオキセパン、オキセパン−2−イル−メタノール、メチルオキセパン−2−イル−メタノール、5−ヒドロキシメチルジオキセパン−2−イル−メタノール、メチルジオキセパン−2−イル−メタノール等の7員の環状エーテル骨格を有するアルコール;2−ヒドロキシジオキソカン、2,3−ジヒドロキシジオキソカン等の8員の環状エーテル骨格を有するアルコールなどが挙げられる。これらの中でも5員の環状エーテル骨格を有するアルコール(例えば、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環を有するアルコール)が好ましく、特にテトラヒドロフラン−2−イル−メタノールが好ましい。
【0018】
(a2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールとしては、例えば、シクロブチルメタノール、シクロブチルエタノール、シクロブチルプロパノール、シクロブチルブタノール、2−メチルシクロブチルメタノール、2−メチル−3−エチルシクロブチルメタノール、3−ヒドロキシメチルシクロブチルメタノール等のシクロブタン環を有するアルコール;シクロペンチルメタノール、シクロペンチルエタノール、シクロペンチルプロパノール、シクロペンチルブタノール、2−メチルシクロペンチルメタノール、2−メチル−3−エチルシクロペンチルメタノール、3−ヒドロキシメチルシクロペンチルメタノール等のシクロペンタン環を有するアルコール;シクロヘキシルメタノール、シクロヘキシルエタノール、シクロヘキシルプロパノール、シクロヘキシルブタノール、2−メチルシクロヘキシルメタノール、2−メチル−3−エチルシクロヘキシルメタノール、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメタノール等のシクロヘキサン環を有するアルコール;シクロヘプチルメタノール、シクロヘプチルエタノール、シクロヘプチルプロパノール、シクロヘプチルブタノール、2−メチルシクロヘプチルメタノール、2−メチル−3−エチルシクロヘプチルメタノール、3−ヒドロキシメチルシクロヘプチルメタノール等のシクロヘプタン環を有するアルコールなどが挙げられる。これらの中でもシクロペンタン環又はシクロヘキサン環を有するアルコールが好ましく、シクロヘキサン環を有するアルコールが特に好ましい。また、2価以上の多価アルコールがより好ましく、特に4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメタノールが好ましい。
【0019】
(b1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコールのアセテートとしては、例えば、ヒドロキシオキセタンアセテート、オキセタン−2−イル−メチルアセテート、オキセタン−2−イル−エチルアセテート、オキセタン−2−イル−プロピルアセテート、オキセタン−2−イル−ブチルアセテート、オキセタン−3−イル−メチルアセテート、2,3−ジメチルオキセタン−2−イル−メチルアセテート、3,3−ジエチルオキセタン−2−イル−メチルアセテート、2−ヒドロキシメチルオキセタン−2−イル−メチルアセテート、3−ヒドロキシメチルオキセタン−2−イル−エチルアセテート、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキセタン−2−イル−メチルアセテート等の4員の環状エーテル骨格を有するアルコールのアセテート;ヒドロキシテトラヒドロフランアセテート、2,3−ジヒドロキシテトラヒドロフランアセテート、2,3−ジヒドロキシテトラヒドロフランジアセテート、テトラヒドロフラン−2−イル−メチルアセテート、テトラヒドロフラン−2−イル−エチルアセテート、メチルテトラヒドロフラン−2−イル−メチルアセテート、2,5−ジヒドロキシジオキソランアセテート、2,5−ジヒドロキシジオキソランジアセテート、5−ヒドロキシメチルジオキソラン−2−イル−メチルアセテート、メチルジオキソラン−2−イル−メチルアセテート等の5員の環状エーテル骨格を有するアルコールのアセテート;ヒドロキシテトラヒドロピランアセテート、2,3−ジヒドロキシテトラヒドロピランアセテート、2,3−ジヒドロキシテトラヒドロピランジアセテート、テトラヒドロピラン−2−イル−メチルアセテート、メチルテトラヒドロピラン−2−イル−メチルアセテート、2−ヒドロキシジオキサンアセテート、2,5−ジヒドロキシジオキサンアセテート、2,5−ジヒドロキシジオキサンジアセテート、5−ヒドロキシメチルジオキサン−2−イル−メチルアセテート、メチルジオキサン−2−イル−メチルアセテ−ト等の6員の環状エーテル骨格を有するアルコールのアセテート;ヒドロキシオキセパンアセテート、2,3−ジヒドロキシオキセパンアセテート、2,3−ジヒドロキシオキセパンジアセテート、オキセパン−2−イル−メチルアセテート、メチルオキセパン−2−イル−メチルアセテート、5−ヒドロキシメチルジオキセパン−2−イル−メチルアセテート、メチルジオキセパン−2−イル−メチルアセテート等の7員の環状エーテル骨格を有するアルコールのアセテート;2−ヒドロキシジオキソカンアセテート、2,3−ジヒドロキシジオキソカンアセテート、2,3−ジヒドロキシジオキソカンジアセテート等の8員の環状エーテル骨格を有するアルコールのアセテートなどが挙げられる。これらの中でも5員の環状エーテル骨格を有するアルコール(例えば、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環を有するアルコール)のアセテートが好ましく、特にテトラヒドロフラン−2−イル−メチルアセテートが好ましい。
【0020】
(b2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールのアセテートとしては、例えば、シクロブチルメチルアセテート、シクロブチルエチルアセテート、シクロブチルプロピルアセテート、シクロブチルブチルアセテート、2−メチルシクロブチルメチルアセテート、2−メチル−3−エチルシクロブチルメチルアセテート、3−ヒドロキシメチルシクロブチルメチルアセテート等のシクロブタン環を有するアルコールのアセテート;シクロペンチルメチルアセテート、シクロペンチルエチルアセテート、シクロペンチルプロピルアセテート、シクロペンチルブチルアセテート、2−メチルシクロペンチルメチルアセテート、2−メチル−3−エチルシクロペンチルメチルアセテート、3−ヒドロキシメチルシクロペンチルメチルアセテート等のシクロペンタン環を有するアルコールのアセテート;シクロヘキシルメチルアセテート、シクロヘキシルエチルアセテート、シクロヘキシルプロピルアセテート、シクロヘキシルブチルアセテート、2−メチルシクロヘキシルメチルアセテート、2−メチル−3−エチルシクロヘキシルメチルアセテート、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルアセテート、4−アセトキシメチルシクロヘキシルメチルアセテート等のシクロヘキサン環を有するアルコールのアセテート;シクロヘプチルメチルアセテート、シクロヘプチルエチルアセテート、シクロヘプチルプロピルアセテート、シクロヘプチルブチルアセテート、2−メチルシクロヘプチルメチルアセテート、2−メチル−3−エチルシクロヘプチルメチルアセテート、3−ヒドロキシメチルシクロヘプチルメチルアセテート等のシクロヘプタン環を有するアルコールのアセテートなどが挙げられる。これらの中でもシクロペンタン環又はシクロヘキサン環を有するアルコールのアセテートが好ましく、シクロヘキサン環を有するアルコールのアセテートが特に好ましい。また、2価以上の多価アルコールのアセテートが好ましく、特に4−アセトキシメチルシクロヘキシルメチルアセテートが好ましい。
【0021】
(c1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコールのアルキルエーテルとしては、例えば、メトキシオキセタン、エトキシオキセタン、プロポキシオキセタン、ブトキシオキセタン、メトキシメチルオキセタン、メトキシエチルオキセタン、メトキシプロピルオキセタン、メトキシブチルオキセタン、2−メトキシメチル−2,3−ジメチルオキセタン、2−メトキシメチル−3,3−ジエチルオキセタン、2−メトキシメチル−2−ヒドロキシメチルオキセタン、2−メトキシエチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2−メトキシメチル−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキセタン、2−メトキシメチル−4−メトキシメチル−1,3−ジオキセタン等の4員の環状エーテル骨格を有するアルコールのアルキルエーテル;メトキシテトラヒドロフラン、2―メトキシ−3−ヒドロキシテトラヒドロフラン、2,3―ジメトキシテトラヒドロフラン、メトキシメチルテトラヒドロフラン、メトキシエチルテトラヒドロフラン、2−メトキシメチル−3−メチルテトラヒドロフラン、2−メトキシ−5−ヒドロキシジオキソラン、2−メトキシメチル−5−ヒドロキシメチルジオキソラン、2−メトキシメチル−3−メチルジオキソラン等の5員の環状エーテル骨格を有するアルコールのアルキルエーテル;メトキシテトラヒドロピラン、2メトキシ−3−ヒドロキシテトラヒドロピラン、2,3−ジメトキシテトラヒドロピラン、メトキシメチルテトラヒドロピラン、メトキシジオキサン、2−メチル−5−ヒドロキシジオキサン、2,5−ジメトキシジオキサン、2−メトキシメチル−5−ヒドロキシメチルジオキサン等の6員の環状エーテル骨格を有するアルコールのアルキルエーテル;2−メトキシオキセパン、2−メトキシ−3−ヒドロキシオキセパン、2,3−ジメトキシオキセパン、2−メトキシメチルオキセパン、2−メトキシメチル−3−メチルオキセパン、5−メトキシメチルジオキセパン−2−イル−メタノール、2,5−ビス(メトキシメチル)メチルジオキセパン、2−メトキシメチル−メチルジオキセパン等の7員の環状エーテル骨格を有するアルコールのアルキルエーテル;2−メトキシジオキソカン、2−メトキシ−3−ヒドロキシジオキソカン,2,3−ジメトキシジオキソカン等の8員の環状エーテル骨格を有するアルコールのアルキルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも5員の環状エーテル骨格を有するアルコール(例えば、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環を有するアルコール)のアルキルエーテルが好ましく、特に2−メトキシメチルテトラヒドロフランが好ましい。
【0022】
(c2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールのアルキルエーテルとしては、例えば、メトキシメチルシクロブタン、メトキシエチルシクロブタン、メトキシプロピルシクロブタン、メトキシブチルシクロブタン、1−メトキシメチル−2−メチルシクロブタン、1−メトキシメチル−2−メチル−3−エチルシクロブタン、1−メトキシメチル−3−ヒドロキシメチルシクロブタン、1,3−ビス(メトキシメチル)シクロブタン等のシクロブタン環を有するアルコールのアルキルエーテル;メトキシメチルシクロペンタン、メトキシエチルシクロペンタン、メトキシプロピルシクロペンタン、メトキシブチルシクロペンタン、1−メトキシメチル−2−メチルシクロペンタン、1−メトキシメチル−2−メチル−3−エチルシクロペンタン、1−メトキシメチル−3−ヒドロキシメチルシクロペンタン、1,3−ビス(メトキシメチル)シクロペンタン等のシクロペンタン環を有するアルコールのアルキルエーテル;メトキシメチルシクロヘキサン、メトキシエチルシクロヘキサン、メトキシプロピルシクロヘキサン、メトキシブチルシクロヘキサン、1−メトキシメチル−2−メチルシクロヘキサン、1−メトキシエチル−2−メチル−3−エチルシクロヘキサン、1−メトキシメチル−4−ヒドロキシメチルシクロヘキサン、1,4−ビス(メトキシメチル)シクロヘキサン等のシクロヘキサン環を有するアルコールのアルキルエーテル;メトキシメチルシクロヘプタン、メトキシエチルシクロヘプタン、メトキシプロピルシクロヘプタン、メトキシブチルシクロヘプタン、1−メトキシメチル−2−メチルシクロヘプタン、1−メトキシメチル−2−メチル−3−エチルシクロヘプタン、1−メトキシメチル−3−ヒドロキシメチルシクロヘプタン、1,3−ビス(メトキシメチル)シクロヘプタン等のシクロヘプタン環を有するアルコールのアルキルエーテルなどが挙げられる。これらの中でもシクロペンタン環又はシクロヘキサン環を有するアルコールのアルキルエーテルが好ましく、シクロヘキサン環を有するアルコールのアルキルエーテルが特に好ましい。また、2価以上の多価アルコールのアルキルエーテルが好ましく、特に1,4−ビス(メトキシメチル)シクロヘキサンが好ましい。
【0023】
前記有機溶剤は単独で用いてもよいが、顔料の分散性や樹脂の溶解性等を考慮して2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上を組み合わせて使用する場合、前記(a1)〜(a2)のアルコール化合物群、(b1)〜(b2)のアセテート化合物群、及び(c1)〜(c2)のエーテル化合物群の3つの化合物群のうち少なくとも2つの化合物群からそれぞれ1種以上選ばれた複数の有機溶剤の混合系が好ましく、なかでも前記エーテル化合物群に含まれる有機溶剤とアセテート化合物群に含まれる有機溶剤との混合系が好ましい。
【0024】
上記のように2種の有機溶剤を組み合わせて用いる場合、両者の割合は溶剤の種類や目的に応じて適宜選択される。例えば、前記エーテル化合物群に含まれる有機溶剤とアセテート化合物群に含まれる有機溶剤とを組み合わせて用いる場合、両者の割合は、前者/後者(重量比)=1/99〜99/1、好ましくは5/95〜95/5、さらに好ましくは10/90〜90/10程度である。
【0025】
本発明では、本発明の効果を阻害しない範囲で、前記有機溶剤以外の他の有機溶剤を併用してもよい。該他の有機溶剤として、例えば、モノプロピレングリコールモノメチルエーテル、モノプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、カルボン酸アルキルエステル類、脂肪族ケトン類が挙げられる。
【0026】
前記カルボン酸アルキルエステル類には、例えば、乳酸アルキルエステル、酢酸アルキルエステル、プロピオン酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキルエステルなどの、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えばC1-4アルコキシ基等)などの置換基を有していてもよい炭素数1〜4程度の脂肪族カルボン酸のアルキルエステル(例えばC1-6アルキルエステル等)などが含まれる。
【0027】
より具体的には、乳酸アルキルエステルとしては、乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸C1-6アルキルエステルなどが、酢酸アルキルエステルとしては、酢酸プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル等の酢酸C1-6アルキルエステルなどが、プロピオン酸アルキルエステルとしては、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル等のプロピオン酸C1-6アルキルエステルなどが、アルコキシプロピオン酸アルキルエステルとしては、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸メチル等のC1-4アルコキシ−プロピオン酸C1-6アルキルエステルなどが挙げられる。
【0028】
脂肪族ケトンとしては、2−ブタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン等の炭素数3〜10程度の脂肪族ケトン類(脂肪族モノケトン類等)などが挙げられる。
【0029】
本発明において、顔料分散液中の前記(a1)〜(a2)、(b1)〜(b2)、及び(c1)〜(c2)から選ばれた有機溶剤の総量は、顔料分散液中の有機溶剤の総量に対して、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上(特に80重量%以上)である。本発明の顔料分散液中の有機溶剤は、実質的に、前記(a1)〜(a2)、(b1)〜(b2)、及び(c1)〜(c2)から選ばれた有機溶剤のみにより構成されていてもよい。顔料分散液中の有機溶剤の総量は、顔料分散液全体に対して、通常10〜99重量%、好ましくは50〜95重量%程度である。
【0030】
本発明において、顔料は単独で又は2以上を組み合わせて使用できる。該顔料としては、従来公知の種々の顔料(無機顔料、有機顔料)の中から適宜選択して用いることができる。顔料分散液は高透過率であることが好ましいことを考慮すると、顔料は無機顔料と有機顔料のいずれであってもなるべく細かいものがよく、ハンドリング性も考慮すると、平均粒子径として0.1μm以下が好ましく、0.01〜0.1μmがより好ましく、0.01〜0.05μmの範囲がもっとも好ましい。
【0031】
有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0032】
C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー60、C.I.ピグメントイエロー61、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー71、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー101、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー106、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー113、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー116、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー119、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー126、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー152、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー175;C.I.ピグメントオレンジ1、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ63、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73;C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38;C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド10、C.I.ピグメントレッド11、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド14、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド18、C.I.ピグメントレッド19、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド30、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド37、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド40、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド42、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド50:1、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド57:2、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド90:1、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド101、C.I.ピグメントレッド102、C.I.ピグメントレッド104、C.I.ピグメントレッド105、C.I.ピグメントレッド106、C.I.ピグメントレッド108、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド113、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド151、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド174、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド188、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド265、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60;C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36;C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25;C.I.ピグメントブラック1、ピグメントブラック7。
【0033】
また、前記無機顔料あるいは体質顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
【0034】
顔料分散液中の顔料の総量は、用途によって適宜選択できるが、一般には1〜80重量%、好ましくは1〜50重量%程度である。
【0035】
本発明の顔料分散液には顔料の分散の際に1種もしくは2種以上の樹脂を用いることができる。分散の際に使用可能な樹脂としては特に限定されないが、例を挙げるとすれば、アルキッド系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド酸系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂などがある。また各種のアクリル酸系モノマー、アクリレート系モノマーも適用可能である。特に好ましい樹脂、モノマーとしては、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリル系モノマー、ポリアミド酸系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂が挙げられる。
【0036】
顔料分散液中の前記樹脂及びモノマーの量は、合計で、例えば1〜80重量%、好ましくは1〜50重量%程度である。
【0037】
本発明の顔料分散液は、顔料を公知の分散方法によって分散させることにより調製できる。使用可能な分散機としては、例えば、ロールミル、ボールミル、ビーズミル、アトライター、分散攪拌機などがある。効果的に分散させるために、ロールミル等のような分散機を用いて不揮発分量の高い配合で分散(すなわち固練り)を行い、必要に応じてこれを不揮発分量を適度に下げた配合に調整し、ビーズミル等で分散すれば更に効果的である。
【0038】
また、顔料分散液には、必要に応じて分散助剤(界面活性剤も含まれる)等の従来公知の各種添加剤を適宜配合することもできる。分散の際に使用可能な分散助剤は特に限定されないが、例をあげるとすれば、アミド系化合物、ウレタン系化合物、ラクタム系化合物、バルビツル酸系化合物、ポリアミド系化合物やポリウレタン系化合物のような樹脂型分散剤(高分子顔料分散剤)(市販品ではディスパービック130、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック170、エフカ46、エフカ47など)を用いることも可能である。また、アクリル系、ポリエチレン系のような樹脂型分散剤(高分子顔料分散剤)、シリコン系または非シリコン系のようなレベリング剤、シラン系、アルミニウム系のようなカップリング剤、アニオン系、ノニオン系、カチオン系の界面活性剤なども併せて使用可能である。
【0039】
顔料分散液中の前記分散助剤の量は、例えば1〜80重量%、好ましくは1〜30重量%程度である。
【0040】
本発明の顔料分散液は、塗料や印刷インキ、より具体的には、例えば自動車、塗装鋼板、建材、缶、平板、グラビア、フレキソ、インクジェットプリンタ、カラーフィルター等に使用される塗料や印刷インキなどに好適である。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれよって限定されるものではない。
【0042】
実施例1
C.I.ピグメントレッド177(チバガイギー社製、商品名「クロモフタールレッドA3B」)15g、テトラヒドロフラン−2−イル−メチルアセテート38g、高分子顔料分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名「Disperbyk−161」)4gを、ガラスビーズ90gとともにホモジナイザーを用いて2時間分散した。これにアクリル樹脂(綜研化学(株)製、商品名「ケミトリー L−20」)5gをテトラヒドロフラン−2−イル−メチルアセテート38gに溶解したものを加え、30分間撹拌後、ガラスビーズを除去して、顔料分散液を調製した。
【0043】
実施例2
顔料としてC.I.ピグメントレッド177(チバガイギー社製、商品名「クロモフタールレッドA3B」)に代えて、C.I.ピグメントブルー15:4(BASF社製、商品名「Heliogen Blue D7100」)を同量使用した以外は、実施例1と同様に分散して、顔料分散液を調製した。
【0044】
実施例3
顔料としてC.I.ピグメントレッド177(チバガイギー社製、商品名「クロモフタールレッドA3B」)に代えて、C.I.ピグメントグリーン16(BASF社製、商品名「Heliogen Green D9360」)を同量使用した以外は、実施例1と同様に分散して、顔料分散液を調製した。
【0045】
実施例4
C.I.ピグメントグリーン16(BASF社製、商品名「Heliogen Green D9360」)15g、1,4−ビス(メトキシメチル)シクロヘキサン38g、高分子顔料分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名「Disperbyk−161」)4gを、ガラスビーズ90gとともにホモジナイザーを用いて2時間分散した。これにアクリル樹脂(綜研化学(株)製、商品名「ケミトリー L−20」)5gを1,4−ビス(メトキシメチル)シクロヘキサン38gに溶解したものを加え、30分間撹拌後、ガラスビーズを除去して、顔料分散液を調製した。
【0046】
実施例5
C.I.ピグメントレッド177(チバガイギー社製、商品名「クロモフタールレッドA3B」)15g、テトラヒドロフラン−2−イル−メタノール38g、高分子顔料分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名「Disperbyk−161」)4gを、ガラスビーズ90gとともにホモジナイザーを用いて2時間分散した。これにアクリル樹脂(綜研化学(株)製、商品名「ケミトリー L−20」)5gをテトラヒドロフラン−2−イル−メタノール38gに溶解したものを加え、30分間撹拌後、ガラスビーズを除去して、顔料分散液を調製した。
【0047】
実施例6
顔料としてC.I.ピグメントレッド177(チバガイギー社製、商品名「クロモフタールレッドA3B」)に代えて、C.I.ピグメントグリーン16(BASF社製、商品名「Heliogen Green D9360」)を同量使用した以外は、実施例5と同様に分散して、顔料分散液を調製した。
【0048】
実施例7
C.I.ピグメントグリーン16(BASF社製、商品名「Heliogen Green D9360」)15g、4−アセトキシメチルシクロへキシルメチルアセテート38g、高分子顔料分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名「Disperbyk−161」)4gを、ガラスビーズ90gとともにホモジナイザーを用いて2時間分散した。これにアクリル樹脂(綜研化学(株)製、商品名「ケミトリー L−20」)5gを4−アセトキシメチルシクロへキシルメチルアセテート38gに溶解したものを加え、30分間撹拌後、ガラスビーズを除去して、顔料分散液を調製した。
【0049】
実施例8
C.I.ピグメントブルー15:4(BASF社製、商品名「Heliogen Blue D7100」)15g、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルアルコール38g、高分子顔料分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名「Disperbyk−161」)4gを、ガラスビーズ90gとともにホモジナイザーを用いて2時間分散した。これにアクリル樹脂(綜研化学(株)製、商品名「ケミトリー L−20」)5gを4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルアルコール38gに溶解したものを加え、30分間撹拌後、ガラスビーズを除去して、顔料分散液を調製した。
【0050】
実施例9
C.I.ピグメントレッド177(チバガイギー社製、商品名「クロモフタールレッドA3B」)15g、2−メトキシメチルテトラヒドロフラン38g、高分子顔料分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名「Disperbyk−161」)4gを、ガラスビーズ90gとともにホモジナイザーを用いて2時間分散した。これにアクリル樹脂(綜研化学(株)製、商品名「ケミトリー L−20」)5gを2−メトキシメチルテトラヒドロフラン38gに溶解したものを加え、30分間撹拌後、ガラスビーズを除去して、顔料分散液を調製した。
【0051】
実施例10
C.I.ピグメントレッド177(チバガイギー社製、商品名「クロモフタールレッドA3B」)15g、テトラヒドロフラン−2−イルメチルアセテート38g、高分子顔料分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名「Disperbyk−161」)4gを、ガラスビーズ90gとともにホモジナイザーを用いて2時間分散した。これにアクリル樹脂(綜研化学(株)製、商品名「ケミトリー L−20」)5gをプロピレングリコールメチルエーテルアセテート38gに溶解したものを加え、30分間撹拌後、ガラスビーズを除去して、顔料分散液を調製した。
【0052】
実施例11
C.I.ピグメントブルー15:4(BASF社製、商品名「Heliogen Blue D7100」)15g、4−アセトキシメチルシクロへキシルメチルアセテート38g、高分子顔料分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名「Disperbyk−161」)4gを、ガラスビーズ90gとともにホモジナイザーを用いて2時間分散した。これにアクリル樹脂(綜研化学(株)製、商品名「ケミトリー L−20」)5gをエチレングリコールエチルエーテルアセテートに溶解したものを加え、30分間撹拌後、ガラスビーズを除去して、顔料分散液を調製した。
【0053】
実施例12
C.I.ピグメントグリーン16(BASF社製、商品名「Heliogen Green D9360」)15g、テトラヒドロフラン−2−イルメタノール38g、高分子顔料分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名「Disperbyk−161」)4gを、ガラスビーズ90gとともにホモジナイザーを用いて2時間分散した。これにアクリル樹脂(綜研化学(株)製、商品名「ケミトリー L−20」)5gをプロピレングリコールモノメチルエーテル38gに溶解したものを加え、30分間撹拌後、ガラスビーズを除去して、顔料分散液を調製した。
【0054】
比較例1
C.I.ピグメントレッド177(チバガイギー社製、商品名「クロモフタールレッドA3B」)15g、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート38g、高分子顔料分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名「Disperbyk−161」)4gをガラスビーズ90gとともにホモジナイザーを用い、2時間分散した。これにアクリル樹脂(綜研化学(株)製、商品名「ケミトリー L−20」)5gをプロピレングリコールメチルエーテルアセテート38gに溶解したものを加え、30分間撹拌後、ガラスビーズを除去して、顔料分散液を調製した。
【0055】
比較例2
顔料としてC.I.ピグメントレッド177(チバガイギー社製、商品名「クロモフタールレッドA3B」)に代えて、C.I.ピグメントブルー15:4(BASF社製、商品名「Heliogen Blue D7100」)を同量使用した以外は、比較例1と同様に分散して、顔料分散液を調製した。
【0056】
比較例3
顔料としてC.I.ピグメントレッド177(チバガイギー社製、商品名「クロモフタールレッドA3B」)に代えて、C.I.ピグメントグリーン16(BASF社製、商品名「Heliogen Green D9360」)を同量使用した以外は、比較例1と同様に分散して、顔料分散液を調製した。
【0057】
比較例4
C.I.ピグメントレッド177(チバガイギー社製、商品名「クロモフタールレッドA3B」)15g、エチレングリコールエチルエーテルアセテート38g、高分子顔料分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名「Disperbyk−161」)4gを、ガラスビーズ90gとともに、ホモジナイザーを用いて2時間分散した。これにアクリル樹脂(綜研化学(株)製、商品名「ケミトリー L−20」)5gをエチレングリコールエチルエーテルアセテート 38gに溶解したものを加え、30分間撹拌後、ガラスビーズを除去して、顔料分散液を調製した。
【0058】
比較例5
顔料としてC.I.ピグメントレッド177(チバガイギー社製、商品名「クロモフタールレッドA3B」)に代えて、C.I.ピグメントブルー15:4(BASF社製、商品名「Heliogen Blue D7100」)を同量使用した以外は、比較例4と同様に分散して、顔料分散液を調製した。
【0059】
比較例6
顔料としてC.I.ピグメントレッド177(チバガイギー社製、商品名「クロモフタールレッドA3B」)に代えて、C.I.ピグメントグリーン16(BASF社製、商品名「Heliogen Green D9360」)を同量使用した以外は、比較例4と同様に分散して、顔料分散液を調製した。
【0060】
試験例1
実施例1〜12および比較例1〜6で調製した顔料分散液の初期粘度と40℃で2週間保存した後の経時粘度を測定し、表1〜3に示した。表1、表2、表3は、それぞれ顔料として、C.I.ピグメントレッド177(チバガイギー社製、商品名「クロモフタールレッドA3B」)、C.I.ピグメントブルー15:4(BASF社製、商品名「Heliogen Blue D7100」)、C.I.ピグメントグリーン16(BASF社製、商品名「Heliogen Green D9360」)を用いたものである。顔料分散液は、経時安定性が悪くて、再凝集などの分散状態が悪化した場合には粘度が大幅に上昇する。実施例1〜12の顔料分散液における2週間後の粘度変化は5cPs以下であり、比較例1〜6同様に顔料分散液としての基本的な安定性を有していることがわかる。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
試験例2
実施例1〜12および比較例1〜6で調製した顔料分散液をガラス基板上にスピンコートし、膜厚及びコントラストを測定した。コントラストの測定法は以下の通りである。
バックライト(明拓システム)上で色彩輝度計(トプコンBM−5A)にて2度視野で試料の平行ニコル状態、すなわち、試料を挟んだ位置にある偏光板の偏光軸が平行配置にある場合の輝度(I平行)と直交ニコル状態での輝度(I直交)を測定し、平行ニコル状態での輝度と直交ニコル状態での輝度との比(I平行/I直交)をコントラストとした。
塗膜の透明性および膜厚およびコントラストの計測結果を表4〜6に示す。表4、表5、表6は、それぞれ顔料として、C.I.ピグメントレッド177(チバガイギー社製、商品名「クロモフタールレッドA3B」)、C.I.ピグメントブルー15:4(BASF社製、商品名「Heliogen Blue D7100」)、C.I.ピグメントグリーン16(BASF社製、商品名「Heliogen Green D9360」)を用いたものである。ここで透明性良とは塗膜表面の曇りや微細な段差や波打ちが無い状態を示す。実施例1〜12は比較例1〜6に比してコントラストが向上している。
【0065】
【表4】

【0066】
【表5】

【0067】
【表6】

【0068】
試験例3
実施例1〜12および比較例1〜6で調製した顔料分散液をガラス基板上にスリットコートで塗布した場合およびインクジェットで塗布した場合の塗工性を評価した。結果を表7〜9に示す。表7、表8、表9は、それぞれ顔料として、C.I.ピグメントレッド177(チバガイギー社製、商品名「クロモフタールレッドA3B」)、C.I.ピグメントブルー15:4(BASF社製、商品名「Heliogen Blue D7100」)、C.I.ピグメントグリーン16(BASF社製、商品名「Heliogen Green D9360」)を用いたものである。塗工不良とは連続10時間以上塗布を繰り返した場合にノズルの詰まりや液ダレ、射出部への固形物の付着があるものを示す。ノズルの詰まりや液ダレ、射出部への固形物の付着があると、部分的な塗膜の厚さが異なったり、欠損が生じる原因となる。実施例1〜12は比較例1〜6に比して塗工不良が発生していないことがわかる。
【0069】
【表7】

【0070】
【表8】

【0071】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料と有機溶剤とを含む顔料分散液であって、該有機溶剤として、(a)(a1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコール及び(a2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールからなるアルコール化合物群、(b)(b1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコールのアセテート及び(b2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールのアセテートからなるアセテート化合物群、および(c)(c1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコールのアルキルエーテル及び(c2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールのアルキルエーテルからなるエーテル化合物群より選ばれた少なくとも1種の有機溶剤を含むことを特徴とする顔料分散液。
【請求項2】
有機溶剤として、(a)(a1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコール及び(a2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールからなるアルコール化合物群、(b)(b1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコールのアセテート及び(b2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールのアセテートからなるアセテート化合物群、および(c)(c1)4〜8員のC2-6環状エーテル骨格を有するアルコールのアルキルエーテル及び(c2)4〜7員のシクロアルカン環を有するシクロアルキルアルカノールのアルキルエーテルからなるエーテル化合物群の3つの化合物群のうち少なくとも2つの化合物群からそれぞれ1種以上選ばれた複数の有機溶剤を含む請求項1記載の顔料分散液。
【請求項3】
有機溶剤として、さらに、モノプロピレングリコールモノメチルエーテル及びモノプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択された少なくとも1種の有機溶剤を含む請求項1又は2記載の顔料分散液。
【請求項4】
有機溶剤として、さらに、カルボン酸アルキルエステル類及び脂肪族ケトン類から選択された少なくとも1種の有機溶剤を含む請求項1〜3の何れかの項に記載の顔料分散液。
【請求項5】
顔料と有機溶剤に加えて、さらに樹脂及び/又は分散助剤を含む請求項1〜4の何れかの項に記載の顔料分散液。

【公開番号】特開2008−144118(P2008−144118A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−336182(P2006−336182)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】