説明

顔料組成物およびそれを使用した着色組成物

【課題】
インクジェットインキなどの着色組成物用に好適に用いることのできる、鮮明性、着色力かつ保存時の分散安定性に優れる顔料組成物の提供。
【解決手段】
ナフトール系赤色顔料、特にC.I.PigmentRed31,147,150,185,245,269に対し0.05〜20.0重量%の色素誘導体、アントラキノン誘導体、トリアジン誘導体の少なくも一種類を加えることを特徴とする顔料組成物、及び該顔料組成部を用いたインクジェットインキなどの着色組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録などにおける記録剤として使用されるインクジェットインキ、カラートナーなどの製造に好適な顔料組成物に関する。さらに、この顔料組成物を用いた着色組成物、インクジェットインキに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のインクジェット印刷法は印刷版を使用しないこと、高速印字が可能であるなどの有用性から、産業分野のみならず一般消費者への普及が著しい。これら印刷に使用されるマゼンタ系の着色物の顔料としては例えば、溶性アゾ系顔料、不溶性アゾ系顔料、キナクリドン系顔料などがある。
このうち、耐光性が良好で鮮明であることなどから、色相が青味のマゼンタ色のC.I.Pigment Red 122或いは、色相が黄味なマゼンタ色のC.I.Pigment Violet 19が使用されているが事が多い。しかし、これらのキナクリドン構造の顔料は着色力が他の構造のマゼンタ顔料に比べて大きく劣り、その結果、印刷濃度が低いという問題点がある。更に、インキの分散安定性の問題から保存時に凝集、沈殿などが生じ、その結果、ヘッド部の目詰まりトラブルが発生するなどの問題が生じる事があり、インクジェットインキ用着色剤として充分に満足できるものではなかった。したがって、これらC.I.Pigment Red 122やC.I.Pigment Violet19の欠点を改善した、着色力が高く、鮮明性に優れ、かつ分散安定性に優れる着色顔料組成物、これを使用した印刷濃度、鮮明性、分散安定性に優れ、目詰まりトラブルが発生しないインクジェット用インキが求められていた。
【0003】
特に、ヘッド部のノズルの目詰まり現象は印刷工程で莫大な損害をもたらすため、非常に重要な問題である。インクジェットインキのノズルの目詰まりの原因としては、インクジェットインキ中の顔料分散安定性不良に起因する保存中の凝集と沈殿、または顔料中に存在する多価金属イオンが無機塩としてノズル部に結晶として析出することなどが上げられる。このため、顔料に要求される特性としては、インクジェット媒体中への保存時の分散安定性が優れると共に、多価金属などの無機物の含有量を低く制御する事などが要求される。このなかで、多価金属量に関してはイオン交換水による充分な水洗を行う事で対応できている。
また、インクジェットインキにおけるキナクリドン顔料の問題点である着色力不足、ノズルの目詰まりなどの改良として、他の構造のマゼンタ顔料、例えば、ナフトール系赤顔料を使用した文献がある。しかし、鮮明性、着色力の点では大幅に改善できたものの、保存時の分散安定性、ヘッド部の目詰まりに関しては充分に満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−186241
【特許文献2】特開2004−269607
【特許文献3】特開2005−200504
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、インクジェットインキなどの着色組成物用に好適に用いることのできる、鮮明性、着色力、及び保存時の分散安定性に問題のあるキナクリドン顔料に代わる、鮮明性、着色力かつ保存時の分散安定性に優れる顔料組成物を提供する事である。また、保存時の分散安定性を向上させて、印刷時のヘッド部のノズルへの目詰まり現象を生じない、かつ鮮明性、着色力に優れた溶剤系、水性のインクジェットインキを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は鋭意検討の結果、キナクリドン顔料に比べ、ナフトール系赤顔料の方が鮮明性、着色力が優れることを見出した。その中でもC.I.PigmentRed31、147、150、185、245、269が良好である事を見出した。しかし、鮮明性、着色力については優れる着色組成物が得られるものの保存時の分散安定性の問題に関しては解決されなかったが、ナフトール系赤色顔料に一般式(1)〜(3)であらわされる化合物を0.05〜20.0重量%加えた顔料組成物を使用して作成したインクジェットインキは水性、溶剤系の媒体中において優れた分散安定性を示し、凝集、沈殿が生ぜず、ヘッド部への目詰まりトラブルも発生せず、かつ着色力、鮮明性、に優れる事を見出し、本発明をなすに至った。
【0007】
即ち、本発明は、ナフトール系赤色顔料、及び下記の一般式(1)〜(3)であらわされる化合物を少なくとも一種類以上含むことを特徴とする顔料組成物に関する。
一般式(1)
【0008】
【化1】

( 式中、P は有機色素残基を表す。X1は、直接結合、−O− 、−S− 、−CO− 、−SO2− 、−NR1− 、−CONR1− 、−SO2NR1−、−N R1CO−、−NR1SO2−、炭素の数が1〜12個の直鎖または枝分かれしたアルキレン基、もしくはアルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかで置換されていてもよいベンゼン残基もしくはトリアジン残基、または、これら結合基が2個以上連結してなる結合基を表す( ここでR1は、水素原子、アルキル基、またはヒドロキシアルキル基を表す)。Y1は、−NR2R3、−SO3・M/n、または、−COO・M/nを表し、R2とR3は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、またはR2とR3とで一体となって窒素、酸素もしくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環基を表わし、M は水素イオン、1〜3価の金属イオン、または少なくとも1つがアルキル基で置換されているアンモニウムイオンを表し、nは、M の価数を表す。kは、1または2の整数を表し、mは、1〜4の整数を表す。)
一般式(2)
【0009】
【化2】

( 式中、Q はアルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいアントラキノン残基を表す。X2は、直接結合、−O− 、−S− 、−CO− 、−SO2− 、−NR1− 、−CONR1− 、−SO2NR1− 、−NR1CO− 、−NR1SO2−、炭素の数が1〜12個の直鎖または枝分かれしたアルキレン基、もしくはアルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかで置換されていてもよいベンゼン残基もしくはトリアジン残基、または、これら結合基が2個以上連結してなる結合基を表す( ここでR1は、水素原子、アルキル基、またはヒドロキシアルキル基を表す)。Y2は、−NR2R3、−SO3・M/n、または、−COO・M/n を表し、R2とR3は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、またはR2とR3とで一体となって窒素、酸素もしくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環基を表わし、Mは、水素イオン、1〜3価の金属イオン、または少なくとも1つがアルキル基で置換されているアンモニウムイオンを表し、nは、Mの価数を表す。kは、1または2の整数を表し、mは、1〜4の整数を表す。)
一般式(3)
【0010】
【化3】


( 式中、Rは、トリアジン残基を表す。X3からX5は、それぞれ独立に、直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NR1−、−CONR1−、−SO2NR1−、−NR1CO−、−NR1SO2−、炭素の数が1〜12個の直鎖または枝分かれしたアルキレン基、もしくは、アルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかで置換されていてもよいベンゼン残基、または、これら結合基が 2個以上連結してなる結合基を表す( ここでR1は、水素原子、アルキル基、またはヒドロキシアルキル基を表す)。
Y3は、−NR2R3、−SO3・M/n、または−COO・M/nを表し、R2とR3は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、またはR2とR3とで一体となって窒素、酸素もしくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環基を表し、Mは、水素イオン、1〜3価の金属イオン、または少なくとも1つがアルキル基で置換されているアンモニウムイオンを表し、nはMの価数を表す。Y4とY5は、それぞれ独立に、Y1と同じであるか、または、アルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、または置換されていてもよいフェニル基のいずれかを表す。p、q、rは、それぞれ独立に、1または2の整数を表す。)
また、本発明は、上記ナフトール系赤色顔料がC.I.Pigment Red 31、147、150、185、245および269から選ばれる少なくとも一種類である顔料組成物に関する。
【0011】
また、本発明は、上記一般式(1)〜(3)であらわされる化合物の含有量が0.05〜20.0重量%である顔料組成物に関する。
また、本発明は、上記顔料組成物を含有する着色組成物に関する。
更に、本発明は、上記顔料組成物を含有するインクジェットインキに関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、鮮明性、着色力かつ分散安定性に優れる顔料組成物を提供する事ができる。また、本発明によれば、また保存時の分散安定性を向上させて、印刷時のヘッド部のノズルへの目詰まり現象を生じない、かつ鮮明性、着色力に優れた、溶剤系、水性のインクジェットインキなどの着色組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明におけるナフトール系赤色顔料とは、3−アミノ−4−メトキシベンズアニリドなどの芳香族アミン、或いはその誘導体のジアゾ化物をジアゾ成分とし、3−ヒドロキシ−N−フェニル−2−ナフトアミド、或いはその誘導体、または3−ヒドロキシ−2−ナフトアミド、或いはその誘導体などをカップラー成分としカップリングして得られる不溶性モノアゾ顔料である。本発明に適したナフトール系赤顔料としては、例えば、C.I.PigmentRed3,5,8,10,12,17,22,23,31,32,112,114,144,146,147,150,170,175,176,184,185,188,208,214,221、245,268,269などが挙げられる。更に色相および鮮明性の観点から、C.I.PigmentRed31、147、150、185、245、269などが好ましい。
【0014】
本発明で用いられるナフトール系赤色顔料は公知の方法で製造することができる。具体的には、芳香族アミンを酸性下でジアゾ化した溶液、或いは懸濁液をジアゾ成分とし、ベータナフトール誘導体のアルカリ水溶液、或いは懸濁液をカップラー成分とし、カップラー成分にジアゾ成分を注入する正カップリング法、ジアゾ成分中にカップラー成分を加える逆カップリング法のどちらでも合成できる。必要に応じて、ロジン処理、活性剤処理、分散剤処理などを行っても良く、加熱ろ過時のpH、加熱温度も特に制限されない。また、顔料に含まれる金属イオンを除去するためにイオン交換水や精製水、有機溶剤などで充分に洗浄したほうが好ましい。
顔料の凝集を防ぐには顔料の一次粒子が大きい方が望ましいが、一次粒子が大きすぎると鮮明性、濃度などが低下する現象を伴い、インクジェットインキの鮮明性、色再現性、階調性などの品質に影響する。一次粒子は細かすぎても粘度、隠蔽製、耐光性などにも悪影響を及ぼす。本発明において特に制限されることはないが、最適な一次粒子径としては30〜100nm程度である。
【0015】
本発明に用いられる一般式(1)であらわされる化合物である有機色素誘導体を形成する有機色素としては、例えば、ジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、金属錯体系色素等が挙げられる。したがって、一般式(1)における有機色素残基とは、これらの有機色素から水素原子がm個脱離して得られる基を意味する(ここで、mは、1〜4の整数を表す)。一般式(2)であらわされる化合物であるアントラキノン誘導体を形成するアントラキノンとしては、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基またはメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基または塩素等のハロゲン等の置換基を有していてもよいアントラキノン誘導体が挙げられる。したがって、一般式(2)におけるアントラキノン残基とは、これらのアントラキノン誘導体から水素原子がm個脱離して得られる基を意味する(ここで、mは、1〜4の整数を表す)。一般式(3)であらわされる化合物であるトリアジン誘導体を形成するトリアジンとしては、例えば、1,3,5−トリアジン誘導体が挙げられる。したがって、一般式(3)におけるトリアジン残基とは、これらトリアジン誘導体から水素原子が脱離して得られる基を意味する。
【0016】
本発明の一般式(1)であらわされる有機色素誘導体、一般式(2)であらわされるアントラキノン誘導体および一般式(3)であらわされるトリアジン誘導体は、上記の有機色素、アントラキノンおよびトリアジンに特定の置換基を導入した有機化合物であって、ここでいう置換基としては、例えば、カルバモイル基、スルファモイル基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、ドデシルアミノ基、オクタデシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジメチルアミノプロピルアミノ基、ジエチルアミノプロピルアミノ基、ジエチルアミノエチルアミノ基、ジブチルアミノプロピルアミノ基、ピペリジノメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジブチルアミノメチル基、( 4 , 6 − ビス( ジエチルアミノプロピルアミノ) − 1 ,3 , 5 − トリアジン) − 2 − イル基、( 4 , 6 − ビス( ジエチルアミノプロピルアミノ)− 1 , 3 , 5 − トリアジン) − 2 − イルアミノ基、( 4 − ( ジエチルアミノプロピルアミノ) − 6 − ヒドロキシ− 1 , 3 , 5 − トリアジン) − 2 − イルアミノ基、ジメチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジエチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジブチルアミノプロピルアミノスルホニル基、モルホリノエチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノプロピルアミノカルボニル基、4 − ( ジエチルアミノプロピルアミノカルボニル) フェニルアミノカルボニル基、ジメチルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジエチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジブチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、スルホン酸基、ナトリウムスルホナト基、カルシウムスルホナト基、ストロンチウムスルホナト基、バリウムスルホナト基、アルミニウムスルホナト基、4 − ( アルミニウムスルホナト) フェニルカルバモイルメチル基、ドデシルアンモニオスルホナト基、オクタデシルアンモニオスルホナト基、トリメチルオクタデシルアンモニオスルホナト基、ジメチルジデシルアンモニオスルホナト基、カルボン酸基、2 −アルミニウムカルボキシラト− 5 − ニトロベンズアミドメチル基などがあげられる。また、一般式( 3 )で示されるトリアジン誘導体においては、必須の形成要素である上記の置換基に加えて、例えば、水酸基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、4 − ニトロフェニルアミノ基、4 − ベンズアミノフェニルアミノ基、4 − アミノフェノキシ基などがあげられる。
【0017】
本発明の一般式(1) であらわされる有機色素誘導体、一般式(2) であらわされるアントラキノン誘導体および一般式(3) であらわされるトリアジン誘導体は、例えば、特公昭3 9 − 28 8 8 4 、特開昭5 1 − 1 8 7 3 6 、5 4 − 6 2 2 2 7 、5 6 − 3 2 5 4 9 、5 6 − 8 13 7 1 、5 6 − 1 1 8 4 6 2 、5 6 − 1 6 6 2 6 6 、5 9 − 9 6 1 7 5 、6 0 − 8 8 1 85 、6 0 − 9 8 5 2 5 、6 3 − 3 0 5 1 7 3 、特開平0 3 − 2 6 7 6 7 、1 1 − 1 9 9 79 6 に記載の方法で製造できる。
【0018】
本発明において、ナフトール系赤色顔料への一般式(1)〜(3)であらわされる化合物の添加、混合方法は、特に制限されることはなく、ドライブレンド法でもスラリーブレンド法であっても良い。
【0019】
本発明において、一般式(1)〜(3)であらわされる化合物の含有量は、顔料組成物中0.05〜20.0重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜10.0重量%である。含有量が0.05重量%未満では、十分な効果が得られない。また、20.0重量%を超える場合には、着色組成物の特性において不具合を生じることがあり、例えば、粘度が高くなったり、ブリードといった問題が生じたりすることがある。
【0020】
本発明における顔料組成物を含んでなる着色組成物とは、例えば、印刷インキ、プラスチック、塗料、電子写真用トナー、インクジェットインキ、カラーフィルター用レジスト、電子ペーパー等が挙げられる。
本発明の着色組成物は公知の方法で製造することができ、とくに制限されない。
【0021】
本発明のインクジェットインキについて説明する。本発明による顔料組成物は、インクジェットインキに好適に使用することができる。インクジェットインキは、水性(ミクロエマルジョンインクを含む)インキ、非水性(溶剤系)インキ、UV硬化性インキのみならず、ホットメルトインキも含まれる。
水性インクジェットインキには、通常、着色組成物の被印刷物への定着性を付与するために樹脂を用いる。この樹脂は、水にて溶解する水溶解性の樹脂ないし水に分散した水分散性の樹脂がそれぞれ単独ないし混合して用いられる。このような樹脂としては、アクリル系、スチレン─アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系等の水に溶解する水溶解性の樹脂および水に分散性の樹脂が挙げられる。これらの樹脂は,インクジェットインキ中に0.5〜10重量%、好ましくは、1〜5重量%用いる。この量よりも少ないと十分な着色組成物の定着ができない。また、この量よりも多くなると、インクジェットインキの吐出安定性を低下させることがある。
【0022】
なお、水溶解性の樹脂ではインクジェットインキの粘度を高くする傾向があるが、水分散性の樹脂では粘度を低く抑えることができ、また、印刷物の耐水性において強固な耐水性が得られる。これらの樹脂は、必要に応じ、アンモニウム、アミン、無機アルカリ等の中和剤を適宜調整して加えることができる。また、インクジェットインキのノズル部分での乾燥、インクジェットインキの固化を防止し、安定なインクジェットインキの噴射およびノズルの経時での乾燥を防止するために、通常、水性溶剤が用いられる。このような水性溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ケトンアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1,2─ヘキサンジオール、N−メチル─2─ピロリドン、置換ピロリドン、2,4,6─ヘキサントリオール、テトラフルフリルアルコール、4─メトキシ─4メチルペンタノンなどが挙げられる。また、インクジェットインキの紙での乾燥を速める目的においては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類も用いることができる。これらの水性溶剤は、単独ないし混合してインクジェットインキの1〜50重量%の範囲にて用いる。インクジェットインキの媒体である水は、好ましくは金属イオン等を除去したイオン交換水ないし蒸留水を用いる。インクジェットインキの被印刷体が紙のようなときには、紙へのインクジェットインキの浸透をはやめ見掛けの乾燥性を早くするため浸透剤を加えることができる。このような浸透剤としては、水性溶剤として記述したジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル、アルキレングリコール、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等を用いることができる。これらは、インクジェットインキの5重量%以下の使用量で十分な効果があり、これよりも多いと印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こし好ましくなくなる。
【0023】
インクジェットインキへの黴の発生を防止する目的で、防黴剤が好適に用いられ、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン─1─オキサイド、ジンクピリジンチオン─1─オキサイド、1,2─ベンズイソチアゾリン─3─オン、1─ベンズイソチアゾリン─3─オンのアミン塩等が用いられる。これらは、インクジェットインキの0.05〜1.0重量%程度の量を用いる。インクジェットインキ中の金属イオンを封鎖し、ノズル部での金属の析出や記録液中で不溶解性物の析出等を防止する目的で、キレート剤が好適に用いられ、例えば、エチレンジアミンテトラアセティックアシド、エチレンジアミンテトラアセティックアシドのナトリウム塩,エチレンジアミンテトラアセティックアシドのジアンモニウム塩、エチレンジアミンテトラアセティックアシドのテトラアンモニウム塩等を0.005〜0.5重量%用いる。
【0024】
また、インクジェットインキのpHを所望のpHに調整し、インクジェットインキの安定ないし、記録装置中のインクジェットインキ配管との安定性を得るため、アミン、無機塩、アンモニア等の調整剤、リン酸等の緩衝液を用いることができる。また、記録液の循環、あるいは、移動、また、記録液の製造時の泡の発生を防止するため消泡剤を添加することもできる。顔料の分散を良くするため、下記のような界面活性剤を加えて用いることもできる。このような界面活性剤としては、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両イオン性活性剤を用いることができる。アニオン性活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩,アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル等が挙げられる。非イオン性活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、フッ素系、シリコン系等が挙げられる。カチオン性活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩等を例示できる。両イオン性活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド、ホスファジルコリン等が例示できる。その他の添加剤として、尿素、ジメチル尿素等を加えることもできる。
【0025】
水性インクジェットインキの中でも、ミクロエマルジョンインキは、有機溶媒、水、およびそれらの界面媒介物として作用する物質(界面活性剤)を含むものである。ミクロエマルジョンインキには、通常、0.5重量%から30重量%、好ましくは1重量%から15重量%の本発明の顔料組成物、0.5重量%から95重量%の水、ならびに0.5重量%から95重量%の有機溶媒及び/又は界面活性剤が含有される。
【0026】
溶剤系インクジェットインキには、通常、着色剤の被印刷物への定着性を付与するために樹脂を用いる。使用できる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン− アクリル系樹脂、スチレン− マレイン酸系樹脂、ロジン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、エチレン− 酢ビ系樹脂、石油樹脂、クマロンインデン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、塩酢ビ系樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂等が挙げられる。
【0027】
また、顔料及び顔料組成物の分散安定を高める目的で、通常、分散剤が好適に用いられる。このような分散剤としては、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート等が挙げられる。
【0028】
溶媒として用いる有機溶剤の代表例としては以下のようなものがある。エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノエチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、プロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート等のグリコールモノアセテート類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールアセテートプロピオネート、エチレングリコールアセテートブチレート、エチレングリコールプロピオネートブチレート、エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールアセテートジブチレート、ジエチレングリコールアセテートプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールプロピオネートブチレート、ジエチレングリコールジプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートジブチレート、プロピレングリコールアセテートプロピオネート、プロピレングリコールアセテートブチレート、プロピレングリコールプロピオネートブチレート、プロピレングリコールジプロピオネート、プロピレングリコールアセテートジブチレート、ジプロピレングリコールアセテートプロピオネート、ジプロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールプロピオネートブチレート、ジプロピレングリコールジプロピオネート、ジプロピレングリコールアセテートジブチレート等のグリコールジアセテート類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールn − プロピルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸− n − プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸− n − ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチル乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチル− n-プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル− n-ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル− n-アミルケトン、メチルイソアミルケトン、ジエチルケトン、エチル− n-プロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、エチル− n-ブチルケトン、エチルイソブチルケトン、ジ− n-プロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、n − ヘキサン、イソヘキサン、n− ノナン、イソノナン、ドデカン、イソドデカン等の飽和炭水素類、1 − ヘキセン、1 −ヘプテン、1 − オクテン等の不飽和炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、デカリン等の環状飽和炭化水素類、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、1,1 , 3 , 5 , 7 − シクロオクタテトラエン、シクロドデセン等の環状不飽和炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
【0029】
また、溶剤系インクジェットインキには、更なる添加物が含まれてよく、例えば、湿潤剤、脱ガス剤/脱泡剤、保存剤及び酸化防止剤などが挙げられる。
UV硬化性インクジェットインキには、通常、0.5重量%から30重量%の本発明の顔料組成物、0.5重量%から95重量%の水、0.5重量%から95重量%の有機溶媒又は溶媒混合物、0.5重量%から50重量%の放射線硬化性バインダー及び適切な場合に、0重量%から10重量%の光開始剤が含まれる。
【0030】
ホットメルトインクジェットインキは、通常、室温で固体であり、加熱すると液化するワックス、脂肪酸、脂肪アルコール又はスルホンアミドをベースにしており、好ましい溶融範囲は、約60から約140℃である。このホットメルトインクジェットインキは、20重量%から90重量%のワックスと1重量%から10重量%の本発明の顔料組成物からなる。これらには、更に、0重量%から20重量%の追加のポリマー、0重量%から5重量%の分散剤、0重量%から20重量%の粘度調節剤、0重量%から20重量%の可塑剤、0重量%から10重量%の粘着付与添加物、0重量%から10重量%の透明性安定剤(例えば、ワックスの結晶化を防止する)及びまた0重量%から2重量%の酸化防止剤が含有されていてもよい。
【0031】
本発明のインクジェットインキは公知の方法で製造することができ、とくに制限されない。例えば、顔料組成物、分散剤、樹脂、溶媒を混合し、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機等にて分散する。あるいは、二本ロールミルやニーダーなどにてあらかじめ良く混練したのち,上記サンドミル等にてさらに分散し、適宜溶媒等にて希釈、他の添加剤等を混合し、更にフィルターなどのろ過を行うことによりインクジェットインキを製造することができる。混合は、通常の羽を用いた攪拌機による攪拌のほか、高速の分散機、乳化機等により行うことができる。フィルターによるろ過は、希釈の前あるいは、後で孔径1μ以下のフィルター、好ましくは、0.65μ以下のフィルターにて十分にろ過することが望ましい。フィルターのろ過に先立って、遠心分離によるろ過を用いこともできる。
【0032】
以下に製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。以下の各例において部とは、特に断りに無いかぎり重量部を示す。
【0033】
製造例1〜6
ナフトール系赤色顔料の製造方法
製造例1 (Red31の製造例)
3−アミノ−4−メトキシベンズアニリド25.0部を水500.0部に分散させ、氷を加えて温度5℃に調整し、35%塩酸水溶液30.0部を加えて1時間攪拌後、亜硝酸ナトリウム7.1部を水22部に加えて調整した水溶液を添加して1時間攪拌した。スルファミン酸1部を加えて過剰の亜硝酸を消去した後、酢酸ナトリウム25.0部、80%酢酸17.0部、水165部からなる水溶液を加えて、ジアゾニウム塩水溶液とした。
一方、N−(3−ニトロフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ナフトアミド32.7部、25%水酸化ナトリウム水溶液35.0部を水400部に80℃で溶解させ、カップラー溶液とした。
この溶液を上記のジアゾニウム塩の5℃溶液に20分かけて注入し、カップリング反応を行った。この時のpHは4.5であった。1時間攪拌して、ジアゾニウム塩の消失を確認後、70℃に加熱し、濾過、水洗を行い、更にイオン交換水で充分に市水を置換させてからC.I.Pigment Red 31を含有するプレスケーキを得た。更にこのプレスケーキを、90℃で18時間乾燥後、粉砕して、C.I.Pigment Red 31を含有する組成物56.0部を得た。
【0034】
製造例2 (Red147の製造例)
3−アミノ−4−メトキシベンズアニリド25.0部を水500.0部に分散させ、氷を加えて温度5℃に調整し、35%塩酸水溶液30.0部を加えて1時間攪拌後、亜硝酸ナトリウム7.1部を水22部に加えて調整した水溶液を添加して1時間攪拌した。スルファミン酸1部を加えて過剰の亜硝酸を消去した後、酢酸ナトリウム20.7部、酢酸1.8部、水165部からなる水溶液を加えて、ジアゾニウム塩水溶液とした。
一方、N−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ナフトアミド32.7部、25%水酸化ナトリウム水溶液34.5部を水414部に80℃で溶解させ、カップラー溶液とした。
この溶液を上記のジアゾニウム塩の5℃溶液に20分かけて注入し、カップリング反応を行った。この時のpHは4.5であった。1時間攪拌して、ジアゾニウム塩の消失を確認後、70℃に加熱し、濾過、水洗を行い、更にイオン交換水で充分に市水を置換させてからC.I.Pigment Red 147を含有するプレスケーキを得た。更にこのプレスケーキを、90℃で18時間乾燥後、粉砕して、C.I.Pigment Red 147を含有する組成物56.5部を得た。
【0035】
製造例3 (Red150の製造例)
3−アミノ−4−メトキシベンズアニリド25.0部を水500.0部に分散させ、氷を加えて温度5℃に調整し、35%塩酸水溶液30.0部を加えて1時間攪拌後、亜硝酸ナトリウム7.1部を水22部に加えて調整した水溶液を添加して1時間攪拌した。スルファミン酸1部を加えて過剰の亜硝酸を消去した後、酢酸ナトリウム20.7部、酢酸1.8部、水165部からなる水溶液を加えて、ジアゾニウム塩水溶液とした。
一方、3−ヒドロキシ−2−ナフトアミド19.5部、25%水酸化ナトリウム水溶液31.8部を水414部に25℃で溶解させ、カップラー溶液とした。
この溶液を上記のジアゾニウム塩の5℃溶液に20分かけて注入し、カップリング反応を行った。この時のpHは4.5であった。1時間攪拌して、ジアゾニウム塩の消失を確認後、70℃に加熱し、濾過、水洗を行い、更にイオン交換水で充分に市水を置換させてからC.I.Pigment Red 150を含有するプレスケーキを得た。更にこのプレスケーキを、90℃で18時間乾燥後、粉砕して、C.I.Pigment Red 150を含有する組成物42.7部を得た。
【0036】
製造例4 (Red185の製造例)
4−アミノ−3−メトキシ−6,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド23.0部を水500.0部に分散させ、氷を加えて温度5℃に調整し、35%塩酸水溶液30.0部を加えて1時間攪拌後、亜硝酸ナトリウム7.1部を水22部に加えて調整した水溶液を添加して1時間攪拌した。スルファミン酸1部を加えて過剰の亜硝酸を消去した後、酢酸ナトリウム20.7部、酢酸1.8部、水165部からなる水溶液を加えて、ジアゾニウム塩水溶液とした。
一方、5−(3−ヒドロキシ−2−ナフトイルアミノ)−2,3ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オン31.7部、25%水酸化ナトリウム水溶液31.8部を水414部に25℃で溶解させ、カップラー溶液とした。
この溶液を上記のジアゾニウム塩の5℃溶液に20分かけて注入し、カップリング反応を行った。この時のpHは4.5であった。1時間攪拌して、ジアゾニウム塩の消失を確認後、70℃に加熱し、濾過、水洗を行い、更にイオン交換水で充分に市水を置換させてからC.I.Pigment Red 185を含有するプレスケーキを得た。更にこのプレスケーキを、90℃で18時間乾燥後、粉砕して、C.I.Pigment Red 185を含有する組成物54.2部を得た。
【0037】
製造例5 (Red245の製造例)
3−アミノ−4−メトキシベンズアミド25.0部を水500.0部に分散させ、氷を加えて温度5℃に調整し、35%塩酸水溶液30.0部を加えて1時間攪拌後、亜硝酸ナトリウム7.1部を水22部に加えて調整した水溶液を添加して1時間攪拌した。スルファミン酸1部を加えて過剰の亜硝酸を消去した後、酢酸ナトリウム20.7部、酢酸1.8部、水165部からなる水溶液を加えて、ジアゾニウム塩水溶液とした。
一方、3−ヒドロキシ−N−フェニル−2−ナフトアミド27.3部、25%水酸化ナトリウム水溶液34.5部を水414部に80℃で溶解させ、カップラー溶液とした。
この溶液を上記のジアゾニウム塩の5℃溶液に20分かけて注入し、カップリング反応を行った。この時のpHは4.5であった。1時間攪拌して、ジアゾニウム塩の消失を確認後、70℃に加熱し、濾過、水洗を行い、更にイオン交換水で充分に市水を置換させてからC.I.Pigment Red245を含有するプレスケーキを得た。更にこのプレスケーキを、90℃で18時間乾燥後、粉砕して、C.I.Pigment Red 245を含有する組成物42.5部を得た。
【0038】
製造例6 (Red269の製造例)
3−アミノ−4−メトキシベンズアニリド25.0部を水500.0部に分散させ、氷を加えて温度5℃に調整し、35%塩酸水溶液30.0部を加えて1時間攪拌後、亜硝酸ナトリウム7.1部を水22部に加えて調整した水溶液を添加して1時間攪拌した。スルファミン酸1部を加えて過剰の亜硝酸を消去した後、酢酸ナトリウム25.0部、80%酢酸17.0部、水165部からなる水溶液を加えて、ジアゾニウム塩水溶液とした。
一方、N−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ナフトアミド34.5部、25%水酸化ナトリウム水溶液50.0部を水400部に90℃で溶解させ、カップラー溶液とした。
この溶液を上記のジアゾニウム塩の0℃溶液に20分かけて注入し、カップリング反応を行った。この時のpHは4.5であった。1時間攪拌して、ジアゾニウム塩の消失を確認後、70℃に加熱し、濾過、水洗を行い、更にイオン交換水で充分に市水を置換させてからC.I.Pigment Red 269を含有するプレスケーキを得た。更にこのプレスケーキを、90℃で18時間乾燥後、粉砕して、C.I.Pigment Red 269を含有する組成物58.0部を得た。
【0039】
製造例7〜14
一般式(1)〜(3)に該当する化合物の製造方法
製造例7(アントラキノン系、酸性タイプ)
水1000部に水酸化ナトリウム8.4部およびスルファニル酸36.4部を加えて溶解させ、アントラキノン−2−カルボニルクロリド54.1部を徐々に加えて、60℃で3時間アミド化反応させた。次いで、25%硫酸アルミニウム水溶液274部を加えて室温で1時間保持し、濾過、水洗して、80℃で乾燥させて化合物(10)74.8部を得た。
【0040】
化合物(10)

【0041】
製造例8(ナフトール、酸性タイプ)
水500部にスルファニル酸34.6部を加えて分散させ、次いで、35%塩酸81.3部、氷300部および亜硝酸ナトリウム14.1部を加え、1時間ジアゾ化反応させた後にスルファミン酸0.5部を加えてジアゾニウム溶液を調製した。これとは別に、水1000部に水酸化ナトリウム28.8部、炭酸ナトリウム29.7部および3−ヒドロキシ−2−ナフトアミド37.4部を加えて溶解させ、カップラー溶液を調製した。次いで、このカップラー溶液にジアゾニウム溶液を徐々に加えてカップリング反応を行い、1時間後に、pH3になるまで35%塩酸を徐々に加え、濾過、水洗し、80℃で乾燥させて化合物(11)70.6部を得た。
【0042】
化合物(11)

【0043】
製造例9(キナクリドン、酸性タイプ)
濃硫酸300部にC.I.Pigment Violet 19 31.2部を徐々に加えて溶解させ、70℃で3時間スルホン化反応を行い、次いで、氷水3000部に注入し、濾過、水洗し、80℃で乾燥させて化合物(12)38.5部を得た。
化合物(12)

【0044】
製造例10(アゾレーキ、酸性タイプ)
水500部に水酸化ナトリウム8.0部および5−アミノ−2−メチルベンゼンスルホン酸37.4部を加えて溶解させ、次いで、35%塩酸45.8部、氷300部および亜硝酸ナトリウム14.1部を加え、1時間ジアゾ化反応させた後にスルファミン酸0.5部を加えてジアゾニウム溶液を調製した。これとは別に、水1000部に水酸化ナトリウム16.0部、炭酸ナトリウム5.3部および3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸37.6部を加えて溶解させ、カップラー溶液を調製した。次いで、このカップラー溶液にジアゾニウム溶液を徐々に加えてカップリング反応を行い、1時間後に80℃に加熱し、塩化ストロンチウム六水和物107部を加え、濾過、水洗し、80℃で乾燥させて化合物(13)93.7部を得た。
化合物(13)

【0045】
製造例11(キナクリドン、塩基性タイプ)
クロロスルホン酸300部にC.I.Pigment Violet 19 31.2部を徐々に加えて溶解させ、75℃で2時間クロロスルホン化反応を行い、氷水3000部に注入し、濾過、水洗し、クロロスルホン化物の水ペーストを得た。次いで、水1000部にこの水ペーストを分散させ、ジエチルアミノプロピルアミン52.1部を加えて80℃で1時間アミド化反応を行い、濾過、水洗し、80℃で乾燥させて化合物(14)49.4部を得た。
化合物(14)

【0046】
製造例12(ナフトール、塩基性タイプ)
水600部に3−アミノ−4−メトキシベンズアニリド48.5部を分散させ、次いで、35%塩酸81.3部、氷400部および亜硝酸ナトリウム14.1部を加え、1時間ジアゾ化反応させた後にスルファミン酸0.5部を加えてジアゾニウム溶液を調製した。これとは別に、水2000部に水酸化ナトリウム28.8部、炭酸ナトリウム29.7部およびN−ジエチルアミノプロピル−3−ヒドロキシ−2−ナフトアミド60.1部を加えて溶解させ、カップラー溶液を調製した。次いで、このカップラー溶液にジアゾニウム溶液を徐々に加えてカップリング反応を行い、濾過、水洗し、80℃で乾燥させて化合物(15)105.2部を得た。
化合物(15)


【0047】
製造例13(トリアジン、塩基性タイプ)
メタノール300部および水90部の混合溶液に、塩化シアヌル36.9部を分散させ、p−アミノアセトアニリド30.0部を徐々に加えてアミド化反応させた。次いで、水酸化ナトリウム8.0部およびジブチルアミノプロピルアミン37.3部を加え、75℃で2時間アミド化反応を行った。さらに、35%塩酸195.8部を加えて、メタノールを留去しながら100℃まで加熱して加水分解反応を行い、冷却後に、水酸化ナトリウム77.6部を加えて、濾過、水洗し、80℃で乾燥させて化合物(16)69.7部を得た。
化合物(16)


【0048】
製造例14(モノアゾ、塩基性タイプ)
水600部に35%塩酸81.3部およびN−ジメチルアミノプロピル−4−アミノベンゼンスルホアミド51.5部を加えて溶解させ、次いで、氷400部および亜硝酸ナトリウム14.1部を加え、1時間ジアゾ化反応させた後にスルファミン酸0.5部を加えてジアゾニウム溶液を調製した。これとは別に、水2000部に水酸化ナトリウム28.8部、炭酸ナトリウム29.7部および3−ヒドロキシ−2−ナフトアミド37.4部を加えて溶解させ、カップラー溶液を調製した。次いで、このカップラー溶液にジアゾニウム溶液を徐々に加えてカップリング反応を行い、濾過、水洗し、80℃で乾燥させて化合物(17)86.5部を得た。極性基の置換基数は1.0であった。
化合物(17)

【0049】
溶剤系インクジェットインキの製造例(1)
顔料組成物30.0部、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ社製分散剤)15.0部、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート55.0部をハイスピードミキサーにて30分攪拌混合し、ペイントシェーカーを用いて8時間分散して、濃縮液を作成した。
この濃縮液を16.7部、VMCA(ダウンケミカル社製 塩酢ビ樹脂)5.8部、BYK−361N(BYK社製 表面調整剤)0.5部、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート77.0部を50℃にて120分攪拌混合した後、1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してインクジェットインキを作成した。
【0050】
溶剤系インクジェットインキの製造例(2)
顔料組成物30.0部、BYK111(BYK社製分散剤)15.0部、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート55.0部をハイスピードミキサーにて30分攪拌混合し、ペイントシェーカーを用いて8時間分散して、濃縮液を作成した。
この濃縮液を16.7部、VMCA(ダウンケミカル社製 塩酢ビ樹脂)5.8部、BYK−361N(BYK社製 表面調整剤)0.5部、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート77.0部を50℃にて120分攪拌混合した後、1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してインクジェットインキを作成した。
【0051】
水性インクジェットインキの製造例
顔料組成物19.0部、ジョンクリル61J(ジョンソンポリマー製、固形分31.0%)16.4部、非イオン界面活性剤5.0部、イオン交換水59.6部を混合し、ペイントシェーカーで12時間分散して、濃縮液を作成した。
この濃縮液12.5部、エマポリーTYN−40(岐阜セラック製、固形分44.8%)2.5部、非イオン性界面活性剤2.0部、イオン交換水64.9部を混合し、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを適宜加えて、粘度が2.5cps(25℃)、表面張力40dyne/cmに調整後、1.0μmメンブランフィルターを用いてろ過し、更に0.45μmメンブランフィルターを用いてろ過して水性インクイジェットマゼンタインキを作成した。
【0052】
[実施例1]
製造例1で得られたRed31、9.5部に、製造例7で得られた化合物(10)、3.0部を加え、良く混合して顔料組成物1を得た。さらに上記の溶剤系インクジェットインキの製造例(1)に従って溶剤系インクジェットインキ(1)を得た。
[実施例2]
製造例1で得られたRed31、9.5部に、製造例8で得られた化合物(11)、3.0部を加えた以外は実施例1と同様にして顔料組成物2、および溶剤系インクジェットインキ(2)を得た。
[実施例3]
製造例1で得られたRed31、9.5部に、製造例9で得られた化合物(12)、3.0部を加えた以外は実施例1と同様にして顔料組成物3、および溶剤系インクジェットインキ(3)を得た。
[実施例4]
製造例1で得られたRed31、9.5部に、製造例10で得られた化合物(13)、3.0部を加えた以外は実施例1と同様にして顔料組成物4、および溶剤系インクジェットインキ(4)を得た。
[実施例5]
製造例1で得られたRed31、9.5部に、製造例11で得られた化合物(14)、0.5部を加え、良く混合して顔料組成物5を得た。さらに上記の水性インクジェットインキの製造例にて水性インクジェットインキ(5)を得た。
[実施例6]
製造例1で得られたRed31、9.5部に、製造例12で得られた化合物(15)、0.5部を加えた以外は実施例5と同様にして顔料組成物6、および水性インクジェットインキ(6)を得た。
[実施例7]
製造例1で得られたRed31、9.5部に、製造例13で得られた化合物(16)、0.5部を加えた以外は実施例5と同様にして顔料組成物7、および水性インクジェットインキ(7)を得た。
[実施例8]
製造例1で得られたRed31、9.5部に、製造例14で得られた化合物(17)、0.5部を加えた以外は実施例5と同様にして顔料組成物8、および水性インクジェットインキ(8)を得た。
【0053】
[実施例9]
製造例2で得られたRed147、9.5部に、製造例7で得られた化合物(10)、5.0部を加え、良く混合して顔料組成物9を得た。さらに上記の溶剤系インクジェットインキの製造例(1)にて溶剤系インクジェットインキ(9)を得た。
[実施例10]
製造例2で得られたRed147、9.5部に、製造例8で得られた化合物(11)、5.0部を加えた以外は実施例9と同様にして顔料組成物10、および溶剤系インクジェットインキ(10)を得た。
[実施例11]
製造例2で得られたRed147、9.5部に、製造例9で得られた化合物(12)、5.0部を加えた以外は実施例9と同様にして顔料組成物11、および溶剤系インクジェットインキ(11)を得た。
[実施例12]
製造例2で得られたRed147、9.5部に、製造例10で得られた化合物(13)、5.0部を加えた以外は実施例9と同様にして顔料組成物12、および溶剤系インクジェットインキ(12)を得た。
[実施例13]
製造例2で得られたRed147、9.5部に、製造例11で得られた化合物(14)、3.0部を加え、良く混合して顔料組成物13を得た。さらに上記の水性インクジェットインキの製造例にて水性インクジェットインキ(13)を得た。
[実施例14]
製造例1で得られたRed31、9.5部に、製造例12で得られた化合物(15)、3.0部を加えた以外は実施例13と同様にして顔料組成物14、および水性インクジェットインキ(14)を得た。
[実施例15]
製造例1で得られたRed31、9.5部に、製造例13で得られた化合物(16)、3.0部を加えた以外は実施例13と同様にして顔料組成物15、および水性インクジェットインキ(15)を得た。
[実施例16]
製造例1で得られたRed31、9.5部に、製造例14で得られた化合物(17)、3.0部を加えた以外は実施例13と同様にして顔料組成物16、および水性インクジェットインキ(16)を得た。
【0054】
[実施例17]
製造例3で得られたRed150、9.5部に、製造例7で得られた化合物(10)、10.0部を加え、良く混合して顔料組成物17を得た。さらに上記の溶剤系インクジェットインキの製造例(1)にて溶剤系インクジェットインキ(17)を得た。
[実施例18]
製造例3で得られたRed150、9.5部に、製造例8で得られた化合物(11)、10.0部を加えた以外は実施例17と同様にして顔料組成物18、および溶剤系インクジェットインキ(18)を得た。
[実施例19]
製造例3で得られたRed150、9.5部に、製造例9で得られた化合物(12)、10.0部を加えた以外は実施例17と同様にして顔料組成物19、および溶剤系インクジェットインキ(19)を得た。
[実施例20]
製造例3で得られたRed150、9.5部に、製造例10で得られた化合物(13)、10.0部を加えた以外は実施例17と同様にして顔料組成物20、および溶剤系インクジェットインキ(20)を得た。
[実施例21]
製造例3で得られたRed150、9.5部に、製造例11で得られた化合物(14)、0.1部を加え、良く混合して顔料組成物21を得た。さらに上記の水性インクジェットの製造例にて水性インクジェットインキ(21)を得た。
[実施例22]
製造例3で得られたRed150、9.5部に、製造例12で得られた化合物(15)、0.1部を加え実施例21と同様にして顔料組成物22、および水性インクジェットインキ(22)を得た。
[実施例23]
製造例3で得られたRed150、9.5部に、製造例13で得られた化合物(16)、0.1部を加え実施例21と同様にして顔料組成物23、および水性インクジェットインキ(23)を得た。
[実施例24]
製造例3で得られたRed150、9.5部に、製造例14で得られた化合物(17)、0.1部を加え実施例21と同様にして顔料組成物24、および水性インクジェットインキ(24)を得た。
【0055】
[実施例25]
製造例4で得られたRed185、9.5部に、製造例7で得られた化合物(10)、15.0部を加え、良く混合して顔料組成物25を得た。さらに上記の溶剤系インクジェットインキ処方(1)にて溶剤系インクジェットインキ(25)を得た。
[実施例26]
製造例4で得られたRed185、9.5部に、製造例8で得られた化合物(11)、15.0部を加えた以外は実施例25と同様にして顔料組成物26、および溶剤系インクジェットインキ(26)を得た。
[実施例27]
製造例4で得られたRed185、9.5部に、製造例9で得られた化合物(12)、15.0部を加えた以外は実施例25と同様にして顔料組成物27、および溶剤系インクジェットインキ(27)を得た。
[実施例28]
製造例4で得られたRed185、9.5部に、製造例10で得られた化合物(13)、15.0部を加えた以外は実施例25と同様にして顔料組成物28、および溶剤系インクジェットインキ(28)を得た。
[実施例29]
製造例4で得られたRed185、9.5部に、製造例11で得られた化合物(14)、1.0部を加え、良く混合して顔料組成物29を得た。さらに上記の水性インクジェットインキの製造例にて水性インクジェットインキ(29)を得た。
[実施例30]
製造例4で得られたRed185、9.5部に、製造例12で得られた化合物(15)、1.0部を加えた以外は実施例29と同様にして顔料組成物30、および水性インクジェットインキ(30)を得た。
[実施例31]
製造例4で得られたRed185、9.5部に、製造例13で得られた化合物(16)、1.0部を加えた以外は実施例29と同様にして顔料組成物31、および水性インクジェットインキ(31)を得た。
[実施例32]
実施例32:製造例4で得られたRed185、9.5部に、製造例14で得られた化合物(17)、1.0部を加えた以外は実施例29と同様にして顔料組成物32、および水性インクジェットインキ(32)を得た。
【0056】
[実施例33]
製造例5で得られたRed245、9.5部に、製造例7で得られた化合物(10)、3.0部を加え、良く混合して顔料組成物33を得た。さらに上記の溶剤系インクジェットインキの製造例(1)にて溶剤系インクジェットインキ(33)を得た。
[実施例34]
製造例5で得られたRed245、9.5部に、製造例8で得られた化合物(11)、3.0部を加えた以外は実施例33と同様にして顔料組成物34、および溶剤系インクジェットインキ(34)を得た。
[実施例35]
製造例5で得られたRed245、9.5部に、製造例9で得られた化合物(12)、3.0部を加えた以外は実施例33と同様にして顔料組成物35、および溶剤系インクジェットインキ(35)を得た。
[実施例36]
製造例5で得られたRed245、9.5部に、製造例10で得られた化合物(13)、3.0部を加えた以外は実施例33と同様にして顔料組成物36、および溶剤系インクジェットインキ(36)を得た。
[実施例37]
製造例5で得られたRed245、9.5部に、製造例11で得られた化合物(14)、5.0部を加え、良く混合して顔料組成物37を得た。さらに上記の水性インクジェットインキの製造例にて水性インクジェットインキ(37)を得た。
[実施例38]
製造例5で得られたRed245、9.5部に、製造例12で得られた化合物(15)、5.0部を加えた以外は実施例37と同様にして顔料組成物38、および水性インクジェットインキ(38)を得た。
[実施例39]
製造例5で得られたRed245、9.5部に、製造例13で得られた化合物(16)、5.0部を加えた以外は実施例37と同様にして顔料組成物39、および水性インクジェットインキ(39)を得た。
[実施例40]
製造例5で得られたRed245、9.5部に、製造例14で得られた化合物(17)、5.0部を加えた以外は実施例37と同様にして顔料組成物40、および水性インクジェットインキ(40)を得た。
【0057】
[実施例41]
製造例6で得られたRed269、9.5部に、製造例7で得られた化合物(10)、7.0部を加え、良く混合して顔料組成物41を得た。さらに上記の溶剤系インクジェットインキの製造例(1)にて溶剤系インクジェットインキ(41)を得た。
[実施例42]
製造例6で得られたRed269、9.5部に、製造例8で得られた化合物(11)、7.0部を加えた以外は実施例41と同様にして顔料組成物42、および溶剤系インクジェットインキ(42)を得た。
[実施例43]
製造例6で得られたRed269、9.5部に、製造例9で得られた化合物(12)、7.0部を加えた以外は実施例41と同様にして顔料組成物43、および溶剤系インクジェットインキ(43)を得た。
[実施例44]
製造例6で得られたRed269、9.5部に、製造例10で得られた化合物(12)、7.0部を加えた以外は実施例41と同様にして顔料組成物44、および溶剤系インクジェットインキ(44)を得た。
[実施例45]
製造例6で得られたRed269、9.5部に、製造例11で得られた化合物(14)、0.5部を加え、良く混合して顔料組成物45を得た。さらに上記の水性インクジェットインキの製造例にて水性インクジェットインキ(45)を得た。
[実施例46]
製造例6で得られたRed269、9.5部に、製造例12で得られた化合物(15)、0.5部を加えた以外は実施例45と同様にして顔料組成物46、および水性インクジェットインキ(46)を得た。
[実施例47]
製造例6で得られたRed269、9.5部に、製造例13で得られた化合物(16)、0.5部を加えた以外は実施例45と同様にして顔料組成物47、および水性インクジェットインキ(47)を得た。
[実施例48]
製造例5で得られたRed245、9.5部に、製造例14で得られた化合物(17)、0.5部を加えた以外は実施例45と同様にして顔料組成物48、および水性インクジェットインキ(48)を得た。
[実施例49]
製造例1で得られたRed31、9.5部に製造例11で得られた化合物(14)、5.0部を加え、良く混合して顔料組成物49を得た。さらに上記の溶剤系インクジェットの製造例(2)にて溶剤系インクジェットインキ(49)を得た。
[実施例50]
製造例1で得られたRed31、9.5部に、製造例16で得られた化合物(16)、5.0部を加えた以外は実施例49と同様にして顔料組成物50、および溶剤系インクジェットインキ(50)を得た。
【0058】
比較例1〜16
[比較例1]
製造例1で得られたRed31を用い、上記の溶剤系インクジェットインキの製造例(1)にて、溶剤系インキジェットインキを作成した。
[比較例2]
製造例2で得られたRed147を使用した以外は比較例1と同様にして溶剤系インクジェットインキを作成した。
[比較例3]
製造例3で得られたRed150を使用した以外は比較例1と同様にして溶剤系インクジェットインキを作成した。
[比較例4]
製造例4で得られたRed185を使用した以外は比較例1と同様にして溶剤系インクジェットインキを作成した。
[比較例5]
製造例5で得られたRed245を使用した以外は比較例1と同様にして溶剤系インクジェットインキを作成した。
[比較例6]
製造例6で得られたRed269を使用した以外は比較例1と同様にして溶剤系インクジェットインキを作成した。
[比較例7]
クラリアント社製のC.I.PigmentViolet19のHOSTAPERM RED E5B02を使用した以外は比較例1と同様にして溶剤系インクジェットインキを作成した。
[比較例8]
チバガイギー社製のC.I.PigmentRed122のJET MAGENTA DMQを使用した以外は比較例1と同様にして溶剤系インクジェットインキを作成した。
【0059】
[比較例9]
製造例1で得られたRed31を用い、上記の水性インクジェットインキの製造例にて、水性インキジェットインキを作成した。
[比較例10]
製造例2で得られたRed147を使用した以外は比較例9と同様にして水性インクジェットインキを作成した。
[比較例11]
製造例3で得られたRed150を使用した以外は比較例9と同様にして水性インクジェットインキを作成した。
[比較例12]
製造例4で得られたRed185を使用した以外は比較例9と同様にして水性インクジェットインキを作成した。
[比較例13]
製造例5で得られたRed245を使用した以外は比較例9と同様にして水性インクジェットインキを作成した。
[比較例14]
製造例6で得られたRed269を使用した以外は比較例9と同様にして水性インクジェットインキを作成した。
[比較例15]
クラリアント社製のC.I.PigmentViolet19のHOSTAPERM RED E5B02を使用した以外は比較例9と同様にして水性インクジェットインキを作成した。
[比較例16]
チバガイギー社製のC.I.PigmentRed122のJET MAGENTA DMQを使用した以外は比較例9と同様にして水性インクジェットインキを作成した。
実施例1〜48、比較例1〜16のインクジェットインキについて、以下の項目について評価を行った。その結果を表−1に示す。
【0060】
(1)色相、着色力、鮮明性
実施例1〜48、比較例1〜16のインクジェットインキについてはエプソン社製HG5130のカートリッジに充填し、印字を行い、印字されたサンプルの色相、着色力、鮮明性を目視で評価した。
(色相)
比較例7、15のC.I.PigmentViolet19色相を基準として比較した。
(着色力)
○:比較例7、15に比べて極めて高く2倍以上の着色力
△:比較例7、15レベルの着色力
(鮮明性)
○:比較例7、15に比べて高い鮮明性
△:比較例7、15レベルの鮮明性
【0061】
(2)粘度、粒径
粘度はB型粘時計で測定した60rpmの値(cps)である。
(3)分散粒径
分散粒径はマイクロトラックで測定した値(nm)であり、D50値とD99値を測定した。
(4)沈降
沈降の有無は目視感覚で評価した。○は沈降無し、△は少し確認、×は明確に確認された。
(5)目詰まり性
連続1時間打ち出しを行い、目詰まり発生の有無を調べた。
○:間詰まり発生なし。
△:打ち出し開始後、15分から30分で目詰まりが発生。
×:打ち出し開始後、15分以内で目詰まりが発生。
【0062】
また、表2において粘度−1〜3、D50−1〜3、D99−1〜3及び沈降状態は各々以下をあらわす。
粘度−1、D50−1、D99−1値:インクジェットインキの作成時の粘度とD50値、D99値。
粘度−2、D50−2、D99−2値:70℃、1週間経時促進後の粘度とD50値、D99値。
粘度−3、D50−3、D99−3値と沈降状態:70℃、4週間経時促進後の粘度とD50値、D99値と沈降状態。
なお、経時促進はインクジェットインキ300ccをねじ口瓶(日電理科カ゛ラス(株))にとり、70℃1週間、4週間の環境下で保存した。
【0063】
【表1】

【0064】
表−1に示すように、ナフトール系赤色顔料を使用したインクジェットインキは水性、溶剤系の何れであってもキナクリドン顔料(C.I.PigmentViolet19、C.I.PigmentRed122)に比べて2倍以上の着色力であったが、70℃の経時促進による粘度、粒径に関しては、キナクリドン顔料同様に大きな変化が生じ、4週間の促進では沈殿が生じ、また目詰まりが確認された。
これに対し、化合物(5)〜(12)で示される化合物を加えた顔料組成物をインクジェットインキにしたものは、水性、溶剤系ともに色相、着色力、鮮明性も同様のまま、70℃経時促進による粒度変化、粒径変化もなく、また目詰まりも生じる事がなかった。
【産業上の利用可能性】
【0065】
印刷インキ、プラスチック、塗料、電子写真用トナー、インクジェットインキ、カラーフィルター用レジスト、電子ペーパーに限らず、鮮明性、着色力かつ長期の分散安定性が求められるにあらゆる色材関連分野に利用可能である。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナフトール系赤色顔料、及び下記の一般式(1)〜(3)であらわされる化合物を少なくとも一種類以上含むことを特徴とする顔料組成物。
一般式(1)
【化1】


( 式中、P は有機色素残基を表す。X1は、直接結合、−O− 、−S− 、−CO− 、−SO2− 、−NR1− 、−CONR1− 、−SO2NR1−、−N R1CO−、−NR1SO2−、炭素の数が1〜12個の直鎖または枝分かれしたアルキレン基、もしくはアルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかで置換されていてもよいベンゼン残基もしくはトリアジン残基、または、これら結合基が2個以上連結してなる結合基を表す( ここでR1は、水素原子、アルキル基、またはヒドロキシアルキル基を表す)。Y1は、−NR2R3、−SO3・M/n、または、−COO・M/nを表し、R2とR3は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、またはR2とR3とで一体となって窒素、酸素もしくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環基を表わし、M は水素イオン、1〜3価の金属イオン、または少なくとも1つがアルキル基で置換されているアンモニウムイオンを表し、nは、M の価数を表す。kは、1または2の整数を表し、mは、1〜4の整数を表す。)
一般式(2)
【化2】


( 式中、Q はアルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいアントラキノン残基を表す。X2は、直接結合、−O− 、−S− 、−CO− 、−SO2− 、−NR1− 、−CONR1− 、−SO2NR1− 、−NR1CO− 、−NR1SO2−、炭素の数が1〜12個の直鎖または枝分かれしたアルキレン基、もしくはアルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかで置換されていてもよいベンゼン残基もしくはトリアジン残基、または、これら結合基が2個以上連結してなる結合基を表す( ここでR1は、水素原子、アルキル基、またはヒドロキシアルキル基を表す)。Y2は、−NR2R3、−SO3・M/n、または、−COO・M/n を表し、R2とR3は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、またはR2とR3とで一体となって窒素、酸素もしくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環基を表わし、Mは、水素イオン、1〜3価の金属イオン、または少なくとも1つがアルキル基で置換されているアンモニウムイオンを表し、nは、Mの価数を表す。kは、1または2の整数を表し、mは、1〜4の整数を表す。)
一般式(3)
【化3】


( 式中、Rは、トリアジン残基を表す。X3からX5は、それぞれ独立に、直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NR1−、−CONR1−、−SO2NR1−、−NR1CO−、−NR1SO2−、炭素の数が1〜12個の直鎖または枝分かれしたアルキレン基、もしくは、アルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかで置換されていてもよいベンゼン残基、または、これら結合基が2個以上連結してなる結合基を表す( ここでR1は、水素原子、アルキル基、またはヒドロキシアルキル基を表す)。
Y3は、−NR2R3、−SO3・M/n、または−COO・M/nを表し、R2とR3は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、またはR2とR3とで一体となって窒素、酸素もしくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環基を表し、Mは、水素イオン、1〜3価の金属イオン、または少なくとも1つがアルキル基で置換されているアンモニウムイオンを表し、nはMの価数を表す。Y4とY5は、それぞれ独立に、Y1と同じであるか、または、アルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、または置換されていてもよいフェニル基のいずれかを表す。p、q、rは、それぞれ独立に、1または2の整数を表す。)
【請求項2】
ナフトール系赤色顔料が、C.I.Pigment Red 31、147、150、185、245および269から選ばれる少なくとも一種類である請求項1記載の顔料組成物。
【請求項3】
一般式(1)〜(3)であらわされる化合物の含有量が、0.05〜20.0重量%であることを特徴とする請求項1または2記載の顔料組成物。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか記載の顔料組成物を含んでなる事を特徴とする着色組成物。
【請求項5】
請求項1〜3いずれか記載の顔料組成物を含んでなるインクジェットインキ。




【公開番号】特開2010−195906(P2010−195906A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41624(P2009−41624)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】