説明

顔料着色ラテックスおよび顔料着色ラテックスを用いる透明基材の処理方法

無着色初期ラテックスと1つ以上の粒子状の顔料の1つ以上の初期水性分散液との混合物を含む着色ラテックスを提供する。初期水性分散液中の顔料の粒子は不溶性であり、1つ、またはそれ以上の顔料の粒子の90%以上の粒子サイズは370nm以下である。また着色ラテックスを作成するプロセスおよび着色ラテックスの層で被覆された眼科用レンズに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、着色ラテックス、着色ラテックスの製造方法、透明基材の処理方法、特に有機ガラスで製造された透明基材を着色ラテックスを用いて処理する方法、および、前記着色ラテックスの層で被覆された基材を含む眼科用レンズに関する。
【0002】
眼科用分野で、有機ガラスを着色するもっとも一般的な方法には、顔料が溶融および/または分散した着色槽に有機ガラスを浸漬する方法があり、その着色槽は、一般に、沸騰温度の近く(通常、およそ90〜95℃の範囲の温度)に維持される。顔料は、基材の表面下で分散し、その色濃度は、表面からその基材に浸透した顔料の量によって得られる。
【0003】
これらの着色手順は、顔料と、基材を形成する材料との間の親和性に依存するので、複雑である。
【0004】
眼科用ガラスの基材として、性質の異なる様々な基材が用いられるということを考えると、各々の基材を処理する方法を、継続して適応させていかなければならないが、そのために費やす時間と労力を考えると非常に高価なものとなる。また、ある一定の色が期待される場合は更に難しくなる。多くの顔料を浸透させる必要があり、また操作者の目視評価の後、修正作業が必要となる。
【0005】
更に、例えばポリカーボネート(PC)などを基とする基材などの、いくつかの基材はその方法で着色することが非常に難しい。したがって、ポリカーボネートを部分的に溶解する、または表面的に膨張させることが可能な溶剤を着色槽に加えて、顔料が基材の表面下に浸透できるようにする必要がある。
【0006】
しかしながら、これらの溶剤は処理された基材の表面に対して攻撃的であることが多い。加えて、有機溶剤の使用を減らすことを目指す国際的な取り組みを考慮すると、それらの方法を避けるのが好ましい。
【0007】
着色ラテックスは、米国特許第5,977,210号に記載されているものが知られている。特に、着色ラテックスの形のインクを製造する方法は、ラテックスを準備する工程と、陽イオン界面活性剤とともに水性懸濁液としての顔料をこのラテックスに添加する工程と、陰イオン界面活性剤を添加してこの混合物が塊状になるのを防ぐ工程とを含む。
【0008】
しかしながら、着色ラテックスを眼科用に使用することについては何も記載されていない。
したがって、本発明の1つの目的は、着色ラテックスと、着色ラテックスを製造する方法と、前記着色ラテックスを用いる、透明基材、特に有機ガラスで作成された透明基材の処理方法とを提供し、上述の先行技術の欠点を克服することである。
【0009】
透明基材は、紫外線に暴露されると着色し、紫外線がないと着色されない、または非常に僅かにしか着色されない光発色性基材である。
【0010】
本発明の透明基材の処理方法は、処方箋、または顧客/患者の要求により入手可能で、可視光線における相対光透過率(Tv)が20%未満という強い着色を達成し、しかも優れた光学特性を維持する着色ガラス、特に拡散のない着色ガラスの製造を可能にするものである。
【0011】
(可視スペクトルにおける相対光透過率(Tv))
当業者にとっては公知であるが、この係数は眼科用光学系に特有の係数である。フィルタの生理学上の特性を1つの数値に要約したものであり、人の視覚によって感知された、ガラスに入射する光束に対するガラスから発生する光束の比に対応する。すなわち、各波長について、人の視覚による比視感度Vλによって重み付けしたものである。この係数は下記式によって計算される。
【0012】
【数1】


式中、Tl は分光透過率、Fl は 入射光束、Vl は人の視覚による明所視の比視感度を示す。これが、サングラスの説明および分類に用いられる係数Tvである。
【0013】
着色ラテックスを用いて基材を着色する場合、通常の成膜方法、特に、耐磨耗性および反射防止被覆などの、基材上、着色ラテックス上、またはその間の良好な接着性を維持する層の成膜方法を基本的に変更することなく、着色することが可能である。
【0014】
得られる着色ガラスは優れた耐磨耗性、および良好な耐衝撃性を示す。
また、老化に対しても良好な耐性を示す。着色ガラスは、特に光老化しないか、しても極僅かである。
着色ラテックスは5%の炭酸ナトリウム溶液に浸漬しても、それ自体は溶解せず、顔料を剥離させず、光学または物理特性を失うこともない。
最後に、真空成膜処理、特に反射防止処理によって着色ラテックスの特性が変更させられることはない。
【0015】
したがって、本発明の第1の目的は、無着色初期ラテックスと、1つ以上の顔料の1つ以上の初期水性分散液との混合物を含有する着色ラテックスを提供することである。本発明によれば、
1つ、またはそれ以上の顔料が不溶性であり、
前記1つ、またはそれ以上の顔料の少なくともX%の粒子サイズLは370nm以下であり、好ましくは350nm以下であり、より好ましくは320nm以下であり、更に好ましくは280nm以下であり、ここでXは90である。
【0016】
好ましくは、初期水性分散液中では、前記顔料の粒子平均サイズは200nm未満であり、より好ましくは150nm未満であり、さらに好ましくは100nm未満である。
【0017】
好ましくは、1つ、またはそれ以上の顔料の、サイズLの粒子%量Xは、95%であり、より好ましくは97%であり、更に好ましくは99%であり、もっとも好ましくは100%である。
【0018】
通常、粒子サイズとは、粒子が球状の場合はその粒子の直径を意味し、粒子が球状でない場合は、その粒子の最も長い長さを意味する。
【0019】
無着色初期ラテックスとしては任意のタイプのラテックスが用いられる。
公知のように、ラテックスは、例えば水アルコール相などの水相中のポリマー分散である。
【0020】
無着色初期ラテックスは、(メタ)アクリルポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、スチレン(メタ)アクリレート コポリマー、またはブタジエン(メタ)アクリレート コポリマーを基とするラテックスである。
【0021】
ポリ(メタ)アクリル ラテックスには、例えば、エチル(メタ)アクリレート、またはブチル(メタ)アクリレート、またはメトキシエチルまたはエポキシル(メタ)アクリレート系のラテックスを含む。例えば、仏国特許出願第2,790,317号の実施例に記載の、いわゆる、コアシェルラテックスも列挙することができる。
【0022】
スチレン/(メタ)アクリレート コポリマーには、例えば、商品名NEOCRYLTMとしてZENECA RESINS社から販売されているものが含まれる。
ブタジエン(メタ)アクリレート コポリマーには、例えば、ポリ(メチルメタクリレート−ブタジエン)ラテックス、ポリ(エチルメタクリレート−ブタジエン)ラテックス、ポリ(プロピルメタクリレート−ブタジエン)ラテックス、ポリ(ブチルメタクリレート−ブタジエン)ラテックス、ポリ(メチルアクリレートブタジエン)ラテックス、ポリ(エチルアクリレートブタジエン)ラテックス、ポリ(プロピルアクリレートブタジエン)ラテックス、およびポリ(ブチルアクリレートブタジエン)ラテックスが含まれる。
【0023】
ポリウレタン系のラテックスも公知であり、市販されている。
特に列挙することができるポリウレタン系のラテックスは、欧州特許第0,680,492号に記載されているものである。
ポリウレタン系のラテックスは例えば、BAXENDEN社の商品名W−240およびW−234、ZENECA RESINS社の商品名NEOREZTMなどがある。
【0024】
一般に、初期ラテックスの乾燥物含有量は20〜50重量%の範囲である。
ここで使用されているように、初期ラテックスの乾燥物含有量は、初期ラテックス中の固体材料の重量パーセントを意味する。
初期ラテックス粒子は、そのサイズが300nm未満であることが有用であり、好ましくは、250nm未満、更に好ましくは100nm未満である。
【0025】
第1の実施態様によれば、初期ラテックスはポリウレタン系のラテックスであり、その粒子の95重量%は、そのサイズが30nm未満であり、好ましくは15nm未満であり、更に好ましくは10nm未満である。
【0026】
第2の実施態様によれば、初期ラテックスは、アクリル系ラテックスであり、その粒子の70重量%以上、好ましくは80重量%以上は、そのサイズが250nm未満であり、より好ましくは100nm未満であり、更に好ましくは20〜40nmの範囲である。
【0027】
好ましくは、初期ラテックスのガラス転移温度Tgは20℃未満であり、好ましくは−20℃未満であり、より好ましくは―30℃未満であり、更に好ましくは−40℃未満である。
【0028】
初期ラテックスは、また、1つ以上の陰イオンまたは非イオン界面活性剤を含んでもよい。
使用可能な陰イオン界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム、およびポリシロキサンから選ばれる。
【0029】
既に説明したように、本発明による着色ラテックスは、無着色初期ラテックスに加えて、1つ以上の顔料の1つ以上の初期水性分散液を含み、1つまたはそれ以上の顔料は不溶性であり、その粒子平均サイズは200nm未満である。
【0030】
好ましくは、1つ、またはそれ以上の顔料の粒子平均サイズは150nm未満であり、より好ましくは100nm未満である。
【0031】
そのような顔料の選択、特に粒子サイズを考慮して選択することによって、顔料を初期ラテックス中に適切に分散させることができ、また、良好な安定性(凝集のない)を得ることができる。
【0032】
また、これらの顔料は炭酸ナトリウムまたはアルコール中で剥離することがない。
更に、光堅牢性標準化テスト(XBO)において良好な結果を示す。
【0033】
これらは、微細に分散し、それによって拡散を低減した被覆を形成することが可能になるという利点がある。
また、着色ラテックスの色選択および色強度は、1つまたはそれ以上の顔料初期水性分散液を選択し、着色ラテックス中のそれらの量を選択することによって得られる。
【0034】
一般に、1つ、またはそれ以上の初期水性分散液は、初期水性分散液(または、初期水性分散液の各々)の合計重量に対して、10〜50%の1つ、またはそれ以上の顔料を含む。
【0035】
1つ、またはそれ以上の顔料初期水性分散液は、好ましくは着色ラテックスの重量に対して最大で10重量%を占め、好ましくは最大で5重量%を占める。
【0036】
本発明の着色ラテックスに適切に用いることができる顔料初期水性分散液としては、キナクリドンCI 122 (TOYO社から、商品名LIOJET MAGENTAとして市販)、フタロシアニンCI 15 (TOYO社から、商品名LIOJET CYANとして市販)、イソインドリノンCI 110(TOYO社から、商品名LIOJET YELLOWとして市販)、インオーガニックCI 7(TOYO社から商品名LIOJET BLACKとして市販)、フタロシアニン(CLARIANT社から商品名COLANYLBLUE A2R100として市販)、モノ−アゾナフトールAS(CLARIANT社から商品名COLANYL REDFGR130として市販)、キナクリドン(CLARIANT社から商品名HOSTAFINE MAGENTAとして市販)、カーボン系顔料分散液(CLARIANT社から商品名HOSTAFINE BLACK Tとして市販)、カーボン系分散液(CLARIANT社から商品名HOSTAFINE BLACK TSとして市販)、フタロシアニン(CLARIANT社から商品名HOSTAFINE BLUE B2Gとして市販)、フタロシアニン(CLARIANT社から商品名HOSTAFINE GRENNGN、HOSTAFINE YELLOW HR diarylideとして市販)が列挙される。
【0037】
本発明の更なる目的は、上記で定義された着色ラテックスを作成する方法を提供することであり、この方法は、初期ラテックスと、1つ、またはそれ以上の顔料初期水性分散液とを混合する工程を含む。
【0038】
また本発明の別の目的は、表側主面と、裏側主面を有する透明基材を処理する方法を提供することであり、この処理方法は、上記で定義された着色ラテックス層を、少なくとも1つの主面に成膜し、その後、前記層を少なくとも部分的に乾燥させる工程を含む。
【0039】
本発明においては、基材は、好ましくは無機、または有機ガラスであり、好ましくは有機ガラスである。
有機ガラス系の基材は、眼科用途、特に眼科用レンズを製造するのに用いられる通常の任意の有機ガラスでよい。
【0040】
本発明の処理方法によって適切に処理することができる基材は、アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはC〜Cアルキル(メタ)アクリレート、より好ましくはメチル(メタ)アクリレート、または、エチル(メタ)アクリレート、アリル誘導体、好ましくは脂肪族または芳香族、直鎖または分岐鎖の、ポリオールアリルカーボネート、チオ(メタ)アクリレート、ウレタン、チオウレタン、芳香族ポリエトキシ化(メタ)アクリレート、好ましくは、ポリエトキシ化ビスフェノレート ジメタクリレート、エポキシド、エピスルフィド、またはカーボネートを重合することによって得られる基材、またはポリカーボネート基材(PC)、特にビスフェノール A ポリカーボネート、ポリウレタン、またはポリチオウレタン基材を含む。
【0041】
ポリオールアリルカーボネートは、特に、エチレングリコール ビス (アリルカーボネート)、ジエチレングリコール ビス (2−メチルカーボネート)、ジエチレングリコール ビス (アリルカーボネート)、エチレングリコール ビス (2−クロロ アリルカーボネート)、トリエチレングリコール ビス (アリルカーボネート)、1,3−プロパンジオール ビス (アリルカーボネート)、プロピレングリコール ビス (2−エチル アリルカーボネート)、1,3−ブタジエンジオール ビス (アリルカーボネート)、1,4−ブテンジオール ビス (2−ブロモ アリルカーボネート)、ジプロピレングリコール ビス (アリルカーボネート)、 トリメチレングリコール ビス (2−エチル アリルカーボネート)、ペンタメチレングリコール ビス (アリルカーボネート)、およびイソプロピレン ビス フェノール−A ビス (アリルカーボネート)から選ばれる。
【0042】
特に推奨される基材は、商品名CR 39TMとしてPPG INDUSTRIE社から市販されている、ジエチレングリコール ビス (アリルカーボネート)を重合することによって得られる基材(ESSILOR社製のORMATM レンズ)である。
もちろん、基材は上述のモノマーの混合物を重合化することによっても適切に得られる。
【0043】
基材は半仕上げ(1つの面だけに、成型、または表面処理および研磨を行い最終形状を得る)されてもよく、または完全仕上げ(両方の面に、成型、または表面処理および研磨を行い最終形状を得る)されてもよい。
【0044】
着色ラテックスの乾燥は、通常、40〜110℃の温度範囲、好ましくは、およそ90℃の温度で、およそ5〜15分の間、好ましくはおよそ10分間、炉内、または赤外線ランプ下で行う。
【0045】
乾燥時間は、通常20秒から1分の間で変動する。
一般に、着色ラテックスの乾燥後の厚さは、0.5〜20μmの範囲、好ましくは、1〜10μmの範囲、より好ましくは5〜7μmの範囲である。
本発明の処理方法は、被覆層を成膜する前に、着色ラテックス上に無着色ラテックスを成膜する工程を含む。
【0046】
この場合、着色ラテックスは、上記に無着色初期ラテックスとして記載したものなどの任意の通常のラテックスでよい。
本発明の処理方法は、着色ラテックス層(または、場合によっては着色ラテックス層を被覆する無着色ラテックス層)上に被覆組成物の層を成膜する工程を備えると有用である。
【0047】
本発明の1つの実施態様によれば、被覆組成物は、着色ラテックスの膨張材を含む。
理論に縛られずにいうならば、本願の発明者は、このラテックス膨張剤により、ラテックスの被覆組成物をラテックスの内部に深く拡散するようにさせることができ、その結果ラテックス層と被覆との間に優れた接着性を生成することを確信するものである。
【0048】
ここで用いられるように、「着色ラテックスの膨張剤を含む組成物」とは、無機ガラス板などの中性の支持板に適用した1μmの厚さのラテックス層に対して、膨張組成物に室温(およそ20℃)において180秒浸漬した後、30%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上の膨張を生成することができる任意の組成物を意味する。
【0049】
1μmの厚さのラテックス層は、成膜工程の後、75℃で、10分間乾燥して得られる。
膨張、または膨張比率は、以下のように計算される。
1)硬化フィルムで被覆されたガラス板を秤量する。
全体の質量mは次の式に対応する。
=mglass+minsoluble matter+msoluble matter
式中、
glassはガラス板の質量を表す。
insoluble matterは膨張溶剤中の不溶性物質の質量を表す。
soluble matterは膨張溶剤中の可溶性のフィルム物質の質量を表す。
2)硬化フィルムで被覆されたガラス板を膨張溶剤に浸漬する(20℃で180秒浸漬する)。
3)膨張溶剤からガラス板を引き上げた後、膨張溶剤が落ちてから、ガラス板を秤量する。
その結果の質量mは次の式になる。
=mglass+minsoluble matter+msolvent
式中、msolventはフィルムに浸透した溶剤の質量を表す。
4)90℃で1時間ガラス板を乾燥させる。
5)乾燥したガラス板を秤量し、質量 m=mglass+minsoluble matterを計算する。
膨張比率は不溶性物質の重量と溶剤の重量との間の比率、すなわち、m−m/m−mglassに対応する。
【0050】
一例として、80%のメタノール、10%のエタノール、および10%のメチルエチル ケトンで作成された溶剤混合物は、W234ラテックスについて、上述のように計算されたおよそ60%の膨張を生成する。
一般に、膨張剤は、C〜Cアルコール、C〜Cケトン、およびその混合物から選ばれる有機溶剤である。
本出願人は、ラテックスの高い膨張比率に反して、また顔料とラテックスの間に化学的接合剤がないにもかかわらず、特に、組成物が浸漬被覆されている場合に、被覆組成物中の顔料の剥離がないことを観察した。
【0051】
その結果、引き続いて行われる被覆組成物の成膜処理による着色への影響がなく、被覆組成物含有槽の耐久性が向上する。
被覆層は耐磨耗性被覆、または反射防止被覆に属し、好ましくは耐磨耗性被覆に属する層であってよい。
本発明にしたがって用いられる耐磨耗性被覆は、眼科用光学分野において公知である任意の耐磨耗性被覆であってよい。
【0052】
本発明において推奨される耐磨耗性被覆は、シラン水和物系の組成物であり、特に、仏国特許93,026,49号および米国特許4,211,823号に記載されている組成物などの、エポシキシラン水和物組成物を含む。好ましくは、耐磨耗性組成物は、エポシキシラン水和物と、コロイド状の二酸化ケイ素および/またはTiO、ZrO、Sb、またはAlなどのコロイド状の金属酸化物とを含む。
【0053】
好ましい耐磨耗性被覆組成物は、エポキシシランおよびジアルキルジアルコキシシラン水和物、コロイド状のシリカ、および触媒量のアセチルアセトン酸アルミニウムを含み、残りは本質的に従来からそのような組成物を作成する際に使用されている溶剤である。
【0054】
好ましくは、使用する水和物は、g−グリシドキシプロピル トリメトキシシラン(GLYMO)および、ジメチル ジエトキシシラン(DMDES)水和物である。
耐磨耗性被覆は浸漬被覆、スピン被覆によって適用される。
上述のように、被覆層は、反射防止被覆に属する層であってもよい。
一例として、反射防止被覆は、SiO、SiO、Si、TiO、ZrO、Al、MgF、またはTa5、およびこれらの混合物などの誘電材料で作成される単一、または多層フィルムを含む。
したがって、レンズ−空気インタフェースにおいて反射の発生を防止することができる。
【0055】
この反射防止被覆は一般に、次の方法のいずれかによる真空成膜によって適用される。
1.蒸着、選択的イオンビームアシスト蒸着法。
2.イオンビームスパッタリング法。
3.カソードスパッタリング法。
4.プラズマアシスト化学的蒸気成膜法。
【0056】
真空成膜の他に、(例えば、テトラエトキシシラン水和物からの)無機物層のゾル−ゲル成膜も用いることができる。
フィルムが単一層の場合は、光学的深さはλ/4(λは450〜650nmの波長を表す)でなければならない。
3層の多層フィルムの場合は、下記の光学的深さ、λ/4、λ/2、λ/4、またはl/4−λ/4−λ/4に対応する組合せが用いられる。
また、上述の3層に属する任意の数の層の代わりに、それ以上の層で構成された等価フィルムを用いることができる。
被覆層が耐磨耗性被覆に属する層である場合は、着色ラテックス層を成膜する前に、基材上に反射防止被覆層を適用することが有用である。
【0057】
被覆層が反射防止層である場合は、着色ラテックス層を成膜する前に、基材上に耐磨耗性被覆層を適用することが有用である。
既に説明したように、着色ラテックス層は基材の1つ以上の主面に適用する。
本発明の第1の実施態様によると、着色ラテックス層は基材の裏側主面にのみ適用される。
そのような場合は、基材の表側主面に耐磨耗性被覆を適用してもよい。
基材の表側主面に適用する耐磨耗性被覆は、それ自体が反射防止被覆で被覆されていてもよい。
【0058】
このようにして、その裏側主面が本発明の着色ラテックス層と、選択的に無着色ラテックス層および/または耐磨耗性層、および/または反射防止層とによって被覆されて上述のような積層を形成し、またその表側主面が耐磨耗性層、および反射防止層によって被覆された基材を得ることができる。
【0059】
本発明の第2の実施態様によれば、基材の表側主面および/または裏側主面に着色ラテックス層が適用される。
その場合は、各着色ラテックス層は、それ自体、上述のような積層にしたがって、無着色ラテックス層、および/または耐磨耗性層および/または反射防止層によって被覆されてもよい。
【0060】
本発明の最終的な目的の1つは、表側主面と、裏側主面とを有する透明基材を備え、その基材の表側主面および/または裏側主面に既に定義したような着色ラテックスで作成された層を成膜した、眼科用レンズを提供することである。
眼科用レンズの基礎として機能する基材は、上述で説明した基材などの、従来から眼科用途に使用されている任意のタイプの基材でよい。
【0061】
既に記載したように、着色ラテックス層の厚さは、0.5〜20μm、好ましくは1〜10μm、より好ましくは5〜7μmの範囲である。
本発明による眼科用レンズは、その基材の表側主面および/または裏側主面が、上述の被覆積層に従って、無着色層および/または、耐磨耗性層および/または反射防止層で被覆される。
以下では、下記の実施例を用いて、本発明を説明する。
【0062】
(実施例1: グレー着色ポリウレタン系ラテックスの配合)
本発明の着色ラテックスは、初期ラテックスを顔料の3種の初期水性分散液中で混合して作成した。
初期ラテックスは、BAXENDEN社から市販されているW234ラテックスであった。これは、ポリウレタン系ラテックスであり、その乾燥物含有量はおよそ30重量%であり、陰イオン的に安定している。
使用した顔料初期水性分散液は、次のとおりである。
−MAGENTA E VP:粒子平均サイズが125nm、20重量%のキナクリドン顔料を含む分散液。
―BLUE B2G:粒子平均サイズが112nm、40重量%のフタロシアニン顔料を含む分散液。
―BLACK T:粒子平均サイズが81nm、30重量%のカーボン顔料を含む分散液。
これらの分散液はCLARIANT社から市販されている HOSTAFINE seriesに属する。
95.042gのW234ラテックスをビーカー中で秤量した。
次に、2.015gのMAGENTA E VP分散液、1.157gのBLUE B2G分散液、および1.786gのBLACK T分散液を、W234ラテックスが入っているビーカーに加えた(ビーカー内に直接投入した)。
全体を磁気板で2時間撹拌した。
本発明による、ラテックス厚さ6μmに対して色分類3(Color Class 3)の、グレー着色ポリウレタン系ラテックスが得られた。すなわち、所定の厚さのラテックスを被覆したガラスについて、色分類3(可視スペクトルにおける相対光透過率Tvが、20%未満)を生成することができるということである。
【0063】
(実施例2:グレー着色アクリル系ラテックスの配合)
本発明の着色ラテックスを、初期ラテックスを3つの顔料初期水性分散液と混合することによって作成した。
初期ラテックスは、NEORESINS社から市販されているのNEOCRYLTMXK 98であった。これは、アクリル コポリマー系のラテックスであって、その固体含有率は、44重量%を占める。
使用した顔料初期水性分散液は実施例1で記載したものと同じであった。
初期ラテックスおよび顔料初期水性分散液は実施例1と同様の量で、同様の手順に従って配合した。
本発明によるグレー着色アクリル系ラテックス、色分類3を得た。
【0064】
(実施例3:ベアガラスから着色ガラスを作成する)
この実施例の目的の1つは、本発明の着色ラテックスを基材に適用することであった。
着色ラテックスは、実施例1で記載したものを用いた。
2種類の基材を使用した。1つの側はCR39TM系の基材を用い、他方の側はポリカーボネート系の基材を用いた。
基材は、半仕上げ、または完全仕上げの、光学的に表面処理されたガラスであった。
基材に、5%の炭酸ナトリウム溶液による洗浄を含む表面処理を施した。
700rpmで40秒スピンコーティングを行い着色ラテックスを基材の凹面に適用した。
次に、赤外線熱処理および/または炉内で90℃で最大1時間(通常はおよそ15分間)ラテックス層を乾燥した。
適用した層の、乾燥した後の重量は6μm+/−0.5μmであった。
色分類3、つまり可視範囲における相対光透過率Tvが、20%未満の着色層を得た。
次に、着色ガラスを無着色ラテックスの層、および耐磨耗性被覆層で被覆した。
最後に、上述の例と同様に、水性炭酸ナトリウム溶液で洗浄することにより、着色ガラスの表面に表面処理を施した。
1μmの厚さの無着色ラテックスを浸漬被覆により、各面に適用した。無着色ラテックスはBAXENDEN社から市販されているポリウレタン系のW234ラテックスを使用した。
次に、無着色ラテックスを乾燥した。
次に、耐磨耗性被覆を適用した(ワニス)。
次に、以下の方法に従って、耐磨耗性被覆を作成した。
80.5重量部の塩酸0,1NをGLYMO、224重量部およびDMDES、120重量部を含む溶液に滴下した。
水和溶液を24時間室温で撹拌し、次に、メタノール中の30%コロイド状シリカを718重量部、アセチルアセトン酸 アルミニウムを15重量部、およびエチルセロソルブを44重量部添加した。
少量の界面活性剤を添加した。
組成物の理論乾燥物含有量は、水和DMDESからのおよそ13%の固体物質を含んでいた。
このように処理された耐磨耗性被覆組成物を、浸漬被覆により、各面に適用した。
次に、耐磨耗性被覆組成物を、100℃で3時間重合させた。
更に、真空下で、反射防止被覆、例えば、ZrO/SiO/ZrO/SiO などの4層に積層したものを基材の片面、および/または両面に適用してもよい。
反射防止被覆の真空成膜によって、着色が影響されなかったことが観察された。
【0065】
(実施例4:ワニス塗りのガラスから着色ガラスを作成する)
本発明の着色ラテックスの層をワニス塗りの基材上に適用することが本実施例の1つの目的であった。
着色ラテックスは、実施例1に記載したものを用いた。
基材は、熱可塑性ポリカーボネート系の基材(ビスフェノールA ポリカーボネート)を用いた。
基材は、ストック仕上げのガラスであった。
次に、基材の両側の面を、γ−グリシドキシプロピル トリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、およびメタノール中のコロイド状のシリカ水和物と適切な触媒とを含む耐磨耗性被覆層で被覆した。
耐磨耗性被覆組成物は、次に、100℃で3時間重合させた。
その結果できた被覆基材にCOLONA化学的活性(コロナ放電)による表面処理を施した。
本発明の着色ラテックスを適用した。着色ラテックスは実施例1と同じであった。
700rpmの速度で40秒間スピンコーティングを行い着色ラテックスを基材の凹面に適用して、成膜を行った。
赤外線熱処理によってラテックス層を乾燥した。
適用した層の、乾燥した後の重量は6μm+/−0.5μmであった。
次に、もう1つの耐磨耗性被覆層(実施例3の記載に従って作成したもの)を着色ラテックス層の上に適用した。成膜はスピンコーティングによって行った。
新たな耐磨耗性層は、赤外線熱処理によって予備乾燥し、次にその耐磨耗性層を100℃で3時間重合させた。
その後、基材の両側の面を、例えばZrO/SiO/ZrO/SiOの4層に積層したものなどの反射防止被覆によって被覆することもできる。
色分類3、すなわち、つまり可視範囲における相対光透過率Tvが20%未満の着色ガラスを得た。
【0066】
(実施例5:本発明の各種着色ラテックスの色評価)
いくつかの被覆積層体の、可視範囲の相対光透過率Tvおよび色を、CIE L色測定システムを用いて評価した。
W234ラテックスに下記の水性分散液(表1参照)を加えることによって各着色ラテックスを得た。まず、最大量で用いた分散液を入れた。
4種の着色ラテックス(グレー分類3(C3)、ブラウン分類3(C3)、グレー分類0(C0)、ブラウン分類0(C0)を作成した。
【0067】
【表1】

【0068】
C3:分類3; C0:分類0;(1):ブルーB2G;(2):ブラックT
分散%:着色液体最終W234ラテックス中の対応する顔料水性分散液の重量パーセント。
乾燥物%:着色液体最終W234ラテックス中の対応する顔料水性分散液の乾燥物の重量パーセント。
顔料%:着色液体最終W234ラテックス中の対応する顔料水性分散液の固体顔料の重量パーセント。
例として、
−マゼンタ分散液、次に
−ブラック分散液、最後に、
−ブルー分散液
を表1に示す量をW234ラテックスに加えて、グレー着色C3ラテックスを得た。
その結果を表2に示した。
【0069】
【表2】

【0070】
(実施例6:本発明の各種着色ラテックスの光堅牢性評価)
本発明の基材に適用した着色ラテックスの各種層について光堅牢性を評価した。
これらの測定は、XBOテストに従って行った。
このテストは、基材をキセノン高圧ランプに曝して透過率の変動がISO 8089−3標準で定められた限界値を超えていないかどうかを確認するものであった。
基材は、キセノン高圧ランプ(450W、25A+/−0.2Aの安定電流)に、ランプからの距離が300mm+/−10mmにおいて、25時間+/−0.1時間曝した。室温は23℃+/−5℃であった。
上記の光暴露の最後には、可視範囲の相対光透過率Tvの変動は
―10%以下(分類0および1の基材の場合)
―20%以下(分類2、3、および4の基材の場合)であった。
この例では、使用した基材はポリカーボネート系の基材であった。
基材を、初期W234ラテックスと下記の顔料初期水性分散液の1つを混合して得られた着色ラテックス層で被覆した。
―BLAK T、CLARIANT社から市販(実施例1に記載のもの)。
―実施例1で用いた分散液混合物。グレー色になる。
―ブラウン、TOYO社から市販。水性分散液の形の着色材料混合物に相当し、ラテックス中では下記の各濃度を有する。
*ブラック着色(ティント)材料(ブラック) 5.425%
*イエロー着色材料(イエロー) 0.185%
*マゼンタ着色材料 0.449%
(表示した%はラテックス内の水性分散液の%に相当する)
BLACK T分散液によって着色されたラテックスの厚さ6μmであった。
グレー色を呈した混合分散液によって着色されたラテックスの厚さ6.4μmであった。
ブラウン分散液によって着色されたラテックスの厚さ6μmであった。また、この場合、着色ラテックスを、耐磨耗性ワニス(実施例3で用いたものと同じ)の層と、ZrO/SiO/ZrO/SiOが真空成膜により適用されている反射防止積層物とによって被覆した。
その結果を表3に示す。
【0071】
【表3】

可視範囲の相対光透過率Tvが非常に低いことを観察することができた。
【0072】
(実施例7:本発明の各種積層物の接着性測定)
実施例3および4で得られた着色ラテックスと耐磨耗性被覆を含む積層物の接着性を、反射防止被覆を含まない積層物について測定した。
接着性テストは、NF T 30−038標準に従って実施し、その結果が0〜5度の表記法で示された。
このテストでは、切断線のクロスハッチパターンに沿って、ナイフで被覆に切り込みを入れ、そのハッチを入れた被覆に粘着テープを適用し、そのテープを引き剥がして被覆を引き剥がすようにする。
0度が得られた場合は、良好な結果であると考えられる。つまり、被覆したレンズを沸騰する湯槽に30分間浸漬した後でも、切り込みのエッジが完全に平坦なままであり、角張った部分が飛び出していないということである。
沸騰湯槽に30分浸漬した後、例えば、上述の実施例3または4の場合では、接着性の評価0が得られた。
【0073】
(実施例8:耐磨耗性測定)
実施例3で得られた被覆積層物の耐磨耗性を、反射防止被覆を含まず、ポリカーボネート系のガラスについて、測定した。
耐磨耗性はスチールウールテストを用いて測定した。スチールウールテストでは、スチールウールに一定の力(5kg〜2.5kg)を加えながら、繊維の方向に、4〜5cmの移動範囲で、5往復動かし、スチールウールでガラス凸処理面を擦傷する。次にガラスの目視検査を行った。次の表記法で評価された。
0:傷が認められなかった。
1:ガラスに非常に僅かな傷がついた(傷が1〜5個所)。
2:ガラスに僅かな傷がついた(傷が6〜20個所)。
3:ガラスに中程度の傷がついた(傷が21〜50個所)。
4:ガラスに強い傷がついた(傷が50個所より多い)。
5:基材が露出した。
実施例3で記載した積層物は、3の評価を得た。
【0074】
(比較実施例1:水溶性着色材料から着色ラテックスを作成する)
(作成)
初期W234ラテックス(BAXENDEN社から市販されているポリウレタン系ラテックス)にCIBA社から市販されているブルーTECTILON 4R01 200% 着色材料を1重量%混合して作成した。
このようにして得られたラテックスをORMATM レンズの凹面にスピン被覆し、90℃で1時間乾燥させた。厚さ6μmの着色ラテックスを得た。
(色)
積層の、可視範囲の相対光透過率(Tv)およびその色を、CIE L色測定システムを用いて測定した。下記の結果が得られた。
Tv =56.4
L =79.8
= −10.9
= −25
(拡散)
レンズの拡散も測定した。
(アルコールに浸漬)
ゾル−ゲル ワニス塗り工程(アルコール系)をシミュレートするために、レンズをイソプロピルアルコールに3分間浸漬した。
その後、着色を評価した。レンズの着色が失われていることが観察された。着色材料はアルコールによって完全に抜き出された。
【0075】
(実施例9〜15、および比較実施例2および3)
各種の顔料水性エマルジョンをBAXENDEN社から市販されているW234ラテックスに混合して着色ラテックスを得た。
混合した顔料の特性(特に、顔料粒子の平均サイズ、顔料粒子の最大サイズ)を表4に示す。
サイズの値は、Malvern Zetasizerを用いて測定した。
マルバーン(Malvern)測定は、光の準弾性散乱、または光相関法を用いる粒子サイズ測定方法である。この測定は、液体中に懸濁する粒子に関する。これは粒子のBrownianモーションと、一定の角度からの拡散光の観察に基づく。
平均サイズ、つまり、拡散強度(すなわち、平均粒子サイズが全体の粒子に等しい光強度になる粒子サイズを有する単分散系粒子溶液)によって重み付けをした平均直径を知ることができる。また、この測定法によって、粒子サイズによる粒子分布を知ることができる。
ジエチレン グリコール ビス(アリルカーボネート)の重合によって得られたOrmaTM眼科用ガラスを厚さ6μmの着色ラテックスで被覆した。
次に、下記の外観管理テストに従って、眼科用レンズを検査した。
テスト結果を表4に示す。
(乳白色度検査―外観テスト)
検査は、M6584 HF 色評価用コントロールルーム(サイズ 75´50´98)商品名GAMAINで実施した。
コントロールルーム内は、光源はd65、照明は1400 Luxであった。
コントロールルームの外は照明が600〜1200 Luxの範囲であった。
【0076】
検査は白色背景上で実施し、試料は、白濁がなく、透明に見える場合は合格とし、曇りが光透過率に影響を与える場合は、乳白色であるとした。
【0077】
【表4】

(3)顔料初期水性分散液の固体顔料含有量
(4)W234着色ラテックス中の顔料初期水性分散液のパーセンテージ
Hostafine HF3SおよびHostafine Rubine F6B顔料水性分散液は本発明に関して(コンテクスト)は適切でなかったことが分かった。
Malvern装置を用いて測定したサイズ分布例を、Clariant Blue B2G 顔料について下記に示す。
【0078】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色ラテックスであって、無着色初期ラテックスと、粒子の形式で存在する1つ以上の顔料の1つ以上の初期水性分散液との混合物を含有し、
前記顔料の前記粒子は不溶性であり、
1つ、またはそれ以上の顔料の粒子の少なくともX%の粒子サイズLは、前記初期水性分散液中では、370nm以下であり、ここでXは90である、着色ラテックス。
【請求項2】
前記粒子の少なくともX=95%の粒子サイズLは370nm以下である請求項1に記載の着色ラテックス。
【請求項3】
前記粒子の少なくともX=97%の粒子サイズLは370nm以下である請求項2に記載の着色ラテックス。
【請求項4】
前記粒子の少なくともX=99%の粒子サイズLは370nm以下である請求項3に記載の着色ラテックス。
【請求項5】
前記粒子の少なくともX=100%の粒子サイズLは370nm以下である請求項4に記載の着色ラテックス。
【請求項6】
L=350nmである請求項1〜5のいずれかに記載の着色ラテックス。
【請求項7】
L=320nmである請求項1〜6のいずれかに記載の着色ラテックス。
【請求項8】
L=280nmである請求項1〜7のいずれかに記載の着色ラテックス。
【請求項9】
前記初期水性分散液中では、前記顔料の粒子平均サイズは200nm未満である請求項1〜8のいずれかに記載の着色ラテックス。
【請求項10】
前記初期水性分散液中では、前記顔料の粒子平均サイズは150nm未満、好ましくは100nm未満である請求項9に記載の着色ラテックス。
【請求項11】
前記1つ、またはそれ以上の初期水性分散液は、前記初期水性分散液(または、前記初期水性分散液のそれぞれ)の合計重量に対して、前記顔料を10〜50%備える、請求項1〜10のいずれかに記載の着色ラテックス。
【請求項12】
前記1つ、またはそれ以上の初期水性分散液は、前記着色ラテックスの重量に対して、10重量%以下、好ましくは5重量%以下に相当する請求項1〜11のいずれかに記載の着色ラテックス。
【請求項13】
前記初期ラテックスは、(メタ)アクリルポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、スチレン(メタ)アクリレート コポリマー、またはブタジエン(メタ)アクリレート コポリマーを基とするラテックスである請求項1〜12のいずれかに記載の着色ラテックス。
【請求項14】
前記初期ラテックスは(メタ)アクリルポリマー、またはポリウレタンを基とする請求項1〜13のいずれかに記載の着色ラテックス。
【請求項15】
前記初期ラテックスの乾燥物含有率は20〜50重量%の範囲である、請求項1〜14のいずれかに記載の着色ラテックス。
【請求項16】
前記初期ラテックス粒子は粒子サイズが100nm未満の粒子である請求項1〜15のいずれかに記載の着色ラテックス。
【請求項17】
前記初期ラテックスはポリウレタンタイプのラテックスであり、粒子の95重量%の粒子サイズは15nm未満であり、好ましくは10nm未満である、請求項1〜16のいずれかに記載の着色ラテックス。
【請求項18】
前記初期ラテックスはアクリルタイプのラテックスであり、粒子の70重量%以上、好ましくは80重量%以上の粒子のサイズは20〜40nmの範囲である、請求項1〜17のいずれかに記載の着色ラテックス。
【請求項19】
前記初期ラテックスは1つ以上の陰イオン界面活性剤を含有する請求項1〜18のいずれかに記載の着色ラテックス。
【請求項20】
前記陰イオン界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、およびドデシルナフタレン硫酸ナトリウムから選ばれる、請求項19に記載の着色ラテックス。
【請求項21】
前記初期ラテックスのガラス転移温度Tgは20℃未満、好ましくは−20℃未満、より好ましくは−30℃未満、更に好ましくは−40℃未満である、請求項1〜20のいずれかに記載の着色ラテックス。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれかに記載の着色ラテックスを製造する方法であって、前記初期ラテックスと1つ、またはそれ以上の顔料初期水性分散液とを混合する工程を含む方法。
【請求項23】
表側主面と、裏側主面を有する透明基材を処理する方法であって、請求項1〜22のいずれかに記載の着色ラテックス層を、1つ以上の主面に成膜し、その後、前記層を少なくとも部分的に乾燥させる工程を含む方法。
【請求項24】
前記基材は無機、または有機ガラスであり、好ましくは有機ガラスである請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記基材は、アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはC〜Cアルキル(メタ)アクリレート、より好ましくはメチル(メタ)アクリレート、または、エチル(メタ)アクリレート、アリル誘導体、好ましくは脂肪族または芳香族、直鎖または分岐鎖の、ポリオールアリルカーボネート、チオ(メタ)アクリレート、ウレタン、チオウレタン、芳香族ポリエトキシ化(メタ)アクリレート、好ましくは、ポリエトキシ化ビスフェノレート ジメタクリレート、エポキシド、エピスルフィド、またはカーボネートを重合することによって得られる請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ポリオールアリルカーボネートは、エチレングリコール ビス (アリルカーボネート)、ジエチレングリコール ビス (2−メチルカーボネート)、ジエチレングリコール ビス (アリルカーボネート)、エチレングリコール ビス (2−クロロ アリルカーボネート)、トリエチレングリコール ビス (アリルカーボネート)、1,3−プロパンジオール ビス (アリルカーボネート)、プロピレングリコール ビス (2−エチル アリルカーボネート)、1,3−ブタジエンジオール ビス (アリルカーボネート)、1,4−ブテンジオール ビス (2−ブロモ アリルカーボネート)、ジプロピレングリコール ビス (アリルカーボネート)、 トリメチレングリコール ビス (2−エチル アリルカーボネート)、ペンタメチレングリコール ビス (アリルカーボネート)、およびイソプロピレン ビス フェノール−A ビス (アリルカーボネート)から選ばれる請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記着色ラテックス層の乾燥後の厚さは、0.5〜20μm、好ましくは1〜10μm、より好ましくは5〜7μmの範囲である請求項23〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記被覆層を成膜する前に、前記着色ラテックスの上に無着色ラテックスを適用する請求項23〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記着色ラテックス層の上に、好ましくは前記着色ラテックス用の膨張剤を含有する被覆組成物層を成膜する工程を含む請求項23〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記膨張剤は、C〜Cアルコール、C〜Cケトン、およびこれらの混合物から選ばれる有機溶剤である請求項29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記被覆層は耐磨耗性の被覆層である請求項23〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記耐磨耗性被覆層の上に反射防止被覆層を適用する請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記被覆層は反射防止層被覆層である請求項23〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記着色ラテックス層を成膜する前に前記基材上に耐磨耗性被覆層を適用する請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記基材の裏側主面上に着色ラテックス層だけを適用する請求項23〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記基材の表側主面上に耐磨耗性層を適用する請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記耐磨耗性被覆層の上に反射防止被覆層を適用する前記請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記基材の前記表側主面および前記裏側主面の上に着色ラテックス層を適用する請求項23〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
表側主面と裏側主面とを有する透明基材を備える眼鏡用レンズであって、請求項1〜21のいずれかに記載されるような着色ラテックス層が前記基材の表側主面および/または裏側主面に適用される眼鏡用レンズ。
【請求項40】
前記基材は無機または有機ガラスであり、好ましくは有機ガラスである、請求項39に記載の眼鏡用レンズ。
【請求項41】
前記基材は、アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはC〜Cアルキル(メタ)アクリレート、より好ましくはメチル(メタ)アクリレート、または、エチル(メタ)アクリレート、アリル誘導体、好ましくは脂肪族または芳香族、直鎖または分岐鎖の、ポリオールアリルカーボネート、チオ(メタ)アクリレート、ウレタン、チオウレタン、芳香族ポリエトキシ化(メタ)アクリレート、好ましくは、ポリエトキシ化ビスフェノレート ジメタクリレート、エポキシド、エピスルフィド、またはカーボネートを重合することによって得られる請求項40に記載の眼鏡用レンズ。
【請求項42】
ポリオールアリルカーボネートは、エチレングリコール ビス (アリルカーボネート)、ジエチレングリコール ビス (2−メチルカーボネート)、ジエチレングリコール ビス (アリルカーボネート)、エチレングリコール ビス (2−クロロ アリルカーボネート)、トリエチレングリコール ビス (アリルカーボネート)、1,3−プロパンジオール ビス (アリルカーボネート)、プロピレングリコール ビス (2−エチル アリルカーボネート)、1,3−ブタジエンジオール ビス (アリルカーボネート)、1,4−ブテンジオール ビス (2−ブロモ アリルカーボネート)、ジプロピレングリコール ビス (アリルカーボネート)、 トリメチレングリコール ビス (2−エチル アリルカーボネート)、ペンタメチレングリコール ビス (アリルカーボネート)、およびイソプロピレン ビス フェノール−A ビス (アリルカーボネート)から選ばれる請求項41に記載の眼鏡用レンズ。
【請求項43】
前記着色ラテックス層の厚さは、0.5〜20μm、好ましくは1〜10μm、より好ましくは5〜7μmの範囲である請求項39〜42のいずれかに記載の眼鏡用レンズ。

【公表番号】特表2007−534799(P2007−534799A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507829(P2007−507829)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【国際出願番号】PCT/FR2005/050247
【国際公開番号】WO2005/105901
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(594116183)エシロール アテルナジオナール カンパニー ジェネラーレ デ オプティック (69)
【氏名又は名称原語表記】ESSILOR INTERNATIONAL COMPAGNIE GENERALE D’ OPTIQUE
【Fターム(参考)】