説明

顔料用分散剤としての超枝分かれしたポリカーボネートの使用

顔料用分散剤としての、
a)
a1)一般式RO[(CO)]nRの少なくとも1つの有機カーボネート(A)を、少なくとも3個のOH基を有する少なくとも1つの脂肪族、脂肪族/芳香族または芳香族のアルコール(B)と、アルコールROHの除去下に反応させ、この場合Rは、それぞれ互いに無関係に1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝鎖状の脂肪族、芳香族/脂肪族または芳香族の炭化水素基であり、および基Rは、基−O[(CO)O]n−含有環の形成下に互いに結合されていてもよく、かつnは、1〜5の整数を表わすか、または
a2)ホスゲン、ジホスゲンまたはトリホスゲンを脂肪族、脂肪族/芳香族または芳香族のアルコール(B)と、塩化水素の除去下に反応させ、この場合この反応混合物中のアルコール(B)とカーボネート(A)またはホスゲンとの量比は、縮合生成物(K)が平均で1個のカーボネート基または塩化カルバモイル基および1個を上廻るOH基または1個のOH基および1個を上廻るOH基または1個のOH基および1個を上廻るカーボネート基または塩化カルバモイル基を有するように選択されることによる1つ以上の縮合生成物(K)の製造、および
b)工程a)で形成された縮合生成物(K)の分子間反応によって得られた、高度に枝分かれしたかまたは超枝分かれした高官能価ポリカーボネートの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料用分散剤としての、
a)
a1)一般式RO[(CO)O]nRの少なくとも1つの有機カーボネート(A)を、少なくとも3個のOH基を有する少なくとも1つの脂肪族、脂肪族/芳香族または芳香族のアルコール(B)と、アルコールROHの除去下に反応させ、この場合Rは、それぞれ互いに無関係に1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝鎖状の脂肪族、芳香族/脂肪族または芳香族の炭化水素基であり、および基Rは、基−O[(CO)O]n−含有環の形成下に互いに結合されていてもよく、かつnは、1〜5の整数を表わすか、または
a2)ホスゲン、ジホスゲンまたはトリホスゲンを脂肪族、脂肪族/芳香族または芳香族のアルコール(B)と、塩化水素の除去下に反応させ、この場合この反応混合物中のアルコール(B)とカーボネート(A)またはホスゲンとの量比は、縮合生成物(K)が平均で1個のカーボネート基または塩化カルバモイル基および1個を上廻るOH基または1個のOH基および1個を上廻るカーボネート基または塩化カルバモイル基を有するように選択されることによる1つ以上の縮合生成物(K)の製造、および
b)縮合生成物(K)の分子間反応によって得られた、高度に枝分かれしたかまたは超枝分かれした高官能価ポリカーボネートの使用に関する。
【0002】
更に、本発明は、本質的な成分として(I)少なくとも1つの顔料および(II)分散剤としての少なくとも1つの前記ポリカーボネートを含有する顔料調製物、ならびに前記顔料調製物の製造、および液状の使用媒体およびプラスチックを着色するための前記顔料調製物の使用に関する。
【0003】
顔料を液状の使用媒体中に分散させるために、機械的力が施こされなければならず、この機械的力の大きさは、顔料の湿潤可能性および使用媒体に対する顔料の親和力に依存する。分散を簡易化するために、通常、分散剤が使用され、この場合この分散剤は、同時に顔料粒子の再凝集ならびに凝集物の形成を阻止し、かつ得られた顔料分散液を付加的に安定化する。分散剤に課された技術的要件は、極めて高く、とりわけ一般に水性系ならびに溶剤性系との幅広のバンド相容性ならびに経済的な入手可能性が望まれている。
【0004】
そうこうするうちに、分散剤として、超枝分かれした構造を有するかまたはデンドリマーの構造も有するポリマーが提案されている。この目的のために従来記載されたポリマーは、ポリアミドまたはポリエステルアミン(欧州特許出願公開第882772号明細書および欧州特許出願公開第1295919号明細書)、ポリエーテル(WO−A−03/62306)、ポリウレタン(WO−A−02/81071およびWO−A−03/91347)および殊にポリエステル(欧州特許出願公開第882772号明細書および欧州特許出願公開第1295919号明細書ならびにWO−A−00/37542、WO−A−02/57004およびWO−A−04/37028)を基礎とする。
【0005】
デンドリマーのポリアミドまたはポリエステルは、多工程合成で極めて費用を掛けて高価に製造することができ、それによってこれらのポリアミドまたはポリエステルの工業的使用のための可能性は、明らかに制限される。開環重合および引続く鎖長延長、または酸化エチレンまたは酸化プロピレンでの変性によるポリエーテル系への多工程合成は、工業的ならびに安全技術的に同様に極めて費用がかかり、高い費用と関連している。
【0006】
しかし、実際に1工程の処理で製造可能なアミド、エステル、エステルアミドまたはポリウレタンを基礎とする超枝分かれしたポリマーは、一般に高い固有粘度を有し、したがって制限された数の溶剤に対してのみ使用可能であり、それによってこのポリマーの使用可能性は、著しく減少されている。
【0007】
本発明は、要求される使用プロフィールを満たし、殊に僅かな固有粘度ならびに多種多様な顔料および溶剤との良好な相容性を有し、ならびに経済的に入手できる分散剤を提供するという課題に基づくものであった。
【0008】
それに応じて、顔料用分散剤としての、冒頭に定義された、高度に枝分かれしたかまたは超枝分かれした高官能価ポリカーボネートの使用が見出された。
【0009】
本発明による使用される、高度に枝分かれしたかまたは超枝分かれした高官能価ポリカーボネートおよびその製造は、WO−A−2005/23234の記載から公知である。未だ公開されていないPCT/EP2006/060240には、流動助剤としての前記高官能価ポリカーボネートの使用が記載されている。
【0010】
この場合、超枝分かれしたポリカーボネートは、ヒドロキシル基およびカーボネート基または塩化カルバモイル基を有する未架橋のマクロ分子であり、このマクロ分子は、構造的にも分子的にも均一でない。この超分枝したポリカーボネートは、一方ではデンドリマーと同様に中心分子から出発するが、しかし、枝の均一でない鎖長でもって形成されていてよい。しかし、この超枝分かれしたポリカーボネートは、線状に枝分かれした官能性側基を有するように形成されていてよい。最後に、この超枝分かれしたポリカーボネートは、2つの極端な例の組合せとして、線状の分子部分および枝分かれした分子部分を有していてもよい。
【0011】
この場合、"高度に枝分かれした"または"超枝分かれした"は、枝分かれ度(Degree of Branching, DB; Acta Polymerica 48, 第30頁以降(1997)参照)、即ちデンドリマーの結合の平均数および線状の結合の平均数および1分子当たりの末端基の平均数の総和によって除した、デンドリマーの結合の平均数および1分子当たりの末端基の平均数の総和は、0.1〜0.99、有利に0.2〜0.99、特に有利に0.2〜0.95である。
【0012】
"デンドリマー"は、本発明によれば、0.99〜1.0の枝分かれ度DBである。
【0013】
本発明による使用すべきポリカーボネートを基礎とする縮合生成物(K)のためのエダクトして、ホスゲン、ジホスゲンまたはトリホスゲン、特にホスゲンが使用されてよいが(変法a2))、しかし、特に有利には、一般式RO[(CO)O]nRで示される有機カーボネート(A)が使用される(変法a1))。
【0014】
基Rは、それぞれ互いに独立に、1〜20個のC原子、特に1〜12個のC原子、殊に1〜6個のC原子を有する、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族、脂環式、芳香族/脂肪族(芳香脂肪族)または芳香族の炭化水素基である。2つの基Rは、基−O[(CO)O]n−含有環の形成下に互いに結合されていてもよく、この場合基Rは、例えばエチレン、または1,2−プロピレンまたは1,3−プロピレンを表わす。2つの基Rは、同一でも異なっていてもよく、有利には、同一である。好ましいのは、脂肪族炭化水素であり、この場合には、直鎖状または分枝鎖状のアルキル基が特に有利であり、および1〜4個のC原子を有する直鎖状のアルキル基は、特に有利であり、或いは好ましいのは、置換または非置換のフェニル基である。
【0015】
適当な基Rの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、n−エイコシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、フェニル、o−トリルおよびp−トリル、およびナフチルである。好ましいのは、メチル、エチル、n−ブチルおよびフェニルである。
【0016】
nは、1〜5、有利に1〜3、特に有利に1〜2の整数を表わす。
【0017】
特に有利には、カーボネートは、一般式RO(CO)OR(n=1)で示されるモノカーボネートである。
【0018】
適当な脂肪族、芳香族/脂肪族および芳香族のモノカーボネートの例としては、次のものが挙げられる:ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、ジデシルカーボネート、ジドデシルカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネートおよび1,3−プロピレンカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ジキシリルカーボネート、ジナフチルカーボネート、エチルフェニルカーボネートおよびジベンジルカーボネート。
【0019】
nが1より大きいカーボネートの例は、ジアルキルジカーボネート、例えばジ(t−ブチル)ジカーボネート又はジアルキルトリカーボネート、例えばジ(t−ブチルトリカーボネート)を含む。
【0020】
好ましいのは、脂肪族カーボネート、殊にジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネートおよびジイソブチルカーボネートである。好ましい芳香族カーボネートは、ジフェニルカーボネートである。
【0021】
有機カーボネートは、少なくとも3個のOH基を有する少なくとも1つの脂肪族、脂環式、脂肪族/芳香族または芳香族のアルコール(B)と反応されるか、または2つ以上の異なるアルコール(B)の混合物と反応される。
【0022】
アルコール(B)は、枝分かれしていてもよいし、枝分かれしていなくともよく、置換されていてもよいし、置換されていなくともよく、特に3〜26個のC原子を有する。好ましいのは、(脂環式)脂肪族のアルコールであり、特に好ましいのは、脂肪族のアルコールである。
【0023】
適当なアルコール(B)の例は、次の通りである:グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、1,2,4−ブタントリオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、トリス(ヒドロキシエチル)アミン、トリス(ヒドロキシプロピル)アミン、ペンタエリトリット、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ビス(トリメチロールプロパン)、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、フロログルシン、ピロガロール、ヒドロキシヒドロキノン、トリヒドロキシトルエン、トリヒドロキシジメチルベンゼン、ヘキサヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシトルエン、トリヒドロキシジメチルベンゼン、ヘキサヒドロキシベンゼン、1,3,5−ベンゼントリメタノール、1,1,1−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)エタン、糖、例えばグルコース、糖誘導体、例えばソルビトール、マンニトール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトールおよびイソマルト(Isomalt)、およびポリエステロール。
【0024】
更に、適当なアルコール(B)の特に重要な群は、アルコール(B)のアルコキシル化生成物である。この場合、3官能価および多官能価のポリエーテロールは、殊に酸化エチレン、酸化プロピレンまたは酸化ブチレン、またはその混合物との反応生成物を基礎とするものであり、この場合には、酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンが好ましい。この場合には、一般にアルコールのOH基1モル当たり酸化アルキレン1〜30モル、有利に1〜20モル、特に有利に1〜10モル、殊に有利に1〜5モルが使用される。
【0025】
特に好ましいアルコール(B)の例は、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリトリットおよびこれらと酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンとの反応生成物であり、この場合には、酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンとの反応生成物が殊に有利である。
【0026】
少なくとも3官能価のアルコール(B)は、2官能価のアルコール(B′)との混合物で使用されてもよく、この場合この混合物は、該混合物の平均OH官能価が2を上廻るように選択されている。
【0027】
適当なアルコール(B′)の例は、次の通りである:エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールおよび1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオールおよび1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロペンタンジオールおよび1,3−シクロペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、レゾルシン、ヒドロキノン、4,4′−ジヒドロキシフェニル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)トルエン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ジヒドロキシベンゾフェノン、2官能価アルコールのアルコキシル化生成物を基とする2官能価ポリエーテルポリオール、162〜2000の平均分子量を有するポリテトラヒドロフラン、ポリカプロラクトン、およびジオールおよびジカルボン酸を基礎とするポリエステロール。
【0028】
2官能価アルコール(B′)は、ポリカーボネートの性質を細かく調節するために使用されることができる。2官能価アルコール(B′)を使用する場合には、該アルコール(B′)の量は、一般にそれぞれアルコール(B)および(B′)の総量に対して0.1〜39.9モル%、有利に0.1〜35モル%、特に有利に0.1〜25モル%、殊に有利に0.1〜10モル%である。
【0029】
ポリカーボネートの性質を細かく調節するために、2官能価のカルボニル反応性化合物(A′)が使用されてもよい。このカルボニル反応性化合物(A′)は、2個のカーボネート基および/またはカルボキシル基を有する化合物である。
【0030】
この場合、カルボキシル基は、遊離系形または誘導された形で存在してよく、即ちカルボン酸それ自体または1価または2価のカチオンを有する該カルボン酸の塩と共に、カルボン酸塩化物、カルボン酸無水物またはカルボン酸エステルが使用されてもよく、この場合には、カルボン酸エステルおよびカルボン酸無水物が好ましく、カルボン酸エステル、殊にC1〜C4−アルキルエステル、なかんずくメチルエステル、エチルエステルおよびブチルエステルは、特に好ましい。
【0031】
適当な化合物(A′)の例は、ジカーボネートまたはジオールのジカルバモイルクロリド、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオール、1,1−ジメチルエタン−1,2−ジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチルプロパン−1,3−ジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールおよび1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキサン)イソプロピリデン、テトラメチルシクロブタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジオール、シクロオクタンジオール、ノルボルナンジオール、ピナンジオール、デカリンジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,4−ジエチルオクタン−1,3−ジオール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールBおよびビスフェノールS、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノール、および1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジオールのジカーボネートまたはジカルバモイルクロリドである。
【0032】
ジカーボネートまたはジカルバモイルクロリド(A′)は、ジオールを、例えば得られたジカーボネートが両側で基RO(CO)−で置換されているように、過剰量の前記カーボネート(A)またはクロロ炭酸エステルと反応させることにより、製造されることができる。もう1つの方法は、ジオールを、最初にホスゲンと反応させ、相応するクロロ炭酸エステルに変え、引続きこのクロロ炭酸エステルをアルコールと反応させることである。
【0033】
適当なジカルボン酸およびジカルボン酸無水物の例は、次の通りである:蓚酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、テトラヒドロフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、コルク酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、無水グルタル酸および二量体の脂肪酸およびその異性体、および水素化生成物。
【0034】
2官能価の化合物(A)を使用する場合には、該化合物(A)の量は、一般にそれぞれカーボネート(A)またはホスゲンおよび化合物(A′)の総量に対して0.1〜40モル%、有利に0.1〜35モル%、特に有利に0.1〜25モル%、殊に有利に0.1〜10モル%である。
【0035】
工程a)での縮合生成物(K)の製造は、一官能価アルコールをカーボネート分子から除去しながらの有機カーボネート(A)とアルコール(B)またはアルコール混合物((B)+(B′))との反応(変法a1))および塩化水素を除去しながらのホスゲン、ジホスゲンまたはトリホスゲンの相応する反応(変法a2))で行なわれる。
【0036】
この場合、アルコール(B)(および場合によっては(B′))とカーボネート(A)またはホスゲンとの量比を、縮合生成物(K)が平均で1個のカーボネート基または塩化カルバモイル基および1個を上廻るOH基、特に少なくとも2個のOH基、または1個のOH基および1個を上廻るカーボネート基または塩化カルバモイル基、特に少なくとも2個のカーボネート基または塩化カルバモイル基を有するように調節することが必要である。
【0037】
反応温度は、アルコール成分を相応するカルボニル成分と反応させるのに十分でなければならない。カーボネート(A)を使用する場合、温度は、一般に60〜180℃、有利に80〜160℃、特に有利に100〜160℃、殊に有利に120〜140℃である。ホスゲンとの反応の場合、温度は、一般に−20℃〜120℃、有利に0〜100℃、特に有利に20〜80℃である。
【0038】
縮合は、溶剤の存在下で実施されてよい。溶剤としては、有機溶剤、例えば芳香族炭化水素および(脂環式)脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ケトン、エステル、アミド、エーテルおよび環式カーボネート、例えばデカン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドが適している。
【0039】
しかし、有利には、溶剤は添加されない。
【0040】
個々の成分の添加順序は、多くの場合に二次的役を演じるにすぎない。一般に、過剰量の成分を装入し、不足量の成分を添加することは、有効である。しかし、2つの成分を反応開始前に互いに混合し、引続きこの混合物を必要な反応温度に加熱することも可能である。
【0041】
工程a)では、多数の種々の縮合生成物(K)が製造されることができる。これは、種々のアルコールおよび/または種々のカーボネートまたはホスゲンの使用によって達成されてよい。また、使用されるアルコールとカーボネートまたはホスゲンとの比を選択することによって、種々の縮合生成物の混合物を得ることができる。
【0042】
縮合生成物(K)は、末端にヒドロキシル基およびカーボネート基または塩化カルバモイル基を有し、工程b)で分子間反応(重縮合)によって本発明による高度に枝分かれしたかまたは超枝分かれした高官能価ポリカーボネートを形成する。
【0043】
この場合、"多官能価"は、ポリカーボネートがポリマー骨格を形成するカーボネート基またはカルバモイル基と共に、末端位または側位に少なくとも3個、有利に少なくとも6個、特に有利に少なくとも10個の官能基を有することと理解されるべきである。官能基は、カーボネート基または塩化カルバモイル基および/またはOH基である。末端位または側位の官能基の数は、原理的に上限はないが、しかし、極めて大きな数の官能基を有するポリマーは、望ましくない性質、例えば高い粘度または劣悪な溶解性を示す。従って、本発明により使用すべき多官能価のポリカーボネートは、一般に、末端位または側位に最大500個、有利に最大100個の官能基を有する。
【0044】
工程b)での分子間縮合は、一般に、工程a)で縮合反応に直接継続される。望ましい場合には、反応温度は、少し上昇させることができ、したがって例えば、60〜250℃、有利に80〜230℃、特に有利に100〜200℃が存在する。
【0045】
殊に、重縮合を促進させるために、遊離する1価アルコールROHは、反応の平衡により除去されてよい。これは、殊に140℃以下の沸点を有するアルコールの場合に、蒸留によって、場合によっては減圧下に行なうことができるか、またはさもなければ、反応条件下で本質的に不活性のガス流、例えば窒素、水蒸気、二酸化炭素または酸素含有ガス、例えば空気または貧空気の導通(ストリッピング)によって行なうことができる。
【0046】
更に、反応を促進させるために、触媒または触媒混合物が添加されてよい。これは、工程a)でエダクトと一緒に直接に装入されてよいかまたは後に添加されてよい。
【0047】
触媒としては、なかんずくエステル化反応またはエステル交換反応を促進する化合物、例えば無機塩基および有機塩基、例えばアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属炭酸水素塩、特にナトリウム化合物、カリウム化合物およびセシウム化合物、第3アミンおよびグアニジン、アンモニウム化合物、ホスホニウム化合物、金属有機化合物、例えばアルミニウム有機化合物、錫有機化合物、亜鉛有機化合物、チタン有機化合物、ジルコニウム有機化合物およびビスマス有機化合物、および二重金属シアン化物(DMC)ならびにこれらの混合物が適している。
【0048】
好ましい触媒は、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノナン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、イミダゾール、例えばイミダゾール、1−メチルイミダゾールまたは1,2−ジメチルイミダゾール、チタンテトラブチレート、チタンテトライソプロピラート、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジラウレート、ジオクタン酸錫またはジルコニウムアセチルアセトネートである。
【0049】
適当な触媒量は、一般に、使用されるアルコールまたはアルコール混合物の量に対して50〜10000ppm、有利に100〜5000ppmである。
【0050】
分子間重縮合は、適当な触媒の添加ならびに適した反応温度の選択によって制御されることができる。更に、ポリカーボネートの平均分子量は、エダクトの組成および反応時間により調節することができる。
【0051】
高められた温度で重縮合を行なう場合には、室温で通常、長時間に亘って、例えば少なくとも6週間に亘って安定であるポリカーボネートを得ることができ、この場合、混濁、沈殿および/または粘度上昇を示すことはない。
【0052】
製造は、常圧でかまたは減圧下または高められた圧力下で、バッチ式運転でか、半連続的または連続的に運転される反応器またはカスケード型反応器中で行なうことができる。
【0053】
分子間重縮合反応の中断のために種々の方法が存在する。
【0054】
例えば、温度は、反応を静止させかつ重縮合生成物が貯蔵安定性であるような値に減少させることができる。これは、一般に60℃以下、有利に50℃以下、特に有利に40℃以下の温度の場合、殊に有利に室温の場合である。
【0055】
更に、触媒を不活性化することができる。塩基性触媒の場合には、これは、簡単に酸性成分、例えばルイス酸、または有機プロトン酸または無機プロトン酸、例えば燐酸の添加によって行なうことができる。
【0056】
更に、反応は、冷却された溶剤での希釈によって停止させることができる。これは、殊に、反応混合物の粘度を溶剤の添加によって適合させなければならない場合には、有利である。
【0057】
最後に、重縮合は、縮合生成物のフォーカス基に対して反応性である、官能基を有する成分の添加によって中断させることができる。即ち、フォーカス基としてのカーボネート基またはカルバモイル基の場合には、例えばモノアミン、ジアミンまたはポリアミンを添加することができ、フォーカス基としてのOH基の場合には、モノイソシアネート、ジイソシアネートまたはポリイソシアネート、エポキシ基含有化合物またはOH基と反応性の酸誘導体を添加することができる。
【0058】
適当な反応条件を選択することにより、得られたポリカーボネートは、製造後に一般に、後精製なしに望ましい用途に使用されることができる。
【0059】
しかし、必要な場合には、この得られた反応混合物は、例えば活性炭または金属酸化物、例えば酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化ホウ素またはこれらの混合物を、例えば0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜25質量%、特に好ましくは1〜10質量%の量で、例えば10〜100℃、好ましくは20〜80℃、特に好ましくは30〜60℃の温度での処理によって脱色に掛けることができる。
【0060】
場合によっては、反応混合物は、場合により存在する沈殿物の除去のために濾過されることができる。
【0061】
重縮合生成物は、必要な場合には、ストリッピングされてよく、即ち低分子量の揮発性化合物を取り除くことができる。そのために、望ましい重縮合度の達成後に、触媒は場合によっては不活性化され、かつ低分子量の揮発性成分、例えばモノアルコール、フェノール、カーボネート、塩化水素または易揮発性のオリゴマー化合物または環式化合物は蒸留により、場合によってはガス、特に窒素、二酸化炭素または空気の導入下に、場合によっては減圧下で除去されてよい。
【0062】
本発明により使用すべきポリカーボネートは、枝分かれしているが、しかし、未架橋である。この場合、"未架橋"は、ポリマーの不溶性含分により測定された、15質量%以下、有利に10質量%以下の架橋度が存在することを意味する。
【0063】
ポリマーの不溶性含分は、ゲル浸透クロマトグラフィーの際に使用される溶剤(テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミドまたはヘキサフルオロイソプロパノール)でソックスレー抽出器中で4時間抽出し、乾燥した残留物が平衡定数になるまで残留する残留物を秤量することによって測定された。
【0064】
本発明による使用すべきポリカーボネートは、理想的な場合に平均でフォーカス基として1個のカーボネート基および2個より多いOH基を有するかまたはフォーカス基として1個のOH基および2個より多いカーボネート基または塩化カルバモイル基を有する。この場合、反応性基の数は、縮合生成物(K)の性状および重縮合度からもたらされる。
【0065】
ヒドロキシル基、カーボネート基またはカルバモイル基と共に他の官能基または官能性元素を有する成分が重縮合反応に関与している場合には、本発明による使用すべきポリカーボネートは、既に含有されているヒドロキシル基、カーボネート基および塩化カルバモイル基と共に、他の官能基を含有することができる。
【0066】
この場合には、付加的に官能基または官能性元素は、例えばカルバメート基、第1アミノ基、第2アミノ基または第3アミノ基、エーテル基、カルボン酸基またはその誘導体、スルホン酸基またはその誘導体、ホスホン酸基またはその誘導体、シラン基、シロキサン基、アリール基または長鎖状アルキル基であることができる。
【0067】
次に、前記基での官能化をその組み込みによって生じる成分の例がリストアップされている:
カルバメート基、例えばエタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、2−(ブチルアミノ)エタノール、2−(シクロヘキシルアミノ)エタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−(2′−アミノエトキシ)エタノール、アンモニアの高級アルコキシル化生成物、4−ヒドロキシピペリジン、1−ヒドロキシエチルピペラジン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス(ヒドロキシエチル)アミノメタン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンおよびイソホロンジアミン、アルキルイソシアネートおよびアリールイソシアネート、アルキルジイソシアネートおよびアリールジイソシアネート;
メルカプト基:例えばメルカプトエタノール;
第3アミノ基:例えば、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルジイソプロパノールアミンおよびN,N−ジメチルエタノールアミン;
エーテル基:例えば、2官能価ポリエーテロールおよび多官能価ポリエーテロール;
エステル基:例えば、ジカルボン酸、トリカルボン酸、ジカルボン酸エステル、例えばテレフタル酸ジメチルエステルおよびトリカルボン酸エステル;
長鎖状アルキル基:例えば、長鎖状のアルカノールおよびアルカンジオール、アルキルイソシアネートおよびアルキルジイソシアネート;
ウレタン基および尿素基:例えば、第1アミンおよび第2アミン。
【0068】
ポリカーボネート中に含まれているヒドロキシル基、カーボネート基およびカルバモイル基は、事後に既に含まれている基によって再官能化されていてもよい。
【0069】
即ち、例えばヒドロキシル基は、次の基に変換されてよい:酸基またはイソシアネート基を含有する分子の添加によって、エステル基またはウレタン基を得ることができる。酸基は、無水物基との反応によって形成されることができる。最終的に、ポリカーボネートは、アルキレンオキシド、殊に酸化エチレン、酸化プロピレンまたは酸化ブチレンとの反応によって、多価ポリカーボネート−ポリエーテルポリオールに変換されてよい。
【0070】
本発明による使用すべきポリカーボネートの平均分子量Mwは、一般に、500〜500000、有利に1000〜150000、特に有利に1000〜50000、殊に有利に1500〜25000である。
【0071】
本発明により使用すべきポリカーボネートの多分散度Mw/Mnは、一般に、1.1〜50、有利に1.2〜40、特に有利に1.2〜35である。
【0072】
本発明より使用すべきポリカーボネートは、顔料のための卓越した分散剤である。この分散剤は、使用媒体中での顔料の分散を簡易化し、使用技術的性質、殊に彩色的性質、例えば色の強さおよび透明度、およびレオロジー特性、例えば液状の使用媒体中での僅かな粘度および薄片化安定性(Flockungsstabilitaet)の全ての改善を生じる。
【0073】
本発明により使用すべきポリカーボネートは、それぞれの使用媒体に、顔料とは別個に、有利に早期にかまたは同時に添加されることができる。しかし、特に有利には、このポリカーボネートは、予め顔料で液状または特に固体の顔料調製物に加工される。
【0074】
従って、本発明の対象は、
(I)少なくとも1つの顔料および
(II)分散剤としての少なくとも1つの本発明によるポリカーボネート
を含有する顔料調製物である。
【0075】
特に、本発明による顔料調製物は、前記調製物の質量に対してポリカーボネート(II)を1〜50質量%含有する。
【0076】
顔料調製物は、付加的な成分として、他の通常の助剤、例えば表面活性添加剤、殊に顔料誘導体を基礎とするもの(所謂、顔料相乗剤)を含有することができる。
【0077】
それと共に、殊に液状の本発明による顔料調製物には、なお他の助剤、例えば結合剤、架橋剤、保存剤、濃稠化剤、殺生剤および/または付加的な分散剤がこれに該当する。
【0078】
付加的な助剤を本発明による顔料調製物中に使用する場合には、この助剤の含量は、一般に10質量%までである。
【0079】
液状の本発明による顔料調製物は、特に水性であり、即ちこの顔料調製物は、水または水と有機溶剤、例えばアルコールとの混合物、なかんずく保水作用を有するものを液相として含有する。液相は、この顔料調製物中で、通常、50〜90質量%を占める。
【0080】
好ましくは、本発明による顔料調製物は、固体の調製物である。
【0081】
本発明による分散剤のポリカーボネート(II)に対する固体の顔料調製物の含量は、よりいっそう高くともよいし、よりいっそう低くともよい。
【0082】
ポリカーボネート(II)に対してよりいっそう低い含量を有する顔料調製物("界面変性された顔料"とも呼称される)に適した組成は、一般に、顔料(I)80〜99質量%、殊に90〜98質量%およびポリカーボネート(III)1〜20質量%、なかんずく2〜10質量%である。
【0083】
ポリカーボネート(II)で表面変性された顔料は、上記の全てのプラスの使用特性、即ち例えば分散柔軟性、高度な色の強さ、高い透明度および薄片化安定性を有し、好ましくは、それぞれの種類の有機材料および無機材料の着色に使用されてよい。
【0084】
この場合、液状の使用媒体は、純粋に水性であることができ、水と有機溶剤、例えばアルコールとの混合物を含有していてよいか、または有機溶剤、例えばアルコール、グリコールエーテル、ケトン、例えばメチルエチルケトン、アミド、例えばN−メチルピロリドンおよびジメチルホルムアミド、エステル、例えば酢酸エチルエステルおよび酢酸ブチルエステルおよびメトキシプロピルアセテート、芳香族または脂肪族の炭化水素、例えばキシレン、鉱油およびベンジンだけを基礎としていてよい。この場合、好ましいのは、水性の使用媒体である。
【0085】
本発明による顔料調製物を用いて着色することができる材料の例としては、次のものが挙げられる:
塗料、例えば建築用塗料、工業用塗料、自動車用塗料、放射線硬化可能な塗料;
建築の外装用ペイントならびに建築の内装用ペイント、例えば木材用ペイント、石灰を基礎とするペイント、水性ペイント、エマルジョンペイント、
印刷用インキ、例えばオフセット印刷用インキ、フレキソ印刷用インキ、トルエングラビア印刷用インキ、デジタル印刷用インキ、放射線硬化可能な印刷用インキ、
インキ、インキジェット印刷用インキを含む;
カラーフィルター;
建築材料、例えば珪酸塩レンダー系、セメント、コンクリート、モルタル、石膏;
アスファルト;
セルロース含有材料、例えば紙、板紙、厚紙、木材および木材材料、これらは、塗被されていてよいかまたはさもなければ、仕上げ処理されていてよく;
接着剤およびシール材料;
皮膜形成性ポリマー保護コロイド、例えばこれは、例えば製薬工業で使用され;
化粧製品;
洗剤;
プラスチック、変性された天然材料、例えば熱硬化性樹脂、例えばカゼインプラスチック;熱可塑性樹脂、例えば硝酸セルロース、酢酸セルロース、セルロース混合エステルおよびセルロースエーテルだけでなく、合成プラスチック、例えば:重縮合物:熱硬化性樹脂、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、チオ尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、シリコーン、ポリイミドおよびポリベンズイミダゾール;熱可塑性樹脂、例えばポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホンおよびポリビニルアセタール;
ポリマー:熱可塑性樹脂、例えばポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテンおよびポリ−4−メチル−1−ペンテン、イオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルニトリル、ポリスチレン、ポリアセタール、フルオロプラスチック、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテートおよびポリ−p−キシリレンならびにコポリマー、例えばエチレン/ビニルアセテートコポリマー、スチレン/アクリルニトリルコポリマー、アクリルニトリル/ブタジエン/スチレンコポリマー、ポリエチレングリコールテレフタレートおよびポリブチレングリコールテレフタレート;
重付加物:熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂および架橋されたポリウレタン;熱可塑性樹脂、例えば線状ポリウレタンおよび塩素化ポリエーテル。
【0086】
分散性ポリカーボネート(II)の高い含量を有する本発明による固体の顔料調製物は、通常、顔料(I)を50〜95質量%、有利に70〜85質量%およびポリカーボネート(II)を5〜50質量%、有利に15〜30質量%含有する。
【0087】
前記組成範囲内での本発明による顔料調製物は、付加的に表面変性された顔料に対して上記された好ましい使用特性と共に、水性使用媒体ならびに非水性の液状使用媒体との特に顕著な相容性ならびに殊に攪拌挙動を有し、即ちこの顔料調製物は、極めて僅かなエネルギー搬入量で使用媒体中に分散させることができる。
【0088】
液状の使用媒体の場合には、これは、簡単な攪拌混入または振盪によって行なうことができ、プラスチックの場合には、例えば共通の押出(特に、一軸押出機または二軸押出機)、ローリング、混練または微粉砕によって行なうことができ、この場合プラスチックは、可塑性材料または溶融液として存在し、プラスチック成形体、フィルムおよび繊維に加工することができる。
【0089】
本発明によるポリカーボネートは、有機顔料および無機顔料の分散に適している。相応して、本発明による顔料調製物は、有機顔料または無機顔料を成分(I)として含有することができる。
【0090】
勿論、分散剤成分(II)の場合と同様に、顔料混合物、即ち種々の有機顔料または種々の無機顔料の混合物、または(複数の)有機顔料と(複数の)無機顔料との混合物が含有されていてよい。
【0091】
顔料は、微粒状の形で顔料調製物中に存在し、それに応じて通常、0.02〜5μmの平均粒径を有する。
【0092】
有機顔料は、通常、有機多色顔料および黒色顔料である。無機顔料は、同様に有色顔料(多色顔料、黒色顔料および白色顔料)ならびに光沢顔料および通常充填剤として使用される無機顔料であることができる。
【0093】
次に、適当な有機有色顔料の例を挙げる:
モノアゾ顔料:C.I.顔料ブラウン25;
C.I.顔料オレンジ5、13、36、38、64および67;
C.I.顔料レッド1、2、3、4、5、8、9、12、17、22、23、31、48:2、48:3、48:4、49、49:1、51:1、52:1、52:2、53、53:1、53:3、57:1、58:2、58:4、63、112、146、148、170、175、184、185、191:1、208、210、245、247および251;
C.I.顔料イエロー1、3、62、65、73、74、97、120、151、154、168、181、183および191;
C.I.顔料バイオレット32;
ジアゾ顔料: C.I.顔料オレンジ16、34、44および72;
C.I.顔料イエロー12、13、14、16、17、81、83、106、113、126、127、155、174、176、180および188;
ジアゾ縮合顔料:C.I.顔料イエロー93、95および128;
C.I.顔料レッド144、166、214、220、221、242および262;
C.I.顔料ブラウン23および41;
アンタントロン顔料:C.I.顔料レッド168;
アントラキノン顔料:C.I.顔料イエロー147、177および199;
C.I.顔料バイオレット31;
アントラピリミジン顔料:C.I.顔料イエロー108;
キナクリドン顔料: C.I.顔料オレンジ48および49;
C.I.顔料レッド122、202、206および209;
C.I.顔料バイオレット19;キノフタロン顔料:
C.I.顔料イエロー138;
ジケトピロロピロール顔料:C.I.顔料オレンジ71、73および81;
C.I.顔料レッド254、255、264、270および272;
ジオキサジン顔料: C.I.顔料バイオレット23および37;
C.I.顔料ブルー80;
フラバントロン顔料:C.I.顔料イエロー24;
インダントロン顔料:C.I.顔料ブルー60および64;
イソインドリン顔料:C.I.顔料オレンジ61および69;
C.I.顔料レッド260;
C.I.顔料イエロー139および185;
イソインドリノン顔料:C.I.顔料イエロー109、110および173;
イソビオラントロン顔料:C.I.顔料バイオレット31;
金属錯体顔料: C.I.顔料レッド257;
C.I.顔料イエロー117、129、150、153および177;
C.I.顔料グリーン8;
ペリノン顔料: C.I.顔料オレンジ43;
C.I.顔料レッド194;
ペリレン顔料: C.I.顔料ブラック31および32;
C.I.顔料レッド123、149、178、179、190および224;
C.I.顔料バイオレット29;
フタロシアニン顔料:C.I.顔料ブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6および16;
C.I.顔料グリーン7および36;
ピラントロン顔料: C.I.顔料オレンジ51;
C.I.顔料レッド216;
ピラゾロキナゾロン顔料:C.I.顔料オレンジ67;
C.I.顔料レッド251;
チオインジゴ顔料: C.I.顔料レッド88および181;
C.I.顔料バイオレット38;
トリアリールカルボニウム顔料:C.I.顔料ブルー1、61および62;
C.I.顔料グリーン1;
C.I.顔料レッド81、81:1および169;
C.I.顔料バイオレット1、2、3および27;
C.I.顔料ブラック1(アニリンブラック);
C.I.顔料イエロー101(アルダジンイエロー);
C.I.顔料ブラウン22。
【0094】
適当な無機有色顔料は、例えば次の通りである:
白色顔料:二酸化チタン(C.I.顔料ホワイト6)、亜鉛白、有色酸化亜鉛;硫化亜鉛、リトポン;
黒色顔料:酸化鉄黒(C.I.顔料ブラック11)、鉄マンガン黒、スピネル黒(C.I.顔料ブラック27);カーボンブラック(C.I.顔料ブラック7);
多色顔料:
酸化クロム、酸化クロム水和物グリーン;クロムグリーン(C.I.顔料グリーン48);コバルトグリーン(C.I.顔料グリーン50);ウルトラマリングリーン;
コバルトブルー(C.I.顔料ブルー28および36;C.I.顔料ブルー72);
ウルトラマリンブルー;マンガンブルー;
ウルトラマリンバイオレット;コバルトバイオレットおよびマンガンバイオレット;
酸化鉄レッド(C.I.顔料レッド101);カドミウムスルホセレン化物(C.I.顔料レッド108);モリブデン赤(C.I.顔料レッド104);ウルトラマリンレッド;
酸化鉄ブラウン(C.I.顔料ブラウン6および7)、混合ブラウン、スピネル相およびコランダム相(C.I.顔料ブラウン29、31、33、34、35、37、39および40)、クロムチタンイエロー(C.I.顔料ブラウン24)、クロムオレンジ;
硫化セリウム(C.I.顔料オレンジ75);
酸化鉄イエロー(C.I.顔料イエロー42);ニッケルチタンイエロー(C.I.顔料イエロー53;C.I.顔料イエロー157、158、159、160、162、163、164および189);クロムチタンイエロー;スピネル相(C.I.顔料イエロー119);硫化カドミウムおよびカドミウム亜鉛硫化物(C.I.顔料イエロー37および35);クロムイエロー(C.I.顔料イエロー34);バナジン酸ビスマス(C.I.顔料イエロー184)。
【0095】
通常、充填剤として使用される無機顔料の例としては、透明な二酸化ケイ素、石英粉、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、天然の雲母、天然の白亜および沈降白亜、および硫酸バリウムが挙げられる。
【0096】
光沢顔料は、殊に単相または多相で構成された小板状の顔料であり、その色の遊び(Farbenspiel)は、干渉現象、反射現象および吸収現象の一緒の遊びによって顕著である。例としては、アルミニウム小板および1回または数回被覆された、殊に金属酸化物で被覆されたアルミニウム小板、酸化鉄小板および雲母小板が挙げられる。
【0097】
好ましい顔料(I)の例は、フタロシアニン顔料、インダントロン顔料およびペリレン顔料である。
【0098】
本発明による固体の顔料調製物は、有利に、顔料(I)および分散剤(II)を一緒に液状媒体の存在下または乾燥状態で微粉砕に掛け、場合によっては引続き液状媒体を除去することにより、同様に本発明による製造方法により製造されることができる。
【0099】
微粉砕工程は、特に液状媒体中または乾燥状態での微粉砕である。
【0100】
乾燥微粉砕は、例えばボールミル、スイングミル、遊星ミルまたは磨砕機中で行なうことができる。適当な微粉砕体の例は、鋼製ボール、珪素/アルミニウム/酸化ジルコニウムビーズ(SAZーPerlen)、ガラス玉およびめのう玉であり、これらは、通常、0.1〜10cm、特に2〜5cmの範囲内の直径を有する。
【0101】
好ましい変法は、殊に少なくとも分散剤(II)の少なくとも一部分を含有する水性懸濁液中での湿式微粉砕である。
【0102】
このためには、攪拌型ボールミルは、微粉砕装置として特に好適である。好ましい微粉砕体は、SAZビーズであり、その直径は、殊に0.4〜3mmである。
【0103】
液状媒体としては、特に水が使用されるが、しかし、水と殊に水溶性または水と混和性の有機溶剤、例えばアルコールとの混合物が使用されてもよい。
【0104】
顔料(I)は、本発明による方法の場合に乾燥粉末としてかまたはプレスケーキの形で使用されてよい。
【0105】
使用される顔料(I)は、特に仕上げ処理された製品であり、即ち顔料の一次粒径は、既に使用に望ましい値に調節されている。しかし、仕上げ処理されていない顔料を使用してもよい。無機顔料の場合、例えば酸化物顔料およびバナジン酸ビスマスの場合、一次粒径の調節は、通常、顔料合成の際に行なわれ、したがって生じる顔料懸濁液は、本発明による方法で直接に使用されてよい。
【0106】
選択された乾燥法、即ち噴霧造粒および渦動床乾燥、噴霧乾燥、パドル乾燥機中での乾燥、蒸発濃縮および引続く微粉砕に依存して、本発明による顔料調製物の二次粒径は、意図的に制御されてもよい。
【0107】
噴霧造粒および渦動床造粒の場合には、50〜5000μm、殊に100〜1000μmの平均粒径を有する粗大粒子の顆粒を得ることができる。噴霧乾燥により、通常、50〜500μmの平均粒径を有する顆粒を得ることができる。微粒状の調製物は、パドル乾燥機中での乾燥の場合および蒸発濃縮および引続く解凝集微粉砕の場合に得ることができる。しかし、特に、本発明による顔料調製物は、顆粒の形で存在する。
【0108】
噴霧造粒は、特に供給ノズルを備えた噴霧塔中で実施される。この場合、懸濁液は、よりいっそう大きな液滴の形で噴霧され、この場合水が蒸発する。分散剤(II)は、既に液状であるかまたは乾燥温度で溶融し、こうして特に平滑な表面(一般に15m2/g以下、殊に10m2/g以下のBET値)を有する十分に球状の顆粒を形成する。
【0109】
噴霧塔中のガス入口温度は、一般に150〜300℃、有利に160〜200℃である。ガス出口温度は、一般に70〜150℃、特に70〜130℃である。
【0110】
得られた顔料顆粒の残留湿分は、有利に2質量%未満である。
【実施例】
【0111】
A.本発明による顔料調製物の製造
A.1.分散剤として使用されるポリカーボネートの製造
多価アルコールA、ジエチルカーボネートおよび触媒K(アルコール量に対して250ppm)を、第1表中に記載のモル比で攪拌機、還流冷却器および内部温度計を備えた三口フラスコ中に装入した。次に、この混合物を120℃に加熱し、その際、*で表中に示された試験P2では140℃に加熱し、この温度で2時間攪拌した。この場合には、反応時間の経過と共に、反応混合物の温度が、遊離されたエタノールの開始される沸騰冷却に依存して低下する。還流冷却器を降下型冷却器に代え、および触媒K1当量当たり等量の燐酸を添加した後、遊離したエタノールを留去し、反応混合物の温度を徐々に160℃にまで上昇させた。変換率を留去されたアルコールの秤量によって算出し、理論的に可能な全変換率に対してモル%で第1表中に記載する。
【0112】
引続き、得られたポリカーボネートの平均分子量MG(MwおよびMn)を、ゲル浸透クロマトグラフィーによって、流展剤としてのジメチルアセトアミドおよび標準としてのポリメチルメタクリレート(PMMA)を使用しながら測定した。
【0113】
得られたポリカーボネートの粘度[mPas]をDIN 53019、第1部により23℃で測定した。このポリカーボネートのOH価[mg KOH/g]をDIN 53240、第2部により測定した。
【0114】
この試験ならびにこの結果のための更なる詳細は、第1表中にまとめられている。この場合、略符号は、次の意味を有する:
TMP:トリメチロールプロパン
DEC:ジエチルカーボネート
PO:酸化プロピレン
EO:酸化エチレン
【表1】

【0115】
A.2.顔料調製物の製造
顔料調製物の製造を2工程で行なった。最初に、顔料(I)xgおよび超枝分かれしたポリカーボネート(II)ygの懸濁液を水200g(実施例1および2)または水88g(実施例3)中に懸濁させ、ジメチルエタノールアミン(実施例1および2)またはアンモニア(実施例3)でpH値を8に調節し、直径1.0〜1.6mm(実施例1または2)または0.5〜0.75mm(実施例3)のSAZビーズを有する攪拌型ボールミル中で1μm未満のd50値に微粉砕した。引続き、SAZビーズの分離後に得られた分散液を、供給ノズルを備えた噴霧塔(ガス入口温度160〜170℃、ガス出口温度70〜80℃)中で造粒下に噴霧乾燥した。
【0116】
製造された顔料調製物の組成は、第2表中に記載されている。
【0117】
【表2】

【0118】
B.得られた顔料調製物の試験
B.1.水性塗料系中での使用
最初に、それぞれ実施例1または2からの顔料調製物15質量%を含有する水性着色ペーストを製造した。そのために、WO−A−92/15405の実施例1.3中に記載の水性ポリウレタン樹脂分散液100gと実施例1からの顔料調製物32.4gまたは実施例2からの顔料調製物28.4gと相応する量の水とからなる混合物を、ジメチルエタノールアミンで8のpH値に調節し、直径1.0〜1.6mmのSAZビーズを有する攪拌型ボールミル中で4時間微粉砕した。
【0119】
次に、塗料の製造のために、それぞれ得られた水性着色ペースト34gを、ポリウレタンを基礎とする混合塗料225g(WO−A−92/15405の実施例3中に記載された)に添加した。水7.5gの添加後、アミノエタノールでpH値を8に調節した。次に、得られた懸濁液をプロペラ型攪拌機で1000rpmで15分間攪拌した。
【0120】
比較Vのために、水性着色ペーストおよび実施例1および2で使用され仕上げ処理されたが、しかし、表面変性されていない顔料(C.I.顔料レッド179の使用)を基礎とする水性塗料を、同様に製造した。
【0121】
粘度を、フローシート(Fliessblech)(レベル5)を用いて水性着色ペーストの流動時間を測定することによって試験した。
【0122】
このフローシートは、凹所を備えていた。この凹所の中心点は、レベル1である。それぞれ40mmの間隔で、このシートの端縁に沿って、レベル2〜5に対応する印を付けた。
【0123】
次に、それぞれ得られた着色ペースト3gを、水平方向に置かれたシートの凹所中に計量供給した。5分間の水平方向での貯蔵後、このシートを垂直方向に懸吊し、したがって着色ペーストは、下向きに流動することができた。
【0124】
流動挙動をレベル2からレベル5への流動時間の測定によって評価した。流動時間が短ければ短いほど、着色ペーストの粘度は、ますます低くなる。
【0125】
色の強さを、白色度の減少で測定した。そのために、それぞれ得られた塗料1.6gを、二酸化チタン(Kronos 2310)で40質量%顔料添加された白色ペースト1.0g(白色度 標準の色合いの深さの約1/3)と混合し、150μmの厚さの層としてシート上に塗布し、通風し、130℃で30分間焼き付けた。
【0126】
比較顔料Vでの呈色を100(標準)のFAE色等価値に対応させた。100未満のFAE色等価値は、標準の場合より高い色の強さを意味し、100を上廻るFAE色等価値は、よりいっそう低い色の強さに相当する。
【0127】
透明度(Lasur透明な塗布層)の測定のために、上記塗料を200μmの層厚で白黒の厚紙上にナイフ塗布し、黒色上での散乱デルタE(ddE)を、顔料Vを有する比較試料と比較して測定した。ネガティブ値は、よりいっそう高い透明度を意味する。
【0128】
得られた結果は、第3表中にまとめられている。
【0129】
【表3】

【0130】
B.2.溶剤を基礎とする焼付け塗料への使用
実施例3からの顔料調製物の色の強さを、前記調製物で着色されたアルキドメラミン焼付け塗料について白色度の減少によって評価した。
【0131】
そのために、顔料調製物0.2g(顔料0.16gに相当する)と二酸化チタン10g(Kronos 2310)とアルキドメラミン焼付け塗料10g(固体含量約55質量%)との混合物を、30分間ガラス玉15g(直径2mm)と一緒にSkandex振盪機中で振盪し、次に100μmの巻き線ドクター(Spiralrakel)で厚紙上に塗布し、10分間の通風後に120℃で30分間、焼き付けた。
【0132】
実施例3で使用された仕上げ処理されたがポリカーボネートを含有していないC.I.顔料ブルー15:3 0.16gで顔料添加された塗料との比較により、本発明による顔料調製物の場合には、明らかによりいっそう高い色の強さが生じた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料用分散剤としての、
a)
a1)一般式RO[(CO)O]nRの少なくとも1つの有機カーボネート(A)を、少なくとも3個のOH基を有する少なくとも1つの脂肪族、脂肪族/芳香族または芳香族のアルコール(B)と、アルコールROHの除去下に反応させ、この場合Rは、それぞれ互いに無関係に1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝鎖状の脂肪族、芳香族/脂肪族または芳香族の炭化水素基であり、および基Rは、基−O[(CO)O]n−含有環の形成下に互いに結合されていてもよく、かつnは、1〜5の整数を表わすか、または
a2)ホスゲン、ジホスゲンまたはトリホスゲンを脂肪族、脂肪族/芳香族または芳香族のアルコール(B)と、塩化水素の除去下に反応させ、この場合この反応混合物中のアルコール(B)とカーボネート(A)またはホスゲンとの量比は、縮合生成物(K)が平均で1個のカーボネート基または塩化カルバモイル基および1個を上廻るOH基または1個のOH基および1個を上廻るカーボネート基または塩化カルバモイル基を有するように選択されることによる1つ以上の種々の縮合生成物(K)の製造および
b)工程a)で形成された縮合生成物(K)の分子間反応によって得られた、高度に枝分かれしたかまたは超枝分かれした高官能価ポリカーボネートの使用。
【請求項2】
(I)少なくとも1つの顔料
および
(II)分散剤としての請求項1記載の少なくとも1つの高度に枝分かれしたかまたは超枝分かれした高官能価ポリカーボネートを含有する顔料調製物。
【請求項3】
前記調製物の質量に対して成分(II)を1〜50質量%含有する、請求項2記載の顔料調製物。
【請求項4】
成分(I)80〜99質量%および成分(II)1〜20質量%を含有する、請求項2記載の顔料調製物。
【請求項5】
成分(I)50〜95質量%および成分(II)5〜50質量%を含有する、請求項2記載の顔料調製物。
【請求項6】
請求項4または5記載の顔料調製物の製造法において、顔料(I)および分散剤(II)を一緒に液状媒体の存在下または乾燥状態で微粉砕に掛け、場合によっては引続き液状媒体を除去することを特徴とする、請求項4または5記載の顔料調製物の製造法。
【請求項7】
顔料(I)を、最初に分散剤(II)の少なくとも一部分を含有する水性懸濁液中で湿式微粉砕に掛け、次にこの懸濁液を残りの量の分散剤(II)の添加後に乾燥させる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
液状の使用媒体の着色のための請求項2から5までのいずれか1項に記載の顔料調製物の使用。
【請求項9】
液状使用媒体が塗料、印刷用インキ、インキまたは被覆系であり、この被覆系は、液相として水、有機溶剤または水と有機溶剤との混合物を含有する、請求項8記載の使用。
【請求項10】
プラスチックの着色のための請求項2から5までのいずれか1項に記載の顔料調製物の使用。

【公表番号】特表2009−537682(P2009−537682A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511468(P2009−511468)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054721
【国際公開番号】WO2007/135032
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】