説明

顔料分散組成物、光硬化性組成物、並びに、カラーフィルタおよびその製造方法

【課題】色特性が良好で、カラーフィルタを構成するときには、優れたアルカリ現像性および高いコントラストを得ること。
【解決手段】顔料と、下記一般式(2)で表される高分子化合物とを含有する顔料分散組成物である〔R:(m+n)価の有機連結基、R、R:各々独立に、単結合または2価の有機連結基、A:有機色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される、顔料に対する吸着能を有する部位を少なくとも1種含む1価の有機基、m:1〜8、n:2〜9(m+n=3〜10)、P:高分子骨格。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料分散組成物、光硬化性組成物、並びに、カラーフィルタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタは、有機顔料や無機顔料を分散させた顔料分散組成物に、多官能モノマーおよび光重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂およびその他成分を含有して着色感光性組成物とし、これを用いてフォトリソ法などにより製造されている。
【0003】
近年、カラーフィルタは、液晶表示素子(LCD)用途ではモニターのみならずテレビ(TV)へと用途が拡大する傾向にあり、この用途拡大の傾向に伴い、色度、コントラストなどにおいて高度の色特性が要求されるに至っている。また、イメージセンサ(固体撮像素子)用途においても同様に色特性の高いものが求められるようになっている。
【0004】
上記のような要求に対して、より微細な状態で顔料を分散させること(良好な分散性)、安定な状態で分散させること(良好な分散安定性)が求められている。分散性が不十分である場合には、形成された着色レジスト膜にフリンジ(エッジ部のギザギザ)や表面凹凸が生じ、製造されるカラーフィルタの色度や寸法精度が低下したり、コントラストが著しく劣化したりするという問題がある。また分散安定性が不十分である場合には、カラーフィルタの製造工程において、特に、着色感光性組成物の塗布工程での膜厚の均一性が低下したり、露光工程での感光感度が低下したり、現像工程でのアルカリ溶解性が低下したりするという問題が生じ易い。さらに、顔料の分散安定性が悪い場合には、時間の経過に伴い、着色感光性組成物の構成成分が凝集を起こして粘度が上昇し、ポットライフが極めて短くなるという問題もある。
【0005】
しかしながら、顔料の粒子径を微細化すると顔料粒子の表面積が大きくなるため、顔料粒子間の凝集力が強くなり、高度なレベルで分散性と分散安定性を両立することは、困難であることが多い。
【0006】
このような問題を解決するために、様々な顔料分散剤が開発されている。
例えば、有機色素とポリマーを結合させたポリマー顔料分散剤が提示されている(例えば、特許文献1参照)。これは分散剤中に導入された有機色素と顔料粒子と相互作用が強くなるために、ポリマー顔料分散剤の顔料粒子への吸着が促進され、分散性が向上するものを考えられる。
【0007】
また、ポリマー部分の片末端あるいは両末端にのみ有機色素や複素環を導入したポリマー顔料分散剤が提示されている(例えば、特許文献2〜3参照)。特許文献2は、顔料表面に効率よく有機色素や複素環を吸着させると共に、ポリマー部分と分散媒との十分な親和性を持たせることにより、分散安定化に十分な吸着層を確保しようとしたものであり、特許文献3では、有機色素や複素環を有する連鎖移動剤を利用することで、特許文献2に対して合成手法上の改良がなされている。
【0008】
更に、ジアルキルアミノ基を導入した塩基性の顔料誘導体を添加することにより、カルボン酸基を有するアクリル樹脂を用いて分散性を向上させるものがある(例えば、特許文献4参照)。加えて、ポリマー部分の片末端にのみスルホン酸基またはモノ硫酸エステル基を導入したポリマー顔料分散剤が開示されており(例えば、特許文献5参照)、これは顔料表面(特に塩基性の顔料)に効率よくスルホン酸を吸着させると共に、ポリマー部分と分散媒とに十分な親和性を持たせることにより、分散安定化に十分な吸着層を確保しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4−139262号公報
【特許文献2】特開平9−77987号公報
【特許文献3】特開平9−77994号公報
【特許文献4】特開平11−189732号公報
【特許文献5】特開2002−273191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記の特許文献1に記載のポリマー顔料分散剤では、ポリマー中にランダムに有機色素が導入されるために、ポリマー部分と分散媒との親和性が弱まり、分散安定化に十分な吸着層を確保しにくくなったり、また、ポリマー中への有機色素あるいは複素環の導入量が増加すると分散媒への溶解性が減少するため、分散安定化に十分な吸着層を確保できなくなったりするという問題がある。
【0011】
また、特許文献2に記載のポリマー顔料分散剤では、ポリマーの末端に複数の有機色素や複素環を導入しておらず、また導入が困難であり、顔料表面への吸着が十分に強いとは言い難い。そのため、分散安定化に十分な吸着層を確保できない場合がある。さらに、このポリマー顔料分散剤は、有機色素あるいは複素環と、ポリマー末端を高分子反応により結合させるという合成手法の観点でも、容易な方法であるとは言い難い。
特許文献3に記載のポリマー顔料分散剤も同様に、ポリマーの末端に複数の有機色素や複素環を導入したものではなく、しかも導入が困難なことから、顔料表面への吸着が十分に強いとは言い難い。そのため、分散安定化に十分な吸着層を確保できない場合がある。
【0012】
更に、特許文献4では、塩基性の顔料誘導体はそれ自身が着色しているため、顔料分散組成物を所望の色に調整するためには、利用可能な顔料が限られたり、カルボン酸基を有するアクリル樹脂は、高分子主鎖中にランダムに存在するため、複数の顔料間を架橋して分散性を悪化させたりするという問題がある。
【0013】
加えて、特許文献5のポリマー顔料分散剤は、高分子反応により末端基を導入する点で、工業的に有利に顔料分散剤を製造できる合成手法とは言い難く、酸性顔料に対する分散安定化効果は不十分な場合がある。
【0014】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、色特性が良好で、カラーフィルタを構成するときには、優れたアルカリ現像性および高いコントラストを得ることができる顔料分散組成物、光硬化性組成物、並びに色特性が良好でコントラストの高いカラーフィルタ、およびその製造方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、ポリマー末端に、顔料に対する吸着能を有する複数の構造あるいは官能基を導入することが、顔料分散剤として用いたときの分散性、分散後の分散安定性の向上に有効であること、更にはポリマー末端への複数の前記構造あるいは官能基の導入には、多官能のメルカプタン化合物の利用が合成の容易化および立体反発を考慮し構造上自由度が大きくなることの点で有用であるとの知見を得、かかる知見に基づいて達成されたものである。前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
【0016】
<1> 顔料と、下記一般式(2)で表される高分子化合物とを含有する顔料分散組成物である。
【0017】
【化1】

【0018】
一般式(2)中、Rは、(m+n)価の有機連結基を表し、R、Rは、各々独立に、単結合または2価の有機連結基を表す。Aは、有機色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される、顔料に対する吸着能を有する部位を少なくとも1種含む1価の有機基を表す。n個のA、Rは、各々独立に、同一であっても、異なっていてもよい。mは1〜8、nは2〜9を表し、m+nは3〜10を満たす。Pは高分子骨格を表す。m個のP、Rは、各々独立に、同一であっても、異なっていてもよい。
【0019】
<2> 更に、有機溶媒を含有する<1>に記載の顔料分散組成物である。
【0020】
<3> 一般式(2)におけるnが3〜6を表す<1>または<2>に記載の顔料分散組成物である。
【0021】
<4> 一般式(2)におけるAが、有機色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される、顔料に対する吸着能を有する部位を少なくとも1種含む1価の有機基を表す<1>〜<3>のいずれか1つに記載の顔料分散組成物である。
【0022】
<5> 一般式(2)におけるAが、有機色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、およびウレア基から選択される、顔料に対する吸着能を有する部位を少なくとも1種含む1価の有機基を表す<1>〜<3>のいずれか1つに記載の顔料分散組成物である。
【0023】
<6> 一般式(2)におけるPで表される高分子骨格が、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル系ポリマー、エーテル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アミド系ポリマー、エポキシ系ポリマー、シリコーン系ポリマー、およびこれらの変性物もしくは共重合体より選ばれる少なくとも一種に由来するものである<1>〜<5>のいずれか1つに記載の顔料分散組成物である。
【0024】
<7> 一般式(2)におけるPで表される高分子骨格が、ビニルモノマーの重合体または共重合体に由来するものである<1>〜<5>のいずれか1つに記載の顔料分散組成物である。
【0025】
<8> 高分子化合物の重量平均分子量が、3000〜100000である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の顔料分散組成物である。
【0026】
<9> 高分子化合物の酸価が、200mgKOH/g以下である<1>〜<8>のいずれか1つに記載の顔料分散組成物である。
【0027】
<10> 高分子化合物が、下記一般式(3)で表される化合物存在下で、ラジカル重合反応を行なうことで得られたものである<1>〜<9>のいずれか1つに記載の顔料分散組成物である。
【0028】
【化2】

【0029】
一般式(3)中、Rは、(m+n)価の有機連結基を表し、Rは、単結合または2価の有機連結基を表す。Aは、有機色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される、顔料に対する吸着能を有する部位を少なくとも1種含む1価の有機基を表す。n個のA、Rは、各々独立に、同一であっても、異なっていてもよい。mは1〜8、nは2〜9を表し、m+nは3〜10を満たす。
【0030】
<11> <1>〜<10>のいずれか1つに記載の顔料分散組成物と、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物と、光重合開始剤とを含有する光硬化性組成物である。
【0031】
<12> <11>に記載の光硬化性組成物を用いてなるカラーフィルタである。
【0032】
<13> <11>に記載の光硬化性組成物を直接もしくは他の層を介して基板上に付与して感光性膜を形成し、形成された感光性膜にパターン露光および現像を行なうことにより着色パターンを形成するカラーフィルタの製造方法である。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、色特性が良好で、カラーフィルタを構成するときには、優れたアルカリ現像性および高いコントラストを得ることができる顔料分散組成物、着色感光性組成物、並びに色特性が良好でコントラストの高いカラーフィルタ、およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明について詳細に説明する。
<高分子化合物>
本発明の高分子化合物は、下記一般式(1)で表される高分子化合物である。下記一般式(1)で表される高分子化合物は、ポリマーの末端に、有機色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される部位を少なくとも1種含む1価の有機基を複数有するので、固体表面に対する吸着性に優れていたり、ミセル形成能に優れていたり、界面活性性を有していたり、様々な特徴を有する。例えば顔料分散剤として好適に用いることができる。
【0035】
【化3】

【0036】
前記一般式(1)中、Aは、有機色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される部位を少なくとも1種含む1価の有機基を表す。n個のAは同一であっても、異なっていてもよい。
【0037】
つまり、前記Aは、有機色素構造、複素環構造のような顔料に対する吸着能を有する構造や、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基のように、顔料に対する吸着能を有する官能基を少なくとも1種含む1価の有機基を表す。
なお、以下、この顔料に対する吸着能を有する部位(上記構造及び官能基)を、適宜、「吸着部位」と総称して、説明する。
【0038】
前記吸着部位は、1つのAの中に、少なくとも1種含まれていればよく、2種以上を含んでいてもよい。
また、本発明において、「吸着部位を少なくとも1種含む1価の有機基」は、前述の吸着部位と、1から200個までの炭素原子、0個から20個までの窒素原子、0個から100個までの酸素原子、1個から400個までの水素原子、および0個から40個までの硫黄原子から成り立つ有機連結基と、が結合してなる1価の有機基である。なお、吸着部位自体が1価の有機基を構成しうる場合には、吸着部位そのものがAで表される一価の有機基であってもよい。
まず、前記Aを構成する吸着部位について以下に説明する。
【0039】
前記「有機色素構造」としては、例えば、フタロシアニン系、不溶性アゾ系、アゾレーキ系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、アントラピリジン系、アンサンスロン系、インダンスロン系、フラバンスロン系、ペリノン系、ペリレン系、チオインジゴ系の色素構造が好ましい例として挙げられ、フタロシアニン系、アゾレーキ系、アントラキノン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系の色素構造がより好ましく、フタロシアニン系、アントラキノン系、ジケトピロロピロール系の色素構造が特に好ましい。
【0040】
また、前記「複素環構造」としては、例えば、チオフェン、フラン、キサンテン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、ジオキソラン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、ジオキサン、モルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、トリアジン、トリチアン、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンゾチアゾール、コハクイミド、フタルイミド、ナフタルイミド、ヒダントイン、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、アントラキノンが好ましい例として挙げられ、ピロリン、ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、トリアジン、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンゾチアゾール、コハクイミド、フタルイミド、ナフタルイミド、ヒダントイン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、アントラキノンがより好ましい。
【0041】
なお、前記「有機色素構造」または「複素環構造」は、さらに置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1から20までのアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6から16までのアリール基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基等の炭素数1から6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1から20までのアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2から7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネート等の炭酸エステル基、等が挙げられる。ここで、これらの置換基は、下記の構造単位または該構造単位が組み合わさって構成される連結基を介して有機色素構造または複素環と結合していてもよい。
【0042】
【化4】

【0043】
前記「酸性基」として、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、モノ硫酸エステル基、リン酸基、モノリン酸エステル基、ホウ酸基が好ましい例として挙げられ、カルボン酸基、スルホン酸基、モノ硫酸エステル基、リン酸基、モノリン酸エステル基がより好ましく、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基が特に好ましい。
【0044】
また、前記「塩基性窒素原子を有する基」として、例えば、アミノ基(−NH)、置換イミノ基(−NHR、−NR10、ここで、R、R、およびR10は各々独立に、炭素数1から20までのアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数7以上のアラルキル基を表す。)、下記式(a1)で表されるグアニジル基、下記式(a2)で表されるアミジニル基などが好ましい例として挙げられる。
【0045】
【化5】

【0046】
式(a1)中、R11およびR12は各々独立に、炭素数1から20までのアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数7以上のアラルキル基を表す。
式(a2)中、R13およびR14は各々独立に、炭素数1から20までのアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数7以上のアラルキル基を表す。
【0047】
これらの中でも、アミノ基(−NH)、置換イミノ基(−NHR、−NR10、ここで、R、R、およびR10は各々独立に、炭素数1から10までのアルキル基、フェニル基、ベンジル基を表す。)、前記式(a1)で表されるグアニジル基〔式(a1)中、R11およびR12は各々独立に、炭素数1から10までのアルキル基、フェニル基、ベンジル基を表す。〕、前記式(a2)で表されるアミジニル基〔式(a2)中、R13およびR14は各々独立に、炭素数1から10までのアルキル基、フェニル基、ベンジル基を表す。〕などがより好ましい。
特に、アミノ基(−NH)、置換イミノ基(−NHR、−NR10、ここで、R、R、およびR10は各々独立に、炭素数1から5までのアルキル基、フェニル基、ベンジル基を表す。)、前記式(a1)で表されるグアニジル基〔式(a1)中、R11およびR12は各々独立に、炭素数1から5までのアルキル基、フェニル基、ベンジル基を表す。〕、前記式(a2)で表されるアミジニル基〔式(a2)中、R13およびR14は各々独立に、炭素数1から5までのアルキル基、フェニル基、ベンジル基を表す。〕などが好ましく用いられる。
【0048】
前記「ウレア基」として、例えば、−NR15CONR1617(ここで、R15、R16、およびR17は各々独立に、水素原子あるいは、炭素数1から20までのアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数7以上のアラルキル基を表す。)が好ましい例として挙げられ、−NR15CONHR17(ここで、R15およびR17は各々独立に、水素原子あるいは、炭素数1から10までのアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数7以上のアラルキル基を表す。)がより好ましく、−NHCONHR17(ここで、R17は水素原子あるいは、炭素数1から10までのアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数7以上のアラルキル基を表す。)が特に好ましい。
【0049】
前記「ウレタン基」として、例えば、−NHCOOR18、−NR19COOR20、−OCONHR21、−OCONR2223(ここで、R18、R19、R20、R21、R22およびR23は各々独立に、炭素数1から20までのアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数7以上のアラルキル基を表す。)などが好ましい例として挙げられ、−NHCOOR18、−OCONHR21(ここで、R18、R21は各々独立に、炭素数1から20までのアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数7以上のアラルキル基を表す。)などがより好ましく、−NHCOOR18、−OCONHR21(ここで、R18、R21は各々独立に、炭素数1から10までのアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数7以上のアラルキル基を表す。)などが特に好ましい。
【0050】
前記「配位性酸素原子を有する基」としては、例えば、アセチルアセトナト基、クラウンエーテルなどが挙げられる。
【0051】
前記「炭素数4以上の炭化水素基」としては、炭素数4以上のアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数7以上のアラルキル基などが好ましい例として挙げられ、炭素数4〜20アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基などがより好ましく、炭素数4〜15アルキル基(例えば、オクチル基、ドデシル基など)、炭素数6〜15のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)、炭素数7〜15のアラルキル基(例えばベンジル基など)などが特に好ましい。
【0052】
前記「アルコキシシリル基」としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などが挙げられる。
【0053】
前記吸着部位と結合する有機連結基としては、単結合あるいは、1から100個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から200個までの水素原子、および0個から20個までの硫黄原子から成り立つ有機連結基が好ましく、この有機連結基は、無置換でも置換基を更に有していてもよい。
この有機連結基の具体的な例として、下記の構造単位または該構造単位が組み合わさって構成される基を挙げることができる。
【0054】
【化6】

【0055】
前記有機連結基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1から20までのアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6から16までのアリール基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基等の炭素数1から6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1から6までのアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2から7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネート等の炭酸エステル基、等が挙げられる。
【0056】
上記の中では、前記Aとして、有機色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、および炭素数4以上の炭化水素基から選択される部位を少なくとも1種含む1価の有機基であることが好ましい。
【0057】
前記Aとしては、下記一般式(4)で表される1価の有機基であることがより好ましい。
【0058】
【化7】

【0059】
前記一般式(4)中、Bは前記吸着部位(即ち、有機色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される部位)を表し、R24は単結合あるいは(a+1)価の有機連結基を表す。aは、1〜10の整数を表し、a個のBは同一であっても、異なっていてもよい。
【0060】
前記Bで表される吸着部位としては、前述の一般式(1)のAを構成する吸着部位と同様のものが挙げられ、好ましい例も同様である。
中でも、有機色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、および炭素数4以上の炭化水素基から選択される部位が好ましい。
【0061】
24は、単結合または(a+1)価の有機連結基を表し、aは1〜10を表す。好ましくは、aは1〜7であり、より好ましくは、aは1〜5であり、特に好ましくは、aは1〜3である。
(a+1)価の有機連結基としては、1から100個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から200個までの水素原子、および0個から20個までの硫黄原子から成り立つ基が含まれ、無置換でも置換基を更に有していてもよい。
【0062】
前記(a+1)価の有機連結基は、具体的な例として、下記の構造単位または該構造単位が組み合わさって構成される基(環構造を形成していてもよい)を挙げることができる。
【0063】
【化8】

【0064】
24としては、単結合、または、1から50個までの炭素原子、0個から8個までの窒素原子、0個から25個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、および0個から10個までの硫黄原子から成り立つ(a+1)価の有機連結基が好ましく、単結合、または、1から30個までの炭素原子、0個から6個までの窒素原子、0個から15個までの酸素原子、1個から50個までの水素原子、および0個から7個までの硫黄原子から成り立つ(a+1)価の有機連結基がより好ましく、単結合、または、1から10個までの炭素原子、0個から5個までの窒素原子、0個から10個までの酸素原子、1個から30個までの水素原子、および0個から5個までの硫黄原子から成り立つ(a+1)価の有機連結基が特に好ましい。
【0065】
上記のうち、(a+1)価の有機連結基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1から20までのアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6から16までのアリール基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基等の炭素数1から6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1から6までのアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2から7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネート等の炭酸エステル基、等が挙げられる。
【0066】
前記一般式(1)中、Rは単結合あるいは2価の有機連結基を表す。n個のRは、同一であっても、異なっていてもよい。
2価の有機連結基としては、1から100個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から200個までの水素原子、および0個から20個までの硫黄原子から成り立つ基が含まれ、無置換でも置換基を更に有していてもよい。
【0067】
前記2価の有機連結基は、具体的な例として、下記の構造単位または該構造単位が組み合わさって構成される基を挙げることができる。
【0068】
【化9】

【0069】
としては、単結合、あるいは、1から50個までの炭素原子、0個から8個までの窒素原子、0個から25個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、および0個から10個までの硫黄原子から成り立つ2価の有機連結基が好ましく、単結合、あるいは、1から30個までの炭素原子、0個から6個までの窒素原子、0個から15個までの酸素原子、1個から50個までの水素原子、および0個から7個までの硫黄原子から成り立つ2価の有機連結基がより好ましく、単結合、あるいは、1から10個までの炭素原子、0個から5個までの窒素原子、0個から10個までの酸素原子、1個から30個までの水素原子、および0個から5個までの硫黄原子から成り立つ2価の有機連結基が特に好ましい。
【0070】
上記のうち、2価の有機連結基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1から20までのアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6から16までのアリール基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基等の炭素数1から6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1から6までのアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2から7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネート等の炭酸エステル基、等が挙げられる。
【0071】
前記一般式(1)中、Rは、(m+n)価の有機連結基を表す。m+nは3〜10を満たす。
前記Rで表される(m+n)価の有機連結基としては、1から100個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から200個までの水素原子、および0個から20個までの硫黄原子から成り立つ基が含まれ、無置換でも置換基を更に有していてもよい。
【0072】
前記(m+n)価の有機連結基は、具体的な例として、下記の構造単位または該構造単位が組み合わさって構成される基(環構造を形成していてもよい)を挙げることができる。
【0073】
【化10】

【0074】
(m+n)価の有機連結基としては、1から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から40個までの酸素原子、1個から120個までの水素原子、および0個から10個までの硫黄原子から成り立つ基が好ましく、1から50個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から30個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、および0個から7個までの硫黄原子から成り立つ基がより好ましく、1から40個までの炭素原子、0個から8個までの窒素原子、0個から20個までの酸素原子、1個から80個までの水素原子、および0個から5個までの硫黄原子から成り立つ基が特に好ましい。
【0075】
上記のうち、(m+n)価の有機連結基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1から20までのアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6から16までのアリール基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基等の炭素数1から6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1から6までのアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2から7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネート等の炭酸エステル基、等が挙げられる。
【0076】
前記Rで表される(m+n)価の有機連結基の具体的な例〔具体例(1)〜(17)〕を以下に示す。但し、本発明においては、これらに制限されるものではない。
【0077】
【化11】

【0078】
【化12】

【0079】
上記の具体例の中でも、原料の入手性、合成の容易さ、各種溶媒への溶解性の観点から、最も好ましい(m+n)価の有機連結基は下記の基である。
【0080】
【化13】

【0081】
前記一般式(1)中、mは1〜8を表す。mとしては、1〜5が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
また、前記一般式(1)中、nは2〜9を表す。nとしては、2〜8が好ましく、2〜7がより好ましく、3〜6が特に好ましい。
【0082】
前記一般式(1)中、Pは高分子骨格を表し、公知のポリマーなどから目的等に応じて選択することができる。m個のPは、同一であっても、異なっていてもよい。
ポリマーの中でも、高分子骨格を構成するには、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル系ポリマー、エーテル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アミド系ポリマー、エポキシ系ポリマー、シリコーン系ポリマー、およびこれらの変性物、または共重合体〔例えば、ポリエーテル/ポリウレタン共重合体、ポリエーテル/ビニルモノマーの重合体の共重合体など(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。)を含む。〕からなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル系ポリマー、エーテル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、およびこれらの変性物または共重合体からなる群より選択される少なくとも一種がより好ましく、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体が特に好ましい。
更には、前記ポリマーは有機溶媒に可溶であることが好ましい。有機溶媒との親和性が低いと、例えば、顔料分散剤として使用した場合、分散媒との親和性が弱まり、分散安定化に十分な吸着層を確保できなくなることがある。
【0083】
前記ビニルモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、オレフィン類、マレイミド類、(メタ)アクリロニトリル、酸性基を有するビニルモノマーなどが好ましい。
以下、これらのビニルモノマーの好ましい例について説明する。
【0084】
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸―2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸―3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸―4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸―2−フェニルビニル、(メタ)アクリル酸―1−プロペニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸―2−アリロキシエチル、(メタ)アクリル酸プロパルギル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸−γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0085】
クロトン酸エステル類の例としては、クロトン酸ブチル、およびクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、および安息香酸ビニルなどが挙げられる。
マレイン酸ジエステル類の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、およびマレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
フマル酸ジエステル類の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、およびフマル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステル類の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、およびイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0086】
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、ビニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、N−アリル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0087】
スチレン類の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、およびα−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0088】
ビニルエーテル類の例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルおよびフェニルビニルエーテルなどが挙げられる。
ビニルケトン類の例としては、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどが挙げられる。
オレフィン類の例としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。
マレイミド類の例としては、マレイミド、ブチルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミドなどが挙げられる。
【0089】
(メタ)アクリロニトリル、ビニル基が置換した複素環式基(例えば、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、ビニルカルバゾールなど)、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクトン等も使用できる。
【0090】
上記の化合物以外にも、例えば、ウレタン基、ウレア基、スルホンアミド基、フェノール基、イミド基などの官能基を有するビニルモノマーも用いることができる。このようなウレタン基、またはウレア基を有する単量体としては、例えば、イソシアナート基と水酸基、またはアミノ基の付加反応を利用して、適宜合成することが可能である。具体的には、イソシアナート基含有モノマーと水酸基を1個含有する化合物または1級あるいは2級アミノ基を1個含有する化合物との付加反応、または水酸基含有モノマーまたは1級あるいは2級アミノ基含有モノマーとモノイソシアネートとの付加反応等により適宜合成することができる。
【0091】
前記酸性基を有するビニルモノマーの例としては、カルボキシル基を有するビニルモノマーやスルホン酸基を有するビニルモノマーが挙げられる。
カルボキシル基を有するビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体と無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような環状無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなども利用できる。また、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの無水物含有モノマーを用いてもよい。なおこれらの内では、共重合性やコスト、溶解性などの観点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
【0092】
また、スルホン酸基を有するビニルモノマーとして、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられ、リン酸基を有するビニルモノマーとして、リン酸モノ(2−アクリロイルオキシエチルエステル)、リン酸モノ(1−メチル−2−アクリロイルオキシエチルエステル)などが挙げられる。
【0093】
更に、酸性基を有するビニルモノマーとして、フェノール性ヒドロキシル基を含有するビニルモノマーやスルホンアミド基を含有するビニルモノマーなども利用することができる。
【0094】
前記一般式(1)で表される高分子化合物の中でも、下記一般式(2)で表される高分子化合物が好ましい。
【0095】
【化14】

【0096】
前記一般式(2)において、Aは、有機色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される部位を少なくとも1種含む1価の有機基を表す。n個のAは同一であっても、異なっていてもよい。
なお、Aは、前記一般式(1)における前記Aと同義であり、好ましい態様も同様である。
【0097】
前記一般式(2)において、R、Rは各々独立に単結合あるいは2価の有機連結基を表す。n個のRは、同一であっても、異なっていてもよい。また、m個のRは、同一であっても、異なっていてもよい。
、Rで表される2価の有機連結基としては、前記一般式(1)のRで表される2価の有機連結基として挙げられたものと同一のものが用いられ、好ましい態様も同様である。
【0098】
前記一般式(2)において、Rは、(m+n)価の有機連結基を表す。m+nは3〜10を満たす。
前記Rで表される(m+n)価の有機連結基としては、1から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、および0個から20個までの硫黄原子から成り立つ基が含まれ、無置換でも置換基を更に有していてもよい。
前記Rで表される(m+n)価の有機連結基として、具体的には、前記一般式(1)のRで表される(m+n)価の有機連結基として挙げられたものと同一のものが用いられ、好ましい態様も同様である。
【0099】
前記一般式(2)中、mは1〜8を表す。mとしては、1〜5が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
また、前記一般式(2)中、nは2〜9を表す。nとしては、2〜8が好ましく、2〜7がより好ましく、3〜6が特に好ましい。
【0100】
また、一般式(2)中のPは、高分子骨格を表し、公知のポリマーなどから目的等に応じて選択することができる。m個のPは、同一であっても、異なっていてもよい。ポリマーの好ましい態様については、前記一般式(1)におけるPと同様である。
【0101】
前記一般式(2)で表される高分子化合物のうち、以下に示すR、R、R、P、m、及びnを全て満たすものが最も好ましい。
:前記具体例(1)、(2)、(10)、(11)、(16)、または(17)
:単結合あるいは、下記の構造単位または該構造単位が組み合わさって構成される「1から10個までの炭素原子、0個から5個までの窒素原子、0個から10個までの酸素原子、1個から30個までの水素原子、および0個から5個までの硫黄原子」から成り立つ2価の有機連結基(置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1から20までのアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6から16までのアリール基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基等の炭素数1から6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1から6までのアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2から7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネート等の炭酸エステル基、等が挙げられる。)
【0102】
【化15】

【0103】
:単結合、エチレン基、プロピレン基、下記基(a)、または下記基(b)
なお、下記基中、R25は水素原子またはメチル基を表し、lは1または2を表す。
【0104】
【化16】

【0105】
:ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル系ポリマー、エーテル系ポリマー、ウレタン系ポリマーおよびこれらの変性物
m:1〜3
n:3〜6
【0106】
本発明の高分子化合物の酸価は特に限定されないが、本発明の高分子化合物を顔料分散剤として用いる場合、酸価が200(mgKOH/g)以下であることが好ましく、160(mgKOH/g)以下がより好ましく、120(mgKOH/g)以下が特に好ましい。酸価が200(mgKOH/g)を超えると、顔料の分散性、分散安定性が悪化する場合がある。
【0107】
また、本発明の高分子化合物を顔料と共にアルカリ現像処理が必要な光硬化性組成物に用いる場合、その酸価は、30〜200(mgKOH/g)であることが好ましく、40〜160(mgKOH/g)がより好ましく、50〜120(mgKOH/g)が特に好ましい。酸価が30(mgKOH/g)未満の場合、光硬化性組成物のアルカリ現像性が不十分となる場合があり、酸価が200(mgKOH/g)を超えると、顔料の分散性、分散安定性が悪化する場合がある。
【0108】
本発明の高分子化合物の分子量としては、重量平均分子量で、3000〜100000が好ましく、5000〜80000がより好ましく、7000〜60000が特に好ましい。重量平均分子量が前記範囲内であると、ポリマーの末端に導入された複数の前記吸着部位の効果が十分に発揮され、固体表面への吸着性、ミセル形成能、界面活性性に優れた性能を発揮する。特に本発明に係る高分子化合物を顔料分散剤として用いた場合に、良好な分散性と分散安定性を達成することができる。
【0109】
(合成方法)
前記一般式(1)で表される高分子化合物(一般式(2)で表されるものを含む)は、特に制限されないが、下記方法などにより合成することができる。
1.カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基等から選択される官能基を末端に導入したポリマーと、複数の前記吸着部位を有する酸ハライド、複数の前記吸着部位を有するアルキルハライド、あるいは複数の前記吸着部位を有するイソシアネート等と、を高分子反応させる方法。
2.末端に炭素−炭素二重結合を導入したポリマーと、複数の前記吸着部位を有するメルカプタンと、をマイケル付加反応させる方法。
3.末端に炭素−炭素二重結合を導入したポリマーと、前記吸着部位を有するメルカプタンと、をラジカル発生剤存在下で反応させる方法。
4.末端に複数のメルカプタンを導入したポリマーと、炭素−炭素二重結合と前記吸着部位を有する化合物と、をラジカル発生剤存在下で反応させる方法。
5.複数の前記吸着部位を有するメルカプタン化合物存在下で、ビニルモノマーをラジカル重合する方法。
【0110】
上記のうち、本発明の高分子化合物は、合成上の容易さから、2、3、4、5の合成方法が好ましく、3、4、5の合成方法がより好ましい。特に、本発明の高分子化合物が一般式(2)で表される構造を有する場合、合成上の容易さから、5の合成方法で合成することが最も好ましい。
【0111】
前記5の合成方法として、より具体的には、下記一般式(3)で表される化合物存在下で、ビニルモノマーをラジカル重合させる方法が好ましい。
【0112】
【化17】

【0113】
前記一般式(3)において、R、R、A、m、およびnは、それぞれ前記一般式(2)におけるR、R、A、m、およびnと同義であり、その好ましい態様も同様である。
【0114】
前記一般式(3)で表される化合物は、以下の方法等で合成することができるが、合成上の容易さから、下記7の方法がより好ましい。
6.複数の前記吸着部位を有するハライド化合物からメルカプタン化合物に変換する方法(チオ尿素と反応させ、加水分解する方法、NaSHと直接反応させる方法、CHCOSNaと反応させ、加水分解させる方法などが挙げられる)
7.一分子中に3〜10個のメルカプト基を有する化合物と、前記吸着部位を有し、かつメルカプト基と反応可能な官能基を有する化合物、とを付加反応させる方法
【0115】
前記合成方法7における「メルカプト基と反応可能な官能基」としては、酸ハライド、アルキルハライド、イソシアネート、炭素−炭素二重結合などが好適に挙げられる。
「メルカプト基と反応可能な官能基」が炭素−炭素二重結合であり、付加反応がラジカル付加反応であることが特に好ましい。なお、炭素−炭素二重結合としては、メルカプト基との反応性の点で、1置換もしくは2置換のビニル基がより好ましい。
【0116】
一分子中に3〜10個のメルカプト基を有する化合物の具体的な例〔具体例(18)〜(34)〕としては、以下の化合物が挙げられる。
【0117】
【化18】

【0118】
【化19】

【0119】
上記の中でも、原料の入手性、合成の容易さ、各種溶媒への溶解性の観点から、特に好ましい化合物は、以下の化合物である。
【0120】
【化20】

【0121】
前記吸着部位を有し、かつ、炭素−炭素二重結合を有する化合物(具体的には、有機色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される部位を少なくとも1種有し、かつ、炭素−炭素二重結合を有する化合物)としては、特に制限されないが、以下のようなものが挙げられる。
【0122】
【化21】

【0123】
【化22】

【0124】
【化23】

【0125】
【化24】

【0126】
【化25】

【0127】
【化26】

【0128】
前記「一分子中に3〜10個のメルカプト基を有する化合物」と、「前記吸着部位を有し、かつ、炭素−炭素二重結合を有する化合物」とのラジカル付加反応生成物は、例えば、上記の「一分子中に3〜10個のメルカプト基を有する化合物」および「前記吸着部位を有し、かつ、炭素−炭素二重結合を有する化合物」を適当な溶媒中に溶解し、ここにラジカル発生剤を添加して、約50℃〜100℃で、付加させる方法(チオール−エン反応法)を利用して得られる。
【0129】
前記チオール−エン反応法で用いられる適当な溶媒の例としては、用いる「一分子中に3〜10個のメルカプト基を有する化合物」、「前記吸着部位を有し、かつ、炭素−炭素二重結合を有する化合物」、および「生成するラジカル付加反応生成物」の溶解性に応じて任意に選択できる。
例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メトキシプロピルアセテート、乳酸エチル、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、トルエンが挙げられる。これらの溶媒は、二種以上を混合して使用してもよい。
【0130】
また、ラジカル発生剤としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4’−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチルのようなアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシドのような過酸化物、および過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムのような過硫酸塩などなどが利用できる。
【0131】
前記5の合成方法で用いられるビニルモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、前記一般式(1)のPで表される高分子骨格を得る際に用いられるビニルモノマーと同様のものが用いられる。
【0132】
上記のビニルモノマーは一種のみで重合させてもよいし、二種以上を併用して共重合させてもよい。
また、アルカリ現像処理が必要な光硬化性組成物に適用する場合、本発明の高分子化合物は、1種以上の酸性基を有するビニルモノマーと、1種以上の酸性基を有さないビニルモノマーと、を共重合させることがより好ましい。
【0133】
本発明の高分子化合物としては、これらのビニルモノマーと前記一般式(3)で表される化合物とを用いて、公知の方法で常法に従って重合させることで得られるものが好ましい。なお、本発明における前記一般式(3)で表される化合物は、連鎖移動剤として機能するものであり、以下、単に「連鎖移動剤」と称することがある。
例えば、これらのビニルモノマー、および前記連鎖移動剤を適当な溶媒中に溶解し、ここにラジカル重合開始剤を添加して、約50℃〜220℃で、溶液中で重合させる方法(溶液重合法)を利用して得られる。
【0134】
溶液重合法で用いられる適当な溶媒の例としては、用いる単量体、および生成する共重合体の溶解性に応じて任意に選択できる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メトキシプロピルアセテート、乳酸エチル、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、トルエンが挙げられる。これらの溶媒は、二種以上を混合して使用してもよい。
【0135】
また、ラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4’−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチルのようなアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシドのような過酸化物、および過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムのような過硫酸塩などが利用できる。
【0136】
<顔料分散剤>
本発明の顔料分散剤は、顔料を分散する顔料分散剤として、既述の本発明の高分子化合物を含有してなるものであり、本発明の高分子化合物以外に、顔料の分散性をより向上させる目的で、従来から公知の顔料分散剤や界面活性剤等の分散剤、その他成分を加えることもできる。
【0137】
公知の分散剤(顔料分散剤)としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、および、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、顔料誘導体等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造からさらに直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
【0138】
高分子分散剤は顔料の表面に吸着し、再凝集を防止する様に作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましい構造として挙げることができる。一方で、顔料誘導体は顔料表面を改質することで、高分子分散剤の吸着を促進させる効果を有する。
【0139】
本発明に用いうる公知の分散剤(顔料分散剤)の具体例としては、BYK Chemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050、4010、4165(ポリウレタン系)、EFKA4330、4340(ブロック共重合体)、4400、4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル社製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」等が挙げられる。
【0140】
本発明の顔料分散剤は、本発明の高分子化合物を単独で用いても良いし、前記公知の分散剤の1種以上と組み合わせて使用してもよい。
【0141】
<顔料分散組成物>
本発明の顔料分散組成物は、有機溶媒中に顔料の少なくとも一種と既述の本発明の顔料分散剤とを含んでなるものであり、必要に応じて樹脂成分などの他の成分を用いて構成することができる。この顔料分散組成物は、既述の本発明の高分子化合物の少なくとも一種を顔料分散剤として含むので、有機溶媒中の顔料の分散状態が良好になり、良好な色特性が得られると共に、例えばカラーフィルタを構成したときには高いコントラストを得ることができる。特に、有機顔料に優れた分散効果を発揮する。
【0142】
(顔料)
本発明の顔料分散組成物は、従来公知の種々の無機顔料または有機顔料を適宜選択して用いることができる。
顔料は、無機顔料であれ有機顔料であれ、高透過率であることが好ましいことを考慮すると、なるべく粒子サイズの小さいものの使用が好ましく、ハンドリング性をも考慮すると、顔料の平均粒子径としては0.01〜0.1μmが好ましく、0.01〜0.05μmがより好ましい。
【0143】
前記無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で表される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属の酸化物、および前記金属の複合酸化物等を挙げることができる。
【0144】
前記有機顔料としては、例えば、
C.I.ピグメント イエロー 11, 24, 31, 53, 83, 93, 99, 108, 109, 110, 138, 139, 147, 150, 151, 154, 155, 167, 180, 185, 199;
C.I.ピグメント オレンジ36, 38, 43, 71;
C.I.ピグメント レッド81, 105, 122, 149, 150, 155, 171, 175, 176, 177,209, 220,224, 242, 254, 255, 264, 270;
C.I.ピグメント バイオレット 19, 23, 32, 37,39;
C.I.ピグメント ブルー 1, 2, 15, 15:1, 15:3, 15:6, 16, 22, 60, 66;
C.I.ピグメント グリーン 7, 36, 37;
C.I.ピグメント ブラウン 25, 28;
C.I.ピグメント ブラック 1, 7;
カーボンブラック等を挙げることができる。
【0145】
本発明では、特に、顔料の構造式中に塩基性のN原子をもつものを好ましく用いることができる。これら塩基性のN原子をもつ顔料は本発明の組成物中で良好な分散性を示す。その原因については十分解明されていないが、組成物中の成分と顔料との親和性の良さが影響しているものと推定される。
【0146】
本発明においては特に限定されるものではないが、下記の顔料がより好ましい。
C.I.ピグメント イエロー 11, 24, 108, 109, 110, 138, 139, 150, 151, 154, 167, 180, 185,
C.I.ピグメント オレンジ36, 71,
C.I.ピグメント レッド 122, 150, 171, 175, 177, 209, 224, 242, 254, 255, 264,
C.I.ピグメント バイオレット 19, 23, 37,
C.I.ピグメント ブルー 15:1, 15:3, 15:6, 16, 22, 60, 66,
C.I.ピグメント ブラック 7
【0147】
これら有機顔料は、単独もしくは、色純度を上げるため種々組合せて用いることができる。組合せの具体例を以下に示す。
例えば、赤の顔料として、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料単独またはそれらの少なくとも一種と、ビスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料またはペリレン系赤色顔料との混合などを用いることができる。例えば、アントラキノン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド177が挙げられ、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド155、C.I.ピグメントレッド224が挙げられ、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメントレッド254が挙げられ、色再現性の点でC.I.ピグメントイエロー139との混合が好ましい。また、赤色顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:50が好ましい。100:5未満では400nm〜500nmの光透過率を抑えることが困難となり、色純度を上げることができない場合がある。また、100:50を超えると、主波長が短波長よりになり、NTSC目標色相からのずれが大きくなる場合がある。特に、前記質量比としては、100:10〜100:30の範囲が最適である。尚、赤色顔料同士の組み合わせの場合は、色度に併せて調整することができる。
【0148】
また、緑の顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料を単独で、または、これとビスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料若しくはイソインドリン系黄色顔料との混合を用いることができる。例えば、このような例としては、C.I.ピグメントグリーン7、36、37とC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180またはC.I.ピグメントイエロー185との混合が好ましい。緑顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:150が好ましい。質量比が100:5未満では400nm〜450nmの光透過率を抑えることが困難となり、色純度を上げることができない場合がある。また、100:150を越えると主波長が長波長よりになり、NTSC目標色相からのずれが大きくなる場合がある。質量比としては100:30〜100:120の範囲が特に好ましい。
【0149】
青の顔料としては、フタロシアニン系顔料を単独で、若しくはこれとジオキサジン系紫色顔料との混合を用いることができる。例えば、C.I.ピグメントブルー15:6とC.I.ピグメントバイオレット23との混合が好ましい。青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0〜100:50が好ましく、より好ましくは100:5〜100:30である。
【0150】
また、ブラックマトリックス用の顔料としては、カーボン、チタンブラック、酸化鉄、酸化チタン単独またはこれらの混合が挙げられ、カーボンとチタンブラックとの組合せが好ましい。また、カーボンとチタンブラックとの質量比は、100:0〜100:60の範囲が好ましい。100:60を超えると、分散安定性が低下する場合がある。
【0151】
顔料の顔料分散組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分(質量)に対して、40〜90質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。顔料の含有量が前記範囲内であると、色濃度が充分で優れた色特性を確保するのに有効である。
【0152】
(顔料分散剤)
顔料分散剤の詳細については、既述の通りであり、顔料分散剤を構成する成分の好ましい態様についても同様である。
また、顔料分散剤の顔料分散組成物中における含有量としては、前記顔料の質量に対して、0.5〜100質量%が好ましく、3〜100質量%がより好ましく、5〜80質量%が特に好ましい。顔料分散剤の量が前記範囲内であると、十分な顔料分散効果が得られる。なお、顔料分散剤を100質量部より多く加えても、顔料分散効果の更なる向上効果は期待できないことがある。
具体的には、高分子分散剤を用いる場合であれば、その使用量としては、顔料に対して、5〜100質量%の範囲が好ましく、10〜80質量%の範囲がより好ましい。また、顔料誘導体を使用する場合であれば、その使用量としては、顔料に対し0.5〜30質量%の範囲にあることが好ましく、3〜20質量%の範囲にあることがより好ましく、5〜15質量%の範囲にあることが特に好ましい。
なお、本発明の高分子化合物による顔料分散性の効果を十分に得るために、本発明の顔料分散組成物中の全顔料分散剤に対する本発明の高分子化合物の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることが好ましい。
【0153】
本発明の顔料分散組成物の調製は、特に制限されないが、例えば、顔料と顔料分散剤と溶剤とで、縦型もしくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を用いて、0.01〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズで微分散処理を行なうことにより得ることができる。
また、ビーズ分散を行なう前に、二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸もしくは2軸の押出機等を用いて、強い剪断力を与えながら混練分散処理を行なうことも可能である。
なお、混練、分散についての詳細は、T.C. Patton著”Paint Flow and Pigment Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等に記載されている。
【0154】
<光硬化性組成物>
本発明の光硬化性組成物は、既述の本発明の顔料分散組成物と、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物と、光重合開始剤とを少なくとも含んでなり、必要に応じて、他の成分を含んでいてもよい。この光硬化性組成物は、既述の本発明の高分子化合物の少なくとも一種を顔料分散剤として含むので、組成物中で顔料を良好な分散状態で保ち、良好な色特性が得られると共に、例えばカラーフィルタを構成したときには高いコントラストを得ることができる。以下、各成分について詳述する。
【0155】
(顔料分散組成物)
本発明の光硬化性組成物は、顔料分散組成物の少なくとも一種を用いて構成されるものである。光硬化性組成物を構成する本発明の顔料分散組成物の詳細については、既述の通りである。
【0156】
顔料分散組成物の光硬化性組成物中における含有量としては、光硬化性組成物の全固形分(質量)に対して、顔料の含有量が5〜70質量%の範囲となる量が好ましく、顔料の含有量が15〜60質量%の範囲となる量がより好ましい。顔料分散組成物の含有量が前記範囲内であると、色濃度が充分で優れた色特性を確保するのに有効である。
【0157】
(アルカリ可溶性樹脂)
本発明の光硬化性組成物は、アルカリ可溶性樹脂の少なくとも一種を含有する。
アルカリ可溶性樹脂としては、高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えばカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。このうち、更に好ましくは、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものである。
【0158】
アルカリ可溶性樹脂の製造には、例えば公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類およびその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めるようにすることもできる。
上記の高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましい。例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等が挙げられ、さらに側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体も好ましいものとして挙げられる。
【0159】
アルカリ可溶性樹脂として具体的には、特に(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他の単量体と、の共重合体が好適である。
前記(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、オレフィン類、マレイミド類、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。
【0160】
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸−2−フェニルビニル、(メタ)アクリル酸−1−プロペニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸−2−アリロキシエチル、(メタ)アクリル酸プロパルギル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸−γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0161】
クロトン酸エステル類の例としては、クロトン酸ブチル、およびクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、および安息香酸ビニルなどが挙げられる。
マレイン酸ジエステル類の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、およびマレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
フマル酸ジエステル類の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、およびフマル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステル類の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、およびイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0162】
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、ビニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、N−アリル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0163】
スチレン類の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、およびα−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0164】
ビニルエーテル類の例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルおよびフェニルビニルエーテルなどが挙げられる。
ビニルケトン類の例としては、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどが挙げられる。
オレフィン類の例としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。
マレイミド類の例としては、マレイミド、ブチルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミドなどが挙げられる。
【0165】
(メタ)アクリロニトリル、ビニル基が置換した複素環式基(例えば、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、ビニルカルバゾールなど)、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクトン等も使用できる。
【0166】
上記の化合物以外にも、例えば、ウレタン基、ウレア基、スルホンアミド基、フェノール基、イミド基などの官能基を有するビニルモノマーも用いることができる。このようなウレタン基、またはウレア基を有する単量体としては、例えば、イソシアナート基と水酸基、またはアミノ基の付加反応を利用して、適宜合成することが可能である。具体的には、イソシアナート基含有モノマーと水酸基を1個含有する化合物または1級あるいは2級アミノ基を1個含有する化合物との付加反応、または水酸基含有モノマーまたは1級あるいは2級アミノ基含有モノマーとモノイソシアネートとの付加反応等により適宜合成することができる。
【0167】
これらの中では特に、(メタ)アクリル酸ベンジル/(メタ)アクリル酸共重合体や(メタ)アクリル酸ベンジル/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好適である。
このほか、メタクリル酸―2−ヒドロキシエチルを共重合したもの等も有用なものとして挙げられる。該ポリマーは任意の量で混合して用いることができる。
【0168】
上記以外に、特開平7−140654号公報に記載の、(メタ)アクリル酸―2−ヒドロキシプロピル/ポリスチレンマクロモノマー/メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸共重合体、アクリル酸―2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸共重合体、メタクリル酸―2−ヒドロキシエチル/ポリスチレンマクロモノマー/メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体、メタクリル酸―2−ヒドロキシエチル/ポリスチレンマクロモノマー/メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
また、側鎖にアリル基やビニルエステル基とカルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂および特開2000−187322号公報、特開2002−62698号公報に記載されている側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂や、特開2001−242612号公報に記載されている側鎖にアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
【0169】
本発明で使用しうるアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量としては、好ましくは5、000以上であり、さらに好ましくは1万〜30万の範囲であり、数平均分子量については好ましくは1、000以上であり、さらに好ましくは2、000〜25万の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.1〜10の範囲が好ましく、さらに好ましくは1.2〜5の範囲である。
これらのアルカリ可溶性樹脂は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
【0170】
本発明で用いうるアルカリ可溶性樹脂は、従来公知の方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独でまたは2種以上混合して用いられる。
本発明において用いうるアルカリ可溶性樹脂を合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が挙げられる。
【0171】
なお、前記一般式(1)または前記一般式(2)で表される本発明の高分子化合物を、アルカリ可溶性樹脂として利用することもできる。
【0172】
アルカリ可溶性樹脂の光硬化性組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、1〜20質量%が好ましく、より好ましくは2〜15質量%であり、特に好ましくは3〜12質量%である。
【0173】
(光重合性化合物)
本発明の光硬化性組成物は、光重合性化合物の少なくとも一種を含有する。本発明に用いることができる光重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、および単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
【0174】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート等がある。
【0175】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0176】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
【0177】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0178】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
【0179】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(I)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0180】
CH=C(R)COOCHCH(R)OH (I)
(ただし、RおよびR’は、HまたはCHを示す。)
【0181】
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
【0182】
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0183】
これらの付加重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な感材の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。硬化感度の観点から、(メタ)アクリル酸エステル構造を2個以上含有する化合物を用いることが好ましく、3個以上含有する化合物を用いることがより好ましく、4個以上含有する化合物を用いることが最も好ましい。また、硬化感度、および、未露光部の現像性の観点では、EO変性体を含有することが好ましい。また、硬化感度、および、露光部強度の観点ではウレタン結合を含有することが好ましい。
また、重合性層中の他の成分(例えばアルカリ可溶性樹脂、開始剤、着色剤(顔料、染料等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、基板や後述のオーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
【0184】
以上の観点より、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレートEO変性体、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性体などが好ましいものとして挙げられ、また、市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)が好ましい。
【0185】
なかでも、ビスフェノールAジアクリレートEO変性体、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性体などが、市販品としては、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)がより好ましい。
光重合性化合物は、1種単独で用いる以外に、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0186】
光重合性化合物の光硬化性組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、1〜90質量%であることが好ましく、5〜80質量%であることがより好ましく、10〜70質量%であることが更に好ましい。光重合性化合物の含有量が前記範囲内であると、硬化反応が充分に行なえる。
特に、本発明の光硬化性組成物をカラーフィルタの着色パターン形成に使用する場合には前記含有量の範囲において5〜50質量%であることが好ましく、7〜40質量%であることがより好ましく、10〜35質量%であることが更に好ましい。
【0187】
(光重合開始剤)
本発明の光硬化性組成物は、光重合開始剤の少なくとも1種を含有する。
本発明における光重合開始剤は、光により分解し、後述するエチレン性不飽和結合を含有する化合物の重合を開始、促進する化合物であり、波長300〜500nmの領域に吸収を有するものであることが好ましい。また、光重合開始剤は、単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0188】
光重合開始剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物が挙げられる。
以下、これらの各化合物について詳細に述べる。
【0189】
有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、若林等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1(No3),(1970)」筆に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物、s−トリアジン化合物が挙げられる。
【0190】
s−トリアジン化合物として、より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、またはトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体、具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0191】
オキサジアゾール化合物としては、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(ナフト−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−スチリル)スチリル−1,3,4−オキサジアゾールなどが挙げられる。
【0192】
カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドトキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
【0193】
ケタール化合物としては、ベンジルメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルエチルアセタールなどを挙げることができる。
【0194】
ベンゾイン化合物としては、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、メチルo−ベンゾイルベンゾエートなどを挙げることができる。
【0195】
アクリジン化合物としては、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタンなどを挙げることができる。
【0196】
有機過酸化化合物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
【0197】
アゾ化合物としては、例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を挙げることができる。
【0198】
クマリン化合物としては、例えば、3−メチル−5−アミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−クロロ−5−ジエチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−ブチル−5−ジメチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン等を挙げることができる。
【0199】
アジド化合物としては、米国特許第2848328号明細書、米国特許第2852379号明細書ならびに米国特許第2940853号明細書に記載の有機アジド化合物、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−エチルシクロヘキサノン(BAC−E)等が挙げられる。
【0200】
メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
【0201】
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0202】
有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837、特開2002−107916、特許第2764769号、特願2000−310808号、等の各公報、および、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩、特開平6−157623号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体或いは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
【0203】
ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号公報、特願2001−132318号明細書等記載される化合物等が挙げられる。
【0204】
オキシムエステル化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979 )1653−1660)、J.C.S. Perkin II (1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報記載の化合物等が挙げられる。
【0205】
オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号の各明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号の各公報に記載のヨードニウム塩などが挙げられる。
【0206】
本発明に好適に用いることのできるヨードニウム塩は、ジアリールヨードニウム塩であり、安定性の観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基等の電子供与性基で2つ以上置換されていることが好ましい。また、その他の好ましいスルホニウム塩の形態として、トリアリールスルホニウム塩の1つの置換基がクマリン、アントラキノン構造を有し、300nm以上に吸収を有するヨードニウム塩などが好ましい。
【0207】
本発明に好適に用いることのできるスルホニウム塩としては、欧州特許第370,693号、同390,214号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩が挙げられ、安定性及び感度の観点から好ましくは電子吸引性基で置換されていることが好ましい。電子吸引性基としては、ハメット値が0より大きいことが好ましい。好ましい電子吸引性基としては、ハロゲン原子、カルボン酸などが挙げられる。
また、その他の好ましいスルホニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩の1つの置換基がクマリン、アントラキノン構造を有し、300nm以上に吸収を有するスルホニウム塩が挙げられる。別の好ましいスルホニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩が、アリーロキシ基、アリールチオ基を置換基に有する300nm以上に吸収を有するスルホニウム塩が挙げられる。
【0208】
また、オニウム塩化合物としては、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
【0209】
アシルホスフィン(オキシド)化合物としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア819、ダロキュア4265、ダロキュアTPOなどが挙げられる。
【0210】
本発明に用いられる光重合開始剤としては、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン系化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物、メタロセン化合物、オキシム系化合物、ビイミダゾール系化合物、オニウム系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物およびその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体およびその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3−アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。
【0211】
より好ましくは、トリハロメチルトリアジン系化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物、オキシム系化合物、ビイミダゾール系化合物、オニウム系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物であり、トリハロメチルトリアジン系化合物、α−アミノケトン化合物、オキシム系化合物、ビイミダゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が更に好ましい。また、ビイミダゾール系化合物が最も好ましい。
【0212】
光重合開始剤の光硬化性組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、0.1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%である。この範囲で、良好な感度とパターン形成性が得られる。
【0213】
次に、上記以外の成分について説明する。
−溶剤−
本発明の顔料分散組成物および光硬化性組成物は、一般に上記成分と共に溶剤を用いて好適に調製することができる。
溶剤としては、エステル類、例えば酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、並びに、3−オキシプロピオン酸メチルおよび3−オキシプロピオン酸エチルなどの3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル)、並びに、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、および2−オキシプロピオン酸プロピルなどの2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル)、並びに、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;
【0214】
エーテル類、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等;
ケトン類、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;
芳香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレン、等が挙げられる。
【0215】
これらのうち、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が好適である。
溶剤は、単独で用いる以外に2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0216】
−増感剤−
本発明の光硬化性組成物は、ラジカル開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有していてもよい。本発明に用いることができる増感剤としては、前記した光重合開始剤に対し、電子移動機構またはエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
【0217】
本発明に用いることができる増感剤としては、以下に列挙する化合物類に属しており、且つ300nm〜450nmの波長領域に吸収波長を有するものが挙げられる。
好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ330nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントン)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、フタロシアニン類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリジンオレンジ、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、ケトクマリン、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーズケトンなどの芳香族ケトン化合物、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物などが挙げられる。等が挙げられ、更に欧州特許第568,993号明細書、米国特許第4,508,811号明細書、同5,227,227号明細書、特開2001−125255号公報、特開平11−271969号公報等に記載の化合物等などが挙げられる。
【0218】
より好ましい増感剤の例としては、下記一般式(i)〜(iv)で表される化合物が挙げられる。
【0219】
【化27】

【0220】
(式(i)中、Aは硫黄原子またはNR50を表し、R50はアルキル基またはアリール基を表し、Lは隣接するA及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表し、R51、R52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子または硫黄原子を表す。)
【0221】
【化28】

【0222】
(式(ii)中、Ar及びArはそれぞれ独立にアリール基を表し、−L−による結合を介して連結している。ここでLは−O−または−S−を表す。また、Wは一般式(i)に示したものと同義である。)
【0223】
【化29】

【0224】
(式(iii)中、Aは硫黄原子またはNR59を表し、Lは隣接するA及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基またはアリール基を表す。)
【0225】
【化30】

【0226】
(式(iv)中、A、Aはそれぞれ独立に−S−または−NR62−または−NR63−を表し、R63、R64はそれぞれ独立に置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L、Lはそれぞれ独立に、隣接するA、A及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R60、R61はそれぞれ独立に一価の非金属原子団であるか又は互いに結合して脂肪族性または芳香族性の環を形成することができる。)
【0227】
増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の光硬化性組成物中における増感剤の含有量は、深部への光吸収効率と開始分解効率の観点から、固形分換算で、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
【0228】
−共増感剤−
本発明の光硬化性組成物は、共増感剤を含有することも好ましい。本発明において共増感剤は、増感色素や開始剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
このような共増感剤の例としては、アミン類、例えばM.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
【0229】
共増感剤の別の例としては、チオールおよびスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
【0230】
また、共増感剤の別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)等が挙げられる。
【0231】
これら共増感剤の含有量は、重合成長速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上の観点から、光硬化性組成物の全固形分の質量に対し、0.1〜30質量%の範囲が好ましく、1〜25質量%の範囲がより好ましく、0.5〜20質量%の範囲が更に好ましい。
【0232】
−その他成分−
本発明の顔料分散組成物または光硬化性組成物には、必要に応じて、フッ素系有機化合物、熱重合防止剤、着色剤、光重合開始剤、その他充填剤、上記の一般式(1)または(2)で表される高分子化合物およびアルカリ可溶性樹脂以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤などの各種添加物を含有することができる。
【0233】
(フッ素系有機化合物)
フッ素系有機化合物を含有することで、塗布液としたときの液特性(特に流動性)を改善でき、塗布厚の均一性や省液性を改善することができる。すなわち、基板と塗布液との界面張力を低下させて基板への濡れ性が改善され、基板への塗布性が向上するので、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成が可能である点で有効である。
【0234】
フッ素系有機化合物のフッ素含有率は3〜40質量%が好適であり、より好ましくは5〜30質量%であり、特に好ましくは7〜25質量%である。フッ素含有率が前記範囲内であると、塗布厚均一性や省液性の点で効果的であり、組成物中への溶解性も良好である。
【0235】
フッ素系有機化合物としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)等が挙げられる。
【0236】
フッ素系有機化合物は特に、例えば塗布形成される塗布膜を薄くしたときの塗布ムラや厚みムラの防止に効果的である。また、液切れを起こしやすいスリット塗布においても効果的である。
フッ素系有機化合物の添加量は、顔料分散組成物または光硬化性組成物の全質量に対して、0.001〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜1.0質量%である。
【0237】
(熱重合開始剤)
本発明の顔料分散組成物または光硬化性組成物には、熱重合開始剤を含有させることも有効である。熱重合開始剤としては、例えば、各種のアゾ系化合物、過酸化物系化合物が挙げられ、前記アゾ系化合物としては、アゾビス系化合物を挙げることができ、前記過酸化物系化合物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートなどを挙げることができる。
【0238】
(界面活性剤)
本発明の顔料分散組成物または光硬化性組成物には、塗布性を改良する観点から、各種の界面活性剤を用いて構成することが好ましく、ノニオン系、カチオン系、アニオン系の各種界面活性剤を使用できる。中でも、ノニオン系界面活性剤でパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤が好ましい。
フッ素系界面活性剤の具体例としては、大日本インキ化学工業(株)製のメガファック(登録商標)シリーズ、3M社製のフロラード(登録商標)シリーズなどが挙げられる。
【0239】
上記以外に、顔料分散組成物または光硬化性組成物には、添加物の具体例として、ガラス、アルミナ等の充填剤;イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの、アルコール可溶性ナイロン、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとから形成されたフェノキシ樹脂などのアルカリ可溶の樹脂;ノニオン系、カチン系、アニオン系等の界面活性剤、具体的にはフタロシアニン誘導体(市販品EFKA−745(森下産業社製));オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業社製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業社製)、W001(裕商社製)等のカチオン系界面活性剤;
【0240】
その他添加物等の例として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製 プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商社製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(以上森下産業社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ社製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(ゼネカ社製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108、L121、P−123(旭電化社製)およびイオネットS−20(三洋化成社製);2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;およびポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤を挙げることができる。
【0241】
また、未硬化部のアルカリ溶解性を促進し、光硬化性組成物の現像性の更なる向上を図る場合には、光硬化性組成物に有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸の添加を行なうことができる。具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
【0242】
(熱重合防止剤)
本発明においては、光硬化性組成物の製造中あるいは保存中において重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる熱重合防止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾール、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
【0243】
熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
【0244】
本発明の光硬化性組成物は、既述の本発明の顔料分散組成物に、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、および光重合開始剤を(好ましくは溶剤と共に)含有させ、これに必要に応じて界面活性剤等の添加剤を混合することによって調製することができる。
【0245】
<カラーフィルタおよびその製造方法>
次に、本発明のカラーフィルタおよびその製造方法について説明する。
本発明のカラーフィルタは、支持体上に、本発明の光硬化性組成物を用いてなる着色パターンを有することを特徴とする。
以下、本発明のカラーフィルタについて、その製造方法(本発明のカラーフィルタの製造方法)を通じて詳述する。
【0246】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、本発明の光硬化性組成物を、直接もしくは他の層を介して基板上に付与して感光性膜を形成する工程(以下、適宜「感光性膜形成工程」と略称する。)と、形成された感光性膜を、パターン露光する(マスクを介して露光する)工程(以下、適宜「露光工程」と略称する。)と、露光後の感光性膜を現像して着色パターンを形成する工程(以下、適宜「現像工程」と略称する。)と、を含むことを特徴とする。
以下、本発明の製造方法における各工程について説明する。
【0247】
(感光性膜形成工程)
感光性膜形成工程では、直接もしくは他の層を有する基板上に、本発明の光硬化性組成物を塗布して(付与して)感光性膜を形成する。
【0248】
本工程に用いうる基板としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラスおよびこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。これらの基板は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。
また、これらの基板上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは、基板表面の平坦化のために下塗り層(他の層)を設けてもよい。
【0249】
基板上への本発明の光硬化性組成物の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
光硬化性組成物の塗布膜厚としては、0.1〜10μmが好ましく、0.2〜5μmがより好ましく、0.2〜3μmがさらに好ましい。
【0250】
基板上に塗布された感光性膜の乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃の温度で10〜300秒で行うことができる。
【0251】
(露光工程)
露光工程では、前記感光性膜形成工程において形成された感光性膜を、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光する、即ち、パターン露光を行う。
本工程では、塗布膜である感光性膜に対し、所定のマスクパターンを介して露光を行うことで、光照射された塗布膜部分だけを硬化させることができる。
【0252】
露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。照射量は5〜1500mJ/cmが好ましく10〜1000mJ/cmがより好ましく、10〜500mJ/cmが最も好ましい。
本発明のカラーフィルタが液晶表示素子用である場合は、上記範囲の中で5〜200mJ/cmが好ましく10〜150mJ/cmがより好ましく、10〜100mJ/cmが最も好ましい。また、本発明のカラーフィルタが固体撮像素子用である場合は、上記範囲の中で30〜1500mJ/cmが好ましく50〜1000mJ/cmがより好ましく、80〜500mJ/cmが最も好ましい。
【0253】
(現像工程)
次いで、現像処理を行うことにより、露光工程における未露光部分が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。現像液としては、未硬化部における光硬化性組成物の膜を溶解する一方、硬化部を溶解しないものであれば、いずれのものも用いることができる。具体的には、種々の有機溶剤の組合せやアルカリ性の水溶液を用いることができる。
現像温度としては、通常20℃〜30℃であり、現像時間は20〜90秒である。
【0254】
前記有機溶剤としては、本発明の顔料分散組成物または光硬化性組成物を調製する際に使用できる既述の溶剤が挙げられる。
前記アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が現像液として好ましく使用される。
なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
【0255】
現像工程後、余剰の現像液を洗浄除去し、乾燥を施した後に加熱処理(ポストベーク)を行う。
ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常100℃〜240℃の熱硬化処理を行う。基板がガラス基板またはシリコン基板の場合は上記温度範囲の中でも200℃〜240℃が好ましい。
このポストベーク処理は、現像後の塗布膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。
【0256】
以上説明した、感光性膜形成工程、露光工程、および現像工程(更に、必要により加熱処理)を所望の色相数だけ繰り返すことにより、所望の色相よりなるカラーフィルタが作製される。
【0257】
本発明の光硬化性組成物を基板上に付与して膜形成する場合、膜の乾燥厚みとしては、一般に0.3〜5.0μmであり、好ましくは0.5〜3.5μmであり、最も望ましくは1.0〜2.5μmである。
【0258】
基板としては、例えば、液晶表示素子等に用いられる無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等、並びにプラスチック基板が挙げられる。これらの基板上には、通常、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている。
プラスチック基板には、その表面にガスバリヤー層及び/又は耐溶剤性層を有していることが好ましい。
【0259】
本発明の光硬化性組成物の用途として、主にカラーフィルタの画素への用途を主体に述べてきたが、カラーフィルタの画素間に設けられるブラックマトリックスにも適用できることは言うまでもない。ブラックマトリックスは、本発明の光硬化性組成物に着色剤として、カーボンブラック、チタンブラックなどの黒色の着色剤を添加したものを用いる他は、上記画素の作製方法と同様に、パターン露光、アルカリ現像し、更にその後、ポストベークして膜の硬化を促進させて形成させることができる。
【実施例】
【0260】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」「部」は質量基準である。
【0261】
以下に示す方法で、本発明の高分子化合物C−1〜C−57を合成した。
【0262】
<一般式(3)で表されるメルカプタン化合物の合成>
以下に示すように、連鎖移動剤B−1〜B−24(既述の一般式(3)で表されるメルカプタン化合物)を合成した。
【0263】
[合成例B−1]
ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)〔DPMP;堺化学工業(株)製〕7.83部、及び下記の吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−1)15.57部を、ジメチルホルムアミド93.60部に溶解させ、窒素気流下、70℃に加熱した。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔V−65、和光純薬工業(株)製〕0.06部を加えて3時間加熱した。更に、V−65を0.06部加え、窒素気流下、70℃で3時間反応させた。室温まで冷却することで、以下に示す本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−1)の20%溶液を得た。
【0264】
【化31】

【0265】
[合成例B−2]
前記合成例B−1における、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−1)15.57部、ジメチルホルムアミド93.60部を、吸着部位を有し、炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−2)11.76部、ジメチルホルムアミド78.38部に変更した以外は、前記合成例B−1と同様にして、以下に示す本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−2)の20%溶液を得た。
【0266】
【化32】

【0267】
[合成例B−3]
前記合成例B−1における、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−1)15.57部、ジメチルホルムアミド93.60部を、吸着部位を有し、炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−3)14.61部、ジメチルホルムアミド89.78部に変更した以外は、前記合成例B−1と同様にして、以下に示す本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−3)の20%溶液を得た。
【0268】
【化33】

【0269】
[合成例B−4]
前記合成例B−1における、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−1)15.57部、ジメチルホルムアミド93.60部を、吸着部位を有し、炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−4)17.52部、ジメチルホルムアミド101.4部に変更した以外は、前記合成例B−1と同様にして、以下に示す本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−4)の20%溶液を得た。
【0270】
【化34】

【0271】
[合成例B−5]
前記合成例B−1における、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−1)15.57部、ジメチルホルムアミド93.60部を、吸着部位を有し、炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−5)14.67部、ジメチルホルムアミド89.99部に変更した以外は、前記合成例B−1と同様にして、以下に示す本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−5)の20%溶液を得た。
【0272】
【化35】

【0273】
[合成例B−6]
前記合成例B−1における、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−1)15.57部、ジメチルホルムアミド93.60部を、吸着部位を有し、炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−6)9.66部、ジメチルホルムアミド40.82部に変更した以外は、前記合成例B−1と同様にして、以下に示す本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−6)の30%溶液を得た。
【0274】
【化36】

【0275】
[合成例B−7]
前記合成例B−1における、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−1)15.57部、ジメチルホルムアミド93.60部を、吸着部位を有し、炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−7)10.06部、1−メトキシ−2−プロパノール41.75部に変更した以外は、前記合成例B−1と同様にして、以下に示す本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−7)の30%溶液を得た。
【0276】
【化37】

【0277】
[合成例B−8]
前記合成例B−1における、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−1)15.57部、ジメチルホルムアミド93.60部を、吸着部位を有し、炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−8)7.01部、1−メトキシ−2−プロパノール34.62部に変更した以外は、前記合成例B−1と同様にして、以下に示す本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−8)の30%溶液を得た。
【0278】
【化38】

【0279】
[合成例B−9]
前記合成例B−1における、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−1)15.57部、ジメチルホルムアミド93.60部を、吸着部位を有し、炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−9)4.85部、1−メトキシ−2−プロパノール29.60部に変更した以外は、前記合成例B−1と同様にして、以下に示す本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−9)の30%溶液を得た。
【0280】
【化39】

【0281】
[合成例B−10]
前記合成例B−1における、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−1)15.57部、ジメチルホルムアミド93.60部を、吸着部位を有し、炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−10)12.44部、1−メトキシ−2−プロパノール47.30部に変更した以外は、前記合成例B−1と同様にして、以下に示す本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−10)の30%溶液を得た。
【0282】
【化40】

【0283】
[合成例B−11]
ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)〔PEMP;堺化学工業(株)製〕4.89部、及び下記の吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−11)15.19部を、ジメチルホルムアミド80.32部に溶解させ、窒素気流下、70℃に加熱した。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔V−65、和光純薬工業(株)製〕0.04部を加えて3時間加熱した。更に、V−65を0.04部加え、窒素気流下、70℃で3時間反応させた。室温まで冷却することで、以下に示す本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−11)の20%溶液を得た。
【0284】
【化41】

【0285】
[合成例B−12]
前記合成例B−11における、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−11)15.19部、ジメチルホルムアミド80.32部を、吸着部位を有し、炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−12)14.41部、ジメチルホルムアミド77.20部に変更した以外は、前記合成例B−11と同様にして、以下に示す本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−12)の20%溶液を得た。
【0286】
【化42】

【0287】
[合成例B−13]
前記合成例B−1における、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−1)15.57部、ジメチルホルムアミド93.60部を、吸着部位を有し、炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−13)5.26部、1−メトキシ−2−プロパノール30.54部に変更した以外は、前記合成例B−1と同様にして、以下に示す本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−13)の30%溶液を得た。
【0288】
【化43】

【0289】
[合成例B−14]
前記合成例B−1における、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−1)15.57部、ジメチルホルムアミド93.60部を、吸着部位を有し、炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−14)4.71部、1−メトキシ−2−プロパノール29.25部に変更した以外は、前記合成例B−1と同様にして、以下に示す本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−14)の30%溶液を得た。
【0290】
【化44】

【0291】
[合成例B−15]
ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)〔DPMP;堺化学工業(株)製〕7.83部、および下記の、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−15)6.51部を、1−メトキシ−2−プロパノール33.45部に溶解させ、窒素気流下、70℃に加熱した。これに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔V−65、和光純薬工業(株)製〕0.06部を加えて3時間加熱した。更に、V−65を0.06部加え、窒素気流下、70℃で3時間反応させた。室温まで冷却することで、以下に示す、本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−15)の30%溶液を得た。
【0292】
【化45】

【0293】
[合成例B−16]
前記合成例B−15における、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−15)6.51部、1−メトキシ−2−プロパノール33.45部を、下記の、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−16)5.80部、1−メトキシ−2−プロパノール31.81部に変更した以外は、前記合成例B−15と同様にして、以下に示す、本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−16)の30%溶液を得た。
【0294】
【化46】

【0295】
[合成例B−17]
前記合成例B−15における、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−15)6.51部、1−メトキシ−2−プロパノール33.45部を、下記の、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−17)12.46部、ジメチルホルムアミド47.35部に変更した以外は、前記合成例B−15と同様にして、以下に示す、本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−17)の30%溶液を得た。
【0296】
【化47】

【0297】
[合成例B−18]
前記合成例B−15における、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−15)6.51部、1−メトキシ−2−プロパノール33.45部を、下記の、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−18)10.46部、ジメチルホルムアミド42.67部に変更した以外は、前記合成例B−15と同様にして、以下に示す、本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−18)の30%溶液を得た。
【0298】
【化48】

【0299】
[合成例B−19]
前記合成例B−15における、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−15)6.51部、1−メトキシ−2−プロパノール33.45部を、下記の、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−19)10.36部、ジメチルホルムアミド42.45部に変更した以外は、前記合成例B−15と同様にして、以下に示す、本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−19)の30%溶液を得た。
【0300】
【化49】

【0301】
[合成例B−20]
前記合成例B−15における、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−15)6.51部、1−メトキシ−2−プロパノール33.45部を、下記の、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−20)7.86部、1−メトキシ−2−プロパノール36.61部に変更した以外は、前記合成例B−15と同様にして、以下に示す、本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−20)の30%溶液を得た。
【0302】
【化50】

【0303】
[合成例B−21]
前記合成例B−15における、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−15)6.51部、1−メトキシ−2−プロパノール33.45部を、下記の、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−21)8.51部、1−メトキシ−2−プロパノール38.13部に変更した以外は、前記合成例B−15と同様にして、以下に示す、本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−21)の30%溶液を得た。
【0304】
【化51】

【0305】
[合成例B−22]
前記合成例B−15における、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−15)6.51部、1−メトキシ−2−プロパノール33.45部を、下記の、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−22)11.72部、1−メトキシ−2−プロパノール45.61部に変更した以外は、前記合成例B−15と同様にして、以下に示す、本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−22)の30%溶液を得た。
【0306】
【化52】

【0307】
[合成例B−23]
ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)〔PEMP;堺化学工業(株)製〕4.89部、および下記の、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−15)3.90部を、1−メトキシ−2−プロパノール20.51部に溶解させ、窒素気流下、70℃に加熱した。これに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔V−65、和光純薬工業(株)製〕0.04部を加えて3時間加熱した。更に、V−65を0.04部加え、窒素気流下、70℃で3時間反応させた。室温まで冷却することで、以下に示す、本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−23)の30%溶液を得た。
【0308】
【化53】

【0309】
[合成例B−24]
ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)〔DPMP;堺化学工業(株)製〕7.83部、および下記の、吸着部位を有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する化合物(A−15)4.55部を、1−メトキシ−2−プロパノール28.90部に溶解させ、窒素気流下、70℃に加熱した。これに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔V−65、和光純薬工業(株)製〕0.04部を加えて3時間加熱した。更に、V−65を0.04部加え、窒素気流下、70℃で3時間反応させた。室温まで冷却することで、以下に示す、本発明のメルカプタン化合物(連鎖移動剤B−24)の30%溶液を得た。
【0310】
【化54】

【0311】
<高分子化合物の合成>
続いて、以下に示すように、本発明の高分子化合物C−1〜C−57を合成した。
【0312】
[合成例C−1]
前記合成例B−1で得た連鎖移動剤B−1の20%溶液46.80部、およびメタクリル酸メチル(MMA;モノマー)20部の混合溶液を、窒素気流下、80℃に加熱した。これに2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)〔AIBN、和光純薬工業(株)製〕0.013部を加えて3時間加熱後、再度AIBN0.013部を加えて、窒素気流下、80℃で3時間反応させた。その後、室温まで冷却し、アセトンで希釈した。多量のメタノールを用いて再沈殿させた後、真空乾燥させることにより、以下に示す本発明の高分子化合物(C−1:ポリスチレン換算の重量平均分子量14000)の固体19部を得た。
【0313】
【化55】

【0314】
[合成例C−2]
前記合成例C−1において、連鎖移動剤B−1の20%溶液46.80部を23.40部に、AIBN0.013部を0.007部に変更した以外は、前記合成例C−1と同様にして、以下に示す本発明の高分子化合物(C−2:ポリスチレン換算の重量平均分子量30000)の固体23部を得た。
【0315】
【化56】

【0316】
[合成例C−3]
前記合成例C−1において、メタクリル酸メチル20部を、メタクリル酸ブチル19.5部およびメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル8.5部に変更した以外は、前記合成例C−1と同様にして、以下に示す本発明の高分子化合物(C−3:ポリスチレン換算の重量平均分子量15000)の固体20部を得た。
【0317】
【化57】

【0318】
[合成例C−4〜C−27]
さらに、連鎖移動剤、モノマーの種類と量、AIBNの量、及び再沈殿方法を下記表1及び表2に示すように変更した以外は、前記合成例C−1と同様にして、本発明の高分子化合物C−4〜C−32を得た。
【0319】
【表1】

【0320】
【表2】

【0321】
以下、合成した高分子化合物の構造を示す。なお、(C−4)等の表示は、前記表1〜2中の合成例の番号を示すものである。
【0322】
【化58】

【0323】
【化59】

【0324】
【化60】

【0325】
【化61】

【0326】
【化62】

【0327】
[合成例C−33]
前記合成例B−15に記載の連鎖移動剤B−15の30%溶液19.11部、およびメタクリル酸メチル20部の混合溶液を、窒素気流下、80℃に加熱した。これに、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)〔AIBN、和光純薬工業(株)製〕0.013部を加えて3時間加熱した。更に、AIBN0.013部を加え、窒素気流下、80℃で3時間反応させた。その後、室温まで冷却し、アセトンで希釈した。多量のメタノールを用いて再沈殿させた後、真空乾燥することにより、以下に示す、本発明の高分子化合物(C−33:ポリスチレン換算の重量平均分子量12000)の固体13部を得た。
【0328】
【化63】

【0329】
[合成例C−34]
前記合成例C−33において、連鎖移動剤B−15の30%溶液19.11部を9.56部に、AIBN0.013部を0.007部に変更した以外は、前記合成例C−33と同様にして、以下に示す、本発明の高分子化合物(C−34:ポリスチレン換算の重量平均分子量20000)の固体14部を得た。
【0330】
【化64】

【0331】
[合成例C−35]
前記合成例C−33において、メタクリル酸メチル20部を、メタクリル酸ブチル19.5部およびメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル8.5部に変更した以外は、前記合成例C−33と同様にして、以下に示す、本発明の高分子化合物(C−35:ポリスチレン換算の重量平均分子量13000)の固体13部を得た。
【0332】
【化65】

【0333】
[合成例C−36〜C−55]
さらに、連鎖移動剤、モノマーの種類と量、AIBNの量、及び再沈殿方法を下記表3及び表4に示すように変更した以外は、前記合成例C−33と同様にして、本発明の高分子化合物C−36〜C−55を得た。
【0334】
【表3】

【0335】
【表4】

【0336】
以下、合成した高分子化合物の構造を示す。なお、(C−36)等の表示は、前記表3〜4中の合成例の番号を示すものである。
【0337】
【化66】

【0338】
【化67】

【0339】
【化68】

【0340】
[合成例C−56]
前記合成例B−24に記載の連鎖移動剤B−24の30%溶液4.99部、メタクリル酸メチル19.0部、およびメタクリル酸1.0部、1−メトキシ−2−プロパノール4.66部の混合溶液を、窒素気流下、90℃に加熱した。この混合溶液を攪拌しながら、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル〔V−601、和光純薬工業(株)製〕0.139部、1−メトキシ−2−プロパノール5.36部、1−メトキシ−2−プロピルアセテート9.40部の混合溶液を2.5時間かけて滴下した。滴下終了してから、90℃で2.5時間反応させた後、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル0.046部、1−メトキシ−2−プロピルアセテート4.00部の混合溶液を投入し、更に2時間反応させた。反応液に1−メトキシ−2−プロパノール1.52部、1−メトキシ−2−プロピルアセテート21.7部を加え、室温まで冷却することで、以下に示す、本発明の高分子化合物(C−56:ポリスチレン換算の重量平均分子量24000)の溶液(高分子化合物30質量%、1−メトキシ−2−プロパノール21質量%、1−メトキシ−2−プロピルアセテート49質量%)を得た。
【0341】
【化69】

【0342】
[合成例C−57]
前記合成例C−56に記載の連鎖移動剤B−24の30%溶液4.99部、メタクリル酸メチル19.0部、およびメタクリル酸1.0部、1−メトキシ−2−プロパノール4.66部の混合溶液を、連鎖移動剤B−24の30%溶液5.03部、メタクリル酸メチル18.0部、およびメタクリル酸2.0部、1−メトキシ−2−プロパノール4.66部の混合溶液に変更した以外は、前記合成例C−56と同様に反応させることで、以下に示す、本発明の高分子化合物(C−57:ポリスチレン換算の重量平均分子量25000)の溶液(高分子化合物30質量%、1−メトキシ−2−プロパノール21質量%、1−メトキシ−2−プロピルアセテート49質量%)を得た。
【0343】
【化70】

【0344】
(実施例58)
下記組成の成分を混合し、ホモジナイザーを用いて回転数3,000r.p.m.で3時間撹拌して混合し、混合溶液を調製した。
〔組成〕
・C.I.ピグメントレッド254 … 90部
・C.I.ピグメントレッド177 … 10部
・前記合成例C−1で得た高分子化合物(顔料分散剤) … 50部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート … 850部
【0345】
続いて、上記より得られた混合溶液を、さらに0.3mmφジルコニアビーズを用いたビーズ分散機ディスパーマット(GETZMANN社製)にて6時間分散処理を行ない、その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、赤色の顔料分散組成物R1を得た。
【0346】
(評価1)
得られた顔料分散組成物について下記の評価を行なった。
(1)粘度の測定、評価
得られた顔料分散組成物について、E型粘度計を用いて、分散直後の顔料分散組成物の粘度ηおよび分散後(室温にて)1週間経過した後の顔料分散組成物の粘度ηを測定し、増粘の程度を評価した。評価結果は下記表3に示す。ここで、粘度が低いことは、分散性、分散安定性が良好であることを示す。
【0347】
(2)コントラストの測定、評価
得られた顔料分散組成物をガラス基板上に塗布し、乾燥後の塗布膜の厚さが1μmになるようにサンプルを作製した。2枚の偏光板の間にこのサンプルを置き、偏光軸が平行のときと垂直のときとの透過光量を測定し、その比をコントラストとした(「1990年第7回 色彩光学コンファレンス、512色表示10.4“サイズTFT−LCD用カラーフィルタ、植木、小関、福永、山中」を参考にした)。測定評価の結果は下記表3に示す。ここで、コントラストが高いことは、高度に微細化され、透過率すなわち着色力が高いことを示す。
【0348】
(実施例59〜112)
実施例58において、顔料分散剤(前記合成例C−1で得た高分子化合物)を、前記合成例C−2〜C−55で各々得られた高分子化合物(顔料分散剤)にそれぞれ代えたこと以外、実施例58と同様にして、赤色の顔料分散組成物R2〜R55を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0349】
(実施例113、114)
実施例58において、顔料分散剤(前記合成例C−1で得た高分子化合物)50部を、前記合成例C−56、C−57で各々得られた高分子化合物(顔料分散剤、30質量%溶液)167部に、1−メトキシ−2−プロピルアセテート850部を733部に、それぞれ代えたこと以外、実施例58と同様にして、赤色の顔料分散組成物R56、R57を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0350】
(実施例115)
実施例58において、赤色の顔料分散組成物を下記組成の緑色の顔料分散組成物に代えたこと以外、実施例58と同様にして、緑色の顔料分散組成物G1を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
〔組成〕
・C.I.ピグメントグリーン36 … 60部
・C.I.ピグメントイエロー150 … 40部
・前記合成例C−1で得た高分子化合物(顔料分散剤) … 50部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート … 850部
【0351】
(実施例116〜169)
実施例115において、顔料分散剤(前記合成例C−1で得た高分子化合物)を前記合成例C−2〜C−55で得た高分子化合物(顔料分散剤)に代えたこと以外、実施例115と同様にして、緑色の顔料分散組成物G2〜G55を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0352】
(実施例170、171)
実施例115において、顔料分散剤(前記合成例C−1で得た高分子化合物)50部を、前記合成例C−56、C−57で各々得られた高分子化合物(顔料分散剤、30質量%溶液)167部に、1−メトキシ−2−プロピルアセテート850部を733部に、それぞれ代えたこと以外、実施例115と同様にして、緑色の顔料分散組成物G56、G57を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0353】
(実施例172)
実施例58において、赤色の顔料分散組成物を下記組成の青色の顔料分散組成物に代えたこと以外、実施例58と同様にして、青色の顔料分散組成物B1を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
〔組成〕
・C.I.ピグメントブルー15:6 … 85部
・C.I.ピグメントバイオレット23 … 15部
・前記合成例C−1で得た高分子化合物(顔料分散剤) … 50部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート … 850部
【0354】
(実施例173〜195)
実施例172において、顔料分散剤(前記合成例C−1で得た高分子化合物)を、前記合成例C−2〜C−9、合成例C−12〜C−15、合成例C−33〜C−43で得た高分子化合物(顔料分散剤)に代えたこと以外、実施例172と同様にして、青色の顔料分散組成物B2〜B24を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0355】
(実施例196、197)
実施例172において、顔料分散剤(前記合成例C−1で得た高分子化合物)50部を、前記合成例C−56、C−57で各々得られた高分子化合物(顔料分散剤、30質量%溶液)167部に、1−メトキシ−2−プロピルアセテート850部を733部に、それぞれ代えたこと以外、実施例172と同様にして、青色の顔料分散組成物B25、B26を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0356】
(比較例1)
実施例58において、前記合成例C−1で得た高分子化合物(顔料分散剤)を、メタクリル酸メチルと前記化合物(A−1)との下記共重合体D−1(=85/15[重量比]、重量平均分子量20,000)に代えたこと以外、実施例58と同様にして、赤色の顔料分散組成物R58を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0357】
【化71】

【0358】
(比較例2)
実施例58において、前記合成例C−1で得た高分子化合物(顔料分散剤)を、下記の、末端にアクリドンを1つ有するポリ(メタクリル酸メチル)D−2(重量平均分子量15,000)に代えたこと以外、実施例58と同様にして、赤色の顔料分散組成物R59を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0359】
【化72】

【0360】
(比較例3)
実施例58において、前記合成例C−1で得た高分子化合物(顔料分散剤)を、下記の、末端にアクリドンを1つ有するポリ(メタクリル酸ブチル−co−メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル)D−3(メタクリル酸ブチル/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(=70/30[質量比])共重合体(重量平均分子量16,000)に代えたこと以外、実施例58と同様にして、赤色の顔料分散組成物R60を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0361】
【化73】

【0362】
(比較例4)
実施例58において、前記合成例C−1で得た高分子化合物(顔料分散剤)を、下記の、末端にアントラキノンを1つ有するポリ(メタクリル酸メチル)D−4(重量平均分子量14,000)に代えたこと以外、実施例58と同様にして、赤色の顔料分散組成物R61を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0363】
【化74】

【0364】
(比較例5)
実施例58において、前記合成例C−1で得た高分子化合物(顔料分散剤)を、下記の、末端にフタルイミドを1つ有するポリ(メタクリル酸メチル)D−5(重量平均分子量:15000)に代えたこと以外、実施例58と同様にして、赤色の顔料分散組成物R62を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0365】
【化75】

【0366】
(比較例6)
実施例58において、前記合成例C−1で得た高分子化合物(顔料分散剤)を、下記の、末端にナフタルイミドを1つ有するポリ(メタクリル酸メチル)D−6(重量平均分子量:16000)に代えたこと以外、実施例58と同様にして、赤色の顔料分散組成物R63を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0367】
【化76】

【0368】
(比較例7)
実施例90において、前記合成例C−33で得た高分子化合物(顔料分散剤)を、下記のメタクリル酸メチルとメタクリル酸との共重合体D−7(=85/15[重量比]、重量平均分子量:15000)に代えたこと以外、実施例90と同様にして、赤色の顔料分散組成物R64を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0369】
【化77】

【0370】
(比較例8)
実施例90において、前記合成例C−33で得た高分子化合物(顔料分散剤)を、下記の、末端にカルボン酸を1つ有するポリ(メタクリル酸メチル)D−8(重量平均分子量13000)に代えたこと以外、実施例90と同様にして、赤色の顔料分散組成物R65を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0371】
【化78】

【0372】
(比較例9)
実施例90において、前記合成例C−33で得た高分子化合物(顔料分散剤)を、下記の、末端にカルボン酸を1つ有するポリ(メタクリル酸ブチル−co−メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル)D−9(メタクリル酸ブチル/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(=70/30[質量比])共重合体(重量平均分子量16000)に代えたこと以外、実施例90と同様にして、赤色の顔料分散組成物R66を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0373】
【化79】

【0374】
(比較例10)
実施例90において、前記合成例C−33で得た高分子化合物(顔料分散剤)を、特開2002−273191号公報に記載の、末端にスルホン酸を有するポリ(メタクリル酸メチル)D−10(重量平均分子量8000)に代えたこと以外、実施例90と同様にして、赤色の顔料分散組成物R67を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0375】
【化80】

【0376】
(比較例11)
実施例90において、前記合成例C−33で得た高分子化合物(顔料分散剤)を、下記の、末端にアミノ基を1つ有するポリ(メタクリル酸メチル)D−11(重量平均分子量15000)に代えたこと以外、実施例90と同様にして、赤色の顔料分散組成物R68を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0377】
【化81】

【0378】
(比較例12)
実施例90において、前記合成例C−33で得た高分子化合物(顔料分散剤)を、下記の、末端にプロピルウレア基を1つ有するポリ(メタクリル酸メチル)D−12(重量平均分子量16000)に代えたこと以外、実施例90と同様にして、赤色の顔料分散組成物R69を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0379】
【化82】

【0380】
(比較例13〜18)
実施例115において、前記合成例C−1で得た高分子化合物(顔料分散剤)を、前記のD−1〜D−6のいずれかにそれぞれ代えたこと以外、実施例115と同様にして、緑色の顔料分散組成物G58〜G63を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0381】
(比較例19〜24)
実施例147において、前記合成例C−33で得た高分子化合物(顔料分散剤)を、前記のD−7〜D−12のいずれかにそれぞれ代えたこと以外、実施例147と同様にして、緑色の顔料分散組成物G64〜G69を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0382】
(比較例25〜28)
実施例172において、前記合成例C−1で得た高分子化合物(顔料分散剤)を、前記のD−1〜D−4のいずれかにそれぞれ代えたこと以外、実施例172と同様にして、青色の顔料分散組成物B27〜B30を調製し、実施例58と同様の評価を行なった。
【0383】
(比較例29〜32)
実施例185において、前記合成例C−33で得た高分子化合物(顔料分散剤)を、前記のD−7〜D−10のいずれかにそれぞれ代えたこと以外、実施例185と同様にして、青色の顔料分散組成物B31〜B34を調製し、実施例18と同様の評価を行なった。
【0384】
前記実施例58〜197、及び比較例1〜32で用いた高分子化合物、及び評価結果を下記表5〜8に併記する。なお、標中のC−1等の表示は、実施例で使用した高分子化合物の合成例の番号を示すものである。
【0385】
【表5】

【0386】
【表6】

【0387】
【表7】

【0388】
【表8】

【0389】
(実施例198)
実施例58で得られた顔料分散組成物R1にさらに下記組成の成分を添加し、撹拌混合して、本発明の光硬化性組成物(カラーレジスト液)を調製した。
〔組成〕
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート … 80部
・4−[o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニル)アミノフェニル]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−S−トリアジン (光重合開始剤) … 30部
・メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸(=70/30[モル比])共重合体(重量平均分子量:10,000)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分40%) … 200部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート … 490部
【0390】
得られた光硬化性組成物(カラーレジスト液)を、100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に、色濃度の指標となるx値が0.650となるように塗布し、90℃のオーブンで60秒間乾燥させた(プリベーク)。その後、塗膜の全面に200mJ/cmにて(照度20mW/cm)露光し、露光後の塗膜をアルカリ現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1%水溶液にて覆い、60秒間静止した。静止後、純水をシャワー状に散布して現像液を洗い流した。そして、上記のように露光および現像が施された塗膜を220℃のオーブンで1時間加熱処理し(ポストベーク)、ガラス基板上にカラーフィルタ用の着色樹脂被膜を形成し、着色フィルタ基板(カラーフィルタ)を作製した。
【0391】
(評価2)
作製した着色フィルタ基板について、以下のようにしてY値およびコントラストの測定を行なった。
(3)Y値
作製した着色フィルタ基板について、大塚電子(株)製のMCPD−2000を用いてY値を測定した。Y値は、値が大きいほど透過率は高いことを示す。
【0392】
(4)コントラスト
着色フィルタ基板の着色樹脂被膜の上に偏光板を置いて着色樹脂被膜を挟み込み、偏光板が平行時の輝度と直交時の輝度とをトプコン社製のBM−5を用いて測定し、平行時の輝度を直交時の輝度で除して得られる値(=平行時の輝度/直交時の輝度)を、コントラストを評価するための指標とした。
【0393】
(実施例199〜254)
実施例198において、顔料分散組成物R1を実施例59〜114で得られた顔料分散組成物R2〜R57に代えたこと以外、実施例198と同様にして、光硬化性組成物(カラーレジスト液)を調製し、実施例198と同様の評価を行なった。
【0394】
(実施例255)
実施例115で得られた顔料分散組成物G1にさらに下記組成の成分を添加し、撹拌混合して、本発明の光硬化性組成物(カラーレジスト液)を調製した。
〔組成〕
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート … 50部
・4−[o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニル)アミノフェニル]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−S−トリアジン (光重合開始剤) … 20部
・メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸(=70/30[モル比])共重合体(重量平均分子量10,000)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分40%) … 50部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート … 180部
【0395】
得られた光硬化性組成物(カラーレジスト液)を、100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に、色濃度の指標となるy値が0.600となるように塗布し、90℃のオーブンで60秒間乾燥させた(プリベーク)。その後、塗膜の全面に200mJ/cmにて(照度20mW/cm)露光し、露光後の塗膜をアルカリ現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1%水溶液にて覆い、60秒間静止した。静止後、純水をシャワー状に散布して現像液を洗い流した。そして、上記のように露光および現像が施された塗膜を220℃のオーブンで1時間加熱処理し(ポストベーク)、ガラス基板上にカラーフィルタ用の着色樹脂被膜を形成し、着色フィルタ基板(カラーフィルタ)を作製した。
作製した着色フィルタ基板のY値およびコントラストの測定を、実施例198の評価2と同様にして行なった。
【0396】
(実施例256〜311)
実施例255において、顔料分散組成物G1を実施例116〜171で得られた顔料分散組成物G2〜G57に代えたこと以外、実施例255と同様にして、光硬化性組成物(カラーレジスト液)を調製し、実施例198の評価2と同様にして評価を行なった。
【0397】
(実施例312)
実施例172で得られた顔料分散組成物B1にさらに下記組成の成分を添加し、撹拌混合して、本発明の光硬化性組成物(カラーレジスト液)を調製した。
〔組成〕
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート … 150部
・4−[o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニル)アミノフェニル]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−S−トリアジン (光重合開始剤) … 60部
・メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸(=70/30[モル比])共重合体(重量平均分子量:10,000)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分40%) … 400部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート … 1440部
【0398】
調製した光硬化性組成物(カラーレジスト液)を、100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に、色濃度の指標となるy値が0.090となるように塗布し、90℃のオーブンで60秒間乾燥させた(プリベーク)。その後、塗膜の全面に200mJ/cmにて(照度20mW/cm)露光し、露光後の塗膜をアルカリ現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1%水溶液にて覆い、60秒間静止した。静止後、純水をシャワー状に散布して現像液を洗い流した。そして、上記のように露光および現像が施された塗膜を220℃のオーブンで1時間加熱処理し(ポストベーク)、ガラス基板上にカラーフィルタ用の着色樹脂被膜を形成し、着色フィルタ基板(カラーフィルタ)を作製した。
作製した着色フィルタ基板のY値およびコントラストの測定を、実施例198の評価2と同様にして行なった。
【0399】
(実施例313〜337)
実施例312において、顔料分散組成物B1を実施例173〜197で得られた顔料分散組成物B2〜B26に代えたこと以外、実施例312と同様にして、光硬化性組成物(カラーレジスト液)を調製し、実施例198の評価2と同様にして評価を行なった。
【0400】
(比較例33〜37)
実施例198において、実施例58で得られた顔料分散組成物R1を、比較例2〜6で得られた顔料分散組成物R59〜R63に代えたこと以外、実施例198と同様にして、光硬化性組成物(カラーレジスト液)を調製し、実施例198と同様の評価を行なった。
【0401】
(比較例38〜42)
実施例230において、実施例90で得られた顔料分散組成物R33を、比較例8〜12で得られた顔料分散組成物R65〜R69に代えたこと以外、実施例230と同様にして、光硬化性組成物(カラーレジスト液)を調製し、実施例198と同様の評価を行なった。
【0402】
(比較例43〜47)
実施例255において、実施例115で得られた顔料分散組成物G1を、比較例14〜18で得られた顔料分散組成物G59〜G63に代えたこと以外、実施例255と同様にして、光硬化性組成物(カラーレジスト液)を調製し、実施例198と同様の評価を行なった。
【0403】
(比較例48〜52)
実施例287において、実施例147で得られた顔料分散組成物G33を、比較例20〜24で得られた顔料分散組成物G65〜G69に代えたこと以外、実施例287と同様にして、光硬化性組成物(カラーレジスト液)を調製し、実施例198と同様の評価を行なった。
【0404】
(比較例53〜55)
実施例312において、実施例172で得られた顔料分散組成物B1を、比較例26〜28で得られた顔料分散組成物B28〜B30に代えたこと以外、実施例312と同様にして、光硬化性組成物(カラーレジスト液)を調製し、実施例198と同様の評価を行なった。
【0405】
(比較例56〜58)
実施例325において、実施例185で得られた顔料分散組成物B14を、比較例30〜32で得られた顔料分散組成物B32〜B34に代えたこと以外、実施例325と同様にして、光硬化性組成物(カラーレジスト液)を調製し、実施例198と同様の評価を行なった。
【0406】
前記実施例198〜337、及び比較例33〜58で用いた顔料分散組成物、及び評価結果を下記表9〜12に併記する。
【0407】
【表9】

【0408】
【表10】

【0409】
【表11】

【0410】
【表12】

【0411】
上記の表に示すように、実施例では、粘度が低く、高いコントラストが得られ、本発明の高分子化合物は、顔料分散剤として優れた分散性と分散安定性を示した。高いコントラストが得られるのは、顔料粒子が微細化された状態で分散されているためであると推測される。これに対し、比較例では、低粘度に抑えられなかったばかりか、透過率も低くコントラストの点でも劣っていた。
また、上記の表9〜12に示すように、本発明の高分子化合物(顔料分散剤)を含有する顔料分散組成物、およびこれを含む光硬化性組成物を用いて作製した着色フィルタ基板(カラーフィルタ)はいずれも、高透過率を有して色特性が良好であると共に、高いコントラストが得られた。これに対し、比較例では、コントラストの点で明らかに劣っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料と、下記一般式(2)で表される高分子化合物とを含有する顔料分散組成物。
【化1】


〔一般式(2)中、Rは、(m+n)価の有機連結基を表し、R、Rは、各々独立に、単結合または2価の有機連結基を表す。Aは、有機色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される、顔料に対する吸着能を有する部位を少なくとも1種含む1価の有機基を表す。n個のA、Rは、各々独立に、同一であっても、異なっていてもよい。mは1〜8、nは2〜9を表し、m+nは3〜10を満たす。Pは高分子骨格を表す。m個のP、Rは、各々独立に、同一であっても、異なっていてもよい。〕
【請求項2】
更に、有機溶媒を含有する請求項1に記載の顔料分散組成物。
【請求項3】
前記一般式(2)におけるnが3〜6を表す請求項1または請求項2に記載の顔料分散組成物。
【請求項4】
前記一般式(2)におけるAが、有機色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される、顔料に対する吸着能を有する部位を少なくとも1種含む1価の有機基を表す請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
【請求項5】
前記一般式(2)におけるAが、有機色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、およびウレア基から選択される、顔料に対する吸着能を有する部位を少なくとも1種含む1価の有機基を表す請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
【請求項6】
前記一般式(2)におけるPで表される高分子骨格が、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル系ポリマー、エーテル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アミド系ポリマー、エポキシ系ポリマー、シリコーン系ポリマー、およびこれらの変性物もしくは共重合体より選ばれる少なくとも一種に由来するものである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
【請求項7】
前記一般式(2)におけるPで表される高分子骨格が、ビニルモノマーの重合体または共重合体に由来するものである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
【請求項8】
前記高分子化合物の重量平均分子量が、3000〜100000である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
【請求項9】
前記高分子化合物の酸価が、200mgKOH/g以下である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
【請求項10】
前記高分子化合物が、下記一般式(3)で表される化合物存在下で、ラジカル重合反応を行なうことで得られたものである請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
【化2】


〔一般式(3)中、Rは、(m+n)価の有機連結基を表し、Rは、単結合または2価の有機連結基を表す。Aは、有機色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される、顔料に対する吸着能を有する部位を少なくとも1種含む1価の有機基を表す。n個のA、Rは、各々独立に、同一であっても、異なっていてもよい。mは1〜8、nは2〜9を表し、m+nは3〜10を満たす。〕
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の顔料分散組成物と、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物と、光重合開始剤とを含有する光硬化性組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の光硬化性組成物を用いてなるカラーフィルタ。
【請求項13】
請求項11に記載の光硬化性組成物を直接もしくは他の層を介して基板上に付与して感光性膜を形成し、形成された感光性膜にパターン露光および現像を行なうことにより着色パターンを形成するカラーフィルタの製造方法。

【公開番号】特開2013−79380(P2013−79380A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−245693(P2012−245693)
【出願日】平成24年11月7日(2012.11.7)
【分割の表示】特願2006−269707(P2006−269707)の分割
【原出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】