説明

顔料分散組成物、着色硬化性組成物、それを用いたカラーフィルタ、およびカラーフィルタの製造方法

【課題】顔料の分散安定性に優れた顔料分散組成物、該顔料分散組成物を含有する、高感度で硬化し、電圧保持率が高く、着色剤を高濃度で含有する場合でも高い感度を示す着色硬化組成物、ならびにカラーフィルタおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも顔料と、溶剤と、分子内にα−へテロメタクリロイル基を有する化合物とを含有する顔料分散組成物である。前記α−へテロメタクリロイル基は下記一般式(I)で表されることが好ましい。


〔一般式(I)中、R及びRは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は一価の置換基を表し、Xは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはヘテロ原子を介してα炭素に結合している置換基を表し、Yは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはヘテロ原子を介してカルボニル基に結合している置換基を表す。ただし、XとYが同時にハロゲン原子またはヒドロキシ基を表すことはない。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料分散組成物、着色硬化性組成物、それを用いて形成されたカラーフィルタ、および該カラーフィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタは、有機顔料や無機顔料を分散させた顔料分散組成物と、多官能モノマー、光重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂及びその他の成分とを含有して着色硬化性組成物とし、これを用いてフォトリソ法などにより着色パターンを形成することで製造されている。
【0003】
近年、カラーフィルタは、液晶表示素子(LCD)用途ではモニターのみならずテレビ(TV)へと用途が拡大する傾向にあり、この用途拡大の傾向に伴い、色度、コントラストなどにおいて高度の色特性が求められている。また大型TVにおいては、さらなる高速塗布適性、及び薄層高画質化のためのカラーフィルタ自身の電圧保持率向上も要求されている。また、イメージセンサ(固体撮像素子)用途においては、昨今の高画質化の要請から、微細パターン形成のための高解像度化かつLCD用同様に色特性の高いものが求められるようになっている。
【0004】
上記のような要求に対して、より微細な状態で顔料を分散させること(良好な分散性)、安定な状態で分散させること(良好な分散安定性)が求められている。分散性が不十分である場合には、形成された着色レジスト膜にフリンジ(エッジ部のギザギザ)や表面凹凸が生じ、製造されるカラーフィルタの色度や寸法精度が低下したり、コントラストが著しく劣化したりするという問題がある。また、カラーフィルタの製造工程において、特に、顔料分散組成物の塗布工程での膜厚の均一性が低下したり、露光工程での感光感度が低下したり、現像工程でのアルカリ溶解性が低下したりするという問題が生じ易い。さらに、顔料の分散安定性が悪い場合には、時間の経過に伴い、顔料分散組成物の構成成分が凝集を起こして粘度が上昇し、ポットライフが極めて短くなるという問題もある。
また、顔料分散組成物において、高い感光性、非画像部の現像液に対する溶解性、及び画像部の耐薬品性は重要な特性である。そこで、より色濃度の高いカラーフィルタや光学濃度(OD値)を高くする要求が高まっており、顔料分散組成物における着色成分濃度が高くなっている傾向にある。しかし、着色成分濃度が上昇すると、着色成分による光吸収の増加によって、露光部の十分な硬化が得られない等の諸特性に対する問題が生じる。このように、着色成分濃度の上昇と着色硬化性組成物の特性は、トレードオフの関係にある。
【0005】
これらの課題に対し、従来、主に成膜性や現像性などを付与するために導入された樹脂に、重合性を付与し、感度を向上させる検討がなされている。例えば、これら感光性樹脂組成物として用いるためには、感光性透明樹脂を構成する単量体の種類や比率を調整して、安定性、溶解性、及び耐薬品性などの多くの特性を満たす設計が必要となる。また、重合性基としてエポキシ基を用いた手法や(例えば、特許文献1参照)、エチレン性不飽和二重結合を用いた手法(例えば、特許文献2および特許文献3参照)が開示されている。
このほか、カラーフィルタ最新技術動向(情報機構出版)85項〜87項、最先端カラーフィルタのプロセス技術とケミカルズ(シーエムシー出版)129項〜150項などに記載の技術が挙げられる。
【0006】
【特許文献1】特開2001−75273号公報
【特許文献2】特開2000−154207号公報
【特許文献3】特開2004−240396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これらの樹脂を用いても、未だ満足する露光感度が得られていない。さらに、露光感度が不十分であるため、基板界面付近などの深部では硬化が不十分であり、基板密着性が悪いほか、顔料に含まれる金属イオン(塩)が溶出したり、該金属イオンを取り込むことにより電圧保持率が低くなってしまうなどの問題もあった。以上から、高感度、高硬度、電圧保持率の高い着色硬化性組成物は、未だ提供されていないのが現状である。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、顔料の分散安定性に優れた顔料分散組成物、該顔料分散組成物を含有する、高感度で硬化し、かつ、電圧保持率が高く、さらに、着色剤を高濃度で含有する場合でも高い感度を示す着色硬化組成物、及び、未露光部の現像残渣が少なく、露光部の基板との密着性に優れ、所望の断面形状でかつ高精細な着色パターンを備えたカラーフィルタ、更には、該カラーフィルタの生産性に優れた製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下の構成を有する。
<1> 少なくとも顔料と、溶剤と、分子内にα−へテロメタクリロイル基を有する化合物とを含有する顔料分散組成物である。
<2> 前記分子内にα−へテロメタクリロイル基を有する化合物が、少なくとも1つのα−へテロメタクリロイル基を側鎖に有し、重量平均分子量が1,000〜60,000であることを特徴とする前記<1>に記載の顔料分散組成物である。
<3> 前記α−へテロメタクリロイル基が、下記一般式(I)で表されることを特徴とする前記<1>または前記<2>に記載の顔料分散組成物である。
【0010】
【化1】

【0011】
一般式(I)中、R及びRは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は一価の置換基を表し、Xは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはヘテロ原子を介してα炭素に結合している置換基を表し、Yは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはヘテロ原子を介してカルボニル基に結合している置換基を表す。ただし、XとYが同時にハロゲン原子またはヒドロキシ基を表すことはない。また、XとY、RとR、または、XとR若しくはRが互いに結合して環状構造を形成してもよい。
【0012】
<4> 前記分子内にα−へテロメタクリロイル基を有する化合物が、さらに酸基を有し、かつ、その酸価が30mgKOH/g以上であることを特徴とする前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載の顔料分散組成物である。
<5> 前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載の顔料分散組成物と、光重合性化合物と、光重合開始剤とを含むことを特徴とする着色硬化性組成物である。
<6> カラーフィルタの着色領域形成に用いられることを特徴とする前記<5>に記載の着色硬化性組成物である。
<7> 基板上に、前記<6>に記載の着色硬化性組成物を用いて形成された着色パターンを有することを特徴とするカラーフィルタである。
<8> 前記<6>に記載の着色硬化性組成物を、直接、又は他の層を介して基板上に付与して感光性膜を形成する感光性膜形成工程と、該感光性膜にパターン露光及び現像を順次行なうことにより着色パターンを形成する着色パターン形成工程とを有するカラーフィルタの製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、顔料の分散安定性に優れた顔料分散組成物、該顔料分散組成物を含有する、高感度で硬化し、かつ、電圧保持率が高く、さらに、着色剤を高濃度で含有する場合でも高い感度を示す着色硬化組成物、及び、未露光部の現像残渣が少なく、露光部の基板との密着性に優れ、所望の断面形状でかつ高精細な着色パターンを備えたカラーフィルタ、更には、該カラーフィルタの生産性に優れた製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
<顔料分散組成物>
本発明の顔料分散組成物は、顔料と、溶剤と、分子内にα−へテロメタクリロイル基を有する化合物(以下、「α−ヘテロメタクリロイル化合物」ともいう)とを含有する。必要に応じて、さらに染料や、高分子分散剤等の顔料分散剤を含有してもよい。
【0015】
(分子内にα−へテロメタクリロイル基を有する化合物)
本発明の顔料分散組成物は、分子内にα−へテロメタクリロイル基を有する化合物を含有する。α−ヘテロメタクリロイル化合物を含むことで、顔料分散性に優れた顔料分散組成物が得られる。また、この顔料分散組成物を含有する着色硬化性組成物は、高感度で硬化し、かつ、電圧保持率が高く、さらに、活性エネルギー線を吸収する着色剤を高濃度で含有する場合でも高い感度を示すことができる。
これは、α−ヘテロメタクリロイル化合物が、従来のアクリル化合物よりも重合性が高く、さらに酸素の重合阻害を受けにくい特性があるため、紫外線や電子線照射などによる硬化性が高くなり、とくに大気中で硬化する紫外線硬化ではその硬化特性が顕著になるためと考えられる。また、分子内にかさ高い置換基を有するα−ヘテロメタクリロイル化合物は特に重合性が高い。この理由は、重合停止速度が減少するためと考えられる。
【0016】
本発明の顔料分散組成物は、前記α−ヘテロメタクリロイル化合物を、1種含有してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられるα−ヘテロメタクリロイル化合物は、α−ヘテロメタクリロイル基を分子内に1つのみ有する単官能化合物であってもよいし、α−ヘテロメタクリロイル基を2つ有する2官能化合物であってもよいし、α−ヘテロメタクリロイル基を3つ以上有する多官能化合物であってもよい。多官能化合物としては、適切な部分構造や多価連結基に3以上のα−ヘテロメタクリロイル基が結合してなるマクロモノマーの形態も、側鎖に多数のα−ヘテロメタクリロイル基を有する高分子化合物〔(共)重合体〕の形態もとりうる。
【0017】
前記α−ヘテロメタクリロイル化合物は、従来のアクリル化合物よりも重合性が高く、さらに酸素の重合阻害を受けにくい点で、下記一般式(I)で表されるα−ヘテロメタクリロイル基を有する化合物であることが好ましい。
【0018】
【化2】

【0019】
一般式(I)中、R及びRは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は一価の置換基を表し、Xは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはヘテロ原子を介してα炭素に結合している置換基を表し、Yは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはヘテロ原子を介してカルボニル基に結合している置換基を表す。ただし、XとYが同時にハロゲン原子またはヒドロキシ基を表すことはない。また、XとY、RとR、または、XとR若しくはRが互いに結合して環状構造を形成してもよい。
【0020】
前記一般式(I)で表される構造を有するα−ヘテロメタクリロイル化合物は、例えば、特開2000−92127公報に光重合性化合物として開示されており、この開示は本発明にも参照される。本願発明者は、この重合性化合物が顔料分散組成物に有用であり、且つ、当該顔料分散組成物を用いた着色硬化性組成物は着色剤を高濃度で含む場合であっても優れた硬化性を達成することを見出し、本発明を完成したものである。
このような化合物を用いることにより、従来のアクリレート化合物に比べて酸素による重合阻害を受けにくく、架橋効率が高まり、より強固な硬化膜が得られる。
【0021】
前記R及びR、X、ならびにYにおける「ハロゲン原子」としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等が挙げられ、好ましくは、塩素原子、臭素原子、フッ素原子であり、より好ましくは、塩素原子、臭素原子である。
また、前記R及びR、X、ならびにYにおける「置換基」について説明する。前記置換基としては、例えば、さらに置換基を有していてもよい炭化水素基、置換オキシ基、シアノ基、置換チオ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、カルボキシラート基などが挙げられる。好ましくは、さらに置換基を有していてもよい炭化水素基、置換オキシ基、置換チオ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、カルボキシラート基であり、より好ましくは、さらに置換基を有していてもよい炭化水素基、置換オキシ基、置換カルボニル基、カルボキシラート基である。
【0022】
前記X及び前記Yにおける「ヘテロ原子」としては、好ましくは非金属原子であり、具体的には、例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、リン原子が挙げられる。
【0023】
また、前記Xにおける「ヘテロ原子を介してα炭素に結合している置換基」は、例えば、アルキル、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、が挙げられる。
前記Xは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換オキシ基、シアノ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、置換アミノ基、スルホ基、スルホナト基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、ホスホノ基、置換ホスホノ基、ホスホナト基、置換ホスホナト基、ニトロ基、ヘテロ環基(但し、ヘテロ原子で連結している)が好ましく、ヒドロキシ基、置換オキシ基、置換チオ基、アミノ基、置換アミノ基、ヘテロ環基がより好ましい。
【0024】
前記Yにおける「ヘテロ原子を介してカルボルニル基に結合している置換基」は、例えば、上記Xについて述べた「ヘテロ原子を介してα炭素に結合している置換基」と同じものが挙げられる。
前記Yは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、置換アミノ基、又はヘテロ環基が好ましく、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換オキシ基、置換チオ基、置換アミノ基、又はヘテロ環基がより好ましい。
【0025】
次に、一般式(I)中のX、Y、R、およびRにおける上述の置換基の例を示す。
前記「さらに置換基を有していてもよい炭化水素基」としては、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基及び置換アルキニル基が挙げられる。
【0026】
アルキル基としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、および炭素原子数5から10までの環状のアルキル基が好ましい。
【0027】
置換アルキル基は、置換基とアルキレン基との結合により構成され、その置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、
【0028】
ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基(以下、カルボキシラートと称す)、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SONHSO(allyl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO(allyl))及びその共役塩基基、
【0029】
アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl))、アリーロキシシリル基(−Si(Oallyl))、ヒドロキシシリル基(−Si(OH))及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基(以下、ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(以後、ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
【0030】
これらの置換基におけるアルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられる。
置換基におけるアリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基などを挙げることができる。
また、置換基におけるアルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基、等が挙げられる。
置換基におけるアルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基、フェニルエチニル基等が挙げられる。
置換基におけるアシル基としては、RCO−で表され、ここで、Rは水素原子及び上記のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基を挙げることができる。
【0031】
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状および炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。好ましい置換アルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、
【0032】
カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルブチル基、エトキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルメチル基、アリルオキシカルボニルメチル基、ベンジルオキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルフェニルメチル基、トリクロロメチルカルボニルメチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、及び下記に示す基等を挙げることができる。
【0033】
【化3】

【0034】
アリール基としては1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基、を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
【0035】
置換アリール基は、置換基がアリール基に結合したものであり、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、および、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。これらの、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基、等を挙げることができる。
【0036】
アルケニル基としては、置換アルキル基の置換基として説明した上述のものを挙げることができる。置換アルケニル基は、置換基がアルケニル基の水素原子と置き換わり結合したものであり、この置換基としては、上述の置換アルキル基における置換基が用いられ、一方アルケニル基は上述のアルケニル基を用いることができる。好ましい置換アルケニル基の例としては下記に示す基を挙げることができる。
【0037】
【化4】

【0038】
アルキニル基としては、置換アルキル基の置換基として説明した上述のものを挙げることができる。置換アルキニル基は、置換基がアルキニル基の水素原子と置き換わり、結合したものであり、この置換基としては、上述の置換アルキル基における置換基が用いられ、一方アルキニル基は上述のアルキニル基を用いることができる。
【0039】
本明細書においてヘテロ環基とは、ヘテロ環上の水素を1つ除した一価の基及びこの一価の基からさらに水素を1つ除し、上述の置換アルキル基における置換基が結合してできた一価の基(置換ヘテロ環基)である。好ましいヘテロ環の例としては、以下に示す基を挙げることができる。
【0040】
【化5】

【0041】
【化6】

【0042】
【化7】

【0043】
本明細書において置換オキシ基としては、RO−で表され、ここでRは水素を除く一価の非金属原子団であるものを用いることができる。好ましい置換オキシ基としては、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基を挙げる事ができる。これらにおけるアルキル基、およびアリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基および、アリール基、置換アリール基として示したものを挙げる事ができる。
【0044】
また、アシルオキシ基におけるアシル基としては、RCO−で表され、Rは、前述のアルキル基、置換アルキル基、アリール基および置換アリール基のものを挙げることができる。これらの置換基の中では、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、アリールスルホキシ基が好ましい。
好ましい置換オキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、アリルオキシ基、フェネチルオキシ基、カルボキシエチルオキシ基、メトキシカルボニルエチルオキシ基、エトキシカルボニルエチルオキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、モルホリノエトキシ基、モルホリノプロピルオキシ基、アリロキシエトキシエトキシ基、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、メシチルオキシ基、クメニルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、エトキシフェニルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、ブロモフェニルオキシ基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフチルオキシ基、フェニルスルホニルオキシ基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ等が挙げられる。
【0045】
本明細書において置換チオ基としては、RS−で表され、Rは水素を除く一価の非金属原子団のものを使用できる。好ましい置換チオ基の例としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アシルチオ基を挙げることができる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、およびアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができ、アシルチオ基におけるアシル基(RCO−)のRは前述のとおりである。これらの中ではアルキルチオ基、およびアリールチオ基がより好ましい。
好ましい置換チオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、エトキシエチルチオ基、カルボキシエチルチオ基、メトキシカルボニルチオ基等が挙げられる。
【0046】
本明細書において置換アミノ基としては、RNH−、または(R)(R10)N−で表され、R、R、及びR10は、各々独立して水素を除く一価の非金属原子団のものを使用できる。置換アミノ基の好ましい例としては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、およびアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができ、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基におけるアシル基としてはRCO−で表され、Rは前述のとおりである。これらの内、より好ましいものとしては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、が挙げられる。好ましい置換アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、フェニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アセチルアミノ基等が挙げられる。
【0047】
本明細書において置換カルボニル基としては、R11−CO−で表され、R11は一価の非金属原子団のものを使用できる。置換カルボニル基の好ましい例としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、およびアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。これらの内、より好ましい置換カルボニル基としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、が挙げられ、更により好ましいものとしては、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基およびアリーロキシカルボニル基が挙げられる。
好ましい置換カルボニル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、N−メチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基等が挙げられる。
【0048】
本明細書において置換スルフィニル基としては、R12−SO−で表され、R12は一価の非金属原子団のものを使用できる。好ましい例としては、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、およびアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。これらの内、より好ましい例としてはアルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、が挙げられる。
このような置換スルフィニル基の具体例としては、へキシルスルフィニル基、ベンジルスルフィニル基、トリルスルフィニル基等が挙げられる。
【0049】
本明細書において置換スルホニル基としては、R13−SO−で表され、R13は一価の非金属原子団のものを使用できる。より好ましい例としては、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を挙げることができる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、およびアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。
このような、置換スルホニル基の具体例としては、ブチルスルホニル基、クロロフェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0050】
本明細書においてスルホナト基(−SO−)は前述のとおり、スルホ基(−SOH)の共役塩基陰イオン基を意味し、通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類等)、および金属イオン類(Na、K、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
【0051】
本明細書においてカルボキシラート基(−CO−)は前述のとおり、カルボキシル基(COH)の共役塩基陰イオン基を意味し、通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類等)、および金属イオン類(Na、K、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
【0052】
本明細書において置換ホスホノ基とはホスホノ基上の水酸基の一つもしくは二つが他の有機オキソ基によって置換されたものを意味し、好ましい例としては、前述のジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、アルキルアリールホスホノ基、モノアルキルホスホノ基、モノアリールホスホノ基が挙げられる。これらの中ではジアルキルホスホノ基、およびジアリールホスホノ基がより好ましい。このような具体例としては、ジエチルホスホノ基、ジブチルホスホノ基、ジフェニルホスホノ基等が挙げられる。
【0053】
本明細書においてホスホナト基(−PO2−、−PO)とは前述のとおり、ホスホノ基(−PO)の、酸第一解離もしくは、酸第二解離に由来する共役塩基陰イオン基を意味する。通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類:アジニウム類、等)、および金属イオン類(Na、K、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
【0054】
本明細書において置換ホスホナト基とは前述の置換ホスホノ基の内、水酸基を一つ有機オキソ基に置換したものの共役塩基陰イオン基であり、具体例としては、前述のモノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))の共役塩基を挙げることができる。通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類、等)、および金属イオン類(Na、K、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
【0055】
次に、XとY、RとR、または、XとR若しくはRが互いに結合して形成する環状構造の例を示す。XとY、RとR、または、XとR若しくはRが互いに結合して形成する脂肪族環としては、5員環、6員環、7員環及び8員環の脂肪族環を挙げることができ、より好ましくは、5員環、6員環の脂肪族環である。これらは更に、これらを構成する炭素原子上に置換基を有していてもよく(置換基の例としては、前述の置換アルキル基上の置換基を挙げることができる)、また、環構成炭素の一部が、ヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子、窒素原子等)で置換されていてもよい。また更に、この脂肪族環の一部が芳香族環の一部を形成していてもよい。
【0056】
本発明におけるα−ヘテロメタクリロイル化合物のうち、分子内に官能性基を2つ有し、そのうち、少なくとも1つがα−ヘテロメタクリロイル基である2官能性化合物は、下記一般式(II)で表される構造を有することが好ましい。
【0057】
−R−Q 一般式(II)
【0058】
一般式(II)中、Q及びQは、各々独立に、ラジカル重合性末端基であって、かつ、いずれか一方または両方がα−ヘテロメタクリロイル基である。一般式(II)中、Rは、エステル連結基(−OC(=O)−)、炭酸エステル連結基(−OC(=O)O−)及びカルボニル連結基(−C(=O)−)からなる群から選択される連結基に連結される2価の炭化水素連結基を表す。
一般式(II)におけるQ及びQのラジカル重合性末端基とは、α−ヘテロメタクリロイル基、アクリル基、メタクリル基、クロトニル基、イタコニル基、α−ヘテロ置換メタクリル基、スチレン基、α−メチルスチレン基、ビニルアミド基、ビニルオキシ基等のラジカル重合性基を末端に有する基を挙げることができる。さらにより好ましくは一般式(III)で表される基である。
【0059】
【化8】

【0060】
一般式(III)中、Xは、−OH、−SH、NH、置換オキシ基、置換アミノ基、または置換チオ基を表し、Rは、水素原子または炭化水素基を表す。
一般式(III)におけるXは、−OH、置換オキシ基、置換アミノ基、または置換チオ基が好ましい。一般式(III)におけるRは、炭化水素基が好ましい。
【0061】
また、一般式(II)中、Rは、下記一般式(IV)で表される2価の連結基であることが好ましい。
【0062】
【化9】

【0063】
一般式(IV)中、R〜Rは、それぞれ独立に、酸素で連結していてもよい脂肪族炭化水素連結基または単結合を表す。但し、R〜Rの全てが単結合となることはない。TおよびTは、それぞれ独立に、−OCO−、−CO−、−CO−、−OCO−及び単結合よりなる群から選択されるいずれか1つを表す。但し、TおよびTのいずれもが単結合となることはない。一般式(IV)におけるR〜Rは、酸素で連結していてもよい脂肪族炭化水素連結基が好ましい。一般式(IV)におけるTおよびTは、−OCO−、−CO−、−CO−が好ましい。
【0064】
前記一般式(II)の最も好ましい形態は、Rが2つ以上のエステル基を有し、ラジカル重合性基末端Q及びQが両方とも同じ(メタ)アクリル基であるか、又はQ及びQが異なる(メタ)アクリル基である場合(例えば、アクリル基とメタクリル基、アクリル基とα−ヘテロ置換メタクリル基など)である。このような形態のα−ヘテロメタクリロイル化合物は、反応性や相溶性の点で特に優れる。
【0065】
一般式(III)中のXで表される置換オキシ基、置換アミノ基、または置換チオ基における置換基としては、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基及び置換アルキニル基が挙げられる。
一般式(III)中のRで表される炭化水素基としては、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基及び置換アルキニル基が挙げられる。
また、一般式(IV)中のR〜Rで表される脂肪族炭化水素連結基としては、2価のアルキル基、2価の置換アルキル基、2価のアルケニル基、2価の置換アルケニル基、2価のアルキニル基及び2価の置換アルキニル基が挙げられる。
【0066】
前記一般式(III)中のX、Rまたは、前記一般式(IV)中のR〜Rで表されるアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、置換オキシ基、置換アミノ基、及び置換チオ基については、前記一般式(I)において説明したアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、置換オキシ基、置換アミノ基、及び置換チオ基と同義であり、好ましい態様も同様である。
【0067】
また、本発明におけるα−ヘテロメタクリロイル化合物は、水系溶剤に対する分散性向上、及び、着色硬化性組成物とした場合の現像性向上の観点から、分子内に酸基を有することが好ましく、酸基の含有量としては、その酸価が30〜250mgKOH/gであることが好ましく、40〜200mgKOH/gがより好ましく、50〜150mgKOH/gが特に好ましい。
酸価が250mgKOH/g以下であれば、本発明におけるα−ヘテロメタクリロイルを有する高分子化合物を顔料分散剤として用いた場合、顔料の分散性および分散安定性が良く、酸価が30mgKOH/g以上あれば、光硬化性組成物とした際のアルカリ現像性が良い。
本発明におけるα−ヘテロメタクリロイル化合物に導入可能な酸基としては、前記の好ましい酸価となるように、種類、量などを調整すればよいが、具体的には、例えば、カルボン酸基、燐酸基、スルホン酸基などが好ましく挙げられる。
【0068】
本発明の顔料分散組成物に含有されるα−ヘテロメタクリロイル化合物は、少なくとも1つのα−ヘテロメタクリロイル基を側鎖に有するオリゴマーまたはポリマー等の高分子化合物(以下「α−ヘテロメタクリロイル高分子化合物」ともいう)として用いられることが好ましい。このようなα−ヘテロメタクリロイル高分子化合物は、次のようにして得ることができる。
例えば、A)前記一般式(I)で表されるα−ヘテロメタクリロイル基を2つ以上有する多官能性α−ヘテロメタクリロイル化合物を重合して、側鎖にα−ヘテロメタクリロイル基を有する重合体(α−ヘテロメタクリロイル高分子化合物)を得ることができる。
また、B)オリゴマーまたはポリマーである重合体と、前記一般式(I)で表されるα−ヘテロメタクリロイル基を有する低分子化合物とを反応させて、重合体の側鎖に、前記一般式(I)で表されるα−ヘテロメタクリロイル基を導入することにより、α−ヘテロメタクリロイル高分子化合物を得ることもできる。
【0069】
上記B)の方法により、重合体の側鎖に前記一般式(I)で表されるα−ヘテロメタクリロイル基を導入するときは、前記一般式(I)におけるXがヘテロ原子を介してα炭素に結合している2価の置換基、および/またはYがヘテロ原子を介してカルボニル基に結合している2価の置換基となって、前記一般式(I)で表されるα−ヘテロメタクリロイル基が重合体に導入される。
上記B)の方法により、前記一般式(I)におけるYがヘテロ原子を介してカルボニル基に結合している2価の置換基となって、重合体の側鎖に前記一般式(I)で表されるα−ヘテロメタクリロイル基が導入された重合体として、下記一般式(V)で示される構造単位を含む重合体 (ホモポリマーではなく、高分子合成等で合成した重合体の側鎖にα−ヘテロメタクリル基を有する化合物) を挙げることができる。
【0070】
【化10】

【0071】
前記一般式(V)中、R、R、X、およびYは、前記一般式(I)におけるR、R、X、およびYと同義である。前記一般式(V)中、R〜Rは、各々独立して、水素原子またはアルキル基を表す。前記一般式(V)中、R〜Rで表されるアルキル基は前記一般式(I)におけるRおよびRと同義である。
Lは、2価の連結基であればいかなる連結基でもよいが、次の連結基を1つまたはそれ以上組み合わせて構成される2価の連結基であることが好ましい。すなわち、アルキレン基(好ましくは、炭素数1〜20のアルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、メチルエチレン基、プロピレン基、メチルプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基)、ハロゲン置換アルキレン基(好ましくは、炭素数1〜20のハロゲン置換アルキレン基、例えば、ジフルオロメチレン基、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロヘキシレン基、テトラフルオロヘキシレン基、ジクロロンメチレン基)、アリーレン基(好ましくは、炭素数6〜26のアリーレン基、例えば1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、4−フェニレンメチレン基、1,4−ナフチレン基)、ハロゲン置換アリーレン基(好ましくは、炭素数6〜26のハロゲン置換アリーレン基、例えば、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン基、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−フェニレン基、3,4,5,6−テトラブロモフェニレン基)、アルケニレン基(好ましくは、炭素数2〜20のアルケニレン基、例えばエテニレン基、プロペニレン基、ブタジエニレン基)、ハロゲン置換アルキニレン基(好ましくは、炭素数2〜20のハロゲン置換アルキニレン基、例えば、ジフルオロエテニレン基、テトラフルオロプロペニレン基、ジクロロエテニレン基)、アルキニレン基(好ましくは、炭素数2〜20のアルキニレン基、例えば、エチニレン基、プロピニレン基)、アミド基、エステル基、スルホアミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、エーテル基、カルボニル基、ヘテリレン基(好ましくは、炭素数1〜26のヘテリレン基、例えば、6−クロロ−1,3,5−トリアジル−2,4−ジイル基、ピリミジン−2,4−ジイル基、キノキサリン−2,3−ジイル基)、−C(CF−、−S−が挙げられる。前記Lで表される2価の連結基は、炭素原子数0〜100であり、好ましくは炭素数1〜20である。
【0072】
以下、本発明に適用しうるα−ヘテロメタクリロイル化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記化合物に制限されるものではない。
まず、側鎖に、前記一般式(I)で表されるα−ヘテロメタクリロイル基を繰り返し有する重合体の具体例を挙げる。
【0073】
【化11】

【0074】
【化12】

【0075】
【化13】

【0076】
【化14】

【0077】
【化15】

【0078】
特開2007−84715号公報に記載の多官能型α−ヘテロメタクリロイル化合物は、前記一般式(I)で表されるα−ヘテロメタクリロイル基を有しており、これらも本発明に好適に利用できる。上記特開2007−84715号公報に記載のα−ヘテロメタクリロイル基を2つ有する重合性化合物、3つ有する重合性化合物、および4〜8個有する重合性化合物の具体例を次に示す。
【0079】
【化16】

【0080】
【化17】

【0081】
【化18】

【0082】
【化19】

【0083】
【化20】

【0084】
【化21】

【0085】
【化22】

【0086】
次に、前記一般式(II)及び一般式(IV)で表される構造を有する化合物の具体例を示す。
【0087】
【化23】

【0088】
【化24】

【0089】
次に、α−ヘテロメタクリロイル基を有する他の化合物を示す。
【0090】
【化25】

【0091】
【化26】

【0092】
【化27】

【0093】
【化28】

【0094】
【化29】

【0095】
【化30】

【0096】
【化31】

【0097】
【化32】

【0098】
【化33】

【0099】
上記K−1〜K−31の重合体、ならびに、上記C−1〜C−35、D−1〜D−36、I−1〜I−26、E−1〜E−26、F−1〜F22、H−1〜H−7、およびJ−1〜J15の化合物は、各々2種以上を併用してもよい。
【0100】
本発明の顔料分散組成物に用いられるα−へテロメタクリロイル化合物は、少なくとも1つのα−へテロメタクリロイル基を側鎖に有し、重量平均分子量が1,000〜60,000の化合物であることが好ましい。前記重量平均分子量は、3,000〜55,000がより好ましく、4,000〜50,000がさらに好ましい。
重量平均分子量が前記範囲内であると、ポリマーに導入されたα−ヘテロメタクリロイル基の効果が十分に発揮され、固体表面への吸着性、ミセル形成能、界面活性性に優れた性能を発揮する。特に本発明に係るα−へテロメタクリロイル基を側鎖に有する高分子化合物を顔料分散剤として用いた場合に、良好な分散性と分散安定性を達成することができる。また、α−へテロメタクリロイル基を側鎖に有する高分子化合物は、その構造中に複数の有機色素構造または複素環を含んでいてもよい。
【0101】
顔料分散組成物中、α−へテロメタクリロイル基を含有するモノマーユニットの含有量は、特に制限はないが、α−へテロメタクリロイル基を側鎖に含有する重合体の全構造を100質量部とした場合に、0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜20質量部である。
【0102】
前記2官能または多官能のα−ヘテロメタクリロイル化合物とα−へテロメタクリロイル基を側鎖に含有する重合体とを併用してもよい。このとき、α−へテロメタクリロイル基を側鎖に含有する重合体を100質量部とした場合に、2官能または多官能のα−ヘテロメタクリロイル化合物は、1〜100質量部が好ましく、特に5〜80質量部が好ましい。多官能型の比率が80質量部以下であれば、高分子分子量の増大を抑え、分散安定性の低下を防止することができる。
【0103】
本発明の顔料分散組成物中、α−ヘテロメタクリロイル化合物(モノマー、オリゴマー、ポリマーを含む)の含有量は、溶剤溶解性、架橋密度による溶液中の粘度の点で、固形分換算0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましい。
また、顔料とα−ヘテロメタクリロイル化合物を有する顔料分散組成物とを用いる場合、硬化感度、色濃度の観点から、顔料とα−ヘテロメタクリロイル化合物を有する顔料分散組成物の含有量の総和が、硬化性組成物を構成する全固形分に対して25〜90質量%であることが好ましく、35〜85質量%であることがより好ましく、40〜80質量%であることがさらに好ましい。
【0104】
(顔料)
本発明の顔料分散組成物は、顔料を含有し、顔料としては、従来公知の種々の無機顔料または有機顔料を適宜選択して用いることができる。
顔料は、無機顔料であれ有機顔料であれ、高透過率であることが好ましいことを考慮すると、なるべく粒子サイズの小さいものの使用が好ましく、ハンドリング性をも考慮すると、顔料の平均粒子径としては0.01〜0.1μmが好ましく、0.01〜0.05μmがより好ましい。
【0105】
前記無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で表される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、及び前記金属の複合酸化物等を挙げることができる。
【0106】
前記有機顔料としては、
C.I. Pigment Red1、2、3、4、5、6、7、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、52:1、52:2、53:1、57:1、60:1、63:1、66、67、81:1、81:2、81:3、83、88、90、105、112、119、122、123、144、146、149、150、155、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、184、185、187、188、190、200、202、206、207、208、209、210、216、220、224、226、242、246、254、255、264、270、272、279、
【0107】
C.I. Pigment Yellow1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214、
C.I. Pigment Orange2、5、13、16、17:1、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、71、73、
C.I. Pigment Green7、10、36、37、
C.I. Pigment Blue1、2、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66、79、79、80のCl置換基をOHに変更したもの、
C.I. Pigment Violet1、19、23、27、32、37、42、
C.I. Pigment Brown25、28、
C.I. Pigment Black1、7
等を挙げることができる。
【0108】
本発明では、特に顔料の構造式中に塩基性のN原子をもつものを好ましく用いることができる。これら塩基性のN原子をもつ顔料は、本発明の顔料分散組成物中で良好な分散性を示す。その原因については十分解明されていないが、感光性重合成分と顔料の親和性の良さが影響しているものと推定される。
前記顔料のうち、さらに好ましい顔料として、以下のものを挙げることができる。ただし、これらに限定されるものではない。
C.I. Pigment Yellow11、24、108、109、110、138、139、150、151、154、167、180、185、
C.I. Pigment Orange36、71、
C.I. Pigment Red122、150、171、175、177、209、224、242、254、255、264、
C.I. Pigment Violet19、23、32、
C.I. Pigment Blue15:1、15:3、15:6、16、22、60、66、
C.I. Pigment Green7、36、37、
C.I. Pigment Black1、7
【0109】
有機顔料は、一種単独で用いる以外に、色純度を上げるため種々組み合わせて用いることができる。具体例を以下に示す。
赤用の顔料としては、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料単独又はそれらの少なくとも一種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料又はペリレン系赤色顔料との混合などが用いられる。例えば、アントラキノン系顔料としてはC.I.ピグメント・レッド177が、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド155、C.I.ピグメント・レッド224が、ジケトピロロピロール系顔料としてはC.I.ピグメント・レッド254が挙げられ、色再現性の点でC.I.ピグメント・イエロー83またはC.I.ピグメント・イエロー139との混合が良好であった。赤色顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:50が良好であった。100:5未満では、400〜500nmの光透過率を抑えることができず、色純度を上げることができないことがある。また、100:50を超えると、主波長が短波長よりになりNTSC目標色相からのずれが大きくなる。特に100:10〜100:30の範囲が最適である。赤色顔料同士の組み合わせの場合は、色度に併せて調整する。
【0110】
緑用の顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料単独または、これとジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料、又はイソインドリン系黄色顔料との混合が挙げられ、例えば、C.I.ピグメント・グリーン7、36、又は37と、C.I.ピグメント・イエロー83、C.I.ピグメント・イエロー138、C.I.ピグメント・イエロー139、C.I.ピグメント・イエロー150、C.I.ピグメント・イエロー180、又はC.I.ピグメント・イエロー185との混合が良好である。緑色顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:150が良好である。100:5未満では400〜450nmの光透過率を抑えることができず、色純度を上げることができない。また、100:150を越えると、主波長が長波長よりになりNTSC目標色相からのずれが大きくなる。より好ましい質量比は、100:30〜100:120の範囲である。
【0111】
青用の顔料としては、フタロシアニン系顔料単独または、これとジオキサジン系紫色顔料との混合が用いられ、例えばC.I.ピグメントブルー15:6とC.I.ピグメント・バイオレット23との混合が良好である。青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0〜100:30が好ましく、より好ましくは100:10以下である。
また、ブラックマトリックス用の顔料としては、カーボン、チタンブラック、酸化鉄、酸化チタン単独またはこれらの混合が挙げられ、カーボンとチタンブラックとの組み合わせが好ましい。また、カーボンとチタンブラックとの質量比は、100:0〜100:60の範囲が好ましい。100:60を超えると、分散安定性が低下する場合がある。
【0112】
顔料の顔料分散組成物中における含有量としては、顔料分散組成物の全固形分(質量)に対して、40〜90質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。顔料の含有量が前記範囲内であると、色濃度が充分で優れた色特性を確保するのに有効である。
【0113】
さらに上記の顔料を、アクリル系樹脂、マレイン酸系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、エチルセルロース樹脂等に微分散させた粉末状加工顔料を用いるようにすることによって、分散性及び分散安定性の良好な顔料含有の顔料分散組成物を得ることができる。本発明の顔料は上記例示の顔料種に限定されるものではない。
【0114】
(溶剤)
本発明の顔料分散組成物は、溶剤を用いて調製する。また、本発明の着色硬化性組成物も同様に溶剤を用いて調製することが好ましい。
溶剤としては、エステル類、例えば酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、並びに、3−オキシプロピオン酸メチルおよび3−オキシプロピオン酸エチルなどの3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル)、並びに、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、および2−オキシプロピオン酸プロピルなどの2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル)、並びに、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;
【0115】
エーテル類、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等;
ケトン類、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;
芳香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレン、等が挙げられる。
【0116】
これらのうち、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が好適である。
溶剤は、単独で用いる以外に2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0117】
本発明の顔料分散組成物中、溶剤の含有量は、目的に応じて適宜選択することができるが、固形分換算で30〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは、50〜90質量%である。
【0118】
本発明の顔料分散組成物には、前記α−へテロメタクリロイル化合物、顔料、溶剤に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて添加剤を併用することができる。
〔他の顔料分散剤〕
本発明のα−ヘテロメタクリロイル化合物は、顔料分散剤として有用であるが、α−ヘテロメタクリロイル化合物以外に、顔料の分散性をより向上させる目的で、従来から公知の顔料分散剤や界面活性剤等の分散剤、その他成分を加えることもできる。
公知の顔料分散剤としては、高分子分散剤(例えば、直鎖状高分子、ブロック型高分子、グラフト型高分子、第一分散剤とは異なる構造の末端変性型高分子等)、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等)、顔料誘導体等を挙げることができる。中でも、グラフト型高分子、ブロック型高分子、末端変性型高分子、及び顔料誘導体から選択される少なくとも一種であることがより好ましい。
前記、高分子分散剤は、分散工程において、顔料の表面に吸着し、再凝集を防止する様に作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有するブロック型高分子、グラフト型高分子、末端変性型高分子が好ましい構造として挙げることができる。一方で、顔料誘導体は顔料表面を改質することで、高分子分散剤の吸着を促進させる効果を有する。
【0119】
また、顔料誘導体を有機溶剤中に分散することによっても、顔料の分散安定性を向上させることができる。
ここで、用いる高分子分散剤は、例えば、顔料吸着性基や溶剤との親和性基などを含む化合物と、共重合成分として他のラジカル重合性化合物と用い、通常のラジカル重合法によって製造することができる。一般的には、懸濁重合法あるいは溶液重合法などを用いる。このような特定重合体を合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独あるいは2種以上混合してもよい。
該ラジカル重合の際、ラジカル重合開始剤を使用することができ、また、さらに連鎖移動剤(例、2−メルカプトエタノールおよびドデシルメルカプタン)を使用することができる。
顔料分散組成物中、高分子分散剤の含有量としては質量比で、顔料:高分子分散剤=1:0.1〜1:2が好ましく、より好ましくは、1:0.2〜1:1であり、さらに好ましくは、1:0.4〜1:0.7である。
【0120】
−ブロック型高分子−
前記ブロック型高分子としては、特に限定されないが、顔料吸着ブロックと、顔料に吸着しないブロックとからなるブロック型高分子が挙げられる。
顔料吸着ブロックを構成する単量体としては、特に制限されないが、例えば、顔料に吸着し得る官能基を有するモノマーが挙げられる。具体的には、有機色素構造あるいは複素環構造を有するモノマー、酸性基を有するモノマー、塩基性窒素原子を有するモノマーなどを挙げることができる。
【0121】
有機色素構造あるいは複素環構造を有するモノマーとしては、例えば、フタロシアニン系、不溶性アゾ系、アゾレーキ系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、アントラピリジン系、アンサンスロン系、インダンスロン系、フラバンスロン系、ペリノン系、ペリレン系、チオインジゴ系の色素構造や、例えば、チオフェン、フラン、キサンテン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、ジオキソラン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、ジオキサン、モルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、トリアジン、トリチアン、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンゾチアゾール、コハクイミド、フタルイミド、ナフタルイミド、ヒダントイン、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、アントラキノン等の複素環構造を有するモノマーを挙げることができる。より具体的には、特に制限されないが、以下の一般式(1)で表される構造のモノマーを挙げることができる。
【0122】
【化34】

【0123】
前記一般式(1)中、Rは、水素原子、または、置換もしくは無置換のアルキル基を表す。アルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜4が特に好ましい。好ましいアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル基 等が挙げられる。
は、単結合、または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、ヘテロ原子を介していてもよい炭素数1〜12の置換もしくは無置換のアルキレン基を表し、炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜4が特に好ましい。好ましいアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基があげられる。Rで表される2価の連結基は前記アルキレン基がさらに−O−、−S−、−C(=O)O−、−CONH−、−C(=O)S−、−NHCONH−、−NHC(=O)O−、−NHC(=O)S−、−OC(=O)−、−OCONH−、および−NHCO−から選ばれるいずれか1つを介して連結して形成されていてもよい。
前記一般式(1)中、Yは、−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−、又はフェニレン基を表す。
【0124】
前記一般式(1)中、Zは、含窒素複素環構造を表し、具体的には、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、キノリン環、アクリジン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、アクリドン環、アントラキノン環、ベンズイミダゾール構造、ベンズトリアゾール構造、ベンズチアゾール構造、環状アミド構造、環状ウレア構造、および環状イミド構造を有するものが挙げられる。
Zで示される複素環構造としては、炭素数6以上の含窒素複素環構造が好ましく、炭素数6以上12以下の含窒素縮合環が特に好ましい。具体的にはフェノチアジン環、フェノキサジン環、アクリドン環、アントラキノン環、ベンズイミダゾール構造、ベンズトリアゾール構造、ベンズチアゾール構造、環状アミド構造、環状ウレア構造、および環状イミド構造が好ましく、下記一般式(2)、(3)または(4)であらわされる構造であることが特に好ましい。
【0125】
【化35】

【0126】
前記一般式(2)中、Xは、単結合、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基など)、−O−、−S−、−NR−、及び、−C(=O)−からなる群より選ばれるいずれか1つである。なお、ここでRは、水素原子またはアルキル基を表し、Rがアルキル基を表す場合のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクタデシル基などが挙げられる。
これらのうち、Xは、単結合、メチレン基、−O−、−C(=O)−が好ましく、−C(=O)−が特に好ましい。
【0127】
前記一般式(4)中、YおよびZは、各々独立に、N、NH、NR、S、またはOを表す。Rは、アルキル基を表し、Rとして表されるアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクタデシル基などが挙げられる。
これらのうち、YおよびZは、各々独立に、N、NH、又はNRが特に好ましい。
【0128】
前記一般式(2)、(3)、(4)中、環A、環B、環C、環Dは、それぞれ独立に芳香環を表す。該芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、インデン環、アズレン環、フルオレン環、アントラセン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピロール環、イミダゾール環、インドール環、キノリン環、アクリジン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、アクリドン環、アントラキノン環等が挙げられ、なかでも、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、フェノキサジン環、アクリジン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、アクリドン環、アントラキノン環が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環が特に好ましい。
【0129】
前記顔料分散剤を構成する単量体として、前記一般式(1)で表される単量体の好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0130】
【化36】

【0131】
【化37】

【0132】
【化38】

【0133】
【化39】

【0134】
上記単量体は、2種以上を併用して共重合してもよい。
これら一般式(1)で表される単量体の全共重合体における含有量は、特に制限はないが、重合体の全構造を100質量%とした場合に、前記一般式(1)で表される構造単位を5質量%以上含有することが好ましく、10〜50質量%含有することが好ましい。
5質量%以上あれば、分散性、分散安定性、コントラストの低下を防止し、50質量%以内であれば現像性の低下を抑制することができる。
本発明に用いられる顔料分散剤は、前記一般式(1)で表される単量体に加え、さらに、末端にエチレン性不飽和2重結合を有する重合性オリゴマーを共重合単位として含むグラフト共重合体であることが特に好ましい。
このような末端にエチレン性不飽和二重結合を有する重合性オリゴマーは、所定の分子量を有する化合物であることからマクロモノマーとも呼ばれる。
【0135】
本発明において所望により用いられる重合性オリゴマーは、ポリマー鎖部分とその末端のエチレン性不飽和二重結合を有する重合可能な官能基の部分からなる。このようなエチレン性不飽和二重結合を有する基は、ポリマー鎖の一方の末端にのみ有することが、所望のグラフト重合体を得るという観点から好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有する基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基が好ましく、特に(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0136】
また、このマクロモノマーは、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1000〜10000の範囲にあることが好ましく、特に、2000〜9000の範囲が好ましい。
1000未満では、分散性、分散安定性、コントラストが低く、10000を超えると現像性が低下する。
上記ポリマー鎖の部分は、アルキル(メタ)アクリレート、スチレンおよびその誘導体、アクリロニトリル、酢酸ビニル及びブタジエン、からなる群より選ばれる少なくとも一種のモノマーから形成される単独重合体あるいは共重合体、あるいはポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリカプロラクトンであることが一般的である。
【0137】
グラフト型高分子については、特に制限されないが、特開昭54−37082号公報、特開昭61−174939号公報などに記載のポリアルキレンイミンとポリエステル化合物を反応させた化合物、特開平9−169821号公報に記載のポリアリルアミンの側鎖のアミノ基をポリエステルで修飾した化合物、特開昭60−166318号公報に記載のポリエステルポリオール付加ポリウレタン等が好適に挙げられ、更に、特開平9−171253号公報や、マクロモノマーの化学と工業(アイピーシー出版部、1989年)などにあるように、重合性オリゴマー(以下、マクロモノマーと称する)を共重合成分とするグラフト型高分子も好適に挙げることができる。
【0138】
グラフト型高分子の枝部は、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリカプロラクトン等が好適に挙げられるが、下記一般式(5)で表される構成単位を枝部に少なくとも有するグラフト型高分子がより好ましい。
【0139】
【化40】

【0140】
一般式(5)中、R74は、水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、Qは、シアノ基、炭素原子数6〜30のアリール基、または、−COOR75(ここで、R75は、水素原子、炭素原子数1〜22のアルキル基、または炭素原子数6〜30のアリール基を表す)を表す。
【0141】
一般式(5)中、R74で表されるアルキル基は置換基を有していてもよく、炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。アルキル基の置換基としてはハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、等が挙げられる。
このようなアルキル基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、ヘキシル基、オクチル基、トリフルオロメチル基、カルボキシメチル基、メトキシカルボニルメチル基などが挙げられる。中でも、水素原子またはメチル基が好ましい。
【0142】
一般式(5)中、Qで表されるアリール基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数6〜20のアリール基が好ましく、特に炭素原子数6〜12のアリール基が好ましい。アリール基の置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
このようなアリール基の具体的な例としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、等が挙げられる。このようなアリール基のうち、無置換アリール基、又は、ハロゲン原子、アルキル基、若しくはアルコキシ基で置換されたアリール基が好ましく、特に無置換アリール基、又は、アルキル基で置換されたアリール基が好ましい。
【0143】
一般式(5)のQで表される−COOR75中の、R75で表されるアルキル基は置換基を有していてもよく、炭素原子数1〜12のアルキル基が好ましく、特に炭素原子数1〜8のアルキル基が好ましい。アルキル基の置換基としてはハロゲン原子、アルケニル基、アリール基、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基等が挙げられる。
このようなアルキル基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、2−ブロモプロピル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、ビシクロ〔3.2.1〕オクト−2−イル基、1−アダマンチル基、ジメチルアミノプロピル基、アセチルアミノエチル基、N,N−ジブチルアミノカルバモイルメチル基などが挙げられる。このようなアルキル基のうち、無置換アルキル基、又は、ハロゲン原子、アリール基、若しくは水酸基で置換されたアルキル基が好ましく、特に無置換アルキル基が好ましい。
【0144】
一般式(5)のQで表される−COOR75中の、R75で表されるアリール基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数6〜20のアリール基が好ましく、特に炭素原子数6〜12のアリール基が好ましい。アリール基の置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基等が挙げられる。このようなアリール基の具体的な例としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基、等が挙げられる。このようなアリール基のうち、無置換アリール基、又は、ハロゲン原子、アルキル基、若しくはアルコキシ基で置換されたアリール基が好ましく、特にアルキル基で置換されたアリール基が好ましい。中でも、水素原子、または炭素原子数1〜22のアルキル基が好ましく、特に、水素原子または炭素原子数1〜12のアルキル基が好ましい。
【0145】
このような一般式(5)で表される構成単位を枝部に少なくとも有するグラフト型高分子の枝部の具体的な例としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリ−i−ブチル(メタ)アクリレート、ポリ(メチル(メタ)アクリレート−co−ベンジル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチル(メタ)アクリレート−co−スチレン)、ポリ(メチル(メタ)アクリレート−co−(メタ)アクリル酸)、ポリ(メチル(メタ)アクリレート−co−アクリロニトリル)などが挙げられる。
【0146】
一般式(5)で表される構成単位を枝部に少なくとも有するグラフト型高分子の合成には、公知のいずれの方法を用いてもよい。
具体的には、一般式(5)で表される構成単位を少なくとも有するマクロモノマーと、該マクロモノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーと、の共重合が挙げられる。
【0147】
一般式(5)で表される構成単位を少なくとも有するマクロモノマーのうち、好ましいものは下記一般式(6)で表されるものである。
【0148】
【化41】

【0149】
一般式(6)中、R76は、水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表す。Wは、単結合または、下記原子団群から選ばれる単独の連結基もしくは任意の組合せで構成される連結基を表す。Aは、前記一般式(5)で表される構成単位を少なくとも有する基を表す。
【0150】
【化42】

【0151】
上記原子団群中、ZおよびZは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、シアノ基、またはヒドロキシ基を表し、Zは、水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、または炭素原子数6〜20のアリール基を表す。
このような一般式(6)で表されるマクロモノマーの具体例を以下に示す。
【0152】
【化43】

【0153】
上記一般式(6)の具体例中、Aは、前記一般式(6)におけるAと同義である。
市販品として入手できるこのようなマクロモノマーとしては、片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー(Mn=6000、商品名:AA−6、東亜合成化学工業(株)製)及び片末端メタクリロイル化ポリ−n−ブチルアクリレートオリゴマー(Mn=6000、商品名:AB−6、東亜合成化学工業(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー(Mn=6000、商品名:AS−6、東亜合成化学工業(株)製)を挙げることができる。
【0154】
上記マクロモノマーの分子量としては、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1,000〜20,000であるのが好ましく、2,000〜15,000であるのがより好ましい。上記数平均分子量が上記範囲内であると、顔料分散剤としての立体反発効果をより効果的に得ることができる。これら公知の分散剤は、本発明に係る重合体に対し、10〜100質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0155】
上記に記載したマクロモノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとしては、顔料の分散性、分散安定性を向上させるために、前記「顔料吸着ブロックを構成する単量体」を用いることが好ましい。また、その他の共重合成分として、「顔料に吸着しないブロックを構成する単量体」が挙げられる。
「顔料に吸着しないブロックを構成する単量体」としては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、オレフィン類、マレイミド類、(メタ)アクリロニトリルなどを挙げることができる。これらの単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。アルカリ現像処理が必要な光硬化性組成物に適用する場合には、上記の顔料に吸着しないブロックを構成する単量体と、酸性基を有するビニルモノマーを併用してもよい。
【0156】
上記グラフト型高分子の重量平均分子量は、特に制限されないが、好ましくは3,000〜100,000の範囲とすることが好ましく、5,000〜50,000の範囲がより好ましい。重量平均分子量が3,000以上であると、安定化効果をより効果的に得ることができ、また、重量平均分子量が100,000以下であると、より効果的に吸着して良好な分散性を発揮することができる。
【0157】
市場で入手できるこのような重合性オリゴマーとしては、ルーブリゾール社製「ソルスパース24000、28000、32000、38500、39000、55000」、BYK Chemie社製「Disperbyk−161、171、174」等が挙げられる。片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー(Mn=6000、商品名:AS−6、東亜合成化学工業(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー(Mn=6000、商品名:AA−6、東亜合成化学工業(株)製)及び片末端メタクリロイル化ポリ−n−ブチルアクリレートオリゴマー(Mn=6000、商品名:AB−6、東亜合成化学工業(株)製)を挙げることができる。
【0158】
本発明に用いられる顔料分散剤はさらに、酸基を有する単量体(構造単位)を共重合成分として含むことが好ましい。
酸基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸またはその無水物類;3価以上の不飽和多価カルボン酸またはその無水物類;こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、こはく酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)等の2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル類;ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノメタクリレート等の両末端カルボキシポリマーのモノ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。また、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの無水物含有モノマーを用いてもよい。なおこれらの内では、共重合性やコスト、溶解性などの観点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
【0159】
また、スルホン酸基を有するビニルモノマーとして、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられ、リン酸基を有するビニルモノマーとして、リン酸モノ(2−アクリロイルオキシエチルエステル)、リン酸モノ(1−メチル−2−アクリロイルオキシエチルエステル)などが挙げられる。
本発明に用いられる顔料分散剤には、これらの酸基を有する単量体を1種あるいは2種以上用いることができ、上記の酸基を有する単量体の総酸価は、10〜200mgKOH/gであることが好ましく、特に好ましくは50〜150mgKOH/gである。10mgKOH/g以上あれば現像性が良く、200mgKOH/g以内であれば分散性、分散安定性が良い。
【0160】
塩基性窒素原子を有するモノマーとして、複素環を有するモノマーとして、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾールなどが挙げられ、(メタ)アクリル酸エステルとして、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸1−(N,N−ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルメチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノヘキシル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジイソプロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−n−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−i−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モルホリノエチル、(メタ)アクリル酸ピペリジノエチル、(メタ)アクリル酸1−ピロリジノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−メチル−2−ピロリジルアミノエチル及び(メタ)アクリル酸N,N−メチルフェニルアミノエチルなどが挙げられ、(メタ)アクリルアミド類として、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、1−(N,N−ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルメチル(メタ)アクリルアミド及び6−(N,N−ジエチルアミノ)ヘキシル(メタ)アクリルアミド、モルホリノ(メタ)アクリルアミド、ピペリジノ(メタ)アクリルアミド、N−メチル−2−ピロリジル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、スチレン類として、N,N−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレン等が挙げられる。
【0161】
また、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、水酸基を有するモノマーを用いることも可能である。具体的には、例えば、以下の構造のモノマーを挙げることができる。
【0162】
【化44】

【0163】
顔料分散剤は、その効果を損なわない範囲において、さらに共重合可能なビニルモノマーを共重合成分として含んでいてもよい。
ここで使用可能なビニルモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリルなどが好ましい。このようなビニルモノマーの具体例としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。
【0164】
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチルなどが挙げられる。
なお、本明細書において「アクリル、メタクリル」のいずれか或いは双方を示す場合「(メタ)アクリル」と記載することがある。
【0165】
クロトン酸エステル類の例としては、クロトン酸ブチル、及びクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどが挙げられる。
マレイン酸ジエステル類の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0166】
フマル酸ジエステル類の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステル類の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及びイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0167】
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
【0168】
スチレン類の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及びα−メチルスチレンなどが挙げられる。
ビニルエーテル類の例としては、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、及びメトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
ビニルケトン類の例としては、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどが挙げられる。
オレフィン類の例としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。
マレイミド類の例としては、マレイミド、ブチルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミドなどが挙げられる。
(メタ)アクリロニトリルの例としては、メタクリロニトリル、アクリロニトリルなどが挙げられる。
【0169】
前記酸性基を有するビニルモノマーの例としては、カルボキシル基を有するビニルモノマーやスルホン酸基を有するビニルモノマーが挙げられる。
【0170】
本発明に用いられる顔料分散剤の好ましい分子量は、優れた固体表面への吸着性、分散安定性、界面活性性の点で、重量平均分子量(Mw)で、800〜100,000の範囲、数平均分子量(Mn)で400〜50,000の範囲であることが好ましい。より好ましくは、重量平均分子量(Mw)で900〜80,000の範囲、数平均分子量(Mn)で600〜30,000の範囲である。特に好ましくは、重量平均分子量(Mw)で1,000〜60,000の範囲、数平均分子量(Mn)で800〜12,000の範囲であることが最も好ましい。
【0171】
また、前記高分子分散剤で被覆処理された加工顔料を用いる場合、該加工顔料と顔料分散剤の比率(加工顔料/顔料分散剤)は、特に制限されないが、顔料分散剤が高分子分散剤である場合は、10/90〜90/10質量比が好ましく、特に20/80〜80/20質量比が好ましい。平均分子量1,000以上の高分子化合物、グラフト型高分子、末端変性型高分子が好ましく、中でも有機色素構造あるいは複素環構造を有する単量体に由来する共重合単位を含有するグラフト型高分子、末端基として有機色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、またはウレタン基を有する末端変性型高分子が特に好ましい。
顔料分散剤の添加量は、顔料分散剤が高分子分散剤の場合は、顔料に対して、0.5〜100質量%となるように添加することが好ましく、3〜100質量%がより好ましく、5〜80質量%が特に好ましい。顔料分散剤の量が前記範囲内であると、十分な顔料分散効果が得られる。ただし、顔料分散剤の最適な添加量は、使用する顔料の種類、溶剤の種類などの組み合わせ等により適宜調整される。
【0172】
顔料分散剤の顔料分散組成物中における含有量としては、前記顔料の質量に対して、0.5〜100質量%が好ましく、3〜70質量%がより好ましい。顔料分散剤の量が前記範囲内であると、十分な顔料分散効果が得られる。なお、顔料分散剤を100質量部より多く加えても、顔料分散効果の更なる向上効果は期待できないことがある。
【0173】
顔料分散組成物の調製に用いられる溶剤としては、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。また、溶剤の添加量は顔料分散組成物の用途などに応じて適宜選択されるが、着色硬化性組成物の調製に用いる場合には、取り扱い性の観点から、顔料及び顔料分散剤を含む固形分濃度が5〜50質量%となるように添加することができる。
【0174】
顔料分散組成物の調製は、特に制限されないが、例えば、顔料と顔料分散剤と溶剤とで、縦型もしくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を用いて、0.01〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズで微分散処理を行なうことにより得ることができる。
また、ビーズ分散を行なう前に、二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸もしくは2軸の押出機等を用いて、強い剪断力を与えながら混練分散処理を行なうことも可能である。
なお、混練、分散についての詳細は、T.C. Patton著「Paint Flow and Pigment Dispersion「(1964年 John Wiley and Sons社刊)等に記載されている。本発明の顔料分散物は、カラーフィルタの製造に用いられる着色感光性組成物に好適に用いられる。
【0175】
<着色硬化性組成物>
本発明の着色硬化性組成物は、本発明の顔料分散組成物の少なくとも一種を用いて構成される。
本発明の着色硬化性組成物中における顔料分散組成物の含有量としては、着色硬化性組成物の全固形分(質量)に対して、顔料の含有量が5〜70質量%の範囲となる量が好ましく、15〜60質量%の範囲となる量がより好ましい。顔料分散組成物の含有量が前記範囲内であると、色濃度が充分で優れた色特性を確保するのに有効である。
【0176】
本発明の着色硬化性組成物は、既述の顔料と、溶剤と、α−ヘテロメタクリロイル化合物を含有する本発明の顔料分散組成物のほかに、光重合性化合物と、光重合開始剤とをさらに含むことが好ましく、必要に応じて、アルカリ可溶性樹脂等の他の添加物を含んでいてもよい。
【0177】
−光重合性化合物−
本発明の着色硬化性組成物は、前記α−ヘテロメタクリロイル化合物を用いることで着色硬化性組成物を硬化させることができるが、さらに光重合性化合物の少なくとも一種を含有することが好ましい。本発明に用いることができる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物およびそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシ基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
【0178】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート等がある。
【0179】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0180】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
【0181】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0182】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
【0183】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(11)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0184】
CH=C(R84)COOCHCH(R85)OH 一般式(11)
(ただし、R84及びR85は、H又はCHを示す。)
【0185】
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
【0186】
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0187】
これらの光重合性化合物(付加重合性化合物)について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な感材の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、着色硬化性組成物中の他の成分(例えばバインダーポリマー、開始剤、着色剤(顔料、染料等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、基板や後述のオーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
【0188】
光重合性化合物は、着色硬化性組成物中の不揮発性成分に対して、好ましくは5〜70質量%、更に好ましくは10〜60質量%の範囲で使用される。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、光重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択できる。
【0189】
−光重合開始剤−
光重合開始剤としては、例えば、特開平57−6096号公報に記載のハロメチルオキサジアゾール、特公昭59−1281号公報、特開昭53−133428号公報等に記載のハロメチル−s−トリアジン等活性ハロゲン化合物、米国特許USP−4318791、欧州特許公開EP−88050A等の各明細書に記載のケタール、アセタール、又はベンゾインアルキルエーテル類等の芳香族カルボニル化合物、米国特許USP−4199420明細書に記載のベンゾフェノン類等の芳香族ケトン化合物、Fr−2456741明細書に記載の(チオ)キサントン系又はアクリジン系化合物、特開平10−62986号公報に記載のクマリン系又はビイミダゾール系の化合物、特開平8−015521号公報等のスルホニウム有機硼素錯体等、等を挙げることができる。
【0190】
前記光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ケタール系、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾイル系、キサントン系、活性ハロゲン化合物(トリアジン系、ハロメチルオキサジアゾール系、クマリン系)、アクリジン類系、ビイミダゾール系、オキシムエステル系等が好ましい。
【0191】
前記アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−トリル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1などを好適に挙げることができる。
【0192】
前記ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタールなどを好適に挙げることができる。
【0193】
前記ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4’−(ビスジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−(ビスジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、を好適に挙げることができる。
【0194】
前記ベンゾイン系又はベンゾイル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインイソプロピルエーテル、ゼンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、メチルo−ベンゾイルベゾエート等を好適に挙げることができる。
【0195】
前記キサントン系光重合開始剤としては、例えば、ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、モノイソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、等を好適に挙げることができる。
【0196】
前記活性ハロゲン光重合開始剤(トリアジン系,オキサジアゾール系,クマリン系)としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ビフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メチルビフェニル)−s−トリアジン、p−ヒドロキシエトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル−s−トリアジン、3,4−ジメトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−ベンズオキソラン−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N,N−(ジエトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−2,6−ジ(クロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N,N−(ジエトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−2,6−ジ(クロロメチル)−s−トリアジン,2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(シアノスチリル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(ナフト−1−イル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−スチリル)スチリル−1,3,4−オキソジアゾール,3−メチル−5−アミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−クロロ−5−ジエチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−ブチル−5−ジメチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン等を好適に挙げることができる。
【0197】
前記アクリジン系光重合開始剤としては、例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン等を好適に挙げることができる。
【0198】
前記ビイミダゾール系光重合開始剤としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体等を好適に挙げることができる。
【0199】
上記以外に、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、O−ベンゾイル−4’−(ベンズメルカプト)ベンゾイル−ヘキシル−ケトキシム、2,4,6−トリメチルフェニルカルボニル−ジフェニルフォスフォニルオキサイド、ヘキサフルオロフォスフォロ−トリアルキルフェニルホスホニウム塩等が挙げられる。
【0200】
本発明では、以上の光重合開始剤に限定されるものではなく、他の公知のものも使用することができる。例えば、米国特許第2,367,660号明細書に記載のビシナールポリケトルアルドニル化合物、米国特許第2,367,661号及び第2,367,670号明細書に記載のα−カルボニル化合物、米国特許第2,448,828号明細書に記載のアシロインエーテル、米国特許第2,722,512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3,046,127号及び第2,951,758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3,549,367号明細書に記載のトリアリルイミダゾールダイマー/p−アミノフェニルケトンの組合せ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール系化合物/トリハロメチール−s−トリアジン系化合物、J.C.S. Perkin II(1979)1653−1660、J.C.S.PerkinII(1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報記載のオキシムエステル化合物等が挙げられる。
また、これらの光重合開始剤を併用することもできる。
【0201】
光重合開始剤の光硬化性組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、0.1〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5.0質量%である。光重合開始剤の含有量が前記範囲内であると、重合反応を良好に進行させて強度の良好な膜形成が可能である。
【0202】
−増感色素−
本発明において必要に応じて増感色素を添加することが好ましい。この増感色素が吸収しうる波長の露光により上記重合開始剤成分のラジカル発生反応や、それによる重合性化合物の重合反応が促進されるものである。このような増感色素としては、公知の分光増感色素又は染料、又は光を吸収して光重合開始剤と相互作用する染料又は顔料が挙げられる。
【0203】
(分光増感色素又は染料)
本発明に用いられる増感色素として好ましい分光増感色素又は染料は、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、フタロシアニン類(例えば、フタロシアニン、メタルフタロシアニン)、ポルフィリン類(例えば、テトラフェニルポルフィリン、中心金属置換ポルフィリン)、クロロフィル類(例えば、クロロフィル、クロロフィリン、中心金属置換クロロフィル)、金属錯体(例えば、下記化合物)、アントラキノン類、(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、等が挙げられる。
【0204】
【化45】

【0205】
より好ましい分光増感色素又は染料の例を以下に例示する。
特公平37−13034号公報に記載のスチリル系色素;特開昭62−143044号公報に記載の陽イオン染料;特公昭59−24147号公報記載のキノキサリニウム塩;特開昭64−33104号公報記載の新メチレンブルー化合物;特開昭64−56767号公報記載のアントラキノン類;特開平2−1714号公報記載のベンゾキサンテン染料;特開平2−226148号公報及び特開平2−226149号公報記載のアクリジン類;特公昭40−28499号公報記載のピリリウム塩類;特公昭46−42363号公報記載のシアニン類;特開平2−63053号記載のベンゾフラン色素;特開平2−85858号公報、特開平2−216154号公報の共役ケトン色素;特開昭57−10605号公報記載の色素;特公平2−30321号公報記載のアゾシンナミリデン誘導体;特開平1−287105号公報記載のシアニン系色素;特開昭62−31844号公報、特開昭62−31848号公報、特開昭62−143043号公報記載のキサンテン系色素;特公昭59−28325号公報記載のアミノスチリルケトン;特開平2−179643号公報記載の色素;特開平2−244050号公報記載のメロシアニン色素;特公昭59−28326号公報記載のメロシアニン色素;特開昭59−89303号公報記載のメロシアニン色素;特開平8−129257号公報記載のメロシアニン色素;特開平8−334897号公報記載のベンゾピラン系色素が挙げられる。
【0206】
(350〜450nmに極大吸収波長を有する色素)
増感色素の他の好ましい態様として、以下の化合物群に属しており、且つ、350〜450nmに極大吸収波長を有する色素が挙げられる。
例えば、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)が挙げられる。
【0207】
更に好ましい増感色素の例としては、下記一般式(XIV)〜(XVIII)で表される化合物が挙げられる。
【0208】
【化46】

【0209】
(一般式(XIV)中、Aは硫黄原子又はNR50を表し、R50はアルキル基又はアリール基を表し、Lは隣接するA及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R51、R52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。)
以下に、一般式(XIV)で表される化合物の好ましい具体例〔(F−1)〜(F−5)〕を示す。
【0210】
【化47】

【0211】
【化48】

【0212】
(一般式(XV)中、Ar及びArはそれぞれ独立にアリール基を表し、−L−による結合を介して連結している。ここでLは−O−又は−S−を表す。また、Wは一般式(XIV)に示したものと同義である。)
一般式(XV)で表される化合物の好ましい例としては、以下のもの〔(F−6)〜(F−8)〕が挙げられる。
【0213】
【化49】

【0214】
【化50】

【0215】
(一般式(XVI)中、Aは硫黄原子又はNR59を表し、Lは隣接するA及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基又はアリール基を表す。)
一般式(XVI)で表される化合物の好ましい例としては、以下のもの〔(F−9)〜(F−11)〕が挙げられる。
【0216】
【化51】

【0217】
【化52】

【0218】
(一般式(XVII)中、A、Aはそれぞれ独立に−S−、又は−NR63を表し、R63は置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L、Lはそれぞれ独立に、隣接するA、A及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R61、R62はそれぞれ独立に一価の非金属原子団であるか又は互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。)
一般式(XVII)で表される化合物の好ましい例としては、以下のもの〔(F−12)〜(F−15)〕が挙げられる。
【0219】
【化53】

【0220】
また、そのほかに、本発明に用いられる好適な増感色素として、下記式(XVIII)で表されるものが挙げられる。
【0221】
【化54】

【0222】
(一般式(XVIII)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子ないし−N(R)−を表し、Yは酸素原子又は−N(R)−を表す。R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は、一価の非金属原子団を表し、AとR、R、Rとは、それぞれ互いに結合して、脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。)
【0223】
ここで、R、R、Rが一価の非金属原子団をあらわすとき、好ましくは、置換若しくは無置換のアルキル基又はアリール基を表す。
次に、R、R、Rの好ましい例について具体的に述べる。好ましいアルキル基の例としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、及び環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
【0224】
置換アルキル基の置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団の基が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N−アルキルウレイド基、N,N−ジアルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N,N−ジアリールウレイド基、N−アルキル−N−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N−アルキル−N−アルキルウレイド基、N−アルキル−N−アリールウレイド基、N,N−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N,N−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N−アリール−N−アルキルウレイド基、N−アリール−N−アリールウレイド基、N,N−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N,N−ジアリール−N−アリールウレイド基、N−アルキル−N−アリール−N−アルキルウレイド基、N−アルキル−N−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO H)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基(以下、ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO2)及びその共役塩基基(以後、ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、これらは更に置換基を有していてもよい。
【0225】
また、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基等を挙げることができる。
【0226】
ヘテロアリール基としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環、又は多環芳香族環から誘導される基が用いられ、特に好ましいヘテロアリール基中のヘテロアリール環の例としては、例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フェノキサジン、フラザン、フェノキサジン等が挙げられ、これらは、更にベンゾ縮環してもよく、また置換基を有していてもよい。
【0227】
また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基、等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(GCO−)におけるGとしては、水素、並びに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。これら置換基のうち、更により好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスホナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスホナト基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基、アリール基、アルケニル基、アルキリデン基(メチレン基等)が挙げられる。
【0228】
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
【0229】
上記置換基とアルキレン基を組み合わせることにより得られるR、R、又はRとして好ましい置換アルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトプロピル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、等を挙げることができる。
【0230】
、R、又はRとして好ましいアリール基の具体例としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
【0231】
、R、又はRとして好ましい置換アリール基の具体例としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、(水素原子以外の)1価の非金属原子団の基を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、並びに、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。このような、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリルフェニル基、1−プロペニルメチルフェニル基、2−ブテニルフェニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基、等を挙げることができる。
【0232】
なお、R及びRの更に好ましい例としては、置換若しくは無置換のアルキル基が挙げられる。また、Rの更に好ましい例としては、置換若しくは無置換のアリール基が挙げられる。その理由は定かではないが、このような置換基を有することで、光吸収により生じる電子励起状態と開始剤化合物との相互作用が特に大きくなり、開始剤化合物のラジカル、酸又は塩基を発生させる効率が向上するためと推定される。
【0233】
次に、一般式(XVIII)におけるAについて説明する。Aは置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環の具体例としては、一般式(XVIII)におけるR、R、又はRについての前述の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
中でも、好ましいAとしては、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノ基を有するアリール基が挙げられ、特に好ましいAとしてはアミノ基を有するアリール基が挙げられる。
【0234】
次に、式(XVIII)におけるYについて説明する。Yは上述のA及び隣接炭素原子と共同して、複素環を形成するのに必要な非金属原子団を表す。このような複素環としては縮合環を有していてもよい5、6、7員の含窒素、或いは含硫黄複素環が挙げられ、好ましくは5、6員の複素環がよい。
【0235】
含窒素複素環の例としては例えば、L.G.Brookerら著、ジャーナル オブ アメリカンケミカル ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)第73巻(1951年)、p.5326−5358及び参考文献に記載されるメロシアニン色素類における塩基性核を構成するものとして知られるものをいずれも好適に用いることができる。
具体例としては、チアゾール類(例えば、チアゾール、4−メチルチアゾール、4−フェニルチアゾール、5−メチルチアゾール、5−フェニルチアゾール、4,5−ジメチルチアゾール、4,5−ジフェニルチアゾール、4,5−ジ(p−メトキシフェニルチアゾール)、4−(2−チエニル)チアゾール、4,5−ジ(2−フリル)チアゾール等)、ベンゾチアゾール類(例えば、ベンゾチアゾール、4−クロロベンゾチアゾール、5−クロロベンゾチアゾール、6−クロロベンゾチアゾール、7−クロロベンゾチアゾール、4−メチルベンゾチアゾール、5−メチルベンゾチアゾール、6−メチルベンゾチアゾール、5−ブロモベンゾチアゾール、4−フェニルベンゾチアゾール、5−フェニルベンゾチアゾール、4−メトキシベンゾチアゾール、5−メトキシベンゾチアゾール、6−メトキシベンゾチアゾール、5−ヨードベンゾチアゾール、6−ヨードベンゾチアゾール、4−エトキシベンゾチアゾール、5−エトキシベンゾチアゾール、テトラヒドロベンゾチアゾール、5,6−ジメトキシベンゾチアゾール、5,6−ジオキシメチレンベンゾチアゾール、5−ヒドロキシベンゾチアゾール、6−ヒドロキシベンゾチアゾール、6ージメチルアミノベンゾチアゾール、5−エトキシカルボニルベンゾチアゾール、等)、ナフトチアゾール類(例えば、ナフト[1,2]チアゾール、ナフト[2,1]チアゾール、5−メトキシナフト[2,1]チアゾール、5−エトキシナフト[2,1]チアゾール、8−メトキシナフト[1,2]チアゾール、7−メトキシナフト[1,2]チアゾール、等)、チアナフテノ−7,6,4,5−チアゾール類(例えば、4−メトキシチアナフテノ−7,6,4,5−チアゾール、等)、オキサゾール類(例えば、4−メチルオキサゾール、5−メチルオキサゾール、4−フェニルオキサゾール、4,5−ジフェニルオキサゾール、4−エチルオキサゾール、4,5−ジメチルオキサゾール、5−フェニルオキサゾール等)、ベンゾオキサゾール類(ベンゾオキサゾール、5−クロロベンゾオキサゾール、5ーメチルベンゾオキサゾール、5−フェニルベンゾオキサゾール、6−メチルベンゾオキサゾール、5,6−ジメチルベンゾオキサゾール、4,6−ジメチルベンゾオキサゾール、6−メトキシベンゾオキサゾール、5−メトキシベンゾオキサゾール、4−エトキシベンゾオキサゾール、5−クロロベンゾオキサゾール、6ーメトキシベンゾオキサゾール、5−ヒドロキシベンゾオキサゾール、6−ヒドロキシベンゾオキサゾール、等)、
【0236】
ナフトオキサゾール類(例えば、ナフト[1,2]オキサゾール、ナフト[2,1]オキサゾール、等)、セレナゾール類(例えば、4−メチルセレナゾール、4−フェニルセレナゾール、等)、ベンゾセレナゾール類(例えば、ベンゾセレナゾール、5−クロロベンゾセレナゾール、5−メトキシベンゾセレナゾール、5−ヒドロキシベンゾセレナゾール、テトラヒドロベンゾセレナゾール、等)、ナフトセレナゾール類(例えば、ナフト[1,2]セレナゾール、ナフト[2,1]セレナゾール、等)、チアゾリン類(例えば、チアゾリン、4−メチルチアゾリン、4,5−ジメチルチアゾリン、4−フェニルチアゾリン、4,5−ジ(2−フリル)チアゾリン、4,5−ジフェニルチアゾリン、4,5−ジ(p−メトキシフェニル)チアゾリン等)、2−キノリン類(例えば、キノリン、3−メチルキノリン、5−メチルキノリン、7−メチルキノリン、8−メチルキノリン、6−クロロキノリン、8−クロロキノリン、6−メトキシキノリン、6−エトキシキノリン、6ーヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキノリン、等)、4−キノリン類(例えば、キノリン、6−メトキシキノリン、7−メチルキノリン、8−メチルキノリン、等)、1−イソキノリン類(例えば、イソキノリン、3,4−ジヒドロイソキノリン、等)、3−イソキノリン類(例えば、イソキノリン等)、ベンズイミダゾール類(例えば、1,3−ジメチルベンズイミダゾール、1,3−ジエチルベンズイミダゾール、1−エチル−3−フェニルベンズイミダゾール、等)、3,3−ジアルキルインドレニン類(例えば、3,3−ジメチルインドレニン、3,3,5−トリメチルインドレニン、3,3,7−トリメチルインドレニン、等)、2−ピリジン類(例えば、ピリジン、5−メチルピリジン、等)、4−ピリジン(例えば、ピリジン等)等を挙げることができる。また、これらの環の置換基同士が結合して環を形成していてもよい。
【0237】
また、含硫黄複素環の例としては、例えば、特開平3−296759号記載の色素類におけるジチオール部分構造を挙げることができる。
具体例としては、ベンゾジチオール類(例えば、ベンゾジチオール、5−t−ブチルベンゾジチオール、5−メチルベンゾジチオール、等)、ナフトジチオール類(例えば、ナフト[1,2]ジチオール、ナフト[2,1]ジチオール、等)、ジチオール類(例えば、4,5−ジメチルジチオール類、4−フェニルジチオール類、4−メトキシカルボニルジチオール類、4,5−ジメトキシカルボニルジチオール類、4,5−ジエトキシカルボニルジチオール類、4,5−ジトリフルオロメチルジチオール、4,5−ジシアノジチオール、4−メトキシカルボニルメチルジチオール、4−カルボキシメチルジチオール、等)等を挙げることができる。
【0238】
以上に述べた一般式(XVIII)における、Yが上述のA及び隣接する炭素原子と共同して形成する含窒素或いは含硫黄複素環の例のうち、下記一般式(XVIII-2)の部分構造式で表される構造を有する色素は、高い増感能を有する上、保存安定性にも非常に優れた感光性組成物を与えるため、特に好ましい。一般式(XVIII-2)で表される構造を有する色素は新規化合物として、特願2003−311253明細書に詳細に記載した化合物である。
【0239】
【化55】

【0240】
(一般式(XVIII-2)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子ないし−N(R)−を表す。R、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表し、AとR、R、R、Rは、それぞれ互いに結合して、脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。)
一般式(XVIII-2)中、A及びRは一般式(XVIII)におけるA及びRと同義であり、Rは一般式(XVIII)におけるRと、Rは一般式(XVIII)におけるRと、Rは一般式(XVIII)におけるRと、それぞれ同義である。
【0241】
次に本発明に用いられる一般式(XVIII)で表される化合物の好ましい態様である一般式(XVIII-3)で表される化合物について説明する。
【0242】
【化56】

【0243】
前記一般式(XVIII-3)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子ないし−N(R)−を表す。R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は、一価の非金属原子団であり、AとR、R、Rは、それぞれ互いに、脂肪族性又は芳香族性の環を形成するために結合することができる。Arは置換基を有する芳香族環又はヘテロ環を表す。但し、Ar骨格上の置換基は、そのハメット値の総和が0より大きいことを要する。ここでハメット値の総和が0より大きいとは、1つの置換基を有し、その置換基のハメット値が0より大きいものであってもよく、複数の置換基を有し、それらの置換基におけるハメット値の総和が0より大きいものであってもよい。
【0244】
一般式(XVIII-3)中、A及びRは一般式(XVIII)におけるものと同義であり、Rは一般式(XVIII)におけるRと、Rは一般式(XVIII)におけるRと同義である。また、Arは置換基を有する芳香族環又はヘテロ環を表し、具体例としては、先に一般式(XVIII)におけるAの説明に記載されたもののうち、置換基を有する芳香族環又はヘテロ環に係る具体例が同様に挙げられる。ただし、一般式(XVIII-3)におけるArに導入可能な置換基としては、ハメット値の総和が0以上であることが必須であり、そのような置換基の例としては、トリフルオロメチル基、カルボニル基、エステル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、スルホキシド基、アミド基、カルボキシル基等を挙げることができる。これら置換基のハメット値を以下に示す。トリフルオロメチル基(−CF、m:0.43、p:0.54)、カルボニル基(例えば−COHm:0.36、p:0.43)、エステル基(−COOCH、m:0.37、p:0.45)、ハロゲン原子(例えばCl、m:0.37、p:0.23)、シアノ基(−CN、m:0.56、p:0.66)、スルホキシド基(例えば−SOCH、m:0.52、p:0.45)、アミド基(例えば−NHCOCH、m:0.21、p:0.00)、カルボキシル基(−COOH、m:0.37、p:0.45)等が挙げられる。かっこ内は、その置換基のアリール骨格における導入位置と、そのハメット値を表し、(m:0.50)とは、当該置換基がメタ位に導入された時のハメット値が0.50であることを示す。このうち、Arの好ましい例としては置換基を有するフェニル基を挙げることができ、Ar骨格上の好ましい置換基としてはエステル基、シアノ基が挙げられる。置換の位置としてはAr骨格上のオルト位に位置していることが特に好ましい。
【0245】
以下に、本発明に係る一般式(XVIII)で表される増感色素の好ましい具体例〔例示化合物(F1)〜例示化合物(F56)〕を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0246】
【化57】

【0247】
【化58】

【0248】
【化59】

【0249】
【化60】

【0250】
【化61】

【0251】
【化62】

【0252】
【化63】

【0253】
【化64】

【0254】
本発明に適用可能な前記増感色素の中でも、前記一般式(XVIII)で表される化合物が、深部硬化性の観点から好ましい。
【0255】
上記の増感色素に関しては、本発明の感光性組成物の特性を改良する目的で、以下のような種々の化学修飾を行うことが可能である。例えば、増感色素と、付加重合性化合物構造(例えば、アクリロイル基やメタクリロイル基)とを、共有結合、イオン結合、水素結合等の方法により結合させることで、架橋硬化膜の高強度化や、架橋硬化膜からの色素の不要な析出抑制効果向上を得ることができる。
【0256】
増感色素の含有量は、本発明のカラーフィルタ用着色感光性組成物の全固形分に対し、0.01〜20質量%が好ましく、より好ましくは、0.01〜10質量%であり、更に好ましくは0.1〜5質量%である。
増感色素の含有量がこの範囲であることで、超高圧水銀灯の露光波長に対して高感度であり、膜深部硬化性が得られると共に、現像マージン、パターン形成性の点で好ましい。
【0257】
−他の添加物−
次に、上記以外の他の添加物について説明する。
〔アルカリ可溶性樹脂〕
本発明の着色硬化性組成物は、アルカリ可溶性樹脂の少なくとも一種を含有する事が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えばカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。このうち、更に好ましくは、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものである。
【0258】
アルカリ可溶性樹脂の製造には、例えば公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めるようにすることもできる。
【0259】
上記の線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましい。例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等が挙げられ、さらに側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体も好ましいものとして挙げられる。
【0260】
これらの中では特に、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体やベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好適である。
このほか、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルを共重合したもの等も有用なものとして挙げられる。該ポリマーは任意の量で混合して用いることができる。
【0261】
上記以外に、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
【0262】
アルカリ可溶性樹脂の具体的な構成単位については、特に(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体が好適である。
前記(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸アリール、ビニル化合物などが挙げられる。ここで、アルキル基及びアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
前記アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジルアクリレート、トリルアクリレート、ナフチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等を挙げることができる。
【0263】
また、前記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、CH=CR8182〔ここで、R81は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、R82は炭素数6〜10の芳香族炭化水素環を表す。〕、CH=C(R81)(COOR83)〔ここで、R81は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、R83は炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜12のアラルキル基を表す。〕、等を挙げることができる。
【0264】
これら共重合可能な他の単量体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましい共重合可能な他の単量体は、CH=CR8182、CH=C(R81)(COOR83)、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート及びスチレンから選択される少なくとも1種であり、特に好ましくは、CH=CR8182及び/又はCH=C(R81)(COOR83)である。これらの、R81、R82及びR83はそれぞれ前記したのと同義である。
【0265】
着色硬化性組成物中におけるアルカリ可溶性樹脂の含有量としては、該組成物の全固形分に対して、1〜20質量%が好ましく、より好ましくは2〜15質量%であり、特に好ましくは3〜12質量%である。
【0266】
〔その他成分〕
本発明の着色硬化性組成物には、必要に応じて、連鎖移動剤、フッ素系有機化合物、熱重合防止剤、着色剤、その他充填剤、上記の一般式(I)で表されるα−ヘテロメタクリロイル化合物又は顔料分散剤からなる高分子化合物およびアルカリ可溶性樹脂以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤などの各種添加物を含有することができる。
【0267】
〈連鎖移動剤〉
本発明の着色硬化性組成物に添加し得る連鎖移動剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどのN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどの複素環を有するメルカプト化合物、および脂肪族多官能メルカプト化合物などが挙げられる。
連鎖移動剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0268】
〈フッ素系有機化合物〉
フッ素系有機化合物を含有することで、塗布液としたときの液特性(特に流動性)を改善でき、塗布厚の均一性や省液性を改善することができる。すなわち、被塗布物と塗布液との界面張力を低下させて被塗布物への濡れ性が改善され、被塗布物への塗布性が向上するので、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成が可能である点で有効である。
【0269】
フッ素系有機化合物のフッ素含有率は3〜40質量%が好適であり、より好ましくは5〜30質量%であり、特に好ましくは7〜25質量%である。フッ素含有率が前記範囲内であると、塗布厚均一性や省液性の点で効果的であり、組成物中への溶解性も良好である。
【0270】
フッ素系界面活性剤としては、末端、主鎖および側鎖の少なくともいずれかの部位にフルオロアルキルまたはフルオロアルキレン基を有する化合物を好適に用いることができる。具体的市販品としては、例えばメガファックF142D、同F172、同F173、同F176、同F177、同F183、同780、同781、同R30、同R08、同F−472SF、同BL20、同R−61、同R−90(大日本インキ(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431、Novec FC−4430(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG7105,7000,950,7600、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145、同S−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭ガラス(株)製)、エフトップEF351、同352、同801、同802(JEMCO(株)製)などである。
【0271】
フッ素系有機化合物は特に、塗布膜を薄くしたときの塗布ムラや厚みムラの防止に効果的である。また、更には液切れを起こしやすいスリット塗布においても効果的である。
【0272】
フッ素系有機化合物の添加量は、光硬化性組成物の全質量に対して、0.001〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜1.0質量%である。
【0273】
〈熱重合開始剤〉
本発明の着色硬化性組成物には、熱重合開始剤を含有させることも有効である。熱重合開始剤としては、例えば、各種のアゾ系化合物、過酸化物系化合物が挙げられ、前記アゾ系化合物としては、アゾビス系化合物を挙げることができ、前記過酸化物系化合物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートなどを挙げることができる。
【0274】
〈界面活性剤〉
本発明の着色硬化性組成物には、着色硬化性組成物を塗布液として作成した場合の塗布性を改良する観点から、各種の界面活性剤を用いて構成することが好ましく、ノニオン系、カチオン系、アニオン系の各種界面活性剤を使用できる。中でも、ノニオン系界面活性剤でパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤が好ましい。
フッ素系界面活性剤の具体例としては、大日本インキ化学工業(株)製のメガファック(登録商標)シリーズ、3M社製のフロラード(登録商標)シリーズなどが挙げられる。
【0275】
上記以外に、着色硬化性組成物には、添加物の具体例として、ガラス、アルミナ等の充填剤;イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの、アルコール可溶性ナイロン、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとから形成されたフェノキシ樹脂などのアルカリ可溶の樹脂;ノニオン系、カチン系、アニオン系等の界面活性剤、具体的にはフタロシアニン誘導体(市販品EFKA−745(森下産業社製));オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業社製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業社製)、W001(裕商社製)等のカチオン系界面活性剤;
【0276】
その他添加物等の例として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製 プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商社製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(以上森下産業社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ社製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(ゼネカ社製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108、L121、P−123(旭電化社製)及びイソネットS−20(三洋化成社製);2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;及びポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤を挙げることができる。
【0277】
また、未硬化部のアルカリ溶解性を促進し、着色硬化性組成物の現像性の更なる向上を図る場合には、着色硬化性組成物に有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸の添加を行なうことができる。具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
【0278】
〈熱重合防止剤〉
本発明の着色硬化性組成物には、さらに熱重合防止剤を加えておくことが好ましく、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が有用である。
【0279】
本発明の着色硬化性組成物は、既述の顔料分散組成物に、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、及び光重合開始剤を(好ましくは溶剤と共に)含有させ、これに必要に応じて界面活性剤等の添加剤を混合することによって調製することができる。
【0280】
本発明の着色硬化性組成物は、前記顔料、溶剤、およびα−ヘテロメタクリロイル化合物を含有する顔料分散組成物、ならびに上記任意の各成分を含有してなるので、高感度で硬化することができ、後述するカラーフィルタの着色領域(着色パターンおよびブラックマトリックス)を形成するのに好適に用いられる。
【0281】
<カラーフィルタおよびその製造方法>
本発明のカラーフィルタは、既述の本発明の着色硬化性組成物を用いてガラスなどの基板上に着色された膜(着色パターン)を形成することにより作製されるものである。
まず、本発明の着色硬化性組成物を、基板に直接又は他の層を介して付与して感光性膜(着色硬化性組成物層)を形成し、形成された感光性膜に、所定のマスクパターンを介して露光し、露光後に未硬化部を現像液で現像除去することにより各色(例えば3色あるいは4色)の着色パターン(例えば着色画素)を形成することによって、最も好適にカラーフィルタを作製することができる。
これにより、液晶表示素子や固体撮像素子に用いられるカラーフィルタをプロセス上の困難性が少なく、高品質でかつ低コストに作製することができる。
【0282】
基板(支持体)としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラスおよびこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。これらの基板は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。また、基板上に設けられる層(例えば、着色硬化性組成物層)と基板との密着改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために、必要に応じて、基板上に設けられる層と接する基板表面に、下塗り層を設けてもよい。
【0283】
着色硬化性組成物の基板への付与は、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができ、中でも回転塗布、スリット塗布、流延塗布、ロール塗布が好ましい。
また、露光に用いる放射線としては、特にg線、h線、i線、j線等の紫外線が好ましい。
【0284】
基板上に付与(好ましくは塗布)された本発明の着色硬化性組成物の膜(着色硬化性組成物層)の乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等を用いて50〜140℃の温度範囲で10〜300秒の条件にて行なうことができる。
【0285】
現像では、露光後の未硬化部を現像液に溶出させ、硬化部のみを残存させる。現像温度としては、通常20〜30℃であり、現像時間としては20〜90秒である。
現像液としては、未硬化部における着色硬化性組成物の膜を溶解する一方、硬化部を溶解しないものであれば、いずれのものも用いることができる。具体的には、種々の有機溶剤の組み合わせやアルカリ性の水溶液を用いることができる。
【0286】
前記有機溶剤としては、顔料分散組成物又は着色硬化性組成物を調製する際に使用できる既述の溶剤が挙げられる。
前記アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が挙げられる。
なお、アルカリ性水溶液を現像液として使用した場合には、一般に現像後に水で洗浄(リンス)が行なわれる。
【0287】
現像後は、余剰の現像液を洗浄除去し、乾燥を施した後、一般に100〜240℃の温度で加熱処理(ポストベーク)が施される。
前記ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱であり、通常約200℃〜250℃の加熱(ハードベーク)を行なう。このポストベーク処理は、現像後の塗布膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行なうことができる。
【0288】
以上の操作を所望の色相数に合わせて、各色毎に順次繰り返し行なうことにより、複数色の着色された硬化膜が形成されてなるカラーフィルタを作製することができる。
【0289】
本発明の着色硬化性組成物を基板上に付与して膜形成する場合、膜の乾燥厚みは、0.1〜10μmが好ましく、0.2〜5μmがより好ましく、0.2〜3μmがさらに好ましい。
【0290】
基板上に他の層を介して着色硬化性組成物を付与する場合の、他の層としては、ガスバリヤー層、耐溶剤性層、などが挙げられる。
【0291】
上記では、本発明の着色硬化性組成物の用途として、主にカラーフィルタの用途を中心に説明したが、カラーフィルタを構成する各着色画素を隔離するブラックマトリックスの形成にも適用することができる。
前記ブラックマトリックスは、顔料としてカーボンブラック、チタンブラックなどの黒色顔料を用いた本発明の着色硬化性組成物(着色硬化性組成物)を用いてパターン露光、現像を行ない、その後必要に応じて更にポストベークして膜の硬化を促進させることで形成することができる。
【実施例】
【0292】
本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。また、「wt%」は質量%を表す。
【0293】
<α−メタクリロイル基を有する顔料分散剤(重合体)の合成>
〔Q−1の合成〕
前記一般式(1)で表される顔料分散剤の単量体M−1(25.0g)、MM−1(AA−6:東亜合成社製;175.0g)、MAA(37.5g)、2−ヒドロキシエチルメタクリル酸メチル(下記化学式K−0;12.5g)、および1−メトキシ−2−プロパノール(365g)を、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して90℃まで昇温した。これに2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル〔V−601、和光純薬工業(株)製〕0.5g加え、90℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−65を0.5g加え、3時加熱攪拌の後、放冷、沈殿、ろ別、乾燥することによりポリマーQ−1(242.5g)を得た。GPC測定により得られたこのポリマーQ−1の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で1.4万であった。また、水酸化ナトリウムを用いた滴定から、固形分あたりの酸価は、98mgKOH/gであった。
【0294】
【化65】

【0295】
〔P−2の合成〕
ポリマーQ−1(20.00g)のN−メチルピロリドン(70g)溶液に、メトキシメチルアクリル酸クロリド(11.36g)、ピリジン(10.92g)、ジメチルアミノピリジン(4.88g)のアセトン(45ml)溶液を氷冷下で加えた。室温に戻し24時間攪拌した。反応後、水100mlを加え、さらに24時間攪拌した。沈殿、ろ別、乾燥することによりポリマー(23.20g)を得た。その後、該ポリマーに、K−1を下記表1の重合体組成となるように混合して反応させ、ポリマーP−2を得た。
GPC測定により得られたこのポリマーP−2の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で1.6万であり、また、水酸化ナトリウムを用いた滴定から、固形分あたりの酸価は、98mgKOH/gであった。このポリマーP−2を1−メトキシ−2−プロピルアセテート54.13gに溶解し、P−2の30%溶液を得た。
【0296】
〔P−3の合成〕
ポリマーQ−1(20.00g)のN−メチルピロリドン(70g)溶液に、2−エチルヘキシロキシメチルアクリル酸クロリド(13.12g)、ピリジン(10.92g)、ジメチルアミノピリジン(4.88g)のアセトン(45ml)溶液を氷冷下で加えた。室温に戻し24時間攪拌した。反応後、水100mlを加え、さらに24時間攪拌した。次いで沈殿、ろ別、乾燥することによりポリマー(24.08g)を得た。その後、該ポリマーに、K−2を下記表1の重合体組成となるように混合して反応させ、ポリマーP−3を得た。
GPC測定により得られたこのポリマーP−3の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で1.5万であり、また、水酸化ナトリウムを用いた滴定から、固形分あたりの酸価は、98mgKOH/gであった。このポリマーP−3を1−メトキシ−2−プロピルアセテート56.19gに溶解し、P−3の30%溶液を得た。
【0297】
〔P−4の合成〕
ポリマーQ−1(20.00g)のN−メチルピロリドン(70g)溶液に、2−アセトキシメチルアクリル酸クロライド(25.50g)、ピリジン(10.92g)、ジメチルアミノピリジン(4.88g)のアセトン(45ml)溶液を氷冷下で加えた。室温に戻し24時間攪拌した。反応後、水100mlを加え、さらに24時間攪拌した。次いで沈殿、ろ別、乾燥することによりポリマー(39.42g)を得た。その後、該ポリマーに、K−3を下記表1の重合体組成となるように混合して反応させ、ポリマーP−4を得た。
GPC測定により得られたこのポリマーP−4の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で1.5万であり、また、水酸化ナトリウムを用いた滴定から、固形分あたりの酸価は、98mgKOH/gであった。このポリマーP−4を1−メトキシ−2−プロピルアセテート91.98gに溶解し、P−4の30%溶液を得た。
【0298】
〔P−5の合成〕
ポリマーQ−1(20.00g)のN−メチルピロリドン(70g)溶液に、下記化学式Aのカルボン酸クロライド(23.15g)、ピリジン(10.92g)、ジメチルアミノピリジン(4.88g)のアセトン(45ml)溶液を氷冷下で加えた。室温に戻し24時間攪拌した。反応後、水100mlを加え、さらに24時間攪拌した。次いで、沈殿、ろ別、乾燥することによりポリマー(38.64g)を得た。その後、該ポリマーに、K−4を下記表1の重合体組成となるように混合して反応させ、ポリマーP−5を得た。
GPC測定により得られたこのポリマーP−5の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で1.7万であり、また、水酸化ナトリウムを用いた滴定から、固形分あたりの酸価は、98mgKOH/gであった。このポリマーP−5を1−メトキシ−2−プロピルアセテート90.16gに溶解し、P−5の30%溶液を得た。
【0299】
〔P−6の合成〕
ポリマーQ−1(20.00g)のN−メチルピロリドン(70g)溶液に、下記化学式Bのカルボン酸クロライド(25.35g)、ピリジン(10.92g)、ジメチルアミノピリジン(4.88g)のアセトン(45ml)溶液を氷冷下で加えた。室温に戻し24時間攪拌した。反応後、水100mlを加え、さらに24時間攪拌した。次いで沈殿、ろ別、乾燥することによりポリマー(40.52)を得た。その後、該ポリマーに、K−5を下記表1の重合体組成となるように混合して反応させ、ポリマーP−6を得た。
GPC測定により得られたこのポリマーP−6の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で1.9万であり、また、水酸化ナトリウムを用いた滴定から、固形分あたりの酸価は、98mgKOH/gであった。このポリマーP−6を1−メトキシ−2−プロピルアセテート94.55gに溶解し、P−6の30%溶液を得た。
【0300】
〔P−7の合成〕
ポリマーQ−1(20.00g)のN−メチルピロリドン(70g)溶液に、下記化学式Cのカルボン酸クロライド(27.60g)、ピリジン(10.92g)、ジメチルアミノピリジン(4.88g)のアセトン(45ml)溶液を氷冷下で加えた。室温に戻し24時間攪拌した。反応後、水100mlを加え、さらに24時間攪拌した。次いで沈殿、ろ別、乾燥することによりポリマー(43.86g)を得た。その後、該ポリマーに、K−6を下記表1の重合体組成となるように混合して反応させ、ポリマーP−7を得た。
GPC測定により得られたこのポリマーP−7の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で1.8万であり、また、水酸化ナトリウムを用いた滴定から、固形分あたりの酸価は、98mgKOH/gであった。このポリマーP−7を1−メトキシ−2−プロピルアセテート102.34gに溶解し、P−7の30%溶液を得た。
【0301】
【化66】

【0302】
P−2の合成において、M−1、MM−1、およびMAAを、下記表1に示す成分、組成となるように代えた他は同様にして、ポリマーを得た後、さらにP−2の合成におけるK−1を下記表1に示す成分・量に代えて混合して反応させた他は同様にしてP−8〜P−16を合成した。これらのP−8〜P−16の重量平均分子量及び酸価は、下記表1に示すような値であった。
【0303】
表1中、M−1、M−5、M−6、およびM−11は、前記一般式(1)で表される顔料分散剤の単量体の具体例として挙げた単量体を示す。
また、MM−1は、末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート(数平均分子量6,000)を表し、MB−1は、末端メタクリロイル化ポリブチルアクリレート(数平均分子量6,000)を表し、MO−1は、末端モノメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(数平均分子量3,000)を表し、MS−1は、末端メタクリロイル化ポリスチレン(数平均分子量6,000)を表し、MM−2は、末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート(数平均分子量1,000)を表し、MM−3は、末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート(数平均分子量10,000)を表し、MB−2は、末端メタクリロイル化ポリブチルアクリレート(数平均分子量1,000)を表し、MB−3は、末端メタクリロイル化ポリブチルアクリレート(数平均分子量10,000)を表し、MMAは、メタクリル酸を表し、MAAは、メチルメタクリレートを表し、BzMAは、ベンジルメタクリレートを表す。
【0304】
〔P−17の合成〕
M−1(25.0g)、MM−1(AA−6:東亜合成社製;185.0g)、MAA(37.5g)、下記化合物D(2.5g)、および1−メトキシ−2−プロパノール3(65g)を、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して90℃まで昇温した。これに2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬(株)製V−65)を5g加え、90℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−65を5g加え、3時加熱攪拌の後、放冷、沈殿、ろ別、乾燥することによりポリマーP−17(222.5g)を得た。GPC測定により得られたこのポリマーP−1の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で3.4万であった。また、水酸化ナトリウムを用いた滴定から、固形分あたりの酸価は、98mgKOH/gであった。
【0305】
〔P−18の合成〕
下記化合物Dを下記化合物Eに代えたほかはP−17と同様にして、P−18(202.3g)を得た。GPC測定により得られたこのポリマーP−18の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で3.8万であった。また、水酸化ナトリウムを用いた滴定から、固形分あたりの酸価は、98mgKOH/gであった。
【0306】
【化67】

【0307】
P−17の合成において、M−1、MM−1、MAA、および化合物Dを、下記表1に示す成分、組成となるように代え、またはさらに表1に示す他の成分を加えた他は同様にして、重合体P−19およびP−20を合成した。これらの重合体の重量平均分子量及び酸価は、表1に示すような値であった。
【0308】
【表1】

【0309】
<赤用顔料分散組成物R−1〜R−3の調製>
下記組成(a−1)の成分を混合し、ホモジナイザーを用いて回転数3,000r.p.m.で3時間撹拌して混合し、顔料を含む混合溶液を調製した。
【0310】
−組成(a−1)−
・C.I.ピグメント・レッド254 ・・・85部
・C.I.ピグメント・レッド177 ・・・15部
・前記P−2の30%溶液(α−ヘテロメタクリロイル基含有顔料分散剤(重合体))
・・・70部
・ソルスパース24000GR(日本ルーブリゾール社製;ポリエステル系分散剤)
・・・10部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート ・・・820部
【0311】
次いで、上記より得られた混合溶液を、さらに0.3mmφジルコニアビーズを用いたビーズ分散機ディスパーマット(GETZMANN社製)にて6時間分散処理を行ない、その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、赤用顔料分散組成物R−1を得た。
【0312】
赤用顔料分散組成物R−1の調製において、P−2を、下記表2に示す重合体に代えた他は同様にして、赤用顔料分散組成物R−2、R−3およびCR−1〜CR−3を調製した。
【0313】
<緑用顔料分散組成物G−1〜G−3の調製>
下記組成(a−2)の成分を混合し、ホモジナイザーを用いて回転数3,000r.p.m.で3時間撹拌して混合し、顔料を含む混合溶液を調製した。
【0314】
−組成(a−2)−
・C.I.ピグメント・グリーン36 ・・・65部
・C.I.ピグメント・イエロー150 ・・・35部
・P−3の30%溶液(α−ヘテロメタクリロイル基含有顔料分散剤(重合体))
・・・70部
・ソルスパース24000GR(日本ルーブリゾール社製;ポリエステル系分散剤)
・・・40部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート ・・・790部
【0315】
次いで、上記より得られた混合溶液を、さらに0.3mmφジルコニアビーズを用いたビーズ分散機ディスパーマット(GETZMANN社製)にて6時間分散処理を行ない、その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、緑用顔料分散組成物G−1を得た。
【0316】
緑用顔料分散組成物G−1の調製において、P−3を、下記表2に示す重合体に代えた他は同様にして、緑用顔料分散組成物G−2、G−3およびCG−1〜CG−3を調製した。
【0317】
<青用顔料分散組成物B−1〜B−3の調製>
下記組成(a−3)の成分を混合し、ホモジナイザーを用いて回転数3,000r.p.m.で3時間撹拌して混合し、顔料を含む混合溶液を調製した。
【0318】
−組成(a−3)−
・C.I.ピグメントブルー15;6 ・・・85部
・C.I.ピグメント・バイオレット23 ・・・15部
・P−4の30%溶液(α−ヘテロメタクリロイル基含有顔料分散剤(重合体))
・・・70部
・アジスパーPB821(味の素ファインケミカル製;ポリエステル系分散剤)
・・・10部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート ・・・820部
【0319】
次いで、上記より得られた混合溶液を、さらに0.3mmφジルコニアビーズを用いたビーズ分散機ディスパーマット(GETZMANN社製)にて6時間分散処理を行ない、その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、緑用顔料分散組成物B−1を得た。
【0320】
緑用顔料分散組成物B−1の調製において、P−4を、下記表2に示す重合体に代えた他は同様にして、緑用顔料分散組成物B−2、B−3およびCB−1〜CB−3を調製した。
【0321】
顔料分散組成物CR−1〜CR−3、CG−1〜CG−3およびCB−1〜CB−3の調製に用いた重合体を示す。
D−1:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(88/12質量%)共重合体、重量平均分子量24,000、酸価78mgKOH/g
D−2:メタクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリル酸メチル/ベンジルメタクリレート(15/5/80質量%)共重合体、重量平均分子量28,000、酸価98mgKOH/g
D−3:メタクリル酸/メタクリル酸−2−メチルグリシジル/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート(15/18/15/52質量%)共重合体、重量平均分子量19,000、酸価98mgKOH/g
【0322】
<顔料分散組成物の評価>
上記のようにして得られた顔料分散組成物について下記の評価を行った。
(1)粘度の測定、評価
得られた顔料分散組成物について、E型粘度計を用いて、分散直後の顔料分散組成物の粘度η1、および分散後(室温にて)1週間経過した後の顔料分散組成物の粘度η2をそれぞれ測定し、増粘の程度を評価した。評価結果を下記表2に示す。
ここで、粘度が低いことは、分散性、分散安定性が良好であることを示す。
粘度の許容範囲は、赤用(R)、緑用(G)、青用(B)の各色用顔料分散組成物のいずれも30mPa・s以下であり、20mPa・s以下であることが好ましい。
【0323】
(2)コントラストの測定、評価
得られた顔料分散組成物をそれぞれガラス基板上に塗布し、乾燥後の塗布膜の厚さが1μmになるようにサンプルをそれぞれ作製した。2枚の偏光板の間にこのサンプルを置き、偏光軸が平行のときと、垂直のときとの透過光量を測定し、その比をコントラストとした(この評価法は、「1990年第7回 色彩光学コンファレンス、512色表示10.4「サイズTFT−LCD用カラーフィルタ、植木、小関、福永、山中」を参考にした)。測定評価の結果を下記表2に示す。
ここで、コントラストが高いことは、顔料が高度に微細化され、透過率すなわち着色力が高いことを示す。コトラストの許容範囲は、800以上であり、1000以上であることが好ましい。
【0324】
【表2】

【0325】
<赤用着色硬化性組成物塗布液の調製>
赤用顔料分散組成物R−1(1,000質量部)に、さらに下記組成(a−4)に記載の各成分を添加し、撹拌混合して、実施例1の赤用着色硬化性組成物塗布液(カラーレジスト液)を調製した。
【0326】
−組成(a−4)−
・ジペンタエリスリトールペンタヘキサアクリレート(光重合性化合物)・・・80部
・4−[o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニル)アミノフェニル]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−S−トリアジン(光重合開始剤) ・・・30部
・メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸(=70/30[モル比])共重合体(重量平均分子量:10,000)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分40%)(アルカリ可溶性樹脂) ・・・200部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート(溶剤) ・・・490部
【0327】
上記実施例1の赤用着色硬化性組成物塗布液の調製において、赤用顔料分散組成物R−1を、下記表3に示す実施例2、実施例3および比較例1〜3の赤用顔料分散組成物に代えた他は同様にして、実施例2、実施例3および比較例1〜3の赤用着色硬化性組成物塗布液を調製した。
【0328】
<赤用着色硬化性組成物を用いたカラーフィルタの作製>
得られた実施例1の赤用着色硬化性組成物塗布液(カラーレジスト液)を、100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に、色濃度の指標となるx値が0.650となるように塗布し、90℃のオーブンで60秒間乾燥させた(プリベーク)。その後、塗膜の全面に200mJ/cmにて(照度20mW/cm)露光し、露光後の塗膜をアルカリ現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1%水溶液にて覆い、60秒間静止した。静止後、純水をシャワー状に散布して現像液を洗い流した。そして、上記のように露光および現像が施された塗膜を220℃のオーブンで1時間加熱処理し(ポストベーク)、ガラス基板上にカラーフィルタ用の着色パターン(着色樹脂被膜)を形成し、実施例1の着色フィルタ基板(カラーフィルタ)を作製した。
【0329】
上記実施例1のカラーフィルタの作製において、実施例1の赤用着色硬化性組成物を、実施例2、実施例3および比較例1〜3の赤用着色硬化性組成物に代えた他は同様にして、実施例2、実施例3および比較例1〜3のカラーフィルタを作製した。
【0330】
<緑用着色硬化性組成物塗布液の調製>
緑用顔料分散組成物G−1(1,000質量部)に、さらに下記組成(a−5)に記載の各成分を添加し、撹拌混合して、実施例4の緑用着色硬化性組成物塗布液(カラーレジスト液)を調製した。
【0331】
−組成(a−5)−
・ジペンタエリスリトールペンタヘキサアクリレート(光重合性化合物)・・・50部
・4−[o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニル)アミノフェニル]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−S−トリアジン(光重合開始剤) ・・・20部
・メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸(=70/30[モル比])共重合体(重量平均分子量:10,000)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分40%)(アルカリ可溶性樹脂) ・・・50部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート(溶剤) ・・・180部
【0332】
上記実施例4の緑用着色硬化性組成物塗布液の調製において、緑用顔料分散組成物G−1を、下記表3に示す実施例5、実施例6および比較例4〜6の緑用顔料分散組成物に代えた他は同様にして、実施例5、実施例6および比較例4〜6の緑用着色硬化性組成物塗布液を調製した。
【0333】
<着色硬化性組成物を用いたカラーフィルタの調製と評価>
得られた実施例4の緑用着色硬化性組成物塗布液(カラーレジスト液)を、100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に、色濃度の指標となるy値が0.600となるように塗布し、90℃のオーブンで60秒間乾燥させた(プリベーク)。その後、塗膜の全面に200mJ/cmにて(照度20mW/cm)露光し、露光後の塗膜をアルカリ現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1%水溶液にて覆い、60秒間静止した。静止後、純水をシャワー状に散布して現像液を洗い流した。そして、上記のように露光および現像が施された塗膜を220℃のオーブンで1時間加熱処理し(ポストベーク)、ガラス基板上にカラーフィルタ用の着色パターン(着色樹脂被膜)を形成し、実施例4の着色フィルタ基板(カラーフィルタ)を作製した。
【0334】
上記実施例4のカラーフィルタの作製において、実施例4の緑用着色硬化性組成物を、実施例5、実施例6および比較例4〜6の緑用着色硬化性組成物に代えた他は同様にして、実施例5、実施例6および比較例4〜6のカラーフィルタを作製した。
【0335】
<青用着色硬化性組成物塗布液の調製>
青用顔料分散組成物B−1(1,000質量部)に、さらに下記組成(a−6)に記載の各成分を添加し、撹拌混合して、実施例7の青用着色硬化性組成物塗布液(カラーレジスト液)を調製した。
【0336】
−組成(a−6)−
・ジペンタエリスリトールペンタヘキサアクリレート(光重合性化合物)・・・150部
・4−[o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニル)アミノフェニル]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−S−トリアジン(光重合開始剤) ・・・60部
・メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸(=70/30[モル比])共重合体 (重量平均分子量:10,000)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分40%)(アルカリ可溶性樹脂) ・・・400部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート(溶剤) ・・・1440部
【0337】
上記実施例7の青用着色硬化性組成物塗布液の調製において、青用顔料分散組成物B−1を、下記表3に示す実施例8、実施例9および比較例7〜9の青用顔料分散組成物に代えた他は同様にして、実施例8、実施例9および比較例7〜9の青用着色硬化性組成物塗布液を調製した。
【0338】
<着色硬化性組成物を用いたカラーフィルタの調製と評価>
得られた実施例7の青用着色硬化性組成物塗布液(カラーレジスト液)を、100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に、色濃度の指標となるy値が0.090となるように塗布し、90℃のオーブンで60秒間乾燥させた(プリベーク)。その後、塗膜の全面に200mJ/cmにて(照度20mW/cm)露光し、露光後の塗膜をアルカリ現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1%水溶液にて覆い、60秒間静止した。静止後、純水をシャワー状に散布して現像液を洗い流した。そして、上記のように露光および現像が施された塗膜を220℃のオーブンで1時間加熱処理し(ポストベーク)、ガラス基板上にカラーフィルタ用の着色パターン(着色樹脂被膜)を形成し、実施例7の着色フィルタ基板(カラーフィルタ)を作製した。
【0339】
上記実施例7のカラーフィルタの作製において、実施例4の青用着色硬化性組成物を、実施例8、実施例9および比較例7〜9の青用着色硬化性組成物に代えた他は同様にして、実施例8、実施例9および比較例7〜9のカラーフィルタを作製した。
【0340】
<カラーフィルタおよび着色硬化性組成物の評価>
上記のようにして作製した実施例1〜9および比較例1〜9の各着色フィルタ基板(カラーフィルタ)および各着色硬化性組成物について、以下のようにして各評価を行なった。結果はいずれも下記表3に示す。
【0341】
(3)コントラスト
着色フィルタ基板の着色樹脂被膜の上に偏光板を置いて着色樹脂被膜を挟み込み、偏光板が平行時の輝度と直交時の輝度とをトプコン社製のBM−5を用いて測定し、平行時の輝度を直交時の輝度で除して得られる値(=平行時の輝度/直交時の輝度)を、コントラストを評価するための指標とした。値が大きいほど高コントラストであることを示す。コントラストの許容範囲は700以上であり、900以上であることが好ましい。
【0342】
(4)現像性
カラーフィルタ作製の露光工程において、光が照射されなかった領域(未露光部)の残渣の有無を光学顕微鏡で観察し、現像性を評価した。評価基準は下記のとおりである。
○:未露光部には、残渣がまったく確認されなかった。
△:未露光部に残渣がわずかに確認されたが、実用上問題のない程度であった。
×:未露光部に、残渣が著しく確認された。
【0343】
次にポストベーク後の基板表面及び断面形状を、光学顕微鏡及びSEM写真観察により確認することにより、現像性、着色パターン断面形状、基板密着性を評価した。評価方法・評価基準の詳細は以下の通りである。
【0344】
(5)着色パターン断面形状
形成された着色パターンの断面形状を観察した。着色パターン断面形状は、矩形が好ましく、順テーパーが最も好ましい。逆テーパーは好ましくない。
【0345】
(6)基板密着性
着色硬化性組成物の基板密着性の評価は、カラーフィルタ作製工程におけるポストベーク後の着色パターンに欠損が発生しているか否かを観察することにより行った。評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
○:パターン欠損がまったく観察されなかった。
△:パターン欠損がほとんど観察されなかったが、一部分欠損が観察された。
×:パターン欠損が著しく観察された。
許容範囲は△であり、○が好ましい。
【0346】
(7)電圧保持率
ITO電極つきのガラス基板(商品名:1737コーニング社製)上に、着色硬化性組成物塗布液を膜厚2.0μmとなるように塗布し、90℃のオーブンで60秒乾燥(プリベーク)した。その後、マスクを介さずに100mj/cmの露光(照度は20mW/cm)をし、アルカリ現像液(商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1%水溶液を用いて25℃で現像し、塗布膜を230℃のオーブンで30分間加熱処理(ポストベーク)を施した。次いで、この画素を形成した基板とITO電極を所定形状に蒸着しただけの基板とを、5μmのガラスビーズを混合したシール剤で貼り合わせたのち、メルク社製液晶MJ971189(商品名)を注入して、液晶セルを作製した。
次いで、液晶セルを70℃の恒温層に48時間入れた後、液晶セルの電圧保持率(16.7ミリ秒後の液晶セル電位差/0ミリ秒で印加した電圧の値)を、東陽テクニカ社製液晶電圧保持率測定システムVHR−1A型(商品名)により測定した。
【0347】
前記電圧保持率の測定条件および判定基準を示す。
−測定条件−
・電極間距離 :5〜15μm
・印加電圧パルス振幅 :5V
・印加電圧パルス周波数:60Hz
・印加電圧パルス幅 :16.67msec
−判定法−
90%以上 ・・・5点
85〜90%未満 ・・・4点
80〜85%未満 ・・・3点
75〜80%未満 ・・・2点
75%以下 ・・・1点
【0348】
(8)スピンコート(塗布膜均一性)
550mm×650mmのガラス基板上に、調製した実施例1〜9および比較例1〜9の着色硬化性組成物塗布液(レジスト液)30gを中央滴下し、600rpmでスピンコートした。塗布基板の中央部から、対角線方向に縁から300mm内側の部分までの厚みを測定した。塗布厚みムラを下式で表し、%で表示した。
厚みムラ=(中央の厚み−緑部300mm内側の厚み)/中央部の厚み
【0349】
(9)スリット塗布(塗布ムラ)
スリット間隙が50μmの塗布有効幅が20mmのスリットヘッドを備えたスリット塗布装置を用いて、乾燥後の塗膜厚が2μmになるようにスリットと基板間の間隙を調節して、50mm/秒の塗布スピードで前記着色硬化性組成物の塗布液を、幅230mm、長さ300mm、厚み0.7mmの矩形状ガラス基板上に塗布し、塗布幅21mm、長さ260mmの塗布面を得た。塗布後、ホットプレートで90℃、60秒間プリベークした後、目視にて観察して塗布面のスジ状のムラの本数をカウントした。塗布面にスジ状のムラが全くないものを「◎」、1〜2本ものを「○」、3〜5本のものを「△」、6本以上ものを「×」として評価した。
許容範囲は、△であり、○であることが好ましい。
【0350】
【表3】

【0351】
上記の表2および表3に示すように、α−ヘテロメタクリロイル基を有する重合体を含む着色硬化性組成物を用いて作製した着色フィルタ基板(実施例1〜実施例9)はいずれも、高透過率を有して色特性が良好であると共に、高いコントラストが得られた。これに対し、比較例では、コントラストの点で明らかに劣っていた。また、この着色硬化性組成物を用いて、支持体上で着色パターンを形成した場合には、用いていない各比較例に対して、露光感度が高く、現像性に優れると共に、基板密着性、パターン断面形状の何れにも優れたカラーフィルタが得られていることが判った。
これらの結果より、実施例の着色硬化性組成物は、固体撮像素子用途のカラーフィルタを作製する場合においても、液晶表示素子用途のカラーフィルタを作製する場合と同様に、優れたパターン形成性が実現されることがわかった。
また、上記表1に示すように、実施例1〜9の顔料分散組成物では、粘度が低く、高いコントラストが得られた。高いコントラストが得られるのは、顔料粒子が微細化された状態で分散されているためであると推測される。これに対し、比較例では、低粘度に抑えられなかったばかりか、透過率も低くコントラストの点でも劣っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも顔料と、溶剤と、分子内にα−へテロメタクリロイル基を有する化合物とを含有する顔料分散組成物。
【請求項2】
前記分子内にα−へテロメタクリロイル基を有する化合物が、少なくとも1つのα−へテロメタクリロイル基を側鎖に有し、重量平均分子量が1,000〜60,000の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の顔料分散組成物。
【請求項3】
前記α−へテロメタクリロイル基が、下記一般式(I)で表されることを特徴とする請求項1または2に記載の顔料分散組成物。
【化1】


〔一般式(I)中、R及びRは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は一価の置換基を表し、Xは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはヘテロ原子を介してα炭素に結合している置換基を表し、Yは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはヘテロ原子を介してカルボニル基に結合している置換基を表す。ただし、XとYが同時にハロゲン原子またはヒドロキシ基を表すことはない。また、XとY、RとR、または、XとR若しくはRが互いに結合して環状構造を形成してもよい。〕
【請求項4】
前記分子内にα−へテロメタクリロイル基を有する化合物が、さらに酸基を有し、かつ、その酸価が30mgKOH/g以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の顔料分散組成物と、光重合性化合物と、光重合開始剤とを含むことを特徴とする着色硬化性組成物。
【請求項6】
カラーフィルタの着色領域形成に用いられることを特徴とする請求項5に記載の着色硬化性組成物。
【請求項7】
基板上に、請求項6に記載の着色硬化性組成物を用いて形成された着色パターンを有することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項8】
請求項6に記載の着色硬化性組成物を、直接、又は他の層を介して基板上に付与して感光性膜を形成する感光性膜形成工程と、該感光性膜にパターン露光及び現像を順次行なうことにより着色パターンを形成する着色パターン形成工程とを有するカラーフィルタの製造方法。

【公開番号】特開2009−84431(P2009−84431A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255970(P2007−255970)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】