説明

顔料濃厚物

1以上の顔料、1以上の分散剤および少なくとも1の樹脂を含む非水性顔料濃厚物において、樹脂が、疎水性尾部を連結された少なくとも1のオリゴ−エステル構築ブロックを含むポリエステルであり、疎水性尾部が、分岐状炭化水素、環式基を含む炭化水素および直鎖状炭化水素からなる群から選択され、ただし、前記直鎖状炭化水素はエステル基を介してオリゴ−エステル構築ブロックに連結されておりかつ3〜12の炭素原子を有する、ところの顔料濃厚物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1以上の顔料、1以上の顔料分散剤、1以上の樹脂、および所望により1以上の溶剤および/または希釈剤を含む非水性顔料濃厚物に関する。
【背景技術】
【0002】
塗料工業では、ストックの制御および補充(logistics)がしばしば、色混合システムを使用して合理化される。これらは、使用者によって選択された塗料組成物が、ベース塗料を限られた数の入手可能なベース塗料から選択しそして選択されたベース塗料を1以上の顔料濃厚物または着色ペーストによって着色することによって製造されるところのシステムを包含する。他のシステムでは、顔料濃厚物が樹脂組成物と混合されて1つの色の塗料またはトナーを形成し、次の工程で、適切に選択されたこれらのトナーを混合して所望する最終の色の塗料を形成する。顔料濃厚物は一般に、色強度が要求するよりも高い顔料負荷を有する点で、着色されたコーティング組成物と区別される。
【0003】
顔料濃厚物は、それらの一般的により高い顔料濃度およびそれらが含む限られた数の顔料の種類(通常は1種類であり、2種類の場合もある)の点でコーティング組成物と異なる。顔料濃厚物中に存在する顔料は着色顔料であり、一方、コーティング組成物は一般に、エクステンダー顔料および他の機能性顔料をも含む。さらに、顔料濃厚物は膜形成性であり得るが、得られる膜は、コーティング組成物に関連する性能、例えば溶剤耐性に関する性能、を有しないであろう。
【0004】
環境上の理由から、揮発性有機化合物の放出および、したがって、溶剤含量を低下させることが望ましい。顔料濃厚物の粘度要件と最小の揮発性有機含量(VOC)とのバランスをとるために、典型的には比較的低分子量を有する追加の樹脂が使用され得る。そのような樹脂は、顔料濃厚物がベース塗料中に混合されたときに顔料の凝集を防ぐことも助け、また、顔料濃厚物含量をベース塗料バインダー系と適合させるのを助けることもできる。非揮発性の反応性および/または非反応性希釈剤も、VOCを減少させるために使用され得る。
【0005】
種々の色の顔料、顔料分散剤、希釈剤および溶剤は性質がかなり異なり得る。したがって、種々の種類の分散剤および溶剤のみならず、種々の種類のベース塗料バインダー系またはトナーを作るために使用されるレットダウン樹脂(let-down resin)とも相溶性である相溶化剤樹脂(compatibilizer resin)を使用することがしばしば必要である。また、相溶化剤は、着色剤のベース塗料中への組み入れを助ける。
【0006】
ポリエステル樹脂を含む顔料濃厚物が、例えば国際公開WO02/096997に開示されている。これらのポリエステルは、他のバインダー系と広い相溶性を有しないところの、酸化的に乾燥するアルキドである。
【0007】
国際公開WO03/089522は、カルバメート官能性ポリエステル顔料分散剤を含む顔料分散物を開示している。カルバメート基は、顔料粒子と親和性である定着基として役立つ。揮発性有機含量は高く、実質的に350g/リットルより上である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、種々のバインダー系と広く相溶性である樹脂を含む非水系顔料濃厚物を提供することである。さらなる目的は、低い揮発性有機含量(VOC)を有する顔料濃厚物の組成物を可能にする樹脂を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、1以上の顔料、1以上の分散剤、および少なくとも1の樹脂を含む非水性顔料濃厚物によって達成され、ここで、上記樹脂は、疎水性尾部を連結された少なくとも1のオリゴ-エステル構築ブロックを含むポリエステルであり、上記疎水性尾部が、(a)分岐状炭化水素、(b)環式基を含む炭化水素、および(c)直鎖状炭化水素から成る群から選択され、ただし上記直鎖状炭化水素は、エステル基を介してオリゴ-エステル構築ブロックに連結され、上記直鎖状炭化水素は3〜12の炭素原子を有することを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記濃厚物は、顔料濃厚物が非水性のままである限り、1以上の溶剤および/または希釈剤をさらに含み得る。非水性は、顔料濃厚物の総重量に基づいて5重量%未満の水を含むとして定義される。より好ましくは、顔料濃厚物が、2.5重量%未満の、さらに最も好ましくは、1重量%未満の水を含む。
【0011】
オリゴ-エステル構築ブロックは、1以上の無水物および/または対応するジカルボン酸を、ペンダント疎水性基を有する1以上のジオールおよび/またはモノエポキシドと反応させ、それによってエステル結合を形成することにより形成され得る。適するモノエポキシドの例は、グリシジルネオデカノエートである。驚くべきことに、そのようなポリエステルは、広範囲のバインダー樹脂および溶剤の型と相溶性であることが分かった。
【0012】
用語「オリゴ-エステル構築ブロック」は、少なくとも1のエステル基を含み、ポリエステルの他の構築ブロックに少なくとも1のエステル基によって連結されるところの構築ブロックとして定義される。
【0013】
本発明に従う顔料濃厚物に存在するポリエステルは、平均して少なくとも1の、好ましくは2〜7の、より好ましくは2〜5の、最も好ましくは3〜5のオリゴ-エステル構築ブロックを含む。
【0014】
オリゴ-エステル構築ブロックは、下記式に従う構造を有し得る。
【0015】
【化1】

【0016】
ここで、Qは、共有結合または少なくとも1、好ましくは1〜4、より好ましくは2〜4、最も好ましくは2の炭素原子を有する炭化水素基であり、Xは2価の、所望により分岐したおよび/または置換された、基、例えば、少なくとも2の炭素原子を含み、所望によりエステル基をさらに含む、飽和または不飽和の炭化水素基であり、Yは3価の炭化水素基であり、Zは、疎水性尾部をオリゴ−エステル構築ブロックに連結する基または共有結合であり、適する連結基の例は、エステル基、エーテル基、C−C単結合または二重結合であり、Rは疎水性尾部である。
【0017】
あるいは、同様の構造を有するが、X基を有しない構築ブロックが使用され得る。別の実施態様では、エステル基を導入するために、シュウ酸が使用され得る。その場合には、QおよびXの両方が構築ブロックに存在しない。
【0018】
上記構造に見られるように、オリゴ−エステル構築ブロックは、少なくとも1のエステル基を含み、他の構築ブロックにエステル基によって連結され得る。
【0019】
QおよびXが存在して環を形成するところのオリゴ−エステル構築ブロックは、例えば、環式無水物またはその対応する、環式基を有するジカルボン酸を、疎水性尾部を有する基によってエステル化することにより得られ得る。上記無水物は、例えば、不飽和、芳香族および/または飽和環式または非環式のジカルボン酸の環式無水物であり得る。上記無水物は、例えば、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、またはそれらの混合物であり得る。適するジカルボン酸は、例えば、上記無水物のカルボン酸または、例えば、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、またはそれらのシクロペンタンまたはシクロヘプタン同等物である。
【0020】
Xが存在しないところの非環式オリゴ−エステル構築ブロックは、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水マロン酸、対応するジカルボン酸またはシュウ酸を使用して得られ得る。
【0021】
Xがエステル基を含むところのオリゴ−エステル構築ブロックは、例えば、トリカルボン酸またはその無水物、例えば無水トリメリット酸、を使用して得られ得る。
【0022】
上記で挙げた酸および/または無水物の任意の組合せまたは混合物も、オリゴ−エステル構築ブロックを得るために使用され得る。
【0023】
カルボン酸または無水物は、疎水性尾部を有するモノエポキシドによるエステル化によって連結されてオリゴ-エステル構築ブロックを形成し得る。適するモノエポキシドは、例えば、エポキシ化されたオレフィン、例えばシクロヘキセンオキシド、またはエポキシ化されたα-オレフィン、例えばドデセンオキシド、テトラデセンオキシドおよびオクタデセンオキシド;グリシジルエーテル、例えばエチルヘキシルグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル;およびカルボン酸のグリシジルエステル、例えばバーサティック酸(versatic acid)グリシジルエステル、例えばHexionからCardura(商品名)E10Pとして市販されているグリシジルネオデカノエート、またはそれらの混合物である。他の適する例は、エポキシ含有芳香族炭化水素、例えばスチレンオキシド、である。
【0024】
モノエポキシドの代わりにまたはモノエポキシドに加えて、ジオールを上記カルボン酸または無水物と反応させてオリゴ-エステル構築ブロックを形成することができる。適するジオールは、1,3−プロパンジオール、1,2−エタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、およびポリテトラヒドロフランを包含する。適する分岐状ジオールは、ジメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、2−プロピル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、トリメチルヘキサン−1,6−ジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリプロピレングリコール、およびポリオキシプロピレングリコールを包含する。適する脂環式ジオールは、1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールおよびペンタエリスリトールの環式ホルマール(formal)および1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノールを包含する。適するアラルキルジオールは、1,4−キシリレングリコールおよび1−フェニル−1,2−エタンジオールを包含する。
【0025】
分岐状ポリエステルを得ることが望ましいならば、ポリオールおよび/またはポリ酸が使用され得る。
【0026】
ポリオールは、多官能性フェノール、トリオールおよびテトロールを包含する。適するトリオールは、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタン、3,5,5−トリメチル−2,2−ジヒドロキシメチルヘキサン−1−オール、および1,2,6−ヘキサントリオールを包含する。あるいは、脂環式およびアラルキルトリオールおよび/または対応する、アルキレンオキシドとの付加物またはそれらの誘導体が使用され得る。適するテトロールは、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジグリセロールおよびジトリメチロールエタンを包含する。脂環式および/またはアラルキルテトロール並びに対応する、アルキレンオキシドとの付加物またはそれらの誘導体を使用することも可能である。さらに多くのヒドロキシル基を有するポリオール、例えばジペンタエリスリトール、ズルシトールおよびスレイトール、も使用され得る。そのようなポリオールは、分岐した星形状の分子を得るためのスターター(starter)分子として特に有用である。
【0027】
適するポリ酸は、1,2,4−ブタントリカルボン酸およびトリメリット酸を包含する。さらにまたはあるいは、酸アルコール、例えば酒石酸および2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸、が使用され得る。
【0028】
スターター分子としてペンタエリスリトールを用いて調製されたポリエステルは、下記構造を有し得る。
【0029】
【化2】

【0030】
上記式中、Rは炭化水素尾部である。
【0031】
所望により、ポリエステルは、環式無水物または二酸と(モノ)エポキシドまたはジオールとの交互反応により形成されたオリゴ−エステル構築ブロックの繰り返しを含み得る。これは、例えば、単官能性、二官能性または多官能性のスターター分子によって開始され得、例えば、亜鉛塩、例えば酢酸亜鉛、などの触媒によって触媒され得る。
【0032】
例えば、モノアルコールがスターター分子として使用され得る。スターター分子としての使用に適する単官能性アルコールは、直鎖状アルコール、例えばメタノール、エタノール、ヘキサノール、ブタノール、オクタノール、ヘキサデカノールなど、分岐状アルコール、例えばイソプロパノール、2−エチルヘキサノールなど、脂環式アルコール、例えばシクロヘキサノール、アラルキルアルコール、例えばベンジルアルコール、またはフェノールを包含する。
【0033】
例えば、2−エチルヘキサノール、無水ヘキサヒドロフタル酸およびグリシジルエステルを用いて調製されたポリエステルは、下記構造を有し得る。
【0034】
【化3】

【0035】
上記式中、Rは疎水性尾部、例えば炭化水素基、であり、n≧0、好ましくは0〜6、より好ましくは1〜5、最も好ましくは2〜4である。別の例は、グリシジルエーテルから誘導される基を有する同様のポリエステルである。
【0036】
他のありうるスターター分子はアミンである。適する第1級アミンは、モノアミン、例えばアルキルアミン、例えばブチルアミン、およびジアミン、例えばアルキレンジアミン、例えばエチレンジアミン、を包含する。第2級モノアミン、例えばピペリジン、ジアルキルアミン、例えばジブチルアミン、またはジアミン、例えばピペラジン、も使用され得る。
【0037】
適するカルボン酸官能性スターター分子は、モノ酸、例えば2−エチル酪酸、またはシクロヘキサンカルボン酸、二酸、例えばアジピン酸または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、およびポリ酸、例えば1,2,4−ブタントリカルボン酸を包含する。
【0038】
モノチオール、例えばドデカンチオール、ジチオール、またはポリチオール、例えばペンタエリスリト−ルテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、もスターター分子として使用され得る。さらに、上記スターター分子の2以上のブレンドも使用され得る。あるいはまたはさらに、混合された官能性のスターター分子、例えば酸アルコール、アミンアルコール、アミノ酸、アミノチオール、酸チオール、チオールアルコール、または2より多い異なる官能性を有するスターター、が使用され得る。適する酸アルコールは、酒石酸および2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸を包含する。適するアミンアルコールは、ジエタノールアミンおよび1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンを包含する。酸チオールの適する例は、3−メルカプトプロパン酸である。チオールアルコールの適する例は、2−チオエタノールである。ポリマー状のスターター、例えばアクリルポリオールおよびアクリル酸アルコール、も使用され得る。
【0039】
所望ならば、ヒドロキシ官能性スターター分子がインシチューで、例えばエポキシドとモノカルボン酸との反応を介して、生成され得る。適するエポキシドは、例えばグリシジルネオデカノエートである。ヒドロキシル基をインシチューで生成させる他の手段は、エポキシドとアミン、チオールまたはフェノールとの反応、または環式ラクトン、例えばε−カプロラクトン、とアミン、アルコールまたはチオールとの反応を包含する。
【0040】
単官能性スターター分子が使用されるならば、得られるポリエステルは、上記スターター分子由来の尾部をポリマー鎖の一端に含むであろう。したがって、本発明は、(i)疎水性尾部を連結された、少なくとも1の、好ましくは1〜7の、より好ましくは2〜6の、最も好ましくは3〜5のオリゴ−エステル構築ブロックおよび(ii)ポリマー鎖の一端上の、単官能性スターター分子由来の尾部から成るポリエステルにも関する。上記単官能性スターター分子は、アルコール、アミン、カルボン酸およびチオールから成る群から選択される。好ましくは、疎水性尾部がエステル基によって上記オリゴ−エステル構築ブロックに連結されている。上記単官能性スターター分子は好ましくは、分岐状モノアルコール、例えば2−アルキルアルカノール、例えば2−エチルヘキサノール、である。単官能性スターター分子が2−エチルヘキサノールであるとき、得られるポリマー鎖は、一端に2−エチルヘキシル尾部を含むであろう。
【0041】
本発明で使用されるポリエステルは、疎水性尾部を有する。用語「疎水性」は、ISO 862:1995で定義されているように、分子または分子基(molecular group)が水を離れて通過するまたは水中に浸透しない傾向を記載する。分子または基の疎水性は一般に、炭化水素基の存在に関連する。疎水性尾部は好ましくは4〜20、より好ましくは6〜16、さらにより好ましくは8〜10、最も好ましくは約9の炭素原子を含む。炭化水素尾部は、飽和、不飽和または芳香族炭化水素基であり得、それらは、分岐状、直鎖状または環式であり得る。疎水性尾部はまた、例えば、エーテルおよび/またはエステル基、例えばε−カプロラクトンの酸またはアルコールによる開環によって得られ得る基、を含み得る。しかし、疎水性尾部が、エステル基を介してオリゴ−エステル構築ブロックに連結された直鎖状炭化水素であるとき(すなわち、Zがエステル基であるとき)、上記直鎖状炭化水素は、3〜12の炭素原子を含む。
【0042】
好ましくは、ポリエステルが20mgKOH/gより下の、より好ましくは10mgKOH/gより下の、最も好ましくは5mgKOH/gより下の酸価を有する。最終生成物の酸価を低下させるために、酸反応性化合物、例えばモノアルコールまたはモノエポキシド、がポリエステルの末端カルボン酸基との反応のために使用され得る。適する化合物は、上記で挙げたモノエポキシドおよびモノアルコールを包含する。
【0043】
所望により、ポリエステル樹脂は、ヒドロキシル官能性基を有し得る。その場合には、それらが、OH反応性架橋剤、例えばイソシアネート、との架橋に基づく塗料系において反応され得る。ポリエステルは好ましくは0〜250mgKOH/gの、より好ましくは0〜160mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。ヒドロキシル価は、例えばOH反応性化合物、例えば無水酢酸、との反応により、低下され得る。
【0044】
国際公開WO03/089522には、カルバメート顔料定着基を有するポリエステルが分散剤として使用されているが、本発明のポリエステルは、相溶化剤樹脂として使用され、顔料濃厚物中で分散剤と組み合わされる。これらの分散剤は、典型的には、ポリマー状部分および1以上の顔料親和性基を含む。しばしば、これらの分散剤は、1以上のポリマー鎖および1以上の顔料親和性基を有する櫛型ポリマーとして構成される。一般に、単一のポリマー鎖を有する分散剤は、末端位置に顔料親和性基を有する。他の型の分散剤は、顔料親和性基を有する幹を有し、かつ使用されるべき溶剤に溶解するポリマー状の尾部を有し得る。有機溶剤に溶解性であるために、ポリマー状尾部は、例えば、脂肪族炭化水素部分から主として成り得る。一般に、顔料親和性基は、高い極性を有する基、例えばイオン性の基、例えばカルボキシル基、スルフェート基、スルホネート基、アミン塩基、ホスフェート基またはホスホネート基、である。非イオン性の基、例えばカルバメート、ウレア、アミドまたはアミン基、も適する顔料親和性基であり得る。適する分散剤は、例えば、Lubrizol Advanced Materialsから入手可能なSolsperse(商品名)、Solplus(商品名)およびIrcosperse(商品名)分散剤、Byk ChemieからのDisperbyk(商品名)分散剤、CibaからのEfka(商品名)分散剤、DegussaからのTego(商品名)分散剤、およびElementis SpecialiesからのNuosperse(商品名)分散剤である。分散剤の量は、例えば、使用される顔料の少なくとも約0.1重量%、例えば少なくとも約2重量%、であり得る。分散剤の量は、例えば、使用される顔料の100重量%未満、例えば約10重量%未満、であり得る。
【0045】
顔料濃厚物は、溶剤を含み得るが、所望ならば、溶剤を含まなくてもよい。適する溶剤は、例えば芳香族溶剤、例えばキシレン、メシチレンまたはExxonのSolvesso(商品名)100として販売されている溶剤、を包含する。芳香族を含まない溶剤、例えば脂肪族炭化水素溶剤、例えばイソパラフィン、エステル、例えばn−ブチルアセテート、エーテル、例えばブトキシエタノール、エーテルエステル、例えばメトキシプロピルアセテート、またはケトン、およびアルコール、例えばn−ブタノール、もホワイトスピリットと同様に、使用され得る。あるいはまたはさらに、組成物は、不揮発性の反応性希釈剤、例えばヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリシジルネオデカノエート、エポキシ化された亜麻仁油またはベンジルアルコールおよび/または非反応性希釈剤、例えばジブチルフタレートおよび液状芳香族炭化水素樹脂、例えば市販されているHirenol(商品名)PLおよびCLシリーズ(Kolon Chemical Company製)の炭化水素、を含み得る。上記の溶剤および/または希釈剤の2以上の任意の組合せの混合物も使用され得る。
【0046】
使用され得る顔料は、無機または有機顔料であり得る。無機顔料の例は、二酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化鉄、バナジウム酸ビスマス、ローシェンナおよびバーントシェンナまたはアンバー、酸化クロムグリーン、カドミウム顔料、およびクロム顔料を包含する。有機顔料の例は、フタロシアニン、キナクリドン、アントラキノン、イソインドリン、ピランスロン(pyranthrone)、インダンスロン、ジオキサジンの誘導体、ジケトピロロピロール、およびアゾ化合物を包含する。
【0047】
本発明の顔料濃厚物はまた、エフェクト(effect)顔料または光輝顔料を含み得る。これらは、干渉、反射および吸収現象の相互作用によって目立たされる視覚効果を示す小板形状の単層または多層の顔料である。例は、アルミニウム小板およびアルミニウム、酸化鉄、および1以上のコート、特に金属酸化物のコート、を有する真珠光沢のまたはマイカの小板である。二色性またはカラーシフト性の顔料も使用され得る。
【0048】
所望により、フィラー顔料、例えばクレー、バライト、シリカ、タルク、マイカ、ワラストナイトなど、が添加され得る。
【0049】
顔料の高含量は、溶剤含量を増加する必要なく、一方で十分な粘度を維持しながら、本発明に従う顔料濃厚物におい実現され得る。有機顔料が使用されるならば、顔料の含量は適切には、顔料濃厚物の総重量に基づいて、5〜45重量%、好ましくは25〜40重量%の範囲である。無機顔料が使用されるならば、顔料の含量は、30重量%より高くあり得る。例えば、二酸化チタンの場合には、40〜60重量%またはさらに高くあり得る。光を通す(translucent)顔料、例えば光を通す酸化鉄、が使用されるならば、顔料の含量は、5重量%より高く、好ましくは20重量%より高く、または30重量%より高くすらあり得る。カーボンブラックが使用されるならば、顔料の含量は、例えば、10〜20重量であり得る。
【0050】
好ましくは、顔料濃厚物は、米国環境保護機関のEPA方法24に従って測定される揮発性有機含量(VOC)が、250g/リットルを超えない。好ましくは、顔料濃厚物のVOCが、100g/リットルを超えないVOCを有する塗料の組成物を可能にするのに十分低い。
【0051】
所望により、顔料濃厚物が、追加の樹脂、例えばアクリレート樹脂またはウレア−アルデヒド樹脂、を含む。適するアクリル樹脂は、例えば、Nuplex Resinsから入手可能なSetalux(商品名)1385−51である。追加の樹脂とポリエステルとの混合比は、好ましくは0:1〜4:1、より好ましくは1:1〜3:1である。
【0052】
本発明に従う顔料濃厚物は、例えば、顔料を分散剤と共に破砕することにより調製され得る。ポリエステルは、破砕中または破砕後に添加される。所望により、更なる樹脂、例えばアクリル樹脂、が破砕中または破砕後に添加され得る。
【0053】
本発明に従う顔料濃厚物は、種々の型のベース塗料を着色するのに適する。ベース塗料は、無機バインダー、例えばポリシロキサン、または有機バインダー、例えばアクリレート、ポリエステル、アルキドまたはポリウレタン、あるいはそれらの混合物またはハイブリッドに基づき得る。溶剤系ベース塗料は、例えば、脂肪族または芳香族溶剤に基づき得る。本発明に従う顔料濃厚物はまた、上述したトナー系において使用され得る。
【0054】
本発明を下記実施例によってさらに説明する。
【実施例】
【0055】
材料
これらの実施例では、下記に挙げる組成が、示されたように入手可能である。
Bayferrox(商品名)Yellow 3920:Bayerのイエロー酸化鉄顔料
Cardura(商品名)E10P:Hexionから入手可能なグリシジルネオデカノエート
Dowanol(商品名)PM Acetate:Dowから入手可能な1−メトキシ−2−プロピルアセテート
Disperbyk(商品名)170:Byk Chemieから入手可能な分散剤
Fascat(商品名)4101:Arkemaから入手可能なブチルクロロスズジヒドロキシド触媒
Intermediate(商品名)3074:Dow Corningから入手可能なポリシロキサン
Irgazin(商品名)Red 2030:Ciba Specialty Chemicalsから入手可能な赤色顔料
Laropal(商品名)A81:BASFから入手可能なウレアアルデヒド樹脂
Monastral(商品名)Blue CSN:Heubachから入手可能なブルー銅(II)フタロシアニン顔料
Setal(商品名)164:NuplexResinsから入手可能なポリエステルポリオール樹脂
Setalux(商品名)1161:NuplexResinsから入手可能なアクリレート
Setalux(商品名)1385-51:Nuplex Resinsから入手可能なアクリルポリオール
Solsperse(商品名)38500:Lubrizol Advanced Materialsから入手可能な顔料シネルジスト
Solsperse(商品名)5000:Lubrizol Advanced Materialsから入手可能な分散剤
Special Black 100:Degussaから入手可能なカーボンブラック
Sunfast(商品名)Blue 15.2:Sun Chemical から入手可能な青色顔料
Synocure(商品名)892 BA70:Cray Valleyから入手可能なアクリルポリアミン
Tioxide(商品名)TR92:Huntsmanから入手可能な二酸化チタン顔料
Trigonox(商品名)21:Akzo Nobel Chemicalsから入手可能なt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
実施例において、全ての量は、特に断らない限り、グラム単位である。
【0056】
実施例1
攪拌機、熱電対、コンデンサー、Dean-Starkトラップ、窒素入口および加熱マントルを備えた1リットル反応フラスコ中で、104.3gのネオペンチルグリコールを308.7gの無水ヘキサヒドロフタル酸と混合した。混合物を150℃に加熱し、150℃で1時間保持した。次いで、52.1gのネオペンチルグリコールを、0.23gのFascat(商品名)4101とともに添加した。混合物を200℃に加熱し、200℃で約6時間保持した。その後、150℃に冷却し、0.38gのトリフェニルホスフィンを添加した。次いで、212.2gのCardura(商品名)E10Pを3時間にわたって添加した。その間、反応を150℃で保持した。Cardura(商品名)E10Pの添加の後、<5mgKOH/gの酸価が得られるまで、混合物を同じ温度で保持した。
【0057】
実施例2
攪拌機、熱電対、コンデンサー、Dean-Starkトラップ、窒素入口および加熱マントルを備えた1リットル反応フラスコ中で、90.7gのネオペンチルグリコールを268.4gの無水ヘキサヒドロフタル酸と混合した。混合物を150℃に加熱し、150℃で1時間保持した。次いで、62.8gのシクロヘキサンジメタノールを、0.21gのFascat(商品名)4101とともに添加した。混合物を200℃に加熱し、200℃で約4時間保持した。その後、150℃に冷却し、0.4gのトリフェニルホスフィンを添加した。次いで、209.6gのCardura(商品名)E10Pを2時間にわたって添加した。その間、反応を150℃で保持した。Cardura(商品名)E10Pの添加の後、<5mgKOH/gの酸価が得られるまで、混合物を同じ温度で保持した。
【0058】
実施例3
攪拌機、熱電対、コンデンサー、Dean-Starkトラップ、窒素入口および加熱マントルを備えた1リットル反応フラスコ中で、71.6gの2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールを192.5gのシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸および0.13gのFascat(商品名)4101と混合した。混合物を200℃に加熱し、この温度で1時間保持した。その後、150℃に冷却し、0.55gのトリフェニルホスフィンを添加した。次いで、301.5gのCardura(商品名)E10Pを2時間にわたって添加した。その間、反応を150℃で保持した。<5mgKOH/gの酸価が得られるまで、混合物を同じ温度でさらに2時間保持した。
【0059】
実施例4
攪拌機、熱電対、コンデンサー、窒素入口および加熱マントルを備えた0.5リットル反応フラスコ中で、31.6gの2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールを79.4gの無水ヘキサヒドロフタル酸と混合した。混合物を140℃に加熱し、この温度で1時間保持した。その後、0.25gのトリフェニルホスフィンを添加した。次いで、142.2gのCardura(商品名)E10Pを2時間にわたって添加した。その間、反応を140℃で保持した。次いで、<5mgKOH/gの酸価が得られるまで、混合物を同じ温度で保持した。
【0060】
実施例5
攪拌機、熱電対、コンデンサー、窒素入口および加熱マントルを備えた1リットル反応フラスコ中で、53.4gの2−エチルヘキサノールを252.6gの無水ヘキサヒドロフタル酸と混合した。混合物を150℃に加熱し、同じ温度で1時間保持した。その後、0.7gのトリフェニルホスフィンを添加した。次いで、393.3gのCardura(商品名)E10Pを4時間にわたって添加した。その間、反応を150℃で保持した。Cardura(商品名)E10Pの添加の後、<5mgKOH/gの酸価が得られるまで、混合物を同じ温度で保持した。
【0061】
実施例6
攪拌機、熱電対、コンデンサー、窒素入口および加熱マントルを備えた1リットル反応フラスコ中で、50.0gの2−エチルヘキサノールを236.8gの無水ヘキサヒドロフタル酸と混合した。混合物を150℃に加熱し、同じ温度で1時間保持した。その後、0.57gのトリフェニルホスフィンを添加した。次いで、286.1gの2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを4時間にわたって添加した。その間、反応を150℃で保持した。Cardura(商品名)E10Pの添加の後、<20mgKOH/gの酸価が得られるまで、混合物を同じ温度で保持した。
【0062】
実施例7
攪拌機、熱電対、コンデンサー、窒素入口および加熱マントルを備えた1リットル反応フラスコ中で、69.9gのペンタエリスリトールを316.6gの無水ヘキサヒドロフタル酸と混合した。混合物を150℃に加熱し、同じ温度で1時間保持した。その後、0.91gのトリフェニルホスフィンを添加した。次いで、513.5gのCardura(商品名)E10Pを2.5時間にわたって添加した。その間、反応を150℃で保持した。Cardura(商品名)E10Pの添加の後、<5mgKOH/gの酸価が得られるまで、混合物を同じ温度で保持した。
【0063】
実施例8
攪拌機、熱電対、コンデンサー、窒素入口および加熱マントルを備えた1リットル反応フラスコ中で、72.5gのペンタエリスリトールを328.4gの無水ヘキサヒドロフタル酸と混合した。混合物を150℃に加熱し、同じ温度で1時間保持した。その後、0.98gのトリフェニルホスフィンを添加した。533.3gの2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを4時間にわたって添加した。その間、反応を150℃で保持した。次いで、<15mgKOH/gの酸価が得られるまで、混合物を同じ温度で保持した。
【0064】
実施例9
攪拌機、熱電対、コンデンサー、窒素入口および加熱マントルを備えた0.5リットル反応フラスコ中に、87.9gの量の無水ヘキサヒドロフタル酸を充填した。充填物を50℃に加熱し、18.4gのジブチルアミンを30分にわたって添加した。混合物を150℃に加熱し、150℃で1時間保持した。その後、0.25gのトリフェニルホスフィンを添加した。次いで、136.7gのCardura(商品名)E10Pを4時間にわたって混合物に添加した。その間、反応を150℃で保持した。その後、<10mgKOH/gの酸価が得られるまで、混合物を同じ温度で保持した。
【0065】
実施例10
攪拌機、熱電対、コンデンサー、窒素入口および加熱マントルを備えた0.5リットル反応フラスコ中に、20.8gの量のジブチルアミンを充填した。反応フラスコを80℃に加熱し、38.6gのCardura(商品名)E10Pを1時間にわたって添加した。その間、温度を80℃で保持した。次いで、混合物を125℃に4時間加熱した。反応物を60℃に冷却し、74.4gの無水ヘキサヒドロフタル酸を添加した。混合物を150℃に加熱し、同じ温度で1時間保持した。その後、0.25gのトリフェニルホスフィンを添加した。次いで、115.9gのCardura(商品名)E10Pを2.5時間にわたって添加した。その間、反応を150℃で保持した。Cardura(商品名)E10Pの添加の後、酸価が5mgKOH/g未満になるまで、混合物を同じ温度で保持した。
【0066】
実施例11
攪拌機、熱電対、コンデンサー、Dean-Starkトラップ、窒素入口および加熱マントルを備えた1リットル反応フラスコ中で、73.3gの2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールを、98.5gのシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、98.5gのシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸および0.14gのFascat(商品名)4101と混合した。混合物を200℃に加熱し、この温度で1時間保持した。その後、150℃に冷却し、0.54gのトリフェニルホスフィンを添加した。次いで、286.6gのCardura(商品名)E10Pを2時間にわたって添加した。その間、反応を150℃で保持した。<5mgKOH/gの酸価が得られるまで、混合物を同じ温度で保持した。
【0067】
実施例12
攪拌機、熱電対、コンデンサー、Dean-Starkトラップ、窒素入口および加熱マントルを備えた1リットル反応フラスコ中で、41.7gの2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸を239.0gの無水ヘキサヒドロフタル酸および0.7gのトリフェニルホスフィンと混合した。混合物を150℃に加熱し、150℃でさらに1時間保持した。次いで、425.5gのCardura(商品名)E10Pを3時間にわたって添加した。その間、反応を150℃で保持した。<12mgKOH/gの酸価が得られるまで、混合物を同じ温度で保持した。
【0068】
実施例13
攪拌機、熱電対、コンデンサー、Dean-Starkトラップ、窒素入口および加熱マントルを備えた1リットル反応フラスコ中で、129.4gの無水ヘキサヒドロフタル酸を302.4gのCardura(商品名)E10Pおよび0.43gの酢酸亜鉛と混合した。混合物を90℃に加熱し、この温度で4時間保持した。生成物の酸価は<5mgKOH/gであった。
【0069】
実施例14
攪拌機、熱電対、コンデンサー、Dean-Starkトラップ、窒素入口および加熱マントルを備えた0.5リットル反応フラスコ中に、実施例7に従って製造されたポリエステル227.6gを充填し、100℃に加熱した。次いで、54.3gの無水酢酸を添加し、混合物を120℃で2時間保持した。次いで、混合物を150℃に加熱し、酢酸をDean-Starkトラップに集めた。<5mgKOH/gの酸価が得られるまで、混合物を同じ温度で加熱した。
【0070】
実施例15
攪拌機、熱電対、コンデンサー、窒素入口および加熱マントルを備えた500ml反応フラスコ中で、45.1gの2−エチルヘキサノールを80.1gの無水ヘキサヒドロフタル酸と混合した。混合物を150℃に加熱し、同じ温度で1時間保持した。その後、0.25gのトリフェニルホスフィンを添加した。次いで、124.6gのCardura(商品名)E10Pを3時間にわたって添加した。その間、反応を150℃で保持した。Cardura(商品名)E10Pの添加の後、<10mgKOH/gの酸価が得られるまで、混合物を同じ温度で保持した。
【0071】
実施例16
攪拌機、熱電対、コンデンサー、Dean-Starkトラップ、窒素入口および加熱マントルを備えた0.5リットル反応フラスコ中で、37.6gのトリメチロールプロパン、21.6gの無水ヘキサヒドロフタル酸および0.03gのFascat(商品名)4101を混合し、200℃に加熱し、200℃で4時間保持した。次いで、混合物を120℃に冷却し、86.3gの無水ヘキサヒドロフタル酸を添加し、全体を120℃でさらに2時間保持した。次いで、混合物を150℃に加熱し、0.27gのトリフェニルホスフィンを添加した。次いで、134.3gのCardura(商品名)E10Pを3時間にわたって添加した。その間、温度を150℃で保持した。Cardura(商品名)E10Pの添加の後、<5mgKOH/gの酸価が得られるまで、混合物を同じ温度で保持した。
【0072】
実施例17
攪拌機、熱電対、コンデンサー、Dean-Starkトラップ、窒素入口および加熱マントルを備えた1リットル反応フラスコ中に、177.0gの1−メトキシ−2−プロピルアセテート(Dowanol(商品名)PMアセテート)を充填し、150℃に加熱した。次いで、93.9gのヒドロキシプロピルメタクリレート、90.0gのブチルメタクリレート、60.0gのメチルメタクリレート、8.8gの1−オクタンチオールおよび6.5gのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(Trigonox(商品名)21、Akzo Nobel Chemicalsから入手可能)を1リットルの三角フラスコに添加した。この混合物を反応器に3時間にわたって添加した。その間、反応の温度を150℃に保持した。混合物を150℃でさらに1時間保持し、次いで、5.0gのTrigonox(商品名)21を添加した。反応を150℃でさらに1時間保持した。次いで、混合物を80℃に冷却し、100.5gの無水ヘキサヒドロフタル酸を添加した。次いで、混合物の温度を150℃に上げ、そこで2時間保持した。その後、0.51gのトリフェニルホスフィンを添加した。次いで、162.9gのCardura(商品名)E10Pを2時間にわたって添加した。その間、反応を150℃で保持した。Cardura(商品名)E10Pの添加の後、<20mgKOH/gの酸価が得られるまで、混合物を同じ温度で保持した。
【0073】
実施例18
攪拌機、熱電対、コンデンサー、窒素入口および加熱マントルを備えた1リットル反応フラスコ中で、69.9gのペンタエリスリトールを205.5gの無水コハク酸と混合した。混合物を150℃に加熱し、同じ温度で1時間保持した。その後、0.91gのトリフェニルホスフィンを添加した。次いで、513.5gのCardura(商品名)E10Pを2.5時間にわたって添加した。その間、反応を150℃で保持した。Cardura(商品名)E10Pの添加の後、<5mgKOH/gの酸価が得られるまで、混合物を同じ温度で保持した。
【0074】
実施例1〜15の樹脂の相溶性評価
実施例1〜15の相溶化剤樹脂の、ある範囲のベース塗料バインダー系との相溶性を評価するために、下記の評価手順が行われた。
【0075】
評価は、次のベース樹脂、すなわち、アクリルポリオール、64%のオイル長さを有する、トール油脂肪酸およびペンタエリスリトールに基づく酸化的に乾燥するアルキド、アクリルポリアミン(Cray Valleyから入手可能なSynocure(商品名)892 BA70)およびポリシロキサン(Dow Corning(商品名)3074 Intermediate)、を用いて行われた。
【0076】
ベース樹脂および相溶化剤樹脂を10:1の混合比で混合した。約0.25gの相溶化剤樹脂が4個のガラス製バイアル中に正確に秤量されて入れられた。次いで、各バイアル中に約2.5gの必要なベース樹脂が正確に秤量されて入れられた。次いで、各バイアル中に、約2.75gの溶剤(1−メトキシ−2−プロピルアセテート)が正確に秤量されて入れられた。完全に溶解するまでサンプルを混合した。Dow Corning(商品名)3074 Intermediateを含むバイアルの場合には、0.125gの3−アミノプロピルトリエトシキシシランおよび0.05gのジブチルスズジラウレートが添加された。次いで、全てのサンプルに関して、400μmの膜アプリケーターバーを使用して、ガラスパネル上に膜が施与され、25℃で24時間貯蔵された。試験を10℃の貯蔵温度で繰り返した。相溶性が視覚的に評価され、OK(透明な膜)、わずかに曇っている、または曇っているとして分類された。
【0077】
全ての場合において、透明で曇りがないままの膜が観察された。これは、上記相溶化剤樹脂が種々のバインダー樹脂と完全に相溶性であることを示す。
【0078】
実施例18の樹脂の相溶性評価
実施例18の相溶化剤樹脂の相溶性が、次の樹脂、すなわち、Nuplex Resinsから入手可能なアクリル樹脂であるSetalux(商品名)1385およびSetalux(商品名)1161、Nuplex Resinsから入手可能なポリエステルポリオール樹脂であるSetal(商品名)164、およびEastman Chemical Companyから入手可能な2種類のセルロースアセテートブチレート樹脂のブレンド、を用いて試験された。
【0079】
各樹脂または、セルロースアセテートブチレートの場合には樹脂ブレンドが、100mlガラスビン中で10:1の混合比を使用して相溶化剤樹脂と混合された。1gの相溶化剤樹脂に、試験される樹脂の10gが添加された。次いで、各ビンに、11gの1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶剤が添加された。ビンは、樹脂サンプルが溶解されるまで激しく振盪された。
【0080】
サンプルは最初に、相分離または曇りなどの不相溶性を示すものについてビン中で判断された。25℃で24時間貯蔵後、全てのサンプルの外観は均一かつ透明であった。次いで、サンプルが、200ミクロンのアプリケーターバーを使用してアセテートシート上に濡れた膜として施与され、25℃で24時間貯蔵された。ドローダウン(drawdown)が視覚的に評価され、OK(透明な膜)、わずかに曇っている、または曇っているとして分類された。全ての場合において、透明で曇りがないままの樹脂膜が観察された。これは、上記相溶化剤樹脂が、試験樹脂と完全に相溶性であることを示す。
【0081】
粘度
25重量%の青色顔料、Sunfast(商品名)Blue15.2、15重量%の、実施例7で製造されたポリエステルの30%溶液、26重量%の熱硬化性アクリル樹脂Setalux(商品名)1385 BX51、24重量%の分散剤Disperbyk(商品名)70、および10重量%のブチルアセテート溶剤を含む顔料濃厚物が調製された。固形分は約50重量%であった。顔料とバインダーとの比は約1であった。
【0082】
直径1.25〜1.6nmのジルコニアビーズ(200g)が、容積370mlのガラスビンに添加された。次に、顔料ペーストプレミックスの125gがビンに添加された。ジルコニアビーズのさらに190gが添加された。スクリュトップのふたが取り付けられ、ビンが振盪器に置かれた。<10ミクロンの顔料ペーストHegman粉(grind)を達成するために、ビンが90分間振盪された。
【0083】
ペースト粘度が、CAP2000コーンおよびプレート粘度計を用いてそれぞれ75rpmおよび750rpmのせん断速度で測定された。75rpmのせん断速度では、ペーストは2.0〜2.5cPsの粘度を有し、750rpmでの粘度は1.5〜1.8cPsであった。これは、顔料の含量が従来のペーストよりも30%より多く高いけれども、粘度はさらに低いことを意味する。
【0084】
達成可能なVOCの決定
顔料濃厚物が、実施例1、2、3、5、7および14の相溶化剤樹脂を使用して調製された。比較試験は、BASFから入手可能なLaropal(商品名)A81を使用して行われた。顔料濃厚物では、Noveon Performance Coatingsから入手可能なSolsperse(商品名)38500が分散剤として使用された。評価は、下記顔料を用いて行われた。すなわち、二酸化チタン(Huntsmanから入手可能なTioxide(商品名)TR92)、イエロー酸化鉄(BayerのBayferrox(商品名)イエロー3920)、カーボンブラック(Degussaから入手可能なSpecial Black 100)、ブルー銅(II)フタロシアニン顔料(Heubachから入手可能なMonastral(商品名)Blue CSN)、および赤色顔料(Ciba Specialty Chemicalsから入手可能なIrgazin(商品名)Red 2030)が使用された。
【0085】
顔料濃厚物が、1−メトキシ−2−プロピルアセテート中に相溶化剤樹脂を溶解することにより調製された。次いで、相溶化剤樹脂溶液が、更なる溶剤および分散剤、Solsperse(商品名)38500、と混合された。40℃の温度で攪拌下に顔料が添加された。直径1mmのガラスビーズが総着色剤重量に関して1:1の重量比で添加された。Bayferrox(商品名)イエロー3920着色剤の場合には、1:1.4の重量比が使用された。次いで、混合物が、8,000〜10,000rpmの速度で混合され、そして破砕媒体からの分離のための250μmのポリエステルメッシュを使用して濾過された。全ての場合において、生成物は、流動性で注入可能な顔料濃厚物であった。表1は、250g/リットル以下のVOCが達成され得ることを示す。表2は、顔料濃厚物の組成を示す。
【0086】
【表1】

【0087】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の顔料、1以上の分散剤および少なくとも1の樹脂を含む非水性顔料濃厚物において、樹脂が、疎水性尾部を連結された少なくとも1のオリゴ−エステル構築ブロックを含むポリエステルであり、該疎水性尾部が、分岐状炭化水素、環式基を含む炭化水素および直鎖状炭化水素からなる群から選択され、ただし、前記直鎖状炭化水素はエステル基を介してオリゴ−エステル構築ブロックに連結されておりかつ3〜12の炭素原子を有する、ところの顔料濃厚物。
【請求項2】
オリゴ−エステル構築ブロックの少なくとも一部が、環式カルボン酸無水物またはそのエステル形成性誘導体から得られ得る、請求項1記載の顔料濃厚物。
【請求項3】
環式カルボン酸無水物が無水ヘキサヒドロフタル酸である、請求項2記載の顔料濃厚物。
【請求項4】
オリゴ−エステル構築ブロックの少なくとも一部が、ジカルボン酸またはカルボン酸無水物をモノエポキシドと反応させることにより得られ得る、請求項1〜3のいずれか1項記載の顔料濃厚物。
【請求項5】
モノエポキシドが脂肪酸のグリシジルエステルである、請求項4記載の顔料濃厚物。
【請求項6】
モノエポキシドがグリシジルエーテルである、請求項4記載の顔料濃厚物。
【請求項7】
樹脂が、アルコール、アミン、カルボン酸、またはチオールの群から選択されるモノ−、ジ−または多官能性化合物に由来する少なくとも1の基を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の顔料濃厚物。
【請求項8】
前記化合物が、2−エチルヘキサノール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタン、3,5,5−トリメチル−2,2−ジヒドロキシメチルヘキサン−1−オール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジグリセロールおよびジトリメチロールエタンから成る群から選択される、請求項7記載の顔料濃厚物。
【請求項9】
樹脂が、アルコール、アミン、カルボン酸、またはチオールの群から選択されるモノ官能性化合物に由来する尾部をポリマー鎖の一端に有する、請求項7記載の顔料濃厚物。
【請求項10】
濃厚物が、250g/リットルを超えない揮発性有機含量VOCを有する、請求項1〜9のいずれか1項記載の顔料濃厚物。
【請求項11】
追加の樹脂をさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の顔料濃厚物。
【請求項12】
追加の樹脂がアクリレート樹脂である、請求項11記載の顔料濃厚物。
【請求項13】
1以上のモノエポキシドを1以上のジカルボン酸または無水物および、アルコール、アミン、カルボン酸またはチオールの群から選択されるモノ官能性スターター分子と反応させることにより疎水性尾部を有するポリエステルを製造する方法。
【請求項14】
スターター分子が、2−アルキルアルカノールまたは他の分岐状モノアルコール、例えば2−エチルヘキサノール、である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
スターター分子の少なくとも一部がインシチューで形成される、請求項13または14記載の方法。
【請求項16】
(i)疎水性尾部を連結された少なくとも1のオリゴ−エステル構築ブロックおよび(ii)ポリマー鎖の一端上の、モノ官能性化合物に由来する尾部から成り、前記モノ官能性化合物がアルコール、アミン、カルボン酸およびチオールから成る群から選択される、ポリエステル。
【請求項17】
モノ官能性化合物が2−エチルヘキサノールである、請求項16記載のポリエステル。
【請求項18】
請求項15または16のポリエステルを含むコーティング組成物。
【請求項19】
請求項1〜12のいずれか1項記載の顔料濃厚物をコーティング組成物において使用する方法。
【請求項20】
請求項1〜12のいずれか1項記載の顔料濃厚物の製造法において、1以上の顔料を1以上の分散剤と共に破砕し、破砕中または破砕後に樹脂を添加するところの方法。

【公表番号】特表2010−504419(P2010−504419A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529678(P2009−529678)
【出願日】平成19年9月24日(2007.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060079
【国際公開番号】WO2008/037678
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(500286643)アクゾ ノーベル コーティングス インターナショナル ビー ヴィ (67)
【Fターム(参考)】