説明

顔料粒子組成物,その製造方法及びその使用

炭酸カルシウム粒子及び顔料粒子を含む顔料粒子組成物,その製造方法並びにその使用。本発明によれば,炭酸カルシウム粒子を相互に結合するように炭酸塩化し,この場合顔料粒子を含み,実質的に不透明で安定な顔料−炭酸カルシウム凝集体を形成する炭酸カルシウム構造体を生成する。水酸化カルシウム含有顔料スラリーを二酸化炭素含有ガス内に噴霧することによって上記組成物を製造することが可能であり,この場合相互に結合すべき水酸化カルシウム粒子を沈降させるために水酸化カルシウムを炭酸塩化し,実質的に全ての水酸化カルシウムが炭酸カルシウムに転換するまで炭酸塩化を継続する。かかる組成物は,特に,塗料,被覆材料,充填材,ポリマー及び印刷インキでの使用に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,請求項1の前段に係る顔料粒子組成物に関する。
【0002】
このような組成物は一般に炭酸カルシウム粒子及び顔料粒子含む。
【0003】
本発明はまた,請求項22の前段に係る顔料粒子組成物の製造方法,並びに請求項40〜44の前段に係る塗料,被覆材料,充填材料,ポリマー及び印刷インキ組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
二酸化チタンは,高屈折率ゆえに,塗料,印刷インキ及び他の多数の被覆組成物並びに充填材料に光散乱白色顔料として使用される。
【0005】
二酸化チタンは高価で、リサイクルが困難である。要求される量を低減するため,二酸化チタンを通常増量剤と混合するが,増量剤の量を非常に少なく保つことが必要である。さもないと,二酸化チタンで達成される光学特性,特に塗料及び被覆組成物並びに充填材料にとっても決定的に重要である不透明度が失われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は既知の技術に伴う欠点を除き,達成される光学特性,特に不透明度を劣化させることなく光散乱顔料の量を低減することが可能な全く新しい顔料組成物を作り出すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は,沈降炭酸カルシウム粒子を含むシェルを顔料粒子の周囲に形成し,該シェルが少なくとも部分的に一個又は数個の顔料粒子を包むという技術的思想に基づく。
【0008】
この場合,本発明によれば,炭酸カルシウム粒子を少なくとも主にこれらが互いに結合するように炭酸塩化して,炭酸カルシウム構造体を形成する。これら構造体は,一個又は数個の粒子,通常は一個又は二個の顔料粒子を含み,炭酸カルシウムと一緒に実質的に不透明で安定な顔料−炭酸カルシウム凝集体を形成する。
【0009】
かかる組成物は、例えば,水酸化カルシウムを炭酸塩化するために顔料粒子を含む水酸化カルシウム含有水性スラリーを二酸化炭素含有ガス中に噴霧し,顔料組成物中の炭酸カルシウムの割合が所定の重量百分率と等価であるように水性スラリー中の水酸化カルシウムの量を選択し、互いに結合すべき炭酸カルシウム粒子を炭酸塩化するために水酸化カルシウムを炭酸塩化し,実質的に全ての水酸化カルシウムが炭酸カルシウムに転換されるまで炭酸塩化を継続することによって製造することが可能である。
【0010】
本発明に係る組成物を,塗料,紙又は板紙中の被覆材料組成物,紙又は板紙中の充填材組成物,プラスチック又は印刷インキにおける顔料として使用することが可能である。
【0011】
より具体的には,本発明に係る組成物は請求項1に記載の特徴事項を主な特徴とする。
【0012】
同様に,本発明に係る方法は請求項22に記載の特徴事項を特徴とし,本発明に係る塗料,被覆材料組成物,充填材組成物,ポリマー又は印刷インキ組成物は請求項40〜44に記載の特徴事項を特徴とする。
【0013】
本発明に係る使用は請求項47の記載事項を特徴とする。
【0014】
本発明が奏し得る利点は多数ある。本顔料組成物によって優れた不透明度が達成され,また例えば塗料組成物中の二酸化チタン製白色顔料の50重量%超への置換体として使用することが可能である。
【0015】
顔料粒子が二酸化チタンの場合,一部又は全部の二酸化チタンを炭酸カルシウムによって置換する用途では,炭酸カルシウム変性を10:90〜30:70の二酸化チタンと炭酸カルシウムの重量比率で適用することによって達成し得る不透明度が,100%二酸化チタンのものに少なくとも近いものであることを本発明者らは見出した。
【0016】
本発明に係る組成物の優れた特性は,主として顔料粒子間距離が少なくとも約60nm,好適には少なくとも約100nm,最も好適には少なくとも約120nmであるように,顔料粒子を炭酸カルシウム構造体によって相互に分離した結果である。
【0017】
炭酸カルシウムの価格は,二酸化チタン又は多くの他の光散乱顔料粒子の価格よりも実質的に安価であるため,本発明は顔料コストの大幅な低減をもたらす。
【0018】
特に二酸化チタンに関しては,白色被覆顔料市場において,その(すなわち,二酸化チタン)実際の代替品がないことに注目することが重要である。然も,二酸化チタンの欠点は凝集する傾向があり,この場合その光散乱力が著しく低下することである。本発明のもう一つの利点は,チタンの高屈折率(光散乱係数)を効率的に活用する方法を見出したことである。本発明に係るシェルの製造において,コスト効果の非常によい材料,すなわち,酸化カルシウム/水酸化カルシウム及び二酸化炭素を高価な二酸化チタンの代わりになるように使用することができる。
【0019】
紙及び板紙用途における二酸化チタンに関する他の問題は、保持品質がしばしば乏しいことにあり,かかる特性は本発明に係る製品を使用することによって改善される。その理由は,本製品が二酸化チタンよりも大きな粒径と低い密度を有するからである。より大きくより軽い粒子は,繊維ネットワーク中で一層容易に保持され,水とともに除去されない(機械的保持特性)。
【0020】
製造方法は単純で工業的に有用である。非常に高速で,炭酸塩化プロセスが非常に効率的である。炭酸塩シェルの発生が現場で起こり、この場合別のPCC製造が不要になる。上記方法を工業的規模で適用できる。本発明の好適な実施態様によれば,顔料組成物の製造を連続的に行う。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下に,本発明を詳細な説明及び添付図面の助けによってより詳しく説明する。
【0022】
【図1】図1a及び1bは本発明に従って製造した炭酸カルシウム−顔料粒子組成物の電子顕微鏡写真である。
【図2】本発明に係る沈殿反応装置の一つの線図的垂直断面図を例として示す。
【図3】図2に係る沈殿反応装置に装着するアトマイザーの線図的水平断面図を例として示す。
【図4】本発明による第二の沈殿反応装置の線図的垂直断面図を例として示す。
【図5】図4に係る沈殿反応装置のアトマイザーを例として線図的に示す。
【図6】本発明に係る一群の沈殿反応装置の線図的垂直断面図を例として示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1a及び1bは,本発明に従って製造され,炭酸カルシウム粒子によって包まれた二酸化チタン粒子を含む炭酸カルシウム−顔料製品の電子顕微鏡写真を示す。炭酸カルシウムは,炭酸塩化処理によって水酸化カルシウムから製造された粒子(すなわち,沈降炭酸カルシウム,PCC)からなる。図1a及び1bは,本発明の実施態様によれば,少なくとも一個の上記顔料粒子を少なくとも部分的に包むシェルを形成するように互いに結合するために,上記炭酸カルシウム粒子が典型的に炭酸塩化する様子を示す。分析に基づけば,シェルの厚さは平均で少なくとも約30nm,特には少なくとも約50nm,最も好適には約60〜500nmである。
【0024】
写真に基づけば,炭酸カルシウム粒子は主として形状が非球形である。典型的には,その外形は少なくとも大部分斜方晶又は菱面体晶である。該粒子は結晶質で,その結晶形は大部分カルサイト又はより少ない頻度でアルゴナイトである。
【0025】
図1a及び1bは,炭酸カルシウム粒子が顔料粒子を結合する多核炭酸カルシウム構造体を形成することを示す。本発明者らの試験は,炭酸カルシウム粒子と本写真では二酸化チタン粒子である顔料粒子が互いに強固に結合することを示す。炭酸カルシウム粒子の大部分(すなわち,50%超,典型的にはさらに90又は95%超)が,乾燥顔料組成物中及び顔料組成物の水性スラリー中の両方で,炭酸カルシウム結晶に結合したままである。
【0026】
炭酸カルシウム−顔料凝集体について用いる「安定な」という特性は,炭酸カルシウム−顔料凝集体を水中に分散しその後乾燥しても,又は逆もまた同様でこれらを粉末形態に乾燥しその後水に分散しても,凝集体の一部である顔料粒子の相当な割合が(少なくとも約50重量%,特には約75重量%,最も好適には少なくとも約90重量%)が炭酸カルシウム粒子に結合したままであることを意味する。
【0027】
不透明性とは,炭酸カルシウム−顔料凝集体が,実施態様において顔料の一部又は全部を置換する際に混合する中間剤に対し顔料として良好な不透明度を付与することを意味する。通常,この不透明度は関連する顔料と同程度(変動範囲は約10%)である。優れた不透明度は主として上述したことの結果である。すなわち,シェルで覆われる顔料粒子を最適な不透明度を生じる相互間距離で維持することが可能であり,またこれら粒子の保持が良好であり,中間剤中に均一に分布されることである
【0028】
炭酸カルシウム粒子で形成されたシェルが,部分的に又は全体的に,約1〜20個,特には約1〜10個,好適には1〜3個の顔料粒子を包む。図中,個々の二酸化チタン粒子を炭酸カルシウムから区別することは困難である。なぜなら,前者は完全に後者によって包まれているためである。炭酸カルシウム構造体を炭酸カルシウム粒子で形成し,他の粒子に結合するための炭酸塩化の前の当初の粒径は、平均で約20〜250nmである。炭酸カルシウム粒子が凝集する場合,それらは実質的に連続な表面を形成する。
【0029】
顔料粒子と炭酸カルシウム粒子との重量比は,約 90:10〜5:95,好適には約60:40〜5:95,特には約 40:60〜10:90である。図1a及び1bに係わる組成物は,顔料及び炭酸カルシウムの総量に対して二酸化チタンの量が平均で約18重量%,炭酸カルシウムの量が平均で約82重量%である場合を示す。
【0030】
製造に際して,最終顔料組成物中の炭酸カルシウムの割合が所定の重量百分率に対応するように炭酸塩化すべき水性スラリー中の水酸化カルシウム及び炭酸カルシウムの量を選択することによって,光散乱顔料と炭酸カルシウムとの重量比を所望の比率に調整する。
【0031】
顔料組成物は,顔料粒子及び炭酸カルシウム粒子以外にも,分散剤,表面改質剤及び安定化剤もしくはそれらの混合物のような他の成分を含むことができる。しかし,これらの総量は,上記組成物の総重量の最大で約20重量%,通常10%以下である。
【0032】
一般に、本発明に係る組成物は
・水酸化カルシウムを炭酸塩化して炭酸カルシウムを生成し,次に顔料組成物を生成するために顔料粒子を含む水酸化カルシウム含有水性スラリーを二酸化炭素含有ガス中に噴霧し,
・顔料組成物中の炭酸カルシウムの割合が所定の重量百分率に対応するように水性スラリー中の水酸化カルシウムの量を選択することによって製造される。
【0033】
本方法において,炭酸カルシウム粒子を水酸化カルシウム及び二酸化炭素から沈殿させて炭酸カルシウム粒子が顔料粒子の表面に結合し,他の炭酸カルシウム粒子に結合するために炭酸塩化し,この場合少なくとも部分的に炭酸カルシウム粒子で覆われた実質的に不透明で安定な顔料−炭酸カルシウム凝集体を形成する。
【0034】
好適には,二酸化チタン粒子を含む水酸化カルシウム含有水性スラリーは,少なくとも実質的に繊維を含まず,この場合沈殿すべき水酸化カルシウムを全て顔料粒子を被覆するのに利用できる。
【0035】
上記方法では,最終顔料組成物中の炭酸カルシウムの割合が所定の重量百分率に対応するように水性スラリー中の水酸化カルシウム及び炭酸カルシウムの量を選択することによって,顔料粒子と炭酸カルシウムとの重量比を所望の比率に調整できる。
【0036】
典型的には,顔料粒子を含む水酸化カルシウム含有水性スラリーを高エネルギー混合ゾーンに導き,ここで水性スラリーを滴状,さらに霧滴状に粉砕し,その後二酸化炭素含有ガス内に滴下する。実質的に全ての水酸化カルシウムが炭酸カルシウムに転換するまで炭酸塩化を継続する。
【0037】
図1a及び1bは、二酸化チタンを含む炭酸カルシウム組成物を示す。二酸化チタンの結晶形は,順にルチル又はアナターゼとすることができる。しかし、本発明に係る解決策は,水酸化アルミニウム,硫酸バリウム,カオリン,石膏,粉砕又は沈降炭酸カルシウム,チョークもしくはそれらの混合物のような他の光散乱及び/又は吸収顔料対し,かつまたプラスチック顔料及びファーネスブラックもしくはそれらの混合物のような有機顔料材料にも適している。
【0038】
本発明に係る方法において,炭酸カルシウムを含む顔料組成物を形成する目的で水酸化カルシウムを炭酸塩化するために,顔料粒子を含む水酸化カルシウム含有水性スラリーを二酸化炭素含有ガス内に滴下する。該方法を過剰の二酸化炭素中で行うのが好ましく,この場合炭酸カルシウムの形成がシステムに供給される水酸化カルシウムの量のみで制限される。これらの条件において,炭酸塩化を通常顔料スラリーのpHが実質的に中性になるまで継続する。酸を添加する必要はない。
【0039】
処理装置と同調するプロセスを図2〜6の助けにより詳細に以下に記載した。一般に,炭酸塩化を数段で実施することが有利であることがわかる。この場合,炭酸塩化に関連して水酸化カルシウム含有水性スラリーの二酸化炭素ガス内への噴霧により発生した水性スラリーを回収し,最も好適には更なる炭酸塩化にもたらす。
【0040】
一実施態様によれば,水性スラリーをもう一回二酸化炭素ガス内に噴霧することによって更に炭酸塩化する。もう一つの実施態様において,二酸化炭素ガスをスラリー内にバブリングすることによって更に炭酸塩化する。
【0041】
典型的には,水性スラリーが少なくとも一回噴霧を受けるように炭酸塩化を連続的に行う。次いで、顔料粒子を含む光散乱でかつ水酸化カルシウム含有水性スラリーを高エネルギー混合ゾーンに導き,ここで水性スラリーを滴状,さらに霧滴状に破砕し,その後二酸化炭素含有ガス内に滴下する。所要に応じて,分散剤,表面改質剤又は安定化剤もしくはそれらの混合物を製造中又は製造後に製造すべき顔料組成物に添加する。
【0042】
本質的には,全ての水酸化カルシウム含有水性スラリーを顔料粒子と一緒に炭酸塩化に添加できる。然もまた,水酸化カルシウム含有水性スラリーを炭酸塩化に徐々に及び数バッチで導入することが可能であり,この場合,最も好適には水酸化カルシウム含有水性スラリーの少なくとも一部が、炭酸塩化に供給される場合に顔料を含まない。
【0043】
一実施態様によれば,顔料を徐々に添加して,できる限り水酸化カルシウムから分離する。
【0044】
当該方法を一般に約30〜100℃,特には約50〜80℃の温度で行う。
【0045】
以下において,図に示した用途をより綿密に説明する。
【0046】
図2は,本発明に係る連続的に稼働する沈殿反応装置(10)を示す。該反応器は,沈殿容器(12),沈殿容器に組み込んだアトマイザー(14),二酸化チタン粒子を含む水酸化カルシウム含有水性スラリー用の供給パイプ(16),沈殿化ガス用の吸気パイプ(18)及び処理顔料組成物用の吐出パイプ(20)を備える。加えて,該装置はアクチュエーター(22)を備え,これはアクチュエーター(22)とアトマイザー(14)間に配置したベアリング及び封止組立体(24)を含む。
【0047】
水平部分を図3に示すアトマイザー(14)は貫流ミキサーであり,これは6個のブレード26a,26a’,26a”,28a,28a’,28a”を備えた同軸リング26,26’,26”,28,28’,28”を有する。本装置(14)において,二酸化チタン粒子を含む水酸化カルシウム含有水性スラリーを滴下して小粒子,液滴及び/又は固体粒子を形成する。アトマイザー中の滞留時間は短く,10秒未満,典型的には2秒未満,最も典型的にはさらに1秒未満である。
【0048】
図3の矢印が示すように,アトマイザーのリング26,26’,26”の一組が、図3の場合,反時計回りに回転するローターとして機能する。第一組のリング間に一つおきに配置した他の一組のリング28,28’,28”もローターとして機能するが,この場合これらは時計回りに回転する。両組のリング上に搭載したブレード26a,26a’,26a”及び28a,28a’,28a”は,装置の中を外側及び半径方向に移動する顔料組成物に遭遇し,該組成物を繰返し衝撃及び二重衝撃に曝すことになる。また,固定リングを有する装置,すなわちステーターを時計回り回転リングの各組間及び反時計回り回転リングの各組間に使用することにより,顔料粒子を含む水酸化カルシウム含有水性スラリーを滴下することも可能である。
【0049】
二酸化チタン粒子を含む水酸化カルシウム含有水性スラリーを,パイプ(16)を介してアトマイザーの中心部(30)へ供給し,ここからスラリーがローターのブレードの運動及び装置の中心と周縁間に生じた圧力差の結果として半径方向に外側で,外側リング(28”)の開口外側端(32)へ向けて移動する。所要に応じて,この水性スラリーをリング間の装置(14)にも供給できる。また,所望の場合,二酸化チタン粒子及び水酸化カルシウム含有水性スラリーをアトマイザー(14)内に別のパイプを介して供給することも可能であり,この場合二酸化チタン粒子を含む水酸化カルシウム含有水性スラリーの形成がこの時点よりも早いところで起きない。
【0050】
反対方向に回転するローターブレード回転の運動により発生した衝撃及び二重衝撃,せん断力,過小圧力及び過大圧力の両方の乱流及び脈動が,二酸化チタン粒子を含む水酸化カルシウム含有水性スラリーを微小な画分,液滴及び固体粒子にドリップする。また,同一方向だが大きく異なる速度で回転するローターを使用するか,もしくはローター・ステーターの組み合わせを使用することによって同一の効果をもたらすことも可能である。
【0051】
図2及び3に示した本発明に係る解決策においては,沈殿化ガスをパイプ(18)を介してアトマイザーのリングの中心部(30)へ導く。この中心部からガスが半径方向外側に流れ,その周囲のアトマイザー及び沈殿容器(12)の内に沈殿化ガスを含む気相空間(34)を生じる。かかるガスを,沈殿反応装置の頂部に設置したパイプ(21)を通して排出する。所望の場合,沈殿化ガスをアトマイザーのリング及び/又はリング間内に供給することが可能である。沈殿反応が、アトマイザーの気相空間内で既に開始する場合がある。
【0052】
アトマイザー(14)内で処理する場合,二酸化チタン粒子を含む水酸化カルシウム含有水性スラリーは,上記装置(14)から気相空間の周囲部分(34’)内へ分散する微細液滴及び粒子を生成する。微細液滴及び粒子はアトマイザー,主としてその外側リング領域から靄状の流れ(36)として強力に放出される。アトマイザーからの放出に続いて,微細液滴及び粒子が沈殿容器内に広く分散しながら比較的長い時間沈殿反応が続く。処理した繊維組成物が沈殿容器の底のプールに降下し、パイプ(20)を通して容器から排出される。
【0053】
沈殿容器(12)の適切な寸法,形状,幅及び高さを,アトマイザーから放出された液滴及び粒子が沈殿容器の気相空間(34’)内に最適な滞留時間留まることを確実にするように選択できる。例えば,沈殿容器(12)の高さを増してタワー状にすると,繊維組成物の滞留時間を増大する。また,沈殿反応装置(10)内の処理を,例えば,アトマイザー内のリング数,リング間距離,各リング上のブレード間距離ならびにブレード寸法及び位置を調整することによって制御することもできる。
【0054】
沈殿容器(12)の底部を介して排出した顔料組成物を同一沈殿反応装置に再循環するか,又は他の反応装置に供給して処理を終了することができる。
【0055】
アトマイザーを有する本発明に係る他の沈殿反応装置を示す図4及び5は,適用できる場合,図1及び2に示したのと同じ参照番号を使用する。本発明によれば、図4に示した他の沈殿反応装置(10)は,主として反応装置が密閉外側リングを装備したアトマイザー(14)を備え,沈殿反応装置がアトマイザーを超えて延在する別の沈殿領域を備えない点で図2及び3に示す装置と異なる。図4及び5に示す解決策は,例えば,沈殿反応がアトマイザーの気相空間内で所望の方法で既に完了すると考える場合,使用されるのに適する。
【0056】
図4及び5に示すアトマイザーにおいて,最外リング(28’)が該リングを封止するハウジング(40)によって包囲される。該ハウジングは,処理した繊維組成物を装置(14)から放出するための放出開口(42)を備える。更なる処理又は更なる加工のため,処理した繊維組成物を放出開口(42)からパイプを介して導くことができる。図4に示すように,沈殿反応装置から放出した材料を同一の反応装置に再循環するか、又は他の反応装置に導いて炭酸塩化を完了することもできる。
【0057】
図2及び4に示した両タイプの沈殿反応装置の2基以上を連続シリーズで配置できる。図6は連続シリーズで配置した3基の沈殿反応装置群を示す。第一反応装置は図4に示すタイプ,次の二基の反応装置は図2に示すタイプである。適用できる場合,上記図と同じ参照番号を使用する。
【0058】
図6は三基の沈殿反応装置10,10’及び10”を示し、この場合二酸化チタン粒子を含む水酸化カルシウム含有水性スラリーをCO2ガスで処理してCa2+イオンを炭酸塩化する,すなわちCaCO3を沈降させるようにする。二酸化チタン粒子を含む水酸化カルシウム含有水性スラリーを,パイプを介して第一沈殿反応装置(10)の頂部に導き,その中に二酸化炭素含有ガスもパイプ(18)を介して導く。部分的に炭酸塩化した顔料組成物を休止タンク(48)を介して第二沈殿反応装置(10’)に導く。パイプ(52)を通して処理すべき水性スラリー中に,第一沈殿反応装置の後も,沈殿させる水酸化カルシウムを添加できる。
【0059】
顔料組成物及び未沈殿の水酸化カルシウムを含む部分的に処理した水性スラリーを,休止タンク(48)から放出パイプを介して第二反応装置(10’)の供給パイプ(16)へ導き,その後底部へて第二沈殿反応装置のアトマイザー(14)へ導く。沈殿化ガス(18’),通常二酸化炭素を顔料組成物と共に装置(14)に導く。同様に,第二反応装置(10’)で処理した顔料組成物と、未沈殿水酸化カルシウムを含む水性スラリーとを,放出パイプ(20’)を介して第三反応装置(10”)の供給パイプ(16’)に導く。主として二酸化チタンと炭酸カルシウムとの重量比が所定値である予め処理した顔料組成物を第三反応装置(10”)の底部からパイプ(20”)によって除去する。
【0060】
最終反応装置で顔料組成物を仕上げする前の任意の処理段階で水酸化カルシウム又は炭酸カルシウムを添加できる。結合した炭酸カルシウム粒子の平均寸法は水酸化カルシウムの添加によって影響を受けうる。二酸化チタンと炭酸カルシウムとの所望の重量比率を達成するために,最終反応装置で顔料組成物を仕上げする前の任意の処理段階で二酸化チタンを添加することもできる。
【0061】
二酸化炭素含有ガスをパイプ18,18’,18”を通じて各反応装置に導く。二酸化炭素含有ガスを供給パイプ18を介して第一反応装置10に供給し,沈殿(炭酸塩化)を誘発する。生成する炭酸カルシウム粒子が二酸化チタン粒子上に沈殿し、またある程度まで炭酸カルシウム粒子が相互に沈殿する。沈殿反応(炭酸塩化)を完了するために,同一又は別の二酸化炭素含有ガスを第二及び第三沈殿反応装置10’,10”にパイプ18’,18”を介して導くことが可能である。ガスを反応装置から排気パイプ21,21’,21”を介して除去する。一般に、除去すべきガスは蒸気及び二酸化炭素を含む。かかるガスを処理のためにガス洗浄及び冷却装置(54)に導く。装置(54)において,処理した二酸化炭素含有ガスを沈殿反応装置に再循環する。
【0062】
製造した組成物は、二酸化チタンのような従来の顔料を現在用いるいくつかの用途に適している。数例を挙げると,
・顔料及び結合剤並びに塗料で用いる通常の製造材料及び添加剤を含む塗料組成物
・顔料及び結合剤並びに被覆材料で用いる通常の製造材料及び添加剤を含む被覆材料組成物
・顔料並びに充填材組成物で用いる通常の製造材料及び添加剤を含む充填材組成物
・熱可塑性ポリマーを含み、顔料及び場合によりポリマー組成物で用いる通常の製造材料及び添加剤を混合してなるポリマー組成物
・液相中で混合した顔料、結合剤及び場合により着色顔料並びに印刷インキ組成物で用いる通常の製造材料及び添加剤を含む印刷インキ組成物である。
【0063】
これらの全てにおいて,顔料の少なくとも1重量%,最も好適には少なくとも5重量%,特には約20重量%が上述した用途のいずれかによる炭酸カルシウム−顔料凝集体からなる。
【0064】
下記の限定されない例により,本発明を説明する。
【実施例】
【0065】
(例1)
(顔料粒子組成物の製造)
試験に用いた原料
1.乾燥物質含有量が約17%,T=60℃であるCa(OH)2水性スラリー
2.約50%の乾燥物質に水簸され,T=20℃である市販の二酸化チタン
3.T=20℃のCO2含有ガス。
本発明に係る方法において,沈殿後30/70の二酸化チタン/PCC質量比を生成する目的で,必要量のCa(OH)2スラリー及び二酸化チタンスラリーを図6に示す一群の沈殿反応装置中に供給することにより顔料粒子組成物を調製した。過剰量の二酸化炭素含有ガスも沈殿反応装置中に供給した。二酸化チタン粒子を含む水酸化カルシウムチタン含有水性スラリーを高エネルギー混合ゾーンに導くことにより,該スラリーを二酸化炭素含有ガス内で小滴に破砕した。
【0066】
部分的に処理した顔料組成物を第一沈殿反応装置から第二沈殿反応装置中に,更にそこから第三沈殿反応装置中に圧送し,そこから24%の乾燥物質の割合を有し、温度65℃の本発明に係る顔料粒子組成物を得た。第三沈殿反応装置後の顔料組成物のpHは6.9であった。すなわち,実質的に全てのCa(OH)2を炭酸カルシウムにして沈降した。顔料組成物の炭酸カルシウムの割合を滴定によって求めた。結果は所望どおり69.9%であった。
【0067】
(例2)
本発明に係る方法において,二酸化チタンと炭酸カルシウムの質量比が18/82である顔料組成物を調製した。該組成物の乾燥物質含有量を60%へ増やし,分散剤を添加し,それによって非常に流動的な顔料スラリーを得た。本製品を用いて,二酸化チタンの重量あたり50部を等価量の本発明に係る顔料組成物(乾燥物当たりの乾燥物量で計算した)で置換した以外他の成分を変えずに,完全に無光沢で高度に充填した(PVC>70%)プライマーを調製した。
【0068】
二酸化チタンは参照塗料の8.0重量%の割合をしめた。
【0069】
試験体は二酸化チタン4.0重量%及び本発明に係る顔料組成物4.0重量%からなっていた。このようにして調製した塗料の被覆力を測定し、下記の結果が得られた。
参照 96.3%
試験体 96.2%
【0070】
(例3)
例1の顔料組成物から遠心機を用いて水を除去し,分散剤を添加することで乾燥物質含有量60%の非常に流動的な顔料スラリーを得た。本製品を用いて,被覆ペーストの他の成分が影響されないように板紙に用いる二酸化チタンを置換した。参照ペーストは二酸化チタン4部及び炭酸カルシウム96部からなっていた。試験体1では二酸化チタンの半分を,試験体2では二酸化チタンの全部を本発明に係る顔料組成物によって置換した。かかるペーストを板紙上に12g/m2で塗布した。被覆層を溶解によって最終板紙から除去し,その後板紙の不透明度を測定した。下記の結果が得られた。
参照 78.4 %
試験体1 78.3%
試験体2 78.6%
【0071】
(例4)
紙中で充填材として用いる二酸化チタンを,製紙中に用いる他の成分を変性することなく,本発明に係る顔料組成物によって置換した。第二参照として,充填材として二酸化チタンと偏三角形体市販PCCの混合物を本発明に係る製品における二酸化チタンと炭酸カルシウムの比率と同一,すなわち30/70の比率で使用することにより紙を調製した。かかる紙の目付は60g/m2,充填材の割合は10%であった。このようにして調製した紙シートの不透明度を計測し,下記の結果が得られた。
参照1 85.5%
参照2 83.8%
試験体1 85.7%
【0072】
本発明は上記説明及び例に限定されない。その代わりに,特許請求の範囲で規定する範囲内で本発明が広く適用されるという意図である。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸カルシウム粒子の少なくとも一部を炭酸塩化して,それらが相互に結合して少なくとも一個の顔料粒子を含む炭酸カルシウム構造体を形成し,該炭酸カルシウム構造体が前記顔料粒子とともに実質的に不透明で安定な顔料−炭酸カルシウム凝集体を形成することを特徴とする炭酸カルシウム粒子及び顔料粒子を含む顔料粒子組成物。
【請求項2】
前記炭酸塩化して相互に結合する炭酸カルシウム粒子が、前記少なくとも一個の顔料粒子を少なくとも部分的に包むシェルを形成することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記炭酸カルシウム粒子が主に非球形であることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記炭酸カルシウム粒子が多核炭酸カルシウム構造体を形成し,これに顔料粒子が結合することを特徴とする前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記炭酸カルシウム粒子の結晶形がカルサイト又はアルゴナイトであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記炭酸カルシウム粒子の外形が少なくとも大部分斜方晶又は菱面体晶であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記炭酸カルシウム結晶が,乾燥顔料組成物及び顔料組成物の水性スラリーの両方で前記顔料粒子の少なくとも大部分,通常95%超に結合したままであるように,前記炭酸カルシウム結晶を前記顔料粒子の少なくとも大部分、通常95%超に結合することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記炭酸カルシウム粒子で形成したシェルが,部分的に又は全体的に,約1〜20個,特には約1〜10個,好適には1〜3個の顔料粒子を包むことを特徴とする前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記炭酸カルシウム構造体が、平均粒径が約20〜250nmである炭酸カルシウム粒子で形成されることを特徴とする前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記顔料組成物が,分散剤,表面改質剤及び安定化剤もしくはそれらの混合物などの他の成分を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記顔料粒子と炭酸カルシウム粒子との重量比が,約90:10〜5:95,好適には約60:40〜5:95,特には約40:60〜10:90であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
水酸化カルシウムを炭酸塩化して炭酸カルシウムを生成し,次に顔料組成物を生成するために顔料粒子を含む水酸化カルシウム含有水性スラリーを二酸化炭素含有ガス中に噴霧し,かつ
顔料組成物中の炭酸カルシウムの割合が所定の重量百分率と等価であるように水性スラリー中の水酸化カルシウムの量を選択することにより製造が可能であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
最終顔料組成物中の炭酸カルシウムの割合が所定の重量百分率に対応するように前記水酸化カルシウムの量及び前記水性スラリー中の炭酸カルシウムの量を選択することによって,前記顔料粒子と前記炭酸カルシウムとの重量比を所望の比率に調整することが可能であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記顔料粒子を含む水酸化カルシウム含有水性スラリーを高エネルギー混合ゾーンに導き,ここで前記水性スラリーを滴状,さらに霧滴状に破砕し,その後二酸化炭素含有ガス内に滴下することを特徴とする請求項12又は13に記載の組成物。
【請求項15】
前記炭酸塩化反応を,実質的に全ての水酸化カルシウムが炭酸カルシウムに転換するまで継続することを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記顔料粒子の水酸化カルシウム含有水性スラリーが少なくとも実質的に繊維を含まないことを特徴とする請求項14又は15に記載の組成物。
【請求項17】
前記顔料が二酸化チタン,水酸化アルミニウム,硫酸バリウム,カオリン,石膏,粉砕又は沈降炭酸カルシウム,チョークもしくはそれらの混合物などの光散乱及び/又は吸収顔料であるか,又はプラスチック顔料及びファーネスブラックもしくはそれらの混合物などの有機顔料材料であることを特徴とする前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記顔料粒子が酸化チタンであり、一部又は全部の二酸化チタンを炭酸カルシウムによって置換する用途では,10:90〜30:70の二酸化チタンと炭酸カルシウムの重量比率で組成物をもちいることにより達成し得る不透明度が,100%二酸化チタンのものに少なくとも近いものであることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記顔料粒子として用いる二酸化チタンの結晶形がルチル又はアナターゼであることを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記顔料粒子を前記炭酸カルシウム構造体によって相互に分離し,顔料粒子間の距離が平均で少なくとも約60nm,好適には少なくとも約100nm,最も好適には少なくとも約120nmになるようにすることを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
上記炭酸カルシウム構造体によって形成したシェルの厚さが平均で少なくとも約 30nm,特には少なくとも約50nm,最も好適には約60〜500nmであることを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
水酸化カルシウムを炭酸塩化して炭酸カルシウムを生成し,次に炭酸カルシウムを含む顔料組成物を生成するために顔料粒子を含む水酸化カルシウム含有水性スラリーを二酸化炭素含有ガス中に噴霧し,
顔料組成物中の炭酸カルシウムの割合が所定の重量百分率と等価であるように、前記水性スラリー中の水酸化カルシウムの量を選択し
相互に結合すべき炭酸カルシウム粒子を沈降するために,前記水酸化カルシウムを炭酸塩化し,該炭酸塩化を実質的に全ての水酸化カルシウムが炭酸カルシウムに転換するまで継続することを特徴とする前記顔料粒子を前記炭酸カルシウム粒子と組合わせることによる請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
【請求項23】
過剰量の二酸化炭素中で行うことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記炭酸塩化を、顔料スラリーのpH値が実質的に中性になるまで,好適には任意の別個の酸を添加することなく継続することを特徴とする請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記炭酸塩化を数段階で実施することを特徴とする請求項22〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記水酸化カルシウム含有水性スラリーの二酸化炭素ガス中への噴霧の結果で、かつまた炭酸塩化の結果である水性スラリーを回収し,更なる炭酸塩化に導くことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記水性スラリーを二酸化炭素ガス内にもう一回噴霧するか又は前記スラリーに二酸化炭素ガスをバブリングすることによって前記スラリーを更に炭酸塩化することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記水性スラリーを少なくとも一回滴下するように連続的に炭酸塩化を実施することを特徴とする請求項22〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記水酸化カルシウム含有水性スラリーの少なくとも実質的に全てを顔料粒子と共に炭酸塩化に添加することを特徴とする請求項22〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記水酸化カルシウム含有水性スラリーを数段階で前記炭酸塩化に添加することを特徴とする請求項22〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記水酸化カルシウム含有水性スラリーの少なくとも一部が、炭酸塩化に供給する際に顔料を含まないことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
最終顔料組成物中の炭酸カルシウムの割合が所定の重量百分率に対応するように,前記炭酸塩化の水性スラリー中の水酸化カルシウム及び炭酸カルシウムの量を選択することによって,前記光散乱顔料と炭酸カルシウムの重量比を所望の比率に調整することを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記顔料を徐々に添加し、場合により上記炭酸カルシウムから分離することを特徴とする請求項22〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記光散乱顔料粒子を含む水酸化カルシウム含有水性スラリーを高エネルギー混合ゾーンに導き,ここで前記スラリーを滴状,さらに霧滴状に破砕し,その後二酸化炭素含有ガス内に滴下することを特徴とする請求項22〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記混合ゾーンが,反対方向にもしくは同一方向だが大きな速度差で回転するローターブレードを用いるか,又はローター・ステーター組み合わせ体を用いることによって,顔料を含む水酸化カルシウム含有水性スラリーを微細粒子,液滴又は固体粒子もしくはそれらの混合物に滴下する少なくとも一台のインパクトミキサーを備えることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記水酸化カルシウムの水性スラリー中に,分散剤,表面改質剤又は安定化剤もしくはそれらの混合物を添加することを特徴とする請求項22〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
炭酸カルシウム粒子を沈殿させて,炭酸カルシウム粒子が二酸化チタン粒子の表面に結合し、炭酸塩化して他の炭酸カルシウム粒子に結合するようにし,ここで少なくとも部分的に炭酸カルシウム粒子で覆われた実質的に不透明で安定な二酸化チタン−炭酸カルシウム凝集体を生成することを特徴とする請求項22〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
約30〜100℃,典型的には50〜80℃の温度で実施することを特徴とする請求項22〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記チタン顔料粒子の水酸化カルシウム含有水性スラリーが少なくとも実質的に繊維を含まないことを特徴とする請求項22〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
顔料の少なくとも1重量%が請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物からなることを特徴とする顔料,結合剤,及び塗料に用いる通常の製造材料及び添加剤を含む塗料組成物。
【請求項41】
顔料の少なくとも1重量%が請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物からなることを特徴とする顔料,結合剤,及び被覆材料に用いる通常の製造材料及び添加剤を含む被覆材料組成物。
【請求項42】
顔料の少なくとも1重量%が請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物からなることを特徴とする顔料,及び充填組成物に用いる通常の製造材料及び添加剤を含む充填材組成物。
【請求項43】
顔料の少なくとも1重量%が請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物からなることを特徴とする前記顔料に混合した熱可塑性ポリマーと,場合によりポリマー組成物に用いる通常の製造材料及び添加剤とを含むポリマー組成物。
【請求項44】
顔料の少なくとも1重量%が請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物からなることを特徴とする液相で混合した顔料と、結合剤と、場合により印刷インキ組成物に用いる着色顔料並びに他の製造材料並びに添加剤とを含む印刷インキ組成物。
【請求項45】
顔料の少なくとも5重量%が請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物を含み,該組成物中の光散乱顔料が二酸化チタンであることを特徴とする請求項40〜44のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項46】
顔料の少なくとも20重量%が請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物を含み,該組成物中の光散乱顔料が二酸化チタンであることを特徴とする請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
塗料,紙又は板紙中の被覆材料組成物,紙又は板紙中の充填材組成物,プラスチック又は印刷インキにおける顔料としての請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項48】
前記光散乱顔料が二酸化チタンであることを特徴とする請求項47に記載の使用。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−517325(P2011−517325A)
【公表日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−549170(P2010−549170)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【国際出願番号】PCT/FI2009/050187
【国際公開番号】WO2009/109705
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(510240240)
【氏名又は名称原語表記】FP−PIGMENTS OY
【Fターム(参考)】