説明

顔料誘導体の製造方法、顔料分散組成物および着色層形成用感放射線性組成物

【課題】顔料分散性、コントラスト比、色度特性等を高める顔料分散剤として有用な顔料誘導体の製造方法であって、安全性に優れ、しかも目的とする顔料誘導体を安定して製造することができる製造方法を提供すること。また、前記方法により製造された顔料誘導体を含有する、顔料分散組成物および着色層形成用感放射線性組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の顔料誘導体の製造方法は、顔料を出発原料として顔料誘導体を製造する際に、溶剤として特定の環状アミジン化合物を使用することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料誘導体の製造方法、顔料分散組成物および着色層形成用感放射線性組成物に関わり、より詳しくは、顔料分散剤として有用な顔料誘導体の製造方法、並びに当該方法により製造された顔料誘導体を含有する顔料分散組成物および着色層形成用感放射線性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示素子を構成するカラーフィルタを製造する方法として、基板上あるいは予め所望のパターンの遮光層を形成した基板上に、顔料を分散させた光硬化性の着色樹脂組成物を塗布して乾燥したのち、乾燥塗膜を所望のパターン形状に放射線を照射(以下、「露光」という。)し、現像することにより、各色の画素を得る方法(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)が知られている。そして、着色樹脂組成物中の顔料の分散性を高め、光透過率やコントラストの高い画素を得るには、顔料分散剤として顔料誘導体を用いることが有効であることが知られている。例えば、特許文献1では、透明度の高いカラーフィルタを形成するために、顔料を様々な置換基を有する顔料誘導体とともに分散させた着色組成物を用いることが提案されている。また、特許文献3では、顔料、顔料の酸性誘導体、特定構造のグラフトポリマー等からなる顔料分散体組成物が優れたニュートン流動性を示し、当該組成物を用いて形成されたカラーフィルタが高いコントラストを示す旨開示されている。
【0003】
一方、特許文献4〜6では、顔料分散に有用な顔料誘導体として、ジケトピロロピロール、キナクリドン、PY138(キノフタロン系顔料)の誘導体が開示されている。しかしながら、これらの顔料誘導体を製造するにあたっては、多量の濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸が用いられており、安全性、設備の腐食、廃液の処理等の点で問題があった。また、これらの製造方法では、顔料のスルホン化を目的としない場合、スルホン化顔料が副生することがあるため、純度の高い顔料誘導体を安定して製造することが困難であった。
【0004】
【特許文献1】特開平2−144502号公報
【特許文献2】特開平3−53201号公報
【特許文献3】特開平9−176511号公報
【特許文献4】特開平10−81687号公報
【特許文献5】特開平11−217514号公報
【特許文献6】特開2002−179979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、分散性、コントラスト比、色度特性等を高める顔料分散剤として有用な顔料誘導体の製造方法であって、安全性に優れ、しかも目的とする顔料誘導体を安定して製造することができる顔料誘導体の製造方法を提供することにある。
本発明の他の課題は、前記方法により製造された顔料誘導体を含有する、顔料分散組成物および着色層形成用感放射線性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、顔料を出発原料として顔料誘導体を製造する場合に、溶剤として特定の環状アミジン化合物を使用することにより上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記式(1)で表される溶剤の存在下、顔料から顔料誘導体を製造することを特徴とする顔料誘導体の製造方法を提供するものである。
【0008】
【化1】

【0009】
(式(1)において、Rは置換基を有してもよい炭素数2〜6の炭化水素基を示し、RおよびRは、相互に独立に、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示す。また、RおよびRは互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
【0010】
また、本発明は、該方法により製造された顔料誘導体および着色剤を含有する顔料分散組成物、並びに該方法により製造された顔料誘導体、着色剤、アルカリ可溶性樹脂、多官能性単量体および光重合開始剤を含有する着色層形成用感放射線性組成物をも提供するものである。
本発明でいう「放射線」は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を含むものを意味する。
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
顔料誘導体の製造方法
顔料誘導体は、顔料分子に、互いに静電反発する官能基や、高分子分散剤等のバインダー成分と相互作用する官能基を導入した化合物であり、顔料の分散性を高めるために用いられる。導入される官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基等を挙げることができる。
このような顔料誘導体は、公知の方法により製造することができるが、通常、濃硫酸等の強酸を溶剤として、出発原料となる顔料を様々な化合物と反応させることにより製造される。本発明の製造方法においては、濃硫酸等を使用しないため安全性に優れ、廃液の処理、設備の腐食といった煩雑さも解消される。また、濃硫酸を使用すると、副反応として芳香環のスルホン化反応が起きることがあり、目的とする顔料誘導体を高い純度で製造することが困難な場合がある。さらに、出発原料となる顔料の種類や反応条件によっては、顔料1分子あたり2個以上のスルホ基が導入されることもあり、結果として、得られる顔料誘導体の親水性が過度に高くなり、有機溶剤中での顔料分散に適さないものとなる場合がある。本発明の製造方法によれば、上記式(1)で表される環状アミジン化合物を溶剤として使用することにより、スルホン化等の副反応は起こらないか十分に抑制され、純度の高い顔料誘導体を安定して得ることができる。その結果、分散性、コントラスト比、色度特性等を高める顔料分散剤として有用な顔料誘導体を製造することができる。
【0012】
本発明の製造方法において出発原料として使用される顔料としては、特に限定されるものではないが、分散性、コントラスト比、色度特性等を高める効果の高い顔料誘導体を得る点から、有機顔料が好ましい。
有機顔料としては、例えば、ジケトピロロピロール系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、アゾメチン系顔料、ナフトール系顔料、キノフタロン系顔料、フタロシアニン系顔料等を挙げることができる。より具体的には、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されている化合物を挙げることができる。
【0013】
前記ジケトピロロピロール系顔料の具体例としては、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントオレンジ81、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントレッド283等を挙げることができる。
前記キナクリドン系顔料の具体例としては、C.I.ピグメントオレンジ48、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントバイオレット19等を挙げることができる。
【0014】
前記イソインドリン系顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー185等を挙げることができる。
前記イソインドリノン系顔料の具体例としては、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110等を挙げることができる。
前記アントラキノン系顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントブルー60等を挙げることができる。
前記ジオキサジン系顔料の具体例としては、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントブルー80等を挙げることができる。
前記ペリレン系顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントバイオレット29等を挙げることができる。
【0015】
前記アゾメチン系顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントオレンジ68を挙げることができる。
前記ベンズイミダゾロン系顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ72、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントブラウン25等を挙げることができる。
【0016】
前記ナフトール系顔料の具体例としては、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ74、C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントブラウン23等を挙げることができる。
【0017】
前記キノフタロン系顔料としては、C.I.ピグメントイエロー138等を挙げることができる。
前記フタロシアニン系顔料としては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントブルー15:6等を挙げることができる。
【0018】
これらの有機顔料のうち、ジケトピロロピロール系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、アントラキノン系顔料、ナフトール系顔料が好ましく、特に、ジケトピロロピロール系顔料、キナクリドン系顔料が好ましい。
本発明において、有機顔料は、硫酸再結晶法、溶剤洗浄法またはこれらの組み合わせ等により精製した後、顔料誘導体の製造に使用することもできる。
【0019】
本発明の製造方法は、上記式(1)で表される特定の化合物(以下、「環状アミジン化合物」ということがある。)を溶剤として使用し、顔料誘導体を製造することを特徴とする。環状アミジン化合物は、顔料との親和性が特に高く、顔料を溶解させる能力に優れ、また、一般的な有機溶剤にも可溶であるため、再沈殿処理にも好適である。
【0020】
上記式(1)において、Rの置換基としては、炭素数1〜6の炭化水素基、水酸基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシ基等を挙げることができる。本発明において、Rとしては、置換基を有してもよい炭素数2〜6のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基が好ましく、特に、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ビニレン基、o−フェニレン基が好ましい。
また、上記式(1)において、RおよびRの置換基としては、炭素数1〜6の炭化水素基、水酸基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシ基等を挙げることができる。本発明において、RおよびRとしては、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基が好ましい。また、RおよびRが互いに結合して炭素数3〜6のアルキレン基を形成することも好ましい。
【0021】
環状アミジン化合物としては、例えば、イミダゾール環を有する化合物、イミダゾリン環を有する化合物、テトラヒドロピリミジン環を有する化合物等を挙げることができる。
前記イミダゾール環を有する化合物の具体例としては、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、1,2−ジエチルイミダゾール、1−ブチルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、1−メトキシエチルイミダゾール、1−フェニル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−メチル−2−フェニルイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルイミダゾール、1,4−ジメチルイミダゾール、1,5−ジメチルイミダゾール、1,2,4−トリメチルイミダゾール、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾール、1−メチル−2−エトキシメチルイミダゾール、1−エトキシメチル−2−メチルイミダゾール、1−(4−アミノフェニル)−1H−イミダゾール、1−(4−ヒドロキシフェニルイミダゾール、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、ベンゾイミダゾール等を挙げることができる。
【0022】
前記イミダゾリン環を有する化合物の具体例としては、イミダゾリン、1−メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−フェニルイミダゾリン、1−メチル−2−ベンジルイミダゾリン、1−メチル−2−ヘプチルイミダゾリン、1−メチル−2−エトキシメチルイミダゾリン、1−エトキシメチル−2−メチルイミダゾリン等を挙げることができる。
前記テトラヒドロピリミジン環を有する化合物の具体例としては、1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン等を挙げることができる。
【0023】
これらの環状アミジン化合物のうち、常温で液体であるものが好ましく、特に、イミダゾール、イミダゾリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンおよび1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エンが好ましい。
これらの環状アミジン化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0024】
本発明の製造方法において、環状アミジン化合物の使用量は、特に限定されるものではないが、顔料100質量部に対して、好ましくは1〜50,000質量部、さらに好ましくは1.5〜10,000質量部、特に好ましくは2〜5,000質量部である。この場合、環状アミジン化合物の使用量が1質量部未満であると、所望の効果が得られないおそれがあり、一方50,000質量部を超えると、得られる顔料誘導体の収率が低くなるおそれがある。
【0025】
また、本発明の製造方法においては、環状アミジン化合物と共に他の溶剤を併用することもできる。他の溶剤としては、原料化合物と反応せず、かつ環状アミジン化合物に可溶なものである限り、適宜に選択して使用することができる。このような他の溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。
他の溶剤の使用割合は、環状アミジン化合物と他の溶剤の合計に対して、好ましくは95質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。
【0026】
本発明において、顔料誘導体を製造する際の反応温度は、目的とする顔料誘導体の種類に応じて適宜設定されるが、通常、−10〜150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは10〜100℃である。
反応後、顔料誘導体を回収するには、乾燥法、再沈殿法等、公知の方法を用いることができる。
【0027】
本発明の製造方法は、例えば、顔料をアルデヒド化合物と反応させて、顔料分子に水酸基を導入した顔料誘導体を製造するのに好適である。この場合、アルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、マロンアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、アクロレイン、ベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、パルミトアルデヒド、ニコチンアルデヒド、2−フルアルデヒド、3−フルアルデヒド、シンナムアルデヒド、ラクトアルデヒド、パラホルムアルデヒド、1,3,5−トリオキサン、パラアセトアルデヒド、パラプロピオンアルデヒド等を挙げることができる。また、これらのアルデヒド化合物は、顔料1モルに対し、好ましくは0.1〜50モル、さらに好ましくは1〜10モルの範囲で反応に供せられる。
【0028】
顔料分散組成物
本発明の顔料分散組成物は、本発明の方法により製造された顔料誘導体および着色剤を含有するものである。
本発明の顔料分散組成物に含有される着色剤は、適用される用途に応じて適宜選定され、顔料、染料あるいは天然色素の何れでもよいが、本発明の効果をより高めるという意味においては、使用する顔料誘導体と近い構造を有する顔料であることが好ましい。すなわち、例えば、ジケトピロロピロール系顔料は、ジケトピロロピロール系顔料の誘導体と組み合わせて分散することにより、分散性、コントラスト比、色度特性等において特に優れた顔料分散組成物を得ることができる。
【0029】
本発明の顔料分散組成物に含有される着色剤の具体例としては、上記「顔料誘導体の製造方法」において列挙した有機顔料や、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等の無機顔料を挙げることができる。
これらの着色剤および共に使用される顔料誘導体は、各々単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0030】
本発明の顔料分散組成物において、本発明の方法により製造された顔料誘導体の含有量は、着色剤100質量部に対して、通常、0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜25質量部、さらに好ましくは1.0〜15質量部である。この場合、本発明の方法により製造された顔料誘導体の含有量が0.1質量部未満であると、所望の効果が得られないおそれがあり、一方30質量部を超えると、カラーフィルタの形成に適用した場合、色度特性や電気特性が悪化するおそれがある。
なお、本発明の顔料分散組成物においては、本発明の方法により製造された顔料誘導体と共に、公知の顔料誘導体を併用することもできる。
【0031】
本発明の顔料分散組成物は、適宜の方法により調製することができるが、本発明の方法により製造された顔料誘導体および着色剤を、有機溶剤中、高分子分散剤の存在下で、ビーズミル、ロールミル等を用いて、粉砕しつつ混合・分散することにより調製することが好ましい。
上記高分子分散剤としては、例えば、変性アクリル系共重合体、アクリル系共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、高分子共重合体のアルキルアンモニウム塩又はリン酸エステル塩、カチオン性櫛型グラフトポリマー等を挙げることができる。ここで、カチオン性櫛型グラフトポリマーとは、複数の塩基性基(カチオン性の官能基)を有する幹ポリマー1分子に、2分子以上の枝ポリマーがグラフト結合した構造のポリマーをいい、例えば、幹ポリマー部がポリエチレンイミン、枝ポリマー部がε−カプロラクトンの開環重合体で構成されるポリマーが挙げられる。
【0032】
このような高分子分散剤は商業的に入手することができ、例えば、変性アクリル系共重合体として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116、BYK−LPN21324(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ポリウレタンとして、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)、カチオン性櫛型グラフトポリマーとして、ソルスパース24000、ソルスパース37500(ルーブリゾール(株)社製)、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880(味の素ファインテクノ株式会社製)等を挙げることができる。
本発明の顔料分散組成物において、高分子分散剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。高分子分散剤の含有量は、着色剤100質量部に対して、通常、100質量部以下、好ましくは1〜70質量部である。この場合、高分子分散剤の含有量が100質量部を超えると、アルカリ現像型の感放射線性組成物に適用した場合、現像性が損なわれるおそれがある。
【0033】
上記有機溶剤としては、例えば、
メタノール、エタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0034】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、ジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチルペンタン−2−オン)、4−ヒドロキシ−4−メチルヘキサン−2−オン等のケトン類;
【0035】
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピオン酸n−ブチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ヒドロキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、2−オキソ酪酸酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類
等を挙げることができる。
【0036】
本発明の顔料分散組成物において、有機溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、有機溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、得られる顔料分散組成物の保存安定性等の観点から、当該組成物の有機溶剤を除いた各成分の合計濃度が、好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは10〜40質量%となる量が望ましい。
【0037】
このようにして得られる顔料分散組成物は、分散性、コントラスト比、色度特性等において優れる。したがって、カラーフィルタの形成に用いられる着色樹脂組成物はもとより、インクジェットインク、印刷インク、塗料等の作製にも極めて有用である。
【0038】
着色層形成用感放射線性組成物
本発明の着色層形成用感放射線性組成物(以下、単に「感放射線性組成物」ということがある。)は、本発明の方法により製造された顔料誘導体、着色剤、アルカリ可溶性樹脂、多官能性単量体および光重合開始剤を含有するものである。ここで「着色層」とは、カラーフィルタに用いられる画素および/またはブラックマトリックスからなる層を意味する。
本発明の感放射線性組成物に含有される着色剤としては、上記「顔料分散組成物」において挙げた着色剤と同様のものを挙げることができる。
【0039】
本発明の感放射線性組成物に含有されるアルカリ可溶性樹脂は、着色層を形成する際の現像処理工程において用いられるアルカリ現像液に対して可溶性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、通常、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する重合体である。なかでも、カルボキシル基を有する重合体を含有することが好ましく、該重合体としては、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「カルボキシル基含有不飽和単量体」ということがある。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「共重合性不飽和単量体」ということがある。)との共重合体(以下、「カルボキシル基含有共重合体」ということがある。)を挙げることができる。
【0040】
前記カルボキシル基含有不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらのカルボキシル基含有不飽和単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
カルボキシル基含有共重合体において、カルボキシル基含有不飽和単量体の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは10〜40質量%である。この場合、該共重合割合が5質量%未満では、得られる感放射線性組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が低下する傾向があり、一方50質量%を超えると、アルカリ現像液に対する溶解性が過大となり、アルカリ現像液により現像する際に、画素の基板からの脱落や画素表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
【0041】
また、前記共重合性不飽和単量体としては、例えば、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−位置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレンの如き芳香族ビニル化合物;
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレートの如き不飽和カルボン酸エステル;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
これらの共重合性不飽和単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0042】
カルボキシル基含有共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728等に開示されている共重合体を挙げることができる。
【0043】
また、本発明の感放射線性組成物においては、例えば、特開平5−19467号公報等に開示されているように、カルボキシル基含有共重合体の側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を導入することもできる。
カルボキシル基含有共重合体以外のカルボキシル基を有する重合体としては、例えば、特開2008−181095号公報に開示されているアルカリ可溶性樹脂を挙げることができる。
【0044】
本発明の感放射線性組成物におけるアルカリ可溶性樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、通常、1,000〜45,000、好ましくは3,000〜30,000である。この場合、Mwが1,000未満であると、得られる被膜の残膜率等が低下したり、パターン形状、耐熱性等が損なわれたり、また電気特性が悪化するおそれがあり、一方45,000を超えると、解像度が低下したり、パターン形状が損なわれたり、またスリットノズル方式による塗布時に乾燥異物が発生し易くなるおそれがある。
また、本発明の感放射線性組成物におけるアルカリ可溶性樹脂のMwと、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)の比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。
【0045】
本発明の感放射線性組成物におけるアルカリ可溶性樹脂は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第07/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
【0046】
本発明の感放射線性組成物において、アルカリ可溶性樹脂は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の感放射線性組成物において、アルカリ可溶性樹脂の含有量は、着色剤100質量部に対して、通常、10〜1,000質量部、好ましくは20〜500質量部である。この場合、アルカリ可溶性樹脂の含有量が10質量部未満では、例えば、アルカリ現像性が低下したり、未露光部の基板上あるいは遮光層上に残渣や地汚れが発生するおそれがあり、一方1,000質量部を超えると、相対的に顔料濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。
【0047】
本発明の感放射線性組成物に含有される多官能性単量体は、2個以上の重合性不飽和結合を有する単量体である。
このような多官能性単量体としては、例えば、
エチレングリコール、プロピレングリコールの如きアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如きポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート;
グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートやそのジカルボン酸変性物;
ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、スピラン樹脂の如きオリゴ(メタ)アクリレート;
両末端ヒドロキシポリ−1,3−ブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトンの如き両末端ヒドロキシル重合体のジ(メタ)アクリレート;
トリス〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕フォスフェートや、
イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリアクリレート;
ウレタン構造を有するポリ(メタ)アクリレート
等を挙げることができる。
【0048】
これらの多官能性単量体のうち、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物、並びにウレタン構造を有するポリ(メタ)アクリレートが好ましい。3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物、ペンタエリスリトールトリメタクリレートとこはく酸とのモノエステル化物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物、ジペンタエリスリトールペンタメタアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物が好ましく、特に、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物が、着色層の強度が高く、着色層の表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上および遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で好ましい。
本発明の感放射線性組成物において、多官能性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0049】
本発明の感放射線性組成物において、多官能性単量体の含有量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、5〜500質量部が好ましく、特に20〜300質量部が好ましい。この場合、多官能性単量体の含有量が5質量部未満では、画素の強度や表面平滑性が低下する傾向があり、一方500質量部を超えると、例えば、アルカリ現像性が低下したり、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れ、膜残り等が発生しやすくなる傾向がある。
【0050】
本発明の感放射線性組成物に含有される光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、前記多官能性単量体の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物等の公知の化合物を挙げることができる。
【0051】
本発明において、光重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができるが、本発明における光重合開始剤としては、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物の群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0052】
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等を挙げることができる。
【0053】
また、前記アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0054】
また、前記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
なお、光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を高めることができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、さらに感度を高めることができる点で好ましい。
【0055】
前記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等を挙げることができる。
【0056】
また、O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。
【0057】
本発明において、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光ラジカル発生剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
本発明において、光重合開始剤の含有量は、多官能性単量体100質量部に対して、通常、0.01〜120質量部、好ましくは1〜100質量部である。この場合、光ラジカル発生剤の含有量が0.01質量部未満であると、所望の効果が得られないおそれがあり、一方120質量部を超えると、形成された画素パターンが現像時に基板から脱落しやすくなる傾向がある。
【0058】
本発明の感放射線性組成物は、上記成分を含有するものであるが、必要に応じて他の添加剤をさらに含有することもできる。
前記他の添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤等を挙げることができる。
【0059】
本発明の感放射線性組成物は、通常、溶剤を配合して液状組成物として調製される。溶剤としては、感放射線性組成物を構成する上記成分を分散または溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。溶剤の具体例としては、上記「顔料分散組成物」において挙げた有機溶剤と同様のものを挙げることができる。
【0060】
本発明の感放射線性組成物において、溶剤は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、得られる感放射線性組成物の塗布性、保存安定性等の観点から、当該組成物の溶剤を除いた各成分の合計濃度が、好ましくは、5〜50質量%、さらに好ましくは10〜40質量%となる量が望ましい。
【発明の効果】
【0061】
本発明の顔料誘導体の製造方法は、安全性に優れ、しかも純度の高い顔料誘導体を安定して製造することができる。その結果、分散性、コントラスト比、色度特性等を高める顔料分散剤として有用な顔料誘導体を製造することができる。
したがって、本発明の方法により製造された顔料誘導体を含有する顔料分散組成物は、分散性、コントラスト比、色度特性等に優れ、カラーフィルタの形成に用いられる着色樹脂組成物はもとより、インクジェットインク、印刷インク、塗料等の作製にも極めて好適に使用することができる。
また、本発明の方法により製造された顔料誘導体等を含む感放射線性組成物は、電子工業分野におけるカラー液晶表示装置用カラーフィルタや固体撮像素子の色分解用カラーフィルタを始めとする各種のカラーフィルタの作製に極めて好適に使用することができる。
【実施例】
【0062】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
顔料誘導体の製造
実施例1
ガラス製500mLフラスコに、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製ジケトピロロピロール系顔料C.I.ピグメントレッド255(1,4−ジケト−3,6−ジフェニルピロロ[3,4−c]ピロール)28.8g、イミダゾール200g、パラホルムアルデヒド7gをこの順に仕込み、50℃に加温し4時間撹拌した。得られた赤色懸濁物をメタノール1.5Lに注ぎ、固体成分をろ過により回収した。得られた固体成分をメタノールでさらに2回洗浄した後、100℃で10時間減圧乾燥し、29.2gの顔料誘導体r1を得た。DMSO−d6中で測定したプロトンNMRスペクトルにおいて、芳香族水素を示す6.5〜9.0ppmのピークに対する、アミド水素を示す11.4ppmのピークの強度比は、出発物質において5対1であったのに対し、顔料誘導体r1では27対1であった。また、MALDI−TOFMSスペクトルにおいては、m/z=348および362のピークが観測された。得られた顔料誘導体r1は、下記式(2)で表される化合物と下記式(3)で表される化合物の混合物であると推定された。
【0063】
【化2】

【0064】
【化3】

【0065】
実施例2
イミダゾールに代えて1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンを200g用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、30.3gの顔料誘導体r2を得た。DMSO−d6中で測定した顔料誘導体r2のプロトンNMRスペクトルにおいて、芳香族水素を示す6.5〜9.0ppmのピークに対する、アミド水素を示す11.4ppmのピークの強度比は、41対1であった。また、MALDI−TOFMSスペクトルにおいても、実施例1と同様のピークが確認された。得られた顔料誘導体r2は、上記式(2)で表される化合物と上記式(3)で表される化合物の混合物であり、上記式(2)で表される化合物の割合が実施例1の場合より増加したものと推定された。
【0066】
実施例3
ガラス製500mLフラスコに、C.I.ピグメントレッド255を28.8g、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン45g、脱水したテトラヒドロフラン200g、パラホルムアルデヒド7gをこの順に仕込み、50℃に加温し4時間撹拌した。得られた赤色懸濁物を減圧蒸留により固形分濃度約30質量%に濃縮した後、メタノール1Lに注ぎ、固体成分をろ過により回収した。得られた固体成分をメタノールでさらに2回洗浄した後、100℃で10時間減圧乾燥し、31.7gの顔料誘導体r3を得た。DMSO−d6中で測定した顔料誘導体r3のプロトンNMRスペクトルにおいて、芳香族水素を示す6.5〜9.0ppmのピークに対する、アミド水素を示す11.4ppmのピークの強度比は、38対1であった。また、MALDI−TOFMSスペクトルにおいても、実施例1と同様のピークが確認された。得られた顔料誘導体r3は、上記式(2)で表される化合物と上記式(3)で表される化合物の混合物であり、上記式(2)で表される化合物の割合および全体の収量が、実施例2の場合とほぼ同等であると推定された。
【0067】
実施例4
C.I.ピグメントレッド255に代えて、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製ジケトピロロピロール系顔料C.I.ピグメントレッド254(1,4−ジケト−3,6−ジ(4−クロロフェニル)ピロロ[3,4−c]ピロール)35.7gを用いた以外は、実施例2と同様の操作を行い、34.0gの顔料誘導体r4を得た。DMSO−d6中で測定したプロトンNMRスペクトルにおいて、芳香族水素を示す6.5〜9.0ppmのピークに対する、アミド水素を示す11.4ppmのピークの強度比は、出発物質において4対1であったのに対し、顔料誘導体r4では18対1であった。また、MALDI−TOFMSスペクトルにおいては、m/z=417および431のピークが観測された。得られた顔料誘導体r4は、下記式(4)で表される化合物と下記式(5)で表される化合物の混合物であると推定された。
【0068】
【化4】

【0069】
【化5】

【0070】
比較例1
ガラス製500mLフラスコに、濃硫酸300gを仕込み、30℃に保持しながらC.I.ピグメントレッド255を28.8g加えた。引き続き、パラホルムアルデヒド7gを少量ずつ追添し、液温を30℃に保持したまま2時間撹拌した。得られた赤黒色溶液を氷水1Lに注ぎ、析出した赤色固体をろ過により回収した。得られた赤色固体を蒸留水600mLでさらに3回洗浄した後、110℃で12時間減圧乾燥し、27.0gの顔料誘導体r5を得た。DMSO−d6中で測定した顔料誘導体r5のプロトンNMRスペクトルにおいて、芳香族水素を示す6.5〜9.0ppmのピークに対する、アミド水素を示す11.4ppmのピークの強度比は、出発物質において5対1であったのに対し、顔料誘導体r5では16対1であった。また、MALDI−TOFMSスペクトルにおいては、m/z=288、348および362のピークが観測された。得られた顔料誘導体r5は、出発物質、上記式(2)で表される化合物および上記式(3)で表される化合物の混合物であり、未反応成分が残留し、上記式(2)で表される化合物の割合が実施例1の場合より減少したものと推定された。
【0071】
比較例2
反応温度を60℃とした以外は比較例1と同様の操作を行い、29.7gの顔料誘導体r6を得た。DMSO−d6中で測定した顔料誘導体r6のプロトンNMRスペクトルにおいて、芳香族水素を示す6.5〜9.0ppmのピークに対する、アミド水素を示す11.4ppmのピークの強度比は、24対1であった。また、MALDI−TOFMSスペクトルにおいては、m/z=288、348、362、428、508のピークが観測され、スルホン化反応の進行が確認された。得られた顔料誘導体r6は、出発物質、下記式(6)で表される化合物および下記式(7)で表される化合物の混合物であると推定された。
【0072】
【化6】

【0073】
【化7】

【0074】
顔料分散組成物および感放射線性組成物の調製
調製例1
着色剤としてC.I.ピグメントレッド254を15質量部、顔料誘導体r1を1質量部、高分子分散剤としてBYK−LPN21324(ビックケミー(BYK)社製)を5質量部(固形分換算)、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノエチルエーテル混合溶剤(質量比=15/1)を固形分濃度が21質量%となるよう用いて、ビーズミルにより12時間混合・分散して、顔料分散液を調製した。
得られた顔料分散液を100質量部、メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体(共重合質量比=15/55/20/10、Mw=15,000)を10質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを15質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を4質量部、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンを1質量部、および溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを混合して、固形分濃度25%の液状組成物R1を調製した。
【0075】
調製例2〜7
調製例1において、表1に示すように顔料誘導体の種類を変更した以外は、調製例1と同様にして液状組成物R2〜R7を調製した。
【0076】
色度特性およびコントラスト比の評価
実施例5
液状組成物R1を、表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO2 膜が形成されたソーダガラス基板上に、スピンコーターを用いて回転数を変量して塗布したのち、90℃のホットプレートで4分間プレベークを行って、膜厚の異なる3枚の塗膜を形成した。
次いで、これらの基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、各塗膜に対して365nm、405nmおよび436nmの各波長を含む放射線を400J/mの露光量で露光した。その後、これらの基板に対して23℃の0.04重量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm2 (ノズル径1mm)で吐出することにより、1分間シャワー現像を行ったのち、さらに220℃で30分間ポストベークを行って、基板上に赤色硬化膜を形成した。
【0077】
得られた3枚の硬化膜について、カラーアナライザー(大塚電子(株)製MCPD2000)を用い、C光源、2度視野にて、CIE表色系における色度座標値(x,y)及び刺激値(Y)を測定した。測定結果より、色度座標値x=0.650における色度座標値y、刺激値(Y)を求めた。結果を表1に示す。
また、硬化膜が形成された基板を2枚の偏向板で挟み、背面側から蛍光灯(波長範囲380〜780nm)で照射しつつ前面側の偏向板を回転させ、輝度計LS−100(ミノルタ(株)製)により透過する光強度の最大値と最小値を測定した。そして、その最大値を最小値で割った値をコントラスト比とした。測定結果より、色度座標値x=0.650でのコントラスト比を求めた。評価結果を表1に示す。
【0078】
実施例6〜8および比較例3〜5
液状組成物R1に代えてそれぞれ液状組成物R2〜R7を用いた以外は、実施例5と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0079】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される溶剤の存在下、顔料から顔料誘導体を製造することを特徴とする顔料誘導体の製造方法。
【化1】

(式(1)において、Rは置換基を有してもよい炭素数2〜6の炭化水素基を示し、RおよびRは、相互に独立に、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示す。また、RおよびRは互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
【請求項2】
前記顔料がジケトピロロピロール系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、アゾメチン系顔料、ナフトール系顔料、キノフタロン系顔料またはフタロシアニン系顔料である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記溶剤がイミダゾール環を有する化合物、イミダゾリン環を有する化合物およびテトラヒドロピリミジン環を有する化合物よりなる群からから選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
顔料をアルデヒド化合物と反応させて顔料誘導体を製造する請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の方法により製造された顔料誘導体および着色剤を含有する顔料分散組成物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の方法により製造された顔料誘導体、着色剤、アルカリ可溶性樹脂、多官能性単量体および光重合開始剤を含有する着色層形成用感放射線性組成物。

【公開番号】特開2010−144125(P2010−144125A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325508(P2008−325508)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】