説明

顔料分散組成物、着色硬化性組成物、固体撮像素子用カラーフィルタ及びその製造方法、並びに固体撮像素子

【課題】分散安定性に優れた顔料分散組成物を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表されるアゾ顔料、アゾ顔料誘導体、及び分散剤を含有する顔料分散組成物〔G:水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基;R:アミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基;R:置換基;A:ヘテロ環基;m:0〜5の整数;n:1〜4の整数;n=2の場合は、R、R、AまたはGを介した2量体を表す。n=3の場合はR、R、AまたはGを介した3量体を表す。n=4の場合はR、R、AまたはGを介した4量体を表す;一般式(1)がイオン性親水性基を有することはない。〕




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料分散組成物、着色硬化性組成物、固体撮像素子用カラーフィルタ及びその製造方法、並びに固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子や液晶表示素子をカラー化するために用いられるカラーフィルタとしては、基板上に同一平面に隣接して形成された赤色フィルタ層、緑色フィルタ層、及び青色フィルタ層から構成されるカラーフィルタや、イエローフィルタ層、マゼンタフィルタ層、及びシアンフィルタ層からなるカラーフィルタが知られている(本明細書中では、上記各色の着色フィルタ層を「着色パターン」ともいう)。
【0003】
近年、カラーフィルタにおいては、更なる高精細化が望まれている。
しかし、従来の顔料分散系においては解像度が向上せず、また、顔料の粗大粒子による色ムラが発生する等の問題点を有しているために、固体撮像素子のような微細パターンが要求される用途には適さなかった。この問題点を解決するために従来から染料の使用が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、カラーフィルタの赤色のフィルターアレイには赤染料が用いられることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
しかし、染料により得られた着色パターンは、耐熱性、耐光性が十分でないため、耐熱性、耐光性に優れた有機顔料を用いたカラーフィルタについて検討されている。
有機顔料を用いたカラーフィルタの製造方法としては、例えば、有機顔料を感光性樹脂中に分散した組成物を露光し、現像することによってパターニングする工程を所要の回数繰り返し行う、フォトリソグラフィー法(例えば、特許文献3参照)、有機顔料を含有するインクを用いるオフセット印刷、インクジェット印刷などの印刷方法などが挙げられる。
【0005】
カラーフィルタ用有機顔料として、アントラキノン系、ジケトピロロピロール系、キナクリドン系、イソインドリン系、ペリノン系、ペリレン系、縮合アゾ系などの耐熱性及び耐光性に優れた有機顔料の使用が検討されている。
そして、特許文献4にはナフタレン環を含むモノアゾ化合物を含むカラーフィルタ用赤色インク組成物について提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−75375号公報
【特許文献2】特開平5−5067号公報
【特許文献3】特開平1−152449号公報
【特許文献4】国際公開第05/052074号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、アゾ系顔料を含有する顔料分散組成物及び着色硬化性組成物では、従来にも増して、より高度な分散安定性が望まれている。更に、アゾ系顔料の分散安定性の低下により、形成される着色パターンの耐熱性が低下することが明らかとなった。
特に、固体撮像素子用カラーフィルタの作製に用いられる顔料分散組成物及び着色硬化性組成物では、安定した塗布性能の維持が必要であるため、分散安定性及び耐熱性を向上させる要望が強くなっている。
【0008】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、分散安定性に優れた顔料分散組成物を提供することである。
また、本発明の目的は、分散安定性に優れ、かつ、耐熱性に優れた着色パターンを形成できる着色硬化性組成物を提供することである。
また、本発明の目的は、耐熱性に優れた着色パターンを有する固体撮像素子用カラーフィルタ及び固体撮像素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 一般式(1)で表されるアゾ顔料、アゾ顔料誘導体、及び分散剤を含有する顔料分散組成物。
【0010】
【化1】



【0011】
〔一般式(1)中、Gは、水素原子、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、Rは、アミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、Rは置換基を表す。
Aは、下記一般式(A−1)〜(A−32)のいずれかを表す。
mは0〜5の整数を表し、nは1〜4の整数を表す。
n=2の場合は、R、R、AまたはGを介した2量体を表す。
n=3の場合はR、R、AまたはGを介した3量体を表す。
n=4の場合はR、R、AまたはGを介した4量体を表す。
一般式(1)がイオン性親水性基を有することはない。〕
【0012】
【化2】



【0013】
〔一般式(A−1)〜(A−32)中、R51〜R59は各々独立に水素原子、置換基を表し、隣接する置換基は互いに結合し、5〜6員環を形成していてもよい。*は一般式(1)のアゾ基との結合位置を表す。〕
【0014】
<2> 前記一般式(1)で表されるアゾ顔料が、下記一般式(2)で表されるアゾ顔料である<1>に記載の顔料分散組成物。
【0015】
【化3】



【0016】
〔一般式(2)中、R21は、アミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R22は置換基を表す。R55及びR59は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を表す。
mは0〜5の整数を表し、nは1〜4の整数を表す。
Zはハメットのσp値が0.2以上の電子求引性基を表す。
n=2の場合は、R21、R22、R55、R59又はZを介した2量体を表す。
n=3の場合はR21、R22、R55、R59又はZを介した3量体を表す。
n=4の場合はR21、R22、R55、R59又はZを介した4量体を表す。
一般式(2)がイオン性親水性基を有することはない。〕
【0017】
<3> 前記分散剤が、下記一般式(I)及び(II)のいずれかで表される繰り返し単位から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含む高分子化合物である<1>又は<2>に記載の顔料分散組成物。
【0018】
【化4】



【0019】
〔一般式(I)及び(II)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は1価の有機基を表し、X及びXは、各々独立に、−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−、又はフェニレン基を表し、L及びLは、各々独立に、単結合、又は2価の有機連結基を表し、A及びAは、各々独立に、1価の有機基を表し、m及びnは、各々独立に、2〜8の整数を表し、p及びqは、各々独立に、1〜100の整数を表す。〕
【0020】
<4> 前記高分子化合物が、側鎖に酸基を50mgKOH/g以上200mgKOH/g以下の範囲で有する<3>に記載の顔料分散組成物。
<5> 前記一般式(1)で表されるアゾ顔料が、ソルベントソルトミリングされたアゾ顔料である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
<6> 更に、レッド、イエロー、オレンジ、及びバイオレットから選択される色相を有する顔料を含有する<1>〜<5>のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
<7> <1>〜<6>のいずれか1項に記載の顔料分散組成物と、光重合開始剤と、重合性化合物を含有する着色硬化性組成物。
<8> 前記光重合開始剤が、オキシム系光重合開始剤である<7>に記載の着色硬化性組成物。
【0021】
<9> 支持体上に、<7>又は<8>に記載の着色硬化性組成物を塗布して着色硬化性組成物層を形成する工程と、前記着色硬化性組成物層をマスクを介して露光する工程と、露光後の着色硬化性組成物層を現像して着色パターンを形成する工程と、を含むことを特徴とする固体撮像素子用カラーフィルタの製造方法。
<10> <9>に記載の固体撮像素子用カラーフィルタの製造方法により製造された固体撮像素子用カラーフィルタ。
<11> <10>に記載の固体撮像素子用カラーフィルタを備えた固体撮像素子。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、分散安定性に優れた顔料分散組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、分散安定性に優れ、かつ、耐熱性に優れた着色パターンを形成できる着色硬化性組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、耐熱性に優れた着色パターンを有する固体撮像素子用カラーフィルタ及び固体撮像素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
≪顔料分散組成物≫
本発明の顔料分散組成物は、下記一般式(1)で表されるアゾ顔料、アゾ顔料誘導体、及び分散剤を含有する。
本発明の顔料分散組成物では、アゾ顔料誘導体及び分散剤を併用することにより一般式(1)で表されるアゾ顔料の分散安定性が向上する。
【0024】
まず、本発明における脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基及び置換基について説明する。
本発明における脂肪族基において、その脂肪族部位は直鎖、分岐鎖及び環状のいずれであってもよい。また、飽和であっても不飽和であってもよい。具体的には例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等を挙げることができる。さらに脂肪族基は無置換であっても置換基を有していてもよい。
【0025】
また、アリール基は、単環であっても縮合環であってもよい。また、無置換であっても置換基を有していてもよい。また、ヘテロ環基は、そのヘテロ環部位は環内にヘテロ原子(例えば、窒素原子、イオウ原子、酸素原子)を持つものであればよく、飽和環であっても、不飽和環であってもよい。また、単環であっても縮合環であってもよく、さらに無置換であっても置換基を有していてもよい。
アシル基は、脂肪族カルボニル基であっても、アリールカルボニル基であっても、ヘテロ環カルボニル基であってもよく、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、下記置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。例えばアセチル、プロパノイル、ベンゾイル、3−ピリジンカルボニル等が挙げられる。
【0026】
また、本発明における置換基とは、置換可能な基であればよく、例えば脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、脂肪族オキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシホスフィニル基、ジアリールオキシホスフィニル基等を挙げることができる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基から選択される基を挙げることができる。
【0027】
本発明のアゾ顔料は溶解性の観点からイオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基)を置換基として含有することはない。イオン性親水性基を含有する場合は、多価金属カチオンとの塩(例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム)であることが好ましく、レーキ顔料であることがより好ましい。
【0028】
ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について若干説明する。
ハメット則はベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳細に記載されている。なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に含まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。本発明の一般式(1)で表されるアゾ顔料はベンゼン誘導体ではないが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明においては今後、σp値をこのような意味で使用する。
【0029】
<アゾ顔料>
顔料は、色素分子間の強力な相互作用による凝集エネルギーによって、分子同士がお互いに強固に結合しあっている状態のことである。この状態を作るには、分子間のファンデルワールス力、分子間水素結合が必要であることが、例えば、日本画像学会誌、43巻、10頁(2004年)等に記載されている。
分子間のファンデルワールス力を強めるには、分子への芳香族基、極性基及び/又はヘテロ原子の導入等が考えられる。また、分子間水素結合を形成させるには、分子へのヘテロ原子に結合した水素原子を含有する置換基の導入及び/又は電子供与性の置換基の導入等が考えられる。更に分子全体の極性が高い方が好ましいと考えられる。そのためには、例えば、アルキル基等鎖状の基は短い方が好ましく、分子量/アゾ基の値は小さい方が好ましいと考えられる。
これらの観点から、顔料分子は、アミド結合、スルホンアミド結合、エーテル結合、スルホン基、オキシカルボニル基、イミド基、カルバモイルアミノ基、ヘテロ環、ベンゼン環等を含有することが好ましい。
【0030】
<一般式(1)で表されるアゾ顔料>
本発明にかかるアゾ顔料は下記一般式(1)で表される。
一般式(1)で表される化合物は、その特異的な構造により色素分子の分子間相互作用を形成しやすく、水又は有機溶媒等に対する溶解性が低く、アゾ顔料とすることができる。
顔料は、水や有機溶媒等に分子分散状態で溶解させて使用する染料とは異なり、溶媒中に分子集合体等の固体粒子として微細に分散させて用いるものである。
また、下記一般式(1)で表される特定の構造を有することにより、着色力、色相等の色彩的特性において優れた特性を示し、かつ耐光性、耐オゾン性等の耐久性にも優れた特性を示すことができる。
具体的には、一般式(1)で表されるアゾ顔料を含有する本発明の顔料分散組成物を用いて形成されたカラーフィルタの赤色パターンは、赤色として良好な分光特性を示す。
ここで、「赤色として良好な分光特性」とは、例えば以下の性質の少なくとも1つを指す。下記3つの性質を全て満たす分光特性が最も優れている。
・650nm〜750nmの波長領域における透過率が高い。
・540nm以上の波長領域において、透過率曲線がシャープに立ち上がる。
・540nm未満の波長領域(特に、350nm〜400nm)における透過率が低い。
以下、一般式(1)で表されるアゾ顔料について説明する。
【0031】
【化5】



【0032】
〔一般式(1)中、Gは、水素原子、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、Rは、アミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、Rは置換基を表す。
Aは、下記一般式(A−1)〜(A−32)のいずれかを表す。
mは0〜5の整数を表し、nは1〜4の整数を表す。
n=2の場合は、R、R、AまたはGを介した2量体を表す。
n=3の場合はR、R、AまたはGを介した3量体を表す。
n=4の場合はR、R、AまたはGを介した4量体を表す。
一般式(1)がイオン性親水性基を有することはない。〕
【0033】
【化6】



【0034】
〔一般式(A−1)〜(A−32)中、R51〜R59は各々独立に水素原子、置換基を表し、隣接する置換基は互いに結合し、5〜6員環を形成していてもよい。*は一般式(1)のアゾ基との結合位置を表す。〕
【0035】
Gで表される脂肪族基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。Gで表される脂肪族基として、好ましくは総炭素原子数1〜8の脂肪族基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜4のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、ビニル、シクロヘキシル、カルバモイルメチル等が挙げられる。
【0036】
一般式(1)中、Gで表されるアリール基としては、縮環していてもよく、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としては、ニトロ基、ハロゲン原子、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。Gで表されるアリール基として、好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、より好ましくは総炭素原子数6〜10のアリール基であり、例えばフェニル、4−ニトロフェニル、4−アセチルアミノフェニル、4−メタンスルホニルフェニル等が挙げられる。
【0037】
一般式(1)中、Gで表されるヘテロ環基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、縮環していてもよい。置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としてはハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。Gで表されるヘテロ環基として、好ましくは総炭素原子数2〜12の炭素原子で結合したヘテロ環基であり、より好ましくは炭素原子で結合した総炭素原子数2〜10の5〜6員へテロ環であり、例えば2−テトラヒドロフリル、2−ピリミジル等が挙げられる。
【0038】
Gとして好ましくは、水素原子である。これは分子内水素結合又は分子内交叉水素結合を形成しやすくなるためである。
【0039】
で表されるアミノ基としては、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基であって、置換可能な基であればなんでもよく、置換基として好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等が挙げられる。
これらの置換基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、脂肪族基、ヒドロキシ基、アミド結合、エーテル結合、オキシカルボニル結合、チオエーテル結合等を有する置換基が好ましく、ヘテロ原子と水素原子の結合を有する置換基が、分子間水素結合等の分子間相互作用をし易くする観点でより好ましい。
で表される置換基を有してもよいアミノ基として、好ましくは無置換のアミノ基、総炭素原子数1〜10のアルキルアミノ基、総炭素原子数2〜10のジアルキルアミノ基(ジアルキル基が互いに結合し、5〜6員環を形成していても良い)、総炭素原子数6〜12のアリールアミノ基、総炭素原子数2〜12の飽和であっても、不飽和であってもよいヘテロ環アミノ基であり、より好ましくは、無置換のアミノ基、総炭素原子数1〜8のアルキルアミノ基、総炭素原子数2〜8のジアルキルアミノ基、総炭素原子数6〜10のアリールアミノ基、総炭素原子数2〜12の飽和であっても、不飽和であってもよいヘテロ環アミノ基であり、例えばメチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N−フェニルアミノ、N−(2−ピリミジル)アミノ等が挙げられる。
更に好ましくは、置換基を有していても良い総炭素原子数6〜13のアリールアミノ基及び置換基を有していても良い総炭素原子数2〜12の飽和であっても、不飽和であってもよいヘテロ環アミノ基である。
がアリールアミノ基の場合、アリール基上の置換基が、アミノ基との結合位置からパラ位に置換基を有する場合が好ましく、パラ位にのみ置換基を有する場合が最も好ましい。その置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で置換可能な基であればなんでも良く、好ましくは、総炭素原子数1〜7、より好ましくは総炭素原子数1〜4の置換基を有していても良い脂肪族基(例えばメチル、エチル、アリル、(i)−プロピル、(t)−ブチル等)、総炭素原子数1〜7の置換基を有していても良い脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、(i)−プロピルオキシ、アリルオキシ等)、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素等)、総炭素原子数1〜7の置換基を有していても良いカルバモイル基(例えばカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−メチルカルバモイル等)、総炭素原子数1〜7、より好ましくは総炭素原子数1〜4の置換基を有していても良いウレイド基(例えばウレイド、N−メチルウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N−4−ピリジルウレイド、N−フェニルウレイド等)、ニトロ基、総炭素原子数1〜7の該アリール基と縮環したヘテロ環(例えばイミダゾロン)、ヒドロキシ基、総炭素原子数1〜7、より好ましくは総炭素原子数1〜4の置換基を有していても良い脂肪族チオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、(i)−プロピルチオ、アリルチオ、(t)−ブチルチオ等)、総炭素原子数2〜7、より好ましくは総炭素原子数2〜4の置換基を有していても良いアシルアミノ基(例えばアセトアミノ、プロピオニルアミノ、ピバロイルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、総炭素原子数2〜7、より好ましくは総炭素原子数2〜4の置換基を有していても良い脂肪族オキシカルボニルアミノ基(例えばメトキシカルボニルアミノ、プロピルオキシカルボニルアミノ等)、総炭素原子数2〜7、より好ましくは総炭素原子数2〜4の置換基を有していても良い脂肪族オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、総炭素原子数2〜7、より好ましくは総炭素原子数2〜4の置換基を有していても良いアシル基(脂肪族カルボニル基であっても、アリールカルボニル基であっても、ヘテロ環カルボニル基であってもよく、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。好ましくは総炭素原子数2〜7のアシル基であり、より好ましくは総炭素原子数2〜4のアシル基であり、例えばアセチル、プロパノイル、ベンゾイル、3−ピリジンカルボニル等が挙げられる。)等が挙げられる。
アリールアミノ基のアリール基上の置換基が、アミノ基との結合位置からパラ位に置換した場合、置換基が分子の末端にあるために、分子間水素結合等の分子間相互作用をし易く、そのために色相がシャープになる。該アリール基上の置換基が更に置換基を有する場合は、脂肪族基、ヒドロキシ基、アミド結合、エーテル結合、オキシカルボニル結合、チオエーテル結合等を有する置換基が好ましく、ヘテロ原子と水素原子の結合を有する置換基が、分子間水素結合等の分子間相互作用をし易くする観点でより好ましい。
がへテロ環アミノ基の場合、その置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で置換可能な基であればなんでも良く、好ましくは、前記アリールアミノ基の場合と同じ置換基が好ましいが、該ヘテロ環基上の置換基が更に置換基を有する場合は、脂肪族基、ヒドロキシ基、アミド結合、エーテル結合、オキシカルボニル結合、チオエーテル結合等を有する置換基が好ましく、ヘテロ原子と水素原子の結合を有する置換基が、分子間水素結合等の分子間相互作用をし易くする観点でより好ましい。
【0040】
がアリールアミノ基、へテロ環アミノ基の場合のより好ましい置換基としては、脂肪族基、脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、カルバモイル基、該アリール基と縮環したへテロ環、脂肪族オキシカルボニル基である。置換基として更に好ましくは総炭素原子数1〜4の脂肪族基、総炭素原子数1〜4の脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、総炭素原子数1〜4のカルバモイル基、総炭素原子数2〜4の脂肪族オキシカルボニル基である。
【0041】
で表される脂肪族オキシ基としては、置換基を有していてもよく、置換基としては、前述の置換基の項で述べた基であって、置換可能な基であればなんでもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。Rの脂肪族オキシ基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルコキシ基であって、より好ましくは総炭素原子数1〜4のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ、エトキシ、(t)−ブトキシ、メトキシエトキシ、カルバモイルメトキシ等が挙げられる。
【0042】
で表される脂肪族基としては、置換基を有していてもよく、置換基としては、前述の置換基の項で述べた基であって、置換可能な基であればなんでもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。Rの脂肪族基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキル基であって、より好ましくは総炭素数数1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、(s)−ブチル、メトキシエチル、カルバモイルメチル等が挙げられる。
【0043】
で表されるアリール基としては、置換基を有していてもよく、置換基としては、前述の置換基の項で述べた基であって、置換可能な基であればなんでもよく、好ましい置換基としては、脂肪族基、脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、カルバモイル基、該アリール基と縮環したへテロ環、脂肪族オキシカルボニル基である。Rのアリール基として、好ましくは総炭素原子数6〜12のアリール基であって、より好ましくは総炭素原子数6〜10のアリール基であり、例えば、フェニル、4−メチルフェニル、3−クロルフェニル等が挙げられる。
【0044】
で表されるヘテロ環基としては、飽和ヘテロ環であっても、不飽和ヘテロ環基であってもよく、置換基を有していてもよく、置換基としては、前述の置換基の項で述べた基であって、置換可能な基であればなんでもよく、好ましい置換基としては、脂肪族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、該へテロ基と縮環したへテロ環、脂肪族オキシカルボニル基である。Rのヘテロ環基として、好ましくは総炭素原子数2〜10のヘテロ環基であって、より好ましくは総炭素原子数2〜8の窒素原子で結合した5〜6員環の非芳香族ヘテロ環基であり、例えば、1−ピペリジル、4−モルホリニル、1−キノイル、2−ピリミジル、4−ピリジル等が挙げられる。
【0045】
として好ましくは、置換基を有していてもよいアミノ基、脂肪族オキシ基、窒素原子で結合した5〜6員環の非芳香族ヘテロ環基の場合であり、より好ましくは、置換基を有していてもよいアミノ基、脂肪族オキシ基、更に好ましくは置換基を有していてもよいアミノ基である。
【0046】
として好ましくは、置換基を有していてもよいアミノ基の場合である。
【0047】
で表される置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であればなんでもよく、好ましくは脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、置換基を有していてもよいカルバモイルアミノ基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、置換基を有していてもよいカルバモイルアミノ基、脂肪族オキシ基、ハロゲン原子であり、最も好ましくは、脂肪族オキシ基である。
これらの置換基が更に置換基を有する場合は、脂肪族基、ヒドロキシ基、アミド結合、エーテル結合、オキシカルボニル結合、チオエーテル結合等を有する置換基が好ましく、ヘテロ原子と水素原子の結合を有する置換基が、分子間水素結合等の分子間相互作用をし易くする観点でより好ましい。
【0048】
mは、0〜3である場合が好ましく、0〜1である場合はより好ましく、0である場合は更に好ましい。
nは1又は2である場合が好ましい。
【0049】
で表される脂肪族基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rの脂肪族基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキル基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、i−プロピル、シクロヘキシル、t−ブチル等が挙げられる。
【0050】
で表されるアリール基としては、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rのアリール基として、好ましくは総炭素原子数6〜12のアリール基であり、より好ましくは総炭素原子数6〜10のアリール基であり、例えばフェニル、3−メトキシフェニル、4−カルバモイルフェニル等が挙げられる。
【0051】
で表されるヘテロ環基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、縮環していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rのヘテロ環基として、好ましくは総炭素原子数2〜16のヘテロ環基であり、より好ましくは総炭素原子数2〜12の5〜6員環のヘテロ環基であり、例えば1−ピロリジニル、4−モルホリニル、2−ピリジル、1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ベンゾイミダゾリル等が挙げられる。
【0052】
で表される脂肪族オキシカルボニル基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rの脂肪族オキシカルボニル基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルコキシカルボニル基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル、i−プロピルオキシカルボニル、カルバモイルメトキシカルボニル等が挙げられる。
【0053】
で表されるカルバモイル基としては、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等である。Rの置換基を有していてもよいカルバモイル基として、好ましくはカルバモイル基、総炭素原子数2〜9のアルキルカルバモイル基、総炭素原子数3〜10のジアルキルカルバモイル基、総炭素原子数7〜13のアリールカルバモイル基、総炭素原子数3〜12のヘテロ環カルバモイル基であり、より好ましくはカルバモイル基、総炭素原子数2〜7のアルキルカルバモイル基、総炭素原子数3〜6のジアルキルカルバモイル基、総炭素原子数7〜11のアリールカルバモイル基、総炭素原子数3〜10のヘテロ環カルバモイル基であり、例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、フェニルカルバモイル、4−ピリジンカルバモイル等が挙げられる。
【0054】
で表されるアシルアミノ基としては、置換基を有していてもよく、脂肪族であっても、芳香族であっても、ヘテロ環であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rのアシルアミノ基として、好ましくは総炭素原子数2〜12のアシルアミノ基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜8のアシルアミノ基であり、更に好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキルカルボニルアミノ基であって、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、2−ピリジンカルボニルアミノ、プロパノイルアミノ等が挙げられる。
【0055】
で表されるスルホンアミド基としては、置換基を有していてもよく、脂肪族であっても、芳香族であっても、ヘテロ環であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rのスルホンアミド基として、好ましくは総炭素原子数1〜12のスルホンアミド基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜8のスルホンアミド基であり、更に好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキルスルホンアミド基であって、例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、2−ピリジンスルホンアミド等が挙げられる。
【0056】
で表されるカルバモイルアミノ基としては置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等である。Rの置換基を有していてもよいカルバモイルアミノ基として、好ましくはカルバモイルアミノ基、総炭素原子数2〜9のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜10のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7〜13のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜12のヘテロ環カルバモイルアミノ基であり、より好ましくはカルバモイルアミノ基、総炭素原子数2〜7のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜6のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7〜11のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜10のヘテロ環カルバモイルアミノ基であり、例えば、カルバモイルアミノ、メチルカルバモイルアミノ、N,N−ジメチルカルバモイルアミノ、フェニルカルバモイルアミノ、4−ピリジンカルバモイルアミノ等が挙げられる。
【0057】
で表されるスルファモイル基としては置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等である。Rの置換基を有していてもよいスルファモイル基として、好ましくはスルファモイル基、総炭素原子数1〜9のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数2〜10のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数7〜13のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2〜12のヘテロ環スルファモイル基であり、より好ましくはスルファモイル基、総炭素原子数1〜7のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数3〜6のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数6〜11のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2〜10のヘテロ環スルファモイル基であり、例えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル、4−ピリジンスルファモイル等が挙げられる。
【0058】
で表される脂肪族オキシ基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rの脂肪族オキシ基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルコキシ基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルコキシ基であり、例えばメトキシ、エトキシ、i−プロピルオキシ、シクロヘキシルオキシ、メトキシエトキシ等が挙げられる。
【0059】
で表される脂肪族チオ基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rの脂肪族チオ基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキルチオ基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルキルチオ基であり、例えばメチルチオ、エチルチオ、カルバモイルメチルチオ、t−ブチルチオ等が挙げられる。
【0060】
で表されるハロゲン原子としては、好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子であり、より好ましくは塩素原子が挙げられる。
本発明の効果の点で、Rは、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基である場合が好ましい。本発明の効果の点で、mは0又は1である場合が好ましく、0である場合は更に好ましい。
【0061】
Aで表される一般式(A−1)〜(A−32)について説明する。一般式(A−1)〜(A−32)で表される部位は、好ましくは、総炭素原子数2〜15であって、より好ましくは総炭素原子数2〜12である。
【0062】
51〜R54で表される置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。R51〜R54の置換基として、好ましくは脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等であり、より好ましくは脂肪族基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、脂肪族オキシ基、シアノ基等である。
【0063】
本発明の効果の点でR51〜R54は水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等である場合が好ましく、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、脂肪族オキシ基、シアノ基である場合はより好ましい。
【0064】
55で表される置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。R55の置換基として、好ましくは脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等であり、より好ましくは脂肪族基、アリール基、窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基である。
【0065】
本発明の効果の点で、R55は脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基である場合が好ましく、脂肪族基、アリール基、窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基である場合はより好ましく、窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基である場合は更に好ましい。R55が窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基あることにより、色素分子の分子間相互作用だけでなく、分子内相互作用を強固に形成しやすくなる。それにより安定な分子配列の顔料を構成しやすくなり、良好な色相、高い堅牢性(耐光・ガス・熱・水等)を示す点で好ましい。
本発明の効果の点で、R55として好ましい、窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基としては、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基であり、飽和へテロ環であっても不飽和へテロ環であっても、縮環へテロ環であってもよく、好ましくは総炭素原子数2〜12の窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基であり、より好ましくは総炭素原子数2〜10の窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基である。例えば、2−チアゾリル、2−ベンゾチアゾリル、2−オキサゾリル、2−ベンゾオキサゾリル、2−ピリジル、2−ピラジニル、3−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、2−イミダゾリル、2−ベンズイミダゾリル、2−トリアジニル等が挙げられ、これらのヘテロ環基は置換基と共に互変異性体構造であってもよい。
【0066】
本発明の効果の点で、R55として好ましいアリール基としては、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、ニトロ基、脂肪族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。R55のアリール基として、好ましくは総炭素原子数6〜12のアリール基であり、より好ましくは総炭素原子数6〜10のアリール基であり、例えばフェニル、3−メトキシフェニル、4−カルバモイルフェニル等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
本発明の効果の点で、R55として好ましい脂肪族基としては、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、ニトロ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。R55の脂肪族基として、好ましくは総炭素原子数1〜6のアルキル基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜4の脂肪族基であり、例えばメチル、エチル、メトキシエチル、カルバモイルメチル等が挙げられ、メチル基が好ましい。
【0067】
一般式(1)中、R55としては、下記(Y−1)〜(Y−13)のいずれかである場合が好ましく、分子内水素結合構造をとり易い構造にするために6員環の下記(Y−1)〜(Y−6)のいずれかである場合はより好ましく、下記(Y−1)、(Y−3)、(Y−4)、(Y−6)のいずれかである場合は更に好ましく、下記(Y−1)、又は(Y−4)である場合は特に好ましい。一般式(Y−1)〜(Y−13)中の*は、ピラゾール環のN原子との結合部位を表す。Y〜Y11は水素原子又は置換基を表す。(Y−13)におけるG11は5〜6員ヘテロ環を構成する事ができる非金属原子群を表し、G11で表されるヘテロ環は無置換であっても、置換基を有していてもよく、ヘテロ環は単環であっても縮環していてもよい。式(Y−1)〜(Y−13)は置換基と共に互変異性体構造であってもよい。
【0068】
【化7】



【0069】
〜Y11で表される置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Y〜Y11の置換基として、好ましくは脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等であり、より好ましくは脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等である。Y〜Y11中隣接する2つの置換基は5〜6員環を形成していても良い。
本発明の効果の点でY〜Y11は水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等である場合が好ましく、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、脂肪族オキシ基、シアノ基である場合はより好ましい。
本発明の効果の点でAは、色相の点から5員環へテロ環である場合が好ましく、含窒素あるいは含硫黄5員へテロ環である場合がより好ましく、ヘテロ原子を2個以上含有する5員へテロ環である場合は更に好ましい。
【0070】
56〜R57、R59で表される置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。R56〜R57、R59の置換基として、好ましくは脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等であり、より好ましくは脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等である。
【0071】
本発明の効果の点で、R56〜R57、R59は脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等である場合が好ましく、脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基である場合はより好ましい。
【0072】
58で表される置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。本発明の効果の点で、R58として、好ましくは、ヘテロ環基、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の電子求引性基であり、σp値が0.3以上の電子求引性基であることが好ましい。上限としては1.0以下の電子求引性基である。
【0073】
σp値が0.2以上の電子求引性基であるR58の具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、σp値が0.20以上の他の電子求引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、又はセレノシアネート基が挙げられる。
また、本発明の効果の点で、R58として、前記(Y−1)〜(Y−13)である場合も好ましく、分子内水素結合構造をとり易い構造にするために6員環の下記(Y−1)〜(Y−6)のいずれかである場合はより好ましく、前記(Y−1)、(Y−3)、(Y−4)、(Y−6)のいずれかである場合は更に好ましく、前記(Y−1)、又は(Y−4)である場合は特に好ましい。
Aとして挙げられた(A−1)〜(A−32)の複素環の中でも、アゾ基に結合する炭素原子に隣接する原子がヘテロ原子であれば、光、熱堅牢性が高い方向であり、このような構造的特徴を有する顔料をカラーフィルタに用いることで、高いコントラストを示すカラーフィルタを得ることができるため好ましい。
【0074】
本発明の効果の点で、一般式(1)で表されるアゾ顔料は、Gが水素原子であって、Rが置換基を有していてもよいアミノ基、又は窒素原子で結合した飽和ヘテロ環基であって、mが0又は1であって、mが1の場合は、Rが脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、又は脂肪族オキシ基であって、Aが、(A−1)、(A−10)〜(A−17)、(A−20)〜(A-23)、(A−27)、(A−28)、(A−30)〜(A−32)のいずれかであって、nが1又は2である場合が好ましく、Gが水素原子であって、Rが置換基を有していてもよいアミノ基、又は窒素原子で結合した飽和ヘテロ環基であって、mが0又は1であって、mが1の場合は、Rが脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、又は脂肪族オキシ基であって、Aが、(A−1)、(A−10)、(A−11)、(A−13)〜(A−17)、(A−20)、(A−22)〜(A-23)、(A−27)、(A−28)、(A−30)〜(A−32)のいずれかであって、nが1又は2である場合がより好ましく、Gが水素原子であって、Rが置換基を有していてもよいアミノ基、又は窒素原子で結合した飽和ヘテロ環基であって、mが0であって、Aが、(A−10)、(A−11)、(A−13)〜(A−17)、(A−20)、(A−22)〜(A−23)、(A−27)、(A−28)、(A−30)〜(A−32)のいずれかであって、nが1又は2である場合がさらに好ましく、Gが水素原子であって、Rが置換基を有していてもよいアミノ基であって、mが0であって、Aが、(A−16)〜(A−17)、(A−20)、(A−28)、(A−32)のいずれかであって、nが1又は2である場合が特に好ましく、Gが水素原子であって、Rが置換基を有していてもよいアミノ基であって、mが0であって、Aが(A−16)であってnが1又は2である場合が最も好ましい。
【0075】
本発明の効果の点で、一般式(1)で表されるアゾ顔料は、下記一般式(2)で表されるアゾ顔料であることがより好ましい。
一般式(2)で表されるアゾ顔料は、ZあるいはR55とナフタレン環のヒドロキシ基と、アゾ基で交叉水素結合を形成し、顔料構造の平面性を上げ、分子内、分子間相互作用が強くなり、その結果、光堅牢性、熱堅牢性、耐溶剤性等が大幅に向上するため好ましい。
【0076】
以下、一般式(2)で表されるアゾ顔料、その互変異性体、それらの塩又は水和物について詳細に説明する。
【0077】
【化8】



【0078】
(一般式(2)中、R21、R22、R55、R59、m、及びnは一般式(1)で定義したR、R、R55、R59、m、及びnと同じである。Zはハメットのσp値が0.2以上の電子求引性基を表す。n=2の場合は、R21、R22、R55、R59又はZを介した2量体を表す。n=3の場合はR21、R22、R55、R59又はZを介した3量体を表す。n=4の場合はR21、R22、R55、R59又はZを介した4量体を表す。一般式(2)がイオン性親水性基を有することはない。)
【0079】
Zで表されるハメットのσp値が0.2以上の置換基としては前述の一般式(1)のR58の説明で述べた基が挙げられる。
【0080】
一般式(2)で表されるアゾ顔料のR21、R22、R55、R59、m、nの好ましい置換基、範囲は、一般式(1)のR、R、R55、R59、m、及びnと同じである。
本発明の効果の点で、Zとしては、アシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、スルファモイル基が好ましく、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基がより好ましく、シアノ基である場合が最も好ましい。
【0081】
本発明の効果の点で、一般式(2)で表されるアゾ顔料は、R21が置換基を有していてもよいアミノ基であって、mが0又は1であって、mが1の場合は、R22が脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、又は脂肪族オキシ基であって、R55が、該結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基であって、R59が水素原子又は脂肪族基であって、Zがアシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、又はスルファモイル基であって、nが1又は2である場合が好ましく、R21が置換基を有していてもよいアミノ基であって、mが0であって、R55が、(Y−1)〜(Y−13)のいずれかであって、R59が水素原子又は脂肪族基であって、Zがカルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、又はシアノ基であって、nが1又は2である場合がより好ましく、R21が置換基を有していてもよいアミノ基であって、mが0であって、R55が、(Y−1)〜(Y−6)のいずれかであって、R59が水素原子又は脂肪族基であって、Zがカルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、又はシアノ基であって、nが1又は2である場合が更に好ましく、R21が置換基を有していてもよいアミノ基であって、mが0であって、R55が、(Y−1)、(Y−4)、又は(Y−6)であって、R59が水素原子であって、Zがシアノ基であって、nが1又は2である場合が更に好ましい。
【0082】
本発明の効果の点で、一般式(1)又は一般式(2)で表されるアゾ顔料は、「総炭素数/アゾ基の数」が40以下であることが好ましく、30以下である場合はより好ましい。本発明の効果の点で、一般式(1)又は一般式(2)で表されるアゾ顔料は、「分子量/アゾ基の数」が700以下であることが好ましい。本発明の効果の点で、一般式(1)又は一般式(2)で表されるアゾ顔料は、スルホ基、カルボキシル基等イオン性置換基が置換していない場合が好ましい。
【0083】
前記一般式(1)で表されるアゾ化合物は、他の態様においては、Aが(A−1)〜(A−9)、(A−11)〜(A−13)、(A−17)、(A−20)〜(A−23)、(A−27)、(A−28)、(A−30)〜(A−32)であることが好ましく、(A−11)〜(A−13)、(A−17)、(A−20)〜(A−23)、(A−27)、(A−28)、(A−30)〜(A−32)であることがより好ましく、(A−17)、(A−20)、(A−22)〜(A−23)、(A−27)、(A−28)、(A−31)、(A−32)であることがより好ましく、(A−20)、(A−28)、(A−32)であることが更に好ましく、(A−20)であることが最も好ましい。また、(A−20)のR56がR59であることが特に好ましい。
【0084】
本発明は、一般式(1)又は一般式(2)で表されるアゾ顔料の互変異性体もその範囲に含むものである。一般式(1)又は一般式(2)は、化学構造上取りうる数種の互変異性体の中から極限構造式の形で示しているが、記載された構造以外の互変異性体であってもよく、複数の互変異性体を含有した混合物として用いてもよい。
例えば、一般式(1)で表されるアゾ顔料には、下記一般式(1’)で表されるアゾ−ヒドラゾンの互変異性体が考えられる。
本発明は、一般式(1)で表されるアゾ顔料の互変異性体である以下の一般式(1’)で表される顔料もその範囲に含むものである。
【0085】
【化9】




【0086】
一般式(1’)中、G、R、R、m、n、及びAは一般式(1)で定義したものと同じである。
【0087】
一般式(1)で表されるアゾ顔料のうち、前述したように特に好ましいアゾ顔料の一般式の例としては、下記一般式(3−1)〜一般式(3−4)で表されるアゾ顔料を挙げることができる。上記一般式(1)で表されるアゾ顔料は、下記一般式(3−1)〜一般式(3−4)で表されるアゾ顔料であることが好ましい。
【0088】
以下、一般式(3−1)〜一般式(3−4)により表されるアゾ顔料、その互変異性体、それらの塩又は水和物について詳細に説明する。
【0089】
【化10】



【0090】
(一般式(3−1)〜一般式(3−4)中、R、R、m、及びnは一般式(1)及び一般式(2)で定義したものと同じである。Xは炭素原子又は窒素原子を表し、Ax及びBxは、X及び該炭素原子と共に芳香族5〜6員ヘテロ環基を表し、詳しくは一般式(1)のAで定義した(A−1)〜(A−32)の中で該当するものを表す。Yxは該窒素原子及び炭素原子と共に一般式(1)のR55で定義したへテロ環基のうち該当するものを表す。R23は一般式(1)で規定したR51、R54、R57、R58等の置換基の内、該当する置換基からカルボニル基を除いた基に相当する置換基を表す。R'は一般式(1)で規定したRのアミノ基から−NH−を除いた相当する置換基を表す。)
【0091】
上記一般式(1)、(2)、(3−1)〜(3−4)で表されるアゾ顔料において多数の互変異性体が考えられる。
また、本発明において、一般式(1)で表されるアゾ顔料は、分子内水素結合又は分子内交叉水素結合を形成する置換基を有することが好ましい。少なくとも1個以上の分子内水素結合を形成する置換基を有することがより好ましく、少なくとも1個以上の分子内交叉水素結合を形成する置換基を有することが特に好ましい。
【0092】
この構造が好ましい要因としては、一般式(3−1)〜(3−4)で示すようにアゾ顔料構造に含有するヘテロ環基を構成する窒素原子、ナフタレン置換基のヒドロキシ基の水素原子及び酸素原子、及びアゾ基又はその互変異性体であるヒドラゾン基の窒素原子、あるいはアゾ顔料構造に含有するアゾ成分に置換するカルボニル基、ナフタレン置換基のヒドロキシ基の水素原子及び酸素原子、及びアゾ基又はその互変異性体であるヒドラゾン基の窒素原子が分子内の交叉水素結合を容易に形成し易いことが挙げられる。
その結果、分子の平面性が上がり、更に分子内・分子間相互作用が向上し、一般式(3−1)又は一般式(3−4)で表されるアゾ顔料の結晶性が高くなり(高次構造を形成し易くなり)、顔料としての要求性能である、光堅牢性、熱安定性、湿熱安定性、耐水性、耐ガス性及び又は耐溶剤性が大幅に向上するため、更に好ましい例となる。
この観点からも、一般式(1)で表されるアゾ顔料は、一般式(2)、(3−1)〜(3−4)で表される顔料であることが好ましく、一般式(2)、(3−1)又は(3−2)で表される顔料がより好ましく、一般式(2)で表されるアゾ顔料が特に好ましい。
【0093】
以下に前記一般式(1)で表されるアゾ顔料及びアゾ化合物の具体例を以下に示すが、本発明に用いられるアゾ顔料は、下記の例に限定されるものではない。また、以下の具体例の構造は化学構造上取りうる数種の互変異性体の中から極限構造式の形で示されるが、記載された構造以外の互変異性体構造であってもよいことは言うまでもない。
【0094】
【化11】



【0095】
【化12】



【0096】
【化13】



【0097】
【化14】



【0098】
【化15】



【0099】
【化16】



【0100】
【化17】



【0101】
【化18】



【0102】
【化19】



【0103】
【化20】



【0104】
【化21】



【0105】
【化22】



【0106】
【化23】



【0107】
【化24】



【0108】
【化25】



【0109】
【化26】



【0110】
【化27】



【0111】
【化28】



【0112】
【化29】



【0113】
【化30】



【0114】
【化31】



【0115】
【化32】




【0116】
【化33】




【0117】
本発明の一般式(1)で表されるアゾ顔料は、化学構造式が一般式(1)若しくは一般式(2)又はその互変異性体であればよく、多形とも呼ばれるいかなる結晶形態の顔料であってもよい。
【0118】
結晶多形は、同じ化学組成を有するが、結晶中におけるビルディングブロック(分子又はイオン)の配置が異なることを言う。結晶構造によって化学的及び物理的性質が決定され、各多形は、レオロジー、色、及び他の色特性によってそれぞれ区別することができる。また、異なる多形は、X−Ray Diffraction(粉末X線回折測定結果)やX−Ray Analysis(X線結晶構造解析結果)によって確認することもできる。
【0119】
前記一般式(1)又は一般式(2)で表されるアゾ顔料に結晶多形が存在する場合、どの多形であってもよく、また2種以上の多形の混合物であってもよいが、結晶型が単一のものを主成分とすることが好ましい。すなわち結晶多形が混入していないものが好ましく、単一の結晶型を有するアゾ顔料の含有量はアゾ顔料全体に対し70%〜100%、好ましくは80%〜100%、より好ましくは90%〜100%、更に好ましくは95%〜100、特に好ましくは100%である。単一の結晶型を有するアゾ顔料を主成分とすることで、色素分子の配列に対して規則性が向上し、分子内・分子間相互作用が強まり高次な3次元ネットワークを形成しやすくなる。その結果として色相の向上・光堅牢性・熱堅牢性・湿度堅牢性・酸化性ガス堅牢性及び耐溶剤性等、顔料に要求される性能の点で好ましい。
アゾ顔料における結晶多形の混合比は、単結晶X線結晶構造解析、粉末X線回折(XRD)、結晶の顕微鏡写真(TEM)、IR(KBr法)等の固体の物理化学的測定値から確認できる。
【0120】
上述した互変異性及び/又は結晶多形の制御は、カップリング反応の際の製造条件で制御することができる。
【0121】
また、本発明において一般式(1)で表されるアゾ顔料は、酸基のある場合には、酸基の一部あるいは全部が塩型のものであってもよく、塩型の顔料と遊離酸型の顔料が混在していてもよい。上記の塩型の例としてNa、Li、K等のアルカリ金属の塩、アルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムの塩、又は有機アミンの塩が挙げられる。有機アミンの例として、低級アルキルアミン、ヒドロキシ置換低級アルキルアミン、カルボキシ置換低級アルキルアミン及び炭素数2〜4のアルキレンイミン単位を2〜10個有するポリアミン等が挙げられる。これらの塩型の場合、その種類は1種類に限られず複数種混在していてもよい。
【0122】
更に、本発明で使用する顔料の構造において、その1分子中に酸基が複数個含まれる場合は、その複数の酸基は塩型あるいは酸型であり互いに異なるものであってもよい。
【0123】
本発明において、前記一般式(1)で表されるアゾ顔料は、結晶中に水分子を含む水和物であってもよい。
【0124】
本発明の顔料分散組成物は、一般式(1)で表されるアゾ顔料を二種以上含むものでもよい。
なお、本明細書において、「一般式(1)で表されるアゾ顔料」なる語は、一種の一般式(1)で表されるアゾ顔料のみならず、二種以上の一般式(1)で表されるアゾ化合物の組み合わせ、及び一般式(1)で表されるアゾ顔料と後述する他の顔料の組み合わせを含む意味で用いられる。
【0125】
次に上記一般式(1)で表されるアゾ顔料の製造方法の一例について説明する。例えば、下記一般式(4)で表されるヘテロ環アミンを非水系酸性でジアゾニウム化し、下記一般式(5)で表される化合物と酸性状態でカップリング反応を行い、常法による後処理を行って本発明の一般式(6)で表されるアゾ顔料を製造することができる。一般式(4)に代えて一般式(1)のAに対応するヘテロ環アミンを用い、同様の操作を行うことにより一般式(1)で表されるアゾ顔料を製造することができる。
【0126】
【化34】



【0127】
(式中、R55、R58及びR59は、前記一般式(2)で定義したものと同義である。)
【0128】
【化35】



【0129】
(式中、R、R及びmは、前記一般式(1)で定義したものと同義である。)
以下に反応スキームを示す。
【0130】
【化36】



【0131】
(式中G、R、R、R55、R58、R59、m、及びnは一般式(1)又は一般式(2)で定義したものと同義である。)
【0132】
上記一般式(4)及び(A−1)〜(A−32)のアミノ体で表されるヘテロ環アミンは、市販品で入手することができるものもあるが、一般的には公知慣用の方法、例えば特許第4022271号公報に記載の方法で製造することができる。上記一般式(5)で表されるヘテロ環カプラ−は、市販品で入手することもできるが、特開2008−13472号公報に記載の方法及びそれに準じた方法で製造することができる。上記反応スキームで表されるヘテロ環アミンのジアゾニウム化反応は例えば、硫酸、リン酸、酢酸などの酸性溶媒中、亜硝酸ナトリウム、ニトロシル硫酸、亜硝酸イソアミル等の試薬と15℃以下の温度で10分〜6時間程度反応させることで行うことができる。カップリング反応は、上述の方法で得られたジアゾニウム塩と上記一般式(5)で表される化合物とを40℃以下、好ましくは25℃以下で10分〜12時間程度反応させることで行うことができる。
一般式(1)又は一般式(2)においてnが2以上である形態のアゾ顔料の合成方法は、一般式(4)又は一般式(5)のR〜R、R55、R59、R58等において、置換可能な2価、3価あるいは4価の置換基を導入した原料を合成し、前記スキームと同様に合成することができる。
このようにして反応させたものは、結晶が析出しているものもあるが、一般的には反応液に水、あるいはアルコール系溶媒を添加し、結晶を析出させ、結晶を濾取することができる。また、反応液にアルコール系溶媒、水等を添加して結晶を析出させて、析出した結晶を濾取することができる。濾取した結晶を必要に応じて洗浄・乾燥して、一般式(1)で表されるアゾ顔料を得ることができる。
【0133】
上記の製造方法によって、上記一般式(1)又は一般式(2)で表されるアゾ顔料は粗アゾ顔料(クルード)として得られるが、本発明の顔料として用いる場合、後処理を行うことが望ましい。この後処理の方法としては、例えば、ソルベントソルトミリング、ソルトミリング、ドライミリング、ソルベントミリング、アシッドペースティング等の磨砕処理、溶媒加熱処理などによる顔料粒子制御工程、樹脂、界面活性剤及び分散剤等による表面処理工程が挙げられる。
【0134】
本発明の一般式(1)又は一般式(2)で表されるアゾ顔料は後処理として溶媒加熱処理及び/又はソルベントソルトミリングを行うことが好ましい。
ソルベントソルトミリングを行うことにより、一般式(1)で表されるアゾ顔料の平均一次粒子径を上記好ましい範囲により容易に調整できる。
溶媒加熱処理に使用される溶媒としては、例えば、水、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の極性非プロトン性有機溶媒、氷酢酸、ピリジン、又はこれらの混合物等が挙げられる。上記で挙げた溶媒に、さらに無機又は有機の酸又は塩基を加えてもよい。溶媒加熱処理の温度は所望する顔料の一次粒子径の大きさによって異なるが、40〜150℃が好ましく、60〜100℃がさらに好ましい。また、処理時間は、30分〜24時間が好ましい。
【0135】
ソルベントソルトミリングとしては、例えば、粗アゾ顔料と、無機塩と、それを溶解しない有機溶剤とを混練機に仕込み、その中で混練磨砕を行うことが挙げられる。
上記無機塩としては、水溶性無機塩が好適に使用でき、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を用いることが好ましい。
また、平均粒子径0.5〜50μmの無機塩を用いることがより好ましい。当該無機塩の使用量は、粗アゾ顔料に対して3〜20質量倍とするのが好ましく、5〜15質量倍とするのがより好ましい。
有機溶剤としては、水溶性有機溶剤が好適に使用でき、混練時の温度上昇により溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から高沸点溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、例えばジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングルコール、液体ポリプロピレングリコール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2ー(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール又はこれらの混合物が挙げられる。当該水溶性有機溶剤の使用量は、粗アゾ顔料に対して0.1〜5質量倍が好ましい。混練温度は、20〜130℃が好ましく、40〜110℃が特に好ましい。混練機としては、例えばニーダーやミックスマーラー等が使用できる。
【0136】
また、ソルベントソルトミリングとしては、特開2009−263501号公報段落0007〜段落0071に記載の方法を用いることも好ましい。
即ち、この好ましいソルベントソルトミリングは、摩砕剤として、平均粒子径が5.5μm以下であり、かつ粒径10.0μm以上の含有量が5体積%以下である顔料摩砕用無水硫酸ナトリウムを用いるソルベントソルトミリングである。
ここで、前記顔料摩砕用無水硫酸ナトリウムは、平均粒子径が2.0μm以上4.0μm以下であり、かつ粒径10.0μm以上の含有量が1体積%以下であることが好ましい。また、前記顔料摩砕用無水硫酸ナトリウムは、水分の含有量が1.0重量%以下であることが好ましい。また、前記顔料摩砕用無水硫酸ナトリウムは、固結防止剤を含有することが好ましい。
【0137】
<その他の顔料>
本発明の顔料分散組成物は、本発明の目的を妨げない範囲において、前記一般式(1)で表されるアゾ顔料とともに、前記一般式(1)で表されるアゾ顔料以外のその他の顔料を含んでいてもよい。
前記その他の顔料としては特に限定はなく、例えば、アゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、縮合アゾ系顔料、アゾレーキ系顔料、アントラキノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料などから選択される1種以上の顔料及び/又はその誘導体を使用してもよい。
【0138】
前記その他の顔料としては、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、すなわち、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279、
C.I.Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214、
C.I.Pigment Orange 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73、
C.I.Pigment Green 7,10,36,37、
C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64,66,79,79のCl置換基をOHに変更したもの,80、
C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42、
C.I.Pigment Brown 25,28、
C.I.Pigment Black 1,7等を挙げることができる。
但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0139】
これらの中で好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。
C.I.Pigment Yellow 11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185、
C.I.Pigment Orange 36,71、
C.I.Pigment Red 122,150,171,175,177,209,224,242,254,255,264、
C.I.Pigment Violet 19,23,29,32、
C.I.Pigment Blue 15:1,15:3,15:6,16,22,60,66、
C.I.Pigment Green 7,36,37、
C.I.Pigment Black 1,7
【0140】
また、前記無機顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。本発明において顔料は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0141】
特に本発明の顔料分散組成物においては、赤色パターン(赤色カラーフィルタ)としての分光特性(色相)をより向上させる観点より、前記一般式(1)で表されるアゾ系顔料とともに、更に、レッド(Red)、イエロー(Yellow)、オレンジ(Orange)、及びバイオレット(Violet)から選択される色相を有する顔料を少なくとも1種含有することが好ましい。これらの顔料としては、上記で例示したC.I.番号が付されている顔料から少なくとも1種を選択して用いることができる。これにより、短波長側(例えば、波長500nm以下(より好ましくは波長400nm以下))の透過率をより抑制し、より良好な赤色の色相を得ることができる。
【0142】
一般式(1)で表されるアゾ顔料以外の他の顔料(特に、レッド、イエロー、オレンジ、及びバイオレットから選択される色相を有する顔料)を併用する場合、その含有量は、本発明の顔料分散組成物(または、本発明の着色硬化性組成物)中の顔料の総質量中、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。
他の顔料(特に、レッド、イエロー、オレンジ、及びバイオレットから選択される色相を有する顔料)の含有量の下限には特に限定はないが、分光特性の調整の観点より、5質量%が好ましく、10質量%であることがより好ましい。
【0143】
<分散剤>
本発明の顔料分散組成物は分散剤を少なくとも1種含有する。
前記分散剤としては特に限定はなく公知の顔料分散剤を用いることができる。
【0144】
本発明における分散剤としては、たとえば窒素原子を含有するグラフト共重合体が挙げられる。
窒素原子を含有するグラフト共重合体としては、主鎖に窒素原子を含有する繰り返し単位を有するものが好ましい。中でも、式(A)で表される繰り返し単位または/及び式(B)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
【0145】
【化37】




【0146】
(式(A)中、R1は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、Aは水素原子または下記式(C)〜(E)のいずれかを表す。)
上記式(A)中、R1は、メチレン、エチレン、プロピレン等の直鎖状または分岐状の 炭素数1〜5のアルキレン基を表し、好ましくは炭素数2〜3であり、更に好ましくはエチレン基である。Aは水素原子または下記式(C)〜(E)のいずれかを表すが、好ま
しくは式(C)である。
【0147】
【化38】




【0148】
上記式(B)中、R1及びAは、式(A)中のR1及びAと同義である。
【0149】
【化39】




【0150】
上記式(C)中、W1は炭素数2〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表し、中でもブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等の炭素数4〜7のアルキレン基が好ましい。pは1〜20の整数を表し、好ましくは5〜10の整数である。
【0151】
【化40】




【0152】
上記式(D)中、Y1は2価の連結基を表し、中でもエチレン、プロピレン等の炭素数1〜4のアルキレン基とエチレンオキシ、プロピレンオキシ等の炭素数1〜4のアルキレンオキシ基が好ましい。W2はエチレン、プロピレン、ブチレン等の直鎖状または分岐状の炭素数2〜10のアルキレン基を表し、中でもエチレン、プロピレン等の炭素数2〜3のアルキレン基が好ましい。Y2は水素原子または−CO−R2(R2はエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜10のアルキル基を表し、中でもエチル、プロピル、ブチル、ペンチル等の炭素数2〜5のアルキル基が好ましい)を表す。qは、1〜20の整数を表し、好ましくは5〜10の整数である。
【0153】
【化41】




【0154】
上記式(E)中、W3は炭素数1〜50のアルキル基または水酸基を1〜5有する炭素数1〜50のヒドロキシアルキル基を表し、中でもステアリル等の炭素数10〜20のアルキル基、モノヒドロキシステアリル等の水酸基を1〜2個有する炭素数10〜20のヒドロキシアルキル基が好ましい。
前記「窒素原子を含有するグラフト共重合体」における式(A)または(B)で表される繰り返し単位の含有率は、高い方が好ましく、通常50モル%以上であり、好ましくは70モル%以上である。式(A)で表される繰り返し単位と、式(B)で表される繰り返し単位の、両方を併有してもよく、その含有比率に特に制限は無いが、好ましくは式(A)の繰り返し単位の方を多く含有していた方が好ましい。式(A)または式(B)で表される繰り返し単位の合計数は、通常1〜100、好ましくは10〜70、更に好ましくは20〜50である。また、式(A)及び式(B)以外の繰り返し単位を含んでいてもよく、他の繰り返し単位としては、例えばアルキレン基、アルキレンオキシ基などが例示できる。前記「窒素原子を含有するグラフト共重合体」は、その末端が−NH2及び−R1−NH2(R1は、前記R1と同義)のものが好ましい。
【0155】
尚、前記「窒素原子を含有するグラフト共重合体」は、主鎖が直鎖状であっても分岐していてもよい。該グラフト共重合体のアミン価は、通常5〜100mgKOH/gであり、好ましくは10〜70mgKOH/gであり、更に好ましくは15〜40mgKOH/g以下である。
アミン価が5mgKOH/g以上であると、分散安定性をより向上させることができ、粘度をより安定にすることができる。アミン価が100mgKOH/g以下であると、残渣をより抑制でき、液晶パネルを形成した後の電気特性の低下をより抑制できる。
【0156】
上記前記「窒素原子を含有するグラフト共重合体」のGPCで測定した重量平均分子量としては、3000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。重量平均分子量が3000以上であると、色材の凝集をより抑制でき、高粘度化やゲル化をより抑制できる。100000以下であると、共重合体自体の高粘度化をより抑制でき、また有機溶媒への溶解性の不足をより抑制できる。
【0157】
上記分散剤の合成方法は、公知の方法が採用でき、例えば特公昭63−30057号公報に記載の方法を用いることができる。
【0158】
また、本発明における分散剤としては、分散安定性をより向上させる観点からは、下記一般式(I)及び(II)のいずれかで表される繰り返し単位から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含む高分子化合物(以下、「特定重合体」と称する場合がある。)が好ましい。
【0159】
【化42】



【0160】
上記一般式(I)及び(II)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は1価の有機基を表し、X及びXは、各々独立に、−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−、又はフェニレン基を表し、L及びLは、各々独立に、単結合、又は2価の有機連結基を表し、A及びAは、各々独立に、1価の有機基を表し、m及びnは、各々独立に、2〜8の整数を表し、p及びqは、各々独立に、1〜100の整数を表す。
【0161】
一般式(I)及び(II)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は1価の有機基を表す。1価の有機基としては、置換若しくは無置換のアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
アルキル基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5、より好ましくは炭素数1〜3がより好ましい。)メトキシ基、エトキシ基、シクロヘキシロキシ基等が挙げられる。
好ましいアルキル基として、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル基が挙げられる。
一般式(I)及び(II)中、R、R、R、及びRとしては、水素原子が好ましく、R及びRとしては、水素原子又はメチル基が、顔料表面への吸着効率の点からも最も好ましい。
【0162】
一般式(I)及び(II)中、X及びXは、各々独立に、−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−、又はフェニレン基を表す。中でも、−C(=O)O−、−CONH−、フェニレン基が、顔料への吸着性の観点で好ましく、−C(=O)O−が最も好ましい。
【0163】
一般式(I)及び(II)中、L及びLは、各々独立に、単結合、又は2価の有機連結基を表す。2価の有機連結基としては、置換若しくは無置換のアルキレン基や、該アルキレン基とヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造とからなる2価の有機連結基が好ましい。ここで、アルキレン基としては、炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜8のアルキレン基が更に好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基が特に好ましい。また、ヘテロ原子を含む部分構造におけるヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子が挙げられ、中でも、酸素原子、窒素原子が好ましい。
好ましいアルキレン基として、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基が挙げられる。
アルキレン基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基等が挙げられる。
2価の有機連結基としては、上記のアルキレン基の末端に、−C(=O)−、−OC(=O)−、−NHC(=O)−から選ばれるヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造を有し、該ヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造を介して、隣接した酸素原子と連結したものが、顔料への吸着性の点から好ましい。ここで、隣接した酸素原子とは、一般式(I)におけるL、及び一般式(II)におけるLに対し、側鎖末端側で結合する酸素原子を意味する。
【0164】
一般式(I)及び(II)中、A及びAは、各々独立に、1価の有機基を表す。1価の有機基としては、置換若しくは非置換のアルキル基、又は、置換若しくは非置換のアリール基が好ましい。
好ましいアルキル基の例としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、及び環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。
【0165】
置換アルキル基の置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団の基が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基(以下、ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(以後、ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、これらは更に置換基を有していてもよい。
置換基としては、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基が、分散安定性の点から好ましい。
【0166】
アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。
【0167】
及びAとしては、分散安定性、現像性の点から、炭素原子数1から20までの直鎖状、炭素原子数3から20までの分岐状、並びに炭素原子数5から20までの環状のアルキル基が好ましく、炭素原子数4から15までの直鎖状、炭素原子数4から15までの分岐状、並びに炭素原子数6から10までの環状のアルキル基がより好ましく、炭素原子数6から10までの直鎖状、炭素原子数6から12までの分岐状のアルキル基が更に好ましい。
【0168】
一般式(I)及び(II)中、m及びnは、各々独立に、2〜8の整数を表す。分散安定性、現像性の点から、4〜6が好ましく、5が最も好ましい。
【0169】
一般式(I)及び(II)中、p及びqは、各々独立に、1〜100の整数を表す。pの異なるもの、qの異なるものが2種以上、混合されてもよい。p及びqは、分散安定性、現像性の点から、5〜60が好ましく、5〜40がより好ましく、5〜20が更に好ましい。
【0170】
前記特定重合体としては、分散安定性の点から、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を含むものが好ましい。
【0171】
また、一般式(I)で表される繰り返し単位としては、下記一般式(I)−2で表される繰り返し単位であることがより好ましい。
【0172】
【化43】




【0173】
上記一般式(I)−2中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は1価の有機基を表し、Laは、炭素数2〜10のアルキレン基を表し、Lbは、−C(=O)−、又は−NHC(=O)−を表し、Aは、1価の有機基を表し、mは、2〜8の整数を表し、pは、1〜100の整数を表す。
【0174】
一般式(I)、(II)、又は、(I)−2で表される繰り返し単位は、それぞれ、下記一般式(i)、(ii)、又は、(i)−2で表される単量体を、重合或いは共重合することにより、高分子化合物の繰り返し単位として導入される。
【0175】
【化44】



【0176】
上記一般式(i)、(ii)、及び(i)−2中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は1価の有機基を表し、X及びXは、各々独立に、−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−、又はフェニレン基を表し、L及びLは、各々独立に、単結合、又は2価の有機連結基を表し、Laは、炭素数2〜10のアルキレン基を表し、Lbは、−C(=O)−、又は−NHC(=O)−を表し、A及びAは、各々独立に、1価の有機基を表し、m及びnは、各々独立に、2〜8の整数を表し、p及びqは、各々独立に、1〜100の整数を表す。
【0177】
以下に、一般式(i)、(ii)、又は(i)−2で表される単量体の好ましい具体例〔単量体(XA−1)〜(XA−23)〕を以下に挙げるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0178】
【化45】



【0179】
【化46】



【0180】
【化47】



【0181】
【化48】




【0182】
前記特定重合体は、一般式(I)及び(II)のいずれかで表される繰り返し単位から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含んでいればよく、1種のみ含むものであってもよいし、2種以上を含んでもよい。
【0183】
また、特定重合体において、一般式(I)及び(II)のいずれかで表される繰り返し単位の含有量は、特に制限はないが、重合体に含有される全繰り返し単位を100質量%とした場合に、一般式(I)及び(II)のいずれかで表される繰り返し単位を5質量%以上含有することが好ましく、50質量%含有することがより好ましく、50質量%〜80質量%含有することが更に好ましい。
【0184】
前記特定重合体は、顔料への吸着を高める目的で、顔料に吸着し得る官能基を有する単量体と、前述の一般式(i)、(ii)、(i)−2で表される単量体と、を共重合した高分子化合物であることが好ましい。
顔料に吸着し得る官能基を有する単量体としては、具体的には、酸性基を有するモノマー、有機色素構造或いは複素環構造を有するモノマー、塩基性窒素原子を有するモノマー、イオン性基を有するモノマーなどを挙げることができる。中でも、顔料への吸着力の点で、酸性基を有するモノマー、有機色素構造或いは複素環構造を有するモノマー、が好ましい。
【0185】
酸性基を有するモノマーの例としては、カルボキシル基を有するビニルモノマーやスルホン酸基を有するビニルモノマーが挙げられる。
カルボキシル基を有するビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体と無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような環状無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなども利用できる。また、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの無水物含有モノマーを用いてもよい。なおこれらの内では、未露光部の現像除去性の観点から2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体と無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような環状無水物との付加反応物が好ましい。
【0186】
また、スルホン酸基を有するビニルモノマーとして、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられ、リン酸基を有するビニルモノマーとして、リン酸モノ(2−アクリロイルオキシエチルエステル)、リン酸モノ(1−メチル−2−アクリロイルオキシエチルエステル)などが挙げられる。
【0187】
前記特定重合体は、上述のような酸性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位を含むことが好ましい。このような繰り返し単位を含むことにより、本発明の顔料分散組成物を着色硬化性組成物に適用した場合において、未露光部の現像除去性に優れる。
【0188】
前記特定重合体は、酸性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位を、1種のみ含むものであってもよいし、2種以上を含んでもよい。
特定重合体において、酸性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位の含有量は、好ましくは50mgKOH/g以上であり、特に好ましくは50mgKOH/g〜200mgKOH/gである。即ち、現像液中での析出物の生成抑制という点では、酸性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位の含有量は50mgKOH/g以上であることが好ましい。顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体の生成を効果的に抑制、或いは、2次凝集体の凝集力を効果的に弱めるためには、酸性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位の含有量は50mgKOH/g〜200mgKOH/gであることが好ましい。
【0189】
前記有機色素構造或いは複素環構造を有するモノマーとしては、例えば、特開2009−256572号公報の段落番号0048〜段落番号0070に記載されている、特定の単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体からなる群より選択される1種が挙げられる。
【0190】
前記塩基性窒素原子を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルとして、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸1−(N,N−ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルメチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノヘキシル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジイソプロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−n−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−i−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モルホリノエチル、(メタ)アクリル酸ピペリジノエチル、(メタ)アクリル酸1−ピロリジノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−メチル−2−ピロリジルアミノエチル及び(メタ)アクリル酸N,N−メチルフェニルアミノエチルなどが挙げられ、(メタ)アクリルアミド類として、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、1−(N,N−ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルメチル(メタ)アクリルアミド及び6−(N,N−ジエチルアミノ)ヘキシル(メタ)アクリルアミド、モルホリノ(メタ)アクリルアミド、ピペリジノ(メタ)アクリルアミド、N−メチル−2−ピロリジル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、スチレン類として、N,N−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレン等、が挙げられる。
【0191】
また、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、及び水酸基のいずれかを有するモノマーを用いることも可能である。具体的には、例えば、以下の構造のモノマーを挙げることができる。
【0192】
【化49】

【0193】
イオン性基を有するモノマーとしては、イオン性基を有するビニルモノマー(アニオン性ビニルモノマー、カチオン性ビニルモノマー)が挙げられる。この例としては、アニオン性ビニルモノマーとして、前記酸性基を有するビニルモノマーのアルカリ金属塩や、有機アミン(例えば、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール等の3級アミン)との塩などが挙げられ、カチオン性ビニルモノマーとしては、前記含窒素ビニルモノマーを、ハロゲン化アルキル(アルキル基:C1〜18、ハロゲン原子:塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子);塩化ベンジル、臭化ベンジル等のハロゲン化ベンジル;メタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸エステル(アルキル基:C1〜18);ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等のアリールスルホン酸アルキルエステル(アルキル基:C1〜18);硫酸ジアルキル(アルキル基:C1〜4)等で4級化させたもの、ジアルキルジアリルアンモニウム塩などが挙げられる。
【0194】
顔料に吸着し得る官能基を有するモノマーは、分散する顔料の種類に応じて、適宜選択することができ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0195】
前記特定重合体は、その効果を損なわない範囲において、更に、共重合可能なビニルモノマーに由来する繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0196】
ここで使用可能なビニルモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリルなどが好ましい。このようなビニルモノマーの具体例としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。なお、本明細書において「アクリル、メタクリル」のいずれか或いは双方を示す場合「(メタ)アクリル」と記載することがある。
【0197】
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸アセトアセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(アセトアセチルオキシ)エチルエステルなどが挙げられる。
【0198】
クロトン酸エステル類の例としては、クロトン酸ブチル、及びクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどが挙げられる。
マレイン酸ジエステル類の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
フマル酸ジエステル類の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステル類の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及びイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0199】
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
【0200】
ビニルエーテル類の例としては、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、及びメトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
スチレン類の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及びα−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0201】
前記特定重合体の好ましい態様は、少なくとも一般式(i)、(ii)、又は(i)−2で表される単量体と、酸性基を有するモノマー、又は有機色素構造或いは複素環構造を有するモノマーと、を共重合したもので、更に好ましくは、少なくとも前述の一般式(i)−2で表される単量体と、酸基を有するモノマーと、を共重合したものである。
この態様により、顔料吸着により優れ、且つ、現像性により優れた顔料分散組成物を与えることができる。
【0202】
前記特定重合体の好ましい分子量は、重量平均分子量(Mw)で5000〜100000の範囲、数平均分子量(Mn)で2500〜50000の範囲であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)で10000〜50000の範囲、数平均分子量(Mn)で5000〜30000の範囲であることがより好ましい。
特に、重量平均分子量(Mw)で10000〜30000の範囲、数平均分子量(Mn)で5000〜15000の範囲であることが最も好ましい。
即ち、顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体を効果的にほぐし、或いは、再凝集を効果的に弱めるための観点からは、特定重合体の重量平均分子量(Mw)は1000以上であることが好ましい。また、顔料分散組成物を含有する着色硬化性組成物によりカラーフィルタを製造する際の現像性の観点からは、特定重合体の重量平均分子量(Mw)は30000以下であることが好ましい。
【0203】
前記特定重合体は、例えば、一般式(i)、(ii)、又は、(i)−2で表される単量体と、共重合成分として他のラジカル重合性化合物(前述のような各種モノマー)と、を用い、通常のラジカル重合法によって製造することができる。
一般的には、懸濁重合法或いは溶液重合法などを用いる。このような特定重合体を合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独或いは2種以上混合してもよい。
なお、ラジカル重合の際、ラジカル重合開始剤を使用することができ、また、更に連鎖移動剤(例、2−メルカプトエタノール及びドデシルメルカプタン)を使用することができる。
【0204】
本発明の顔料分散組成物中における分散剤(例えば前記特定重合体)の含有量としては質量比で、顔料(一般式(1)で表されるアゾ顔料を少なくとも含む全顔料):分散剤=1:0.1〜1:2が好ましく、より好ましくは、1:0.2〜1:1であり、更に好ましくは、1:0.4〜1:0.7である。
【0205】
また、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、上述の特定重合体の他に、他の高分子化合物を同時に使用してもよい。
他の高分子化合物としては、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が用いられる。
天然樹脂としてはロジンが代表的であり、変性天然樹脂としては、ロジン誘導体、繊維素誘導体、ゴム誘導体、タンパク誘導体及びそれらのオリゴマーが挙げられる。合成樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。天然樹脂で変性された合成樹脂としては、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等が挙げられる。
合成樹脂としては、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物が挙げられる。
【0206】
<アゾ顔料誘導体>
本発明の顔料分散組成物は、アゾ顔料誘導体を含有する。
前記アゾ顔料誘導体は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
本発明においては、分散剤と親和性のある部分、或いは、極性基を導入したアゾ顔料誘導体を処理顔料表面に吸着させ、これを分散剤の吸着点として用いることで、顔料を微細な粒子として顔料分散組成物中に分散させることができ、また、その再凝集をも防止することができる。つまり、アゾ顔料誘導体は顔料表面を改質することで、前記特定重合体の如き高分子分散剤の吸着を促進させる効果を有する。
【0207】
アゾ顔料誘導体は、具体的にはアゾ顔料を母体骨格とし、側鎖に酸性基や塩基性基、芳香族基を置換基として導入した化合物である。
【0208】
本発明におけるアゾ顔料誘導体としては、特開平11−49974号公報、特開平11−189732号公報、特開平10−245501号公報、特開2006−265528号公報、特開平8−295810号公報、特開平11−199796号公報、特開2005−234478号公報、特開2003−240938号公報、特開2001−356210号公報、特開2000−239554公報等に記載されているものを使用できる。
【0209】
本発明におけるアゾ顔料誘導体としては、分散安定性をより向上させる観点より、上記アゾ顔料誘導体のうち、下記一般式(P1)で表される化合物が特に好ましい。
【0210】
【化50】



【0211】
一般式(P1)中、Aは、X−Yとともにアゾ顔料を形成しうる成分を表す。前記Aは、ジアゾニウム化合物とカップリングしてアゾ顔料を形成しうる化合物であれば、任意に選択することができる。以下に、前記Aの具体例を示すが、本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。
【0212】
【化51】




【0213】
【化52】




【0214】
前記一般式(P1)中、Xは、単結合(Yが−N=N−に直結していることを意味する。)、又は下記構造式で表される二価の連結基から選択される基を表す。
【0215】
【化53】




【0216】
前記一般式(P1)中、Yは、下記一般式(P2)で表される基を表す。
【0217】
【化54】



【0218】
一般式(P2)中、Zは、低級アルキレン基を表す。Zは、−(CH−と表されるが、該bは1〜5の整数を表し、好ましくは2又は3を表す。一般式(P2)中、−NRは、低級アルキルアミノ基、又は窒素原子を含む5乃至6員飽和ヘテロ環を表す。該−NRは、低級アルキルアミノ基を表す場合、−N(C2n+1と表され、nは1〜4の整数を表し、好ましくは1又は2を表す。一方、該−NRは、窒素原子を含む5乃至6員飽和ヘテロ環を表す場合、下記構造式で表されるヘテロ環が好ましい。
【0219】
【化55】




【0220】
前記一般式(P2)における、Z及び−NRは、それぞれ、低級アルキル基、アルコキシ基を置換基として有していてもよい。前記一般式(P2)中、aは、1又は2を表し、好ましくは2を表す。
【0221】
以下に、前記一般式(P1)で表される化合物の具体例(具体例1〜22)を示すが、本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。
【0222】
【化56】



【0223】
【化57】



【0224】
【化58】



【0225】
【化59】



【0226】
【化60】




【0227】
本発明の顔料分散組成物中におけるアゾ顔料誘導体の含有量としては、一般式(1)で表されるアゾ顔料を少なくとも含む全顔料に対し、0.1質量%〜80質量%の範囲にあることが好ましく、1質量%〜65質量%の範囲にあることがより好ましく、3質量%〜50質量%の範囲にあることが特に好ましい。含有量がこの範囲内であると、粘度を低く抑えながら、顔料の分散を良好に行えると共に、分散後の分散安定性を向上させることができる。
この顔料分散組成物をカラーフィルタの製造に適用することで、カラーフィルタの耐熱性を向上させることができる。更に、透過率が高く、優れた色特性を有し、高いコントラストのカラーフィルタを得ることができる。
【0228】
<溶剤等>
本発明の顔料分散組成物は、溶剤を用いて好適に調製することができる。
前記溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの脂肪酸エステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコールなどのケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサントリオールなどのグリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテルなどのアルキレングリコールジアルキルエーテル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3―ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの含窒素極性有機溶媒;水などが挙げられる。
【0229】
これらの溶剤のうち水溶性であるものは、水と混合して水性媒体として用いてもよい。また、水を除く上記の溶剤から選ばれる二種以上を混合して油性媒体として用いてもよい。
本発明の顔料分散組成物は、必要に応じ、その他の成分を含有してもよい。
【0230】
本発明の顔料分散組成物における顔料(少なくとも一般式(1)で表されるアゾ顔料を含む顔料)の体積平均粒子径は1nm以上250nm以下であることが好ましい。なお、顔料粒子の体積平均粒子径とは、顔料そのものの粒子径、又は顔料に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒子径をいう。
本発明において、顔料の体積平均粒子径の測定装置には、ナノトラックUPA粒度分析計(UPA−EX150;日機装社製)を用いた。その測定は、顔料分散組成物3mlを測定セルに入れ、所定の測定方法に従って行った。尚、測定時に入力するパラメーターとしては、粘度にはインク粘度を、分散粒子の密度には顔料の密度を用いた。
【0231】
より好ましい体積平均粒子径は、1nm以上200nm以下であり、更に好ましくは1nm以上150nm以下である。顔料分散組成物中の粒子の体積平均粒子径が250nm以下であれば、光学濃度がより高くなる。
更に、特に好ましい体積平均粒子径は、分散安定性をより向上させる観点より、2nm以上100nm以下であり、最も好ましい体積平均粒子径は2nm以上50nm以下である。
【0232】
本発明の顔料分散組成物に含まれる顔料の総濃度は、1〜35質量%の範囲であることが好ましく、2〜25質量%の範囲であることがより好ましい。上記範囲であれば、表面張力、粘度等の分散物の物性値を調整しやすく好ましい。
【0233】
<顔料分散組成物の調製>
本発明の顔料分散組成物は、各種の混合機、分散機を使用して混合分散する混合分散工程を経ることによって、調製することができる。
なお、混合分散工程は、混練分散とそれに続けて行う微分散処理からなるのが好ましいが、混練分散を省略することも可能である。
【0234】
本発明の顔料分散組成物は、具体的には、例えば、一般式(1)で表されるアゾ顔料、分散剤、アゾ顔料誘導体、及び溶剤を、分散装置を用いて分散することで得ることが好ましい。
分散装置としては、簡単なスターラーやインペラー攪拌方式、インライン攪拌方式、ミル方式(例えば、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ペイントシェイカー、アジテーターミル等)、超音波方式、高圧乳化分散方式(高圧ホモジナイザー;具体的な市販装置としてはゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、DeBEE2000等)を使用することができる。
【0235】
本発明の顔料分散組成物は、より具体的には、例えば、一般式(1)で表されるアゾ顔料、分散剤、アゾ顔料誘導体、及び溶剤を、縦型若しくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を用いて、0.01mm〜1mmの粒子径のガラス、ジルコニア等でできたビーズにて微分散処理を行なうことにより得ることができる。
なお、ビーズによる微分散を行なう前に、二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸若しくは2軸の押出機等を用いて、強い剪断力を与えながら混練分散処理を行なうことも可能である。
【0236】
なお、混練、分散についての詳細は、T.C.Patton著”Paint Flow and Pigment Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等に記載されており、本発明においてもここに記載の方法を適用することができる。
【0237】
≪着色硬化性組成物≫
本発明の着色硬化性組成物は、既述の本発明の顔料分散組成物と、光重合開始剤と、重合性化合物を含有する。
本発明の着色硬化性組成物は、上記構成としたことにより一般式(1)で表されるアゾ顔料の分散安定性が向上し、かつ、着色パターンとしたときに該着色パターンの耐熱性を向上できる。
分散安定性を向上させることにより、形成された着色パターンの耐熱性を向上できる原因については定かではないが、顔料の凝集による透過率減少を抑制できるためと推定される。但し本発明はこの推定によって限定されることはない。
【0238】
<光重合開始剤>
本発明の着色硬化性組成物は、光重合開始剤を含有する。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アントラキノン系光重合開始剤、ナフトキノン系光重合開始剤、トリアジン系光重合開始剤、及びオキシム系光重合開始剤から選択される1種以上が挙げられる。これらの光重合開始剤とともに、さらに公知の光増感剤を使用してもよい。
上記のうち、パターン形成性(パターン硬化性)向上及び現像残渣抑制等の観点からは、オキシム系光重合開始剤が好ましい。
前記オキシム系光重合開始剤としては、光により分解し、ラジカル重合性モノマーの重合反応を開始、促進する化合物が好ましく、波長300〜500nmの領域に吸収を有するものがより好ましい。オキシム系光重合開始剤が良好な理由は、光による分解効率が極めて高く、より高い硬化性が得られるため、現像後に矩形なパターンが形成できているものと推測している。
【0239】
本発明におけるオキシム系光重合開始剤としては、例えば、J.C.S. Perkin II (1979 )1653−1660)、J.C.S. Perkin II (1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報、特開2000−80068号公報(段落番号0004〜0296)、特表1004−534797号公報、特開2001−233842号公報、WO−02/100903A1、特開2006−342166号公報(段落番号0004〜0264)等に記載の化合物等が挙げられる。
【0240】
また、オキシム系開始剤としては、パターン形成性向上及び現像残渣抑制の効果をより効果的に得る観点からは、下記一般式(O−I)で表される化合物が好ましい。
【0241】
【化61】




【0242】
前記一般式(O−I)中、Rは置換基を有してもよいアルキル基又はアリール基を表す。Rは置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、又は、置換基を有してもよいアセチル基を表す。R3、R、R、R6及びRは、互いに独立して、水素原子もしくは1価の有機基を表す。R3、R、R、R6及びRは互いに結合して5員環又は6員環を形成してもよい。
また、ここで、アルキル基、アリール基及びアシル基に導入可能な置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、クロロ基、ブロモ基等が挙げられる。
【0243】
好適なRは炭素数1〜12のアルキル基又は4−(炭素数1〜4のアルキルチオ)フェニル基である。好適なRはアセチル基又はアシル基である。
また、R3、R、R、R6及びRが1価の有機基を表す場合の好ましい有機基としては、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、チオフェノキシ基が挙げられ、なかでも、フェノキシ基、チオフェノキシ基が好ましい。
なお、R3、R、R6及びRは水素原子であることが好ましい。Rは-SRで示される基であることが好ましく、ここで、Rは置換基を有していてもよいフェニル基を示す。より好適なRは下記式で表される基である。
【0244】
【化62】



【0245】
また、一般式(O−I)で表されるオキシム系開始剤のうち、好適なオキシム系開始剤としては下記一般式(O−II)で表される化合物が挙げられる。
【0246】
【化63】




【0247】
前記一般式(O−II)中、Rは、一般式(O−I)におけるRと同義である。Xは一価の置換基を表し、n2が2〜5の整数を表す場合、複数存在するXは同じでも、互いに異なっていてもよい。Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。n2は1〜5の整数である。
【0248】
一般式(O−II)中、Xで表される一価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
一般式(O−II)中、Aで表される二価の有機基としては、炭素数1以上12以下のアルキレン、シクロヘキシレン、アルキニレンが挙げられる。
【0249】
一般式(O−II)中、Arで表されるアリール基としては、炭素数6以上30以下のアリール基が好ましく、アリール基は置換基を有していてもよい。アリール基に導入可能な置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
なかでも、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、Arは置換又は無置換のフェニル基が好ましい。
【0250】
本発明において、オキシム系光開始剤として、具体的には下記(I−1)〜(I−6)の化合物が挙げられるが、特に好適な化合物は、一般式(O−I)に含まれる(I−2)〜(I−6)であり、中でも(I−2)がパターン形成時の現像残渣が特に少ないため、最も好適である。
【0251】
【化64】




【0252】
また、本発明において用いることができるオキシム系光重合開始剤の具体的化合物名としては、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ペンタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘキサンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘプタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(エチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(ブチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−プロプル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−ブチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンなどが挙げられる。但し、これらに限定されない。
【0253】
オキシム系光重合開始剤の特に好ましい具体例としては、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンが挙げられる。このようなオキシム系光重合性開始剤としては、CGI−124、CGI−242(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)が挙げられる。
【0254】
本発明の着色硬化性組成物中における光重合開始剤(例えばオキシム系光重合開始剤)の含有量としては、全固形分中、1.0質量%〜15.0質量%であることが好ましく、1.0質量%〜12.5質量%であることがより好ましく、1.0質量%〜10.0質量%であることが更に好ましく、1.0質量%〜5.0質量%であることが特に好ましい。
この範囲で、良好な感度とパターン形成性及び塗布膜均一性が得られる。
【0255】
<重合性化合物>
本発明の着色硬化性組成物は、少なくとも1種の重合性化合物を含有する。
重合性化合物としては公知の重合性化合物を用いることができ、単官能の重合性化合物であってもよいが、パターン形成性をより向上させる観点等からは、多官能の重合性化合物が好ましく、3官能以上の重合性化合物がより好ましい。
また、前記重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であることが好ましく、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれることがより好ましい。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。重合性化合物は、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。
【0256】
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
また、重合性化合物としては、特開2009−256572号段落番号0118〜0128に記載されている重合性化合物を用いてもよい。
【0257】
また、本発明における重合性化合物としては、パターン形成性等の観点からは、特開2009−244807号公報の段落番号0029〜0056や特開2009−229761号公報の段落番号0038〜0051に記載されている光硬化性化合物(重合性化合物)、例えば、下記一般式(M−i)又は(M−ii)で表される化合物の群から選択される少なくとも1種の重合性化合物であることも好ましい。
【0258】
【化65】




【0259】
一般式(M−i)及び(M−ii)中、Eは、各々独立に、−((CHCHO)−、又は−((CHCH(CH)O)−を表し、yは、各々独立に0〜10の整数を表し、Xは、各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、水素原子、又はカルボキシル基を表す。
一般式(M−i)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は3個又は4個であり、mは、各々独立に0〜10の整数を表し、各mの合計は0〜40の整数である。但し、各mの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
一般式(M−ii)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は5個又は6個であり、nは、各々独立に0〜10の整数を表し、各nの合計は0〜60の整数である。但し、各nの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
【0260】
一般式(M−i)中、mは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。また、各mの合計は、2〜40の整数が好ましく、2〜16の整数がより好ましく、4〜8の整数が特に好ましい。
一般式(M−ii)中、nは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。また、各nの合計は、3〜60の整数が好ましく、3〜24の整数がより好ましく、6〜12の整数が特に好ましい。
また、一般式(M−i)又は一般式(M−ii)中の−((CHCHO)−又は−((CHCH(CH)O)−は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。
【0261】
一般式(M−i)又は(M−ii)で表される化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。特に、一般式(M−ii)において、6個のXすべてがアクリロイル基である形態が好ましい。
【0262】
一般式(M−i)又は(M−ii)で表される化合物は、従来公知の工程である、ペンタエリスリト−ル又はジペンタエリスリト−ルにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを開環付加反応により開環骨格を結合する工程と、開環骨格の末端水酸基に、例えば(メタ)アクリロイルクロライドを反応させて(メタ)アクリロイル基を導入する工程と、から合成することができる。各工程は良く知られた工程であり、当業者は容易に一般式(M−i)又は(M−ii)で表される化合物を合成することができる。
【0263】
式(M−i)、(M−ii)で表される化合物の中でも、ペンタエリスリトール誘導体及び/又はジペンタエリスリトール誘導体がより好ましい。具体的には、下記式(a)〜(f)で表される化合物(以下、「例示化合物(a)〜(f)」ともいう)が挙げられ、中でも、例示化合物(a)、(b)、(c)、(f)が好ましい。
【0264】
【化66】




【0265】
【化67】




【0266】
式(M−i)、(M−ii)で表される特定光硬化性化合物の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ基を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、日本化薬株式会社製のペンチレンオキシ基を6個有する6官能アクリレートであるDPCA−60、イソブチレンオキシ基を3個有する3官能アクリレートであるTPA−330などが挙げられる。
【0267】
本発明の着色硬化性組成物中における重合性化合物の含有量としては、全固形分に対し、5質量%〜70質量%であることが好ましく、10質量%〜60質量%であることがより好ましい。
【0268】
<アルカリ可溶性樹脂>
本発明の着色硬化性組成物は、アルカリ可溶性樹脂を含有することもできる。着色硬化性組成物にアルカリ可溶性樹脂を含有する場合には、該着色硬化性組成物をフォトリソ法によるパターン形成に適用した際において、パターン形成性をより向上させることができる。
【0269】
アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。このうち、更に好ましくは、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものである。
【0270】
アルカリ可溶性樹脂の製造には、例えば、公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めるようにすることもできる。
【0271】
線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましい。例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等であり、更に側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体も好ましいものとして挙げられる。
【0272】
これらの中では、特に、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体やベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好適である。
この他、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを共重合したもの等も有用なものとして挙げられる。
【0273】
上記以外に、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
【0274】
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の好適なものとしては、特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体が挙げられる。ここで(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸とを合わせた総称であり、以下も同様に(メタ)アクリレートはアクリレートとメタクリレートの総称である。
【0275】
(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。ここで、アルキル基及びアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
前記アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0276】
また、前記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、CH=CR、CH=C(R)(COOR)〔ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、Rは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜12のアラルキル基を表す。〕等を挙げることができる。
【0277】
これら共重合可能な他の単量体は、1種単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
好ましい共重合可能な他の単量体は、CH=CR、CH=C(R)(COOR)、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及びスチレンから選択される少なくとも1種であり、特に好ましくは、CH=CR、及び/又は、CH=C(R)(COOR)である。
【0278】
アルカリ可溶性樹脂を含有させる場合には、着色硬化性組成物中におけるその含有量としては、該組成物の全固形分に対して、1質量%〜30質量%が好ましく、より好ましくは、1質量%〜25質量%であり、特に好ましくは、2質量%〜20質量%である。
【0279】
<溶剤>
本発明の着色硬化性組成物は、一般に、前述の各成分と共に溶剤を用いることで、好適に調製することができる。
用いられる溶剤としては、エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル;3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチルなどの3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;エーテル類、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等;ケトン類、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン;等が挙げられる。
【0280】
これらのうち、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が好適である。
溶剤は、単独で用いる以外に2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0281】
<界面活性剤>
本発明の着色感光性組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤の各種界面活性剤を使用できる。
特に、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液としたときの液特性(特に、流動性)をより向上させ、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
すなわち、フッ素系界面活性剤を含有する着色感光性組成物においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
【0282】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であると、塗布厚均一性や省液性の点で効果的であり、組成物中への溶解性も良好である。
【0283】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)等が挙げられる。
【0284】
フッ素系界面活性剤は、特に、本発明の着色感光性組成物を用い、薄い塗布膜を形成する際、塗布ムラや厚みムラの防止に効果的である。また、更には、液切れを起こしやすいスリット塗布に本発明の着色感光性組成物を適用する際も効果的である。
フッ素系界面活性剤の添加量は、着色感光性組成物の全質量に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜1.0質量%である。
【0285】
また、カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(市販品EFKA−745(森下産業社製))、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業社製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業社製)、W001(裕商社製)等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1等が挙げられる。
更に、アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商社製)等が挙げられる。
【0286】
<熱重合防止剤>
更に、本発明の着色感光性組成物には、熱重合防止剤(重合禁止剤)を添加してもよい。
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が有用である。
【0287】
<その他の成分>
本発明の着色硬化性組成物には、必要に応じて、増感色素、エポキシ樹脂、フッ素系有機化合物、熱重合開始剤、熱重合成分、充填剤、上記アルカリ可溶性樹脂以外の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤などの各種添加物を含有することができる。
その他の成分としては、例えば、特開2009−256572号公報の段落0155〜段落0217に記載の各成分を用いることができる。
【0288】
本発明の着色硬化性組成物は、既述の本発明の顔料分散組成物に対し、重合性化合物、及び光重合開始剤、更には、必要に応じて、アルカリ可溶性樹脂や溶剤、界面活性剤等の添加剤を加えることで、調製することができる。
【0289】
本発明の着色硬化性組成物は、一般式(1)で表されるアゾ顔料を含む顔料分散組成物を含むことから、顔料分散性に優れ、また、色特性にも優れる。
そのため、良好な色特性が求められるカラーフィルタ(特に固体撮像素子用カラーフィルタ)の着色領域を形成するために用いられることが好ましい。
【0290】
≪固体撮像素子用カラーフィルタ及びその製造方法≫
本発明の固体撮像素子用カラーフィルタの製造方法は、支持体上に、既述の本発明の着色硬化性組成物を塗布して着色硬化性組成物層を形成する工程(以下、「着色硬化性組成物層形成工程」ともいう)と、前記着色硬化性組成物層をマスクを介して露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)と、露光後の着色硬化性組成物層を現像して着色パターン(以下、「着色画素」ともいう)を形成する工程(以下、「現像工程」ともいう)と、を含む。
また、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタは、前記本発明の固体撮像素子用カラーフィルタの製造方法によって製造されたものである。
本発明の固体撮像素子用カラーフィルタは、前記本発明の固体撮像素子用カラーフィルタの製造方法によって製造された赤色パターン(赤色画素)を少なくとも有していればよい。本発明の固体撮像素子用カラーフィルタの具体的形態としては、例えば、前記赤色パターンと他の着色パターンとを組み合わせた多色のカラーフィルタの形態(例えば、前記赤色パターン、青色パターン、及び緑色パターンを少なくとも有する3色以上のカラーフィルタ)が好適である。
以下、固体撮像素子用カラーフィルタを単に「カラーフィルタ」ということがある。
【0291】
<着色硬化性組成物層形成工程>
着色硬化性組成物層形成工程では、支持体上に、本発明の着色硬化性組成物を塗布して着色硬化性組成物層を形成する。
本工程に用いうる支持体としては、例えば、基板(例えばシリコン基板)上にCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子(受光素子)が設けられた固体撮像素子用基板を用いることができる。
本発明における着色パターンは、固体撮像素子用基板の撮像素子形成面側(おもて面)に形成されてもよいし、撮像素子非形成面側(裏面)に形成されてもよい。
固体撮像素子用基板における各撮像素子間や、固体撮像素子用基板の裏面には、遮光膜が設けられていてもよい。
また、支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0292】
支持体上への本発明の着色硬化性組成物の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
【0293】
着色硬化性組成物の塗布膜厚としては、0.1〜10μmが好ましく、0.2〜5μmがより好ましく、0.2〜3μmがさらに好ましい。
【0294】
基板上に塗布された着色硬化性組成物層の乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃の温度で10〜300秒で行うことができる。
【0295】
<露光工程>
露光工程では、前記着色硬化性組成物層形成工程において形成された着色硬化性組成物層を、例えばステッパー等の露光装置を用い、所定のマスクパターンを有するマスクを介してパターン露光する。
露光に際して用いることができる放射線(光)としては、特に、g線、i線等の紫外線が好ましく(特に好ましくはi線)用いられる。照射量(露光量)は30〜1500mJ/cmが好ましく50〜1000mJ/cmがより好ましく、80〜500mJ/cmが最も好ましい。
【0296】
<現像工程>
次いでアルカリ現像処理を行うことにより、上記露光により光未照射部分をアルカリ水溶液に溶出させ、光硬化した部分だけが残る。
現像液としては、下地の撮像素子や回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常20℃〜30℃であり、現像時間は20〜90秒である。
【0297】
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられ、これらのアルカリ剤を濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が現像液として好ましく使用される。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
次いで、余剰の現像液を洗浄除去し、乾燥を施した後に加熱処理(ポストベーク)を行う。このように各色ごとに前記工程を順次繰り返して硬化皮膜を製造することができる。
これによりカラーフィルタが得られる。
ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常100℃〜240℃、好ましくは200℃〜240℃の熱硬化処理を行う。
このポストベーク処理は、現像後の塗布膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。
【0298】
なお、本発明の製造方法は、必要に応じ、上記以外の工程として、固体撮像素子用カラーフィルタの製造方法として公知の工程を有していてもよい。例えば、上述した、着色硬化性組成物層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された着色パターンを加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
【0299】
また、本発明に係る着色硬化性組成物を用いる場合、例えば、塗布装置吐出部のノズルや配管部の目詰まりや塗布機内への着色硬化性組成物や顔料の付着・沈降・乾燥による汚染等が生じる場合がある。そこで、本発明の着色硬化性組成物によってもたらされた汚染を効率よく洗浄するためには、前掲の本組成物に関する溶剤を洗浄液として用いることが好ましい。また、特開平7−128867号公報、特開平7−146562号公報、特開平8−278637号公報、特開2000−273370号公報、特開2006−85140号公報、特開2006−291191号公報、特開2007−2101号公報、特開2007−2102号公報、特開2007−281523号公報などに記載の洗浄液も本発明に係る着色硬化性組成物の洗浄除去として好適に用いることができる。
上記のうち、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートおよびアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
これら溶媒は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合する場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合することが好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20である。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合溶剤で、その比率が60/40であることが特に好ましい。
なお、汚染物に対する洗浄液の浸透性を向上させるために、洗浄液には前掲の本組成物に関する界面活性剤を添加しても良い。
【0300】
本発明の固体撮像素子用カラーフィルタは、前記本発明の着色硬化性組成物を用いているため、着色パターンの耐熱性に優れている。また、一般式(1)で表されるアゾ顔料を用いて形成されているため、赤色としての分光特性に優れる。
本発明の固体撮像素子用カラーフィルタは、CCD、CMOS等の固体撮像素子に好適に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCDやCMOS等に好適である。本発明の固体撮像素子用カラーフィルタは、例えば、CCD又はCMOSを構成する各画素の受光部と、集光するためのマイクロレンズと、の間に配置されるカラーフィルタとして用いることができる。
【0301】
前記固体撮像素子用カラーフィルタにおける着色パターン(着色画素)の膜厚としては、2.0μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましい。
また、着色パターン(着色画素)のサイズ(パターン幅)としては、2.5μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましく、1.7μm以下が特に好ましい。
【0302】
≪固体撮像素子≫
本発明の固体撮像素子は、既述の本発明の固体撮像素子用カラーフィルタを備える。
本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタが備えられた構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
支持体上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー、等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、前記フォトダイオード及び前記転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面及びフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、前記デバイス保護膜上に、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタを有する構成である。
更に、前記デバイス保護層上であってカラーフィルタの下(支持体に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。
【実施例】
【0303】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、機器、操作等は本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りのない限り「%」および「部」は、「質量%」および「質量部」を表し、分子量とは重量平均分子量のことを示す。
【0304】
〔実施例1〕
<顔料分散組成物Pの調製>
(粉砕芒硝(粉砕硫酸ナトリウム)の作製)
乾燥空気を0.65MPaジェットミル(日清エンジニアリング(株)製、気流式粉砕機、スーパージェットミル)に送入し、原料芒硝(三田尻化学工業(株)製、中性無水芒硝、平均粒径20μm)を20kg/hrの速度で供給し、連続粉砕した。粉砕機から排出される粉砕芒硝をバグフィルターで一括捕集した。
粉枠芒硝をイソブチルアルコールに添加し、超音波(1分間)で分散させ、粒子径測定装置(日機装(株)製、マイクロトラック粒度分布測定装置、MT−3300II)で粒度分布を測定して平均粒子径D50を求めたところ、3.19μmであった。更に、粒度分布データから10μm以上の大粒径粒子の体積%は読み取ったところ、0.00体積%であった。
【0305】
(顔料のソルベントソルトミリング)
一般式(1)で表されるアゾ顔料である下記顔料1(赤色顔料)を、ソルベントソルトミリングにより微細化した。詳細を以下に説明する。
【0306】
【化68】




【0307】
顔料1のソルベントソルトミリングは、以下の手順により行った。
まず、双腕型混練機(モリヤマ製、5LニーダーΣ型、以下、ニーダーという。)に、3000gの前記粉砕芒硝を加え、さらに300gの顔料1を加えて5分間混合した。混合物にジエチレングリコール(DEG)((株)日本触媒製)を900g添加して混練した。ニーダー中の混練物の温度が50℃になるように温度コントロールをして10時間混練する(以下、混練物をマグマという。)。以上の操作を微細化工程とした。
【0308】
次に、微細化工程が終了したマグマを取り出し、温調可能なタンク内に移した。タンク内には予め脱イオン水を20L溜めておいた。撹拌装置で、回転数150rpmで2時間撹拌し、マグマを分散させた。得られた分散液をヌッチェに移して濾過した。濾過後、脱イオン水により、洗浄排水の電気伝導度が3μS/cm以下になるまで水洗した(水洗された水分を多く含んだ微細化顔料を顔料ペーストと称す。)。
水洗後の顔料ペーストを取り出し、乾燥用棚(材質 SUS304)に採り、更に乾燥機に移して80〜105℃、15時間乾燥させた(乾燥後の微細化顔料を乾燥ブロックと称す。)。
乾燥ブロックを粉砕機(協立理工(株)製、小型粉砕機、サンプルミルSK−M2)で粉砕した。
以上のようにして、顔料1のソルベントソルトミリングを行った。以下の顔料分散組成物Pの調製には、以上のソルベントソルトミリング後の顔料1を用いた。
【0309】
(顔料分散組成物Pの調製)
下記組成からなる混合液を、ビーズミルにより2時間混合・分散して赤色顔料分散組成物Pを調製した。
−組成−
・ソルベントソルトミリング後の顔料1と、ピグメントイエロー139(PY139)と、の混合物(質量比〔顔料1/PY139〕=100/30) … 11.80部
・下記顔料誘導体1(アゾ顔料誘導体) … 1.31部
・下記分散剤1(重量平均分子量35000、側鎖の酸基100mgKOH/g)
… 6.59部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
… 80.29部
【0310】
上記顔料の混合物では、顔料1が主顔料であり、ピグメントイエロー139が副顔料である。
【0311】
【化69】




【0312】
得られた赤色顔料分散組成物Pについて、ナノトラックUPA粒度分析計(UPA−EX150;日機装社製)を用いて体積平均粒子径の測定を行ったところ、10nmであった。
【0313】
<分散安定性評価>
赤色顔料分散組成物PについてE型粘度計(東機産業(株)社製、RE−85L)を用いて、分散直後の粘度η1(単位mPa・s)、および分散後、室温(25℃。以下同じ。)にて1週間放置した後の粘度η2(単位mPa・s)を室温にて測定し、増粘量〔η2−η1〕を算出した。更に、算出された増粘量に基づき、下記評価基準に従って分散安定性を評価した。評価結果を表1に示す。
増粘量が少ない程、分散安定性が良好であることを示す。
−評価基準−
◎:増粘量が3mPa・s以下
○:増粘量が3mPa・sより大きく6mPa・s以下
×:増粘量が6mPa・sより大きい
【0314】
<赤色着色硬化性組成物Rの調製>
上記の顔料分散組成物Pを用い、下記組成となるように混合・攪拌して赤色着色硬化性組成物Rを調製した。
(組成)
・顔料分散組成物P … 10.28部
・重合性化合物(例示化合物(b)) … 0.15部
・オキシム系光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製CGI−124)
(開始剤1) … 0.07部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) … 0.01部
・樹脂(メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体、モル比60/22/18、重量平均分子量15000)) … 1.14部
・フッ素系界面活性剤(DIC社製メガファックF781の1.0%PGMEA溶液)
… 0.63部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) … 2.73部
【0315】
なお、上記樹脂(メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体)は以下のようにして合成した。
即ち、ベンジルメタクリレート53.0g(0.300mol)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート11.7g(0.090mol)、メタクリル酸7.92g(0.110mol)、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50gを300mlの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、80度で攪拌した。ここに、熱重合開始剤2,2’−アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)0.3118g(1.91×10−3mol)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10gに溶解させた溶液を添加し6時間攪拌した。次に、窒素を止め、p−メトキシフェノール0.22g(1.5×10−3mol)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15gに溶解させた溶液を添加した後、95度に昇温して2時間攪拌し、上記樹脂(メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体)を得た。得られた樹脂の酸価は30mgKOH/gであり、重量平均分子量は15000であった。
【0316】
<赤色カラーフィルタの作製>
上記で調製された赤色着色硬化性組成物Rを、あらかじめヘキサメチルジシラザンを噴霧した8インチのデバイス形成済みシリコンウエハ(固体撮像素子基板)のデバイス形成面側に塗布し、光硬化性の塗布膜を形成した。そして、この塗布膜の乾燥膜厚が1.0μmになるように、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、365nmの波長で1.0μm四方の赤色画素を形成するためのフォトマスクを通して露光量150mJ/cmにてパターン露光を行った。
その後、照射された塗布膜が形成されているシリコンウエハをスピン・シャワー現像機(DW−30型;(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の40%希釈液を用いて23℃で180秒間パドル現像を行ない、シリコンウエハに赤色パターンを形成した。
【0317】
赤色パターンが形成されたシリコンウエハを真空チャック方式で前記水平回転テーブルに固定し、回転装置によって該シリコンウエハを回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後スプレー乾燥した。
次に、200℃のホットプレートにて5分間加熱し、シリコンウエハ上に赤色パターン(赤色カラーフィルタ)を得た。
【0318】
得られた赤色カラーフィルタ付きシリコンウエハを走査型電子顕微鏡(SEM)(倍率20000倍)で観察したところ、着色パターン非形成領域において現像残渣が抑制されていた。
また、赤色カラーフィルタのパターン形状を光学顕微鏡(倍率1000倍)及び走査型電子顕微鏡(SEM)(倍率20000倍)により観察したところ、パターン形状は良好であり、パターン形成性は良好であった。
次に、上記赤色カラーフィルタの作製において、8インチのデバイス形成済みシリコンウエハをガラス基板に置き換え、パターン露光を全面露光に変更して赤色膜を形成し、個の赤色膜の分光特性(各波長における透過率)を、MCPD−3000(大塚電子社製)により測定した。測定された分光特性では、350nm〜400nmにおける透過率が低減されており、540nm以上の波長領域において透過率曲線がシャープに立ち上がっており、650nm〜750nmの波長領域における透過率が高かった。
即ち、赤色として良好な分光特性を示した。
【0319】
<耐熱性の評価>
上記赤色カラーフィルタの作製において、8インチのデバイス形成済みシリコンウエハをガラス基板に置き換え、パターン露光を全面露光に変更して赤色膜を形成した。
得られた赤色膜を大気下、220℃で60分間曝露し、その前後の色差(ΔE*ab)を分光光度計MCPD−3000(大塚電子社製)で測定した。測定された色差(ΔE*ab)に基づき、下記評価基準に従って耐熱性を評価した。評価結果を下記表1に示す。
<評価基準>
◎:ΔE*abが3以下
○:ΔE*abが3より大きく10以下
×:ΔE*abが10より大きい
【0320】
〔実施例2〜21、比較例1〜3〕
実施例1中、主顔料、副顔料、顔料誘導体、分散剤、開始剤の種類を、下記表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして顔料分散組成物、着色硬化性組成物、及び赤色カラーフィルタを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
評価結果を下記表1に示す。
【0321】
〔実施例22〕
<赤色着色硬化性組成物R22の調製>
実施例1中、主顔料、副顔料、顔料誘導体、分散剤の種類を、下記表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして顔料分散組成物P22を調製し、実施例1と同様の評価を行うとともに、調製した顔料分散組成物P22を用い、下記組成となるように混合・攪拌して赤色着色硬化性組成物R22を調製した。
(組成)
・顔料分散組成物P22 … 12.30部
・重合性化合物(例示化合物(b)) … 0.21部
・オキシム系光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製CGI−242)
(開始剤2) … 0.06部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) … 0.01部
・フッ素系界面活性剤(DIC社製メガファックF781の1.0%PGMEA溶液)
… 0.63部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) … 1.79部
得られた着色硬化性組成物を用いて、実施例1と同様に赤色カラーフィルタを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
評価結果を下記表1に示す。
【0322】
〔実施例23〕
<赤色着色硬化性組成物R23の調製>
実施例1中、主顔料、副顔料、顔料誘導体、分散剤の種類を、下記表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして顔料分散組成物P23を調製し、実施例1と同様の評価を行うとともに、調製した顔料分散組成物P23を用い、下記組成となるように混合・攪拌して赤色着色硬化性組成物R23を調製した。
(組成)
・顔料分散組成物P23 … 12.30部
・重合性化合物(例示化合物(b)) … 0.21部
・オキシム系光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製CGI−242)
(開始剤2) … 0.06部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) … 0.01部
・フッ素系界面活性剤(DIC社製メガファックF781の1.0%PGMEA溶液)
… 0.63部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) … 1.79部
得られた着色硬化性組成物を用いて、実施例1と同様に赤色カラーフィルタを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
評価結果を下記表1に示す。
【0323】

【表1】



【0324】
表1における各成分は以下のとおりである。
【0325】
【化70】




【0326】
顔料4:ピグメントイエロー139
顔料5:ピグメントイエロー150
顔料6:ピグメントイエロー185
顔料7:ピグメントレッド254
顔料8:ピグメントオレンジ71
顔料9:ピグメントバイオレット29
【0327】
【化71】




【0328】
【化72】




【0329】
上記分散剤2の重量平均分子量は28500、側鎖の酸基は73mgKOH/gである。
上記分散剤3の重量平均分子量は30000、側鎖の酸基は60mgKOH/gである。
【0330】
分散剤4:下記製造方法により得られた分散剤である。
分子量約5000を有するポリエチレンイミン50質量部、およびn=5のポリカプロラクトン40質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300質量部と混合し、150℃3時間、窒素雰囲気下にて攪拌し、分散剤4を得た。こうして合成した分散剤4のGPCで測定した重量平均分子量Mwは約9000であった。
【0331】
分散剤5:ビックケミー社製Disperbyk−110
分散剤6:ビックケミー社製Disperbyk−111
分散剤7:ビックケミー社製Disperbyk−2091
【0332】
分散剤8:下記構造式表される分散剤。重量平均分子量は23000、側鎖の酸基は75mgKOH/gである。
【0333】
【化73】



【0334】
分散剤9:下記構造式表される分散剤。重量平均分子量は21000、側鎖の酸基は80mgKOH/gである。
【0335】
【化74】



【0336】
上記表1に示すように、特定のアゾ顔料、分散剤、及びアゾ顔料誘導体を含有する実施例1〜23の顔料分散液は増粘量が少なく、分散安定性に優れていた。また、この顔料分散液を用いて作製されたカラーフィルタの着色パターンは耐熱性に優れていた。
一方、アゾ顔料誘導体を比較顔料誘導体1に変更した比較例1及び2、並びに顔料誘導体を添加しなかった比較例3では、増粘量が大きくなり分散安定性が低下した。更に、比較例1〜3では着色パターンの耐熱性が悪化した。
【0337】
〔実施例24〕
(緑色顔料分散組成物G1の調製)
下記組成からなる混合液を、ビーズミルにより2時間混合・分散して緑色顔料分散組成物G1を調製した。
−組成−
・ピグメントグリーン36(PG36)と、ピグメントイエロー139(PY139)と、の混合物(質量比〔PG36/PY139〕=100/55) … 12.60部
・分散剤(ビックケミー社製Disperbyk2001) … 11.00部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA) …80.29部
【0338】
(青色顔料分散組成物B1の調製)
下記組成からなる混合液を、ビーズミルにより2時間混合・分散して青色顔料分散組成物B1を調製した。
−組成−
・ピグメントブルー15:6(PB15:6)と、ピグメントバイオレット23(PV23)と、の混合物(質量比〔PB15:6/PV23〕=100/25)…14.00部
・分散剤(ビックケミー社製Disperbyk2001) … 10.10部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA) …76.40部
【0339】
(緑色着色硬化性組成物G2の調製)
実施例1の赤色着色硬化性組成物Rの調製において、顔料分散組成物Pを上記の緑色顔料分散組成物G1に変更した他は同様にして緑色着色硬化性組成物G2を調製した。
【0340】
(青色着色硬化性組成物B2の調製)
実施例1の赤色着色硬化性組成物Rの調製において、顔料分散組成物Pを上記の青色顔料分散組成物B1に変更した他は同様にして青色着色硬化性組成物B2を調製した。
【0341】
(フルカラーフィルターの作製)
前記において調製された緑色着色硬化性組成物G2を、あらかじめヘキサメチルジシラザンを噴霧した8インチのデバイス形成済みシリコンウエハの上に塗布し、光硬化性の塗布膜を形成した。そして、この塗布膜の乾燥膜厚が1.0μmになるように、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、365nmの波長で1.0μm四方のベイヤーパターンマスクを通して150mJ/cmにて照射した。その後、照射された塗布膜が形成されているシリコンウエハをスピン・シャワー現像機(DW−30型;(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の40%希釈液を用いて23℃で180秒間パドル現像を行なった。さらに、200℃のホットプレートにて8分間加熱しシリコンウエハに着色パターンを形成した。
さらに、実施例1の赤色着色硬化性組成物R、及び上記青色着色硬化性組成物B2を用い、露光パターンを1.0μm四方のアイランドパターンマスクを通して露光する以外は緑色と同様の工程を繰り返すことにより、赤色、青色、緑色のパターンで形成されたカラーフィルタを形成した。
【0342】
〔実施例25〕
(固体撮像素子の作製)
実施例24により得られたカラーフィルタを固体撮像素子に組み込んだところ、該固体撮像素子は、耐熱性に優れ、かつ、良好な分光特性を示すことが確認された。
【0343】
〔実施例26〕
(固体撮像素子の作製)
実施例24により得られたカラーフィルタを固体撮像素子に組み込んだところ、該固体撮像素子は、耐熱性に優れ、かつ、良好な分光特性を示すことが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるアゾ顔料、アゾ顔料誘導体、及び分散剤を含有する顔料分散組成物。
【化1】




〔一般式(1)中、Gは、水素原子、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、Rは、アミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、Rは置換基を表す。
Aは、下記一般式(A−1)〜(A−32)のいずれかを表す。
mは0〜5の整数を表し、nは1〜4の整数を表す。
n=2の場合は、R、R、AまたはGを介した2量体を表す。
n=3の場合はR、R、AまたはGを介した3量体を表す。
n=4の場合はR、R、AまたはGを介した4量体を表す。
一般式(1)がイオン性親水性基を有することはない。〕
【化2】




〔一般式(A−1)〜(A−32)中、R51〜R59は各々独立に水素原子、置換基を表し、隣接する置換基は互いに結合し、5〜6員環を形成していてもよい。*は一般式(1)のアゾ基との結合位置を表す。〕
【請求項2】
前記一般式(1)で表されるアゾ顔料が、下記一般式(2)で表されるアゾ顔料である請求項1に記載の顔料分散組成物。
【化3】




〔一般式(2)中、R21は、アミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R22は置換基を表す。R55及びR59は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を表す。
mは0〜5の整数を表し、nは1〜4の整数を表す。
Zはハメットのσp値が0.2以上の電子求引性基を表す。
n=2の場合は、R21、R22、R55、R59又はZを介した2量体を表す。
n=3の場合はR21、R22、R55、R59又はZを介した3量体を表す。
n=4の場合はR21、R22、R55、R59又はZを介した4量体を表す。
一般式(2)がイオン性親水性基を有することはない。〕
【請求項3】
前記分散剤が、下記一般式(I)及び(II)のいずれかで表される繰り返し単位から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含む高分子化合物である請求項1又は請求項2に記載の顔料分散組成物。
【化4】



〔一般式(I)及び(II)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は1価の有機基を表し、X及びXは、各々独立に、−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−、又はフェニレン基を表し、L及びLは、各々独立に、単結合、又は2価の有機連結基を表し、A及びAは、各々独立に、1価の有機基を表し、m及びnは、各々独立に、2〜8の整数を表し、p及びqは、各々独立に、1〜100の整数を表す。〕
【請求項4】
前記高分子化合物が、側鎖に酸基を50mgKOH/g以上200mgKOH/g以下の範囲で有する請求項3に記載の顔料分散組成物。
【請求項5】
前記一般式(1)で表されるアゾ顔料が、ソルベントソルトミリングされたアゾ顔料である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
【請求項6】
更に、レッド、イエロー、オレンジ、及びバイオレットから選択される色相を有する顔料を含有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の顔料分散組成物と、光重合開始剤と、重合性化合物と、を含有する着色硬化性組成物。
【請求項8】
前記光重合開始剤が、オキシム系光重合開始剤である請求項7に記載の着色硬化性組成物。
【請求項9】
支持体上に、請求項7又は請求項8に記載の着色硬化性組成物を塗布して着色硬化性組成物層を形成する工程と、前記着色硬化性組成物層をマスクを介して露光する工程と、露光後の着色硬化性組成物層を現像して着色パターンを形成する工程と、を含むことを特徴とする固体撮像素子用カラーフィルタの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の固体撮像素子用カラーフィルタの製造方法により製造された固体撮像素子用カラーフィルタ。
【請求項11】
請求項10に記載の固体撮像素子用カラーフィルタを備えた固体撮像素子。

【公開番号】特開2011−162760(P2011−162760A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102596(P2010−102596)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】